(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-11-01
(54)【発明の名称】オブジェクトを少なくとも2つのビューにおいて結像するための装置および方法
(51)【国際特許分類】
G02B 21/00 20060101AFI20231025BHJP
G02B 21/36 20060101ALN20231025BHJP
【FI】
G02B21/00
G02B21/36
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023524120
(86)(22)【出願日】2021-10-19
(85)【翻訳文提出日】2023-05-18
(86)【国際出願番号】 EP2021078862
(87)【国際公開番号】W WO2022084271
(87)【国際公開日】2022-04-28
(31)【優先権主張番号】102020127580.3
(32)【優先日】2020-10-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】515263738
【氏名又は名称】インテグレイテッド ダイナミクス エンジニアリング ゲーエムベーハー
【氏名又は名称原語表記】Integrated Dynamics Engineering GmbH
【住所又は居所原語表記】Hermannstrasse 9-13, 65479 Raunheim, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】アンドレアス ビルクナー
(72)【発明者】
【氏名】ラルフ ランゲンバッハ
【テーマコード(参考)】
2H052
【Fターム(参考)】
2H052AB06
2H052AB17
2H052AF02
2H052AF03
2H052AF14
(57)【要約】
本発明は、オブジェクトを少なくとも2つのビューにおいて結像するための装置および方法に関する。本装置および本方法は、例えばロボットを教示またはコントロールするため、またはハンドリングシステムをコントロールするために使用可能であるか、または一般的に分析目的または監視目的でオブジェクトの結像が必要とされる装置において使用可能である。本装置は、オブジェクトを少なくとも2つの異なるビューにおいて同時に結像することを可能にし、当該装置は、少なくとも1つの結像光学要素と、少なくとも1つの反射要素とを含み、反射要素は、少なくとも部分的に結像光学要素のオブジェクト空間内に配置されており、結像光学要素の光軸は、オブジェクトの第1のビューに対応付けられており、反射要素は、動作中、オブジェクトの第1のビューとは異なる第2のビューを結像することができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
オブジェクトを少なくとも2つの異なるビューにおいて同時に結像するための装置であって、当該装置は、
少なくとも1つの結像光学要素と、
少なくとも1つの反射要素と
を含み、
前記反射要素は、少なくとも部分的に前記結像光学要素のオブジェクト空間内に配置されており、前記結像光学要素の光軸は、前記オブジェクトの第1のビューに対応付けられており、
前記反射要素は、動作中、前記オブジェクトの前記第1のビューとは異なる第2のビューを結像することができる、
装置。
【請求項2】
動作中、前記装置の使用時、または調整時に、前記第2のビューは、前記オブジェクトのうちの、前記結像光学要素の前記オブジェクト空間内に位置していない領域を少なくとも部分的に結像することができる、請求項1記載の装置。
【請求項3】
前記反射要素は、前記結像光学要素の結像平面内に位置しており、前記オブジェクトの前記第2のビューを結像するための、好ましくは平坦に形成された少なくとも1つの反射面を含む、請求項1または2記載の装置。
【請求項4】
動作中、かつ/または画像撮影時に、少なくとも前記オブジェクトの前記第1のビューと前記第2のビューとを、前記結像光学要素によって1つの画像内に同時に撮影することができる、請求項1から3までのいずれか1項記載の装置。
【請求項5】
前記結像光学要素と前記反射要素とは、前記結像光学要素の光軸と前記反射要素によって規定される前記第2のビューに対応付けられた視軸とが相互に角度αを成しており、好ましくは、α>0°が成り立ち、かつ/または
前記光軸と前記視軸とは、相互に横方向のオフセットを有する、
請求項1から4までのいずれか1項記載の装置。
【請求項6】
少なくとも1つのマークが設けられており、
前記マークを、画像撮影時に前記結像光学要素によって一緒に結像することができ、
前記マークは、好ましくは前記装置上にまたは前記装置に接して、好ましくはオブジェクト上または基板上にまたはオブジェクトまたは基板に接して、ロボット上にまたはロボットに接して、エンドエフェクタ上にまたはエンドエフェクタに接して、もしくは機械、設備、またはシステムに接して配置されている、
請求項1から5までのいずれか1項記載の装置。
【請求項7】
動作中、前記オブジェクトの少なくとも1つの第3のビューを結像することができる少なくとも1つのさらなる反射要素が設けられており、
前記第3のビューは、少なくとも2つの他のビューとは異なっており、
好ましくは、前記少なくとも第3のビューは、前記オブジェクトのうちの、前記結像光学要素の前記オブジェクト空間内または前記第2のビュー内に位置していないまたは完全には位置していない領域を少なくとも部分的に結像することができる、
請求項1から6までのいずれか1項記載の装置。
【請求項8】
前記少なくとも1つの結像光学要素は、前記装置上にまたは前記装置に接して、好ましくはロボット上にまたはロボットに接して、エンドエフェクタ上にまたはエンドエフェクタに接して、もしくは前記機械、前記設備、または前記システムに接して永続的に固定的にまたは着脱可能に配置されている、請求項1から7までのいずれか1項記載の装置。
【請求項9】
前記少なくとも1つの反射要素は、前記装置上にまたは前記装置に接して、好ましくはロボット上にまたはロボットに接して、エンドエフェクタ上にまたはエンドエフェクタに接して、もしくは前記機械、前記設備、または前記システムに接して永続的に固定的にまたは着脱可能に配置されている、請求項1から8までのいずれか1項記載の装置。
【請求項10】
前記結像光学要素は、前記オブジェクトの好ましくは2次元の結像を生成する、請求項1から9までのいずれか1項記載の装置。
【請求項11】
前記結像光学要素は、カメラ、好ましくは2Dカメラ、ビデオカメラ、または画像センサを含む、請求項1から10までのいずれか1項記載の装置。
【請求項12】
撮影された前記オブジェクトの画像は、視覚的な分析、手動での分析、または自動的な分析のために使用される、請求項1から11までのいずれか1項記載の装置。
【請求項13】
前記装置は、
撮影された前記画像をユーザに対して視覚化するための表示要素、および/または
撮影された前記画像をさらに分析するためのコンピュータ支援された画像処理部
をさらに含む、請求項1から12までのいずれか1項記載の装置。
【請求項14】
前記反射要素は、好ましくは可視波長領域の電磁放射を反射および/または偏向することができる光学装置を含み、前記光学装置は、ミラー、プリズム、またはその他の反射面を含む、請求項1から13までのいずれか1項記載の装置。
【請求項15】
前記反射要素は、少なくとも部分的に半透過性に構成されており、好ましくは可視波長領域において半透過性に構成されている、請求項1から14までのいずれか1項記載の装置。
【請求項16】
前記反射要素は、入射する電磁放射を選択するための少なくとも1つのさらなる光学装置、とりわけフィルタ、偏光フィルタ、赤外線遮断フィルタ、UV遮断フィルタ、カラーフィルタを含む、請求項1から15までのいずれか1項記載の装置。
【請求項17】
前記反射要素は、鮮明性に影響を与えるための少なくとも1つのさらなる光学装置、好ましくはレンズ、光学系、または対物レンズを含む、請求項1から16までのいずれか1項記載の装置。
【請求項18】
前記装置は、前記オブジェクトを第1の方向から照明するように構成された照明装置をさらに含む、請求項1から17までのいずれか1項記載の装置。
【請求項19】
少なくとも1つの反射要素は、少なくとも部分的に前記照明装置の光路内に配置されており、前記照明装置の光の少なくとも一部が偏向されるように、かつ少なくとも1つの第2の方向から前記オブジェクトに向けられるように方向決めされている、請求項18記載の装置。
【請求項20】
オブジェクトを好ましくは少なくとも2つの異なるビューにおいて結像するための、請求項1から19までのいずれか1項記載の装置であって、
当該装置は、少なくとも1つの結像光学要素を含む、
装置において、
空間方向xおよびyによって形成される平面内における、前記結像光学要素によって結像可能な少なくとも1つの光線が、少なくとも1つのフォークおよび/または少なくとも1つの載置部に対して平行または略平行に延在しており、
前記少なくとも1つの光線と前記フォークおよび/または前記載置部との間の角度βは、±10°以下、好ましくは±5°以下、特に好ましくは±2°以下である
ことを特徴とする、装置。
【請求項21】
請求項1から20までのいずれか1項記載の装置を含む、オブジェクトを少なくとも2つの異なるビューにおいて同時に結像するための方法。
【請求項22】
請求項1から20までのいずれか1項記載の装置を含む、好ましくは半導体産業において使用するための機械、設備、またはシステム。
【請求項23】
前記装置によって撮影された画像は、
前記半導体産業の設備、システム、または機械をティーチイン、調整、制御、および/またはコントロールするために使用可能であり、かつ/または
ロボットを制御、調整、ティーチイン、コントロールするために使用可能である、
請求項22記載の機械、設備、またはシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、オブジェクトを少なくとも2つのビュー(Ansichten)において結像するための装置および方法に関する。本装置および本方法は、例えばロボットを教示またはコントロールするため、またはハンドリングシステムをコントロールするために使用可能であるか、または一般的に分析目的または監視目的でオブジェクトの結像が必要とされる装置において使用可能である。
【0002】
発明の背景
設備または機械を制御または監視するために、今日では、オブジェクトを結像するための装置および方法が多岐にわたって使用されている。これには、例えば基板、とりわけウェハ、マスク、またはフラットパネルディスプレイを処理するための半導体産業の分野における設備も含まれる。ここでは、基板を把持してプレースするためのいわゆるエンドエフェクタを有する種々異なるハンドリングシステム、例えばロボットが使用され、このロボットにより、処理されるべき基板が一方の処理ステーションから他方の処理ステーションへと移動させられる。このようなロボットは、通常、エンドエフェクタを複数の空間方向に移動させ、ロボットを教示すること、すなわち、少なくとも1つの軌道および/または移動曲線の少なくとも1つの目標位置を保存することが、設備においてしばしば必要とされる。
【0003】
このようないわゆる「ティーチイン(Teach-In)」または調整の際には、ロボットは、移動シーケンスを用いて教示され、かつ/または機械的に調整され、その後、この移動シーケンスを、設備の動作中にロボットが引き続き実行する。とりわけ、ティーチインでは、ロボットによって基板がプレースされるところである目標位置が教示される。ティーチインは、多くのロボットにおいて、モータ軸がスイッチオンされている際に手動で実施される。ティーチインは、もちろん、システム内に存在するさらなるコンポーネントまたは設備部分にも関連する。
【0004】
この場合、ティーチイン過程は、操作者による光学的なコントロール下で実施可能であり、移動曲線は、複数のより小さな個々のステップによって、とりわけラジアル移動およびシータ移動によって実施される。このことは、非常に手間がかかる上にエラーが多く、設備において比較的大きな損傷が発生する可能性があるので、ティーチインの光学的な監視がますます多く使用されており、この際、基板および/またはエンドエフェクタの画像、または他のオブジェクトの画像も撮影するカメラが使用される。動作中に設備を監視し、これによって例えばロボットをコントロールするためにも、光学的な監視を利用することができる。
【0005】
したがって、このような光学的な監視は、ロボットを教示するため、ロボットまたは設備を監視するため、例えば基板の種類、基板の存在(「マッピング」)、基板の姿勢、および/または方向性のような基板を識別するため、基板および/または他のオブジェクトの姿勢または距離を測定するために、少なくとも1つのカメラを使用することに基づいている。この場合、まず始めに画像またはビデオの撮影が実施され、これに続いて、手動での評価、または画像処理を用いた評価が行われるか、またはニューラルネットワークを用いた評価も行われる。
【0006】
例えば、本出願人の欧州特許出願公開第3648150号明細書または欧州特許出願公開第3648152号明細書から、ウェハまたはマスクまたはフラットパネルディスプレイを移動させるためのロボットを教示またはコントロールするための方法が公知であり、ここでは、オブジェクト、とりわけマスク(レチクル)、ウェハ、またはフラットパネルディスプレイのような基板を識別するために、カメラと、ルールベースの画像処理とが利用される。
