(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-11-01
(54)【発明の名称】複合型イメージング検出器及びイメージングシステム
(51)【国際特許分類】
G01T 1/20 20060101AFI20231025BHJP
G01T 1/202 20060101ALI20231025BHJP
G01T 1/161 20060101ALI20231025BHJP
A61B 6/03 20060101ALI20231025BHJP
【FI】
G01T1/20 G
G01T1/202
G01T1/161 C
A61B6/03 377
A61B6/03 320R
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023522377
(86)(22)【出願日】2021-10-09
(85)【翻訳文提出日】2023-04-12
(86)【国際出願番号】 EP2021077971
(87)【国際公開番号】W WO2022078921
(87)【国際公開日】2022-04-21
(32)【優先日】2020-10-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】590000248
【氏名又は名称】コーニンクレッカ フィリップス エヌ ヴェ
【氏名又は名称原語表記】Koninklijke Philips N.V.
【住所又は居所原語表記】High Tech Campus 52, 5656 AG Eindhoven,Netherlands
(74)【代理人】
【識別番号】110001690
【氏名又は名称】弁理士法人M&Sパートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】ウィチョレク ヘルフリード カール
(72)【発明者】
【氏名】ステージフース ハーマン
(72)【発明者】
【氏名】アルヴィン ペーター レックス
(72)【発明者】
【氏名】ヤコブス ヨハネス ウィルヘルムス マリア
【テーマコード(参考)】
2G188
4C093
4C188
【Fターム(参考)】
2G188AA02
2G188BB02
2G188BB04
2G188BB07
2G188CC09
2G188CC22
2G188DD05
2G188DD16
2G188FF08
4C093AA22
4C093AA25
4C093CA33
4C093DA02
4C093EB12
4C093EB17
4C093EB20
4C188EE02
4C188FF02
4C188FF04
4C188GG19
4C188LL09
(57)【要約】
本発明は、第1のシンチレータ層12及び光検出器アレイ13を含む積分X線検出器11と、任意選択で、第2の光検出器アレイを有する第2のガンマ検出器の一部として第2の構造化シンチレータ層14とを含むガンマ量子及びX線量子を検出する複合型イメージング検出器10、20に関する。複合型イメージング検出器は、X線及びSPECT検出に使用でき、現在のフラットX線検出器の原理を使用する。異なる解像度が使用されている。X線イメージングには高空間分解能が使用され、SPECTイメージングには低空間分解能が使用される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガンマ量子及びX線量子を検出する複合型イメージング検出器であって、前記複合型イメージング検出器は、
検出されたX線量子に応答してX線シンチレーション光信号を生成し、且つ検出されたガンマ量子に応答して第1のガンマシンチレーション光信号を生成するX線シンチレータ素子の第1のシンチレータ層を含む積分X線検出器と、
検出されたガンマ量子に応答して第2のガンマシンチレーション光信号を生成するガンマシンチレータ素子の第2の構造化シンチレータ層と、
を含み、
前記積分X線検出器は更に、前記第1のシンチレータ層と前記第2のシンチレータ層との間に配置され、前記X線シンチレーション光信号をX線信号に、且つ前記第1及び第2のガンマシンチレーション光信号を第1及び第2のガンマ信号に、交互に又は連続して変換する光検出器アレイを含み、
前記第1のシンチレータ層、前記光検出層、及び前記第2のシンチレータ層は、放射線受信方向に沿って積み重ねられた構成に配置されている、複合型イメージング検出器。
【請求項2】
前記光検出器アレイと前記第2のシンチレータ層との間に配置された電気接点及び/又は基板層は、ガンマシンチレーション光信号に対して透過性である、請求項1に記載の複合型イメージング検出器。
【請求項3】
前記光検出器アレイは、複数の隣接する検出器ピクセルで検出された複数の第1のガンマ信号を、組み合わされた第1のガンマ信号になるように合計することによって、前記第1のガンマ信号を生成する、請求項1又は2に記載の複合型イメージング検出器。
【請求項4】
前記第2のシンチレータ層は、光学的に分離されたCsI:Tl結晶、構造化CsI:Tl結晶、又は多結晶層若しくはセラミック層のアレイを有する、請求項1から3のいずれか一項に記載の複合型イメージング検出器。
【請求項5】
ガンマ量子及びX線量子を検出する複合型イメージング検出器であって、前記複合型イメージング検出器は、積分X線検出器と積分ガンマ検出器とを有し、前記積分X線検出器は、
検出されたX線量子に応答してX線シンチレーション光信号を生成するX線シンチレータ素子の第1のシンチレータ層、及び
前記X線シンチレーション光信号をX線信号に変換する第1の光検出器アレイを含み、
前記積分ガンマ検出器は、
