(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-11-01
(54)【発明の名称】栽培領域のパラメータを予測する方法
(51)【国際特許分類】
G06Q 50/02 20120101AFI20231025BHJP
【FI】
G06Q50/02
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023521286
(86)(22)【出願日】2021-10-08
(85)【翻訳文提出日】2023-05-15
(86)【国際出願番号】 EP2021077956
(87)【国際公開番号】W WO2022074244
(87)【国際公開日】2022-04-14
(32)【優先日】2020-10-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521508254
【氏名又は名称】ビーエーエスエフ アグロ トレードマークス ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】110002572
【氏名又は名称】弁理士法人平木国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ホフマン,ホルガー
(72)【発明者】
【氏名】ダウアディ,アーメド カリム
(72)【発明者】
【氏名】ノルテ,マニュエル
(72)【発明者】
【氏名】モラレス セペダ,ディエゴ アルマンド
(72)【発明者】
【氏名】チン,ヂシェン
(72)【発明者】
【氏名】エムボー,チョ ミルティン
【テーマコード(参考)】
5L049
【Fターム(参考)】
5L049CC01
(57)【要約】
本発明は栽培領域のパラメータ値を予測する方法に関し、本方法は、アンサンブルモデリング構造により、少なくとも1つの第1のモデル入力パラメータに基づいてアンサンブルモデリングを使用して、栽培領域に関する少なくとも1つの第1のモデル出力パラメータを生成すること(S1)と、機械学習構造により、少なくとも1つの第2のモデル入力パラメータに基づいて機械学習を使用して、栽培領域に関する少なくとも1つの第2のモデル出力パラメータを生成すること(S2)と、モデル併合構造により、少なくとも1つの第1のモデル出力パラメータ及び少なくとも1つの第1のモデル出力パラメータを併合して、栽培領域のパラメータ値を計算すること(S3)と、を含む方法。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
栽培領域のパラメータ値を予測する方法であって、前記方法は、
アンサンブルモデリング構造により、少なくとも1つの第1のモデル入力パラメータに基づいてアンサンブルモデリングを使用して、前記栽培領域に関する少なくとも1つの第1のモデル出力パラメータを生成するステップ(S1)と、
機械学習構造により、少なくとも1つの第2のモデル入力パラメータに基づいて機械学習を使用して、前記栽培領域に関する少なくとも1つの第2のモデル出力パラメータを生成するステップ(S2)と、
モデル併合構造により、前記少なくとも1つの第1のモデル出力パラメータ及び前記少なくとも1つの第2のモデル出力パラメータを併合して、前記栽培領域の前記パラメータ値を計算するステップ(S3)と、を含む方法。
【請求項2】
前記パラメータは、前記栽培領域で成長する植物の収量、前記栽培領域に対する肥料推奨、前記栽培領域に対するバイオマス推定、前記栽培領域に対する作物保護推奨若しくは前記栽培領域の作物土地価値推定、又は前記栽培領域に対する栄養要求であり、更なるステップにおいて、農業機器用の制御用データが、好ましくは前記パラメータに基づいて提供される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記少なくとも1つの第1のモデル出力パラメータ及び前記少なくとも1つの第2のモデル出力パラメータを併合して、前記栽培領域の前記パラメータ値を計算する前記ステップ(S3)は、加重和モデルを含む、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記少なくとも1つの第1のモデル入力パラメータは、化学土壌パラメータ、物理土壌パラメータ、種子特徴パラメータ、培養パラメータ、気候パラメータ、又は天気パラメータである、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記少なくとも1つの第2のモデル入力パラメータは、化学土壌パラメータ、物理土壌パラメータ、種子特徴パラメータ、培養パラメータ、気候パラメータ、又は天気パラメータである、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記アンサンブルモデリング構造は、分散コンピュータ環境において又はクラウドベースシステムにおいて実現され、前記少なくとも1つの第1のモデル入力パラメータに基づいて前記アンサンブルモデリングを使用して、前記栽培領域に関する前記少なくとも1つの第1のモデル出力パラメータを生成する前記方法又は少なくとも前記生成するステップ(S1)は、前記分散コンピュータ環境において又は前記クラウドベースシステムにおいて実施される、請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記機械学習構造は、ある分散コンピュータ環境若しくは前記分散コンピュータ環境において、又はあるクラウドベースシステム若しくは前記クラウドベースシステムにおいて実現され、前記少なくとも1つの第2のモデル入力パラメータに基づいて前記機械学習を使用して、前記栽培領域に関する前記少なくとも1つの第2のモデル出力パラメータを生成する前記方法又は少なくとも前記生成するステップ(S2)は、前記分散コンピュータ環境において又は前記クラウドベースシステムにおいて実施される、請求項1~6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