【0007】
独国特許出願公開第102020112146号明細書または独国特許出願公開第102020112149号明細書から、ウェハまたはマスクまたはフラットパネルディスプレイを移動させるためのロボットを教示またはコントロールするための方法がさらに公知であり、ここでもカメラが使用される。ただし、ルールベースの画像処理の代わりにまたはこれに加えて、オブジェクト、とりわけマスク、ウェハ、またはフラットパネルディスプレイのような基板を識別するために人工ニューラルネットワークが使用される。
【0008】
これらの方法は全て、画像を撮影してデジタル画像データに変換するために少なくとも1つのカメラが必要であり、その後、これらのデジタル画像データを表示、処理、または評価することができるという点で共通している。
【0009】
この際に一般的に使用されるカメラは、オブジェクトを、カメラの結像平面内において十分に鮮明に表示することができる。この結像平面は、典型的にはカメラの光軸に対して垂直に位置している。
【0010】
したがって、このビュー内に位置しているか、または結像平面の方向性に位置しているオブジェクトまたはその一部、もしくは(例えば、オブジェクト縁部のような)幾何学的特徴を結像することができるか、またはこのような平面内の基準点に対する位置または距離を検出または測定することができる。
【0011】
しかしながら、この結像平面内またはこのビュー内に位置しているオブジェクトの画像情報を取得するだけでなく、この結像平面内またはこのビュー内に位置していないオブジェクトのさらなる情報を取得することがしばしば望まれている。これには、例えば結像平面内に位置していないか、または他のビューでのみ可視であるオブジェクト領域またはオブジェクト構成部分が含まれる。例えば、幾何学的特徴を結像すること、または結像平面内に位置していない基準点に対する位置または距離を検出または測定することも、しばしば望まれている。
【0012】
そのような情報は、結像平面内に位置している既知の寸法のオブジェクトを基準にして三角測量法によって取得することが可能である。しかしながら、この間接的な方法は、手間がかかり、状況によっては精度の低下を伴って実施される。
【0013】
代替的に、いわゆる3Dカメラ、すなわち2次元領域で動作する通常のアナログカメラまたはデジタルカメラとは異なり、例えばオブジェクトのグレー階調または色値を表示するカメラシステムを使用することができ、その場合、これらの情報に基づいて所望の画像情報を計算することができる。
【0014】
いわゆるステレオカメラの使用も考えられる。この場合、オブジェクトは、2つのカメラによって同時に撮影され、カメラの対物レンズの距離は、人間の眼の距離に相当することができる。その場合、結果として得られた画像ペアをコンピュータ支援によって処理し、このようにして、例えばオブジェクトまでの距離またはオブジェクト間の距離を測定することができる。
【0015】
しかしながら、要約すると、これらの方法は全て、例えば特に手間のかかるカメラを設けるまたは使用する必要がある場合、または複数のカメラ設けるまたは使用する必要がある場合には、使用に時間を要するが、しばしば高コストでもある。
【0016】
さらに、3Dカメラもまた、重要である可能性のある全てのビューを結像することはできず、例えば、オブジェクトの後方のまたは覆い隠されているビュー、すなわちオブジェクトのうちの、カメラとは反対側の側面に位置しているオブジェクト領域、または一般的に、カメラのオブジェクト空間内に位置していないビューを結像することはできない。
【0017】
したがって、オブジェクトを高精度で結像するための、上述した欠点を有していない方法が望まれている。
【0018】
この場合、とりわけ、オブジェクトを結像する際に、オブジェクトのただ1つのビューを画像的に検出および分析することができるだけでなく、カメラのオブジェクト空間内に位置していないビューも、例えばオブジェクトの後方のまたは覆い隠されているビューも検出および分析することができることが望ましい。
【0019】
この場合、簡単かつ低コストのカメラ、好ましくは単一のカメラのみ、同様に好ましくは2次元領域で動作するカメラのみを使用することができることがさらに望ましい。
【0020】
本発明者らは、上記の課題に尽力した。
【0021】
上記の課題は、独立請求項のうちの1つによるオブジェクトを少なくとも2つの異なるビューにおいて同時に結像するための装置および方法によって、驚くほど簡単に解決される。本発明の好ましい実施形態または発展形態は、それぞれの従属請求項から見て取れる。
【0022】
したがって、本発明の対象は、オブジェクトを少なくとも2つの異なるビューにおいて、または少なくとも2つの異なるビューによって同時に結像するための装置であって、当該装置は、
少なくとも1つの結像光学要素と、
少なくとも1つの反射要素と
を含み、
反射要素は、少なくとも部分的に結像光学要素のオブジェクト空間内に配置されており、結像光学要素の光軸は、オブジェクトの第1のビューに対応付けられており、
反射要素は、動作中、オブジェクトの第1のビューとは異なる第2のビューを結像することができる、
装置である。
【0023】
本発明は、本発明のさらなる態様では、上述したような本発明による装置が使用される、オブジェクトを少なくとも2つの異なるビューにおいて同時に結像するための方法を含む。
【0024】
本発明による装置および本発明による方法は、とりわけ、機械、設備、処理機械、半導体産業のシステム、または半導体産業の機械において、もしくはそれらと一緒に使用するために適している。
【0025】
これらは、例えば半導体産業においてまたは半導体産業との関連において基板を処理するために適した機械、設備、またはシステムであると理解されるべきである。これには、例えば基板処理用、リソグラフィプロセス用、検査用、測定用、保管用、搬送用、基板製造用の機械、または基板においてまたは基板と共に何らかの他の手法で措置を実施する機械が含まれる。とりわけ、いわゆるフラットパネル産業の機械も一緒に含められるべきである。
【0026】
本発明のさらなる態様は、太陽電池またはソーラーパネルに関し、この場合、機械、設備、またはシステムを、太陽光産業において使用するために相応に設けることができる。
【0027】
したがって、機械は、例えば半導体産業において使用することができるロボットを含むことができる。この関連における設備とは、機械を含むことができる比較的複雑なユニット、例えばロボットを含む処理ステーションであると理解される。最後に、この関連におけるシステムとは、装置を含むことができるさらにより複雑なユニットを指す。これは、本発明による装置と協働するか、または本装置と相互作用する全ての装置、機械、および設備であると理解可能である。
【0028】
この関連におけるオブジェクトとは、一般的に少なくとも1つの対象物または物体、例えば基板を指すが、例えば装置、機械、設備、またはシステムの一部としての、オブジェクトの部品、構成部品、またはコンポーネントも指す。
【0029】
この場合におけるオブジェクトとは、例えば、基板の載置部、ロボット、エンドエフェクタ、エンドエフェクタのフォーク、その他のグリッパ、移動ユニット、例えば基板用のステージ、基板用のチャック、基板を回転または方向決めするためのユニット、基板のプレースステーション、ロードポート、真空チャンバ、ロック、搬送コンテナまたは搬送コンテナの一部のような補助構成部品が含まれる処理機械の全てのさらなるコンポーネント、例えば基板を処理機械にまたは処理機械から移送することができるコンポーネントであるとも理解されるべきである。
【0030】
この関連においてオブジェクトという用語が使用される場合、このオブジェクトという用語は、複数のオブジェクトまたは対象物であるとも、もしくはオブジェクトまたは対象物の一部であるとも理解されるべきであり、例えば、このオブジェクトという用語により、例えばウェハのような基板および把持装置またはエンドエフェクタの一部を意味することもできる。距離を測定するためには、例えば、少なくとも2つのオブジェクトを結像することが有意義であり得る。
【0031】
この場合におけるエンドエフェクタとは、基板を把持、保持、またはピックするように構成されたロボット上にまたはそのようなロボットに接して設けられた構成部品を意味する。典型的に、エンドエフェクタは、このためにロボットのアームに取り付けられている。この場合、エンドエフェクタ自体も、しばしばアーム、もしくはグリッパまたは把持装置と称される。
【0032】
この関連における基板という用語は、半導体産業またはフラットパネル産業において使用される対象物であると理解されるべきである。これには、例えばフォトリソグラフィプロセスのためのウェハ、マスク、またはフラットパネルディスプレイ、もしくは太陽電池またはソーラーパネルが含まれる。このような基板はさらに、追加部品、拡張構造、またはさらなるコンポーネント、例えばマスクの場合におけるペリクル、上部構造、例えば機械を調整または較正するための、または機械を検査するための、または半導体産業において必要とされる他の目的のための測定構造を含むことができる。
【0033】
基板をさらに支持体上に、例えばフィルム上に配置することができるか、または基板をフレームに張架して、または載置部上に、例えば金属製またはセラミック製の載置部上に配置して、機械内において前述のフレームまたは載置部と一緒に使用すること、処理すること、または移動させることができる。
【0034】
複数の基板を直接的に相互に積層することもでき、例えば、複数のウェハを相互に積層することもでき、これらは、機能的に相互に接続されている。基板は、複数の部分から成っていてもよく、例えば、半導体産業における所定のプロセスステップではウェハを複数の部分片に鋸断することが一般的であり、その場合には、これらの部分片を支持体上に取り付けることができる。
【0035】
したがって、本発明は、本発明のさらなる態様では、本発明による装置を含む、好ましくは半導体産業において使用するための、上述したような機械、設備、またはシステムも含む。
【0036】
この場合、本発明による装置を、上述した機械、設備、またはシステムでしか、またはこれらと共にしか使用することができないわけではないことは、当業者には明らかである。むしろ、オブジェクトを時間的かつコスト的に有利な手法でわずかな手間で画像的に検出することが求められていて、その際に、オブジェクトを少なくとも2つの異なるビューから撮影するべきである他の機械、設備、またはシステムも考えられる。このような機械、設備、またはシステムも、本発明による装置の利点から利益を得ることができる。
【0037】
本発明の意味では、装置の動作中、とりわけ画像撮影中、オブジェクトが少なくとも部分的に結像光学要素のオブジェクト空間内に位置しており、これによって相応に検出可能であると有用である。この場合、視野または画像領域とも称される結像光学要素のオブジェクト空間とは、結像光学要素が結像することができる全てのオブジェクトまたはオブジェクト点の集合を指す。
【0038】
結像平面という用語は、例えばカメラのような結像光学要素の視野内またはオブジェクト空間内における所定の領域であると理解されるべきである。この場合における結像平面とは、結像光学要素のオブジェクト空間内における領域であって、かつオブジェクトが十分に鮮明に結像され得るような領域を指す。この関連における十分に鮮明とは、その鮮明性が分析または評価にとって十分であることを意味する。
【0039】
この場合、例えばカメラから画像またはビデオとして読み出すことができる。この場合、結像光学要素の光軸が結像光学要素の視線方向を規定する。結像平面は、大抵の場合、光軸に対して垂直である。結像光学要素のオブジェクト空間は、本発明の枠内では、オブジェクトの第1のビューとも称されるか、またはオブジェクトの第1のビューに対応付けられる。
【0040】
本発明の意味では、少なくとも画像が撮影されるべき場合に、反射要素は、少なくとも部分的に結像光学要素のオブジェクト空間内に位置している。この場合、反射要素は、好ましくはこの反射要素によってオブジェクトおよび/または他のオブジェクトのさらなる第2のビューを結像することができるように構成および配置されている。好ましくは、オブジェクトのこの第2のビューは、第1のビューとは異なっており、これにより、動作中、オブジェクトの2つの異なるビューを同時に結像することができる。
【0041】
したがって、本発明によれば、結像光学要素の結像平面またはオブジェクト空間の一部を他の方向に偏向する反射要素、例えばミラーを設けることが企図されており、これにより、結像光学要素のオブジェクト空間の内部に、別の異なる結像平面を備えたオブジェクト空間が形成される。例えば光軸に対して垂直な1つの平面のみを結像する単一の2次元のカメラのみを用いて驚くほど簡単に、さらなる結像平面を追加することができる。
【0042】
