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特表2023-545961マイクロフォンユニット、マイクロフォンメタアレイ、及びマイクロフォンメタアレイを伴うネットワーク
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-11-01
(54)【発明の名称】マイクロフォンユニット、マイクロフォンメタアレイ、及びマイクロフォンメタアレイを伴うネットワーク
(51)【国際特許分類】
   H04R 3/00 20060101AFI20231025BHJP
   H04R 1/40 20060101ALI20231025BHJP
【FI】
H04R3/00 320
H04R1/40 320A
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023519808
(86)(22)【出願日】2021-10-04
(85)【翻訳文提出日】2023-05-09
(86)【国際出願番号】 EP2021077233
(87)【国際公開番号】W WO2022078791
(87)【国際公開日】2022-04-21
(31)【優先権主張番号】102020000024052
(32)【優先日】2020-10-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IT
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】517164914
【氏名又は名称】アスク インダストリーズ ソシエイタ´ パー アゾーニ
【氏名又は名称原語表記】ASK INDUSTRIES SOCIETA‘ PER AZIONI
(74)【代理人】
【識別番号】100091683
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼川 俊雄
(74)【代理人】
【識別番号】100179316
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 寛奈
(72)【発明者】
【氏名】カッターニ,ルカ
(72)【発明者】
【氏名】ファリーナ,アンジェロ
(72)【発明者】
【氏名】ピナルディ,ダニエル
(72)【発明者】
【氏名】ニリ,ティツィアーノ
(72)【発明者】
【氏名】トスカーニ,アンドレア
【テーマコード(参考)】
5D018
5D220
【Fターム(参考)】
5D018BB22
5D220BA06
5D220BC05
(57)【要約】
マイクロフォンユニット(1)は、1つのみのPCB(2)と、PCB(2)の裏側に取付けられたデジタル出力部を伴う、音響電気タイプの複数の変換器(3)と、各変換器(3)に対応してPCB(2)に設けられた貫通穴(20)と、PCBの裏側(2a)に取付けられ、かつ変換器(3)に電気接続された、A2B音響インターフェース(4)と、PCBの裏側(2a)に取付けられ、かつA2B音響インターフェース(4)に電気接続された、入力/出力電気コネクタ(5、105)と、を備える。複数の変換器(3)は、中央の変換器(30)と、中央の変換器(30)から同じ径方向距離(r)で配設され、かつ同じ角度で離された、少なくとも3つの周縁の変換器(31)と、を備える。マイクロフォンメタアレイ(100)は、1つまたは複数のA2bネットワークによって接続された、複数のマイクロフォンユニット(1)を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
マイクロフォンユニット(1)であって、
音源に向けて方向付けるために好適な表側(2b)、及び裏側(2a)を伴う、1つのみのPCB(2)と、
前記PCBの前記裏側(2a)に取付けられ、各々はデジタル出力部を用いた音響電気タイプで、音信号をデジタルタイプの電気信号に変換するために好適な、複数の変換器(3)と、
前記音源から発せられた音波が前記PCB(2)を通過して前記変換器(3)にぶつかるよう、各変換器(3)に対応して前記PCB(2)に設けられた、貫通穴(20)と、
前記PCBの前記裏側(2a)に取付けられ、かつ前記変換器(3)に電気接続された、A2B音響インターフェース(4)であって、デジタル信号を前記変換器(3)から受け取るために好適なトランシーバであり、前記デジタル信号を、A2B音響バスに送るために好適なA2Bフォーマットに変換する、A2B音響インターフェース(4)と、
前記PCBの前記裏側(2a)に取付けられ、かつ前記A2B音響インターフェース(4)に電気接続された、入力電気コネクタ(5)及び出力電気コネクタ(105)であって、単一のツイストペアを使用するそれぞれのA2B音響バス(6)に接続するために好適で、そのため前記マイクロフォンユニット(1)を、1つまたは2つの隣接したマイクロフォンユニット(1)にデイジーチェーン構成で接続することができ、ホストプロセッサ(8)を有するA2Bネットワーク(300)に接続されるために好適なメタアレイ(100)を形成し、前記ホストプロセッサ(8)は、前記メタアレイ(100)の前記マイクロフォンユニット(1)における全ての前記変換器(3)からの信号のビーム形成を実施するよう構成される、入力電気コネクタ(5)及び出力電気コネクタ(105)と、
を備え、
