(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-11-01
(54)【発明の名称】電極組立体及び電気化学デバイス
(51)【国際特許分類】
H01M 10/04 20060101AFI20231025BHJP
H01M 10/0587 20100101ALI20231025BHJP
H01M 50/531 20210101ALI20231025BHJP
H01M 50/586 20210101ALI20231025BHJP
H01M 50/593 20210101ALI20231025BHJP
【FI】
H01M10/04 W
H01M10/0587
H01M50/531
H01M50/586
H01M50/593
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023521134
(86)(22)【出願日】2020-12-30
(85)【翻訳文提出日】2023-04-05
(86)【国際出願番号】 CN2020141276
(87)【国際公開番号】W WO2022141161
(87)【国際公開日】2022-07-07
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】513054978
【氏名又は名称】寧徳新能源科技有限公司
【氏名又は名称原語表記】Ningde Amperex Technology Limited
【住所又は居所原語表記】No.1 Xingang Road, Zhangwan Town, Jiaocheng District, Ningde City, Fujian Province, 352100, People’s Republic of China
(74)【代理人】
【識別番号】110002848
【氏名又は名称】弁理士法人NIP&SBPJ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】呉 華
(72)【発明者】
【氏名】趙 義
(72)【発明者】
【氏名】彭 業軍
(72)【発明者】
【氏名】郭 培培
【テーマコード(参考)】
5H028
5H029
5H043
【Fターム(参考)】
5H028AA05
5H028CC07
5H028CC08
5H028CC12
5H028HH05
5H029AJ12
5H029BJ14
5H029DJ14
5H029HJ04
5H029HJ07
5H043AA04
5H043BA19
5H043CA12
5H043GA22
5H043GA24
5H043JA01E
5H043LA02E
5H043LA11E
(57)【要約】
本願は、正極シート、負極シート、セパレータ、及び正極タブを含む電極組立体を提供する。正極シートは、正極集電体と、正極集電体の表面に設けられた正極活物質層とを含み、負極シートは、負極集電体と、負極集電体の表面に設けられた負極活物質層とを含み、セパレータは、正極シートと負極シートとの間に設けられている。前記正極活物質層には、第1凹溝が設けられる。前記正極タブの一端は前記第1凹溝内に設けられ、且つ前記正極集電体と電気的に接続されている。前記負極活物質層には、第2凹溝が設けられる。前記第2凹溝は、前記第1凹溝に対応し、且つ前記電極組立体の厚さ方向に沿って前記負極集電体まで延びている。第2凹溝には、第1保護ゴムが設けられている。これにより、凹溝の部位と電極シートの本体領域との厚さの一致性が保証され、タブ位置の電圧不足問題が改善され、短絡リスクも低減される。また、本願は上記電極組立体を備える電気化学デバイスを提供する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
正極集電体と前記正極集電体の表面に設ける正極活物質層とを含む正極シートと、
負極集電体と前記負極集電体の表面に設ける負極活物質層とを含む負極シートと、
前記正極シートと前記負極シートとの間に設けられるセパレータと、
前記正極集電体と電気的に接続する正極タブと、を備える電極組立体であって、
前記正極活物質層には第1凹溝が設けられ、前記正極タブの一端は前記第1凹溝内に設けられ、且つ前記正極集電体と電気的に接続し、
前記負極活物質層には第2凹溝が設けられ、前記第2凹溝は前記第1凹溝に対応し、前記第2凹溝は前記電極組立体の厚さ方向に沿って前記負極集電体まで延び、前記第2凹溝の内部には第1保護ゴムが設けられていることを特徴とする電極組立体。
【請求項2】
