(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-11-01
(54)【発明の名称】視覚的CPRフィードバックインジケータを備えた体外式除細動器パッド
(51)【国際特許分類】
A61N 1/39 20060101AFI20231025BHJP
【FI】
A61N1/39
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023523064
(86)(22)【出願日】2021-10-13
(85)【翻訳文提出日】2023-05-11
(86)【国際出願番号】 EP2021078264
(87)【国際公開番号】W WO2022084114
(87)【国際公開日】2022-04-28
(32)【優先日】2020-10-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】590000248
【氏名又は名称】コーニンクレッカ フィリップス エヌ ヴェ
【氏名又は名称原語表記】Koninklijke Philips N.V.
【住所又は居所原語表記】High Tech Campus 52, 5656 AG Eindhoven,Netherlands
(74)【代理人】
【識別番号】110001690
【氏名又は名称】弁理士法人M&Sパートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】キング マーティン ジェイ.
【テーマコード(参考)】
4C053
【Fターム(参考)】
4C053JJ18
4C053JJ23
(57)【要約】
CPR中に使用される自動体外式除細動器210であって、個人から心電図(ECG)信号を取得する第1の電極パッド370aと、個人からECGを取得する第2の電極パッド370bであって、第1の電極パッドおよび/または第2の電極パッドは、個人にCPRを提供している間に見ることができる電極パッド視覚的ディスプレイ372を含む、第2の電極パッドと、第1の電極パッドおよび第2の電極パッドと通信するコントローラ310であって、(i)電気信号および/または加速度計信号を処理して、CPR中の1回以上の胸部圧迫の深さを求めることと、(ii)胸部圧迫の求められた深さを閾値深さと比較することと、(ii)比較に基づいて、求められた深さが閾値深さを超えるかまたは下回るかを判定することと、(iii)胸部圧迫の求められた深さが閾値深さを超えるかまたは下回ることの深さ表示をユーザに提供するように、電極パッド視覚的ディスプレイに指示することと、を実行するコントローラと、を備えた自動体外式除細動器である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
心肺蘇生中に使用される自動体外式除細動器であって、
個人から心電図信号の少なくとも一部を取得する第1の電極パッドと、
前記個人から心電図信号の少なくとも一部を取得する第2の電極パッドであって、前記第1の電極パッドおよび/または前記第2の電極パッドは、前記個人に心肺蘇生を提供している間に前記自動体外式除細動器のユーザが見ることができる電極パッド視覚的ディスプレイを含む、第2の電極パッドと、
前記第1の電極パッドおよび前記第2の電極パッドと通信するコントローラであって、(i)センサから受信した電気信号および/または加速度計信号を処理して、心肺蘇生中の1回以上の胸部圧迫の深さを求めることと、(ii)心肺蘇生中の前記1回以上の胸部圧迫の前記求められた深さを閾値深さと比較することと、(ii)前記比較に基づいて、前記求められた深度が前記閾値深度を超えるかまたは下回るかを判定することと、(iii)心肺蘇生中の前記1回以上の胸部圧迫の前記求められた深さが前記閾値深さを超えるかまたは下回ることの深さ表示を前記AEDの前記ユーザに提供するように、前記電極パッド視覚的ディスプレイに指示することと、を実行するコントローラと、を備えた、
自動体外式除細動器。
【請求項2】
前記コントローラはさらに、(i)センサから受信した電気信号および/または加速度計信号を処理して、心肺蘇生中の胸部圧迫の速さを求めることと、(ii)心肺蘇生中の前記胸部圧迫の前記求められた速さを閾値速さと比較することと、(ii)前記比較に基づいて、前記求められた速さが前記閾値速さを超えるかまたは下回るかを判定することと、(iii)心肺蘇生中の前記胸部圧迫の前記求められた速さが前記閾値速さを超えるかまたは下回ることの速さ表示を前記自動体外式除細動器の前記ユーザに提供するように、前記電極パッド視覚的ディスプレイに指示することと、を実行する、請求項1に記載の自動体外式除細動器。
【請求項3】
前記センサが、前記第1の電極パッドおよび/または前記第2の電極パッド内の加速度計を含む、請求項1に記載の自動体外式除細動器。
【請求項4】
前記第1の電極パッドおよび/または前記第2の電極パッドは使い捨てである、請求項3に記載の自動体外式除細動器。
【請求項5】
前記電極パッド視覚的ディスプレイは1つ以上のLEDを含み、前記1つ以上のLEDは、心肺蘇生中の前記1回以上の胸部圧迫の前記求められた深さが前記閾値深さを超えるかまたは下回るかの前記表示を前記自動体外式除細動器の前記ユーザに提供する、請求項1に記載の自動体外式除細動器。
【請求項6】
前記電極パッド視覚的ディスプレイは、1つ以上の色、1つ以上の言葉、および/または1つ以上のアイコンを介して前記深さ表示を提供する、請求項1に記載の自動体外式除細動器。
【請求項7】
前記電極パッド視覚的ディスプレイは、1つ以上の色、1つ以上の言葉、および/または1つ以上のアイコンを介して速さ表示を提供する、請求項2に記載の自動体外式除細動器。
【請求項8】
前記電極パッド視覚的ディスプレイは、光を介して前記速さ表示を提供し、前記コントローラは、(i)最初に、前記求められた速さで前記光を点滅させ、(ii)続いて、前記閾値値速さにより近い速さで前記光を点滅させる、請求項2に記載の自動体外式除細動器。
【請求項9】
前記第1の電極パッドおよび前記第2の電極パッドの両方が電極パッド視覚的ディスプレイを含む、請求項1に記載の自動体外式除細動器。
【請求項10】
自動体外式除細動器を使用した心肺蘇生のための方法であって、前記自動体外式除細動器は、(i)個人から心電図信号の少なくとも一部を取得する第1の電極パッドと、(ii)前記個人から心電図信号の少なくとも一部を取得する第2の電極パッドであって、前記第1の電極パッドおよび/または前記第2の電極パッドは、前記個人に心肺蘇生を提供している間に前記自動体外式除細動器のユーザが見ることができる電極パッド視覚的ディスプレイを含む、第2の電極パッドと、(iii)前記第1の電極パッドおよび前記第2の電極パッドと通信するコントローラと、を備え、前記方法は、
センサから受信した電気信号および/または加速度計信号を受信および処理して、心肺蘇生中の1回以上の胸部圧迫の深さを求めるステップと、
心肺蘇生中の前記1回以上の胸部圧迫の前記求められた深さを閾値深さと比較するステップと、
前記比較に基づいて、前記求められた深さが前記閾値深さを超えるかまたは下回るかを判定するステップと、
前記電極パッド視覚的ディスプレイを介して、心肺蘇生中の前記1回以上の胸部圧迫の前記求められた深さが前記閾値深さを超えるかまたは下回るかの深さ表示を前記自動体外式除細動器の前記ユーザに提供するステップと、を含む、方法。
【請求項11】
前記方法はさらに、
センサから受信した電気信号および/または加速度計信号を受信および処理して、心肺蘇生中の胸部圧迫の速さを求めるステップと、
心肺蘇生中の前記胸部圧迫の前記求められた速さを閾値速さと比較するステップと、
前記比較に基づいて、前記求められた速さが前記閾値速さを超えるかまたは下回るかを判定するステップと、
前記電極パッド視覚的ディスプレイを介して、心肺蘇生中の前記胸部圧迫の前記求められた速さが前記閾値速さを超えるかまたは下回るかの速さ表示を前記自動体外式除細動器の前記ユーザに提供するステップと、を含む、方法。
【請求項12】
