(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-11-01
(54)【発明の名称】ウイルスサイクルの新しい標的に対する化合物によるHIV-1複製の阻害
(51)【国際特許分類】
A61K 45/00 20060101AFI20231025BHJP
A61P 31/18 20060101ALI20231025BHJP
C07D 211/90 20060101ALI20231025BHJP
C07D 401/12 20060101ALI20231025BHJP
A61K 31/4422 20060101ALI20231025BHJP
A61K 31/4427 20060101ALI20231025BHJP
A61K 31/4545 20060101ALI20231025BHJP
A61K 31/496 20060101ALI20231025BHJP
A61K 31/55 20060101ALI20231025BHJP
C07D 403/04 20060101ALI20231025BHJP
【FI】
A61K45/00
A61P31/18 ZNA
C07D211/90 CSP
C07D401/12
A61K31/4422
A61K31/4427
A61K31/4545
A61K31/496
A61K31/55
C07D403/04
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023523631
(86)(22)【出願日】2021-10-18
(85)【翻訳文提出日】2023-05-18
(86)【国際出願番号】 EP2021078829
(87)【国際公開番号】W WO2022084259
(87)【国際公開日】2022-04-28
(32)【優先日】2020-10-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
(71)【出願人】
【識別番号】506316557
【氏名又は名称】サントル ナショナル ドゥ ラ ルシェルシュ シアンティフィック
(71)【出願人】
【識別番号】520179305
【氏名又は名称】ユニヴェルシテ パリ-サクレー
【氏名又は名称原語表記】UNIVERSITE PARIS-SACLAY
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】マルク・ミランド
(72)【発明者】
【氏名】マルティーヌ・コミッソ
(72)【発明者】
【氏名】オリヴィエ・デレリス
(72)【発明者】
【氏名】フレデリック・シュブラ
【テーマコード(参考)】
4C063
4C084
4C086
【Fターム(参考)】
4C063AA01
4C063BB02
4C063BB08
4C063CC11
4C063CC28
4C063DD02
4C063DD10
4C063DD19
4C063EE01
4C084AA17
4C084NA14
4C084ZB33
4C084ZC55
4C086AA01
4C086AA02
4C086AA03
4C086BC16
4C086BC21
4C086BC50
4C086MA01
4C086MA04
4C086NA14
4C086ZB33
4C086ZC55
(57)【要約】
本発明は、1型ヒト免疫不全ウイルス(HIV-1)を処置する方法における使用のための、1型ヒト免疫不全ウイルス(HIV-1)のRNAの逆転写の開始段階の化合物阻害剤に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
1型ヒト免疫不全ウイルス(HIV-1)を処置する方法における使用のための、1型ヒト免疫不全ウイルス(HIV-1)のRNAの逆転写の開始段階の化合物阻害剤。
【請求項2】
1型ヒト免疫不全ウイルスのインテグラーゼと1型ヒト免疫不全ウイルスに感染した細胞のミトコンドリアリシル-tRNAシンテターゼとの相互作用を阻害する、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
1型ヒト免疫不全ウイルス(HIV-1)のRNAの逆転写の開始段階の阻害剤としての使用のための、好ましくは1型ヒト免疫不全ウイルス(HIV-1)の処置方法における使用のための式(I)の化合物であって、前記式(I)が以下:
【化1】
(式中、R
1は、
- 水素原子、
- アミノ基NH
2、並びに
- 直鎖状又は環状又は分岐状であり、飽和又は不飽和であり、窒素、酸素及び硫黄から選択されるヘテロ原子を場合により含む、C1~C10アルキル基
からなる群から選択され、
R
2、R
3、R
4及びR
5は独立して、
- 水素原子、
- ハロゲン原子、
- ヒドロキシル基、
- 直鎖状若しくは環状若しくは分岐状であり、飽和若しくは不飽和であり、場合により置換されており、且つ/又はヘテロ原子を場合により含む、C1~C20アルキル基、
- 少なくとも1個のC1~C20アルキル基で場合により置換されており、直鎖状若しくは環状若しくは分岐状であり、飽和若しくは不飽和であり、場合により置換されており、且つ/又は少なくとも1個のヘテロ原子を場合により含む、アリール基、
- 式-C(O)O-R
a又は式-C(O)O-R
a'のエステル基であって、R
a及びR
a'が独立して、直鎖状若しくは環状若しくは分岐状であり、飽和若しくは不飽和であり、場合により置換されており、且つ/又は少なくとも1個のヘテロ原子を場合により含むC1~C30アルキル基からなる群から選択されるか、或いはR
aがC1~C30アルキルアリール基であり、ここでアルキルが、直鎖状若しくは環状若しくは分岐状であり、飽和若しくは不飽和であり、アリール基に連結しており、場合により置換されており、且つ/又は少なくとも1個のヘテロ原子を場合により含む、エステル基、
- カルボキシル基(-COOH)、
- ニトロ基(-NO
2)、並びに
- シアノ基(-CN)
からなる群から選択され、
R
4及びR
5は一緒になって複素環を場合により形成する)
の通りである化合物、並びに/又はその塩及び/若しくはその溶媒和物。
【請求項4】
以下の式(I'):
【化2】
(式中、R
1、R
a、R
a'、R
4及びR
5は、請求項3に規定の通りである)
の化合物である、請求項3に記載の化合物。
【請求項5】
R
2及びR
3がそれぞれ独立して、式-C(O)O-R
a又は式-C(O)O-R
a'のエステル基である式(I)の化合物、或いは
R
a及びR
a'が独立して、
- 窒素、酸素及び硫黄から選択される少なくとも1個のヘテロ原子を場合により含むC1~C25アルキル基R
a1であって、前記アルキル基R
a1が少なくとも1個のフェニル基で場合により置換されており、前記フェニル基がハロゲン原子で場合により置換されている、C1~C25アルキル基R
a1、
- 少なくとも1個の複素環を含むC1~C25アルキル基R
a2であって、前記アルキル基R
a2が少なくとも1個のフェニル基で場合により置換されており、前記フェニル基がハロゲン原子で場合により置換されている、C1~C25アルキル基R
a2、並びに
- 窒素、酸素及び硫黄から選択される少なくとも1個のヘテロ原子を場合により含む少なくとも1個のC1~C10アルキル基で場合により置換されている、且つ/又は少なくとも1個の末端フェニル基で場合により置換されている、複素環R
a3
からなる群から選択される、式(I')の化合物である、請求項3又は4に記載の化合物。
【請求項6】
R
4及びR
5が独立して、
- 水素原子、
- ハロゲン原子、
- ヒドロキシル基、
- 直鎖状若しくは環状若しくは分岐状であり、飽和若しくは不飽和であり、窒素、酸素及び硫黄から選択される少なくとも1個のヘテロ原子を場合により含み、且つ/又はハロゲン原子で場合により置換されている、C1~C20アルキル基、
- カルボキシル基(-COOH)、
- ニトロ基(-NO
2)、並びに
- シアノ基(-CN)
からなる群から選択されるか、
或いはR
4及びR
5が一緒になって複素環を形成する、式(I)又は(I')の化合物である、請求項3から5のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項7】
R
1が、メチル基CH
3及びアミノ基NH
2からなる群から選択され、好ましくはR
1がメチル基である、式(I)又は(I')の化合物である、請求項3から6のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項8】
R
2及びR
3がそれぞれ独立して、式-C(O)O-R
a又は式-C(O)O-R
a'のエステル基である式(I)の化合物、或いは
R
a及びR
a'が独立して、
- 少なくとも1個の酸素原子を場合により含む、C1~C10アルキル基、
- 1個又は2個の末端フェニル基で置換されており、少なくとも1個の窒素原子を場合により含む、C1~C25アルキル基、
- 2~7個の炭素原子及び少なくとも1個の窒素原子を含む少なくとも1個の飽和複素環を含むC1~C15アルキル基であって、前記飽和複素環が、少なくとも1個のフェニル基及び/又は1個若しくは2個の末端フェニル基で場合により置換されている少なくとも1個のC1~C10アルキル基で置換されている、C1~C15アルキル基、
- 2~7個の炭素原子及び少なくとも1個の窒素原子を含む飽和複素環であって、前記複素環が、少なくとも1個のフェニル基及び/又は1個若しくは2個の末端フェニル基で場合により置換されている少なくとも1個のC1~C10アルキル基で置換されている、飽和複素環
からなる群から選択される、式(I')の化合物である、請求項3から7のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項9】