前記電極組立体の厚さ方向に沿って、前記第1保護ゴムの厚さは、前記第2凹溝の深さよりも小さいかまたはそれに等しいことを特徴とする請求項1に記載の電極組立体。
【請求項3】
前記正極シートは、対向して設けられた第1端と第2端とを含み、前記第1端から前記第2端に向かって延びる方向において、前記正極タブの幅は前記第2凹溝の幅よりも小さいことを特徴とする請求項1に記載の電極組立体。
【請求項4】
前記第1保護ゴムの周縁部は、前記負極活物質層に接触していることを特徴とする請求項1に記載の電極組立体。
【請求項5】
前記正極シート、前記セパレータ及び前記負極シートは、順次に捲回されて設置されていることを特徴とする請求項1に記載の電極組立体。
【請求項6】
前記正極シートには、前記第1凹溝を覆う第1絶縁部材が設けられていることを特徴とする請求項1に記載の電極組立体。
【請求項7】
前記第1絶縁部材は、前記正極活物質層の一部を被覆していることを特徴とする請求項6に記載の電極組立体。
【請求項8】
前記負極シートには、前記第2凹溝を覆う第2絶縁部材が設けられていることを特徴とする請求項6に記載の電極組立体。
【請求項9】
前記第2絶縁部材は、前記負極活物質層の一部を被覆していることを特徴とする請求項8に記載の電極組立体。
【請求項10】
前記電極組立体の厚み方向において、前記第1絶縁部材の投影面積は、前記第2絶縁部材の投影面積よりも大きいことを特徴とする請求項8に記載の電極組立体。
【請求項11】
前記第一凹溝内には、第二保護ゴムが設けられていることを特徴とする請求項1に記載の電極組立体。
【請求項12】
前記第2保護ゴムの周縁部は、前記正極活物質層に接触していることを特徴とする請求項11に記載の電極組立体。
【請求項13】
包装ケースと、請求項1~12の何れか一項に記載の電極組立体とを備え、前記電極組立体は、前記包装ケースの中に収容されることを特徴とする電気化学デバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、電池分野に関し、特に電極組立体及びこの電極組立体を備える電気化学デバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
リチウムイオン電池は現在、消費者電子や電動工具などの便利なシーンに広く応用されており、急速充電型の電池セルは市場での応用比率がますます高くなっている。近年、急速充電型電池セルの発展に伴い、より低内部抵抗の電池セル構造が求められている。これに加え、電極シートの中間に凹溝をあけて、電極シートの中央にタブを溶接させる構造が開発されて応用されている。しかし、この構造では、凹溝の位置には局所的に大きな厚さ差が存在し、電極シートの表面の一致性が悪くなり、電池セルの化成プロセスにおける一部の領域の電圧不足を招き、これにより、電池セルのリサイクル後期に、欠陥領域の界面浸潤不良によるリチウム析出問題が発生し、内部短絡による熱暴走が発生しやすい。
【発明の概要】
【0003】
上記の状況に鑑みて、本願は、凹溝に第1保護ゴムを充填することにより、凹溝部位と電極シートの本体領域との厚みの一致性を保証し、タブ位置における電圧不足問題を改善し、リチウム析出問題のリスクを低減できる電極組立体及びこの電極組立体を備える電気化学デバイスを提供する。
【0004】
本願の実施形態に係る電極組立体は、正極シート、負極シート、セパレータ、及び正極タブを含む。前記正極シートは、正極集電体と、前記正極集電体の表面に設けられた正極活物質層とを含む。前記負極シートは、負極集電体と、前記負極集電体の表面に設けられた負極活物質層とを含む。前記セパレータは、前記正極シートと前記負極シートとの間に設けられている。前記正極タブは、前記正極集電体と電気的に接続される。前記正極活物質層には、第1凹溝が設けられる。前記正極タブの一端は、前記第1凹溝内に設けられ、且つ前記正極集電体に電気的に接続される。前記負極活物質層には、第2凹溝が設けられる。前記第2凹溝は、前記第1凹溝に対応し、且つ前記電極組立体の厚さ方向に沿って前記負極集電体まで延びている。前記第2凹溝内には、第1保護ゴムが設けられている。
【0005】
一態様によれば、前記電極組立体の厚さ方向に沿って、前記第1保護ゴムの厚さは、前記第2凹溝の深さよりも小さいかまたはそれに等しい。
【0006】
一態様によれば、前記正極シートは、対向して設けられた第1端と第2端とを含み、前記第1端から前記第2端に向かって延びる方向において、前記正極タブの幅は前記第2凹溝の幅よりも小さい。
【0007】
一態様によれば、前記第1保護ゴムの周縁部は、前記負極活物質層に接触している。
