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特表2023-546177フッ素プラズマエッチングプロセスにおける保護層としての炭素ドープオキシフッ化イットリウム(C:Y-O-F)層
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-11-01
(54)【発明の名称】フッ素プラズマエッチングプロセスにおける保護層としての炭素ドープオキシフッ化イットリウム(C:Y-O-F)層
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/3065 20060101AFI20231025BHJP
   C23C 14/06 20060101ALI20231025BHJP
【FI】
H01L21/302 101G
C23C14/06 K
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023523612
(86)(22)【出願日】2021-10-19
(85)【翻訳文提出日】2023-06-14
(86)【国際出願番号】 EP2021078906
(87)【国際公開番号】W WO2022084292
(87)【国際公開日】2022-04-28
(31)【優先権主張番号】102020006407.8
(32)【優先日】2020-10-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】598051691
【氏名又は名称】エリコン・サーフェス・ソリューションズ・アクチェンゲゼルシャフト,プフェフィコーン
【氏名又は名称原語表記】OERLIKON SURFACE SOLUTIONS AG, PFAEFFIKON
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】クラスニッツァー,ジークフリート
(72)【発明者】
【氏名】ギモン,セバスチャン
(72)【発明者】
【氏名】ケローディ,ジュリアン
(72)【発明者】
【氏名】コニフ,ジョン
(72)【発明者】
【氏名】カーク,マシュー・ポール
【テーマコード(参考)】
4K029
5F004
【Fターム(参考)】
4K029AA02
4K029AA06
4K029AA07
4K029AA24
4K029BA42
4K029BA43
4K029BC01
4K029BD03
4K029CA06
4K029DC05
4K029DC34
4K029EA01
4K029FA05
5F004AA15
5F004BB29
5F004BD03
5F004DA01
5F004DA02
5F004DA03
(57)【要約】
本発明は、基板と、基板の少なくとも一部を覆う保護膜とを備える物品に関し、この膜は、元素の周期律表のIII族および/またはIV族元素の1つ以上の元素を含むフッ素化金属酸化物を含み、保護膜に含まれるフッ素化金属酸化物は、炭素濃度が0.1at%以上10at%以下、好ましくは0.5at%以上、より好ましくは2.5at%以下の炭素でドープされ、物品は、プラズマエッチングチャンバの構成要素および/または部品であり、好ましくは、静電チャック、リング、プロセスキットリング、単一リング、チャンバ壁、シャワーヘッド、ノズル、蓋、ライナー、窓、バッフルまたは締結具からなる群の物品であることを特徴とする。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
物品であって、前記物品は、
基板と、
前記基板の少なくとも一部を覆う保護膜とを備え、前記膜は、元素の周期律表のIII族および/またはIV族元素の1つ以上の元素を含むフッ素化金属酸化物を含み、前記保護膜に含まれる前記フッ素化金属酸化物は、炭素濃度が0.1at%以上10at%以下、好ましくは0.5at%以上、より好ましくは2.5at%以下の炭素でドープされ、前記物品は、プラズマエッチングチャンバの構成要素および/または部品であり、好ましくは、静電チャック、リング、プロセスキットリング、単一リング、チャンバ壁、シャワーヘッド、ノズル、蓋、ライナー、窓、バッフルまたは締結具からなる群の物品であることを特徴とする、物品。
【請求項2】
前記保護膜の前記金属は、イットリウムを含み、好ましくはイットリウムであることを特徴とする、請求項1に記載の物品。
【請求項3】
前記保護膜のコーティング厚さは、0.1μm以上30μm以下であることを特徴とする、請求項1または2に記載の物品。
【請求項4】
前記保護膜は、Ra<1μm、好ましくはRa<0.25μm、最も好ましくはRa<0.025μmの粗さを有することを特徴とする、先行する請求項のいずれか1項に記載の物品。
【請求項5】
前記保護膜は、Rpk<0.25μm、好ましくはRpk<0.10μm、最も好ましくはRpk<0.025μmの突出山部高さを有することを特徴とする、先行する請求項のいずれか1項に記載の物品。
【請求項6】
