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特表2023-545933熱安定性エチレンコポリマーゴムブレンド
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-11-01
(54)【発明の名称】熱安定性エチレンコポリマーゴムブレンド
(51)【国際特許分類】
   C08L 23/16 20060101AFI20231025BHJP
   F16L 11/04 20060101ALI20231025BHJP
【FI】
C08L23/16
F16L11/04
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023518839
(86)(22)【出願日】2021-10-13
(85)【翻訳文提出日】2023-03-23
(86)【国際出願番号】 EP2021078248
(87)【国際公開番号】W WO2022079072
(87)【国際公開日】2022-04-21
(31)【優先権主張番号】EP20201776
(32)【優先日】2020-10-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】511242409
【氏名又は名称】アランセオ・ネザーランズ・ベー・フェー
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】ジョン・ヤンセン
【テーマコード(参考)】
3H111
4J002
【Fターム(参考)】
3H111AA02
3H111BA15
3H111DA11
3H111DB09
3H111EA04
4J002BB15W
4J002BB15X
4J002FD010
4J002FD020
4J002FD050
4J002FD060
4J002FD070
4J002FD090
4J002FD100
4J002FD140
4J002FD150
4J002FD200
4J002FD340
4J002GJ02
4J002GL00
4J002GM01
4J002GN00
4J002GT00
(57)【要約】
第1の硬化性エチレンコポリマーと第2の硬化性エチレンコポリマーとのブレンドを含む組成物であって、
(i)第1の硬化性エチレンコポリマーが、第1のコポリマーの総重量に基づいて、50重量%~75重量%のエチレン由来の単位と、第1のエチレンコポリマーの総重量に基づいて、10~30個の炭素原子を有し且つ少なくとも2つの環状単位を含み及び少なくとも2つの環内二重結合を有する非共役ジエンからなる群から選択される、0.5重量%超で且つ最大5.0重量%までの1つ又は複数のジエン由来の単位とを含み、第1のエチレンコポリマーの総重量に基づいて少なくとも15重量%のプロピレン由来の単位をさらに含み、並びに第1のエチレンコポリマーの総重量が、100%に相当する;
(ii)第2の硬化性エチレンコポリマーが、第2のコポリマーの総重量に基づいて、45重量%~65重量%のエチレン由来の単位と、8~24個の炭素原子を有し且つ少なくとも1つの環状単位を有し並びに1つの環内二重結合及び1つの非末端の環外二重結合を有する非共役ジエンからなる群から選択される約0.5重量%~12重量%の1つ又は複数のジエン由来の単位とを含み、且つ第2のエチレンコポリマーの総重量に基づいて25重量%のプロピレン由来の単位をさらに含み、そして第2のエチレンコポリマーの総重量が、100%に相当する;
(iii)第1のエチレンコポリマーの第2のエチレンコポリマーに対する重量比が、約1:10~10:1である組成物。組成物を製造する方法及び組成物の用途も提供される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の硬化性エチレンコポリマーと第2の硬化性エチレンコポリマーとのブレンドを含む組成物であって、
(i)前記第1の硬化性エチレンコポリマーが、50重量%~75重量%のエチレン由来の単位と、10~30個の炭素原子を有し且つ少なくとも2つの環状単位を含み及び少なくとも2つの環内二重結合を有する非共役ジエンからなる群から選択される、0.5重量%超で且つ最大5.0重量%までの1つ又は複数のジエン由来の単位、好ましくはジシクロペンタジエン由来の単位を含み、少なくとも15重量%のプロピレン由来の単位をさらに含み、並びに重量%で表される量が、100%に相当する前記第1のエチレンコポリマーの総重量を基準とする;
(ii)前記第2の硬化性エチレンコポリマーが、45重量%~65重量%のエチレン由来の単位と、8~24個の炭素原子を有し且つ少なくとも1つの環状単位を有し並びに1つの環内二重結合及び非末端の環外二重結合を有する非共役ジエンからなる群から選択される約1.1~4.1重量%の1つ又は複数のジエン由来の単位、好ましくはエチリデンノルボルネン由来の単位を含み、且つ少なくとも15重量%、好ましくは少なくとも25重量%のプロピレン由来の単位をさらに含み、重量%で表される量が、100%に相当する前記第2のエチレンコポリマーの総重量を基準とする;
(iii)前記第1のエチレンコポリマーの前記第2のエチレンコポリマーに対する重量比が、約1:10~10:1である;
組成物。
【請求項2】
前記第1の硬化性エチレンコポリマーが、前記ポリマーの総重量に基づいて0.5重量%から最大5.0重量%までのジシクロペンタジエン由来の単位を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記第1の硬化性エチレンコポリマーが、前記第1のコポリマーの総重量に基づいて1.0重量%超で且つ最大4.5重量%までのジシクロペンタジエン由来の単位と、前記コポリマーの総重量に基づいて、55重量%~72重量%のエチレン由来の単位と、前記第1のコポリマーの総重量に基づいて少なくとも25重量%のプロピレン由来の単位とを含む、請求項1又は2に記載の組成物。