記モデル併合構造は、ある分散コンピュータ環境若しくは前記分散コンピュータ環境において、又はあるクラウドベースシステム若しくは前記クラウドベースシステムにおいて実現され、前記少なくとも1つの第1のモデル出力パラメータ及び前記少なくとも1つの第2のモデル出力パラメータを併合して、前記栽培領域の前記パラメータ値を計算する前記方法又は少なくとも前記ステップ(S3)は、前記分散コンピュータ環境又は前記クラウドベースシステムにおいて実施される、請求項1~7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記アンサンブルモデリング構造は、組込みシステムにおいて実現され、前記少なくとも1つの第1のモデル入力パラメータに基づいて前記アンサンブルモデリングを使用して、前記栽培領域に関する前記少なくとも1つの第1のモデル出力パラメータを生成する前記方法又は少なくとも前記生成するステップ(S1)は、前記組込みシステムにおいて実施される、請求項1~8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記機械学習構造は、ある組込みシステム又は前記組込みシステムにおいて実現され、前記少なくとも1つの第2のモデル入力パラメータに基づいて前記機械学習を使用して、前記栽培領域に関する前記少なくとも1つの第2のモデル出力パラメータを生成する前記方法又は少なくとも前記生成するステップ(S2)は、前記組込みシステムにおいて実施される、請求項1~9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記モデル併合構造は、ある組込みシステム又は前記組込みシステムにおいて実現され、前記少なくとも1つの第1のモデル出力パラメータ及び前記少なくとも1つの第2のモデル出力パラメータを併合して前記栽培領域の前記パラメータ値を計算する前記方法又は少なくとも前記ステップ(S3)は、前記組込みシステムにおいて実施される、請求項1~10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記機械学習を使用して、前記栽培領域に関する前記少なくとも1つの第2のモデル出力パラメータを生成する前記ステップ(S2)は、前記少なくとも1つの第2のモデル入力パラメータに相関する訓練データを使用して実施される、請求項1~11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
栽培領域のパラメータ値を予測するシステム(100)であって、前記システムは、
少なくとも1つの第1のモデル入力パラメータに基づいてアンサンブルモデリングを使用して、前記栽培領域に関する少なくとも1つの第1のモデル出力パラメータを生成するように構成されているアンサンブルモデリング構造と、
少なくとも1つの第2のモデル入力パラメータに基づいて機械学習を使用して、前記栽培領域に関する少なくとも1つの第2のモデル出力パラメータを生成するように構成されている機械学習構造と、
前記少なくとも1つの第1のモデル出力パラメータ及び前記少なくとも1つの第2のモデル出力パラメータを併合して、前記栽培領域の前記パラメータ値を計算するように構成されているモデル併合構造と、を含む、システム。
【請求項14】
データ処理ユニットにより実行されると、請求項1~12のいずれか一項に記載の方法を行うように、及び/又は請求項13に記載のシステムを制御するように構成されている、コンピュータプログラム要素。
【請求項15】
栽培領域上に農産物を適用する方法であって、前記方法は、
請求項1~12のいずれか一項に従って、栽培領域のパラメータ値の予測を提供することと、
提供された予測された前記パラメータ値に基づいて、前記栽培領域上に農産物を適用するための、農業機器用の制御データを提供することと、
前記栽培領域上に前記農産物を適用することと、を含む方法。
【請求項16】
栽培領域上に製品を適用するシステムであって、前記システムは、
請求項1~12のいずれか一項に従って、栽培領域のパラメータ値の予測を提供する提供ユニットと、
提供された予測された前記パラメータ値に基づいて、前記栽培領域上に農産物を適用するための、農業機器を制御するための制御ユニットと、
前記栽培領域上に前記農産物を適用するための農業用車両及び/又は適用装置と、を備える、システム。
【請求項17】
請求項1~12のいずれか一項に記載の方法における、アンサンブルモデリング構造及び/又は機械学習構造の使用。
【請求項18】
農業機器用の制御データを提供するための、請求項1~12のいずれか一項に従って提供される栽培領域のパラメータ値、の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、栽培領域のパラメータ値を予測する方法及びシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
本開示の全般的な背景は、農業圃場、温室等であってもよい栽培領域における植物の処置である。植物、例えば実際の作物等、の処理は、栽培領域に存在する雑草の処理、栽培領域に存在する虫の処理、並びに栽培領域に存在する病原体の処理も含み得る。この点で、例えば、肥料、作物保護製品等のような特定の製品の消費量/必要性を評価するために、栽培領域の特定のパラメータ値の予想を手元に有することが、意思決定プロセス/処理プロセスにおける重要な側面である。そのような予測は、例えば半自動又は全自動植物処理システムにおいて、農業用装置/機器を制御するためにも重要であり得る。このような半自動又は全自動植物処理装置、例えばロボット、スマート噴霧器等は、栽培領域における雑草、虫及び/又は病原体を処理するように構成され得る。処理される異なる物体を自動的に検出及び特定するために、画像認識などの画像分析技術を使用することができる。この目的のため、植物処理装置は、カメラなどの画像キャプチャ装置を備えることができる。更に、動作中における実際の植物処理のために、植物処理装置は、噴霧ノズル、タンク、制御手段など植物処理手段を備えることができる。栽培領域又は栽培圃場へのスポット噴霧のための典型的な制御機構が、雑草を平均化すること及び雑草被覆率の閾値を比較することに基づいて制御されて、噴霧ノズル又は弁のオン/オフが決定される。