検出されたガンマ量子に応答してガンマシンチレーション光信号を生成するガンマシンチレータ素子の第2の構造化シンチレータ層、及び
前記ガンマシンチレーション光信号をガンマ信号に変換する第2の光検出器アレイを含み、
前記第1のシンチレータ層、前記第1の光検出器アレイ、前記第2のシンチレータ層、及び前記第2の光検出器アレイは、放射線受信方向に沿って積み重ねられた構成に配置されている、複合型イメージング検出器。
【請求項6】
前記第1の光検出器アレイは、低エネルギー散乱ガンマ放射線を吸収する、請求項5に記載の複合型イメージング検出器。
【請求項7】
前記第2のシンチレータ層は、CsI:Tl、NaI:Tl、Gd2O2S:Tb、Y2O3:Eu、又は(Lu,Gd)(Al,Ga):Ceのうちの1つの構造化結晶のアレイ、多結晶層又はセラミック層を含む、請求項5又は6に記載の複合型イメージング検出器。
【請求項8】
前記第1のシンチレータ層は、柱状CsI:Tl結晶の層を含み、及び/又は、
1つ又は複数の光検出器アレイの各々は、Si:H光ダイオードのアレイ又は直接変換器、特に、非晶質セレン又はペロブスカイトを含む、請求項1から7のいずれか一項に記載の複合型イメージング検出器。
【請求項9】
ガンマ量子の検出中は放射線経路内にあり、X線量子の検出中は前記放射線経路外にあるように、前記放射線経路に、特に、折り畳むことによって、シフトすることによって、又は回転することによって、自動的に差し抜きされる着脱式コリメータを更に含む、請求項1から8のいずれか一項に記載の複合型イメージング検出器。
【請求項10】
前記第1のシンチレータ層は、300~800μmの範囲の厚さを有し、及び/又は、前記第2のシンチレータ層は、2~40mmの範囲で、特に5~10mmの範囲の厚さを有する、請求項1から9のいずれか一項に記載の複合型イメージング検出器。
【請求項11】
前記第2のシンチレータ層は、全体のX線信号を増大させ、S/N比を増大させ、スペクトル情報を取得し、及び/又は、画像コントラストを増大させるために、追加のX線信号を生成するため使用される追加のX線シンチレーション光信号を、検出されたX線量子に応答して生成する、請求項1から10のいずれか一項に記載の複合型イメージング検出器。
【請求項12】
パルスX線放射線を放出するX線源と、
ガンマ量子及びX線量子を検出する請求項1から11のいずれか1項に記載の複合型イメージング検出器と、
を含む、イメージングシステム。
【請求項13】
前記複合型イメージング検出器を制御して、X線量子が検出されるX線パルス間の間隔の間にガンマ量子を検出する制御ユニット、特に、前記複合型イメージング検出器を制御して、X線パルスよりも長い間隔の間にガンマ量子を検出する制御ユニットを更に含む、請求項12に記載のイメージングシステム。
【請求項14】
イメージング対象の物体の減衰マップを使用して、特に、X線減衰をガンマ放射線のエネルギーに縮小することによって、前記X線信号から得られた減衰マップを使用して、散乱ガンマ放射線のガンマ信号を補正する散乱補正ユニットを更に含む、請求項12又は13に記載のイメージングシステム。
【請求項15】
前記複合型イメージング検出器は、請求項5から7のいずれか一項に記載の複合型イメージング検出器であり、
前記第1のシンチレータ層は、検出されたガンマ量子に応答して追加のガンマシンチレーション光信号を生成し、
前記第1の光検出器アレイは、前記追加のシンチレーション光信号を追加のガンマ信号に変換し、
前記散乱補正ユニットは、前記ガンマ信号に対する前記追加のガンマ信号の比率を、前記散乱補正の追加入力として使用する、請求項12又は13に記載のイメージングシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガンマ量子及びX線量子を検出する複合型イメージング検出器、並びに対応するイメージングシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
腫瘍学的インターベンションの現在の技術水準では、CアームでのX線イメージングの使用が、小型のガンマプローブと組み合わされることがある。選択的内部放射線療法(SIRT)では、肝臓から肺や胃腸管の中への血流を、治療前に血管コイリングによって停止する必要がある。これらの可能なシャントは、平面ガンマイメージングによって制御されるため、インターベンション検査室からSPECT室へ患者を搬送する必要がある。シャントが高すぎると、追加のコイリングが必要になる場合がある。つまり、繰り返し部屋を変える必要がある。このワークフローは、インターベンション検査室のCアーム上のX線/ガンマカメラの組み合わせによって大幅に改善できる。このために、X線検出器とアンガー(Anger)カメラとの組み合わせに基づいて、様々な概念が過去に提案されてきている。
【0003】
これらの概念のうちの1つは、X線量子及びガンマ量子を検出する複合型イメージング検出器を開示する米国特許出願公開第2019/090827A1号に説明されている。この複合型イメージング検出器は、ガンマ量子とX線量子とを同時に検出する。この複合型イメージング検出器は、X線散乱線除去グリッド、X線シンチレータ素子の層、第1の光検出器アレイ、ガンマシンチレータ素子の層、及び第2の光検出器アレイが含まれており、これらは放射線受信方向に沿って積み重ねられた構成に配置されている。X線散乱線除去グリッドは、複数のアパーチャを画定する複数のセプタム(隔壁)を含む。複数のアパーチュアは、受信したガンマ量子がX線散乱線除去グリッドによってのみコリメートされるように、放射線受信方向から受信したX線量子とガンマ量子との両方をコリメートする。受信したガンマ量子用のコリメータとしてX線散乱線除去グリッドを使用すると、複合型イメージング検出器は大幅に軽量化されるが、コリメーションが不十分になる可能性がある。