前記電極パッド視覚的ディスプレイは、1つ以上の色、1つ以上の言葉、および/または1つ以上のアイコンを介して前記深さ表示を提供する、請求項10に記載の方法。
【請求項13】
前記電極パッド視覚的ディスプレイは、1つ以上の色、1つ以上の言葉、および/または1つ以上のアイコンを介して速さ表示を提供する、請求項11に記載の方法。
【請求項14】
前記センサが、前記第1の電極パッドおよび/または前記第2の電極パッド内の加速度計を含む、請求項10に記載の方法。
【請求項15】
前記第1の電極パッドおよび前記第2の電極パッドの両方が電極パッド視覚的ディスプレイを含む、請求項10に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[0001]本開示は、一般に、体外式除細動器電極パッドを介してCPR中に視覚的フィードバックを提供するためのシステムおよび方法を対象とする。
【背景技術】
【0002】
[0002]心肺蘇生法(CPR)は、心臓発作を起こした人の体内で人工的に血液を循環させるために、よって人工的に酸素を循環させるために使用され、除細動器を使用したり、または病院もしくは外傷センターで他の医療処置を提供したりすることが可能となるショック適応心拍数になるまで行われる。実施されるCPRの質は、胸骨圧迫の深さや速さなど、救助者の経験、疲労度、および他の多くの要因を含む様々な要因によって異なり得る。しかし、質の高いCPRは患者の生存に不可欠である。
【0003】
[0003]現在、実施されているCPRの質についてユーザにフィードバックを提供できる多くのデバイスが存在する。これらのデバイスの一例は、心室細動や心室頻拍などの不整脈を経験している人々の正常洞調律を回復するために心臓に高電圧ショックを与える自動体外式除細動器(AED)デバイスである。AEDは心電図(ECG)のリズムを自動的に分析して、除細動が正当かつ必要であるかを判断する。ショックが適切かつ必要であると判断した後、AEDは高電圧ショックを与えるために自らをチャージし、ボタンを押してデバイスにより除細動ショックを与えるようにユーザに指示する。多くのAEDデバイスには、CPR中に加えられる胸部圧迫の力、深さ、および/または速さを検出できるセンサが組み込まれている。
【0004】
[0004]実施されているCPRの質についてユーザにフィードバックを提供するように構成された他のデバイスには、CPR中に救助者の手の下かつ患者の胸の上に直接配置されるデバイスが含まれる。このデバイスは、CPR中に加えられる胸骨圧迫の力、深さ、および/または速さを検出し、ユーザにフィードバックを提供できるセンサを含む。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
[0005]しかし、これらの既存のデバイスおよび方法には、緊急事態中のCPRの質および適用に影響を与える可能性がある重大な欠点がある。ほんの一例として、ほとんどのデバイスは可聴の指示またはフィードバックをユーザに提供するが、騒がしくストレス度が高い緊急事態では、聞き取りおよび/または理解が困難または不可能な可能性がある。さらに、手の下かつ胸部の上に配置して使用される補助デバイスは、利用可能であり、洗浄されていて、かつメンテナンスされている必要がある追加のアクセサリであり、胸部にデバイスを当てている間の貴重な回復時間を浪費する可能性がある。
【0006】
[0006]したがって、当技術分野では、CPR実施中に視覚的な胸部圧迫深さおよび/または速さフィードバックを提供するAEDデバイスが引き続き必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
[0007]本開示は、心肺蘇生中に使用される自動体外式除細動器デバイスのための独創的方法およびシステムを対象とする。本明細書における様々な実施形態および実装形態は、個人から心電図(ECG)信号の少なくとも一部を取得する第1の電極パッドと、個人から心電図(ECG)信号の少なくとも一部を取得する第2の電極パッドとを備えたシステムを対象とする。第1の電極パッドおよび/または第2の電極パッドは、個人にCPRを提供している間にAEDのユーザが見ることができる電極パッド視覚的ディスプレイを含む。デバイスはまた、センサから受信した電気信号および/または加速度計信号を処理して、CPR中の1回以上の胸部圧迫の深さを求め、求められた深さを閾値深さと比較するコントローラを備える。求められた深さが閾値深さを超えるかまたは下回る場合、コントローラは、CPR中の1回以上の胸部圧迫の求められた深さが閾値深さを超えるかまたは下回るかの深さ表示をAEDのユーザに提供するように電極パッド視覚的ディスプレイに指示する。コントローラは、胸部圧迫の速さをモニタリングするために同じ機能を実行し得る。
【0008】
[0008]一般に、一側面では、心肺蘇生(CPR)中に使用される自動体外式除細動器(AED)が提供される。デバイスは、個人から心電図(ECG)信号の少なくとも一部を取得する第1の電極パッドと、個人から心電図(ECG)信号の少なくとも一部を取得する第2の電極パッドであって、第1の電極パッドおよび/または第2の電極パッドは、個人にCPRを提供している間にAEDのユーザが見ることができる電極パッド視覚的ディスプレイを含む、第2の電極パッドと、第1の電極パッドおよび第2の電極パッドと通信するコントローラと、を含み、コントローラは、(i)センサから受信した電気信号および/または加速度計信号を処理して、CPR中の1回以上の胸部圧迫の深さを求めることと、(ii)CPR中の1回以上の胸部圧迫の求められた深さを閾値深さと比較することと、(ii)比較に基づいて、求められた深さが閾値深さを超えるかまたは下回るかを判定することと、(iii)CPR中の1回以上の胸部圧迫の求められた深さが閾値深さを超えるかまたは下回ることの深さ表示をAEDのユーザに提供するように、電極パッド視覚的ディスプレイに指示することと、を実行する。
【0009】
[0009]一実施形態によれば、コントローラはさらに、(i)センサから受信した電気信号および/または加速度計信号を処理して、CPR中の胸部圧迫の速さを求めることと、(ii)CPR中の胸部圧迫の求められた速さを閾値速さと比較することと、(ii)比較に基づいて、求められた速さが閾値速さを超えるかまたは下回るかを判定することと、(iii)CPR中の胸部圧迫の求められた速さが閾値速さを超えるかまたは下回ることの速さ表示をAEDのユーザに提供するように、電極パッド視覚的ディスプレイに指示することと、を実行する。
【0010】
[0010]一実施形態によれば、センサが、第1の電極パッドおよび/または第2の電極パッド内の加速度計を含む。
【0011】
[0011]一実施形態によれば、第1の電極パッドおよび/または第2の電極パッドは使い捨てである。
【0012】
[0012]一実施形態によれば、電極パッド視覚的ディスプレイは1つ以上のLEDを含み、1つ以上のLEDは、CPR中の1回以上の胸部圧迫の求められた深さが閾値深さを超えるかまたは下回るかの表示をAEDのユーザに提供する。
【0013】
[0013]一実施形態によれば、電極パッド視覚的ディスプレイは、1つ以上の色、1つ以上の言葉、および/または1つ以上のアイコンを介して深さ表示を提供する。
【0014】
[0014]一実施形態によれば、電極パッド視覚的ディスプレイは、1つ以上の色、1つ以上の言葉、および/または1つ以上のアイコンを介して速さ表示を提供する。
【0015】
[0015]一実施形態によれば、電極パッド視覚的ディスプレイは、光を介して速さ表示を提供し、コントローラは、(i)最初に、求められた速さで光を点滅させ、(ii)続いて、閾値値速度により近い速さで光を点滅させる。
【0016】
[0016]一実施形態によれば、第1の電極パッドおよび第2の電極パッドの両方が電極パッド視覚的ディスプレイを含む。
【0017】