R
4が水素であり、R
5が水素とは異なるか、又はR
5が水素であり、R
4が水素とは異なる、式(I)又は(I')の化合物である、請求項3から8のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項10】
R
2及びR
3がそれぞれ独立して、式-C(O)O-R
a若しくは式-C(O)O-R
a'のエステル基である式(I)の化合物、又は
R
a及びR
a'が独立して、
- 直鎖状若しくは分岐状であり、飽和であり、少なくとも1個の酸素原子を場合により含む、C1~C5アルキル基、
- 直鎖状であり、飽和若しくは不飽和であり、1個若しくは2個の末端フェニル基で置換されている、C1~C10アルキル基、
- 直鎖状若しくは分岐状であり、飽和であり、1個若しくは2個の末端フェニル基で置換されており、少なくとも1個の窒素原子を含む、C1~C5アルキル基、
- 3~5個の炭素原子及び1個若しくは2個の窒素原子を含む少なくとも1個の飽和複素環を含むC1~C10アルキル基であって、前記飽和複素環が、-CHPh
2若しくは-CH
2Phで置換されている、C1~C10アルキル基、並びに
- 3~5個の炭素原子及び1個若しくは2個の窒素原子を含む飽和複素環であって、前記飽和複素環が、-CHPh
2若しくは-CH
2Phで置換されている、飽和複素環
からなる群から選択される、式(I')の化合物である、請求項3から9のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項11】
R
4及びR
5が独立して、
- 水素原子、
- ハロゲン原子、
- 直鎖状若しくは分岐状であり、飽和若しくは不飽和であり、少なくとも1個のエステル官能基を含む、C1~C20アルキル基、及び
- ニトロ基(-NO
2)
からなる群から選択される、式(I)又は(I')の化合物である、請求項3から10のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項12】
【化3A】
【化3B】
からなる群から選択される、請求項3から11のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項13】
1型ヒト免疫不全ウイルス(HIV-1)のRNAの逆転写の開始段階の阻害剤としての使用のための、好ましくは1型ヒト免疫不全ウイルス(HIV-1)の処置方法における使用のための式(II)の化合物であって、前記式(II)が以下:
【化4】
(式中、X及びZは一緒になって、
- 水素原子、
- ハロゲン原子、
- ヒドロキシル基、
- カルボキシル基(-COOH)、
- ニトロ基(-NO
2)、
- シアノ基(-CN)、
- 直鎖状若しくは環状若しくは分岐状であり、飽和若しくは不飽和であり、場合により置換されており、且つ/又は少なくとも1個のヘテロ原子を場合により含む、C1~C20アルキル基、及び
- 場合により置換されている、アリール基
からなる群から選択される少なくとも1個の置換基で場合により置換されている、縮合ベンゼン環を表し、
R及びR'は独立して、
- 水素原子、
- ハロゲン原子、
- ヒドロキシル基、
- カルボキシル基(-COOH)、
- ニトロ基(-NO
2)、
- シアノ基(-CN)、
- アミノ基(-NH
2)、
- 直鎖状若しくは環状若しくは分岐状であり、飽和若しくは不飽和であり、ヘテロ原子を場合により含み、且つ/又は少なくとも1個の内部若しくは末端アリール基を場合により含むC1~C20アルキル基であって、前記アリール基が、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、カルボキシル基、ニトロ基、シアノ基及びC1~C10アルキル基からなる群から選択される少なくとも1個の置換基で場合により置換されている、C1~C20アルキル基、
- 少なくとも1個の内部又は末端複素環を含むC1~C20アルキル基であって、前記複素環が、少なくとも1個のC1~C10アルキル基で場合により置換されている、C1~C20アルキル基、
- ハロゲン原子、ヒドロキシル基、ハロゲン原子及び/又はヘテロ原子を場合により含むC1~C20アルキル基、カルボキシル基、ニトロ基及びシアノ基からなる群から選択される少なくとも1個の置換基で場合により置換されている、アリール基、並びに
- 少なくとも1個のC1~C10アルキル基で場合により置換されている、複素環
からなる群から選択される)
の通りである化合物、並びに/又はその塩及び/若しくはその溶媒和物。
【請求項14】
前記化合物が、以下の式(II'):
【化5】
(式中、R及びR'は、請求項13に規定の通りである)
の化合物である、請求項13に記載の化合物。
【請求項15】
Rが、
- 直鎖状若しくは環状若しくは分岐状であり、飽和若しくは不飽和であり、ヘテロ原子を場合により含み、且つ/又は少なくとも1個の内部若しくは末端アリール基を場合により含むC1~C20アルキル基であって、前記アリール基が、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、カルボキシル基、ニトロ基、シアノ基及びC1~C20アルキル基からなる群から選択される少なくとも1個の置換基で場合により置換されている、C1~C20アルキル基、並びに
- ハロゲン原子、ヒドロキシル基、ハロゲン原子及び/又はヘテロ原子を場合により含むC1~C20アルキル基、カルボキシル基、ニトロ基及びシアノ基からなる群から選択される少なくとも1個の置換基で場合により置換されている、アリール基
からなる群から選択される、式(II)又は式(II')の化合物である、請求項13又は14に記載の化合物。
【請求項16】
R'が、
- 2~7個の炭素原子及び少なくとも1個の窒素原子を含む少なくとも1個の内部又は末端飽和複素環を含むC1~C20アルキル基であって、前記複素環が、少なくとも1個のC1~C10アルキル基で場合により置換されている、C1~C20アルキル基、並びに
- 2~7個の炭素原子及び少なくとも1個の窒素原子を含み、少なくとも1個のC1~C10アルキル基で場合により置換されている、飽和複素環
からなる群から選択される、式(II)又は式(II')の化合物である、請求項13、14又は15のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項17】
Rが-CH
2-Ph基であり、Phがハロゲン原子、ヒドロキシル基、C1~C20アルキル基、カルボキシル基、ニトロ基及びシアノ基からなる群から選択される少なくとも1個の置換基で場合により置換されているアリール基である、式(II)又は(II')の化合物である、請求項13から16のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項18】
R'が、2~7個の炭素原子及び少なくとも1個の窒素原子を含む飽和複素環であり、前記複素環が、少なくとも1個のC1~C10アルキル基で場合により置換されている、式(II)又は(II')の化合物である、請求項13から17のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項19】
以下の構造:
【化6】
を有する、請求項13から18のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項20】
後天性免疫不全症候群の処置における使用のための、請求項3から19のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項21】
1型ヒト免疫不全ウイルス(HIV-1)のRNAの逆転写の開始段階の阻害剤としての使用のための、好ましくは1型ヒト免疫不全ウイルス(HIV-1)を処置する方法における使用のための請求項3から19のいずれか一項に記載の式(I)若しくは(I')及び/又は(II)若しくは(II')の化合物を含む、医薬組成物又はキット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、1型ヒト免疫不全ウイルス(HIV-1)のRNAの逆転写の開始段階の阻害剤に関する。
【0002】
本発明は、後天性免疫不全症候群の処置における使用のための阻害剤にも関する。
【0003】
本発明は、後天性免疫不全症候群の処置における使用のための式(I)又は(II)の化合物、及びこのような式(I)又は(II)の阻害剤又は化合物の投与を含む治療処置方法にも関する。
【背景技術】
【0004】
ヒト免疫不全ウイルス(HIV)は、免疫系の破壊並びに中枢及び末梢神経系の変性を特徴とする致死性疾患である後天性免疫不全症候群(AIDS)に関与する病原体である。
【0005】
現在、抗HIVに利用できる幾つかの抗ウイルス薬がある。これらの薬物は、薬物が標的とするウイルスタンパク質及びその作用様式に基づき幾つかのクラス:ヌクレオシド及びヌクレオチド逆転写酵素阻害剤、非ヌクレオシド逆転写酵素阻害剤、プロテアーゼ阻害剤、融合阻害剤、インテグラーゼ阻害剤及びCCR5受容体アンタゴニストに分けることができる。HIVに対する処置としては、通常、異なるクラスに属する幾つかの抗ウイルス薬の併用がある(三重療法)。
【0006】
しかし、全ての患者が、これらの処置に応答性であるとは限らない。大抵の場合、処置の失敗は、高いウイルス変異率と相まって感染過程におけるHIV、詳細にはHIV-1の急速なターンオーバーによるウイルス耐性の出現によって起こる。また、薬物の多くは、公知の副作用を有する。
【0007】
