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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-11-01
(54)【発明の名称】自動車両用洗浄システム
(51)【国際特許分類】
   B60S 1/62 20060101AFI20231025BHJP
   B60S 1/46 20060101ALI20231025BHJP
   B60S 1/48 20060101ALI20231025BHJP
【FI】
B60S1/62 120B
B60S1/46 Z
B60S1/48 A
B60S1/48 Z
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023524210
(86)(22)【出願日】2021-09-24
(85)【翻訳文提出日】2023-06-14
(86)【国際出願番号】 EP2021076394
(87)【国際公開番号】W WO2022083971
(87)【国際公開日】2022-04-28
(31)【優先権主張番号】2010771
(32)【優先日】2020-10-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】512092737
【氏名又は名称】ヴァレオ システム デシュヤージュ
【氏名又は名称原語表記】VALEO SYSTEMES D’ESSUYAGE
(74)【代理人】
【識別番号】100120031
【弁理士】
【氏名又は名称】宮嶋 学
(74)【代理人】
【識別番号】100127465
【弁理士】
【氏名又は名称】堀田 幸裕
(74)【代理人】
【識別番号】100141830
【弁理士】
【氏名又は名称】村田 卓久
(72)【発明者】
【氏名】マキシム、ボドワン
(72)【発明者】
【氏名】ジュゼッペ、グラッソ
(72)【発明者】
【氏名】ドニ、テボー
(72)【発明者】
【氏名】ヨアン、ドレ
(72)【発明者】
【氏名】アドリアン、ペレ
【テーマコード(参考)】
3D225
【Fターム(参考)】
3D225AA11
3D225AB01
3D225AC02
3D225AD02
3D225AD03
3D225AD22
3D225AF01
3D225AF02
3D225AF03
3D225AF06
3D225AG51
3D225AG79
(57)【要約】
本発明は、自動車両(4)に取り付けられるのに適するとともに、少なくとも1つの第1の及び少なくとも1つの第2の洗浄装置(6,8)を備え、各洗浄装置(6,8)が、洗浄液リザーバ(10)と、洗浄液を噴射するための少なくとも1つの洗浄ノズルと、リザーバ(10)から洗浄ノズルに洗浄液を搬送するように構成される流体分配回路(14)と、リザーバ(10)に収容された洗浄液を流体分配回路(14)に注入するように構成されるポンプ(12)とを備える洗浄システム(2)に関し、洗浄システム(2)は、少なくとも2つの洗浄装置(6,8)をそれらのそれぞれの流体分配回路(14)によって接続するバイパス装置(22)を更に備え、バイパス装置は、バックアップライン(24)と、ポンプ(12)の故障状態に応じて制御されるバックアップライン(24)上に配置される電磁弁(26)とを備えるとともに、一方の洗浄装置(6,8)の洗浄ノズルに他方の洗浄装置(6,8)のリザーバ(10)から供給するように構成され、各洗浄装置(6,8)は、そのリザーバ(10)とバイパス装置(22)に対する接続ポイントとの間に逆止部材(28)を備える。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動車両(4)に取り付けられるのに適するとともに、少なくとも1つの第1の及び少なくとも1つの第2の洗浄装置(6,8)を備え、各洗浄装置(6,8)が、洗浄液リザーバ(10)と、洗浄液を噴射するための少なくとも1つの洗浄ノズルと、前記リザーバ(10)から前記洗浄ノズルに洗浄液を搬送するように構成される流体分配回路(14)と、前記リザーバ(10)に収容された前記洗浄液を前記流体分配回路(14)に注入するように構成されるポンプ(12)とを備える、洗浄システム(2)であって、
