(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-11-01
(54)【発明の名称】トロカールモジュール、流体コネクタ、および方法
(51)【国際特許分類】
A61F 9/007 20060101AFI20231025BHJP
【FI】
A61F9/007 130J
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023520497
(86)(22)【出願日】2021-10-04
(85)【翻訳文提出日】2023-06-01
(86)【国際出願番号】 NL2021050601
(87)【国際公開番号】W WO2022075840
(87)【国際公開日】2022-04-14
(32)【優先日】2020-10-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】NL
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】511158720
【氏名又は名称】ディー・オー・アール・シー・ダッチ・オフサルミック・リサーチ・センター・(インターナショナル)・ビー・ヴイ
(74)【代理人】
【識別番号】110002066
【氏名又は名称】弁理士法人筒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】マッカイ,アラン ウィリアム
(72)【発明者】
【氏名】デランゲ,ロナルド
(57)【要約】
本発明は、眼科手術用のトロカールモジュールに関する。トロカールモジュールは、眼球の強膜を通した挿入のための管状のカニューレを備える。カニューレは、流体コネクタに接続され得る。カニューレの近位部分は、第1のテーパ付き管部分と、第2のテーパ付き管部分と、第1のテーパ付き管部分と第2のテーパ付き管部分との間に位置する中間管部分と、を有する。第1のテーパ付き管部分は、結合時に流体コネクタの毛細管と整列され、中間管部分は、結合した状態で毛細管の遠位端に整列している。第2のテーパ付き管部分は、トロカールのカニューレの遠位部分に向けてテーパが付けられている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
眼科手術用のトロカールモジュールであって、
・ 眼球の強膜を通した挿入のための遠位部分、および流体コネクタの毛細管をその流体コネクタと結合した状態で受容するための近位部分を有する管状のカニューレと、
・ 前記カニューレの近位部分に配置され、結合解除した状態で前記カニューレを密封するためのバルブユニットと、
を備え、
前記カニューレの近位部分は、第1のテーパ付き管部分と、第2のテーパ付き管部分と、前記第1のテーパ付き管部分と前記第2のテーパ付き管部分との間に位置する中間管部分と、を有し、
前記第1のテーパ付き管部分は、前記中間管部分の近位側に位置し、結合時に前記毛細管と整列するために前記中間管部分に向けてテーパが付けられており、
前記中間管部分は、概ね一定の断面を有し、結合した状態で前記毛細管の遠位端を取り囲み、
前記第2のテーパ付き管部分は、前記中間管部分から前記カニューレの遠位部分に向けてテーパが付けられている、
トロカールモジュール。
【請求項2】
前記第1のテーパ付き管部分、前記中間管部分、および前記第2のテーパ付き管部分は、前記カニューレ内に二重テーパ付きのカナルを形成する、請求項1に記載のトロカールモジュール。
【請求項3】
前記第1のテーパ付き管部分、前記中間管部分、および前記第2のテーパ付き部分の各々は、前記カニューレのカナルの局所的な輪郭を画定する内壁を有する、請求項1または2に記載のトロカールモジュール。
【請求項4】
前記中間管部分は、近位端と遠位端とを有する、請求項1~3のいずれか1項に記載のトロカールモジュール。
【請求項5】
前記第1のテーパ付き管部分のテーパ付き端部は、前記中間管部分の近位端に隣接する、請求項1~4のいずれか1項に記載のトロカールモジュール。
【請求項6】
前記中間管部分の遠位端は、前記第2のテーパ付き管部分の近位端に隣接する、請求項1~5のいずれか1項に記載のトロカールモジュール。
【請求項7】
前記管状のカニューレは、主に円形の円筒形状を有する、請求項1~6のいずれか1項に記載のトロカールモジュール。
【請求項8】
前記毛細管の内径は、前記カニューレの遠位部分の内径と実質的に同じかそれよりも大きい、請求項1~7のいずれか1項に記載のトロカールモジュール。
【請求項9】
前記中間管部分の内径は、前記カニューレの遠位部分の外径と実質的に同じかそれよりも大きい、請求項1~8のいずれか1項に記載のトロカールモジュール。
【請求項10】
前記カニューレの周囲に配置されたカラーをさらに備え、その外側には、周方向溝が設けられる、請求項1~9のいずれか1項に記載のトロカールモジュール。
【請求項11】
前記バルブユニットは、前記管状のカニューレの近位端に隣接する前記カニューレを密封するように取り囲む、請求項1~10のいずれか1項に記載のトロカールモジュール。
【請求項12】
前記管状のカニューレの遠位部分は、少なくとも部分的にレーザ加工されたテクスチャ構造が設けられた外面を有する、請求項1~11のいずれか1項に記載のトロカールモジュール。
【請求項13】