単一のマイクロフォンユニットにおける複数の前記変換器(3)は、中央の変換器(30)、及び前記中央の変換器(30)から同じ径方向距離(r)で、かつ等角度で離されて配設された、少なくとも3つの周縁の変換器(31)、を備える、マイクロフォンユニット(1)。
【請求項2】
前記変換器(3)は、前記PCB(2)のトラック(21)によって、前記A2B音響インターフェース(4)に電気接続され、前記入力及び出力電気コネクタ(5、105)は、前記PCB(2)のトラック(22、122)によって、前記A2B音響インターフェース(4)に電気接続される、請求項1に記載のマイクロフォンユニット(1)。
【請求項3】
各変換器(3)は、MEMS(Micro Electro Mechanical Systems(メムス))カプセルで構成される、請求項1または2に記載のマイクロフォンユニット(1)。
【請求項4】
正三角形配置で4つの変換器(3)を備え、前記中央の変換器(30)は、前記正三角形の中心に配設され、前記周縁の変換器(31)は、前記正三角形の3つの頂点に対応して配設される、請求項1~3の内いずれか一項に記載のマイクロフォンユニット(1)。
【請求項5】
前記PCB(2)は、前記変換器(3)の正三角形配置を囲む三角形状を有する、請求項4に記載のマイクロフォンユニット(1)。
【請求項6】
正多角形配置に配設された5つ以上の変換器(3)を備え、前記中央の変換器(30)は、正多角形の中心に配設され、前記周縁の変換器(31)は、正多角形の頂点に対応して配設される、請求項1~3の内いずれか一項に記載のマイクロフォンユニット(1)。
【請求項7】
前記PCB(2)は、前記変換器(3)の正多角形配置を囲む正多角形状を有する、請求項6に記載のマイクロフォンユニット(1)。
【請求項8】
ツイストペアを使用するA2B音響バス(6)によってデイジーチェーン構成でカスケードで電気接続された、請求項1~7の内いずれか一項に記載の複数のマイクロフォンユニット(1)を備えた、マイクロフォンメタアレイ(100)であって、前記メタアレイ(100)の前記マイクロフォンユニット(1)における全ての変換器(3)からの信号の、ビーム形成を実施するよう構成されたホストプロセッサ(8)を有するA2Bネットワーク(300)に、接続されるために好適である、マイクロフォンメタアレイ(100)。
【請求項9】
前記マイクロンユニットの前記PCB(2)は、平坦な二次元形状または三次元形状を有する小型のメタアレイ(200)を得るように、固定手段(9)によって互いに固定された側方縁部を有する、請求項8に記載のマイクロフォンメタアレイ(100)。
【請求項10】
A2Bネットワーク(300)であって、
請求項8または9に記載の、少なくとも1つのマイクロフォンメタアレイ(100)と、
A2Bバス(6)によって前記マイクロフォンメタアレイ(100)の第1のマイクロフォンユニット(1a)に接続され、かつ前記マイクロフォンメタアレイにおける全ての前記マイクロフォンユニット(1)を制御するよう、及び全てのマイクロユニットの前記変換器(3)から来る信号を同期させるよう構成された、少なくとも1つのA2Bマスター(7)と、
前記マイクロフォンメタアレイの前記マイクロフォンユニットに電力を供給するために、前記A2Bマスター(7)に接続された、電気電源(P)と、
前記マスターA2B(7)に接続され、前記メタアレイ(100)の前記マイクロフォンユニット(1)における全ての前記変換器(3)からの信号の、ビーム形成を実施するよう構成された、ホストプロセッサ(8)と、
を備える、A2Bネットワーク(300)。
【請求項11】
請求項10に記載のA2Bネットワークを備えた車両(V)であって、マイクロフォンメタアレイ(100)が車両に搭載配置される、車両(V)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は音響工学に関し、詳細には、少なくとも4つのマイクロフォンカプセルを有するマイクロフォンユニットと、マイクロフォンユニットを接続することで得られるマイクロフォンアレイ(以降「メタアレイ」)と、1つまたは複数のマイクロフォンユニット及び/もしくはメタアレイを備えたネットワークと、に関する。
【背景技術】
【0002】
複数の音響電気変換器を連続して接続することによって得られた、マイクロフォンアレイが公知である。このマイクロフォンアレイは、三次元形状(球形状、円筒形状、四面体形状、もしくは他の形状)、または平坦な形状など、様々な幾何学的形状を有し、かつ様々な物理的構造(硬質もしくは柔軟)を有し得る。
【0003】
米国特許出願公開第2019/0379969号明細書は、平坦なマイクロフォンアレイを開示している。そこで変換器は、円形、径方向、またはランダムな配分で配置されており、マイクロフォンアレイのビーム形成を最適化する課題に取り組んでいない。このアレイの変換器は、I2Sバスを介して接続されたMEMS(Micro Electro Mechanical Systems(メムス))タイプのデジタル変換器から構成される。このようなMEMSデジタル変換器は小型で安価であるが、接続の課題によって機能が損なわれる。実際、デジタルデータの送信中に、I2Sバスの使用による、信号における電磁ノイズの重要な課題に、しばしば直面する。なぜならI2Sバスは、以下の課題を有するからである:
-I2Sインターフェースは、最大で数センチメートル程の非常に短い距離を伴って作動するよう設計される;
-MEMS変換器の電力供給は、I2Sバスから分離した配線によって提供されなければならない;
