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特表2023-546134車両を駐車するための制動力分配のためのB・B・W技術を用いた制動システムの制御方法及びそのシステム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-11-01
(54)【発明の名称】車両を駐車するための制動力分配のためのB・B・W技術を用いた制動システムの制御方法及びそのシステム
(51)【国際特許分類】
   B60T 8/17 20060101AFI20231025BHJP
   B60T 8/172 20060101ALI20231025BHJP
   B60T 8/26 20060101ALI20231025BHJP
   B60T 8/30 20060101ALI20231025BHJP
【FI】
B60T8/17 Z
B60T8/17 B
B60T8/172 B
B60T8/172 Z
B60T8/26 H
B60T8/30 H
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023523080
(86)(22)【出願日】2021-10-12
(85)【翻訳文提出日】2023-06-13
(86)【国際出願番号】 IB2021059327
(87)【国際公開番号】W WO2022079583
(87)【国際公開日】2022-04-21
(31)【優先権主張番号】102020000024442
(32)【優先日】2020-10-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IT
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521259127
【氏名又は名称】ブレンボ・ソチエタ・ペル・アツィオーニ
【氏名又は名称原語表記】BREMBO S.p.A.
(74)【代理人】
【識別番号】100106518
【弁理士】
【氏名又は名称】松谷 道子
(74)【代理人】
【識別番号】100131808
【弁理士】
【氏名又は名称】柳橋 泰雄
(74)【代理人】
【識別番号】100101454
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 卓二
(72)【発明者】
【氏名】カルボーネ,ファビオ
(72)【発明者】
【氏名】イズグロ,ダヴィデ
【テーマコード(参考)】
3D246
【Fターム(参考)】
3D246DA01
3D246DA02
3D246FA04
3D246GB15
3D246GB19
3D246GB21
3D246GB37
3D246GC09
3D246HA06A
3D246HA39A
3D246HA94A
3D246HB02B
3D246HB07B
3D246HC02
3D246JA12
3D246JB53
3D246LA15Z
(57)【要約】
車両を駐車するための制動力の分配のために車両の制動システムを制御するための方法(600)であって、
- 車両を駐車するための制動力の分配のための制動システムの制御システムによって、車両の第1前車軸の第1作業温度を表す第1情報を受信すること(601);
- 前記システムによって、前記車両の第2後車軸の第2作業温度を表す第2情報を受信すること(602);前記システムによって、前記車両の第2後車軸の第2作業温度を表す第2情報を受信すること(603);
- システムによって、車両の勾配を表す第3情報を受信すること(603);システムによって、車両の勾配を表す第3情報を受信すること(604);
- システムによって、車両と道路との間の摩擦係数を表す第4の情報を受信すること(604);システムによって、車両と道路との間の摩擦係数を表す第4の情報を受信すること(606);
- システムによって、車両の重量を表す第5の情報を受信すること(605);システムによって、車両の重量を表す第5の情報を受信すること(606);
- システムによって、
車両の第1前車軸の第1作業温度を表す第1情報と、第2後車軸の温度を表す第2情報と、車両の勾配を表す第3情報と、車両と路面との摩擦係数を表す第4情報と、車両の重量を表す第5情報とに基づいて、駐車を得るために車両の第1前車軸に加えられる第1目標制動力と、第2後車軸に加えられる第2目標制動力とを決定すること(606)を含むシステム。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両(1)を駐車するための制動力の分配のために前記車両(1)の制動システム(2)を制御するための方法(600)であって、
- 前記車両(1)を駐車するための制動力の分配のために前記車両(1)の前記制動システム(2)を制御するためのシステム(100)によって、前記車両(1)の第1前車軸(F-A)に動作可能に接続され且つアクチュエータ制御モジュールから受信した制御に基づいて制動指令を実施するように適合された少なくとも1つの第1アクチュエータモジュール(3)の1以上のアクチュエータの電気モータの第1動作温度を表す第1情報(T-SF)を受け取るステップ(601)と;
- 前記システム(100)によって、前記車両(1)の第2後車軸(R-A)に動作可能に接続され且つアクチュエータ制御モジュールから受信した制御に基づいて制動コマンドを実施するように適合された少なくとも1つの第2アクチュエータモジュール(5)の1つまたは複数のアクチュエータの電気モータの第2動作温度を表す第2情報(T-SR)を受け取るステップ(602)と;
- 前記システム(100)によって、前記車両(1)の勾配を表す第3情報(PZ)を受信するステップ(603)と;
- 前記システム(100)によって、前記車両(1)と道路との間の摩擦係数を表す第4の情報(AD)を受信するステップ(604)と;
- 前記システム(100)によって、前記車両(1)の重量を表す第5の情報(PV)を受信するステップ(605)と;
- 前記システム(100)によって、
車両(1)の前記第1前車軸(F-A)に動作可能に接続された少なくとも1つの前記第1アクチュエータモジュール(3)の1以上のアクチュエータの前記電気モータの前記第1動作温度を表す前記第1情報(T-SF)、
前記車両(1)の前記第2後車軸(R-A)に動作可能に接続された少なくとも1つの前記第2アクチュエータモジュール(5)の1つまたは複数のアクチュエータの電気モータの第2 動作温度を表す前記第2情報(T-SR)、
前記車両(1)の勾配を表す前記第3情報(PZ)、
前記車両(1)と道路間の摩擦係数を表す前記第4の情報(AD)、及び
前記車両(1)の重量の表す前記第5の情報(PV)に基づいて、
駐車を得るために前記車両(1)の前記第1前車軸(F-A)に加えられるべき第1目標制動力(F1T)および前記第2後車軸(R-A)に加えられるべき第2目標制動力(F2T)を決定するステップ(606)と、を備えた方法(600)。
【請求項2】
前記決定するステップ(606)は、
- 前記システム(100)の第1データ処理モジュール(210)によって、前記車両(1)の勾配を表す前記第3情報(PZ)と、前記車両(1)と道路との間の摩擦係数を表す前記第4の情報(AD)と、前記車両(1)の重量を表す前記第5の情報(PV)とを受信するステップ(607)と;
- 前記第1データ処理モジュール(210)によって、さらなる車両パラメータ(UPV)を受信するステップ(608)と;
- 前記第1データ処理モジュール(210)によって、前記車両(1)の勾配を表す前記第3情報(PZ)、前記車両(1)と道路との間の摩擦係数を表す前記第4の情報(AD)、前記車両(1)の重量を表す前記第5の情報(PV)および追加の前記車両パラメータ(UPV)の関数として、
- 前記車両(1)の前記第1前車軸(F-A)に車輪のスリップがない場合の、前記第1前車軸(F-A)の最大許容接地力を表す値(FW-F);
- 前記第2後車軸(R-A)に車輪のスリップがない場合の前記車両(1)の前記第2後車軸(R-A)の最大許容接地力を表す値(FW-R);
- 駐車を得るために前記車両(1)の前記第1前車軸(F-A)に加えられる縦方向の力を表す値(FL-F);
- 駐車を得るために前記車両(1)の前記第2後車軸(R-A)に加えられる縦方向の力を表す値(FL-R);
- 前記第1前車軸(F-A)に加えられる第1制動力分配値(DF1);及び
- 前記第2後車軸(R-A)にかかる第2制動力分配値(DF2)を決定するステップ(609)とを有する、請求項1に記載の方法(600)。
【請求項3】
前記決定するステップ(609)は、前記第1データ処理モジュール(210)によって、前記第1前車軸(F-A)に存在する車輪スリップがない場合の前記車両(1)の前記第1前車軸(F-A)上の最大許容接地力を表す値(FW-F)と、駐車を得るために前記車両(1)の前記第1前車軸(F-A)に加わる縦力を表す値(FL-F)との最小値として、前記第1前車軸(F-A)に適用される第1制動力分配値(DF1)を決定するために行われ、
前記決定するステップ(609)は、前記第1データ処理モジュール(210)によって、前記第2後車軸(R-A)に存在する車輪スリップがない場合の前記車両(1)の前記第2後車軸(R-A)上の最大許容接地力を表す値(FW-R)と、前記車両(1)の前記第2後車軸(R-A)に適用されて駐車が得られるようにするための前後力を表す値(FL-R)との最小値として、前記第2後車軸(R-A)に適用される第2制動力分配値(DF2)を決定するために行われる、請求項2に記載の方法(600)。
【請求項4】
前記決定するステップ(606)が、
- 前記システム(100)の第2データ処理モジュール(220)によって、
前記車両(1)の前記第1前車軸(F-A)に動作可能に接続され且つ前記アクチュエータ制御モジュールから受信した制御に基づいて前記制動コマンドを実行するように適合された前記少なくとも1つの第1アクチュエータモジュール(3)の1つまたは複数のアクチュエータの電気モータの第1動作温度を表す前記第1情報(T-SF)と、
前記車両(1)の前記第2後車軸(R-A)に動作可能に接続され且つ前記アクチュエータ制御モジュールから受信した制御に基づいて前記制動コマンドを実施するように適合された前記少なくとも1つの第2アクチュエータモジュール(5)の1つまたは複数のアクチュエータの電気モータの第2動作温度を表す前記第2情報(T-SR)とを受信するステップ(610)と、
- 前記第2データ処理モジュール(220)によって、
損傷/耐用年数の減少がない場合に許容される前記第1前車軸(F-A)に動作可能に接続された前記少なくとも1つの第1アクチュエータモジュール(3)の1つまたは複数のアクチュエータの電気モータの第1最高使用温度(T-MF)と、
