(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-11-01
(54)【発明の名称】波エネルギー発電装置を兼ねた固定式透過防波堤
(51)【国際特許分類】
E02B 3/06 20060101AFI20231025BHJP
E02B 9/08 20060101ALI20231025BHJP
F03B 13/14 20060101ALI20231025BHJP
【FI】
E02B3/06 301
E02B9/08
F03B13/14
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023544617
(86)(22)【出願日】2022-07-29
(85)【翻訳文提出日】2023-04-03
(86)【国際出願番号】 CN2022108905
(87)【国際公開番号】W WO2023029843
(87)【国際公開日】2023-03-09
(31)【優先権主張番号】202111024473.1
(32)【優先日】2021-09-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523123503
【氏名又は名称】ルドン ユニバーシティ
(74)【代理人】
【識別番号】100112737
【氏名又は名称】藤田 考晴
(74)【代理人】
【識別番号】100136168
【氏名又は名称】川上 美紀
(74)【代理人】
【識別番号】100196117
【氏名又は名称】河合 利恵
(72)【発明者】
【氏名】シュエヤン リー
(72)【発明者】
【氏名】チュンイ シウ
(72)【発明者】
【氏名】キン ワン
(72)【発明者】
【氏名】ミン ヘ
(72)【発明者】
【氏名】ジュン ユエ
(72)【発明者】
【氏名】ユンチェン スイ
【テーマコード(参考)】
2D118
3H074
【Fターム(参考)】
2D118AA11
2D118AA18
2D118GA07
3H074AA02
3H074AA12
3H074BB11
3H074CC11
(57)【要約】
本発明は、構造物、構造物固定装置及び波発電機ユニットを含む波エネルギー発電装置を兼ねた固定式透過防波堤を提供する。その特徴は、構造物が構造物固定装置によって海底とつながっており、構造物の上部円弧直立壁の外側面に多数の穴を設け、その中に螺旋羽根群を置き、螺旋輪発電機を水平パイルキャップに取り付け、波が螺旋羽根群の回転運動を推進し、螺旋輪発電機ユニットの発電を推進することである。本発明は、構造が安定し、建築コストが低く、発電変換効率が高く、メンテナンスが容易であることを特徴とする。本発明は水が深く、波が大きく、地形が複雑な海域に適用でき、波の影響を削減し、周辺海域に穏やかな水域環境を提供すると同時に、良好な消波性能を得ることができ、波エネルギーを電気エネルギーに変換し、港区または海島住民の電力供給問題を効果的に解決することができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
構造物、構造物固定装置及び波発電機ユニットの3つの部分からなり、
前記構造物は水平パイルキャップ、第1上部円弧直立壁、第2上部円弧直立壁、第1下部波止め板、第2下部波止め板、囲い垂直短管、及び囲い貫通長管から構成されており、
前記水平パイルキャップの両側には第1上部円弧直立壁と第2上部円弧直立壁が対応して設置され、
前記第1上部円弧直立壁の下方には第1下部波止め板の上端が接続され、第1下部波止め板は水平パイルキャップに垂直であり、
前記第2上部円弧直立壁の下方には第2下部波止め板の上端が接続され、第2下部波止め板は水平パイルキャップに垂直であり、前記水平パイルキャップの2つの開口側には囲い貫通長管が設けられており、囲い貫通長管の両端はそれぞれ第1上部円弧直立壁と第2上部円弧直立壁に接続されており、
前記囲い貫通長管は囲い垂直短管に固定され、前記構造物固定装置は4本の杭基礎柱からなり、4本の杭基礎柱はそれぞれ透過防波堤の水平パイルキャップ下面の四隅に固定的に接続されており、
前記波発電機ユニットは、第1上部円弧直立壁と第2上部円弧直立壁内に取り付けられた螺旋羽根群からなり、ソフトシャフト伝動装置を介して発電機を伝動駆動して発電し、電力を利用または貯蔵する、ことを特徴とする波エネルギー発電装置を兼ねた固定式透過防波堤。
