IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ボストン サイエンティフィック メディカル デバイス リミテッドの特許一覧

特表2023-546196操縦可能な医療装置、医療装置用のハンドル、及び医療装置を操作する方法
<>
  • 特表-操縦可能な医療装置、医療装置用のハンドル、及び医療装置を操作する方法 図1
  • 特表-操縦可能な医療装置、医療装置用のハンドル、及び医療装置を操作する方法 図2
  • 特表-操縦可能な医療装置、医療装置用のハンドル、及び医療装置を操作する方法 図3
  • 特表-操縦可能な医療装置、医療装置用のハンドル、及び医療装置を操作する方法 図4
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-11-01
(54)【発明の名称】操縦可能な医療装置、医療装置用のハンドル、及び医療装置を操作する方法
(51)【国際特許分類】
   A61M 25/092 20060101AFI20231025BHJP
【FI】
A61M25/092 500
A61M25/092 510
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023524084
(86)(22)【出願日】2021-10-12
(85)【翻訳文提出日】2023-06-19
(86)【国際出願番号】 IB2021059375
(87)【国際公開番号】W WO2022084809
(87)【国際公開日】2022-04-28
(31)【優先権主張番号】63/093,910
(32)【優先日】2020-10-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522368684
【氏名又は名称】ボストン サイエンティフィック メディカル デバイス リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(74)【代理人】
【識別番号】100142907
【弁理士】
【氏名又は名称】本田 淳
(72)【発明者】
【氏名】アヴィヴィ、ドラン
【テーマコード(参考)】
4C267
【Fターム(参考)】
4C267AA01
4C267AA14
4C267AA32
4C267BB04
4C267BB40
4C267BB52
4C267CC04
(57)【要約】
操縦可能な医療装置は、細長のツールと、ハンドルと、ステアリングアセンブリとを含む。ハンドルはツールに取り付けられるとともに、ハンドル本体と、ハンドル本体に対して回転可能なノブとを有する。ステアリングアセンブリは、ハンドル本体内に収容されるとともにノブに結合された少なくとも第1のスプールと、第1のスプールの周りに巻き付けることができるとともにツールに結合された少なくとも第1の制御ワイヤとを含む。ハンドル本体に対するノブの回転が第1のスプールを回転駆動し、第1のスプールの回転が、制御ワイヤに張力をかけるように、第1のスプールの周りに第1の制御ワイヤを巻き付け、制御ワイヤの張力をかけることがツールを偏向させる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
操縦可能な医療装置であって、
該医療装置は細長のツールを備え、
該医療装置はハンドルを備え、該ハンドルは、前記ツールに取り付けられるとともに、ハンドル本体と前記ハンドル本体に対して回転可能なノブとを有し、
該医療装置はステアリングアセンブリを備え、該ステアリングアセンブリは少なくとも第1のスプールを備え、該少なくとも第1のスプールは前記ハンドル本体内に収容されるとともに前記ノブに結合されており、該ステアリングアセンブリは少なくとも第1の制御ワイヤを備え、該少なくとも第1の制御ワイヤは前記第1のスプールの周りに巻き付けることができるとともに前記ツールに結合されており、前記ハンドル本体に対する前記ノブの回転が前記第1のスプールを回転駆動し、前記第1のスプールの回転が、前記第1の制御ワイヤに張力をかけるように、前記第1のスプールの周りに前記第1の制御ワイヤを巻き付け、前記第1の制御ワイヤに張力をかけることが前記ツールを偏向させる、
操縦可能な医療装置。
【請求項2】
前記ステアリングアセンブリは、前記ノブから前記第1のスプールに回転を伝達するように、前記ノブと前記第1のスプールとの間に結合された歯車列を備える、請求項1に記載の操縦可能な医療装置。