損傷/耐用年数の減少がない場合に許容される前記第2後車軸(R-A)に動作可能に接続された前記少なくとも1つの第2アクチュエータモジュール(5)の1つまたは複数のアクチュエータの電気モータの第2最高使用温度(T-MR)を受け取るステップ(611)と、
- 前記第2データ処理モジュール(220)によって、
前記第1前車軸(F-A)を命令するように適合された前記第1アクチュエータモジュール(3)によって適用される第1最大力値(F-LM)を、前記車両(1)の前記第1前車軸(F-A)に動作可能に接続された前記少なくとも1つの第1アクチュエータモジュール(3)の1つまたは複数のアクチュエータの前記電気モータの前記第1動作温度、および前記第1前車軸(F-A)の損傷/耐用年数の減少がない場合に許容される前記少なくとも1つの第1アクチュエータモジュール(3)の1つまたは複数のアクチュエータの前記電気モータの第1最大動作温度値(T-MF)の表す前記第1情報(T-SF)の関数として決定し(612)、
- 前記第2データ処理モジュール(220)によって、
前記第2前車軸(R-A)を命令するように適合された前記少なくとも1つの第2アクチュエータモジュール(4)によって適用される第2最大力値(R-LM)を、前記車両(1)の前記第2前車軸(R-A)に動作可能に接続された前記少なくとも1つの第2アクチュエータモジュール(5)の1つまたは複数のアクチュエータの電気モータの前記第2動作温度、および前記第2前車軸(R-A)の損傷/耐用年数の減少がない場合に許容される前記第2前車軸(R-A)に動作可能に接続された前記少なくとも1つの第2アクチュエータモジュール(5)の1つまたは複数のアクチュエータの電気モータの第2最大動作温度の値(T-MR)の表す前記第2情報(T-SR)の関数として決定する(613)、請求項3に記載の方法(600)。
【請求項5】
前記決定するステップ(606)は、
- 前記システム(100)の第3処理モジュール(230)によって、前記第2データ処理モジュール(220)から、前記第1前車軸(F-A)に適用されるべき第1制動力分配値(DF1)および前記第2後車軸(R-A)に適用されるべき第2制動力分配値(DF2)を受信し(614)、
- 第3データ処理モジュール(230)によって、前記第2データ処理モジュール220から、前記第1前車軸(F-A)を命令するように適合された前記第1アクチュエータモジュール(3)によって適用される前記第1最大力値(F-LM)および前記第2後車軸(R-A)を命令するように適合された前記第2アクチュエータモジュール(4)から適用される前記第2最大力値(R-LM)を受け取り(615)、
- 第3データ処理モジュール(230)によって、駐車を得るために前記車両(1)の前記第1前車軸(F-A)に加えられる第1目標制動力(F1T)および駐車を得るために前記車両(1)の前記第2後車軸(R-A)に加えられる第2目標制動力(F2T)を、前記第1前車軸(F-A)に加えられる第1制動力分配値(DF1)、前記第2後車軸(R-A)に適用される第2制動力分配値(DF2)、前記第1前車軸(F-A)を指令するように適合された前記第1アクチュエータモジュール(3)によって適用される前記第1最大力値(F-LM)、および前記第2後車軸(R-A)を指令するように適合された前記第2アクチュエータモジュール(4)によって適用される前記第2最大力値(R-LM)の関数として決定する(616)ことを含む、請求項4に記載の方法(600)。
【請求項6】
前記決定するステップ(616)は、前記第3データ処理モジュール(230)によって、前記第1前車軸(F-A)と前記第2後車軸(R-A)との間の駐車に適用すべきそれぞれの目標制動力を計算するために高い優先度を割り当てるステップ(617)を含む、請求項5に記載の方法(600)。
【請求項7】
前記割り当てるステップ(617)は、
- 前記第3データ処理モジュール(230)によって、前記第1前車軸(F-A)に適用される前記第1制動力分配値(DF1)と、前記第1前車軸(F-A)を命令するように適合された前記第1アクチュエータモジュール(3)によって適用される第1最大力分配値(F-LM)との差を表す第1の差の大きさ(F-GP)を決定し(618)、
- 前記第3データ処理モジュール(230)によって、前記第2前車軸(R-A)に適用される前記第2制動力分配値(DF2)と、前記第2後車軸(R-A)を命令するように適合された前記第2アクチュエータモジュール(4)によって適用される前記第2最大力分配値(F-LM)との差を表す第2の差の大きさ(F-GP)を決定する(619)ことを含み、
前記第1の差の大きさ(F-GP)と前記第2の差の大きさ(R-GP)との間の差の大きさが最も小さい車軸に高い優先度を割り当てる、請求項6に記載の方法(600)。
【請求項8】
前記決定するステップ(606)は、前記第3データ処理モジュール(230)によって、優先度の高い車両の車軸の駐車を得るために適用する第1制動力値(F1P1)の第1計算を行うステップ(620)を含み、
優先順位の高い車両(1)の車軸の駐車を得るために適用される前記第1制動力値(F1P1)は、優先順位の高い車両(1)の車軸に適用される制動力分配値(DFP1)と優先順位の高い車軸を命令するように適合されたアクチュエータモジュールによって適用される最大力値(LMP1)との最小として取得される、請求項7に記載の方法(600)。
【請求項9】
前記決定するステップ(606)は、第3データ処理モジュール(230)によって、優先順位が低い車両の車軸上で駐車を得るために適用すべき前記第1制動力値(F2P2)の第1計算を実行するステップ(621)を含み、
優先度の高い車軸の差の大きさ(GPP1)が≦0である場合、優先度の低い車両(1)の車軸で駐車を得るために適用される前記第1制動力値(F2P2)は、優先度の低い車両(1)の車軸に適用される制動力分配値(DFP2)と、優先度の低い車軸に命令するように適合されたアクチュエータモジュールによって適用される最大力適用値(LMP2)との最小値として求められ、
優先度の高い車軸の差の大きさ(GPP1)が>0である場合、優先度の低い車軸の差の大きさ(GPP2)は、優先度の高い車軸の差の大きさ(GPP1)を先に計算した優先度の低い車軸の差の大きさ(GPP2)に加えることによって得られ、
優先順位の低い車軸(1)の駐車を得るために適用される前記第1制動力値(GPP2)は、優先順位の高い車軸の差の大きさ(GPP1)と優先順位の低い車軸を指令するアクチュエータモジュールによって適用される最大力値(LMP2)が加算された優先順位の低い車両(1)軸に適用すべき制動力分配値(DFP2)の間の最小値として取得される、請求項8に記載の方法(600)。
【請求項10】
前記決定するステップ(606)は、前記第3データ処理モジュール(230)によって、優先順位の高い車両の車軸の駐車を得るために適用される第2制動力値(F1'P1)の第2計算を行うこと(622)をさらに含み、
優先度の高い車両の車軸上の駐車を得るために適用される前記第2制動力値(F1'P1)は、優先度の高い車軸の差の大きさ(GPP1)と優先度の低い車軸の差の大きさ(GPP2)の絶対値の最小値と優先度の高い車両の車軸上の駐車を得るために適用されるべき前記第1制動力値(F1P1)の合計によって決定され、
優先順位が最も高い車軸の差の大きさ(GPP1)が≧0であり、及び/又は優先順位が低い車軸の差の大きさ(GPP2)が<0である場合、前記実行するステップ(622)は、第3データ処理モジュール(230)によって、優先順位が高い車軸への駐車を得るために適用すべき前記第2制動力値(F1'P1)に優先順位が高い車の以前に計算された車軸への駐車を得るために適用すべき前記第1制動力値(F1P1)を割り当てること(623)を含む、請求項9に記載の方法(600)。
【請求項11】
前記決定するステップ(606)は、前記第3データ処理モジュール(230)によって、駐車を得るために前記車両(1)の前記第1前車軸(F-A)に適用すべき前記第1目標制動力(F1T)と第2後車軸(R-A)に適用すべき第2目標制動力(F2T)を割り当てること(624)を含み、
前記第1前車軸(F-A)の差の大きさ(F-GP)≦前記第2後車軸(R-A)の差の大きさ(R-GP)である場合、前記第3データ処理モジュール(230)によって、駐車を得るために前記車両(1)の前記第1前車軸(F-A)に適用される前記第1目標制動力(F1T)として、優先度の高い車両の車軸に駐車を得るために適用すべき前記第2制動力値(F1'P1)を割り当て(624)、
前記第1前車軸(F-A)の差の大きさ(F-GP)>前記第2後車軸(R-A)の差の大きさ(R-GP)である場合、前記第3データ処理モジュール(230)によって、駐車を得るために車両(1)の前記第1前車軸(F-A)に適用される前記第1目標制動力(F1T)として、優先順位が低い車両(1)の車軸に駐車を得るために適用すべき前記第1制動力値(F2P2)を割り当て(624)、
前記第1前車軸(F-A)の差の大きさ(F-GP)>前記第2後車軸(R-A)の差の大きさ(R-GP)である場合、前記第3データ処理モジュール(230)によって、駐車を得るために前記車両(1)の前記第2前車軸(R-A)に付与する前記第2目標制動力(F2T)の値として、優先度が高い前記車両の車軸に駐車を得るために適用すべき前記第2制動力値(F1'P1)を割り当て(624)、
前記第1前車軸(F-A)の差の大きさ(F-GP)>前記第2後車軸(R-A)の差の大きさ(R-GP)である場合、前記第3データ処理モジュール(230)によって、駐車を得るために前記車両(1)の前記第2後車軸(F-A)に適用される前記第2目標制動力(F2T)の値として、優先順位が低い車両(1)の車軸の駐車を得るために適用すべき前記第1制動力値(F2P2)を割り当てる(624)、請求項10に記載の方法(600)。
【請求項12】
前記決定するステップ(606)は、第3データ処理モジュール(230)によって、前記車両(1)の駐車機能の利用不可能性を表す情報NFの一部を供給するステップ(625)を含む、請求項5から11までのいずれか一項に記載の方法(600)。
【請求項13】
前記供給するステップ(625)は、前記第3データ処理モジュール(230)によって、前記第1前車軸(F-A)に適用される前記第1制動力分配値(DF1)および前記第2後車軸(R-A)に適用される前記第2制動力分配値(DF2)の合計と、駐車を得るための前記車両(1)の前記第1前車軸(F-A)に適用される前記第1目標制動力(F1T)および前記第2後車軸(R-A)に適用される前記第2目標制動力(F2T)の合計を比較し(626)、