前記洗浄システム(2)は、少なくとも2つの洗浄装置(6,8)をそれらのそれぞれの流体分配回路(14)によって接続するバイパス装置(22)を更に備え、前記バイパス装置は、バックアップライン(24)と、ポンプ(12)の故障状態に応じて制御される前記バックアップライン(24)上に配置される電磁弁(26)とを備えるとともに、一方の洗浄装置(6,8)の前記洗浄ノズルに他方の洗浄装置(6,8)の前記リザーバ(10)から供給するように構成され、
各洗浄装置(6,8)は、そのリザーバ(10)と前記バイパス装置(22)に対する接続ポイントとの間に逆止部材(28)を備える、
ことを特徴とする洗浄システム(2)。
【請求項2】
前記第1の洗浄装置(6)が前記自動車両(4)の前部に配置され、前記第2の洗浄装置(8)が前記自動車両(4)の後部に配置される、請求項1に記載の洗浄システム(2)。
【請求項3】
前記バイパス装置(22)が前記バックアップライン(24)上に配置された二方向ポンプ(30)を備える、請求項1又は2に記載の洗浄システム(2)。
【請求項4】
前記逆止部材(28)が逆止弁を備える、請求項1から3のいずれか一項に記載の洗浄システム(2)。
【請求項5】
前記逆止部材(28)は、好ましくは前記リザーバ(10)内に収容された前記洗浄液を前記流体分配回路(14)に注入するように構成される前記ポンプ(12)に存在する電磁弁を備える、請求項1から4のいずれか一項に記載の洗浄システム(2)。
【請求項6】
3つ以上の洗浄装置(6,8)を備え、1つの洗浄装置(6,8)の前記流体分配回路(14)は、バイパス装置(22)によって他の洗浄装置(6,8)の少なくとも1つの流体分配回路(14)に接続される、請求項1から5のいずれか一項に記載の洗浄システム(2)。
【請求項7】
各洗浄装置(6,8)は、前記ポンプ(12)から来る一次パイプ(18)を複数の洗浄ノズルから来る一連の二次パイプ(20)に接続する液体分配器(16)と、他の洗浄装置の前記ポンプ(12)の故障状態に応じて1つの洗浄装置の前記液体分配器(16)を閉じるように構成される制御ユニット(21)とを備える、請求項1から6のいずれか一項に記載の洗浄システム(2)。
【請求項8】
前記第1及び第2の洗浄装置(6,8)の動作状態を監視するための回路と、前記監視回路に接続されて前記バイパス装置(22)の前記電磁弁(26)を開くように構成される制御ユニット(21)とを備える、請求項1から7のいずれか一項に記載の洗浄システム(2)。
【請求項9】
前記監視回路は、前記第1又は第2の洗浄装置(6,8)の前記ポンプ(12)の故障状態を検出するように構成される、請求項8に記載の洗浄システム(2)。
【請求項10】
前記監視回路は、前記ポンプ(12)の上流側に位置される1つの圧力センサと、前記ポンプ(12)の下流側で且つ前記逆止部材(28)の上流側に位置される他の圧力センサとを備える、請求項9に記載の洗浄システム(2)。
【請求項11】
前記監視回路は、前記第1又は第2の洗浄装置(6,8)の前記リザーバ(10)内の液体レベルが所定の閾値を下回ることを検出するように構成される、請求項8から10のいずれか一項に記載の洗浄システム。
【請求項12】
請求項1から11のいずれか一項に記載の洗浄システム(2)を使用して自動車両センサを洗浄するための方法であって、
-前記第1の洗浄装置(6)の故障を検出するステップと、
-前記バイパス装置(22)の前記電磁弁(26)の開放を命令するステップと、
-前記バックアップライン(24)内の洗浄液を前記第1の洗浄装置(6)の前記洗浄ノズルに注入するために前記第2の洗浄装置(8)の前記ポンプ(12)の始動を命令するステップと、
を含む方法。
【請求項13】
前記第2の洗浄装置(8)の前記ポンプ(12)の始動を命令する前記ステップは、前記バックアップライン(24)上に配置された二方向ポンプ(30)を始動させるための命令と結合される、請求項12に記載の洗浄方法。
【請求項14】
前記第1の洗浄装置(6)の故障が検出された後に、前記第2の洗浄装置(8)の前記ポンプ(12)から来る一次パイプ(18)を前記第2の洗浄装置(8)の複数の洗浄ノズルから来る一連の二次パイプ(20)に接続する前記第2の洗浄装置の液体分配器(16)を閉じるステップを含む、請求項12又は13に記載の洗浄方法。
【請求項15】