-特定の数のMEMS変換器を超えて、同じI2Sインターフェースを共有するための能力は限定され(最大2つ)、そのため、大きいマイクロフォンアレイの場合に、不必要に複雑な配線をもたらす。
【0004】
中国実用新案第2010958793号明細書は、PCBを備えたマイクロフォンユニットを開示しており、その上に、A2Bデジタル出力部を有するMEMSカプセルで構成された変換器が、取付けられる。追加として、これらの変換器は、PCB上にランダムに配置される。したがって、このようなマイクロフォンユニットは、変換器からの信号の最適なビーム形成には好適ではない。1つの電気コネクタのみがPCBに取付けられ、電気ケーブルを介してマイクロフォンユニットを外部デバイスに接続する。したがって、1つの電気コネクタのみを有し、このようなマイクロフォンユニットを、別のマイクロフォンユニットに接続して、デイジーチェーン構成でマイクロフォンユニットのメタアレイを作り出すことはできない。
【0005】
中国実用新案第2010518820号明細書は、周縁において1列に、または矩形に配置され、かつA2BバスまたはINICNETで動作する変換器を伴う、マイクロフォンアレイを構成するマイクロフォンユニットを開示している。しかし、このようなマイクロフォンユニットは、マイクロフォンを中央に備えないか、または入力及び出力コネクトをマイクロフォンユニットのPCBに備えない。したがって、このようなマイクロフォンユニットは、最適なビーム形成を実現できず、デイジーチェーン構成において、マイクロフォンユニットのメタアレイを作り出すために使用することはできない。
【0006】
特開昭61―72500号公報は、アナログマイクロフォンの円形配分を開示しており、「円形会議用テーブル」用途のための、中央マイクロフォンを伴う。このような解決策は、変換器アレイではない。なぜなら、変換器の個々の信号が検出され、かつ個々に処理されて、全てで共にビーム形成を実現しないからである。実際、このようなマイクロフォンの配分は、単一の音響出力信号を提供し、それは、マイクロフォン信号のアナログの組み合わせによって実現される。したがって、このような解決策は、いかなるビーム形成も実施できない。この書類は、PCBにおける変換器アレイを備えたマイクロフォンユニットを記載しておらず、むしろ部屋内に配分された複数マイクロフォンシステムを説明している。
【0007】
英国特許出願公開第2545359号明細書は、音響を捕捉かつ出力するためのデバイスを開示しており、それは、特に2~8つのアナログマイクロフォンの円形アレイに、スピーカを加えたものから構成された、独立型システムである。したがって、それは、変換器が取付けられたPCBを備えたマイクロフォンユニットではない。この書類は、インターフェースもしくはA2Bバス、またはデイジーチェーン接続を可能にするPCBの電気コネクタ、には言及していない。この書類は、付随的に、マイクロフォンが中央位置に配置され得ることに言及しているが、ビーム形成の点ではいかなる利点も記載していない。
【0008】
韓国登録特許第101403372号公報は、三角形、正方形、及び正五角形、の多角形構成で配置されたMEMSカプセルのアレイを伴う、マイクロフォンユニットを開示している。このマイクロフォンユニットは、多角形の頂点においてマイクロフォンカプセルを提供し、加えてマイクロフォンカプセルを中央に提供するが、カプセルが中央に存在する技術的正当性、及びいかにしてビーム形成が改善されるか、を提供していない。各マイクロフォンユニットは、単一のコネクタを、マイクロフォンユニットを中央制御ユニットに接続するために提供する。したがって、マイクロフォンユニットは、入力コネクタ及び出力コネクタを提供しない。したがって、このような解決策は、マイクロフォンユニットをデイジーチェーン構成に接続して、メタアレイを形成することを可能にしない。実際、マイクロフォンユニットは、星形構成で中央制御ユニットに接続され、連続して接続されない。このような星形構成のため、配線は冗長で、かさばり、複雑で、高価であり、よりノイズが発生する傾向がある。さらに、この書類はA2Bバスに言及していない。なぜなら、これらのマイクロフォンユニットは、アナログ信号によって外部のデバイスに接続されるからであり、そのためシステムは、本質的にノイズを発生させる傾向にあり、ノイズが拾われるのを制限するために非常に短いケーブルを採用することを要する。
【0009】
独国特許出願公開第102013019194号明細書は、複数のPCBを開示しており、各々は全方向性の、2つのアナログマイクロフォンカプセルのみを有する。全方向性のアナログマイクロフォンカプセルの、各対の組み合わせは、カージオイド指向性である単一のマイクロフォン信号を提供する。PCBは、A2Bバスを介して連続して互いに接続され、かつ車両の内側で離隔される。アナログマイクロフォンの各対は、PCBが位置されたポイントの近くで、音を捕捉する。個々のPCBは、互いには全く相互作用しない。したがって、それらは集中したメタアレイを構成せず、ビーム形成のために共に利用することはできない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】米国特許出願公開第2019/0379969号明細書
【特許文献2】中国実用新案第2010958793号明細書
【特許文献3】中国実用新案第2010518820号明細書
【特許文献4】特開昭61―72500号公報
【特許文献5】英国特許出願公開第2545359号明細書
