(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-11-01
(54)【発明の名称】薬物送達デバイス用のアセンブリ
(51)【国際特許分類】
A61M 5/32 20060101AFI20231025BHJP
【FI】
A61M5/32 510K
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023524421
(86)(22)【出願日】2021-10-19
(85)【翻訳文提出日】2023-06-19
(86)【国際出願番号】 EP2021078873
(87)【国際公開番号】W WO2022084276
(87)【国際公開日】2022-04-28
(32)【優先日】2020-10-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】520011887
【氏名又は名称】エスエイチエル・メディカル・アーゲー
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】フレードリク・ポールマン
(72)【発明者】
【氏名】ダニエル・カールソン
【テーマコード(参考)】
4C066
【Fターム(参考)】
4C066AA09
4C066BB01
4C066CC01
4C066DD08
4C066EE06
4C066FF05
4C066NN04
4C066NN07
(57)【要約】
薬物送達デバイス用のアセンブリであって、このアセンブリは、本体と、本体に配置され、本体に対して延びた位置から後退位置に本体に対して軸方向に動くように構成された送達部材カバー(9)であって、本体に対して回転可能であるように構成される、送達部材カバー(9)と、送達部材カバー(9)が延長位置にあるとき、本体から延びた送達部材カバー(9)の近位部分(9a)を受け入れるように構成されたキャップであって、本体に取外し可能に取り付けられ、本体に対して回転してロックされるように構成された、キャップとを備え、送達部材カバー(9)は、第1のロッキング構造(9c)を有し、第1の回転方向のキャップに対する送達部材カバー(9)の回転を防止し、それによって本体に対して第1の回転位置に送達部材カバーを維持するために、キャップは、送達部材カバー(9)が延長位置にあるとき、第1のロッキング構造(9c)とかみ合うように構成された第2のロッキング構造を有し、送達部材カバー(9)は、第1のブロッキング構造(9d)を有し、本体は、送達部材カバー(9)が延長位置から後退位置に向かって軸方向に動くことを防止するために、送達部材カバー(9)が第1の回転位置にあるとき、第1のブロッキング構造(9d)とかみ合うように構成された第2のブロッキング構造を有し、キャップが本体から取り外され、送達部材カバー(9)が遠位に向かう軸方向の力を受けるとき、送達部材カバー(9)が第1の回転方向に回転され、第1のブロッキング構造(9d)および第2のブロッキング構造が係合解除するようにし、送達部材カバー(9)が延長位置から後退位置に向かって軸方向に動くことを可能にするように、第1のブロッキング構造(9d)および第2のブロッキング構造のうちの一方が、第1のブロッキング構造(9d)および第2のブロッキング構造のうちの他方と協働するように構成されたカム面を有する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
薬物送達デバイス(1)用のアセンブリであって、
本体(3a)と、
前記本体(3a)に配置され、前記本体(3a)に対して延びた位置から後退位置へ前記本体(3a)に対して軸方向に動くように構成された、送達部材カバー(9)と、
前記本体(3a)に対して回転可能であるように構成された回転体と、
前記送達部材カバー(9)が延長位置にあるとき、前記回転体の一部分を受け入れるように構成されたキャップ(5)であって、前記本体(3a)に取外し可能に取り付けられ、前記本体(3a)に対して回転してロックされるように構成された、キャップ(5)と
を備え、
前記回転体が、第1のロッキング構造(9c)を有し、前記キャップ(5)に対する、第1の回転方向の前記回転体の回転を防止し、それによって前記本体(3a)に対して第1の回転位置に前記回転体を維持するために、前記送達部材カバー(9)が前記延長位置にあるとき、前記キャップ(5)が、前記第1のロッキング構造(9c)とかみ合うように構成された第2のロッキング構造(5c)を有し、
前記送達部材カバー(9)が、第2のブロッキング構造(21)とかみ合うように構成された第1のブロッキング構造(9d)を有し、前記送達部材カバー(9)が前記延長位置から前記後退位置に向かって軸方向に動くことを防止するために、前記第2のブロッキング構造(21)が、前記回転体が前記第1の回転位置にあるとき、前記本体に対して軸方向に固定され、
前記キャップ(5)が前記本体(3a)から取り外され、前記送達部材カバー(9)が遠位に向かう軸方向の力を受けるとき、前記回転体が前記第1の回転方向に回転され、前記第1のブロッキング構造(9d)および前記第2のブロッキング構造(21)が係合解除するようにし、前記送達部材カバー(9)が前記延長位置から前記後退位置に向かって軸方向に動くことを可能にするように、前記第1のブロッキング構造(9d)および前記第2のブロッキング構造(21)のうちの一方が、前記第1のブロッキング構造(9d)および前記第2のブロッキング構造(21)のうちの他方と協働するように構成されたカム面(11a)を有する、アセンブリ。
【請求項2】
