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特表2023-546123消費物におけるオフノートをマスクするための組成物および方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-11-01
(54)【発明の名称】消費物におけるオフノートをマスクするための組成物および方法
(51)【国際特許分類】
   A23L 27/00 20160101AFI20231025BHJP
   A23L 13/00 20160101ALI20231025BHJP
   A23J 3/16 20060101ALI20231025BHJP
   A23J 3/14 20060101ALI20231025BHJP
   A23L 5/00 20160101ALI20231025BHJP
   A23L 2/00 20060101ALI20231025BHJP
【FI】
A23L27/00 Z
A23L13/00 Z
A23J3/16
A23J3/14
A23L5/00 H
A23L2/00 B
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023523053
(86)(22)【出願日】2021-10-13
(85)【翻訳文提出日】2023-06-12
(86)【国際出願番号】 EP2021078370
(87)【国際公開番号】W WO2022079128
(87)【国際公開日】2022-04-21
(31)【優先権主張番号】63/091,958
(32)【優先日】2020-10-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】501105842
【氏名又は名称】ジボダン エス エー
(74)【代理人】
【識別番号】110003971
【氏名又は名称】弁理士法人葛和国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ツァン,ヤンガン
(72)【発明者】
【氏名】ウィズネン,リサ マリア
(72)【発明者】
【氏名】クリンティラス,ジョージオス アンドレアス
(72)【発明者】
【氏名】スティダム,ローラ
【テーマコード(参考)】
4B035
4B042
4B047
4B117
【Fターム(参考)】
4B035LC01
4B035LC02
4B035LG04
4B035LG07
4B035LG15
4B035LG17
4B035LG33
4B035LG34
4B035LG41
4B035LG44
4B035LK03
4B042AC01
4B042AD20
4B042AD36
4B042AK01
4B042AK06
4B042AK09
4B042AK10
4B042AK11
4B042AK12
4B042AK13
4B042AK20
4B042AP14
4B042AP21
4B047LB03
4B047LB08
4B047LB09
4B047LF04
4B047LF07
4B047LG05
4B047LG06
4B047LG08
4B047LG13
4B047LG16
4B047LG18
4B047LG21
4B047LG25
4B047LG31
4B047LG32
4B047LG37
4B047LG40
4B047LG41
4B047LG50
4B047LP01
4B117LC03
4B117LG11
4B117LG12
4B117LG17
4B117LK06
4B117LK09
4B117LK11
4B117LK15
4B117LK18
4B117LK20
4B117LL02
(57)【要約】
非動物由来のタンパク質オフノートをマスクするためのマスキング組成物が提供される。マスキング組成物は、1以上のオフノートブロッキング化合物;および1以上のオフノートブロッキング化合物を包含する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
1以上のオフノートブロッキング化合物;および
1以上のマスキング剤
を含む非動物由来のタンパク質オフノートをマスクするためのマスキング組成物であって、
ここで、1以上のオフノートブロッキング化合物は、ピーまたはライスペプチド、1,3-プロパンジオール、エチルシクロヘキサノアート、グリーンコーヒー抽出物、糖蜜蒸留物、ヒアルロン酸およびそれらの組み合わせからなる群から選択され;およびここで1以上のマスキング剤は、脂肪酸、テルペン、カルボニル、硫黄化合物、スイートブラウン、エステル、甘味料、ラクトン、ジュース誘導体およびそれらの組み合わせからなる群から選択される、
前記マスキング組成物。
【請求項2】
脂肪酸が、ノナン酸、デカン酸、ドデカン酸、テトラデカン酸、ヘキサデカン酸、オレイン酸、オクタン酸、9-デセン酸、ヘキサン酸およびそれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項1に記載のマスキング組成物。
【請求項3】
カルボニルが、アセトン、アセチルプロピオニル、2-ヘプタノン、2-ノナノン、2-ウンデカノン、シス-4-ヘプテナールおよびそれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項1に記載のマスキング組成物。
【請求項4】
硫黄化合物が、イソチオシアナート、メチルスルフィド、ジアリルジスルフィド、プロペニルジスルフィド、ジメチルスルフィド、ジメチルトリスルフィド、ネギ属の成分の抽出物およびそれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項1に記載のマスキング組成物。
【請求項5】
スイートブラウンが、マルトール、バニリン、シクロペンテノロン、フラネオール、バニラ抽出物、バニラ誘導体、カラメル抽出物、コンデンスミルク誘導体およびそれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項1に記載のマスキング組成物
【請求項6】
エステルが、エチルシクロヘキサノアート、エチルスクシナート、乳酸エチル、エチルカプレート、エチルドデカノアート、エチルミリスタート、エチルパルミタートおよびそれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項1に記載のマスキング組成物。
【請求項7】
甘味料が、ステビオールグリコシド、エリスリトール、グルコシル化ステビオールグリコシド、蜂蜜蒸留物、糖蒸留物およびそれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項1に記載のマスキング組成物。
【請求項8】
ラクトンが、ガンマデカラクトン、デルタデカラクトン、デルタドデカラクトン、ガンマウンデカラクトン、マッソイアラクトンおよびそれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項1に記載のマスキング組成物。
【請求項9】
テルペンが、フェンコール、テルピネオール、カリオフィレンビサボレン、ファルノセン、ファルネソールおよびそれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項1に記載のマスキング組成物。
【請求項10】
オフノートブロッキング化合物のマスキング剤に対する重量比が、2.5:1および500:1の間である、請求項1に記載のマスキング組成物。
【請求項11】
非動物由来のタンパク質;
ピーまたはライスペプチド、1,3-プロパンジオール、エチルシクロヘキサノアート、グリーンコーヒー抽出物、糖蜜蒸留物、ヒアルロン酸およびそれらの組み合わせからなる群から選択される1以上のオフノートブロッキング化合物;および脂肪酸、テルペン、カルボニル、硫黄化合物、スイートブラウン、エステル、甘味料、ラクトン、ジュース誘導体およびそれらの組み合わせからなる群から選択される1以上のマスキング剤を含むマスキング組成物;および
フレーバラント
を含む消費物。
【請求項12】
消費物が肉類似物である、請求項10に記載の消費物。
【請求項13】
消費物が飲料である、請求項10に記載の消費物。
【請求項14】
非動物由来のタンパク質がピータンパク質である、請求項10に記載の消費物。
【請求項15】
非動物由来のタンパク質が大豆タンパク質である、請求項10に記載の消費物。
【請求項16】
マスキング組成物が、消費物の重量で、0.01%~1.0%の量で存在する、請求項10に記載の消費物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
技術分野