前記保護膜は、固定荷重を5mNとしインデンテーション深さをコーティング厚さの10%未満に維持したナノインデンテーションによって求められた、少なくとも10GPaの硬度を有することを特徴とする、先行する請求項のいずれか1項に記載の物品。
【請求項7】
前記保護膜と前記基板との間に、第2の金属または第2の金属酸化物である接着促進層があり、前記膜の金属と第2の金属とは好ましくは同一であることを特徴とする、先行する請求項のいずれか1項に記載の物品。
【請求項8】
前記保護膜は、前記保護膜のより深い部分から前記保護膜のより浅い部分まで測定される、増加するフッ素濃度を有する勾配層を含み、および/または、前記保護膜は、フッ素濃度が異なる少なくとも2つの層を含む多層系であり前記基板からより遠い層の前記フッ素濃度は前記基板により近い層の前記フッ素濃度よりも高いことを特徴とする、先行する請求項のいずれか1項に記載の物品。
【請求項9】
前記保護膜は、前記基板の近傍から始まる純粋なM2O3から(MaObFcCd)までの勾配層を含み、MaObFcCdの濃度は、好ましくは、0.25<a<0.4、0.2<b<0.6、0.1<c<0.6、および0.01<d<0.1から選択され、a+b+c+d=1であることを特徴とする、先行する請求項のいずれか1項に記載の物品。
【請求項10】
前記保護膜またはもしあれば接着促進層と、前記基板との間に、好ましくはY2O3および/またはYOFを含むY含有溶射プレコートが存在し得ることを特徴とする、先行する請求項のいずれか1項に記載の物品。
【請求項11】
前記基板の少なくとも一部を覆う前記保護膜は、物理蒸着(PVD)および/または化学蒸着(CVD)によって与えられることを特徴とする、先行する請求項のいずれか1項に記載の物品の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
ハロゲン含有プラズマ(フッ素、塩素、臭化物、ヨウ素)は、半導体産業においてシリコンウエハをエッチングするために広範囲にわたって使用されている。しかしながら、ハロゲン含有プラズマは、プラズマエッチングチャンバの部品および構成要素にも衝撃を与えこれらを侵食し、その一方で、発生した粒子が、ウエハを汚染してデバイス歩留まりの低下ならびにプラズマエッチングチャンバの部品および構成要素の寿命の短縮を引き起こし、これが最終的にはプロセス休止時間の増加および半導体デバイス製造費用の増大につながる可能性がある。
【0002】
浸食、腐食および汚染物質の形成からデバイスを保護するために、Al2O3、AlONまたはY2O3等の、多くの酸化物セラミックが、耐プラズマエッチング構成要素保護材料およびコーティングとして使用される。従来の耐プラズマセラミックのうちの1つはイットリア(Y2O3)である。これは、金属エッチング用途および誘電体シリコンベースのエッチング用途の両方のプラズマ下においてより長いチャンバ寿命を示してきたものであり、その理由は、他の酸化物ベースのセラミックと比較してプラズマ浸食および腐食耐性がより高いことにある。
【0003】
しかしながら、フッ素含有プラズマ内でY2O3をエッチング保護層として使用する場合、フッ素プラズマがY2O3層と反応し変質YOF表面層を形成することが、報告されている。このYOF層は、剥離して、エッチング対象のウエハの表面汚染を引き起こす粒子を生成する傾向がある。これが最終的には製造歩留まりの低下につながり集積回路の高レベルのプロセス再現性を実現することが極めて困難になる。
【0004】
Kazuhiro et al in J. Vac. Sci. A 27(4), Jul/Aug 2009 は、4つのステップで起こるYOFの形成について説明している。第1のステップに従うと、Y2O3表面上にフルオロカーボン膜が形成される。第2のステップに従うと、フルオロカーボン膜の炭素とY2O3の酸素とが反応して揮発性COを形成する。これにより、Y-O結合が分解される。第3のステップに従うと、分解されたY-O結合のイットリウムがフルオロカーボン膜のフッ素と反応しそれによってYOxFyおよび/またはYFx結合が形成される。
【0005】
この問題を回避するために、先行技術は、耐エッチングオキシフッ化イットリウムY-O-F(YxOyFz)コーティングを堆積させて第3のステップを防止し、これが保護層として作用してコーティング表面がフッ素プラズマおよび粒子生成によってさらに侵食されるのを防止することを提案している。しかしながら、Fに関しては化学的に不活性であるにもかかわらず、YOFコーティングも、YOF表面上へのフルオロカーボンラジカルの吸着によるフルオロカーボンポリマー層の堆積に起因する劣化を伴う可能性がある。他の欠点の中でもとりわけこれらの層は、エッチングプロセスに影響を及ぼし、制御されていない大きなシフトを生じさせる可能性がある。
【0006】