【0004】
このような複合型検出器の概念の主な問題は、典型的には100~150kgの鉛シールドを有するアンガーカメラが大重量であることであり、これに、コリメータの重量が追加される。40×54cmのアクティブSPECT検出器面積(低エネルギー汎用型、LEGP)では少なくとも30kgである。X線検出器に似た特別な小型サイズ(30×40cm)を想定すると、それぞれの重量は、カメラが少なくとも80kgであり、小型コリメータが17kgである。この重量は、現行のCアームシステムでは対応できない。地面又は天井からの第2のCアーム又はロボットアーム上のアンガーカメラといった他の形状は、患者アクセスを制限し、システム制御及び画像位置合わせのために追加の労力が必要になる。
【0005】
米国特許第5376795A号は、計算された経路長に沿った減衰のための放出-透過データを補正することによって、また、計算された基底物質を介して放射性核種放出イメージングが向上されることを開示している。X線透過データを使用して、物体を通る減衰マップを作成し、それを使用して、放出データに基づいて画像を再構成する。物体を通過するX線及び放出光子を検出するための異なる動作モードを有する放射線検出回路が提供される。反復プロセスを使用して、イメージング対象の物体の物理的特性に基づいて、放射性核種の投影データ及び減衰マップを用いて放射性核種分布を再構成する。
【0006】
米国特許出願公開第2019/310384A1号は、ガンマ線検出器とX線検出器とを含む複合型検出器を開示している。ガンマ放射線検出器は、ガンマシンチレータアレイ、光変調器、及びガンマシンチレータアレイによって生成された第1のシンチレーション光を検出する第1の光検出器アレイを含む。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、重量及びコストが削減され、同時に十分な患者アクセスを可能にし、且つX線イメージングとSPECTイメージングとの間で患者の位置を変更する必要性を回避する、改良された複合型イメージング検出器及び対応するイメージングシステムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の第1の態様では、複合型イメージング検出器が提示される。この複合型イメージング検出器は、
検出されたX線量子に応答してX線シンチレーション光信号を生成し、且つ検出されたガンマ量子に応答して第1のガンマシンチレーション光信号を生成するX線シンチレータ素子の第1のシンチレータ層を含む積分X線検出器と、
検出されたガンマ量子に応答して第2のガンマシンチレーション光信号を生成するガンマシンチレータ素子の第2の構造化シンチレータ層と
を含み、
積分X線検出器は更に、第1のシンチレータ層と第2のシンチレータ層との間に配置され、X線シンチレーション光信号をX線信号に、且つ第1及び第2のガンマシンチレーション光信号を第1及び第2のガンマ信号に交互に又は連続して変換する光検出器アレイを含み、
第1のシンチレータ層、光検出層、及び第2のシンチレータ層は、放射線受信方向に沿って積み重ねられた構成に配置されている。
【0009】
本発明の第2の態様では、別の複合型イメージング検出器が提示される。この複合型イメージング検出器は、
検出されたX線量子に応答してX線シンチレーション光信号を生成するX線シンチレータ素子の第1のシンチレータ層、及び
X線シンチレーション光信号をX線信号に変換する第1の光検出器アレイを含む、積分X線検出器と、
検出されたガンマ量子に応答してガンマシンチレーション光信号を生成するガンマシンチレータ素子の第2の構造化シンチレータ層、及び
ガンマシンチレーション光信号をガンマ信号に変換する第2の光検出器アレイを含む、積分ガンマ検出器と
を含み、
第1のシンチレータ層、第1の光検出器アレイ、第2のシンチレータ層、及び第2の光検出器アレイは、放射線受信方向に沿って積み重ねられた構成に配置されている。
【0010】
本発明の更なる態様では、パルスX線放射線を放出するX線源と、本明細書に開示されるガンマ量子及びX線量子を検出する複合型イメージング検出器とを含むイメージングシステムが提示される。
【0011】
本発明の好ましい実施形態は、従属請求項に定義されている。請求項に係るシステムは、請求項に係るイメージング検出器と類似及び/又は同一の好ましい実施形態、特に、従属請求項に定義されているとおり、また、本明細書に開示されているとおりの実施形態を有することが理解されるべきである。
【0012】
本発明は、X線検出のためだけでなく、同様にガンマ検出のために、積分X線検出器を使用する考えに基づいている。特に、フラットダイナミックX線検出器は、高分解能X線イメージングのためだけでなく、低分解能ガンマイメージングのためにも前側に柱状CsI:Tl結晶の薄層を備えた光検出器アレイ、例えば非晶質シリコン(a-Si:H)ベースのパネルを含む。第2の構造化シンチレータ層、例えばピクセル化シンチレータアレイは、X線検出器の裏側に光学的に結合されているか、又は第2の光検出器アレイ(例えばガラス板上のa-Si:Hベースの検出器)若しくはフォイル上の検出器と組み合わされている。第2のシンチレータ層は、ガンマ放射線の吸収を良くするために追加され、第1のシンチレータ層とは実質的に異なる空間分解能を有している。即ち、X線放射線よりも実質的に高いエネルギーを有するガンマ放射線の吸収のために最適化されている。