前記送達部材カバー(9)が前記回転体であり、前記本体(3a)が、前記第2のブロッキング構造(21)を備え、前記キャップ(5)が、前記送達部材カバー(9)が前記延長位置にあるとき、前記送達部材カバー(9)の近位部分(9a)を受け入れるように構成される、請求項1に記載のアセンブリ。
【請求項3】
前記第1のロッキング構造(9c)および前記第2のロッキング構造(5c)のうちの一方が凹部を備え、前記第1のロッキング構造(9c)および前記第2のロッキング構造(5c)のうちの他方が、前記第1の回転方向の前記送達部材カバー(9)の回転を防止するために前記凹部に受け入れられるように構成された突出部を備える、請求項2に記載のアセンブリ。
【請求項4】
前記凹部が、前記送達部材カバー(9)の半径方向平面に配置される、請求項3に記載のアセンブリ。
【請求項5】
前記凹部が、前記送達部材カバー(9)の円周方向に延びる、請求項3または4に記載のアセンブリ。
【請求項6】
前記突出部が、前記キャップ(5)の軸方向に延びる、請求項3から5のいずれか一項に記載のアセンブリ。
【請求項7】
前記第1のロッキング構造(9c)が、前記凹部を備え、前記第2のロッキング構造(5c)が、前記突出部を備える、請求項3から6のいずれか一項に記載のアセンブリ。
【請求項8】
前記回転体が、前記送達部材カバーとは別個の構成要素であり、前記回転体には、前記第2のブロッキング構造が設けられ、前記回転体が、前記送達部材カバーの半径方向外側に前記送達部材カバーと同心円状に配置される、請求項1に記載のアセンブリ。
【請求項9】
前記第1のブロッキング構造(9d)が、第1の半径方向突出部(11)を備え、前記送達部材カバー(9)が前記後退位置に向かって動くことを防止するために、前記第2のブロッキング構造(21)が、前記送達部材カバー(9)の前記第1の回転位置で前記第1の半径方向突出部(11)と軸方向に位置合わせされ、半径方向突出部(11)に対して遠位に配置されるように構成された第2の半径方向突出部を備える、請求項1から8のいずれか一項に記載のアセンブリ。
【請求項10】
前記送達部材カバー(9)が、前記近位部分から前記送達部材カバー(9)の遠位端に向かう方向に先細になる、半径方向に延びる第1のランプ構造(13)を備え、前記第1のランプ構造(13)が、前記第1の半径方向突出部(11)に対して前記第1の回転方向にオフセットして、前記第1の半径方向突出部(11)よりも前記近位部分(9a)により近く配置され、前記第2の半径方向突出部が、前記送達部材カバー(9)が前記後退位置に向かって動かされるとき、前記第1のランプ構造(13)の上を動くように構成される、請求項9に記載のアセンブリ。
【請求項11】
前記第1のランプ構造(13)が、前記送達部材カバー(9)のらせん方向に沿って延びる半径方向ガイド面(13b)を設けられた近位端部分(13a)を有し、前記送達部材カバー(9)が前記延長位置に向かって動かされるとき、前記半径方向ガイド面(13b)が、前記第2の半径方向突出部を導くように構成され、前記本体(3a)に対して前記第1の回転方向と反対の第2の回転方向の前記送達部材カバー(9)の回転を生じさせる、請求項10に記載のアセンブリ。
【請求項12】
前記送達部材カバー(9)が、前記円周方向において、前記第1のランプ構造(13)に隣接して配置された第2のランプ構造(17)を有し、前記送達部材カバー(9)が前記後退位置から前記延長位置に向かって動かされるとき、前記半径方向ガイド面(13b)が、前記第2の半径方向突出部を前記第2のランプ構造(17)に向かって導くように構成され、前記第2のランプ構造(17)は、前記第1のランプ構造(13)の先細部分に対して反対方向に先細になっている、請求項11に記載のアセンブリ。
【請求項13】
前記第2のランプ構造(17)が、前記第2の半径方向突出部が前記第2のランプ構造(17)を越えて軸方向に動いたとき、前記送達部外カバー(9)が前記後退位置に向かって動くことを防止するように構成されたスナップロック機能を有する、請求項12に記載のアセンブリ。
【請求項14】
前記送達部材カバー(9)が、前記第2のランプ構造(17)に軸方向に位置合わせされ、前記第2のランプ構造(17)に対して遠位に配置された半径方向構造(18)を備え、前記半径方向構造(18)が、前記第2の半径方向突出部が前記第2のランプ構造(17)を越えて動いたとき、前記送達部材カバー(9)がさらに近位に動くことを防止するように構成される、請求項13に記載のアセンブリ。
【請求項15】
請求項1から14のいずれか一項に記載のアセンブリを備える、薬物送達デバイス(1)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、一般に薬物送達デバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
注射器などの薬物送達デバイスは、デバイス本体から延びる安全シールドを有する場合がある。通常ばね付勢された安全シールドは、デバイス本体に対して軸方向に動かせる場合がある。使用者が薬物を投与しようとするとき、デバイスは投与の部位に向かって押される。安全シールドはしたがって、動かされてデバイス本体の中に入り、薬物を放出するためのトリガリング機構を作動させる。さらに、注射器の場合、針が露出し、皮膚に入る。
【0003】