【0003】
これを考慮して、栽培領域のパラメータ値を予測する改善された方法を提供する更なる必要性が存在することが見出されており、栽培領域のそのような予測されたパラメータ値が、好ましくは、例えば農業機器を制御するための基礎として半自動又は全自動植物処理環境/システムにおいて使用され得る。
【0004】
したがって、本発明の目的は、栽培領域のパラメータ値を予測する改善された方法を提供することであり、栽培領域のそのような予測されたパラメータ値が、好ましくは、例えば農業機器を制御するための基礎として半自動又は全自動植物処理環境/システムにおいて使用され得る。
【0005】
これら及び他の目的は、以下の説明を読んだ上で明らかになり、独立請求項の主題により解決される。従属請求項は、本発明の好ましい実施形態を指す。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1の態様では、栽培領域のパラメータ又はパラメータ値を予測する方法が提供され、本方法は少なくとも以下のステップを含む。
【0007】
本方法の第1のステップとして、アンサンブルモデリング構造により、少なくとも1つの第1のモデル入力パラメータに基づいてアンサンブルモデリングを使用して、栽培領域に関する少なくとも1つの第1のモデル出力パラメータを生成するステップが実施される。
【0008】
本方法の第2のステップとして、機械学習構造により、少なくとも1つの第2のモデル入力パラメータに基づいて機械学習を使用して、栽培領域に関する少なくとも1つの第2のモデル出力パラメータを生成するステップが実施される。
【0009】
本方法の第3のステップとして、モデル併合構造により、少なくとも1つの第1のモデル出力パラメータ及び少なくとも1つの第2のモデル出力パラメータを併合して、栽培領域のパラメータを計算するステップが実施される。
【0010】
このように、本開示は、アンサンブルモデリング及び機械学習の組合せを使用/適用することにより、栽培領域のパラメータ値を予測する改善された方法を提供する。そのようなソリューションは、リアルタイム作物実践意思決定、のため使用することもできる。リアルタイムは意思決定を意味する。なぜなら、実際には、そのようなソリューションは、入力データを受信した後に非常に短時間で、例えば数秒よりも短い数ミリ秒で処理され得るからである。
【0011】
本開示によるアンサンブルモデリングは、選択された作物又は環境変数の時系列を、モデルアンサンブル及びアンサンブルモデリング技術を用いてモデル化することを指すことができる。
【0012】
本開示による用語「モデルアンサンブル」は、その性質が異なる複数のモデルのセットを指す場合があり、その性質は、例えば、プロセス、時間的及び/又は空間的分解能、考慮される入力タイプ、計算方法、又はそれら構造の他の関連する部品の、経験的、プロセスベース、物理的、機械学習、確率論的な表現である。これらのモデルアンサンブルを使用して、モデルの性質における不確定性を評価、カバー、及び補償することができ、その性質は、例えば、プロセス、時間的及び/又は空間的分解能、考慮される入力タイプ、計算方法、又はそれら構造の他の関連する部品の、経験的、プロセスベース、物理的、機械学習、確率論的な表現である。
【0013】
本開示による「アンサンブルモデリング技術」という用語は、モデルアンサンブルを使用する際の方法の範囲を指すことができる。アンサンブルモデリング技術は、モデルアンサンブルを、以下と組み合わせて使用することを含んでもよい。(i)様々なパラメータ化及び/又は初期化、(ii)モデルを駆動するための様々な、例えばディスターブされた入力時系列、及び/又は(iii)モデル/モデルアンサンブルの連結。これら技術を適用して、モデル不確定性を評価し、初期のパラメータにおける不確定性がカバーされ得ることを確実にできる。例えば、1)初期のパラメータ値の未知の真の値に起因する変動を評価しカバーするために、初期のパラメータ値が、有意性のある範囲内の値のアレイに設定されてモデル実行が生成されてもよい。2)様々な、例えば分散された、入力時系列を使用して、関心の対象である変数、例えば予想される天気予報、様々な天気データ生成物、の真の発展を含む可能性が高い入力時系列の変動を評価及びカバーしてもよい、及び/又は、3)モデル及びモデルアンサンブルの連結を使用して、関心の対象である変数へのモデル及びデータ性質/不確定性の影響を評価することができる(参照:例えば、「Future bloom and blossom frost risk for Malus domestica considering climate model and impact model uncertainties」、又は、「Meteorologically consistent bias correction of climate time series for agricultural models」;Holger Hoffmann/Thomas Rath)。
【0014】
