(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-11-01
(54)【発明の名称】清掃装置とその使用
(51)【国際特許分類】
A47L 9/18 20060101AFI20231025BHJP
A61L 9/20 20060101ALI20231025BHJP
B01D 47/02 20060101ALI20231025BHJP
B01D 45/08 20060101ALI20231025BHJP
【FI】
A47L9/18
A61L9/20
B01D47/02 A
B01D45/08 B
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023524163
(86)(22)【出願日】2021-10-13
(85)【翻訳文提出日】2023-06-08
(86)【国際出願番号】 EP2021078244
(87)【国際公開番号】W WO2022079069
(87)【国際公開日】2022-04-21
(32)【優先日】2020-10-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523139113
【氏名又は名称】ヒューク・ベルンハルト
【氏名又は名称原語表記】HUG,Bernhard
(74)【代理人】
【識別番号】100087941
【氏名又は名称】杉本 修司
(74)【代理人】
【識別番号】100112829
【氏名又は名称】堤 健郎
(74)【代理人】
【識別番号】100142608
【氏名又は名称】小林 由佳
(74)【代理人】
【識別番号】100155963
【氏名又は名称】金子 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】100150566
【氏名又は名称】谷口 洋樹
(74)【代理人】
【識別番号】100213470
【氏名又は名称】中尾 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100220489
【氏名又は名称】笹沼 崇
(74)【代理人】
【識別番号】100187469
【氏名又は名称】藤原 由子
(74)【代理人】
【識別番号】100225026
【氏名又は名称】古後 亜紀
(72)【発明者】
【氏名】ヒューク・ベルンハルト
【テーマコード(参考)】
3B062
4C180
4D031
4D032
【Fターム(参考)】
3B062AJ01
4C180AA07
4C180DD03
4C180HH05
4C180HH11
4D031AB08
4D031AB27
4D031DA01
4D031DA04
4D031DA05
4D032AA03
4D032BA05
4D032BA06
4D032BB03
(57)【要約】
【課題】外部環境からの粒子を含んだ吸引空気流を吸引する清掃装置を提供する。
【解決手段】清掃装置がアクティブモードのとき、外部環境からの粒子を含んだ吸引空気流を吸引するための、第1の導管断面(21)を有する空気吸入口(2);液体(特に水)を受け入れるための浸漬管(3)を有する液体保持ユニット(4)であって、浸漬管(3)は、吸引空気を導くために第1の端部(7)で空気吸入口(2)に接続され、第2の端部(8)で受入れ可能な液体中に浸漬されるように設計されている清掃装置(1)の作動状態において、粒子を含む吸引空気流が、粒子を捕捉するために受容可能な液体を通って流れ、作動状態において吸引空気流を発生させるための真空発生手段(6)を備える。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部環境からの粒子を含んだ吸引空気流を吸引するための清掃装置(1)であって、
第1の管路断面(21)を有し、清掃装置(1)がアクティブモードのときに、外部環境からの粒子、エアゾール、細菌及び/又はウイルスを含んだ吸引空気流を吸引するように機能する空気吸入口(2)と、
浸漬管(3)を有し、水などの液体を保持するように機能する液体保持ユニット(4)と、を備え、
前記浸漬管(3)は、第1の端部(7)が吸引空気伝導方式で前記空気吸入口(2)に接続され、また前記清掃装置(1)がアクティブモードであるときに、第2の端部(8)において、粒子を含んだ吸引空気流が、保持された液体を通って流れるような方式で、前記保持された液体、特に水の中に浸漬されて、粒子が保持されるように構成され、
さらに、前記アクティブモードのときに吸引空気流を発生させる真空発生手段(6)を備える、清掃装置(1)において、
吸引空気流を案内するための前記浸漬管(3)の第2の管路断面(22)は、少なくとも前記第2の端部(8)において、前記空気吸入口(2)の第1の管路断面(21)よりも大きいことを特徴とする、清掃装置(1)。
【請求項2】
請求項1に記載の清掃装置であって、
前記浸漬管(3)の前記第2の管路断面積(22)と、前記空気吸入口(2)の前記第1の管路断面積(21)との間の比が、少なくとも2、好ましくは少なくとも3、さらに好ましくは少なくとも3.5である、清掃装置(1)。
【請求項3】
請求項1または2に記載の清掃装置であって、
前記浸漬管(3)は、
少なくとも1つのアーチ状及び/又は角状の偏向部(9)と、
好ましくは垂直方向に下降する下降部(10)と、nを有し、
前記偏向部(9)は、前記アクティブモードのときに、前記粒子が担持された吸引空気流を流入方向(R_ein)に対して偏向させて旋回させるように構成されており、
前記下降部(10)は、前記アクティブモードのときに、前記偏向部(9)で偏向されて旋回された吸引空気流が、前記管路断面の拡幅部によって平均流入速度に対して減速されるように構成されることを特徴とする、清掃装置。
【請求項4】
請求項3に記載の清掃装置であって、
前記偏向部(9)は、アクティブモードにおいて、前記粒子を担持した吸引空気流が、流入方向(R_ein)に対して、特に水平軸に対して、偏向角度(β)が60°よりも大きく、好ましくは70°よりも大きく、特に好ましくは80°よりも大きく、最も好ましくは約90°となるように偏向させる、清掃装置。
【請求項5】
請求項3または4に記載の清掃装置であって、
前記浸漬管(3)は、アクティブモードにおいて、吸引空気流が垂直に沈み、それにより前記清掃装置(1)が待機モードにあるときに、保持された液体によって形成される液面に対して特に本質的に横切るように、特に直角に、液体中に流入するように、下降部部(10)が垂直軸(V)に沿って延びた状態で液体保持ユニット(4)内に配置されている、清掃装置。
【請求項6】
請求項1から5のいずれか一項に記載の清掃装置であって、