【0008】
一態様によれば、前記正極シート、前記セパレータ及び前記負極シートは、順次に捲回されて設置されている。
【0009】
一態様によれば、前記正極シートには、前記第1凹溝を覆う第1絶縁部材が設けられている。
【0010】
一態様によれば、前記第1絶縁部材は、前記正極活物質層の一部を被覆している。
【0011】
一態様によれば、前記負極シートには、前記第2凹溝を覆う第2絶縁部材が設けられている。
【0012】
一態様によれば、前記第2絶縁部材は、前記負極活物質層の一部を被覆している。
【0013】
一態様によれば、前記電極組立体の厚み方向において、前記第1絶縁部材の投影面積は、前記第2絶縁部材の投影面積よりも大きい。
【0014】
一態様によれば、前記第一凹溝内には、第二保護ゴムが設けられている。
【0015】
一態様によれば、前記第2保護ゴムの周縁部は、前記正極活物質層に接触している。
【0016】
一態様によれば、前記第1保護ゴムは、紙、コーティングされた接着層、又は充填された接着剤である。
【0017】
一態様によれば、前記第1保護ゴムの幅はW1であり、前記第2凹溝の幅はW2であり、前記第2絶縁部材の幅はW3であり、前記第1絶縁部材の幅はW4であり、ここで、W1<W2<W3<W4である。
【0018】
一態様によれば、前記第1保護ゴムの長さはL1であり、前記第2凹溝の長さはL2であり、前記第2絶縁部材の長さはL3であり、前記第1絶縁部材の長さはL4であり、ここで、L1<L2<L3<L4である。
【0019】
一態様によれば、前記第1保護ゴムの厚さをT1、前記第2凹溝の深さをT2とし、ここで、T1≦T2である。
【0020】
一態様によれば、前記第2凹溝と前記第1保護ゴムとの間の寸法関係は、0mm≦L2-L1≦5mm、0mm≦W2-W1≦5mm、0μm≦T2-T1≦20μmを満たす。
【0021】
一態様によれば、前記第2凹溝と前記第1保護ゴムとの間の寸法関係は、1mm≦L2-L1≦5mm、1mm≦W2-W1≦5mm、0μm≦T2-T1≦20μmを満たす。
【0022】
一態様によれば、前記第2凹溝と前記第2絶縁部材との間の寸法関係は、1mm≦L3-L2≦5mm、1mm≦W3-W2≦5mmを満たす。
【0023】
一態様によれば、前記第1絶縁部材と前記第2絶縁部材との間の寸法関係は、1mm≦L4-L3≦10mm、1mm≦W4-W3≦10mmを満たす。
【0024】
一態様によれば、第1絶縁部材と第2凹溝との間の寸法関係は、1mm≦L4-L2≦10mm、1mm≦W4-W2≦10mmを満たす。
【0025】
一態様によれば、第1保護ゴムと第2凹溝との間の寸法関係は、W1=W2、L1=L2を満たす。
【0026】
一態様によれば、正極タブの幅はW0であり、正極タブの第1凹溝内に位置する部分の長さはL0であり、ここで、L0<L1=L2、W0<W1=W2。
【0027】
一態様によれば、第1絶縁部材と第2凹溝との間の寸法関係は、1mm≦L4-L2≦10mm、1mm≦W4-W2≦10mmを満たす。
【0028】
一態様によれば、第2保護ゴムの幅は第1凹溝の幅と同じW5であり、第2保護ゴムの長さは第1凹溝の長さと同じL5であり、第1凹溝と第2凹溝との間の寸法関係は、1mm≦L5-L2≦10mm、1mm≦W5-W2≦10mmを満たす。
【0029】
本願の実施形態は、包装ケースに収容された包装ケースと、前記電極組立体とを含む電気化学デバイスをさらに提供する。
【発明の効果】
【0030】
上記の電極組立体は、第2凹溝に第1保護ゴムを充填することにより、第2凹溝の部位と電極シートの本体領域との厚さが一致するように保証し、タブ位置における電圧不足の問題を改善し、リチウム析出のリスクを低減する。また、前記電極組立体において、前記第2凹溝は前記第1凹溝に対応するとともに、前記電極組立体の厚さ方向に沿って前記負極集電体まで延び、正極タブの溶接バリに十分な空間を残し、溶接バリが第2凹溝を貫通するのを防止する。溶接バリが第2凹溝を貫通している場合でも、正極タブと電気的に接続された正極集電体は、負極活物質層と接触するのではなく、負極集電体と接触し、最も危険な短絡状況の発生を防止する。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【
図1】第1実施例に係る電極組立体の捲回構造を示す図である。
【
図2】
図1に示した電極組立体のセパレータが省略された後の局所構造の概略図である。
【
図3】
図1に示した電極組立体における正極シートと負極シートとの展開構造の概略図である。
