(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-11-01
(54)【発明の名称】磁気バックル
(51)【国際特許分類】
A44B 11/25 20060101AFI20231025BHJP
【FI】
A44B11/25
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023523538
(86)(22)【出願日】2021-09-07
(85)【翻訳文提出日】2023-04-18
(86)【国際出願番号】 CN2021116962
(87)【国際公開番号】W WO2022083331
(87)【国際公開日】2022-04-28
(32)【優先日】2020-10-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】516333034
【氏名又は名称】デュラフレックス ホンコン リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100077838
【氏名又は名称】池田 憲保
(74)【代理人】
【識別番号】100129023
【氏名又は名称】佐々木 敬
(72)【発明者】
【氏名】ツェン,ミン イェン
【テーマコード(参考)】
3B090
【Fターム(参考)】
3B090AD10
3B090AE05
(57)【要約】
バックル組立体(1)は、第2のバックル部(20)と協働する第1のバックル部(10)を有している。バックル部(10、20)のそれぞれが、外表面(112、212)および中央の円形平面(1111、2111)から延びる内表面(111、211)を有する基体(11、21)と、長手方向の一端にある締結用フック(13、23)および締結用フック(13、23)から円形平面(1111、2111)の反対側の長手方向の他端にある締結用くさび(14、24)を有する締結用開口(17、27)と、円形平面(1111、2111)の下の磁石(50)と、を有している。第1のバックル部(10)の内表面(111)を第2のバックル部(20)の内表面(211)に接触して配置することによって、磁石が互いに引き合い、各バックル部(10、20)の締結用フック(13、23)が、他のバックル部(20)の締結用開口(17、27)に入り、2つのバックル部(10、20)をロック結合し、バックル組立体(1)の長手方向の範囲に平行な反対方向への張力下での係合解除を防ぐ。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
バックル組立体であって、
複数の外表面および第1の中央円形平面から延びる複数の内表面を有する第1の基体、前記第1の基体の長手方向の一端にある第1の締結用フックおよび前記第1の締結用フックから前記第1の円形平面の反対側の前記第1の基体の長手方向の他端にある第1の締結用くさびを有する第1の締結用開口、ならびに前記第1の円形平面の下の前記第1の基体に封入された磁石を含む、第1のバックル部と、
複数の外表面および第2の中央円形平面から延びる複数の内表面を有する第2の基体、前記第2の基体の長手方向の一端にある第2の締結用フックおよび前記第2の締結用フックから前記第2の中央円形平面の反対側の前記第2の基体の長手方向の他端にある第2の締結用くさびを有する第2の締結用開口、ならびに前記第2の中央円形平面の下の前記第2の基体に封入された磁石を含む、第2のバックル部と、を備え、
前記第1のバックル部および前記第2のバックル部が、第1のバックル部の前記内表面を前記第2のバックル部の前記内表面に接触して配置することによって、前記磁石が互いに引き合い、各バックル部の前記締結用フックが、他の前記バックル部の前記締結用開口に入り、2つの前記バックル部をロック結合し、前記バックル組立体の長手方向の範囲に平行なそれぞれ反対方向への張力下での係合解除を防ぐように構成される、バックル組立体。
【請求項2】
前記第1の締結用くさびおよび前記第2の締結用くさびが、前記第1の基体および前記第2の基体にそれぞれ接続され、前記第1の締結用開口および前記第2の締結用開口内にそれぞれ延び、前記締結用フックが前記締結用開口に入って2つの前記バックル部がロック結合すると、前記第1の締結用フックおよび前記第2の締結用フックが、前記バックル部のうちの反対側の前記バックル部の前記締結用くさびの1つとそれぞれ係合する、請求項1に記載のバックル組立体。
【請求項3】
前記バックル部のそれぞれが、各長手方向側に傾斜面を含み、前記バックル部が接続されるときに、一方の前記バックル部の前記傾斜面が、他方の前記バックル部の前記傾斜面と整列し、前記バックル部が、前記バックルの前記長手方向に平行で互いから反対方向に押されると、前記締結用くさびが前記締結用フックから外れて前記バックル部をロック位置から解放するまで、前記第1のバックル部の前記傾斜面が、前記第2のバックル部の前記傾斜面に対してスライドする、請求項1に記載のバックル組立体。