したがって、更に新しい抗HIV薬の開発、詳細には新しい機序を有する抗HIV薬の開発が依然必要とされている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0008】
【非特許文献1】Kobbi等、J. Mol. Biol. 2011、410:875~886
【非特許文献2】Khoder-Agha等、BMC Biochemistry 2018、19:2
【非特許文献3】Kobbi等、Biochim Open. 2016、2:52~61
【非特許文献4】Charneau等、J. Virol.1992、66:2814
【非特許文献5】Manic等、Human gene therapy methods 2012、23:84
【非特許文献6】Levy等、Proc. Natl. Acad. Sci. USA 2004、101:4204
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の一つの目的は、上記の限界を緩和することができる、HIV、詳細にはHIV-1に対して改善された処置を提供する上での技術的問題を解決することである。
【0010】
本発明は、HIV、詳細にはHIV-1に対する新しい処置を提供する上での技術的問題を解決することを目的とする。
【0011】
詳細には、本発明は、新しい機序を有する抗HIV薬を提供する、詳細には抗HIV-1薬を提供する上での技術的問題を解決することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、1型ヒト免疫不全ウイルス(HIV-1)を処置する方法における使用のための、1型ヒト免疫不全ウイルス(HIV-1)のRNAの逆転写の開始段階の化合物阻害剤に関する。
【0013】
好ましくは、1型ヒト免疫不全ウイルスのRNAの逆転写の開始段階の化合物阻害剤は、1型ヒト免疫不全ウイルスのインテグラーゼと1型ヒト免疫不全ウイルスに感染した細胞のミトコンドリアリシル-tRNAシンテターゼとの相互作用を阻害する。
【発明を実施するための形態】
【0014】
1型ヒト免疫不全ウイルス(HIV-1)は、そのゲノムが2個の一本鎖RNA分子で構成されるレトロウイルスである。HIV-1によってコードされる逆転写酵素は、そのRNAのプロウイルスDNAへの複製を開始するために宿主細胞のtRNA3
Lysを使用する。tRNA3
Lysは、会合中にウイルス粒子にカプセル化される;宿主細胞ミトコンドリアリシル-tRNAシンテターゼ(LysRS)、詳細にはその成熟形態のヒトミトコンドリアリシル-tRNAシンテターゼ(mLysRS)は、この機序に関与し、tRNA3
Lysの共輸送体として機能する。
【0015】
tRNA3
Lysカプセル化複合体の形成に関与するタンパク質-タンパク質相互作用は、前駆体GagPolのPolドメイン、詳細にはPolドメインのトランスフレームTF及びインテグラーゼINサブドメインと、mLysRSの触媒ドメインとの相互作用としてモデル化できる(Kobbi等、J. Mol. Biol. 2011、410:875)。
【0016】
驚くべきことに、本発明者等によって、1型ヒト免疫不全ウイルスの前駆体GagPol(UniProtKB-P12497(POL_HV1N5))と宿主細胞のmLysRSの触媒ドメイン(H6-mLysRS-HA配列からの残基259~618)との相互作用を阻害し、これがGagPol-tRNA3
Lys-mLysRS複合体の会合を阻害することによって、1型ヒト免疫不全ウイルスのRNAの逆転写の開始段階を阻害することができることを発見した。プライマーRNAは、ウイルスにパッケージされないため、これはHIV-1のRNAの逆転写の開始段階を禁止する。
【0017】
HIV-1ウイルスの配列は、例えばプラスミド配列pNL4-3(GenBank:AF324493.2)である。
【0018】
本発明による阻害剤は、1型ヒト免疫不全ウイルスのRNAの逆転写の開始段階を阻害することができる。
【0019】
本発明による阻害剤は、顕著な細胞毒性なしに抗ウイルス活性を有する。
【0020】
本発明は、1型ヒト免疫不全ウイルス(HIV-1)のRNAの逆転写の開始段階の阻害剤としての使用のための、好ましくは1型ヒト免疫不全ウイルス(HIV-1)の処置方法における使用のための式(I)の化合物であって、前記式(I)が以下:
【0021】
【0022】
(式中、R1は、
- 水素原子、
- アミノ基NH2、並びに
- 直鎖状又は環状又は分岐状であり、飽和又は不飽和であり、窒素、酸素及び硫黄から選択されるヘテロ原子を場合により含む、C1~C10アルキル基
からなる群から選択され、
R2、R3、R4及びR5は独立して、
- 水素原子、
- ハロゲン原子、
- ヒドロキシル基、
- 直鎖状若しくは環状若しくは分岐状であり、飽和若しくは不飽和であり、場合により置換されており、且つ/又はヘテロ原子を場合により含む、C1~C20アルキル基、
- 少なくとも1個のC1~C20アルキル基で場合により置換されており、直鎖状若しくは環状若しくは分岐状であり、飽和若しくは不飽和であり、場合により置換されており、且つ/又は少なくとも1個のヘテロ原子を場合により含む、アリール基、
- 式-C(O)O-Ra又は式-C(O)O-Ra'のエステル基であって、Ra及びRa'が独立して、直鎖状若しくは環状若しくは分岐状であり、飽和若しくは不飽和であり、場合により置換されており、且つ/又は少なくとも1個のヘテロ原子を場合により含むC1~C30アルキル基からなる群から選択されるか、或いはRaがC1~C30アルキルアリール基であり、ここでアルキルが、直鎖状若しくは環状若しくは分岐状であり、飽和若しくは不飽和であり、アリール基に連結しており、場合により置換されており、且つ/又は少なくとも1個のヘテロ原子を場合により含む、エステル基、
- カルボキシル基(-COOH)、
- ニトロ基(-NO2)、並びに
- シアノ基(-CN)
からなる群から選択され、
R4及びR5は一緒になって複素環を場合により形成する)
の通りである化合物、並びに/又はその塩及び/若しくはその溶媒和物にも関する。
【0023】
本発明によれば、「アルキル基」は、別段の明確な指示がない限り、直鎖状又は分岐状であり、飽和であるか、又は少なくとも1個の不飽和を含む、炭化水素基を表す。
【0024】
本発明によれば、「炭化水素基」は、水素及び炭素原子を含むか、又はこれらで構成される基である。
【0025】
本発明によれば、「アリール基」は、別段の明確な指示がない限り、芳香族基を表す。アリール基の例としては、6個の炭素原子を含む単環芳香族基がある。
【0026】
本発明によれば、「ヘテロ原子」は、別段の明確な指示がない限り、酸素、窒素、硫黄及びリンからなる群から選択される原子を表す。
【0027】
本発明によれば、「複素環」は、別段の明確な指示がない限り、飽和又は不飽和であり、2~7個の炭素原子並びに窒素、酸素及び硫黄から選択される少なくとも1個のヘテロ原子を含む環状部分を表す。
【0028】
本発明によれば、「置換されている」基又は部分は、前記基又は部分の少なくとも1個の水素基が、原子又は置換基と呼ばれる原子群に置き換えられていることを意味する。
【0029】
好ましい置換基の例としては、ハロゲン(クロロ、ヨード、ブロモ又はフルオロ);アルキル;アルケニル;アルキニル;ヒドロキシ;アルコキシ;ニトロ;チオール;チオエーテル;イミン;シアノ;アミド;ホスホネート;ホスフィン;カルボキシル;チオカルボニル;スルホニル;スルホンアミド;ケトン;アルデヒド;エステル;酸素(-O);ハロアルキル(例えばトリフルオロメチル);単環又は縮合若しくは非縮合多環であってよいシクロアルキル(例えばシクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル又はシクロヘキシル)或いは単環又は縮合若しくは非縮合多環であってよいヘテロシクロアルキル(例えばピロリジニル、ピペリジニル、ピペラジニル、モルホリニル又はチアジニル)、単環又は縮合若しくは非縮合多環アリール又はヘテロアリール(例えばフェニル、ナフチル、ピロリル、インドリル、フラニル、チオフェニル、イミダゾリル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、チアゾリル、トリアゾリル、テトラゾリル、ピラゾリル、ピリジル、キノリニル、イソキノリニル、アクリジニル、ピラジニル、ピリダジニル、ピリミジニル、ベンズイミダゾリル、ベンゾチオフェニル又はベンゾフラニル);アミノ(第1級、第2級又は第3級);CO2CH3;CONH2;OCH2CONH2;NH2;SO2NH2;OCHF2;CF3;OCF3があり;このような部分は、縮合環構造又は架橋、例えば-OCH2O-で場合により置換されていてもよい。これらの置換基は、このような群から選択される置換基で場合により更に置換されていてもよい。
【0030】
本発明によれば、「少なくとも1個のヘテロ原子を含む」アルキル基は、前記アルキル基の少なくとも1個の水素が、少なくとも1個のヘテロ原子を含む置換基で置き換えられていることを意味し、且つ/又は前記アルキル基の少なくとも1個の炭素原子が、ヘテロ原子で置き換えられていることを意味する。少なくとも1個のヘテロ原子を含むアルキル基の例としては、第1級、第2級又は第3級アミン、アミド基、アゾ基、ニトリル基、イミノ基、イミド基、アゾ基、シアノ基、ニトリル基、アルデヒド、ケトン、エーテル、エステル基、アルコキシ基、カーボネート基、カルボン酸基、ペルオキシド基、チオール基、スルフィド基、ジスルフィド基、スルホキシド基、スルホン基、スルホン酸基、スルフィン酸基、スルホン酸エステル基、チオシアネート基、チオケトン、チアール、チオエステル基、アルキル基内部の複素環及びアルキル基に対する置換基としての複素環を含むアルキル基がある。