本開示は、消費物に含有される非動物由来のタンパク質のオフノートを抑制する方法に関する。より具体的に、本開示は、非動物由来のタンパク質含有消費物の官能特性を改善する特定のオフノートブロッキング化合物およびマスキング剤を含むフレーバー組成物および消費物に関する。
【背景技術】
【0002】
背景
卵または乳などの動物原材料だけではなく、肉も置き換えるための食料品における非動物タンパク質の使用は、食事におけるタンパク質の利益に起因して益々重要になっている。消費者は、彼らの食品および飲料製品が多機能的利益を有することを期待する一方で、消費者は、それらの製品が健康利益の点での有効性とともに、優れた味を提供することに大きな期待も持っている。タンパク質の各タイプはそれぞれ固有の味を有しているため、食品および飲料製品へ配合することは、魅力的ではないと感じられる独特の味をもたらし得る。例えば、植物タンパク質、例として、大豆またはピー(pea)などのマメ科植物から作られた製品は、草っぽい、豆っぽい、グリーン、土っぽい、ナッツっぽいおよび/または苦味があるとして表現されるフレーバープロファイルを提示する。大豆タンパク質およびピータンパク質に関してしばしば言及される具体的なオフノートは、豆っぽい、大豆および苦味のある特質である。ジャガイモタンパク質に関してしばしば言及されるオフノートは、魚っぽい、グリーン、土っぽい-カビっぽい、および苦味のある特質である。
【0003】
さらに、食品科学者は、多種多様の非動物タンパク質からの、牛肉、豚肉、家禽、魚類、および他のシーフード類似物などの、許容し得る肉様食品応用物を調製するための方法を開発するために多くの時間を費やしてきた。かかるアプローチの1つは、例えば押出プロセシングによる、繊維状の肉類似物へのテクスチャー化である。その結果得られる肉類似物製品は、改善された肉様の視覚的外観および改善された食感を呈す。
結果的に、低減されたオフノートを有する改善されたフレーバーを呈する非動物タンパク質および非動物タンパク質を含有する製品への必要性が残っている。
【発明の概要】
【0004】
概要
一態様において、非動物由来のタンパク質オフノートをマスクするためのマスキング組成物は、1以上のオフノートブロッキング化合物;および1以上のマスキング剤を包含する。1以上のオフノートブロッキング化合物は、ピーまたはライスペプチド、1,3-プロパンジオール、エチルシクロヘキサノアート、グリーンコーヒー抽出物、糖蜜蒸留物、ヒアルロン酸およびそれらの組み合わせからなる群から選択される。1以上のマスキング剤は、脂肪酸、カルボニル、硫黄化合物、スイートブラウン、エステル、甘味料、ラクトン、ジュース誘導体およびそれらの組み合わせからなる群から選択される。
【0005】
別の態様において、消費物は、非動物由来のタンパク質;ピーまたはライスペプチド、1,3-プロパンジオール、エチルシクロヘキサノアート、グリーンコーヒー抽出物、糖蜜蒸留物、ヒアルロン酸およびそれらの組み合わせからなる群から選択される1以上のオフノートブロッキング化合物;および脂肪酸、カルボニル、硫黄化合物、スイートブラウン、エステル、甘味料、ラクトン、ジュース誘導体およびそれらの組み合わせからなる群から選択される1以上のマスキング剤を含むマスキング組成物;およびフレーバラントを包含する。
特定の態様のこれらのおよび他の特色、側面および利点は、本開示を読むことから当業者に明らかになるであろう。
【0006】
詳細な記載
以下の文章は、本開示の無数の異なる態様の広い説明を定めるものである。当該説明は、例示的なものとしてのみ解釈され、また、全ての実行可能な態様を説明することは、不可能ではないにしても、非実際的であるため、全ての実行可能な態様を説明していない。本明細書に記載のあらゆる特色、特徴、構成要素、組成物、成分、製品、ステップまたは方法論は、削除すること、本明細書に記載のあらゆる他の特色、特徴、構成要素、組成物、成分、製品、ステップまたは方法論と、組み合わせることまたは全体または一部を置換することができることが理解されるであろう。無数の代替の態様が、現在の技術またはこの特許の出願日後に開発された技術のいずれかを使用して実施することができ、これらは、請求項の何位内に含まれるであろう。本明細書において引用したすべての刊行物および特許は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0007】
本開示は、マスキング組成物、すなわちオフノートブロッキング化合物およびマスキング剤の組み合わせの、非動物タンパク質を含む消費物品への添加が、オフノートの抑制または少なくとも低減に起因した、改善されたフレーバープロファイルを有する消費物品を提供することを可能とするという、驚くべき知見に関する。
【0008】
「非動物由来のタンパク質」は、これらに限定されないが、穀物(ライス、キビ、トウモロコシ、大麦、小麦、燕麦、モロコシ、ライ麦、テフ、ライ小麦、アマランサス、ソバ、キヌア);マメ科植物(legume)または豆類(pulses)、ビーン(beans)たとえば大豆、緑豆、ソラマメ、ライマメ、ベニバナインゲン、キドニービーンズ、シロインゲンマメ、ウズラマメ、等)、ピー(peas)(たとえばグリーンピース、イエローピース、ヒヨコ豆、キマメ、ササゲ、およびブラック・アイド・ピーズ等)、ゴマ、ガルバンゾ、ポテト、レンズマメ、およびルーピン;種子および油種子(ブラックマスタード、インディアマスタード、菜種、キャノーラ、サフラワー、サフラワーシード、フラックスシード、ヘンプシード、ポピーシード、パンプキン、チア、ゴマ);ナッツ(アーモンド、クルミ、ブラジル、マカダミア、カシュー、チェスナッツ、ヘーゼルナッツ、パイン、ペカン、ピーナッツ、ピスタチオおよび銀杏);藻類(コンブ、ワカメ、スピルリナ、クロレラ);マイコプロテインおよび/または真菌タンパク質を包含する原材料から調製したタンパク質を指す。
【0009】
用語「オフノート」は、消費物の消費後に経時的に発生する不快な後味を指す。
消費者が食品を受け入れるために、最も重要な基準の1つは、フレーバーである。タンパク質は、それらの自体のフレーバーは少ないが、フレーバー知覚に影響する。タンパク質成分は、望ましくないオフノートを食品に伝達すること、および、所望のフレーバラントの知覚されるインパクトを低減することの両方を行う。これに対し、出願人は、低減されたオフノートを有する改善されたフレーバープロファイルを有する非動物タンパク質成分および非動物タンパク質を含有する製品を提供することを可能とする組成物を開発した。
【0010】
本開示に従って、マスキング組成物は、1以上のオフノートブロッキング化合物;1以上のマスキング剤:および任意にフレーバラントを包含してもよい。マスキング組成物は、特定の用途のための他の任意成分もまた包含してもよい。
【0011】
本開示のマスキング組成物は、多種多様の消費物または用途において使用し得、いかなる具体的な物理的な状態または製品形態に限定されない。本開示に従って、用語「消費物(consumable)」は、喜び、栄養分、または健康およびウェルネス利益の目的の少なくとも1つのための、典型的には口腔を介する(ただし、吸入などの非口腔手段で起こり得る)対象による消費のための製品を指す。消費物は、これらに限定されないが、液体、固体、半固体、錠剤、カプセル、ロゼンジ、ストリップ、粉末、ゲル、ガム、ペースト、スラリー、シロップ、エアロゾルおよびスプレーを包含するあらゆる形態で存在してもよい。当該用語は、例えば、ダイエタリーおよび栄養サプリメントもまた指す。消費物は、廃棄される前に一定期間口腔内に置かれるが、飲み込まれない組成物を包含する。これは、消費される前に口に置かれることもあれば、廃棄される前に一定時間口に保持されることもある。
【0012】
広く、消費物は、これらに限定されないが、すべての種類の食料品、菓子製品、焼成製品、甘い製品、セイボリー製品、発酵製品、乳製品、飲料、オーラルケア製品、ニュートラシューティカルおよび医薬品を包含する。
【0013】
例示の食料品は、これらに限定されないが、冷蔵のスナック、甘いおよびセイボリースナック、果実スナック、チップ/クリスプ、押出成型スナック、トルティーヤ/トウモロコシチップ、ポップコーン、プレッツェル、ナッツ、他の甘いおよびセイボリースナック、スナックバー、グラノーラバー、朝食バー、エネルギーバー、果実バー、他のスナックバー、食事置き換え製品、痩身製品、療養ドリンク、調理済み食事、缶詰調理済み食事、冷凍調理済み食事、乾燥調理済み食事、冷蔵の調理済み食事、ディナーミックス、肉類似物、冷凍ピザ、冷蔵ピザ、スープ、缶詰スープ、脱水スープ、即席スープ、冷蔵のスープ、UHTスープ、冷凍スープ、パスタ、缶詰パスタ、乾燥パスタ、冷蔵/新鮮なパスタ、麺、素麺、即席麺、カップ/ボール即席麺、パウチ即席麺、冷蔵麺、スナック麺、乾燥食品、デザートミックス、ソース、ドレッシングおよびコンディメント、ハーブおよび香辛料、スプレッド、ジャムおよびプリザーブ、蜂蜜、チョコレートスプレッド、ナッツベーススプレッド、および酵母ベーススプレッドを包含する。