薬物送達デバイスは、キャップを設けられている場合がある。キャップは、安全シールドが偶然に動いて本体の中に入ることを防止し、送達部材を露出させ、かつ/またはデバイスを作動させるために、デバイスの前端部にはめられる。薬物送達デバイスが、偶然床に落とされた場合、安全シールドが動いて本体の中に入り、デバイスを作動させる危険性がある。この危険性は、延長したストローク長を有する送達部材カバーを備えたデバイスを設計すること、および/またはより高いばね定数を持つばねを選択することによって低減することができる。しかしながらこれらの設計変更は、デバイスを使い勝手がよくないものにする。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本開示の目的は、従来技術の問題を解決する、または少なくとも緩和する、薬物送達デバイス用のアセンブリを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の第1の態様によれば、薬物送達デバイス用のアセンブリが提供され、このアセンブリは、本体と、本体内に配置され、本体に対して延びた位置から後退位置に本体に対して軸方向に動くように構成された送達部材カバーと、本体に対して回転可能であるように構成された回転体(rotator)と、送達部材カバーが延長位置にあるとき、回転体の一部分を受け入れるように構成されたキャップとを備え、キャップは、本体に取外し可能に取り付けられ、本体に対して回転してロックされるように構成され、回転体は、第1のロッキング構造を有し、キャップが、送達部材カバーが延長位置にあるとき、第1のロッキング構造とかみ合うように構成された第2のロッキング構造を有して、第1の回転方向のキャップに対する回転体の回転を防止し、それによって本体に対して第1の回転位置の回転体を維持し、送達部材カバーは、送達部材カバーが延長位置から後退位置に向かって軸方向に動くことを防止するために、回転体が第1の回転位置にあるとき、本体に対して軸方向に固定された第2のブロッキング構造とかみ合うように構成された第1のブロッキング構造を有し、キャップが本体から取り外され、送達部材カバーが遠位に向かう軸方向の力を受けるとき、回転体が、第1の回転方向に回転され、第1のブロッキング構造および第2のブロッキング構造が係合解除する(disengage)ようにし、送達部材カバーが延長位置から後退位置に向かって軸方向に動くことを可能にするように、第1のブロッキング構造および第2のブロッキング構造のうちの一方が、第1のブロッキング構造および第2のブロッキング構造のうちの他方と協働するように構成されたカム面を有する。
【0006】
したがって、キャップが本体にはめられると、送達部材カバーは、軸方向の動きを防止される。キャップが取り外されると、回転体は第1の方向に自由に回転することができ、それによって送達部材カバーは、本体から係合解除することができる。送達部材カバーは、それによって延長位置から後退位置に向かって動くことができる。
【0007】
それによって得られる効果は、アセンブリを備える薬物送達デバイスが、たとえば落とされることによって急な衝撃を受ける場合に、送達部材カバーが後退位置に向かって動く危険性が低減されることである。
【0008】
本明細書で使用する、構成要素、アセンブリ、または薬物送達デバイスの「近位端」という用語は、アセンブリが使用中であるとき、医薬放出(medical expulsion)の部位に面している端部である。「遠位端」は、近位端に対して反対端部である。「近位方向」は、遠位端から近位端に向かう方向を意味する。「遠位方向」は、近位端から遠位端に向かう方向を意味する。「遠位に」という用語は、ある特徴が、別の特徴よりも構成要素、アセンブリ、またはアセンブリを備える薬物送達デバイスの遠位端により近く位置していることを意味する相対語である。「近位に」という用語は、「遠位に」と反対を意味する。
【0009】
さらに、「縦の」、「縦に」、「軸方向に」、または「軸方向」という用語は、近位端から遠位端に、一般にはデバイスまたはそれの構成要素に沿って、デバイスおよび/または構成要素の最長延長の方向に延びる方向を指す。
【0010】
同様に、「横」、「横の」、および「横に」という用語は、縦方向に概ね垂直な方向を指す。
【0011】
さらに、「円周」、「円周の」、「円周方向に」、「回転」、「回転の」、および「回転して」という用語は、縦方向に概ね垂直な、縦方向の周囲に少なくとも部分的に延びる方向を指す。
【0012】
一実施形態によれば、送達部材カバーは回転体であり、本体は、第2のブロッキング構造を備え、キャップは、送達部材が延長位置にあるとき、送達部材カバーの近位部分を受け入れるように構成される。
【0013】
一実施形態によれば、第1のロッキング構造および第2のロッキング構造のうちの一方は、凹部を備え、第1のロッキング構造および第2のロッキング構造のうちの他方は、第1の回転方向の送達部材カバーの回転を防止するために、凹部に受け入れられるように構成された突出部を備える。
【0014】
一実施形態によれば、凹部は、送達部材カバーの半径方向平面に配置される。
【0015】
一実施形態によれば、凹部は、送達部材カバーの円周方向に延びる。
【0016】
一実施形態によれば、突出部は、キャップの軸方向に延びる。
【0017】
一実施形態によれば、第1のロッキング構造は凹部を備え、第2のロッキング構造は突出部を備える。
【0018】
一実施形態によれば、回転体は、送達部材カバーとは別個の構成要素であり、回転体は、第2のブロッキング構造を設けられ、回転体は、送達部材カバーの半径方向外側に送達部材カバーと同心円状に配置される。回転体はしたがって、この実施形態によれば、送達部材カバーとは異なる。
【0019】
回転体はこの場合、本体に対して軸方向に固定され得る。
【0020】