[0017]別の側面によれば、自動体外式除細動器(AED)を使用した心肺蘇生(CPR)のための方法である。方法は、(i)センサから受信した電気信号および/または加速度計信号を処理して、CPR中の1回以上の胸部圧迫の深さを求めるステップと、(ii)CPR中の1回以上の胸部圧迫の求められた深さを閾値深さと比較するステップと、(iii)比較に基づいて、求められた深さが閾値深さを超えるかまたは下回るかを判定するステップと、(iv)電極パッド視覚的ディスプレイを介して、CPR中の1回以上の胸部圧迫の求められた深さが閾値深さを超えるかまたは下回ることの深さ表示をAEDのユーザに提供するステップと、を含む。
【0018】
[0018]一実施形態によれば、方法はさらに、(i)センサから受信した電気信号および/または加速度計信号を処理して、CPR中の胸部圧迫の速さを求めるステップと、(ii)CPR中の胸部圧迫の求められた速さを閾値速さと比較するステップと、(iii)比較に基づいて、求められた速さが閾値速さを超えるかまたは下回るかを判定するステップと、(iv)電極パッド視覚的ディスプレイを介して、CPR中の胸部圧迫の求められた速さが閾値速さを超えるかまたは下回ることの速さ表示をAEDのユーザにする提供ステップと、を含む。
【0019】
[0019]様々な実装形態において、プロセッサまたはコントローラは1つ以上の記憶媒体(本明細書では一般に「メモリ」と呼ばれ、例えば、RAM、PROM、EPROM、およびEEPROM(登録商標)などの揮発性および不揮発性コンピュータメモリ、フロッピーディスク、コンパクトディスク、光ディスク、磁気テープなど)に関連付けられ得る。一部の実装形態では、記憶媒体は、1つ以上のプロセッサおよび/またはコントローラ上で実行されると、本明細書に記載の機能のうちの少なくとも一部を実行する1つ以上のプログラムを用いて符号化されてもよい。本明細書に記載される本発明の様々な側面を実装するために、様々な記憶媒体がプロセッサまたはコントローラ内に固定され得、または、移動可能で、記憶媒体上に記憶された1つ以上のプログラムがプロセッサにロードされてもよい。本明細書では、用語「プログラム」または「コンピュータプログラム」は、1つ以上のプロセッサまたはコントローラをプログラムするために使用され得る任意のタイプのコンピュータコード(例えば、ソフトウェアまたはマイクロコード)を指すために一般的な意味で使用される。
【0020】
[0020]あるネットワーク実装形態では、ネットワークに結合された1つ以上のデバイスが、ネットワークに結合された1つ以上の他のデバイスのコントローラとして機能し得る(例えば、マスター/スレーブ関係で)。別の実装形態では、ネットワーク化された環境は、ネットワークに結合されたデバイスのうちの1つ以上を制御するように構成された1つ以上の専用コントローラを含み得る。一般に、ネットワークに結合された複数のデバイスはそれぞれ、1つ以上の通信媒体上に存在するデータにアクセスできる。しかし、所与のデバイスは、例えば、割り当てられた1つ以上の特定の識別子(例えば、「アドレス」)に基づいて、ネットワークとデータを選択的に交換するように構成されているという意味で「アクセスできる」可能性がある。
【0021】
[0021]本明細書で使用される「ネットワーク」という用語は、ネットワークに結合された任意の2つ以上のデバイス間および/または複数のデバイス間での(例えば、デバイス制御、データ保存、データ交換などのための)情報の伝送を容易にする2つ以上のデバイス(コントローラまたはプロセッサを含む)の任意の相互接続を指す。複数のデバイスを相互接続するのに適したネットワークの様々な実装形態は、様々なネットワークトポロジーのうちの任意のものを含むことができ、様々な通信プロトコルのうちの任意のものを使用できることが容易に理解されるであろう。さらに、本開示に係る様々なネットワークにおいて、2つのデバイス間の任意の1つの接続は、2つのシステム間の専用接続、あるいは非専用接続を表す可能性がある。このような非専用接続は、2つのデバイスに向けた情報を運ぶだけではなく、必ずしも2つのデバイスのいずれにも向けられていない情報を運ぶ可能性がある(例えば、オープンネットワーク接続)。さらに、本明細書に記載される様々なデバイスネットワークは、ネットワーク全体にわたる情報伝送を容易にするために、1つ以上の無線、ワイヤ/ケーブル、および/または光ファイバリンクを使用できることが容易に理解されるであろう。
【0022】
[0022]上記の概念と以下でより詳細に説明されるさらなる概念のあらゆる組み合わせが(概念が相互に矛盾しない限り)本明細書に開示される独創的主題の一部として企図されることを理解されたい。特に、本開示の末尾でクレームされる主題のあらゆる組み合わせが、本明細書に開示される発明的主題の一部であると考えられる。また、参照により援用される任意の開示にも現れ得る、本明細書で明示的に使用される用語は、本明細書で開示される特定の概念に最も則する意味を与えられるべきであることを理解されたい。
【図面の簡単な説明】
【0023】
[0023]図中、類似する参照符号は一般的に、異なる図面を通して同じ部分または部品を指す。また、図面は必ずしも縮尺通りではなく、一般に、本発明の原理を説明することに重点が置かれている。
【
図1】[0024]
図1は、一実施形態に係る、CPR実施中に視覚的な胸骨圧迫深度および/または速さフィードバックを提供するための方法のフローチャートである。
【
図2】[0025]
図2は、一実施形態に係る、CPR、およびAEDデバイスの使用を必要とする緊急事態の概略図である。
【
図3】[0026]
図3は、一実施形態に係るAEDデバイスの概略図である。
【
図4A】[0027]
図4Aは、一実施形態に係るAEDデバイスの電極パッド視覚的ディスプレイの概略図である。
【
図4B】[0028]
図4Bは、一実施形態に係るAEDデバイスの電極パッド視覚的ディスプレイの概略図である。
【
図4C】[0029]
図4Cは、一実施形態に係るAEDデバイスの電極パッド視覚的ディスプレイの概略図である。
【
図5A】[0030]
図5Aは、一実施形態に係るAEDデバイスの電極パッド視覚的ディスプレイの概略図である。
【
図5B】[0031]
図5Bは、一実施形態に係るAEDデバイスの電極パッド視覚的ディスプレイの概略図である。
【
図5C】[0032]
図5Cは、一実施形態に係るAEDデバイスの電極パッド視覚的ディスプレイの概略図である。
【
図6A】[0033]
図6Aは、一実施形態に係るAEDデバイスの電極パッド視覚的ディスプレイの概略図である。
【
図6B】[0034]
図6Bは、一実施形態に係るAEDデバイスの電極パッド視覚的ディスプレイの概略図である。
【
図6C】[0035]
図6Cは、一実施形態に係るAEDデバイスの電極パッド視覚的ディスプレイの概略図である。
【
図7】[0036]
図7は、一実施形態に係るAEDデバイスの電極パッド視覚的ディスプレイの概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
[0037]本開示では、胸部圧迫深さおよび/または速さフィードバックをユーザに提供するように構成された自動体外式除細動器の様々な実施形態が説明される。より一般的には、出願人は、ユーザに視覚的フィードバックを提供するように構成された自動体外式除細動器を提供することが有益であることを認識した。これを考慮して、様々な実施形態および実装形態は、個人から心電図(ECG)信号の少なくとも一部を取得するように構成された第1の電極パッドと、上記個人からの心電図(ECG)信号の少なくとも一部を取得するように構成された第2の電極パッドとを備えた自動体外式除細動器を対象とする。一実施形態によれば、第1の電極パッドおよび/または第2の電極パッドは、他の可能な信号の中でもとりわけ、インピーダンス信号などの1つ以上の追加の信号を取得するようにさらに構成される。第1の電極パッドおよび/または第2の電極パッドは、個人にCPRを提供している間にAEDのユーザが見ることができる電極パッド視覚的ディスプレイを含む。デバイスはまた、センサから受信した電気信号および/または加速度計信号を処理して、CPR中の1回以上の胸部圧迫の深さを求め、求められた深さを閾値深さと比較するコントローラを備える。求められた深さが閾値深さを超えるかまたは下回る場合、コントローラは、CPR中の1回以上の胸部圧迫の求められた深さが閾値深さを超えるかまたは下回るかの深さ表示をAEDのユーザに提供するように電極パッド視覚的ディスプレイに指示する。コントローラは、胸部圧迫の速さをモニタリングするために同じ機能を実行し得る。