前記浸漬管(3)は、特に前記下降部(10)の領域において、粗めのフィルタ(17)を形成するための複数の開口(14)を有する出口領域(15)を備え、前記開口(14)は、好ましくは複数のロッド状のピン(16)によって、さらに好ましくはスロット及び/又はギャップの態様で形成され、前記ピンは、特に互いに平行に配置され及び/又は配向されることを特徴とする、清掃装置。
【請求項7】
請求項6に記載の清掃装置であって、前記第2の端部(8)に、前記液体保持ユニット(4)の底部(12)に接続される端面(11)を有しており、それにより、アクティブモードにおいては、吸引空気流が専ら前記開口(14)を介して前記浸漬管(3)から流出するようにしている、清掃装置。
【請求項8】
請求項1から7のいずれか一項に記載の清掃装置であって、
前記清掃装置(1)は、前記液体保持ユニット(4)と前記真空発生手段(6)との間に、吸引流伝導方式で配置された液滴分離器(13)を有し、当該液滴分離器(13)は、吸引空気流によって吸引された液滴やその他の粒子を保持するように構成されていることを特徴とする、清掃装置。
【請求項9】
請求項8に記載の清掃装置であって、
液滴分離器(13)は、間隔をあけて配置された複数のプロファイルされたフィン(19)、特にシートメタル状のフィンによって形成された流れ方向領域(18)を備え、吸引空気流を偏向させる少なくとも2つの偏向領域を有する流路(20)はそれぞれ、隣接する2つのフィン(19)の間に形成されており、及び/又は、前記流れ方向領域(18)は、水平面(H1)に対して、20°~70°、好ましくは30°~60°、特に好ましくは40°~50°、最も好ましくは本質的に45°の固定角(α)をなすように方向付けられていることを特徴とする、清掃装置。
【請求項10】
請求項8または9に記載の清掃装置であって、
前記液滴分離器(13)は、静止状態および/または不動状態であり、特に、回転しない部品によって構成されていることを特徴とする、清掃装置。
【請求項11】
請求項1から10のいずれか一項に記載の清掃装置であって、
清掃装置(1)は、吸引空気流によって運ばれる微粒子を捕捉するためのフィルタユニット(27)を備え、前記フィルタユニット(27)は、前記液滴分離器(13)と前記真空発生手段(6)との間に、特にアクティブモードのときに吸引空気流によって清掃装置(1)内に形成される吸引空気経路(29)内に、
吸引空気導通的に配置されることを特徴とする、清掃装置。
【請求項12】
請求項11に記載の清掃装置であって、
前記フィルタユニット(27)は、交換可能な繊維フィルタ(30)を取り付けるための取付けユニット(28)を備え、アクティブモードのときに、前記取付けユニット(28)は、微粒子を捕捉するために、吸引空気流を繊維フィルタ(30)内に流すことが可能に構成されることを特徴とする、清掃装置。
【請求項13】
請求項1から12のいずれか一項に記載の清掃装置であって、
前記清掃装置(1)は、当該清掃装置(1)内に配置されたUV(紫外線)光及び/又はUVC光を発生する光発生手段(34)を備え、それにより、運ばれたウイルス又は細菌を殺すために、吸引空気経路(28)が部分的に照射され、特に吸引空気経路(29)の通路に沿って部分的に照射されることによりアクティブモードのときに発生する吸引空気流が完全に照射されるように構成される、ことを特徴とする清掃装置。
【請求項14】
本発明に係る清掃装置(1)の、周囲空気浄化装置としての使用。
【請求項15】
本発明に係る清掃装置(1)の、湿式掃除機としての使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1のプリアンブルに記載の清掃装置に関し、特に、粒子、エアロゾル、バクテリア及び/又はウイルスが担持された吸引空気流(Saugluftvolumenstrom)を吸引するための清掃装置に関する。さらに、本発明は、空気を清浄するための装置としての清掃装置に関する。
【0002】
粒子が担持された吸引空気流を吸引し洗浄するための液体保持ユニットを有する清掃装置が、当該技術分野において一般的に知られている。
【0003】
公知の清掃装置は、吸引空気流をそれに担持された粒子と共に、空気吸引口を介して吸引するための真空発生手段を備える。そして、粒子が担持された吸引空気流は、浸漬管を通って、液体保持ユニットに保持された液体内へと移送される。形成された流路に沿って液体が流れる際、担持されていた粒子の大部分が液体中に捕捉されるため、吸引空気流は清浄化されて、そこに保持されることとなる。
【0004】
このような装置におけるプロセスでは、吸引空気流の流速が高いことが不利に働く場合がある。これは、このプロセスにおいて多数の気泡が発生する上に液体内での流れが速いためであり、それらが、液体内において粒子を保持する上では不利となっており、その結果、汎用的な清掃装置において良好な洗浄効果を得るという点では不利となっている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、上記の点を鑑みて、当該技術分野において知られている請求項1に記載のような清掃装置において、その欠点を克服することである。特に、本発明の目的は、吸引空気の流量が広範囲に変化する場合においても良好な清掃効果を達成することが可能な、清掃装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の目的は、請求項1に記載の清掃装置によって達成される。具体的には、吸引空気流を案内するための浸漬管の第2の管路断面が、少なくとも第2の端部において、吸入口の第1の管路断面よりも大きいという構成によってもたらされる。
【0007】
本発明は、外部環境からの粒子、エアロゾール、細菌および/またはウイルスが担持された吸引空気流を吸引するための清掃装置を提供することを目的とし、清掃装置は、第1の管路断面を有し、外部環境からの粒子が担持された吸引空気流を吸引するように機能する空気吸入口と、浸漬管からなり液体(特に水)を保持するのに役立つ液体保持ユニットと、を備える。前記浸漬管は、第1の端部で前記空気吸入口に吸引空気導出方式で接続され、第2の端部で前記保持された液体(保持液体)(特に水中)に部分的に浸漬されるように構成され、前記清掃装置がアクティブモードのときに粒子が担持された吸引空気流が前記保持液体を通って流れることにより粒子を保持し、アクティブモードにおいて吸引空気流を発生する真空発生手段を備える。本発明によれば、吸引空気流を案内するための浸漬管の第2の管路断面は、少なくとも第2の端部において、吸入口の前記第1の管路断面よりも大きい。
【0008】
すなわち、本発明に係る清掃装置は、前記第1の管路断面を有し、外部環境から空気/粒子混合物を吸引するように構成された吸入口を備え、本発明で用いられる粒子という用語は、塵、好ましくは超微細塵、微細塵、および/または粗塵、エアゾール粒子、細菌および/またはウイルスを指す。粒子が担持された吸引空気流は、清掃装置によって構成された真空発生手段によって形成される。