一実施形態によれば、第1のブロッキング構造は、第1の半径方向突出部を備え、第2のブロッキング構造は、送達部材カバーが後退位置に向かって動くことを防止するために、送達部材カバーの第1の回転位置で第1の半径方向突出部と軸方向に位置合わせされ、これに対して遠位に配置されるように構成された第2の半径方向突出部を備える。
【0021】
一実施形態によれば、送達部材カバーは、近位部分から送達部材カバーの遠位端に向かう方向に先細になる、半径方向に延びる第1のランプ構造を備え、第1のランプ構造は、第1の半径方向突出部に対して第1の回転方向にオフセットして、第1の半径方向突出部よりも近位部分により近く配置され、第2の半径方向突出部は、送達部材カバーが後退位置に向かって動かされるとき、第1のランプ構造の上を動くように構成される。
【0022】
一実施形態によれば、第1のランプ構造は、送達部材カバーのらせん方向に沿って延びる半径方向ガイド面を設けられた近位端部分を有し、半径方向ガイド面は、送達部材カバーが延長位置に向かって動かされるとき、第2の半径方向突出部を導くように構成され、本体に対して第1の回転方向と反対の第2の回転方向の送達部材カバーの回転を生じさせる。
【0023】
一実施形態によれば、送達部材カバーは、円周方向に、第1のランプ構造に隣接して配置された第2のランプ構造を有し、半径方向ガイド面は、送達部材カバーが後退位置から延長位置に向かって動かされるとき、第2の半径方向突出部を第2のランプ構造に向かって導くように構成され、第2のランプ構造は、第1のランプ構造の先細部分に対して反対方向に先細になっている。
【0024】
一実施形態によれば、第2のランプ構造は、第2の半径方向突出部が第2のランプ構造を越えて軸方向に動いたとき、送達部材カバーが後退位置に向かって動くことを防止するように構成されたスナップロック機能を有する。
【0025】
一実施形態によれば、送達部材カバーは、第2のランプ構造と軸方向に位置合わせされ、第2のランプ構造に対して遠位に配置された半径方向構造を備え、半径方向構造は、第2の半径方向突出部が第2のランプ構造を越えて動いたとき、送達部材カバーがさらに近位に動くことを防止するように構成される。
【0026】
第2の態様によれば、第1の態様によるアセンブリを備えた薬物送達デバイスが提供される。
【0027】
第3の態様によれば、薬物送達デバイス用のアセンブリが提供され、このアセンブリは、本体と、本体に配置され、本体に対して延びた位置から後退位置に本体に対して軸方向に動くように構成された送達部材カバーであって、本体に対して回転可能であるように構成された、送達部材カバーと、送達部材カバーが延長位置にあるとき、本体から延びる送達部材カバーの近位部分を受け入れるように構成されたキャップであって、本体に取外し可能に取り付けられ、本体に対して回転してロックされるように構成されたキャップとを備え、送達部材カバーは、第1のロッキング構造を有し、キャップは、送達部材カバーが延長位置にあるとき、第1のロッキング構造とかみ合うように構成された第2のロッキング構造を有して、キャップに対する第1の回転方向の送達部材カバーの回転を防止し、それによって本体に対して第1の回転位置に送達部材カバーを維持し、送達部材カバーは、第1のブロッキング構造を有し、本体は、送達部材カバーが延長位置から後退位置に向かって軸方向に動くことを防止するために、送達部材カバーが第1の回転位置にあるとき、第1のブロッキング構造とかみ合うように構成された第2のブロッキング構造を有し、キャップが本体から取り外され、送達部材カバーが、遠位に向かう軸方向の力を受けるとき、送達部材カバーが第1の回転方向に回転され、第1のブロッキング構造および第2のブロッキング構造が係合解除するようにし、送達部材カバーが延長位置から後退位置に向かって軸方向に動くことを可能にするように、第1のブロッキング構造および第2のブロッキング構造の一方が、第1のブロッキング構造および第2のブロッキング構造の他方と協働するように構成されたカム面を有する。
【0028】
したがって、キャップが本体にはめられると、送達部材カバーは第1の方向に回転することができないので、送達部材カバーは、軸方向の動きを防止される。キャップが取り外されると、送達部材カバーは、第1の方向に自由に回転することができ、それによって送達部材カバーは、本体から係合解除することができる。送達部材カバーは、それによって延長位置から後退位置に向かって動くことができる。
【0029】
この例では、送達部材カバーは、第1のブロッキング構造および第2のブロッキング構造のうちの一方のカム面によるキャップの軸方向の動きによって、組み立てプロセス中に回転することができ、カム面、第1のブロッキング構造および第2のブロッキング構造のうちの他方を有する。
【0030】
好ましい例では、送達部材カバーは、送達部材カバーの近位端にスピニング部分を備える。スピニング部分は、送達部材カバーに対して回転可能であり、薬物送達動作中に薬物送達部位と接触するように構成される。それによって、薬物送達動作中の送達部材カバーの意図的でない回転を防止することができる。
【0031】
それによって得られる効果は、アセンブリを備える薬物送達デバイスが、たとえば落とされることによって急な衝撃を受ける場合に、送達部材カバーが後退位置に向かって動く危険性が低減されることである。
【0032】
第1のブロッキング構造は、カム面を設けられてもよい。
【0033】
一実施形態によれば、第1のロッキング構造および第2のロッキング構造のうちの一方は、凹部を備え、第1のロッキング構造および第2のロッキング構造のうちの他方は、第1の回転方向の送達部材カバーの回転を防止するために、凹部に受け入れられるように構成された突出部を備える。
【0034】