前記第1の洗浄装置(6)の故障は、前記第1及び第2の洗浄装置(6,8)の動作状態を監視するための回路によって検出され、前記バイパス装置(22)の前記電磁弁(26)を開放するための前記命令が制御ユニット(21)によって制御される、請求項12から14のいずれか一項に記載の洗浄方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車両に搭載されるのに適した、自動車両の表面、特に自動車両センサの表面を洗浄するためのシステムに関し、より詳細には、複数の洗浄装置を備えるシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
多くの自動車両センサは、異なるタイプの汚れに晒される領域に位置される。自動車両センサは、例えば、様々な運転者支援カメラ又は車両に配置された距離センサ、超音波センサ、レーダ、LIDARセンサ又はレインセンサを含む。定義によればユーザの介入を伴うことなく走行することができなければならない自律型車両上の非常に多くのそのようなセンサがある。
【0003】
前述の汚れは、これらのセンサを誤動作させる可能性がある。したがって、それらのセンサを洗浄するための複数の装置(車両全体にわたって配設される)、例えば、車両の前部に配置された1つの洗浄装置及び車両の後部に配置された他の洗浄装置を設けて、それらが経時的に満足に動作するようにする必要がある。センサ上に形成された霜がセンサを誤動作させる可能性もある。
【0004】
従来、そのような洗浄装置は、洗浄液が貯留されるリザーバと、センサの前方に配置された少なくとも1つの洗浄ノズルに洗浄液を搬送して洗浄液をセンサに噴射できるようにする様々なパイプ又はチューブから構成される流体分配回路とによって構成される(原則として、複数のセンサのための複数の洗浄ノズルが存在する)。
【0005】
流体分配回路内の洗浄液を洗浄ノズルに推進するのに適したポンプが、一般に、リザーバに直接に取り付けられる。より具体的には、ポンプの液体吸入チューブがリザーバに形成された開口に圧入され(アセンブリが漏れないようにするためにシールが使用される)、液体排出オリフィスが流体分配回路に接続される。
【0006】
汚れの存在に起因するセンサの誤動作が(例えば自動的に)検出されると、ポンプは、大気圧と同様の圧力(圧力はリザーバ内の洗浄液のレベルに依存する)である洗浄液をリザーバから引き出し、その洗浄液をより高い圧力(圧力差はポンプの容量に依存する)で流体分配回路内に推進する。加圧された洗浄液は、洗浄ノズルによってセンサ上に噴射される。
【0007】
したがって、様々な洗浄装置は、車両上の全てのセンサを洗浄してその最適な動作を確保できるようにする。
【0008】
例えば、車両が上記のような2つの洗浄装置を備えることが可能であり、一方の洗浄装置が車両の前方に配置され、他方の洗浄装置が車両の後方に配置される。各装置は、洗浄液リザーバ及び少なくとも1つの洗浄ノズルを備え、これらの2つは流体分配回路によって接続される。各洗浄装置は、加圧された洗浄液を洗浄ノズルに搬送できるようにする独自のポンプを備える。これらの洗浄装置は、互いに独立して動作し、車両の前方及び後方の表面をそれぞれ洗浄する。
【0009】
しかしながら、特に故障の場合には、そのようなシステムの欠点がある。
【0010】
前述したように、2つ(又は3つ以上)の洗浄システムを備える車両の場合、洗浄液を流体分配回路内に推進するためのポンプの故障により、車両ストッパに取り付けられた洗浄装置のうちの1つが作動する場合がある。このとき、液体をリザーバから引き出して故障したポンプによって供給される洗浄ノズルに搬送することができない。この場合、車両の特定の領域(例えば、車両の前部又は後部)に配置されたセンサの動作が損なわれる可能性があり、これは、特にセンサの満足のいく動作が大きな課題である自律型車両に関して危機的となり得る。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明は、特に、自動車両に取り付けられるのに適した自動車両表面を洗浄するためのシステムであって、洗浄ノズル(複数可)に供給するためのポンプに故障を伴う洗浄装置の動作を、グレードが低下されているにもかかわらず、可能にする手段を備えるシステムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
