(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-11-01
(54)【発明の名称】HIVを標的にするWWドメイン活性化細胞外ベシクル
(51)【国際特許分類】
C12N 15/62 20060101AFI20231025BHJP
C07K 19/00 20060101ALI20231025BHJP
C12N 5/10 20060101ALI20231025BHJP
A61K 39/21 20060101ALI20231025BHJP
A61P 31/18 20060101ALI20231025BHJP
A61K 35/12 20150101ALI20231025BHJP
A61K 31/7088 20060101ALI20231025BHJP
C07K 14/705 20060101ALN20231025BHJP
C12N 9/10 20060101ALN20231025BHJP
C07K 14/155 20060101ALN20231025BHJP
【FI】
C12N15/62 Z
C07K19/00 ZNA
C12N5/10
A61K39/21
A61P31/18
A61K35/12
A61K31/7088
C07K14/705
C12N9/10
C07K14/155
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023523521
(86)(22)【出願日】2021-10-15
(85)【翻訳文提出日】2023-06-15
(86)【国際出願番号】 US2021055158
(87)【国際公開番号】W WO2022081957
(87)【国際公開日】2022-04-21
(32)【優先日】2020-10-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】507044516
【氏名又は名称】プレジデント アンド フェローズ オブ ハーバード カレッジ
(71)【出願人】
【識別番号】507282004
【氏名又は名称】ボード オブ リージェンツ オブ ザ ユニバーシティ オブ ネブラスカ
(74)【代理人】
【識別番号】110003971
【氏名又は名称】弁理士法人葛和国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ルー,クアン
(72)【発明者】
【氏名】シャン,シーファ
【テーマコード(参考)】
4B065
4C085
4C086
4C087
4H045
【Fターム(参考)】
4B065AA93X
4B065AB01
4B065AC14
4B065BA01
4B065CA45
4C085AA03
4C085BA69
4C085DD62
4C085EE01
4C086AA01
4C086AA02
4C086AA03
4C086EA16
4C086MA01
4C086MA04
4C086NA05
4C086NA14
4C086ZB33
4C087AA01
4C087AA02
4C087AA03
4C087BB65
4C087NA05
4C087NA14
4C087ZB33
4H045AA11
4H045AA30
4H045BA41
4H045CA05
4H045DA50
4H045DA86
4H045EA31
4H045FA72
4H045FA74
(57)【要約】
本明細書に開示されるのは、HIV抗原ドメインを提示するためのWWドメイン活性化細胞外ベシクル(WAEV)の創作および使用のための方法、系、組成物、ならびにストラテジーである。これらのWAEVは、ワクチン開発に有用なHIV抗原を送達して提示するのに用いられ得る。具体的には、本開示は、(a)WW含有ドメイン;(b)膜貫通ドメイン;および(c)細胞外ドメインを含む融合タンパク質を提供するが、ここで細胞外ドメインは、HIV抗原ドメインである。さらに提供されるのは、各ドメインの配列、ならびに融合タンパク質を産生および使用する方法もある。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)WW含有ドメイン;
(b)膜貫通ドメイン;および
(c)細胞外ドメイン、ここで細胞外ドメインが、HIV抗原ドメインである、
を含む、融合タンパク質。
【請求項2】
融合タンパク質が、アレスチンドメイン含有タンパク質1(ARRDC1)を含まない、請求項1に記載の融合タンパク質。
【請求項3】
WW含有ドメインが、少なくとも1つのWWドメインを含む、請求項1~2のいずれか一項に記載の融合タンパク質。
【請求項4】
WW含有ドメインが、少なくとも2つのWWドメインを含む、請求項1~3のいずれか一項に記載の融合タンパク質。
【請求項5】
WW含有ドメインが、少なくとも3つのWWドメインを含む、請求項1~4のいずれか一項に記載の融合タンパク質。
【請求項6】
WW含有ドメインが、少なくとも4つのWWドメインを含む、請求項1~5のいずれか一項に記載の融合タンパク質。
【請求項7】
WW含有ドメインが、NEDD4 E3リガーゼドメインである、請求項3~6のいずれか一項に記載の融合タンパク質。
【請求項8】
NEDD4 E3リガーゼが、ITCH、NEDD4、NEDD4 L、WWP1、WWP2、Smurf1、Smurf2、BUL1、およびNEDL2からなる群から選択される、請求項7に記載の融合タンパク質。
【請求項9】
NEDD4 E3リガーゼが、ITCHタンパク質である、請求項7に記載の融合タンパク質。
【請求項10】
WW含有ドメインが、配列番号1の配列と少なくとも95%の同一性を有する配列を含む、請求項1~9のいずれか一項に記載の融合タンパク質。
【請求項11】
WW含有ドメインが、配列番号1の配列を含む、請求項1~10のいずれか一項に記載の融合タンパク質。
【請求項12】
膜貫通ドメインが、MPER膜貫通ドメインである、請求項1~11のいずれか一項に記載の融合タンパク質。
【請求項13】
膜貫通ドメインが、配列番号9の配列と少なくとも95%の同一性を有する配列を含む、請求項1~11のいずれか一項に記載の融合タンパク質。
【請求項14】
膜貫通ドメインが、配列番号9の配列を含む、請求項1~11のいずれか一項に記載の融合タンパク質。
【請求項15】
HIV抗原ドメインが、MPER細胞外ドメインである、請求項1~14のいずれか一項に記載の融合タンパク質。
【請求項16】
細胞外ドメインが、配列番号8の配列と少なくとも95%の同一性を有する配列を含む、請求項1~15のいずれか一項に記載の融合タンパク質。
【請求項17】
細胞外ドメインが、配列番号8の配列を含む、請求項1~15のいずれか一項に記載の融合タンパク質。
【請求項18】
シグナルペプチドをさらに含む、請求項1~17のいずれか一項に記載の融合タンパク質。
【請求項19】
融合タンパク質が、配列番号61の配列と少なくとも95%の同一性を有する配列を含む、請求項1に記載の融合タンパク質。
【請求項20】
融合タンパク質が、配列番号61の配列と少なくとも95%の同一性を有する配列からなる、請求項1に記載の融合タンパク質。
【請求項21】
融合タンパク質が、配列番号61の配列を含む、請求項1に記載の融合タンパク質。
【請求項22】
融合タンパク質が、配列番号61の配列からなる、請求項1に記載の融合タンパク質。
【請求項23】
融合タンパク質が、配列番号62の配列と少なくとも95%の同一性を有する配列を含む、請求項1に記載の融合タンパク質。
【請求項24】
融合タンパク質が、配列番号62の配列と少なくとも95%の同一性を有する配列からなる、請求項1に記載の融合タンパク質。
【請求項25】
融合タンパク質が、配列番号62の配列を含む、請求項1に記載の融合タンパク質。
【請求項26】
融合タンパク質が、配列番号62の配列からなる、請求項1に記載の融合タンパク質。
【請求項27】
請求項1~26のいずれか一項に記載の融合タンパク質をコードする、単離された核酸。
【請求項28】
プロモーターへ作動可能に連結されている、請求項27に記載の単離された核酸。
【請求項29】
プロモーターが、構成的プロモーター、誘導性プロモーター、または組織特異的プロモーターである、請求項28に記載の単離された核酸。
【請求項30】
少なくとも1つの追加の調節配列を含む、請求項27~29のいずれか一項に記載の単離された核酸。
【請求項31】
(a)脂質二重層;および
(b)請求項1~26のいずれか一項に記載の融合タンパク質
を含む、WWタンパク質ドメイン活性化細胞外ベシクル(WAEV)。
【請求項32】
SCAMP3をさらに含む、請求項31に記載のWAEV。
【請求項33】
融合タンパク質が、以下のエキソソームマーカー:CD63;CD81、CD9、およびPTGFRNのうち少なくとも1つを含まない、請求項31または32に記載のWAEV。
【請求項34】
融合タンパク質が、以下のエキソソームマーカー:CD63;CD81、CD9、およびPTGFRNのいずれも含まない、請求項31~33のいずれか一項に記載のWAEV。
【請求項35】
(a)請求項1~26のいずれか一項に記載の融合タンパク質を異種プロモーターの制御下でコードする組換え発現コンストラクト
を含む、WAEV産生細胞。
【請求項36】
(a)請求項27~29のいずれか一項に記載の単離された核酸
を含む、WAEV産生細胞。
【請求項37】
請求項1~26のいずれか一項に記載の融合タンパク質、請求項27~29のいずれか一項に記載の単離された核酸、請求項30~34のいずれか一項に記載のWAEV、または請求項35~36のいずれか一項に記載のWAEV産生細胞を、対象へ送達すること
を含み、
ここで融合タンパク質の細胞外タンパク質が、HIV抗原性ペプチドを含む、
HIV抗原性ペプチドをディスプレーするWAEVを送達する方法。
【請求項38】
対象が、哺乳動物である、請求項37に記載の方法。
【請求項39】
対象が、ヒトである、請求項37または38に記載の方法。
【請求項40】
請求項1~26のいずれか一項に記載の融合タンパク質、請求項27~29のいずれか一項に記載の単離された核酸、請求項30~34のいずれか一項に記載のWAEV、または請求項35~36のいずれか一項に記載のWAEV産生細胞のうち1以上を含む、キット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
本出願は、35 U.S.C.§119(e)の下2020年10月16日出願の米国仮出願第(U.S.S.N.)63/093,095号(これらは参照により本明細書に組み込まれる)に対する優先権を主張するものである。
【0002】
政府の支援
本発明は、国立衛生研究所によって授与された助成金第HL139496の下、政府の支援によりなされた。政府は本発明において一定の権利を有する。
【背景技術】
【0003】
本発明の背景
ヒト免疫不全ウイルス(HIV)は世界中の数百万もの人々に感染している。このウイルスに対する有効なワクチンはまだない。ワクチン開発ができない主な理由は、HIVが頻繁に変異することにある。このウイルスに対して有効なワクチンを開発する主な取り組みは、膜近位外部領域(MPER)として知られているウイルスのエンベロープタンパク質の相対的に不変の領域を標的にする。しかしながら、MPERの一部は脂質膜内に包埋されており、合成MPERペプチドはウイルス中和抗体の産生を惹起しない。したがって、有効なHIVワクチンを開発する新しいストラテジーとしてHIVに対する中和抗体の産生を惹起するMPERを提示および送達するための新しい組成物および方法へのニーズがある。
【発明の概要】
【0004】
本発明の概要
本開示は少なくとも一部が、MPERペプチドを包含するHIVの抗原へ向けられるWWドメイン含有タンパク質(WW-domain-Activated Extracellular Vesicle、またはWAEV)を細胞外ドメインとともに含有する新規細胞外ベシクル(EV)に関する。MPERペプチドは、HIVエンベロープタンパク質gp41の相対的に不変の領域であって、複数の広域中和抗体(bNAb)によって標的にされるエピトープを含有する。結果として、MPERは、HIVワクチン開発における潜在的に理想的な標的である。しかしながら、合成MPERペプチドは単独で、膜脂質との相互作用なく、bNAb産生を惹起しない。MPERペプチドは、MPERペプチドに結び付けられている(例として、連結されている)膜貫通ドメインと融合したWWドメイン含有タンパク質の導入を通して、新規EVの表面上にディスプレーされ得る。
【0005】
膜貫通部を含有する(transmembrane-containing)タンパク質の、アレスチンドメイン含有タンパク質1(ARDDC1)への直接融合によって、減少または消失したARRCC1の出芽(budding)活性がもたらされる。WAEVは、ARRDC1とは無関係に出芽することができ、ARDDC1過剰発現によって増強されるようには見えない。加えて、WAEVは、典型的なエキソソームマーカー(例として、CD63;CD81、CD9、およびPTGFRN)の1以上を含有しないところ、古典的なエキソソームのようにも見えない。代わりに、分泌型キャリア結合膜タンパク質3(secretory carrier-associated membrane protein 3、SCAMP3)を包含する他のタンパク質が、WAEV出芽の媒介を担うこともある。WAEVは、HIV抗原(MPERペプチドを包含する)などの、ワクチン開発に有用なウイルス抗原を送達して提示するのに使用され得る。
【0006】
結果的に、いくつかの側面において、本開示は、(a)WW含有ドメイン;(b)膜貫通ドメイン;および(c)細胞外ドメインを含み、ここで細胞外ドメインは、HIV抗原ドメインである、融合タンパク質に関する。
【0007】
いくつかの態様において、本開示の融合タンパク質のいずれかのWW含有ドメインは、少なくとも1つのWWドメインを含む。いくつかの態様において、本開示の融合タンパク質のいずれかのWW含有ドメインは、少なくとも2つのWWドメインを含む。いくつかの態様において、本開示の融合タンパク質のいずれかのWW含有ドメインは、少なくとも3つのWWドメインを含む。いくつかの態様において、本開示の融合タンパク質のいずれかのWW含有ドメインは、少なくとも4つのWWドメインを含む。いくつかの態様において、融合タンパク質は、ITCHタンパク質のWWドメインである少なくとも1つのWWドメインを含む。いくつかの態様において、本開示の融合タンパク質のいずれかのWW含有ドメインは、配列番号1の配列と少なくとも95%の同一性を有する配列を含む。いくつかの態様において、本開示の融合タンパク質のいずれかのWW含有ドメインは、配列番号1の配列を含む。
【0008】
いくつかの態様において、本開示の融合タンパク質のいずれかの膜貫通ドメインは、gp41膜貫通ドメインを含む。いくつかの態様において、膜貫通ドメインは、配列番号9の配列と少なくとも95%の同一性を有する配列を含む。いくつかの態様において、膜貫通ドメインは、配列番号9の配列を含む。
【0009】
いくつかの態様において、HIV抗原ドメインは、MPERである。いくつかの態様において、HIV抗原ドメインは、配列番号8の配列と少なくとも95%の同一性を有する配列を含む。いくつかの態様において、細胞外ドメインは、配列番号8の配列を含む。
【0010】
いくつかの態様において、本開示の融合タンパク質は、シグナルペプチドをさらに含む。
【0011】
いくつかの側面において、本開示は、本開示の融合タンパク質のいずれかの少なくとも1つをコードする単離された核酸に関する。
【0012】
いくつかの態様において、本開示の単離された核酸のいずれかは、プロモーターへ作動可能に連結されている。いくつかの態様において、プロモーターは、構成的プロモーター、誘導性プロモーター、または組織特異的プロモーターである。
【0013】
いくつかの態様において、本開示の単離された核酸のいずれかは、少なくとも1つの追加の調節配列を含む。
【0014】
いくつかの側面において、本開示は、(a)脂質二重層;および(b)本明細書に記載のとおりの融合タンパク質を含むWWタンパク質ドメイン活性化細胞外ベシクル(WAEV)に関する。
【0015】
いくつかの態様において、本明細書に記載のとおりのWAEVは、SCAMP3をさらに含む。
【0016】
いくつかの態様において、本明細書に記載のとおりのWAEVは、以下のエキソソームマーカー:CD63;CD81、CD9、および/またはPTGFRNのうち少なくとも1つを含まない。
【0017】
いくつかの側面において、本開示は、(a)本開示の融合タンパク質のいずれかの少なくとも1つを、異種プロモーターの制御下でコードする組換え発現コンストラクトを含むWAEV産生細胞に関する。
【0018】
いくつかの側面において、本開示は、(a)本開示の単離された核酸のいずれかの少なくとも1つを含むWAEV産生細胞に関する。
【0019】
いくつかの側面において、本開示は、本開示の融合タンパク質のいずれかの少なくとも1つ、本開示の単離された核酸のいずれかの少なくとも1つ、本開示のWAEVのいずれかの少なくとも1つ、および/または本開示のWAEV産生細胞のいずれかの少なくとも1つを送達することを含む、HIV抗原性ペプチドをディスプレーするWAEVを送達する方法に関し、ここで融合タンパク質の細胞外タンパク質は、HIV抗原性ペプチドを含む。
【0020】
いくつかの態様において、対象は、哺乳動物である。いくつかの態様において、対象は、ヒトである。
【0021】
本発明の他の利点、特色、および使用も、ある例示の非限定的な態様の詳細な記載;図面;非限定的な実施例;およびクレームから明らかであろう。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図面の簡単な記載
【
図1】
図1は、その4つのWWドメインを強調したヒトITCHタンパク質配列を示す。下線が引かれた配列は、4WW融合構築物を作製するために使用される。
【0023】
【
図2A】
図2A~2Bは、CHR(C末7反復)、MPER(膜近位外部領域)ペプチド(下線が引かれた)、および膜貫通ドメイン(TM)が強調されたヒト免疫不全ウイルス(HIV)gp41の部分配列を示す。MPER-4WW融合構築物において下線が引かれた配列を使用した。
図2Aは、MPERのあるHIV gp41の部分的アミノ酸配列を示す。
【
図2B】
図2Bは、MPERのあるHIV gp41の部分的核酸配列を示す。
【0024】
【
図3】
図3は、HEK293T-ARRDC1-KO細胞におけるMPER-WWまたはTM-4WW(MPERなし)融合タンパク質のEV中への出芽を示す。指し示されている融合または対照構築物をARRDC1-KO HEK293T細胞中へトランスフェクトした。トランスフェクションから48時間後、超遠心分離を介してEVを単離した。指し示されている抗体でEVに対し全細胞ライセートと共にウェスタンブロッティングをした。
【0025】
【
図4】
図4は、MPER-WW融合タンパク質の出芽に対するARRDC1過剰発現の効果を示す。MPER-4WWを対照またはARRDC1(HAでタグ付けされた)構築物とHEK293T細胞中へ共トランスフェクトした。トランスフェクションから48時間後、超遠心分離を介してEVを単離した。指し示されている抗体でEVに対し全細胞ライセートと共にウェスタンブロッティングをした。
【0026】
【
図5A】
図5A~5Cは、融合タンパク質出芽に対するWWドメインの寄与を示す。MPERがITCHタンパク質の4WWドメイン、第1の2WWドメイン、または最後の2WWドメインへ融合した構築物を、HEK293T細胞中へトランスフェクトした。トランスフェクションから48時間後、超遠心分離を介してEVを単離した。指し示されている抗体でEVに対し全細胞ライセートと共にウェスタンブロッティングをした。すべての融合構築物はFLAGでタグ付けされている。
図5Aは、抗フロチリン抗体での染色を示す。
【
図5B】
図5Bは、抗MPER抗体(2F5抗体)での染色を示す。
【
図5C】
図5Cは、抗MPER抗体での、および抗フロチリン抗体での染色を示す。
【0027】
【
図6】