【請求項2】
前記第1上部円弧直立壁及び前記第2上部円弧直立壁の両端と水平パイルキャップとの間には上部支柱が配置され、連結されて非直角三角形支持を構成する、ことを特徴とする請求項1に記載の波エネルギー発電装置を兼ねた固定式透過防波堤。
【請求項3】
前記第1下部波止め板及び前記第2下部波止め板の両端と水平パイルキャップとの間には下部支柱が配置され、連結されて非直角三角形支持を構成する、ことを特徴とする請求項1に記載の波エネルギー発電装置を兼ねた固定式透過防波堤。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水工構造物動力実験装置の技術分野に関し、具体的には、波エネルギー発電装置を兼ねた固定式透過防波堤に関する。
【背景技術】
【0002】
伝統的な重力式防波堤は水流を透過できず、水上運輸に不利で、土砂の堆積、水質汚染などのマイナスの影響があり、現代のグリーン港湾工事建設に反する。透過式防波堤は水体の交換能力があり、施工が便利である。コストが合理的な新型防波堤は現在の深水港と「グリーン港湾」建設の発展要求に更に適合できる。
【0003】
透過式構造は波の透過率を増大させ、一部の波を堤体を通して伝播続けさせ、遮蔽水域内の係留条件に影響を及ぼす。また、同一構造は異なる波高と周期の波に対して透過と反射特性が異なり、港区内の船舶の係留条件に悪影響を及ぼす。海水と発電装置が直接接触すると、海水の侵食やプランクトンが発電装置に付着し、発電効率が低下したり、発電装置が破損したりすることなどの問題を引き起こしやすい。
【発明の概要】
【0004】
本発明の目的は、上記従来技術の欠点を克服し、波エネルギー発電装置を兼ねた固定式透過防波堤を提供することである。
【0005】
本発明の技術的解決策は、構造物、構造物固定装置及び波発電機ユニットの3つの部分からなることを特徴とする波エネルギー発電装置を兼ねた固定式透過防波堤を提供することである。
【0006】
前記構造物は水平パイルキャップ、第1上部円弧直立壁、第2上部円弧直立壁、第1下部波止め板、第2下部波止め板、囲い垂直短管、及び囲い貫通長管から構成されている。
【0007】
前記水平パイルキャップの両側に第1上部円弧直立壁と第2上部円弧直立壁を対応して設置する。
【0008】
前記第1上部円弧直立壁の下方には第1下部波止め板の上端が接続され、第1下部波止め板は水平パイルキャップに垂直であり、前記第2上部円弧直立壁の下方には第2下部波止め板の上端が接続され、第2下部波止め板は水平パイルキャップに垂直である。
【0009】
前記水平パイルキャップの2つの開口側には囲い貫通長管が設けられており、囲い貫通長管の両端はそれぞれ第1上部円弧直立壁と第2上部円弧直立壁に接続されている。前記囲い貫通長管は囲い垂直短管に固定されている。
【0010】
前記構造物固定装置は4本の杭基礎柱からなり、4本の杭基礎柱はそれぞれ透過防波堤の水平パイルキャップ下面の四隅に固定的に接続されている。
【0011】
前記波発電機ユニットは、第1上部円弧直立壁と第2上部円弧直立壁内に取り付けられた螺旋羽根群からなり、ソフトシャフト伝動装置を介して発電機を伝動駆動して発電し、電力を利用または貯蔵する。
【0012】
さらに、前記第1上部円弧直立壁及び前記第2上部円弧直立壁の両端と水平パイルキャップとの間には上部支柱が配置され、連結されて非直角三角形支持を構成する。
【0013】
さらに、前記第1下部波止め板及び前記第2下部波止め板の両端と水平パイルキャップとの間には下部支柱が配置され、連結されて非直角三角形支持を構成する。
【0014】
本発明の突出した実質的な特徴と顕著な進歩は以下の通りである。
1、港区の環境に基づき、杭基礎を利用して透過防波堤を固定し、構造物の安定を確保する。
2、構造的一体性がよく、コストが低く、利用率が高く、使いやすい。
3、構造各部の接続力学性能がよく、構造が安定している。
4、従来の透過防波堤と比較して、異なる試験環境に応じて異なるスケールの構造物の流体力の試験を展開することができ、迎波面と背波面に遮蔽板を設置して入射波の一部を効果的に削減する。