【請求項4】
前記第1の硬化性エチレンコポリマーが、150.000~390.000g/モルg/モルの分子量を有する、請求項1~3のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項5】
前記第2の硬化性エチレンコポリマーが、8~24個の炭素原子を有し且つ少なくとも1つの環状単位を有し並びに1つの環内二重結合及び非末端環外二重結合を有する非共役ジエンからなる群から選択される、1.1~4.1重量%、又は1.1~2.3重量%の1つ又は複数のジエン由来の単位を含み、且つ前記1つ又は複数のジエンが、エチリデンノルボルネン(ENB)から選択される、請求項1~4のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項6】
前記第2の硬化性エチレンコポリマーが、1.1~2.3重量%又は1.1~4.1重量%のエチリデンノルボルネン(ENB)由来の単位と、50重量%~60重量%のエチレン由来の単位、及び少なくとも30重量%のプロピレン由来の単位を含み、前記重量%が、前記第2の硬化性エチレンコポリマーの総重量に基づく、請求項1~5のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項7】
前記第2の硬化性エチレンコポリマーが、100.000~300.000kg/モルの分子量を有する、請求項1~6のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項8】
前記第1の硬化性エチレンコポリマーと前記第2の硬化性エチレンコポリマーが、5:1~1:5、好ましくは3:1~1:3の重量比で存在する、請求項1~7のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項9】
少なくとも10重量%のゴムブレンドを含み、及び前記第1のコポリマーと前記第2のコポリマーのうちの少なくとも1つを硬化するための少なくとも1種の硬化剤をさらに含む、請求項1~8のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項10】
前記組成物が、100℃で45~85のムーニー粘度ML1+4を有する、請求項1~9のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項11】
ホースを製造するための請求項1~10のいずれか1項に記載の組成物の使用。
【請求項12】
層状物品用の層を製造するための請求項1~10のいずれか1項に記載の組成物の使用。
【請求項13】
請求項1~10のいずれか1項に記載の組成物を押出してホースに又は多層ホースの層にし、前記組成物に硬化を施すことを備えるホースを製造する方法。
【請求項14】
請求項1~10のいずれか1項に記載の組成物を硬化した形態で含むホース。
【請求項15】
前記第1の硬化性エチレンコポリマーを前記第2の硬化性エチレンコポリマーとブレンドすることを備え、場合により1種又は複数の添加剤を添加することを備える、請求項1~10のいずれか1項に記載の組成物を製造する方法。
【請求項16】
空気中160℃で96時間の熱処理後、DIN53504に従って求める、10%未満の引裂き伸びの変化を有する物品であって、硬化した物品は、硬化反応の反応生成物を含み、前記硬化反応は、請求項1~10のいずれか1項に規定のブレンドを含む組成物に硬化反応を施すことを備える物品。
【請求項17】
空気中150℃で1008時間の熱処理後、DIN53504に従って求める、10%未満の引張強度の変化を有する、請求項16に記載の物品。
【請求項18】
前記物品が、冷媒ホースである、請求項16又は17に記載の物品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
エチレン-プロピレン-ジエンゴム(EPDM)は、シーラント及びホースを作製するのに広く使用されている。例えば、(特許文献1)には、耐流体性であるポリプロピレン及びEPDMの組成物が記載されている。(特許文献2)には、EPDM組成物を含有する空調用ホースが記載されている。(特許文献3)には、温水浸漬試験において、24時間300℃まで耐性があるEPDM組成物が記載されている。
【背景技術】
【0002】
自動車産業では、EPDM組成物が、例えばボンネット下のラジエーターホースの製造などに広く使用されている。このようなボンネット下のホースは、エンジンによって生成される熱のため、熱気中で耐熱性であることが必要である。過酸化物硬化型EPDMの品質等級は、空気中150℃、168時間の熱処理に耐えて、それらの機械特性を80%超保持することが可能であるものである。ここ数年、内燃機関のエンジンにおいて技術的進歩がなされ、高効率のターボチャージャー付き内燃機関エンジンは、従来のエンジンよりも高温で作動する。したがって、より耐熱性のあるEPDMゴム組成物を提供する必要性が存在する。(特許文献4)においては、EPDMゴムを含む組成物が熱気にさらされる場合に、向上した熱老化特性を有することが報告されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】国際公開第98/54252号パンフレット
【特許文献2】欧州特許第1 495 857号明細書
【特許文献3】欧州特許第1683835号明細書
【特許文献4】国際公開第2019/157687A1号パンフレット
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
良好な熱老化特性を有するさらなるEPDM組成物を提供する必要性がある。好ましくは、このような組成物は、ホースを製造するのに好適である。