この目的のために、本発明は、自動車両に取り付けられるのに適するとともに、少なくとも1つの第1の及び少なくとも1つの第2の洗浄装置を備え、各洗浄装置が、洗浄液リザーバと、洗浄液を噴射するための少なくとも1つの洗浄ノズルと、リザーバから洗浄ノズルに洗浄液を搬送するように構成される流体分配回路と、リザーバに収容された洗浄液を流体分配回路に注入するように構成されるポンプとを備える、洗浄システムに関し、洗浄システムは、少なくとも2つの洗浄装置をそれらのそれぞれの流体分配回路によって接続するバイパス装置を更に備え、バイパス装置は、バックアップラインと、ポンプの故障状態に応じて制御されるバックアップライン上に配置される電磁弁とを備えるとともに、一方の洗浄装置の洗浄ノズルに他方の洗浄装置のリザーバから供給するように構成され、各洗浄装置は、そのリザーバとバイパス装置に対する接続ポイントとの間に逆止部材を備える。
【0013】
これにより、洗浄装置の不具合を、この洗浄装置に他の洗浄装置の洗浄液を供給することで解消することができる。
【0014】
全ての洗浄装置が作動しているとき、バイパス装置の電磁弁は閉じられ、洗浄装置間の流体連通は不可能である。
【0015】
しかしながら、洗浄装置のポンプが洗浄ノズルに洗浄液を送ることがもはやできなくなると、この不具合が(例えば自己診断によって)検出される。その後、バイパス装置の電磁弁が開き、動作不能な洗浄装置の洗浄ノズルに供給するべく他の洗浄装置の作動ポンプが起動される。したがって、グレードが低下しているにもかかわらず、その動作を確保することが可能である。逆止部材の存在は、バイパス装置を介して注入された洗浄液が動作不能な洗浄装置の洗浄ノズルに正しく案内されるようにすることを可能にする。
【0016】
個々に又は組み合わせて解釈される、洗浄システムの更なる任意選択的な特徴によれば、
-第1の洗浄装置が例えば自動車両の前部に配置され、第2の洗浄装置が例えば自動車両の後部に配置される。したがって、自動車両は、洗浄されるべき領域の可能な限り近くに配設される異なる洗浄装置を備える;
-バイパス装置は、バックアップライン上に配置される二方向ポンプを備えることができる。したがって、このポンプは、どの洗浄装置が故障したかにかかわらず、故障した洗浄装置に供給するために洗浄液がバックアップラインに入るときの圧力降下を回避できるようにする;
-逆止部材は逆止弁を備えることができる。したがって、単純なアセンブリが得られる;
-逆止部材は、リザーバ内に収容された洗浄液を流体分配回路に注入するように構成される、好ましくはポンプに存在する電磁弁を備えることができる。この解決策の利点は、電磁弁が、逆止弁として作用するために閉じられ得るが、例えば、1つの洗浄装置の空のリザーバを他の洗浄装置のリザーバからの洗浄液で満たすために開放されることも可能であるという事実にある;
-洗浄システムは、3つ以上の洗浄装置を備えることができ、この場合、1つの洗浄装置の流体分配回路は、バイパス装置によって他の洗浄装置の少なくとも1つの流体分配回路に接続され得る。したがって、各洗浄装置が他の洗浄装置の故障を補償できる洗浄装置の対をもたらすこと、又は自動車両に取り付けられた洗浄装置の全てを接続することが可能である;
-各洗浄装置は、ポンプから来る一次パイプを複数の洗浄ノズルから来る一連の二次パイプに接続する液体分配器と、他の洗浄装置のポンプの故障状態に応じて1つの洗浄装置の液体分配器を閉じるように構成される制御ユニットとを備えることができる。したがって、第1の洗浄装置が故障した場合、第2の洗浄装置の分配器、特にこの分配器に存在する電磁弁を閉じて、第2の洗浄装置のリザーバから引き出された洗浄液の全てが第1の洗浄装置の流体分配回路及びその洗浄ノズルに送られるようにすることができる;
-洗浄システムは、第1及び第2の洗浄装置の動作状態を監視するための回路と、監視回路に接続されてバイパス装置の電磁弁を開くように構成される制御ユニットとを備えることができる。したがって、洗浄装置の故障の自動検出及びこの診断に応じたバイパス装置の作動が得られる;
-監視回路は、第1又は第2の洗浄装置のポンプの故障状態を検出するように構成され得る。したがって、洗浄装置のリザーバから洗浄液を引き出すために使用されるポンプの故障に特に焦点が当てられる;
-監視回路は、ポンプの上流側に位置される1つの圧力センサと、ポンプの下流側に且つ逆止部材の上流側に位置される他の圧力センサとを備えることができる。これは、例えば、ポンプの故障、したがって洗浄装置の故障を示す、ポンプの下流側の圧力不足を記録できるようにするアセンブリの一例であり;及び