【請求項3】
前記ノブが内歯車を備え、前記第1のスプールが傘歯車を備え、かつ、前記歯車列が、前記内歯車と噛合する遊星歯車と、前記遊星歯車に結合された太陽歯車と、前記太陽歯車と前記傘歯車との間に結合された追加の傘歯車とを備える、請求項1に記載の操縦可能な医療装置。
【請求項4】
前記ハンドル本体に対する第1のノブ回転方向への前記ノブの回転が第1のスプール回転方向へ前記第1のスプールを回転駆動し、前記第1のスプール回転方向への前記第1のスプールの回転が、前記第1の制御ワイヤに張力をかけるように、前記第1のスプールの周りに前記第1の制御ワイヤを巻き付け、前記第1の制御ワイヤに張力をかけることが第1の偏向方向に前記ツールを偏向させる、請求項1に記載の操縦可能な医療装置。
【請求項5】
前記ハンドル本体に対する第2のノブ回転方向への前記ノブの回転が第2のスプール回転方向へ前記第1のスプールを回転駆動し、前記第2のスプール回転方向への前記第1のスプールの回転が、前記第1の制御ワイヤにかかる前記張力を弛緩するように、前記第1のスプールから前記第1の制御ワイヤを繰り出す、
請求項4に記載の操縦可能な医療装置。
【請求項6】
前記ステアリングアセンブリは第2のスプールをさらに備え、該第2のスプールは前記ハンドル本体内に収容されるとともに前記ノブに結合されており、前記ステアリングアセンブリは第2の制御ワイヤをさらに備え、該第2の制御ワイヤは前記第2のスプールの周りに巻き付けることができるとともに前記ツールに結合されており、前記ハンドル本体に対する前記第2の回転方向への前記ノブの回転が前記第2のスプール回転方向へ前記第2のスプールを回転駆動し、前記第2のスプール回転方向への前記第2のスプールの回転が、前記第2の制御ワイヤに張力をかけるように、前記第2のスプールの周りに前記第2の制御ワイヤを巻き付け、前記第2の制御ワイヤに張力をかけることが第2の偏向方向に前記ツールを偏向させる、請求項5に記載の操縦可能な医療装置。
【請求項7】
前記ハンドル本体に対する前記第1のノブ回転方向への前記ノブの回転が前記第1のスプール回転方向へ前記第2のスプールを回転駆動し、前記第1のスプール回転方向への前記第2のスプールの回転が、前記第2の制御ワイヤにかかる張力を弛緩するように、前記第2のスプールから前記第2の制御ワイヤを繰り出す、請求項6に記載の操縦可能な医療装置。
【請求項8】
前記ツールは、シース、カテーテル、又はイントロデューサである、請求項1に記載の操縦可能な医療装置。
【請求項9】
医療装置のためのハンドルであって、
該ハンドルはハンドル本体と前記ハンドル本体に対して回転可能なノブとを備え、
該ハンドルはステアリングアセンブリを備え、該ステアリングアセンブリは、前記ハンドル本体内に収容されるとともに前記ノブに結合された少なくとも第1のスプールと、前記第1のスプールの周りに巻き付け可能な少なくとも第1の制御ワイヤとを備え、前記ハンドル本体に対する前記ノブの回転が前記第1のスプールを回転駆動し、前記第1のスプールの回転が、前記第1の制御ワイヤに張力をかけるように、前記第1のスプールの周りに前記第1の制御ワイヤを巻き付ける、
医療装置のためのハンドル。
【請求項10】
前記ステアリングアセンブリは、前記ノブから前記第1のスプールに回転を伝達するために、前記ノブと前記第1のスプールとの間に結合された歯車列を備える、請求項9に記載のハンドル。
【請求項11】
前記ノブは内歯車を備え、前記スプールは傘歯車を備え、前記歯車列は、前記内歯車と噛合する遊星歯車と、前記遊星歯車に結合された太陽歯車と、前記太陽歯車と前記傘歯車との間に結合された追加の傘歯車とを備える、請求項10に記載のハンドル。
【請求項12】
前記ハンドル本体に対する第1のノブ回転方向への前記ノブの回転が第1のスプール回転方向へ前記第1のスプールを回転駆動し、前記第1のスプール回転方向への前記第1のスプールの回転が、前記第1の制御ワイヤに張力をかけるように、前記第1のスプールの周りに前記第1の制御ワイヤを巻き付ける、請求項9に記載のハンドル。
【請求項13】
前記ハンドル本体に対する第2のノブ回転方向への前記ノブの回転が第2のスプール回転方向へ前記第1のスプールを回転駆動し、前記第2のスプール回転方向への前記第1のスプールの回転が前記第1のスプールから前記第1の制御ワイヤを繰り出す、請求項12に記載のハンドル。
【請求項14】