【
図4】第2実施例に係る電極組立体の捲回構造を示す図である。
【
図5】
図4に示した電極組立体のセパレータが省略された後の局所構造の概略図である。
【
図6】
図4に示した電極組立体における正極シートと負極シートとの展開構造の概略図である。
【
図7】第3実施例に係る電極組立体の捲回構造を示す図である。
【
図8】
図7に示した電極組立体のセパレータが省略された後の局所構造の概略図である。
【
図9】
図7に示した電極組立体における正極シートと負極シートとの展開構造の概略図である。
【
図10】第4実施例に係る電極組立体の捲回構造を示す図である。
【
図11】
図10に示した電極組立体のセパレータが省略された後の局所構造の概略図である。
【
図12】
図10に示した電極組立体における正極シートと負極シートとの展開構造の概略図である。
【
図13】第5実施例に係る電極組立体の捲回構造を示す図である。
【
図14】
図13に示した電極組立体のセパレータが省略された後の局所構造の概略図である。
【
図15】
図13に示した電極組立体における正極シートと負極シートとの展開構造の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下、本願の実施形態の図面に関連して、本願の実施形態の技術的態様を明確且つ完全に説明する。明らかに、説明された実施形態は本願の一部の実施形態にすぎず、すべての実施形態ではない。1つの部品が他の部品に「固定される」と称される場合、それは直接に他の部品に存在してもよいし、他の要素を介由して固定されてもよい。また、1つの部品が他の部品に「接続される」と称される場合、それは直接に他の部品に接続されてもよいし、同時に中間媒体が存在してもよい。また、1つの部品が他の部品に「設けられる」と称される場合、それは直接に他の部品に設けられてもよいし、同時に中間媒体が存在してもよい。本文で使用される用語「垂直」、「水平」、「左」、「右」及びこれらに類似する表現は、説明の目的のためだけに使用される。
【0033】
別段の定義がない限り、本明細書で使用されるすべての技術用語及び科学用語は、本願の技術分野に属する技術者が一般に理解する意味と同じである。本明細書で使用される用語は、具体的な実施形態を説明するためだけであり、本願を限定することを意味するものではない。本明細書で使用される用語「または/及び」は、1つまたは複数の関連する項目の任意及びすべての組み合わせを含む。
【0034】
本願の実施形態による電極組立体は、正極シート、負極シート、セパレータ、及び正極タブを含む。前記正極シートは、正極集電体と、前記正極集電体の表面に設けられた正極活物質層とを含む。前記負極シートは、前記正極シートと積層して配置されており、負極集電体と、前記負極集電体の表面に設けられた負極活物質層とを含む。前記セパレータは、前記正極シートと前記負極シートとの間に設けられている。前記正極タブは、前記正極集電体と電気的に接続される。前記正極活物質層には、第1凹溝が設けられる。前記正極タブの一端は、前記第1凹溝内に設けられ、且つ前記正極集電体に電気的に接続される。前記負極活物質層には、第2凹溝が設けられる。前記第2凹溝は、前記第1凹溝に対応し、且つ前記電極組立体の厚さ方向に沿って前記負極集電体まで延びている。前記第2凹溝内には、第1保護ゴムが設けられている。
【0035】
上記の電極組立体は、第2凹溝に第1保護ゴムを充填することにより、第2凹溝の部位と電極シートの本体領域との厚さが一致するように保証し、タブ位置における電圧不足の問題を改善し、リチウム析出のリスクを低減する。前記第2凹溝は、前記第1凹溝に対応するとともに、前記電極組立体の厚さ方向に沿って前記負極集電体まで延びて、正極タブの溶接バリに十分な空間を残し、溶接バリが第2凹溝を貫通するのを防止する。溶接バリが第2凹溝を貫通する場合でも、正極タブと電気的に接続された正極集電体は、負極活物質層と接触するのではなく、負極集電体と接触し、最も危険な短絡状況の発生を防止する。
【0036】
本願のいくつかの実施例について詳細に説明する。衝突しない場合、下記の実施例及び実施例における特徴は、互いに組み合わせることができる。
【0037】
〔第1実施例〕
図1、
図2及び
図3に示すように、電極組立体100は、正極シート10、負極シート20、セパレータ30、正極タブ41及び負極タブ42を含む。前記正極シート10と前記負極シート20は、積層して捲回されるように配置される。前記セパレータ30は、前記正極シート10と前記負極シート20との間に設けられる。前記正極タブ41は、前記正極シート10に電気的に接続される。前記負極タブ42は、前記負極シート20に電気的に接続される。
