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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-11-01
(54)【発明の名称】収納型ピボットヒンジ
(51)【国際特許分類】
   E05D 7/00 20060101AFI20231025BHJP
   E05D 7/081 20060101ALI20231025BHJP
【FI】
E05D7/00
E05D7/081
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023519321
(86)(22)【出願日】2021-10-26
(85)【翻訳文提出日】2023-03-24
(86)【国際出願番号】 IB2021059854
(87)【国際公開番号】W WO2022090908
(87)【国際公開日】2022-05-05
(31)【優先権主張番号】BE-2020/5759
(32)【優先日】2020-10-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】BE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523108968
【氏名又は名称】アール・ナームローゼ・フェンノートシャップ
【氏名又は名称原語表記】ARLU NV
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【弁理士】
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100111039
【弁理士】
【氏名又は名称】前堀 義之
(72)【発明者】
【氏名】エレマン,ランデル ジャン-ピエール
(72)【発明者】
【氏名】パウエルス,アレクサンデル
(72)【発明者】
【氏名】ビュエス,ジャン-ミシェル フィリップ ジャン-ポール
【テーマコード(参考)】
2E030
【Fターム(参考)】
2E030AB02
2E030BB03
2E030FA00
2E030FD01
(57)【要約】
本発明は、ドアフレームに扉(2)をヒンジ動作可能に装着する収納型ピボットヒンジ(1)に関する。収納型ピボットヒンジは、支軸(3)と、支軸(3)が高さ調整可能に嵌合される嵌合スリーブ(4)と、ドアフレームに収納されるようにして装着可能であり又はドアフレームの一部を形成するソケット(5)と、扉に収納されて扉(2)を装着するための装着体(6)とを備える。支軸(3)の端(24)が、支軸(3)及びソケット(5)の磁性素子(22,77)を用いてソケット(5)に引き込まれるように設定され、嵌合スリーブ(4)が、高さ方向(Z)に交差する第1方向(X)に位置調整可能に、且つ第1方向(X)にも高さ方向にも交差する第2方向(Y)に位置調整可能に装着体(6)に装着される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ドアフレームに扉(2)をヒンジ動作可能に装着するための収納型のピボットヒンジ(1)であって、
第1端(23)及び第2端(24)を有する支軸(3)と、
前記支軸(3)の少なくとも前記第1端(23)が、高さ調整可能に嵌合され、前記支軸(3)を前記扉(2)に装着するために前記扉(2)に回転可能に固定されるようにして装着可能である嵌合スリーブ(4)と、
前記ドアフレームに収納されるようにして装着可能であり又は前記ドアフレームの一部を形成するソケット(5)と、を備え、
前記支軸(3)には、1以上の磁性要素(22)が設けられ、前記ソケット(5)には、1以上の磁性要素(77)が設けられ、前記支軸(3)及び前記ソケット(5)の前記磁性要素(22,77)を用いて前記支軸(3)の前記第2端(24)が前記ソケット(5)に引き込まれ、
該ピボットヒンジ(1)が、前記嵌合スリーブ(4)を装着するために前記扉に収納される装着体(6)を更に備え、前記嵌合スリーブ(4)は、高さ方向(Z)に交差する第1方向(X)に位置調整可能に、且つ第1方向(X)にも高さ方向(Z)にも交差する第2方向(Y)に位置調整可能に前記装着体(6)に装着される、
ピボットヒンジ(1)。
【請求項2】
前記装着体(6)に位置調整可能に取り付けられた支軸保持部(9)を更に備え、
前記嵌合スリーブ(4)が、前記装着体(6)に前記第1方向(X)及び前記第2方向(Y)に位置調整可能に取り付けられるように、前記支軸保持部(9)に位置調整可能に取り付けられる、
請求項1に記載のピボットヒンジ(1)。
【請求項3】
前記支軸保持部(9)が、前記第1方向(X)に位置調整可能に前記装着体(6)に取り付けられ、
前記嵌合スリーブ(4)が、前記第2方向(Y)に位置調整可能に前記支軸保持部(9)に取り付けられる、
請求項2に記載のピボットヒンジ(1)。
【請求項4】
該ピボットヒンジ(1)には、複数の駆動頭部(84,85)を備える駆動手段(15,11,4,10)が設けられ、前記複数の駆動頭部(84,85)には、前記装着体(6)における前記嵌合スリーブ(4)の位置調整のため前記駆動頭部との係合のため手工具が設けられている、
請求項1から3のいずれか1項に記載のピボットヒンジ(1)。