前記第1前車軸(F-A)に適用される前記第1制動力分配値(DF1)と前記第2後車軸(R-A)に適用される前記第2制動力分配値(DF2)との和が、駐車を得るために前記車両(1)の前記第1前車軸(F-A)に適用される前記第1目標制動力(F1T)と前記第2後車軸(R-A)に適用される前記第2目標制動力(F2T)との和よりも小さい場合、 前記供給するステップ(625)は、第3データ処理モジュール(230)によって、前記車両(1)の駐車機能の利用不可を表す情報(NF)を有効にし(627)、
前記第1前車軸(F-A)に付与される前記第1制動力分配値(DF1)と前記第2後車軸(R-A)に付与される前記第2制動力分配値(DF2)との和が駐車を得るために前記車両(1)の前記第1前車軸(F-A)に付与すべき前記第1目標制動力(F1T)と前記第2後車軸(R-A)に付与すべき前記第2目標制動力(F2T)との和以上であれば 前記供給するステップ(625)は、第3データ処理モジュール(230)によって、車両(1)の駐車機能の利用不可を表す情報NFを無効化する(628)を含む、請求項12に記載の方法(600)。
【請求項14】
車両(1)を駐車するための制動力の分配のために車両(1)の制動システム(2)を制御するためのシステム(100)であって、
- 前記車両(1)の第1前車軸(F-A)に動作可能に接続され、それぞれのアクチュエータ制御モジュールから受信した制御に基づいて制動コマンドを実行するように適合された少なくとも1つの第1アクチュエータモジュール(3)の1つまたは複数のアクチュエータの電気モータの第1動作を表す第1情報の一部(T-SR)を受信し;
- 前記車両(1)の第2後車軸(R-A)に動作可能に接続され、それぞれのアクチュエータ制御モジュールから受信した制御に基づいて制動コマンドを実行するように適合された少なくとも1つの第2アクチュエータモジュール(5)の1つまたは複数のアクチュエータの電気モータの第2動作温度を表す第2情報(T-SR)を受信し;
- 前記車両(1)の勾配を表す第3情報(PZ)を受信し;
- 前記車両(1)と道路との間の摩擦係数を表す第4の情報(AD)を受信するステップと;
- 前記車両(1)の重量を表す第5の情報(PV)を受信し;
- 前記車両(1)の第1前車軸(F-A)に動作可能に接続された少なくとも1つの第1アクチュエータモジュール(3)の1以上のアクチュエータの電気モータの第1動作温度を表す第1情報(T-SF)、
前記車両(1)の第2後車軸(R-A)に動作可能に接続された少なくとも1つの第2アクチュエータモジュール(5)の1つまたは複数のアクチュエータの電気モータの第2 前記動作温度を表す第2情報(T-SR)、
前記車両(1)の勾配を表す第3情報(PZ)、
前記車両(1)と道路間の摩擦係数を表す第4の情報(AD)、及び
前記車両(1)の重量の表す第5の情報(PV)に基づいて、
駐車を得るために車両(1)の前記第1前車軸(F-A)に加えられるべき第1目標制動力(F1T)および前記第2後車軸(R-A)に加えられるべき第2目標制動力(F2T)を決定するように構成された、システム(100)。
【請求項15】
- 第1データ処理モジュール(210);
- 第2データ処理モジュール(220);
- 第3データ処理モジュール(230)を有し、
請求項2~13に記載の方法のステップを実行するように構成された、システム(100)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両の制動システムに関し、特に、車両の駐車制動力の分配のためのB-b-W技術による制動システムの制御方法およびそのシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
B-b-W(「Brake-by-Wire」)技術を用いた従来のブレーキシステムは、例えば、車輪上のブレーキキャリパの制動作用が、電気油圧式「マスタシリンダ」アクチュエータの使用による集中作動によって得られ、ドライバを乗せた車両の駐車操作中に、電気バルブの作動によって駐車力を保持する機能を果たすが、その主要機能は、サービスブレーキ中に車輪滑りの場合に圧力を調節することである。
【0003】
B-b-W技術及び独立車軸構造(車両の各車軸に1つ以上のアクチュエータが配されている)のブレーキシステムにおいて、電気バルブが設けられておらず、車両の車輪スリップ時の圧力調整機能が電気油圧又は電気機械システムによって行われる場合、駐車力の保持が電気油圧又は電気機械アクチュエータ自体に委ねられる。
【0004】
したがって、車両のサービスブレーキの機能を果たすことに加えて、このような電気油圧式または電気機械式のアクチュエータは、快適性や運転性の理由から駐車ブレーキを使用することが好ましくないすべてのケースにおいて、車両を駐車するために使用することができる。
【0005】
この点で、電気油圧式または電気機械式アクチュエータが、損傷を受けることなく車両を駐車するのに必要な力を保持できるかどうか、およびその能力は、システム動作温度、すなわち、電気エネルギを機械エネルギに変換するように適合された電気モータの現在の温度、したがって電気油圧式または電気機械式アクチュエータの機構を作動するように適合された温度に大きく依存している。
【0006】
実際、電気モータの電流温度は、車両の駐車力を実施する能力に影響を与え、また、電気モータに内部損傷を与えることなく保持することができる最大制限時間にも影響を与える。
【0007】
例えば、電動機の内部に流れる電流によって電動機の温度が上昇し、その結果、電動機自体の材料が損傷する可能性がある。
【0008】
例として、図1は、電動モータが損傷を受けることなく連続的に提供できるトルクT-Qの依存性を、システム動作温度T-S、すなわちトルク印加の開始瞬間における電動モータの内部温度の関数として示している。
【0009】
B-b-W技術および独立車軸アーキテクチャを有するブレーキシステム(例えば、図1参照)において電気機械式または電気油圧式アクチュエータを作動させる電気モータの連続力限界および車両駐車のための独立車軸上の可能な制動力分布は、システム使用温度範囲、すなわちそれぞれの電気油圧または電気機械式アクチュエータの作動に適合した電気モータの現在の使用温度において信頼できる車両駐車機能に対する最大許容車両傾斜値を制限する。
【0010】
再び例として、図2は、先行技術による、システム動作温度値の関数として、確実な駐車のための独立車軸を有する車両の最大勾配を比較した表である。
【0011】
図2の表は、左から右へ、以下のデータを示している:
【0012】
- 第1欄のシステム動作温度値TS;
【0013】
-第2欄および第3欄における、車両の第1車軸F-A(例えば、前車軸)のみに制動力を分配することによる車両の第1駐車場ST-1の許容下り勾配値P-Dおよび上り勾配値P-S;
【0014】
- 第4欄および第欄列における、車両の第2後車軸R-A(例えば、後車軸)のみに制動力を分配することによる車両の第2駐車場ST-2の許容下り勾配値P-Dおよび上り勾配値P-S;
【0015】
- 第6欄及び第7欄における、車両の第1車軸F-A及び第2後車軸R-A(前車軸及び後車軸)に制動力を配分した場合の車両の第3駐車場ST-3の許容下り勾配値P-D及び上り勾配値P-D。
【0016】
ブレーキシステムの性能をますます高めるために、車両の制動を付与するためにそれぞれの電気油圧式または電気機械式アクチュエータを作動させるように適合された電気モータの動作温度範囲内で、車両の最大駐車勾配の点でより大きな操作性を提供するように、車両の駐車用の制動力分布を保証する車両のB-b-W技術によるブレーキシステムを有する必要性が強く感じられる。
【発明の概要】
【0017】
本発明の目的は、先行技術を参照してここに訴えた欠点を少なくとも部分的に回避することができ、特に、ブレーキシステムの動作温度範囲内で最大許容車両駐車勾配に関してその操作性を高めることによって、ブレーキシステムの改善された性能を保証する、車両駐車用の制動力分配のためのブレーキシステムを制御する方法を考案し提供することにある。
【0018】
このような目的は、請求項1による方法によって達成される。
【0019】
本発明のさらなる目的は、車両を駐車するための制動力の分配のために制動システムを制御するためのシステムを提供することである。
【0020】
さらなる有利な実施形態は、従属請求項の目的である。
【図面の簡単な説明】
【0021】
本発明による方法およびシステムのさらなる特徴および利点は、添付の図を参照して、指示的かつ非限定的な例によって与えられる、好ましい実施形態の以下の説明から明らかになる。
【0022】
図1図1は、ブレーキバイワイヤ技術を用いたブレーキシステムにおいて、それぞれの電気油圧式または電気機械式アクチュエータを作動させるように適合された電気モータによって供給できる連続トルクの、システム動作温度の関数としての依存性を、グラフによって示している。
【0023】
図2図2は、先行技術による、システム使用温度値の関数としての、車両を駐車するための独立車軸を有する車両の最大勾配の比較を、表によって示すものである。
【0024】
図3図3は、本発明による、車両を駐車するための制動力を分配するための制動システムを制御するためのシステムを採用する車両の制動システムアーキテクチャの第1実施例を示す。
【0025】
図4図4は、本発明による車両の駐車のための制動力の分配のための制動システムを制御するためのシステムを採用する車両の制動システムアーキテクチャの第2例を示す図である。
【0026】
図5図5は、本発明による車両の駐車のための制動力の分配のための制動システムを制御するためのシステムを採用する車両の制動システムアーキテクチャの第3例を示す図である。
【0027】
図6図6は、本発明による車両の駐車のための制動力の分配のための制動システムを制御するためのシステムを採用する車両の制動システムアーキテクチャの第4の例を示す図である。
【0028】
図7図7は、ブロックチャートによって、本発明による車両を駐車するための制動力の分配のための制動システムを制御するためのシステムを示す図である。
【0029】
図8図8は、ブロックチャートによって、本発明による車両を駐車するための制動力の分配のための制動システムを制御するための方法を示している。
【0030】
図9図9は、本発明の方法およびそのシステムによる、システム動作温度値の関数としての、車両を駐車するための独立車軸を有する車両の最大勾配を、表によって示している。
【0031】
図中の等しい又は類似の要素は、同じ数字又は英数字の参照によって示されることに注目されたい。
【発明を実施するための形態】
【0032】
ここで前述の図を参照すると、参照数字100は、本発明による、車両を駐車するための制動力の分配のための制動システムを制御するためのシステム(以下、単に制御システムまたは唯一のシステムともいう)を全体として示す。
【0033】