【0025】
[0038]本明細書で記載または他の形で想定される独創的側面は人命を救う。AEDデバイスが利用可能な場合であっても、非効率なCPRが、毎年数千件の防ぐことができた死亡につながっている。傷病者にCPRを提供している間にAEDのユーザが見ることができるように構成された1つ以上の電極パッド視覚的ディスプレイを使用することで、多くの救命上の利点が得られる。これらの利点は、CPRを提供する人が聴覚障害者または難聴者であっても、胸部圧迫の深さおよび/または速さの指示を受けることができることを含む。同様に、緊急現場に存在する可能性のある望ましくないバックグラウンドの騒音レベルを考えると、深さおよび/または速さを示す電極パッドの視覚的表示を提供することで、胸骨圧迫の深さおよび速さが向上し、結果として人命が救われる。
【0026】
[0039]
図1を参照して、一実施形態によれば、自動体外式除細動器(AED)を使用した心肺蘇生(CPR)のための方法100のフローチャートである。方法のステップ110ではAEDが提供される。AEDは、本明細書において記載されている、または他の形で想定されるシステムのいずれであってもよい。本明細書で記載または想定されるように、AEDは、恒久的に設置されるものであってもよく、またはポータブルデバイスであってもよい。
【0027】
[0040]
図2を参照すると、一実施形態によれば、CPR、および任意選択でAEDデバイス210の使用を必要とする緊急事態の概略図である。傷病者230は、心停止などの心臓事象に苦しんでおり、対応者240は救命のために、AEDを使用し、CPRを行っている。AEDデバイス210は、傷病者からの心電図(ECG)信号を検出するように構成されており、さらに、正当かつ必要な場合、高電圧ショックを傷病者に与えるように構成された第1および第2の電極パッド220を含む。
【0028】
[0041]
図3を参照すると、一実施形態によれば、AEDデバイス200の概略図である。AEDデバイスは、本明細書において記載されている、または他の形で想定されるデバイスまたはシステムのいずれであってもよい。実施形態によれば、AEDデバイスは、コントローラ310、メモリ320、ユーザインターフェース330、バッテリ340、電源350、入力コンポーネント360、並びに/または第1および第2の電極パッド370a、bのうちの1つ以上を備える。電極パッドは、リード線380によって入力コンポーネントおよび電源のうちの1つ以上に接続され、一方または両方が電極パッド視覚的ディスプレイ372を備える。
【0029】
[0042]実施形態によれば、AEDデバイスのユーザインターフェース330は、本明細書でさらに説明されるように、緊急事態に関連しておよび/または緊急事態中に使用されるように構成されている。例えば、ユーザインターフェース330は、緊急時にユーザに指示を与えるように構成されたグラフィカルユーザインターフェースを含み得る。ユーザインターフェース330は、入出力デバイス、触覚デバイス、タッチスクリーン、光学ディスプレイ、マイクロフォン、キーパッド、キーボード、ポインティングデバイス、画像取得デバイス、ビデオカメラ、オーディオ出力デバイス、またはこれらの任意の組み合わせを含み得る。
【0030】
[0043]入力コンポーネント360は、コントローラまたは別個のコンポーネントであり得る。入力コンポーネントは、パッドによって得られる電気信号など、第1および第2の電極パッド370a、bからの入力を受け取るように構成される。例えば、パッドは、パッドが傷病者の胸部に配置されているときに傷病者230から心電図信号および/またはインピーダンスもしくは他の信号を取得するように構成され得る。入力コンポーネントは、受信した入力を分析、処理、または前処理してもよく、または入力コンポーネントは、受信した入力をコントローラまたはAEDの他のコンポーネントに渡すことができる。
【0031】
[0044]コントローラ310は、メモリ320、ユーザインターフェース330、入力コンポーネント260、バッテリ340、および/または電源350に動作可能に結合される。コントローラ310は、メモリ320または他のデータストレージ内に保存された命令を実行するか、または他の形でデータを処理することで、例えば、方法の1つ以上のステップを実行できる。コントローラ310は1つ以上のモジュールから形成され得る。プロセッサまたはコントローラ310は、マイクロプロセッサ、マイクロコントローラ、複数のマイクロコントローラ、回路、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、特定用途向け集積回路(ASIC)、単一のプロセッサ、または複数のプロセッサを含むが、これらに限定されない任意の適切な形態をとることができる。
【0032】
[0045]メモリ320は、不揮発性メモリおよび/またはRAMなどの任意の適切な形態をとることができる。メモリ320は、例えばL1、L2、もしくはL3キャッシュまたはシステムメモリなどの様々なメモリを含み得る。したがって、メモリ320は、スタティックランダムアクセスメモリ(SRAM)、ダイナミックRAM(DRAM)、フラッシュメモリ、リードオンリーメモリ(ROM)、または他の同様のメモリデバイスを含み得る。メモリはオペレーティングシステムなどを格納し得る。RAMは、プロセッサがデータを一時的に格納するために使用する。一実施形態によれば、オペレーティングシステムは、プロセッサによって実行されると、デバイスの1つ以上の構成要素の動作を制御するコードを含み得る。プロセッサが本明細書で説明される機能のうちの1つ以上をハードウェアで実装する実施形態では、他の実施形態でそのような機能に対応すると説明されているソフトウェアを省略できることは明らかであろう。
【0033】
[0046]デバイス210は、記載された各構成要素を1つずつ含むものとして示されているが、様々な構成要素は様々な実施形態において複製されてもよい。例えば、コントローラ310は、本明細書に記載の方法を独立して実行するように構成された複数のマイクロプロセッサを含んでもよく、または、本明細書に記載の方法のステップもしくはサブルーチンを複数のプロセッサが協働して実行することで本明細書に記載の機能を達成するように構成された複数のマイクロプロセッサを含んでもよい。さらに、デバイス210の1つ以上の構成要素がクラウドコンピューティングシステムで実装される場合、様々なハードウェアコンポーネントが別々の物理システムに属し得る。例えば、コントローラ310は第1のサーバ内に第1のプロセッサを含み、第2のサーバ内に第2のプロセッサを含み得る。多くの他の変形形態および構成が可能である。
【0034】
[0047]バッテリ340は、AEDデバイス用の任意の適切な電源を備えることができる。バッテリ340の構成要素であり得る電源350も、同様にAEDデバイス用の任意の適切な電源である。例えば、電源350は、除細動ショックのためのエネルギーを蓄積するように構成された高電圧コンデンサを備えることができ、コンデンサはバッテリ340によって充電される。
【0035】
[0048]AEDデバイス210は、第1の電極パッド370aおよび第2の電極パッド370bをさらに備える。電極パッドは、リード線380を介して電源350に動作可能に結合され、AEDデバイスの使用中に電気ショックを提供するように構成される。一実施形態によれば、第1の電極パッド370aおよび第2の電極パッド370bは使い捨てである。したがって、緊急事態で使用した後、パッドを廃棄して新しいパッドと交換することができる。さらに、パッドは、有効期限がある予測寿命を有するものであってもよく、有効期限が切れるとパッドが廃棄され新しいパッドと交換され得る。
【0036】