図6は、WAEV上のMPERの免疫-金染色の画像を示す。スクロース-密度勾配超遠心分離を介してMPER-WAEVを精製し、次いで抗MPER抗体2F5と、これに続き金粒子抱合二次抗体とインキュベートした。透過型電子顕微鏡によってベシクルを画像化した。(スケールバー:100nm)。
【0028】
【
図7A-B】
図7A~7Iは、MPER EVの特徴付けおよび精製を示す。
図7Aは、HIV MPER(膜近位外部領域)ペプチドがその表面上に提示されたWAEVの概略図である。
図7Bは、MPER-4WW融合構築物の概略図である。TM:膜貫通ドメイン;ED:細胞外ドメイン;SP:シグナルペプチド(Igkリーダー)。
【
図7C】
図7Cは、MPER-WW融合構築物の概略図である。WWドメインは、ITCHタンパク質からのものである。
【
図7D-E】
図7Dは、HEK293T細胞におけるMPER-4WW融合タンパク質のEV中への出芽を示す。指し示される融合または対照の構築物を、HEK293T(WT)またはHEK29T ARRDC1-ノックアウト(ARRDC1-KO)細胞中へトランスフェクトした。トランスフェクションから48時間後、超遠心分離を介してEVを単離した。EVに対し全細胞ライセートと併せて、指し示される抗体でウェスタンブロッティングをした。
図7Eは、
図6Dは、Optiprep密度勾配精製後のMPER-4WW EVのウェスタンブロット分析を示す。FLAG、CD9、ビンキュリン(Vinculin)について、全細胞ライセートとEVとの両方に対しウェスタンブロッティングをした。
【
図7F】
図7Fは、MPER-4WW EVのサイズ分布を示す。ベクター対照またはMPER-4WW構築物でトランスフェクトされたHEK293T細胞からのEVを、NanoSight粒子分析系(NS300)を使用して分析した。データを平均として提示する。
【
図7G】
図7Gは、WAEV上のMPERの免疫-金染色の画像を示す。スクロース-密度勾配超遠心分離を介してMPER WAEVを精製し、次いで抗MPER抗体2F5と、これに続き金粒子抱合二次抗体とインキュベートした。透過型電子顕微鏡によってベシクルを画像化した。(スケールバー:100nm)。
【
図7H】
図7Hは、MPER WAEVのスクロース密度勾配分離のウェスタンブロット分析を示す。MPER-4WWをHEK293T細胞中へトランスフェクトした。トランスフェクションから48時間後、超遠心分離を介してEVを単離し、次いでスクロース勾配上へ、これに続き超遠心分離上へロードした(loaded)。10画分を単離し、指し示されている抗体を使用し全細胞ライセートと共にウェスタンブロッティングに使用した。
【
図7I】
図7Iは、WAEV上のMPERの免疫-金染色の画像を示す。スクロース-密度勾配超遠心分離を介してMPER-WAEVを精製し、次いで抗MPER 2F5抗体と、これに続き金粒子抱合二次抗体とインキュベートした。ベシクルを透過型電子顕微鏡によって画像化した。(白色スケールバー:100nm)。
【0029】
【
図8A-B】
図8A~8Cは、MPER-4WW WAEVにおけるタンパク質のプロテオミクス同定を示す。
図8Aは、MPER-4WWのEV中への出芽を示すウェスタンブロッティングを示す。
図8Bは、対照MPER(4WWなし)またはMPER-4WW融合構築物のいずれかでトランスフェクトされたHEK293T細胞の~20プレート(P100)からEVを単離したことを示す。NanoSight NS300器械によって定量化した。
【
図8C】
図8Cは、対照またはMPER-4WW EVから抽出されたタンパク質をSDS-PAGE上で分離してクマシーブルーで染色したことを示す。薄片にしたゲルをLC-MS/Msプロテオミクスに使用してタンパク質と同定した。
【0030】
【
図9A】
図9A~9Bは、SCAMP3が、WAEVの形成を駆動するのに必要な要素を有することを示す。
図9Aは、SCAMP3タンパク質がPPXY(配列番号22)とPSAP(配列番号17)との両モチーフを含有することを示すが、これらは夫々、WWドメインおよびTSG101と相互作用し得る。また青色で強調されているのは、4つの膜貫通ドメインでもある。
【
図9B】
図9Bは、SCAMP3が、原形質膜上にあり、TSG101およびWWドメイン連結型タンパク質カーゴ(それ自身のまたは改変された膜貫通ドメイン[TM]をもつ)を動員してWAEVの形成を駆動するモデルを示す。
【0031】
【
図10】
図10は、モルモットにおける免疫付与プロトコルの概略図である(35日間)。6週齢メスHartleyモルモットの皮下に、CFAアジュバントありまたはなしでMPER-WAEV(10
10)を免疫付与した。合成された短いMPERペプチド(GPJ17;最初の注射の場合200ug/動物、ブーストの場合100ug)を対照として使用した。
【0032】
【
図11】
図11は、最終ブリード(bleed)血清のウイルスELISAアッセイを示す。96ウェルプレートをHIV偽ウイルス(Cap45)でコートし、PBST+5%BSAで最低でも2時間ブロッキングした。モルモット血清(最終ブリード)を適切な希釈にて加えた。1時間後に血清を除去して、HRP抱合二次抗体を1時間加えた。最終的にこの抗体を除去して100μLのTMB基質を加えた。ウェル中で青色が発色したら、100uLのHClを加えて反応を停止させた。次いでプレートを450nmにて読み取って反応を定量化した。すべてのウェルをPBSTで3回洗浄し、コーティング、ブロッキング、および抗体のステップを続けた。
【0033】
【
図12】
図12は、最終ブリード血清のウイルス中和アッセイを示す。ルシフェラーゼを発現するHIV偽ウイルス(YU2)を、モルモット血清(指し示されている希釈にて)または精製された組換え2F5抗体(陽性対照)と混合し、次いでTZM-bl細胞へ加えた。感染から1日後に細胞をPBSで洗浄し、新たな培地を細胞へ加えた。感染から3日後に上清を除去して細胞をPBSで洗浄し、次いで受動的リシス緩衝剤(passive lysis buffer)でライスして(lysed)-80℃にて凍結した。その後プレートを解凍し、ルシフェラーゼ活性について測定した。
【発明を実施するための形態】
【0034】
定義
抗原
用語「抗原」は、本明細書に使用され得るとき、免疫応答を誘発する分子を指す。この免疫応答は、抗体産生もしくは免疫学的にコンピテントな特定の細胞の活性化のいずれか、またはその両方を伴っていてもよい。当業者は、事実上すべてのタンパク質またはペプチドを包含するいずれの高分子も抗原として働き得ることを理解して容易に解するであろう。さらにまた、抗原は、組換えのまたはゲノムの核酸に由来し得る。したがって、当業者は、免疫応答を惹起するタンパク質をコードするヌクレオチド配列または部分的ヌクレオチド配列を含むいずれの核酸も、その用語が本明細書に使用されるとき、「抗原」をコードすることを理解するであろう。さらにまた、当業者は、抗原がもっぱら遺伝子の完全長ヌクレオチド配列によってコードされる必要があることを理解するであろう。本発明が、1つより多くの遺伝子の部分的ヌクレオチド配列の使用に限定されないがこれらを包含すること、およびこれらのヌクレオチド配列が、様々な組み合わせで配置されることで所望される免疫応答を惹起することは容易に明らかになることである。その上、当業者は、抗原が「遺伝子」によってコードされる必要がまったくないことも理解するであろう。抗原が合成されて生成され得るかまたは生体試料に由来し得ることは容易に明らかになることである。かかる生体試料は、これらに限定されないが、組織試料、腫瘍試料、細胞、または生体液を包含し得る。いくつかの態様において、抗原は、タンパク質またはそのフラグメントである。いくつかの態様において、抗原は、核酸、またはそのフラグメントである。いくつかの態様において、本開示のWAEVは、抗原を、細胞外ドメインまたは細胞外ドメインの一部として含む。いくつかの態様において、本開示のWAEVは、抗原をWAEVの膜上に提示する。いくつかの態様において、本開示の融合タンパク質は、抗原を、細胞外ドメインまたは細胞外ドメインの一部として含む。
【0035】
と結び付けられている
用語「と結び付けられている」は、本明細書に使用され得るとき、2以上の実体、例えば、化学的な部分、分子(例として、ドメイン、核酸、ペプチド)、および/またはWAEVの特性を指し、実体が、物理的に接触しているかまたは相互に(直接的かもしくはリンカーとして働く1以上の追加の部分を介するかのいずれかで)接続されて、実体が、構造体が使用される条件(例として、生理学的な条件)下で物理的に接触したままにあるように充分に安定した構造体を形成することを意味する。WAEVは、共有結合のまたは非共有結合の結び付きを伴う機構によって、剤、例えば、核酸、タンパク質、または小分子と結び付けられ得る。例えば、本発明のWWドメイン含有融合タンパク質は、これらに限定されないがSCAMP3を包含するNEDD4 E3リガーゼタンパク質などのPPXY(配列番号22)モチーフを含有するタンパク質と結び付けられ得る。ある態様において、送達されるべき剤(例として、抗原であり得るかまたは抗原を包含し得る細胞外ドメインカーゴタンパク質)は、膜貫通ドメインおよびWW含有ドメインへ共有結合的に結合(例として、融合)されており、この融合タンパク質は、これらに限定されないがSCAMP3タンパク質またはそのバリアントを包含するPPXY(配列番号22)モチーフを含有するタンパク質へ非共有結合的に結合され得る。いくつかの態様において、結び付きは、核酸またはアミノ酸のリンカー、例えば、切断可能なリンカーであり得るが、これらに限定されないリンカーを介する。
【0036】
カーゴ
用語「カーゴ」は、本明細書に使用され得るとき、WAEV中に(例えば、細胞外ドメインとして)組み込まれていてもよい、抗原、タンパク質、またはペプチドを指す。用語「送達される」は、カーゴに関するとき、WAEVとの結び付きもしくはWAEVへの包含を介して対象、器官、組織、または細胞へ送達され得る、いずれの抗原、タンパク質、あるいはペプチドも指す。いくつかの態様において、カーゴは、標的細胞へin vitro、in vivo、またはex vivoで送達されるべきものである。いくつかの態様において、送達されるべきカーゴは、WAEVの表面上に提示されている抗原である。
【0037】
一般に、「小分子」は、実験室で調製されるかまたは自然界から見出されるかのいずれかの、実質的に非ペプチドの、非オリゴマーの有機化合物を指す。小分子は、本明細書に使用されるとき、「天然産物様」の化合物を指し得るが、しかしながら、用語「小分子」は「天然産物様」の化合物に限定されない。むしろ、小分子は、典型的には、数個の炭素-炭素結合を含有し、かつ2000g/mol未満、1500g/mol未満、1250g/mol未満、1000g/mol未満、750g/mol未満、500g/mol未満、または250g/mol未満の分子量を有することを特徴とするものの、この特徴付けは、本発明の目的を限定することを意図していない。他のある態様において、天然産物様の小分子が利用される。
【0038】
有効量
用語「有効量」は、所望される生物学的応答を惹起するのに充分な組成物(例として、本明細書に記載のとおりのWAEV)の量を指す。例えば、いくつかの態様において、本明細書に記載のとおりのWAEVの有効量は、その中に含有されている(例として、提示されている)細胞外ドメインに対してもしくはその上(例として、抗原もしくはそのフラグメント)に対して免疫反応を惹起するのに充分である、本明細書に記載のとおりのWAEVの量を指してもよい。当業者には当然のことながら、本明細書に記載のとおりの有効量の組成物(例として、WAEV)は、様々な因子に、例えば、所望される生物学的応答に、標的にされている細胞または組織に、および使用されている剤に応じて変動してもよい。
【0039】
細胞外ドメイン
用語「細胞外ドメイン」および「外部ドメイン」は、本明細書に互換的に使用され得るとき、膜含有分子の膜(例として、細胞、ベシクル、EV、およびWAEV)の外部上に存在する抗原、タンパク質、またはペプチドのドメインを指す。いくつかの態様において、細胞外ドメインは、融合タンパク質のドメインを含む。細胞外ドメインは、タンパク質の末端ドメインであってもよい。いくつかの態様において、細胞外ドメインは、膜貫通ドメインへ、一方の末端によって結び付けられている。いくつかの態様において、細胞外ドメインは、膜貫通ドメインへ、そのN末端を通して(例として、直接的にまたは間接的に)結び付けられている。いくつかの態様において、細胞外ドメインは、膜貫通ドメインへ、そのC末端を通して(例として、直接的にまたは間接的に)結び付けられている。いくつかの態様において、細胞外ドメインは、膜貫通ドメインへ直接連結または融合されている。いくつかの態様において、細胞外ドメインは、例えばリンカーを通して、膜貫通ドメインへ間接的に連結されている。いくつかの態様において、細胞外ドメインは、別のタンパク質ドメインを通して、膜貫通ドメインへ間接的に連結されている。いくつかの態様において、細胞外ドメインは、リンカーを通して膜貫通ドメインへ間接的に連結されている。
【0040】
いくつかの態様において、細胞外ドメインは、細胞外ドメインのすべてが、それが結び付けられている膜の外部にあるように位置している。用語「細胞外(の)」が細胞の膜という文脈において使用され得るとはいえ、本明細書に使用されるときその用語は、かかる文脈だけを指すものではなく、また本明細書に記載のとおりの膜(これは細胞でなくてもよく、例えば、限定せずに、WAEVなどの細胞外ベシクルである)に結び付けられているドメインも指すものであることに留意すべきである。いくつかの態様において、細胞外ドメインの一部のみが、それが結び付けられている膜に対して外部にある。いくつかの態様において、膜は、脂質をベースとした層である。いくつかの態様において、脂質をベースとした層は、脂質二重層である。いくつかの態様において、脂質膜は、細胞膜である。いくつかの態様において、脂質膜は、細胞外ベシクルの脂質層である。いくつかの態様において、細胞外ベシクルは、WAEVである。
【0041】
いずれの細胞外ドメインも、本明細書において使用が企図される。いくつかの態様において、細胞外ドメインは、知られているタンパク質の細胞外ドメインであるか、またはそれを含む。いくつかの態様において、細胞外ドメインは、知られているタンパク質のフラグメントであるか、またはそれを含む。いくつかの態様において、細胞外ドメインは、抗原ドメインもしくはそのフラグメントであるか、またはそれを含む。いくつかの態様において、細胞外ドメインは、ウイルスのタンパク質もしくはそのフラグメントであるか、またはそれを含む。いくつかの態様において、細胞外ドメインは、ウイルスの抗原タンパク質もしくはウイルス抗原ドメインまたはそのフラグメントであるか、あるいはそれを含む。いくつかの態様において、ウイルス抗原ドメインは、必ずしもこれらに限定されないが、HIVウイルスドメインを包含する。細胞外ドメインは、当該技術分野において知られているかまたは本明細書に記載されるいずれの方法も使用して、例としてUniProt Databaseを使用することによって、同定され得る。
【0042】
融合タンパク質
用語「融合タンパク質」は、本明細書に使用され得るとき、少なくとも2つの異なるタンパク質からのタンパク質ドメインを含むハイブリッド(例として、キメラの、組換えの)ポリペプチドを指す。あるタンパク質ドメインは、融合タンパク質のアミノ末(N末)部に位置付けられていてもよく、融合タンパク質の遊離のN末端(例として、アミノ(NH2)基)を含有しているであろう。この融合タンパク質のタンパク質ドメインは、「アミノ末融合タンパク質」または「アミノ末融合タンパク質ドメイン」と称されてもよい。同様に、あるタンパク質ドメインは、融合タンパク質のカルボキシ末(C末)部に位置付けられていてもよく、融合タンパク質の遊離のC末端(例として、カルボキシル(COOH)基)を含有しているであろう。この融合タンパク質のタンパク質ドメインは、「カルボキシ末融合タンパク質」または「カルボキシ末融合タンパク質ドメイン」と称されてもよい。いくつかの態様において、融合タンパク質は、追加のタンパク質ドメインを含んでいてもよい。いくつかの態様において、追加のタンパク質ドメインは、アミノ末融合タンパク質ドメインおよび/またはカルボキシ末融合タンパク質ドメインと同様であってもよく、あるいはこれらとは別個のもであってもよい。これらの追加のドメインは、アミノ末融合タンパク質ドメインとカルボキシ末融合タンパク質ドメインとの間に位置しているであろう。いくつかの態様において、融合タンパク質のタンパク質ドメインは、WW含有ドメインを含んでいてもよい。いくつかの態様において、融合タンパク質のタンパク質ドメインは、膜貫通ドメインを含んでいてもよい。いくつかの態様において、融合タンパク質のタンパク質ドメインは、細胞外ドメインを含んでいてもよい。本明細書に提供される融合タンパク質のいずれも、当該技術分野において知られているいずれの方法によって産生されてもよい。例えば、本明細書に提供されるタンパク質は、ペプチドリンカーを含む融合タンパク質にとくに適する組換えタンパク質の発現および精製を介して産生されてもよい。融合タンパク質の発現および精製のための方法は周知であって、Green and Sambrook,Molecular Cloning:A Laboratory Manual(4th ed.,Cold Spring Harbor Laboratory Press,Cold Spring Harbor N.Y.(2012))(これらの内容全体が参照により本明細書に組み込まれる)によって記載されるものを包含する。融合タンパク質は、組換え核酸(例として、DNA、RNA)によってコードされ得る。
【0043】
単離された
用語「単離された」は、本明細書に使用され得るとき、本明細書に提供されるとおりの材料(例として、核酸(例として、RNA、DNA、ポリヌクレオチド)、アミノ酸、ペプチド(例として、ポリペプチド、タンパク質)、ベクター(例として、ウイルスベクター(例として、アデノ随伴ウイルスベクター)))の、かかる材料が別様に見出されるであろうその天然の状態(すなわち、天然に存在する場合はネイティブなもしくは本来の環境)から変更または除去されている特徴を指す。したがって、生きている動物に存在する天然に存在する核酸またはペプチドは単離されていないが、天然の系に共存する材料のいくつかもしくはすべてからヒトの介入によって分離された同じ核酸またはペプチドは「単離され」ている。例えば、生きている動物に天然に存在する核酸またはペプチドは「単離され」ていないが、その天然の状態もしくは宿主に共存する材料から部分的にまたは完全に分離された同じ核酸あるいはペプチドは「単離され」ている。人工の、組換えの、または改変された材料、例えば、天然に存在しない核酸構築物もしくはペプチド構築物はまた、結果的に、単離されたものとも称される。単離された材料は、実質的に精製された形態で存在し得るか、または例えばベクターもしくは宿主細胞などの非ネイティブな環境中に存在し得るが、しかしながら、材料は、単離されるために精製される必要はない。結果的に、材料は、ベクターの一部および/または組成物の一部であってもよく、かかるベクターまたは組成物が、その材料がその天然の状態で見出される環境の一部にはない点で、なおも単離されている。
【0044】
リンカー