【請求項5】
前記装着体(6)が、上面(81)を備え、前記駆動手段(15,11,4,10)が、前記第1方向(X)に前記感動スリーブ(4)を変位させるように構成された第1の駆動手段(15,11)を備え、
前記第1駆動頭部(84)は、前記手工具がこれと係合可能なように、少なくとも部分的に前記上面を超えて突出しており、前記駆動頭部(84)が、前記第1駆動手段(15,11)の上面(82)も形成する上面(82)を備え、前記装着体(6)の前記上面よりも上方の同じ高さで位置付けられた状態に常時維持される、
請求項4に記載のピボットヒンジ(1)
【請求項6】
前記駆動手段(15,11,4,10)が、前記第2方向(7)に前記嵌合スリーブ(4)を変位させるように構成され、前記複数の駆動頭部のうち、少なくとも1つの第2駆動頭部(85)を備える第2駆動手段(4,10)を備え、
前記第2駆動頭部(85)は、前記手工具がこれと係合可能なように、少なくとも部分的に前記上面(81)を超えて突出しており、前記駆動頭部(85)が、前記第2駆動手段(15,11)の上面(83)も形成する上面(83)を備え、前記装着体(6)の前記上面(81)よりも上方の同じ高さで位置付けられた状態に常時維持される、
請求項5に記載のピボットヒンジ(1)。
【請求項7】
前記装着体(6)の頂部に、前記上面(81)に対して凹設された1以上の窪み(44)が設けられ、前記駆動頭部(84,85)は、前記1以上の窪み(44)に平行に配置されている、
請求項5又は6に記載のピボットヒンジ。
【請求項8】
前記駆動手段(15,11,4,10)は、前記嵌合スリーブ(4)の前記装着体(6)における位置調整のため、対応するスロット(51,48)に変位可能な装着手段(15,11,4,10)を備える、
請求項4から7のいずれか1項に記載のピボットヒンジ。
【請求項9】
前記駆動手段(15,11,4,10)は、ボルト(15,4)及びナット(11,10)として構成され、前記ナット(11)及び/又は前記ボルト(4)は、ガイドブロックとして構成され、前記ガイドブロックは、前記装着体(6)に対して前記嵌合スリーブ(4)の変位を案内するために、対応する嵌合空間(31,45)内で案内動作を行うようにして嵌合されている、
請求項8に記載のピボットヒンジ。
【請求項10】
前記装着体(6)及び/又は前記支軸保持部(9)の1以上の表面(52)は、前記揺動保持部(9)が前記装着体(6)に装着されているときに、前記装着手段(15,11)の作用で、互いに係止され、前記装着体(6)及び/又は前記支軸保持部(9)の1以上の表面(52)には、解放構造が設けられている、
請求項2又は3、及び8に記載のピボットヒンジ。
【請求項11】
前記駆動手段(15,10)は、内ねじ(59)が設けられた調整スリーブ(10)を備え、前記調整スリーブ(10)は、前記駆動頭部(85)及び前記ナット(9)として機能し、
前記嵌合スリーブ(4)には、対応する外ねじ(28)が設けられ、前記嵌合スリーブ(4)は、前記ボルト(4)及び前記ガイドブロック(4)として機能し、前記嵌合空間(45)に嵌合され、
前記支軸保持部(9)には、前記嵌合スロット(48)が設けられ、前記嵌合スリーブ(4)は、互いに係合する前記内ねじ(59)及び前記外ねじ(28)によって前記嵌合スロット(48)を通過して前記調整スリーブ(10)に装着され、前記嵌合スリーブ(4)及び前記調整スリーブ(10)は、前記支軸保持部(9)内の前記嵌合スロット(48)に対して位置調整可能である、
請求項3及び請求項9又は10に記載のピボットヒンジ(1)。
【請求項12】
前記支軸保持部(9)における前記嵌合空間(45)には、内部カラー(47)が設けられ、前記嵌合スリーブ(4)が前記調整スリーブ(10)の作用で前記支軸保持部(9)に装着されているときに前記嵌合スリーブ(4)は前記嵌合スリーブ(4)と係合する、
請求項11に記載のピボットヒンジ(1)。
【請求項13】
前記装着体(6)は、前記扉の第1側に配置された第1長辺と、前記扉の第2側に配置された第2長辺とを備え、前記駆動手段(15,10)は、2つの長辺間の中心に配置されている、
請求項4から12のいずれか1項に記載のピボットヒンジ(1)。
【請求項14】
前記支軸(3)には、前記磁性要素(22)として永久磁石(22)が設けられ、前記ソケット(5)には、前記磁性要素(77)として永久磁石(77)が設けられている、
請求項1から13のいずれか1項に記載のピボットヒンジ(1)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ドアフレームに扉をヒンジ動作可能に装着するための収納型ピボットヒンジ(recessed pivot hinge)に関し、ピボットヒンジは、
第1端及び第2端を有する支軸と、
前記支軸の少なくとも第1端が高さ調整可能に嵌合され、支軸を扉に装着するために扉に回転可能に固定されるようにして装着可能な嵌合スリーブと、
ドアフレームに収納されるようにして装着可能であり又はドアフレームの一部を形成するソケットと、
を備える。
【背景技術】
【0002】