【課題を解決するための手段】
【0005】
一態様においては、第1の硬化性エチレンコポリマーと第2の硬化性エチレンコポリマーとのブレンドを含む組成物であって、
(i)第1の硬化性エチレンコポリマーが、50重量%~75重量%のエチレン由来の単位と、10~30個の炭素原子を有し且つ少なくとも2つの環状単位を含み及び少なくとも2つの環内二重結合を有する非共役ジエンからなる群から選択される、0.5重量%超で且つ最大5.0重量%までの1つ又は複数のジエン由来の単位、好ましくはジシクロペンタジエン由来の単位を含み、少なくとも15重量%のプロピレン由来の単位をさらに含み、並びに重量%で表される量は、100%に相当する第1のエチレンコポリマーの総重量を基準とする;
(ii)第2の硬化性エチレンコポリマーが、45重量%~65重量%のエチレン由来の単位と、8~24個の炭素原子を有し且つ少なくとも1つの環状単位を有し並びに1つの環内二重結合及び1つの非末端の環外二重結合を有する非共役ジエンからなる群から選択される約1.1~4.1重量%の1つ又は複数のジエン由来の単位、好ましくはエチリデンノルボルネン由来の単位を含み、且つ少なくとも15重量%、好ましくは少なくとも25重量%のプロピレン由来の単位をさらに含み、そして重量%で表される量は、100%に相当する第2のエチレンコポリマーの総重量を基準とする;
(iii)第1のエチレンコポリマーの第2のエチレンコポリマーに対する重量比が、約1:10~10:1である;
組成物が提供される。
【0006】
別の態様においては、ホースを製造するための組成物の使用が提供される。
【0007】
さらなる態様においては、層状物品用の層を製造するための組成物の使用が提供される。
【0008】
さらに別の態様においては、組成物を押出してホースに又は多層ホースの層にし、組成物に硬化を施すことを備えるホースを製造するプロセスが提供される。
【0009】
さらなる態様においては、硬化した形態で組成物を含むホースが提供される。
【0010】
別の態様においては、第1の硬化性エチレンコポリマーを第2の硬化性エチレンコポリマーとブレンドすることを備え、場合により1種又は複数の添加剤を添加することを備える、組成物を製造するプロセスが提供される。
【0011】
さらに別の態様においては、空気中160℃で96時間の熱処理後、DIN53504に従って求める、10%未満の引裂き伸びの変化を有する物品が提供され、硬化した物品は、硬化反応の反応生成物を含み、硬化反応は、第1の硬化性エチレンコポリマーと第2の硬化性エチレンコポリマーとのブレンドを含む組成物に硬化反応を施すことを備える。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下の説明においては、規範を用いることがある。特に明記されない限り、その規範は、2020年3月1日に施行された版の規範で使用される。例えば、基準が期限切れになったなどの理由により、その日に有効な版がない場合には、2020年3月1日に最も近い日付で有効だった版が参照される。
【0013】
以下の記載においては、組成物又はポリマーの原料の量は、「重量パーセント」、「wt.%」又は「重量%」により互いに交換して指すことができる。用語「重量パーセント」、「wt.%」又は「重量%」は、互いに交換して使用され、特に明記されない限り、100%である組成物又はポリマーの総重量にそれぞれ基づいている。
【0014】
用語「phr」は、ゴム100重量部当たりの重量部を意味する。
【0015】
本開示で特定される範囲は、範囲の端点間の全ての値を含み且つ開示し、特に明記されない限り、端点も含む。
【0016】
第1のエチレンコポリマー
本開示による第1のエチレンコポリマーは、硬化性である。それは、例えば1種又は複数の硬化剤との反応の際に、ポリマーを架橋(硬化)することができることを意味する。
【0017】
第1のエチレンコポリマーは、第1のコポリマーの総重量に基づいて、50重量%~75重量%のエチレン由来の単位を含有する。好ましくは、コポリマーは、55重量%~72重量%又は60重量%~70重量%のエチレン由来の単位を含む。
【0018】
エチレン由来の単位に加えて、本開示によるコポリマーは、コポリマーの総重量に基づいて、10重量%超のプロピレン由来の単位を有する。第1のコポリマーは、好ましくは少なくとも15重量%、より好ましくは少なくとも20重量%のプロピレン由来の単位を有する。
【0019】
エチレン由来の単位及びプロピレン由来の単位に加えて、第1のコポリマーは、プロピレン由来の単位と、10~30個の炭素原子を有し且つ少なくとも2つの環状単位を含み及び少なくとも2つの環内二重結合を有する非共役ジエンからなる群から選択される1つ又は複数のジエン由来の単位とを、第1のコポリマーの総重量に基づいて、0.5重量%超で且つ最大5.0重量%まで含む。本明細書において上述及び下述の「非共役」は、ジエンの二重結合が、少なくとも2個の炭素原子により互いに分離されていることを意味する。このようなジエンの好ましい例としては、ジシルコペンタジエン(DCPD)が挙げられる。ジシクロペンタジエンは、式(I):
【化1】
により表される。
【0020】
本開示の好ましい一実施形態においては、第1の硬化性エチレンコポリマーが、ポリマーの総重量に基づいて、0.5重量%~5.0重量%、好ましくは1.0%超で且つ最大4.5重量%までのジシクロペンタジエン由来の単位を含む。
【0021】
本開示の別の好ましい実施形態においては、第1の硬化性エチレンコポリマーは、コポリマーの総重量に基づいて、0.5重量%~5.0重量%、好ましくは1.0重量%超で且つ最大4.5重量%までのジシクロペンタジエン由来の単位と、コポリマーの総重量に基づいて、55重量%~72重量%又は60重量%~70重量%のエチレン由来の単位とを含む。