用語「リンカー」は、本明細書に使用され得るとき、2つの分子または部分、例として、WW含有ドメイン、膜貫通ドメイン、細胞外ドメイン、および/またはいずれの他の分子(例として、ペプチド、タグ、核酸)を連結する化学的成分を指す。典型的には、リンカーは、2つの基、分子、もしくは他の部分の間に位置するか、またはその脇に配置され、共有結合を介して各々が接続され、よって2つを接続する。いくつかの態様において、リンカーは、1アミノ酸または複数のアミノ酸(例として、ペプチドもしくはタンパク質)を含む。いくつかの態様において、リンカーは、1ヌクレオチド(例として、DNAもしくはRNA)、または複数のヌクレオチド(例として、核酸)を含む。いくつかの態様において、リンカーは、有機分子、官能基、重合体、または他の化学的成分である。いくつかの態様において、リンカーは切断可能なリンカーであり、例として、リンカーは、例えばUV光またはプロテアーゼもしくはエステラーゼなどの加水分解酵素へ曝露された際に切断され得る結合を含む。いくつかの態様において、リンカーは、少なくとも1、少なくとも2、少なくとも3、少なくとも4、少なくとも5、少なくとも6、少なくとも7、少なくとも8、少なくとも9、少なくとも10、少なくとも15、少なくとも20、少なくとも25、少なくとも30、少なくとも40、少なくとも50、またはそれより多くのアミノ酸(例として、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、または50アミノ酸)を有するいずれの一続きのアミノ酸でもある。他の態様において、リンカーは、化学結合(例として、共有結合、アミド結合、ジスルフィド結合、エステル結合、炭素-炭素結合、炭素ヘテロ原子結合)である。
【0045】
核酸
用語「核酸」、「ヌクレオチド配列」、「ポリヌクレオチド」、「オリゴヌクレオチド」、および「ヌクレオチドの重合体」は、本明細書に互換的に使用され得るとき、少なくとも2つの塩基-糖-ホスファートの組み合わせの鎖を指し、数ある中でも、単鎖および二重鎖のDNA、単鎖と二重鎖との領域の混合物であるDNA、単鎖および二重鎖のRNA、ならびに単鎖と二重鎖との領域の混合物であるRNA、DNAおよびRNAを含むハイブリッド分子(これは、単鎖であってもよく、またはより典型的には二重鎖もしくは単鎖と二重鎖との領域の混合物であってもよい)を包含する。加えて、用語(例として、核酸など)は、本明細書に使用されるとき、RNAもしくはDNAまたはRNAとDNAとの両方を含む三重鎖領域を指し得る。かかる領域中の鎖は、同じ分子からまたは異なる分子からのものであり得る。領域は分子の1以上のすべてを包含していてもよいが、より典型的には、分子のいくつかの領域のみを伴う。三重ヘリックス領域の分子の1つは、しばしばオリゴヌクレオチドと称される。
【0046】
用語(例として、核酸など)はまた、核酸のかかる化学的に、酵素的に、または代謝的に修飾された形態、ならびにウイルスおよび細胞(単純なおよび複雑な細胞を包含する)に特徴的なDNAおよびRNAの化学的な形態も網羅する。実例として、用語(例として、核酸など)は、本明細書に使用されるとき、1以上の修飾塩基を含有する本明細書に記載のとおりのDNAまたはRNAを包含し得る。核酸はまた、天然のヌクレオシド(すなわち、アデノシン、チミジン、グアノシン、シチジン、ウリジン、デオキシアデノシン、デオキシチミジン、デオキシグアノシン、およびデオキシシチジン)、ヌクレオシド類似体(例として、2-アミノアデノシン、2-チオチミジン、イノシン、ピロロ-ピリミジン、3-メチルアデノシン、5-メチルシチジン、C5ブロモウリジン、C5フルオロウリジン、C5ヨードウリジン、C5プロピニルウリジン、C5プロピニルシチジン、C5メチルシチジン、7デアザアデノシン、7デアザグアノシン、8オキソアデノシン、8オキソグアノシン、O(6)メチルグアニン、4-アセチルシチジン、5-(カルボキシヒドロキシメチル)ウリジン、ジヒドロウリジン、メチルシュードウリジン、1-メチルアデノシン、1-メチルグアノシン、N6-メチルアデノシン、および2-チオシチジン)、化学修飾塩基、生物学的修飾塩基(例として、メチル化塩基)、インターカレートされた(intercalated)塩基、修飾糖(例として、2'-フルオロリボース、リボース、2'-デオキシリボース、2'-O-メチルシチジン、アラビノース、およびヘキソース)、または修飾ホスファート基(例として、ホスホロチオアート連結および5'Nホスホラミダイト連結)も包含していてもよい。よって、2つの例しか挙げないがイノシンなどのまれな塩基もしくはトリチル化塩基などの修飾塩基を包含するDNAまたはRNAは、その用語が本明細書に使用されるとおりの核酸である。用語(例として、核酸など)はまた、ペプチド核酸(PNA)、ホスホロチオアート、およびネイティブな核酸のホスファート主鎖の他のバリアントも包含する。天然核酸はホスファート主鎖を有し、人工核酸は、他のタイプの主鎖を含有するが、同じ塩基を含有し得る。よって、主鎖が安定性からもしくは他の理由から修飾されたDNAまたはRNAは、本明細書中その用語が意図するとおりの核酸である。
【0047】
作動可能に連結されている(Operably Linked)
用語「作動可能に連結されている」は、本明細書に使用され得るとき、構成要素がそれらの通例のもしくは意図された機能を実施するように構成されている配列または領域の配置を指す。よって、コード配列へ作動可能に連結されている調節配列または制御配列は、コード配列の発現に影響を及ぼすことが可能である。調節配列または制御配列は、それらが正しい発現またはポリペプチド産生へ向かうよう機能する限り、コード配列と連続している必要はない。よって、非限定例として、翻訳されないが転写される介在配列は、プロモーター配列とコード配列との間に存在し得、かつプロモーター配列は依然としてコード配列へ作動可能に連結されていると考えられ得る。プロモーター配列は、本明細書に記載のとおり、RNAポリメラーゼの結合部位として作用する5'末の遺伝子からの距離が短いDNA調節領域である。プロモーター配列は、細胞中のRNAポリメラーゼに結合し得るか、および/または下流の(3'方向)コード配列の転写を開始し得る。プロモーター配列は、原核生物または真核生物において転写を開始することが可能なプロモーターであってもよい。真核生物のプロモーターのいくつかの非限定例は、サイトメガロウイルス(CMV)プロモーター、ニワトリベータ-アクチン(β-アクチン)(CBA)プロモーター、およびCBAプロモーター(CBh)のハイブリッド形態を包含する
【0048】
パーセント同一性
用語「パーセント同一性」、「配列同一性」、「%同一性」、「%配列同一性」、および%同一の」は、これらが本明細書に互換的に使用され得るとき、2つの配列(例として、核酸またはアミノ酸)間の類似性の定量的測定結果を指す。ヒトと他の種との間のゲノムDNA配列、イントロンおよびエキソン配列、およびアミノ酸配列のパーセント同一性は、種のタイプによって変動し、チンパンジーは、各カテゴリーにおけるすべての種のうち、ヒトと最も高いパーセント同一性を有する。
【0049】
2つの核酸配列のパーセント同一性の算出は、例えば、最適な比較をする目的から2つの配列をアラインすることによって実施され得る(例として、最適なアライメントのためにギャップが第1および第2の核酸配列の一方または両方に導入され得、比較目的から非同一配列が無視され得る)。ある態様において、比較目的からアラインされた配列の長さは、参照配列の長さの少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、または100%である。次いで、対応するヌクレオチド位置でのヌクレオチドが比較される。第1の配列中のある位置が、第2の配列中の対応する位置と同じヌクレオチドによって占有されている場合、そのとき分子はその位置にて同一である。2つの配列間のパーセント同一性は、2つの配列の最適なアライメントのために導入されることが必要なギャップの数および各ギャップの長さを考慮した、配列によって共有されている同一位置の数の関数である。
【0050】
2つの配列間の配列の比較およびパーセント同一性の決定は、数学アルゴリズムを使用して達成され得る。例えば、2ヌクレオチド配列間のパーセント同一性は、Computational Molecular Biology,Lesk,A.M.,ed.,Oxford University Press,New York,1988; Biocomputing:Informatics and Genome Projects,Smith,D.W.,ed.,Academic Press,New York,1993; Sequence Analysis in Molecular Biology,von Heinje,G.,Academic Press,1987; Computer Analysis of Sequence Data,Part I,Griffin,A.M.,and Griffin,H.G.,eds.,Humana Press,New Jersey,1994;およびSequence Analysis Primer,Gribskov,M.and Devereux,J.,eds.,M Stockton Press,New York,1991(これらの各々は、参照により本明細書に組み込まれる)に記載される方法などの方法を使用して決定され得る。例えば、2ヌクレオチド配列間のパーセント同一性は、PAM120重量残基表(weight residue table)、12のギャップ長ペナルティ、および4のギャップペナルティを使用するALIGNプログラム(version 2.0)中へ組み込まれている、MeyersおよびMiller(CABIOS,1989,4:11-17)のアルゴリズムを使用して決定され得る。2ヌクレオチド配列間のパーセント同一性は、代替的に、NWSgapdna.CMPマトリックスを使用するGCGソフトウェアパッケージにおけるGAPプログラムを使用して決定され得る。配列間のパーセント同一性を決定するのに一般的に採用される方法は、これらに限定されないが、Carillo,H., and Lipman,D.,SIAM J Applied Math.,48:1073(1988)(参照により本明細書に組み込まれる)に開示のものを包含する。同一性を決定するための技法は、公的に入手可能なコンピュータプログラムにおいて体系化されている。2つの配列間の相同性を決定するための例示のコンピュータソフトウェアは、これらに限定されないが、GCGプログラムパッケージ(Devereux,J.,et al.,Nucleic Acids Research,12(1),387(1984))、BLASTP、BLASTN、およびFASTA(Atschul,S.F.et al.,J.Molec.Biol.,215,403(1990))を包含する。
【0051】
パーセント同一性、またはその範囲(例として、少なくとも、より大きい、等々)が規定されているとき、別様に特定されない限り、端点は包含するものとし、その範囲(例として、少なくとも70%同一性)は、引用される範囲内のすべての範囲(例として、少なくとも71%、少なくとも72%、少なくとも73%、少なくとも74%、少なくとも75%、少なくとも76%、少なくとも77%、少なくとも78%、少なくとも79%、少なくとも80%、少なくとも81%、少なくとも82%、少なくとも83%、少なくとも84%、少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも95.5%、少なくとも96%、少なくとも96.5%、少なくとも97%、少なくとも97.5%、少なくとも98%、少なくとも98.5%、少なくとも99%、少なくとも99.5%、少なくとも99.6%、少なくとも99.7%、少なくとも99.8%、少なくとも99.9%の同一性)、およびすべてのそのきざみ幅(increments)(例として、パーセントの10分の1(すなわち、0.1%)、パーセントの100分の1(すなわち、0.01%)等々)を包含するものとする。
【0052】
調節配列
用語「調節配列」、「調節シグナル」、「制御配列」、および「制御シグナル」は、本明細書に互換的に使用され得るとき、具体的な核酸を発現するのを担うか、または他の配列(異種の、合成の、もしくは部分的に合成の配列など)を包含してもよい配列を指す。配列は、特異的なもしくは非特異的なやり方で、および誘導的なもしくは非誘導的なやり方で、遺伝子の転写を刺激または抑止する、真核生物の、原核生物の、あるいはウイルスの起源に属し得る。調節領域または制御領域は、複製の起源、RNAスプライス部位、イントロン、キメラまたはハイブリッドのイントロン、プロモーター、エンハンサー、転写終止配列、ポリA部位、遺伝子座制御領域、ポリペプチドを標的細胞の分泌経路中へ向かわせるシグナル配列、およびイントロンを包含してもよい。異種の調節領域は、それが連結されている発現核酸とは天然に関連しないものである。異種の調節領域のうち、異なる種からの調節領域、異なる遺伝子からの調節領域、ハイブリッド調節配列、および自然界には存在しないが当業者によって設計される調節配列が包含される。
【0053】
レポーター
用語「レポーター」、「レポータータグ」、「シグナル」、および「シグナルタグ」は、かかる用語が本明細書に互換的に使用され得るとき、対象分子を使用の最中に(例として、in vivo、in vitro、ex vivo)同定するために対象分子と結び付けられている分子(例として、ペプチド、核酸、他の部分)を指す。いずれの好適なレポーターも本明細書において、使用が企図される。レポーターおよびシグナルは当該技術分野において周知であって、かかるレポーターの選択および使用は、当業者によって容易に解されるであろう。例えば、限定せずに、緑色蛍光タンパク質は、クラゲから単離されたタンパク質Aequorea victoriaであって、青色光へ曝露されたときに緑色の蛍光を発する(例として、増強されたまたは波長がシフトしたバージョンのタンパク質)。いくつかの態様において、レポーターまたはシグナルは、緑色蛍光タンパク質(GFP)である。
【0054】
対象
用語「対象」は、本明細書に使用されるとき、本明細書の主題の使用を必要とするいずれの生物も指す。いくつかの態様において、使用は、本明細書の主題を使用する処置、またはこれを使用する診断を包含する。例えば、限定せずに、対象は、哺乳動物および非哺乳動物を包含していてもよい。本明細書に使用されるとき、「哺乳動物」は、哺乳類クラスを構成するいずれの動物(例として、ヒト、マウス、ラット、ネコ、イヌ、ヒツジ、ウサギ、ウマ、ウシ、ヤギ、ブタ、モルモット、ハムスター、ニワトリ、シチメンチョウ、または霊長目の非ヒト動物(例として、マーモセット、マカク))も指す。いくつかの態様において、哺乳動物は、ヒトである。
【0055】
標的細胞
用語「標的細胞」は、本明細書に使用されるとき、方法もしくは組成物の介入によって意図または所望される介入、作用、または効果の、意図または所望の標的である細胞を指す。いくつかの態様において、標的細胞は、単離された核酸、融合タンパク質、マイクロベシクル、または本明細書に記載のとおりのWAEVの宿主となり(host)、これを複製して、発現し得る細胞である。いくつかの態様において、標的細胞は、例えば、WAEVがかかる標的細胞のためにホーミング分子をディスプレーするときなど、治療用分子の送達が向けられる細胞である。いくつかの態様において、宿主細胞は、対象から採取される。いくつかの態様において、宿主細胞は、細胞株などの、対象から採取されない細胞に由来する。組織培養用の多種多様の細胞株が当該技術分野において知られている。細胞株の例は、これらに限定されないが、C8161、CCRF-CEM、MOLT、mIMCD-3、NHDF、HeLa-S3、Huh1、Huh4、Huh7、HUVEC、HASMC、HEKn、HEKa、MiaPaCell、Panc1、PC-3、TF1、CTLL-2、C1R、Rat6、CV1、RPTE、A10、T24、J82、A375、ARH-77、Calu1、SW480、SW620、SKOV3、SK-UT、CaCo2、P388D1、SEM-K2、WEHI-231、HB56、TIB55、Jurkat、J45.01、LRMB、Bcl-1、BC-3、IC21、DLD2、Raw264.7、NRK、NRK-52E、MRC5、MEF、Hep G2、HeLa B、HeLa T4、COS、COS-1、COS-6、COS-M6A、BS-C-1サル腎臓上皮、BALB/3T3マウス胚線維芽細胞、3T3 Swiss、3T3-L1、132-d5 ヒト胎児線維芽細胞;10.1マウス線維芽細胞、293-T、3T3、721、9L、A2780、A2780ADR、A2780cis、A172、A20、A253、A431、A-549、ALC、B16、B35、BCP-1細胞、BEAS-2B、bEnd.3、BHK-21、BR 293.BxPC3.C3H-10T1/2、C6/36、Cal-27、CHO、CHO-7、CHO-IR、CHO-K1、CHO-K2、CHO-T、CHO Dhfr -/-、COR-L23、COR-L23/CPR、COR-L23/5010、COR-L23/R23、COS-7、COV-434、CML T1、CMT、CT26、D17、DH82、DU145、DuCaP、EL4、EM2、EM3、EMT6/AR1、EMT6/AR10.0、FM3、H1299、H69、HB54、HB55、HCA2、HEK-293、HEK293T、HeLa、Hepa1c1c7、HL-60、HMEC、HT-29、Jurkat、JY細胞、K562細胞、Ku812、KCL22、KG1、KYO1、LNCap、Ma-Mel 1-48、MC-38、MCF-7、MCF-10A、MDA-MB-231、MDA-MB-468、MDA-MB-435、MDCK II、MDCK 11、MOR/0.2R、MONO-MAC 6、MTD-1A、MyEnd、NCI-H69/CPR、NCI-H69/LX10、NCI-H69/LX20、NCI-H69/LX4、NIH-3T3、NALM-1、NW-145、OPCN/OPCT細胞株、Peer、PNT-1A/PNT 2、RenCa、RIN-5F、RMA/RMAS、Saos-2細胞、Sf-9、SkBr3、T2、T-47D、T84、THP1細胞株、U373、U87、U937、VCaP、Vero細胞、WM39、WT-49、X63、YAC-1、YAR、およびこれらのトランスジェニック品種を包含する。細胞株は、当業者に知られている様々な供給源(例として、American Type Culture Collection(ATCC)(Manassus,Va.))から入手可能である。
【0056】
膜貫通ドメイン
用語「膜貫通ドメイン」は、本明細書に使用され得るとき、分子を含有した膜(例として、細胞、ベシクル、EV、もしくはWAEV)の膜に架かり、タンパク質またはポリペプチドのドメインを指し、より大きなタンパク質構造体の複数のドメイン(例として、WW含有ドメイン、細胞外ドメイン)を潜在的に結び付けている。いくつかの態様において、膜貫通ドメインは、融合タンパク質のドメインを含む。いくつかの態様において、膜貫通ドメインは、膜の内部に位置付けられるドメインと膜の外部に位置付けられるドメインとに対し中心的に位置する。いくつかの態様において、膜は、脂質ベースの層である。いくつかの態様において、脂質ベースの層は、脂質二重層である。いくつかの態様において、脂質層は、脂質単層である。いくつかの態様において、脂質膜は、細胞膜である。いくつかの態様において、脂質膜は、細胞外ベシクルの脂質層である。いくつかの態様において、細胞外ベシクルは、WAEVである。膜貫通ドメインは、膜に1回または複数回架かってもよく、融合タンパク質のドメインを膜にわたり接続することを担い得る。いずれの膜貫通ドメインも本明細書において使用が企図される。膜貫通ドメインは、当該技術分野において知られているかまたは本明細書に記載されるいずれの方法を使用して、例としてUniProt Databaseを使用することによって同定され得る。
【0057】
処置
用語「処置」、「処置する」、および「処置すること」は、本明細書に互換的に使用され得るとき、1以上の症状、または具体的な適応症、疾患、障害、疾病、および/もしくはその症状の1以上の特色を、部分的または完全に、軽減すること(alleviating)、改善すること(ameliorating)、緩和すること(relieving)、その発病を遅延すること、その進行を阻害すること、その重症度を低減すること(reducing)、および/またはその発生率を低減することを指す。いくつかの態様において、処置は、臨床的介入を指す。いくつかの態様において、処置は、1以上の症状が発症した後および/または疾患が診断された後に、施されてもよい。他の態様において、処置は、症状の不在時に(例として、症状の発病を予防もしくは遅延させるため、または疾患の発病もしくは進行を阻害するため)施されてもよい。例えば、処置は、感受性のある個体(例として、対象)へ、症状の発現に先立ち(例として、症状の経歴の視点から、および/または遺伝子のもしくは他の感受性因子の視点から)施されてもよい。いくつかの態様において、処置は、予防法として使用および/または施される。処置はまた、例えばそれらの再発を予防または遅延させるため、症状が消散した後にも継続されてもよい。