一実施形態によれば、凹部は、送達部材カバーの半径方向平面に配置される。
【0035】
一実施形態によれば、凹部は、送達部材カバーの円周方向に延びる。
【0036】
一実施形態によれば、突出部は、キャップの軸方向に延びる。
【0037】
一実施形態によれば、第1のロッキング構造は、凹部を備え、第2のロッキング構造は、突出部を備える。
【0038】
代替的に、第1のロッキング構造は、突出部を備え、第2のロッキング構造は、凹部を備える。
【0039】
一実施形態によれば、第1のブロッキング構造は、第1の半径方向突出部を備え、第2のブロッキング構造は、送達部材カバーが後退位置に向かって動くことを防止するために、送達部材カバーの第1の回転位置で第1の半径方向突出部と軸方向に位置合わせされ、第1の半径方向突出部に対して遠位に配置されるように構成された第2の半径方向突出部を備える。
【0040】
一実施形態によれば、送達部材カバーは、近位部分から送達部材カバーの遠位端に向かう方向に先細になる、半径方向に延びる第1のランプ構造を備え、第1のランプ構造は、第1の半径方向突出部に対して第1の回転方向にオフセットして、第1の半径方向突出部よりも近位部分により近く配置され、第2の半径方向突出部は、送達部材カバーが後退位置に向かって動かされるとき、第1のランプ構造の上を動くように構成される。
【0041】
一実施形態によれば、第1のランプ構造は、送達部材カバーのらせん方向に沿って延びる半径方向ガイド面を設けられた近位端部分を有し、半径方向ガイド面は、送達部材カバーが後退位置から延長位置に向かって動かされるとき、第2の半径方向突出部を導くように構成され、本体に対して第1の回転方向と反対の第2の回転方向の送達部材カバーの回転を生じさせる。
【0042】
半径方向ガイド面は、送達部材カバーが延長位置に向かって動くときの送達部材カバーの直線運動を、第2の回転方向の送達部材カバーの回転運動に変換する第2のカム面である。
【0043】
一実施形態によれば、送達部材カバーは、円周方向に、第1のランプ構造に隣接して配置された第2のランプ構造を有し、半径方向ガイド面は、送達部材カバーが延長位置に向かって動かされるとき、第2の半径方向突出部を第2のランプ構造に向かって導くように構成され、第2のランプ構造は、第1のランプ構造の先細部分に対して反対方向に先細になっている。
【0044】
一実施形態によれば、第2のランプ構造は、第2の半径方向突出部が第2のランプ構造を越えて軸方向に動いたとき、送達部材カバーが後退位置に向かって動くことを防止するように構成されたスナップロック機能を有する。
【0045】
一実施形態によれば、送達部材カバーは、第2のランプ構造と軸方向に位置合わせされ、第2のランプ構造に対して遠位に配置された半径方向構造を備え、半径方向構造は、第2の半径方向突出部が第2のランプ構造を越えて動いたとき、送達部材カバーがさらに近位に動くことを防止するように構成される。
【0046】
一実施形態は、送達部材カバーを延長位置に向かって進めるように構成された弾性部材を備える。
【0047】
本開示の第4の態様によれば、第3の態様によるアセンブリを備えた薬物送達デバイスが提供される。
【0048】
一実施形態によれば、薬物送達デバイスは、自己注射器などの注射器、または吸入器である。
【0049】
一般に、特許請求の範囲で使用されるすべての用語は、本明細書で別段に明示的に定義されていない限り、技術分野におけるそれらの通常の意味に従って解釈されるものとする。「要素、装置、構成要素、手段など」へのすべての言及は、別段に明記されていない限り、その要素、装置、構成要素、手段などの少なくとも1つの事例を指すと率直に解釈されるものとする。
【0050】
次に、本概念の特定の実施形態について、例として、添付の図面に関して説明する。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【
図2】外側キャップ部材が内側キャップ部材から取り外された薬物送達デバイスを示す図である。
【
図5a】
図3の送達部材カバーにはめられた内側キャップの拡大図である。
【
図5c】内側キャップ部材が送達部材カバーから部分的に取り外されたときの拡大図である。
【
図6a】送達部材カバーが延長位置から後退位置へ動かされ、延長位置に戻るときの送達部材カバーと本体との間の相互作用を示す図である。
【
図6b】送達部材カバーが延長位置から後退位置へ動かされ、延長位置に戻るときの送達部材カバーと本体との間の相互作用を示す図である。
【
図6c】送達部材カバーが延長位置から後退位置へ動かされ、延長位置に戻るときの送達部材カバーと本体との間の相互作用を示す図である。
【
図6d】送達部材カバーが延長位置から後退位置へ動かされ、延長位置に戻るときの送達部材カバーと本体との間の相互作用を示す図である。
【
図6e】送達部材カバーが延長位置から後退位置へ動かされ、延長位置に戻るときの送達部材カバーと本体との間の相互作用を示す図である。
【
図6f】送達部材カバーが延長位置から後退位置へ動かされ、延長位置に戻るときの送達部材カバーと本体との間の相互作用を示す図である。
【
図6g】送達部材カバーが延長位置から後退位置へ動かされ、延長位置に戻るときの送達部材カバーと本体との間の相互作用を示す図である。
【
図6h】送達部材カバーが延長位置から後退位置へ動かされ、延長位置に戻るときの送達部材カバーと本体との間の相互作用を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0052】