【0031】
実施形態によれば、直鎖状若しくは環状若しくは分岐状であり、飽和若しくは不飽和であり、場合により置換されており、且つ/又はヘテロ原子を場合により含むC1~C20アルキル基は、少なくとも不飽和及び少なくともエステル基を含む。直鎖状若しくは環状若しくは分岐状であり、飽和若しくは不飽和であり、場合により置換されており、且つ/又はヘテロ原子を場合により含むこのようなC1~C20アルキル基の例としては、-CH=CH-C(O)O-tBuがある。
【0032】
実施形態によれば、本発明による式(I)の化合物は、以下の式(I'):
【0033】
【0034】
(式中、R1、Ra、Ra'、R4及びR5は、上に規定の通りである)
の化合物である。
【0035】
実施形態によれば、1型ヒト免疫不全ウイルス(HIV-1)のRNAの逆転写の開始段階の阻害剤としての使用のための化合物は、R1が、
- アミノ基NH2、
- 直鎖状又は分岐状であり、飽和であるC1~C10アルキル基、並びに
- 酸素及び硫黄から選択される少なくとも1個のヘテロ原子、及び末端-NH2アミノ基を含むC1~C10アルキル基
からなる群から選択される、式(I)又は(I')の化合物である。
【0036】
実施形態によれば、1型ヒト免疫不全ウイルス(HIV-1)のRNAの逆転写の開始段階の阻害剤としての使用のための化合物は、R2及びR3がそれぞれ独立して、式-C(O)O-Ra又は式-C(O)O-Ra'のエステル基である式(I)の化合物、或いは
Ra及びRa'が独立して、
- 窒素、酸素及び硫黄から選択される少なくとも1個のヘテロ原子を場合により含むC1~C25アルキル基Ra1であって、前記アルキル基Ra1が少なくとも1個のフェニル基で場合により置換されており、前記フェニル基がハロゲン原子で場合により置換されている、C1~C25アルキル基Ra1、
- 少なくとも1個の複素環を含むC1~C25アルキル基Ra2であって、前記アルキル基Ra2が少なくとも1個のフェニル基で場合により置換されており、前記フェニル基がハロゲン原子で場合により置換されている、C1~C25アルキル基Ra2、並びに
- 窒素、酸素及び硫黄から選択される少なくとも1個のヘテロ原子を場合により含む少なくとも1個のC1~C10アルキル基で場合により置換されている、且つ/又は少なくとも1個の末端フェニル基で場合により置換されている、複素環Ra3
からなる群から選択される、式(I')の化合物である。
【0037】
実施形態によれば、1型ヒト免疫不全ウイルス(HIV-1)のRNAの逆転写の開始段階の阻害剤としての使用のための化合物は、R4及びR5が独立して、
- 水素原子、
- ハロゲン原子、
- ヒドロキシル基、
- 直鎖状若しくは環状若しくは分岐状であり、飽和若しくは不飽和であり、窒素、酸素及び硫黄から選択される少なくとも1個のヘテロ原子を場合により含み、且つ/又はハロゲン原子で場合により置換されている、C1~C20アルキル基、
- カルボキシル基(-COOH)、
- ニトロ基(-NO2)、並びに
- シアノ基(-CN)
からなる群から選択されるか、
或いはR4及びR5が一緒になって複素環を形成する、式(I)又は(I')の化合物である。
【0038】
実施形態によれば、1型ヒト免疫不全ウイルス(HIV-1)のRNAの逆転写の開始段階の阻害剤としての使用のための化合物は、R2及びR3がそれぞれ独立して、式-C(O)O-Ra又は式-C(O)O-Ra'のエステル基である式(I)の化合物、或いは
R1が、
- アミノ基NH2、
- 直鎖状又は分岐状であり、飽和である、C1~C10アルキル基、並びに
- 酸素及び硫黄から選択される少なくとも1個のヘテロ原子、及び末端-NH2アミノ基を含む、C1~C10アルキル基
からなる群から選択され、
Ra及びRa'が独立して、
- 窒素、酸素及び硫黄から選択される少なくとも1個のヘテロ原子を場合により含むC1~C25アルキル基Ra1であって、前記アルキル基Ra1が少なくとも1個のフェニル基で場合により置換されており、前記フェニル基がハロゲン原子で場合により置換されている、C1~C25アルキル基Ra1、
- 少なくとも1個の複素環を含むC1~C25アルキル基Ra2であって、前記アルキル基Ra2が少なくとも1個のフェニル基で場合により置換されており、前記フェニル基がハロゲン原子で場合により置換されている、C1~C25アルキル基Ra2、並びに
- 窒素、酸素及び硫黄から選択される少なくとも1個のヘテロ原子を場合により含む少なくとも1個のC1~C10アルキル基で場合により置換されている、且つ/又は少なくとも1個の末端フェニル基で場合により置換されている、複素環Ra3
からなる群から選択され、
R4及びR5が独立して、
- 水素原子、
- ハロゲン原子、
- ヒドロキシル基、
- 直鎖状若しくは環状若しくは分岐状であり、飽和若しくは不飽和であり、窒素、酸素及び硫黄から選択される少なくとも1個のヘテロ原子を場合により含み、且つ/又はハロゲン原子で場合により置換されている、C1~C20アルキル基、
- カルボキシル基(-COOH)、
- ニトロ基(-NO2)、並びに
- シアノ基(-CN)
からなる群から選択されるか、
或いはR4及びR5が一緒になって複素環を形成する、式(I')の化合物である。
【0039】
実施形態によれば、1型ヒト免疫不全ウイルス(HIV-1)のRNAの逆転写の開始段階の阻害剤としての使用のための化合物は、R1が、メチル基CH3及びアミノ基NH2からなる群から選択され、好ましくはR1がメチル基である、式(I)又は(I')の化合物である。
【0040】
実施形態によれば、1型ヒト免疫不全ウイルス(HIV-1)のRNAの逆転写の開始段階の阻害剤としての使用のための化合物は、R2及びR3がそれぞれ独立して、式-C(O)O-Ra又は式-C(O)O-Ra'のエステル基である式(I)の化合物、或いは
Ra及びRa'が独立して、
- 少なくとも1個の酸素原子を場合により含む、C1~C10アルキル基、
- 1個又は2個の末端フェニル基で置換されており、少なくとも1個の窒素原子を場合により含む、C1~C25アルキル基、
- 2~7個の炭素原子及び少なくとも1個の窒素原子を含む少なくとも1個の飽和複素環を含むC1~C15アルキル基であって、前記飽和複素環が、少なくとも1個のフェニル基及び/又は1個若しくは2個の末端フェニル基で場合により置換されている少なくとも1個のC1~C10アルキル基で置換されている、C1~C15アルキル基、並びに
- 2~7個の炭素原子及び少なくとも1個の窒素原子を含む飽和複素環であって、前記複素環が、少なくとも1個のフェニル基及び/又は1個若しくは2個の末端フェニル基で場合により置換されている少なくとも1個のC1~C10アルキル基で置換されている、飽和複素環
からなる群から選択される、式(I')の化合物である。
【0041】
実施形態によれば、1型ヒト免疫不全ウイルス(HIV-1)のRNAの逆転写の開始段階の阻害剤としての使用のための化合物は、R4が水素であり、R5が水素とは異なるか、又はR5が水素であり、R4が水素とは異なる、式(I)又は(I')の化合物である。
【0042】
実施形態によれば、1型ヒト免疫不全ウイルス(HIV-1)のRNAの逆転写の開始段階の阻害剤としての使用のための化合物は、R2及びR3がそれぞれ独立して、式-C(O)O-Ra又は式-C(O)O-Ra'のエステル基である式(I)の化合物、或いは
R1が、
- アミノ基NH2、
- 直鎖状又は分岐状であり、飽和である、C1~C10アルキル基、並びに
- 酸素及び硫黄から選択される少なくとも1個のヘテロ原子、及び末端-NH2アミノ基を含む、C1~C10アルキル基
からなる群から選択され、
Ra及びRa'が独立して、
- 少なくとも1個の酸素原子を場合により含む、C1~C10アルキル基、
- 1個又は2個の末端フェニル基で置換されており、少なくとも1個の窒素原子を場合により含む、C1~C25アルキル基、
- 2~7個の炭素原子及び少なくとも1個の窒素原子を含む少なくとも1個の飽和複素環を含むC1~C15アルキル基であって、前記飽和複素環が、少なくとも1個のフェニル基及び/又は1個若しくは2個の末端フェニル基で場合により置換されている少なくとも1個のC1~C10アルキル基で置換されている、C1~C15アルキル基、並びに
- 2~7個の炭素原子及び少なくとも1個の窒素原子を含む飽和複素環であって、前記複素環が、少なくとも1個のフェニル基及び/又は1個若しくは2個の末端フェニル基で場合により置換されている少なくとも1個のC1~C10アルキル基で置換されている、飽和複素環
からなる群から選択され
R4が水素であり、R5が水素とは異なるか、又はR5が水素であり、R4が水素とは異なる、式(I')の化合物である。
【0043】
実施形態によれば、1型ヒト免疫不全ウイルス(HIV-1)のRNAの逆転写の開始段階の阻害剤としての使用のための化合物は、R2及びR3がそれぞれ独立して、式-C(O)O-Ra若しくは式-C(O)O-Ra'のエステル基である式(I)の化合物、或いは
R1が、メチル基CH3及びアミノ基NH2からなる群から選択され、好ましくはR1がメチル基であり、
Ra及びRa'が独立して、
- 少なくとも1個の酸素原子を場合により含む、C1~C10アルキル基、
- 1個又は2個の末端フェニル基で置換されており、少なくとも1個の窒素原子を場合により含む、C1~C25アルキル基、
- 2~7個の炭素原子及び少なくとも1個の窒素原子を含む少なくとも1個の飽和複素環を含むC1~C15アルキル基であって、前記飽和複素環が、少なくとも1個のフェニル基及び/又は1個若しくは2個の末端フェニル基で場合により置換されている少なくとも1個のC1~C10アルキル基で置換されている、C1~C15アルキル基、並びに