【0058】
WW含有ドメイン
用語「WW含有ドメイン」および「WWドメイン」は、本明細書に互換的に使用され得るとき、タンパク質-タンパク質相互作用を短いプロリンリッチモチーフまたはプロリン含有モチーフで媒介する、2つの塩基性残基をC末端にて有するタンパク質ドメインを指す。WW含有ドメインの2つの塩基性残基(例として、ヒスチジン(H)、アルギニン(R)、および/またはリシン(K)のいずれか2つ)が、WW含有タンパク質ドメインの絶対的C末端(例として、C末端の最終残基)にあることを要さないことは解されるべきである。むしろ、2つの塩基性残基は、WW含有タンパク質ドメインのC末側の部分(例として、WW含有タンパク質ドメインのC末側の半分)にあってもよい。いくつかの態様において、WW含有ドメインは、少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、または10トリプトファン(W)残基を含有する。いくつかの態様において、WW含有ドメインは、少なくとも2つのW残基を含有する。いくつかの態様において、少なくとも2つのW残基は、15アミノ酸から25アミノ酸までによって相隔たる。いくつかの態様において、少なくとも2つのW残基は、19アミノ酸から23アミノ酸までによって相隔たる。いくつかの態様において、少なくとも2つのW残基は、20アミノ酸から22アミノ酸までによって相隔たる。2つの塩基性C末アミノ酸残基を保有するWW含有ドメインは、短いプロリンリッチモチーフまたはプロリン含有モチーフ(例として、PPXY(配列番号22)モチーフ)と結び付く能力を有していてもよい。WW含有ドメインは、コアがプロリンリッチ配列のモチーフ(PPXY(配列番号22)など、(数ある中でも)SCAMP3に見出されるモチーフなど)を包含する様々な別個のペプチドリガンドに結合する。WW含有ドメインは、2つの識別特性であるトリプトファン残基が20~22アミノ酸間隔にある30~40アミノ酸のタンパク質相互作用ドメインであってもよい。WW含有ドメインの3次元構造は、一般に2つのリガンド結合溝をもつ三連の逆平行βシートに折り畳まれることを示す。
【0059】
WW含有ドメインは、多くの真核生物に見出されており、およそ50のヒトタンパク質に存在する(Bork,P. & Sudol,M. The WW domain:a signaling site in dystrophin? Trends Biochem Sci 19,531-533(1994))。WW含有ドメインは、NEDD4ファミリータンパク質中のC2、FE65タンパク質中のホスホチロシン結合(PTB)ドメイン、CA150およびFBPIl中のFFドメイン、ならびにPLEKHA5中のプレクストリン相同性(PH)ドメインなどの膜標的化ドメインを包含する、数個の他の相互作用ドメインと一緒に存在していてもよい。NEDD4 E3リガーゼタンパク質は、必ずしもこれらに限定されないが、ITCH、NEDD4、NEDD4 L、WWP1、WWP2、Smurf1、Smurf2、BUL1、およびNEDL2を包含する。WW含有ドメインはまた、NEDD4ファミリータンパク質中のHECT E3タンパク質-ユビキチンリガーゼドメイン、Pinl中のロトメラーゼ(rotomerase)ドメインまたはペプチジルプロリルイソメラーゼドメイン、ならびにArhGAP9およびArhGAP12中のRho GAPドメインを包含する、様々な触媒ドメインへも連結されている。
【0060】
本開示において、WW含有ドメインは、2つの塩基性アミノ酸をC末端にて天然に保有するWW含有ドメインであってもよい。いくつかの態様において、WW含有ドメインまたはWW含有ドメインバリアントは、ヒトユビキチンリガーゼWWP1、WWP2、Nedd4-1、Nedd4-2、Smurf1、Smurf2、ITCH、NEDL1、またはNEDL2からのものであってもよい。WW含有ドメイン含有タンパク質の例示のアミノ酸配列(下線が引かれたWW含有ドメイン)が下に列挙される。例示タンパク質のWW含有ドメインまたはWW含有ドメインバリアントのいずれも、本発明に使用されてもよく、本明細書に記載されており、限定されることを意図していないことは解されるべきである。
【0061】
ヒトWWP1アミノ酸配列(uniprot.org/uniprot/Q9H0M0)。下線が引かれた4つのWWドメインは、アミノ酸349~382(WW1)、381~414(WW2)、456~489(WW3)、および496~529(WW4)に対応する。
MATASPRSDT SNNHSGRLQL QVTVSSAKLK RKKNWFGTAI YTEVVVDGEI 50
TKTAKSSSSS NPKWDEQLTV NVTPQTTLEF QVWSHRTLKA DALLGKATID 100
LKQALLIHNR KLERVKEQLK LSLENKNGIA QTGELTVVLD GLVIEQENIT 150
NCSSSPTIEI QENGDALHEN GEPSARTTAR LAVEGTNGID NHVPTSTLVQ 200
NSCCSYVVNG DNTPSSPSQV AARPKNTPAP KPLASEPADD TVNGESSSFA 250
PTDNASVTGT PVVSEENALS PNCTSTTVED PPVQEILTSS ENNECIPSTS 300
AELESEARSI LEPDTSNSRS SSAFEAAKSR QPDGCMDPVR QQSGNANTET 350
LPSGWEQRKD PHGRTYYVDH NTRTTTWERP QPLPPGWERR VDDRRRVYYV 400
DHNTRTTTWQ RPTMESVRNF EQWQSQRNQL QGAMQQFNQR YLYSASMLAA 450
ENDPYGPLPP
GWEKRVDSTD RVYFVNHNTK TTQWEDPRTQ GLQNEEPLPE 500
GWEIRYTREG VRYFVDHNTR TTTFKDPRNG KSSVTKGGPQ IAYERGFRWK 550
LAHFRYLCQS NALPSHVKIN VSRQTLFEDS FQQIMALKPY DLRRRLYVIF 600
RGEEGLDYGG LAREWFFLLS HEVLNPMYCL FEYAGKNNYC LQINPASTIN 650
PDHLSYFCFI GRFIAMALFH GKFIDTGFSL PFYKRMLSKK LTIKDLESID 700
TEFYNSLIWI RDNNIEECGL EMYFSVDMEI LGKVTSHDLK LGGSNILVTE 750
ENKDEYIGLM TEWRFSRGVQ EQTKAFLDGF NEVVPLQWLQ YFDEKELEVM 800
LCGMQEVDLA DWQRNTVYRH YTRNSKQIIW FWQFVKETDN EVRMRLLQFV 850
TGTCRLPLGG FAELMGSNGP QKFCIEKVGK DTWLPRSHTC FNRLDLPPYK 900
SYEQLKEKLL FAIEETEGFG QE (配列番号25) 922
WW1(349~382):
ETLPSGWEQRKDPHGRTYYVDHNTRTTTWERPQP(配列番号26)。
WW2(381~414):
QPLPPGWERRVDDRRRVYYVDHNTRTTTWQRPTM(配列番号27)。
WW3(456~489):
ENDPYGPLPPGWEKRVDSTDRVYFVNHNTKTTQWEDPRT(配列番号28)。
WW4(496~529):
EPLPEGWEIRYTREGVRYFVDHNTRTTTFKDPRN(配列番号29)。
【0062】
ヒトWWP2アミノ酸配列(uniprot.org/uniprot/O00308)。下線が引かれた4つのWWドメインは、アミノ酸300~333(WW1)、330~363(WW2)、405~437(WW3)、および444~547(WW4)に対応する。
MASASSSRAG VALPFEKSQL TLKVVSAKPK VHNRQPRINS YVEVAVDGLP 50
SETKKTGKRI GSSELLWNEI IILNVTAQSH LDLKVWSCHT LRNELLGTAS 100
VNLSNVLKNN GGKMENMQLT LNLQTENKGS VVSGGELTIF LDGPTVDLGN 150
VPNGSALTDG SQLPSRDSSG TAVAPENRHQ PPSTNCFGGR SRTHRHSGAS 200
ARTTPATGEQ SPGARSRHRQ PVKNSGHSGL ANGTVNDEPT TATDPEEPSV 250
VGVTSPPAAP LSVTPNPNTT SLPAPATPAE GEEPSTSGTQ QLPAAAQAPD 300
ALPAGWEQRE LPNGRVYYVD HNTKTTTWER
PLPPGWEKRT DPRGRFYYVD 350
HNTRTTTWQR PTAEYVRNYE QWQSQRNQLQ GAMQHFSQRF LYQSSSASTD 400
HDPLGPLPPG
WEKRQDNGRV YYVNHNTRTT QWEDPRTQGM IQEPALPPGW 450
EMKYTSEGVR YFVDHNTRTT TFKDPRPGFE SGTKQGSPGA YDRSFRWKYH 500
QFRFLCHSNA LPSHVKISVS RQTLFEDSFQ QIMNMKPYDL RRRLYIIMRG 550
EEGLDYGGIA REWFFLLSHE VLNPMYCLFE YAGKNNYCLQ INPASSINPD 600
HLTYFRFIGR FIAMALYHGK FIDTGFTLPF YKRMLNKRPT LKDLESIDPE 650
FYNSIVWIKE NNLEECGLEL YFIQDMEILG KVTTHELKEG GESIRVTEEN 700
KEEYIMLLTD WRFTRGVEEQ TKAFLDGFNE VAPLEWLRYF DEKELELMLC 750
GMQEIDMSDW QKSTIYRHYT KNSKQIQWFW QVVKEMDNEK RIRLLQFVTG 800
TCRLPVGGFA ELIGSNGPQK FCIDKVGKET WLPRSHTCFN RLDLPPYKSY 850
EQLREKLLYA IEETEGFGQE (配列番号30) 870
WW1(300~333):
DALPAGWEQRELPNGRVYYVDHNTKTTTWERPLP(配列番号31)。
WW2(330~363):
PLPPGWEKRT DPRGRFYYVDHNTRTTTWQRPTA(配列番号32)。
WW3(405~437):
HDPLGPLPPGWEKRQDNGRVYYVNHNTRTTQWEDPRT(配列番号33)。
WW4(444~477):
PALPPGWEMKYTSEGVRYFVDHNTRTTTFKDPRP(配列番号34)。
【0063】
ヒトNedd4-1アミノ酸配列(uniprot.org/uniprot/P46934)。下線が引かれた4つのWWドメインは、アミノ酸610~643(WW1)、767~800(WW2)、840~873(WW3)、および892~925(WW4)に対応する。
MAQSLRLHFA ARRSNTYPLS ETSGDDLDSH VHMCFKRPTR ISTSNVVQMK 50
LTPRQTALAP LIKENVQSQE RSSVPSSENV NKKSSCLQIS LQPTRYSGYL 100
QSSNVLADSD DASFTCILKD GIYSSAVVDN ELNAVNDGHL VSSPAICSGS 150
LSNFSTSDNG SYSSNGSDFG SCASITSGGS YTNSVISDSS SYTFPPSDDT 200
FLGGNLPSDS TSNRSVPNRN TTPCEIFSRS TSTDPFVQDD LEHGLEIMKL 250
PVSRNTKIPL KRYSSLVIFP RSPSTTRPTS PTSLCTLLSK GSYQTSHQFI 300
ISPSEIAHNE DGTSAKGFLS TAVNGLRLSK TICTPGEVRD IRPLHRKGSL 350
QKKIVLSNNT PRQTVCEKSS EGYSCVSVHF TQRKAATLDC ETTNGDCKPE 400
MSEIKLNSDS EYIKLMHRTS ACLPSSQNVD CQININGELE RPHSQMNKNH 450
GILRRSISLG GAYPNISCLS SLKHNCSKGG PSQLLIKFAS GNEGKVDNLS 500
RDSNRDCTNE LSNSCKTRDD FLGQVDVPLY PLPTENPRLE RPYTFKDFVL 550
HPRSHKSRVK GYLRLKMTYL PKTSGSEDDN AEQAEELEPG WVVLDQPDAA 600
CHLQQQQEPS
PLPPGWEERQ DILGRTYYVN HESRRTQWKR PTPQDNLTDA 650
ENGNIQLQAQ RAFTTRRQIS EETESVDNRE SSENWEIIRE DEATMYSNQA 700
FPSPPPSSNL DVPTHLAEEL NARLTIFGNS AVSQPASSSN HSSRRGSLQA 750
YTFEEQPTLP VLLPTSSGLP PGWEEKQDER GRSYYVDHNS RTTTWTKPTV 800
QATVETSQLT SSQSSAGPQS QASTSDSGQQ VTQPSEIEQG FLPKGWEVRH 850
APNGRPFFID HNTKTTTWED PRLKIPAHLR GKTSLDTSND LGPLPPGWEE 900
RTHTDGRIFY INHNIKRTQW EDPRLENVAI TGPAVPYSRD YKRKYEFFRR 950
KLKKQNDIPN KFEMKLRRAT VLEDSYRRIM GVKRADFLKA RLWIEFDGEK 1000
GLDYGGVARE WFFLISKEMF NPYYGLFEYS ATDNYTLQIN PNSGLCNEDH 1050
LSYFKFIGRV AGMAVYHGKL LDGFFIRPFY KMMLHKPITL HDMESVDSEY 1100
YNSLRWILEN DPTELDLRFI IDEELFGQTH QHELKNGGSE IVVTNKNKKE 1150
YIYLVIQWRF VNRIQKQMAA FKEGFFELIP QDLIKIFDEN ELELLMCGLG 1200
DVDVNDWREH TKYKNGYSAN HQVIQWFWKA VLMMDSEKRI RLLQFVTGTS 1250
RVPMNGFAEL YGSNGPQSFT VEQWGTPEKL PRAHTCFNRL DLPPYESFEE 1300
LWDKLQMAIE NTQGFDGVD (配列番号35) 1319
WW1(610~643):
SPLPPGWEERQDILGRTYYVNHESRRTQWKRPTP(配列番号36)。
WW2(767~800):
SGLPPGWEEKQDERGRSYYVDHNSRTTTWTKPTV(配列番号37)。
WW3(840~873):
GFLPKGWEVRHAPNGRPFFIDHNTKTTTWEDPRL(配列番号38)。
WW4(892~925):
GPLPPGWEERTHTDGRIFYINHNIKRTQWEDPRL(配列番号39)。
【0064】
ヒトNedd4-2アミノ酸配列(>gi|21361472|ref|NP_056092.2|E3ユビキチン-タンパク質リガーゼNEDD4様アイソフォーム3[Homo sapiens])。下線が引かれた4つのWWドメインは、アミノ酸198~224(WW1)、368~396(WW2)、480~510(WW3)、および531~561(WW4)に対応する。
MATGLGEPVYGLSEDEGESRILRVKVVSGIDLAKKDIFGASDPYVKLSLYVADENRELALVQTKTIKKTLNPKWNEEFYFRVNPSNHRLLFEVFDENRLTRDDFLGQVDVPLSHLPTEDPTMERPYTFKDFLLRPRSHKSRVKGFLRLKMAYMPKNGGQDEENSDQRDDMEHGWEVVDSNDSASQHQEELPPPPLPPGWEEKVDNLGRTYYVNHNNRTTQWHRPSLMDVSSESDNNIRQINQEAAHRRFRSRRHISEDLEPEPSEGGDVPEPWETISEEVNIAGDSLGLALPPPPASPGSRTSPQELSEELSRRLQITPDSNGEQFSSLIQREPSSRLRSCSVTDAVAEQGHLPPPSVAYVHTTPGLPSGWEERKDAKGRTYYVNHNNRTTTWTRPIMQLAEDGASGSATNSNNHLIEPQIRRPRSLSSPTVTLSAPLEGAKDSPVRRAVKDTLSNPQSPQPSPYNSPKPQHKVTQSFLPPGWEMRIAPNGRPFFIDHNTKTTTWEDPRLKFPVHMRSKTSLNPNDLGPLPPGWEERIHLDGRTFYIDHNSKITQWEDPRLQNPAITGPAVPYSREFKQKYDYFRKKLKKPADIPNRFEMKLHRNNIFEESYRRIMSVKRPDVLKARLWIEFESEKGLDYGGVAREWFFLLSKEMFNPYYGLFEYSATDNYTLQINPNSGLCNEDHLSYFTFIGRVAGLAVFHGKLLDGFFIRPFYKMMLGKQITLNDMESVDSEYYNSLKWILENDPTELDLMFCIDEENFGQTYQVDLKPNGSEIMVTNENKREYIDLVIQWRFVNRVQKQMNAFLEGFTELLPIDLIKIFDENELELLMCGLGDVDVNDWRQHSIYKNGYCPNHPVIQWFWKAVLLMDAEKRIRLLQFVTGTSRVPMNGFAELYGSNGPQLFTIEQWGSPEKLPRAHTCFNRLDLPPYETFEDLREKLLMAVENAQGFEGVD(配列番号40)
WW1(198~224):
GWEEKVDNLGRTYYVNHNNRTTQWHRP(配列番号41)。
WW2(368~396):
PSGWEERKDAKGRTYYVNHNNRTTTWTRP(配列番号42)。
WW3(480~510):
PPGWEMRIAPNGRPFFIDHNTKTTTWEDPRL(配列番号43)。
WW4(531~561):
PPGWEERIHLDGRTFYIDHNSKITQWEDPRL(配列番号44)。
【0065】
ヒトSmurf1アミノ酸配列(uniprot.org/uniprot/Q9HCE7)。下線が引かれた2つのWWドメインは、アミノ酸234~267(WW1)および306~339(WW2)に対応する。
MSNPGTRRNG SSIKIRLTVL CAKNLAKKDF FRLPDPFAKI VVDGSGQCHS 50
TDTVKNTLDP KWNQHYDLYV GKTDSITISV WNHKKIHKKQ GAGFLGCVRL 100
LSNAISRLKD TGYQRLDLCK LNPSDTDAVR GQIVVSLQTR DRIGTGGSVV 150
DCRGLLENEG TVYEDSGPGR PLSCFMEEPA PYTDSTGAAA GGGNCRFVES 200
PSQDQRLQAQ RLRNPDVRGS LQTPQNRPHG HQSPELPEGY
EQRTTVQGQV 250
YFLHTQTGVS TWHDPRIPSP SGTIPGGDAA FLYEFLLQGH TSEPRDLNSV 300
NCDELGPLPP GWEVRSTVSG RIYFVDHNNR TTQFTDPRLH HIMNHQCQLK 350
EPSQPLPLPS EGSLEDEELP AQRYERDLVQ KLKVLRHELS LQQPQAGHCR 400
IEVSREEIFE ESYRQIMKMR PKDLKKRLMV KFRGEEGLDY GGVAREWLYL 450
LCHEMLNPYY GLFQYSTDNI YMLQINPDSS INPDHLSYFH FVGRIMGLAV 500
FHGHYINGGF TVPFYKQLLG KPIQLSDLES VDPELHKSLV WILENDITPV 550