【0022】
本開示の一実施形態においては、第1のコポリマーは、非共役ジエンとしてジシクロペンタジエンのみを含む。
【0023】
第1の硬化性エチレンコポリマーは、100℃で約40~約80、好ましくは52~75のムーニー粘度ML1+4を有し得る。
【0024】
第1のコポリマーは、約100.000~500.000g/モルの重量平均分子量を有し得る。好ましくは、第1の硬化性コポリマーは、約150.000g/モル~約390.000g/モル、例えば約200.000~約310.000g/モルの重量平均分子量を有し得る。
【0025】
第1の硬化性コポリマーは、約2~8、好ましくは約3~6の分子量分布(MWD)を有し得る。
【0026】
第1の硬化性コポリマーは、10~40、好ましくは12~35又は18~28の分岐度(δΔ)を有し得る。度で表される分岐度δΔは、125℃で動的機械分光法(DMS)により求めた0.1rad/sの周波数での位相角δと100rad/sの周波数での位相角δの差である。δΔは、ポリマー構造における長鎖分岐の存在の尺度である。δΔの値が低いほど、より長い鎖分岐が、ポリマー中に存在し、H.C.BooijによってKautschuk+Gummi Kunststoffe,Vol.44,No.2,pages128-130,1991に導入されており、それは、参照により本明細書に組み込まれている。
【0027】
第2のエチレンコポリマー
本開示による第2のエチレンコポリマーは、硬化性である。それは、例えば1種又は複数の硬化剤との反応の際に、ポリマーを架橋(硬化)することができることを意味する。
【0028】
第2のエチレンコポリマーは、第2のコポリマーの総重量に基づいて、45重量%~65重量%のエチレン由来の単位を含有する。好ましくは、そのコポリマーは、約50重量%~約60重量%のエチレン由来の単位を含む。
【0029】
エチレン由来の単位に加えて、本開示による第2のコポリマーは、コポリマーの総重量に基づいて、15重量%超のプロピレン由来の単位を有する。好ましくは、第2のコポリマーは、少なくとも25重量%、より好ましくは少なくとも30重量%のプロピレン由来の単位を有する。
【0030】
エチレン由来の単位及びプロピレン由来の単位に加えて、第2のコポリマーは、9~24個の炭素原子を有し且つ少なくとも1つの環状単位を有し、及び1つの環内二重結合を有し且つ1つの非末端の環外二重結合を有する非共役ジエンからなる群から選択される1つ又はジエン由来の単位を約0.5重量%~12重量%含む。このような非共役ジエンの例としては、5-メチレン-2-ノルボルネン及び5-エチリデン-2-ノルボルネン(ENB)が挙げられるが、これに限定されない。本開示の好ましい一実施形態においては、第2の硬化性エチレンコポリマーは、コポリマーの総重量に基づいて、1.1重量%~4.1重量%、又は1.1重量%~2.3重量%のエチリデンノルボルネン(ENB)由来の単位を含む。一実施形態においては、第2のコポリマーは、9~24個の炭素原子を有し且つ少なくとも1つの環状単位を有し並びに環内二重結合及び非末端の環外二重結合を有する非共役ジエンからなる群から選択されるジエンを1.1重量%~4.1重量%、又は1.1重量%~2.3重量%含み、これらの1つ又は複数のジエンは全て、ENBから選択される。ENBは、式(II):
【化2】
により表すことができる。
【0031】
本開示の別の好ましい実施形態においては、組成物第2の硬化性エチレンコポリマーは、1.1~4.1重量%、又は1.1~2.3重量%のエチリデンノルボルネン(ENB)由来の単位と、50重量%~60重量%のエチレン由来の単位と、少なくとも30重量%のプロピレン由来の単位を含む(重量%は、100%に相当する第2のコポリマーの総重量を基準とする)。
【0032】
第2の硬化性エチレンコポリマーは、通常は100℃で35~65のムーニー粘度、ML1+4を有し得る。
【0033】
第2の硬化性エチレンコポリマーは、通常は約75.000~500.000g/モルの重量平均分子量(Mw)を有し得る。本開示第の一実施形態においては、第2のコポリマーは、約100.000~300.000g/モルのMwを有する。
【0034】
通常は、本開示の第2のエチレンコポリマーは、少なくとも1.5、例えば3.0~35、好ましくは約2.0~4.5、又は2.0~4.0又は2.7~3.3の分子量分布(MWD)を有し得る。
【0035】
本開示による第2のエチレンコポリマーは、2~50、好ましくは5~35、又は10~30、又は11~21の分岐度δΔを有し得る。
【0036】
他のコモノマー
本開示の第1のエチレンコポリマー若しくは第2のエチレンコポリマー、又はその両方は、1種若しくは複数の他のコモノマー由来の1つ若しくは複数の単位を場合により含有することがある。
【0037】
~C20-α-オレフィン:
例えば、第1のコポリマーか第2のコポリマーのどちらか、又はその両方は、1つ若しくは複数のC~C20-α-オレフィン由来の単位を含有することがある。C~C20-α-オレフィンは、4~20個の炭素原子を有し且つ単一の脂肪族炭素-炭素二重結合を有するオレフィンである。二重結合は、オレフィンの前末端(アルファ位)に位置する。α-オレフィンは、芳香族でも脂肪族でも、鎖状でも環式でもよい。例としては、1-ブテン、1-ペンテン、1-ヘキセン、1-ヘプテン、1-オクテン、1-ノネン、1-デセン、1-ウンデセン、1-ドデセン、1-トリデセン、1-テトラデセン、1-ペンタデセン、1-ヘキサデセン、1-ヘプタ-デセン、1-オクタデセン、1-ノナデセン、1-エイコセン、3-メチル-1-ブテン、3-メチル-1-ペンテン、3-エチル-1-ペンテン、4-メチル-1-ペンテン、4-メチル-1-ヘキセン、4,4-ジメチル-1-ヘキセン、4,4-ジメチル-1-ペンテン、4-エチル-1-ヘキセン、3-エチル-1-ヘキセン、9-メチル-1-デセン、11-メチル-1-ドデセン及び12-エチル-1-テトラデセンが挙げられる。アルファオレフィンは、組み合わせて使用してよい。