【0009】
さらに、本発明に係る清掃装置は、本発明による浸漬管を有し、液体(特に洗浄液)を保持するように構成された液体保持ユニットを備えている。
【0010】
浸漬管は、粒子が吸引空気流から分離され、液体によって形成される第1のフィルタステージにおいて粒子が液体中に捕捉されるように、粒子を担持した吸引空気流が流路に沿って液体中を流れるように、一端部で吸引口に(特に直接又は供給導管を介して)接続されて、他端部の保持液体中で終了する。
【0011】
本発明によれば、浸漬管は、液体に浸漬される端部に第2の管路断面を有し、当該第2の管路断面は、空気吸入口の第1の管路断面よりも大きい。
【0012】
有利には、入口に配置されている空気吸入口から、出口に配置されている複数段のフィルタのうちの第1のフィルタの浸漬管までの断面の広がりは、清掃装置がアクティブモードのときに発生する吸引空気流の流速の減少をもたらし、そのため、液体の通過中に、より一層小さな気泡が形成され、流速が減少するため、保持された液体の通過中の吸引空気流の滞留時間が増加すると考えられる。したがって、比較的多くの粒子を液体中に保持することができるので、洗浄効果が有利に改善される。
【0013】
有利なことに、本発明による管路断面の内部拡大は、粒子、及び/又は粒子/空気混合物を吸引するために必要な、空気吸入口における吸引空気量フローに影響を及ぼさず、そのため、粒子を吸引するための十分に高い吸引力が、流速に関連してそこで達成され得る。
【0014】
本発明によれば、複数段の洗浄ステージのうちの第1の洗浄ステージを形成するための液体保持ユニットの洗浄液として、汚れが多く蓄積された場合に交換の迅速化や廃棄の簡便化を図ることができるように、水や水道水を用いることが好ましい。
【0015】
さらに、清掃装置の待機モードは、清掃装置の受動的な動作状態を意味し、そのモードの間、液体保持ユニットは、液体(特に水)を受け取り、浸漬管の端部が受け取った液体に少なくとも部分的に浸漬されるような態様であることに留意する必要がある。
待機モードでは、真空発生手段は吸引空気流の流れを発生させないので、保持される液体中に乱流、渦、気泡が、特に流路に沿って形成されない。
【0016】
一方、清掃装置がアクティブモードのとき、真空発生手段によって発生した吸引空気流が粒子/空気混合物を吸引する。さらに、アクティブモードでは、粒子を搭載した吸引気流が浸漬管を通って保持された液体に流れ込むため、そこに乱流、渦、および/または旋回が形成され、液体は流路に沿って横方向に移動して、吸引空気流によって運ばれた粒子は保持・固定されることとなる。
【0017】
本発明の有利な実施形態は、従属請求項、以下の説明、並びに図面および図面の説明に示されている。説明、特許請求の範囲、または図面に開示された少なくとも2つの特徴の任意のおよびすべての組み合わせは、本発明の範囲に含まれる。
【0018】
本発明による清掃装置の好ましい実施形態では、前記浸漬管の前記第2の管路断面と前記空気吸入口の第1の管路断面との間の比は、少なくとも2、好ましくは少なくとも3、さらに好ましくは少なくとも3.5である。
【0019】
換言すれば、吸引空気流の流速に影響を与えるように、前記空気吸入口の直径又は断面に対する前記第2の端部における浸漬管の直径又は断面の比は、2以上、好ましくは3以上、更に好ましくは3.5以上であるようにする。有利には、吸入口から前記浸漬管の前記第2の端までの導管の断面の急激、連続的及び/又は段階的な増加は、吸引空気流の平均流速の減少をもたらし、このように選択された比率は、流路に沿って液体を通過する際に粒子を負荷した吸引空気流を特に効率的に洗浄する(高い洗浄効果を有する)ことを可能にする。
【0020】
また、このような比率にすることで、液体を通過する際に高い洗浄効果が得られるだけでなく、粒子と空気の混合物を吸入口から吸引するための十分な吸引力を確保することができる。
【0021】
別の実施例によれば、浸漬管は、少なくとも1つのアーチ状及び/又は角状の偏向部と、特に垂直軸に沿って配向された下降部とを備え、偏向部は、粒子が担持された吸引空気流を流入方向から偏向させ、アクティブモードにおいて旋回させることで、初めて流速に影響を与えることができるように構成される。
【0022】
さらに、この文脈では、浸漬管が2つ以上の部分から構成されていることが好ましく想定される。浸漬管の2つの部分または複数の部分の設計は、これが、清掃装置の受動的な動作を行う場合において粗めのフィルタに集められた粒子を除去し、それによって粗めのフィルタの洗浄を容易にするために、浸漬管からフラップおよび/または蓋を取り外すことを可能にすると、特に有利である。
【0023】
さらに、下降部は、偏向部において偏向されて旋回され、清掃装置がアクティブモードのときに減少された吸引空気流の流速が、管路断面の急激な、段階的な又は連続的な拡がりによって平均流入速度に対して追加的に減速されるように構成されていることが好ましい。
【0024】
さらに、上述した下降部は、その長さ(長手方向寸法)に関して、形成された渦が液体中に入る前に大部分が減少し、沈降するような方法で寸法が決定される。有利なことに、このことは、吸引空気流の減速と粒子の均一な分布につながり、浸漬管の全管路断面で効果を奏する。
【0025】
実施形態によれば、偏向部は、アクティブモードにおいて、粒子を担持した吸引空気流が、吸入口によって規定される流入方向に対して、偏光角βが、60°以上、好ましくは70°以上、特に好ましくは80°以上、最も好ましくは実質的に90°となるように偏向される。
【0026】
このように、吸引空気量流の偏向により、前記偏向部において吸引空気流の少なくとも一部が前記浸漬管の内壁に衝突するため、吸引空気流の流速を初期の程度へと低下させることができる。
さらに、約90°の偏向角βは、特に、好ましくは88°と92°の間である範囲を意味することに留意されたい。
【0027】
別の実施形態によれば、浸漬管は、下降部が垂直方向に延びるように液体保持ユニット内に配置される。有利には、垂直方向に延びる下降部は、粒子を担持した吸引空気流が、受動動作状態において、液体によって形成される液面に対して垂直に流れ、したがって、前記液面に対して垂直な方向、すなわち直角に液体内に流入するという効果も奏する。
【0028】
ここで、流入する吸引空気流が液体保持ユニットに保持された液体中に渦、旋回及び/又は重畳波を引き起こすので、アクティブモードにおいては、液体が均一な液面を形成しないことに留意されたい。それでも、液体中を通過する際の吸引空気流の流路は、吸引空気流を保持された液体中に垂直に導入することによって、洗浄効果に関して良い影響を受けることができる。
【0029】