LDHTFCVEHN AFGRILQHEL KPNGRNVPVT EENKKEYVRL YVNWRFMRGI 600
EAQFLALQKG FNELIPQHLL KPFDQKELEL IIGGLDKIDL NDWKSNTRLK 650
HCVADSNIVR WFWQAVETFD EERRARLLQF VTGSTRVPLQ GFKALQGSTG 700
AAGPRLFTIH LIDANTDNLP KAHTCFNRID IPPYESYEKL YEKLLTAVEE 750
TCGFAVE (配列番号45) 757
WW1(234~267):
PELPEGYEQRTTVQGQVYFLHTQTGVSTWHDPRI(配列番号46)。
WW2(306~339):
GPLPPGWEVRSTVSGRIYFVDHNNRTTQFTDPRL(配列番号47)。
【0066】
ヒトSmurf2アミノ酸配列(uniprot.org/uniprot/Q9HAU4)。下線が引かれた3つのWWドメインは、アミノ酸157~190(WW1)、251~284(WW2)、および297~330(WW3)に対応する。
MSNPGGRRNG PVKLRLTVLC AKNLVKKDFF RLPDPFAKVV VDGSGQCHST 50
DTVKNTLDPK WNQHYDLYIG KSDSVTISVW NHKKIHKKQG AGFLGCVRLL 100
SNAINRLKDT GYQRLDLCKL GPNDNDTVRG QIVVSLQSRD RIGTGGQVVD 150
CSRLFDNDLP DGWEERRTAS GRIQYLNHIT RTTQWERPTR PASEYSSPGR 200
PLSCFVDENT PISGTNGATC GQSSDPRLAE RRVRSQRHRN YMSRTHLHTP 250
PDLPEGYEQR TTQQGQVYFL HTQTGVSTWH DPRVPRDLSN INCEELGPLP 300
PGWEIRNTAT GRVYFVDHNN RTTQFTDPRL SANLHLVLNR QNQLKDQQQQ 350
QVVSLCPDDT ECLTVPRYKR DLVQKLKILR QELSQQQPQA GHCRIEVSRE 400
EIFEESYRQV MKMRPKDLWK RLMIKFRGEE GLDYGGVARE WLYLLSHEML 450
NPYYGLFQYS RDDIYTLQIN PDSAVNPEHL SYFHFVGRIM GMAVFHGHYI 500
DGGFTLPFYK QLLGKSITLD DMELVDPDLH NSLVWILEND ITGVLDHTFC 550
VEHNAYGEII QHELKPNGKS IPVNEENKKE YVRLYVNWRF LRGIEAQFLA 600
LQKGFNEVIP QHLLKTFDEK ELELIICGLG KIDVNDWKVN TRLKHCTPDS 650
NIVKWFWKAV EFFDEERRAR LLQFVTGSSR VPLQGFKALQ GAAGPRLFTI 700
HQIDACTNNL PKAHTCFNRI DIPPYESYEK LYEKLLTAIE ETCGFAVE 748
(配列番号48)
WW1(157~190):
NDLPDGWEERRTASGRIQYLNHITRTTQWERPTR(配列番号49)。
WW2(251~284):
PDLPEGYEQRTTQQGQVYFLHTQTGVSTWHDPRV(配列番号50)。
WW3(297~330):
GPLPPGWEIRNTATGRVYFVDHNNRTTQFTDPRL(配列番号51)。
【0067】
ヒトITCHアミノ酸配列(uniprot.org/uniprot/Q96J02)。下線が引かれた4つのWWドメインは、アミノ酸326~359(WW1)、358~391(WW2)、438~471(WW3)、および478~511(WW4)に対応する。
MSDSGSQLGS MGSLTMKSQL QITVISAKLK ENKKNWFGPS PYVEVTVDGQ 50
SKKTEKCNNT NSPKWKQPLT VIVTPVSKLH FRVWSHQTLK SDVLLGTAAL 100
DIYETLKSNN MKLEEVVVTL QLGGDKEPTE TIGDLSICLD GLQLESEVVT 150
NGETTCSENG VSLCLPRLEC NSAISAHCNL CLPGLSDSPI SASRVAGFTG 200
ASQNDDGSRS KDETRVSTNG SDDPEDAGAG ENRRVSGNNS PSLSNGGFKP 250
SRPPRPSRPP PPTPRRPASV NGSPSATSES DGSSTGSLPP TNTNTNTSEG 300
ATSGLIIPLT ISGGSGPRPL NPVTQAPLPP GWEQRVDQHG RVYYVDHVEK 350
RTTWDRPEPL PPGWERRVDN MGRIYYVDHF TRTTTWQRPT LESVRNYEQW 400
QLQRSQLQGA MQQFNQRFIY GNQDLFATSQ SKEFDPLGPL
PPGWEKRTDS 450
NGRVYFVNHN TRITQWEDPR SQGQLNEKPL
PEGWEMRFTV DGIPYFVDHN 500
RRTTTYIDPR TGKSALDNGP QIAYVRDFKA KVQYFRFWCQ QLAMPQHIKI 550
TVTRKTLFED SFQQIMSFSP QDLRRRLWVI FPGEEGLDYG GVAREWFFLL 600
SHEVLNPMYC LFEYAGKDNY CLQINPASYI NPDHLKYFRF IGRFIAMALF 650
HGKFIDTGFS LPFYKRILNK PVGLKDLESI DPEFYNSLIW VKENNIEECD 700
LEMYFSVDKE ILGEIKSHDL KPNGGNILVT EENKEEYIRM VAEWRLSRGV 750
EEQTQAFFEG FNEILPQQYL QYFDAKELEV LLCGMQEIDL NDWQRHAIYR 800
HYARTSKQIM WFWQFVKEID NEKRMRLLQF VTGTCRLPVG GFADLMGSNG 850
PQKFCIEKVG KENWLPRSHT CFNRLDLPPY KSYEQLKEKL LFAIEETEGF 900
GQE (配列番号1) 903
ITCH WW1(326~359):
APLPPGWEQRVDQHGRVYYVDHVEKRTTWDRPEP(配列番号13)。
ITCH WW2(358~391):
EPLPPGWERRVDNMGRIYYVDHFTRTTTWQRPTL(配列番号14)。
ITCH WW3(438~471):
GPLPPGWEKRTDSNGRVYFVNHNTRITQWEDPRS(配列番号4)。
ITCH WW4(478~511):
KPLPEGWEMRFTVDGIPYFVDHNRRTTTYIDPRT(配列番号6)。
【0068】
ヒトNEDL1アミノ酸配列(uniprot.org/uniprot/Q76N89)。下線が引かれた2つのWWドメインは、アミノ酸829~862(WW1)および1018~1051(WW2)に対応する。
MLLHLCSVKN LYQNRFLGLA AMASPSRNSQ SRRRCKEPLR YSYNPDQFHN 50
MDLRGGPHDG VTIPRSTSDT DLVTSDSRST LMVSSSYYSI GHSQDLVIHW 100
DIKEEVDAGD WIGMYLIDEV LSENFLDYKN RGVNGSHRGQ IIWKIDASSY 150
FVEPETKICF KYYHGVSGAL RATTPSVTVK NSAAPIFKSI GADETVQGQG 200
SRRLISFSLS DFQAMGLKKG MFFNPDPYLK ISIQPGKHSI FPALPHHGQE 250
RRSKIIGNTV NPIWQAEQFS FVSLPTDVLE IEVKDKFAKS RPIIKRFLGK 300
LSMPVQRLLE RHAIGDRVVS YTLGRRLPTD HVSGQLQFRF EITSSIHPDD 350
EEISLSTEPE SAQIQDSPMN NLMESGSGEP RSEAPESSES WKPEQLGEGS 400
VPDGPGNQSI ELSRPAEEAA VITEAGDQGM VSV-GPEGAGE LLAQVQKDIQ 450
PAPSAEELAE QLDLGEEASA LLLEDGEAPA STKEEPLEEE ATTQSRAGRE 500
EEEKEQEEEG DVSTLEQGEG RLQLRASVKR KSRPCSLPVS ELETVIASAC 550
GDPETPRTHY IRIHTLLHSM PSAQGGSAAE EEDGAEEEST LKDSSEKDGL 600
SEVDTVAADP SALEEDREEP EGATPGTAHP GHSGGHFPSL ANGAAQDGDT 650
HPSTGSESDS SPRQGGDHSC EGCDASCCSP SCYSSSCYST SCYSSSCYSA 700
SCYSPSCYNG NRFASHTRFS SVDSAKISES TVFSSQDDEE EENSAFESVP 750
DSMQSPELDP ESTNGAGPWQ DELAAPSGHV ERSPEGLESP VAGPSNRREG 800
ECPILHNSQP VSQLPSLRPE HHHYPTIDEP LPPNWEARID SHGRVFYVDH 850
VNRTTTWQRP TAAATPDGMR RSGSIQQMEQ LNRRYQNIQR TIATERSEED 900
SGSQSCEQAP AGGGGGGGSD SEAESSQSSL DLRREGSLSP VNSQKITLLL 950
QSPAVKFITN PEFFTVLHAN YSAYRVFTSS TCLKHMILKV RRDARNFERY 1000
QHNRDLVNFI NMFADTRLEL PRGWEIKTDQ QGKSFFVDHN SRATTFIDPR 1050
IPLQNGRLPN HLTHRQHLQR LRSYSAGEAS EVSRNRGASL LARPGHSLVA 1100
AIRSQHQHES LPLAYNDKIV AFLRQPNIFE MLQERQPSLA RNHTLREKIH 1150
YIRTEGNHGL EKLSCDADLV ILLSLFEEEI MSYVPLQAAF HPGYSFSPRC 1200
SPCSSPQNSP GLQRASARAP SPYRRDFEAK LRNFYRKLEA KGFGQGPGKI 1250
KLIIRRDHLL EGTFNQVMAY SRKELQRNKL YVTFVGEEGL DYSGPSREFF 1300
FLLSQELFNP YYGLFEYSAN DTYTVQISPM SAFVENHLEW FRFSGRILGL 1350
ALIHQYLLDA FFTRPFYKAL LRLPCDLSDL EYLDEEFHQS LQWMKDNNIT 1400
DILDLTFTVN EEVFGQVTER ELKSGGANTQ VTEKNKKEYI ERMVKWRVER 1450
GVVQQTEALV RGFYEVVDSR LVSVFDAREL ELVIAGTAEI DLNDWRNNTE 1500
YRGGYHDGHL VIRWFWAAVE RFNNEQRLRL LQFVTGTSSV PYEGFAALRG 1550
SNGLRRFCIE KWGKITSLPR AHTCFNRLDL PPYPSYSMLY EKLLTAVEET 1600
STFGLE (配列番号52) 1606
WW1(829~862):
PLPPNWEARIDSHGRVFYVDHVNRTTTWQRPTA(配列番号53)。
WW2(1018~1051):
LELPRGWEIKTDQQGKSFFVDHNSRATTFIDPRI(配列番号54)。
【0069】
ヒトNEDL2アミノ酸配列(uniprot.org/uniprot/ Q9P2P5)。下線が引かれた2つのWWドメインは、アミノ酸807~840(WW1)および985~1018(WW2)に対応する。
MASSAREHLL FVRRRNPQMR YTLSPENLQS LAAQSSMPEN MTLQRANSDT 50
DLVTSESRSS LTASMYEYTL GQAQNLIIFW DIKEEVDPSD WIGLYHIDEN 100
SPANFWDSKN RGVTGTQKGQ IVWRIEPGPY FMEPEIKICF KYYHGISGAL 150
RATTPCITVK NPAVMMGAEG MEGGASGNLH SRKLVSFTLS DLRAVGLKKG 200
MFFNPDPYLK MSIQPGKKSS FPTCAHHGQE RRSTIISNTT NPIWHREKYS 250
FFALLTDVLE IEIKDKFAKS RPIIKRFLGK LTIPVQRLLE RQAIGDQMLS 300
YNLGRRLPAD HVSGYLQFKV EVTSSVHEDA SPEAVGTILG VNSVNGDLGS 350
PSDDEDMPGS HHDSQVCSNG PVSEDSAADG TPKHSFRTSS TLEIDTEELT 400
STSSRTSPPR GRQDSLNDYL DAIEHNGHSR PGTATCSERS MGASPKLRSS 450
FPTDTRLNAM LHIDSDEEDH EFQQDLGYPS SLEEEGGLIM FSRASRADDG 500
SLTSQTKLED NPVENEEAST HEAASFEDKP ENLPELAESS LPAGPAPEEG 550
EGGPEPQPSA DQGSAELCGS QEVDQPTSGA DTGTSDASGG SRRAVSETES 600
LDQGSEPSQV SSETEPSDPA RTESVSEAST RPEGESDLEC ADSSCNESVT 650
TQLSSVDTRC SSLESARFPE TPAFSSQEEE DGACAAEPTS SGPAEGSQES 700
VCTAGSLPVV QVPSGEDEGP GAESATVPDQ EELGEVWQRR GSLEGAAAAA 750
ESPPQEEGSA GEAQGTCEGA TAQEEGATGG SQANGHQPLR SLPSVRQDVS 800
RYQRVDEALP PNWEARIDSH GRIFYVDHVN RTTTWQRPTA PPAPQVLQRS 850
NSIQQMEQLN RRYQSIRRTM TNERPEENTN AIDGAGEEAD FHQASADFRR 900
ENILPHSTSR SRITLLLQSP PVKFLISPEF FTVLHSNPSA YRMFTNNTCL 950
KHMITKVRRD THHFERYQHN RDLVGFLNMF ANKQLELPRG WEMKHDHQGK 1000
AFFVDHNSRT TTFIDPRLPL QSSRPTSALV HRQHLTRQRS HSAGEVGEDS 1050
RHAGPPVLPR PSSTFNTVSR PQYQDMVPVA YNDKIVAFLR QPNIFEILQE 1100
RQPDLTRNHS LREKIQFIRT EGTPGLVRLS SDADLVMLLS LFEEEIMSYV 1150
PPHALLHPSY CQSPRGSPVS SPQNSPGTQR ANARAPAPYK RDFEAKLRNF 1200
YRKLETKGYG QGPGKLKLII RRDHLLEDAF NQIMGYSRKD LQRNKLYVTF 1250
VGEEGLDYSG PSREFFFLVS RELFNPYYGL FEYSANDTYT VQISPMSAFV 1300
DNHHEWFRFS GRILGLALIH QYLLDAFFTR PFYKALLRIL CDLSDLEYLD 1350
EEFHQSLQWM KDNDIHDILD LTFTVNEEVF GQITERELKP GGANIPVTEK 1400
NKKEYIERMV KWRIERGVVQ QTESLVRGFY EVVDARLVSV FDARELELVI 1450
AGTAEIDLSD WRNNTEYRGG YHDNHIVIRW FWAAVERFNN EQRLRLLQFV 1500
TGTSSIPYEG FASLRGSNGP RRFCVEKWGK ITALPRAHTC FNRLDLPPYP 1550
SFSMLYEKLL TAVEETSTFG LE (配列番号55) 1572
WW1(807~840):
EALPPNWEARIDSHGRIFYVDHVNRTTTWQRPTA(配列番号56)。
WW2(985~1018):
LELPRGWEMKHDHQGKAFFVDHNSRTTTFIDPRL(配列番号57)。
【0070】
いくつかの態様において、WW含有ドメインは、本質的にWW含有ドメインまたはWW含有ドメインバリアントからなる。本質的にからなるは、ドメイン、ペプチド、またはポリペプチドが本質的にアミノ酸配列からなることを、かかるアミノ酸配列が、ドメイン、ペプチド、またはポリペプチド中、たった数個の追加のアミノ酸残基(例えば、約1個から約10個かそこらまでの追加の残基、典型的には1個から約5個までの追加の残基)とともに存在するときに意味する。
【0071】
代替的に、WW含有ドメインは、2つの塩基性アミノ酸をドメインのC末端にて包含するよう修飾されたWW含有ドメインであってもよい。技法は当該技術分野において知られており、当該技術分野において、例えばSambrook et al.,((2001)Molecular Cloning:a Laboratory Manual,3rd ed.,Cold Spring Harbour Laboratory Press)において記載されている。よって、当業者は、2つのC末塩基性残基を通常は有さない、存在するWW含有ドメインを、2つの塩基性残基をC末端にて包含するように容易に修飾することができる。
【0072】
塩基性アミノ酸は、7を超えるpKaを有する側鎖官能基を保有し、リシン、アルギニン、およびヒスチジンを包含するアミノ酸、ならびにタンパク質に一般的に包含される20のα-アミノ酸には包含されない塩基性アミノ酸である。WW含有ドメインのC末端での2つの塩基性アミノ酸は、同じ塩基性アミノ酸であってもよく、または異なる塩基性アミノ酸であってもよい。一態様において、2つの塩基性アミノ酸は、2つのアルギニン残基である。
【0073】
用語WW含有ドメインはまた、WW含有ドメインのバリアントも包含するが、ただしいずれのかかるバリアントも、2つの塩基性アミノ酸をそのC末端にて保有し、かつWW含有ドメインがPPXY(配列番号22)モチーフと結び付く能力を維持する。かかるWW含有ドメインのバリアントは、そのバリアントがPPXY(配列番号22)モチーフ(すなわち、SCAMP3のPPXY(配列番号22)モチーフ)と結び付く能力を保持するWW含有ドメインを指し、1以上のアミノ酸にて突然変異(点、挿入、および/または欠失の突然変異を包含する)しているが、PPXY(配列番号22)モチーフと結び付く能力を依然保持している。したがって、バリアントまたは誘導体は、欠失(切断型およびフラグメント型を包含する);挿入および付加(例えば、保存的置換、部位特異的突然変異体、およびアレルバリアント);ならびに修飾(ペプチドへ共有結合的に連結されている1以上の非アミノアシル基(例として、糖、脂質等々)および翻訳後修飾を包含する)を包含する。かかる変化の作製において、似ているアミノ酸残基の置換は、側鎖置換基の相対的な類似性、例えば、それらのサイズ、電荷、疎水性、親水性等に基づいてなされ得、かかる置換は、定型的な試験によってペプチド機能に対するそれらの効果についてアッセイされてもよい。
【0074】
WW含有ドメインは、より長いタンパク質の一部であってもよい。よって、タンパク質は、様々な異なる態様において、本明細書に定義されるとおりのWW含有ドメインを含むか、WW含有ドメインからなるか、または本質的にWW含有ドメインからなる。ポリペプチドは、タンパク質配列内に機能的ドメインとしてWWドメインを包含するタンパク質であってもよい。
【0075】
本発明のある態様の詳細な記載