-監視回路は、特に、第1又は第2の洗浄装置のリザーバ内の液体レベルが所定の閾値を下回ることを検出するように構成される。したがって、例えば洗浄装置が動作し続けることができるようにするべく、他のリザーバによるこのリザーバの充填を想定することができる。洗浄システムの構造がそのような充填を可能にしない場合、不十分な洗浄液レベルの検出は、他の洗浄装置がバックアップラインによって洗浄ノズルに供給できるようにする。
【0017】
また、本発明は、本発明に係る洗浄システムを使用して自動車両センサを洗浄するための方法にも関連し、この方法は、
-第1の洗浄装置の故障を検出するステップと、
-バイパス装置の電磁弁の開放を命令するステップと、
-バックアップライン内の洗浄液を第1の洗浄装置の洗浄ノズルに注入するために第2の洗浄装置のポンプの始動を命令するステップと、
を含む。
【0018】
したがって、前述したように、他の洗浄装置を使用して故障した洗浄装置の流体分配回路及び洗浄ノズルに供給することによって、少なくともグレードが下がったモードにおいて、故障した洗浄装置を動作させ続けることが可能である。
【0019】
個々に又は組み合わせて解釈される、洗浄方法の更なる任意選択的な特徴によれば、
-第2の洗浄装置のポンプの始動を命令するステップは、バックアップライン上に配置された二方向ポンプを始動させるための命令と結合され得る。したがって、直列の2つのポンプの動作は、第2の洗浄装置のリザーバから第1の洗浄装置の洗浄ノズルへの洗浄液の流れに起因する圧力降下を制限又は補償することさえ可能にする。
【0020】
-方法は、第1の洗浄装置の故障が検出された後に、第2の洗浄装置のポンプから来る一次パイプを第2の洗浄装置の複数の洗浄ノズルから来る一連の二次パイプに接続する第2の洗浄装置の液体分配器を閉じるステップを含むことができる。したがって、第1の洗浄装置が故障した場合、第2の洗浄装置の分配器、特にこの分配器に存在する電磁弁を閉じて、第2の洗浄装置のリザーバから引き出された洗浄液の全てが第1の洗浄装置の流体分配回路及びその洗浄ノズルに送られるようにすることができる;
-第1の洗浄装置の故障は、第1及び第2の洗浄装置の動作状態を監視するための回路によって検出することができ、バイパス装置の電磁弁を開くための命令は、制御ユニットによって制御される。したがって、洗浄装置の故障の自動検出及びこの診断に応じたバイパス装置の作動が得られる;
-監視回路は、第1の洗浄装置のポンプの故障を検出することができる。したがって、洗浄装置のリザーバから洗浄液を引き出すために使用されるポンプの故障に特に焦点が当てられている;及び
-第1の洗浄装置のポンプの故障は、ポンプの上流側に位置される1つの圧力センサと、ポンプの下流側に且つ逆止部材の上流側に位置される他の圧力センサとによって取得される圧力測定値によって検出され得る。これは、例えば、ポンプの故障、したがって洗浄装置の故障を示す、ポンプの下流側の圧力不足を記録できるようにするアセンブリの一例である。
【0021】
本発明は、単なる一例として添付図面に関連して与えられる以下の説明を読むことによってより良く理解され得る。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】動作状態にある第1及び第2の洗浄装置を備える、本発明に係る洗浄システムの概略図である。
図2】第1の洗浄装置が故障している、図1の洗浄システムの概略図である。
図3】第2の洗浄装置からの第1の洗浄装置のリザーバの充填を示す、図1の洗浄システムの概略図である。
図4】第1の洗浄装置が故障している、本発明の変形例に係る洗浄システムの概略図である。
図5】洗浄装置が故障した場合の本発明に係る洗浄方法の異なるステップの概略図である。
図6】他の洗浄装置から1つの洗浄装置のリザーバを充填する場合の洗浄方法の異なるステップの概略図である。
【0023】
図に関連して説明される実施形態は例である。説明は1つ以上の実施形態に言及するが、これは、各言及が同じ実施形態に関連すること、又は特徴が1つの実施形態にのみ適用されることを必ずしも意味しない。様々な実施形態の個々の特徴を組み合わせて、他の実施形態を作成することもできる。
【0024】
「上流」及び「下流」という用語は、処理されるべき材料の流れの搬送方向で要素/装置の位置を特定するために使用される。したがって、材料が第1の装置によって最初に処理され、次いで第2の装置によって処理される場合、第1の装置又は要素、例えばポンプは、第2の装置又は要素の上流側に位置される。
【発明を実施するための形態】
【0025】