換言すれば、前記浸漬管は、前記浸漬管の長手方向の寸法が、少なくとも前記第2の端部の領域において、待機モードで形成される液面に対して、垂直または直角に配向するように、すなわち垂直軸に沿って延びるように、液体保持ユニットに配置されることが好ましい。有利には、これは、自重のために粒子に作用する重量力が、吸引空気体積流の流れ方向に対して長手方向に配向されるという効果を奏する。さらに、吸引空気流は、液体から逆流するために、その流入方向に対して180°の偏向を受けなければならない。有利なことに、これは洗浄効果に好影響を与える。
【0030】
本発明の別の実施例によれば、清掃装置は、大きめの粒子を保持するための格子状の粗いフィルタによって形成される、複数段のフィルタのうちの第2段のフィルタを備える。粗めのフィルタは、好ましくは、液体に完全に浸漬される浸漬管の領域に形成され、及び/又は配置される。好ましくは、粗めのフィルタは、複数の棒状のピンによって形成され、これらのピンは、互いに間隔をあけて、浸漬管の延長軸に対して長手方向、特に下降部分の長さに対して長手方向に、すなわち特に垂直方向に延びる。ピンは、浸漬管の壁面に吸引空気流を流すための隙間状の開口を形成し、前記開口は、大きめの粒子を保持し、粒子が隙間状の開口に収まらないので、浸漬管内に固定し、収集する。ここで、大きめの粒子とは、縦、横および/または幅の寸法が2mmを超えるような粒子を意味する。
【0031】
液体中を自由に浮遊する大きめの粒子は、小さめの粒子、すなわち特に縦、横、幅の寸法が2mm未満の粒子の洗浄効果に悪影響を及ぼすため、粗めのフィルタは、大きめの粒子を浸漬管に保持することを可能にすると共に、液体の通過中に小さめの粒子の洗浄効果をさらに向上させることが可能である。
【0032】
特に好ましくは、複数段のフィルタのうち第1のフィルタおよび第2のフィルタは、例えば、洗浄目的のために清掃装置または清掃装置のハウジングから取り外すことができる。これにより、清掃装置の実用的な操作及びメンテナンスが可能になる。特に好ましくは、取り外しを容易にするハンドル部を提供することができる。
【0033】
これらの部品又は構成要素、並びに清掃装置の他の部品及びモジュールは、取外し可能であり、又はハウジングから取外し可能であるとしてもよい。好ましくは、取外し可能な締結手段を有することによって、着脱可能な状態が確保されてもよい。特に好ましくは、着脱可能な締結手段は、設置された状態において互いに好適に位置合わせされた永久磁石の対であってもよく、一方の永久磁石は清掃装置の固定位置に設置または配置され、第2の永久磁石は、設置された状態において永久磁石の間に着脱部品またはモジュールを固定する磁気保持力が生じるように着脱部品または着脱モジュールに配置される、保持力は、部品またはモジュールを取り外す際に、オペレータが手動で、好ましくは工具なしで、特に好ましくはハンドル部に力を加えることによって、前記磁気保持力を克服できるように、設置状態において永久磁石とその位置および配置、特にそれらの距離を通じてそのように設定される。永久磁石の対の代替として、永久磁石と磁性または磁化可能な、好ましくは軟磁性材料との対を形成することができる。これにより、清掃装置の取扱いが用意になると共に、メンテナンス性が向上する。
【0034】
ここで、前記浸漬管が、好ましくは、アクティブモードのときに、吸引空気流が粗めのフィルタによって形成された開口部を通じてのみ流れることができるように、液体保持ユニットの前記底部に接続される端面を、前記第2の端部に有することがさらに意図される。
【0035】
したがって、前記浸漬管は、特に前記液体保持ユニットの前記底部まで延びており、前記浸漬管の端面は、好ましくは前記底部に接続されている。その結果、粒子を担持した吸引空気流は、前記浸漬管の壁面に形成された粗めのフィルタの側方開口部を通じてのみ、前記浸漬管から流出することができる。あるいは、前記浸漬管の端部は、特に円盤状の端部要素によって閉じられ、吸引空気流全体が粗めのフィルタの開口部を通じて前記浸漬管から流出することを保証している、とすることができる。
【0036】
実施形態において、前記清掃装置は、前記液体保持ユニットと前記真空発生手段との間に、吸引空気流によって吸着された液滴等の粒子を保持する、吸引空気導通方式に配置される液滴分離器を備える。
【0037】
液滴分離器は、粒子を保持するための液体の通過(第1フィルタ段階)および大きめの粒子を保持するための粗めのフィルタの通過(第2フィルタ段階)の後に、吸引空気流から粒子を捕捉する(第3フィルタ段階)ので、このように清掃装置の第3フィルタ段階を形成ししてもよい。しかし、粒子の捕捉とは別に、液体を通過する際に吸引空気流に担持されていた液滴も、液滴分離器において吸引空気流から分離される。
【0038】
有利には、前記液滴分離器は、前記液体保持ユニットに対して、吸引空気流から吸収された液滴が前記液体保持ユニットに戻るように運ばれることを可能にする領域に配置される。有利なことに、これは、清掃装置の動作時に液体の急激な損失を防止し、その結果、清掃装置の動作時間をより長くすることが可能になることを意味する。さらに、液滴の吸収に加えて、前記液体保持ユニットを通過する間に液体中に捕捉できなかった粒子も吸引空気流から除去することができるので、これにより、洗浄効果をさらに向上することができる。
【0039】
実施形態において、前記液滴分離器は、間隔をあけて複数配置され、プロファイルされたフィン、特に金属シート状のフィンによって形成された流れ方向領域を備え、吸引空気流のための少なくとも2つの偏向領域を有する流路は、隣接する2つのフィン間に形成され、および/または流れ方向領域が、水平面に対して20°~70°、好ましくは30°~60°、特に好ましくは40°~50°、最も好ましくは本質的に45°となるように、特に前記液体保持ユニットによって保持される液体の液体面に対して固定角をなすように配向される。
【0040】
実施形態において、流れ方向領域は、有利には、吸引空気流が流れ、そこから吸引空気流のための複数のスロット状の通路が延びる表面によって形成されている。アクティブモードでは、吸引空気流は、水平面に対して斜めに配向している流れ側領域に流れ、そのため、吸引空気量流は、複数の部分流に分かれ、それぞれがフィンの間に形成された通路(フローチャネル)に沿って流れる。通路は、フィンのアーチ状の曲率によって形成された偏向部を構成し、したがって真空領域を形成する。有利なことに、部分流の偏向は、液滴および他の粒子が、それらに作用する慣性のために部分流に吸収されるという効果を奏する。
【0041】
さらに、前記液滴分離器は、有利には水平面に対して斜めに配向されており、吸引された液滴は、自重のために前記液体保持ユニットに逆流するという効果がある。さらに、液滴を迅速に排出することで、液滴が再び吸収され難くするという効果もある。有利なことに、これは、吸引空気流によって吸収される水分および/または前記清掃装置の出口にある空気排出開口から外部環境中に戻される含有液滴数の減少につながる。