【0014】
例示の菓子製品は、これらに限定されないが、チューインガム(加糖ガム、無糖ガム、機能性ガムおよびバブルガムを包含する)、センターフィル菓子、チョコレートおよび他のチョコレート菓子、薬用菓子、ロゼンジ、錠剤、トローチ、ミント、標準的なミント、パワーミント、チューイーキャンディ、ハードキャンディ、ボイルドキャンディ、ブレスケアおよび他のオーラルケアフィルムまたはストリップ、キャンディケイン、ロリポップ、グミ、ゼリー、ファッジ、キャラメル、ハードおよびソフト糖衣製品、トフィー、タフィー、リコリス、ゼラチンキャンディ、ガムドロップ、ジェリービーンズ、ヌガー、フォンダン、上記の1以上の組み合わせ、および上記の1以上を組み込んだ可食フレーバー組成物を包含する。
【0015】
例示の焼成製品は、これらに限定されないが、アルファジョーレス、パン、パッケージ化された/工業的なパン、パッケージ化されていない/職人のパン、ペストリー、ケーキ、パッケージ化された/工業的なケーキ、パッケージ化されていない/職人のケーキ、クッキー、チョコレートコーティングされたビスケット、サンドイッチビスケット、充填ビスケット、セイボリービスケットおよびクラッカー、パン代用品を包含する。
【0016】
例示の甘い製品は、これらに限定されないが、朝食用シリアル、すぐに食べられる(ready-to-eat)(「rte」)シリアル、ファミリー朝食用シリアル、フレーク、ミューズリー、他のすぐに食べられるシリアル、子ども朝食用シリアル、ホットシリアルを包含する。
【0017】
例示のセイボリー製品は、これらに限定されないが、塩っぽいスナック(ジャガイモチップ、クリスプ、ナッツ、トルティーヤ-トスターダ、プレッツェル、チーズスナック、トウモロコシスナック、ジャガイモ-スナック、すぐに食べられるポップコーン、マイクロレンジ用ポップコーン、ポークリング、ナッツ、クラッカー、クラッカースナック、朝食用シリアル、肉類、アスピック、塩漬肉類(ハム、ベーコン)、昼食・朝食用肉類(ホットドッグ、コールドカット、ソーセージ)、トマト製品、マーガリン、ピーナッツバター、スープ(透明な、缶詰、クリーム、即席、超高温(ultrahigh temperature)「UHT」)、缶詰野菜、パスタソースを包含する。
【0018】
例示の乳製品は、これらに限定されないが、チーズ、チーズソース、チーズベース製品、アイスクリーム、インパルスアイスクリーム、単一ポーション乳製品アイスクリーム、単一のポーションウォーターアイスクリーム、マルチパック乳製アイスクリーム、マルチパックウォーターアイスクリーム、持ち帰り用アイスクリーム、持ち帰り用乳製アイスクリーム、アイスクリームデザートバルクアイスクリーム、持ち帰り用ウォーターアイスクリーム、フローズンヨーグルト、職人のアイスクリーム、乳製品、乳、新鮮/低温殺菌乳、全脂新鮮/低温殺菌乳、半脱脂新鮮/低温殺菌乳、ロングライフ/uht乳、全脂ロングライフ/uht乳、半脱脂ロングライフ/uht乳、無脂肪ロングライフ/uht乳、ヤギ乳、コンデンス/エバミルク、プレーンコンデンス/エバミルク、フレーバード、機能的および他のコンデンスミルク、フレーバード乳ドリンク、乳製品のみのフレーバード乳ドリンク、ジュース入りフレーバード乳ドリンク、豆乳、サワーミルクドリンク、発酵した乳製品ドリンク、コーヒーホワイトナー、粉末乳、フレーバード粉末乳ドリンク、クリーム、ヨーグルト、プレーン/ナチュラルヨーグルト、フレーバードヨーグルト、果実入りヨーグルト、プロバイオティックヨーグルト、飲むヨーグルト、通常の飲むヨーグルト、プロバイオティックの飲むヨーグルト、冷蔵のおよび常温保存可能なデザート、乳製品ベースデザート、大豆ベースデザートを包含する。
【0019】
例示の飲料は、これらに限定されないが、フレーバードウォーター、ソフトドリンク、果実ドリンク、コーヒーをベースとしたドリンク、茶をベースとしたドリンク、ジュースをベースとしたドリンク(果実および野菜を包含する)、乳をベースとしたドリンク、ゲルドリンク、炭酸または非炭酸ドリンク、粉末状ドリンク、アルコールまたはノンアルコールドリンク、およびこれらの飲料のすぐに飲める液体製剤を包含する。
【0020】
例示の発酵した食品は、これらに限定されないが、チーズおよびチーズ製品、肉および肉製品、大豆および大豆製品、魚類および魚類製品、穀物および穀物製品、果実および果実製品を包含する。
【0021】
ある態様において、消費物、例えば、肉類似物は、高濃度の非動物由来のタンパク質を包含する。タンパク質の総量は、消費物の、約2重量%および約15重量%の間、または約2%および約12重量%の間、または約3%および約10重量%の間、または約4%および約8重量%の間、または約5%および約7重量%の間、または約6.4%~6.5%の間であり得、または約6.4%タンパク質、または3重量%より多く、4重量%より多く、5重量%より多く、または6重量%より多く、またはこれらの範囲の任意のパーセンテージ範囲または特定のパーセンテージであり得る。
【0022】
オフノートブロッキング化合物
本開示に従って、本明細書に記載のとおりのマスキング組成物において使用するためのオフノートブロッキング化合物は、以下からなる群から選択され得る:ペプチド、1,3-プロパンジオール、エチルシクロヘキサノアート、およびグリーンコーヒー抽出物、糖蜜蒸留物およびヒアルロン酸などの天然複合成分。本開示に従う追加のオフノートブロッキング化合物は、様々な植物からの化合物、例えば、カモミール、ハイビスカス、プナックジンセン根、チコリ根抽出物および甘草抽出物を包含する。
【0023】
一態様において、用語「ペプチド材料」は、タンパク質加水分解物を示すと理解され、加水分解から生じる一定量の遊離アミノ酸ならびに、長さが異なり得るあらゆるタイプのペプチドを含み得る。タンパク質原材料は、1以上の加水分解酵素によって加水分解される。一例において、遊離アミノ酸の遊離を最小限に抑え、タンパク質加水分解物の味覚プロファイルを改善するために、低いエキソペプチダーゼ活性を有する酵素調製物を使用する。一態様において、ペプチド材料は、約150~約10,000ダルトン、および別の態様において約200~約5,000ダルトンの分子量を有する。さらに、ペプチド材料は、マスキング組成物の重量で、約0.0001%~約0.5%、別の態様において約0.0005%~約0.2%、別の態様において約0.05%~約0.5%、別の態様において約0.1%~約0.2%、またはその範囲内の任意の個々の数の量で存在してもよい。一例において、ペプチド材料は、ピータンパク質に由来してもよい。別の例において、ペプチド材料はライスタンパク質に由来してもよい。
【0024】
ある態様において、ペプチド材料は、酵素加水分解に供され、ここでペプチドを、酵素(単数または複数)が少なくとも部分的にペプチドを分解するために好適な条件下および期間、1以上の酵素(単数または複数)と接触させる。すべての酵素は、食品グレードであるべきである。
【0025】
一態様において、酵素加水分解のために使用される酵素(単数または複数)は、例えば、タンパク質分解酵素から選択され得る。タンパク質分解酵素は、タンパク質およびペプチドの加水分解を触媒する。タンパク質分解酵素は、例えば、タンパク質を加水分解して小さいペプチドを形成するプロテイナーゼ、および小さいペプチドをさらに加水分解してアミノ酸を形成するペプチダーゼを包含する。タンパク質分解酵素(単数または複数)は、例えばエンドペプチダーゼ活性(内側のペプチド結合を攻撃する)および/またはエキソペプチダーゼ活性タンパク質またはペプチドの末端でペプチド結合を攻撃する、たとえばアミノ-またはカルボキシペプチダーゼ)を有してもよい。
【0026】
タンパク質分解酵素は、例えば、プロテアーゼ、ペプチダーゼ、グルタミナーゼ(例としてL-グルタミン-アミド-ヒドロラーゼ(EC3.5.1.2))、エンドプロテアーゼ、セリンエンドペプチダーゼ、スブチリシンペプチダーゼ(EC3.4.21.62)、セリンプロテアーゼ、トレオニンプロテアーゼ、システインプロテアーゼ、アスパラギン酸プロテアーゼ、グルタミン酸プロテアーゼ、トリプシン、キモトリプシン(EC3.4.21.1)、ペプシン、パパイン、およびエラスターゼを包含する。
【0027】
タンパク質分解酵素(EC3.4およびEC3.5)は、EC番号(酵素受託番号)によって分類され、各クラスは、ある反応タイプの様々な既知の酵素を含む。EC3.4は、ペプチド結合に作用する酵素(ペプチダーゼ/プロテイナーゼ)を含みおよびEC3.5は、ペプチド結合以外の炭素-窒素結合に作用する酵素を含む。
【0028】