【特許文献6】韓国登録特許第101403372号公報
【特許文献7】独国特許出願公開第102013019194号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明の目的は、マイクロフォンユニットを提供することによって、従来技術の欠点を排除することであり、このマイクロフォンユニットは、信頼でき、信号のノイズを最小に抑えるのに好適で、単一のマイクロフォンユニットのビーム形成を最適化し、デイジーチェーン構成で他のマイクロフォンユニットに接続されることで、ホストプロセッサを有するネットワークに接続されるのに好適なメタアレイを形成する。このホストプロセッサは、メタアレイのマイクロフォンユニットにおける変換器の信号の、ビーム形成を実施するよう構成される。
【0012】
本発明の別の目的は、多様性があり、マイクロフォンのメタアレイを実現するために構成するのに容易な、マイクロフォンユニットを提供することである。
【0013】
本発明の別の範囲は、多様性があり、自動車産業におけるものなど、様々なタイプの適用において有用な、マイクロフォンユニットまたはマイクロフォンメタアレイを提供することである。マイクロフォンメタアレイは、車両において複数位置(乗員)で役立ち得る。
【0014】
本発明の別の目的は、製造及び設定が簡単で、かつA2Bネットワークに容易に統合された、マイクロフォンユニットまたはマイクロフォンメタアレイを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0015】
これらの目的は、独立請求項1のマイクロフォンユニットと、このマイクロフォンユニットを用いて得られたマイクロフォンメタアレイと、を伴う本発明に従って実現される。
【0016】
本発明の有利な実施形態は、従属請求項から明らかになる。
【0017】
本発明によるマイクロフォンユニットは、請求項1によって定義される。
【0018】
従来技術のマイクロフォンアレイに対して顕著な利点を実現するために、以下の課題が、本発明によるマイクロフォンユニットの設計で解決される:
-堅牢なビーム形成(中央のカプセルの存在)を実現するために、変換器の位置を最適化すること;
-メタアレイの創設を簡略化するために、マイクロフォンユニットの形状を最適化すること;
-マイクロフォンユニット間の、信頼できてノイズのない電気インターフェース(A2Bバス);
-マイクロフォンユニット間の、実用的、簡単、かつ安価な電気接続システム(UTPケーブル)。
【0019】
本発明によるマイクロフォンユニットは、単一のPCB上における変換器の最適な配分によって特徴付けられ、このPCBは、中央の変換器と、この中央の変換器から同じ径方向距離で、かつ互いから等角度で配置された、少なくとも3つの周縁における変換器と、を備える。中央に位置された変換器は、最も重要である。なぜならそれは、非常に堅牢なビーム形成を提供するからである。
【0020】
マイクロフォンユニットの変換器は、A2Bインターフェースに接続される。このように、マイクロフォンユニットを、マイクロフォンアレイを実現するように、簡単な非シールドのツイストペア(UTPケーブル)を使用したA2Bデジタルバスを介して、カスケード(デイジーチェーン構成)で接続することができる。
【0021】
A2Bデジタルバスによって、多くのチャネルを、単一のツイストペアを通して、遅延が非常に少なく、かつ特にノイズに対して堅牢な伝達を伴い、送信することが可能である。
【0022】
有利には、マイクロフォンユニットにおける変換器の配分は、正三角形の形状を有することができる。ここで中央の変換器は、三角形の中心に配置され、周縁の変換器は、三角形の頂点に配置される。同様に、マイクロフォンユニットのPCBは、変換器を囲む正三角形のように形状付けられる。
【0023】
マイクロフォンユニットの、このような三角形状は、外形の制限なく、より大きいマイクロフォンメタアレイを作るのを可能にし、その一方で可能な限り均一な変換器の全体的配分を保つ。このような三角形のマイクロフォンユニットの使用における柔軟性は、マイクロフォンアレイの、無制限の数の外形を可能にし、それは数分間で再構成され、かつ常に同じマイクロフォンユニットを再使用できる。
【0024】
本発明のさらなる特徴は、添付の図に示される、単に例示であり非限定の実施形態を参照した以下の詳細な説明から、より明白となる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】平坦な三角形状の、本発明によるマイクロフォンユニットの裏側を示す図である。
図1A図1のマイクロフォンユニットの、裏側を示す図である。
図2A】本発明によるマイクロフォンユニットの4つの異なる実施形態のうち、正方形の実施形態における前面を示す図である。
図2B】本発明によるマイクロフォンユニットの4つの異なる実施形態のうち、五角形の実施形態における前面を示す図である。
図2C】本発明によるマイクロフォンユニットの4つの異なる実施形態のうち、六角形の実施形態における前面を示す図である。
図2D】本発明によるマイクロフォンユニットの4つの異なる実施形態のうち、円形の実施形態における前面を示す図である。
図3】7つのマイクロフォンユニットを伴うマイクロフォンメタアレイに接続されたA2Bマスターを備えた、A2Bネットワークを示す電気回路図である。
図4】1つまたは複数のメタアレイに編成された合計21のマイクロフォンユニットを伴う、3つのA2Bマスターを備えた、A2Bネットワークを示す電気回路図である。