ピボットヒンジは、一つの観点では、扉又はドアフレームのいずれかに収容される嵌合スリーブ内の支軸を備えたヒンジであり、別の観点では、ドアフレーム又は扉のいずれかに別々に収容されるソケット(ブッシング)を備えたヒンジである。支軸は、ソケットに回転可能に収容され得る。扉は、ドアの上方のピボットヒンジ及びドアの下方のピボットヒンジの作用でドアフレームにヒンジ動作可能に装着され得る。
【0003】
本発明に係るピボットヒンジは、ドアの上方に配置される。この場合、ピボットヒンジの嵌合スリーブは、扉に収容され、ピボットヒンジのソケットは、ドアフレームに設けられる。原則的には、別個の要素をソケットとして設ける必要はなく、穴がドアフレームに穿孔されていれば十分である。
【0004】
ドアは、扉、ドアフレーム(ドア開口の境界)、及びドア開口の組み合わせを意味するものとして理解される。本発明に係るヒンジが組み込まれたドアは、スイングドア(swing door)又は揺動ドア(pivot door)とも称される。これらは、従来型のドアであってもよいが、折り畳み式ブラインドや屏風であってもよい。ドアフレームは、ドア開口の境界全体を意味するものとして理解される。したがって、床は、ドア開口を画定するドアフレームの一部を形成し得る。ルームハイドア(room-high door)(天井に接するドア)の場合、天井は、ドア開口を画定するドアフレームの一部を形成し得る。
【0005】
既存のピボットヒンジにおいては、支軸が、扉又はドアフレームに固定的に装着されているものが多い。しかし、ドアフレームの扉の装着、換言すれば支軸のソケットへの嵌合は、この種のピボットヒンジの場合に、非常に煩雑である。
【0006】
この問題を解決するため、様々なピボットヒンジが存在する。本発明が関連するピボットヒンジの場合のように、嵌合スリーブが、扉又はドアフレームに装着され、支軸が、嵌合スリーブに対して高さに関して変位可能である。扉が、このようなピボットヒンジの作用でドアフレームに取り付けられると、支軸の第1端が嵌合スリーブ内へと延在し、第2端がソケット内へと延在する。このような収納型ピボットヒンジの公知具体例が、例えばBE 1020498 A5に記述及び図示されている。
【0007】
JP 2002-21411 A及びKR 20-2018-0000324 Uは、収納型ではないピボットヒンジを開示している。取付工が、支軸が駆動又は保持されない状態で、両手を用いて、支軸及びソケット内の磁性要素に補助されつつ扉を操作する。扉がドアフレームにいまだ取り付けられていない場合には、重力が働く状況下で、支軸の第1端が嵌合スリーブ内に収まる。このとき、第2端は、嵌合スリーブ内に位置付けられ、又は嵌合スリーブに対して僅かに突出する。扉がドアフレームに取り付けられると、支軸はソケットの下にあり、支軸は、ソケットに嵌合されるべく、磁性要素間の磁力の影響で自動的にソケット内へと引き込まれる。支軸の第1端は、依然嵌合スリーブ内に位置付けられるが、以前ほどではない。支軸の第2端は、ソケットに引き込まれる。このようにして扉がドアフレームに装着される。
【0008】
既存のピボットヒンジの1つの問題は、ピボットヒンジが非常に正確に位置決めされる必要があることである。しかし、時間が経つにつれ、スイングドアが引っ張られたり突き押されたりし始める結果、膨張及び/又は収縮及び/又は摩耗の影響で、家屋の部材同士が相対移動することがある。JP 2002-21411 A及びKR 20-2018-0000324 Uの解決策を収納型ピボットヒンジの態様に適用しても、この問題を解決できない
【0009】
EP 2208843 A2は、調整可能なヒンジに関し、収納型からの脱却を提案している。
【発明の概要】
【0010】
本発明は、収納型ピボットヒンジの形態における上記の問題を大きな負担なしに簡単な方法で解決可能にする解決策を提供することを目的としている。
【0011】
本発明の当該目的は、扉をドアフレームにヒンジ動作可能に装着するための収納型ピボットヒンジであって、
- 第1端及び第2端を有する支軸と、
- 支軸の少なくとも第1端が高さ調整可能なように嵌合され、支軸を扉に装着すべく扉に回転可能に固定されるようにして装着可能な嵌合スリーブと、
- ドアフレームに収納されるようにして装着可能であり又はドアフレームの一部を形成するソケットと、
- 扉内に収納され、嵌合スリーブを扉に装着するための装着体と、
を備え、
ピボット及びソケットの磁性要素を使用して支軸の第2端をソケット内に引き込むべく、支軸には1以上の磁性要素が設けられ、ソケットには1以上の磁性要素が設けられ、
嵌合スリーブは、高さ方向に交差する第1方向に位置調整可能に装着体に装着され、且つ第1方向にも高さ方向にも交差する第2方向に位置調整可能に装着体に装着される、
ピボットヒンジを提供することによって達成される。
【0012】
嵌合スリーブが、装着体に対して第1方向及び第2方向に位置調整可能であるから、嵌合スリーブを位置決めしている間に要求される精度が低下し、それにより作業時間が短縮される。位置がより正確に調整可能であることを受け、支軸をより迅速にソケットに挿入することができる。
【0013】
嵌合スリーブは、装着体に対して第1方向及び第2方向に位置調整可能であるから、膨張及び/又は収縮及び/又は摩耗の結果として生ずる家屋の部材同士の相対移動に起因するクリアランスを詰めることもできる。ドアが引っ張られたり突き押されたりするのを防止すべく支軸がソケットに対して再び良好に位置決めされるように、装着体に対する嵌合スリーブの位置は再調整されてもよい。