[0049]一実施形態によれば、AEDデバイスは、傷病者または潜在的な傷病者が心臓発作を起こしていると考えられる場合などの緊急事態において、ユーザによって起動されるように構成される。AEDデバイスは、タッチまたは音声コマンドなどのユーザ入力によって起動され得る。起動されると、AEDデバイスは、限定はされないが、傷病者の胸部への第1の電極パッド370aおよび第2の電極パッド370bの配置、CPRの実施、CPRの開始および一時停止、電気ショック直前の警告、電気ショックの実施、および他の指示に関する指示を含む視覚的および/または聴覚的な指示をユーザに提供する。
【0037】
[0050]一実施形態によれば、AEDデバイスは、第1の電極パッド370aおよび第2の電極パッド370bから入力を受け取るように構成される。除細動のために、AEDデバイスは、傷病者の心電図を示す信号を受信するように構成されている。AEDデバイスは、信号を受信し、信号を分析して、傷病者のECG信号が第1の電極パッド370aおよび/または第2の電極パッド370bを介してショックを与えるのに適したものであるかを判定するように構成されたアルゴリズムを備える。場合によっては、信号は、ショックが有益または好適ではないことを示す。他の場合では、信号は、ショックが有益および/または好適であることを示す。後者の場合、コントローラは、バッテリに電源をチャージするように指示し、第1の電極パッド370aおよび/または第2の電極パッド370bを介して傷病者に高電圧ショックが与えられる。
【0038】
[0051]
図1の方法100に戻り、方法のステップ120では、システムは、センサから受信した信号を受信および処理して、CPR中の1回以上の胸部圧迫の深さを求める。一実施形態によれば、信号は電気信号および/または加速度計信号であるが、他のタイプのセンサ信号も可能である。信号は、任意選択で、AEDデバイス内のセンサ、一方または両方の電極パッド内のセンサによって、または何らかの他のソースから検出される。信号は、CPR中の1回以上の胸部圧迫の深さを求めるために分析または処理され得る機械的および/または電気的信号である。一実施形態によれば、2つ以上の電極パッド間のインピーダンス信号を使用して、CPR圧迫深さおよび/または速さを含むCPR関連インピーダンス変化を検出することができる。別の実施形態によれば、胸部電極信号を分析することで、心臓関連信号(例えば、心電図またはECG)とCPR圧迫深さおよび/または速さなどのCPR関連アーティファクトとが分離される。AEDデバイスセンサによって検出された機械的および/または電気的信号を分析して、CPR中の1回以上の胸部圧迫の深さを求めるまたは推定する他の多くの方法が可能である。
【0039】
[0052]一実施形態によれば、システムは、1回の胸部圧迫または複数回の胸部圧迫の後、特定の閾値を上回るかまたは下回る信号を分析するように構成される。信号は、保存中または処理後にメモリに保存され得る。したがって、求められた深さは、処理中または処理後にメモリに保存され得る。
【0040】
[0053]一実施形態によれば、求められた深さは、数値、パーセンテージ、または深さを示す他の値であってもよい。例えば、求められた深さは、インチまたはセンチメートル単位の測定値であり得る。したがって、方法のステップ120の出力は、3インチ(7.62cm)、2インチ(5.08cm)、1インチ(2.54cm)、または任意の他の測定値など、求められた深さの任意の表示であり得る。
【0041】
[0054]方法のステップ130では、AEDデバイスは、CPR中の1回以上の胸部圧迫の求められた深さを閾値深さと比較する。閾値深さは、傷病者の体全体に血液を押し出すために、傷病者の胸部および心臓を圧迫するのに十分であると判断された任意の深さであり得る。この深さは、実験的に決定されるか、CPR基準に基づくか、または他の方法で決定され得る。例えば、アメリカ心臓協会の現在の基準によれば、ユーザは、平均深さで少なくとも2インチ(5cm)の深さ、および100~120回/分の速さで胸骨圧迫を行う必要がある。しかし、胸骨圧迫の深さが6cm(2.4インチ)を超えないようにする必要がある。
【0042】
[0055]例えば、閾値深さは、傷病者のパラメータに全体的または部分的に関して決定されるか、またはこれらに基づき得る。例えば、閾値深さは、胸部が大きいか胸囲が大きい傷病者の場合は深くなり、胸部が小さいか胸囲が小さい傷病者の場合は浅くなる可能性がある。傷病者の胸部のサイズまたは胸囲は、様々な要因、例えばAEDデバイスセンサによって検出された機械的および/または電気的信号を全体としてまたは部分的に含む要因に関して求められるか、またはこれらに基づき得る。例えば、第1の電極パッドと第2の電極パッドとの間の距離が、両者間を通過する信号または両者によって差動的に検出される信号によって求めることができる。第1および第2の電極パッドが適切に配置されている場合、その求められた距離を利用して傷病者の胸囲を計算することができる。求められたまたは計算された胸囲を使用して、適切なCPRを実行するために必要な閾値深さを決定または調整することができる。同様にAEDデバイスセンサによって検出された機械的および/または電気的信号から求められる可能性のある傷病者の体脂肪率が、同様に傷病者の胸囲の計算または決定、したがって閾値深さの計算に組み込まれてもよい。
【0043】
[0056]一実施形態によれば、閾値深さは、製造中または設置中にAEDデバイスに、例えばコントローラに事前にプログラムされる。例えば、AEDデバイスが成人用に使用されることが知られている場合、成人の閾値深さをAEDデバイスにプログラムすることができる。AEDデバイスが子供用に使用されることが知られている場合、子供の閾値深さをAEDデバイスにプログラムすることができる。あるいは、閾値深さは、設置中、または緊急事態におけるAEDデバイスの使用前/使用中にユーザが調整できる設定であってもよい。
【0044】
[0057]方法のステップ140では、AEDデバイスは、比較に基づいて、求められた深さが閾値深さを超えるか、または下回るかを判定する。一実施形態によれば、1回以上の胸部圧迫の求められた深さと所定の閾値深さとの比較の結果は、数値または単にデジタルの「超過」または「下回る」表示であり得る。求められた深さが閾値深さを超えるかまたは下回ることを示す他の多くの方法が存在する。
【0045】
[0058]例えば、比較の結果、求められた深さが閾値深さをどれだけ超えるかまたは下回るかを示す数値が提供されてもよい。数値は、距離、パーセンテージ、または求められた深さと閾値深さとの間の差を示す任意の他の値であり得る。例えば、上述のように、可能な求められた深さ測定値は、他の多くの可能な測定値または求められた深さの表示の中でもとりわけ、3インチ(7.62cm)、2インチ(5.08cm)、1インチ(2.54cm)などの測定値であり得る。同様に、成人の閾値深さは、2インチ(5.08cm)~2.4インチ(6.10cm)の範囲内であり得る。したがって、3つの測定値の例は次のように比較される。
【0046】
[0059]1.3インチ(7.62cm)の求められた深さが、2インチ(5.08cm)~2.4インチ(6.096cm)の閾値深さ範囲と比較されると、閾値深さを1~0.6インチ(2.54~1.52cm)の差だけ上回るという結果が得られる。この例では、方法のステップ140の出力は、求められた深さが閾値深さを超えるというAEDデバイスによる判定である。この例では、ユーザが胸部を圧迫しすぎているため、重傷を負ったり、かつ/またはCPRが有効ではなくなったりする可能性がある。
【0047】
[0060]2.2インチ(5.08cm)の求められた深さが、2インチ(5.08cm)~2.4インチ(6.096cm)の閾値深さ範囲と比較されると、求められた深さが閾値深さ範囲内に含まれるという結果が得られる。この例では、方法のステップ140の出力は、求められた深さが閾値深さを上回っても下回ってもいないというAEDデバイスによる判定である。
【0048】