【0042】
言い換えれば、前記液滴分離器および形成された流路は、液滴が吸引空気流から分離された後に、液滴に作用する自重のために流路から離れるように運ぶことが可能なように、向きが決まり、および/または構成される。ここで、清掃装置がアクティブモードのときに、液体の損失を回避するために、液滴がその後、液体保持ユニットに戻るように運ばれることが好ましい。
【0043】
実施形態において、前記液滴分離器は、静止状態及び/又は不動状態であり、特に、いかなる回転要素も含んでいない。有利なことに、これは、エネルギー消費の点で効率的な清掃装置をもたらすものである。さらに、これにより、動作時の騒音を少なくできるという特徴とする清掃装置を提供することができ、そのため、その場にいる人は一般に、騒音に気付かず静かであると認識し、したがって騒音が邪魔にならない。
【0044】
実施形態において、前記清掃装置は、吸引空気流によって運ばれる微細な粒子(残留粒子)を捕捉するためのフィルタユニットをさらに備え、当該フィルタユニットは、特に、吸引空気経路の流通路において、前記液滴分離器と前記真空発生手段との間に吸引空気が導通することが可能な状態で配置される。有利には、これにより、微細な塵に対する前記清掃装置のフィルタ効果を向上させるために、本発明による前記清掃装置のさらなる改良が可能となる。さらに、このことは、有利には、手近な前記清掃装置の清掃効果をさらに向上させるために、前記清掃装置に、複数段の清掃のうちの第4の清掃段を備えさせることによって、拡張することを可能にしている。
【0045】
実施形態では、前記フィルタユニットは、さらに、交換可能な繊維フィルタを収容するように構成された取付けユニットを含んでいる。前記繊維フィルタを通過する間、選択可能な多孔度の機能として前記繊維フィルタを通過する際に微細塵及び/又は超微細塵が繊維フィルタに蓄積されるため、吸引空気流はさらに微細塵及び/又は超微細塵から解放されることとなる。このように、異なる多孔性を持つ繊維フィルタを使用することで、用途に応じた最適化も可能になる。
【0046】
別の実施例によれば、UV(紫外線)光及び/又はUVC光(深紫外線)発生手段が設けられており、この光発生手段は、清掃装置によって構成されている。有利には、前記光発生手段は前記清掃装置内に配置され、アクティブモードのときに前記清掃装置内で発生した吸引空気流が通る吸引空気経路が、特に内部通路に沿って、特定の波長範囲、好ましくは100nm~450nm、さらに好ましくは100nm~280nmの光ビームで少なくとも部分的に照射され、アクティブモードのときに発生した吸引空気流によって運ばれたウイルスおよび細菌を殺すために完全に照射できるという効果がある。好ましくは、照射が行われる通路は、特に前記清掃装置を用いる現場から外部環境への(有害な)UVC光線の漏れを回避するために、閉鎖状態のユニットである。
【0047】
さらに、本発明の一実施形態によれば、本発明に係る清掃装置は、周囲空気を清掃するための空気清浄装置として、および/または湿式掃除機として使用される。別の実施形態によれば、本発明係る清掃装置は、空気乾燥装置として使用される。この場合、清掃装置は、有利には、最初に液体保持ユニット内に液体(特に水)がある状態で運転されたり、運転に液体が投入されたりすることはない。その代わりに、最初は空の液体保持ユニットを、空気から除去された水分または液体を収集するための収集リザーバとして使用することができる。
【0048】
さらに、真空発生手段は、有利には、出口に低圧空気出口を、および/または入口に高圧空気入口を設けるとすることができる。これは、効率と騒音発生において好ましい影響を与える。
有利には、前記低圧空気出口は、清掃装置のハウジングに配置された膨張空間を有するとしてもよい。
【0049】
好ましくは、前記膨張空間は、空気排出口の第1の部分と排気ギャップとの間に配置される。特に好ましくは、前記排気ギャップは、好ましくは閉塞した円周方向のギャップである。特に有利には、前記膨張空間及び/又は前記排気ギャップは、円形、長円形又は楕円形の基本輪郭を有するとしてもよい。
【0050】
また、前記排気ギャップは、特に好ましくは、前記膨張空間の外側に半径方向に隣接するとしてもよい。個別の場合、および組み合わせた場合に、言及された構成は、流れ特性に好ましい影響を与えるものであり、そのため、真空発生手段の効率および騒音発生に関して好影響が与えられる。
【0051】
別の有利な実施形態では、前記膨張空間は、前記清掃装置のハンドル、部品又はモジュール、好ましくは一体型、特にモノリシックな部品、ハンドル又はハンドルの少なくとも一部を、例えば2つのハンドルシェルのうちの1つとして形成し、前記膨張空間を少なくとも部分的に制限する、の下に形成することが可能である。特に好ましくは、部品またはモジュールはまた、前記排気ギャップを少なくとも部分的に制限する。特に好ましくは、部品またはモジュールは、その上に成形されたハンドルまたはその上に成形されたハンドルシェルを有する排気案内特徴部である。
【0052】
本発明の他の利点、特徴および詳細は、好ましい実施形態の例についての以下の説明および図面から明らかである。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【
図1】本発明に係る清掃装置の好ましい実施形態を示す斜視図である。
【
図2】
図1から把握される清掃装置の分解説明図である。
【
図3】把握される清掃装置を垂直面で切ったときの第1の断面図である。
【
図4】把握される清掃装置を水平面で切ったときの第2の断面図である。
【
図5】
図3に示した液体吸収体をB-B断面で切ったときの第3の断面図である。
【
図6】
図5の断面図を部分的に拡大した部分断面図である。
【
図7】本発明に係る清掃装置の代替的な実施形態を部分的に示す斜視図である。
【
図8】
図7に係る清掃装置の上側ハウジングの部分を示す図である。
【
図9】上側排気エア案内部を取り外した状態の、
図8の上側ハウジングの部分を示す図である。
【
図10】上側排気エア案内部を取り付けた状態の、
図8の上側ハウジングの部分を示す図である。
【
図11】
図7~
図10に示した実施形態に係る清掃装置において、ある実施形態における吸引空気流の流れを示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0054】
図1は、本発明に係る第1の好ましい実施形態における清掃装置1を示す斜視図である。この清掃装置は、外部環境に由来する粒子が担持された吸引空気流を吸引するものである。
【0055】
図示された清掃装置1は空気吸入口2を備える。空気吸入口2は、清掃装置1のアクティブモードにおいて、外部環境から吸引空気流を吸引するように構成される。好ましくは、空気吸入口2は、吸引空気導入状態の吸引ホース(不図示)に接続可能となっており、またそれにより、特に湿式掃除機を構成することが可能である。