本明細書において、「車両」とは、2輪、3輪、4輪、またはそれ以上の車輪を有する、商用タイプでもある任意の車両またはモータサイクルを意味する。
【0034】
さらに、「ブレーキシステム」とは、車両のサービスブレーキの発生または車両のパーキングブレーキの発生に寄与するすべての構成要素(機械的および/または電気的または電子的、さらにブレーキ液)の全体を意味する。
【0035】
図3図4図5及び図6を参照すると、車両1は、第1前輪W-A1及び第2前輪W-A2が連結された第1前車軸F-Aを備えている。
【0036】
例えば、第1前輪W-A1は左前輪であり、第2前輪W-A2は右前輪である。
【0037】
さらに、車両1は、第1後輪W-R1及び第2後輪W-R2が連結された第2後車軸R-Aを備えて構成されている。
【0038】
例えば、第1後輪W-R1は左後輪である一方、第2後輪W-R2は右後輪である。
【0039】
車両1は、さらに、ブレーキシステム2を備える。
【0040】
システム100が使用可能なブレーキシステム2は、Brake-by-Wire(B-b-W)技術を有するアーキテクチャである。
【0041】
制動システム2は、第1前車軸F-Aに作動的に接続された少なくとも1つの第1アクチュエータモジュール3を備える。
【0042】
ブレーキシステム2は、さらに、第2後車軸R-Aに作動的に接続された少なくとも1つの第2アクチュエータモジュール4から構成される。
【0043】
各アクチュエータモジュールは、車軸ごとの各車輪のための1つまたは複数のアクチュエータからなり、それぞれはそれぞれの電気モータを含む。
【0044】
それぞれの電気モータによって制御されるそれぞれのアクチュエータは、それぞれのアクチュエータ制御モジュールから受信した制御に基づいて、ブレーキコマンドを実施するように適合されている。
【0045】
各アクチュエータ制御モジュールは、例えば、ブレーキシステム、より一般的には車両1の主要ハードウェアモジュール内のハードウェアモジュールまたはソフトウェアロジックモジュールである。
【0046】
各アクチュエータは、電気機械式または電気油圧式のいずれかである。
【0047】
図3及び図5に示す実施形態では、第1前車軸F-Aに動作可能に接続された少なくとも1つの第1アクチュエータモジュール3は、第1前輪W-A1及び第2前輪W-A2の両方に動作可能に接続されている。
【0048】
この実施形態では、第2後車軸R-Aに動作可能に接続された少なくとも1つの第2アクチュエータモジュール4は、第1後輪W-R1および第2後輪W-R2の両方に動作可能に接続される。
【0049】
図4および図6に示すさらなる実施形態では、ブレーキシステム2は、第1前車軸F-Aに作動的に接続された少なくとも1つの第1アクチュエータモジュール3に加えて、第1前車軸F-Aに作動的に接続された少なくとも1つのさらなる第1アクチュエータモジュール3'をさらに備えている。
【0050】
第1前車軸F-Aに動作可能に接続された少なくとも1つの第1アクチュエータモジュール3は、第1前輪W-A1に動作可能に接続され、第1前車軸F-Aに動作可能に接続された少なくとも1つのさらなる第1アクチュエータモジュール3'は、第2前輪W-A2に動作可能に接続されている。
【0051】
この実施形態では、ブレーキシステム2は、第2後車軸R-Aに作動的に接続された少なくとも1つの第2アクチュエータモジュール4に加えて、第2後車軸R-Aに作動的に接続された少なくとも1つの更なる第2アクチュエータモジュール4'を更に備えている。
【0052】
第2後車軸R-Aに動作可能に接続された少なくとも1つの第2アクチュエータモジュール4は、第1後輪W-R1に動作可能に接続され、第2後車軸R-Aに動作可能に接続された少なくとも1つの追加の第2アクチュエータモジュール4'は、第2後輪W-A2に動作可能に接続されている。
【0053】
一般的に、図3図4図5、および図6のブレーキシステム2に戻ると、ブレーキシステム2は、第1アクチュエータモジュール3および第2アクチュエータモジュール4に作動的に接続されたシステム100をさらに含んでいる。
【0054】
図3及び図4に示す実施形態では、制動システム2は、第1アクチュエータモジュール3及びシステム100に動作可能に接続された第1ローカル制御ユニット10を備えている。
【0055】
第1ローカル制御ユニット10は、第1前車軸F-Aを制御するように構成される。
【0056】
さらに、本実施形態では、ブレーキシステム2は、第2後車軸R-Aとシステム100とに動作可能に接続された第2ローカル制御ユニット20を備えている。
【0057】
第2ローカル制御ユニット20は、第2後車軸R-Aを制御するように構成されている。
【0058】
図3の実施形態では、第1ローカル制御ユニット10は、少なくとも1つの第1アクチュエータモジュール3を制御するように構成される一方、第2ローカル制御ユニット20は、少なくとも1つの第2アクチュエータモジュール4を制御するように構成される。
【0059】
図4の実施形態では、第1ローカル制御ユニット10は、少なくとも1つの第1アクチュエータモジュール3及び少なくとも1つの更なる第1アクチュエータモジュール3'を制御するように構成され、一方、第2ローカル制御ユニット20は、少なくとも1つの第2アクチュエータモジュール4及び少なくとも1つの更なる第2アクチュエータモジュール4'を制御するように構成される。
【0060】
一般的に、第1前車軸F-Aおよび第2後車軸R-Aの制御がそれぞれ第1ローカル制御ユニット10および第2ローカル制御ユニット20に委ねられるという点でローカルである図3および4の実施形態に戻ると、システム100は、車両1の制動システム2に作動的に接続された車両1の電子制御ユニット(ECU)5において構成されている。
【0061】
図3および図4を参照して説明したものの代替である、図5および図6に示すさらなる実施形態では、制動システム2は、第1前車軸F-Aおよび第2後車軸R-Aに動作可能に接続された中央制御ユニット6を含んで構成されている。
【0062】
制動システム2の中央制御ユニット6は、第1前車軸F-Aおよび第2後車軸R-Aを制御するように構成される。
【0063】
図5の実施形態では、ブレーキシステム2の中央制御ユニット6は、第1前車軸F-Aに作動的に接続された少なくとも1つの第1アクチュエータモジュール3および第2後車軸R-Aに作動的に接続された少なくとも1つの第2アクチュエータモジュール4に動作可能に接続されている。
【0064】
図6の実施形態では、ブレーキシステム2の中央制御ユニット6は、第1前車軸F-Aに作動的に接続された少なくとも1つの第1アクチュエータモジュール3と、第1前車軸F-Aに作動的に接続された少なくとも1つのさらなる第1アクチュエータモジュール3'に作動的に接続されている。
【0065】
この実施形態では、ブレーキシステム2の中央制御ユニット6は、第2後車軸R-Aに作動的に接続された少なくとも1つの第2アクチュエータモジュール4と、第2後車軸R-Aに作動的に接続された少なくとも1つのさらなる第2アクチュエータモジュール4'に作動的に接続される。
【0066】
一般的に、図5および図6の実施形態に戻ると、ブレーキシステム2の中央制御ユニット6は、車両1の電子ユニット(ECU)5にさらに動作可能に接続されている。
第1前車軸F-Aおよび第2後車軸R-Aの制御が中央制御ユニット6に委ねられるために集中化されるこの実施形態では、システム100がブレーキシステム2の中央制御ユニット6に構成されている。
【0067】
システム100は、今、図7の図も参照しながら、より詳細に説明される。
【0068】
システム100は、車両1の前車軸F-Aの第1作業温度を表す第1情報T-SFを受信するように構成される。
【0069】
車両1の第1前車軸F-Aの第1動作温度は、例えば、少なくとも1つの第1アクチュエータモジュール3(および存在する場合には少なくとも1つのさらなる第1アクチュエータモジュール3')に存在するアクチュエータの1つを指令するように適合された電気モータの温度を示す。
【0070】
システム100は、車両1の第1前車軸F-Aの第1動作温度を表す第1情報T-SFとして、少なくとも1つの第1アクチュエータモジュール3(および少なくとも1つのさらなる第1アクチュエータモジュール3')にそれぞれの電気モータを有する複数のアクチュエータが存在する場合、少なくとも1つの第1アクチュエータモジュール3に存在する電気モータの温度のうち大きい方を受け取るよう構成されていることに注目されたい。
【0071】
図3に破線で示す実施形態では、車両1の第1車軸F-Aの第1動作温度を表す第1情報T-SFは、少なくとも1つの第1アクチュエータモジュール3(及び、少なくとも1つの更なる第1アクチュエータモジュール3'の、更なる温度センサの存在が同じ参照ST1によって示される存在すれば)のそれぞれの電気モータに設けられた第1温度センサST1によってシステム100へ供給される。
【0072】
さらなる実施形態では、先行するものの代替として、車両1の第1車軸F-Aの第1動作温度を表す第1情報T-SFは、ソフトウェアの観点から、制動システム2の第1ローカル制御ユニット10(制動システム2のアーキテクチャが図3および図4によるものである場合)または車両1の中央制御ユニット5(制動システム2のアーキテクチャが図5および図6によるならば)が備え得るそれぞれの制御論理(アルゴリズム)による推定として算出される。
【0073】
この実施形態では、車両1の第1車軸F-Aの第1作業温度を表す第1情報T-SFは、ソフトウェア変数として、または有線技術における通信チャネルを介した信号として、システム100に供給される。
【0074】
システム100は、車両1の第2後車軸R-Aの第2作業温度を表す第2情報T-SRを受信するようにさらに構成される。
【0075】
車両1の第2後車軸R-Aの第2動作温度は、例えば、少なくとも1つの第2アクチュエータモジュール4(および存在する場合には、少なくとも1つのさらなる第2アクチュエータモジュール4')中に存在するアクチュエータの1つを指令するように適合された電気モータの温度である。
【0076】
システム100が、車両1の第2前車軸R-Aの第2動作温度を表す第2情報T-SFとして、少なくとも1つの第2アクチュエータモジュール4(および少なくとも1つのさらなる第2アクチュエータモジュール4')にそれぞれの電気モータを有する複数のアクチュエータがそれぞれ存在する場合、少なくとも1つの第2アクチュエータモジュール4に存在する電気モータの温度のうち大きい方を受け取るよう構成されていることは注目に値する。
【0077】