[0061]3.1インチ(2.54cm)の求められた深さが、2インチ(5.08cm)~2.4インチ(6.096cm)の閾値深さ範囲と比較されると、閾値深さを1~1.4インチ(3.56cm)の差だけ下回るという結果が得られる。この例では、方法のステップ140の出力は、求められた深さが閾値深さを下回るというAEDデバイスによる判定である。この例では、ユーザによる胸部の圧迫が弱すぎるため、CPRが有効ではない可能性がある。
【0049】
[0062]上記例は厳密な深さ測定値を使用して示されているが、これらは非限定的な例として提供されているに過ぎないことを理解されたい。求められた深さを閾値深さと比較するための他の多くの方法が可能である。
【0050】
[0063]方法のステップ150では、AEDデバイスは、電極パッド視覚的ディスプレイを介して、CPR中の1回以上の胸部圧迫の求められた深さが閾値深さを超えるかまたは下回るかの深さ表示をAEDのユーザに提供する。例えば、
図3を参照すると、第1の電極パッド370aおよび第2の電極パッド370bである。一方または両方の電極パッドが、1つ以上の電極パッド視覚的ディスプレイ372を備え得る。
図3は、両方の電極パッドが電極パッド視覚的ディスプレイ372を含むことを示しているが、一方のパッドのみが視覚的ディスプレイを含み得ることを理解されたい。
【0051】
[0064]一実施形態によれば、コントローラは、方法のステップ140の出力に基づき、CPR中の1回以上の胸部圧迫の求められた深さが閾値深さを超えるかまたは下回るかの深さ表示をAEDのユーザに提供するように、電極パッド視覚的ディスプレイに指示する。上記非限定的な例に戻ると、コントローラは、3つの比較のそれぞれに応答して以下の動作を実行し得る。
【0052】
[0065]1.3インチ(7.62cm)の求められた深さが、2インチ(5.08cm)~2.4インチ(6.096cm)の閾値深さ範囲と比較されると、閾値深さを1~0.6インチ(2.54~1.52cm)の差だけ上回るという結果が得られる。この例では、方法のステップ140の出力は、求められた深さが閾値深さを超えるというAEDデバイスによる判定である。この例では、コントローラは、求められた深さが閾値深さを超えていることを示す表示を提供するように、1つまたは複数の電極パッド視覚的ディスプレイに指示する。
【0053】
[0066]2.2インチ(5.08cm)の求められた深さが、2インチ(5.08cm)~2.4インチ(6.096cm)の閾値深さ範囲と比較されると、求められた深さが閾値深さ範囲内に含まれるという結果が得られる。この例では、方法のステップ140の出力は、求められた深度が閾値深度を上回っても下回ってもいないというAED装置による判定である。この例では、コントローラは、1つ以上の電極パッド視覚的ディスプレイに指示を与えない可能性がある。あるいは、コントローラは、求められた深さが閾値深さ内に含まれるか、または他の形で閾値深さを満たすことを示す表示を提供するように、1つ以上の電極パッド視覚的ディスプレイに指示してもよい。
【0054】
[0067]3.1インチ(2.54cm)の求められた深さが、2インチ(5.08cm)~2.4インチ(6.096cm)の閾値深さ範囲と比較されると、閾値深さを1~1.4インチ(3.56cm)の差だけ下回るという結果が得られる。この例では、方法のステップ140の出力は、求められた深さが閾値深さを下回るというAEDデバイスによる判定である。この例では、コントローラは、求められた深さが閾値深さを下回ることを示す表示を提供するように、1つ以上の電極パッド視覚的ディスプレイに指示する。
【0055】
[0068]求められた深さが閾値深さを超えるかまたは下回るかの表示は、1つ以上の電極パッド視覚的ディスプレイによって視覚的に提供される、情報をユーザに伝達するのに十分な任意の表示であり得る。1つ以上の電極パッド視覚的ディスプレイを介して提供される表示の例をいくつかの以下に提供するが、これらは非限定的な例であることを理解されたい。
【0056】
[0069]一実施形態によれば、1つ以上の電極パッド視覚的ディスプレイは、液晶ディスプレイ、または求められた深さに関する表示を提供するように構成された他のグラフィカルユーザインターフェースなどの視覚的ディスプレイを備え得る。
図4A~
図4Cを参照すると、例えば、コントローラおよび/または1つ以上の電極パッド視覚的ディスプレイは、言葉などのインジケータを作動、表示、強調表示、または別の方法で作動もしくは提供するように構成され得る。
図4Aでは、求められた深さが閾値深さよりも深いので、電極パッド視覚的ディスプレイは、「深すぎる」という語句を表示するように指示される。
図4Bでは、求められた深さが閾値深さを満たしているか、またはその範囲内にあるので、電極パッド視覚的ディスプレイは、「良好」という語句を表示するように指示される。
図4Cでは、求められた深さが閾値深さよりも浅いので、電極パッド視覚的ディスプレイは、「浅すぎる」という語句を表示するように指示される。
【0057】
[0070]あるいは、1つ以上の電極パッド視覚的ディスプレイは、言葉または他のインジケータのバックライトを提供するLEDを備えてもよい。例えば、「深すぎる」などの言葉のバックライトを提供するLEDは、求められた深さが閾値深さよりも深い場合に作動され得る。「浅すぎる」などの言葉のバックライトを提供するLEDは、求められた深さが閾値深さよりも浅い場合に作動され得る。
【0058】
[0071]
図5A~
図5Cを参照すると、例えば、コントローラおよび/または1つ以上の電極パッド視覚的ディスプレイは、インジケータを提供するためにLED照明を作動、表示、強調表示、または別の方法で作動するように構成され得る。
図5Aでは、求められた深さが閾値深さよりも深いので、電極パッド視覚的ディスプレイは、LEDを作動させて赤色の光を発するように指示される。
図5Bでは、求められた深さが閾値深さを満たしているか、またはその範囲内にあるので、電極パッド視覚的ディスプレイは、LEDを作動させて緑色の光を発するように、または任意選択で光を発しないように指示される。
図5Cでは、求められた深さが閾値深さよりも浅いので、電極パッド視覚的ディスプレイは、LEDを作動させて黄色の光、赤色の光、または他の光を発するように指示される。あるいは、ユーザの色盲などの可用性の問題に対処するために、色を別の方法で設定または決定することもできる。
【0059】
[0072]
図6A~
図6Cを参照すると、例えば、コントローラおよび/または1つ以上の電極パッド視覚的ディスプレイは、インジケータを提供するためにアイコンのディスプレイを作動、表示、強調表示、または別の方法で作動するように構成され得る。
図6Aでは、求められた深さが閾値深さよりも深いので、電極パッド視覚的ディスプレイは、親指を下げるアイコンなどのアイコンを提供または表示するように指示される。
図6Bでは、求められた深さが閾値深さを満たしているか、またはその範囲内にあるので、電極パッド視覚的ディスプレイは、親指を上げるアイコンなどのアイコンを提供もしくは表示するか、または任意選択でアイコンを提供もしくは表示しないように指示される。
図6Cでは、求められた深さが閾値深さよりも浅いので、電極パッド視覚的ディスプレイは、親指を下げるアイコンまたは他のアイコンなどのアイコンを提供または表示するように指示される。必要な深さ表示を伝えるのに適した任意のアイコンを使用できる。
【0060】
[0073]
図1の方法100に戻り、方法のステップ160では、システムは、センサから受信した信号を受信および処理して、CPR中に提供される胸部圧迫速さを求める。一実施形態によれば、信号は電気信号および/または加速度計信号であるが、他のタイプのセンサ信号も可能である。信号は、任意選択で、AEDデバイス内のセンサ、一方または両方の電極パッド内のセンサによって、または何らかの他のソースから検出される。信号は、CPR中胸部圧迫の速さを求めるために分析または処理され得る機械的および/または電気的信号である。一実施形態によれば、2つ以上の電極パッド間のインピーダンス信号を使用して、CPR圧迫速さを含むCPR関連インピーダンス変化を検出することができる。別の実施形態によれば、胸部電極信号を分析することで、心臓関連信号(例えば、心電図またはECG)とCPR圧迫速さなどのCPR関連アーティファクトとが分離される。AEDデバイスセンサによって検出された機械的および/または電気的信号を分析して、CPR中胸部圧迫の速さを求めるまたは推定する他の多くの方法が可能である。