- 2~7個の炭素原子及び少なくとも1個の窒素原子を含む飽和複素環であって、前記複素環が、少なくとも1個のフェニル基及び/又は1個若しくは2個の末端フェニル基で場合により置換されている少なくとも1個のC1~C10アルキル基で置換されている、飽和複素環
からなる群から選択され
R4が水素であり、R5が水素とは異なるか、又はR5が水素であり、R4が水素とは異なる、式(I')の化合物である。
【0044】
実施形態によれば、1型ヒト免疫不全ウイルス(HIV-1)のRNAの逆転写の開始段階の阻害剤としての使用のための化合物は、R2及びR3がそれぞれ独立して、式-C(O)O-Ra若しくは式-C(O)O-Ra'のエステル基である式(I)の化合物、又は
Ra及びRa'が独立して、
- 直鎖状若しくは分岐状であり、飽和であり、少なくとも1個の酸素原子を場合により含む、C1~C5アルキル基、
- 直鎖状であり、飽和若しくは不飽和であり、1個若しくは2個の末端フェニル基で置換されている、C1~C10アルキル基、
- 直鎖状若しくは分岐状であり、飽和であり、1個若しくは2個の末端フェニル基で置換されており、少なくとも1個の窒素原子を含む、C1~C5アルキル基、
- 3~5個の炭素原子及び1個若しくは2個の窒素原子を含む少なくとも1個の飽和複素環を含むC1~C10アルキル基であって、前記飽和複素環が、-CHPh2若しくは-CH2Phで置換されている、C1~C10アルキル基、並びに
- 3~5個の炭素原子及び1個若しくは2個の窒素原子を含む飽和複素環であって、前記飽和複素環が、-CHPh2若しくは-CH2Phで置換されている、飽和複素環
からなる群から選択される、式(I')の化合物である。
【0045】
実施形態によれば、1型ヒト免疫不全ウイルス(HIV-1)のRNAの逆転写の開始段階の阻害剤としての使用のための化合物は、R4及びR5が独立して、
- 水素原子、
- ハロゲン原子、
- 直鎖状若しくは分岐状であり、飽和若しくは不飽和であり、少なくとも1個のエステル官能基を含む、C1~C20アルキル基、並びに
- ニトロ基(-NO2)
からなる群から選択される、式(I)又は(I')の化合物である。
【0046】
実施形態によれば、1型ヒト免疫不全ウイルス(HIV-1)のRNAの逆転写の開始段階の阻害剤としての使用のための化合物は、R2及びR3がそれぞれ独立して、式-C(O)O-Ra若しくは式-C(O)O-Ra'のエステル基である式(I)の化合物、又は
R1が
- アミノ基NH2、
- 直鎖状若しくは分岐状であり、飽和である、C1~C10アルキル基、並びに
- 酸素及び硫黄から選択される少なくとも1個のヘテロ原子、及び末端-NH2アミノ基を含む、C1~C10アルキル基
からなる群から選択され、
Ra及びRa'が独立して、
- 直鎖状若しくは分岐状であり、飽和であり、少なくとも1個の酸素原子を場合により含む、C1~C5アルキル基、
- 直鎖状であり、飽和若しくは不飽和であり、1個若しくは2個の末端フェニル基で置換されている、C1~C10アルキル基、
- 直鎖状若しくは分岐状であり、飽和であり、1個若しくは2個の末端フェニル基で置換されており、少なくとも1個の窒素原子を含む、C1~C5アルキル基、
- 3~5個の炭素原子及び1個若しくは2個の窒素原子を含む少なくとも1個の飽和複素環を含むC1~C10アルキル基であって、前記飽和複素環が、-CHPh2若しくは-CH2Phで置換されている、C1~C10アルキル基、
- 3~5個の炭素原子及び1個若しくは2個の窒素原子を含む飽和複素環であって、前記飽和複素環が、-CHPh2若しくは-CH2Phで置換されている、飽和複素環
からなる群から選択され、
R4及びR5が独立して、
- 水素原子、
- ハロゲン原子、
- 直鎖状若しくは分岐状であり、飽和若しくは不飽和であり、少なくとも1個のエステル官能基を含む、C1~C20アルキル基、及び
- ニトロ基(-NO2)
からなる群から選択される、式(I')の化合物である。
【0047】
実施形態によれば、1型ヒト免疫不全ウイルス(HIV-1)のRNAの逆転写の開始段階の阻害剤としての使用のための化合物は、R2及びR3がそれぞれ独立して、式-C(O)O-Ra若しくは式-C(O)O-Ra'のエステル基である式(I)の化合物、又は
R1が、メチル基CH3及びアミノ基NH2からなる群から選択され、好ましくはR1がメチル基であり、
Ra及びRa'が独立して、
- 直鎖状若しくは分岐状であり、飽和であり、少なくとも1個の酸素原子を場合により含む、C1~C5アルキル基、
- 直鎖状であり、飽和若しくは不飽和であり、1個若しくは2個の末端フェニル基で置換されている、C1~C10アルキル基、
- 直鎖状若しくは分岐状であり、飽和であり、1個若しくは2個の末端フェニル基で置換されており、少なくとも1個の窒素原子を含む、C1~C5アルキル基、
- 3~5個の炭素原子及び1個若しくは2個の窒素原子を含む少なくとも1個の飽和複素環を含むC1~C10アルキル基であって、前記飽和複素環が、-CHPh2若しくは-CH2Phで置換されている、C1~C10アルキル基、
- 3~5個の炭素原子及び1個若しくは2個の窒素原子を含む飽和複素環であって、前記飽和複素環が、-CHPh2若しくは-CH2Phで置換されている、飽和複素環
からなる群から選択され、
R4及びR5が独立して、
- 水素原子、
- ハロゲン原子、
- 直鎖状若しくは分岐状であり、飽和若しくは不飽和であり、少なくとも1個のエステル官能基を含む、C1~C20アルキル基、及び
- ニトロ基(-NO2)
からなる群から選択される、式(I')の化合物である。
【0048】
実施形態によれば、1型ヒト免疫不全ウイルス(HIV-1)のRNAの逆転写の開始段階の阻害剤としての使用のための化合物は、
【0049】
【0050】
【0051】
【0052】
からなる群から選択される。
【0053】
好ましくは、化合物は、式(I)又は(I')の化合物であり、化合物(I-a)及び化合物(I-b)からなる群から選択される。
【0054】
本発明は、1型ヒト免疫不全ウイルス(HIV-1)に対する処置方法における使用のための式(I)の化合物であって、前記式(I)が以下:
【0055】
【0056】
(式中、R1は、
- 水素原子、
- アミノ基NH2、並びに
- 直鎖状又は環状又は分岐状であり、飽和又は不飽和であり、窒素、酸素及び硫黄から選択されるヘテロ原子を場合により含む、C1~C10アルキル基
からなる群から選択され、
R2、R3、R4及びR5は独立して、
- 水素原子、
- ハロゲン原子、
- ヒドロキシル基、
- 直鎖状若しくは環状若しくは分岐状であり、飽和若しくは不飽和であり、場合により置換されており、且つ/又はヘテロ原子を場合により含む、C1~C20アルキル基、
- 少なくとも1個のC1~C20アルキル基で場合により置換されており、直鎖状若しくは環状若しくは分岐状であり、飽和若しくは不飽和であり、場合により置換されており、且つ/又は少なくとも1個のヘテロ原子を場合により含む、アリール基、
- 式-C(O)O-Ra又は式-C(O)O-Ra'のエステル基であって、Ra及びRa'が独立して、直鎖状若しくは環状若しくは分岐状であり、飽和若しくは不飽和であり、場合により置換されており、且つ/又は少なくとも1個のヘテロ原子を場合により含むC1~C30アルキル基からなる群から選択されるか、或いはRaがC1~C30アルキルアリール基であり、ここでアルキルが、直鎖状若しくは環状若しくは分岐状であり、飽和若しくは不飽和であり、アリール基に連結しており、場合により置換されており、且つ/又は少なくとも1個のヘテロ原子を場合により含む、エステル基、
- カルボキシル基(-COOH)、
- ニトロ基(-NO2)、並びに
- シアノ基(-CN)
からなる群から選択され、
R4及びR5は一緒になって複素環を場合により形成する)
の通りである化合物、並びに/又はその塩及び/若しくはその溶媒和物にも関する。
【0057】
1型ヒト免疫不全ウイルス(HIV-1)のRNAの逆転写の開始段階の阻害剤としての使用のための式(I)の化合物に関連する全ての実施形態及び好ましい特徴は、単独で又はその任意の組合せで、1型ヒト免疫不全ウイルス(HIV-1)に対する処置方法における使用のための式(I)の化合物にも適用される。
【0058】
本発明は、1型ヒト免疫不全ウイルス(HIV-1)のRNAの逆転写の開始段階の阻害剤としての使用のための、好ましくは1型ヒト免疫不全ウイルス(HIV-1)の処置方法における使用のための式(II)の化合物であって、前記式(II)が以下:
【0059】
【0060】
(式中、X及びZは一緒になって、
- 水素原子、
- ハロゲン原子、
- ヒドロキシル基、
- カルボキシル基(-COOH)、
- ニトロ基(-NO2)、
- シアノ基(-CN)、
- 直鎖状若しくは環状若しくは分岐状であり、飽和若しくは不飽和であり、場合により置換されており、且つ/又は少なくとも1個のヘテロ原子を場合により含む、C1~C20アルキル基、並びに
- 場合により置換されている、アリール基
からなる群から選択される少なくとも1個の置換基で場合により置換されている、縮合ベンゼン環を表し、
R及びR'は独立して、
- 水素原子、
- ハロゲン原子、
- ヒドロキシル基、
- カルボキシル基(-COOH)、
- ニトロ基(-NO2)、
- シアノ基(-CN)、
- アミノ基(-NH2)、