用語「機械学習アルゴリズム」は、広く理解されるべきであり、好ましくは、決定木、単純ベイズ分類、最近傍法、ニューラルネットワーク、畳み込みニューラルネットワーク、敵対的生成ネットワーク、サポートベクターマシン、線形回帰、ロジスティック回帰、ランダムフォレスト、及び/又は勾配ブースティングアルゴリズムを含む。好ましくは、機械学習アルゴリズムは、高い次元を有する入力を遥かに低い次元の出力に処理するように構成されている。そのような機械学習アルゴリズムは、「訓練する」ことができるため「知的である」と称される。アルゴリズムは、訓練データのレコードを使用して訓練されてもよい。訓練データのレコードは、訓練入力データ、及び対応する訓練出力データを含む。訓練データのレコードの訓練出力データは、訓練データの同じレコードの訓練入力データが入力として与えられた場合に、機械学習アルゴリズムによって生成されると予想される結果である。この予想される結果と、アルゴリズムによって生成される実際の結果との間の偏差は、「損失関数」により観察され評価される。この損失関数は、機械学習アルゴリズムの内部処理チェーンのパラメータを調整するためのフィードバックとして使用される。例えば、パラメータは、損失関数の値を最小化するという最適化目標により調整することができ、全ての訓練入力データが機械学習アルゴリズムに入れられ、その結果が、対応する訓練出力データと比較されたときに得られる。この訓練の結果、訓練データのレコードの比較的少ない数が「グラウンドトゥルース」として与えられていても、機械学習アルゴリズムは、何桁も大きい数の入力データのレコードに対して、その作業を良好に実施することが可能である。
【0015】
より具体的な実施例では、アンサンブルモデリングは、以下を含んでもよい:
1)様々な時系列の天気予報シナリオ
2)作物収量モデルアンサンブル
3)モデルを初期化するための、様々な環境変数値(例えば、モデル初期化における土壌水分状況)に関する仮定
4)モデルのパラメータ値に関する仮定
作物収量モデル(2)は、パラメータ設定(3)により初期化され、(4)を使用して入力データ(1)により駆動される。この手順は、過去及び/又は将来に対して、シミュレートされた時系列(すなわち、予測)を生成できる。これにより、(2)の各モデルアンサンブル要素が、初期のパラメータ設定(3)で実行され、(4)を使用して入力データ(1)により駆動され、その結果、各モデルに対して複数の予測が得られる。このプロセスの間、より可能性が高い予測を特定するために、単一のモデル予測の各々が、リモートセンシング又はグラウンドトゥルース作物/圃場/他の環境データ観察(Tewes et al.2020a,2020b,2020c)の支援により重み付けされる。
【0016】
モデルアンサンブルは、(1)プロセスベース/経験的モデル、及び(2)機械学習データ駆動モデルを含んでもよい。モデルアンサンブルは、最も好ましくは、(1)プロセスベース/経験的モデルだけを含んでもよく、すなわち、機械学習データ駆動モデルを含まなくてもよい。両方のモデルタイプを組み合わせることは、特に以下の利点を提供し得る:
・そのような手法は、機械学習モデルをプロセスベースモデルと比較してベンチマークすることを可能にする;
・そのような手法は、データ入手可能性が低い状況に対して、プロセスベースモデルのより良好なモデル候補を特定して機械学習モデルを訓練することを可能にする;及び、
・そのような手法は、アンサンブル変動性に基づいてモデルを訓練して、変動性、例えば収量変動性を予測することを可能にする。
【0017】
プロセスベースモデル/経験的モデルは較正されてもよく、機械学習データ駆動モデルは、使用の前に、圃場観察を用いて訓練されてもよく、圃場観察は、なかでも以下を含むが必須ではない:
・作物、
・多様性、
・播種日付、
・収穫日付、
・観察された成長段階、
・土壌、
・天気、
・バイオマス/葉領域観察、
・収量、
・作物管理情報(例えば、灌漑及び/又は施肥)、及び/又は
・作物健康情報(例えば、病気)。
【0018】
次いで、これらのモデルは、なかでも以下を含むが必須ではない、以下の入力を使用して、例えば収量を予測するために実行される:
・作物、
・多様性、
・播種日付、
・土壌、
・天気、
・バイオマス/葉領域観察、
・作物管理情報(例えば、灌漑及び/又は施肥)、及び/又は
・作物健康情報(例えば、病気)。
【0019】
次いで、プロセスベースモデルは、なかでも以下を含むが必須ではない以下の変数を、連続的に(例えば、毎日)出力することができる:
・所与の作物器官/葉領域のバイオマス、
・作物成長段階、
・収量、及び/又は
・栄養及び水分の要求と比較した、栄養及び水分の取り込みに関する作物ストレスインデックス。
【0020】
次いで、機械学習モデルは、なかでも以下を含むが必須ではない以下の変数を、連続的に(例えば、毎日)出力することができる:
・収量、及び/又は
・モデルが訓練される他の変数。
【0021】
モデルは様々なアンサンブル要素に起因し、アンサンブルモデリング技術は、以下のように使用/併合され得る:
・所与の単一モデルの、より可能性が高い予測を特定するために、同じ入力(例えば、駆動する天気データ又は播種データ)に基づく、単一のプロセスベースモデル又は単一の機械学習モデルの両方の複数の予測が、リモートセンシング又はグラウンドトゥルース作物/圃場/他の環境データ観察(Tewes et al.2020a,2020b,2020c)の支援により重み付けされる。これらの実行を使用して、将来を予測し続ける、及び/又は、
・所与の条件下で達成される上限収量及び下限収量で訓練された機械学習モデルを使用して、外れ値(例えば、可能性が低い予測収量)を特定し除去する。
【0022】
このプロセスは、所与の条件下で達成される可能性が高い上限収量及び下限収量に対して調整された、プロセスベース及び機械学習を組み合わせたアンサンブルを可能にする。
【0023】
本開示の一実施形態によれば、パラメータは、栽培領域で成長する植物の収量、栽培領域に対する肥料予測、栽培領域に対するバイオマス推定、栽培領域に対する作物保護推奨若しくは栽培領域の作物土地価値推定、又は栽培領域に対する栄養要求、である。用語「収量」は、単位面積(例えば、ヘクタール又は平方メートルで示される)当たりの及び植生期間(例えば、シーズン)当たりの収穫された植物又は作物のバイオマス(例えば、トン又はキログラム単位で示される)であり、収量は、例えば、ヘクタール当たりのトン又はヘクタール当たりのキログラムとして示される。とりわけ、本開示における「収量」という用語は、いわゆる「生物学的収量」及びいわゆる「経済的収量」の両方を意味し得る。「生物学的収量」は、「単位面積当たり及び成長シーズン当たりに生産される、根を含む総植物質量(バイオマス)」として定義される。「経済的収量」について、「植物が成長する部位近傍の」「植物器官だけ又は構成要素だけ」が考慮され、「高い生物学的収量が、高い経済的収量に対する基礎である」(Hans Mohr,Peter Schopfer,Lehrbuch der Pflanzenphysiologie,3rd edition,Berlin/Heidelberg 1978,p.560-561を参照)。