【0013】
このような複合型イメージング検出器を用いると、好ましくは、コリメータを用いることなく、コーンビームCT(CBCT)を、Cアームの>180°の角度で高速回転によって通常のやり方で測定できる。SPECTは低速回転(例えば5~30分の時間範囲内)で測定され、好ましくは、検出器の前にコリメータがある状態で測定され、場合によっては、SPECT及びCBCTのレトロスペクティブ補正のために限られた数のX線投影で測定される。
【0014】
実装形態では、30×40×1cmのCsI層の追加重量は5.4kgであり、上部にある3mm層のPbシールドは4.1kgであり、30×40cmのコリメータは約17kgであり、全体で30kg未満である。この重量は、インターベンショナルシステムの標準Cアームで対応できる。
【0015】
第1の態様の複合型イメージング検出器の実施形態では、光検出器アレイと第2のシンチレータ層との間に配置された電気接点及び/又は基板層は、ガンマシンチレーション光信号に対して透過性である。これにより、光検出器アレイは、第2のシンチレータ層によって放出されたガンマシンチレーション光信号に基づいて、ガンマ放射線を安全に検出できる。したがって、光検出器の出力部において全ガンマ信号が利用可能である。
【0016】
第1の態様の複合型イメージング検出器の別の実施形態では、光検出器アレイは、複数の隣接する検出器ピクセルで検出された複数の第1のガンマ信号を組み合わされた第1のガンマ信号になるように合計することによって、第1のガンマ信号を生成する。したがって、光検出器アレイの複数のX線検出器ピクセルで測定されたガンマ信号は合計され、例えばSPECT再構成のためのより大きいピクセルにビニングされる。
【0017】
第1の態様の複合型イメージング検出器の更に別の実施形態では、第2のシンチレータ層は、光学的に分離されたCsI:Tl結晶のアレイ、構造化CsI:Tl結晶、又は多結晶層若しくはセラミック層からなる。これらの材料は、このイメージング検出器においてガンマ量子の所望の検出を提供することが示されている。第1及び第2のシンチレータ層において生成される信号は、意図的に1つの信号に組み合わされ、両方のシンチレータ層における光子利得は、入射X線量子又はガンマ量子のエネルギーから独立して、両方のシンチレータ層に吸収されるエネルギーに比例する信号高さを保証するために同一である必要があるため、第1のシンチレータ層及び第2のシンチレータ層の両方にCsI:Tl材料を使用することが好ましい。
【0018】
第2の態様の複合型イメージング検出器の実施形態では、第1の光検出器アレイは、低エネルギー散乱ガンマ放射線を吸収する。これにより、第2の光検出器アレイにおいて、散乱がはるかに低いガンマ放射線が確実に検出される。
【0019】
第2の態様の複合型イメージング検出器の別の実施形態では、第2のシンチレータ層は、CsI:Tl、NaI:Tl、Gd2O2S:Tb、Y2O3:Eu、又は(Lu,Gd)(Al,Ga):Ceのうちの1つの構造化結晶のアレイ、又は多結晶層若しくはセラミック層を含む。これらの材料は、必要な高い光出力を有し、同時に、X線及びガンマ放射線を強力に吸収するので、このイメージング検出器におけるガンマ量子の所望の検出を提供する。複合型イメージング検出器のこの第2の態様では、第1及び第2のシンチレータ層内に同じ化合物を使用する必要がない。なぜなら、これらの2つのシンチレータ層において生成される信号は、1つの信号に組み合わされず、互いに独立して対応され、したがって、両方のシンチレータ層における異なる光子利得を調整できるからである。
【0020】
好ましくは、第1のシンチレータ層は、柱状CsI:Tl結晶の層を含む。このような柱状結晶は、X線イメージングに必要な高空間分解能を提供する。
【0021】
更に、1つ又は複数の光検出器アレイの各々は、好ましくは、Si:H光ダイオードのアレイ又は直接変換器、特に、非晶質セレン又はペロブスカイトを含む。これらの材料には、大きい検出器領域上の薄層内に堆積可能であるという利点がある。
【0022】
別の実施形態では、複合型イメージング検出器は更に、ガンマ量子の検出中は放射線経路内にあり、X線量子の検出中は放射線経路外にあるように、放射線経路に自動的に差し抜きされる着脱式コリメータを含む。この動きは、例えば、折り畳むことによって、シフトすることによって、又は回転することによって行われ、これは、好ましくは自動的に行われるが、通常は手動でも行うことができる。これは、X線検査及びSPECT検査のために交互に患者の位置を変更することを回避する目標に寄与する。
【0023】
実施形態では、第1のシンチレータ層は、300~800μmの範囲の厚さを有する。別の実施形態では、第2のシンチレータ層は、2~40mmの範囲、特に5~10mmの範囲の厚さを有する。したがって、第1のシンチレータ層は、第2のシンチレータ層よりもはるかに薄く、これにより、第1の光検出器アレイを低エネルギーガンマ放射線及びX線検出に確実に使用できる。
【0024】
別の実施形態では、第2のシンチレータ層は、全体のX線信号を増大させ、S/N比を増大させ、スペクトル情報を取得し、及び/又は画像コントラストを増大させるために、追加のX線信号を生成するために使用される追加のX線シンチレーション光信号を、検出されたX線量子に応答して生成する。これにより、最終的に再生されるX線画像の精度が更に向上する。
【0025】