眼科手術用の流体コネクタであって、毛細管と、前記毛細管を取り囲むコネクタ本体と、を備え、前記毛細管は、流体入出力ラインと接続するための近位部分と、請求項1に記載のトロカールモジュールと結合するための遠位部分と、を有し、前記コネクタ本体には、結合した状態でカニューレの近位部分を少なくとも部分的に受容するための前記毛細管の遠位部分によって横断される空隙が設けられる、流体コネクタ。
【請求項14】
前記コネクタ本体は、主に円形の円筒形状を有する、請求項13に記載の流体コネクタ。
【請求項15】
前記空隙は、主に円形に円筒形状を有する、請求項13または14に記載の流体コネクタ。
【請求項16】
前記コネクタ本体には、複数のクランプ要素が設けられ、前記複数のクランプ要素は、結合した状態において、前記トロカールモジュールをクランプするように係合するために、前記空隙内で内向きに延在する、請求項13~15のいずれか1項に記載の流体コネクタ。
【請求項17】
前記複数のクランプ要素は、前記毛細管の周囲の円方向において主に均一に分布している、請求項13に記載の流体コネクタ。
【請求項18】
前記毛細管の近位部分に接続される前記流体入出力ラインは、かん流ライン、吸引ライン、粘性流体注入ライン、または粘性流体抽出ラインである、請求項13~17のいずれか1項に記載の流体コネクタ。
【請求項19】
眼科手術用のトロカールシステムであって、請求項13に記載の流体コネクタに結合された請求項1に記載のトロカールモジュールを備え、その中間管部分は、結合した状態において前記毛細管の遠位端を取り囲む、トロカールシステム。
【請求項20】
前記流体コネクタの毛細管は、前記トロカールモジュールの中間管部分およびバルブユニットによって係合される、請求項19に記載のトロカールシステム。
【請求項21】
前記毛細管の遠位端は、前記カニューレの第2のテーパ付き管部分に当接する、請求項19または20に記載のトロカールシステム。
【請求項22】
前記中間管部分は、前記毛細管の遠位部分と少なくとも部分的に係合する、請求項19~21のいずれか1項に記載のトロカールシステム。
【請求項23】
前記中間管部分は、前記カニューレのカナルの局所的な輪郭を画定する内壁を有し、前記中間管部分の完全な内壁は、前記毛細管の遠位部分に接触する、請求項19~22のいずれか1項に記載のトロカールシステム。
【請求項24】
請求項1に記載のトロカールモジュールと請求項13に記載の流体コネクタとを結合して、請求項19に記載のトロカールシステムを形成するための方法であって、
・ 前記トロカールモジュールの管状のカニューレの近位部分で前記流体コネクタの毛細管を受容して、前記流体コネクタのコネクタ本体の空隙内で前記カニューレの近位部分を少なくとも部分的に受容するステップと、
・前記中間管部分が前記流体コネクタの毛細管の遠位端を取り囲むまで、前記毛細管を前記カニューレ内に前進させるステップと、
を含む、方法。
【請求項25】
前記流体コネクタの毛細管の遠位端が前記カニューレの第2のテーパ付き管部分に当接するまで、前記毛細管を前記カニューレ内に前進させるステップをさらに含む、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
前記毛細管の近位側において流体インピーダンス測定を行うことで前記管状のカニューレの遠位部分の内径を決定するステップをさらに含む、請求項24または25に記載の方法。
【請求項27】
請求項19に記載のトロカールシステムを結合解除して請求項1に記載のトロカールモジュールと請求項13に記載の流体コネクタとに切り離す方法であって、前記トロカールモジュールのカニューレから前記流体コネクタの毛細管を後退させるステップを含む、方法。
【請求項28】
眼科手術用のトロカールモジュールを準備するプロセスであって、前記トロカールモジュールは、眼球の強膜を通した挿入のための遠位部分、および流体コネクタの毛細管をその流体コネクタと結合した状態で受容するための近位部分を有する管状のカニューレを備え、前記管状のカニューレの外面の少なくとも一部の上にテクスチャ構造を生成するために、前記外面をレーザ照射に曝すステップを含む、プロセス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、眼球の強膜を通した挿入のための遠位部分、および流体コネクタの毛細管をその流体コネクタと結合した状態で受容するための近位部分を有する管状のカニューレと、カニューレの近位部分に配置され、結合した状態で毛細管を密封するように取り囲むバルブユニットと、を備える、眼科手術用のトロカールモジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、トロカールモジュールは、眼科手術の分野において、かん流または流体交換、あるいは組織を照らすか、切断、除去またはその他の方法で操作するための手術道具のために、挿入口を介して眼球の内部へのアクセスを提供するために一般に知られている。管状のカニューレは、眼球の強膜を横断し、バルブユニットは、眼球を洗浄するためのかん流ラインまたは吸引ラインなどの流体交換の場合、トロカールモジュールに結合した流体コネクタの毛細管を密封するように取り囲む。
【0003】
近位側において、カニューレは、典型的には流体コネクタの毛細管をカニューレ内に整列させるためのテーパを有する。流体コネクタとカニューレとを結合する工程において、毛細管は、テーパ付き部分を介して、毛細管がカニューレの遠位部分まで十分に延びるまで、そのテーパ付き部分を越えてカニューレ内に挿入される。次いで、毛細管は、その毛細管を密封するように取り囲むバルブユニットを横断する。