図5】複数のマイクロフォンユニットを伴うメタアレイが設定され、かつ図3または図4のようなA2Bネットワークに接続された車両を、図式的に示す斜視図である。
図6A図1の三角形のマイクロフォンユニットを3つ用いて実現された、三次元ドーム形状のマイクロフォンメタアレイの斜視図である。
図6B図1の三角形のマイクロフォンユニットを4つ用いて実現された、三次元ドーム形状のマイクロフォンメタアレイの斜視図である。
図6C図1の三角形のマイクロフォンユニットを5つ用いて実現された、三次元ドーム形状のマイクロフォンメタアレイの斜視図である。
図7図1の三角形のマイクロフォンユニットを4つ備えた、四面体のマイクロフォンメタアレイの斜視図である。
図8図1の三角形のマイクロフォンユニットを6つ備えた、平坦なマイクロフォンメタアレイを示す図である。
図9図1の三角形のマイクロフォンユニットを8つ備えた、八面体のマイクロフォンメタアレイの斜視図である。
図10A図1の三角形のマイクロフォンユニットを8つ備えた、円筒形のマイクロフォンメタアレイの例を示す斜視図である。
図10B図1の三角形のマイクロフォンユニットを16備えた、円筒形のマイクロフォンメタアレイの例を示す斜視図である。
図11図1の三角形のマイクロフォンユニットを20備えた、二十面体のマイクロフォンメタアレイの斜視図である。
図12図1の三角形のマイクロフォンユニットを13備えた、平坦なマイクロフォンメタアレイを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
図1及び図1Aを参照すると、全体的に参照番号1で表わされる、本発明による三角形のマイクロフォンユニットが開示される。
【0027】
マイクロフォンユニット(1)は、PCB(2)、及びPCBに取付けられた複数の変換器(3)を備える。
【0028】
PCB(2)は、硬質で平坦なPCBであり、音源に面するのに好適な表側(2b)(図1A)と、変換器(3)が取付けられた裏側(2a)(図1)と、を有する。
【0029】
貫通穴(20)は、音源から発せられた音波がPCB(2)を通過して変換器(3)にぶつかるよう、各変換器(3)に対応してPCB(2)に切り開けられる。
【0030】
各変換器(3)は、音響電気変換器であり、デジタル出力部を有する。すなわち変換器(3)は、音信号をデジタルタイプの電気信号に変換するのに好適である。
【0031】
各変換器(3)は、MEMS(Micro Electro Mechanical Systems(メムス))カプセルから構成され、それは良好なコスト/性能の比率、及び長期の安定性を提供する。MEMSカプセルは、例えばPDM(Pulse Density Modulation(パルス密度変調))タイプの、デジタル出力部を有する。
【0032】
有利には、変換器(3)のデジタル出力部は、PCB(2)のそれぞれのトラック(21)によって、A2B音響インターフェース(4)に接続される。音響インターフェースA2B(B)は、変換器(3)のデジタル信号を受け取るために、及びこのデジタル信号を、A2B音響バスにおいて送るよう好適なフォーマットに変換するために、好適なトランシーバである。このA2B音響バスは、長い接続におけるノイズ耐性、及び接続の信頼性の点で、十分な利点を有する。
【0033】
A2B音響インターフェース(4)は、PCB(2)におけるそれぞれのトラック(22、122)によって、電気入力コネクタ(5)及び電気出力コネクタ(105)に接続される。電気コネクタ(5、105)は、簡単なツイストペア(UTPケーブル)を使用するA2B音響バスを接続するのに好適である。
【0034】
複数の変換器(3)は、中央の変換器(30)と、中央の変換器(30)から同じ径方向距離(r)で、かつ等角度で離されて配置された、少なくとも3つの周縁の変換器(31)と、を備える。このように、周縁の変換器は、同じ距離(L)だけ、2つの最も近い周縁の変換器から離される。
【0035】
図1及び図1Aは、4つの変換器(3)の三角形配置を例示する。中心の変換器(30)は、正三角形の中央に配置され、周縁の変換器(31)は、正三角形の3つの頂点に配置され、それによって3つの周縁の変換器(31)は、120°の角度で等しく離される。すなわち1つの周縁の変換器は、正三角形の側部と等しい、同じ距離(L)だけ、2つの最も近い周縁の変換器から離される。このような場合、PCB(2)は、変換器の三角形配置を可能な限り効果的に囲むために、三角形状を有する。
【0036】
変換器(3)、A2B音響インターフェース(4)、及び電気コネクタ(5、105)は、PCBの裏側(2a)に取付けられる。したがって、音場に面することになるPCBの表側(2b)は、完璧に平坦、円滑で、いかなる障害物もない。これは、多くのマイクロフォンユニットを横並びに配置された、特に大きい平坦なマイクロフォンメタアレイを実現するときに、非常に重要な音響特性である。
【0037】
マイクロフォンユニット(1)は、正多角形配置で配設された、4つよりも多い数の変換器(3)を有し得る。中心の変換器(30)は、正多角形の幾何学的中心に配置され、周縁の変換器(31)は、正多角形の頂点に配置される。
【0038】
図2Aは、5つの変換器(3)の正方形配置を例示し、中央の変換器(30)は、正方形の中心に配置され、周縁の変換器(31)は、4つの頂点に配置され、それによって正方形の4つの周縁の変換器(31)は、90°の角度で角度的に等距離となる。この場合、PCB(2)は正方形状である。