本開示は少なくとも一部が、細胞外ドメインを含むWWドメイン含有タンパク質(WWドメイン活性化細胞外ベシクル、またはWAEV)を含有する新規細胞外ベシクル(EV)に関する。かかる細胞外ドメインは、膜貫通ドメインと融合したWWドメイン含有タンパク質および細胞外ドメインの導入を通してWAEVの表面上に提示され得る膜貫通部を含有するタンパク質の、アレスチンドメイン含有タンパク質1(ARDDC1)への直接融合によって、減少または消失したARRCC1の出芽活性がもたらされる。WAEVは、ARRDC1とは無関係に出芽することができ、ARDDC1過剰発現によって増強されるようには見えない。加えて、WAEVは、典型的なエキソソームマーカー(例として、CD63;CD81、CD9、およびPTGFRN)の1以上を含有しないところ、古典的なエキソソームのようにも見えない。代わりに、分泌型キャリア結合膜タンパク質3(SCAMP3)を包含する他のタンパク質が、WAEV出芽の媒介を担うこともある。WAEVは、ワクチン開発に有用なウイルス抗原または細菌抗原を送達して提示するのに;治療用分子の特定細胞または組織への標的送達のためのホーミング分子をディスプレーするのに;ならびにWWドメインとの相互作用を通して治療用分子のパッケージングおよび送達のために、使用され得る。
【0076】
WWドメイン活性化細胞外ベシクル(WAEV)
いくつかの側面において、本開示は、(a)脂質二重層;および(b)本明細書に記載のとおりの融合タンパク質を含むWWドメイン活性化細胞外ベシクル(WAEV)に関する。
【0077】
いくつかの態様において、本明細書に記載のとおりのWAEVは、WAEV媒介タンパク質をさらに含む。WAEV媒介タンパク質は、PPXY(配列番号22)モチーフまたはPSAP(配列番号17)モチーフのいずれかを含有し得、好ましくはPPXY(配列番号22)モチーフとPSAP(配列番号17)モチーフとの両方を含有するが、これらはARMM出芽に要するARDDC1タンパク質中の不可欠な要素である。WAEV媒介タンパク質は、融合タンパク質WW含有ドメインとPPXY(配列番号22)モチーフを通して相互作用し得、WAEV媒介タンパク質は、PSAP(配列番号17)モチーフを介してTSG101を細胞膜へ動員することでWAEVの出芽を駆動し得る。
【0078】
WAEV媒介タンパク質の非限定例は、SCAMP3である。分泌型キャリア結合膜タンパク質3(SCAMP3)は、ヒトにおいてSCAMP3遺伝子によってコードされるタンパク質であって、前記遺伝子は分泌型キャリア結合膜タンパク質であるタンパク質のSCAMPファミリーのメンバーである。これらのタンパク質は、ゴルジ後の再生利用経路において細胞表面へのタンパク質のキャリアとして機能することが知られている。SCAMP3は、4つの膜貫通ドメインを有し、かつPPXY(配列番号22)モチーフをそのN末細胞質ゾルセグメントにて含有する内在性膜タンパク質である。加えて、SCAMP3は、TSG101、ARMMの出芽に要するESCRT I複合体タンパク質(米国特許第9,737,480号を見よ)、ならびに他の多胞体と相互作用することが知られているPSAP(配列番号17)モチーフを有する。よって、SCAMP3は、ARRDC1と、PPXY(配列番号22)とPSAP(配列番号17)との両モチーフを共有しているが、SCAMP3がその膜貫通ドメインを介して原形質膜中に一体化される点でARRDC1とは異なるのに対し、ARRDC1は、そのアレスチンドメインを介して原形質膜と一過的に結び付く。融合タンパク質WW含有ドメイン(例として、膜貫通ドメインおよび細胞外ドメインと融合したWW含有ドメインタンパク質)が、SCAMP3のPPXY(配列番号22)モチーフと相互作用し、これに続きPSAP(配列番号17)モチーフを介してTSG101を細胞膜へ動員することでWAEVの出芽が駆動されると考えられている。細胞外ドメインは、カーゴドメインを包含し得る。
【0079】
腫瘍感受性遺伝子101(TSG101)は、ユビキチン抱合酵素の、一見したところ不活性なホモログの一群を指す。そのタンパク質は、腫瘍発生に関係する細胞質ゾルのホスホタンパク質であるスタスミンと相互作用するコイルドコイルドメインを含有する。TSG101は、PSAP(配列番号17)モチーフを含むタンパク質と相互作用し得る。TSG101は、出芽ウイルスにおいて、直接的原形質膜出芽(direct plasma membrane budding)(DPMB)を通して出芽を駆動する。TSG101は、UEVドメインを含むタンパク質であって、SCAMP3と相互作用し得る。本明細書に言及されるとき、UEVは、およそ145アミノ酸のユビキチンE2バリアントドメインを指す。ドメインの構造は、標準的なE2酵素と同様α/β折り畳みを含有するが、追加のN末ヘリックスを有し、さらに2つのC末ヘリックスを欠く。しばしばTSG101/Vps23タンパク質に見出されることであるが、UEVはユビキチン分子と相互作用し、数多のユビキチン化ペイロードの多胞体(MVB)への輸送(trafficking)に必須である。さらにまた、UEVドメインは、Pro-Thr/Ser-Ala-Proペプチドリガンドへ結合し得るが、HIVなどのウイルスによって悪用されるという事実でもある。よって、TSG101 UEVドメインは、ウイルスの出芽に関与するウイルスGagタンパク質中のPTAPテトラペプチドモチーフへ結合する。本開示はまた、TSG101タンパク質に対しある程度の同一性(例として、60%、70%、80%、85%、90%、95%、98%、または99%同一性)を有し、かつSCAMP3といったPSAP含有タンパク質と相互作用することが可能である、TSG101のフラグメントおよび/またはTSG101タンパク質などのTSG101のバリアントも企図する。結果的に、TSG101タンパク質は、UEVドメインを含み、かつSCAMP3と相互作用するタンパク質であってもよい。いくつかの態様において、TSG101タンパク質は、配列番号58のいずれか1つのアミノ酸配列と、少なくとも60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、98%、または99%同一であり、UEVドメインを含み、かつSCAMP3といったPSAP含有タンパク質と相互作用する。いくつかの態様において、TSG101タンパク質は、配列番号58のいずれか1つの、少なくとも10、少なくとも20、少なくとも30、少なくとも40、少なくとも50、少なくとも60、少なくとも70、少なくとも80、少なくとも90、少なくとも100、少なくとも110、少なくとも120、少なくとも130、少なくとも140、少なくとも150、少なくとも160、少なくとも170、少なくとも180、少なくとも190、少なくとも200、少なくとも210、少なくとも220、少なくとも230、少なくとも240、少なくとも250、少なくとも260、少なくとも270、少なくとも280、少なくとも290、少なくとも300、少なくとも310、少なくとも320、少なくとも330、少なくとも340、少なくとも350、少なくとも360、少なくとも370、少なくとも380、または少なくとも390の同一の連続したアミノ酸を有し、UEVドメインを含み、かつSCAMP3といったPSAP含有タンパク質と相互作用する。いくつかの態様において、TSG101タンパク質は、配列番号58で表されるアミノ酸配列のいずれか1つと比較して、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、21、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、またはより多くの突然変異を有し、かつUEVドメインを含む。例示の、非限定的なTSG101タンパク質配列は本明細書に提供されており、追加の、好適なTSG101タンパク質配列、アイソフォーム、およびバリアントは、当該技術分野において知られている。本発明がこの点においても限定されないことは、当業者によって解されるであろう。例示のTSG101配列は、以下の配列を包含する(これらの配列中のUEVドメインは、アミノ酸1~145を包含しており、下の配列において下線が引かれている):
【0080】
>gi|5454140|ref|NP_006283.1| tumor susceptibility gene 101 protein [Homo sapiens]
【0081】
MAVSESQLKKMVSKYKYRDLTVRETVNVITLYKDLKPVLDSYVFNDGSSRELMNLTGTIPVPYRGNTYNIPICLWLLDTYPYNPPICFVKPTSSMTIKTGKHVDANGKIYLPYLHEWKHPQSDLLGLIQVMIVVFGDEPPVFSRPISASYPPYQATGPPNTSYMPGMPGGISPYPSGYPPNPSGYPGCPYPPGGPYPATTSSQYPSQPPVTTVGPSRDGTISEDTIRASLISAVSDKLRWRMKEEMDRAQAELNALKRTEEDLKKGHQKLEEMVTRLDQEVAEVDKNIELLKKKDEELSSALEKMENQSENNDIDEVIIPTAPLYKQILNLYAEENAIEDTIFYLGEALRRGVIDLDVFLKHVRLLSRKQFQLRALMQKARKTAGLSDLY
【0082】
(配列番号58)
【0083】
>gi|11230780|ref|NP_068684.1| tumor susceptibility gene 101 protein [Mus musculus]
【0084】
MAVSESQLKKMMSKYKYRDLTVRQTVNVIAMYKDLKPVLDSYVFNDGSSRELVNLTGTIPVRYRGNIYNIPICLWLLDTYPYNPPICFVKPTSSMTIKTGKHVDANGKIYLPYLHDWKHPRSELLELIQIMIVIFGEEPPVFSRPTVSASYPPYTATGPPNTSYMPGMPSGISAYPSGYPPNPSGYPGCPYPPAGPYPATTSSQYPSQPPVTTVGPSRDGTISEDTIRASLISAVSDKLRWRMKEEMDGAQAELNALKRTEEDLKKGHQKLEEMVTRLDQEVAEVDKNIELLKKKDEELSSALEKMENQSENNDIDEVIIPTAPLYKQILNLYAEENAIEDTIFYLGEALRRGVIDLDVFLKHVRLLSRKQFQLRALMQKARKTAGLSDLY(配列番号59)
【0085】
>gi|48374087|ref|NP_853659.2| tumor susceptibility gene 101 protein [Rattus norvegicus]
【0086】
MAVSESQLKKMMSKYKYRDLTVRQTVNVIAMYKDLKPVLDSYVFNDGSSRELVNLTGTIPVRYRGNIYNIPICLWLLDTYPYNPPICFVKPTSSMTIKTGKHVDANGKIYLPYLHDWKHPRSELLELIQIMIVIFGEEPPVFSRPTVSASYPPYTAAGPPNTSYLPSMPSGISAYPSGYPPNPSGYPGCPYPPAGPYPATTSSQYPSQPPVTTAGPSRDGTISEDTIRASLISAVSDKLRWRMKEEMDGAQAELNALKRTEEDLKKGHQKLEEMVTRLDQEVAEVDKNIELLKKKDEELSSALEKMENQSENNDIDEVIIPTAPLYKQILNLYAEENAIEDTIFYLGEALRRGVIDLDVFLKHVRLLSRKQFQLRALMQKARKTAGLSDLY(配列番号60)。
【0087】
UEVドメインの構造は当業者に知られている(例として、Owen Pornillos et al.,Structure and functional interactions of the Tsg101 UEV domain,EMBO J.2002 May 15;21(10):2397-2406を見よ、この内容全体は参照により本明細書に組み込まれる)。
【0088】
いくつかの態様において、本開示の融合タンパク質は、アレスチンドメイン含有タンパク質1(ARRDC1)を含まない。ARRDC1は、本明細書のどこかに記載のとおり、PSAP(配列番号17)モチーフおよびPPXY(配列番号22)モチーフをそのC末端においてを含み、かつTSG101と相互作用するタンパク質である。しかしながら、本明細書に示され得るとおり、本WAEVは、形成および/または出芽するのにARRDC1の存在もその作用も要さない。
結果的に、いくつかの態様において、本開示のWAEVは、ARRDC1タンパク質を欠く。
【0089】
本開示のWAEVはさらに、これらが持つマーカーで、様々な他のエキソソームおよび/または細胞外ベシクルと識別可能である。典型的なEVは、エキソソームを同定するためのマーカーとして使用される様々なタンパク質を持ち、ならびに実験および診断法における使用のための資質をエキソソームへつぎ込む(imbue)。エキソソームマーカーは当該技術分野において知られており、例えば、テトラスパニン(CD9、CD63、およびCD81)、熱ショックタンパク質(HSC70およびHSC90)、膜トランスポーター(GTPases)、ならびに脂質結合タンパク質などの様々な機能群(functional groups)に分けられることが知られている。最もよく見られるエキソソームマーカーのいくつかは、熱ショックタンパク質8(HSPA8)、CD63抗原(CD63)、ベータアクチン(ACTB)、グリセルアルデヒド-3-ホスファートデヒドロゲナーゼ(GAPDH)、エノラーゼ1アルファ(ENO1)、細胞質ゾル熱ショックタンパク質90アルファ(HSP90AA1)、CD9、CD81、チロシン3-モノオキシゲナーゼ/トリプトファン5-モノオキシゲナーゼ活性化タンパク質、ゼータポリペプチド(YWHAZ)、筋ピルビン酸キナーゼ(PKM2)を包含する。しかしながら、本開示のWAEVは、EVに見出される予想のマーカーの1以上(またはすべて)、例えば:CD9;CD63;CD81;および/またはPTGFRNを欠き得る。
【0090】
結果的に、いくつかの態様において、本開示のWAEVは、数多のタンパク質においてリッチに存在する(enriched)。例えば、M2 WAEVがリッチに存在することが一般的に見出されているタンパク質のリストは、本明細書の表1に示されるとおりのタンパク質を包含する。
【0091】
【0092】
いくつかの態様において、WAEVは、表1から選択される少なくとも1つのリッチに存在するタンパク質を含む。いくつかの態様において、WAEVは、表1から選択される少なくとも2つのリッチに存在するタンパク質を含む。いくつかの態様において、WAEVは、表1から選択される少なくとも3つのリッチに存在するタンパク質を含む。いくつかの態様において、WAEVは、表1から選択される少なくとも4つのリッチに存在するタンパク質を含む。いくつかの態様において、WAEVは、表1から選択される少なくとも5つのリッチに存在するタンパク質を含む。いくつかの態様において、WAEVは、表1から選択される5つより多くの(例として、リッチに存在する)タンパク質を含む。いくつかの態様において、WAEVは、WW含有ドメイン融合タンパク質を包含する、表1から選択されるリッチに存在するタンパク質の1以上に由来する1以上のタンパク質を含む。
【0093】
いくつかの態様において、本明細書に記載のとおりのWAEVは、以下のエキソソームマーカー:CD9;CD63;CD81;および/またはPTGFRNのうち少なくとも1つを含まない。いくつかの態様において、本明細書に記載のとおりのWAEVは、以下のエキソソームマーカー:CD9;CD63;CD81;および/またはPTGFRNのうち少なくとも2つを含まない。いくつかの態様において、本明細書に記載のとおりのWAEVは、以下のエキソソームマーカー:CD9;CD63;CD81;および/またはPTGFRNのうち少なくとも3つを含まない。いくつかの態様において、本明細書に記載のとおりのWAEVは、以下のエキソソームマーカー:CD9;CD63;CD81;および/またはPTGFRNのいずれも含まない。
【0094】
融合タンパク質
いくつかの側面において、本開示は、(a)WW含有ドメイン;(b)膜貫通ドメイン;および(c)細胞外ドメインを含む融合タンパク質に関する。いくつかの態様において、WW含有ドメインは、融合タンパク質のN末端に位置する。本開示の融合タンパク質は、WAEVの産生を容易にする(例として、その可能性を増大させる、その産生に影響を与える)こともある。いくつかの態様において、融合タンパク質は、本明細書にさらに詳細に記載されるとおりの細胞外ドメインを含有することによって、WAEVの発現、その表面上へのドメインの提示、またはその表面からの突出を容易にすることもある。
【0095】
結果的に、いくつかの態様において、本開示の融合タンパク質のいずれかのWW含有ドメインは、少なくとも1つのWWドメインを含む。いくつかの態様において、WW含有ドメインは、融合タンパク質のC末端に位置する。いくつかの態様において、WW含有ドメインは、融合タンパク質のN末端とC末端との間(例として、2つの他のドメイン間)に位置する。いくつかの態様において、WW含有ドメインは、融合タンパク質のN末端に位置する。
【0096】
いくつかの態様において、本開示の融合タンパク質のいずれかのWW含有ドメインは、少なくとも2つのWWドメインを含む。いくつかの態様において、本開示の融合タンパク質のいずれかのWW含有ドメインは、少なくとも3つのWWドメインを含む。いくつかの態様において、本開示の融合タンパク質のいずれかのWW含有ドメインは、少なくとも4つのWWドメインを含む。いくつかの態様において、本開示の融合タンパク質のいずれかのWW含有ドメインは、4つより多くのWWドメインを含む。いくつかの態様において、融合タンパク質は、ITCHタンパク質WWドメインである少なくとも1つのWWドメインを含む。いくつかの態様において、本開示の融合タンパク質のいずれかのWW含有ドメインは、配列番号1の配列と少なくとも95%の同一性を有する配列を含む。いくつかの態様において、本開示の融合タンパク質のいずれかのWW含有ドメインは、配列番号1の配列を含む。いくつかの態様において、WW含有ドメインが、1つより多くのWWドメインを含有する場合、WWドメインは、融合タンパク質中、これらがその間に別のドメインなく相互に隣接するように配向され(oriented)てもよい。いくつかの態様において、WW含有ドメインが、1つより多くのWWドメインを含有する場合、WWドメインは、融合タンパク質中、これらが相互に(例として、ドメインを介在させて)隣接しないように配向されてもよい。いくつかの態様において、介在ドメインは、リンカードメインであってもよい。いくつかの態様において、介在ドメインは、別のドメイン(例として、ペプチド、分子、核酸)であってもよい。いくつかの態様において、融合タンパク質のWWドメインの少なくとも1つは、遊離のN末端を有するように位置する。いくつかの態様において、融合タンパク質のWWドメインの少なくとも1つは、遊離のC末端を有するように位置する。
【0097】
いくつかの態様において、本開示の融合タンパク質のいずれかの膜貫通ドメインは、MPER膜貫通ドメインを含む。HIVウイルスの膜近位外部領域(Membrane proximal external region)(MPER)ペプチドは、HIVエンベロープタンパク質gp41の相対的に不変の領域であって、複数の広域中和抗体によって標的にされるエピトープを含有する。結果として、MPERは、HIVワクチン開発における潜在的な標的と見なされる。いくつかの態様において、膜貫通ドメインは、配列番号9の配列と少なくとも95%の同一性を有する配列を含む。いくつかの態様において、膜貫通ドメインは、配列番号9の配列を含む。
【0098】