このようにして、例えば2次元領域で動作し、したがってオブジェクトの2次元の結像を生成するただ1つの結像光学要素を使用することによって、装置を特に簡単かつ低コストに製造することができる。本明細書における2次元の結像光学要素という用語は、2次元の画像センサを有するか、または2次元座標系における画素のみを生成する結像光学要素、例えばカメラであると理解される。この場合、個々の画素は、グレー値、RGB値、または赤外値、または他の値を含むことはできるが、例えば結像光学要素に対する画素の距離に関する情報をさらに含むことはできない。
【0043】
結像光学要素または撮影要素とは、画像を撮影するため、保存するため、かつさらなる処理のためにデジタル信号に、とりわけデジタル画像データまたはデジタル画像情報に変換するために適した機器または装置を意味する。したがって、撮影要素は、カメラ、好ましくは2Dカメラまたは2次元カメラ、ビデオカメラ、もしくは画像センサを含むことができる。
【0044】
本発明によれば、2次元の撮影領域で動作する単一の結像光学要素だけで既に十分である。これによって既に、結像平面の方向性に位置している、すなわち光軸に沿った視線方向に位置している部分、または例えばオブジェクト縁部のような幾何学的特徴を結像することが可能となるか、または第2の結像平面が一緒に結像される場合には、基準点に対する位置または距離を同時に検出または測定することが可能となる。
【0045】
これにより、撮影要素の結像平面内に位置していないオブジェクト、またはオブジェクトの幾何学的特徴も結像するための、またはオブジェクトの単一のビューからだけでは特定することができない基準点に対する位置または距離を検出または測定するための、低コストかつ簡単な手段が提供されている。
【0046】
本発明によれば、反射要素により、撮影要素の光軸の向きから生じる第1のビューに、さらなる視線方向、したがってさらなる第2の光軸とも称される第2のビューが追加される。この関連における結像光学要素の光軸および第2の光軸は、第1の視軸および第2の視軸とも称される。この場合、両方の視軸またはビューは、例えば相互に直交することができる。しかしながら、もちろん、結像光学要素および反射要素の相互の種々異なる向きおよび配置が可能である。本発明の意味では、少なくとも2つの視軸は、相互に平行に位置することもでき、好ましくは相互に横方向のオフセットを伴って、または相互に角度を成すように位置することもできる。しかしながら、一般的にこれらの視軸は、相互に同軸上には位置していない。なぜなら、その場合には2つの異なるビューを結像することができないからである。
【0047】
これにより、例えばオブジェクト、例えば識別されるべき縁部を、その深さにおいても、すなわち結像光学要素の光軸に対して平行または略平行な広がりにおいても結像することも可能となり、かつ/または結像光学要素または基準点を基準にして、もしくは結像光学要素に対して相対的な既知の寸法、位置、または角度に基づいて特定することも可能となる。
【0048】
この場合、反射要素は、好ましくは結像光学要素を基準にして、結像光学要素の結像平面内における領域であって、かつ装置の動作にとって重要でないかまたはわずかにしか重要でないオブジェクト空間に該当するような領域内に位置するように取り付けられる。
【0049】
したがって、例えばオブジェクトの前方縁部が撮影要素の結像平面内に位置している場合には、この縁部を、2次元で動作する撮影要素によって非常に良好に結像することができる。本発明によれば、今や、例えばオブジェクトの平坦な表面上に位置している対象物、例えばマスク上のペリクルも表示することが可能となり、例えば反射要素によってオブジェクトの表面が、載置されている対象物および前方縁部と共に結像される場合には、オブジェクトの前方縁部までの距離を正確に測定することが可能となる。
【0050】
本発明の意味では、反射要素により、オブジェクトの第2のビューが結像され、いわば撮影要素のオブジェクト空間内に複写または反映され、オブジェクトのこの第2のビューは、第1のビューとは異なっている。換言すれば、第2のビューは、第1のビューと同一ではなく、このことは、意味的には、第1のビューとは異なる視線方向からオブジェクトの方向へのビューに相当する。
【0051】
この場合、動作中に、第2のビューが、オブジェクトのうちの、撮影要素のオブジェクト空間内に位置していない領域を少なくとも部分的に結像することができると有利であり得る。このことは、反射要素が、オブジェクトの、撮影要素の本来のオブジェクト空間内には存在しないビュー、すなわち反射要素がなければオブジェクト空間内には存在しないビューを、オブジェクト空間内に結像するように配置されていることであると理解されるべきである。したがって、例えば、撮影要素の光軸が、例えば基板のようなオブジェクトの前方縁部に向けられるように、かつ反射要素により、オブジェクトまたは基板の表面に向けられたさらなるビューが生成されるように、撮影要素を方向決めすることができる。
【0052】
このようにして、撮影要素の第1のビューに、第2のビューまたは第2の次元を特に簡単に追加することができ、これにより、画像情報を準3次元的に生成することが可能となる。
【0053】
この場合、反射要素が、結像光学要素の結像平面内に配置されていると有利である。このようにして、動作中または画像撮影時点に、第1のビューによるオブジェクトの所定の領域と、反射要素によって結像された、第2のビューによるオブジェクトのさらなる領域との両方を同時に十分に鮮明に撮影することが可能となる。このために、反射要素は、特に有用には、オブジェクトの第2のビューを結像するための、本発明の好ましい実施形態では平坦に(plan)形成することができる少なくとも1つの反射面を含むことができる。
【0054】
これにより、動作中、かつ/または画像撮影時に、少なくとも撮影要素の光軸によるオブジェクトの第1のビューと、反射要素によって撮影要素の結像平面内に複写することができる第2のビューとを、単一の結像光学要素のみによって同時に撮影することが可能となる。
【0055】
本発明の意味では、換言すれば、撮影要素の視線方向に、すなわち第1のビューに、さらなる第2のビューを追加することが企図されている。この場合、この第2のビューは、撮影要素の光軸および結像平面に対する反射要素の反射面の配置および向きによって規定可能である。
【0056】
この場合、オブジェクトに対する、第1のビューおよび第2のビューにおけるそれぞれ異なる視線方向を可能にするために、本発明の実施形態では、結像光学要素の第1のビューに相当する視軸、すなわち結像光学要素の光軸と、反射要素によって設定される第2のビューに相当する視軸とが、相互に角度αを成している。このことはつまり、両方の視軸が相互に角度を成しているので、α>0°が成り立つことを意味する。
【0057】
2つの視軸または2つのビューの間における、例えばα=5°またはα=10°という角度のような若干の傾斜だけでもう既に、オブジェクトの第1のビューとは異なるさらなる第2のビューを結像することが可能となる。例えばオブジェクトの正面ビューに加えて上面ビューも可能にするために、例えばα>70°という比較的大きな角度が有用であり得ることが判明している。α=90°という角度は、例えば第1のビューに対して直交する第2のビューを可能にする。角度αをさらにより大きくすることにより、オブジェクトの後方の領域も、例えばアンダカットも結像することが可能となる。
【0058】
本発明のさらなる実施形態では、少なくとも1つのマークが設けられており、このマークは、例えば装置上にまたは装置に接して、または装置の周囲に、例えば機械に接してまたは機械内に、設備に接してまたは設備内に、もしくはシステムに接してまたはシステム内に配置されている。この関連におけるマークとは、撮影要素によって識別可能または結像可能である所定または既知のマーキングであると理解されるべきである。マークは、処理機械の内部の位置合わせ点または基準点として取り付け可能である。
【0059】
この場合におけるマークは、例えば線、十字、矩形、矢印、または文字のような、例えば幾何形状的な図形であってよい。マークを、装置の構成部品上またはコンポーネント上に取り付けること、例えば印刷、フライス加工、エッチング、または塗装することができるか、またはマークを、例えばステッカー上に設けることができる。しかしながら、オブジェクトの識別可能な幾何学的特徴または色特徴も、マークとして利用可能である。本発明の意味では、オブジェクトおよび/または装置に対するマークの位置が既知であると有用である。
【0060】
基本的に、オブジェクト上のまたはオブジェクトに接しているまたは基板上のまたは基板に接している、装置上のまたは装置に接している、機械または機械の一部上のまたは機械または機械の一部に接している、設備上のまたは設備に接している、システム上のまたはシステムに接している、例えば装置の固定または可動のオブジェクト、構成部品、またはコンポーネントに接している、もしくは例えばエンドエフェクタの一部に接している種々異なる場所に、マークを設けることができる。これらのマークは、装置の動作中に相対的な位置または絶対的な位置を識別するために使用可能である。したがって、これらのマークは、有利には、画像撮影時に撮影要素のオブジェクト空間内に位置するように配置されている。
【0061】
この場合における相対的な位置とは、全部で6つの自由度x、y、およびzにおける少なくとも2つのオブジェクトの距離と、対応する角度とを意味する。この場合、オブジェクトの位置は、装置に対して定義された基準点またはゼロ点を基準にして全部で6つの自由度において規定されている。
【0062】
相対的な位置または距離は、例えばマークのような少なくとも2つの特徴、または縁部のようなオブジェクトの少なくとも2つの識別可能な幾何学的要素を、撮影要素のオブジェクト空間内に位置させて、画像内におけるこれらの特徴同士の距離を、例えば視覚的にまたは画像処理によって特定することにより、視覚的にまたは画像処理によって自動的に特定可能である。この場合、これらの距離を、画像のピクセルで表現してもよいし、または参照データが既知である場合には数値的に、例えばmmまたは度で表示してもよい。基礎となる手法、例えば三角測量法は、当業者には十分周知であり、本明細書ではこれ以上掘り下げないものとする。
【0063】
したがって、可動の箇所の位置または可動の撮影要素の位置も、絶対的または相対的に特定することができる。したがって、少なくとも1つのマークは、好ましくは撮影要素のオブジェクト空間内に配置されており、したがって、このマークを結像することができる。
【0064】
本発明の適切な実施形態は、反射要素を、ロボットのエンドエフェクタに配置することを企図している。これにより、例えばエンドエフェクタがオブジェクトに接近する際に、オブジェクト、例えば基板のうちの検出されるべき縁部が、撮影要素の結像平面内に位置するとすぐに、光軸に沿った方向におけるオブジェクトに対するエンドエフェクタの位置、すなわちオブジェクトと撮影要素との間の相対的な距離を特定することができる。
【0065】
エンドエフェクタからオブジェクトまでの距離は、エンドエフェクタに対する撮影要素または撮影要素の光軸および反射要素の機械的な位置、方向性、または角度が、既知であり、かつ撮影要素の結像平面内における識別された縁部のピクセル位置から相対的な距離が特定可能であることにより、識別可能である。このために、例えば補足的に画像処理を使用することができる。しかしながら、例えば、ディスプレイにおいてピクセル位置を手動で特定することによって相対的な距離を特定することも可能である。例えばロボットを教示する際に、距離を純粋に視覚的に評価することも可能である。
【0066】
本発明の実施形態では、少なくとも1つのマークM1を、エンドエフェクタのフォーク上に取り付けることが企図されている。例えば視覚的な相対的な距離の識別、またはディスプレイにおける手動での特定、またはコンピュータ支援のみによる画像処理を、これによって簡単にすることができる。さらなる実施形態では、マークM1を、エンドエフェクタのうちの、フォークに対応付けられていない他の場所に取り付けることが企図されている。
【0067】
さらに別の実施形態では、少なくとも1つのマークM2を、撮影要素の結像平面内またはさらなる結像平面内の基準位置に配置することが企図されている。このマークM2が、例えば装置の内部の固定された部分に取り付けられている場合には、このマークM2により、装置内のエンドエフェクタの絶対的な位置を特定することが可能となる。
【0068】
さらに別の実施形態では、少なくとも1つのマークM3を、好ましくは撮影要素の結像平面内またはさらなる結像平面内におけるオブジェクトに配置することが企図されている。これによっても、マークM3が結像平面内に位置するとすぐに、撮影要素の光軸に沿ったオブジェクトに対するエンドエフェクタの相対的な距離を特定することが可能となる。一般的に、任意のマークを任意の結像平面内に配置することができ、好ましくは、その絶対的な位置、または他のオブジェクトに対する相対的な位置が既知であるべきである。
【0069】
本発明の発展形態では、撮影要素のオブジェクト空間内に2つ以上の反射要素を配置することが企図されている。この少なくとも第2の反射要素は、動作中、オブジェクトの少なくとも1つのさらなる第3のビューを結像することを可能にし、なお、このさらなる反射要素については、例えばオブジェクト空間内の配置または向きに関して上述した態様が当てはまる。したがって、この少なくとも第3のビューは、少なくとも2つの他のビュー、すなわち第1のビューおよび第2のビューとは異なることができる。有利には、少なくとも第3のビューは、オブジェクトのうちの、撮影要素のオブジェクト空間内または第2のビュー内に位置していないまたは完全には位置していない領域を少なくとも部分的に結像することができる。