【0039】
図2Bは、6つの変換器(3)の五角形配置を例示し、中央の変換器(30)は、五角形の中心に配置され、周縁の変換器(31)は、五角形の5つの頂点に配置され、それによって5つの周縁の変換器(31)は、72°の角度で角度的に等距離となる。この場合、PCB(2)は五角形状である。
【0040】
図2Cは、7つの変換器(3)の六角形配置を例示し、中央の変換器(30)は、六角形の中心に配置され、周縁の変換器(31)は、六角形の6つの頂点に配置され、それによって6つの周縁の変換器(31)は、60°の角度で角度的に等距離となる。この場合、PCB(2)は六角形状である。
【0041】
同様に、変換器の配置、及びPCBの形状を、6辺よりも多い正多角形によって提供することができる。
【0042】
図2Dは、8つの変換器(3)の七角形配置を例示し、中央の変換器(30)は、七角形の中心に配置され、周縁の変換器(31)は、七角形の7つの頂点で、51.4°の角度で角度的に等距離であり、それによって7つの周縁の変換器(31)は、51.4°の角度で角度的に等距離である。この場合、PCB(2)は円形状である。
【0043】
変換器が正多角形に従って配置されたとき、明らかにPCB(2)は、常に多角形を囲む円形状を有することができる。
【0044】
中央の変換器(30)は、基準マイクロフォンとして使用され、非常に堅牢なビーム形成を提供する。
【0045】
A2B音響インターフェース(4)は、特に堅牢かつ効果的なデジタルフォーマットで、音響信号を得ることが可能であり、それは、長い距離(40mより長い距離)でも、高いノイズ排除能力と、たった50μsまで減少された遅延とを伴って、送信することができる。
【0046】
図3を参照すると、各マイクロフォンユニット(1)を、カスケードで接続された複数のマイクロフォンユニット(1)を備えたマイクロフォンメタアレイ(100)を得るよう、A2Bバス(6)によって別のマイクロフォンユニット(1)に接続することができる。上記を鑑みると、第1のマイクロフォンユニット(1a)及び最後のマイクロフォンユニット(1n)を備えた、オープンのデイジーチェーンが実現される。
【0047】
バスA2B(6)は、ツイストペアで構成され、変換器(3)によって検出されたデジタル信号、及びマイクロフォンユニット(1)の電源、の両方を伝えるのに好適である。
【0048】
特定の数のマイクロフォンユニット、特に各々が4つのチャネルを伴う最大7つのマイクロフォンユニット(1)を、同じバスA2B(6)に接続することができる。第1のマイクロフォンユニット(1a)は、一方の側でA2Bマスター(7)に接続され、他方の側で次のマイクロフォンユニット(1b)に接続される。各中間のマイクロフォンユニット(1b、1c、1d、~1n-1)は、2つのマイクロフォンユニット間、すなわちその前及びその後ろのマイクロフォンユニットに接続され、その一方で最後のマイクロフォンユニット(1n)は、その前のマイクロフォンユニット(1n-1)のみに接続される。
【0049】
2つの隣接したマイクロフォンユニット(1)を接続するA2Bバス(6)は、最大で15メートルの長さを有することができる。A2Bバス(6)は、デジタル音響信号及び電源の両方を伝える。A2Bバス(6)は、マイクロフォンユニットの電気コネクタ(5、105)に挿入された導体で作られた、端子を有する。マイクロフォンユニットの電気コネクタ(5、105)は、安価であり、かつ組立てが簡単である。
【0050】
マイクロフォンメタアレイ(100)は、A2Bネットワーク(200)に一体化させることができる。マイクロフォンメタアレイにおける第1のマイクロフォンユニット(1a)は、マイクロフォンメタアレイの全てのマイクロフォンユニット(1)を管理するA2Bマスター(7)に接続され、それによってマイクロフォンメタアレイにおける全てのマイクロフォンユニット(1)は、ネットワークにおけるスレーブとして動作する。第1のマイクロフォンユニット(1a)は、A2Bバス(6)によって、A2Bマスター(7)に接続される。
【0051】
A2Bマスター(7)は、マイクロフォンユニット(1)における変換器(3)の動作を完全に同期で保つために、ネットワークにおける全ての信号のためのデジタルクロックを提供する。A2Bマスター(7)は、マイクロフォンユニットから、28までの信号を受け取ることができる。
【0052】
A2Bマスター(7)は、全てのマイクロフォンユニットに電力を供給するために、電源(P)に接続される。
【0053】
A2Bマスター(7)は、TDM-16タイプの2つのデジタルインターフェース(70)によって、ホストプロセッサ(8)に接続される。
【0054】
A2Bマスター(7)が、ネットワーク構成に依拠して、特定の数のスレーブユニットを管理できることを、考慮しなければならない。それによって、4つのマイクロフォンを各々が伴うマクロフォンユニット(1)の場合に、マイクロフォンメタアレイ(100)は、最大7つのマイクロフォンユニット(1)を備えることができる。
【0055】
ホストプロセッサ(8)が、3つ以上の入って来るTDM-16インターフェースを有する場合、複数のA2Bマスター(7)を使用することができ、それによって、より多くのマイクロフォンユニット(1)を伴う、1つまたは複数のマイクロフォンメタアレイ(100)を、接続することができる。
【0056】