いくつかの態様において、本開示の融合タンパク質は、細胞外ドメインを含む。細胞外ドメインは、融合タンパク質の部分(例として、ドメイン)であって、これは、細胞外ドメインの少なくとも一部が、それが結び付けられている分子の膜(例として、細胞、EV)の外側に物理的に位置付けられるように配向される(例として、位置付けられる、位置する)であろう。いくつかの態様において、細胞外ドメインの全体が、膜に対して外部に位置付けられる。いくつかの態様において、細胞外ドメインは、知られているタンパク質を含む。いくつかの態様において、細胞外ドメインは、知られているタンパク質の部分(例として、フラグメント)を含む。いくつかの態様において、融合タンパク質の細胞外ドメインは、細胞外ドメイン、もしくは知られているタンパク質、またはそのフラグメントである。いくつかの態様において、細胞外ドメインは、組換えタンパク質、またはそのフラグメント(例として、組換えのもしくは改変されたタンパク質、融合タンパク質、またはそのフラグメント)であってもよい。いくつかの態様において、細胞外ドメインは、生物において免疫応答を誘発することが知られているタンパク質またはそのフラグメントを含んでいてもよい。いくつかの態様において、細胞外ドメインは、生物において免疫応答を誘発すると考えられるタンパク質またはそのフラグメントを含んでいてもよい。いくつかの態様において、細胞外ドメインは、生物において免疫応答を誘発することが見込まれるタンパク質またはそのフラグメントを含んでいてもよい。いくつかの態様において、細胞外ドメインは、生物において免疫応答を誘発することが所望されるタンパク質またはそのフラグメントを含んでいてもよい。いくつかの態様において、細胞外ドメインは、生物において免疫応答を誘発することを担ってももしくは担わなくてもよい、または生物において免疫応答を誘発することを伴ってももしくは伴わなくてもよい1以上の炭水化物単位を含んでいてもよい。いくつかの態様において、細胞外ドメインは、生物において免疫応答を誘発することを担ってももしくは担わなくてもよい、または生物において免疫応答を誘発することを伴ってももしくは伴わなくてもよい1以上の脂質単位を含んでいてもよい。本明細書に使用されるとき、用語「誘発する」は、要因またはきっかけを記載することが意図され、その生物中への導入によって前記生物中の免疫反応への影響が少なくとも一部は与えられるかまたは及ぼされる。有益なまたは有害な(例として、有毒な)いずれの作用も、当該用語によって網羅される。直接的な反応は要さず(例として、要因(例として、ドメイン、細胞外ドメイン、タンパク質、融合タンパク質)の導入によって、その反応は一部しか引き起こされ得ないかまたは駆動され得ず、さらに、より大きなカスケードもしくは反応の1構成要素または1ステップであってもよい)、その反応は相当なまたは完全なものである必要はない。免疫反応はさらに、他の構成要素の添加を要することもある。
【0099】
いくつかの態様において、細胞外ドメインは、抗原またはそのフラグメントを含む。いくつかの態様において、本開示の融合タンパク質のいずれかの細胞外ドメインは、ウイルス抗原ドメインを含む。いくつかの態様において、ウイルス抗原は、呼吸器系ウイルスからのタンパク質またはそのフラグメントである。いくつかの態様において、呼吸器系ウイルスは、アデノウイルス(ADV);インフルエンザウイルス、ヒトボカウイルス(HBoV);ヒトメタニューモウイルス(HMPV);ヒトパラインフルエンザウイルス(HPIV);ヒト呼吸器合胞体ウイルス(HRSV);ヒトライノウイルス(HRV)からなる群から選択される;いくつかの態様において、ウイルス抗原ドメインは、MPER細胞外ドメインである。いくつかの態様において、細胞外ドメインは、配列番号8の配列と少なくとも95%の同一性を有する配列を含む。いくつかの態様において、膜貫通の細胞外ドメインは、配列番号8の配列を含む。
【0100】
いくつかの態様において、本開示の融合タンパク質は、シグナルまたはレポーターをさらに含む。レポーターは、レポーターの意図した使用(例として、融合タンパク質の検出または同定)を容易にするために融合タンパク質といずれにしても結び付けられていてもよい。いくつかの態様において、レポーターは、融合タンパク質へ直接連結されている。いくつかの態様において、レポーターは、融合タンパク質へ間接的に連結されている。いくつかの態様において、レポーターは、リンカーによって、融合タンパク質へ間接的に連結されている。いくつかの態様において、レポーターは、融合タンパク質のN末端に位置する。いくつかの態様において、レポーターは、融合タンパク質のC末端に位置する。いくつかの態様において、レポーターは、融合タンパク質のドメイン間に位置するように、融合タンパク質の内部に位置する。いくつかの態様において、レポーターは、GFPである。他の態様において、レポーターは、mCherry、tdTomato、またはいずれの他の蛍光タンパク質である。いくつかの態様において、レポーターは、ルシフェラーゼ、またはCREもしくはFLPなどのリコンビナーゼである。
【0101】
核酸
いくつかの態様において、本開示の単離された核酸のいずれも、プロモーターへ作動可能に連結されている。いくつかの態様において、プロモーターは、構成的プロモーター、誘導性プロモーター、または組織特異的なプロモーターである。いくつかの態様において、プロモーターは、ニワトリベータ-アクチン(CBA)プロモーターである。他の態様において、そのプロモーターは、EF-1-アルファである。いくつかの態様において、プロモーターは、CMV、SV40などのウイルスのプロモーターである。いくつかの態様において、プロモーターは、原核生物のプロモーターである。いくつかの態様において、プロモーターは、真核生物のプロモーターである。
【0102】
いくつかの態様において、本開示の単離された核酸のいずれも、少なくとも1つの追加の調節配列を含む。いくつかの態様において、調節配列は、エンハンサーである。いくつかの態様において、調節配列は、自己増幅型RNAである。
【0103】
WAEV産生細胞
いくつかの側面において、本開示は、(a)本開示の単離された核酸のいずれかの少なくとも1つを含むWAEV産生細胞に関する。いくつかの態様において、WAEV産生細胞は、異種プロモーターへ作動可能に連結されている異種プロモーターをさらに含む。WAEV産生細胞は、いずれのタイプの好適な細胞であってもよい。例えば、限定せずに、細胞は、本明細書のどこかに記載のとおりの標的細胞であってもよい。いくつかの態様において、細胞は、哺乳動物の細胞である。いくつかの態様において、細胞は、ヒト細胞である。
【0104】
用途
いくつかの側面において、本開示は、抗原性ペプチドをディスプレーするWAEVを送達する方法に関し、以下:本開示の融合タンパク質のいずれかの少なくとも1つ、本開示の単離された核酸のいずれかの少なくとも1つ、本開示のWAEVのいずれかの少なくとも1つ、および/または本開示のWAEV産生細胞のいずれかの少なくとも1つを送達することを含み、ここで融合タンパク質の細胞外タンパク質は、抗原性ペプチドを含む。
本発明のいくつかの側面は、例えば、WW含有ドメイン、膜貫通ドメイン、および細胞外ドメインを含む融合タンパク質を含むWAEVを標的細胞へ送達することによって、細胞外ドメイン(例として、抗原)を送達する方法を提供する。標的細胞は、種々のかたちでWAEVと接触され得る。例えば、標的細胞は、WAEV(マイクロベシクル産生細胞から単離されたWAEVを包含するが必ずしもこれに限定されない)と直接接触されてもよい。接触させることは、WAEV、融合タンパク質、および/または単離された核酸を培養ディッシュ中の標的細胞へ投与することによってin vitroで、あるいはWAEV、融合タンパク質、単離された核酸、および/またはマイクロベシクル産生細胞(融合タンパク質および/または単離された核酸を含む)を対象へ投与することによってin vivoでなされ得る。代替的に、標的細胞は、直接的または間接的のいずれかで、例えば、標的細胞とマイクロベシクル産生細胞とを共培養することによってin vitroで、またはマイクロベシクル産生細胞を、標的細胞を内包する対象へ投与することによってin vivoで、本明細書に記載のとおりのマイクロベシクル産生細胞と接触され得る。結果的に、方法は、標的細胞を、マイクロベシクル、例えば本明細書に記載のとおりのWAEVと接触させることを包含していてもよい。標的細胞は、マイクロベシクル産生細胞と、本明細書に記載のとおり直接的もしくは間接的のいずれかで、または単離されたマイクロベシクルと接触されてもよく、ここで産生または単離されたマイクロベシクルは、脂質二重層、SCAMP3タンパク質またはそのバリアント、および細胞外ドメインを有する。
標的細胞がいずれの起源に属してもよいことは解されるべきである。例えば、標的細胞は、ヒト細胞であってもよい。標的細胞は、哺乳動物の細胞であってもよい。哺乳動物の細胞のいくつかの非限定例は、マウス細胞、ラット細胞、ハムスター細胞、齧歯類の動物の細胞、およびヒトではない霊長目の動物の細胞を包含する。また標的細胞がいずれの細胞型に属してもよいことも解されるべきである。例えば、標的細胞は、胚性幹細胞、人工多能性幹細胞(iPS細胞)、胎児幹細胞、臍帯血幹細胞、または成体幹細胞(すなわち、組織特異的な幹細胞)を包含してもよい幹細胞であってもよい。他のケースにおいて、標的細胞は、対象において見出されるいずれの分化した細胞タイプであってもよい。いくつかの態様において、標的細胞はin vitroでの細胞であって、方法は、マイクロベシクルを細胞へin vitroで投与すること、または標的細胞をマイクロベシクル産生細胞とともにin vitroで共培養することを包含する。いくつかの態様において、標的細胞は対象における細胞であって、方法はマイクロベシクルまたはマイクロベシクル産生細胞を対象へ投与することを含む。いくつかの態様において、対象は、哺乳動物対象、例えば、齧歯類の動物、マウス、ラット、ハムスター、または霊長目の非ヒト動物である。いくつかの態様において、対象は、ヒト対象である。
【0105】
いくつかの態様において、標的細胞は、病的な細胞である。いくつかの態様において、標的細胞は、疾患もしくは障害を有するか、これを有するリスクがあるか、またはこれを有すると疑われる細胞である。いくつかの態様において、標的細胞は、病原体(例として、ウイルス、細菌)を有するか、これを有するリスクがあるか、もしくはこれへ曝露されたと疑われる細胞、またはこれへ曝露された細胞である。いくつかの態様において、マイクロベシクルは、抗原またはそのフラグメントを、標的細胞(例として、免疫細胞)の細胞機構へ提示することに関連する。
【0106】
いくつかの態様において、マイクロベシクル(例として、WAEV)、融合タンパク質、および/または本開示の単離された核酸は、対象において免疫応答を誘発するのに使用される。結果的に、いくつかの態様において、マイクロベシクル(例として、WAEV)、融合タンパク質、および/または本開示の単離された核酸は、対象へ投与される。いくつかの態様において、マイクロベシクル(例として、WAEV)、融合タンパク質、および/または本開示の単離された核酸は、抗原もしくはそのフラグメントに対する免疫応答を誘発するか、または前記免疫応答を誘発することが意図されている、抗原を含む細胞外ドメインあるいはそのフラグメントを含む。いくつかの態様において、抗原は、ウイルス抗原または細菌抗原である。いくつかの態様において、本明細書に開示された方法のいずれかの一部として開示された投与は、有効量にある。
【0107】
例えば、限定せずに、細胞外ドメインは、ウイルスからの抗原またはそのフラグメントを含有していてもよい。いくつかの態様において、ウイルスはHIVであってもよい。いくつかの態様において、ウイルス抗原は、MPER細胞外ドメインまたはそのフラグメントである。
【0108】
いくつかの態様において、WAEV、融合タンパク質、および/または本明細書に記載のとおりの細胞外ドメインを有するかもしくはこれをコードする単離された核酸は、対象へ投与されてもよい。
【0109】
いくつかの態様において、対象は、哺乳動物である。いくつかの態様において、対象は、ヒトである。
【0110】
例
例1
本明細書に記載されているのは、「WAEV」(WW-domain-Activated Extracellular Vesiclesにちなむ)と称される細胞外ベシクル(EV)の新規タイプを創出する方法である。WAEVは、細胞外ドメイン(例えば、細胞外ペプチド)へ連結されている膜貫通セグメントへのWWドメインの融合を介して産生される。本明細書に実証されているのは、細胞外タンパク質がヒト免疫不全ウイルス(HIV)のMPERタンパク質であるWAEVを作製する方法である。WAEVは、1以上のエキソソームマーカー(CD63、CD81、CD9、および/またはPTGFRNなど)がリッチに存在しないところ、古典的なエキソソームとは別個のものである。WAEVはまた、ARMM出芽がWWドメイン含有タンパク質によって増強されるという事実があるにもかかわらず、ARRDC1媒介マイクロベシクル(ARMM)とも別個のものである。WAEV出芽はARRDC1を要さず、ARRDC1過剰発現によって増強されない。WAEVのプロテオミクス分析によって、SCAMP3(分泌型キャリア結合膜タンパク質3)が、WAEV出芽の1つの潜在的メディエーターとして同定された。SCAMP3は、PPXY(配列番号22)とPSAP(配列番号17)との両モチーフを含有する。これらのモチーフは、ARMM出芽に要されるARRDC1タンパク質中の要素である。いずれの理論によっても拘束されることは望まないが、WW含有ドメインを含む融合タンパク質が、PPXY(配列番号22)モチーフSCAMP3と相互作用し、これに続きPSAP(配列番号17)モチーフを介してTSG101を細胞膜へ動員することでWAEVの出芽が駆動されることもあり得る。WAEVは、エキソソームおよびARMMとは別個のEV形態である。WAEVは、なかでも:1)ワクチン開発用のMPERペプチドを包含する、HIVに対する抗原をディスプレーするのに有用であり得る。
【0111】
膜貫通部を含有するタンパク質のARDDC1への直接融合によって、ARRCC1の出芽活性が一見したところ消失し、それによってARMMS上にペプチドをディスプレーすることが困難になった。ITCHなどのWW含有ドメインタンパク質がARRDC1と相互作用して、ARMM中へ動員され得るから(Nabhan 2012,PNAS;Wang 2017 Nature Communications)、ITCHタンパク質(配列番号1;
図1を見よ)のWW含有ドメイン(配列番号2~5)が、細胞外ベシクルの表面上へペプチドをディスプレーするのに使用され得るかを決定した。
【0112】
WAEVが、HIVウイルスのMPER(膜近位外部領域;
membrane
proximal
external
region)ペプチドを提示するために使用され得ることを決定した(
図2、配列番号7を見よ)。MPERは、HIVエンベロープタンパク質gp41の相対的に不変の領域であって、複数の広域中和抗体(bNAb)によって標的にされるエピトープを含有する。結果として、MPERは、HIVワクチン開発における潜在的な標的と見なされる。WW含有ドメインがgp41膜貫通ドメイン(TM)とともにMPERへ融合した、MPERのための融合構築物を作製した(
図7A~7Bを見よ)。またgp41配列(CHR-MPER-TM)がITCHタンパク質のWWドメイン(2または4のいずれか)へ縮合した融合構築物も作製した(
図7Cを見よ)。MPER配列のない、gp41膜貫通ドメインへ融合した4WW融合構築物もまた作製した。HEK293T野生型(WT)またはARRDC1ノックアウト細胞中へトランスフェクトされたとき、両融合タンパク質ともEV中へ出芽した(
図3および
図7Dを見よ)。MPER-4WWの出芽は、膜貫通ドメイン単独への融合の出芽より堅固であった。この出芽の増強は、MPERペプチドの膜-相互作用特性に関する可能性がある。密度勾配超遠心分離を使用してMPER-4WW WAEVを精製した。MPER-WAEVのピーク画分は、エキソソームのそれと重複した(エキソソームマーカーCD9によって指し示されているとおり)(
図7Eを見よ)。NanoSight分析によって、MPER-WAEV粒子は~97nmの平均直径を有しており(
図7Fを見よ)、これはエキソソームまたはARMMよりわずかに大きいがM2-WAEVに匹敵することが示された。
【0113】
またMPER-4WWの出芽が2WWドメインへの融合の出芽より堅固であったことも決定した。HEK293T細胞中へトランスフェクトされたとき、すべてのMPER-WW融合タンパク質が発現されてWAEV中へ完全に出芽した(budded out)(
図5A(抗フロチリン抗体による)および
図5B~5C(HIVに対する広域中和抗体の1つである抗体2F5による)を見よ)。したがって、MPER-4WWを使用してMPER-WAEVを作製した。MPER-WAEVを精製するため、ベシクルを、スクロース密度勾配をベースとした超遠心分離へ供した。
図7Hに示されるとおり、MPER-WAEVが画分5~8において検出され、ピークは画分6/7にあった。MEPR-WAEVの分画パターンは、ARMMの分画パターンとは別個ではあるが、これと有意に重複しているように見える。
【0114】
またMPERペプチドがWAEVの表面上にディスプレーされたかも決定した。先ずMPER WAEVを精製し、次いで抗MPER広域中和抗体(2F5)を使用してベシクルの免疫-金標識化を実施した。
図6ならびに
図7Gおよび7Iに示されるとおり、電子顕微鏡法によって、精製されたMPER WAEVの表面上にMPER特異的シグナルが示された。
図7Iに示されるとおり、電子顕微鏡法によって、精製されたMPER WAVEの表面上にMPER特異的シグナルが示された。これらの結果は、MPERがWAEV上のみならず、特異的広域中和抗体によって認識される正しい立体配座においてもまた提示されることが指し示された。EM画像(>30の免疫-金標識ベシクル)から、我々は、MPER-WAEVが直径で~60nmの平均サイズを有することを算出した。
【0115】
WAEVのタンパク質成分を同定するため、精製されたMPER WAEVに対しプロテオミクスを実施した(
図8A~8Cを見よ)。また対照として、WW含有ドメインへ融合されていないMPERペプチドでトランスフェクトされた細胞からのEVも精製した。比較プロテオミクスによって、WAEVにおいてリッチに存在する134のタンパク質が同定された(例として表1を見よ)。予想どおり、ITCHタンパク質のWW含有ドメインにマッチするペプチドは、WAEVにおいてリッチに存在することが見出された。WAEVのARRDC1への非依存性と一致して、ARRDC1はMPER WAEVにおいてリッチに存在していなかった。加えて、CD63などの古典的なエキソソームタンパク質もまた、WAEVにおいてリッチに存在していなかった
【0116】
いずれの理論によっても拘束されたくはないが、リッチに存在する20のタンパク質の1以上がWAEVの生物発生(biogenesis)を駆動することもあり得る。WAEV出芽機能を実行するいずれかの潜在的な候補は、1)WW含有ドメインと相互作用するPPXY(配列番号22)を含有するはずであって、2)原形質膜へ局在化しているはずである。リッチに存在する20の共通のWAEVタンパク質の分析によって、SCAMP3(分泌型キャリア結合膜タンパク質3)が潜在的な候補として同定された。SCAMP3は、4つの膜貫通ドメインを有し、かつPPAY(配列番号16)モチーフをそのN末細胞質ゾルセグメントにて含有する内在性膜タンパク質である(
図9A)。加えて、SCAMP3は、ARMMならびに他の多胞体の出芽に要されるTSG101-ESCRT I複合体タンパク質と相互作用することが知られているPSAP(配列番号17)モチーフを有する。よって、SCAMP3は、ARRDC1と、PPXY(配列番号22)とPSAP(配列番号17)との両モチーフを共有しているが、SCAMP3がその膜貫通ドメインを介して原形質膜中に一体化される点でARRDC1とは異なるのに対し、ARRDC1は、そのアレスチンドメインを介して原形質膜と一過的に結び付く。これらの所見に基づき、WW含有ドメインをもつ融合タンパク質(かかる融合タンパク質はカーゴドメインと融合した膜貫通ドメインをもつ)は、SCAMP3のPPXY(配列番号22)モチーフと相互作用し得、これに続きPSAP(配列番号17)モチーフを介してTSG10S1を細胞膜へ動員することでWAEVの出芽が駆動され得ることが提案された(
図9Bを見よ)。
【0117】