【0061】
[0074]一実施形態によれば、システムは、複数回の胸部圧迫の後、特定の閾値を上回るかまたは下回る信号を分析するように構成される。信号は、保存中または処理後にメモリに保存され得る。したがって、求められた速さは、処理中または処理後にメモリに保存され得る。
【0062】
[0075]一実施形態によれば、求められた速さは、数値、パーセンテージ、または速さを示す他の値であってもよい。例えば、求められた速さは、インチまたはセンチメートル単位の測定値であり得る。したがって、方法のステップ160の出力は、130回/分、110回/分、90回/分、または任意の他の測定値など、求められた速さの任意の表示であり得る。
【0063】
[0076]方法のステップ170では、AEDデバイスは、CPR中の胸部圧迫の求められた速さを閾値速さと比較する。閾値速さは、傷病者の体全体に1分あたり十分な回数、血液を送り込むのに十分であると判断される任意の速さであり得る。この速さは、実験的に決定されるか、CPR基準に基づくか、または他の方法で決定され得る。例えば、アメリカ心臓協会の現在の基準によれば、ユーザは、平均深さで少なくとも2インチ(5cm)の深さ、および100~120回/分の速さで胸骨圧迫を行う必要がある。一実施形態によれば、閾値速さは、製造中または設置中にAEDデバイスに、例えばコントローラに事前にプログラムされる。あるいは、閾値速さは、設置中、または緊急事態におけるAEDデバイスの使用前/使用中にユーザが調整できる設定であってもよい。
【0064】
[0077]方法のステップ180では、AEDデバイスは、比較に基づいて、求められた速さが閾値速さを超えるか、または下回るかを判定する。一実施形態によれば、1回以上の胸部圧迫の求められた速さと所定の閾値速さとの比較の結果は、数値または単にデジタルの「超過」または「下回る」表示であり得る。求められた速さが閾値速さを超えるかまたは下回ることを示す他の多くの方法が存在する。
【0065】
[0078]例えば、比較の結果、求められた速さが閾値速さをどれだけ超えるかまたは下回るかを示す数値が提供されてもよい。例えば、上述のように、可能な求められた速さ測定値は、130回/分、110回/分、90回/分などの測定値であってもよい。同様に、成人の閾値速さは、100~120回/分の範囲内であり得る。したがって、3つの測定値の例は次のように比較される。
【0066】
[0079]1. 130回/分の求められた速さが、100~120回/分の閾値速さ範囲と比較されると、閾値速さを30~10回/分の差だけ上回るという結果が得られる。この例では、方法のステップ180の出力は、求められた速さが閾値速さを超えるというAEDデバイスによる判定である。この例では、ユーザによる1分間あたりの胸部の圧迫回数が多すぎるため、CPRが有効ではない可能性がある。
【0067】
[0080]2. 90回/分の求められた速さが、100~120回/分の閾値速さ範囲と比較されると、閾値速さ範囲内の求められた速さという結果が得られる。この例では、方法のステップ180の出力は、求められた速さが閾値速さを上回っても下回ってもいないというAEDデバイスによる判定である。
【0068】
[0081]3. 130回/分の求められた速さが、100~120回/分の閾値速さ範囲と比較されると、閾値速さを10~40回/分の差だけ下回るという結果が得られる。この例では、方法のステップ180の出力は、求められた速さが閾値速さを下回るというAEDデバイスによる判定である。この例では、ユーザによる1分間あたりの胸部の圧迫回数が少なすぎるため、CPRが有効ではない可能性がある。
【0069】
[0082]上記例は厳密な速さ測定値を使用して示されているが、これらは非限定的な例として提供されているに過ぎないことを理解されたい。求められた速さを閾値速さと比較するための他の多くの方法が可能である。
【0070】
[0083]方法のステップ190では、AEDデバイスは、電極パッド視覚的ディスプレイを介して、CPR中の1回以上の胸部圧迫の求められた速さが閾値速さを超えるかまたは下回るかの速さ表示をAEDのユーザに提供する。例えば、
図3を参照すると、第1の電極パッド370aおよび第2の電極パッド370bである。一方または両方の電極パッドが、1つ以上の電極パッド視覚的ディスプレイ372を備え得る。
図3は、両方の電極パッドが電極パッド視覚的ディスプレイ372を含むことを示しているが、一方のパッドのみが視覚的ディスプレイを含み得ることを理解されたい。
【0071】
[0084]一実施形態によれば、コントローラは、方法のステップ180の出力に基づき、CPR中の1回以上の胸部圧迫の求められた速さが閾値速さを超えるかまたは下回るかの速さ表示をAEDのユーザに提供するように、電極パッド視覚的ディスプレイに指示する。上記非限定的な例に戻ると、コントローラは、3つの比較のそれぞれに応答して以下の動作を実行し得る。
【0072】
[0085]1. 130回/分の求められた速さが、100~120回/分の閾値速さ範囲と比較されると、閾値速さを30~10回/分の差だけ上回るという結果が得られる。この例では、方法のステップ180の出力は、求められた速さが閾値速さを超えるというAEDデバイスによる判定である。この例では、コントローラは、求められた速さが閾値速さを超えていることを示す表示を提供するように、1つ以上の電極パッド視覚的ディスプレイに指示する。
【0073】
[0086]2. 90回/分の求められた速さが、100~120回/分の閾値速さ範囲と比較されると、閾値速さ範囲内の求められた速さという結果が得られる。この例では、方法のステップ180の出力は、求められた速さが閾値速さを上回っても下回ってもいないというAEDデバイスによる判定である。この例では、コントローラは、1つ以上の電極パッド視覚的ディスプレイに指示を与えない可能性がある。あるいは、コントローラは、求められた速さが閾値速さ内に含まれるか、または他の形で閾値速さを満たすことを示す表示を提供するように、1つ以上の電極パッド視覚的ディスプレイに指示してもよい。
【0074】
[0087]3. 130回/分の求められた速さが、100~120回/分の閾値速さ範囲と比較されると、閾値速さを10~40回/分の差だけ下回るという結果が得られる。この例では、方法のステップ180の出力は、求められた速さが閾値速さを下回るというAEDデバイスによる判定である。この例では、コントローラは、求められた速さが閾値速さを下回ることを示す表示を提供するように、1つ以上の電極パッド視覚的ディスプレイに指示する。
【0075】
[0088]求められた速さが閾値速さを超える、満たす、または下回るかの表示は、1つ以上の電極パッド視覚的ディスプレイによって視覚的に提供される、情報をユーザに伝達するのに十分な任意の表示であり得る。1つ以上の電極パッド視覚的ディスプレイを介して提供される表示の例をいくつかの以下に提供するが、これらは非限定的な例であることを理解されたい。
【0076】
[0089]一実施形態によれば、1つ以上の電極パッド視覚的ディスプレイは、液晶ディスプレイ、または求められた深さに関する表示を提供するように構成された他のグラフィカルユーザインターフェースなどの視覚的ディスプレイを備え得る。
図7を参照すると、例えば、コントローラおよび/または1つ以上の電極パッド視覚的ディスプレイは、インジケータを提供するためにLED照明などのインジケータを作動、表示、強調表示、または別の方法で作動もしくは提供するように構成され得る。