開示されたX線イメージングシステムは更に、複合型イメージング検出器を制御して、X線量子が検出されるX線パルス間の間隔の間にガンマ量子を検出する制御ユニット、特に、複合型イメージング検出器を制御して、X線パルスよりも長い間隔の間にガンマ量子を検出する制御ユニットを含んでもよい。したがって、各間隔の長さは、必要に応じて制御できる。
【0026】
開示されたX線イメージングシステムは更に、イメージング対象の物体の減衰マップを使用して、特に、X線減衰をガンマ放射線のエネルギーに縮小することによって、X線信号から得られた減衰マップを使用して、散乱ガンマ放射線のガンマ信号を補正する散乱補正ユニットを含んでもよい。散乱補正は、SPECT画像の反復的再構成中に行われてもよい。散乱補正は、単一の投影にさえ(即ち、SPECT画像にではなく)適用されてもよい。この実施形態により、再構成された画像又は投影の精度が向上する。
【0027】
実装形態では、複合型イメージング検出器は、積分X線検出器と積分ガンマ検出器とを有するイメージング検出器であることが提案される。この検出器では、第1のシンチレータ層は、検出されたガンマ量子に応答して追加のガンマシンチレーション光信号を生成し、第1の光検出器アレイは、追加のシンチレーション光信号を追加のガンマ信号に変換し、散乱補正ユニットは、ガンマ信号に対する追加のガンマ信号の比率を散乱補正の追加入力として使用する。第2の光検出器と比較して第1の光検出器アレイからのガンマ信号の比率が高いことは、信号の散乱が高いことを示している。この単純なモデルに基づいて、これを使用して、特に、単一のガンマ投影について、散乱をよりうまく補正できる。
【0028】
別の実施形態では、開示されたイメージングシステムは更に、第2のシンチレータ層によって検出されたガンマ量子から得られたガンマ信号からのみ、又は第1及び第2のシンチレータ層によって検出されたガンマ量子から得られたガンマ信号からのみガンマ画像を再構成する再構成ユニットを含んでもよい。
【図面の簡単な説明】
【0029】
本発明のこれらの及び他の態様は、以下に説明する実施形態から明らかになり、また、当該実施形態を参照して説明される。
【0030】
【
図1】
図1は、本発明によるイメージングシステム1の実施形態の概略図を示す。
【
図2】
図2は、本発明による複合型イメージング検出器の第1の実施形態の断面図を示す。
【
図3】
図3は、本発明による複合型イメージング検出器の第2の実施形態の断面図を示す。
【
図4】
図4は、800μmのCsI層におけるガンマ量子の吸収を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
図1は、本発明によるイメージングシステム1の実施形態の概略図を示している。イメージングシステム1は、X線源2、複合型イメージング検出器3、Cアーム4、及び患者台5を含む。X線源2は、Cアーム4の第1の部分に取り付けられ、検出器3は、Cアーム4の第2の部分に取り付けられている。X線源2及び検出器3は、X線源2と検出器3との間の経路6に沿ったX線透過を測定するために位置決めされている。
図1のX線源検出器配置の視野FOVは、経路6を含む破線で示されている。複合型イメージング検出器3は、ガンマ量子及びX線量子の同時(、後続、連続、又は交互)検出に使用して、同じ関心領域ROIのX線画像及び核画像を生成できる。
【0032】
X線源2は標準的なX線源でよいが、この位置で二重エネルギー源を使用することも企図されている。好ましくは、X線源は、X線パルス間の間隔におけるガンマ量子を検出できるようにパルスX線放射線を放出する。Cアーム4は、X線イメージングで一般的に使用される標準Cアームであり、固定位置に搭載されていても、例えば矢印によって示されるように支持体7の近くに様々な動きに対して任意選択に配置されてもよい。このようなイメージングシステムでは、一般的に様々なスキャンモードが可能である。
【0033】
任意選択で、X線パルス間の間隔の間にガンマ量子を検出するように検出器3を制御する制御ユニット8が提供されている。制御ユニット8は、図示されている実施形態のいずれとも組み合わせて使用できる。具体的には、以下に説明するように、制御ユニット8は、複合型イメージング検出器と組み合わせて動作できる。制御ユニット8は更に、X線源2、特にパルスレート及びパルス持続時間を制御できる。更に、制御ユニットは、X線パルス間の間隔でのみガンマ検出信号を生成するようにガンマ検出器を制御できる。これは、例えば上述のようにX線検出信号又はX線源起動信号をモニタリングし、例えばX線パルス中のガンマ検出信号の生成を、例えばこれらの信号をゲーティングするか、ガンマ検出器に供給される電力を調整することによって電子的に無効にすることによって達成できる。
【0034】
更に、例えばX線画像及び核画像を再構成するために、及び/又は散乱ガンマ放射線のガンマ線信号を補正するために、取得したデータ、即ち、X線信号及びガンマ信号を処理する処理ユニット9(例えばワークステーションやコンピュータ)が提供される。したがって、処理ユニット9は、再構成ユニット及び/又は散乱補正ユニットとして動作する。
【0035】
実施形態では、着脱式コリメータ100が検出器3の前に又はその一部として、例えば本発明によるイメージングシステムの第2の態様における第1の検出器と第2の検出器との間の位置に提供される。コリメータ100は、ガンマ量子の検出中は放射線経路内にあり、X線量子の検出中は放射線経路外にあるように、放射線経路、即ち、FOVに自動的に差し抜きされる。この動きは、例えば折り畳むことによって、シフトすることによって、又は回転することによって行われ、これは好ましくは自動的に行われるが(レールシステムや折り畳み/シフトメカニズムを介して)、通常は手動でも行うことができる。