【0038】
鎖状の非共役ジエン:
第1のコポリマー若しくは第2のコポリマー又はその両方は、1種若しくは複数の鎖状の非共役ジエン由来の単位を1つ若しくは複数含有しても含有しなくてもよい。好適な非共役鎖状ジエンとしては、6~30個の炭素原子を有するジエン(C~C30ポリエン、より好ましくはC~C30ジエン)が挙げられる。鎖状、非共役ジエンの好適な例としては、1,4-ヘキサジエン、3-メチル-1,4-ヘキサジエン、4-メチル-1,4-ヘキサジエン、5-メチル-1,4-ヘキサジエン、4-エチル-1,4-ヘキサジエン、3,3-ジメチル-1,4-ヘキサジエン、5-メチル-1,4-ヘプタジエン、5-エチル-1,4-ヘプタジエン、5-メチル-1,5-ヘプタジエン、6-メチル-1,5-ヘプタジエン、5-エチル-1,5-ヘプタジエン、1,6-オクタジエン、4-メチル-1,4-オクタジエン、5-メチル-1,4-オクタジエン、4-エチル-1,4-オクタジエン、5-エチル-1,4-オクタジエン、5-メチル-1,5-オクタジエン、6-メチル-1,5-オクタジエン、5-エチル-1,5-オクタジエン、6-エチル-1,5-オクタジエン、1,6-オクタジエン、6-メチル-1,6-オクタジエン、7-メチル-1,6-オクタジエン、6-エチル-1,6-オクタジエン、6-プロピル-1,6-オクタジエン、6-ブチル-1,6-オクタジエン、4-メチル-1,4-ノナジエン、5-メチル-1,4-ノナジエン、4-エチル-1,4-ノナジエン、5-エチル-1,4-ノナジエン、5-メチル-1,5-ノナジエン、6-メチル-1,5-ノナジエン、5-エチル-1,5-ノナジエン、6-エチル-1,5-ノナジエン、6-メチル-1,6-ノナジエン、7-メチル-1,6-ノナジエン、6-エチル-1,6-ノナジエン、7-エチル-1,6-ノナジエン、7-メチル-1,7-ノナジエン、8-メチル-1,7-ノナジエン、7-エチル-1,7-ノナジエン、5-メチル-1,4-デカジエン、5-エチル-1,4-デカジエン、5-メチル-1,5-デカジエン、6-メチル-1,5-デカジエン、5-エチル-1,5-デカジエン、6-エチル-1,5-デカジエン、6-メチル-1,6-デカジエン、6-エチル-1,6-デカジエン、7-メチル-1,6-デカジエン、7-エチル-1,6-デカジエン、7-メチル-1,7-デカジエン、8-メチル-1,7-デカジエン、7-エチル-1,7-デカジエン、8-エチル-1,7-デカジエン、8-メチル-1,8-デカジエン、9-メチル-1,8-デカジエン、8-エチル-1,8-デカジエン、1,5,9-デカトリエン、6-メチル-1,6-ウンデカジエン、9-メチル-1,8-ウンデカジエン及びそれらの組み合わせが挙げられる。
【0039】
芳香族の非共役ポリエン:
第1のコポリマー若しくは第2のコポリマー又はその両方は、1種若しくは複数の芳香族の非共役ポリエン由来の単位を1つ若しくは複数含有しても含有しなくてもよい。芳香族非共役ポリエンの例としては、ビニルベンゼン(その異性体を含む)及びビニル-イソプロペニルベンゼン(その異性体を含む)が挙げられる。
【0040】
ビニル置換の非共役ジエン:
第1のコポリマー若しくは第2のコポリマー又はその両方は、1種若しくは複数の脂肪族、ビニル置換の鎖状又は単環式若しくは二環式ジエン由来の単位を1つ若しくは複数含有しても含有しなくてもよい。通常は、これらのジエンは、8~24個のC原子を含有する。例としては、1,4-ジビニルシクロヘキサン、1,3-ジビニルシクロヘキサン、1,3-ジビニルシクロペンタン、1,5-ジビニルシクロオクタン、1-アリル-4-ビニルシクロ-ヘキサン、1,4ジアリルシクロヘキサン、1-アリル-5-ビニルシクロオクタン、1,5-ジアリルシクロオクタン、1-アリル-4-イソプロペニル-シクロヘキサン、1-イソプロペニル-4-ビニルシクロヘキサン及び1-イソプロペニル-3-ビニルシクロペンタン、ジシクロペンタジエン、1,4-シクロヘキサジエン並びにビニルノルボルネン、例えば5-ビニル-2-ノルボルネン(VNB)が挙げられるが、これらに限定されない。これらのジエンは、本明細書においては「二重合性ジエン」とも呼ばれ、ポリマー分岐の形成の原因となることがある又は寄与することがある。このようなジエンの好ましい例としては、5-ビニル-2-ノルボルネン(VNB)、1,7-オクタジエン及び1,9-デカジエンが挙げられ、5-ビニル-2-ノルボルネン(VNB)が最も好ましい。VNBは、式(III):
【化3】
により表すことができる。
【0041】
第1のコポリマー及び/又は第2のコポリマーは、コポリマーの総重量に基づいて、5重量%未満、例えば0重量%~1.0重量%の量で1つ又は複数の二重合性ジエン由来の単位を有し得る。
【0042】
本開示による第1のエチレンコポリマー若しくは第2のエチレンコポリマー、又はその両方は、場合により、他のコモノマー由来の単位を含有しなくてもよい。
【0043】
好ましくは、エチレン由来、プロピレン由来、並びに10~30個の炭素原子を有し且つ少なくとも2つの環状単位を含み及び少なくとも2つの環内二重結合を有する非共役ジエンからなる群から選択される非共役ジエン由来、好ましくはDCPD由来である第1のエチレンコポリマーの単位の合計は、100%に相当する第1のエチレンコポリマーの総重量に基づいて、75重量%超、好ましくは95重量%超、そしてより好ましくは少なくとも98重量%又はそれ以上である。
【0044】