前記ステアリングアセンブリは、前記ハンドル本体内に収容されるとともに前記ノブに結合された第2のスプールと、前記第2のスプールの周りに巻き付け可能な第2の制御ワイヤとをさらに備え
前記ハンドル本体に対する前記第2の回転方向への前記ノブの回転が前記第2のスプール回転方向へ前記第2のスプールを回転駆動し、前記第2のスプール回転方向への前記第2のスプールの回転が、前記第2の制御ワイヤに張力をかけるように、前記第2のスプールの周りに前記第2の制御ワイヤを巻き付ける、
請求項13に記載のハンドル。
【請求項15】
前記ハンドル本体に対する前記第1のノブ回転方向への前記ノブの回転が前記第1のスプール回転方向へ前記第2のスプールを回転駆動し、前記第1のスプール回転方向への前記第2のスプールの回転が、前記第2の制御ワイヤにかかる張力を弛緩するように、前記第2のスプールから前記第2の制御ワイヤを繰り出す、請求項6に記載の操縦可能な医療装置。
【請求項16】
医療装置を動作させるための方法であって、
a.ハンドルのノブを回転させるステップと、
b.第1のスプールが回転するように、前記ハンドル内に収容された前記第1のスプールに前記ノブの回転を伝達するステップと、
c.第1の制御ワイヤに張力がかかるように、前記第1のスプールの回転によって前記第1のスプールの周りに前記第1の制御ワイヤを巻き付けるステップと、
d.前記第1の制御ワイヤに張力をかけることによってツールを偏向させるステップと、
を備える、方法。
【請求項17】
ステップbにおいて、前記ノブの回転が前記ハンドル内に収容された歯車列を介して前記第1のスプールに伝達される、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記方法は、ステップa.は第1のノブ回転方向に前記ノブを回転させることを備え、ステップb.は第1のスプール回転方向に第1のスプールを回転させることを備え、ステップd.は第1の撓み方向へ撓ませることを備え、
前記方法は、e.第2のノブ回転方向に前記ノブを回転させるステップと、f.第2のスプール回転方向に前記第1のスプールを回転させるように、前記第1のスプールに前記第2の回転方向への前記ノブの回転を伝達するステップと、g.前記第1の制御ワイヤの前記張力を弛緩するように、前記第1のスプールから前記第1の制御ワイヤを巻き戻すステップと
をさらに備える、請求項16に記載の方法。
【請求項19】
本方法は、h.第2のスプール回転方向へ前記第2のスプールを回転させるように、前記ハンドル内に収容された前記第2のスプールに前記第2の回転方向への前記ノブの回転を伝達するステップとi.第2の制御ワイヤに張力をかけ、前記第2の制御ワイヤに張力をかけることによって第2の偏向方向に前記ツールを偏向させるように、前記第2のスプール回転方向に前記第2のスプールを回転させることによって前記第2のスプールの周りに前記第2の制御ワイヤを巻き付けるステップとをさらに備える、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
ステップb.は、前記第1のスプール回転方向に前記第2のスプールを回転させるために、前記第2のスプールに前記第1の回転方向への前記ノブの回転を伝達することをさらに含み、ステップc.は、前記第2の制御ワイヤの張力を弛緩するために、前記第2のスプールから前記第2の制御ワイヤを繰り出すことをさらに含む、請求項19に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書は医療装置に関する。より詳細には、本明細書は、操縦可能なシース、カテーテル、及びイントロデューサ等の操縦可能な医療装置に関する。
【発明の概要】
【0002】
以下の概要は、詳細な説明の様々な態様を読者に紹介することを意図したものであり、いかなる発明も定義又は範囲を定めることを意図したものではない。
操縦可能な医療装置が開示される。いくつかの態様によれば、操縦可能な医療装置は、細長のツールと、ハンドルと、ステアリングアセンブリとを含む。ハンドルはツールに取り付けられるとともに、ハンドル本体と、ハンドル本体に対して回転可能なノブとを有する。ステアリングアセンブリは、ハンドル本体内に収容されるとともにノブに結合された少なくとも第1のスプールと、第1のスプールの周りに巻き付けることができるとともにツールに結合された少なくとも第1の制御ワイヤとを含む。ハンドル本体に対するノブの回転が第1のスプールを回転駆動し、第1のスプールの回転が、第1の制御ワイヤに張力をかけるように、第1のスプールの周りに第1の制御ワイヤを巻き付け、第1の制御ワイヤの張力がツールを偏向させる。