【0004】
近年、眼科手術用器具の小型化が進み、これにより、眼球の強膜を通過する部分の有効径が小さくなり、ゲージが大きくなる設計が行われている。しかしながら、毛細管の内径を小さくすると、作動流体の流量が減少し、手術性能の点で不利になる可能性がある。また、チャンバの安定性が低下するため、より高いかん流圧を必要とする場合がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
したがって、比較的大きな流量を促進しながら、より小さな寸法で実装することができるトロカールモジュールを提供する必要がある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
そこで、本発明の目的は、比較的大きな流量を維持しながら、外径が比較的小さい、眼科手術用のトロカールモジュールを提供することである。本発明によれば、眼球の強膜を通した挿入のための遠位部分、および流体コネクタの毛細管をその流体コネクタと結合した状態で受容するための近位部分を有する管状のカニューレと、カニューレの近位部分に配置され、結合解除した状態で毛細管を密封するためのバルブユニットと、を備える眼科手術用のトロカールモジュールが提供される。ここで、カニューレの近位部分は、第1のテーパ付き管部分と、第2のテーパ付き管部分と、第1のテーパ付き管部分と第2のテーパ付き管部分との間に位置する中間管部分と、を有する。第1のテーパ付き管部分は、中間管部分の近位側に位置し、結合時に毛細管と整列するために中間管部分に向けてテーパが付けられている。中間管部分は、概ね一定の断面を有し、結合した状態で毛細管の遠位端を取り囲む。第2のテーパ付き管部分は、中間管部分からカニューレの遠位部分に向けてテーパが付けられている。
【0007】
中間管部分が介在する二重テーパ付き内部プロファイルを有する管状のカニューレを適用することで、毛細管の遠位端を、第1のテーパ付き部分を経由して第2のテーパ付き部分に向けて移動させることができる。第2のテーパ付き部分は、毛細管がある位置から、最も小さい内径を有するカニューレの遠位端に向けてテーパが付けられている。これにより、毛細管の内径がカニューレの遠位部分の内径と実質的に同じかそれよりも大きくなっていながら、毛細管を安全にカニューレに結合することができる。その結果、毛細管がカニューレの最小径構造であるその遠位部分に延びたり突出したりしない流れ構造を提供することができる。これにより、流路全体の内径が最も小さい通路によって制限される流量を比較的大きくすることができ、比較的低い流体圧力と安定した眼内圧(IOP)を得ることができる一方で、カニューレの外部を比較的小さくして外傷性創傷を最小限に抑えることができる。カニューレの遠位部分の流路は、流体コネクタに結合された既知のトロカールモジュールに存在する二重壁(すなわち毛細管の壁とカニューレの遠位部分の壁)とは異なり、単一の壁を有する。
【0008】
二重テーパ付き構造を適用することで、各要素が互いに係合して流路が開放される。これにより、同じ背圧でも流量性能が大幅に向上する設計が提供される。また、バルブユニットを取り外すことなく、高流量を得ることができる。二重テーパ付き構造、特に両方のテーパ付き部分の間の中間管部分により、信頼性の高い結合力を得ることができる設計が提供される。
【0009】
有利には、流体コネクタの毛細管の内径がカニューレの遠位部分の内径と同じかそれよりも大きくなるように、中間管部分の内径は、カニューレの遠位部分の外径と同じかそれよりも大きい。
【0010】
好ましくは、管状のカニューレの遠位部分は、少なくとも部分的にレーザ加工されたテクスチャ構造が設けられた外面を有する。これにより、眼球の強膜におけるカニューレの保持を改善することができる。
【0011】
また、本発明は、眼科手術用の流体コネクタに関する。該コネクタは、毛細管と、毛細管を取り囲むコネクタ本体と、を備える。毛細管は、流体入出力ラインと接続するための近位部分と、トロカールモジュールと結合するための遠位部分と、を有する。コネクタ本体には、結合した状態でカニューレの近位部分を少なくとも部分的に受容するための毛細管の遠位部分によって横断される空隙が設けられる。
【0012】
コネクタ本体にカニューレの近位部分を受容する空隙を設けることで、様々な結合要素を介して流体コネクタがトロカールモジュールに結合される独創的な結合構造を得ることができる。これは、少なくとも、毛細管によって横断されるバルブユニットと、毛細管の遠位端を受容するカニューレの中間管部分と、カニューレの近位部分を受容またはクランプする空隙と、を含む。
【0013】
好ましくは、コネクタ本体には、複数のクランプ要素が設けられる。複数のクランプ要素は、好ましくは、結合した状態において、バルブユニットなどのトロカールモジュールをクランプするように係合するために、空隙内で内向きに延在し、コネクタ本体の長手方向軸の周囲の周方向に主に均一に分布している。
【0014】
一般に、毛細管の近位部分に接続された流体コネクタの流体入出力ラインは、例えば、かん流ライン、吸引ライン、粘性流体注入ライン、または粘性流体抽出ラインであってもよい。
【0015】
また、本発明は、眼科手術用のトロカールシステムに関する。該システムは、流体コネクタに結合されたトロカールモジュールを備える。その中間管部分は、毛細管の遠位端を取り囲む。