そのため、優れたプラズマエッチング耐性を有し、集積回路の製造において高レベルのプロセス安定性および再現性を提供する、改良されたコーティングが必要とされている。多くの場合、そのような安定性および再現性を改良するために、シーズニング(seasoning)およびコンディショニングが使用される。しかしながら、これは時間がかかる可能性があり製造コストを大幅に増加させる可能性がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、上記問題を解決するとともに、優れたプラズマエッチング耐性を有し半導体デバイスの製造においてフッ素プラズマベースのエッチングプロセスの高レベルのプロセス安定性および再現性を提供する、プロセスチャンバ部品のための改良されたコーティングを提供することを目的としている。本発明はまた、そのような改良されたコーティングを製造するための方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に従うと、この問題は、独立請求項1に記載の物品によって解決され、物品は、好ましくは、真空適合性基板を含む真空適合性プラズマエッチングチャンバ物品として形成されてもよい。従属請求項は、本発明のさらに他のおよび好ましい実施形態を記述している。
【0009】
本発明に従うと、物品は改良されたコーティングを含み、改良されたコーティングは、フッ素化金属酸化物を含む薄膜として形成されてもよく、薄膜はさらに、濃度が0.1at%~10at%の範囲内、好ましくは0.5at%と2.5at%との間の炭素を含む。フッ素化金属酸化物の金属は、周期律表のIII族元素および/またはIV族元素の1つ以上の元素であってもよい。より好ましくは、金属は、イットリウムを含んでいてもよく、またはイットリウムであってもよい。
【0010】
別の例に従うと、保護膜は、保護膜のより深い部分から保護膜のより浅い部分まで測定される、増加するフッ素濃度を有する勾配層を含んでいてもよく、および/または保護膜は、フッ素濃度が異なる少なくとも2つの層を含む多層系であってもよく基板からより遠い層のフッ素濃度が基板により近い層のフッ素濃度より高くてもよい。
【0011】
本発明の好ましい実施形態に従うと、薄膜はMaObFcCd膜であり、この膜中のこれらの材料のみが考慮される場合、0.25<a<0.4、0.2<b<0.6、0.1<c<0.6、および0.01<d<0.1であり、a+b+c+d=1である。このことは、膜中に追加の材料も同様に存在し得ることを意味する。しかしながら、追加の材料の各々の濃度は、5at%を超えないことが好ましい。最も好ましくは、汚染の回避が困難な材料以外の追加の材料は膜中に存在しない。
【0012】
本発明の別の態様に従い、本発明に係る物品の製造方法が開示され、基板の少なくとも一部を覆う保護膜は、物理蒸着(PVD)および/または化学蒸着(CVD)によって与えられる。本発明の膜は、たとえばプラズマCVD等の物理蒸着(PVD)および/または化学蒸着(CVD)において半導体製造装置で使用するチャンバ部品/構成要素に適用される。本発明の膜は、アルミニウムおよび/または酸化アルミニウムおよび/または陽極酸化アルミニウムおよび/またはプレコートされたアルミニウムおよび/またはプレコートされた陽極酸化アルミニウムの部品への適用に最も適している。一例は、陽極酸化アルミニウム上への溶射Y2O3プレコート層を堆積させることである。たとえば石英等の他の基板も可能である。
【0013】
本発明の膜は、基板上の純粋な金属酸化物(Me-O)から始まり最上層としてのMe-O-F-Cまでの勾配層を含み得るまたは勾配層であってもよい。膜は、好ましくは表面に向かう方向にFおよび/またはC濃度が増加する2層または多層系であってもよい。
【0014】
本発明の膜は、基板への接着促進手段として、1つ以上の金属および/または金属酸化物層を含み得る。好ましくは、本発明の膜は、ナノインデンテーションによって求められた、少なくとも10GPaの硬度を有する。好ましくは、本発明の膜は、0.1μmと30μmとの間の厚さを有する。一実施形態に従うと、本発明の膜は非晶質相を有するが、好ましい実施形態に従うと、本発明の膜は、x線回折によって求められた、たとえば三方晶および/または斜方晶および/または好ましくは菱面体晶等の結晶相を有する。好ましい実施形態に従うと、本発明の膜は、Ra<1μm、好ましくはRa<0.25μm、最も好ましくはRa<0.025μmの粗さを有する。好ましい実施形態に従うと、本発明の膜は、Rpk<0.25μm、好ましくはRpk<0.10μm、最も好ましくはRpk<0.025μmの突出山部高さ(reduced peak height)を有する。
【0015】
本発明の膜は、たとえば、プラズマ蒸着(PVD)プロセス、好ましくは反応性スパッタプロセス、たとえばパルスDCおよび/またはHiPIMSおよび/またはバイポーラHiPIMSおよび/または変調パルス電力マグネトロンスパッタリング(MPPS)により、製造することができる。反応性プロセスが使用される場合、反応性ガスは、たとえばCF含有ガス(CF4、C2F6、C3F8等)と酸素含有ガス(O2等)との混合物であってもよい。ターゲットは純金属ターゲットであってもよい。しかしながら、これは、たとえばセラミックターゲット、たとえば酸化物、好ましくはY2O3および/またはフッ化物、好ましくはYF3またはそれらの混合物であってもよい。PVDプロセスは特に好適であり、その理由は、既存の技術(溶射、エアロゾル堆積)と比較して、PVD膜の固有の密度および多孔性の欠如が粒子形成の低減に特に積極的に寄与することにある。