【0038】
具体的には、
図2に示すように、前記正極シート10は、正極集電体11と、前記正極集電体11の表面に設けられた正極活物質層12とを含む。本実施例では、前記正極集電体11の対向する両側の表面には、それぞれ前記正極活物質層12が設けられている。前記正極活物質層12には、第1凹溝13と第3凹溝14がそれぞれ設けられている。前記電極組立体100の厚さ方向、即ち
図2における矢印Aで示す方向に沿って、前記第1凹溝13と前記第3凹溝14との投影が重なっている。前記正極集電体11の前記第1凹溝13に対応する部分は、前記第1凹溝13と前記第3凹溝14から露出している。前記正極タブ41の一端は、前記第1凹溝13内に設けられ、且つ前記正極集電体11と電気的に接続されている。前記正極タブ41と前記正極集電体11との接続方法は、超音波溶接、ホットメルト溶接などを含むが、これらに限定されない。前記第3凹溝14の配置は、溶接中に溶接ヘッドと溶接ホルダが正極活物質層12により汚染されることによる溶接失敗を回避するのに有利である一方、タブの厚さが第1凹溝13の深さよりも大きい場合、第1凹溝13内の正極集電体11は第3凹溝14に向かって凹むことができ、それによって、第3凹溝14が正極タブ41の厚みを吸収でき、正極タブ41が正極シート10の表面から突出するのが回避され、電極組立体100の全体的な厚さが均一に維持される。前記負極シート20は、負極集電体21と、前記負極集電体21の表面に設けられた負極活物質層22とを含む。本実施例では、前記負極集電体21の対向する両側の表面には、それぞれ前記負極活物質層22が設けられている。前記負極活物質層22には、前記第1凹溝13に対応する第2凹溝23と、前記第3凹溝14に対応する第4凹溝24とが離間して設けられている。さらに、前記第2凹溝23は前記電極組立体100の厚さ方向に沿って前記負極集電体21まで延在し、前記第4凹溝24は前記電極組立体100の厚さ方向に沿って前記負極集電体21まで延在し、それにより、第2凹溝23及び第4凹溝24の中でリチウム析出によるバリがタブと接触することによる電極アセンブリ100の内部短絡を防止することができる。電極組立体100の厚さ方向は、
図2における矢印Aで示す方向である。前記第2凹溝23は前記第1凹溝13に対応し、前記第4凹溝24は前記第3凹溝14に対応している。しかも、第2凹溝23と第4凹溝24は、前記電極組立体100の厚さ方向に沿って前記負極集電体21まで延びており、正極タブ41の溶接バリに十分な空間を残し、溶接バリが第2凹溝23を貫通するのを防止している。溶接バリが第2凹溝23を貫通する場合でも、正極タブ41と電気的に接続された正極集電体11は負極活物質層22と接触するのではなく、負極集電体21と接触し、最も危険な短絡状況の発生を防止する。前記第2凹溝23及び前記第4凹溝24内には、凹溝自体が活物質を除去された後に生じる厚さ差を解決し、凹溝部位と電極シートの本体領域との厚さの一致性を保証し、さらに電極組立体100のサイクル性能の一致性を維持し、電極組立体100の動力学性能を改善するために、第1保護ゴム50がさらに設けられている。前記第1保護ゴム50は、絶縁性を有し、凹溝部位の厚さ差を補うことができればよく、粘着テープ又は他の流動性の充填接着剤を含むが、これらに限定されない。
【0039】
再び
図2を参照すると、電極組立体100の厚さ方向に沿って、第1保護ゴム50の厚さは、第1保護ゴム50が凹溝に充填された後にセパレータ30にオーバーフローして、局所的な領域の厚さの増加を防止するために、第2凹溝23と第4凹溝24との深さよりも小さいかまたはそれに等しい。
図3に示すように、第1実施例では、前記第1保護ゴム50は、対応する凹溝の中央に位置して、その周縁部と前記負極活物質層22との間に隙間を空けるようにし、第1保護ゴム50の充填時のオーバーフロー問題を解決する。なお、他の実施例において、前記第1保護ゴム50の周縁部は前記負極活物質層22と接触可能であり、本願はこれに限定されない。
【0040】
さらに、前記正極シート10は、対向配置された第1端101と第2端102とを含む。第1端101から第2端102に向かって延びる方向、即ち