【0016】
好ましくは、流体コネクタの毛細管は、トロカールモジュールの中間管部分およびバルブユニットによって係合される。これにより、毛細管と、中間管部分およびバルブユニットとの間で干渉または摩擦による嵌合を実現することができる。
【0017】
また、本発明は、トロカールモジュールと流体コネクタとを結合するための方法に関する。さらに、本発明は、トロカールシステムを結合解除してトロカールモジュールと流体コネクタとに切り離す方法に関する。
【0018】
該方法は、毛細管の近位側において流体インピーダンス測定を行うことで管状のカニューレの遠位部分の内径を決定するステップを含んでもよい。これにより、トロカールモジュールのゲージサイズを容易に特定することができる。
【0019】
また、本発明は、眼科手術用のトロカールモジュールを準備するプロセスに関する。該プロセスは、外面の少なくとも一部の上にテクスチャ構造を生成するために、管状のカニューレの外面をレーザ照射に曝すステップを含む。
【0020】
本発明によるさらなる有利な実施形態は、添付の特許請求の範囲に記載されている。
【0021】
上記または下記の技術的特徴は、それぞれ単独で、トロカールモジュール、流体コネクタ、および/または方法において実現され得ることに留意されたい。すなわち、これらの技術的特徴は、その説明が記載されている文脈から分離されてもよく、その他の特徴から分離されてもよく、またはそれらが記載されている文脈において説明される他の特徴のうちの一部とだけ組み合わされてもよい。これらの特徴の各々は、任意の組み合わせで、記載されている他の特徴と組み合わされてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0022】
本発明は、図に示す例示的な実施形態に基づいてさらに解明される。これらの例示的な実施形態は、本発明の非限定的な説明のために提供されている。
【
図1】本発明によるトロカールモジュールおよび流体コネクタを模式的に示す斜視図である。
【
図2】結合解除した状態にある、
図1に示すトロカールモジュールおよび流体コネクタを模式的に示す断面図である。
【
図3】結合した状態にある、
図1に示すトロカールモジュールおよび流体コネクタを模式的に示す断面図である。
【
図4】
図1に示すトロカールモジュールを模式的に示す別の斜視図である。
【
図5】本発明によるトロカールモジュールにおける流れの関数としての圧力降下のグラフを示す図である。
【
図6】本発明による流体コネクタの別の実施形態を模式的に示す断面図である。
【
図7】本発明による流体コネクタのさらに別の実施形態を模式的に示す断面図である。
【
図8】本発明による流体コネクタのさらなる実施形態を模式的に示す斜視図である。
【
図9】結合した状態にある、
図8に示す流体コネクタおよびトロカールモジュールを模式的に示す断面図である。
【
図10】本発明による結合方法を示すフローチャートである。
【
図11】本発明による結合方法を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0023】
図において、同一または対応する部分は、同じ参照符号で表されている。図は、非限定的な例によって提供される本発明の実施形態の模式的な表現に過ぎない。
【0024】
図1は、本発明によるトロカールモジュール10、および本発明による、輸液コネクタなどの流体コネクタ50を模式的に示す斜視図である。トロカールモジュール10および流体コネクタ50は、眼科手術用に配置される。
【0025】
トロカールモジュール10は、好ましくはともに一体的な要素として形成された遠位部分12および近位部分13を有する管状のカニューレ11を有する。遠位部分12は、眼球の強膜を通した眼球への挿入のために配置された遠位端14’を有する。管状のカニューレ11の近位部分13は、近位端14”を有し、流体コネクタ50と結合した状態において、流体コネクタ50の毛細管を受容するために配置される。典型的には、カニューレ11の壁厚は、約0.04mm~約0.05mmの範囲であってもよい。
【0026】
また、トロカールモジュール10は、カニューレ11の近位部分13に配置されたバルブユニット15を有する。バルブユニット15は、結合した状態において、カニューレ11に受容されたときに毛細管を任意選択で密封するように取り囲む。結合解除した状態において、バルブユニット15は、カニューレ11を密封、すなわち、管状のカニューレの近位端またはカニューレヘッド14”を密封するように閉鎖して、眼球内から流れる流体の漏れを打ち消す。さらに、図に示す実施形態において、バルブユニット15は、その近位端14”に隣接するカニューレ11を密封するように取り囲む。ここで、バルブユニット15は、一体的に形成されており、環状形状の本体15’を有する。本体15’は、第1の軸方向端部で開口しており、第1の軸方向端部の反対側の第2の軸方向端部で密封されるように閉鎖されている。密封されるように閉鎖された軸方向端部は、特に
図2および
図3に示すように、複数のフランジ15”を含んでもよい。複数のフランジ15”は、相互に重なり合い、互いに対して付勢されており、個別に近位端14”を部分的に覆う。好ましくは、バルブユニット15は、例えば特定の手術条件の間にかん流液またはシリコーンオイルが眼球から外側に流れることを可能にするために、取り外し可能になっている。しかしながら、バルブユニット15は、管状のカニューレ11に恒久的に取り付けられていてもよい。別の実装例において、バルブユニット15は、カニューレ11を取り囲むことなく、近位端14”を密封するように閉鎖する。