【0036】
図2は、本発明によるガンマ量子及びX線量子を検出する複合型イメージング検出器の第1の実施形態の断面図を示す。この複合型イメージング検出器10は、
図1に示すイメージングシステム1の実施形態で検出器3として使用できる。複合型イメージング検出器10は、検出されたX線量子に応答してX線シンチレーション光信号を生成し、且つ検出されたガンマ量子に応答して第1のガンマシンチレーション光信号を生成するX線シンチレータ素子の第1のシンチレータ層12を含む積分X線検出器11を含む。積分X線検出器11は更に、第1のシンチレータ層11と、検出されたガンマ量子に応答して第2のガンマシンチレーション光信号を生成するガンマシンチレータ素子の第2の構造化シンチレータ層14との間に配置された光検出器アレイ13を含む。光検出器アレイ13は、上記のX線シンチレーション光信号をX線信号に変換し、上記の第1及び第2のガンマシンチレーション光信号を第1及び第2のガンマ信号に変換する。X線信号と、第1及び第2のガンマ信号(又は上記の第1及び第2のガンマシンチレーション光信号の両方を変換して得られた複合型ガンマ信号)とは、交互又は連続して検出される。光検出器アレイ13は、一般に一度に1つの信号を読み取ることが可能である。したがって、ガンマ信号を検出する場合は、X線源によるX線放出を停止することが好ましい。
【0037】
第1のシンチレータ層12、光検出器層13、及び第2のシンチレータ層14は、放射線受信方向15に沿って積み重ねられた構成に配置されている。この放射線受信方向15に沿ってX線放射線17及びガンマ放射線18が主にイメージング検出器10に入射する。更に、光検出器層13と第2のシンチレータ層14との間に、基板層16(例えばガラス板)が配置され、上記の層を担持している。更に、光検出層13と第2のシンチレータ層14との間には、それぞれの実装形態において必要に応じて透明接点、金属線、薄膜トランジスタなどを有する金属層が提供されていてもよい。
【0038】
例えばピクセル化光ダイオードを有する単一の共有光検出器層13を使用するイメージング検出器10の第1の実施形態は、透明接点を有する1つのX線検出器11を使用して実装され、その裏側にある第2の構造化シンチレータ層14を表す追加のピクセル化CsI:Tlアレイは、全ガンマ信号という利点を有し、その一部(エネルギー140keVを有するTc-99m放射線の約20~30%)は薄いCsI:Tl層として実装される第1のシンチレーション層12における吸収によるものであり、残り(約70~80%)は、厚い構造化CsI:Tl層14における吸収によるものである。例えば、各検出器ピクセルのストレージキャパシタにおける両方のガンマ信号(即ち、第1及び第2のガンマ信号を組み合わせる)を直接追加すると、全ガンマ信号及び低ノイズがもたらされる。
【0039】
例えばイットリウムY-90(150~600keVのエネルギー範囲)のような放射素子からの制動放射は、主に第2のシンチレータ層14に吸収される。例えば、ホルミウムHo-166のような別の放射素子からの低エネルギー(例えば81keVまで)のガンマ放射線は、主に第1の高分解能シンチレータ層12に吸収される。
【0040】
図3は、本発明による複合型イメージング検出器20の第2の実施形態の断面図を示す。この複合型イメージング検出器20は、
図1に示すイメージングシステム1の実施形態で検出器3として使用できる。複合型イメージング検出器20は、複合型イメージング検出器10と実質的に同様に、検出されたX線量子に応答してX線シンチレーション光信号を生成するX線シンチレータ素子の第1のシンチレータ層12と、上記のX線シンチレーション光信号をX線信号に変換する第1の光検出器アレイ13とを含む積分X線検出器11を含む。複合型イメージング検出器20は更に、検出されたガンマ量子に応答してガンマシンチレーション光信号を生成するガンマシンチレータ素子の第2の構造化シンチレータ層22と、上記のガンマシンチレーション光信号をガンマ信号に変換する第2の光検出器アレイ23とを含む積分ガンマ検出器21を含む。第1のシンチレータ層12、第1の光検出器アレイ13、第2のシンチレータ層22、及び第2の光検出器アレイ23は、放射線受信方向15に沿って積み重ねられた構成に配置されている。更に、第1の光検出層13と第2のシンチレータ層14との間に、上記の層を担持している第1の基板層16が配置され、また、第2の光検出層23の下に、上記の層を担持している第2の基板層26が配置されている。
【0041】
2つの別々の光検出層13、23を使用するイメージング検出器20の第2の実施形態は、第1の薄いシンチレータ層12と第2の厚いシンチレータ層22とによって実現される。イメージング検出器20は、低エネルギー散乱の大部分が第1の検出器11に吸収され、散乱がはるかに少ないガンマ信号は第2の検出器21で観測されるという利点がある。
【0042】
図4は、800μmのCsI層におけるガンマ量子の吸収を示す図を示している。60keVを下回るほぼ全ての散乱が800μmのCsI層に吸収される一方で、テクネチウムTc-99mでは約140keVの光電ピーク信号の70%が透過されることが示されている。ガンマ画像の再構成に第2の光検出器23からのガンマ信号のみを使用すると、光電ピーク信号は低くなるが、散乱補正が容易になる。或いは、2つの光検出器13、23のガンマ信号の比率をSPECT再構成における散乱補正のための追加入力として使用できる。
【0043】