【0070】
複数の反射要素を並列に接続してもよいし、または相前後して直列に配置してもよいことは、当業者には明らかである。直列に配置することにより、例えばオブジェクトの後方のビューを、まず始めにさらなる第2の反射要素を介して、オブジェクト空間内および撮影要素の結像平面内に配置可能である反射要素上に結像することができる。さらに、複数の反射要素を並列および/または直列に接続してもよいことは、当業者には明らかである。このようにして、本発明による装置を用いて3つ以上のビューを同時に結像することも可能となる。
【0071】
少なくとも1つの結像光学要素は、装置に、例えばロボットに、またはロボットのエンドエフェクタに、永続的に固定的にまたは着脱可能に配置可能である。一実施形態では、少なくとも1つの結像光学要素を、装置の周囲に、すなわち例えば機械に、設備に、またはシステム内に固定的にまたは着脱可能に配置することも企図されている。
【0072】
少なくとも1つの反射要素は、装置に、例えばロボットに、またはロボットのエンドエフェクタに、永続的に固定的にまたは着脱可能に配置可能である。しかしながら、少なくとも1つの反射要素を、装置の周囲に、すなわち例えば機械に、設備に、またはシステム内に固定的にまたは着脱可能に取り付けることもできる。2つ以上の反射要素が設けられている場合には、これらの反射要素を、システム内のそれぞれ異なる箇所に配置することもできる。これにより、例えばオブジェクトの位置を、エンドエフェクタに設けられた結像光学要素によって特定することができる。このために、マークM1,M2,および/またはM3を追加することもできる。
【0073】
これらのことから多数の組み合わせオプションまたは配置バリエーションを導出することができることは、当業者には明らかである。
【0074】
この場合、本発明の基本原理は、反射要素を用いていわば「画像の中に画像を」という解決手段が得られることであり、これにより、2次元の結像光学要素を使用する際に、オブジェクトに対する第2のビューにおけるさらなる視線方向を生成することが可能となる。これにより、視覚的な後続処理、手動での後続処理、または好ましくはコンピュータ支援された画像処理を用いた自動的な後続処理のために利用することができる第3の次元を、簡単かつ低コストに結像することができる。
【0075】
本発明の意味では、種々異なる個数の結像光学要素、または種々異なる個数の反射要素を使用することができる。さらに、これらの結像光学要素または反射要素を、固定的な形態を含む、種々異なる形態で取り付けてもよいし、またはエンドエフェクタ上に、または機械、設備、またはシステムの他の可動の構成部品上またはコンポーネント上に取り付けてもよい。
【0076】
換言すれば、本発明は、好ましくは2次元の結像光学要素の画像フィールドまたはオブジェクト空間の内部に、別の異なる向きおよび/または姿勢の光軸または視線方向を有する少なくとも1つの第2の部分画像フィールドを生成するために使用される。
【0077】
この場合、本発明のさらなる実施形態によれば、第2の光軸の位置または姿勢だけをこの第2の光軸の向きとは関係なしに変化させて、これにより、例えば位置または姿勢が変更されていない光軸を用いた場合には不可視であるオブジェクトを、結像光学要素のオブジェクト空間内または結像平面内に至らしめることが有用であり得る。この場合、第1のビューと第2のビューとを相互に平行に位置させることも可能であり、したがって、角度αに関して、α=0°が成り立つ。したがって、本発明の本実施形態では、両方の視軸が、相互に平行に、ただし横方向に相互にオフセットされて配置されている。
【0078】
このような配置によれば、オブジェクトから横方向にオフセットされて位置しており、場合によってはオブジェクトによって覆い隠されている領域も、第2の視軸に沿った第2の視線方向において観察することが可能となる。
【0079】
本発明のさらなる実施形態によれば、少なくとも1つの撮影要素を、エンドエフェクタの少なくとも1つの第1のフォークおよび/または第1の載置部がこの撮影要素のオブジェクト空間内に位置するように、装置に配置することが企図されており、空間方向xおよびyによって形成される平面内における、結像光学要素によって結像可能な少なくとも1つの光線に相当する少なくとも1つの直線が、少なくとも1つのフォークおよび/または少なくとも1つの載置部に対して平行または略平行に延在しており、この少なくとも1つの光線とフォークおよび/または載置部との間の角度βは、±10°以下、好ましくは±5°以下、特に好ましくは±2°以下である。このために、撮影要素を、特に有用にはエンドエフェクタ上にまたはエンドエフェクタに接して配置することができる。
【0080】
このような配置によれば、エンドエフェクタのフォーク、またはエンドエフェクタ上の基板の載置部の他の形態と、システム内における他の載置部との間の横方向の距離を特定することも可能である。なぜなら、この距離は可視であり、エンドエフェクタのフォークによって、またはエンドエフェクタ上の基板の載置部の他の形態によって覆い隠されないか、またはほんのわずかにしか覆い隠されないからである。載置部は、設備内またはシステム内における載置部を含むこともできる。
【0081】
以下では、これに関して、結像光学要素の結像平面がyおよびzと称される2つの空間方向に広がっていることが前提とされる。この場合、第3の空間方向xは、結像平面に対して垂直に延在すべきであり、したがって撮影要素の光軸に相当する。本実施形態によれば、撮影要素は、光軸がz方向の向きに対して角度を成すように、かつy方向の向きに対して角度を成すように位置するように配置されている。さらに、この特別な実施形態では、撮影要素が、オブジェクトのうちの結像されるべき領域に対してz方向にオフセットされて配置されていると有用である。
【0082】
このようにして、ただ1つの撮影要素を用いて、例えば基板と、フォークおよび/またはエンドエフェクタとの間の間隙を結像および分析することが可能となり、全ての自由度x,y,zにおけるフォークの相対的な位置と、エンドエフェクタのフォークの相互の角度とを特定することができる。このようにして、例えば収容部の既知の寸法を用いて、例えば間隙寸法を特定することもできる。このことは、例えば、基板、オブジェクト、フォーク、または載置部、もしくは設備またはシステムの他の部分またはコンポーネントに対して場合によって生じる可能性のある損傷を阻止するために、収容部から基板をピックしている間、かつ/またはロボットが移動している間、かつ/またはオブジェクトが移動している間のエンドエフェクタまたはフォークの正確な向きを、移動しているあらゆる時点に考慮すべき場合に、特に有用である。これらの載置部も同様に、撮影要素のオブジェクト空間内に位置することができるので、載置部同士の相互の位置と、撮影要素および/またはエンドエフェクタに対する載置部の位置とを特定することができる。
【0083】
本発明のさらなる実施形態では、光軸を少なくとも間隙の略線上に位置させることにより、z軸を中心として角度を成すように回転させることなく間隙、フォーク、および載置部が見えるように、少なくとも1つの結像光学要素を方向決めすることもできる。
【0084】
しかしながら、このような配置の欠点は、これによってカメラの画像フィールドをより大きく構成しなければならず、これによって画像フィールドのうちの、必要でない領域または必ずしも必要でない領域が生じてしまうということである。角度を成すように方向決めする場合と同一の、結像平面または画像フィールドの解像度(ひいては位置特定または距離特定の精度)を達成するためには、カメラのピクセル解像度をより大きくすることが必要である。
【0085】
本発明の実施形態では、撮影要素および/または反射要素を、着脱可能に取り付けることによって簡単に交換可能にすることができる。このことは、本装置が種々異なる用途のために使用される場合に有用であり得る。したがって、例えばティーチインの際には、複数のビューを結像可能にするために比較的高解像度の他の撮影要素および/または複数の反射要素を使用し、そして本装置の教示が成功した後には、他の撮影要素またはより少数の反射要素を設けることも有利であり得る。
【0086】
撮影要素は、オブジェクトの2次元の結像をデジタル形式で生成することができる。このために、撮影要素は、カメラ、好ましくは2Dカメラ、ビデオカメラ、または画像センサを含むことができるか、または電子的な画像変換器を用いて画像をデジタル化することができる他の装置を含むことができる。デジタル化された画像は、視覚的な分析、手動での分析、または自動的な分析のために使用可能であり、もちろん、評価において組み合わせることも可能である。
【0087】
結像平面の向きに加えて結像平面のサイズも、結像光学要素を選択する際の1つの側面である。結像平面のサイズは、とりわけ、使用される光学系、撮像要素の画像撮影センサのサイズ、および撮像要素から結像平面までの距離のような要因によって決定される。実施形態に応じて、さらなる措置が講じられなければ、結像光学要素の結像平面が、観察されるべき全ての領域をカバーしない可能性がある。その場合、さらなる結像光学要素を使用すること、または適切な機構によって結像光学要素を移動させることが可能であるか、または例えば、結像光学要素がエンドエフェクタ上に取り付けられている場合には、この結像光学要素を、ロボットによって移動させられるエンドエフェクタによって移動させて、この結像光学要素により、複数の異なる位置から画像を撮影することが可能である。
【0088】
このために、本装置は、撮影された画像をユーザに対して視覚化するための表示要素、および/または撮影された画像をさらに分析するためのコンピュータ支援された画像処理部を含むことができる。コンピュータ支援された画像処理部は、この場合、装置に組み込まれた計算ユニットによって実現可能であるか、または装置とは別個に配置された計算ユニットにおいて実現可能である。これには、デジタル化された画像をクラウドに保存することも含めることができ、これらの画像をこのクラウドから画像処理部に供給することができ、なお、この画像処理部自体は、他の場所に収容されていてよい。
【0089】
この場合、画像処理は、本発明の意味では、例えば縁部識別またはパターン識別のための方法、または例えばOpenCVのような自由に入手可能なライブラリにおいて適用可能な方法、またはニューラルネットワークまたは人工知能を採用する方法のように、コンピュータ支援によって画像情報を評価するための全ての方法を含む。
【0090】
この場合、画像情報を、例えば画像としてまたはライブビデオストリームとしてカメラから直接的に取得することができるか、または画像情報は、保存された画像またはビデオであってもよい。これには、往々にして画像を評価するために必要とされるこのような画像の変更および/または前処理も含まれている。これには、例えば拡張、すなわち画像情報の変換、カラー画像からグレー階調画像への変換、画像サイズまたはコントラストの変更が含まれる。
【0091】
本発明の特に好ましい実施形態によれば、反射要素は、好ましくは可視波長領域の電磁放射を反射および/または偏向することができる光学装置を含むことができ、光学装置は、ミラー、プリズム、またはその他の反射面を含む。したがって、反射要素は、好ましくは光線を反射または偏向するように構成されている。この場合、偏向の程度、もしくは入射角度または出射角度は、結像光学要素の視軸と、第2のビューに相当する第2の視軸との間の変化の大きさを決定する。
【0092】
この場合、本発明の発展形態によれば、反射要素は、少なくとも部分的に半透過性に構成可能であり、好ましくは可視波長領域において半透過性に構成可能である。例えば、例えば部分的に光透過性または半透過性のミラーが公知であり、これらのミラーにより、ミラーの後方の領域も、撮影要素にとって依然として可視にすることが可能となる。このことは、結像光学要素のオブジェクト空間が反射要素によって完全に遮蔽されるべきではない場合に、興味深いことであり得る。
【0093】
さらに、本発明の実施形態によれば、反射要素が、入射する電磁放射を選択するための少なくとも1つのさらなる光学装置、とりわけフィルタ、偏光フィルタ、赤外線遮断フィルタ、UV遮断フィルタ、カラーフィルタを含むと有用であり得る。
【0094】
これにより、電磁放射の所定の波長領域を抑制または強調することができる。このことにより、例えば一時的に強力な太陽光入射を伴う環境においても本発明による装置を使用することが可能となる。
【0095】
反射要素によって生成される種々異なる結像平面または画像フィールドが、結像光学要素までそれぞれ異なる距離を有する場合には、所期のように鮮明性に影響を与えることが役に立ち得る。これにより、所与の観察距離の場合、すなわち結像光学要素の所与の被写界深度の場合に、複数の異なる画像フィールドが、少なくとも全て同程度に鮮明には結像できるとは限らなくなる可能性がもたらされ得る。
【0096】