【0003】
いくつかの例では、ステアリングアセンブリは、ノブから第1のスプールに回転を伝達するようにノブと第1のスプールとの間に結合された歯車列を含む。ノブは内歯車を含むことができ、第1のスプールは傘歯車を含むことができ、歯車列は、内歯車と噛合された遊星歯車と、遊星歯車に結合された太陽歯車と、太陽歯車と傘歯車との間に結合された追加の傘歯車とを含むことができる。
【0004】
いくつかの例では、ハンドル本体に対する第1のノブ回転方向へのノブの回転が第1のスプール回転方向へ第1のスプールを回転駆動し、第1のスプール回転方向への第1のスプールの回転が、第1の制御ワイヤに張力をかけるように、第1のスプールの周りに第1の制御ワイヤを巻き付け、第1の制御ワイヤに張力をかけることが第1の偏向方向へツールを偏向させる。さらにいくつかの例では、ハンドル本体に対する第2のノブ回転方向へのノブの回転が第2のスプール回転方向へ第1のスプールを回転駆動し、第2のスプール回転方向への第1のスプールの回転が、第1の制御ワイヤにかかる張力を弛緩するように、第1のスプールから第1の制御ワイヤを繰り出す。
【0005】
いくつかの例では、ステアリングアセンブリは、ハンドル本体内に収容されるとともにノブに結合された第2のスプールと、第2のスプールの周りに巻き付けることができるとともにツールに結合された第2の制御ワイヤとをさらに含む。ハンドル本体に対する第2の回転方向へのノブの回転が第2のスプール回転方向へ第2のスプールを回転駆動することができ、第2のスプール回転方向への第2のスプールの回転が、第2の制御ワイヤに張力をかけるように、第2のスプールの周りに第2の制御ワイヤを巻き付けることができ、第2の制御ワイヤに張力をかけることは、第2の偏向方向にツールを偏向させることができる。さらに、ハンドル本体に対する第1のノブ回転方向へのノブの回転が第1のスプール回転方向へ第2のスプールを回転駆動することができ、第1のスプール回転方向への第2のスプールの回転が、第2の制御ワイヤにかかる張力を弛緩するように、第2のスプールから第2の制御ワイヤを繰り出すことができる。
【0006】
いくつかの例では、ツールは、シース、カテーテル、又はイントロデューサである。
医療装置用のハンドルも開示される。いくつかの態様によれば、医療装置用のハンドルは、ハンドル本体と、ハンドル本体に対して回転可能なノブと、ステアリングアセンブリとを含む。ステアリングアセンブリは、ハンドル本体内に収容されるとともにノブに結合された少なくとも第1のスプールと、第1のスプールの周りに巻き付け可能な少なくとも第1の制御ワイヤとを含む。ハンドル本体に対するノブの回転が第1のスプールを回転駆動し、第1のスプールの回転が、第1の制御ワイヤに張力をかけるように、第1のスプールの周りに第1の制御ワイヤを巻き付ける。
【0007】
いくつかの例では、ステアリングアセンブリは、ノブから第1のスプールに回転を伝達するように、ノブと第1のスプールとの間に結合された歯車列を含む。ノブは内歯車を含むことができ、第1のスプールは傘歯車を含むことができ、歯車列は、内歯車と噛合された遊星歯車と、遊星歯車に結合された太陽歯車と、太陽歯車と傘歯車との間に結合された追加の傘歯車とを含むことができる。
【0008】
いくつかの例では、ハンドル本体に対する第1のノブ回転方向へのノブの回転が第1のスプール回転方向へ第1のスプールを回転駆動し、第1のスプール回転方向への第1のスプールの回転が、第1の制御ワイヤに張力をかけるように、第1のスプールの周りに第1の制御ワイヤを巻き付ける。さらに、ハンドル本体に対する第2のノブ回転方向へのノブの回転が第2のスプール回転方向へ第1のスプールを回転駆動することができ、第2のスプール回転方向への第1のスプールの回転が第1のスプールから第1の制御ワイヤを繰り出すことができる。
【0009】
いくつかの例では、ステアリングアセンブリは、ハンドル本体内に収容されるとともにノブに結合された第2のスプールと、第2のスプールの周りに巻き付け可能な第2の制御ワイヤとをさらに含む。ハンドル本体に対する第2のノブ回転方向へのノブの回転が第2のスプール回転方向へ第2のスプールを回転駆動することができ、第2のスプール回転方向への第2のスプールの回転が、第2の制御ワイヤに張力をかけるように、第2のスプールの周りに第2の制御ワイヤを巻き付けることができる。さらに、ハンドル本体に対する第1のノブ回転方向へのノブの回転が第1のスプール回転方向へ第2のスプールを回転駆動することができ、第1のスプール回転方向への第2のスプールの回転が、第2の制御ワイヤにかかる張力を弛緩するように、第2のスプールから第2の制御ワイヤを繰り出すことができる。