【0027】
バルブユニット15は、流体コネクタなどの器具がカニューレに挿入されていないときに、カニューレを密封するように閉鎖する。さらに、バルブユニット15は、流体コネクタなどの器具がカニューレに挿入されているときに、漏れを最小限に抑えてもよい。
【0028】
さらに、トロカールモジュール10には、カニューレ11の周囲に配置されたカラー(collar)16が設けられ、その外側には、眼球内でのカラーの位置を安定させるように強膜に係合するため、およびトロカールモジュール10を扱う鉗子または別の手術用道具によってクランプすることができる係合構造として機能するための周方向溝17が設けられる。代替的に、例えば周方向溝を有さない別のカラー16、または別の係合構造が適用されてもよい。
【0029】
図に示す実施形態において、管状のカニューレ11は、その長手方向軸Ltに関して回転対称である、主に円形の円筒形状を有する。また、バルブユニット15およびカラー16は、長手方向軸Ltと同心で回転対称である。
【0030】
カニューレ11は、例えば、金属または金属合金から形成され得る。さらに、バルブユニット15は、シリコーン材料などの弾性材料から形成されてもよい。
【0031】
カテーテルとも呼ばれる流体コネクタ50は、概ね円筒形状のコネクタ本体またはオーバーモールド部51と、図に示す実施形態において互いに且つそれらの共通の長手方向軸Lcに対して同心である毛細管52と、を有する。コネクタ本体51は、コネクタ本体51を通って延在する毛細管52を取り囲む。毛細管52は、トロカールモジュール10と結合するための、遠位先端とも呼ばれる遠位端52’が設けられた遠位部分53’と、かん流ライン、吸引ライン、粘性流体注入VFIライン、または粘性流体抽出VFEラインなどの流体入出力ラインと接続するための近位部分53”と、を有する。
【0032】
図3を参照して以下でより詳細に説明するように、コネクタ本体51には、毛細管の遠位部分53’によって横断されて、結合した状態においてバルブユニット15の少なくとも一部を含むカニューレ11の近位部分13を少なくとも部分的に受容するための空隙54が設けられる。さらに、
図3を参照して以下でより詳細に説明するように、コネクタ本体51には、空隙54内に内向きに延在する複数のクランプ要素55が設けられる。複数のクランプ要素55は、結合した状態においてトロカールモジュール10、特にそのバルブユニット15をクランプするように係合、接続、ロック、および/または固定する。好ましくは、クランプ要素55は、毛細管52の周囲の円方向Cにおいて主に均一に分布している。クランプ要素55は、半径方向内側に面する内面を有する。内面は、表面摩擦の増加によりそのクランプ力を向上させるために、滑らかになっているか粗くなっている。
【0033】
図に示す実施形態において、コネクタ本体51および空隙54の両方は、主に円形の円筒形状を有し、長手方向軸Lcに関して回転対称になっている。コネクタ本体51は、その遠位端において、スカートとして形成される。図に示す実施形態において、スカートは、閉鎖された周方向の輪郭を有する。しかしながら、スカートは、例えば
図8に示すように、クランプ要素55の間に複数の開口部を有してもよい。開口部は、任意選択で、スカートの遠位端に向けて、且つその遠位端まで延在する。クランプ要素55は、互いに独立して移動可能な指状要素として形成されている。
【0034】
図に示す実施形態において、毛細管52は、コネクタ本体51に取り付けられた別の部品である。しかしながら、原理的には、毛細管52とコネクタ本体51とを単一のユニットとして一体的に形成することもできる。
【0035】
図2は、結合解除した状態にある、
図1に示すトロカールモジュール10および流体コネクタ50を模式的に示す断面図である。
図3は、それらの結合した状態を示している。カニューレ11の近位部分13は、第1のテーパ付き管部分21と、第2のテーパ付き管部分22と、第1のテーパ付き管部分21と第2のテーパ付き管部分22との間に位置する中間管部分23と、を有する。第1のテーパ付き管部分21は、中間管部分23の近位側に位置し、結合時に毛細管52と整列するために中間管部分23に向けてテーパが付けられている。
図3に示すように、中間管部分23は、概ね一定の断面を有し、結合した状態で毛細管52の遠位端53を取り囲む。さらに、第2のテーパ付き管部分22は、中間管部分23からカニューレの遠位部分12に向けてテーパが付けられている。
【0036】
なお、第1のテーパ付き管部分21、中間管部分23、および第2のテーパ付き部分22がカニューレ11内に二重テーパ付きの流体通路またはカナル25を形成することに留意されたい。これにより、毛細管52の内径がカニューレの遠位部分12の内径と実質的に同じかそれよりも大きくなっていながら、毛細管52とカニューレ11とを安全に結合することができる。その結果、毛細管52がカニューレの最小径構造であるその遠位部分52に延びたり突出したりしない流れ構造を提供することができる。これにより、流路全体の内径が最も小さい通路によって制限される流量を比較的大きくすることができ、比較的低い流体圧力と安定した眼内圧IOPを得ることができる一方で、カニューレ11の外部を比較的小さくして外傷性創傷を最小限に抑えることができる。