図3に破線で示す実施形態では、車両1の第2後車軸R-Aの第2動作温度を表す第2情報T-SRは、少なくとも1つの第2アクチュエータモジュール4(及び、少なくとも1つの更なる第2アクチュエータモジュール4'の、存在する場合には、更なる温度センサの存在が同じ参照ST2によって示される)のそれぞれの電気モータに設けられた第2温度センサST2によってシステム100へ供給される。
【0078】
さらなる実施形態では、先行するものの代替として、車両1の第2後車軸R-Aの第2動作温度を表す第2情報T-SRは、ソフトウェアの観点から、制動システム2の第2ローカル制御ユニット20(制動システム2のアーキテクチャが図3および図4によるものである場合)または車両1の中央制御ユニット5(制動システム2のアーキテクチャが図5および図6によるならば)が備え得るそれぞれの制御論理(アルゴリズム)による推定として算出される。
【0079】
後者の実施形態では、車両1の第2後車軸R-Aの第2作業温度を表す第2情報T-SRは、ソフトウェア変数として、または有線技術における通信チャネルを介した信号として、システム100に供給される。
【0080】
図7に戻ると、システム100は、車両1の勾配を表す第3情報PZを受信するようにさらに構成される。
【0081】
実施形態では、先行するものの代替として、車両1の勾配を表す第3情報PZは、車両の中央制御装置5または車両1の重心に設置された加速度センサSA(加速度計)によって供給される車両1の加速度を表す情報の一部に基づいて、それぞれの制御論理(アルゴリズム)により測定または推定のいずれかとして決定される。
【0082】
ソフトウェアの観点から、先行するものに対する代替実施形態として、車両1の加速度を表す情報に基づいて、車両1の勾配を表す第3情報PZを測定値または推定値として決定するように適合された制御論理が、ブレーキシステム2(図5および6)の中央制御ユニット6に設置される。
【0083】
先の実施形態に代わる実施形態として、ソフトウェアの観点から、そのような制御ロジックは、代わりに、車両1の中央制御ユニット5(図3、4、5、または6)に設置される。
【0084】
後者の実施形態では、車両1の勾配を表す第3情報PZは、ソフトウェア変数として、または有線技術における通信チャネルを介した信号として、システム100に供給される。
【0085】
さらなる実施形態では、車両1の勾配を表す第3情報PZは、それぞれの勾配センサによって、システム100に供給される。
【0086】
再び図7に戻ると、システム100は、車両1(特に、ホイールタイヤ)と道路との間の摩擦係数(グリップ)を表す第4の情報ADを受信するようにさらに構成される。
【0087】
実施形態では、システム100に供給される車両1と道路との間の摩擦係数を表す第4の情報ADは、それぞれの制御ロジック(アルゴリズム)によって推定または計算として算出される。
【0088】
実施形態では、そのような制御ロジックは、ソフトウェアの観点から、ブレーキシステム2の中央制御ユニット6に存在する(図3、4、5、6)。
【0089】
さらなる実施形態では、このような制御ロジックは、ソフトウェアの観点から、ブレーキシステム2の第1ローカル制御ユニット10および第2ローカル制御ユニット20に存在する(図3および図4)。
【0090】
この実施形態では、車両1と道路との間の摩擦係数を表す第4の情報ADは、ソフトウェア変数として、または有線技術の通信チャネルを介した信号として、システム100に供給される。
【0091】
図7に戻ると、システム100は、車両1の重量を表す第5の情報PVを受信するようにさらに構成される。
【0092】
実施形態において、車両1の重量を表す第5の情報PVは、固定パラメータ、例えば、最大車両重量1である。
【0093】
さらなる実施形態では、車両1の重量を表す第5の情報PVは、ソフトウェアの観点から、ブレーキシステム2の中央制御ユニット6(図3、4、5、6)に存在する制御ロジックからの推定値として得られる。
【0094】
さらなる実施形態では、先行するものの代替として、車両1の重量を表す第5の情報PVは、ブレーキシステム2の第1ローカル制御ユニット10および第2ローカル制御ユニット20に、ソフトウェアの観点から存在する制御論理からの推定値として得られる(図3および図4)。
【0095】
システム100は、
車両1の第1前車軸F-Aの第1作業温度を表す第1情報T-SFと、車両1の第2後車軸R-Aの第2作業温度を表す第2情報T-SRと、車両1の勾配を表す第3情報PZと、車両1と道路との間の摩擦係数を表す第4の情報ADと、車両1の重量を表す第5の情報PVとに基づいて、駐車を得るために車両1の第1前車軸F-Aに加えるべき第1目標制動力F1Tと、第2後車軸R-Aに加えるべき第2目標制動力F2Tとを決定するように構成されている。
【0096】
より詳細には、図7に示す実施形態によれば、システム100は、第1データ処理モジュール210と、第2データ処理モジュール220と、第3データ処理モジュール230とを備えている。
【0097】
第1データ処理モジュール210は、車両1の勾配を表す第3情報PZ、車両1と道路との間の摩擦係数を表す第4の情報AD、車両1の重量を表す第5の情報PVを入力で受け取るように構成される。
【0098】
さらに、第1データ処理モジュール210は、以下のようなさらなる車両パラメータUPVを受信するように構成される。
【0099】
- g:重力定数;
【0100】
- LFA:第1前車軸F-Aと車両1の重心との間の距離;
【0101】
- LFB:第2後車軸R-Aと車両1の重心との間の距離;
【0102】
- CH:車両の重心の高さ。
【0103】
第1データ処理モジュール210は、車両1の勾配を表す第3情報PZと、車両1と道路との間の摩擦係数を表す第4の情報ADと、車両1の重量を表す第5の情報PVと、さらなる車両パラメータUPVとの関数として、
【0104】
- 車両1の第1前車軸F-Aに車輪のスリップが存在しない場合、車両1の第1前車軸F-Aにかかる最大許容接地力を表す値FW-F;
【0105】
- 第2後車軸R-Aに車輪のスリップがない場合の車両1の第2後車軸R-Aの最大許容接地力を表す値FW-R;
【0106】
- 駐車を得るために車両1の第1前車軸F-Aに加えられる縦方向の力を表す値FL-F;
【0107】
- 駐車のために車両1の第2後車軸R-Aに加えられるべき縦方向の力を表す値FL-R;
【0108】
- 第1前車軸F-Aに作用させる第1制動力分配値DF1;
【0109】
- 第2後車軸R-Aに加えられる第2制動力分配値DF2、決定するように構成される。
【0110】
より詳細には、第1データ処理モジュール210は、以下の数学的関係を適用するように構成される。
【0111】
【0112】
第1データ処理モジュール210は、駐車を実現するために車両1の第1前車軸F-Aに加えられるべき縦力を表す値FL-Fを、第1前車軸F-Aに加えられるべきブレーキ力分布の第1値DF1に割り当てるように構成される。
【0113】
さらに、第1データ処理モジュール210は、駐車を達成するために車両1の第2後車軸R-Aに加えられるべき縦方向の力を表す値FL-Rを、第2後車軸F2に加えられるべき制動力分布の第2値DF2に割り当てるように構成されている。
【0114】
第2データ処理モジュール220は、車両1の第1前車軸F-Aの第1作業温度を表す第1情報T-SFと、車両1の第2後車軸R-Aの第2作業温度を表す第2情報T-SRを入力で受け取るように構成される。
【0115】
第2データ処理モジュール220は、損傷/耐用年数の短縮がない場合に許容される第1前車軸F-Aの第1最大作業温度T-MFと、損傷/耐用年数の短縮がない場合に許容される第2後車軸R-Aの第2最大作業温度T-MRとを受け取るように更に構成される。
【0116】
損傷/耐用年数の短縮がない場合の第1前車軸F-Aの許容作業温度の第1最大値T-MFと、損傷/耐用年数の短縮がない場合の第2後車軸R-Aの許容作業温度の第2最大値T-MRは、第1前車軸F-Aと第2後車軸R-Aの作動装置にある電気モータのパラメータだということは注目すべき点である。
【0117】
実施形態では、そのような値は、ブレーキシステム2の中央制御ユニット6に記憶されている(図3図4図5図6)。
【0118】
さらなる実施形態では、先行するものの代替として、これらの値は、ブレーキシステム2の第1ローカル制御ユニット10および第2ローカル制御ユニット20に記憶される(図3および図4)。
【0119】
より詳細には、以下の通りである:
【0120】
- 第1前車軸F-Aの第1最高使用温度値T-MFは、損傷/耐用年数の減少がない場合に、第1アクチュエータモジュール3内に存在するアクチュエータを指令するように適合された電気モータが許容する最高使用温度値である;
【0121】
- 第2後車軸R-Aの第2最高使用温度値T-MRは、損傷/耐用年数の減少がない場合、第2アクチュエータモジュール4に存在するアクチュエータを命令するように適合された電気モータによって許容される最高温度値である。
【0122】
第2データ処理モジュール220は、車両1の第1前車軸F-Aの第1作業温度を表す第1情報片T-SFと、損傷/耐用年数の短縮がない場合に許容される第1前車軸F-Aの第1最大作業温度値T-MFの関数として、第1前車軸F-Aに命令するよう適合された第1アクチュエータモジュール3によって適用される第1最大力値F-LMを求めるよう構成されている:
【0123】
F-LM=f(T-SF,T-MF)
【0124】
さらに、第2データ処理モジュール220は、車両1の第2後車軸R-Aの第2作業温度を表す第2情報T-SRの関数として、第2後車軸R-Aに命令するように適合された第2アクチュエータモジュール4によって適用される第2最大力値R-LMを決定するように構成され、第2前車軸R-Aの、破損/耐用年数の短縮がない場合に許される第2最大作業温度の価値T-MR:
【0125】
R-LM=f(T-SR,T-MR)
【0126】
第2データ処理モジュール220からの適用関数は、電気モータ熱モデリングに基づき、一般に、本発明の技術分野で知られている熱伝導に基づく。
【0127】
図5の図に戻ると、実施形態では、第3データ処理モジュール230は、第2データ処理モジュール220から、第1前車軸F-Aに適用される第1制動力分配値DF1と、第2後車軸R-Aに適用される第2制動力分配値DF2を受信するように構成される。
【0128】
さらに、本実施形態では、第3データ処理モジュール230は、第2データ処理モジュール220から、第1前車軸F-Aを指令するように適合された第1アクチュエータモジュール3によって適用される第1最大力値F-LMと、第2後車軸R-Aを指令するように適合された第2アクチュエータモジュール4によって適用される第2最大値R-LMを受け取るように構成されている。
【0129】