図7では、電極パッド視覚的表示は、LED610を作動して、速さを示すパターンまたは特定の色の光を発するように指示される。例えば、LEDは、求められた速さが閾値速さよりも遅い場合には赤色光を発し、求められた速さが閾値速さ以内である場合には緑色光を発し、求められた速さが閾値速さよりも速い場合には黄色光を発し得る。他の多くの色の組み合わせおよび表示選択肢が可能である。例えば、LED610は、閾値速さにて点滅することにより、圧迫が閾値速さよりも遅いかまたは速いことをユーザに示すことができる。閾値の胸部圧迫速さにて音を発するAEDデバイスの場合、電極パッド視覚的ディスプレイは、発せられた音と同じ速さで点滅するか、または他の形で表示を提供することができる。
【0077】
[0090]一実施形態によれば、電極パッド視覚的ディスプレイは、閾値胸部圧迫速さを達成するために、求められた胸部圧迫速さを増加または減少させるようにユーザを指導することで速さ表示を提供することができる。電極パッド視覚的ディスプレイおよびコントローラは、閾値速さではなく求められた速さで速さ表示を最初に提供するように電極パッド視覚的ディスプレイに指示するように構成され得る。例えば、ユーザが胸部を圧迫するのが遅すぎる場合、コントローラは、求められたより遅い胸部圧迫速さで速さ表示を最初に提供するように電極パッド視覚的ディスプレイに指示し得る。次に、コントローラは、閾値速さに達するまで速さ表示を徐々に増加させるように電極パッド視覚的ディスプレイに指示し得る。ユーザは、胸骨圧迫速さインジケータの増加速度に合わせて胸骨圧迫速さを増加させる。例えば、ユーザが80回/分で胸部を圧迫している場合、LED610は最初に80回/分の点滅速度を示すことができる。そして、コントローラは、LED610の点滅速度を増加させることでユーザを増加速度に一致させる。これにより、すぐに閾値速さに到達し、傷病者の生存の可能性を大幅に改善することができる。速い胸部圧迫速さから閾値胸部圧迫速さまでユーザの速さを下げるために同じプロセスを利用できる。
【0078】
[0091]増加速度または減少速度は予め決定されていてもよいし、または閾値速さに対する求められた速さに完全にまたは部分的に基づいて決定されてもよい。例えば、胸部圧迫が70回/分であると求められた場合、増加速度は、求められた胸部圧迫率が95回/分である場合よりもはるかに速い可能性がある。
【0079】
[0092]本明細書ではいくつかの独創的実施形態を記載および図示してきたが、当業者は、機能を実行するための、および/または、結果および/または本明細書に記載される1つ以上の利点を得るための様々な他の手段および/または構造を容易に思いつくであろう。そのようなバリエーションおよび/または変形は、本明細書に記載の独創的実施形態の範囲内に含まれると見なされる。より一般的には、当業者は、本明細書に記載されている全てのパラメータ、寸法、材料、および構成が例示であり、実際のパラメータ、寸法、材料、および/または構成は、本発明の教示が利用される具体的用途に依存することを容易に理解するであろう。当業者は、本明細書に記載の具体的な独創的実施形態に対する多くの均等物を認識する、または、慣例的な実験より多くを使用することなく確認することができるであろう。したがって、上記実施形態は例として提示されたに過ぎず、添付の特許請求の範囲およびその均等物の範囲内で、具体的に記載および請求された以外の態様で独創的実施形態を実施できることを理解されたい。本開示の独創的実施形態は、本明細書に記載の個々の特徴、システム、物品、材料、キット、および/または方法を対象とする。また、2つ以上のそのような特徴、システム、物品、材料、キット、および/または方法の任意の組み合わせが、そのような特徴、システム、物品、材料、キット、および/または方法が互いに矛盾しない場合、本開示の発明の範囲内に含まれる。
【0080】
[0093]本明細書で定義および使用される全ての定義は、辞書の定義、参照により組み込まれる文書内の定義、および/または定義された用語の通常の意味に優先するものと理解されたい。
【0081】
[0094]本明細書および特許請求の範囲において使用される不定冠詞「a」および「an」は、特に明記しない限り、「少なくとも1つ」を意味すると理解されるべきである。
【0082】
[0095]本明細書および特許請求の範囲において使用される「および/または」という表現は、結合された要素の「いずれかまたは両方」を意味すると理解されるべきであり、すなわち、それらの要素はある場合には結合して存在し、他の場合には分離して存在する。「および/または」によって列挙された複数の要素も同様に解釈されるべきであり、すなわち、結合された要素の「1つ以上」を意味する。「および/または」の節によって具体的に特定された要素以外の要素が、具体的に特定された要素に関連するか否かに関わらず、任意選択的に存在し得る。したがって、非限定的な例として、「備える」等の非限定的な言語と合わせて使用される場合、「Aおよび/またはB」への言及は、一実施形態ではAのみ(任意選択的にB以外の要素を含む)を指し得、別の実施形態ではBのみ(任意選択的にA以外の要素を含む)を指し得、さらに別の実施形態ではAおよびBの両方(任意選択的に他の要素を含む)を指し得る。
【0083】
[0096]本明細書および特許請求の範囲で使用される場合、「または」は、上記で定義された「および/または」と同じ意味を有すると理解されるべきである。例えば、列挙される項目を区切る場合、「または」または「および/または」は包括的であると解釈されるべきであり、すなわち、複数の要素または列挙される要素のうちの少なくとも1つを含むが、2つ以上も含まれ、また、任意選択的に列挙されていない追加の項目が含まれる。「1つのみ」または「ただ1つ」、またはクレームで使用されている場合の「からなる」等、明確に反する旨を示す用語に限り、複数の要素または列挙される要素のうちのただ1つを含むことを指す。一般的に、本明細書で使用される「または」という用語は、「どちらか」、「~のうちの1つ」、「~のうちの1つのみ」、または「ただ1つ」等の排他性を示す用語が先行する場合に限り、排他的な選択肢(すなわち、「両方ではなくどちらか一方」)を示すと解釈されるべきである。「から本質的になる」は、クレームで使用される場合、特許法の分野で使用される通常の意味を有するものとする。
【0084】
[0097]本明細書および特許請求の範囲で使用される場合、列挙される1つ以上の要素に関する「少なくとも1つ」という表現は、列挙される要素内の任意の1つ以上の要素から選択される少なくとも1つの要素を意味し、必ずしも、列挙される要素内に具体的に記されている全ての要素を少なくとも1つ含む必要はなく、また、列挙される要素内の複数の要素のいかなる組み合わせも除外しないことを理解されたい。この定義はまた、「少なくとも1つ」という表現が言及する要素のリスト内に具体的に特定される要素以外の要素の任意選択的存在を許容し、具体的に特定される要素に関連するか否かは問わない。したがって、非限定的な例として、「AおよびBのうちの少なくとも1つ」(または同等に、「AまたはBのうちの少なくとも1つ」、もしくは同等に「Aおよび/またはBのうちの少なくとも1つ」)は、一実施形態では少なくとも1つの(任意選択的に2つ以上含む)Aを指し、Bは存在せず(任意選択的にB以外の要素が含まれる)、別の実施形態では少なくとも1つの(任意選択的に2つ以上含む)Bを指し、Aは存在せず(任意選択的にA以外の要素が含まれる)、さらに別の実施形態では少なくとも1つの(任意選択的に2つ以上含む)A、および少なくとも1つの(任意選択的に2つ以上含む)Bを指す(任意選択的に他の要素が含まれる)。
【0085】
[0098]また、特に明記しない限り、2つ以上のステップまたは動作を含む、請求されるいかなる方法においても、方法のステップまたは動作の順序は必ずしも、方法のステップまたは動作が列挙されている順序に限定されないことを理解されたい。
【0086】
[0099]特許請求の範囲および上記の明細書において、「備える」、「含む」、「保持する」、「有する」、「保有する」、「包含する」、「持つ」、および「構成する」等の全ての移行句が非限定的であるとして、すなわち、当該要素を含むが当該要素に限定されないことを意味すると理解されるべきである。米国特許庁特許審査手続便覧に記載されているように、「からなる」および「から本質的になる」という移行句のみが、それぞれ限定的または準限定的な移行句である。
【国際調査報告】