【0056】
またはこれに代えて、清掃装置1を前記吸引ホース無しで使用することもでき、その場合、空気吸入口2から周囲空気を直接的に吸引することができ、その結果、吸引した粒子をフィルタによって取り除くことが可能な周囲空気清掃装置を構成することができる。
【0057】
清掃装置1は、上側ハウジング5を構成要素として備え、当該上側ハウジングは4つのローラの上に配置される。清掃装置1の上側ハウジング5を下側ハウジング26に接続するための閉塞手段25は、上側ハウジング5の2つの互いに対向する側面23,24上に位置する。
【0058】
清掃装置1がアクティブモードのときに、吸引空気流(すなわち、外部環境から取り入れられた粒子と空気との混合物(粒子/空気))が吸入される空気吸入口2は、下側ハウジング26に配置され、清掃装置1の前面32に位置する。上側ハウジング5は、複数の通気孔36(貫通孔)を有し、これらの孔は清掃装置1の冷却回路用に用いられる。
【0059】
さらに、吸引空気流に対して複数段階にわたる清浄化を行った後に、外部環境へと戻す際の通路となる空気排出開口31が、側面23,24上に配置される。粒子が担持された吸引空気流の具体的な経路と、本発明に係る清掃装置1における複数段階にわたる清浄化とについて、
図3及び
図4に示している。
【0060】
図2は、
図1から把握される清掃装置の分解説明図である。図示されているように、清掃装置1の下側ハウジング26は、液体を保持するためのバットと、浸漬管3とを有する液体保持ユニット4によって構成されている。空気吸入口2は前面32に形成される。この空気吸入口2は、清掃装置1がアクティブモードのときに、外部環境に由来する粒子が担持された吸引空気流を吸い込むように機能する。空気吸入口2は、第1の横断面21を有し、また、液体保持ユニット4の浸漬管3における第1の端部7に、供給導管33を介して吸引空気導入状態で接続される。浸漬管3は、第2の端部8において保持された液体に向かって突出し、その結果、粒子が担持された吸入空気流は、流路に沿って、保持された液体の中を流れる。このため、清掃装置1がアクティブモードのときに、粒子が液体内に保持され、補足される。浸漬管3は、清掃用開口を形成する蓋部35を有する。このような構成のため、浸漬管3に保持された粒子を(操作を行うオペレータが)手動で除去することが可能である。
【0061】
清掃装置1がアクティブモードの場合に、上側ハウジング5は、弾性手段(不図示)や、両側に配置される閉塞手段25などによって、蓋部35を浸漬管3に対して密封状態で押し付け、それにより蓋部35を加圧状態で固定している。有利には、浸漬管3上に蓋部35が気密状態で配置されることにより、吸引空気流のバイパス経路が形成されてしまうのを防止することができる。その結果、アクティブモードにおいて、吸引空気流の全ての部分が液体内を通過することになり、粒子を保持することが可能となっている。
【0062】
さらに、図示された清掃装置1は、真空発生手段6を備えており、この真空発生手段は、身近にあるケースでは、電気モータを有して構成されている。清掃装置1がアクティブモードのときに電気モータを回転させることにより、空気と粒子との混合物を清掃装置で吸引可能とするために、吸引空気流を生成することができる。電気モータは、周囲空気を利用することで、冷却回路によって冷却することができる。当該冷却回路には、上側ハウジング5の開口36を通じて、吸い込んだ空気を送ることが可能である。
【0063】
電気モータは、好ましくは、ブラシレス電気モータであってもよい。真空発生手段6は、発生した吸引空気流を清掃装置1の外部へと導く、空気出口39を有するとしてもよい。
図1~
図4に示した実施形態の例では、空気出口39はダクトであり、当該ダクトの端部には開口部が形成されている。この開口部は、好ましくは上側ハウジング5の格子状開口部であってもよく、マルチスロット開口部であってもよい。代替的な構成として、
図7~
図10に、低圧空気用の開口部が形成される場合の実施形態を示している。
【0064】
さらに、真空発生手段6は当該手段6の外周部に形成されて冷却回路における吸引空気を排出する役割を果たす冷却回路用の排出開口部38と、当該手段
6の外周部に形成されて吸引空気を排出する役割を果たす吸引空気流用の排出開口部37とを備えて構成される。
【0065】
有利には、清掃装置1の側面23,24をそれぞれ貫通するように形成される2つ以下の空気排出開口31を有するとしてもよい。この構成により、空気が冷却回路から排出されることになり、清浄化された吸引空気を外部環境へと戻すことができる。
【0066】
さらに、清掃装置1は、吸引空気流が流れ込む液滴分離器13を備えている。この液滴分離器13においては、当該分離器に設けられた流路20を有するため、吸引空気流から処理後の液滴やその他の粒子を分離することができる。
【0067】
さらに、分解組立図には、清掃装置1における複数段あるうちの別の1つのフィルタが、フィルタユニット27として形成されることが示されている。このフィルタユニット27は、繊維フィルタ30を取り付けるための取付けユニット28を有している。取付けユニット28は、吸引空気流における吸引空気経路上に繊維フィルタ30を配置する。この構成により、吸引空気流が繊維フィルタ30内を通過することになり、フィルタ内に粒子を保持することができる。有利なことに、残留する粒子の最小サイズは、孔密度として所望の密度を選択することによって決定することができ、そのため、複数段あるうちのこの段階のフィルタでは、とりわけ微小な塵をフィルタによって取り除くためには適している。
【0068】
図3は、公知の清掃装置1を垂直面で切った場合における断面図であり、清掃装置1がアクティブモードのときに発生する吸引空気流が通過する吸引空気経路29を、方向を示す矢印によって概略的に表している。
【0069】
前述したように、清掃装置1がアクティブモードのとき、粒子が担持された吸引空気流は、空気吸入口2を介して外部環境から吸引されるが、空気吸入口2は第1の管路断面21を有する。空気吸入口2は、中空円筒状の供給導管33を介して、液体保持ユニット4の浸漬管3の第1の端部7と動作可能に接続されている。
【0070】
浸漬管3は偏向部9を含んでいる。アクティブモードにおいて、この偏向部9は、粒子を担持した吸引空気流が、第1の端部7で水平流入方向R_einに対して実質的に垂直な流出方向へと偏向するように構成される。さらに、浸漬管3は、垂直軸Vに沿って延びる下降部10であって、液体保持ユニット4によって保持される液体中に少なくとも部分的に浸漬される下降部10を、含んでいる。
【0071】