【0037】
第1のテーパ付き管部分21、中間管部分23、および第2のテーパ付き部分22の各々は、カニューレのカナル25の局所的な輪郭を画定する内壁を有する。ここで、中間管部分の完全な内壁は、トロカールモジュールと流体コネクタが結合した状態において、毛細管の遠位部分に接触する。そして、毛細管の遠位端53’は、カニューレの第2のテーパ付き管部分に当接する。代替的に、毛細管は、カニューレの第2のテーパ付き管部分に当接するまで前進しない。中間管部分の近位部分が毛細管の遠位部分に接触する。一般に、中間管部分は、流体コネクタの毛細管の遠位部分と少なくとも部分的に係合する。
【0038】
図に示す実施形態において、第1のテーパ付き管部分21、中間管部分23、および第2のテーパ付き管部分22は、この順に、互いに直接隣接して配置される。そして、第1のテーパ付き管部分21のテーパ付き端部21’は、中間管部分23の近位端に隣接し、中間管部分23の遠位端は、第2のテーパ付き管部分22の近位端22’に隣接する。さらに、第2のテーパ付き管部分22の遠位端22”は、カニューレの遠位部分12の近位端に隣接する。図に示す実施形態において、カニューレ11の近位部分13は、中間管部分23を介して相互に接続された二重テーパ付き管部分21を含む。原理的には、テーパ付き管部分21、22と中間管部分23との間に別の構造が適用されてもよく、例えば、第1のテーパ付き管部分21と中間管部分23との間に環状のクランプ界面管部分が適用されてもよい。
【0039】
さらに、図に示す実施形態において、カニューレ11の近位部分13は、カニューレ11の近位端14”と第1のテーパ付き管部分21との間に延長管部分24を有する。延長管部分24は、概ね一定の断面を有する。
【0040】
トロカールモジュール10と流体コネクタ50との結合プロセス中に、流体コネクタ50の毛細管52がトロカールモジュール10の管状のカニューレ11の近位部分13に受容される。これにより、そのバルブユニット15を含むカニューレ11の近位部分13が少なくとも部分的に流体コネクタ50のコネクタ本体51の空隙54で受容される。さらに、流体コネクタ50の毛細管52は、中間管部分23が毛細管52の遠位管部分52’を取り囲むまでカニューレ11内で前進される。
【0041】
図3に示す結合した状態において、トロカールモジュール10および流体コネクタ50は、トロカールシステムを形成する。ここで、中間管部分23は、毛細管52の遠位端または遠位先端52’を取り囲む。さらに、流体コネクタ50の毛細管52は、トロカールモジュール10の中間管部分23およびバルブユニット15の両方に係合する。また、コネクタ本体のスカート、特にそのクランプ要素55は、そのバルブユニット15を含むカニューレ11の近位部分13をクランプする。好ましくは、クランプ要素55の半径方向に向けられた内面は、バルブユニット15の外径よりも小さい直径を有する円を確定する。これにより、結合した状態において、クランプ要素55がバルブユニット15の好ましくは弾性材料に押し付けられる。
【0042】
好ましくは、毛細管の流体通路またはカナル26を取り囲む毛細管52の内径は、カニューレの遠位部分12の内径と実質的に同じかそれよりも大きい。これにより、毛細管52の流体インピーダンスが全体の流体インピーダンスに大きく寄与することなく、カニューレ11内の流体通路またはカナル25の流体流動性能が最適に利用され得る。
【0043】
同様に、中間管部分23の内径は、カニューレの遠位部分12の外径と実質的に同じかそれよりも大きい。これにより、毛細管52の流体インピーダンスを減少させることができる。
【0044】
トロカールシステムをトロカールモジュール10と流体コネクタ50の個別の構成要素として戻す結合解除プロセスの間、流体コネクタ50の毛細管52が中間管部分23およびバルブユニット15によって解放され、且つバルブユニット15を含むカニューレ11の近位部分13がコネクタ本体51のスカートによって解放されるまで、毛細管52はトロカールモジュール10のカニューレ11から後退される。
【0045】
図4は、
図1に示すトロカールモジュール10を模式的に示す別の斜視図である。ここではバルブユニット15が取り除かれている。図に示すように、管状のカニューレ11の遠位部分12は、レーザ加工されたテクスチャ構造12”またはパターンが少なくとも部分的に設けられた外面12’を有する。レーザ加工されたテクスチャ構造12”を設けることで、増加した表面粗さまたは表面パターンを有する外面12’が得られ、眼球の強膜におけるカニューレ11の保持を改善することができる。その一方で、レーザ処理を適用することで、圧延および/または機械加工とは異なり、特にカニューレ11が比較的小さなゲージサイズを有する場合、一般的に壁厚が薄いカニューレに、表面のエッジにおける過度の変形または工具の挿入に対する真円度への影響などの損傷が発生することを打ち消すことができる。好ましくは、表面は、手術中に傷の損傷または滑らかでない挿入力が打ち消されることを回避するように、勾配のある粗さを有する。さらに、レーザ加工されたテクスチャ構造またはパターンは、繰り返される粗さプロファイルのような規則的な構造を有してもよい。一態様によれば、眼科手術用のトロカールモジュールを準備するプロセスが提供される。このトロカールモジュールは、眼球の強膜を通した挿入のための遠位部分、および流体コネクタの毛細管をその流体コネクタと結合した状態で受容するための近位部分を有する管状のカニューレを備える。該プロセスは、管状のカニューレの外面の少なくとも一部の上にテクスチャ構造を生成するために、外面をレーザ照射に曝すステップを含む。有利には、レーザ処理は、テクスチャ構造の最適化または微調整のために適用される。