【0014】
この目的で、嵌合スリーブは、別個の直線運動により、第1方向に位置調整可能であり且つ第2方向に位置調整可能なように、装着体に装着されてもよい。しかし、第1方向及び第2方向への再調整は、必ずしも個々の方向について別個の直線運動によってもたらされる必要はなく、両方向において従属部品(subcomponent)を備える全方向の運動によってもたらされてもよい。したがって、嵌合スリーブは、例えば揺動又は回転運動によって調整可能なように、装着体に装着されてもよい。別の変形例において、嵌合スリーブが、互いに交差しないが第1方向及び第2方向とは異なる第3方向及び第4方向において、別個の運動によって位置調整可能であってもよい。
【0015】
詳細な実施形態において、本発明に係るピボットヒンジは、装着体に位置調整可能に取り付けられた支軸保持部を備える。嵌合スリーブは、第1方向及び第2方向に位置調整可能なように装着体に取り付けられるべく、支軸保持部に位置調整可能に取り付けられる。
【0016】
好ましくは、この形態においては、支軸保持部が、第1方向に位置調整可能に装着体に取り付けられ、嵌合スリーブが、第2方向に位置調整可能に支軸保持部に取り付けられる。
【0017】
更に好ましくは、この形態においては、支軸保持部が、第1方向に直線的に変位可能に装着体に取り付けられ、嵌合スリーブが、第2方向に直線的に変位可能に支軸保持部に取り付けられる。これら2つの方向における直線変位の作用で、生じ得るクリアランスを詰めるため、より直感的な方法で、ピボットヒンジの部品同士が相対移動可能になる。
【0018】
本発明に係るピボットヒンジには、更に好ましくは、駆動手段(アクチュエータ)が設けられる。駆動手段は、嵌合スリーブの装着体に対する位置調整のために手工具が駆動手段と係合できるようにするため、設けられている。この目的で、駆動手段には、当該手工具が係合できるようにするため、駆動頭部が設けられている。駆動頭部は、好ましくは扉の頂部を介し、好ましくは扉の両側から、アクセス可能である。この場合、扉がドアフレームに装着されるときに、扉とドアフレームとの間に、好適には4mmから8mmのクリアランスが存在する。
【0019】
このような駆動手段は、好ましくは、第1方向に嵌合スリーブを変位させるように構成され、上記の駆動頭部のうち少なくとも1つの駆動頭部を備えた第1駆動手段を備える。ここで、この第1駆動頭部は、好ましくは、手工具が単純な方法で係合できるように、装着体の上面を超えて少なくとも部分的に突出している。より好ましくは、駆動手段は、第1駆動頭部の上面が第1駆動手段の上面を形成し且つ装着体の上面よりも上方における同じ高さに位置する状態を常時維持するようにして、設けられている。
【0020】
更に、駆動手段は、好ましくは、第2方向に嵌合スリーブを変位させるように構成され、上記の駆動頭部のうち少なくとも1つの第2駆動頭部を備えた第2駆動手段を備える。ここで、第2駆動頭部は、好ましくは、手工具が単純な方法で係合できるように、装着体の上面を少なくとも部分的に超えて突出している。より好ましくは、駆動手段は、第2駆動頭部の上面が第2駆動手段の上面を形成し且つ装着体の上面よりも上方における同じ高さに位置する状態を常時維持するようにして、設けられている。
【0021】
駆動頭部の各上面が、装着体の上面よりも上方における同じ高さに位置する状態を常時維持するため、このようなピボットヒンジによってドアフレームに装着された扉と、ドアフレームとの間のクリアランスを小さくできる。この形態においては、残余の駆動手段が、装着体内で変位可能に設けられていてもよく、その場合、上面が同じ高さを保つ限りにおいて、これら残余の駆動手段は高さ方向に変位してもよい。
【0022】
上記駆動手段を有する本発明に係るピボットヒンジの形態において、装着体は、好ましくは、装着体の上面に対して凹設された1以上の窪み(depressions)を備える。駆動手段は、好ましくは、これら1以上の窪みに平行に配置される。
【0023】
これら駆動手段の一部は、好ましくは、手工具が単純な方法で係合できるように、1以上の窪みの外側に延在する。駆動手段の一部を1以上の窪みに収容することによって、このようなピボットヒンジによってドアフレームに装着された扉と、ドアフレームとの間のクリアランスを更に小さくできる。この形態において、装着体は、好ましくは、収納型ピボットヒンジを製造するため扉に完全に収納されるように嵌合されてもよく、それにより更にクリアランスが小さくなる。
【0024】
より詳しくは、駆動手段は、装着手段(装着体)を備えてもよく、装着手段は、装着体内の嵌合スリーブの変位を調整可能にするため、対応するスロット内で変位可能であってもよい。
【0025】
上記の支軸保持部を備える実施形態において、支軸保持部にはスロットが設けられている。第1駆動手段には、装着体内の支軸保持部の変位を調整可能にするため、支軸保持部内のスロット内で変位可能な第1装着手段が設けられている。支軸保持部には、更に嵌合スロットが設けられており、第2駆動手段には、支軸保持部内の嵌合スリーブの変位を調整可能にするため、嵌合スロット内で変位可能な第2装着手段が設けられている。
【0026】