【0010】
医療装置を操作するための方法も開示される。いくつかの態様によれば、医療装置を動作させるための方法はa.ハンドルのノブを回転させるステップと、b.前記第1のスプールを回転させるように、前記ハンドル内に収容された第1のスプールに前記ノブの回転を伝達するステップと、c.前記第1の制御ワイヤに張力をかけるように、前記第1のスプールの回転によって前記第1のスプールの周りに第1の制御ワイヤを巻き付けるステップと、d.前記第1の制御ワイヤに張力をかけることによってツールを偏向させるステップと
いくつかの例では、ステップb.において、ノブの回転は、ハンドル内に収容された歯車列を介して第1のスプールに伝達される。
【0011】
いくつかの例では、ステップa.は、第1のノブ回転方向にノブを回転させることを含み、ステップb.は、第1のスプール回転方向に第1のスプールを回転させることを含み、ステップd.は、第1の偏向方向にツールを偏向させることを含む。本方法は、e.第2のノブ回転方向に前記ノブを回転させるステップと、f.第2のスプール回転方向に前記第1のスプールを回転させるように、前記第1のスプールに前記第2のノブ回転方向への前記ノブの回転を伝達するステップと、g.前記第1の制御ワイヤにかかる張力を弛緩するように、前記第1のスプールから前記第1の制御ワイヤを繰り出すステップとをさらに含む。
【0012】
いくつかの例では、方法は、h.前記第2のスプール回転方向へ前記第2のスプールを回転させるように、前記ハンドル内に収容された第2のスプールに前記第2の回転方向への前記ノブの回転を伝達するステップと、i.前記第2の制御ワイヤに張力をかけるように、前記第2のスプール回転方向に前記第2のスプールを回転させることによって前記第2のスプールの周りに第2の制御ワイヤを巻き付けるステップと、j.前記第2の制御ワイヤに張力をかけることによって、第2の偏向方向に前記ツールを偏向させるステップとをさらに含む。
【0013】
いくつかの例において、ステップb.は、前記第1のスプール回転方向に前記第2のスプールを回転させるために、前記第2のスプールに前記第1の回転方向への前記ノブの回転を伝達することをさらに含み、ステップc.は、前記第2の制御ワイヤの前記張力を弛緩するように、前記第2のスプールから第2の制御ワイヤを繰り出すことをさらに含む。
【0014】
添付の図面は、本開示の物品、方法、及び装置の例を示すためのものであり、限定することを意図するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】医療装置のツール及びハンドルを示す、医療装置の一例の斜視図。
図2】ハンドル本体の内部を示すためにハンドルのハンドル本体が取り外された、図1の医療装置の部分斜視図。
図3図1及び図2のハンドルのノブを通る断面図。
図4図2の一部の側面図。
【発明を実施するための形態】
【0016】
特許請求される主題の実施形態の例を提供するために、様々な装置又はプロセス又は構成が以下で説明される。以下に記載される実施例は、いずれの請求項も限定するものではなく、いずれの請求項も、以下に記載されるものとは異なるプロセス又は装置又は組成物を包含し得る。特許請求の範囲は、以下に記載される任意の1つの装置若しくはプロセス若しくは組成物の特徴の全てを有する装置若しくはプロセス若しくは組成物、又は以下に記載される装置若しくはプロセス若しくは組成物の複数若しくは全てに共通の特徴に限定されない。以下に記載される装置又はプロセス又は組成物は、本特許出願の発行によって付与されるあらゆる排他的権利の実施形態ではない可能性がある。以下に説明され、本特許出願の発行によって排他的権利が付与されない任意の主題は、別の保護手段、例えば、継続特許出願の主題であり得、出願人、発明者、又は所有者は、本文書におけるその開示によって任意のそのような主題を放棄、除外、又は公衆に捧げることを意図しない。
【0017】