したがって、本発明のさらに別の実施形態によれば、反射要素は、鮮明性に影響を与えるための少なくとも1つのさらなる光学装置、好ましくはレンズ、光学系、または対物レンズを含むことができる。代替的または補足的に、反射面を平坦に成形するのではなく、相応に成形すること、例えば湾曲または屈曲させることもさらに可能である。屈曲させる実施形態では、例えば、2つの組み合わされた反射要素を使用することも可能である。
【0097】
反射要素の成形は、さらに別の実施形態によれば、拡大または縮小が生じるようにも実施可能である。これにより、例えば反射要素を用いて小さな画像部分をズームまたは拡大して表示することができる。
【0098】
本発明による装置の用途に応じて、画像内に結像されるべきオブジェクトまたはオブジェクトの周囲を照明することが役に立ち得るし、またはそれどころか必要であり得る。このために、装置または結像光学要素の近傍に、または結像光学要素に対して比較的大きな距離を置いて設置された光源を使用することができる。多くの場合、光源は、光源の光路またはその一部を所定の方向に向けることができる反射器を既に有している。特定の用途事例では、結像されるべきオブジェクトを、光源の光路の方向ではない少なくとも1つの方向から照明することが合理的であり得る。このためにも、本発明によれば、反射要素を使用することができる。
【0099】
したがって、本発明のさらなる実施形態では、オブジェクトを第1の方向から照明するように構成された照明装置が設けられている。もちろん、本実施形態を、結像光学要素または反射要素に関する上述した実施形態と組み合わせることができる。この場合、反射要素または結像光学要素は、装置の周囲に固定的に設置されていてもよいし、または例えばロボットのアーム上またはエンドエフェクタ上で可動に配置されていてもよい。
【0100】
このために、少なくとも1つの反射要素を、少なくとも部分的に照明装置の光路内に配置することができ、照明装置の光の少なくとも一部が偏向されるように、かつ少なくとも1つの第2の方向からオブジェクトに向けられるように方向決めすることができる。
【0101】
もちろん、照明方向を偏向するための反射要素に、照明の光路を変化させることができるさらなる光学的特徴、例えば湾曲部または光学系を設けることも可能であり、この湾曲部または光学系は、例えば、照明の光路をさらに拡大するため、または照明の光路を集束させるため、またはビームスプリッタとして複数の偏向方向を生成するために使用される。
【0102】
オブジェクトを少なくとも2つの異なるビューにおいて結像するための本発明による方法は、上述したような本発明による装置に基づく。
【0103】
この場合、1つのオブジェクトを複数の異なるビューにおいて同時に検出および結像することができるが、結像光学要素の1つのビューを複数の異なるビューに分割することも可能であり、その場合、この1つのオブジェクトが、複数の異なる(部分)ビューにおいて可視であるかどうか、もしくは全く別の異なるオブジェクトまたはオブジェクトの一部であるかどうかは関係ない。
【0104】
本発明による装置は、好ましくは半導体産業において使用するための機械内、設備内、またはシステム内で、またはこれらと一緒に使用可能である。
【0105】
本装置によって撮影された画像は、半導体産業の設備、システム、または機械をティーチイン、制御、モニタリング、および/またはコントロールするために使用可能である。これには、例えばロボットの制御、調整、ティーチイン、またはコントロール、またはモニタリングも含まれる。
【0106】
このようにして、例えば、ウェハまたはマスクまたはフラットパネルディスプレイを移動させるためのロボットを教示および/またはコントロールするための方法であって、少なくとも1つのカメラが使用され、この少なくとも1つのカメラは、好ましくは、ウェハ、マスク、またはフラットパネルディスプレイを識別することによって、かつ/またはウェハ、マスク、またはフラットパネルディスプレイの載置部を識別することによって、かつ/または少なくとも1つのカメラによるウェハ、マスク、またはフラットパネルディスプレイを処理する設備におけるマーキングを識別することによって、ロボットおよび/またはウェハまたはウェハまたはフラットパネルディスプレイの移動を撮影する、方法を提供することができる。
【0107】
このような方法は、本出願人の欧州特許出願公開第3648150号明細書または欧州特許出願公開第3648152号明細書に記載されており、これらの明細書は、参照により本明細書に援用され、その全範囲が本発明の対象となる。
【0108】
さらに、このようにして、半導体産業の機械を用いて基板、とりわけウェハ、マスク、またはフラットパネルディスプレイを処理するための方法であって、基板の存在および/または位置および/または方向性および/または種類を特定するために人工ニューラルネットワークが使用され、これにより、半導体産業の機械の動作中に基板が存在する可能性のある、半導体産業の機械内のまたは機械に接している場所、または機械の周囲の場所を表示している少なくとも1つの画像に基づいて、基板の存在および/または位置および/または方向性および/または種類を特定することができ、この少なくとも1つの画像は、少なくとも1つの撮影ユニットによって撮影され、人工ニューラルネットワークによって、検出された基板の存在および/または位置および/または方向性および/または種類に関する情報を含んでいる情報データセット、および/または制御命令が生成され、かつ/または可能にされ、この制御命令が、半導体産業の機械を直接的に制御するために使用されるか、または機械の制御部によって使用されるか、または上位の制御システムに引き継がれるか、または機械を操作するための自分の行動についてこの情報から結論を導出するかまたはこの情報を制御部または他の操作者に転送する操作者に転送されるか、または後々の評価またはさらなる評価のために保存される、方法を提供することもできる。
【0109】
このような方法は、本出願人の独国特許出願公開第102020112146号明細書に記載されており、この明細書は、参照により本明細書に援用され、その全範囲が本発明の対象となる。
【0110】
さらに、ハンドリングシステムをコントロールまたは制御するための方法であって、ハンドリングシステム内のまたはハンドリングシステムに接している場所、またはハンドリングシステムの周囲の場所を表示している少なくとも1つの画像が、デジタル化された形態で人工ニューラルネットワークによって検出され、この画像が人工ニューラルネットワークによって分析され、情報データセットおよび/または制御命令が生成され、この制御命令を使用して、ハンドリングシステムが直接的にまたは支援されて制御され、方向決めされ、訓練され、かつ/またはコントロールされ、かつ/またはこの情報データセットを使用して、ハンドリングシステムが方向決めされ、訓練され、またはコントロールされる、方法も提供することができる。
【0111】
このような方法は、本出願人の独国特許出願公開第102020112149号明細書に記載されており、この明細書は、参照により本明細書に援用され、その全範囲が本発明の対象となる。
【0112】
本発明のさらなる詳細は、図示の実施例の説明と、添付の特許請求の範囲とから明らかとなる。
【図面の簡単な説明】
【0113】
【
図1】結像光学要素とオブジェクトとを備えた装置の配置を概略的に示す斜視図である。
【
図2】結像光学要素と反射要素とオブジェクトとを備えた本発明による装置の配置を概略的に示す斜視図である。
【
図3】
図2の本発明による装置を概略的に示す斜視図であって、ここでは、オブジェクト縁部が結像される。
【
図4】例示的に配置されたマークを備えた本発明による装置の配置を概略的に示す斜視図である。
【
図5】反射要素の種々異なる配置可能性を備えた本発明による装置を概略的に示す斜視図である。
【
図6】結像光学要素の種々異なる配置可能性を備えた本発明による装置を概略的に示す斜視図である。
【
図7】反射要素および結像光学要素に関する種々異なる配置可能性を概略的に示す斜視図である。
【
図8】本発明による装置のさらなる実施例を概略的に示す上面図であって、ここでは、結像光学要素のオブジェクト空間が拡大される。
【
図9】さらなる反射要素を備えた本発明による装置を概略的に示す斜視図である。
【
図10】
図2の本発明による装置を概略的に示す斜視図である。
【
図11】
図2の本発明による装置を概略的に示す斜視図である。
【
図12】位置特定を説明するための本発明による装置の実施例を概略的に示す側面図である。
【
図13】照明装置を備えた本発明による装置を概略的に示す斜視図であって、ここでは、光線を偏向するために反射要素が使用される。
【
図14】さらなる本発明による装置を概略的に示す上面図である。
【
図15】
図14のさらなる本発明による装置を概略的に示す側面図である。
【
図16】結像光学要素の配置が変更されている
図14のさらなる本発明による装置を概略的に示す上面図である。
【
図17】3次元領域で動作する結像光学要素120を備えたさらなる装置を概略的に示す斜視図である。
【0114】
好ましい実施形態の詳細な説明
好ましい実施形態の以下の詳細な説明では、同じ参照符号は、明瞭性の理由からこれらの実施形態におけるまたはこれらの実施形態に関する実質的に同じ部分を指す。ただし、本発明をより明確に説明するために、図面に示されている好ましい実施形態は、必ずしも縮尺通りに図示されているとは限らない。
【0115】
本発明は、オブジェクトを少なくとも2つの異なるビューにおいて同時に結像するための装置および方法に関する。
【0116】
図1は、結像光学要素20とオブジェクト10とを備えた装置の配置を、基本的な理解のために斜視図で概略的に示す。本実施例では、オブジェクト10の縁部11も示されており、これらの縁部11を、結像光学要素20によって識別し、3つの自由度x,y,およびzと、3つの空間角度とに対応するこれらの縁部11の位置を、結像光学要素20を基準にして特定することが求められている。結像光学要素20の結像平面には、参照符号22が付されている。
【0117】
図2は、本発明による装置1の配置を備えた本発明の実施例を、同様に斜視図で概略的に示す。
【0118】
本発明による装置1は、結像光学要素20および反射要素40を含み、反射要素40は、本実施例では完全に結像光学要素20のオブジェクト空間内に配置されており、結像光学要素20のオブジェクト空間は、オブジェクト10の第1のビューに対応付けられており、反射要素40は、装置1の動作中、オブジェクト10の第1のビューとは異なるオブジェクト10の第2のビューを結像することができる。
【0119】
本発明は、本発明のさらなる態様では、オブジェクト10を少なくとも2つの異なるビューで同時に結像するための方法を含み、ここでは、本発明による装置1が使用される。
【0120】
とりわけ、本発明による装置および本発明による方法は、とりわけ半導体産業の分野における機械、装置、またはシステムにおいてまたはこれらと一緒に使用するために構成されているか、またはそのために適している。ここでは、本発明による装置1は、エンドエフェクタを備えたロボットを含む、半導体産業の機械において使用するために構成されている。
【0121】
本発明による装置は、とりわけ半導体産業の分野における機械、設備、またはシステムの教示を支援するため、すなわちティーチイン(Teach-In)またはティーチアシスト(Teach-Assist)のために特に適している。ティーチアシストという用語は、この関連においてティーチング過程または調整過程を支援することを意味する。
【0122】
本発明による装置をさらに、モニタリングのため、すなわち監視および制御のために、このような機械、装置、またはシステムと一緒に使用することができ、この場合、最大で1μmの範囲に及ぶ非常に高い精度を達成することができる。
【0123】
この関連において、本発明による装置によれば、例えば機械、設備、またはシステムにおける変化を適時に識別し、このようにして起こり得る損傷を回避することも可能となる。これには、例えば装置自体の表面または内部における変化、例えばエンドエフェクタのフォークの撓みを含めることができるか、もしくは装置またはシステムの変化、例えば基板を正常にプレースすることを不可能にするような載置部の損傷も含めることができる。本発明による装置によれば、オブジェクトの寸法またはオブジェクトの姿勢を、装置自体に関連しても、または載置部に関連しても特定することが可能となる。
【0124】
本発明による装置をさらに、例えば種々異なる側面に、および種々異なる方向性で存在する可能性があるペリクルを有することができる半導体産業のマスクのような基板が使用される場合には、検出のために、例えばペリクル検出のために、このような機械、設備またはシステムと一緒に使用することができる。このために補完的にまたは単独で、識別のためにコンピュータ支援された画像処理を使用することが提案される。
【0125】
したがって、本発明は、本発明による装置1を含む、好ましくは半導体産業において使用するための機械、設備、またはシステムも含む。
【0126】