【0016】
フローティングおよび/またはDCおよび/またはパルスDCおよび/またはバイポーラおよび/またはRFである基板バイアスを使用することが有利となる可能性がある。限定されないが、Y2O3および/またはYOF層等のY含有溶射プレコートを使用することが有利となる可能性がある。
【0017】
適用例は、静電チャック(ESC)、リング(たとえばプロセスキットリングまたは単一リング)、チャンバ壁、シャワーヘッド、ノズル、蓋、ライナー、窓、バッフル、締結具を含むがこれらに限定されないチャンバ構成要素である。
【0018】
好ましくは、コーティング中、基板温度は180°C未満に保たれ、最も好ましくは150°C未満に保たれる。なお、より高い温度ではより高い堆積速度を実現できるが時として基板は温度制限を有することに留意されたい。
【0019】
以下、本発明を実施例に基づき図面を用いて詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】2回のコーティングの実行から得られた膜の材料組成を示す図である。
図2】アルミナ、アルミニウムおよびシリコン上にコーティングされた膜の異なる粗さ値を示す図である。
図3a】試料の断面のSEMを示す図である。
図3b】試料の表面の一部のSEMを示す図である。
図4】2回のコーティングの実行から得られた膜の測定された硬度および弾性率を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
一回目のコーティングの実行において、アルミニウムおよびアルミナ(4μインチRa)ならびにシリコンの基板を溶媒洗浄し、ステンレス鋼堆積システム内の2軸の回転遊星システム上に装填した。DCフィラメント放電およびパルスDC基板バイアスを使用して、基板のアルゴンプラズマエッチングを実施した。
【0022】
チャンバを1E-2mbar未満になるように排気し、160sccmに調節されたアルゴン流を発生させた。次に、50%の電力設定で開始されその後6kWまで傾斜するパルスDC電力を平衡平面イットリウムターゲットに送った。次に、反応性ガスO2およびCF4を使用して、Cドープオキシフッ化イットリウム(YOFC)コーティングを堆積させた。CF4とO2の比率は30:70の比率に設定した。次に、反応性ガスを、この設定比で、カソード電圧が565V(純金属膜)から380Vの最終設定点(完全にオキシフッ化物ドープされた炭素膜)まで着実に減少するように、5分間にわたってゆっくりと調整した。この時点で、CF4/O2比は依然として固定されている。ガス流における微調整が、堆積期間中、スパッタリングカソード上の動作電圧設定値を維持する。それにより、コーティングのYOF機能性最上層について2μmの所望厚さに達するまで、条件を一定に保つ。
【0023】
二回目のコーティングを実行した。CF4とO2の比率以外のすべてのパラメータは、一回目のコーティングの実行と同一であった。CF4とO2の比率は10:90の比に設定した。
【0024】
図1は、ERDA/RBS分析によって求められた、両方のコーティングの実行で得られたコーティング組成を示す。コーティング組成は原子比at%で与えられる。検出限界は0.1at%未満である。両方のコーティングにおいてC濃度が1.2at%であることがわかる。これに対し、CF4/O2比が増加すると、酸素濃度は低下し、フッ素濃度は上昇する。
【0025】
XRD測定により、コーティングの菱面体晶結晶構造が明らかになった。
スタイラス表面粗さ計を用いてこれらの粗さ測定を行った。結果を図2に示す。本発明の膜は、剥落(flaking)効果を減少させるのに役立ち得る非常に小さな粗さの値を提供すると思われる。同様に注目すべき点は、小さなRpk(突出山部高さ)値である。コーティング表面は、異常なピークを有する形状を提供するものではなく、むしろ起伏のある風景に似ている。これは、上面図として撮影された図3bのSEM写真からもわかる。図3aは試料の1つの断面のSEMを示す。
【0026】
本発明者らは、それらの試料に対しても同様に硬度測定を実行し、これはUNAT装置(ユニバーサルナノメカニカルテスター(Universal Nanomechanical Tester))で実施された。硬度は少なくとも間接的に役割を果たし得るものであり、なぜなら、より硬い膜は、典型的により高い密度を有し、したがってエッチングされにくいからである。膜を、5mNの固定荷重で45回押し込み、インデンテーション深さを膜厚の10%未満に維持した(Oliver-Pharr法規則)。図4は、それぞれの測定値を示す。
【0027】
硬度および弾性率は、基準のために取得した先行技術のY2O3膜と比較すると、同じ範囲にあることが判明した。
図1
図2
図3a
図3b
図4
【国際調査報告】