概して、ハンドルと、シース、カテーテル、若しくはイントロデューサ等といったツールとを含む、操縦可能な医療装置が、本明細書に開示される。ハンドルは、ユーザがツールを所望の方向に操縦することを可能にすることができる。より具体的には、ハンドルはノブを含むことができ、該ノブは、ハンドルの本体(本明細書ではハンドルのハウジングとも呼ばれる)に回転可能に結合される。動作中、ノブの回転は、ツールを偏向させることによって、ユーザがツールを操縦することを可能にすることができる。ノブの回転は、ステアリングアセンブリを介してツールの偏向に変換され得る。該ステアリングアセンブリは、ハンドル本体内に収容された1つ以上のスプールと、1つ以上の制御ワイヤとを含むことができる。該制御ワイヤは、スプール(又は複数のスプール)の周りに巻き付けることができ、ツールに結合される。ハンドル本体に対するノブの回転は、スプール(又は複数のスプール)を回転駆動することができ、スプール(又は複数のスプール)の回転は、スプール(又は複数のスプール)の周りの制御ワイヤ(又は複数の制御ワイヤ)の巻き付けを引き起こすことができる。制御ワイヤ(又は複数の制御ワイヤ)の巻き付けは、制御ワイヤ(又は複数の制御ワイヤ)の張力をかける可能性があり、これは次に、ツールを偏向させる可能性がある。簡単にするために、制御ワイヤ(又は複数の制御ワイヤ)の詳細や、制御ワイヤ(又は複数の制御ワイヤ)とツールとの間の接続の詳細は、本明細書では開示されない。しかしながら、関連する制御ワイヤは、例えば、米国特許第10,661,057号(Daviesら)に開示されており、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。さらに、制御ワイヤを含む操縦可能な医療装置は、SureFlex(登録商標)Steerable Guiding Sheathというブランド名でBaylis Medical Company,Inc.(モントリオール、カナダ)から販売されている。
【0018】
ここで図1を参照すると、例示的な操縦可能な医療装置100が示されている。細長のツール操縦可能な医療装置100は、概して、細長のツール102と、該ツール102に取り付けられたハンドル104とを含む。ツール102は、例えば(限定されるものではないが)、シース、カテーテル、又はイントロデューサであり得る。ハンドル104は、ユーザがツール102を把持し、操作し、操縦することを可能にすることができ、ハンドル本体106と、ツール102を操縦するためにハンドル本体106に対して回転可能なノブ108とを含む。第1の方向(本明細書では「第1のノブ回転方向」とも称される。例えば時計回り)へのノブ108の回転は、ツール102を第1の偏向方向に(すなわち、図1に点線で示される構成に)偏向させることができるとともに、第2の方向(本明細書では「第2のノブ回転方向」とも称される。例えば反時計回り)へのノブ108の回転は、ツール102を第2の偏向方向に(すなわち、図1に実線で示される構成に戻る)偏向させることができる。
【0019】
図示の例では、ハンドル104はハンドル軸線110に沿って延びるとともに、ノブ108はハンドル本体106に対してハンドル軸線110を中心に回転可能である。代替的な例では、ノブ108は、例えばハンドル軸線に垂直な、ハンドル軸線に対して別の角度の回転軸線を中心に回転可能であり得る。
【0020】
図2(ハンドル本体106がその内部を示すために示されていない)~図4を参照すると、ノブ108の回転をツール102の偏向に変換するためのステアリングアセンブリ112が設けられている。以下でより詳細に説明するように、ステアリングアセンブリ112は第1のスプール114と第2のスプール116(図2にのみ示す)とを含んでおり、これらは、ハンドル本体106内に収容されるとともに、歯車列118(図3に関して以下でより詳細に説明する)を介してノブ108に結合される。ステアリングアセンブリ112は第1の制御ワイヤ120と第2の制御ワイヤ(図示せず)とを含み、これらは、それぞれ第1のスプール114、第2のスプール116の周りに巻き付け可能である。以下でより詳細に説明されるように、ノブ108の回転は、第1のスプール114及び第2のスプール116を回転駆動する。第1のスプール114の回転により、第1のスプールの周りに第1の制御ワイヤ120が巻かれて第1の制御ワイヤ120に張力が加えられ、第2のスプール116の回転により、第2のスプール116の周りに第2の制御ワイヤが巻かれて第2の制御ワイヤに張力が加えられる。第1の制御ワイヤ120及び第2の制御ワイヤに張力をかけると、それぞれ第1の偏向方向及び第2の偏向方向にツール102の偏向が生じる。