- 直鎖状若しくは環状若しくは分岐状であり、飽和若しくは不飽和であり、ヘテロ原子を場合により含み、且つ/又は少なくとも1個の内部若しくは末端アリール基を場合により含むC1~C20アルキル基であって、前記アリール基が、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、カルボキシル基、ニトロ基、シアノ基及びC1~C10アルキル基からなる群から選択される少なくとも1個の置換基で場合により置換されている、C1~C20アルキル基、
- 少なくとも1個の内部又は末端複素環を含むC1~C20アルキル基であって、前記複素環が、少なくとも1個のC1~C10アルキル基で場合により置換されている、C1~C20アルキル基、
- ハロゲン原子、ヒドロキシル基、ハロゲン原子及び/又はヘテロ原子を場合により含むC1~C20アルキル基、カルボキシル基、ニトロ基及びシアノ基からなる群から選択される少なくとも1個の置換基で場合により置換されている、アリール基、並びに
- 少なくとも1個のC1~C10アルキル基で場合により置換されている、複素環
からなる群から選択される)
の通りである化合物、並びに/又はその塩及び/若しくはその溶媒和物にも関する。
【0061】
実施形態によれば、本発明による式(II)の化合物は、以下の式(II'):
【0062】
【0063】
(式中、R及びR'は、上に規定の通りである)
の化合物である。
【0064】
実施形態によれば、1型ヒト免疫不全ウイルス(HIV-1)のRNAの逆転写の開始段階の阻害剤としての使用のための化合物は、Rが、
- 直鎖状若しくは環状若しくは分岐状であり、飽和若しくは不飽和であり、ヘテロ原子を場合により含み、且つ/又は少なくとも1個の内部若しくは末端アリール基を場合により含むC1~C20アルキル基であって、前記アリール基が、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、カルボキシル基、ニトロ基、シアノ基及びC1~C20アルキル基からなる群から選択される少なくとも1個の置換基で場合により置換されている、C1~C20アルキル基、並びに
- ハロゲン原子、ヒドロキシル基、ハロゲン原子及び/又はヘテロ原子を場合により含むC1~C20アルキル基、カルボキシル基、ニトロ基並びにシアノ基からなる群から選択される少なくとも1個の置換基で場合により置換されている、アリール基
からなる群から選択される、式(II)又は(II')の化合物である。
【0065】
実施形態によれば、1型ヒト免疫不全ウイルス(HIV-1)のRNAの逆転写の開始段階の阻害剤としての使用のための化合物は、R'が、
- 2~7個の炭素原子及び少なくとも1個の窒素原子を含む少なくとも1個の内部又は末端飽和複素環を含むC1~C20アルキル基であって、前記複素環が、少なくとも1個のC1~C10アルキル基で場合により置換されている、C1~C20アルキル基、並びに
- 2~7個の炭素原子及び少なくとも1個の窒素原子を含み、少なくとも1個のC1~C10アルキル基で場合により置換されている、飽和複素環
からなる群から選択される、式(II)又は(II')の化合物である。
【0066】
実施形態によれば、1型ヒト免疫不全ウイルス(HIV-1)のRNAの逆転写の開始段階の阻害剤としての使用のための化合物は、
Rが、
- 直鎖状若しくは環状若しくは分岐状であり、飽和若しくは不飽和であり、ヘテロ原子を場合により含み、且つ/又は少なくとも1個の内部若しくは末端アリール基を場合により含むC1~C20アルキル基であって、前記アリール基が、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、カルボキシル基、ニトロ基、シアノ基及びC1~C20アルキル基からなる群から選択される少なくとも1個の置換基で場合により置換されている、C1~C20アルキル基、並びに
- ハロゲン原子、ヒドロキシル基、ハロゲン原子及び/又はヘテロ原子を場合により含むC1~C20アルキル基、カルボキシル基、ニトロ基及びシアノ基からなる群から選択される少なくとも1個の置換基で場合により置換されている、アリール基
からなる群から選択され、
R'が、
- 2~7個の炭素原子及び少なくとも1個の窒素原子を含む少なくとも1個の内部又は末端飽和複素環を含むC1~C20アルキル基であって、前記複素環が、少なくとも1個のC1~C10アルキル基で場合により置換されている、C1~C20アルキル基、並びに
- 2~7個の炭素原子及び少なくとも1個の窒素原子を含み、少なくとも1個のC1~C10アルキル基で場合により置換されている、飽和複素環
からなる群から選択される、式(II)又は(II')の化合物である。
【0067】
実施形態によれば、1型ヒト免疫不全ウイルス(HIV-1)のRNAの逆転写の開始段階の阻害剤としての使用のための化合物は、Rが-CH2-Ph基であり、Phがハロゲン原子、ヒドロキシル基、C1~C20アルキル基、カルボキシル基、ニトロ基及びシアノ基からなる群から選択される少なくとも1個の置換基で場合により置換されているアリール基である、式(II)又は(II')の化合物である。
【0068】
実施形態によれば、1型ヒト免疫不全ウイルス(HIV-1)のRNAの逆転写の開始段階の阻害剤としての使用のための化合物は、R'が、2~7個の炭素原子及び少なくとも1個の窒素原子を含む飽和複素環であり、前記複素環が、少なくとも1個のC1~C10アルキル基で場合により置換されている、式(II)又は(II')の化合物である。
【0069】
実施形態によれば、1型ヒト免疫不全ウイルス(HIV-1)のRNAの逆転写の開始段階の阻害剤としての使用のための化合物は、
Rが-CH2-Ph基であり、Phがハロゲン原子、ヒドロキシル基、C1~C20アルキル基、カルボキシル基、ニトロ基及びシアノ基からなる群から選択される少なくとも1個の置換基で場合により置換されているアリール基であり、
R'が、2~7個の炭素原子及び少なくとも1個の窒素原子を含む飽和複素環であり、前記複素環が、少なくとも1個のC1~C10アルキル基で場合により置換されている、式(II)又は(II')の化合物である。
【0070】
実施形態によれば、1型ヒト免疫不全ウイルス(HIV-1)のRNAの逆転写の開始段階の阻害剤としての使用のための化合物は、以下の構造:
【0071】
【0072】
を有する。
【0073】
本発明は、1型ヒト免疫不全ウイルス(HIV-1)に対する処置方法における使用のための式(II)の化合物であって、前記式(II)が以下:
【0074】
【0075】
(式中、X及びZは一緒になって、
- 水素原子、
- ハロゲン原子、
- ヒドロキシル基、
- カルボキシル基(-COOH)、
- ニトロ基(-NO2)、
- シアノ基(-CN)、
- 直鎖状又は環状又は分岐状であり、飽和又は不飽和であり、場合により置換されており、且つ/又は少なくとも1個のヘテロ原子を場合により含む、C1~C20アルキル基、及び
- 場合により置換されている、アリール基
からなる群から選択される少なくとも1個の置換基で場合により置換されている、縮合ベンゼン環を表し、
R及びR'は独立して、
- 水素原子、
- ハロゲン原子、
- ヒドロキシル基、
- カルボキシル基(-COOH)、
- ニトロ基(-NO2)、
- シアノ基(-CN)、
- アミノ基(-NH2)、
- 直鎖状若しくは環状若しくは分岐状であり、飽和若しくは不飽和であり、ヘテロ原子を場合により含み、且つ/又は少なくとも1個の内部若しくは末端アリール基を場合により含むC1~C20アルキル基であって、前記アリール基が、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、カルボキシル基、ニトロ基、シアノ基及びC1~C10アルキル基からなる群から選択される少なくとも1個の置換基で場合により置換されている、C1~C20アルキル基、
- 少なくとも1個の内部又は末端複素環を含むC1~C20アルキル基であって、前記複素環が、少なくとも1個のC1~C10アルキル基で場合により置換されている、C1~C20アルキル基、
- ハロゲン原子、ヒドロキシル基、ハロゲン原子及び/又はヘテロ原子を場合により含むC1~C20アルキル基、カルボキシル基、ニトロ基及びシアノ基からなる群から選択される少なくとも1個の置換基で場合により置換されている、アリール基、並びに
- 少なくとも1個のC1~C10アルキル基で場合により置換されている、複素環
からなる群から選択される)
の通りである化合物、並びに/又はその塩及び/又はその溶媒和物にも関する。
【0076】
1型ヒト免疫不全ウイルス(HIV-1)のRNAの逆転写の開始段階の開始剤としての使用のための式(II)の化合物に関連する全ての実施形態及び好ましい特徴は、単独で又はその任意の組合せで、1型ヒト免疫不全ウイルス(HIV-1)に対する処置方法における使用のための式(II)の化合物にも適用される。
【0077】
本発明は、式(I)及び(I')並びに式(II)及び(II')の化合物の全ての薬学的に許容される塩形態を含む。薬学的に許容される塩は、対イオンが、化合物の生理的毒性に著しく寄与せず、薬理学的等価物を含むものである。
【0078】
式(I)及び(I')並びに式(II)及び(II')の化合物の一部は、立体異性形態で存在する。本発明は、鏡像異性体、ジアステレオマー及び互変異性体を含む、式(I)及び(I')並びに式(II)及び(II')の化合物の全ての立体異性形態を含む。
【0079】
本発明は、後天性免疫不全症候群の処置における使用のための式(I)の化合物、式(I')の化合物、式(II)の化合物及び/又は式(II')の化合物にも関する。
【0080】