支軸保持部内のスロットに対してこのような装着要素を変位させることにより、単純な方法で装着体に対して異なる位置に支軸保持部を位置決めできる。単純な方法で装着体に対して異なる位置に嵌合スリーブを位置決めするため、単純な方法で支軸保持部に対して異なる位置に嵌合スリーブを位置決めできる。
【0027】
装着要素は、例えば、ボルト及びナットによって実現されてもよい。ナット及び/ボルトは、例えばガイドブロックの形態で製造されてもよい。ガイドブロックは、嵌合スリーブの装着体に対する変位運動を案内するため、対応する嵌合空間に案内動作を行うようにして嵌合される。
【0028】
例えば装着体及び支軸保持部のような、ピボットヒンジの構成部品の1以上の表面は、装着体内の嵌合スリーブの位置が調整されているときに装着要素の補助を受けて互いに係止され、このような表面には、好ましくは、解放構造が設けられる。それにより、装着体内の嵌合スリーブの位置が調整された後に、これら部品が不所望に相対移動することを防止できる。
【0029】
このような解放構造は、例えば、このような表面の溝の形態で設けられてもよい。
【0030】
ガイドブロックが設けられる場合には、嵌合スリーブが調整されているときにガイドブロックの表面は、例えば支軸保持部のようなピボットヒンジの他の構成部品に係止され、ガイドブロックの表面には、好ましくは、解放構造が設けられる。
【0031】
支軸保持部にスロットが設けられる代わりに、逆に、例えば、装着体にスロットが設けられてもよい。装着体に支軸保持部を装着するための装着手段は、装着体内の支軸保持部の変位を調整可能にするための駆動手段として変位可能に嵌合される。
【0032】
代わりに、支軸保持部が、例えば、装着体内に偏心して変位可能に装着される偏心片(eccentric piece)として設けられてもよい。
【0033】
第2駆動手段は、更に好ましくは、内ねじが設けられて駆動頭部及びナットとして機能する調整スリーブを備える。この場合、嵌合スリーブには、好ましくは、対応する外ねじが設けられ、嵌合スリーブは、ボルト及びガイドブロックとして機能する。ここで、支軸保持部には、好ましくは、嵌合スロットが設けられる。嵌合スリーブは、互いに係合する内ねじ及び外ねじにより、嵌合スロットを通過して調整スリーブに装着される。嵌合スリーブ及び調整スリーブは、支軸保持部内の嵌合スロットに対して位置調整可能である。
【0034】
この形態では、嵌合スリーブ及び調整スリーブは、好ましくは、嵌合スロットの両端にわたって係合する。
【0035】
更に、この形態において、支軸保持部は、好ましくは、嵌合空間に設けられている。嵌合スリーブは、嵌合スロットに対し且つ支軸保持部に対する嵌合スリーブ及び調整スリーブの変位運動を案内するため、ガイドブロックとして、案内動作を行うようにして、嵌合空間に嵌合されている。
【0036】
ここで、嵌合空間には、例えば、上記の端を形成する内側カラーが設けられていてもよく、嵌合スリーブは、嵌合スリーブが調整スリーブの補助を受けて支軸保持部内に装着されているときに、当該端と係合する。
【0037】
支軸保持部、嵌合スリーブ、及び調整スリーブの1以上の表面は、嵌合スリーブが調整スリーブの補助を受けて支軸保持部に装着されているときに相互に係止される。このようの表面には、好ましくは、嵌合スリーブおよび調整スリーブの支軸保持部に対する不所望な変位を防止するため、解除構造が設けられる。
【0038】
扉の両側から単純な方法でピボットヒンジを調整可能にするため、駆動頭部は、好ましくは、本発明に係るピボットヒンジの装着体の2つの長辺間の中心に配置される。第1長辺は、扉の第1側に配置され、第2長辺は、扉の第2側に配置される。
【0039】
本発明に係るピボットヒンジの支軸には、好ましくは、磁性要素としての永久磁石が設けられており、ソケットには、好ましくは、磁性要素としての永久磁石が設けられている。
【0040】
好ましくは、この場合に、支軸とソケットとの組立を単純化するため、支軸には単一の永久磁石が設けられ、ソケットには単一の永久磁石が設けられている。この組立の間、支軸の部品同士又はソケットの部品同士の間で、磁力の打ち消しは生じない。
【0041】
支軸及びソケットの両方に永久磁石を設ける代わりに、例えば、2つのうち一方に永久磁石を設け、2つのうち他方に強磁性体で作られた要素を設けてもよい。この場合、2つのうち当該他方(ソケット又は支軸)は、全体としてこのような強磁性体で製作されてもよい。
【0042】
本発明に係るピボットヒンジは、更に好ましくは、支軸の第2端がソケットに引き込まれたときに、支軸を嵌合スリーブに対して固定するための固定手段(固定具)を備える。
【0043】
支軸及びソケットの磁性要素の磁気結合は、支軸の第2端をソケット内へと移動させるために十分である。このような固定手段の補助を受け、たとえ磁気結合が切断される状況が発生したとしても、支軸はこの位置に強く保持されることを保証される。このようにして、支軸が不所望に緩むことを防ぐことができる。
【0044】
本発明に係るピボットヒンジの幾つかの好ましい実施形態に関する以下の詳細な説明により、本発明をより詳細に説明する。この説明の唯一の目的は、例示的な例を与え、これらのピボットヒンジの更なる利点及び特徴を示すことであり。したがって、本発明の適用の範囲又は特許請求の範囲において定義される特許権の範囲を制限するものとして解釈してはならない。