EC3.4の例は、例えば、以下を含む:アミノペプチダーゼ(EC3.4.11)、ジペプチダーゼ(3.4.13)、ジペプチジル-ペプチダーゼ(3.4.14)、ペプチジル-ジペプチダーゼ(3.4.15)、セリン-カルボキシペプチダーゼ(3.4.16)、メタロカルボキシペプチダーゼ(3.4.17)、システイン-カルボキシペプチダーゼ(3.4.18)、オメガペプチダーゼ(3.4.19)、セリン-エンドペプチダーゼ(3.4.21)、システイン-エンドペプチダーゼ(3.4.22)、アスパルタート-エンドペプチダーゼ(3.4.23)、メタロエンドペプチダーゼ(3.4.24)、トレオニン-エンドペプチダーゼ(3.4.25)。
【0029】
EC3.5の例は、限定せずに、直鎖アミド(3.5.1)において切断するタンパク質分解酵素、例えば、限定せずに、グルタミナーゼ(EC3.5.1.2)を包含する。
【0030】
食品グレード用途に好適な、様々なタンパク質分解酵素は、たとえばNovozymes、Amano、Biocatalysts、Bio-Cat、Valey Research(現在はDSMの子会社)、EDC(Enzyme Development Corporation)および他の供給者から市販されてる。いくつかの例は以下を包含する: Neutrase(R)、Alcalase(R)、Protamex(R)、およびFlavorzyme(R)、(Novozymesから入手可能);Promod(R)シリーズ:例として 215P、439L、523MDP、782MDP、845MDPおよび903MDP、Flavorpro(R) 937MDP、852MDP、795MDP、766MDP、750MDP、P523MDP(Biocatalystsから入手可能);Protin PC10、Umamizyme(R)、Peptidase R (または723)、プロテアーゼA、プロテアーゼM、プロテアーゼN、プロテアーゼP、およびThermoase GL30(Amanoから入手可能);Validase(R) AFPおよびValidase(R) FPII (Valey Researchから入手可能);真菌プロテアーゼ、エキソプロテアーゼ、パパイン、Bromelain、およびプロテアーゼおよびペプチダーゼのEnzeco(R)シリーズ(EDCから入手可能)。
【0031】
酵素加水分解は、関与するすべての酵素に好適な条件下で実施される。当業者には明らかなように、温度およびpHは、加水分解が所望される程度で起こるために好適な範囲であるべきである。インキュベーションの長さは異なり得、条件が最適条件に近いほど、短いインキュベーションとなる。選択した酵素のために必要であるかまたは有益である場合、必要なイオンが存在してもよい。インキュベートした混合物を攪拌に供すること、例えば(例として50~500rpmまたは100~200rpmで)かき混ぜることは、加水分解を改善し得る。
【0032】
酵素加水分解は、例えば、酵素が変性する温度よりも低い温度で実施してもよい。温度は、例えば、所望される反応速度を得るように選択してもよい。酵素加水分解は、例えば、約35℃~約80℃の範囲の温度で実施してもよい。例えば、酵素加水分解は、約40℃~約75℃または約45℃~約70℃の範囲の温度で実施してもよい。
【0033】
酵素加水分解は、例えば、酵素が変性しないpHにおいて実施してもよい。pHは、例えば、所望される反応速度を得るように選択してもよい。酵素加水分解は、例えば、約7~約8.5、例えば約7.5~約8.5、例えば約7.9~約8.3の範囲内のpHにおいて実施してもよい。
【0034】
酵素加水分解は、例えば、約1時間~約48時間の範囲内の期間行ってもよい。例えば、酵素加水分解は、約2時間~約48時間または約4時間~約36時間または約6時間~約24時間または約8時間~約16時間の範囲の期間で行ってもよい。
【0035】
一態様において、酵素加水分解に供されるペプチドは、例えば、水性のスラリーであってもよい。よって、ある態様において、方法は、酵素加水分解に先立ち、水性のスラリーを、水および緩衝剤溶液と組み合わせることを含んでもよい。一態様において、インキュベーション後の反応混合物を室温まで冷却し、混合物を、例えば遠心分離による、分離ステップに付し、上清を回収する。本開示に従って、上清は、液体形態のまま維持するか、または粉末温和な条件を使用して、例えば、スプレー乾燥または凍結乾燥で、粉末に変換するかのいずれかであり得る。
【0036】
別の態様において、1,3-プロパンジオールを単独でまたは他のオフノートブロッキング化合物と組み合わせて、動物由来のタンパク質によって与えられるオフノートを低減または除去するために、マスキング組成物において使用できることが、驚くべきことにおよび予想外に見出された。1,3-プロパンジオールは、トウモロコシ糖から調製することができる極性化合物である。一般に、1,3-プロパンジオールは、1,3-プロパンジオール自体が食品または飲料にフレーバーを与えず、味を通じて製品に含まれていると認識されないような量で消費物に包含される。例えば、1,3-プロパンジオールは、平均的消費者が感覚刺激的に知覚できるフレーバー味の閾値を下回ると一般的に考えられている量で包含される。換言すれば、1,3-プロパンジオールを含有しない比較製品は、1,3-プロパンジオールを含有する製品と、味において異なると知覚されない。1,3-プロパンジオールは、DuPont Tate & Lyle BioProducts(Wilmington, Del.)として、商業的に販売されているが、1,3-プロパンジオールの他の供給源もまた、使用してもよい
【0037】
ある態様に従って、肉類似物製品または他の非動物タンパク質含有消費物に存在する1,3-プロパンジオールの量は、少なくとも約10ppm~約1000ppmの濃度であってもよい。ある態様に従って、1,3-プロパンジオールの量は、少なくとも約50ppm~約500ppmの濃度であってもよい。ある態様に従って、1,3-プロパンジオールの量は、少なくとも約100ppm~約300ppmの濃度であってもよい。ある態様に従って、1,3-プロパンジオールの量は、約100ppmの濃度であってもよい。
【0038】
別の態様において、エチルシクロヘキサノアートを単独でまたは他のオフノートブロッキング化合物と組み合わせて、動物由来のタンパク質によって与えられるオフノートを低減または除去するために、マスキング組成物において使用できることが、驚くべきことにおよび予想外に見出された。ときにはエチルシクロヘキシルカルボキシラート(CAS 3289-28-9; FEMA No 3544)と称される、エチルシクロヘキサノアートは、様々な天然油、例えば、バージンオリーブオイル(例えば、Reiners et al, J. Agric. Food Chem. 1998, 46, 2754-2763参照)およびラム酒(Franitza et al, J. Agric. Food Chem. 2016, 64, 637-645参照)において生じることが知られている。当該化合物は、約1pptという顕著に低い匂い閾値を有する(Gary R. Takeoka et al, Lebensm.-Wiss. u.-Technol., 24,569-570 (1991))。
【0039】
驚くべきことに、約0.5ppt(ng/L)~約20ppt(ng/L)(0.6、0.7、0.8、0.9、1、1.5、2、2.5、5、7.5、8、9、10、12、14、15、16、18ppt(ng/L)を包含する)である、その匂い検出閾値あたりでのエチルシクロヘキサノアートの使用は、あるオフノート、とりわけ、非動物由来のタンパク質のオフノートのマスクを提供する。より高い濃度(例として、50ppt以上(75ppt、100ppt、150ppt、175pptなど)の添加は、数個のオフノート特質への有効な効果を提供するが、加えていくつかのフルーティノートを付与する。消費物に応じて、これらのフルーティノートは、所望されるか、または所望されない。
【0040】
顕著な効果を達成するために必要なエチルシクロヘキサノアートの量は、消費物品に存在する非動物由来のタンパク質の量に主に依存する。例えば、良好な結果は、約3wt%の非動物由来のタンパク質を含む消費物への、20pptまで(例として0.5ppt~約15ppt)のエチルシクロヘキサノアートの添加によって達成された。別の例として、約15~50wt%(17、20、25、30、35、40、45wt%など)の非動物由来のタンパク質を含む肉類似物消費物(例として、フィレ、ナゲット、バーガー、ソーセージ、「ミートボール」、およびデリ「ミート」)を挙げることができる。高い量(約15wt%~約50wt%)の非動物由来のタンパク質を含むかかるタイプの消費物へは、良好な結果を得るために、250pptまでのエチルシクロヘキサノアートを添加してもよい。
【0041】