【請求項4】
2つの前記バックル部が接続されるときに、前記バックル組立体の長手方向の一端の前記第1のバックル部の縁が、前記バックル組立体の長手方向の同一端の前記第2のバックル部の縁を超えて延び、前記第2のバックル部の反対側の縁が、前記バックル組立体の長手方向の同一端の前記第1のバックル部の縁を超えて延びるように、前記バックル部が形成される、請求項1に記載のバックル組立体。
【請求項5】
前記第1のバックル部および前記第2のバックル部のそれぞれが、前記基体に接続された少なくとも1つのストラップ保持バーを締結用凹部により近い端部に有し、前記少なくとも1つのストラップ保持バーが、前記バックル部が他の物体に接続されることを可能にするように構成される、請求項1に記載のバックル組立体。
【請求項6】
前記締結用フックが前記他のバックル部の前記外表面から見えるように、前記バックル部が締結されるときに、前記バックル部の少なくとも1つの前記締結用フックが、前記他のバックル部の前記基体の全体に亘って延びる、請求項1に記載のバックル組立体。
【請求項7】
前記バックル部のうちの1つに接続されるカバーをさらに備え、前記カバーが、前記1つのバックル部の前記複数の外表面の少なくともいくつかの上に延びる、請求項1に記載のバックル組立体。
【請求項8】
前記締結用フックのうちの少なくとも1つが、円弧形状である、請求項1に記載のバックル組立体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、磁気バックルに関する。特に、本発明は、各ピースそれぞれの磁石を協働させることによって所定の位置に保持される、ツーピーススライドバックルに関する。
【背景技術】
【0002】
シートベルトなどでは、2本のストラップを接続するために、ツーピースバックルが使用されることがよくある。多くの場合、バックルは、ばね仕掛けのラッチ機構によってロック結合され、ラッチ機構は、ラッチを上げ下げすることによって、またはボタンを押すことによって、解除可能である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明の目的は、係合および係合解除するのが簡単であり、ばねまたはヒンジといった可動部分を必要とせず、しかも張力を受けても固定された状態のままである、ツーピースバックル組立体を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
この目的および他の目的は、第2のバックル部と協働する第1のバックル部を有するバックル組立体によって達成される。各バックル部は、複数の外表面および中央の円形平面から延びる複数の内表面を有する基体と、基体の長手方向の一端にある締結用フックおよび締結用フックから円形平面の反対側の基体の長手方向の他端にある第1の締結用くさびを有する締結用開口と、円形平面の下の基体に封入された磁石と、を有している。第1のバックル部および第2のバックル部は、第1のバックル部の内表面を第2のバックル部の内表面に接触して配置することによって、磁石が互いに引き合い、各バックル部の締結用フックが、他のバックル部の締結用開口に入り、2つのバックル部をロック結合し、バックル組立体の長手方向の範囲に平行なそれぞれ反対方向への張力下での係合解除を防ぐように構成される。
【0005】
締結用くさびは、基体に接続され、第1のバックル部および第2のバックル部のそれぞれの締結用開口内に延びている。締結用フックが、開口に入って2つのバックル部をロック結合すると、締結用フックは、締結用くさびのそれぞれと係合する。基体の2つの長手方向側に2つの側部傾斜面および/または曲面がある。これらの面は、他のバックル部の対向面の形状と対応するように形成され、それによって、2つのバックル部が接続されると、これらの傾斜面が互いに対向してその滑り案内面を形成し、滑り案内面が部品の係合解除を補助する。バックル部は、締結用くさびが締結用フックから外れるまで、バックル部の端部を内側へ押して、バックルの長手方向に平行で互いから反対方向にバックル部をスライドすることによって、互いから係合解除される。バックル部を動かしてそれらを係合解除するために必要な力は、締結用くさびを締結用フックに接続する摩擦力だけでなく、2つのバックル部を保持する磁力を超えなければならない。傾斜面および/または曲面が、対向するバックル部がスライドするランプを形成するため、側部傾斜面は、バックル部が反対方向にスライドされるときにバックル部を互いから係合解除するためのさらなる力をもたらす。これらの側部傾斜面は、バックル部の係合中にバックル部を互いに整列させることにも役立つ。各部が最初は整列されていない場合であっても、磁石がバックル部を互いの方へ引っ張るため、対向する傾斜面は、互いに対してスライドし、2つのバックル部を整列させ、フックが締結用くさびと係合し、バックル部同士を固定する。