図2における矢印Bで示す方向において、正極タブ41が第2凹溝23の縁の負極活物質層22と不意に接触して短絡することを回避するために、前記正極タブ41の幅は前記第2凹溝23の幅よりも小さい。さらに、電極組立体100のプロセスを簡略化するために、第1凹溝13、第3凹溝14、第2凹溝23、及び第4凹溝24の幅はほぼ同じである。勿論、他の実施例では、第1凹溝13、第3凹溝14、第2凹溝23、及び第4凹溝24の幅は互いに異なっていてもよい。
【0041】
再び
図2及び
図3を参照すると、電極組立体100は、第1絶縁部材60及び第2絶縁部材70をさらに含む。前記第1絶縁部材60は前記正極シート10に設けられ、前記第2絶縁部材70は前記負極シート20に設けられる。2つの第1絶縁部材60は、それぞれ第1凹溝13と第3凹溝14とを覆い、且つ正極活物質層12の一部を覆っている。2つの第2絶縁部材70は、それぞれ第2凹溝23と第4凹溝24とを覆い、且つ負極活物質層22の一部を覆っている。正極活物質層12と負極活物質層22との寸法が等しい場合には、負極活物質層22の被覆されていない面積が正極活物質層12の被覆されていない面積よりも大きくなり、負極シート20に十分なリチウム埋め込み位置があり、リチウム析出問題の発生を低減するために、前記正極シート10と前記負極シート20との積層方向に沿って、前記第1絶縁部材60の正方向の投影面積が前記第2絶縁部材70の正方向の投影面積よりも大きい。具体的には、
図2における矢印Aで示す方向に沿って、前記第1絶縁部材60の幅は、前記第2絶縁部材70の幅よりも大きい。
【0042】
前記第1絶縁部材60と前記第2絶縁部材70との厚さを10μm-20μmとすることにより、電極組立体100の局所的な厚さが増加しないようにする。第1絶縁部材60は、第2絶縁部材70と同様の材料であり、粘着テープなどの絶縁材料を含むがこれらに限定されるものではない。本実施例では、第1絶縁部材60と第2絶縁部材70は、基材層と接着層とを含む片面テープである。ここで、十分な剛性充填効果を提供し、凹溝部位と電極シートの本体部との厚さ差を小さくするために、基材層の厚さは粘着テープの厚さの1/5~1/4を占める。
【0043】
本実施例において、
図2における矢印Bが示す方向に沿って、前記第1保護ゴム50の幅はW1であり、前記第2凹溝23の幅はW2であり、前記第2絶縁部材70の幅はW3であり、前記第1絶縁部材60の幅はW4である。ここで、W1<W2<W3<W4である。
【0044】
前記正極シート10は、対向して配置されている第1側辺103と第2側辺104とを有する。前記第1端101と前記第2端部102は、前記第1側辺103と前記第2側辺104とに接続されている。前記第1側辺103から前記第2側辺104へと延びる方向、即ち
図3における矢印Cで示す方向において、前記第1保護ゴム50の長さはL1であり、前記第2凹溝23の長さはL2であり、前記第2絶縁部材70の長さはL3であり、前記第1絶縁部材60の長さはL4である。ここで、L1<L2<L3<L4である。
【0045】
前記電極組立体100の厚み方向、即ち
図2における矢印Aで示す方向に沿って、前記第1保護ゴムの厚さはT1であり、前記第2凹溝23の深さはT2であり、ただし、T1≦T2である。前記第1凹溝13の大きさは、前記第3凹溝14の大きさと同じである。前記第2凹溝23の大きさは、前記第4凹溝24の大きさと同じである。
【0046】
寸法設計のニーズに基づいて、前記第2凹溝23と前記第1保護ゴム50との間の寸法関係は、1mm≦L2-L1≦5mm、1mm≦W2-W1≦5mm、0μm≦T2-T1≦20μmを満たす。前記第1保護ゴム50の厚さは、実際の負極活物質層22を圧密した後の厚さに応じて調整されることができる。
【0047】
前記第2凹溝23と前記第2絶縁部材70との間の寸法関係は、1mm≦L3-L2≦5mm、1mm≦W3-W2≦5mmを満たす。
【0048】
前記第1絶縁部材60と前記第2絶縁部材70との間の寸法関係は、1mm≦L4-L3≦10mm、1mm≦W4-W3≦10mmを満たす。
【0049】
前記負極タブ42は、前記負極集電体21と電気的に接続されている。負極タブ42は、正極タブ41と同様の設け方をしており、正極シート10と負極シート20の極性特性に応じて適応的に修正すればよく、ここではこれ以上述べない。
【0050】
〔第2実施例〕
図4、
図5及び
図6に示すように、第2実施例に係る電極組立体200は、第1実施例の電極組立体100とほぼ同じであるが、電極組立体200の負極シート20に第2凹溝23及び第4凹溝24を覆う第2絶縁部材70が設けられていない点が異なる。第2絶縁部材70を省略することで、第1絶縁部材60の大きさを小さくすることができ、電極組立体200のエネルギー密度の向上に寄与する。