よって、さらなる態様において、非動物由来のタンパク質1グラムあたり、約1ngまで(0.005、0.01、0.05、0.1、0.25、0.3、0.5、0.5、0.75ngを包含する)のエチルシクロヘキサノアートを含むことを特徴とする、動物由来のタンパク質およびエチルシクロヘキサノアートを含む消費物が提供される。
【0042】
別の態様において、グリーンコーヒー抽出物、糖蜜蒸留物およびヒアルロン酸などの天然複合成分を単独でまたは他のオフノートブロッキング化合物と組み合わせて、動物由来のタンパク質によって与えられるオフノートを低減または除去するために、マスキング組成物において使用できることが、驚くべきことにおよび予想外に見出された。
【0043】
本開示に従って、1以上のオフノートブロッキング化合物は、非動物由来のタンパク質を含む消費物品に直接添加してもよく、またはフレーバー剤、安定剤、乳化剤、保存料、ガム、デンプン、デキストリン、ビタミンおよびミネラル、機能性成分、塩、抗酸化剤、甘味料、および着色料などのさらなる食品添加剤と混合してもよく、または消費物品に混合する前に、最初のステップにおいて、マトリックス材料に封入してもよい。
【0044】
マスキング剤
本開示に従って、具体的な非動物由来のタンパク質における望ましくないオフノート(単数または複数)をブロッキングする、マスクするまたは改良するために好適な組成物を作るために、マスキング剤を、上で開示されたオフノートブロッキング化合物と組み合わせて使用する。望ましくないフレーバーノートをマスクするまたはブロッキングすることは、食品および飲料開発において、長年実施されてきている。歴史的に、より多くに糖または脂肪を、苦味をカバーするために使用して、フレーバー知覚を調製することに関与する。フレーバリストは、それらの製品に単に「過剰にフレーバーを付与して」、不快な味を隠す。これらの既存の方法は、低減された脂肪および糖含量が一般的なゴールである、健康志向の消費者にとって、まったく満足いくものではない。
【0045】
様々な非動物タンパク質は、望ましくないオフノートを提供する。具体的に、望ましくないオフノートは、ピーおよび大豆タンパク質からの、豆っぽい、苦味のある、草っぽい、渋み、土っぽい、チョークっぽい、および腐敗したオフノートである。用語オフノートは、消費物の消費の後に経時的に発言する不快なフレーバーおよび後味を指す。オフノート遮断薬の添加は、オフノートを、ブロック、マスクまたは改変し、それらを、より目立たなくするか、知覚できなくする。非動物タンパク質は、それによって、それらの豆っぽい/苦味のある/草っぽい/渋み/土っぽい/チョークっぽい/腐敗した味を失う。
【0046】
一態様に従って、本開示に従った使用のために好適なマスキング剤は、これらに限定されないが、ノナン酸、デカン酸、ドデカン酸、テトラデカン酸、ヘキサデカン酸、オレイン酸、オクタン酸、9-デセン酸およびヘキサン酸を包含する脂肪酸を包含する。
【0047】
別の態様において、好適なマスキング剤は、これらに限定されないが、アセトン、アセチルプロピオニル、2-ヘプタノン、2-ノナノン、2-ウンデカノンおよびシス-4-ヘプテナールを包含するカルボニルを包含する。別の態様において、好適なオフノートブロッキング化合物は、これらに限定されないが、イソチオシアナート、メチルスルフィド、ジアリルジスルフィド、プロペニルジスルフィド、ジメチルスルフィド、ジメチルトリスルフィドおよびネギ属の(alliaceous)成分の抽出物を包含する硫黄を包含する。別の態様において、硫黄構成要素は、例えば、ニンニク油、タマネギ油、カラシ油およびセイヨウワサビ油などの硫黄含有油において見出し得る。
【0048】
別の態様において、好適なマスキング剤は、これらに限定されないが、マルトール、バニリン、シクロペンテノロン、フラネオール、バニラ抽出物、バニラ誘導体、カラメル抽出物およびコンデンスミルク誘導体を包含するスイートブラウンを包含する。
【0049】
別の態様において、好適なマスキング剤は、これらに限定されないが、エチルシクロヘキサノアート、エチルスクシナート、乳酸エチル、エチルカプレート、エチルドデカノアート、エチルミリスタート、エチルパルミタートおよびエチルオレアートを包含するエステルを包含する。別の態様において、好適なマスキング剤は、これらに限定されないが、レバウジオシドなどのステビオールグリコシド;レブソディド、スウィングル抽出物、モグロシドV、エリスリトール、グルコシル化ステビオールグリコシド、蜂蜜蒸留物および糖蒸留物を包含する甘味料を包含する。
【0050】
別の態様において、好適なマスキング剤は、これらに限定されないが、ガンマデカラクトン、デルタデカラクトン、デルタドデカラクトン、ガンマウンデカラクトンおよびマッソイアラクトンを包含するラクトンを包含する。別の態様において、マスキング剤は、これらに限定されないが、イチゴ、キュウリ、リンゴ、サクランボ、キウイおよびアプリコットを包含するジュース誘導体を包含する。
【0051】
一態様に従って、本開示に従った使用のために好適なマスキング剤は、これらに限定されないが、フェンコール、テルピネオール、カリオフィレン、ビサボレン、ファルノセンおよびファルネソールを包含するテルペンを包含する。別の態様において、好適なテルペンは、これらに限定されないが、カロテン(たとえば、例えば、アルファ-カロテン、ベータ-カロテン、ガンマ-カロテン、デルタ-カロテン、リコピン、ノイロスポレン、フィトフルエン、フィトエン)、およびキサントフィル(たとえば、例えば、カンタキサンチン、クリプトキサンチン、アエアキサンチン、アスタキサンチン、ルテイン、ルビキサンチン);モノテルペン(たとえば、例えば、リモネン、ペリリルアルコール);セスキテルペン(たとえば、例えば、カリオフィレン、β-カリオフィレン、ジンギベレン);サポニン;以下を包含する脂質:フィトステロール、カンペステロール、ベータシトステロール、ガンマシトステロール、スチグマステロール)、トコフェロールs(ビタミンE)、およびオメガ-3、-6、および-9脂肪酸(たとえば、例えば、ガンマ-リノレン酸;トリテルペノイド(たとえば、例えば、オレアノール酸、ウルソール酸、ベツリン酸、モロン酸);アルファ-ピネン、cis-ベータ-オシメンおよびビサボレン(たとえば、アルファ-ビサボレンおよびガンマ-ビサボレンを包含する。
【0052】
一例において、マスキング組成物は、マスキング剤を、消耗物の重量で、約0.00000001%~約0.0025%、別の態様において約0.0000001%~約0.0015%、別の態様において約0.000001%~約0.001%、もう1つの態様において約0.00001%~約0.0005%、または当該範囲内の任意の数の量で包含する。
【0053】
別の態様に従って、マスキング組成物は、例えば、5、6、7、8、9、10、またはそれ以上のマスキング剤を包含する、複数のマスクング剤を包含してもよい。いくつかの態様において、マスキング組成物は、少なく5のマスキング剤;別の態様において少なくとも10のマスキング剤;別の態様において少なくとも10のマスキング剤を包含する。
【0054】
マスキング組成物は、オフノートブロッキング化合物およびマスキング剤を、約500対1;別の態様において約100対1;別の態様において約75対1;別の態様において約50対1;もう1つの態様において約25対1;もう1つの態様において約10対1;もう1つの態様において約5対1;およびもう1つの態様において約2.5対1の重量比で包含してもよい。
【0055】
一態様において、マスキング組成物は、消費物において、消費物の重量で、約0.001%~約1.0%、別の態様において約0.05%~約0.5%、別の態様において約0.1%~約0.25、または当該範囲内の任意の数の量で包含する。
【0056】
フレーバラント
一態様において、マスキング組成物は、任意に、フレーバラントを包含してもよい。「フレーバラント」は、当業者に既知の方法を使用してフレーバリストにより作られた組成物であって、味物質、芳香化合物および感覚惹起剤の混合物である。好適なフレーバラントの例は、天然のフレーバー、人工のフレーバー、香辛料、調味料等を包含する。例示のフレーバラントは、合成のフレーバー油およびフレーバー付与芳香族および/または油、含油樹脂、エッセンス、および蒸留物、および上記の少なくとも1の組み合わせを包含する。
【0057】
フレーバー油は、スペアミント油、桂皮油、冬緑油(サリチル酸メチル)、ペパーミント油、薄荷油、丁子油、ベイ油、アニス油、ユーカリ油、タイム油、ニオイヒバ油、ニクズク油、オールスパイス、セージ油、メース、苦扁桃油、およびカッシア油;有用なフレーバー付与剤は、以下を包含する人工、天然および合成の果実フレーバー、たとえばバニラ、ならびにレモン、オレンジ、ライム、グレープフルーツ、ユズ、スダチなどの柑橘油、ならびにリンゴ、セイヨウナシ、モモ、ブドウ、キイチゴ、ブラックベリー、セイヨウスグリ、ブルーベリー、イチゴ、サクランボ、セイヨウスモモ、プルーン、レーズン、コーラ、ガラナ、ネロリ、パイナップル、アプリコット、バナナ、メロン、アプリコット、サクランボ、熱帯産果実、マンゴー、マンゴスチン、ザクロ、パパイヤ、などの果実エッセンスを包含する。