【0021】
図3及び図4を参照すると、上述したように、ノブ108は、歯車列118を介して第1のスプール114及び第2のスプール116に結合される。歯車列118は、ノブ108と第1のスプール114及び第2のスプール116との間に結合されて、ノブ108からの回転を第1のスプール114及び第2のスプール116に伝達する。図示の例では、ノブ108は、(図3に示される)内歯車122を含み、各スプール114、116は、それぞれの傘歯車124、126(第2のスプール116の傘歯車126が図2に示される)を含み、歯車列118は、内歯車122と噛合される遊星歯車128と、遊星歯車128に結合される太陽歯車130と、太陽歯車130と傘歯車124及び126との間に結合される追加の傘歯車132とを含む。
【0022】
再び図2(歯車の歯は図示せず)を参照すると、ハンドル本体106に対する第1の方向(本明細書では「第1のノブ回転方向」とも呼ばれ、図2の矢印Aによって示される)へのノブ108の回転は、歯車列118を介して、第1のスプール114及び第2のスプール116の第1の方向(本明細書では「第1のスプール回転方向」とも呼ばれ、図2の矢印Bによって示される)を回転駆動する。図4を参照すると、第1のスプール114が第1の回転方向に回転すると、第1のスプール114の周りに第1の制御ワイヤ120が巻き付けられる一方、第2のスプール116が第1の回転方向に回転すると、第2のスプール116から第2の制御ワイヤが繰り出される(図示せず)。第1のスプール114の周りに第1の制御ワイヤ120を巻き付けると、第1の制御ワイヤ120に張力がかかる一方、第2の制御ワイヤを繰り出すと、第2の制御ワイヤの張力が弛緩される。第1の制御ワイヤ120に張力をかけることは、第2の制御ワイヤにおいて弛緩された張力とともに、第1の偏向方向における(すなわち、図1において点線で示される構成への)ツール102の偏向を引き起こす。
【0023】
図2に戻って参照すると、ハンドル本体106に対する反対方向(本明細書では「第2のノブ回転方向」とも呼ばれる)へのノブ108の回転は、歯車列118を介して、第1のスプール114及び第2のスプール116の反対方向(本明細書では「第2のスプール回転方向」とも呼ばれる)を回転駆動する。図4を参照すると、第1のスプール114が第2のスプール回転方向に回転すると、第1のスプール114から第1の制御ワイヤ120が繰り出される一方、第2のスプール116が第2のスプール回転方向に回転すると、第2のスプール116の周りに第2の制御ワイヤが巻き付けられる(図示せず)。第1のスプール114からの第1の制御ワイヤ120の繰り出しは、第1の制御ワイヤ120上の張力を弛緩する一方、第2のスプール116の周りの第2の制御ワイヤの巻き付けは、第2の制御ワイヤの張力を生じさせる。第1の制御ワイヤ120において弛緩された張力を用いて第2の制御ワイヤに張力をかけることは、第2の偏向方向における(すなわち、図1において実線で示される構成への)ツール102の偏向を引き起こす。
【0024】
図示の例では、ステアリングアセンブリ112は、2つのスプールと2つの制御ワイヤとを含む。代替例では、ステアリングアセンブリは、1つのスプールや1つの制御ワイヤなど、別の数のスプールや制御ワイヤを含むことができる。
【0025】
上記の説明は、1つ以上のプロセス又は装置又は組成物の例を提供するが、他のプロセス又は装置又は組成物が添付の特許請求の範囲内であり得ることが理解されるであろう。
任意の先行技術に関して(本出願において、又はいずれかの親、兄弟、若しくは子を含むいずれかの関連特許出願若しくは特許において)以前に行われた任意の補正、特徴、又は他の主張が、本出願の本開示によってサポートされる任意の主題の放棄として解釈され得る場合、出願人は、本明細書によって、そのような放棄を取り消し、撤回する。出願人はまた、いずれかの親、兄弟、又は子を含む任意の関連特許出願又は特許において以前に検討されたいずれかの先行技術が再訪される必要があり得ることを謹んで提出する。
図1
図2
図3
図4
【手続補正書】
【提出日】2023-06-19
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
操縦可能な医療装置であって、
該医療装置は細長のツールを備え、