【0051】
第2実施例では、第2凹溝23と第1保護ゴム50との間の寸法関係は、1mm≦L2-L1≦5mm、1mm≦W2-W1≦5mm、0μm≦T2-T1≦20μmである。
【0052】
第1絶縁部材60と第1凹溝23との間の寸法関係は、1mm≦L4-L2≦10mm、1mm≦W4-W2≦10mmを満たす。
【0053】
〔第3実施例〕
図7、
図8及び
図9に示すように、第3実施例に係る電極組立体300は、第1実施例の電極組立体100とほぼ同じであるが、電極アセンブリ300において、第1保護ゴム50と第2凹溝23または第4凹溝24との間の隙間をなくすために、第1保護ゴム50は第2凹溝23および第4凹溝24内に等面積で充填され、第1保護ゴム50の周縁が前記負極活物質層22に接触している。第1保護ゴム50は、硬化しても流動性が生じない。凹溝内の隙間をなくすことは、電極組立体300が後続で加圧される過程で活物質が溢れ出ないようにし、電極組立体300の耐圧性能と使用寿命を向上させるのに有利である。
【0054】
再び
図8及び
図9を参照すると、第1保護ゴム50の幅はW1であり、第1保護ゴム50の長さはL1である。第2凹溝23の幅はW2であり、第2凹溝23の長さはL2である。第2凹溝23には第1保護ゴム50が等面積で充填されているため、第1保護ゴム50と第2凹溝23との間の寸法関係は、W1=W2、L1=L2を満たす。
【0055】
正極タブ41の幅はW0であり、正極タブ41の第1凹溝13内に位置する長さはL0であり、ここで、L0<L1=L2、W0<W1=W2である。正極タブ41の第1凹溝13内に位置する部分が第1保護ゴム50により完全に覆われているため、正極タブ41が負極活物質層22と意図せず接触する可能性を低減するのに有利である。
【0056】
〔第4実施例〕
図10、
図11及び
図12に示すように、第4実施例に係る電極組立体400は、第3実施例の電極組立体300とほぼ同じであるが、電極組立体400の負極シート20に第2凹溝23及び第4凹溝24を覆う第2絶縁部材70が設けられていない点が異なる。
【0057】
第4実施例では、第2凹溝23と第1保護ゴム50との間の寸法関係は、L2=L1、W2=W1、0μm≦T2-T1≦20μmを満たす。
【0058】
第一絶縁部材60と第二凹溝23との間の寸法関係は、1mm≦L4-L2≦10mm、1mm≦W4-W2≦10mmを満たす。
【0059】
〔第5実施例〕
図13、
図14及び
図15に示すように、第5実施例に係る電極組立体500は、電極組立体500において第1絶縁部材60が設けられておらず、第1凹溝13と第3凹溝14内には第2保護ゴム80が設けられている点を除いて、第4実施例の電極組立体400とほぼ同じである。電極組立体500の構造によって、第1絶縁部材60と第2絶縁部材70が占有する厚さ空間を省き、電極組立体500のエネルギー密度を高めることができる。また、第1保護ゴム50と第2保護ゴム80との充填は絶縁作用を果たすことができるとともに、電極シートの表面平坦度を保証することができ、凹溝部位と電極シートの本体部との間の厚さ差を低減することができる。
【0060】
前記第2保護ゴム80は第1凹溝13及び第3凹溝14の中に等面積で充填され、第2保護ゴム80の周縁は前記正極活物質層12に接触している。第2保護ゴム80は硬化した後に、流動性を生じない。凹溝内の隙間をなくすことは、電極組立体500が後続に加圧される過程で活物質が溢れるのを回避し、電極組立体500の耐圧性能と使用寿命を向上させるのに有利である。
【0061】
本実施例では、負極シート20に十分なリチウム埋め込み位置があることを保証し、リチウム析出リスクを低減するために、正極シート10と負極シート20の積層方向に沿って、第1凹溝13の投影面積は第2凹溝23の投影面積よりも大きい。前記第1凹溝13の寸法は、前記第3凹溝14の寸法と同じである。前記第2凹溝23の寸法は、前記第4凹溝24の寸法と同じである。
【0062】
再び
図14及び
図15を参照すると、第5実施例において、第2保護ゴム80の幅は、第1凹溝13の幅と同じW5である。第2保護ゴム80の長さは、第1凹溝13の長さと同じL5である。第1凹溝13は、第3凹溝14のサイズと同じであり、その深さがT3である。第2保護ゴム80の厚さは、T4である。ここで、0μm≦T4-T3≦20μm。第2保護ゴム80の厚さは、前記第1凹溝13と前記第3凹溝14との深さよりも小さいかまたはそれに等しい。
【0063】