【0058】
フレーバラントによって与えられる追加の例示のフレーバーは、乳フレーバー、バターフレーバー、チーズフレーバー、クリームフレーバー、およびヨーグルトフレーバー、バニラフレーバー、茶またはコーヒーフレーバー、たとえば緑茶フレーバー、ウーロン茶フレーバー、茶フレーバー、ココアフレーバー、チョコレートフレーバー、およびコーヒーフレーバー;ミントフレーバー、たとえばペパーミントフレーバー、スペアミントフレーバー、および薄荷フレーバー;スパイシーフレーバー、たとえばアギフレーバー、アジョワンフレーバー、アニスフレーバー、シシウドフレーバー、ウイキョウフレーバー、オールスパイスフレーバー、桂皮フレーバー、カモミールフレーバー、カラシフレーバー、カルダモンフレーバー、キャラウェーフレーバー、クミンフレーバー、丁子フレーバー、コショウフレーバー、コリアンダーフレーバー、サッサフラスフレーバー、セイボリーフレーバー、Zanthoxyli Fructusフレーバー、エゴマフレーバー、ジュニパーベリーフレーバー、生姜フレーバー、八角フレーバー、セイヨウワサビフレーバー、タイムフレーバー、タラゴンフレーバー、イノンドフレーバー、唐辛子フレーバー、ニクズクフレーバー、バジルフレーバー、マジョラムフレーバー、ローズマリーフレーバー、ベイリーフフレーバー、およびわさび(ワサビ)フレーバー;木の実フレーバーたとえばアーモンドフレーバー、ハシバミの実フレーバー、マカダミアナッツフレーバー、落花生フレーバー、ペカンフレーバー、ピスタチオフレーバー、およびクルミフレーバー;フローラルのフレーバー;および野菜フレーバー、たとえばタマネギフレーバー、ニンニクフレーバー、キャベツフレーバー、ニンジンフレーバー、セロリフレーバー、キノコフレーバー、およびトマトフレーバーを包含する。
【0059】
いくつかの態様に従って、フレーバラントはまた、たとえばシンナミルアセタート、シンナムアルデヒド、シトラールジエチルアセタール、ジヒドロカルビルアセタート、オイゲニル49ホルマート、p-メチルアミソール、などのアルデヒドおよびエステルを包含してもよい。アルデヒドフレーバー剤のさらなる例は、以下を包含する:アセトアルデヒド(リンゴ)、ベンズアルデヒド(サクランボ、アーモンド)、アニスアルデヒド(リコリス、アニス)、シンナミックアルデヒド(桂皮)、シトラール、すなわち、アルファ-シトラール(レモン、ライム)、ネラール、すなわち、ベータ-シトラール(レモン、ライム)、デカナール(オレンジ〈色〉、レモン)、エチルバニリン(バニラ、クリーム)、ヘリオトロプ、すなわち、ピペロナール(バニラ、クリーム)、バニリン(バニラ、クリーム)、アルファ-アミルシンナムアルデヒド(スパイシーなフルーティなフレーバー)、ブチルアルデヒド(バター、チーズ)、バレルアルデヒド(バター、チーズ)、シトロネラール(修飾、多くのタイプ)、デカナール(柑橘果実)、アルデヒドC-8(柑橘果実)、アルデヒドC-9(柑橘果実)、アルデヒドC-12(柑橘果実)、2-エチルブチルアルデヒド(ベリー果実)、ヘキセナール、すなわち、トランス-2(ベリー果実)、トリルアルデヒド(サクランボ、アーモンド)、ベラトルアルデヒド(バニラ)、2,6-ジメチル-5-ヘプテナール、すなわち、メロナール(メロン)、2,6-ジメチルオクタナール(グリーン果実)、および2-ドデセナール(柑橘、マンダリン)等。
【0060】
一般に、National Academy of Sciencesによる「Chemicals Used in Food Processing」、Publication No 1274, pages 63-258に記載されるものなど、あらゆるフレーバラントまたは食品添加剤を使用することができる。
【0061】
マスキング組成物は、重量で、約.01%~約6.0%、別の態様において約0.1%~約1.0%、もう1つの態様において約0.2%~約0.5%、または当該範囲内の任意の数のフレーバラントを包含してもよい。
【0062】
使用
本明細書に記載の方法によって得られたおよび/または得ることができるマスキング組成物は、例えば、マウスフィールを改善、および/またはオフノートを低減/マスクするために、消費物/食品製品(例としてフレーバー組成物の一部として)に添加してもよい。
【0063】
一般的には、「マウスフィール」は、食品および飲料製品の芳香、味、テクスチャーの品質によって影響される、口の中で経験する複雑な知覚を指す。しかしながら、技術的視点から、マウスフィール感覚は、具体的に言うと、三叉神経を介して口の中で知覚される物理的(例として触覚の、温度)および/または化学的(例として疼痛)特徴に関連する。結果的に、それらは、口腔内の触覚刺激の結果であり、口腔粘膜、唇、舌、頬、口蓋、咽頭に位置付けられる機械的、疼痛および温度の受容体が関与する。
【0064】
マウスフィール知覚は、例えば、テクスチャー-渋み、焼けるような、冷たさ、刺痛、濃厚、噛みごたえ、脂肪分、油分、ぬめり、泡立ち、溶ける、砂っぽい、チョークっぽい、水っぽい、酸味、長引き、金属味、ボディ、甘いボディ、炭酸、冷却、温暖、熱い、ジューシー、口乾燥、麻痺、辛味、唾液分泌する、スポンジ状、粘着性、完全さ、まとまり、密度、破砕性、粒状性、グリット性、ガム質、硬度、重さ、吸湿性、放湿性、マウスウォータリング、マウスコーティング、粗さ、滑りやすさ、滑らかさ、均一性、噛み切りの均一性、奥歯での噛み応えの均一性、粘度、速い拡散、フルボディ、唾液分泌および保持力の1以上を包含する。
【0065】
「マウスフィールの改善」は、所望されるマウスフィール知覚のいずれか1以上が増強されたこと、および/または1以上の望ましくないマウスフィール知覚のいずれかの1以上が低減されたことを意味する。
【0066】
「オフノートのマスキング」は、オフノートマスキング成分を含む食品を、オフノートマスキング成分を添加していない食品と比較した場合に、熟練したパネリストによって、食品製品における望ましくない特質の知覚の強度および/または長さが、低減されたと分析されることを意味する。
【0067】
他の態様に従って、開示された方法は、植物タンパク質などの非動物由来のタンパク質によって与えられるオフノートを低減または除去するために用いてもよい。例示の植物タンパク質は、大豆タンパク質およびピータンパク質を包含する。本明細書に使用されるとき、大豆は、あらゆる形態の大豆を含有するすべての消耗品を包含し、これらは、例えばニュートラシューティカルとして、または医薬として、単独か、組み合わせのいずれかで用いられる大豆油、大豆豆腐、大豆乳、大豆バターまたは大豆ペーストを包含する。植物タンパク質は、藻類(たとえばスピルリナ)、ビーン(たとえば、黒豆、カネリマメ、キドニービーンズ、レンズマメ、ライマメ、ピントマメ、大豆、白豆)、ブロッコリー、枝豆、ナッツ(たとえば、アーモンド、ブラジルナッツ、カシュー、ピーナッツ、ペカン、ヘーゼルナッツ、パインナッツ、クルミ)、ピー(たとえば、ブラック・アイド・ピーズ、ヒヨコ豆、グリーンピース)、ポテト、オートミール、種子(たとえば、チア、フラックス、ヘンプ、パンプキン、ゴマ、ヒマワリ)、穀物(ライス、キビ、トウモロコシ、大麦、小麦、燕麦、モロコシ、ライ麦、テフ、ライ小麦、アマランサス、ソバ、キヌア)、セイタン(すなわち、小麦グルテンベース)、テンペ、豆腐、マイコタンパク質または真菌タンパク質;昆虫および葉タンパク質およびそれらの混合物を含んでもよい。
【0068】
他の態様に従って、開示されたマスキング組成物は、非動物タンパク質を含有する肉類似物製品によって与えられるオフノートを低減または除去するために用いてもよい。「肉類似物」は、あるタイプの肉の美的品質および/または化学的特徴に近似する食品製品である。用語、肉類似物は、テクスチャード野菜タンパク質(TVP)、高水分肉類似物(HMMA)および低水分肉類似物(LMMA)製品で調製されたものを包含する。
【0069】
肉類似物組成物および押出プロセス
食品科学者は、多種多様の非動物タンパク質から、牛肉、豚肉、家禽、魚類、およびシェル魚類類似物などの、許容し得る肉様食品応用物を調製するための方法の開発に多くの時間を費やしてきた。アプローチの1つは、例えば押出プロセシングによる、繊維状の肉類似物へのテクスチャー化である。その結果得られる肉類似物製品改善された肉様視覚の外観および改善されたテクスチャーを示す。
【0070】