各マイクロフォンユニット(1)の変換器(3)によって検出された音響信号は、デジタル同期フォーマットで、マスターA2B(7)に送られ、マスターA2B(7)は、それらをホストプロセッサ(8)に送る。次に、ホストプロセッサ(8)によって受け取られた信号は、同期的に獲得され、ホストプロセッサ(8)によって分析される。ホストプロセッサ(8)は、この信号を処理して、任意のビーム形成アルゴリズム(例えば「正規化Kirkeby反転(regularized Kirkeby inversion)」または「MVDR(minimum variance distortionless response(最小分散無歪応答法))」など)によって、この信号のビーム形成を実現するよう構成される。
【0057】
図4は、A2Bネットワーク(300)を例示する。ここでは、3つのA2Bマスター(7)が、ホストプロセッサ(8)に接続される。各A2Bマスター(7)は、マイクロフォンメタアレイ(100)に接続される。同じネットワーク(200)の一部である、このような場合、同じネットワークの一部であるいくつかのマイクロフォンメタアレイか、または全てのマイクロフォンユニット(1)を備えた単一のマイクロフォンメタアレイか、を備えたマイクロフォングループ(300)を得るように、3つのマイクロフォンメタアレイ(100)を、閉じた配置で物理的に組み合わせることができる。
【0058】
各マイクロフォンメタアレイ(100)が、4つの変換器(3)を備えた7つのマイクロフォンユニット(1)を有する場合、図4のネットワーク(200)は、84の変換器(3)を備え、最小音量を伴う音信号の、非常に精確な再構築をもたらす。
【0059】
柔軟な配線及び組立てを伴う、信頼できるマイクロフォンメタアレイのネットワークを実現できることは、明白である。マイクロフォンユニット(1)間には硬質の接続を必要とせず、大きい空間でも、マイクロフォンユニット(1)を自由に位置付けることによって、大きい音量を網羅できるか、または目的に従って最適化されたマイクロフォンメタアレイ(100)の任意の構成に、配置することができる。
【0060】
マイクロフォンメタアレイ(100)を実現するために、予め決められた任意の外形を採用する必要はない。しかし、マイクロフォンメタアレイ(100)のいくつかの特定の外形は、音響性能を改善するために最適となり得る。
【0061】
メタアレイを得るために、マイクロフォンユニット(1)は、A2Bバス(6)によって電気接続されなければならない。コンパクトなマイクロフォンメタアレイを得るために、マイクロフォンユニットのPCB(2)を、隣接位置に配置して、ハンダ付けで接続するか、または硬質もしくは柔軟なコネクタを使用して共に保持させることができる。
【0062】
A2Bバス(6)による柔軟な配線は、機械、車両、人体、または壁など、任意の対象の表面を、マイクロフォンユニット(1)で覆うのを可能にする。このような使用の柔軟性は、様々な方法で利用され得る:
-マイクロフォンユニット(1)を単独で使用して、それらを衣服、帽子、及び他の装身具などの、対象及び本体の内側または外側に位置付けることができる;
-いくつかのマイクロフォンユニット(1)を、大きい空間に位置付けることによって、各マイクロフォンユニット(1)は、特定の方向から来る音を捕捉することができる;
-いくつかのマイクロフォンユニット(1)を使用して、平坦状、円筒形状、またはドーム形状のアレイなど、任意のタイプのマイクロフォンアレイを、様々なサイズ及び数の変換器を用いて実現することができる。
【0063】
図5は、コンパクトタイプのマイクロメタアレイ(100)が設定された車両(V)を例示する。このマイクロフォンメタアレイ(100)は、A2Bバス(6)によってカスケードに接続された複数のマイクロフォンユニット(1)を備える。マイクロフォンメタアレイ(100)は、A2Bネットワーク(200)の一部であり、第1のマイクロフォンユニットは、A2Bマスター(7)に接続され、同様にA2Bマスター(7)は、ホストプロセッサ(8)に接続される。
【0064】
マイクロフォンメタアレイ(100)のマイクロフォンユニット(1)における変換器(3)から来る信号において、ホストプロセッサ(8)によって実施されるビーム形成は、特定の方向から来る音を強調し、かつ他の方向から来る音を受入れない。これは、ハンドフリー通信、ILZ(Individualized Listening Zone(個別化されたリスニングゾーン))、またはANC(Active Noise Cancellation(能動型ノイズ消去))など、様々な用途で、特に有用である。
【0065】
図6A図6B、及び図6Cは、ドーム形状のマイクロフォンメタアレイ(100)の、3つの異なるレイアウトを例示する。各々は、3つ、4つ、及び5つの三角形マイクロフォンユニットを備え、したがって12、16、及び20の変換器(3)を備える。PCB(2)の側方縁部は、それぞれ三角形ベース、正方形ベース、五角形ベースを伴うピラミッド構造を実現するよう、ハンダ付け、接着剤、相互連結、コネクタなど、固定手段(9)によって固定される。
【0066】
このような場合、マイクロフォンユニット(1)の数は、7つ未満であり、マイクロフォンメタアレイ(100)は、図3に例示されるもののように、1つのみのA2Bマスターを有するA2Bネットワーク(200)に挿入することができる。マイクロフォンメタアレイのドーム形状構成は、ビデオ会議用途のために、特に興味深い。すなわち、マイクロフォンアレイをテーブルの中央に位置付けなければならないとき、ビーム形成によって得られた仮想マイクロフォンは、参加者の口に向けて方向付けられる。