第3データ処理モジュール230は、第1前車軸F-Aに適用される第1制動力分配値DF1、第2後車軸R-Aに適用される第2制動力分配値DF2、第1前車軸F-Aを命令するように適合された第1アクチュエータモジュール3によって適用される第1最大力値F-LM、および第2後車軸R-Aを命令するように適合された第2アクチュエータモジュール4によって適用される第2最大値R-LMの関数として、駐車を得るために車両1の第1前車軸F-Aに適用される第1目標制動力F1Tと、駐車を得るために車両1の第2後車軸R-Aに適用される第2目標制動力F2Tとを、求めるように構成される。
【0130】
特に、システム100の第3データ処理モジュール230は、車両1(例えば、車両1の中央制御ユニット5、システム100に存在する別のデータ処理モジュール、または車両に存在する追加のデータ処理ユニット)に設置されたそれぞれの制御論理(アルゴリズム)から受け取った起動信号に応答して、それぞれの動作を起動するように構成される。
【0131】
起動信号は、駐車機能を起動することが必要な特定の条件、例えば、車両が停止しているとき、運転者の駐車の意図が確認されたとき等において生成され得ることに留意されたい。
【0132】
さらに、システム100の第3データ処理モジュール230は、第1前車軸F-Aと第2後車軸R-Aとの間の駐車のために適用すべきそれぞれの制動力を計算するために高い優先度を割り当てるように構成される。
【0133】
より詳細には、第3データ処理モジュール230は、第1前車軸F-Aに適用される第1制動力分配値DF1と、第1前車軸F-Aに命令するように適合された第1アクチュエータモジュール3によって適用される第1最大力分配値F-LMとの間の差を表す第1の差大きさF-GPを決定するように構成されている。
【0134】
F-GP=DF1-F-FM
【0135】
さらに、第3データ処理モジュール230は、第2前車軸R-Aに適用される第2制動力分配値DF2と、第2後車軸R-Aを命令するように適合された第2アクチュエータモジュール4によって適用される第2最大力分配値R-LMとの差を表す第2の差大きさR-GPを判定するように構成される。
【0136】
R-GP=DF2-R-LM
【0137】
第3データ処理モジュール230は、第1の差の大きさF-GP及び第2の差の大きさR-GPのうちの低い方を有する車軸に高い優先度を割り当て、他の車軸に低い優先度を割り当てるように構成される。
【0138】
したがって、第3データ処理モジュール230は、高優先度大きさ(P1)および低優先度大きさ(P2)を定義するように構成される。
【0139】
F-GP≦R-GPの場合、
DFP1=DF1
LMP1=F-LM
DFP2=DF2
LMP2 = R-LM。
【0140】
F-GP≧R-GPの場合、
DFP1 = DF2
LMP1 = R-LM
DFP2 = DF1
LMP2=F-LM。
【0141】
さらに、第3データ処理モジュール230は、優先度の高い車軸の駐車を実現するために適用する第1制動力値F1P1の第1計算を行うように構成される。
【0142】
優先度の高い車両1の車軸上の駐車を実現するために適用される第1制動力値F1P1(P1)は、優先度の高い車両1の車軸上に適用される制動力分配値DFP1と、優先度の高い車軸を指令するように適合されたアクチュエータモジュールによって適用される最大力適用値LMP1の間の最小として取得する。
【0143】
F1P1=min(DFP1,LMP1
【0144】
さらに、第3データ処理モジュール230は、優先順位が低い車軸の駐車を達成するために適用される第1制動力値F2P2の第1計算を実行するように構成される。
【0145】
優先度の高い車軸の差分大きさGPP1(F-GP又はR-GP)が≦0である場合:
【0146】
- 優先順位の低い車両1の車軸の駐車を実現するために適用される第1制動力値F2P2(P2)は、優先順位の低い車両1の車軸に適用される制動力分配値DFP2と、優先順位の低い車軸を指令するように適合したアクチュエータモジュールが適用する最大力適用値LMP2との最小値として求められる。
【0147】
F2P2=min(DFP2,LMP2)。
【0148】
優先度の高い車軸の差の大きさGPP1(F-GPまたはR-GP)が>0である場合:
【0149】
- 低優先車軸の差分GPP2(F-GPまたはR-GP)は、高優先車軸の先に計算した大きさの差分GPP1に先に計算した大きさの差分GPP2を加えることによって得られる。
【0150】
GPP2 = GPP2 + GPP1
【0151】
- 優先順位の低い車両1の車軸の駐車を得るために適用される第1制動力値GPP2(P2)は、優先順位の高い車軸の差の大きさGPP1が適用される優先順位の低い車両1の車軸に適用される制動力分配値DFP2と優先順位の低い車軸を命令するように適合されたアクチュエータモジュールが適用する最大力適用値LMP2間の最小として取得する。
【0152】
F2P2=min((DFP2+GPP1),LMP2
【0153】
実施形態によれば、第3データ処理モジュール230は、優先順位の高い車軸の駐車を実現するために適用される第2制動力値F1'P1の第2計算を行うように構成される。
【0154】
より詳細には、この第2計算において、優先度の高い車両の車軸上の駐車を得るために適用される第2制動力値F1'P1は、優先度の高い車軸の差分大きさGPP1と優先度の低い車軸の差分大きさGPP2の絶対値の最小値と優先度の高い車両の車軸上の駐車を得るために適用する第1制動力値F1P1の和により決定する。
【0155】
F1'P1=min(|GPP1|,GPP2)+F1P1
【0156】
優先順位が最も高い車軸の差分大きさGPP1が≧0であり、及び/又は優先順位が低い車軸の差分大きさGPP2が<0である場合、第3データ処理モジュール230は、優先順位が高い車両の車軸への駐車を得るために適用すべき第1制動力値F1P1を先に算出した第2制動力値F1'P1に割り振るよう構成されている。
【0157】
さらに、第3データ処理モジュール230は、駐車を得るために車両1の第1前車軸F-Aに適用する第1目標制動力の値F1Tと、第2後車軸R-Aに適用する第2目標制動力F2Tとを割り当てるよう構成されている。
【0158】
より詳細には、第1前車軸F-Aの差分大きさF-GPが≦第2後車軸R-Aの差分大きさR-GPである場合(したがって、第1前車軸F-Aが優先度の高い車軸である場合)、第3データ処理モジュール230は、駐車を得るために車両1の第1前車軸F-Aに加えられる第1目標制動力の値F1Tとして優先度の高い車軸の駐車を得るために加えるべき第2制動力の値F1'P1 を割り振るよう設定される。
【0159】
第1前車軸F-Aの差の大きさF-GP>第2後車軸R-Aの差の大きさR-GPである場合(したがって、第1前車軸F-Aが優先度の低い車軸である場合)、第3データ処理モジュール230は、駐車を得るために車両1の第1前車軸F-Aに付与する第1目標制動力F1Tとして優先度の低い車軸の駐車を得るために付与すべき第1制動力F2P2を付与する構成である。
【0160】
第1前車軸F-Aの差の大きさF-GP>第2後車軸R-Aの差の大きさR-GPである場合(したがって、第2後車軸R-Aが優先度の高い車軸である場合)、第3データ処理モジュール230は、駐車を得るために適用すべき第2制動力値F1'P1を駐車を得るために車両1の第2前車軸R-Aに適用すべき第2目標制動力F2Tとして優先度の高い車両の車軸に付与するよう構成されている。
【0161】
第1前車軸F-Aの差分大きさF-GP>第2後車軸R-Aの差分大きさR-GPである場合(したがって、第2後車軸R-Aが優先順位の低い車軸である場合)、第3データ処理モジュール230は、駐車を得るために車両1の第2後車軸R-Aに適用されるべき第2目標制動力F2Tとして優先順位の低い車軸で駐車を得るために適用すべき第1制動力の値F2P2を割り振るよう構成される。
【0162】
実施形態によれば、第3データ処理モジュール230は、車両1の駐車機能の利用不可能性を表す情報NFの一部を供給するようにさらに構成される。
【0163】
より詳細には、第3データ処理モジュール230は、第1前車軸F-Aに加えられる第1制動力分配値DF1と第2後車軸R-Aに加えられる第2制動力分配値DF2との和を、駐車を得るために車両1の第1前車軸F-Aに加えられる第1目標制動力F1Tと第2後車軸R-Aに加えられる第2目標制動力F2Tの和と比較するよう構成されている。
【0164】
第1前車軸F-Aに適用される第1制動力分配値DF1と第2後車軸R-Aに適用される第2制動力分配値DF2との和が、駐車を得るために車両1の第1前車軸F-Aに適用される第1目標制動力F1Tと第2後車軸R-Aに適用される第2目標制動力F2Tとの和<であれば、第3データ処理モジュール230が、車両1の駐車機能の利用不可を表す情報NFを有効にすべく構成され、例えば. 例えば、そのような情報を論理値1(利用不可能な機能)に設定することによって、である。
【0165】
(DF1+DF 2)<(F1t+F2t)→NF=1
【0166】
第1前車軸F-Aに付与される第1制動力分配値DF1と第2後車軸R-Aに付与される第2制動力分配DF2との和が、駐車を得るために車両1の第1前車軸F-Aに付与される第1目標制動力F1Tと第2後車軸R-Aに付与される第2目標制動力F2Tとの和≧であれば、例えば、そのような情報を論理値0(利用可能な機能)に設定することによって、第3データ処理モジュール230が車両1の駐車機能不能を表す情報NFを無効とすべく構成される。
【0167】
(DF1+DF 2)≧(F1t+F2t)→NF=0
【0168】
様々な実施形態によれば、第3データ処理モジュール230は、車両1の駐車機能の利用不可を表す情報NFを、ソフトウェア変数として、または有線技術の通信チャネルを介した信号として、駐車機能または制動システム2の中央制御ユニット6または車両1の中央制御ユニット5の監視制御論理に、または一般的には車両上のシステムのすべての活動の監視機能を有する車両上に存在するさらなるデータ処理ユニットに供給するように構成される。
【0169】
車両を駐車するための制動力の分配のためのブレーキシステムを制御するための方法600が、前述の図および図8のブロックチャートを参照して説明される。
【0170】
なお、方法の説明とともに後述する構成要素および情報は、車両1、ブレーキシステム2、およびシステム100を参照して前述したので、簡潔にするために繰り返さないことに留意されたい。
【0171】
方法600は、STを開始する象徴的なステップを含んでいる。
【0172】
方法600は、車両1を駐車するための制動力の分配のために制動システム2を制御するためのシステム100によって、車両1の第1前車軸F-Aの第1動作温度を表す第1情報T-SFを受信するステップ601を含んでいる。
【0173】