【0024】
本開示の一実施形態によれば、少なくとも1つの第1のモデル出力パラメータ及び少なくとも1つの第2のモデル出力パラメータを併合して、栽培領域のパラメータを計算するステップは、加重和モデルを含む。
【0025】
本開示の一実施形態によれば、少なくとも1つの第1のモデル入力パラメータは、化学土壌パラメータ、物理土壌パラメータ、種子特徴パラメータ、培養パラメータ、気候パラメータ、又は天気パラメータである。
【0026】
本開示の一実施形態によれば、少なくとも1つの第2のモデル入力パラメータは、化学土壌パラメータ、物理土壌パラメータ、種子特徴パラメータ、培養パラメータ、気候パラメータ、又は天気パラメータである。
【0027】
本開示の一実施形態によれば、アンサンブルモデリング構造は、分散コンピュータ環境において又はクラウドベースシステムにおいて実現され、少なくとも1つの第1のモデル入力パラメータに基づいてアンサンブルモデリングを使用して、栽培領域に関する少なくとも1つの第1のモデル出力パラメータを生成する方法又は少なくともステップは、分散コンピュータ環境において又はクラウドベースシステムにおいて実施される。
【0028】
本開示の一実施形態によれば、機械学習構造は、ある分散コンピュータ環境若しくは前述した分散コンピュータ環境において、又はあるクラウドベースシステム若しくは前述したクラウドベースシステムにおいて実現され、少なくとも1つの第2のモデル入力パラメータに基づいて機械学習を使用して、栽培領域に関する少なくとも1つの第2のモデル出力パラメータを生成する方法又は少なくともステップは、分散コンピュータ環境において又はクラウドベースシステムにおいて実施される。
【0029】
本開示の一実施形態によれば、モデル併合構造は、分散コンピュータ環境において又はクラウドベースシステムにおいて実現され、少なくとも1つの第1のモデル出力パラメータ及び少なくとも1つの第2のモデル出力パラメータを併合して、栽培領域のパラメータを計算する方法又は少なくともステップは、分散コンピュータ環境において又はクラウドベースシステムにおいて実施されてもよい。
【0030】
本開示の一実施形態によれば、アンサンブルモデリング構造は、組込みシステムにおいて実現され、少なくとも1つの第1のモデル入力パラメータに基づいてアンサンブルモデリングを使用して、栽培領域に関する少なくとも1つの第1のモデル出力パラメータを生成する方法又は少なくともステップは、組込みシステムにおいて実施される。
【0031】
本開示の一実施形態によれば、機械学習構造は、組込みシステムにおいて実現され、少なくとも1つの第2のモデル入力パラメータに基づいて機械学習を使用して、栽培領域に関する少なくとも1つの第2のモデル出力パラメータを生成する方法又は少なくともステップは、組込みシステムにおいて実施されてもよい。
【0032】
本開示の一実施形態によれば、モデル併合構造は、組込みシステムにおいて実現され、少なくとも1つの第1のモデル出力パラメータ及び少なくとも1つの第2のモデル出力パラメータを併合して栽培領域のパラメータを計算する方法又は少なくともステップは、組込みシステムにおいて実施される。
【0033】
本開示の一実施形態によれば、機械学習を使用して、栽培領域に関する少なくとも1つの第2のモデル出力パラメータを生成するステップは、少なくとも1つの第2のモデル入力パラメータに相関する訓練データを使用して実施される。
【0034】
本開示の第2の態様は、栽培領域のパラメータ又はパラメータ値を予測するシステムを提供し、本システムは、少なくとも1つの第1のモデル入力パラメータに基づいてアンサンブルモデリングを使用して、栽培領域に関する少なくとも1つの第1のモデル出力パラメータを生成するように構成されたアンサンブルモデリング構造と、少なくとも1つの第2のモデル入力パラメータに基づいて機械学習を使用して、栽培領域に関する少なくとも1つの第2のモデル出力パラメータを生成するように構成された機械学習構造と、少なくとも1つの第1のモデル出力パラメータ及び少なくとも1つの第2のモデル出力パラメータを併合して、栽培領域のパラメータを計算するように構成されたモデル併合構造と、を含む。
【0035】
本開示の第3の態様によれば、データ処理ユニットにより実行されると、第1の態様に従う方法を実施するように及び/又は第2の態様に従ってデバイスを制御するように構成された、コンピュータプログラム要素が提供される。
【0036】
本開示の第4の態様によれば、第5の態様のコンピュータプログラム要素を含むコンピュータ可読媒体が提供される。用語「コンピュータプログラム要素」は、広く理解されるべきであり、コンピュータプログラム要素は、コンピュータユニットに記憶されてもよく、コンピュータユニットも実施形態の一部であってもよい。このコンピューティングユニットは、上述した方法のステップを実施するように又はその実施を誘導するように構成されていてもよい。更には、コンピューティングユニットは、上述した装置及び/又はシステムの構成要素を動作させるように構成されていてもよい。コンピューティングユニットは、自動的に動作するように及び/又はユーザの命令を実行するように構成できる。コンピュータプログラムが、データプロセッサの作業メモリに読み込まれてもよい。したがって、データプロセッサは、前述した実施形態のうちの1つに従う方法を実施するための装備を有してもよい。本開示のこの例示的な実施形態は、最初から本発明を使用するコンピュータプログラム、及び更新により既存のプログラムを、本発明を使用するプログラムに変えるコンピュータプログラム、の両方を網羅する。