WAEV出芽のARRDC1からの非依存性をさらに確認するため、融合構築物をARRDC1過剰発現コンストラクトとともに共トランスフェクトした。融合構築物をARRDC1過剰現コンストラクトとともに共トランスフェクトした。またすべての4WWドメインがWAEV出芽に要されるかも試験した。最初の2つまたは次の2つのいずれかのWWドメインへ融合したMPER構築物を作製した。
図5Aに示されるとおり、両MPER-2WW融合タンパク質ともWAEV中へ出芽した一方、出芽活性は4WWドメインへの融合のそれより低かった。
【0118】
例2
またその系を、MPER-WAEVがモルモットにおいて広域中和抗体(bNAb)産生を誘導するかを決定するためにも試験した。免疫付与プロトコルを
図10に描く。6週齢メスHartleyモルモットの皮下に、CFAアジュバントのありまたはなしのいずれかで10
10MPER-WAEVで免疫付与した。合成された短いMPERペプチドはbNAb産生を誘導しないが、これを陰性対照として使用した。2週目にてブーストした。免疫付与から35日後に最終ブリード血清試料を収集して、先ずHIV-ELISAアッセイにおいて試験した。
図11に示されるとおり、MPER-WAEV免疫付与動物からの血清は、ELISAプレート上にコートされたHIV偽ウイルス(Cap45)に対して強い応答を有した。アジュバント群と非アジュバント群との間に有意差はなかったが、このことはMPER-WAEVが免疫応答を誘導するアジュバントを要さないことを示唆する。合成された非MPERペプチドGPJ17は、いずれの免疫応答も誘導しなかった。これらの結果は、裸のMPERペプチドとは違い、WAEV上に提示されるMPERが、HIVに結合する抗体の産生を誘導することができることを指し示している。
【0119】
例3
またその系を、血清試料中の抗体がHIV感染を中和できるか決定するためにも試験した。HIV受容体CD4およびCCR5を発現し、かつルシフェラーゼを発現するHIV偽ウイルス(YU2)によって感染され得るTZM-bl細胞を使用した。YU2ウイルスを、対照または免疫付与モルモットからの血清試料(種々の希釈での)と混合し、次いでTZM-bl細胞へ加えて感染させた。精製された組換え2F5抗体を陽性対照として使用した。感染から3日後に細胞をライスし、ルシフェラーゼ活性について測定した(ウイルス量を指標として)。組換え2F5抗体はHIVウイルス感染を実質的に低減することができた一方、対照GPJ17血清はHIV感染に影響を及ぼさなかった(
図12を見よ)。MPER-WAEVS免疫付与動物からの血清は、HIV感染を低減することができた(
図12を見よ)。1:180希釈でのMPER-WAEV血清の中和効果は、0.05~0.5μgの組換え2F5抗体のそれに匹敵する。この結果は、MPER-WAEVで免疫付与された動物からの血清が、HIVを中和して感染を防止し得ることを指し示している。
【0120】
例示の配列
【0121】
以下の表は、本明細書によって開示されたとおりのいくつかの例示の配列を呈するが、限定されない。本明細書は、ASCII形式のテキストファイルとしてこれと並行して提出された配列表を包含する。配列表および本明細書に含有される情報のすべては、はっきりと本本明細書に組み込まれ、出願された本明細書の一部を構成する。
【表2-1】
【表2-2】
【表2-3】
【表2-4】
* 別様に特定されない限り、核酸配列は5'→3'に記載され、アミノ酸配列はN末端→C末端に記載されている。
**「NT」は核酸配列を表示する;「AA」は アミノ酸配列を表示する。識別子(例として、NT、AA)の不在下、当業者は核酸配列を、それらを構成する構成要素によってアミノ酸配列と判別することが容易にできるであろう。例えば、核酸は、当該技術分野において、リボ核酸またはデオキシリボ核酸という構成要素に関連するそれら識別子(例として、A、C、G、T、U、または他の修飾塩基(すなわち、ヌクレオチド))のみを含有するのに対し、アミノ酸配列は、当該技術分野において、アミノ酸という構成要素に関連するそれら識別子(例として、A、C、D、E、F、G、H、I、K、L、M、N、P、Q、R、S、T、V、W、Y、または他の修飾アミノ酸)を含有するであろう。
【0122】
一般技法
本開示の主題の実践には、とくに断りのない限り、当該技術分野の技能の範囲内にある分子生物学(組換え技法を包含する)、微生物学、細胞生物学、生化学、および免疫学の従来の技法が採用できる。かかる技法は、限定されないが、Molecular Cloning:A Laboratory Manual,second edition(Sambrook,et al.,1989)Cold Spring Harbor Press; Oligonucleotide Synthesis(M.J.Gait,ed.,1984); Methods in Molecular Biology,Humana Press; Cell Biology:A Laboratory Notebook(J.E.Cellis,ed.,1998)Academic Press; Animal Cell Culture(R.I.Freshney,ed.,1987); Introduction to Cell and Tissue Culture(J.P.Mather and P.E.Roberts,1998)Plenum Press; Cell and Tissue Culture:Laboratory Procedures(A.Doyle,J.B.Griffiths,and D.G.Newell,eds.,1993-8)J.Wiley and Sons; Methods in Enzymology(Academic Press,Inc.); Handbook of Experimental Immunology(D.M.Weir and C.C.Blackwell,eds.); Gene Transfer Vectors for Mammalian Cells(J.M.Miller and M.P.Calos,eds.,1987); Current Protocols in Molecular Biology(F.M.Ausubel,et al.,eds.,1987); PCR:The Polymerase Chain Reaction,(Mullis,et al.,eds.,1994); Current Protocols in Immunology(J.E.Coligan et al.,eds.,1991); Short Protocols in Molecular Biology(Wiley and Sons,1999); Immunobiology(C.A.Janeway and P.Travers,1997); Antibodies(P.Finch,1997); Antibodies:a practical approach(D.Catty.,ed.,IRL Press,1988-1989); Monoclonal antibodies:a practical approach(P.Shepherd and C.Dean,eds.,Oxford University Press,2000); Using antibodies:a laboratory manual(E.Harlow and D.Lane(Cold Spring Harbor Laboratory Press,1999); The Antibodies(M.Zanetti and J.D.Capra,eds.,Harwood Academic Publishers,1995)などの文献に全て説明されている。
【0123】
等価物および範囲
当業者は、本明細書に記載の態様の多くの等価物を認識し、またはわずかな定型的実験法を使用しこれを確かめることができるであろう。本開示の範囲は上の記載に限定されることを意図しないが、むしろ添付のクレームで表されるとおりである。
【0124】
別様に定義されない限り、本明細書に使用されるすべての技術用語および科学用語は、本開示に属する当業者によって一般的に理解される意味と同じ意味を有する。本明細書に記載の方法および材料と同様または等価ないずれの方法および材料も、本開示の実践または試験にも使用され得るものの、好ましい方法および材料は、ここに記載されている。
【0125】
本明細書に引用されるすべての刊行物および特許は、それら刊行物が引用されたことに関連する方法および/または材料を開示および記載するために引用される。すべてのかかる刊行物および特許は、個々の各刊行物または特許が参照により組み込まれることが具体的かつ個々に指し示されているかのように、参照により本明細書に組み込まれる。かかる参照による組み込みは、引用される刊行物および特許に記載の方法および/または材料に明示的に限定され、引用される刊行物および特許からのいずれの辞書学上の定義まで拡張されない(すなわち、本開示において明示的に反復されてもいない、引用される刊行物および特許中のいずれの辞書学上の定義は、そのように扱われるべきではなく、添付のクレームに見られるいずれの用語も定義するものとして読まれるべきではない)。組み込まれるいずれの参考文献と本開示との間に矛盾がある場合、本開示が統制するものとする。加えて、先行技術の範囲内に入る本開示のいずれの具体的な態様も、クレームのいずれか1以上から明示的に排除されてもよい。かかる態様が当業者に知られていると判断されるので、排除が本明細書に明示的に記されていない場合であっても、それらは排除されてもよい。本開示のいずれの具体的な態様も、先行技術の存在に関するか否かにかかわらず、いずれの理由により、いずれのクレームからも排除され得る。
【0126】
いずれの刊行物の引用も、出願日に先立つその開示のためであって、本開示が先行開示によりかかる刊行物に先行する権利がないことを認めるものと解釈されるべきではない。さらに、提供される公開日は、実際の公開日とは異なる可能性があり、独自に確認する必要がある場合がある。
【0127】
本開示を読めば当業者には明らかなとおり、本明細書に記載および説明される個々の態様の各々は、本開示の範囲または精神から逸脱することなく、他の幾つかの態様のいずれかの特色から容易に分離またはそれと組み合わされてもよい個別の構成要素および特徴を有する。いずれの列挙される方法も、列挙される事象の順序で、または論理的に実行可能な他の順序で実行され得る。
【0128】
クレームにおいて、「a」、「an」、および「the」などの冠詞は、それとは反対に指し示されるかまたは文脈から別様に明白である限り、1つまたはそれ以上を意味してもよい。本明細書に使用される場合はいつでも、性における代名詞(例として、男性語、女性語、中性語、その他、等々...)は、文脈が明確に指し示すかまたは別様に要さない限り、暗示された性にかかわらず、性的に中立と解釈される(すなわち、すべての性を等しく指すと解釈される)ものとする。本明細書で使用される場合はいつでも、文脈が明確に指し示すかまたは別様に要さない限り、単数形で使用される単語は複数形を包含し、複数形で使用される単語は単数形を包含する。群の1以上のメンバー間に「または」を包含するクレームまたは記載は、それとは反対に指し示されるかまたは文脈から別様に明白でない限り、群のメンバーの1つ、1より多く、またはすべてが、所定の産物もしくはプロセスに存在し、採用され、または別様に関係がある場合、満足すると見なされる。本開示は、群の正確に1つのメンバーが、所定の産物もしくはプロセスに存在し、採用され、または別様に関係がある態様を包含する。本開示は、1つより多いかまたはすべての群メンバーが、所定の産物もしくはプロセスに存在し、採用され、または別様に関係がある態様を包含する。
【0129】
さらにまた、本開示は、リスト化されたクレームの1以上からの1以上の制限、要素、節、および記述用語が別のクレーム中へ導入されるすべてのバリエーション、組み合わせ、および順列を網羅する。例えば、他のクレームに従属するいずれのクレームも、同じ基本クレームに従属するいずれの他のクレームに見出される1以上の制限を包含するように修飾され得る。要素がリストとして(例として、マーカッシュ群形式で)提示される場合、要素の各下位群もまた開示されており、いずれの要素(単数または複数)を群から削除され得る。一般に本開示または本開示の側面が、具体的な要素および/または特色を含むと言及される場合、本開示または本開示の側面のある態様が、かかる要素および/または特色からなるかあるいは本質的にそれからなることは理解されるはずである。簡略化のために、それらの態様は、本明細書においてこのとおりの言葉で具体的に明記されていない。また用語「含む」および「含有する」は、オープンであることを意図しており、追加の要素またはステップの包含を許可していることにも留意されたい。範囲が与えられている場合、別様に特定されない限り、端点はかかる範囲に包含される。さらにまた、別様に指し示されない限りまたは文脈および当業者の理解から別様に明白でない限り、範囲として表現される値は、文脈が明確に指し示さない限り、範囲の下限値の単位の10分の1まで、本開示の異なる態様における規定範囲内のいずれの特定の値または部分範囲を想定し得る。
【0130】
当業者は、本明細書に記載された特定の態様に対する多くの等価物を、わずかな定型的実験法を使用して認識または確認することができるであろう。本明細書に記載された本態様の範囲は、上の記載に限定されることを意図しておらず、むしろ添付のクレームで表されるとおりである。当業者は、以下のクレームに定義されるとおり、この記載に対する様々な変化および修飾が、本開示の精神または範囲から逸脱せずになされ得ることを解するであろう。
【0131】
当業者は、本明細書に記載された態様の多くの等価物を、わずかな定型的実験法を使用して認識または確認することができるであろう。本開示の範囲は、上の記載に限定されることを意図しておらず、むしろ添付のクレームで表されるとおりである。
【0132】
「a」、「an」、および「the」などの冠詞は、1もしくは1より多いことを、それと反対なことが指し示されていない限り、または文脈から別様に明白である限り、意味してもよい。群の2以上のメンバー間に「または(もしくは/あるいは)」を包含するクレームまたは記載は、群のメンバーの1つ、1つより多く、またはそれらすべてが存在する場合を、それと反対なことが指し示されていない限り、または文脈から別様に明白である限り、満たすものと見なされる。2以上の群のメンバー間に「または(もしくは/あるいは)」を包含する群の本開示は、群のメンバーが厳密に1つ存在する態様、群のメンバーが1つより多く存在する態様、および群のメンバーがすべて存在する態様を提供する。簡潔にするため、それらの態様は本明細書中、個々に詳しくは説明されていないが、これら態様の各々が本明細書に提供されており、かつ具体的にクレームされてもまたは放棄され(disclaimed)てもよいことは理解されるであろう。
【0133】
本発明が、1以上のクレームからのもしくは1以上の関係のある記載箇所からの1以上の限定、要素、節、または記述用語が別のクレーム中へ取り入れられるすべてのバリエーション、組み合わせ、および順列を網羅することは、理解されるべきである。例えば、あるクレーム(別のクレームに従属する)は、同じ基礎クレームに従属するいずれか他のクレームに見出される限定の1以上を包含するように修飾され得る。さらにまた、クレームが組成物を記載する場合、本明細書に開示の作製もしくは使用する方法のいずれかに従うか、または当該技術分野において知られている方法(もしあれば)に従う、組成物を作製または使用する方法も、別様に指し示されていない限り、あるいは不一致または不整合が生じるであろうことが当業者に明白でない限り、包含されることは理解されるべきである。
【0134】
要素が列記として(例として、マーカッシュ群の形式において)提示されている場合、あり得るどの要素の下位群もまた開示されていること、およびいずれの要素または要素のいずれの下位群が群から除去され得ることは、理解されるべきである。用語「含むこと(comprising)」がオープンであることを意図し、追加の要素またはステップの包含を許すことにもまた留意すべきである。一般に、態様、産物、または方法が、具体的な要素、特色、またはステップを含むとして言及される場合、かかる要素、特色、もしくはステップからなるかまたは本質的にこれらからなる態様、産物、あるいは方法も提供されることは理解されるはずである。簡潔にするため、それらの態様は本明細書中、個々に詳しくは説明されていないが、これら態様の各々が本明細書に提供されており、かつ具体的にクレームされてもまたは放棄されてもよいことは理解されるであろう。
【0135】
範囲が与えられている場合、端点も包含される。さらにまた、別様に指し示されていない限り、あるいは別様に文脈および/または当業者の理解から明白でない限り、範囲として表現される値が、規定された範囲内のいずれの特定の値も、いくつかの態様において、文脈が別様に明確に指示しない限り、範囲の下限の単位の10分の1まで想定し得ることは理解されるべきである。簡潔にするため、各範囲中の値は本明細書中、個々に詳しくは説明されていないが、これら値の各々が本明細書に提供されており、かつ具体的にクレームされてもまたは放棄されてもよいことは理解されるであろう。別様に指し示されていない限り、あるいは別様に文脈および/または当業者の理解から明白でない限り、範囲として表現される値が、所定の範囲内のいずれの部分範囲(ここで部分範囲の端点は、範囲の下限の単位の10分の1として、同じ的確さ度で表現される)も想定し得ることもまた理解されるべきである。
【0136】
加えて、本発明の具体的ないずれの態様も、いずれか1以上のクレームから明示的に排除されてもよいことは理解されるべきである。範囲が与えられている場合、範囲内のいずれの値も、いずれか1以上のクレームから明示的に排除されてもよい。本発明の組成物および/または方法のいずれの態様、要素、特色、適用、あるいは側面は、いずれか1以上のクレームから排除され得る。簡潔にするため、1以上の要素、特色、目的、または側面が排除される態様のすべては本明細書中、明示的に表されていない。
【0137】
句「および/または」は、本明細書およびクレームに使用されるとき、そのように結合された要素の「いずれかまたは両方」、すなわち、あるケースには接続的に存在し、他のケースには離接的に存在する要素を意味すると理解されるべきである。「および/または」でリスト化された複数の要素は、同じ様式で解釈されるべきであり、すなわち、そのように結合された要素の「1以上」を意味する。他の要素は、「および/または」節によって具体的に同定された要素以外に、具体的に同定された要素に関連するか否かにかかわらず、任意に存在することができる。よって、非限定例として「Aおよび/またはB」への言及は、「含む」などのオープンエンドの言語と併せて使用されるとき、一態様において、Aのみ(任意にB以外の要素を包含する);別の態様において、Bのみ(任意にA以外の要素を包含する);もう1つの態様において、AとBとの両方(任意に他の要素を包含する);等々を指し得る。
【0138】
本明細書およびクレームにおいて使用される場合、「または」は、上に定義されるとおりの「および/または」と同じ意味を有すると理解されるはずである。例えば、リスト中の項目を分離するとき、「または」あるいは「および/または」は、包括的であること、すなわち、要素の数またはリストの少なくとも1つを包含するが、1より多くを包含すること、および任意に追加のリストにない項目を包含することと解釈されるものとする。「のうち1つのみ」、「のうち正確に1つ」、またはクレームに使用されるとき、「からなる」など、それとは反対に明確に指し示される用語のみが、要素の数またはリストのうちの正確に1つの要素を包含することを指すことになる。一般に、用語「または」は、本明細書に使用されるとき、「いずれか」、「のうち1つ」、「のうち1つのみ」、または「のうち正確に1つ」などの排他性の用語に先行するときにのみ、排他的選択肢(すなわち「一方または他方であるが、両方ではない」)を指し示すものと解釈するものとする。クレームに使用されるときの「本質的に~からなる」は、特許法の分野において使用される、その通常の意味を有するものとする。
【配列表】
【国際調査報告】