車両1の第1前車軸F-Aの第1作業温度は、既に上述した。
【0174】
方法600は、システム100によって、車両1の第2後車軸R-Aの第2作業温度を表す第2情報T-SRを受信するステップ602をさらに含む。
【0175】
車両1の第2後車軸R-Aの第2作業温度は、上述したとおりである。
【0176】
方法600は、システム100によって、車両1の勾配を表す第3情報片PZを受信するステップ603をさらに含む。
【0177】
車両1の勾配を表す第3情報PZは、上述したとおりである。
【0178】
方法600は、システム100によって、車両1(特に、車輪タイヤ)と道路との間の摩擦係数(グリップ)を表す第4の情報ADを受信するステップ604をさらに含む。
【0179】
車両1と道路との間の摩擦係数を表す第4の情報ADは、上述したとおりである。
【0180】
方法600は、システム100によって、車両1の重量を表す第5の情報PVを受信するステップ605をさらに含む。
【0181】
方法600は、さらに、システム100によって、
車両1の第1前車軸F-Aの第1使用温度を表す第1情報T-SFと、
車両1の第2後車軸R-Aの第2使用温度を表す第2情報T-SRと、
車両1の勾配を表す第3情報PZと、
車両1と道路との間の摩擦係数を表す第4の情報ADと、
車両1の重量を表す第5の情報PVとに基づいて、
駐車を得るために車両1の第1前車軸F-Aに加えられるべき第1目標制動力F1Tと、第2後車軸R-Aに適用されるべき第2目標制動力F2Tを決定する、決定するステップ606を有する。
【0182】
図6に破線で示す実施形態によれば、決定するステップ606は、システム100の第1データ処理モジュール210によって、車両1の勾配を表す第3情報PZ、車両1と道路との間の摩擦係数を表す第4の情報AD、車両1の重量を表す第5の情報PVを受信するステップ607を含む。
【0183】
本実施形態によれば、決定するステップ606は、第1データ処理モジュール210によって、さらなる車両パラメータUPVを受信するステップ608をさらに含む。
【0184】
そのような更なる車両パラメータUPVは、先に説明したとおりである。
【0185】
本実施形態によれば、決定するステップ606は、第1データ処理モジュール210によって、車両1の勾配を表す第3情報PZ、車両1と道路との間の摩擦係数を表す第4の情報AD、車両1の重量を表す第5の情報PVおよびさらなる車両パラメータUPVの関数として、
【0186】
- 車両1の第1前車軸F-Aに車輪のスリップがない場合の、第1前車軸F-Aの最大許容接地力を表す値FW-F;
【0187】
- 第2後車軸R-Aに車輪のスリップがない場合の車両1の第2後車軸R-Aの最大許容接地力を表す値FW-R;
【0188】
- 駐車を得るために車両1の第1前車軸F-Aに加えられる縦方向の力を表す値FL-F;
【0189】
- 駐車のために車両1の第2後車軸R-Aに加えられるべき縦方向の力を表す値FL-R;
【0190】
- 第1前車軸F-Aに作用させる第1制動力分配値DF1;
【0191】
- 第2後車軸R-Aに加えられる第2制動力分配値DF2、を決定するステップ609をさらに含んでいる。
【0192】
第1データ処理モジュール210によってこの点で実行される数学的関係の詳細は、既に上述された通りである。
【0193】
決定するステップ609は、第1データ処理モジュール210によって、第1前車軸F-Aに適用されるべき第1制動力分配値DF1を、第1前車軸F-Aに存在する車輪スリップがない場合の車両1の第1前車軸F-Aの最大許容接地力を表す値FW-Fと駐車を得るために車両1の第1前車軸F-Aに適用すべき縦力を表す値FL-Fとの最小として決定するように行われる。
【0194】
さらに、決定するステップ609は、第2後車軸R-Aに適用される第2制動力分配値DF2を、第2後車軸R-Aに車輪スリップが存在しない場合における車両1の第2後車軸R-A上の最大許容接地力を表す値FW-Rと、駐車を得るために車両1の第2後車軸R-Aに適用されるべき縦力を表す値FL-Rとの最小値とするよう第1データ処理モジュール210によって行われる。
【0195】
図6に破線で示す、先行するものと組み合わせた実施形態によれば、決定するステップ606は、システム100の第2データ処理モジュール220によって、車両1の第1前車軸F-Aの第1作業温度を表す第1情報T-SFと車両1の第2後車軸R-Aの第2作業温度を表す第2情報T-SRを受信するステップ610を含んでいる。
【0196】
さらに、この実施形態によれば、決定するステップ606は、第2データ処理モジュール220によって、損傷/耐用年数の短縮がない場合に許容される第1前車軸F-Aの第1作業温度の最大値T-MFと、損傷/耐用年数の短縮がない場合に許容される第2後車軸R-Aの第2作業温度の最大値T-MRを受け取るステップ611をさらに含む。
【0197】
以上、損傷/耐用年数の短縮がない場合に許容される第1前車軸F-Aの動作温度の第1最大値T-MFと、損傷/耐用年数の短縮がない場合に許容される第2後車軸R-Aの動作温度の第2最大値T-MRを説明した。
【0198】
この実施形態によれば、決定するステップ606は、第2データ処理モジュール220によって、車両1の第1前部後車軸F-Aの第1作業温度を表す第1情報片T-SRと、損傷/耐用年数の短縮がない場合に許容される第1前部車軸F-Aの第1最大作業温度値T-MRとの関数として第1前車軸F-Aに命令するように適合された第1アクチュエータモジュール3によって適用できる第1最大力値R-LMを求めるステップ612からなる。
【0199】
さらに、決定するステップ606は、第2データ処理モジュール220によって、車両1の第2後車軸R-Aの第2作業温度を表す第2情報片T-SRと、損傷/耐用年数の短縮がない場合に許容される第2前車軸R-Aの第2最大作業温度値T-MRの関数として、第2後車軸R-Aに命令するように適合された第2アクチュエータモジュール4によって適用可能な第2最大力値R-LMを決定するステップ613を含んでいる。
【0200】
第2データ処理モジュール220からの適用機能は、本発明の技術分野で知られている電気モータ熱モデリングおよび一般的な熱伝達に基づいていることが強調される。
【0201】
実施形態では、先のものと組み合わせて、決定するステップ606は、システム100の第3処理モジュールによって、第2データ処理モジュール220から、第1前車軸F-Aに適用されるべき第1制動力分配値DF1、および第2後車軸R-Aに適用されるべき第2制動力分配値DF2を受信するステップ614を含んでいる。
【0202】
さらに、この実施形態では、決定するステップ606は、第3データ処理モジュール230によって、第2データ処理モジュール220から、第1前車軸F-Aを命令するように適合された第1アクチュエータモジュール3によって適用される第1最大力値F-LMと、第2後車軸R-Aを命令するように適合された第2アクチュエータモジュール4によって適用される第2最大値R-LMを受け取るステップ615を含んでいる。
【0203】
本実施形態によれば、決定するステップ606は、第3データ処理モジュール230によって、 第1前車軸F-Aに適用される第1制動力分配値DF1、第2後車軸R-Aに適用される第2制動力分配値DF2、第1前車軸F-Aを指令するように適合された第1アクチュエータモジュール3によって適用される第1最大力値F-LM、および第2後車軸R-Aを指令するように適合された第2アクチュエータモジュール4によって適用される第2最大値R-LMの関数として、駐車を得るために車両1の第1前車軸F-Aに加えられる第1目標制動力F1Tと、駐車を得るために車両1の第2後車軸R-Aに加えられる第2目標制動力F2Tとを決定するステップ616を含んでいる。
【0204】
特に、実施形態によれば、先行するものと組み合わせて、決定するステップ616は、車両1に設置されたそれぞれの制御論理(アルゴリズム)(例えば、車両1の中央制御ユニット5、システム100の別のデータ処理モジュール、または車両に存在する追加のデータ処理ユニット)から受信した起動信号に応じてシステム100の動作を第3データ処理モジュール230によってATT起動するステップを含む。
【0205】
起動信号は、駐車機能を起動することが必要な特定の条件、例えば、車両が停止しており、運転者の駐車の意図が確認された場合などに生成され得ることが強調される。
【0206】
実施形態によれば、決定するステップ616は、第3データ処理モジュール230によって、第1前車軸F-Aと第2後車軸R-Aとの間の駐車のために適用すべきそれぞれの目標制動力を計算するために高い優先度を割り当てるステップ617を含む。
【0207】
より詳細には、割り当てるステップ617は、第3データ処理モジュール230によって、第1前車軸F-Aに適用される第1制動力分配値DF1と、第1前車軸F-Aに命令するように適合された第1アクチュエータモジュール3によって適用される第1最大力分配値F-LMとの差を表す第1の差の大きさF-GPを求めるステップ618からなる。
【0208】
さらに、割り当てるステップ617は、第3データ処理モジュール230によって、第2前車軸R-Aに適用されるべき第2制動力分配値DF2と、第2後車軸R-Aを命令するように適合された第2アクチュエータモジュール4によって適用される第2最大力分配値R-LMとの差を表す第2の差の大きさR-GPを求めるステップ619を含んでいる。
【0209】
割り当てるステップ617は、第1の差の大きさF-GPと第2の差の大きさR-GPとの間の差分大きさが最も小さい車軸に高い優先度を割り当てる。
【0210】
高優先度大きさ(P1)および低優先度大きさ(P2)の定義は、上で供給された。
【0211】
実施形態によれば、先のものと組み合わせて、決定するステップ606は、第3データ処理モジュール230によって、優先度の高い車両の車軸の駐車を得るために適用する第1制動力値F1P1の第1計算を行うステップ620を含む。
【0212】
優先度の高い車両1の車軸上の駐車を得るために適用される第1制動力値F1P1(P1)は、優先度の高い車両1の車軸上に適用される制動力分配値DFP1と、優先度の高い車軸を指令するように適合されたアクチュエータモジュールによって適用される最大力値LMP1との最小として求められる。
【0213】
F1P1=min(DFP1,LMP1
【0214】
さらに、決定するステップ606は、第3データ処理モジュール230によって、優先順位が低い車両の車軸の駐車を得るために適用される第1ブレーキ力値F2P2の第1計算を実行するステップ621を含む。
【0215】
優先度の高い車軸の差分大きさGPP1(F-GPまたはR-GP)が≦0である場合、優先度の高い車軸の差分大きさGPP1は、0.