肉類似物製品は、高い水分含量で製造され、動物肉の繊維状の構造をシミュレートし、所望の肉のような水分、テクスチャー、マウスフィール、フレーバーおよび色を有する製品提供する。
【0071】
タンパク質のテクスチャー化は、熱、および/またはせん断および水の添加に関与するプロセスを介して、テクスチャーまたは構造を発達させることである。テクスチャーまたは構造は、タンパク質繊維によって形成され、これは、肉様外観および消費されるときの知覚を提供するであろう。タンパク質のテクスチャー化のメカニズムは、熱および/またはせん断によって分子内結合力を破壊することによる、所定のタンパク質の水和およびアンフォールディングで開始する。アンフォールドされたタンパク質分子は、せん断によって整列および結合し、肉様製品の特徴繊維を形成する。一態様において、アミノ酸からの極性側鎖が、線状タンパク質分子と結合を形成し、当該結合がタンパク質分子を整列して、肉様製品の特徴繊維を形成する。
【0072】
非動物タンパク質をおいしくするために、例えば押出プロセシングによる繊維状の肉類似物へのテクスチャー化は、受け入れられたアプローチである。その汎用性、高い生産性、エネルギー効率および低コストに起因して、押出プロセシングは、最新の食品産業において幅広く使用されている。押出プロセシングは、多ステップおよび多機能的操作であり、これは、混合、水和、せん断、均質化、圧縮、脱気、低温殺菌または滅菌、流れの配列、成形、伸長および/または繊維形成をもたらす。結局は、非動物タンパク質は、典型的にはドライブレンドの形態で押出機に導入され、繊維状の材料を形成するように加工される。
【0073】
押出技術におけるより最近の開発は、非動物タンパク質を繊維状の肉代替物へテクスチャー化するために、2軸スクリュー押出機を高水分(40~80%)条件下で使用することに焦点が当てられている。「湿式押出」とも知られている、高水分2軸スクリュープロセスにおいて、原材料、主として大豆および/またはピータンパク質などの非動物タンパク質は、混合され、2軸スクリュー押出機に供給され、ここで、正しい量の水が投入され、すべての成分が、さらにブレンドされ、次いでスクリューの熱機械的な作用によって溶融する。大きなタンパク質分子の再配列は、層流、および押出機の長いスリットの冷却ダイ内での強い層化傾向が、繊維状の構造の形成に寄与する。その結果得られる湿式押出成型製品は、改善された全筋様の視覚的外観および改善されたおいしさを示す傾向にある。したがって、この押出技術は、健康的で味の良い食品のための、増加する消費者の要求に応えるために、非動物タンパク質をテクスチャー化するための期待を示す。
【0074】
テクスチャー化プロセスはまた、回転、単純なせん断流れ、およびCouette Cellにおける単純なせん断流れおよび熱(「Couette Cell」技術)を包含してもよい。回転プロセスは、高アルカリpH溶液におけるタンパク質分子のアンフォールディング、およびタンパク質アルカリ溶液を酸浴にスプレーすることによるアンフォールドされたタンパク質分子の凝固からなる。スプレーは、微細なオリフィスを有するプレートによって行われる。タンパク質は、酸媒体と接触するとすぐに凝固し繊維を形成する。繊維を、次いで、残存する酸および/またはプロセスで形成された塩を除去するために洗浄する。Couette Cellは、内側のシリンダーが回転し、外側のシリンダーは動かない、シリンダーをベースとしたデバイスであり、スケールアップが容易である。Couette Cellは、動かないシリンダーおよび回転シリンダーの間のスペースで、タンパク質を熱およびせん断に供することによってタンパク質繊維を形成するのと同じ原理下で作動する。
【0075】
Couette Cellにおける単純なせん断流れおよび熱に関して、このプロセスは、温和なプロセス条件での非動物タンパク質の粒状混合物に、繊維状の構造パターンを誘導することができる。このプロセスは、「On the use of the Couette Cell technology for large scale production of textured soy-based meat replacers」、Journal of Food Engineering 169 (2016) 205-213に記載され、これは、参照により本明細書に組み込まれる。
【0076】
全筋動物肉の質(例えば、テクスチャー、水分、マウスフィール、フレーバー、および色)と同様の質を有する肉類似物製品は、相対的に高水分の条件下で押出機を使用して形成した非動物タンパク質を使用して調製してもよい。一態様において、肉類似物製品は、非動物タンパク質、ならびに小麦粉、デンプン、および可食繊維、加食脂質材料の1以上を包含してもよい。
【0077】
ある組成物において、押出成型される混合物に包含される非動物タンパク質の量は、約90重量%を超えない乾燥成分を包含する。例えば、本開示に従う肉類似物製品を作るために用いられる成分に存在する非動物タンパク質の量は、乾燥成分の約3%~約90重量%の範囲であり得る。別の態様において、本開示に従う肉類似物製品を作るために用いられる成分に存在する非動物タンパク質の量は、乾燥成分の約10%~約80重量%の範囲であってもよい。さらなる態様において、本開示に従う肉類似物製品を作るために用いられる乾燥成分に存在する非動物タンパク質の量は、乾燥成分の約25%~約50重量%の範囲であってもよい。別のさらなる態様において、本開示に従う肉類似物製品を作るために用いられる乾燥成分に存在する非動物タンパク質の量は、約40%であってもよい。
【0078】
用語「乾燥成分」は、添加される水、および添加される水とともに添加される成分(すなわち、「湿潤成分」)を除く、押出成型される混合物におけるすべての成分を包含する。
【0079】
上記に加えて、肉類似物製品は、相対的に高い量で水を包含する。一態様において、肉類似物製品を作るために押出成型された混合物の総水分レベルを、肉類似物製品が、少なくとも約50重量%の水分含量を有するように制御する。かかる高い水分含量を達成するために、水を成分に典型的には添加する。相対的に高い水分含量が所望されるが、約65%よりもはるかに高い水分を有することは肉類似物製品とって望ましくない。そのため、一態様において、成分に添加する水の量および押出プロセスパラメータを、肉類似物製品(押出後)が、約40%~約65重量%の水分含量を有するように制御する。
【0080】
好適な押出装置のうち、記載したプロセスの実施に有用なのは、Wenger(Sabetha, Kansas)によって製造されるWenger TX 52モデルまたはClextral(フランス)によって製造されるClextral BC21モデルなどの市販のダブルバレル、2軸スクリュー押出機装置である。
【0081】
2軸スクリュー押出機のスクリューは、バレル内で、同じまたは反対方向に回転することができる。同じ方向のスクリューの回転は、単一流れまたは共流れと称され、一方で、反対方向のスクリューの回転は、二重流れまたは逆回転と称される。押出機のスクリュー(単数)またはスクリュー(複数)のスピードは、具体的な装置に応じて様々であり得る;しかしながら、これは、典型的には約100~約750毎分回転数(rpm)である。一般に、スクリュースピードが増加すると、押出物の密度が低下する。押出装置は、シャフトおよびウォームセグメントから組み立てられたスクリュー、ならびに非動物タンパク質材料を押出成型するために押出装置製造業者から推奨される混合ローブおよび環型せん断要素を含有する。
【0082】
押出装置は、一般には、タンパク質混合物が、押出ダイを通して押出装置から出る前に、機械的な圧力下に搬送される複数の加熱ゾーンを含む。各連続した加熱ゾーンにおける温度は、一般に先の加熱ゾーンの温度を約10℃~約70℃上回る。一態様において、ドライプレミックスは、溶融した押出塊が、約160℃~の温度で押出ダイに入るように、約25℃~約160℃の温度に加熱されたタンパク質混合物とともに、押出装置内の複数の加熱ゾーンを移動する。一態様において、タンパク質混合物を、夫々の加熱ゾーンにおいて、約65℃、約95℃、約150℃、および約160℃の温度に加熱する。
【0083】
押出機バレル内の圧力は、典型的には約30psigおよび約500psigの間、またはより具体的に言うと約50psigおよび約300psigの間である。一般に、少なくとも2つの加熱ゾーン内の圧力は、約50psigおよび約500psigの間、さらにいっそう具体的に言うと約50psig~約300psigの間である。バレル圧力は、例えば、押出機スクリュースピード、バレルへの混合物の共有速度、バレルへの水の共有速度、およびバレル内の溶融塊の粘度を含む無数の因子に依存する。
【0084】