次に本発明の概念について、例となる実施形態を示す添付の図面を参照しながら、以下により十分に説明する。しかしながら本発明の概念は、多くの異なる形態で具現化される場合があり、本明細書で示す実施形態に限定されると解釈されるべきではなく、正しくはこれらの実施形態は、この開示が完璧かつ完全となり、本発明の概念の範囲を当業者に十分に伝えるように、例として提供される。説明全体にわたって同じ数字は同じ要素を指す。
【0053】
図1は、薬物送達デバイス1の例を示す。例示の薬物送達デバイス1は、注射器である。注射器は、自己注射器であってもよい。薬物送達デバイス1は、代替的にたとえば吸入器であることがある。
【0054】
薬物送達デバイス1は、1つまたは複数の部分によって形成され得るハウジング3を有する。
【0055】
薬物送達デバイス1は、取外し可能なキャップ5を備える。キャップ5は、ハウジング3と組み立てられるように構成される。本例によれば、ハウジング3は、近位部分または本体(
図1に示さず)を有し、キャップ5がハウジング3と組み立てられるとき、キャップ5を受け入れる。キャップ5は、ハウジング3に対して回転してロックされるように構成される。
【0056】
キャップ5は、薬物送達デバイス1の近位端、または近位端を形成する。薬物送達デバイス1は、遠位端7を有する。遠位端7は、薬物送達デバイス1の遠位端である。
【0057】
次に
図2を参照すると、薬物送達デバイス1は、キャップ5が部分的に取り外されて示されている。この例によれば、キャップ5は、外側キャップ部材5aと、内側キャップ部材5bとを含む。外側キャップ部材5aは、内側キャップ部材5bと同心円状に配置されるように構成される。外側キャップ部材5aは、内側キャップ部材5bの半径方向外側に配置されるように構成される。
図2では、外側キャップ部材5aは、内側キャップ部材5bから取り外されている。内側キャップ部材5bは、本体3aにはめられている。前述のように、本体3aは、ハウジング3の近位部分である。
【0058】
代替的に、キャップは、単一部品のキャップとして作られることがある。この場合、内側キャップ部材および外側キャップ部材は一体化している。
【0059】
薬物送達デバイス1は、送達部材カバー9を備える。送達部材カバー9は、細長い構造であってもよい。送達部材カバー9は、送達部材および/または薬物容器の周りに配置されるように構成されたスリーブまたは管状構造であってもよい。
【0060】
本明細書で開示する第1の例によれば、薬物送達カバーは、回転体である。これは、以下でより詳細に説明するように、薬物送達カバーが、本体3aに対して回転可能であるように構成されているからである。
【0061】
送達部材カバー9は、本体3aによって受け入れられるように構成される。本体3aは、送達部材カバー9がそれを通って延びる、近位開口を有する。送達部材カバー9は、本体3aの近位端から延びるように構成される。
【0062】
図6aは、本体3aから延びる送達部材カバー9のより良い図を提供する。送達部材カバー9は、本体3aに対して延長位置と後退位置との間で本体3aに対して軸方向に動かせるように構成される。送達部材カバー9は、延長位置から後退位置へ動き、延長位置に戻るように構成される。
【0063】
延長位置は、送達部材カバー9のデフォルト位置である。薬物送達デバイス1は、送達部材カバー9を延長位置に向かって進めるように構成された、ばねなどの弾性部材を備えてもよい。送達部材カバー9は、延長位置に向かって付勢されるように構成される。
【0064】
次に送達部材カバー9の例について、
図3を参照しながら説明する。
【0065】
送達部材カバー9は、近位部分9aを有する。近位部分9aは、管状であってもよい。送達部材カバー9は、近位部分9aから遠位に延びる2つの脚部9bを有する。したがって脚部9bは、近位部分9aから遠位に延びる。
【0066】
近位部分9aは、薬物送達デバイス1の、針などの送達部材を受け入れるように構成された、軸方向に延びる中央貫通開口10を有する。近位部分9aは、第1のロッキング構造9cを設けられている。第1のロッキング構造9cは、凹部を備える。凹部は、貫通開口10から開いている。各凹部は、送達部材カバー9の半径方向平面に配置される。各凹部は、半径方向に延びる凹部である。各凹部は、送達部材カバー9の円周方向の延長を有する。各凹部は、貫通開口10に互いに対向して配置されてもよい。
【0067】
この例によれば、各凹部は、貫通開口10の内周の、60度未満、45度未満など、90度未満に対応する、円周方向の延長を有する。
【0068】
各脚部9bは、それぞれの第1のブロッキング構造9dを設けられる。第1のブロッキング構造9dは、脚部9bの半径方向外面に設けられる。第1のブロッキング構造9dは、半径方向外側に延びる。
【0069】
図3に示す第1のブロッキング構造9dは、第1の半径方向突出部11を備える。
図3に示す例によれば、第1の半径方向突出部11は、カム面11aを有する。カム面11aは、少なくとも部分的に、送達部材カバー9の遠位端に向けられている。
【0070】
送達部材カバー9は、近位部分9aから送達部材カバー9の遠位端に向かう方向に先細になる、半径方向に延びる第1のランプ構造13を備える。
【0071】
第1のランプ構造13は、第1の半径方向突出部11よりも近位部分9aにより近く配置される。
【0072】
第1のランプ構造13は、第1の半径方向突出部11に対して第1の回転方向にオフセットして配置される。第1のランプ構造13は、第1の半径方向突出部11に対して送達部材カバー9の円周方向にずれている。
【0073】