1型ヒト免疫不全ウイルス(HIV-1)のRNAの逆転写の開始段階の阻害剤としての使用のための式(I)の化合物、式(I')の化合物、式(II)の化合物及び式(II')の化合物に関連する全ての実施形態及び好ましい特徴は、単独で又はその任意の組合せで、後天性免疫不全症候群の処置における使用のための式(I)の化合物、式(I')の化合物、式(II)の化合物及び/又は式(II')の化合物にも適用される。
【0081】
本発明は、それを必要とする対象、詳細にはヒト又は動物への有効量の本発明による阻害剤或いは式(I)若しくは(I')及び/又は(II)若しくは(II')の化合物の投与を含む、治療処置方法にも関する。
【0082】
本発明は、1型ヒト免疫不全ウイルス(HIV-1)のRNAの逆転写の開始段階の阻害剤としての使用のための本発明に従って定義される式(I)若しくは(I')及び/又は(II)若しくは(II')の化合物を含む、医薬組成物又はキットにも関する。
【0083】
好ましくは、本発明に従って定義される式(I)若しくは(I')及び/又は(II)若しくは(II')の化合物を含む、医薬組成物又はキットは、1型ヒト免疫不全ウイルス(HIV-1)を処置する方法における使用のためのものである。
【0084】
本発明は、以下の非限定的実施例を読むことでより良好に理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0085】
【
図1】異なる濃度の化合物(I-a)、(I-b)及び(II-a)との接触の並びに比較のための対照条件下で5日後のHIV-1複製のエクスビボ進化を表すグラフである。
【
図2】異なる濃度の化合物(I-a)、(I-b)及び(II-a)との接触の並びに比較のための対照条件下で5日後のHIV-1細胞生存のエクスビボ進化を表すグラフである。
【実施例】
【0086】
材料及び方法
式I-aの化合物をPrestwick社(商品参照名:Prestw-1297)又はSigma-Aldrich社(商品参照名:SML0946)から購入した。
【0087】
式I-bの化合物をPrestwick社(商品参照名:Prestw-1376)又はSigma-Aldrich社(商品参照名:C1493)から購入した。
【0088】
式II-aの化合物をPrestwick社(商品参照名:Prestw-1130)又はSigma-Aldrich社(商品参照名:A7611)から購入した。
【0089】
インビトロ試験
実験を、GagPol:mLysRS相互作用に主に寄与する、HIV-1インテグラーゼ(IN)とヒトミトコンドリアリシル-tRNAシンテターゼ(mLysRS)の触媒ドメインとの相互作用に対して行った。
【0090】
大腸菌(E.coli)におけるH6-mLysRS-HAの発現及び精製
ヒトリシル-tRNAシンテターゼのミトコンドリア種(mLysRS、転写物からのタンパク質前駆体のアミノ酸残基31~625 NM_001130089.2)をコードするcDNAを、オリゴヌクレオチド5'-GGGGCTAGCCAACTTGCTCCTTTCACAGCGCCT(配列番号1)及び5'-CCCCTCGAGCTAGGCATAATCTGGCACATCATAAGGGTAGACAGAACTGCCAACTGTTGT(配列番号2)を用いたPCRによって増幅し、Nhel及びXholで消化されるpET28bプラスミド(Novagen社)に挿入した。組換えプラスミドの配列を、DNA配列決定によって検証した。H6-mLysRS-HA(配列番号3)と命名されたコードされたタンパク質は、N末端Hisタグ(MGSSHHHHHH)(配列番号4)、次いでトロンビン切断部位(SSGLVPRGSHMAS)(配列番号5)及びC末端HAタグ(YPYDVPDYA)(配列番号6)を含有する。
【0091】
タンパク質を、カナマイシン(50μg/ml)を補足したLB培地で増殖させた大腸菌BL21(DE3)に発現させた。培養物(3リットル)を、37℃でA600=0.25に増殖させ、28℃でトランスファーし、A600=0.5に増殖させ、発現を、1mM IPTGの4時間の添加によって誘導した。細胞を、遠心分離(3,000g、10分、4℃)によって採取し、10mMイミダゾールを含有する氷冷緩衝液A(20mMリン酸K pH7.5、150mM NaCl、5%グリセロール、5mM 2-メルカプトエタノール)で2回洗浄し、同じ緩衝液に再懸濁し(細胞ペレット1g当たり1ml)、ドライアイスで凍結させた後Eaton Pressで溶解した。その後の工程は全て4℃で行った。10mMイミダゾールを含有する2体積の緩衝液B(20mMリン酸K pH7.5、500mM NaCl、5%グリセロール、5mM 2-メルカプトエタノール)及びプロテアーゼ阻害剤(1mM Pefabloc、10mMベンズアミジン及び10mM PMSF)の添加後、抽出物を、超音波処理及び20,000gで20分及び70,000gで1時間の遠心分離によって浄化した。
【0092】
透明な上清を、5mlのNi-NTA Superflow(Qiagen社)カラムに4℃で加えた。マトリックスを、10mMイミダゾールを含有する緩衝液Bで広範に洗浄し、溶出を、緩衝液B中でのイミダゾール(10~500mM)の線形勾配によって行った。H6-mLysRS-HAを含有する画分を、緩衝液AS(20mM Tris-HCl pH7.5、50mM KCl、10%グリセロール、10mMメルカプトエタノール)に対して透析し、同じ緩衝液で平衡化させた1mlのSource 15S(GE Healthcare社)カラムに塗布した。タンパク質を、同じ緩衝液中での50~350mMのKClの線形勾配(50カラム体積)によって溶出した。H6-mLysRS-HAを含有する画分を、貯蔵緩衝液(25mMリン酸K pH7.5、55%グリセロール、2mM DTT)に対して透析し、-20℃で貯蔵した。
【0093】
タンパク質濃度を、0.674A280単位・mg-1・cm2の計算吸収係数を用いて決定した。
【0094】
mLysRS-HAを得るためのH6-mLysRS-HAの切断
トロンビン切断部位を、N末端HisタグとmLysRS-HAのコード配列との間に挿入する。H6タグを、精製H6-mLysRS-HAタンパク質から除去し、mLysRS-HA(配列番号7)を産生した。
【0095】
H6-mLysRS-HAを、50mM Tris-HCl pH8.0、150mM NaCl、2.5mM CaCl2、2mM DTT、10%グリセロールを含有する緩衝液中で50:1(w:w)の比でのトロンビン(Roche社)の存在下で1mg/mlの濃度でインキュベートした。25℃で30分後、消化を、Pefabloc 2mMの添加によって停止した。H6タグの減少を、抗His抗体(Qiagen社#34660)を用いたウエスタンブロッティングによって、及びHTRFアッセイ(下記を参照のこと)を用いて監視した。このアッセイでは、mLysRS-HAを、抗Hisタグ及び抗HAタグ抗体の存在下でインキュベートしたとき、HTRFシグナルが検出されなかった。タンパク質mLysRS-HAを、1体積のグリセロールの添加後-20℃で貯蔵した。
【0096】
昆虫細胞におけるHIV-1インテグラーゼの発現及び精製
HIV-1からのインテグラーゼの発現及び精製を、本質的に前述(Khoder-Agha等、BMC Biochemistry 2018、19:2)のように行った。
【0097】
pNL4-3(ヌクレオチド4230~5093)からのHIV-1インテグラーゼコード領域を、オリゴヌクレオチド5'-CGCGGATCCCGGTCCGAAGCGCGCGGAATTCATAATGGCGTTTTTAGATGGAATAGATAAGG(配列番号8)及び5'-TCTCGACAAGCTTGGTACCGCATGCCTCGAGTTAGTGGTGGTGGTGGTGGTGATCCTCATCCTGTCTACTTG(配列番号9)を用いたPCRによって増幅し、EcoRI及びXholで消化されるpFastBac1(Life Technologies社)に導入した。組換えプラスミドの配列を、DNA配列決定によって検証した。Hisタグコード配列を、インテグラーゼのC末端に付け加えた(IN-H6と命名された得られたタンパク質の配列は配列番号10である)。
【0098】
組換えバクミド及びバキュロウイルスを、前述(Kobbi等、Biochim Open. 2016、2:52~61)のように得た。
【0099】
バキュロウイルスを使用して、Express Five SFM培地(Life Technologies社)の懸濁液中で増殖させた8リットルのHigh Five細胞(Life Technologies社)を感染させた。110rpmでの一定の軌道振とうによる27℃で68時間の培養後、細胞を遠心分離によって収集し、10mMイミダゾールを含有する氷冷緩衝液Aで洗浄し、細胞ペレットを-80℃で貯蔵した。ペレットを、37℃で急速解凍し、細胞を、1mM Pefabloc、10mMベンズアミジン及び10mM PMSFの存在下で、10mMイミダゾール及び1% Triton X-100を含有する120mlの緩衝液Aの添加後溶解した。50mMイミダゾールを含有する240mlの緩衝液Bの添加後、抽出物を70,000g、4℃で30分間の遠心分離によって浄化し、1mlのNi-NTA Superflowマトリックス(Qiagen社)で4℃で1時間インキュベートした。ビーズを50mMイミダゾールを含有する緩衝液Bで広範に洗浄し、溶出を、400mMイミダゾールを含有する6×1mlの緩衝液Bを添加することによって行った。溶出したタンパク質を、150mM NaClを含有する緩衝液ASU(20mM Tris-HCl pH7.0、1M尿素、10%グリセロール、1mM EDTA、10mM 2-メルカプトエタノール)に対して透析し、同じ緩衝液で平衡化させたMono S HR 5/5カラム(GE Healthcare社)に塗布した。タンパク質を、緩衝液ASU中での150~450mMのNaClの線形勾配(40カラム体積)によって溶出した。インテグラーゼを含有する画分を、限外濾過(Vivaspin 6、10kDa)によって濃縮し、貯蔵緩衝液(20mMリン酸K pH7.5、1M NaCl、2mM DTT)に対して透析し、-80℃で貯蔵した。タンパク質濃度を、1.529A280単位mg-1 cm2の計算吸収係数を用いて決定した。