【0046】
しかしながら、原理的には、管状のカニューレ11の遠位部分12の外面12’は、例えば、圧延および/または機械加工によって設けられる別のテクスチャパターンを有してもよく、テクスチャパターンをまったく有さなくてもよいことに留意されたい。
【0047】
図5は、本発明によるトロカールモジュール10における流れの関数としての圧力降下のグラフを示す
図30を示している。具体的には、圧力降下P(mmHg)が、流量Fl(ml/min)の関数として示されている。第1の圧力降下グラ第1の内径またはゲージサイズD1を有するトロカールユニットに対応する。典型的には、同じゲージクラスに属するトロカールユニットの有効内径は、製造公差に起因して逸脱する可能性がある。そして、対応する圧力降下も逸脱する可能性がある。第1の圧力降下グラフ71は、トロカールユニットの第1のセットとも呼ばれる第1の内径またはゲージサイズD1の平均圧力降下挙動を反映している。第2の圧力降下グラフ72は、トロカールユニットの第1のセットの別のトロカールモジュール10に対応する。ただし、これは、最大圧力降下挙動を示している。同様に、第3の圧力降下グラフ73は、トロカールユニットの第1のセットのさらに別のトロカールモジュールに対応する。ただし、これは、最小圧力降下挙動を示している。そして、第1の内径またはゲージサイズを有するトロカールユニットの第1のセットは、統計的な意味で、例えばその全母集団分布の割合、例えば95%によって定義される、第2および第3の圧力降下グラフ72および73の間の帯域幅で統計的に逸脱する圧力降下曲線を示している。
【0048】
同様に、第1の内径またはゲージサイズD1よりも大きい第2の内径またはゲージサイズD2を有するトロカールユニットの第2のセットは、平均して
図30に示す第4の圧力降下グラフ74に対応する圧力降下を示し、統計的に最大圧力降下に対応する第5の圧力降下グラフ75と、最小圧力効果に対応する第6の圧力降下グラフ76との間で逸脱する可能性がある。
【0049】
また、第2の内径またはゲージサイズD2よりも大きい第2の内径またはゲージサイズD3を有するトロカールユニットの第3のセットは、平均して
図30に示す第7の圧力降下グラフ77に対応する圧力降下を示し、統計的に最大圧力降下に対応する第8の圧力降下グラフ78と、最小圧力降下に対応する第9の圧力降下グラフ79との間で逸脱する可能性がある。
【0050】
図5の
図30に示すように、トロカールユニットの第1、第2、および第3のセット圧力降下グラフは、しきい値流量レベルFl
thresholdを超えて重ならない。したがって、外科的状況において、トロカールユニットのそれぞれのセットが手術中の眼球の最適でない治療を打ち消すように、他の眼科手術用装置の対応するセットとともに使用されるので、トロカールユニットの第1、第2、および第3のセットを容易に識別する必要がある場合がある。トロカールユニットのゲージサイズを、好ましくは手術前または手術開始時に特定することで、手術中の眼内圧IOPおよびIOP安定性を最適化するように、手術用システム設定スキャンを設定することができる。例えば、トロカールユニットの第1のセットは、比較的小さな内径または比較的大きなゲージサイズを有する水晶体硝子体切除術装置と組み合わせて使用され、好ましくは、比較的大きな内径または比較的小さなゲージサイズを有する水晶体硝子体切除術装置とは組み合わされない。これにより、輸液または吸引プロセスに多くの時間を要することを避けることができる。さらなる例として、トロカールユニットの第3のセットは、比較的大きな内径または比較的小さなゲージサイズを有する眼科手術用装置と組み合わせて使用され、好ましくは、比較的小さな内径または比較的大きなゲージサイズを有する水晶体硝子体切除術装置とは組み合わされない。これにより、輸液または吸引プロセスが、眼球に損傷を与える可能性がある大きすぎる流体の流れで生じることを回避することができる。
【0051】
トロカールモジュールを特定する目的で、管状のカニューレ11の遠位部分12の内径、またはそのゲージサイズは、流体コネクタの毛細管52の近位側において、好ましくは流体コネクタ50との結合後に流体インピーダンス測定を行うことで決定することができる。測定された流体インピーダンスまたは流量FLあたりの圧力降下Pを評価することで、対応する有効内径またはゲージサイズを見出すことができ、これにより、トロカールモジュールを特定することができる。
【0052】
トロカールモジュールを特定するステップは、請求項1に記載のトロカールモジュールに対してのみならず、より一般的には、眼球の強膜を通した挿入のための遠位部分、および流体コネクタと結合した状態で流体コネクタの毛細管を受容するための近位部分を有する管状のカニューレを備える眼科手術用のトロカールモジュールに対しても実行することができることに留意されたい。
【0053】
図6は、本発明による流体コネクタ50の別の実施形態を模式的に示す断面図である。