【0045】
この詳細な説明において、参照符号が、以下の添付図面を参照するために使用される。
【図面の簡単な説明】
【0046】
図1】本発明に係るピボットヒンジの一部が装着された扉の角部を示す図。
図2図1のピボットヒンジの一部の平面図。
図3図1のピボットヒンジの一部の斜視図。
図4】本発明に係るピボットヒンジのうち図1に示す一部について、図2のAA線に沿った断面全体を示す断面図。
図5図1のピボットヒンジの一部の分解斜視図。
図6図1に示す実施形態から固定要素が変更された、本発明に係るピボットヒンジの変更例を示す斜視図。
図7図6のピボットヒンジの固定要素を分離して示す斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0047】
図示されるピボットヒンジ(1)は、一方でピボット(3)を備え、他方でソケット(5)を備える。ピボットの第1端(23)は、扉(2)に嵌合された嵌合スリーブ(4)に高さ調整可能に嵌合される。ソケットは、ドアフレーム(不図示)に装着可能である。
【0048】
支軸(3)においては、嵌合空間(21)が第2端(24)に設けられており、嵌合空間(21)は、その内部に嵌合された永久磁石(22)を有する。
【0049】
ソケット(5)においては、第2嵌合スリーブ(78)が、第1嵌合空間(75)内の第1側に設けられており、支軸(3)の第2端(24)は、当該第2嵌合スリーブ内に嵌合可能である。ソケット(5)においては、第1側とは反対側にある第2側で、永久磁石(77)が第2嵌合空間(76)に嵌合されている。
【0050】
支軸(3)が、ソケット(5)の嵌合スリーブ(78)の下に位置付けられると、支軸(3)の第2端(24)が、ピボット(3)及びソケット(5)の永久磁石(22,72)の間で働く力の影響で、嵌合スリーブ(78)内へと駆動される。支軸(3)がソケット(5)の嵌合スリーブ(78)に円滑に収容されるようにするため、嵌合スリーブ(78)の内側には、案内斜面(79)が設けられており、支軸(3)の第2端(24)にも、面取り縁部(20)が設けられている。
【0051】
ソケット(5)をドアフレームに装着するため、ソケットには、円筒状のハウジング(73)が設けられている。ハウジング(73)は、ハウジング(73)に対して突出する装着フランジ(74)を備える。ドアフレームには、これに対応する空間が、例えばフライス加工のような公知の方法で設けられており、ソケット(5)は、ドアフレームに収納されるようにして装着される。
【0052】
導入部で単純な変形例として述べたとおり、基本的には、ソケットとして別個の要素を設ける必要はなく、ソケットとして機能するようにドアフレーム穴が穿孔されてもよい。このような実施形態では、この穴の頂部に永久磁石が設けられる。
【0053】
図示される実施形態において、永久磁石(22,77)は、支軸(3)及びソケット(5)の両方に設けられている。代わりに、例えば、これら2つのうち一方に永久磁石を設け、これら2つのうちの他方の少なくとも一部を強磁性材料で製造してもよい。
【0054】
支軸(3)を、冒頭に述べた扉(2)の嵌合スリーブ(4)に嵌合させるため、ピボットヒンジ(1)には、図示される実施形態において装着体(6)が設けられる。
【0055】
装着体(6)が図1に示されるように扉(2)に収納された状態で嵌合されるように、装着体(6)と対応する空間が、扉(2)に設けられる。木製の扉(2)、ブラインド、又は衝立においては、当該空間が、この目的で形成される。公知の方法で類似的に、本発明に係るピボットヒンジ(1)は、ガラス扉に装着するために適用された装着体にも応用でき、この場合においても、同じ目的でガラス扉に切り欠きが類似的に設けられる。
【0056】
図示された実施形態において、装着体(6)は、装着ベース(7)及び装着板(8)を備える。装着ベース(7)及び装着板(8)は、例えば樹脂により、例えば射出成型によって、製造されてもよい。図示される実施形態において、装着ベース(7)には、突出フランジ(36)が設けられており、突出フランジには、クリック嵌合スロット(37)を形成するため、切欠(37,38)が設けられている。フランジ(37)の縁部(80)は、装着板(8)のクリック嵌合脚部(43)がクリック嵌合できるように、弾性的に変位可能である。クリック嵌合脚部(43)及びクリック嵌合スロット(37)の作用で、装着板(8)は、装着体(6)が扉(2)に収容される前に、装着ベース(7)に取り付けられてもよい。一旦装着体(6)が扉(2)に収容された後に、図1及び図5からわかるとおり、装着板(8)のねじ穴(41)と、これに対応して装着ベース(7)のフランジ(36)に形成されたねじ穴(38)とに挿通されるねじ(14)の作用で、固定されてもよい。
【0057】
装着ベース(7)には、更に嵌合空間(31)が設けられ、この嵌合空間には、嵌合スリーブ(4)を装着体(6)に装着するため、ピボットヒンジ(1)の別の部品が収容される。装着板(8)には、嵌合スリーブ(4)が装着体(6)に装着された後に嵌合スリーブが部分的に延在する通過開口(40)が設けられている。
【0058】