更には、コンピュータプログラム要素は、上述した方法の例示的な実施形態の手順を遂行するために必要な全てのステップを提供することが可能であり得る。本開示の更なる例示的な実施形態によれば、CD-ROM、USBスティック等のコンピュータ可読媒体が提示され、コンピュータ可読媒体にはコンピュータプログラム要素が記憶されており、コンピュータプログラム要素は前のセクションに記載されている。コンピュータプログラムは、他のハードウェアと一緒に又は他のハードウェアの一部として供給される光記憶媒体又は固体状態媒体等の適した媒体に記憶され、且つ/又はそれらの適した媒体で分配することができるが、インターネット又は他の有線若しくは無線電気通信システムを介する等、他の形態で分配され得る。しかしながら、コンピュータプログラムは、ワールドワイドウェブのようなネットワークを経由して提示することもでき、そのようなネットワークからデータプロセッサの作業メモリにダウンロードすることができる。本開示の更なる例示的な実施形態によれば、コンピュータプログラム要素をダウンロードに利用できるようにする媒体が提供され、コンピュータプログラム要素は、本開示の上述した態様/実施形態のうちの1つに従う方法を実施するように構成されている。
【0037】
更なる態様では、本開示は栽培領域上に農産物を適用する方法に関し、本方法は、上述した方法に従って、栽培領域のパラメータ値の予測を提供することと、提供された予想されたパラメータ値に基づいて、栽培領域上に農産物を適用するための農業機器用の制御データを提供することと、栽培領域上に農産物を適用することと、を含む。
【0038】
更なる態様では、本開示は、栽培領域上に製品を適用するシステムに関し、本システムは、上述した方法に従って、栽培領域のパラメータ値の予測を提供するための提供ユニットと、提供された予想されたパラメータ値に基づいて、栽培領域上に農産物を適用するための農業機器用を制御するための制御ユニットと、栽培領域上に農産物を適用するための農業用車両及び/又は適用装置と、を備える。
【0039】
更なる態様では、本開示は、上述した方法における、アンサンブルモデリング構造及び/又は機械学習構造の使用に関する。更なる態様では、本開示は、農業機器に制御データを提供するための上述した方法に従って提供される、栽培領域のパラメータ値の使用に関する。
【0040】
有利には、上述した態様及び実施例のいずれかにより提供される利点は、他の全ての態様及び実施例にも等しく当てはまり、その逆も同様である。
【0041】
本発明のこれら及び他の態様が、以下に記載される実施形態から明らかであり、以下に記載される実施形態を参照して解明されるであろう。
【0042】
例示的実施形態が、以下の図面を参照して以下に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【
図1】本開示の一実施形態による、栽培領域のパラメータ又はパラメータ値を予測するシステムを示す。
【
図2】本開示の一実施形態による、栽培領域のパラメータ又はパラメータ値を予測する方法のフロー図を示す。
【
図3】プロセスベースモデル及び機械学習モデルの例示的な組合せを示す。
【
図4】栽培領域上に農産物を適用するための、本開示によるシステムの例示的な分散システムを表す。
【
図5】本開示による、システムにおける例示的なデータ交換を表す。
【発明を実施するための形態】
【0044】
図1は、本開示の一実施形態による一実施形態による、栽培領域のパラメータ又はパラメータ値を予測するシステムを示す。
【0045】
栽培領域のパラメータ又はパラメータ値を予測するシステム100は、アンサンブルモデリング構造10、機械学習構造20、及びモデル併合構造30を含む。
【0046】
アンサンブルモデリング構造10は、少なくとも1つの第1のモデル入力パラメータに基づいてアンサンブルモデリングを使用して、栽培領域に関する少なくとも1つの第1のモデル出力パラメータを生成するように構成されている。
【0047】
機械学習構造20は、少なくとも1つの第2のモデル入力パラメータに基づいて機械学習を使用して、栽培領域に関する少なくとも1つの第2のモデル出力パラメータを生成するように構成されている。
【0048】
モデル併合構造30は、少なくとも1つの第1のモデル出力パラメータ及び少なくとも1つの第2のモデル出力パラメータを併合して、栽培領域のパラメータを計算するように構成されている。
【0049】
本開示は、有利には、そのような出力パラメータに基づいて、出力パラメータ推奨値/予想、及び/又は制御データを与えることを可能にし、これは、肥料用途だけでなく、殺菌剤、除草剤、又は殺虫剤用途にも有用であり、例えば、肥料推奨に基づいて、肥料を適用するための農業機器用の制御データを提供することができる。
【0050】
計算されるパラメータ値は、例えば、変数、例えばPRECIPであって、例えば1日の合計降水量であり得る。計算されるパラメータ値は、例えば、所与の時間又は時点における変数値、例えばPRECIP=50mm、であり得る。計算されるパラメータ値は、例えば、パラメータ(例えばα)又はパラメータ値(例えばα=1)であり得る。
【0051】
計算されるパラメータ値は、例えば、関心の対象である変数の状態の予測であり得る。
【0052】
本開示は、有利には、リーン判定論理を提供し、これは、例えば、好ましくはオンライン(例えば、圃場におけるインターネット接続を必要とする;「クラウドベース」と称することができる)で実装されてリアルタイム意思決定を行う。
【0053】
本開示は、有利には、リーン判定論理を提供し、これは、例えば、好ましくは組込みソリューションとして実装され、圃場におけるインターネット接続を必要とせず、栽培領域を横断する機械/端末にソフトウェアが搭載されている。
【0054】
図2は、本開示の一実施形態による、栽培領域のパラメータ又はパラメータ値を予測する方法のフロー図を示す。
【0055】
栽培領域のパラメータ又はパラメータ値を予測する方法が
図2に示され、本方法は、少なくとも次のステップを含む。