ここで、自動車両4に取り付けられた洗浄システム2を示す図1を参照する。この洗浄システム2の目的は、例えば車両に取り付けられたセンサ、又はウインドシールドもしくはリアウィンドウなどの自動車両4の様々な表面を洗浄できるようにすることである。図は、洗浄システム2の動作状態に応じた洗浄液の流れの方向を示す矢印32を含む。
【0026】
図示の例において、洗浄システムは、車両の前部に配置された第1の洗浄装置6と、車両の後部に配置された第2の洗浄装置8とを備える。
【0027】
各洗浄装置は、ポンプ12が取り付けられる洗浄液リザーバ10を備える。ポンプ12は、ポンプ12を収容するためのリザーバ10の凹部に取り付けられ、リザーバ10がオリフィスを備え、オリフィスに挿通してポンプ12の吸入チューブが取り付けられ、アセンブリが漏れないようにするために、オリフィスの周りでリザーバ10とポンプ12との間の界面にシールを伴う。従来のように、ポンプ12は、例えば管状の本体を備える標準的なポンプである。この本体は、圧送する第1の部分と、電気モータを備える駆動する第2の部分とから構成され得る。圧送する第1の部分は、リザーバ10から洗浄液を受けてそれをポンプ12の吸入圧力よりも高い圧力で排出することができるように、液体吸入チューブ及び液体排出チューブを備える。液体吸入チューブは、圧送する第1の部分の自由端に配置され、ポンプ12の本体と同軸であり、それと同じ回転軸を共有することができる。駆動する第2の部分は、圧送する第1の部分から本体の回転軸に対して垂直な方向で延びることができる。
【0028】
駆動する第2の部分は、圧送する第1の部分の上方に位置することができ、電気モータを備えるとともに、その自由端に、ポンプ12を電源に接続できるようにするコネクタを備えることができる。
【0029】
複数の洗浄ノズル(図示せず)が洗浄装置6及び8の他端に位置され、これらの洗浄ノズルは、洗浄されるべき自動車両の表面の前方に配置されてその表面に加圧洗浄液を噴射するのに適している。
【0030】
各洗浄装置は、異なる部材(ポンプ12、洗浄ノズル等)を互いに接続して流体分配回路14を形成するパイプ(又はチューブ)を更に備える。
【0031】
単一のリザーバ10が複数の洗浄ノズルに供給する場合、各洗浄装置は、図示のように、ポンプ12から来る一次パイプ18を複数の洗浄ノズルから来る一連の二次パイプ20に接続できるようにする液体分配器16を備えることができる。従来、洗浄装置は、二次パイプ20への供給を可能にする又は防止するための1つ以上の電磁弁を備えることができる。各洗浄ノズルへの供給の特定の制御のために、全ての二次パイプ20への供給を制御するための液体分配器16の吸入口における一次パイプ上の電磁弁、又は各二次パイプ20上の電磁弁の存在を想定することができる。任意のタイプの電磁弁、例えば常開型又は常閉型の電磁弁を使用することができる。
【0032】
また、洗浄システムは、例えば、作動している洗浄装置の洗浄ノズルへの供給をオフに切り替えて、この装置の洗浄液が故障した洗浄装置に変向されるようにするために、例えば電磁弁の液体分配器の開閉を制御できるようにする制御ユニット21を備えることもできる。
【0033】
洗浄システム2は、2つの洗浄装置6,8をそれらのそれぞれの流体分配回路14によって接続するバイパス装置22を更に備える。
【0034】
バイパス装置22は、第1の洗浄装置6の流体分配回路14を第2の洗浄装置8の流体分配回路14に接続する、好ましくは各洗浄装置のポンプ12と液体分配器16との間で接続するバックアップ回路24を備える。したがって、2つの洗浄装置間の流体連通が確立され、それにより、一方の洗浄装置に対して他方の洗浄装置のリザーバ10に貯蔵された洗浄液を供給することができる。
【0035】
また、バイパス装置22は、バックアップライン24上に配置されてポンプの故障状態に応じて制御される電磁弁26も備える。言い換えれば、
図1に見られるように、2つの洗浄装置間の流体連通を防止するために2つの洗浄装置が作動しているときに電磁弁26が閉じられるが、
図2図3及び図4に見られるように、2つの洗浄装置のうちの一方が故障したとき、電磁弁26は、動作している洗浄装置が他方の洗浄装置を少なくともグレードが下がったモードで動作させることができるようにするために開いている。
【0036】
任意のタイプの電磁弁、例えば常閉型の電磁弁を使用することができる。
【0037】