5、消波効果が良好で、構造にかかる力が小さくて、水体の交換能力と援護効果が良好で、構造スタイルが簡単で、実際の工事の応用に便利である。
6、この防波堤発電装置の組成構造と配置方式を総合的に考えると、本発明は構造が安定し、エネルギー散逸効果が高く、発電変換効率が高く、取り付けが便利で、メンテナンスが容易で、建設工期が短いなどの特徴がある。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図3】
図3は本発明の波発電機ユニットの模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明の内容と特徴および機能をよりよく理解するために、添付図面に合わせて以下に詳しく説明する。
【0017】
図1、2、3に示すように、波エネルギー発電装置を兼ねた固定式透過防波堤は、構造物、構造物固定装置、波発電機ユニットの3つの部分から構成されている。使用する材質はすべて錆びず、軽量である。
【0018】
構造物は、水平パイルキャップ11、第1上部円弧直立壁12、第2上部円弧直立壁13、第1下部波止め板14、第2下部波止め板15と上部支柱16、下部支柱17、囲い垂直短管18、囲い貫通長管19からなる。
【0019】
第1上部円弧直立壁12は水平パイルキャップ11の一方側に固定され、第2上部円弧直立壁13は水平パイルキャップ11の他方側に固定され、第1上部円弧直立壁12は第2上部円弧直立壁13に対応する。
【0020】
第1下部波止め板14の上端は、第1上部円弧直立壁12の下方に垂直に接続され、水平パイルキャップ11に垂直であり、第2下部波止め板15の上端は、第2上部円弧直立壁13の下方に垂直に接続され、水平パイルキャップ11に垂直である。三者は一体として構成されている。
【0021】
上部支柱16は、第1上部円弧直立壁12の両側に位置し、水平パイルキャップ11に連結されて非直角三角形支持を構成する。一方、反対側の第2上部円弧直立壁13と水平パイルキャップ11との間には、第1上部円弧直立壁12と第2上部円弧直立壁13の安定性を維持するように対称に配置された上部支柱16がある。
【0022】
下部支柱17は、第1下部波止め板14の内側に位置し、水平パイルキャップ11に連結されて非直角三角形支持を構成する。一方、反対側の第2下部波止め板15と水平パイルキャップ11との間には、第1下部波止め板14と第2下部波止め板15の安定性を維持するように対称に配置された下部支柱17がある。
【0023】
囲い垂直短管18は、水平パイルキャップ11の開口の未閉鎖の両側に垂直に配置され、両側は囲い貫通長管19を介して第1上部円弧直立壁12と第2上部円弧直立壁13に一体的に連結されている。水平パイルキャップ11の両側には7本の囲い垂直短管18が均等に配置されており、囲い貫通長管19は囲い垂直短管18の鉛直方向の中間位置に配置されている。
【0024】
構造物固定装置は4本の杭基礎柱20からなり、上部は水平パイルキャップ11の四隅の位置に垂直に接続されている。
【0025】
波発電機ユニットは、第1上部円弧直立壁12と第2上部円弧直立壁13内に取り付けられた3組の螺旋羽根群21からなり、ソフトシャフト伝動装置を介して発電機22を伝動駆動して発電し、電力を利用または貯蔵する。
【0026】
本発明は、波エネルギー発電装置を兼ねた固定式透過防波堤を提供する。使用時には、透過防波堤は設計通りに組み立てられ、状況に応じて試験精度を確保するように調整される。
【0027】
以上、添付図面を参照しながら本発明の特許実施形態について説明したが、本発明は上記の具体的な実施形態に限定されるものではない。上記の具体的な実施形態は例示であって制限的なものではない。当業者は、本発明の示唆の下、本発明の趣旨と特許請求の範囲から逸脱することなく、さらに多くの形をとることができ、これらは本発明の範囲内である。
【符号の説明】
【0028】
11 水平パイルキャップ
12 第1上部円弧直立壁
13 第2上部円弧直立壁
14 第1下部波止め板
15 第2下部波止め板
16 上部支柱
17 下部支柱
18 囲い垂直短管
19 囲い貫通長管
20 杭基礎柱
21 螺旋羽根群
22 発電機
【国際調査報告】