【0056】
本方法の第1のステップとして、アンサンブルモデリング構造により、少なくとも1つの第1のモデル入力パラメータに基づいてアンサンブルモデリングを使用して、栽培領域に関する少なくとも1つの第1のモデル出力パラメータを生成するステップS1が実施される。
【0057】
本方法の第2のステップとして、機械学習構造により、少なくとも1つの第2のモデル入力パラメータに基づいて機械学習を使用して、栽培領域に関する少なくとも1つの第2のモデル出力パラメータを生成するステップS2が実施される。
【0058】
本方法の第3のステップS3として、モデル併合構造により、少なくとも1つの第1のモデル出力パラメータ及び少なくとも1つの第2のモデル出力パラメータを併合して、栽培領域のパラメータを計算するステップが実施される。
【0059】
本開示は、有利には、いくつかの作物モデルを使用して、作物モデルを組み合わせた出力のためにアンサンブルモデリングを使用することを可能にする。
【0060】
図3では、ここでは収量予測の実施例のための、このようなモデルの組合せの例示を示す。この実施例では、5個のプロセスベースモデル及び5個の機械学習モデルのアンサンブルが実行され、10個のモデルの各々が、異なる設定を用いて且つ複数の天気予報を使用して初期化されている(参照
図3a)。この実施例では、機械学習モデルは、所与の条件下で達成される上限収量及び下限収量の予測収量にて、例えば7~10t/haにて訓練された。そのとき、7t/haを下回る又は10t/haを上回る収量となるモデルの実行は取り除かれた。観察の結果、「最も可能性の高い実行」が特定される(例えば、モデル1の実行1、5、27、モデル2の実行17、31、67、等)。次いで、これらの実行を使用して、
図3bに示すように継続して将来を予想した。
【0061】
図4に図示するシステムは、パラメータ値、例えば上記で説明した方法に従って予測された肥料の消費量、の予測に基づいて、農産物で積載/充填された農業用車両102(例えば、肥料散布のためのトラクタ)、1つ以上の地上ステーション110、1つ以上のユーザ装置108、及びクラウド環境100を含む、例示的な分散処理システムを示す。農業用車両102は、搭載コンピュータにより自律的に、人により遠隔で、又は例えば初期動作データを用いて、部分的に遠隔に制御される、有人又は無人の車両であってもよい。農業用車両102は、農業用車両102に取り付けられた様々な搭載センサ及びアクタから収集されたデータ信号を送信してもよい。そのようなデータは、現在の速度、電池若しくは燃料レベル、位置、天気、又は風速などの、現在の運動データ;処理タイプ、処理場所、又は処理モードなどの、処理動作データを含むフィールドデータ;フィールド状態データ又は場所データなどの、モニタリング動作データ;及び/又は、初期動作データ、更新された動作データ、又は現在の動作データなどの、動作データ、を含んでもよい。農業用車両102は、データ信号、例えばフィールドデータ又は動作データを、クラウド環境100、地上ステーション110、又は他の農業用車両(図示せず)に直接的又は間接的に送信してもよい。農業用車両102は、データ信号、例えばフィールドデータ又は動作データを、クラウド環境100、地上ステーション110、又は他の農業用車両に直接的又は間接的から受信してもよい。
【0062】
クラウド環境100は、農業用車両102、地上制御ステーション110、及び/又はユーザ装置108との及びそれらの間でのデータ交換を容易にすることができる。クラウド環境100は、インターネット上でアクセス可能な複数のクラウドサーバにデータを記憶しそこで計算するための、サーバベースの分散コンピューティング環境であり得る。クラウド環境100は、農業用車両102、1つ以上の地上ステーション110、又は1つ以上のユーザ装置108により実施される処理のための分散不変データベースを促進する分散台帳ネットワークであってもよい。台帳ネットワークは、少なくとも2つのネットワークノードを含む任意のデータ通信ネットワークを指す。ネットワークノードは、a)データブロックによるデータ包含をリクエストする、及び/又は、b)リクエストされた、チェーンへのデータ包含を検証する、及び/又は、c)チェーンデータを受信する、ように構成されていてもよい。そのような分散アーキテクチャでは、農業用車両102、1つ以上の地上ステーション110、1つ以上のユーザ装置108は、処理データをデータブロックに記憶し、コンセンサスプロトコルに参加して処理を検証する、ノードとして機能できる。少なくとも2つのネットワークノードがチェーンに存在する場合、台帳ネットワークをブロックチェーンネットワークと称することができる。台帳ネットワーク100は、ノードにより作成されたデータブロックの、ブロックチェーン又は暗号によりリンクされたリストから構成され得る。各データブロックは、フィールドデータ又は動作データに関する1つ以上の処理を含むことができる。ブロックチェーンは、複数の相互接続されたデータブロックで提供される連続的に拡張可能なデータセットを指し、各データブロックは、複数の処理データを含む場合がある。処理データは、処理のオーナにより署名されることができ、相互接続は、暗号化手段を用いたチェイニングにより提供されることができる。チェイニングは、2つのデータブロックを互いに相互接続する任意のメカニズムである。例えば、少なくとも2つのブロックが、ブロックチェーンにおいて互いに直接的に相互接続されていてもよい。ハッシュ関数暗号化メカニズムを使用して、ブロックチェーンにおけるデータブロック同士を連結させてもよい、及び/又は既存のブロックチェーンに新しいデータブロックを付加してもよい。あるブロックは、先行するブロックのハッシュを参照するその暗号ハッシュによって特定され得る。
【0063】