該医療装置はハンドルを備え、該ハンドルは、前記ツールに取り付けられるとともに、ハンドル本体と前記ハンドル本体に対して回転可能なノブとを有し、
該医療装置はステアリングアセンブリを備え、該ステアリングアセンブリは少なくとも第1のスプールを備え、該少なくとも第1のスプールは前記ハンドル本体内に収容されるとともに前記ノブに結合されており、該ステアリングアセンブリは少なくとも第1の制御ワイヤを備え、該少なくとも第1の制御ワイヤは前記第1のスプールの周りに巻き付けることができるとともに前記ツールに結合されており、前記ハンドル本体に対する前記ノブの回転が前記第1のスプールを回転駆動する、
操縦可能な医療装置。
【請求項2】
前記第1のスプールの回転が、前記第1の制御ワイヤに張力をかけるように、前記第1のスプールの周りに前記第1の制御ワイヤを巻き付け、前記第1の制御ワイヤに張力をかけることが前記ツールを偏向させる、請求項1に記載の操縦可能な医療装置。
【請求項3】
前記ステアリングアセンブリは、前記ノブから前記第1のスプールに回転を伝達するように、前記ノブと前記第1のスプールとの間に結合された歯車列を備える、請求項1又は2に記載の操縦可能な医療装置。
【請求項4】
前記ノブが内歯車を備え、前記第1のスプールが傘歯車を備える、請求項1から3のいずれか一項に記載の操縦可能な医療装置。
【請求項5】
前記歯車列が、前記内歯車と噛合する遊星歯車と、前記遊星歯車に結合された太陽歯車とを備える
請求項4に記載の操縦可能な医療装置。
【請求項6】
前記太陽歯車が傘歯車を備える、請求項5に記載の操縦可能な医療装置。
【請求項7】
前記太陽歯車と前記傘歯車との間に結合された追加の傘歯車とをさらに備える、請求項6に記載の操縦可能な医療装置。
【請求項8】
前記ハンドル本体に対する第1のノブ回転方向への前記ノブの回転が第1のスプール回転方向へ前記第1のスプールを回転駆動し、前記第1のスプール回転方向への前記第1のスプールの回転が、前記第1の制御ワイヤに張力をかけるように、前記第1のスプールの周りに前記第1の制御ワイヤを巻き付け、前記第1の制御ワイヤに張力をかけることが第1の偏向方向に前記ツールを偏向させる、請求項1~7のいずれか一項に記載の操縦可能な医療装置。
【請求項9】
前記ハンドル本体に対する第2のノブ回転方向への前記ノブの回転が第2のスプール回転方向へ前記第1のスプールを回転駆動し、前記第2のスプール回転方向への前記第1のスプールの回転が、前記第1の制御ワイヤにかかる前記張力を弛緩するように、前記第1のスプールから前記第1の制御ワイヤを繰り出す、請求項8に記載の操縦可能な医療装置。
【請求項10】
前記ステアリングアセンブリは第2のスプールをさらに備え、該第2のスプールは前記ハンドル本体内に収容されるとともに前記ノブに結合される、請求項1~9のいずれか一項に記載の操縦可能な医療装置。
【請求項11】
第2の制御ワイヤが前記第2のスプールの周りに巻き付けることができるとともに前記ツールに結合されており、前記ハンドル本体に対する前記第2のノブ回転方向への前記ノブの回転が前記第2のスプール回転方向へ前記第2のスプールを回転駆動し、前記第2のスプール回転方向への前記第2のスプールの回転が、前記第2の制御ワイヤに張力をかけるように、前記第2のスプールの周りに前記第2の制御ワイヤを巻き付け、前記第2の制御ワイヤに張力をかけることが第2の偏向方向に前記ツールを偏向させる、請求項10に記載の操縦可能な医療装置。
【請求項12】
前記ハンドル本体に対する前記第1のノブ回転方向への前記ノブの回転が前記第1のスプール回転方向へ前記第2のスプールを回転駆動し、前記第1のスプール回転方向への前記第2のスプールの回転が、前記第2の制御ワイヤにかかる張力を弛緩するように、前記第2のスプールから前記第2の制御ワイヤを繰り出す、請求項10に記載の操縦可能な医療装置。
【請求項13】
前記ツールは、シース、カテーテル、又はイントロデューサである、請求項1~12のいずれか一項に記載の操縦可能な医療装置。
【請求項14】
前記ハンドルはハンドル軸線に沿って延びており、前記ノブは前記ハンドル軸線を中心に回転可能である、請求項1~13のいずれか一項に記載の操縦可能な医療装置。
【請求項15】
前記ハンドルはハンドル軸線に沿って延びており、前記ノブは前記ハンドル軸線に対して角度を有する軸線を中心に回転可能である、請求項1~13のいずれか一項に記載の操縦可能な医療装置。
【国際調査報告】