本発明によれば、浸漬管3は、第2の端部8に第2の管路断面22を有し、この第2の管路断面22は、空気吸入口2の第1の管路断面21よりも大きい。有利なことに、空気吸入口2から浸漬管3の第2の端部8へと向かうと管路断面が広がるため、吸引空気流の流速が減少される。したがって、吸引空気流の流速は、液体中を通過する際に減少し、その結果、液体内を通過する間における洗浄効果が改善される。有利なことに、本発明において流速が低下することは、吸引空気流由来の粒子がより多く、液体中に捕捉されることを意味する。
【0072】
さらに、
図3の断面説明図では、偏向部9が、第1の管路断面21から第2の管路断面22へと向かうと管路断面が拡大するように構成され、また、偏向角βが90°の角度エレメントが設けられていることから、断面が垂直面である第1管路断面21から、断面が水平面である第2管路断面22へと移行する。
【0073】
偏向角βを90°とすることで、吸引空気流が浸漬管3の内壁面に対して流れ、それによって、流速の第1の調整がなされる。
【0074】
さらに、断面図には、浸漬管3の下降部10が側壁部に出口領域15を有し、当該出口領域15が粗めのフィルタ17を形成するための複数の開口14を有し、当該開口14が複数のロッド状ピン16によって形成されることが示されている。ピン16は、互いに平行に配列され、下降部10に沿って延び、2つのすぐ近くで隣り合うピン16が隙間状の開口14を形成する。浸漬管3の安定性を向上するために、垂直軸に沿って延びるピン16は、中間部分で互いに連結されている。そのため、2つの隣接するピン16は、常に、約2mmの幅と約20mmの長さを有すると共に、垂直軸に対して互いにオフセットされている、2つの隙間状の開口14を形成する。
【0075】
有利には、粗めのフィルタ17は、清掃装置1の複数段のフィルタのうちの第2のフィルタをなす。当該フィルタは、その幅2mmの開口14を通過できない大きな粒子を、吸引空気流から分離させて保持する。
【0076】
さらに、弾性力に抗する状態で浸漬管2上に配置される蓋部35は、粗めのフィルタ17によって保持された粒子を浸漬管3内から手動で除去するための、メンテナンス用開口部及び/又は清浄用開口部を形成している。
【0077】
さらに、断面図には、浸漬管3がその第2の端部8で、液体保持ユニット4の底部12に接続されていることも示されている。この目的のために、浸漬管3の端面11は、第2の端部8において底部12と直接的に接触している。したがって、底部12は、吸引空気流のための障壁を形成し、それにより吸引空気流は、側壁に形成された開口部を介して浸漬管3から流出するという効果を奏する。
【0078】
液体中を完全に飛散した後、吸引空気流は、液体内を通過する間に吸引空気流に取り込まれた液滴を、吸引空気流から分離して液体保持ユニット4に戻すために、吸引空気経路28において吸引空気導通方式で液体保持ユニット4の背後に配置された液滴分離器13に到達させる。有利なことに、液滴以外の他の粒子も、この過程で吸引空気流から分離することができる。このために、液滴分離器13が、清掃装置1の複数段の清掃のうちの第3段をなしている。
【0079】
さらに、液滴分離装置13は、水平面に対して45°の固定角αで配置されるように位置しており、液滴分離装置13の最下端の、紙面の奥行きに沿って延びている端部は、液体保持ユニット4への移送を容易にするために、液体保持ユニット4の上方に配置されていることが分かる。このように、回収され分離された液滴には重力が働くため、当該液滴を液体保持ユニット4内に戻すことができる。
【0080】
さらに、清掃装置1がアクティブモードのときには、吸引空気流は、最終的に、真空発生手段6と液滴分離器13との間に吸引空気伝導可能に配置されたフィルタユニット27を通過するように流れる。フィルタユニット27は、吸引空気流によって運ばれる微粒子を捕捉することを可能にする。これにより、繊維フィルタ30の孔密度が適宜となるようにその密度を選択することによって、有利な態様で具体的に影響を与えることができる。
【0081】
繊維フィルタ30を所定の方向に向けて固定するために、フィルタユニット27は、特に繊維フィルタ30をクランプ方式で収容するように構成された取付けユニット28を含んでいる。これにより、清掃装置1の複数段の清掃のうちの第4段を有利な態様で構成することができる。
【0082】
繊維フィルタ30内を通過した後、吸引空気流は、好ましくはUVC光発生手段34によって発生させたUVC光で照射された通路を通るように流れる。有利には、UVC光は、吸引空気流によって運ばれるウイルス及び細菌を殺すことが可能なので、これにより清掃装置1の複数段の清掃のうちの第5段を構成することができる。
【0083】
照射された通路を通った後、吸引空気流は、真空発生手段6に到達する。当該真空発生手段6は、手近なところでは、回転電気モータによって構成される。そして、清浄化された吸引空気流は、側面部23,24に形成された公知の空気排出開口31を介して外部環境へと戻される。
【0084】
さらに、真空発生手段6は、清掃装置1の上側領域に配置されていることに留意されたい。有利には、液体と接触することになる下部領域は、搭載された電子機器がある故に湿気を避けなければならない上部領域に対して、空間的に分離して配置されることが好ましい。
【0085】
図4は、公知の清掃装置1を水平面に沿って切ったときの第2の断面図である。
図には、排出口における概略的な吸引空気経路29に沿った吸引空気流の経路が示されており、吸引空気流は、最初に吸引空気排出開口37から外部環境に排出され、次に、ハウジングを貫通するように形成される空気排出開口31から、反対側表面23および24に排出される。
【0086】
さらに、真空発生手段6の冷却路を模式的に示す。真空発生手段6を冷却するための外気が、通気口36から吸引され、真空発生手段6の外周縁部に位置する冷却回路排出口38および空気排出口31から周囲へと排出されて、元へ戻る。
【0087】
図5は、
図3に示す視点から見た液滴分離装置13のB-B断面図である。
まず、当該断面図には、平面的に延びると共に、間隔をあけて配置された複数のプロファイルフィン19が形成された流下領域18が示されており、流下領域18に正面から衝突する吸引空気流の一部のみを部分的に流すための流路20は、すぐ傍で隣接する各2つのフィン19の間に形成されている。
【0088】
板金状のフィン19は、流路20に沿って所定の流れ方向にアーチ状の外形を有し、この外形によって部分的な流れが強制的に方向転換され、それにより真空領域が発生する。この方向転換により、運ばれた液滴は自重による慣性で遠心力を受け、その遠心力によって液体と運ばれた粒子(残留粒子)とが吸引されるという効果を奏する。
【0089】
図6では、
図5で、丸で囲んだ領域が拡大されて図示されている。さらに、
図6には、吸引空気流が液滴分離器13の流路20を通過する間における、吸引空気流の部分的な流れを、概略的に示している。