好ましくは、エチレン由来、プロピレン由来、並びに9~24個の炭素原子を有し且つ少なくとも1つの環状単位を有し且つ環内二重結合及び非末端の環外二重結合を有する非共役ジエンからなる群から選択される非共役ジエン由来、好ましくはENB由来である第2のエチレンコポリマーの単位の合計は、100%に相当する第2のエチレンコポリマーの総重量に基づいて、75重量%超、好ましくは95重量%超、そしてより好ましくは少なくとも98重量%又はそれ以上である。
【0045】
第1のコポリマー及び第2のコポリマーの調製
本開示による第1のコポリマー及び第2のコポリマーは、エチレンコポリマー、例えばEPDMを製造する技術分野で既知のように調製することができる。コポリマーは、例えばチーグラーナッタ触媒若しくはメタロセン型触媒のような従来の触媒を用いることにより又は異なる触媒の組み合わせにより、生成することができる。チーグラーナッタ触媒は、遷移金属、具体的にはチタン又はバナジウムのハロゲン化物をベースとする非メタロセン型触媒である。メタロセン型触媒は、金属が少なくとも1つの環状有機配位子、好ましくは少なくとも1つのシクロペンタジエニル配位子又は少なくとも1つのインデニル配位子と結合している有機金属触媒である。
【0046】
重合は、気相中で、スラリー中で、又は不活性溶媒、好ましくは炭化水素溶媒の溶液中で実施できる。
【0047】
重合は、異なる重合ゾーンで行うことができる。重合ゾーンは、重合が行われる容器であり、バッチ式反応器又は連続式反応器のいずれかであり得る。複数の反応器を使用する場合(例えば、複数の反応器を直列又は並列に接続する場合)、それぞれの反応器は別個の重合ゾーンと見なされる。
【0048】
好ましい溶媒としては、1種又は複数の炭化水素溶媒が挙げられる。好適な溶媒としては、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、ペンタメチルヘプタン、水素化ナフサ、それらの異性体及び混合物などのC5~12の炭化水素が挙げられる。重合は、製造される製品に応じて10~250℃の温度で実施することができる。重合が溶液中で実施されるならば、50℃を超える温度で実施されるのが最も好ましい。
【0049】
好ましい一実施形態においては、重合は、ポリマーの分子量を制御するために1種又は複数の連鎖移動剤の使用を含む。好ましい連鎖移動剤としては、水素(H)が挙げられる。ポリマー鎖当たりのジエン含有量は、当技術分野で既知のように、ジエンの含有量及び分子量を制御することにより、制御できる。
【0050】
第1のコポリマー若しくは第2のコポリマー又はその両方は、油展されてもよく、ポリマー調製中に、及びポリマーを後処理する前に、より詳細には溶媒を除去する前に、1種又は複数の伸展油をエチレンコポリマーとブレンドすることにより獲得できる。1種又は複数の伸展油は、反応容器から出た後に及び/又は重合反応が終了して油展ポリマーが生成された後で反応溶液の溶媒が除去される前に、反応溶液に添加されるのが好ましい。例えば、添加は、重合反応器の後であるが揮発性物質を除去する前に、例えばスチームストリッパー又は乾式仕上げ押出機の前に、行ってもよい。好ましくは、伸展油は、反応媒体、好ましくは重合反応器からの反応媒体に溶解又は懸濁している場合、エチレンコポリマーとブレンドしてもよい。本開示の一実施形態においては、第1のコポリマー及び第2のコポリマーは、油展されていない。
【0051】
第1のコポリマーと第2のコポリマーのブレンド
本開示による組成物は、本開示による第1のコポリマーと第2のコポリマーのブレンドを含有する。そのブレンドは、約10:1~1:10の重量比で、例えば、5:1~1:5、好ましくは3:1~1:3の重量比で、第1のコポリマーと第2のコポリマーとを有し得る。一実施形態において、第1のコポリマーの第2のコポリマーに対する重量比は、約1:1~約1:5:1~約1:1.5又は1:2~2:1である。
【0052】
本開示の一実施形態においては、第1のエチレンコポリマー及び第2のエチレンコポリマーは、ジシクロペンタジエンのENBに対する重量比が、約1:1~約1:3であるように選択される。
【0053】
本開示においては、そのブレンドを含有する組成物も提供される。ブレンドに加えて、組成物は又、1種又は複数の添加物を含有してよい。本開示の一実施形態においては、組成物は、組成物の総重量に基づいて、少なくとも90重量%の第1のエチレンコポリマーと第2のエチレンコポリマーとのブレンドを含む。本開示の別の実施形態においては、組成物の総重量に基づいて少なくとも10%の、好ましくは少なくとも25重量%の本開示のブレンドを含む組成物が、提供される。本開示の一実施形態においては、組成物は、45~85、好ましくは57~67の100℃でのムーニー粘度ML1+4を有する。
【0054】
添加剤としては、(a)硬化剤及び硬化促進剤、(b)充填剤、(c)ゴム助剤並びに(d)他の添加剤が挙げられ得る。
【0055】
硬化剤:
好適な硬化(加硫)剤としては、無機及び有機過酸化物が挙げられる。有機過酸化物としては、ジクミルパーオキサイド(DCP)、2,5-ジ(t-ブチルパーオキシ)-2,5-ジメチル-ヘキサン(DTBPH)、ジ(t-ブチルパーオキシイソプロピル)ベンゼン(DTBPIB)、2,5-ジ(ベンゾイルパーオキシ)-2,5-ジメチルヘキサン、2,5-(t-ブチルパーオキシ)-2,5-ジメチル-3-ヘキシン(DTBPHY)、ジ-t-ブチル-パーオキサイド及びジ-t-ブチルパーオキサイド-3,3,5-トリメチルシクロヘキサン(DTBTCH)又はこれらの過酸化物の混合物が挙げられるが、これらに限定されない。過酸化物系の硬化剤は、0.1~15phr、好ましくは0.5~5phrの量で使用することができる。
【0056】
加硫促進剤は、使用するならば、100重量部のエチレンコポリマー当たり、好ましくは0.1~10重量部、より好ましくは0.2~5重量部、最も好ましくは0.25~2phrの量で使用する。