オブジェクト10は、一般的に対象物または物体を含むことができる。図示の実施例では、オブジェクト10は、基板、例えばマスク、ウェハ、フラットパネルディスプレイ、または太陽電池、またはソーラーパネルである。しかしながら、図示の実施例に限定することなく、オブジェクトとは、例えば装置、機械、設備、またはシステムの一部としての、例えば部品、構成部品、またはコンポーネント、基板の載置部、ロボット、エンドエフェクタ、エンドエフェクタのフォーク、その他のグリッパ、移動ユニット、例えば基板用のステージ、基板用のチャック、基板を回転または方向決めするためのユニット、基板のプレースステーション、ロードポート、真空チャンバ、ロック、搬送コンテナまたは搬送コンテナの一部のような補助構成部品が含まれる処理機械の全てのさらなるコンポーネント、例えば基板を処理機械にまたは処理機械から移送することができるコンポーネントであると理解される。
【0127】
オブジェクト10は、複数のオブジェクトまたは対象物を含むこともでき、例えばこれにより、基板および把持装置またはエンドエフェクタの一部を意味することもできる。距離を測定するためには、少なくとも2つのオブジェクト10を結像することが有意義であり得る。この関連において、オブジェクトが1つのビューにおいて結像されることについて言及される場合、このことは、このオブジェクトが完全に結像されることであるか、もしくは部分的にのみまたは一部のビューでのみ結像されることであるとも理解されるべきである。
【0128】
図2の実施例ではさらに、結像平面22も示されており、結像平面22とは、結像光学要素20の視野内またはオブジェクト空間内における所定の領域であると理解されるべきである。この場合における結像平面22とは、結像光学要素20のオブジェクト空間内における領域であって、かつオブジェクト10がこの結像平面内に位置している場合に十分に鮮明に結像され得るような領域を指す。結像平面22は、空間方向yおよびzが付された平面内に位置している。
【0129】
図示の実施形態ではさらに、結像光学要素20の光軸21が示されており、この光軸21は、結像光学要素20の視線方向、ひいては第1のビューを規定する。結像平面22は、光軸21に対して垂直である。
図2の図示では、オブジェクト10の、結像光学要素の方を向いている正面領域が、結像光学要素20のオブジェクト空間内に配置されており、かつ結像平面22内に位置しており、したがって、オブジェクト10のオブジェクト縁部11を有するこの前面領域を、結像光学要素20によって検出および結像することができる。
【0130】
図面では、結像光学要素20のオブジェクト空間内に、反射要素40も設けられている。この場合、反射要素40は、この反射要素40によってオブジェクトのさらなる第2のビューを結像することができるように構成および配置されている。図面では、反射要素40によって定義されるこの第2のビューまたは第2の視軸に参照符号41が付されている。図示の実施例では、オブジェクトのこの第2のビューが、第1のビューとは異なっており、これにより、動作中、オブジェクト10の2つの異なるビューを同時に結像することができるということを良好に認識することができる。
【0131】
図示の実施例では、結像光学要素20の光軸21に相当する第1の視軸と、第2の視軸41とは、相互に所定の角度を成している。しかしながら、第1の視軸と第2の視軸とが相互に平行に位置することも可能であり、この場合には、それぞれ異なるビューを実現するために横方向にオフセットさせることが有利である。
【0132】
したがって、反射要素40により、結像光学要素20のオブジェクト空間の内部にさらなる結像平面42を備えたさらなるオブジェクト空間が形成され、このさらなるオブジェクト空間を、結像光学要素20によって第1のビューと同時に結像することができる。2次元領域で動作する単一の結像光学要素20を用いるだけで既に、このことが可能となる。
【0133】
結像光学要素20は、カメラ、好ましくは2Dカメラまたは2次元カメラ、ビデオカメラ、もしくは画像センサを含むことができる。本例では、2Dカメラが設けられている。
【0134】
これにより、結像平面22内に位置していないオブジェクト10、またはオブジェクト10のうちの、結像平面22内に位置していない領域も、ひいてはオブジェクト10の幾何学的特徴も結像するための、またはオブジェクト10の単一のビューからだけでは特定することができない基準点に対する位置または距離を検出または測定するための、低コストかつ簡単な手段が提供されている。
【0135】
本発明によれば、反射要素40により、撮影要素20の光軸21の向きから生じる第1のビューに、さらなる視線方向、したがって第2のビューが追加される。この場合、対応する視軸同士またはビュー同士は、例えば、
図2の実施例に示されているように相互に直交することができる。しかしながら、もちろん、結像光学要素20と反射要素40との相互の別の異なる向きおよび配置も可能であり、これにより、対応する視軸同士の別の異なる関係が生じる。
【0136】
これにより、例えばオブジェクト10、例えばオブジェクト10の正面領域の識別されるべき縁部11を、深さにおいても、すなわち光軸21に対して平行な空間方向xにおける広がりにおいても結像することも可能となり、かつ/または結像光学要素20または基準点を基準にして、もしくは結像光学要素20に対して相対的な既知の寸法、位置、または角度に基づいて特定することも可能となる。
【0137】
本実施例において認識されるように、反射要素40は、結像光学要素20を基準にして、結像光学要素20の結像平面22内における領域であって、かつ装置1の動作にとって重要でないかまたはわずかにしか重要でないオブジェクト空間に該当するような領域内に位置するように配置されている。
【0138】
本実施例では、反射要素40は、結像のために特に良好に適した反射面43を備えるように構成されている。本実施例では、この面43は、平坦に形成されており、これにより、結像される第2のオブジェクト空間を光学的な変化なしに、例えば歪みなしに結像することができる。しかしながら、平坦な面に代えて湾曲した反射面43を設けることも可能であり、これにより、部分画像を形成する可能性を拡大することができる。このことは、部分画像を拡大して表示することが求められている場合に適当であり得る。
【0139】
ここでは、反射要素40は、ミラーである。しかしながら、好ましくは可視波長領域の電磁放射を反射および/または偏向することができる他の実施形態、例えばプリズムまたはその他の反射面も可能である。
【0140】
反射面43のサイズは、利用可能な構造空間、利用可能な結像光学要素20のオブジェクト空間のサイズ、結像光学要素の解像挙動、または第2のビューにおいて結像されるべき所望のオブジェクト空間のサイズに合わせて有用に決められる。
【0141】
反射面43または反射要素40の適当なサイズは、わずか数ミリメートルから開始して、例えば約3×3mm、1×1cm超、または約5×5cmの範囲内であってよいが、それよりも格段に大きく、例えば約20×20cmであってもよい。基本的には、所望の追加的な画像情報を得るために、例えば100×100μmまたは500×500μmのように、反射要素内の非常に少数のピクセルの結像だけで既に十分であり得る。もちろん、反射面のために他の幾何学的な寸法または形状を設けることも可能であり、例えば、撮影要素にとって可視の面を拡大するために、例えば角度αが大きい場合、矩形の形状も適当であり得る。図示の実施例では、反射面43は、約2×3cmの寸法を有する。
【0142】
本実施例に示されているように、オブジェクト10の縁部11が撮影要素20の結像平面22内に位置している場合には、この縁部11を、結像光学要素により、空間方向xおよびzによって定義された2つの次元において検出および結像することができる。
【0143】
図2の図示では、オブジェクト10は、反射要素40によって設定された結像平面42内には依然として位置していない。したがって、反射面43は、オブジェクト10の手前の領域を結像する。
【0144】
図3は、
図2による本発明の装置1を概略的に示す。しかしながら、反射要素40は、光軸21に沿ってさらに移動させられており、したがって、オブジェクト10の縁部11と表面の領域12とを含む、オブジェクト10の前方領域が、反射要素40の結像平面42内に位置している。これにより、この領域12とオブジェクト縁部11とを、結像光学要素20によって第1のビューと同時に結像することができる。このようにして、例えば表面12上に位置している対象物も同時に画像的に表示することができ、例えば、オブジェクトの前方縁部11までの距離を正確に測定することができる。図示の実施例では、オブジェクト10としてマスクが示されており、このマスクは、単なる説明のためだけに較正手段13を含み、この較正手段13は、概略的に示されており、マスク上に長手方向で配置されており、ここでは部分的に反射要素40のオブジェクト空間内に位置している。もちろん、較正手段に代えて他のオブジェクト、例えばペリクル(ここでは図示せず)を設けることもできる。
【0145】
本実施例に示されているように、オブジェクト10の表面の領域12は、反射要素40によってオブジェクト10の第2のビューから結像され、撮影要素20のオブジェクト空間内に複写または反映され、オブジェクト10のこの第2のビューは、第1のビューとは異なっている。このようにして、結像光学要素20の第1のビューに、第2のビューまたは第2の次元を特に簡単に追加することができ、これにより、画像情報を準3次元的に生成することが可能となる。
【0146】
したがって、装置1の配置によれば、縁部11のyz位置に加えて、カメラの光軸21の方向に位置している基板10のx位置も特定することが可能となる。
【0147】
さらに、マスクの表面上にある較正手段またはペリクルのような対象物を検出して、ペリクルの存在および向きを特定することができる。ペリクルは、例えば、マスク上に設けられていてもいなくてもよいし、表面上に配置されていても裏面上に配置されていてもよいし、長手方向で光軸に対して平行に配置されていても横方向姿勢で配置されていてもよい。本発明による装置は、ペリクルを検出するために使用可能である。
【0148】
この場合、反射要素40は、結像光学要素20の結像平面22内に配置されている。このようにして、動作中または画像撮影時点に、第1のビューによるオブジェクト10の所定の領域と、第2のビューによるオブジェクト10の第2の領域12との両方を同時に十分に鮮明に撮影することが可能となる。
【0149】
オブジェクトに対する、第1のビューおよび第2のビューにおけるそれぞれ異なる視線方向を可能にするために、
図2に示されている実施形態によれば、結像光学要素20の第1のビューに相当する視軸、すなわち、結像光学要素20の光軸21と、反射要素40によって設定される第2のビューに相当する視軸41とが、相互に角度αを成している。
図2に示されている本発明の実施形態では、これら両方の視軸21および41が相互に直角を形成しているので、α=90°が成り立つ。これにより、第1のビューに対して直交する第2のビューが可能となり、これにより、最終的にオブジェクト10の正面ビューと上面ビューとを結像することができる。
【0150】
もちろん、他の角度αも可能である。2つの視軸または2つのビューの間における、例えばα=5°またはα=10°という角度のような若干の傾斜だけでもう既に、装置1の動作にとって関心のある追加的な画像情報を生成する、オブジェクトの第1のビューとは異なるさらなる第2のビューを生成することが可能となる。
【0151】
例えばオブジェクトの正面ビューに加えて上面ビューまたは側面ビューも可能にするために、例えばα>70°という比較的大きな角度が有用であり得ることが判明している。本例に示されているようなα=90°という角度は、第1のビューに対して直交する第2のビューを可能にする。角度αをさらにより大きくすることにより、オブジェクトの後方の領域も、例えばアンダカットまたは裏面ビューも結像することが可能となる。この場合における正面ビューとは、オブジェクト10のうちの、結像光学要素20の方を向いている面を指す。
【0152】
種々異なるさらなるビューを簡単に生成するために、本発明の発展形態では、好ましくは装置1の動作中にも角度αを変更可能にすることが企図されている。換言すれば、2つのビューの間の角度αを、1つの画像撮影と後続の画像撮影とで異ならせることができる。このことは、手動で簡単に実施可能である。
【0153】
しかしながら、このために例えば、動作中に角度αを相応に変化させることを可能にすることができる小型で電気的に動作するサーボモータを、反射要素40のための収容部に設けることも提案される。もちろん、装置1の動作中に角度αを変化させるために他の機構を利用することもできる。もちろん、角度αのこの調整または変更は、コンピュータ支援によって実施することも、コンピュータ支援された画像処理と一緒に実施することも、または手動で実施することも可能である。
【0154】
このような実施形態は、非常にフレキシブルである。なぜなら、このような実施形態によれば、例えば、そのために結像光学要素20の移動を必要とすることなく、オブジェクトの領域内の種々異なる場所の複数の画像、またはオブジェクトの種々異なる側面ビューも撮影することが可能となるからである。もちろん、複数の動きを相互に組み合わせることも可能であり、例えば、撮影されるべき基板に例えばエンドエフェクタが接近する際に角度αを変化させて、接近している間に既に、オブジェクト、収容部、または周囲に関する追加的な情報を取得することも可能である。
【0155】