洗浄装置の数が2つよりも多い場合、各洗浄装置が1つ以上の他の洗浄装置に接続されるようにすることが可能であり、バイパス装置22による全ての洗浄装置の互いの接続さえも想定され得る。
【0038】
各洗浄装置は、そのリザーバ10とバイパス装置に対する接続ポイントとの間に逆止部材28を備える。
【0039】
図1図3に示される第1の変形例によれば、逆止部材28は、対象の洗浄装置のポンプ12から来る液体の通過のみを可能にする逆止弁を備える。これは、動作している洗浄装置から来る洗浄液が故障した洗浄装置のリザーバ10に戻されるのを防止する簡単な方法である。
【0040】
図4及び図3に示される第2の変形例によれば、逆止部材28は、リザーバ10内に収容された液体を流体分配回路(図示せず)に注入するように構成されたポンプに存在する、前方洗浄装置用の1つの電磁弁29,29A及び後方洗浄装置用の電磁弁29Rを備える。この変形例の利点は、動的システムを有することにある。言い換えれば、
-洗浄装置が作動しているとき、電磁弁29は、リザーバ10から来る洗浄液を通過できるように開いており、電磁弁26は閉じられ、
-洗浄装置が故障したとき、特にポンプが故障したとき、電磁弁29は、動作している洗浄装置から来る洗浄液が故障した洗浄装置のリザーバ10に戻されるのを防ぐために閉じられ、電磁弁26は開いており、
-洗浄装置の洗浄液リザーバ10を充填する必要があるが、ポンプ12が動作可能である場合、電磁弁29は、他の洗浄装置から来る洗浄液がリザーバ10に到達できるようにするべく開いている。液体分配器の制御ユニット21は、そのリザーバ10が充填されるべき洗浄装置の洗浄ノズルによって洗浄液が排出されるのを防止するために分配器を閉じることができる。液体を引き出す洗浄装置の液体分配器16も同様の理由で閉じられる。
【0041】
第1のリザーバのために図3に示されるリザーバ10を充填するこの可能性に関して、洗浄システム2は、第1又は第2の洗浄装置のリザーバ10内の液体レベルが所定の閾値未満であることを検出するように構成される監視回路31を備えることが可能であり、例えば、リザーバ10内の液体レベルを測定するプローブを備える。不十分な液体レベルが検出されると、リザーバ10は、そのポンプ12を作動させ、バイパス装置22の電磁弁26を開き、逆止部材を形成する電磁弁29Aを開くことによって、他の洗浄装置から来る洗浄液で充填され得る。図3に示されるように、2つの洗浄装置の液体分配器16の弁は、洗浄ノズルによる洗浄液の排出をそれが望まれないときに防止するべく閉じられる。
【0042】
逆止部材28が逆止弁を備える場合、不十分な液体レベルは、他の洗浄装置が結果として洗浄ノズルに供給することになる故障にたとえられ得る。
【0043】
図4に示される変形例において、バイパス装置は、バックアップライン上に配置された二方向ポンプ30を更に備える。上記で説明したように、これは、どの洗浄装置が故障したかにかかわらず、動作している洗浄装置のリザーバ10から故障した洗浄装置の洗浄ノズルへの洗浄液の流れに起因する圧力降下を克服できるようにする。二方向ポンプ30の容量に応じて、ノズル出口圧力が動作している洗浄装置のポンプ12の出口圧力よりも大きくなるようにすることさえ可能である。二方向ポンプ30が存在しない場合でも、故障した洗浄装置の少なくともグレードが低下した動作を確保することが可能である。
【0044】
上記で説明したように、洗浄システムは、第1及び第2の洗浄装置6,8のリザーバ10の充填レベルを測定するための監視回路31を備えることができる。明らかに、この監視回路31は、第1及び第2の洗浄装置の動作状態を監視し、したがって洗浄装置の故障を検出するために使用することができる。
【0045】
例えば、監視回路31は、具体的には、第1又は第2の洗浄装置6,8のポンプ12の故障状態を検出するように構成され得る。監視回路31は、ポンプ12の上流側に位置される1つの圧力センサと、ポンプ12の下流側に且つ逆止部材28の上流側に位置される他の圧力センサとを備えることが可能である。ポンプ12の下流側での圧力上昇の欠如が記録される場合には、洗浄装置の故障が記録される。
【0046】
監視回路31を制御ユニット21に接続することができる。このとき、監視回路31による故障の観測は制御ユニット21に伝達され、制御ユニットは、電磁弁26を開き、故障した洗浄装置に接続された動作している洗浄装置のポンプを始動させることもできる。
【0047】