【0216】
- 優先順位の低い車両1の車軸の駐車を得るために適用される第1制動力値F2P2(P2)は、優先順位の低い車両1の車軸に適用される制動力分配値DFP2と、優先順位の低い車軸を指令するように適合したアクチュエータモジュールが適用する最大力適用値LMP2との最小値として求められる。
【0217】
F2P2=min(DFP2,LMP2
【0218】
優先度の高い車軸の差の大きさGPP1(F-GPまたはR-GP)が>0である場合:
- 低優先車軸の差分GPP2(F-GPまたはR-GP)は、高優先車軸の先に計算した大きさの差分GPP1に先に計算した大きさの差分GPP2を加えることによって得られる;
GPP2 = GPP2 + GPP1
- 優先順位の低い車両1の車軸の駐車を得るために適用される第1制動力値GPP2(P2)は、優先順位の高い車軸の差の大きさGPP1が加えられた優先順位の低い車両1の車軸に適用される制動力分配値DFP2と優先順位の低い車軸を指令するように適合したアクチュエータモジュールが適用する最大力適用値LMP2間の最小として取得する。
F2P2=min((DFP2+GPP1),LMP2)である。
【0219】
この実施形態によれば、決定するステップ606は、第3データ処理モジュール230によって、優先順位の高い車両の車軸の駐車を得るために適用される第2制動力値F1'P1の第2計算を実行するステップ622をさらに含む。
【0220】
より詳細には、この第2計算において、優先度の高い車両の車軸上の駐車を得るために適用される第2制動力値F1'P1は、優先度の高い車軸の差分大きさGPP1と優先度の低い車軸の差分大きさGPP2の絶対値の最小値と優先度の高い車両の車軸上の駐車を得るために適用されるべき第1制動力値F1P1の合計によって決定される。
【0221】
F1'P1=min(|GPP1|,GPP2)+F1P1
【0222】
優先順位が最も高い車軸の差の大きさGPP1が≧0であり、及び/又は優先順位が低い車軸の差の大きさGPP2が<0である場合、実行するステップ622は、第3データ処理モジュール230によって、優先順位が高い車両の車軸への駐車を得るために適用する第2制動力値F1'P1に、先に計算した優先順位が高い車両の車軸への駐車を得るために適用する第1制動力値F1P1を付与するステップ623からなる。
【0223】
実施形態によれば、先のものと組み合わせて、決定するステップ606は、第3データ処理モジュール230によって、駐車を得るために車両1の第1前車軸F-Aに適用すべき第1目標制動力F1Tと第2後車軸R-Aに適用すべき第2目標制動力F2Tとを割り当てるステップ624を含んでいる。
【0224】
より詳細には、第1前車軸F-Aの差の大きさF-GPが≦第2後車軸R-Aの差の大きさR-GPである場合(したがって、第1前車軸F-Aが優先度の高い車軸である場合)、第3データ処理モジュール230によって、割り当てるステップ624が行われる、 駐車を得るために車両1の第1前車軸F-Aに加えられる第1目標制動力F1Tとして、優先順位の高い車両の車軸の駐車を得るために加えられる第2制動力の値F1'P1を割り当てる。
【0225】
第1前車軸F-Aの差の大きさF-GP>第2後車軸R-Aの差の大きさR-GPである場合(したがって、第1前車軸F-Aが優先度の低い車軸である場合)、第3データ処理モジュール230によって、駐車を得るために車両1の第1前車軸F-Aに適用すべき第1目標制動力F1Tの値として、優先度の低い車両1の車軸での駐車を得るために適用する第1制動力の値F2P2が割り当てられる割り当てステップ624が行なわれる。
【0226】
第1前車軸F-Aの差の大きさF-GP>第2後車軸R-Aの差の大きさR-GPである場合(したがって、第2後車軸R-Aが優先度の高い車軸である場合)、第3データ処理モジュール230によって、駐車を得るために車両1の第2前車軸R-Aに優先度の高い車両の車軸上の駐車を得るために印加すべき第2制動力の値F1'P1が第2目標制動力として割り当てられることによって割り当てられるステップ624が、実行される。
【0227】
第1前車軸F-Aの差の大きさF-GP>第2後車軸R-Aの差の大きさR-GPである場合(したがって、第2後車軸R-Aが優先順位の低い車軸である場合)、第3データ処理モジュール230によって、駐車を得るために車両1の第2後車軸F-Aに付与すべき第2目標制動力F2Tとして優先順位が低い車両1の車軸に駐車を得るために付与する第1制動力値F2P2が割り当てられるステップ624が行われる。
【0228】
実施形態によれば、上述のいずれか1つと組み合わせて、決定するステップ606は、第3データ処理モジュール230によって、車両1の駐車機能の利用不可能性を表す情報NFを供給するステップ625を含む。
【0229】
このような車両の駐車機能1の利用不可を表す情報NFについては、上述したとおりである。
【0230】
本実施形態では、供給するステップ625は、第3データ処理モジュール230によって、第1前車軸F-Aに付与する第1制動力分配値DF1および第2後車軸R-Aに付与する第2制動力分配値DF2の合計と、駐車を得るために車両1の第1前車軸F-Aに付与すべき第1目標制動力F1Tおよび第2後車軸R-Aに付与すべき第2目標制動力F2Tの合計を比較するステップ626を具備する。
【0231】
第1前車軸F-Aに付与する第1制動力分配値DF1と第2後車軸R-Aに付与する第2制動力分配値DF2との和が、駐車を得るために車両1の第1前車軸F-Aに付与する第1目標制動力F1Tと第2後車軸R-Aに付与する第2目標制動力F2Tとの和の<であれば、 供給するステップ625は、第3データ処理モジュール(230)によって、車両1の駐車機能の利用不可能性を表す情報NFを有効化するステップ627を含む。例えば、そのような情報を論理値1(利用不可能な機能)に設定することによって、である。
【0232】
(DF1+DF 2)<(F1t+F2t)→nf=「1」
【0233】
第1前車軸F-Aに付与する第1制動力分配値DF1と第2後車軸R-Aに付与する第2制動力分配値DF2との和が≧駐車を得るための車両1の第1前車軸F-Aに付与する第1目標制動力F1Tと第2後車軸R-Aに付与する第2目標制動力F2Tとの和であれば、 供給するステップ625は、第3データ処理モジュール230によって、車両1の駐車機能の利用不可能性を表す情報NFを無効にするステップ628を含み、e. g.この情報を論理値0(利用可能な機能)に設定する。
【0234】
(DF 1+DF 2)≧(F1t+F2t)→nf=「0」
【0235】
再び例として、図2は、先行技術による、システム動作温度値の関数として、確実な駐車のための独立車軸を有する車両の最大勾配を比較するテーブルを示す。
【0236】
図7の表は、左から右へ、以下のデータを示している:
【0237】
- 第1列のシステム動作温度値TS;
【0238】
- 第2列および第3列の勾配値;
【0239】
- 本発明の方法及び関連システムに従って車両1の第1前車軸F-A及び第2後車軸R-Aに制動力を分配することによる車両1の駐車STZの許容下り坂P-D及び上り坂P-S。
【0240】
分かるように、同じシステム動作温度値TSで、その性能が図2に示されている先行技術の解決策と比較して、本発明による方法およびそのシステムは、車両1のより高い最大駐車勾配での車両1の駐車を実現することができ、それによって制動システム2、したがって車両1全般の性能が向上する。
【0241】
本発明の方法およびそのシステムは、有利には、電気モータの動作温度、道路勾配、および道路-タイヤ摩擦情報を用いることによって、電気モータに熱的損傷を与えることなく勾配で駐車するブレーキシステムの能力を最大化することを可能にする。
【0242】
さらに、再び先行技術の解決策と比較して、本発明の対象となる方法およびそのシステムは、同じ勾配での駐車のより長い保持時間をも保証する。
【0243】
実際、本発明の方法およびシステムで達成可能な保持時間に関する性能を先行技術の解決策と比較すると、本発明の方法およびシステムの対象は、モータに損傷を与えることなく、同じ道路勾配でより高い保持時間を得ることを可能にすると指摘することができる。
【0244】
当業者は、添付の特許請求の範囲の保護範囲から逸脱することなく、上述の方法およびそれぞれのシステムの実施形態に変更および適合を加えることができ、または、偶発的なニーズを満たすために機能的に同等な他の要素に置き換えることができる。つの可能な実施形態に属するものとして上述した全ての特徴は、他の記載された実施形態から独立して実施することができる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
【国際調査報告】