非動物タンパク質混合物を水和し、タンパク質のテクスチャー化を促進するために、追加の「湿潤成分」とともに水を押出機バレルに注入する、溶融押出塊の形成における補助として、水は可塑化剤として作用し得る。水は、1以上の注射ジェットを介して、押出機バレルに導入してもよい。バレルへの水の導入速度を、一般に、上に記載のとおりの水分含量を有する押出物、などの先述の所望される特徴を有する押出物の産生を促進するために制御する。
【0085】
テクスチャード野菜タンパク質(TVP)/低水分肉類似物(LMMA)
テクスチャード野菜タンパク質(TVP)は、加食タンパク質供給源から作られた食品製品として定義すること、および、各単位が調理時の水和および消費のための食品の調製におけるほかの手順に耐えられるような構造的全体性および識別できるテクスチャーを有することで特徴づけけることができる。今日製造されているTVPの大多数は押出技術によって製造されている。これらのTVPは、しばしば60~65%水分で再水和され、これらに限定されないが、バインダー、肉、他のTVP、フレーバー、賦形剤、脂肪、油、または調味料を包含する、ほかの成分とブレンドされる。
【0086】
低水分肉類似物(LMMA)製品は、ほとんどの場合、最終製品サイズおよび形状を形成するために押出機ダイにおいて押出機ナイフでカットされる。水分を除去するための、押出後の乾燥は、保管、操作、および室温保存安定性を向上する。これらのLMMAは、しばしば60~70%水分で再水和される。加えて、他の食品成分アイテムを、最終製品機能性および外観を改善するために添加することができ、これらは、これらに限定されないが、油、他のタンパク質、塩、調味料、フレーバー、マスカー、エンハンサー、またはバインダーを包含する。一般に再水和されたLMMAは、40~80%水分、0~25%油、5~30%タンパク質を含有する。
【0087】
LMMAの典型的な製剤は、動物肉製品に近い味およびテクスチャーを提供する、水、タンパク質濃縮物、タンパク質アイソレート、油、バインダー(例としてセルロース、バイタル小麦グルテン)およびフレーバー、マスカー、調味料、等々を含有する。
【0088】

以下の例は、本開示の精神および範囲から逸脱することなく、本発明の多くのバリエーションが実行可能であるため、もっぱら例示の目的で与えられ、本発明の限定として解釈されるものではない。
【0089】
ピータンパク質アイソレート(Nutralys (R) F85M, Roquette, Lestrem, France)または(Pisane(R) M9, Coscura, Belgium)およびピー繊維(Pea Fiber I50M, Roquette, Lestrem, France)および塩を成分として使用し、1~5分間ブレンドし、ベース、すなわち対照の乾燥供給製剤を形成する。ヒマワリ、サフラワー、菜種、キャノーラ、オリーブ油などの油、および水を成分として使用し、押出機のバレルにある側注射ポートに接続したポンプを介して注入してもよい。
【0090】
押出は、パイロットスケールの共回転、噛合式2軸スクリュー食品押出機(Wenger (Sabetha、Kansas)によって製造される、Wenger TX 52モデル)を使用して、実施した。連続的な乾燥供給機器を、押出機に原材料を供給するために使用した。操作の間、水を入口ポートから容積式ポンプによって押出機に注入した。ポンプはあらかじめ較正し、押出物の含水率が52.5%になるように調整した。スクリュースピードを、250rpmに設定した。押出機の末端に、3in×1/2in×48in(W×H×L)の寸法の長い冷却ダイを取り付けた。
【0091】
以下の表1にみられるよう、4つの異なる肉類似物製品を、押出を介して調製した。例1は、対照であった; 例2は、対照+マスカーA(ピーペプチドおよびグリーンコーヒー抽出物+マスキング剤の組み合わせ)であった; 例3は、対照+マスカーB(ピーおよびライスペプチドおよびグリーンコーヒー抽出物+マスキング剤の組み合わせ)であった; 例4は、対照+マスカーC(ペプチド、グリーンコーヒー抽出物および糖蜜蒸留物+マスキング剤の組み合わせ)であった; 例5は、対照+マスカーD(1,3プロパンジオール+マスキング剤)であった。ベンチトップテイスティングパネル(10~15名のパネリストからなる)を使用して、パネリストに対照および例試料の間の官能特質の違いを、具体的にオフノート(低減または違い)およびセイボリーノートに焦点を当てて、記録することを求めた。
【0092】
【表1】
【0093】
例1~5の肉類似物組成物は、10~15名のパネリストによって味覚テストされ、5名はフレーバリストであり、彼らには対照と比較して肉類似物を説明することを求めた。
【0094】
【表2】
【0095】
上記表から、オフノートブロッキング化合物およびマスキング剤を含有する試料が、対象と比較して、より少ないオフノートを有し、より少ない豆っぽさ、より少ない苦味およびより少ない渋みを有することがわかる。
【0096】
以下の表3にみられるよう、4つの異なる低水分TVP製品(肉類似物バーガー)を調製した(例6~11)。例6は対照であった; 例7は、対照+マスカーA(ペプチドおよびグリーンコーヒー抽出物+マスキング剤の組み合わせ)であった; 例8は、対照+マスカーB(ピーペプチドおよびグリーンコーヒー抽出物+マスキング剤の組み合わせ)であった; 例9は、対照+マスカーC(ピーおよびライスペプチド、グリーンコーヒー抽出物および糖蜜蒸留物+マスキング剤の組み合わせ)であった; 例10は、対照+マスカーD(1,3プロパンジオール+マスキング剤)であった;および例11は、対照+マスカーE(エチルシクロヘキサノアート+マスキング剤)であった。
【0097】
タンパク質濃縮物を、水の一部で水和した。エマルションを、水、油、およびハイドロコロイドを包含する乾燥成分の一部を使用して作った。水和したタンパク質濃縮物、エマルション、および残りの成分を十分に混ざるまで混合し、および次いでバーガーパティに形成した。バーガーを、未加工から、160Fの内部温度に達成するまで、3.5%油を使用して、ストーブトップで調理した。
【0098】
ベンチトップテイスティングパネル(10~15名のパネリストからなる)を使用して、パネリストに対照および例試料の間の官能特質の違いを、具体的にオフノート(低減または違い)およびセイボリーノートに焦点を当てて、記録することを求めた。
【0099】
【表3】
【0100】
例6~10のTVP組成物は、10~15名のパネリストによって味覚テストされ、5名はフレーバリストであり、彼らには対照と比較して試料を説明することを求めた。
【0101】
【表4】
【0102】
上記の表4から、オフノートブロッキング化合物およびマスキング剤を含有する試料は、対照と比較して、より少ないオフノートを有し、およびより少ない豆っぽさ、より少ない苦味およびより少ない土っぽさを有することが理解される。追加のコメントは、マスカーが、よりクリーンで、よりニュートラルなプロファイルおよび増大したうま味およびセイボリーノートをバーガーに提供したことを示唆する。同じ結果が、表3において、ピータンパク質を大豆タンパク質で置き換えても達成された。
【0103】
高水分テクスチャー化タンパク質 - 押出後マスカー添加
例1から取り分けた高水分ピータンパク質を使用して、押出後に添加するマスカーの性能をテストした。ブランクストリップを柔らかくし、20%水/マスカーブラインを使用して、真空マリネした。マスカーA、B、C、D、およびEを、0.1%で評価した。マリネ後、ストリップを内部温度が160Fに達するまで、6%で油を使用して、ストーブトップで調理した。
【0104】
高水分ピーストリップを、7名の熟練したテイスターによってブラインドで試食し、彼らに、ストリップを表現し、特定の特質でストリップを評価することも求めた。あらゆるバイアスを排除するため、ブラインドブランクもまた各テイスティングに含んだ。マスカーA、B、C、D、またはEを有するストリップは、すべて、ブランクおよびブラインドブランクと比較して、ピー、渋み、苦味のある、豆っぽい、および土っぽいなどのオフノートにおいて、より低いスコアを有した。
【0105】
本明細書に開示された寸法および値は、記載された正確な数値に厳密に限定されるものとして理解されるものではない。代わりに、別様に特定されない限り、かかる各寸法は、言及された値およびその値を囲む機能的に等価な範囲の両方を意味することが意図される。例えば、「40mm」として開示された寸法は、「約40mm」を意味することが意図されている。
【0106】
本発明の具体的な態様を図示および説明したが、本発明の精神および範囲から逸脱することなく、様々な他の変更および改変を行うことができることは、当業者に自明であろう。したがって、添付の請求項において、本発明の範囲内にあるかかる変更および改変をすべてカバーすることが意図される。
【国際調査報告】