加硫活性化剤の例としては、酸化マグネシウム及び酸化亜鉛などの金属酸化物、ステアリン酸若しくはステアリン酸の金属塩ステアリン酸又はそれらの組み合わせ、例えば、酸化亜鉛とステアリン酸の組み合わせなどが挙げられるが、それらに限定されない。加硫活性化剤は、一般的に、エチレンコポリマーを基準として、0.5~10phrの量で、好ましくは0.5~5phrの量で使用される。
【0057】
過酸化物若しくは過酸化物の混合物が、加硫剤として使用される場合には、パーオキサイド架橋助剤を使用することができる。このようなパーオキサイド架橋助剤の例は、トリアリルシアヌレート及びトリアリルイソシアヌレートなどのシアヌレート化合物、トリメチロールプロパン-トリメタクリレート及びエチレングリコール-ジメタクリレート、亜鉛-ジメタクリレート及び亜鉛ジアクリレートなどの(メタ)アクリレート化合物、ジビニルベンゼン、p-キノンジオキシム、m-フェニレンジマレイミド、(高ビニル)ポリブタジエン、並びにそれらの組み合わせである。好ましくは、0.1~5phrのパーオキサイド架橋助剤が使用され得る。より好ましくは、0.25~2.5phrのパーオキサイド架橋助剤が使用され得る。
【0058】
充填剤
好ましくは、充填剤は、20~500phrの量で使用され得る。好ましい充填剤としては、カーボンブラックをはじめとする炭素、-Si-O-単位を有するシリカ又は粒子、炭酸カルシウム、タルク及び粘土が挙げられ、それらは、ゴムにおいて従来の方法で使用されている。カーボンブラックは、ASTM D-1765に従って、その粒径(m/gでのBET)及び構造(cm/100gでのDBP吸着)で分類される。BET数5~150、及びDBP数30~140を有するカーボンブラック充填剤を使用するのが好ましい。この業界では、これらの種類のカーボンブラックは、MT、SRF、GPF、FEF、HAF、ISAF、SAFなどの略語で指定されることが多い。充填剤を例えば好適なシランで表面処理してもよい。このような充填剤の2種以上の組み合わせを使用してよい。充填剤が、カーボンブラック及び/又はシラン化シリカを含むのが最も好ましい。
【0059】
さらなる充填剤としては、第1のエチレンコポリマー及び第2のエチレンコポリマー以外のEPDMゴム並びにそれらの組み合わせを含む1種又は複数の他のゴムが挙げられ得る。
【0060】
ゴム助剤:
ゴム助剤には、ゴム配合の技術分野で一般的に使用されるものが含まれる。例としては、酸化防止剤(例えば、BASFから商品名IRGANOX1010又はIRGANOX1076で市販されているようなヒンダードフェノール系;ホスフィット(例えば、商品名IRGAFOS168で市販されているもの、乾燥剤(例えば、酸化カルシウム)、粘着付与剤(例えば、ポリブテン、テルペン樹脂、脂肪族及び芳香族炭化水素樹脂、アルカリ金属及びステアリン酸グリセロール、及び水素化ロジンなど)、結合剤、熱安定剤;防着剤;剥離剤;帯電防止剤 顔料;着色剤;染料、加工助剤(ファクチス、脂肪酸及びステアリン酸亜鉛、ステアリン酸マグネシウム又はステアリン酸カルシウムをはじめとするそれらの金属塩)、酸化防止剤、熱安定剤(例えば、ポリ-2,2,4-トリメチル-1,2-ジヒドロキノリン又は亜鉛2-メルカプトベンゾイミダゾール)、紫外線安定剤、オゾン防止剤、発泡剤及び離型剤、分配剤(例えば、ポリ-又はジ-エチレングリコール)、可塑剤(可塑剤潤滑油、パラフィン、流動パラフィン、石油アスファルト、ワセリン、低分子量ポリイソブチレン又はポリブチレン、液体EPDM又はEPM、コールタールピッチ、ヒマシ油、亜麻仁油、蜜ろう、アタクチックポリプロピレン及びクマロンインデン樹脂)が挙げられるが、これらに限定されない。可塑剤は、20~250phrの量で使用され得る。
【0061】
他の添加剤:
当技術分野で既知の他の添加剤を使用してよい。
【0062】
ブレンドの作製プロセス
本開示による第1のコポリマーと第2のコポリマーを合わせてブレンドを生成し、以下に「ゴムブレンド」とも呼ぶ。コポリマーは、乾式ブレンド又は湿式ブレンドにより合わせることができる。乾式ブレンドにより、コポリマーは、例えばゴムミキサー又はゴム用ロールミルにおいて、固体としてブレンドされる。湿式ブレンドプロセスにおいては、第1のコポリマーと第2のコポリマーのうちの少なくとも一方が、液体中に溶解又は分散している。例えば、第1のコポリマーの重合反応から得られる反応混合物は、第2のコポリマーとブレンドしてもよく、又は第2のコポリマーを含有する反応混合物とブレンドしてもよく、或いはその逆でもよい。この液体は、その後、減少するか、又は完全に除去される。
【0063】
ゴムブレンドを作製前、作製中、又は作製後に、第1のコポリマー若しくは第2のコポリマー又はその両方に添加剤の一部又は全てを添加してもよい。添加剤をゴムブレンドに添加するのが好ましい。通常は、硬化剤を別々に、好ましくは最後に添加する。
【0064】
典型的なプロセスは、
(i)第1のエチレンコポリマーと第2のエチレンコポリマーの混合
(ii)1種又は複数の充填剤の添加
(iii)好ましくは少なくとも1種の可塑剤を含む1種又は複数の他のゴム用添加剤の添加
(iv)1種又は複数の硬化剤の添加
を備え;
加硫性ゴム組成物を形成する。
【0065】
混合は、好ましくは、混錬、例えば、混錬機、オープンロールミル、密閉式ミキサー、又は押出機を含む従来のゴム混合装置を用いた混練を備える。混合は、当業者が既知の1つ又は複数のステップで行うことができる。
【0066】
本開示によるブレンドは、貯蔵若しくは取り扱いのために、又は化合物若しくは物品にさらに加工するために成形されることがある。ブレンドは、俵、ペレット、粉末、シート又は顆粒を含む形態に成形され得る。
【0067】
物品及び用途