したがって、本発明は、2つの異なるイメージングモダリティ:
正確な解剖学的イメージングに必要な高空間分解能を有するX線イメージングと、
低信号対ノイズ比の低線量機能的イメージングのニーズによく適している低空間分解能のガンマイメージング(S/N比及び画質の理由から、大きな検出器ピクセルを使用して、十分な数のガンマ光子が得られる)と、
を組み合わせている。
【0044】
第1の実施形態(イメージング検出器10)では、高分解能X線検出器11がガンマイメージングにも使用されている。多数のX線検出器ピクセル(例えば148~154μmの範囲のサイズ)で測定された信号を合計して、SPECT再構成のためのより大きなピクセル(通常1~5mm、好ましくは2~4mmのサイズ)にビニングする。例として、154μmのサイズの20×20個の正方形のX線検出器ピクセルを、SPECTイメージングのために、3.08×3.08mm2の正方形ピクセルにビニングできる。100μmのピクセルサイズを有する将来の高分解能X線検出器の場合、30×30個の検出器ピクセルを、例えば3.0×3.0mmのSPECT検出器ピクセルにビニングできる。2層検出器と比較して、第1の実施形態の利点は、70~80%だけでなく全てのガンマ量子が検出され、S/N比及び画質が向上することである。
【0045】
第2の実施形態(イメージング検出器20)では、第1の検出器11は、高分解能X線イメージングにのみ使用され、第2の検出器21は、上述のように低分解能ガンマイメージングにのみ使用される。ガンマイメージングの利点は、散乱ガンマ量子の大部分が第1の検出器11に吸収されるため、SPECT画像の散乱補正が容易になることである。
【0046】
検出器の製造の観点から、つまり、検出器BOM(部品表)コストを低く抑えるために、第1の光検出器13(X線ユニット)と第2の光検出器23(SPECTユニット)に同じ光検出器パネルを使用できる。第2の光検出器23のセンサ設計を異ならせるとコストがかかる可能性があり、SPECTイメージングのために高分解能ピクセルをより大きなピクセルにビニングすることで、これを回避できる。好ましくは、将来の二層NEXIS(次世代X線イメージングシステム)X線検出器で使用される同じ30×40cm2の光子検出器パネルが使用されるべきである。
【0047】
従来では、ガンマ量子は、通常は、高エネルギー分解能を有するカウントモードで検出されて、患者の体内の散乱したエネルギーの低い量子から全エネルギーの量子が分離されている。これらの低エネルギー量子は、患者の体内の放出点に対応していない検出器の位置で検出される。電荷積分X線又はガンマ検出器は、全エネルギー量子と低エネルギー量子とを区別できないため、ソフトウェアによる散乱の補正が必要になる。散乱補正は、第1の実施形態では、第1及び第2のシンチレータ層12、22から生じるガンマ信号に、第2の実施形態では、第2の検出器21から生じるガンマ信号に適用される。
【0048】
このような散乱補正(任意選択で、減衰補正及び分解能回復を含む)は、処理ユニット9において本発明に従って行われ、反復SPECT再構成に使用される。反復SPECT再構成では、散乱補正は、光電ピークエネルギー窓内の散乱量を推定するために適用される。このアルゴリズムでは、ノイズの増大につながる信号の減算は使用しないが、真のトレーサ分布に反復的に近づく。これは、分解能回復を一層可能にし、ノイズレベルを大幅に低下させる。追加入力として、アルゴリズムは、物体の減衰マップを使用できる。X線減衰は、X線投影のコーンビーム再構成から直接得られる。測定されたX線減衰は縮小され、関連するガンマエネルギー(例えばTc-99mの140keV)のガンマ減衰マップを取得する。これは、SPECT/CTやPET/CTイメージングでも使用される。
【0049】
SPECT再構成のためのモンテカルロベースのアルゴリズムの説明は、次の研究論文に記載されている:H.Botterweck、R.Bippus、A.Goedicke、A.Salomon、H.Wieczorek、Quantitative Simultaneous Multiple Isotope SPECT Imaging with Iterative Monte-Carlo Reconstruction、Proc.of the 9th Fully 3D Image Reconstruction Meeting、リンダウ、221~224(2007)。この研究論文は、このようなアルゴリズムにより、二重同位体イメージング、即ち、2つの隣接する放出ピークの分離でさえも可能であることを示している。本開示によれば、標準SPECTよりも散乱量が多い可能性があるが、光電ピークカウントとより低エネルギーでの散乱とを区別さえすればよい。この分類はピークの分離よりも簡単である。
【0050】
散乱補正には、SPECTにおける散乱補正と同様のやり方で適用できる他のアルゴリズム(例えばコーンビームCT用に開発されたアルゴリズム)がある。研究論文の一例としては次がある:J.Wiegert、M.Bertram、G.Rose、T.Aach、Model Based Scatter Correction for cone-beam computed tomography、プロシーディングス、第5745巻、Medical Imaging2005:Physics of Medical Imaging。
【0051】
更なる実施形態によると、別々に又は組み合わせて適用できるいくつかの変更例がある。
【0052】