農業用車両102及び地上制御ステーション103は、クラウド環境100を介して、データ信号をユーザ装置108と共有してもよい。ノード間の通信チャネル、及びノードとクラウド環境100との間の通信チャネルは、無線通信プロトコルにより確立できる。農業用車両102から地上ステーション110への、他の農業用車両からクラウド環境100への、又は地上ステーション110からクラウド環境100への通信のために、セルラーネットワークを確立できる。そのようなセルラーネットワークは、2G、3G、4G又は5Gのような標準規格を使用するSM、GPRS、EDGE、UMTS/HSPA、LTE技術などの任意の既知のネットワーク技術に基づいてもよい。農業圃場のローカルエリアでは、無線ローカルエリアネットワーク(WLAN)、例えばワイヤレスフィデリティ(Wi-Fi)が通信のために確立される場合がある。セルラーネットワークは、フライングアドホックネットワーク(FANET)であり得る。
【0064】
図5は、農業用車両、例えば肥料散布のためのトラクタに、農産物、例えば肥料を積載/充填する実施例の1つの予想されるデータフローダイアグラムを示す。この実施例では、第1のデータメッセージとして、農業圃場/領域に対する予測される肥料製品消費量が提供され、農業製品のための積載又は充填ステーションの制御装置に送られ、この製品の消費量は上述した方法に従って予測される。このメッセージを使用して、それぞれの農業圃場/領域に対して必要な予測される製品の消費量に従って農業用車両への農産物の充填/積載を制御することができる。
【0065】
本開示は、有利には、機械学習アルゴリズムを提供する。訓練データが、入力パラメータに相関することになり、その結果、アンサンブルモデリングと機械学習との組合せになる。
【0066】
本開示の別の例示的な実施形態では、先の実施形態のうちの1つによる方法の方法ステップを適切なシステム上で実行するように適合されることを特徴とするコンピュータプログラム又はコンピュータプログラム要素が提供される。
【0067】
したがって、コンピュータプログラム要素は、コンピュータユニットに記憶することができ、コンピュータユニットも本開示の一実施形態の一部であり得る。
【0068】
このコンピューティングユニットは、上述した方法のステップを実施するように又はその実施を誘導するように適合されていてもよい。更には、コンピューティングユニットは、上述した装置の構成要素を動作させるように適合されていてもよい。コンピューティングユニットは、自動的に動作し、且つ/又はユーザの命令を実行するように適合され得る。コンピュータプログラムは、データプロセッサの作業メモリに読み込まれてもよい。したがって、データプロセッサは、本開示の方法を実施するように備えられ得る。
【0069】
本開示のこの例示的な実施形態は、最初から本開示を使用するコンピュータプログラムと、既存のプログラムを、更新により、本開示を使用するプログラムにするコンピュータプログラムとの両方を網羅する。
【0070】
更に、コンピュータプログラム要素は、上述した本方法の例示的な実施形態の手順を遂行するために必要な全てのステップを提供可能であり得る。
【0071】
本開示の更なる例示的な実施形態によれば、CD-ROMなどのコンピュータ可読媒体が提示され、コンピュータ可読媒体は、それに記憶されたコンピュータプログラム要素を有し、コンピュータプログラム要素は前のセクションで説明されている。
【0072】
コンピュータプログラムは、他のハードウェアと一緒に又は他のハードウェアの一部として供給される、光学的記憶媒体又はソリッドステート媒体等の好適な媒体に記憶されてもよく及び/又はそれらの好適な媒体で分配されてもよいが、更に、インターネット又は他の有線若しくは無線電気通信システムを介する等、他の形態で分配されてもよい。
【0073】
しかしながら、コンピュータプログラムは、ワールドワイドウェブのようなネットワークを経由して提示することもでき、そのようなネットワークからデータプロセッサの作業メモリにダウンロードすることができる。本開示の更なる例示的な実施形態によれば、コンピュータプログラム要素をダウンロードに利用できるようにする媒体が提供され、コンピュータプログラム要素は、本開示の上述した実施形態のうちの1つに従う方法を実施するように構成されている。
【0074】
本開示の例示的な実施例が添付の図面を部分的に参照して上述されているが、本開示はこれらの実施例に限定されないことを理解すべきである。本開示を実施するに際して、図面、明細書、及び添付の請求項を検討することで、開示された実施例に対する変化例が当業者により理解され達成され得る。
【0075】
本開示の実施形態が、異なる主題を参照して説明されていることに留意しなければならない。具体的には、いくつかの実施形態が方法タイプの請求項を参照して説明されているのに対し、他の実施形態は装置タイプの請求項を参照して説明されている。
【0076】
しかしながら、当業者であれば、上記及び以下の説明から、特に明記しない限り、一種類の主題に属する特徴の任意の組合せに加えて、異なる主題に関する特徴間の任意の組合せも本出願にて開示されると考えられることを推測するであろう。しかしながら、全ての特徴を組み合わせて、それら特徴の単純な総和を超える相乗効果を提供することができる。
【0077】
本開示が、図面及び前述した説明において詳細に図示及び説明されたが、このような図面及び説明は、例証的又は例示的であって制限的ではないと見なすべきである。
【0078】
本開示は、開示された実施形態に限定されない。開示された実施形態に対する他の変形例が、以下の請求項に基づき、図面、本開示、及び従属請求項の検討から、当業者により理解され達成され得る。請求項において、単語「備える(comprising)」は他の要素又はステップを除外せず、不定冠詞「a」又は「an」は複数を除外しない。
【0079】
単一のプロセッサ又は他のユニットが、請求項において列挙されるいくつかの物品の機能を果たすことができる。特定の対応策が互いに異なる従属請求項において挙げられているという事実だけでは、これら対応策の組合せを有利に使用できないことを示すわけではない。特許請求の範囲におけるいかなる参照符号も範囲を限定すると解釈されるべきではない。
【国際調査報告】