【0100】
均一時間分解蛍光アッセイ
均一時間分解蛍光(HTRF)アッセイを、黒、半面積、平底の96ウェルマイクロプレート(Costar社#3694)で行った。HTRF緩衝液(10mM Tris-HCl pH7.5、50mM NaCl、10mM 2-メルカプトエタノール、BSA 1mg/ml)で希釈したヒトミトコンドリアLysRSとC末端HAタグ(mLysRS-HA)を、氷上に置かれたマイクロプレートのウェルに添加した(3.75nMのダイマー濃度で20μl)。次いで、式I又はIIの化合物(DMSO中1μlの10mM溶液)を、ウェルに添加し、10μlを3回上下にピペットすることによって混合した。900g、4℃で1分間の遠心分離後、プレートを、4℃でepMotion 5075v自動ピペットシステム(Eppendorf社)の熱モジュール上に置いた。250nMのダイマー濃度でHTRF緩衝液で希釈した10μlのIN-H6試料を添加し、15μlを3回上下にピペットすることによって混合した。インキュベーションを4℃で1時間行った。
【0101】
Eu3+クリプテートとコンジュゲートしたHisタグ(Cisbio社#61HISKLB、1試験当たり0.125μl、供給業者に推奨されたように調製)及びXL665とコンジュゲートしたHAタグ(Cisbio社#610HAXLB、1試験当たり0.375μl、供給業者に推奨されたように調製)に対する、HTRF緩衝液中で調製された抗体の混合物の10μlアリコートを添加し、15μlを3回上下にピペットすることによって混合した。インキュベーションを4℃で30分間行った。
【0102】
次いで、250mMの濃度でHTRF緩衝液中で調製した10μlのKF溶液を添加し、20μlを3回上下にピペットすることによって混合した。900g、4℃で3分間の遠心分離後、Eu3+クリプテート及びXL665の蛍光を、Infinite M1000 PROマイクロプレートリーダー(TECAN社)で、317nmでのEu3+クリプテートの励起後に各々620nm(I620)及び665nm(I665)で記録した。結果を、I665/I620の比として表す。HTRFシグナルは、665及び620nm(I665/I620)での蛍光の比に対応する。HTRF(%)は、値の正規化に対応する(各曲線については、100%は阻害剤なしで得られた値に対応する)。
【0103】
対照試験
偽陽性を回避するために、2種の対照試験を行った。
【0104】
第1の対照試験はIN-H6の代わりにp38-H6を利用する。このタンパク質p38-H6は、IN-H6との相互作用に関与する部位と異なる部位で、LysRSの触媒ドメインと相互作用する細胞質ヒトマルチシンテターゼ複合体からの足場タンパク質である(Kobbi等、J. Mol. Biol. 2011、410:875~886)。50nMのダイマー濃度でHTRF緩衝液で希釈した10μlのp38-H6試料を使用し、Eu3+クリプテートとコンジュゲートした抗HAタグ抗体(Cisbio社#610HAKLB、1試験当たり0.125μl、供給業者に推奨されたように調製)及びXL665とコンジュゲートした抗Hisタグ抗体(Cisbio社#61HISXLB、1試験当たり0.125μl、供給業者に推奨されたように調製)を使用したことを除き、アッセイを、上記のように行った。
【0105】
第2の対照では、パートナータンパク質の不在下でH6-mLysRS-HA(1.34nMのダイマー濃度でHTRF緩衝液で希釈した30μlの試料)のみがアッセイに加えられた。蛍光エネルギー移動は、一つの抗体のN末端Hisタグへの結合及び第2の抗体のC末端HAタグへの結合に起因する。したがって、蛍光ドナー(Eu3+)又はアクセプター(XL665)を妨害することによってHTRFシグナルを低減する化合物は、排除される必要がある。
【0106】
半最大阻害濃度(IC50)のインビトロ決定
式I又はIIの化合物の濃度増大(17~666μM)の存在下でのタンパク質パートナーのインキュベーション後、式I及びIIの化合物のIC50をHTRFアッセイで決定した。IC50を、KaleidaGrapH4.5ソフトウェア(Synergy Software社)を用いて実験曲線に対する理論方程式の非線形回帰によって得た。
【0107】
HIV-ウイルス複製のエクスビボ阻害
HIV-1複製サイクルをエクスビボで阻害する式I又はIIの化合物の能力を、抗レトロウイルス薬理学において一般的に用いられる方法によって行った。
【0108】
細胞及びウイルス
MT4細胞株(Charneau等、J. Virol.1992、66:2814)を、RPMI 1640で維持した。HEK293Tを、ダルベッコ改変イーグル培地(DMEM)で維持した。全ての培地に、Glutamax並びに10%熱不活性化ウシ胎児血清(Hyclone)及び1%ペニシリン/ストレプトマイシン(100単位/mL)(Gibco)を補足した。培地は全てGibco(Life Technologies社)から購入した。ここで使用される全ての細胞株を、37℃で、5%CO2雰囲気下でインキュベートした。HIV-1貯蔵物を、HIV-1 NL4-3(GenBank: AF324493.1)又はNLENG1-IRES-GFP(Levy等、Proc. Natl. Acad. Sci. USA 2004、101:4204)をコードするシャトルベクタープラスミドによる、前述(Manic等、Human gene therapy methods 2012、23:84)のHEK293T細胞のリン酸カルシウム媒介トランスフェクションによって調製した。後者のベクターは、HIV NL4-3株に由来し、nef遺伝子座にgfp-IRES-nefカセットを含有する。明確性のために、このベクターをここでは「HIV-1 gfp+」と指定する。
【0109】
ウイルス接種材料中のHIV-1 p24gag抗原の含有量を、酵素免疫吸着測定法(ELISA、Perkin-Elmer Life Sciences社)によって決定した。
【0110】
HIV感染性及び毒性アッセイ
NL4-3ウイルスの複製を、ELISA技術によって決定した。細胞毒性をMTT技術によって評価した。
【0111】
HIV-1 gfp+ベクターについては、ウイルス複製の後にGFP発現[即ち、GFP+細胞のパーセンテージ及び幾何平均蛍光強度(MFI)]が続く。感染性を、FACSCalibur(商標)サイトフルオロメーター(BD Biosciences社)を用いてフローサイトメトリーによって推定した。毒性も、フローサイトメトリー(側方及び前方散乱)によって評価する。
【0112】
マルチサイクルウイルス複製に対する薬物の効果
J0(ゼロ日目)で、MT4細胞を0.1~0.2に到達する感染多重度(m.o.i.)でHIV gfp+ウイルスの感染に使用した(106細胞当たり50ngのp24gag抗原)。感染の2日後(J2)、MT4細胞を広範に洗浄し(PBSで3回)、新鮮なRPMI培地を用いて再懸濁し(1ml当たり2×105細胞)、様々な分子濃度の式I又はIIの化合物の存在下で6ウェルプレートに撒いた(1ウェル当たり2ml)。ウイルス(MT4 Nif)に感染していない対照、又はDMSO(inf DMSO、式I又はIIの化合物の溶媒)若しくはインテグラーゼの公知の阻害剤であるドルテグラビル(DTG)100nMと接触させた対照も並行して行った。次いで、J5(5日目)に、細胞をサイトメトリー分析のために採取して、ウイルス粒子の産生及び細胞生存を定量した。
【0113】
(実施例1)mLysRS:IN相互作用に関する式I又はIIの化合物の半最大阻害濃度(IC50)の決定
式I-a、I-b、I-c、I-d、I-e、I-f、I-g及びII-aの化合物のIC50を、上記のようにHTRFによって決定した。対照試験として、mLysRS:p38相互作用も決定した。
【0114】
式I-a、I-b、I-c、I-d、I-e、I-f、I-g及びII-aの化合物のIC50を、以下の表に収集する。
【0115】
【0116】
これらの結果は、式I及びIIの化合物が、HIV-1インテグラーゼ(IN)とヒトミトコンドリアリシル-tRNAシンテターゼ(mLysRS)の触媒ドメインとの相互作用を阻害することを示す。
【0117】
式I及びIIの化合物が、mLysRS:IN相互作用について得られたIC50値に匹敵するIC50値を有するmLysRS:Pol相互作用を阻害することも示された。その結果として、mLysRS:IN相互作用の阻害は、mLysRS:Pol会合を防止するのに十分である。
【0118】
(実施例2)インセルロ試験
式I-a、I-b及びII-aの化合物を、上記の方法に従ってHIV-1複製サイクルをエクスビボで阻害するその能力について試験した。
【0119】
5日目でのHIV-1複製に関する結果を
図1及び
図2に提示する。
【0120】
化合物II-aについては10μM並びに化合物I-a及びI-bについては33μMの濃度で、ウイルス粒子の産生は大幅に減少する。同時に、細胞毒性は、式I-a、I-b又はII-aの化合物10μMまでは観察されなかった。
【0121】
これらの結果は、式I及びIIの化合物の抗ウイルス活性を示す。
【配列表】
【国際調査報告】