正極タブ41の幅はW0であり、正極タブ41の長さはL0である。第2凹溝23の幅はW2であり、第2凹溝23の長さはL2である。ここで、1mm≦L2-L0≦5mm、1mm≦W2-W0≦5mmである。
【0064】
第1凹溝13と第2凹溝23との間の寸法関係は、1mm≦L5-L2≦10mm、1mm≦W5-W2≦10mmを満たす。
【0065】
本願の実施形態は、さらに、包装ケース(図示せず)と、上記の何れか1つの実施例又は実施例の組合せに記載の電極組立体とを備える電気化学デバイスを提供し、前記電極組立体は、前記包装ケースの中に収容されている。
【0066】
以上の実施形態は、本願の技術的態様を説明するためにのみ使用され、本願発明を限定するものではない。上述の好ましい実施形態を参照して本願発明を詳細に説明したが、当業者は、本願の技術的態様に対して修正したり、同等に置き換えたりして得られたものがいずれも本願の技術的態様の精神と範囲から逸脱していないと理解すべきである。
【符号の説明】
【0067】
100、200、300、400、500 電極組立体
10 正極シート
101 第1端
102 第2端
103 第1側辺
104 第2側辺
11 正極集電体
12 正極活物質層
13 第1凹溝
14 第3凹溝
20 負極シート
21 負極集電体
22 負極活物質層
23 第2凹溝
24 第4凹溝
30 セパレータ
41 正極タブ
42 負極タブ
50 第1保護ゴム
60 第1絶縁部材
70 第2絶縁部材
80 第2保護ゴム
【手続補正書】
【提出日】2023-04-05
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
正極集電体と前記正極集電体の表面に設ける正極活物質層とを含む正極シートと、
負極集電体と前記負極集電体の表面に設ける負極活物質層とを含む負極シートと、
前記正極シートと前記負極シートとの間に設けられるセパレータと、
前記正極集電体と電気的に接続する正極タブと、を備える電極組立体であって、
前記正極活物質層には第1凹溝が設けられ、前記正極タブの一端は前記第1凹溝内に設けられ、且つ前記正極集電体と電気的に接続し、
前記負極活物質層には第2凹溝が設けられ、前記第2凹溝は前記第1凹溝に対応し、前記第2凹溝は前記電極組立体の厚さ方向に沿って前記負極集電体まで延び、前記第2凹溝の内部には第1保護ゴムが設けられていることを特徴とする電極組立体。
【請求項2】
前記電極組立体の厚さ方向に沿って、前記第1保護ゴムの厚さは、前記第2凹溝の深さよりも小さいかまたはそれに等しいことを特徴とする請求項1に記載の電極組立体。
【請求項3】
前記正極シートは、対向して設けられた第1端と第2端とを含み、前記第1端から前記第2端に向かって延びる方向において、前記正極タブの幅は前記第2凹溝の幅よりも小さいことを特徴とする請求項1に記載の電極組立体。
【請求項4】
前記第1保護ゴムの周縁部は、前記負極活物質層に接触していることを特徴とする請求項1に記載の電極組立体。
【請求項5】
前記正極シート、前記セパレータ及び前記負極シートは、順次に捲回されて設置されていることを特徴とする請求項1に記載の電極組立体。
【請求項6】
前記正極シートには、前記第1凹溝を覆う第1絶縁部材が設けられていることを特徴とする請求項1に記載の電極組立体。
【請求項7】
前記第1絶縁部材は、前記正極活物質層の一部を被覆していることを特徴とする請求項6に記載の電極組立体。
【請求項8】
前記負極シートには、前記第2凹溝を覆う第2絶縁部材が設けられていることを特徴とする請求項6に記載の電極組立体。
【請求項9】
前記第2凹溝の幅はW2であり、前記第2絶縁部材の幅はW3であり、前記第1絶縁部材の幅はW4であり、ここで、W2<W3<W4であることを特徴とする請求項8に記載の電極組立体。
【請求項10】
前記第2絶縁部材は、前記負極活物質層の一部を被覆していることを特徴とする請求項8に記載の電極組立体。
【請求項11】
前記電極組立体の厚み方向において、前記第1絶縁部材の投影面積は、前記第2絶縁部材の投影面積よりも大きいことを特徴とする請求項8に記載の電極組立体。
【請求項12】
前記第一凹溝内には、第二保護ゴムが設けられていることを特徴とする請求項1に記載の電極組立体。
【請求項13】
前記第2保護ゴムの周縁部は、前記正極活物質層に接触していることを特徴とする請求項
12に記載の電極組立体。
【請求項14】
包装ケースと、請求項1~
13の何れか一項に記載の電極組立体とを備え、前記電極組立体は、前記包装ケースの中に収容されることを特徴とする電気化学デバイス。
【国際調査報告】