【0006】
締結用フックおよび締結用くさびを係合したままにするために、バックル部の内表面が合わせて配置されると、磁石が互いに引き合う。2つのバックル部が接続されると、各締結用くさびが、対応する1つのバックル部の締結用フックと係合する。側部傾斜面は、バックル部を互いから係合解除するのに十分な長手方向の力が加えられると、1つのバックル部がもう1つのバックル部から外に、より容易に滑り出ることを可能にする。
【0007】
互いに対するバックル部の係合解除を補助するために、バックル部は、2つのバックル部が接続されるときに、長手方向の一端の第1のバックル部の端縁および第2のバックル部の対向する端縁が、第2のバックル部および第1のバックル部の対向する端縁をそれぞれ超えて延びるように、形成される。このようにして、外向きに延びる端縁が、ユーザによってより容易に把持され、押圧されてバックル部を係合解除する。
【0008】
好ましくは、第1のバックル部および第2のバックル部のそれぞれが、バックル部が他の物体に接続されることを可能にするための締結用凹部を有する端部において、基体に接続された少なくとも1つのストラップ保持バーを有している。
【0009】
一実施形態では、バックル部が互いにロックされているときに、締結用フックが他のバックル部の外表面から見えるように、少なくとも1つのバックル部の締結用フックは、もう1つのバックル部の基体の全体に亘って延びる。
【0010】
基体の1つまたは両方にカバーを取り付けて、その外表面を覆うようにすることができる。
【0011】
本発明の他の目的および特徴は、添付図面に関連して考察される以下の詳細な説明から明らかとなるであろう。しかしながら、図面は、本発明の限定を定義するものとしてではなく、単なる例示として設計されていることを理解されたい。
【0012】
図面において、類似の参照符号は、いくつかの図面全体を通して類似の要素を指す。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本発明による、バックル組立体の上面図である。
【
図3】バックル組立体の底面および側面の斜視図である。
【
図5】本発明による、第2のバックル部の底面および側面の斜視図である。
【
図6】第2のバックル部の上面および側面の斜視図である。
【
図8】
図5の線VIII-VIIIに沿った断面図である。
【
図9】第1のバックル部の底面および側面の斜視図である。
【
図10】第1のバックル部の上面および側面の斜視図である。
【
図12】
図9の線XII-XIIに沿った断面図である。
【
図13】バックル部の1つに接続するためのカバーの上面および側面の斜視図である。
【
図15】磁石封入体の上面および側面の斜視図である。
【
図16】磁石封入体の底面および側面の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
ここで図面を詳細に参照すると、
図1~
図5は、本発明によるバックル組立体1を示している。バックル組立体1は、第1のバックル部10および第2のバックル部20を含む。バックル部10は、基体11を有し、基体11は、複数の外表面112および複数の内表面111を有している。バックル部20は、基体21を有し、基体21は、複数の外表面212および複数の内表面211を有している。基体11、21の重なり合う部分を超えて延びる、それぞれの外縁上に、ストラップ保持バー15、25がある。接続された各ストラップを調整可能にするための2つの追加のストラップ保持バー151、251も、バックル部10、20上にそれぞれ存在する。
【0015】
別の実施形態(図示せず)では、ストラップ保持バー151は、両方のバックル部上のストラップを調整可能にするために、ストラップ保持バー251と同じ構成にされてもよい。
【0016】
バックル部10の端縁152は、基体11の外端に位置し、バックル部20の端縁252は、端縁152の反対側の基体21の端部に位置している。
図13および
図14に示されるカバー30は、突起32が基体21の凹部29(
図6を参照)に嵌め込まれることによって、第2のバックル部20の基体21に接続される。
図4に見られるように、カバー39の他端は、爪31をフック23(
図5を参照)の凹部28に嵌め込んでカバーを基体21上に動かないように固定することによって基体21に接続される。
【0017】
個々のバックル部10、20は、
図5~
図12に詳細に示されている。両方のバックル部は、それらの協働特性が損なわれない限り、同じ構成とされてもよく、あるいは、外観および/または構造が異なるように作られてもよい。
【0018】
図5~
図8および
図13~
図16は、組み立てられていない状態のバックル部20を示している。
図5に示されるように、基体21は、円形平面2111付近に締結用くさび24を有する開口27を有している。円形平面2111の反対側に締結用フック23があり、締結用フック23は、内表面211から上向きに延びている。締結用フック23は、円弧形状である。円形平面2111から延びる2つの側部傾斜面26がある。