第1のランプ構造13は、半径方向外側に延びる半径方向ガイド面13bを設けられた近位端部分13aを有する。半径方向ガイド面13bは、第1のランプ構造13の先細の部分に対して近位に配置される。半径方向ガイド面13bは、送達部材カバー9のらせん方向に沿って延びる。したがって半径方向ガイド面13bは、送達部材カバー9に延びる軸平面と交差する。半径方向ガイド面13bは、カム面である。
【0074】
送達部材カバー9は、送達部材カバー9の軸方向に延びる軸方向リブ15aを有する。
【0075】
送達部材カバー9は、送達部材カバー9の円周方向に第1のランプ構造13に隣接して配置された第2のランプ構造17を有する。第2のランプ構造17は、第1の回転方向と反対の第2の回転方向に第1のランプ構造13に隣接して配置される。
【0076】
第1のランプ構造13および第2のランプ構造17は、完全に軸方向に位置合わせされてもよい。第1のランプ構造13および第2のランプ構造は、反対方向に先細になる。第2のランプ構造17は、送達部材カバー9の遠位端から近位部分9aに向かって先細になっている。
【0077】
半径方向ガイド面13bは、第2のランプ構造17に移行するように構成される。
【0078】
送達部材カバー9は、第2のランプ構造17と軸方向に位置合わせされ、第2のランプ構造17に対して遠位に配置された半径方向構造18を備えてもよい。
【0079】
図4は、本体3aの近位からの斜視図を示す。本体3aは、本体3aを通って軸方向に延びる近位開口19を有する。送達部材カバー9は、本体3aに配置されるように構成され、延長位置では近位開口19から延びる。
【0080】
送達部材カバー9は、本体3aに対して軸方向に動かされるように構成される。送達部材カバー9は、本体3aに対して回転することができるように構成される。
【0081】
本体3aは、第2のブロッキング構造21を有する。第2のブロッキング構造21は、第2の半径方向突出部を備えてもよい。第2のブロッキング構造21は、半径方向内側に延びる。第2のブロッキング構造21は、送達部材カバー9が延長位置から後退位置に向かって軸方向に動くことを防止するために、送達部材カバー9が第1の回転位置にあるとき、第1のブロッキング構造9dとかみ合うように構成される。第2のブロッキング構造21は、以下でより詳細に説明するように、薬物送達デバイス1が操作されているとき、第1の半径方向突出部11と、第1のランプ構造13と、その後第2のランプ構造17と協働するように構成される。
【0082】
好ましい例では、第1のランプ構造は、第2のブロッキング構造が、誤って第2のランプ構造と軸方向に並べられる位置にならないように、第2のブロッキング構造の軸方向の動きを導くための溝を備える。
【0083】
同様に、第2のランプ構造もまた、第2のブロッキング構造の横の動きを防ぐための溝を有することができる。
図5aは、本体3aに取り付けられたときの、キャップ5の縦断面を示す。キャップ5は、送達部材カバー9の第1のロッキング構造9cとかみ合うように構成された第2のロッキング構造5cを有する。
【0084】
第2のロッキング構造5cは、キャップ5の内部に配置される。内側キャップ部材5bは、第2のロッキング構造5cを設けられてもよい。
【0085】
第2のロッキング構造5cは、キャップ5が本体3aにはめられるとき、送達部材カバー9の第1の回転方向の回転を防止するために、第1のロッキング構造9cの凹部に受け入れられるように構成された突出部を備える。突出部は、キャップ5の軸方向に延びてもよい。
【0086】
第2のロッキング構造5cは、いくつかの突出部を備えてもよく、各々が、送達部材カバー9のそれぞれの凹部に受け入れられるように構成される。
【0087】
突出部は、キャップが本体3aにはめられると、凹部の少なくとも1つの円周端面を圧迫する。したがって、送達部材カバー9は、キャップ5が本体3aにはめられるとき、第1の回転方向の回転を防止される。
【0088】
図5bは、
図5aのA-A線に沿った断面を示す。
図5bでは、突出部5cが、送達部材カバー9の凹部のそれぞれの1つに配置されることを理解することができる。
【0089】
送達部材デバイス1の動作について、
図5cから
図6hを参照しながら説明する。
【0090】
図5cでは、キャップ5は、本体3aから引き抜かれているところである。キャップ5はしたがって、矢印Aで示すように近位方向に引かれる。第2のロッキング構造5cの突出部はしたがって、前方または近位方向に、軸に沿って動かされ、第1のロッキング構造9cの凹部から外に動かされる。第1のロッキング構造9cおよび第2のロッキング構造5cは、したがって係合解除される。送達部材カバー9は、それによって第1の回転方向に回転することができる。
【0091】
図6aは、キャップ5が本体3aから取り外されたときの薬物送達デバイス1を示す。送達部材カバー9は、本体3aに対して延長位置にある。
【0092】
図6bは、薬物送達デバイス1が
図6aによって示される延長位置にあるときの、送達部材カバー9と本体3aの第2のブロッキング構造21との間の相互作用を示す。送達部材カバー9は、第1の回転位置にある。第2のブロッキング構造21は、送達部材カバー9の第1のブロッキング構造9dを圧迫する。第2のブロッキング構造21は、第1の半径方向突出部11のカム面11aを圧迫する。第2のブロッキング構造21は、送達部材カバー9が先に回転することなしに、送達部材カバー9が延長位置から後退位置に向かって遠位に動かされることがないように、第1の半径方向突出部11に対して遠位に配置される。しかしながら、上記のことから理解できるように、送達部材カバー9は、キャップ5が本体3aから取り外されたとき、第1の回転位置から第1の回転方向に回転することができる。
【0093】