図1を参照して説明した流体コネクタと同様に、流体コネクタは、コネクタ本体51と、コネクタ本体51によって囲まれている毛細管52と、を含む。コネクタ本体51には、結合した状態においてカニューレ11の近位部分13を少なくとも部分的に受容するための空隙54が設けられる。また、コネクタ本体51は、複数のクランプ要素55を有する。複数のクランプ要素55は、結合した状態においてトロカールモジュール10をクランプするように係合するために、空隙54内で内向きに延在する。
【0054】
毛細管52は、トロカールモジュール10と結合するための遠位端または遠位先端52’が設けられた、空隙54を横断する遠位部分53’と、近位部分53”と、を有する。ここで、近位部分53”は、粘性流体抽出VFEラインとの接続のために配置されている。さらに、コネクタ本体51には、毛細管52に接続されたVFEラインの遠位端を収容するための近位空隙56が設けられる。
【0055】
図7は、本発明による流体コネクタ50のさらなる実施形態を模式的に示す断面図である。この流体コネクタ50は、
図6に示す流体コネクタ50と同様の設計を有するが、ここでは、近位部分53”は、粘性流体注入VFIラインとの接続のために配置されている。さらに、毛細管52の遠位先端52’は、
図6に示す実施形態におけるものよりも著しく長くなっている。これにより、遠位先端52’は、管状のカニューレ11の近位部分13を通って管状のカニューレ11の遠位部分12の大部分を横断することができる。これにより、流体コネクタ50およびそれに結合したトロカールモジュール10を結合解除して互いから切り離すことなく、より大きな内部過圧が可能になる。
【0056】
図8は、本発明による流体コネクタ50のさらなる実施形態を模式的に示す斜視図である。
図6および
図7を参照して説明した流体コネクタと同様に、この流体コネクタ50は、コネクタ本体51と、コネクタ本体51によって囲まれている毛細管52と、を含む。コネクタ本体51には、結合した状態においてカニューレ11の近位部分13を少なくとも部分的に受容するための空隙54が設けられる。また、コネクタ本体51は、複数のクランプ要素55を有する。複数のクランプ要素55は、結合した状態においてトロカールモジュール10をクランプするように係合するために、空隙54内で内向きに延在する。
【0057】
コネクタ本体51は、その遠位端において、スカートとして形成される。図に示す実施形態において、スカートは、結合した状態においてトロカールモジュール10のバルブユニット15の周方向部分を受容するための開口部60を有する。ここで、バルブユニット15は、開口部60内にわずかに延在することができる。さらに、クランプ要素55は、バルブユニット15の下方に係合するアンダーカット部を形成する。これにより、結合した状態において、トロカールモジュール10を流体コネクタ50に解放可能にロックすることができる。
【0058】
図9は、結合した状態にある、
図8に示す流体コネクタ50およびトロカールモジュール10を模式的に示す断面図である。
図9に明確に示すように、指状要素55は、トロカールモジュール10のバルブユニット15の周囲およびその下方に係合する。
図10は、本発明による方法のフローチャートを示している。この方法は、トロカールシステムを形成するようにトロカールモジュールと流体コネクタとを結合させるために使用される。方法100は、トロカールモジュールの管状のカニューレの近位部分で流体コネクタの毛細管を受容して、流体コネクタのコネクタ本体の空隙内でカニューレの近位部分を少なくとも部分的に受容するステップ110と、中間管部分が流体コネクタの毛細管の遠位端を取り囲むまで、毛細管をカニューレ内に前進させるステップ120と、を含む。好ましくは、該方法は、流体コネクタの毛細管の遠位端がカニューレの第2のテーパ付き管部分に当接するまで、毛細管をカニューレ内に前進させるステップを含む。
【0059】
さらに、該方法100は、上述したように、例えばトロカールモジュール10のゲージサイズを特定するために、流体コネクタの毛細管52の近位側において流体インピーダンス測定を行うことで管状のカニューレ11の遠位部分12の内径を決定するステップを含んでもよい。
【0060】
図11は、本発明による方法200のフローチャートを示している。該方法は、トロカールシステムを結合解除してトロカールモジュール10と流体コネクタ50とに切り離すために使用される。方法200は、トロカールモジュール10のカニューレ11から流体コネクタ50の毛細管52を後退させるステップ210を含む。
【0061】
本発明は、本明細書に記載された実施形態に限定されるものではない。多くの変形例が可能であることに留意されたい。
【0062】
また、上述したトロカールモジュールは、対応する流体コネクタに結合するために使用できるだけでなく、レーザ装置、硝子体切除術または鉗子のような他の眼科手術用装置によって横断されるために使用できることに留意されたい。
【0063】
これらの実施形態および他の実施形態は、当業者にとって明らかであり、添付の特許請求の範囲に定義される本発明の範囲に含まれるものとみなされる。明確且つ簡潔な説明のために、本明細書において、同一または別個の実施形態の一部として上記特徴が説明される。しかしながら、本発明の範囲は、記載された特徴のすべてまたは一部の組み合わせを有する実施形態を含むことができることに留意されたい。
【国際調査報告】