図8に示されるように、磁石50は、封入体40のキャビティ41(
図16)内に配置され、円形平面2111の下の基体21に格納される。円形平面2111は、製造プロセスの間に磁石50と封入体40のアセンブリを金型中に位置させるためのスロット2112(
図5)を含む。
図6に示されるように、開口27は、カバー30がバックル部20に組み付けられていない間は、締結用くさび24がバックル部20の外表面212から見えるように、外表面212の全体に亘って延びている。
【0019】
ストラップがストラップ保持バー151、251の周囲に巻かれているとき、ストラップの構造および靭性により、バックル部の係合中、それらの外表面112および212の間の磁気吸引力によってバックル部10、20が反転することが防止される。
【0020】
図9~
図12および
図15~
図16は、組み立てられていない状態のバックル部10を示している。
図9に示されるように、基体11は、円形平面1111付近に締結用くさび14を有する開口17を有している。円形平面1111の反対側に締結用フック13があり、締結用フック13は、内表面111から上向きに延びている。締結用フック13は、円弧形状である。円形平面1111から延びる2つの側部傾斜面16がある。
図12に示されるように、磁石50は、封入体40のキャビティ41(
図16)内に配置され、円形平面1111の下のバックル体11に格納される。円形平面1111は、製造プロセス中に磁石50および封入体40を金型中に位置させるためのスロット1112(
図9)を含む。
図10に示されるように、開口17は、締結用くさび24がバックル部10の外表面112から見えるように、外表面112の全体に亘って延びている。
【0021】
バックル組立体10の動作は、
図4、
図5、および
図9を特に参照して以下のように説明される。バックル部10およびバックル部20を組み立てるために、2つのバックル部が、それらの内表面111、211が互いに対向し、ストラップ保持バー15、25が反対側の端にくるようにして合わせて配置される。バックル部10、20のそれぞれの磁石50の引力は、側部傾斜面16が側部傾斜面26とぶつかるようにバックル部10、20を引き寄せる。傾斜面16、26は、互いにぶつかってスライドし、2つのバックル部を正しい係合位置に案内することを助ける。傾斜面16、26は、また、バックル部10、20を適切な位置合わせに案内することをさらに補助するための、対応して湾曲した外形を有している。2つのバックル部が一旦接続されると、第1のバックル部10の締結用フック13が第2のバックル部20の開口27内に延び、次いで締結用くさび24と係合する。同様に、反対側において、側部傾斜面26が側部傾斜面16とぶつかって、各バックル部10、20がもう一方の側部傾斜面16、26に沿って適合する。第2のバックル部20の締結用フック23は、第1のバックル部10の開口17内に延び、締結用くさび14と係合する。バー15、25に接続されたストラップ(図示せず)の張力などにより、長手方向Lに力が加えられるとき、開口27、17のそれぞれにおける締結用フック13、23の安定した係合によってバックル部10、20の係合解除が妨げられる。
【0022】
バックル部10、20を係合解除するために、ユーザは、長手方向Lに平行な
図3の内側に向かう矢印の方向に、バックル部10、20の端縁152、252をそれぞれ内側に同時に押し、それによって、バックル部が、この方向に沿って互いに向かって押される。これによって、バックル部10、20は、互いに対して長手方向に、バックル組立体の中心に向かってスライドする。バックル部が長手方向にスライドすると、各バックル部の締結用フック13、23もまた、側部傾斜面16、26が接触するまで、長手方向にスライドする。この時点で、各バックル部10、20は、側部傾斜面16、26の傾斜した外形に沿ってスライドし、側部傾斜面16、26は、2つのバックル部を互いから引き離す。加えて、長手方向のスライドによって、2つの磁石50の間の引力が遮断され、2つのバックル部10、20を、互いから容易に解放することができる。互いから離れる方を向く
図3の矢印に沿った方向Lに引張り張力を受けても、バックル部は、締結用フック13、23が締結用くさび24、14にそれぞれ堅固に係合されて、ロック結合されたままである。
【0023】
本発明は、部品を係合解除するのに大きな力を必要とすることなく、かつバックルに如何なる可動部分も必要とすることなく、2つのバックル部を合わせて取り付けるための単純かつ確実な方法を提供する。
【0024】
それに応じて、本発明のほんの少しの実施形態が示され説明されているが、本発明の思想および範囲から逸脱することなく、多くの変更および修正がそれに対して行われ得ることが明らかである。
【国際調査報告】