第1の洗浄装置6の故障の場合に、図2及び図4を参照して前述した洗浄システムの動作モードを説明する(バックアップライン24上の電磁弁26と、逆止部材28を形成する電磁弁とを備える変形例)。動作モードは、第2の洗浄装置8の故障についても同じである。図5は、この動作モードの異なるステップを示す。
【0048】
第1のステップ34は、例えば第1の洗浄装置6の故障を検出することから成る。この故障は、特に監視回路31によって検出され得る。これは、センサがポンプ12の上流側及び下流側に存在する又はリザーバ10内の液面をプローブが測定することで、前述のように検出することができる。この段階で、第1の洗浄装置6の故障をもたらす異常が診断されている。
【0049】
第2のステップ36は、例えば監視回路に結合された制御ユニット21からの、バイパス装置22の電磁弁26を開放するための命令である。この開放命令は、使用する電磁弁のタイプに依存する。この時点で、第2の洗浄装置8の液体分配器16、並びに第1の洗浄装置6の逆止部材28を形成する電磁弁29を閉じるステップ38も想定され得る。この段階で、バイパス装置22は、第2の洗浄装置8から第1の洗浄装置6に液体を搬送することができる。第2の洗浄装置8の液体分配器16が閉じられている場合、第1の洗浄装置6上に逆止部材28を形成する想定し得る電磁弁29と共に、第2の洗浄装置8から第1の洗浄装置6への液体の注入の準備が全て整う。したがって、ステップ36及び任意選択的なステップ38は、洗浄液の変向の準備を可能にする。
【0050】
第3のステップ40は、バックアップライン24内の洗浄液を第1の洗浄装置6の洗浄ノズルに注入するために、第2の洗浄装置8又は第2の洗浄装置8のうちの1つのポンプ12を始動させるための命令である。図4に示されるように二方向ポンプ30がバックアップライン24に存在する場合、バックアップラインは、第2の洗浄装置8のポンプ12と同期して作動されることが好ましい(本方法のステップ42)。このステップ中、第2の洗浄装置8の液体分配器16と、第1の洗浄装置6上に逆止部材28を形成する電磁弁29とを閉じることができる。したがって、洗浄液は、第2の洗浄装置8のリザーバ10から引き出されて、バイパス装置22のバックアップライン24によって第1の洗浄装置6の洗浄ノズルに注入される。
【0051】
この一連のステップ34、36,40に続いて、例えば修理又は保守作業の後に、第1の洗浄装置の動作がもはや必要でないときに、電磁弁26を閉状態に戻すことができ、二方向ポンプ30を、第2の洗浄装置8のポンプ12と共に停止させることができ、閉じられていた部材の全てが、状態を復元するために再び開かれる(初期状態に戻るステップ44)。
【0052】
第1の洗浄装置6のリザーバ10に第2の洗浄装置8のリザーバ10から来る洗浄液を充填する必要がある場合(図6に示される)、以下のステップ、すなわち、
-例えば監視回路のプローブによって、第1の洗浄装置6のリザーバ10内の所定の閾値を下回る洗浄液レベルを検出するステップ46と、
-電磁弁26の開放を命令するステップ48及び第1の及び第2の洗浄装置6,8の液体分配器16の潜在的な閉鎖を命令すること(ステップ50)であって、第1の洗浄装置6上に逆止部材28を形成する電磁弁が開放されているステップ(電磁弁のタイプに応じて受動的又は能動的に、ステップ52)と、
-バックアップライン24内の洗浄液を第1の洗浄装置6のリザーバ10に注入するために第2の洗浄装置8のポンプ12の始動を命令するステップ54と、
が実行される。
【符号の説明】
【0053】
2 洗浄システム
4 自動車両
6 第1の洗浄装置
8 第2の洗浄装置
10 リザーバ
12 ポンプ
14 流体分配回路
16 液体分配器
18 一次パイプ
20 二次パイプ
21 制御ユニット
22 バイパス装置
24 バックアップライン
26 バイパス装置の電磁弁
28 逆止部材
29,29A,29R 逆止部材を形成する電磁弁
30 二方向ポンプ
31 監視回路
32 洗浄液の方向
34 第1の洗浄装置の故障検出
36,48 バイパス装置の電磁弁を開くための命令
38 第2の装置の液体分配器と、第1の装置の逆止部材を形成する電磁弁とを閉じる
40,54 第2の装置のポンプを始動させるための命令
42 二方向ポンプの作動
44 初期状況に戻る
46 閾値を下回る洗浄液レベルの検出
50 第1及び第2の装置の液体分配器の閉鎖
52 第1の装置の逆止部材を形成する電磁弁の開放
図1
図2
図3
図4
図5
図6
【国際調査報告】