【0090】
模式図は、フィンのアーチ状の外形が、吸引空気流の部分的な流れのための偏向領域を形成することを示しており、このため、この部分流は、流路20を流れる際に少なくとも2回にわたり方向転換させられ、この方向転換により、運ばれた液滴および残留粒子が分離される。
【0091】
図3を参照すると、液体吸収体13の流れ方向領域18は小さくなるように選択され、及び/又は、浸漬管3の第2の管路断面22と比較して小さく設定されることに留意されたい。したがって、吸引空気流の流速は、吸引空気流が液体吸収体13に衝突するときに再び有利に増加させることができ、その結果、液滴及び/又は残留粒子に作用する遠心力も増加する。したがって、運ばれた液体滴の大部分は、有利には、吸引空気流から分離され、液体保持ユニットに戻すことができる。
【0092】
図7は、低圧空気出口を有する場合の、本発明に係る清掃装置1の代替的な実施形態を示す斜視図である。
図7は、上側ハウジング5が取り外されており、その意味で、図示されていない清掃装置1を示すものである。内側ハウジング40が見えており、当該内側ハウジングが、例えば、真空発生手段6を収容又はカバーする役割を果たすとしてもよい。好ましくは、内側ハウジング40は、遮音性を提供する。
【0093】
図7は、さらに、真空発生手段6の出口にある空気出口39の第1の部分41を示す。内側ハウジング40に上側ハウジング5を取り付けるための複数の取付け具42が、空気出口39の第1の部分41の周りに形成されている。好ましくは、騒音抑制のために上側ハウジングに接触することができるダンパー43を設けることができる。ダンパー43は、好ましくは、取付け具42に差し込むことができ、及び/又は取付け具42と接触するように配置することができる。
【0094】
図8は、ダンパー43を取り付けた状態の上側ハウジング5の様子を示す。ダンパーは、好ましくはバット状の、膨張空間45の底部44に配置されている。上側ハウジング5は、複数の凹部46を有する。凹部46のいくつかは、例えば、上部ハウジング要素5を内側ハウジング要素40に接続するための、ネジなどの締結手段を通すことが可能に構成されている。1つの凹部47は、より大きな直径を有し、膨張空間45の底部に位置する。空気出口39の第1の部分41は、凹部47内に通すことができる。したがって、真空発生手段6の吸引空気流は、出口において第1の部分41を介して、当該第1の部分41よりも大きな体積を有する膨張空間45に入る。これにより、吸引空気流の流れの緩和と安定化が図られ、真空発生手段6のエネルギー効率を改善した運転を行うことが可能となり、さらに騒音抑制の目的も果たすことができる。
【0095】
図9および
図10は、上側排気排出特徴部48を有する場合(
図10)と、有さない(
図9)場合との、上側ハウジング5の様子を示している。排気排出特徴部48は、有利には、上側ハウジング5内に挿入され、かつ上側ハウジング5に取り付けられるとしてもよい。排気排出特徴部48は、次に、上側ハウジング5と共に半径方向内側の部分に膨張空間45を形成する。半径方向外側部分において、上側ハウジング5及び排気排出特徴部48は、好ましくは、円周方向に延びる排気ギャップ49を規定し、この排気ギャップは、吸引空気の流れを出口において清掃装置1の外側へと案内する。膨張空間45と排気ギャップ49との間の分離は、有利には、通路孔50を備える分離壁53によって達成され得る。膨張空間45および排気ギャップ49を介して吸引空気流が排出されることにより、真空発生手段6のエネルギー効率を向上させ、また、清掃装置の動作時の騒音または音の発生に対して有利な影響を与える。
【0096】
好ましくは、排気ギャップ49および/または膨張空間45に照射ユニットを配置することができ、照射ユニットは、変更可能な光特性、好ましくは変更可能な光色を有し、真空発生手段6のパワーを設定するための設定手段に連結および/または接続される。好ましくは、照射ユニットは、多色LEDストリップとすることができ、特に好ましくは、空隙49または膨張空間45の円周方向に少なくとも部分的に延びる。したがって、ユーザが設定手段を用いて設定した真空発生手段6の電力は、上側ハウジング5、特にエアギャップ49の開放端を介して光学的に出力または表示されてもよい。
【0097】
図10に示すように、排気排出特徴部48は、単一ピース、好ましくはモノリシックでさえある部品であり、ハンドル51またはハンドルの一部から構成される。ハンドル51は、好ましくは、2つの部品から構成され、2つのハンドルシェル52から構成され得る。1つのハンドルシェルは、有利には、排気排出特徴部48によって構成され、または形成されるとすることができる。例えば、
図9に示される第2のハンドルシェル52は、プラグおよび/またはスナップロック接続によって、排気排出特徴部48のハンドルシェル52に接続されるとすることができる。
【0098】
図11は、
図7から
図10に示した実施形態における吸引空気流の経路をもう一度、模式的に示している。真空発生手段6の入口では、対応する矢印で示すように、吸引空気流が、比較的高い圧力下又は真空で吸引される。出口において、特に空気出口39の第1部分41の領域において、円錐形の流れ分配器54が、モータ出口における空気流を分配し、それによって風せん断ノイズおよび換気ノイズを低減するとの用途で使用される。次に、風圧を分散させるために、円形及び/又は楕円形のフードを用いて、風速及び風切り音を低減させる。フードは、例えば、膨張空間45及び/又は排気隙間49によって形成することができる。
【符号の説明】
【0099】
1 清掃装置
2 空気吸入口
3 浸漬管
4 液体保持ユニット
5 上側ハウジング
6 真空発生手段
7 浸漬管の第1の端部
8 浸漬管の第2の端部
9 偏向部
10 下降部
11 端面
12 底部
13 液滴分離器
14 開口部
15 出口領域
16 ピン
17 粗めのフィルタ
18 流下領域
19 フィン
20 流路
21 第1の導管断面図
22 第2の導管断面図
23 側面(第1)
24 側面(第2)
25 閉塞手段
26 下側ハウジング
27 フィルタユニット
28 繊維フィルタの取付けユニット
29 吸引空気経路
30 繊維フィルタ
31 空気排出開口
32 前面
33 供給導管
34 UVC光発生手段
35 浸漬管の蓋部
36 冷却回路に空気を供給するための通気孔
37 真空発生手段の吸引空気流吐出口
38 真空発生手段の冷却回路用の排出開口
39 空気出口
40 内側ハウジング
41 第1の部分
42 取付け具
43 ダンパー
44 底部
45 膨張空間
46 凹部
47 凹部
48 排気排出特徴部
49 排気ギャップ
50 通路孔
51 ハンドル
52 ハンドルシェル
53 分離壁
54 流れ分配器
R_ein 流入方向
V 縦軸
H 水平軸
α 固定角
β 偏光角
【国際調査報告】