図示される実施形態においては、装着ベース(7)の底が、底部(32)によって終端されている。変更例においては、底部(32)は、省略されてもよい。
【0059】
嵌合空間(31)に取り付けられているのは、嵌合空間(31)内で第1方向(X)に位置調整可能な支軸保持部(9)である。嵌合スリーブ(4)は、第2方向(Y)に位置調整可能なようにして支軸保持部(9)に取り付けられている。
【0060】
装着体(6)の装着ベース(7)の嵌合空間(31)内に支軸保持部(9)を第1方向(X)に位置調整可能なように収容するため、支軸保持部(9)にはフランジ(50)が設けられている。スロット(51)がフランジに設けられ、主として第1方向(X)に延在している。ボルト(15)が、これに対応して装着板(8)に形成された穴(42)に挿通され、支軸保持部(9)のスロット(51)を貫通し、これに対応してガイドブロック(11)に形成されたねじ穴(60)に螺合する。ねじ穴は、この場合においてナットとしての役割を果たす。
【0061】
ボルト(15)を回すため、手工具が、ボルト駆動頭部(84)と係合するために使用されてもよい。ボルト(15)を緩めるときには、その上面(82)は、装着体(6)の上面(81)に対して同じ高さに常時保持される。ボルト(15)が第1方向(X)においてスロット(51)内で変位可能である結果として、ガイドブロック(11)は下方に移動する。ボルト(15)を締めるときには、ガイドブロック(11)は再び上方に引き上げられ、支軸保持部(9)のフランジ(50)が、ガイドブロック(11)と装着板(8)との間で係止される。これらの部品がその後に不所望にも相対移動するのを防ぐため、ガイドブロック(11)の上面(61)には溝が設けられ、支軸保持部(9)の上面には溝が設けられている。
【0062】
ガイドブロック(11)は、支軸保持部(9)の外側ガイド面(53)と、装着ベース(7)の嵌合空間(31)の短側面(35)との間で案内動作を行うようにして嵌合される。この目的で、ガイドブロック(11)のガイド面(64,62)はそれぞれ、支軸保持部(9)及び装着体(6)のガイド面(53,35)に当接する。ガイドブロック(11)の第1方向(X)における変位運動は、ガイドブロック(11)の湾曲側面(63)が装着体(6)の嵌合空間(31)の対応する湾曲側面(34)に突き当たることによって制限される。
【0063】
第2方向(Y)に位置調整可能なように嵌合スリーブ(4)を支軸保持部(9)に取り付けるため、支軸保持部(9)には嵌合空間(45)が設けられており、嵌合空間には、通過開口(48)を画定する内側カラー(47)が設けられている。通過開口(48)は、実質的に第2方向(Y)に延在している。嵌合スリーブ(4)には、円筒状のベース体(25)とフランジ(26)とが設けられ、ベース体は、支軸保持部(9)の通過開口(48)を通過して延在するように構成され、フランジは、ベース体(25)に対して突出し、内側カラー(47)の底部と係合するように構成されている。ベース体(25)には、更に外ねじ(28)が設けられており、それにより嵌合スリーブ(4)がボルトとして機能できる。調整スリーブ(10)には、これに対応する内ねじ(59)が設けられており、ボルトに対応するナットとして機能する。調整スリーブ(10)は、外側フランジ(55)が設けられた円筒状のベース体(54)を備える。円筒状のベース体(54)のうち外側フランジ(55)より下の部分は、外側フランジ(55)が支軸保持部(9)の上面(52)の頂部に係合した状態で、支軸保持部(9)の嵌合空間(45)内にその上側を介して係合するように構成されている。調整スリーブ(10)を回せるようにするため、フランジ(55)よりも上方のベース体(54)の部分は、駆動頭部(85)として構成されている。駆動頭部には把持面(57)が設けられており、手工具が係合可能になっている。支軸保持部(9)の嵌合空間(45)の底部に嵌合スリーブ(4)を嵌合させ、嵌合空間(45)の頂部に調整スリーブ(10)を嵌合させ、嵌合スリーブ(4)の外ねじ(28)が調整スリーブ(10)の内ねじと螺合可能となることにより、調整スリーブ(10)を締めれば嵌合スリーブ(4)及び調整スリーブ(10)を嵌合空間(45)内に装着することができる。本件においては、嵌合スリーブ(4)のフランジ(26)には、支軸保持部(9)の嵌合空間(45)の側面(46)と係合するロック面(27)が設けられているので、嵌合空間(45)に対する嵌合スリーブ(4)の回転が規制される。このようにして、嵌合スリーブ(4)には、回転可能に固定されるようにして支軸保持部(9)に設けられる。調整スリーブ(10)のねじを緩めると、調整スリーブ(10)の上面(83)が装着体(6)の上面(81)よりも上方で同じ高さに保持される一方、嵌合スリーブ(4)は下方に移動する。したがって、嵌合スリーブ(4)及び調整スリーブ(10)は、通過開口(48)内で第2方向(Y)に変位可能である。調整スリーブ(10)を締め回すと、嵌合スリーブ(4)は、支軸保持部(9)の内側カラー(47)に係止されるまで上方に引き上げられる。締め回しの後に嵌合スリーブ(4)及び調整スリーブ(10)が不所望に移動するのを防ぐため、支軸保持部(9)の内側カラー(47)の底部には波状面(49)が設けられ、調整フランジ(10)の外フランジ(55)の底部には波状面(56)が設けられている。