本発明のさらなる実施形態では、位置特定または姿勢特定を支援することができる少なくとも1つのマークが設けられている。マークは、所定の基準点または固定点としても理解可能である。マークは、例えば本発明の意味では、装置の、機械の、設備の、またはシステム内の既知の部分、例えば縁部を含むことができる。
【0156】
図4は、さらなる実施例に基づき、2つのフォーク51を備えたエンドエフェクタ50を例にして本発明による装置1を概略的に示す。本装置1では、種々異なる場所に配置されたマークM1 61,M2 62,およびM3 63を見て取ることができる。これらのマークは、図示の実施例では、種々異なる配置可能性を説明するために示されているに過ぎず、すなわち、本発明による装置1では、単一のマークM1,M2,またはM3だけでも十分であり得る。
【0157】
本実施例に示されているように、基本的に、オブジェクト10上のまたはオブジェクト10に接している、装置1上のまたは装置1に接している、装置1の固定または可動のオブジェクト、構成部品、またはコンポーネントに接している、もしくは例えばエンドエフェクタ50の一部に接している種々異なる場所に、マークM1,M2,またはM3を設けることができる。これらのマークM1,M2,またはM3は、装置1の動作中に相対的な位置または絶対的な位置を識別するために使用可能である。したがって、これらのマークは、本実施例に示されているように、動作中または画像撮影時に結像光学要素20のオブジェクト空間内に位置するように配置されている。自明のとおり、マークは、少なくとも画像撮影時に一緒に撮影され、したがってオブジェクト空間内または結像平面内に位置している場合にのみ、画像分析の過程において使用可能である。
【0158】
本実施例に示されているように、マークM1 61は、エンドエフェクタ50のフォーク51上に直接的に配置されている。例えば視覚的な相対的な距離の識別、またはディスプレイにおける手動での特定、またはコンピュータ支援のみによる画像処理を、これによって簡単にすることができる。マークM1を、エンドエフェクタ50のうちの、フォーク51に対応付けられていない他の場所に取り付けることも可能である。したがって、このマークM1は、エンドエフェクタ50と一緒に移動させられる。
【0159】
補足的または代替的に、結像平面22,42内の基準位置に配置されたマークM2 62が設けられている。このマークM2 62が、例えば装置1の内部の固定された部分に取り付けられている場合には、このマークM2 62により、装置1内のエンドエフェクタ50の絶対的な位置を特定することが可能となる。したがって、このマークM2は、エンドエフェクタ50が移動しても一緒には移動しない。
【0160】
補足的または代替的に、オブジェクト10に配置されたマークM3 63が設けられている。これによっても、マークM3が結像平面内に位置するとすぐに、撮影要素の光軸21に沿ったオブジェクト10に対するエンドエフェクタ50の相対的な距離を特定することが可能となる。これにより、オブジェクト10に対するエンドエフェクタの相対的なxy位置を特定することも可能となる。
【0161】
少なくとも1つの反射要素40は、装置1に、例えばロボットまたはロボットのエンドエフェクタ50に永続的に固定的に配置可能であるか、または着脱可能に配置可能である。このために、対応するホルダを設けることができ、このホルダは、反射要素40を保持しており、例えばねじによって装置1、ロボット、またはエンドエフェクタ50に取り付けられている。反射要素40は、本実施形態ではエンドエフェクタと一緒に移動させられる。
【0162】
しかしながら、反射要素40を、装置の周囲に、すなわち例えば機械に、設備に、またはシステム内に固定的にまたは着脱可能に取り付けることもできる。この場合には、反射要素40は、エンドエフェクタが移動しても一緒には移動しない。
【0163】
2つ以上の反射要素40を設けることも可能である。この場合には、これらの反射要素40を、システム内のそれぞれ異なる箇所に配置することもできる。これにより、例えばオブジェクトの位置を、エンドエフェクタに設けられた結像光学要素によって特定することができる。
【0164】
これに関して
図5は、さらなる実施例に基づき、反射要素40の2つの異なる配置可能性を備えた本発明による装置1を例示的に示す。したがって、図面では、反射要素40のための第2の位置が参照符号43によって示されている。したがって、本実施例ではエンドエフェクタ50に配置されている結像光学要素20によって、オブジェクト10の距離を特定することができる。
【0165】
このために、例えばマークM3 63がxy平面内に位置している場合には、このマークM3 63を利用することもできる。さらに、システム内の他の箇所に取り付けられたマークM2 62を基準マークとして利用することもできる。さらに、マークM1 61も、エンドエフェクタ50のフォーク51上に、またはエンドエフェクタ50の他の箇所に取り付けることができる。
【0166】
図6は、さらなる実施例において、結像光学要素20のさらなる配置可能性を備えた本発明による装置1を概略的に示す。
【0167】
図5に示されているように、少なくとも1つの結像光学要素20は、装置1に、例えばロボットまたはロボットの可動のエンドエフェクタ50に永続的に固定的に配置可能であるか、または着脱可能に配置可能である。したがって、この配置では、結像光学要素20は、エンドエフェクタまたはロボットが移動すると一緒に移動させられ、したがって、例えばエンドエフェクタは、常にオブジェクト空間内に留まる。
【0168】
しかしながら、
図6に示されているように、少なくとも1つの結像光学要素20を、装置の周囲に、すなわち例えば機械に、設備に、またはシステム内に固定的にまたは着脱可能に配置することもできる。この配置では、結像光学要素20は、エンドエフェクタまたはロボットが移動しても一緒には移動しない。
【0169】
図7のようなさらなる実施例に基づいて概略的に示されているように、種々異なる配置可能性を相互に組み合わせることもできる。本発明の枠内で、結像光学要素によって撮影される画像について言及される場合、短時間のシーケンスであっても本装置によってこのような画像を多数撮影することは、もちろん自由裁量にゆだねられている。したがって、例えばビデオカメラによってビデオを撮影することも可能である。
【0170】
図8は、本発明による装置1のさらなる実施例を示し、ここでは、結像光学要素20のオブジェクト空間を変化させるために反射要素40が配置されている。本実施例では、結像光学要素20のオブジェクト空間を拡大することができる。
【0171】
オブジェクト空間は、とりわけ、使用される光学系、画像撮影センサのサイズ、および結像光学要素20から結像平面までの距離のような要因によって決定される。
【0172】
この場合、実施形態に応じて、さらなる措置が講じられなければ、結像光学要素20のオブジェクト空間が、観察されるべき全ての領域をカバーしないということが起こる可能性がある。その場合、さらなる結像光学要素20を使用することが可能であるか、または代替的にまたは補足的に、適切な機構によって結像光学要素20を移動させることが可能である。さらに別の可能性は、例えば、結像光学要素20がエンドエフェクタ50上に取り付けられている場合には、結像光学要素20を、ロボットによって移動させられるエンドエフェクタ50によって移動させて、この結像光学要素20により、複数の異なるビューまたは位置から画像を撮影することである。
【0173】
しかしながら、本発明によれば、このために反射要素40を使用することもでき、この場合にも、結像光学要素20の画像内に、反射要素40によってさらなる結像平面42を有するさらなる部分画像が生成され、このさらなる結像平面42は、結像光学要素20の結像平面22の外側に位置しているか、または結像平面22に重畳して位置している。これにより、結像光学要素20のオブジェクト空間を部分画像によって簡単に拡大することができ、結像平面22内に位置していない領域も部分画像によって捕捉することができる。この原理は、
図8によって説明され、
図8は、結像光学要素20の結像平面22が、オブジェクト10の角部14を捕捉することはできるがこのオブジェクト10の角部15を捕捉することはできないことを、上面図で概略的に示す。しかしながら、反射要素40によってさらなる結像平面42が生成され、このさらなる結像平面42が、部分画像として結像平面22の画像内に角部15を結像する。
【0174】
もちろん、いわば第1の結像平面22に代えて第2の結像平面42だけが結像されるように、結像光学要素20のオブジェクト空間全体を、対応する形状およびサイズの反射要素40によって偏向することも可能である。
【0175】
本発明の本実施形態の特徴を、前述した実施形態と組み合わせてもよいことは、当業者には明らかである。
【0176】
図9は、追加的なさらなる反射要素30を備えた本発明の装置1を斜視図で概略的に示す。
【0177】
図9の配置において見て取れるように、追加的な光軸またはさらなるビューの位置または姿勢を、結像光学要素の光軸に対するこれらの向きとは関係なく変化させることも、有用であり得る。このようにして、例えばオブジェクト10のうちの、さもなければ不可視である領域を、結像光学要素の結像平面22内に結像することができる。
図9の実施形態は、本例では第1のミラーである第1の反射要素40によってどのようにして第2の結像平面42を備えた追加的なオブジェクト空間を結像することができるかと、本例では第2のミラーである第2の反射要素30によってどのようにしてさらに別の結像平面32を備えたさらに別のオブジェクト空間を結像することができるかとを、純粋に例として示す。この場合、結像平面42および32は、結像光学要素20の結像平面22において統合される。
【0178】
これにより、図示の配置では、オブジェクト10の下方に位置している領域であって、ひいては場合によってオブジェクト10によって覆い隠されている可能性のある領域も、第2のミラーによって生成された光軸31の視線方向において観察することが可能である。
【0179】
図示の実施形態では、関連する光軸21,31,および41は、相互に平行であるか、または相互に直交する。しかしながら、もちろん、光軸21,31,および41の全体または一部が、相互に他の角度を有することもできる。
【0180】
結像光学要素20のオブジェクト空間内の少なくとも1つの反射要素40によって、オブジェクト空間の一部が遮蔽され、この部分が反射要素40によって偏向される。
図10は、
図2の本発明による装置を斜視図で概略的に示し、この遮蔽された領域は、参照符号23が付された面によって示されている。
【0181】
これにより、この遮蔽された領域23のすぐ後方の、オブジェクト空間内のこの領域は、結像光学要素20にとって不可視となる。したがって、部分透光性である反射要素40、例えば半透過性のミラーを使用することが有利であり得、これにより、これらの遮蔽された領域23も可視にすることができる。
【0182】
それぞれ異なる結像平面22,32,および42は、結像光学要素20までそれぞれ異なる距離を有する可能性がある。
図11は、この関係を示し、
図2の本発明による装置も斜視図で概略的に示す。この図面では追加的に、参照符号24および25が付された破線および一点鎖線を例にしてそれぞれ異なる距離が示されている。
【0183】
これにより、所与の観察距離または結像光学要素20の所与の被写界深度の場合に、複数の異なる結像平面が、少なくとも全て同程度に鮮明に結像できるとは限らなくなる可能性がある。この図面では、例えば観察距離24は、反射要素40によって生成される観察距離25よりも短い。
【0184】
したがって、例えば、結像光学要素20によって撮影された画像は、観察距離24では鮮明であるが、観察距離25ではもはや鮮明ではないということが起こる可能性がある。本発明によれば、結像光学要素20の結像平面内における画像鮮明性を再形成するために適した、例えば光学レンズ、光学系、または対物レンズのような光学装置によって反射要素40を補完することにより、このことを補償することができる。
【0185】
反射要素40によって生成された第2の視軸41またはさらなる結像平面42により、空間的な位置特定または空間的な相対的な位置特定を可能にする空間的な基準を生成することもできる。
図12は、位置特定を説明するための実施例を側面図で概略的に示す。
【0186】
本実施例では、例えば、縁部11と結像光学要素20との間の空間方向zにおける距離zrelを、オブジェクト10の縁部11が画像内に結像され、この画像内における縁部11の高さaが評価されて距離zrelが特定されることによって特定すべきである。
【0187】
しかしながら、結像光学要素20が、例えば図面において参照符号x1およびx2が付されているそれぞれ異なる位置をとる場合、縁部11は、光路s1によってそれぞれ異なる箇所a1およびa2で結像されることとなる。なぜなら、距離dは、図面において参照符号dx1およびdx2が付されているようにそれぞれ異なっているからである。このことは、例えば距離dに関する追加的な情報なしで距離zrelを特定することを不可能にする。図面では、参照符号70によって位置x1における結像光学要素20の画像が示されており、参照符号71によって位置x2における結像光学要素20の画像が示されている。参照符号18は、参照符号72が付された空間方向zにおける基準平面上での、オブジェクトの空間方向xにおける固定の位置を示す。