1つの実施形態では、CsI:Tlの代わりに、第2のイメージング検出器20のSPECT検出器21に他のシンチレータ材料を使用できる。したがって、材料には、例えばNal:Tl、Gd2O2S:Tb、Y2O3:Eu、又は、(Lu,Gd)(Al,Ga):Geガーネットが含まれる。好ましくは、光出力の高いシンチレータが使用されるが、Y-90イメージングには、高エネルギーガンマ量子の強い吸収のため、BGO(酸化ビスマスゲルマニウム又はベルマニウム酸ビスマス)も使用できる。ラグやアフターグローの厳しい要件はない。
【0053】
第1のイメージング検出器10では、2つのシンチレータ層12、14のシンチレータ材料は、それらの信号は好ましくは合計されるため、好ましくは同一である。
【0054】
構造化シンチレータ層14又は22の厚さは、2~40mm、好ましくは5~10mm、最も好ましくは6~10mmの範囲内であるべきである。
【0055】
第2のシンチレータ層14、22は、多結晶層又はセラミックシンチレータ層として構成されてもよい。この層は透過性であっても光散乱性であってもよい。
【0056】
第1のイメージング検出器10では、a-Si:H光ダイオードを有する標準的なフラット光検出器13の代わりに、直接変換器(例えば非晶質セレン、ペロブスカイト)をX線検出に使用できる。この場合、このシンチレータ層14内で生成された光子は、直接変換層によって吸収される。この検出器の配置は、ガラス基板を入射X線ビームに向け、ガンマ検出のために厚い構造化シンチレータ層14を光検出器13の上に配置して逆さまに使用できる。これはまた、最低エネルギーの散乱量子の量を減らす。
【0057】
実施形態では、高速フレーム(通常は40ms)がX線イメージングに使用されるが、ガンマイメージングには長いフレーム(最大数十秒)が使用される。140keVの2つのガンマ量子は、X線検出器のノイズ等価線量と信号において等価である。したがって、ノイズレベルを低く保つためには、読み出し前に大量の量子を吸収し、その電荷信号を積分する必要がある。
【0058】
実施形態では、比較的粗いX線散乱線除去グリッド(ASG)と、重なり合う且つ互いに垂直な2つのASGとを使用して、SPECTイメージングにおける散乱ガンマ量子の量を減らすのに役立てることができる。このようなASGをSPECTコリメータの代わりに使用できる。更に、ソフトウェアによる散乱補正をこの実施形態に適用できる。
【0059】
別の実施形態では、このようなASGは更にX線イメージングの標準として使用され、コリメータはSPECTイメージングに追加として使用できる。
【0060】
別の実施形態では、第1及び第2のシンチレータ信号の組み合わせを、ガンマ再構成に使用できる。例えば、上述したように、それらの比率を散乱補正に使用し、それらの合計をより良いSNRに使用できる。
【0061】
実施形態では、薄いCsI:Tl層をシンチレータ層として使用できる。70keVではなく120keVまでの高X線エネルギーでは、第2のシンチレータ層12、22に吸収されるX線放射線の割合は限られている。この追加情報を使用して、信号(第1の信号と第2の信号との合計)及びS/N比を増大させ、スペクトルX線情報を取得し、画像コントラストを増大できる。
【0062】
実施形態では、再構成画像の代わりに又はそれに加えて、平面ガンマ画像の散乱補正を適用できる。この場合では、Wiegert他による上記の方法を散乱補正に使用できる。
【0063】
開示されたイメージングシステムを使用して、X線量子及びガンマ量子を、2つの別個の回転、即ち、X線用の高速回転(コーンビームCT)及びガンマ断層撮影(SPECT)用の低速回転において測定できる。SPECT回転では、検出器の前側にコリメータを配置できる。開示された概念は、様々な同位体、例えばTc-99m(例えばプレスキャンにおいて使用される)及びY-90又はHo-166(例えば治療に使用される)とともに機能する。検出器はフォイル上の検出器として作られる。
【0064】
選択的内部放射線両方(SIRT)では、ワークフローを改善するために、インターベンション中に、その場での放射性トレーサモニタリングが必要である。開示された二重機能X線検出器によって、低コスト、小重量、及び小型の検出器を実現している。これは、いくつかの臨床的価値、即ち、コスト削減及び効率化のためのワンストップショップ(IR室とSPECT室間の患者転送がない、1回のセッションでの検査及び治療用注入)や、患者転帰の改善(他の臓器への即時シャント制御、治療薬による腫瘍適用範囲の改善のためのインターベンション中の3D線量測定、及び外科的腫瘍学、リンパ節切除、肺腫瘍標的化における他の潜在的な応用)を提供する。
【0065】
本発明は、図面及び上記の説明に詳細に例示及び説明されているが、このような例示及び説明は、例示的又は模範的と見なされるべきであって、限定的と見なされるべきではない。本発明は、開示された実施形態に限定されない。開示された実施形態の他の変形は、図面、開示及び添付の特許請求の範囲の検討から、請求項に係る発明を実施する際に当業者によって理解され、実行可能である。
【0066】
特許請求の範囲において、語「含む」は、他の要素又はステップを排除するものではなく、単数形は複数を排除するものではない。単一の要素又は他のユニットが、特許請求の範囲に記載されているいくつかのアイテムの機能を果たすことができる。特定の手段が相互に異なる従属請求項に記載されているという単なる事実は、これらの手段の組み合わせを有利に使用することができないことを意味するものではない。
【0067】
特許請求の範囲における任意の参照符号は、範囲を限定するものと解釈されるべきではない。
【国際調査報告】