物品を製造するために、硬化性(加硫性)ゴム化合物は、少なくとも1つの成形ステップを施され、例えば押出及び/又は成型により成形され、少なくとも1つの加硫ステップを施される。加硫は、成形中又は成形後、例えば押出若しくは成形中に、又は押出若しくは成型後に行ってよい。本開示によるエチレンコポリマーを用いて作製された物品は、硬化した形態でポリマーを含む、即ち、ポリマーは、ポリマー自体と、又は物品を製造するために使用される化合物若しくは組成物中の他の架橋性物質、例えば他の硬化性ゴムとのいずれかで架橋されている。
【0068】
本開示によるエチレンコポリマーブレンド、並びにそれらを含有する組成物及び化合物は、EPDMポリマーに好適なあらゆる用途を含む様々な最終用途に使用することができる。例としては、ホース、ベルト、シール、エンジンマウント、屋根材、又はガスケットが挙げられるが、これらに限定されない。好ましい物品としては、ホース、例えば冷媒ホースが挙げられる。冷媒ホースは、通常は、冷却媒体を供給、輸送又は循環するために使用される。冷媒ホースの例は、例えば、国際公開第2013/079293A1号パンフレットに記載されている。
【0069】
本開示の一実施形態においては、空気中160℃で96時間の熱処理後、DIN53504に従って求める、10%未満の引裂き伸びの変化を有する物品が提供され、硬化した物品は、硬化反応の反応生成物を含み、硬化反応は、本開示によるエチレンコポリマーブレンドを含む組成物に硬化反応を施すことを含む。本開示の実施形態においては、物品は、空気中150℃で1008時間の熱処理後、DIN53504に従って求める、10%未満の引張強度の変化を有する。本開示の別の実施形態においては、物品は、冷媒ホースである。
【0070】
ここで、本開示を実施例によりさらに説明するが、本開示をこれらの実施例及び実施例において使用される実施形態に限定することを意図するものではない。
【実施例
【0071】
試験方法
ポリマー試験
ポリマー組成物:
フーリエ変換赤外分光法(FT-IR)を用いて、加圧したポリマーフィルムにおける、C2/C3比に関してASTM D3900に従い、ジエン含有量に関してD6047に従って、コポリマーの組成を求めることができる。
【0072】
分子量及び分子量分布:
ポリマーの分子量(Mw)、ポリマーの数平均分子量(Mn)、Z平均分子量(Mz)及びエチレンコポリマーの分子量分布(MWD、MwとMnの比として定義)は、Polymer Characterisation S.A.Valencia,SpainからのPolymer Char GPCを用いるゲル浸透クロマトグラフィー(GPC/SEC-DV)により求めることができる。サイズ排除クロマトグラフィーAGILENT PL OLEXISカラム(7.5x300mm)を使用でき、システムのユニバーサルキャリブレーションは、ポリエチレン(PE)標準で実行できる。1g/Lのジ-tert-ブチル-パラクレゾール(DBPC)で安定化した(1,2,4-トリ-クロロベンゼン、TCB)を溶媒として、クロマトグラフシステムは、160℃で作動できる。TCB溶離液の流量は、1.0mL/分である。
【0073】
ムーニー粘度:
ムーニー粘度は、ISO289に従って測定できる。
【0074】
化合物試験
ムーニー粘度:
Putz Folien,D-65232 Taunusstein Wehen,Germanyにより製造されたNatureFlexNP/28μmフィルムを用いて、DIN53523-3に従って硬化性化合物のムーニー粘度(条件ML(1+4)100℃で測定)を求めた。
【0075】
圧縮永久ひずみ(CS):
硬化化合物の圧縮永久ひずみは、DIN ISO815に従って求めることができる。
【0076】
破断点引張強度(TS)及び破断点伸び(EB):
破断点引張強度(TS)及び破断点伸び(EB)は、DIN ISO37に従って、硬化化合物で23℃でのS2ダンベルで求めた。
【0077】
硬度:
ShoreA硬度(H)は、硬化化合物においてDIN ISO7629-1に従って求めた。
【0078】
実験
ブレンドすることにより、表1及び2に示す異なるエチレンコポリマーゴムを有するゴムブレンドを調製した。ゴム密閉式GK1,5L実験用ミキサー内でブレンドを行った。最初に、2種のエチレンコポリマーを混合してゴムブレンドを生成した。その後、ゴム用添加剤を添加した。総計で約170~190phrの添加剤を使用し、そのうちの炭素充填剤(60~90phr)を最初に添加した後、硬化剤を除いて他の添加剤を加えた:40~70phrの白色充填剤(酸化アルミニウム、タルカム、シリカ);23~40phrの加工オイル、5~7phrの酸化マグネシウム、3.5phrの加工助剤(脂肪酸、ポリエチレングリコール)、3.75~7.25phrの酸化防止剤を添加した。充填率は、72%であった、ローター速度は、50rpmで一定に保たれ、温度は、滴下する前に約120℃に達した。化合物を冷却した後、周囲条件において2本のロールミルで、硬化剤(1.5~2phrの助剤、3phrの第1の有機過酸化物、5phrの第2の有機過酸化物)を化合物に取り入れた。10分の混合後、化合物を仕上げた。加硫に使用するためにスラブをシート化した。電気加熱式圧縮成形機により、ゴムシートに硬化を施し、2mmの試験スラブを100バール下180℃で13分間硬化した。硬化サンプルの特性を表3に示す。表4に示すように、空気循環式オーブンにおいて空気中で、硬化したサンプル(2mm厚のS2ダンベル)に熱処理法を施した。処理前と処理後の化合物の特性を比較し、表4に同様に示す。
【0079】
【表1】
【0080】
【表2】
【0081】
【表3】
【0082】
【表4】
【0083】
表3及び4に示す結果は、本開示によるブレンドが、異なる熱処理後にそれらの特性の変化が少ないために、耐熱性がより良好であることを示す。
【国際調査報告】