【0188】
したがって、本発明の好ましい実施形態では、反射要素40の結像平面42内に位置しているマーク60が使用される。
【0189】
結像光学要素20をさらに、空間方向xにおいて移動させることができ、マーク60は、この空間方向xにおいて結像平面42内に位置している。このマーク60は、オブジェクト10まで既知の距離dsを有し、これにより、縁部11から結像光学要素20までの距離dを特定することができる。これにより、相対的な距離zrelを特定することが可能となる。
【0190】
オブジェクト10の縁部11は、それぞれ光路s1によって結像され、画像70,71内における特定の高さaにおいて見て取ることができるが、この高さaは、結像光学要素20の空間方向xにおける位置に依存している。
【0191】
特定の用途事例では、画像内に結像されるべきオブジェクト10またはオブジェクト10の周囲を照明することが必要であり得る。このために、結像光学要素20の近傍に、または結像光学要素20に対してある程度の距離を置いて設置された光源を使用することができる。多くの場合、そのような光源は、光源の光路またはその一部を所定の方向に向けることができる反射器を既に有している。
【0192】
特定の用途事例では、結像されるべきオブジェクトを、光源の光路の方向ではない少なくとも1つの方向から照明することが合理的であり得る。このためにも、本発明によれば、本発明の実施例に基づいて
図13に示されているような反射要素40を使用することができる。
【0193】
図13は、光源80を備えた本発明による装置1の斜視図を概略的に示し、ここでは、光線を偏向するために反射要素40が使用される。この場合、単なる説明のためだけに、反射要素40によって偏向されない光線が参照符号81によって示されている。反射要素40によって偏向される光線が参照符号82によって示されており、これにより、この光線は、光源80の光線の主方向とは異なる第2の方向でオブジェクト10に当射する。すなわち、反射要素40は、少なくとも部分的に光源80の光路内に配置されている。
【0194】
本発明によれば、もちろん、反射要素40の配置および/または結像光学要素20に関する上述の実施形態を、ここで説明されている実施形態と組み合わせることができる。この場合、反射要素40は、システム内に固定的に設置されていてもよいし、または例えばロボットのアーム上またはエンドエフェクタ50上で可動であってもよい。反射要素40自体を可動に構成することも企図されており、これにより、例えば、光源80の光が出射する方向に対して反射要素40を傾斜させることにより、オブジェクトの複数の種々異なる領域または側面を照明することも可能である。
【0195】
本発明のさらに別の発展形態によれば、照明方向を偏向するための反射要素40に、照明の光路を変化させることができるさらなる光学的特徴、例えば湾曲部または光学系を設けることが企図されており、この湾曲部または光学系は、例えば、照明の光路をさらに拡大するため、または照明の光路を集束させるため、または反射要素40と共に光源80の光路の2つ以上の偏向方向を生成するために使用される。
【0196】
図14~
図16には、本発明のさらなる発展形態が示されている。
【0197】
これに関して
図14は、本発明による装置2を上面図で概略的に示し、この装置2は、反射要素40なしで示されている。本例では、装置2は、可動のエンドエフェクタ50とこのエンドエフェクタに配置されたフォーク51とを備えたロボットを含む、半導体産業の機械の一部である。もちろん、本実施形態でも上述したように反射要素40を使用することが可能である。
【0198】
本発明の本実施形態の基本的な原理は、
(a)結像光学要素の光軸21を、空間回転軸zに対して角度を成すように方向決めすること、
(b)結像光学要素を、空間回転軸yに対して角度を成すように方向決めすること、
(c)結像光学要素の光軸21を、オブジェクト10および/またはフォーク51および/またはエンドエフェクタ50の、空間方向xおよびyによって形成される平面に対してオフセットさせること
の組み合わせに基づいている。
【0199】
このようにして、
図14の実施例に示されているようにただ1つの結像光学要素20を用いて、例えば基板とフォークおよび/またはエンドエフェクタとの間の間隙を結像および分析することができ、フォークの相対的な位置を、全ての自由度x,y,zおよびエンドエフェクタのフォーク同士の相互の角度において特定することができる。
【0200】
図14には、例えばオブジェクト10のための、例えばシステム内の基材のための2つの載置部91,92、例えば処理ステーション内の載置部、またはシステム内の他の箇所における載置部、またはカセットもしくはコンテナにおける載置部が、純粋に例として示されている。
【0201】
エンドエフェクタ50のフォーク51,52同士の距離は、dgによって示されており、エンドエフェクタ50のフォーク51,52の端部は、参照符号51aおよび52aによって示されている。これらのフォーク51,52は、空間方向yにおいて相互に離間されている。
【0202】
この距離dgは、図示の配置では、エンドエフェクタ50および/またはフォーク51,52および/またはそれらの端部51a,52aに対する結像光学要素20の姿勢および位置に関する幾何学的関係が既知である場合には、結像光学要素20の画像から特定することができる。
【0203】
参照符号sp1およびsp2によって、これらの間隙、すなわち載置部91,92とフォーク51,52との間の中間空間または自由空間が示されている。空間方向xおよびyによって形成される平面内における、結像光学要素20によって結像される光線を純粋に例として示す参照符号26が付された破線に沿って、エンドエフェクタ50のフォーク52および/または載置部92に対して略平行な、xy平面内における間隙sp2が、結像光学要素20によって観察される。このようにして、エンドエフェクタ50が収容部92に接近する際に、衝突を回避するために間隙sp2が非常に高精度で監視およびコントロールされる。
図14には、説明のために、光線26とグリッパ52の縁部との間の角度βが示されている。本例では、この角度βは、約0.5°である。一般的に、少なくとも1つの光線26とフォーク52および/または載置部92との間の角度βが、±10°以下、好ましくは±5°以下、特に好ましくは±2°以下であると有用である。
【0204】
したがって、本発明は、オブジェクトを好ましくは少なくとも2つの異なるビューにおいて結像するための、好ましくは同時に結像するための装置であって、当該装置は、少なくとも1つの結像光学要素を含み、空間方向xおよびyによって形成される平面内における、結像光学要素によって結像可能な少なくとも1つの光線が、少なくとも1つのフォークおよび/または少なくとも1つの載置部に対して平行または略平行に延在しており、この少なくとも1つの光線とフォークおよび/または載置部との間の角度βは、±10°以下、好ましくは±5°以下、特に好ましくは±2°以下である、装置も含むことができる。
【0205】
したがって、結像光学要素20は、z軸および/またはy軸に対して角度を成しており、これにより、収容部92とフォーク52との間の線26が可視となっている。この場合、結像光学要素20は、好ましくは図示の例のようにエンドエフェクタ50に固定的に接続されている。
【0206】
このようにして、載置部91,92の既知の寸法を用いて、間隙寸法sp1,sp2を特定することができる。このことは、例えば、場合によって生じる可能性のある損傷を阻止するために、収容部から基板をピックしている間のエンドエフェクタ50またはフォーク51,52の正確な向きを、エンドエフェクタが移動しているあらゆる時点に考慮すべき場合に、特に有用である。これらの載置部も、結像光学要素20のオブジェクト空間内に位置することができるので、収容部91,92同士の相互の位置と、撮影要素および/またはエンドエフェクタ50に対する収容部91,92の位置とを特定することができる。
【0207】
図15は、
図14のさらなる本発明による装置2を側面図で概略的に示す。参照符号73により、エンドエフェクタおよび/またはオブジェクト10(本例では図示せず)および/またはフォークの平面が示されている。参照符号doにより、空間方向zにおける平面73に対するオフセットが示されている。
【0208】
結像光学要素20は、空間回転軸yおよび/または空間回転軸zに対して角度を成すように方向決めされている。本実施例では、結像光学要素20は、エンドエフェクタ50に接続されており、かつ空間方向zにおいて平面73に対してオフセットされて配置されている。
【0209】
代替的に、光軸を少なくとも間隙の略線上に位置させることにより、Z軸を中心として角度を成すように回転させることなく間隙sp1、フォーク51,52、および載置部91,92を結像することができるように、結像光学要素20を方向決めすることもできる。しかしながら、このような配置の欠点は、これによってカメラの画像フィールドをより大きく構成しなければならず、これによって画像フィールドのうちの、必要でない領域または必ずしも必要でない領域が生じてしまうということである。
【0210】
これに関して
図16は、結像光学要素の配置が変更されている
図14のさらなる本発明による装置を上面図で概略的に示す。ここでは、参照符号22aは、結像光学要素20の結像平面内における必要とされる領域を示し、参照符号22bは、結像平面内における必要でない領域を示す。
【0211】
角度を成すように方向決めする場合と同一の、結像平面または画像フィールドの解像度、ひいては位置特定または距離特定の精度を達成するためには、カメラのピクセル解像度を格段により大きくすることが必要である。
【0212】
ここでは、2次元領域で動作する結像光学要素20が、要求されている高い性能を提供することができ、例えば装置1の場合のような高い解像度、例えば1920×1080ピクセルまたは例えば1280×720ピクセルと、短い画像撮影時間または高いフレームレート、例えば60fpsとを提供することができ、かつ装置が、ただ1つの結像光学要素を用いるだけで対処可能であるということが仮定される。
【0213】
3次元の画像撮影も可能にする他の現在利用可能な画像撮影技術、例えば、ステレオカメラ、ライトフィールドカメラ、またはそれぞれの画素ごとに画像センサに当射するまでの光の伝搬時間を測定してこの伝搬時間からオブジェクト上の画素の距離に関する情報を計算するTOFカメラは、現在の時点では、少なくとも上述した態様のうちの1つでは、2次元領域で動作する結像光学要素よりも劣っている。
【0214】
それにもかかわらず、この画像撮影技術を発展させることにより、3次元の画像情報も取得して、装置のためにこのような画像撮影技術を使用することが有用であり得る。ただし、現在の時点では、例えばTOFカメラの場合には低解像度、ステレオカメラの場合には1つのカメラの代わりに2つのカメラを使用することによる構造サイズおよびコストというように、欠点の方が支配的である。
【0215】
それにもかかわらず、とりわけ上述した欠点を技術的な発展によって克服することができる場合には、本発明による装置1,2のためにこれらの画像撮影技術に相当する結像光学要素20を使用および利用することも可能であり、かつ企図されている。
【0216】
図17および
図18は、光軸121を備えた3次元領域で動作するこのような結像光学要素120が使用される場合の考えられる実施例を示す。これらの実施例は、マスク110上のペリクル111の姿勢識別を示し、装置3は、光軸121を備えた3次元領域で動作する結像光学要素120を含む。
図17では、ペリクル111は、マスク110の上方で、結像光学要素120の光軸121の方向に方向決めされて位置している。
図18では、ペリクル111は、上方で、結像光学要素120の光軸121の方向を横断する方向に方向決めされて位置している。
【0217】
要素120の対応する画像171,172において、空間方向xにおけるオブジェクト91,92,110,および111から要素120までの距離が、本例では種々異なるグレー階調に基づいて見て取れる。本例ではスケールも示されており、このスケールに基づいて距離を特定することができる。
【0218】
本例では、ペリクル111、マスク110、および載置部91,92というオブジェクトは、各自のyz位置に関しては、要素120の画像171,172において識別可能であり、結像光学要素120に対する各自の距離xに関しては、例示的にスケールとして図示されているグレー階調によって識別可能である。
【0219】
本実施例では、結像光学要素120は、エンドエフェクタ50に取り付けられており、
・ペリクル111がマスク110の上方で長手方向(
図17)に位置しているか、または上方で横断方向(
図18)に位置しているか、
・マスク110、載置部91,92、およびペリクル111が、エンドエフェクタ50を基準としてどのyz位置に位置しているか、
・マスク110、載置部91,92、およびペリクル111が、エンドエフェクタ50を基準としてどのx位置に位置しているか
を識別することができる。
【0220】
このようにして、3次元領域で動作する結像光学要素を使用することにより、有利には分析のために使用することができる追加的な画像情報を取得することができる。
【国際調査報告】