図6cでは、送達部材カバー9は、矢印Bによって示されるように、後退位置まで本体3aの中に遠位に動かされている。注射器の場合、これは一般に、送達部材カバー9を注射の部位に押し付けることによって行われる。送達部材カバー9は、第1の回転方向Cにわずかに回転される。
【0094】
図6dは、送達部材カバー9が遠位方向の力Fを受けるとき、送達部材カバー9が第1の回転方向Cに回転していることを示す。カム面11aにより、軸方向の力は、本体3aに対する送達部材カバー9の回転に変換される。送達部材カバー9はしたがって、第1の回転方向Cに回転する。
【0095】
送達部材カバー9が第1の回転方向Cに回転したとき、第2のブロッキング構造21は、第1のブロッキング構造9dから係合解除される。送達部材カバー9はそれによって、後退位置に向かって本体3aへのさらなる移動が可能である。
【0096】
軸方向リブ15aは、送達部材カバー9が延長位置に戻されるとき、送達部材カバー9および本体3aが必要に応じて位置合わせされることを確保するために、第2のブロッキング構造21のガイドとして働く。
【0097】
図6eは、送達部材カバー9が後退位置に向かって動かされるとき、第2のブロッキング構造21が第1のランプ構造13の上を通って軸方向にどのように動かされるかを示す。第1のランプ構造13は、第2のブロッキング構造21がそれを通過することを可能にするために、半径方向に内側に曲がるように構成されてもよい。
【0098】
送達部材カバー9が後退位置に向かって動かされるとき、薬物送達デバイス1の作動が開始される。作動は、複数の方法で行われてもよく、本明細書ではさらに詳細に説明しない。
【0099】
図6fは、送達部材カバー9が、矢印Dによって示されるように、後退位置から延長位置に戻るときの、薬物送達デバイス1を示す。使用者が薬物送達デバイス1を放出の部位から取り外すとき、送達部材カバー9が延長位置に戻されるように、送達部材カバー9は、延長位置に向かって付勢される。送達部材カバー9は、第1の回転方向Cと反対の、第2の回転方向Eにわずかに回転される。これは、
図6gに示され、送達部材カバー9は延長位置に向かって動き、第2のブロッキング構造21は、第1のランプ構造13の半径方向ガイド面13b、またはカム面に向かって動かされる。第2のブロッキング構造21はそれによって、第2のランプ構造17に向かって導かれる。これは、第2の回転方向Eの送達部材カバー9の回転を生じる。第2のブロッキング構造21はその後、半径方向内側に曲がり得る第2のランプ構造17の上を動かされる。第2のランプ構造17は、スナップロック機能を有してもよい。第2のブロッキング構造21が第2のランプ構造17を通過すると、送達部材カバー9は、
図6hに示すように、後退位置に向かう動きを防止される。
【0100】
半径方向構造18は、第2のブロッキング構造21が第2のランプ構造17を通過したとき、第2のブロッキング構造21に対して遠位に配置されてもよい。半径方向構造18は、第2のブロッキング構造21を圧迫する半径方向の障壁として働くので、送達部材カバー9が本体3aから引き出されるのを防止する。
【0101】
薬物送達デバイスの別の例によれば、薬物送達デバイスは、送達部材カバーとは別個の回転体をさらに備えてもよい。この場合、送達部材カバーは、本体に対して回転してロックされるように構成される。
【0102】
回転体は、送達部材カバーと同心円状に、送達部材カバーと本体との間に、配置される。回転体は、本体に対して回転可能に配置される。回転体は、本体に対して軸方向に遠位に動くことを防止されてもよい。回転体および本体はしたがって、回転体の後方への動きを防止するためにかみ合わせられてもよい。
【0103】
送達部材カバーは、第1の例の場合とまったく同様に、第1のブロッキング構造を設けられる。回転体は、第2のブロッキング構造を設けられる。第2のブロッキング構造は、回転体の内表面に設けられてもよい。
【0104】
回転体は、この例では、キャップの第2のロッキング構造とかみ合うように構成された、第1のロッキング構造を設けられる。したがって、キャップが本体にはめられると、回転体は、第1の回転方向の回転を防止される。送達部材カバーはしたがって、延長位置から後退位置に向かって動くことを防止される。キャップが取り外されたとき、回転体は、第1の回転方向に回転することを可能にされる。
【0105】
キャップが取り外されたとき、送達部材カバーの遠位に向かう軸方向の力が、第1のブロッキング構造と第2のブロッキング構造との間の相互作用を引き起こす。回転体はそれによって、第1の回転方向に回転され、第1のブロッキング構造を第2のブロッキング構造とのかみ合いから解放する。送達部材カバーは、それによって延長位置から後退位置に向かって動くことができる。
【0106】
本発明の概念を、主としていくつかの例に関して上記で説明した。しかしながら、当業者には容易に諒解されるように、上記で開示した実施形態以外の他の実施形態が等しく、添付の特許請求の範囲によって定義される本発明の概念の範囲内であり得る。
【符号の説明】
【0107】
1 薬物送達デバイス
3 ハウジング
3a 本体
5 キャップ
5a 外側キャップ部材
5b 内側キャップ部材
5c 第2のロッキング構造
7 遠位端
9 送達部材カバー
9a 近位部分
9b 脚部
9c 第1のロッキング構造
9d 第1のブロッキング構造
10 貫通開口
11 第1の半径方向突出部
13 第1のランプ構造
13a 近位端部分
13b 半径方向ガイド面
15a 軸方向リブ
17 第2のランプ構造
18 半径方向構造
19 近位開口
21 第2のブロッキング構造
【国際調査報告】