【0067】
図7は、4つの三角形マイクロフォンユニット(1)及び16の変換器(3)を伴う、三次元マイクロフォンメタアレイ(100)を例示する。マイクロフォンユニットのPCB(2)における側方縁部は、正四面体を実現するよう、固定手段(9)によって固定される。この場合、マイクロフォンユニット(1)の数が7つ未満であるので、マイクロフォンメタアレイ(100)は、図3に例示されるもののように、1つのみのA2Bマスターを有するA2Bネットワーク(200)の中に挿入することができる。
【0068】
正四面体の外形は従来技術のマイクロフォンアレイの典型であり、それは、四面体の頂点に配置された4つの変換器のみを備える。その代わりに、図7のマイクロフォンメタアレイ(100)は、各側部に1つの、4つの三角形マイクロフォンユニットを備え、各々のマイクロフォンユニットには4つの変換器が設けられるので、このような解決策の性能は、従来技術の四面体マイクロフォンアレイよりも大幅に高い。
【0069】
図8は、6つの三角形マイクロフォンユニット(1)及び24の変換器(3)を伴う、平坦なマイクロフォンメタアレイ(100)を例示する。マイクロフォンユニットのPCB(2)における側方縁部は、固定手段(9)によって固定される。このような外形は、空間的情報が半空間に囲まれたときに好ましい。この場合、マイクロフォンユニット(1)の数が7つ未満であるので、マイクロフォンメタアレイ(100)は、図3に例示されるように、1つのみのA2Bマスターを有するA2Bネットワーク(200)に挿入することができる。
【0070】
図9は、合計32の変換器を伴う8つの三角形マイクロフォンユニット(1)を備えた、三次元マイクロフォンメタアレイ(100)を例示する。マイクロフォンユニットのPCB(2)における側方縁部は、正八面体を実現するよう、固定手段(9)によって固定される。
【0071】
このような場合、マイクロフォンユニット(1)の数が7つより多いので、図4で例示するもののような、2つのマスター(7)を伴うA2Bネットワーク(200)を使用する必要がある。
【0072】
八面体の頂点に配置された8つの変換器のみを備えた、正八面体のマイクロフォンアレイが公知である。その代わりに、図9のマイクロフォンメタアレイ(100)は、各側部に1つの、8つの三角形マイクロフォンユニットを備え、各々のマイクロフォンユニットには4つの変換器が設けられるので、このような解決策の性能は、従来技術の八面体マイクロフォンアレイよりも大幅に高い。
【0073】
図10A及び図10Bは、2つの円筒形マイクロフォンメタアレイ(300)を例示する。
【0074】
図10Aのマイクロフォンメタアレイ(300)は、合計32の変換器を伴う8つの三角形マイクロフォンユニット(1)を備える。マイクロフォンユニットのPCB(2)における側方縁部は、実質的に円筒形状を実現するよう、固定手段(9)によって固定される。このような場合、マイクロフォンユニット(1)の数が7つより多いので、図4で例示するもののような、2つのA2Bマスター(7)を伴うA2Bネットワーク(200)を使用する必要がある。
【0075】
図10Bのマイクロフォンメタアレイ(300)は、合計64の変換器を伴う16の三角形マイクロフォンユニット(1)を備える。このような場合、マイクロフォンユニット(1)の数が14より多いので、図4で例示するもののような、3つのA2Bマスター(7)を伴うA2Bネットワーク(200)を使用する必要がある。
【0076】
この円筒形マイクロフォンアレイは、空間情報が主に1つの面に位置され、かつ上方から来る音と下方から来る音との関連が少ないとき、特に有用である。
【0077】
図11は、合計80の変換器を伴う20の三角形マイクロフォンユニット(1)を備えた、三次元マイクロフォンメタアレイ(300)を例示する。
【0078】
マイクロフォンユニットのPCB(2)における側方縁部は、正二十面体を実現するよう、固定手段(9)によって固定される。
【0079】
このような場合、マイクロフォンユニット(1)の数14より多いので、図4で例示するもののような、3つのA2Bマスター(7)を伴うA2Bネットワーク(200)を使用する必要がある。
【0080】
図12は、合計52の変換器を伴う13の三角形マイクロフォンユニット(1)を備えた、平坦なマイクロフォンメタアレイ(300)を例示する。マイクロフォンユニットのPCB(2)における側方縁部は、固定手段(9)によって固定される。
【0081】
このような場合、マイクロフォンユニット(1)の数は、7~14の間で構成されるので、図4で例示するもののような、2つのA2Bマスター(7)を伴うA2Bネットワーク(200)を使用する必要がある。
【0082】
このようなマイクロフォンメタアレイ(300)は、空間的情報が、図8のマイクロフォンメタアレイ(100)のように半空間に囲まれたときに、使用することができる。しかし明白に、図12のマイクロフォンメタアレイ(300)は、図8のマイクロフォンメタアレイ(100)よりも大幅に高い性能を有する。なぜなら、変換器(3)の数が2倍より多いからである。
図1
図1A
図2A
図2B
図2C
図2D
図3
図4
図5
図6A
図6B
図6C
図7
図8
図9
図10A
図10B
図11
図12
【国際調査報告】