【0064】
支軸保持部(9)の第1方向(X)の変位運動と、嵌合スリーブ(4)の第2方向(Y)の変位運動との両方を案内するため、ピボットヒンジ(1)には、図示される実施形態においてガイド板(12)が追加的に設けられている。ガイド板(12)には、実質的に第1方向(X)に延在して調整スリーブ(10)が挿通される通過開口(65)が設けられている。支軸保持部(9)が装着体(6)で変位すると、支軸保持部(9)が、その変位運動において調整スリーブ(10)を引きずり、調整スリーブ(10)が、通過開口(65)において案内されるようにして変位し、その後は第1方向(X)の変位運動を案内する。この変位運動を完全に実施できるようにするため、段差縁(66)が、調整スリーブ(10)のフランジ(55)のための切欠(68)とともに、通過開口(65)の端部に設けられている。
【0065】
ガイド板(12)は、支軸保持部(9)の上面(52)の頂部で且つ装着板(8)の下で、案内動作を行うようにして嵌合されており、ガイド板(12)は、調整スリーブ(10)及び嵌合スリーブ(4)と共に第2方向(Y)に変位可能であり、第2方向(Y)の変位運動を案内する。その過程でボルト(15)によって阻害されることのないように、切欠(67)がガイド板(12)の対応する縁部に設けられている。
【0066】
扉(2)とドアフレームとの間のクリアランスを最小化できるようにするため、装着板(8)には、装着板(8)の上面(81)に対して凹設された窪み(44)が設けられている。ボルト(15)と調整スリーブ(10)との両方が、手工具と係合可能であり、この窪み(44)内に配置され且つ窪み(44)の外に部分的に延在している。このようにして、ボルト(15)及び調整スリーブ(10)は容易にアクセス可能であり、手工具の使用に際して扉(2)とドアフレームとの間に必要とされる比較的大きなクリアランスをなくしても、手工具をボルト(15)又は調整スリーブ(10)と係合させることができる。
【0067】
嵌合スリーブ(4)を装着体(6)に位置調整可能に取り付けるため、概略的に既に説明したとおり、多くの変更が可能である。
【0068】
図示されるようにピボットヒンジ(1)で補助して扉(2)をドアフレームに取り付けることが望まれる場合に、支軸(3)のフランジ(26)は、重力の影響で装着ベース(7)の底部(32)にまず載置される。次に、例えば、扉(2)がドアフレーム内へと操作されているときにソケット(5)の磁石(77)の引力の影響で支軸(3)が調整スリーブ(10)外へ移動されないように、支軸(3)の上方に用紙を配置してもよい。扉(2)は、当初から所望された位置にほとんど位置付けられてもよく、この所望された位置付近で用紙が取り除かれてもよい。次に、支軸(3)及びソケット(5)の永久磁石(22,77)間の引力の影響で、支軸(3)の第2端(24)が嵌合スリーブ(78)へと移動される。この場合において、支軸(23)の第1端(23)が拡大円筒部(17)を備え、そのカラー部(18)が支軸(3)の円筒状のベース体(16)と接するため、支軸(3)の高さ方向の変位は制限される。嵌合スリーブ(4)には、挿入空間(29)内で内側カラー(30)が設けられており、支軸(3)が高さにおいて挿入空間(29)内で変位可能である。支軸(3)の第2端(24)が嵌合スリーブ(4)の外に移動されるときに、内側カラー(30)と支軸(3)のカラー(18)が係合する。支軸(3)が一旦この位置へと移動されると、支軸(3)は固定要素(13)の作用で嵌合スリーブ(4)に対して固定されてもよい。この目的で、支軸(3)にはスロット(16)が設けられてもよく、スロットには、固定要素(13)が図示された実施形態において係合できる。この目的で、固定要素(13)は、スロット(19)に係合するため円形の係合縁(69)を備える。円形の係合縁(69)には、アクセス開口(70)が設けられており、支軸(3)はこの目的でアクセス開口を通過して嵌合される。このような固定要素は、例えば、BE 1020498 A5に記述及び図示される固定要素のように、変更可能である。
【0069】
図示されるピボットヒンジ(1)を使用してドアフレームにつるされる扉(2)を取り外すために、固定要素(13)がまず再び取り外されてもよい。この目的で、固定要素(13)には、係合縁(71)が設けられてもよく、係合縁には、固定要素(13)の取外しのため手工具と係合縁との係合のため手工具を通過させて係合縁と係合させる開口(72)が設けられる。図示される第2実施形態において、係合縁(71)は、使用しやすくするため、図示される第1実施形態の係合縁(71)よりも長く設計されており、ハンドルの形態となっている(図6及び図7を参照)。固定要素(13)が取り外されると、手工具が、調整スリーブ(10)との係合のため使用され、嵌合スリーブ(4)を下方に移動させるために調整スリーブが手工具で回される。これにより、支軸(3)が、支軸(3)及びソケット(5)の磁石(22,77)の磁力に逆らって下方に移動し、支軸(3)の第2端がソケット(5)から取り外される。このようにして扉(2)がドアフレームから取り外される。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
【国際調査報告】