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特表2023-546270非ニューロン細胞をニューロンに分化転換する組成物及び方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-11-01
(54)【発明の名称】非ニューロン細胞をニューロンに分化転換する組成物及び方法
(51)【国際特許分類】
   C12N 5/00 20060101AFI20231025BHJP
   C12N 5/0793 20100101ALI20231025BHJP
   A61K 45/00 20060101ALI20231025BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20231025BHJP
   A61P 25/00 20060101ALI20231025BHJP
   A61K 31/421 20060101ALI20231025BHJP
   A61K 31/4745 20060101ALI20231025BHJP
   A61P 25/16 20060101ALI20231025BHJP
   A61P 25/28 20060101ALI20231025BHJP
   A61P 21/02 20060101ALI20231025BHJP
   A61P 25/14 20060101ALI20231025BHJP
   A61P 25/08 20060101ALI20231025BHJP
   A61P 9/00 20060101ALI20231025BHJP
   A61K 31/426 20060101ALI20231025BHJP
【FI】
C12N5/00
C12N5/0793
A61K45/00
A61P43/00 121
A61P25/00
A61K31/421
A61K31/4745
A61P25/16
A61P25/28
A61P21/02
A61P25/14
A61P25/08
A61P9/00
A61K31/426
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023547728
(86)(22)【出願日】2020-10-23
(85)【翻訳文提出日】2023-04-14
(86)【国際出願番号】 CN2020123227
(87)【国際公開番号】W WO2022077549
(87)【国際公開日】2022-04-21
(31)【優先権主張番号】202011097347.4
(32)【優先日】2020-10-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.TWEEN
(71)【出願人】
【識別番号】520176566
【氏名又は名称】中国科学院動物研究所
【氏名又は名称原語表記】INSTITUTE OF ZOOLOGY,CHINESE ACADEMY OF SCIENCES
【住所又は居所原語表記】No.5, 1 Beichen West Road, Chaoyang District, Beijing 100101, China
(71)【出願人】
【識別番号】523142607
【氏名又は名称】北京幹細胞与再生医学研究院
【氏名又は名称原語表記】BEIJING INSTITUTE FOR STEM CELL AND REGENERATIVE MEDICINE
【住所又は居所原語表記】A 3, Datun Road, Chaoyang District, Beijing 100100, China
(74)【代理人】
【識別番号】100136629
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 光宜
(74)【代理人】
【識別番号】100080791
【弁理士】
【氏名又は名称】高島 一
(74)【代理人】
【識別番号】100125070
【弁理士】
【氏名又は名称】土井 京子
(74)【代理人】
【識別番号】100121212
【弁理士】
【氏名又は名称】田村 弥栄子
(74)【代理人】
【識別番号】100174296
【弁理士】
【氏名又は名称】當麻 博文
(74)【代理人】
【識別番号】100137729
【弁理士】
【氏名又は名称】赤井 厚子
(74)【代理人】
【識別番号】100151301
【弁理士】
【氏名又は名称】戸崎 富哉
(74)【代理人】
【識別番号】100152308
【弁理士】
【氏名又は名称】中 正道
(74)【代理人】
【識別番号】100201558
【弁理士】
【氏名又は名称】亀井 恵二郎
(72)【発明者】
【氏名】李偉
(72)【発明者】
【氏名】周▲き▼
(72)【発明者】
【氏名】何正泉
【テーマコード(参考)】
4B065
4C084
4C086
【Fターム(参考)】
4B065AA90X
4B065BB01
4B065BB34
4B065BC01
4B065CA44
4C084AA19
4C084NA14
4C084ZA02
4C084ZA06
4C084ZA16
4C084ZA36
4C084ZA94
4C084ZC75
4C086AA01
4C086AA02
4C086BC67
4C086BC82
4C086CB05
4C086GA02
4C086GA08
4C086GA09
4C086GA10
4C086MA02
4C086MA04
4C086NA14
4C086ZA02
4C086ZA06
4C086ZA16
4C086ZA36
4C086ZA94
4C086ZC75
(57)【要約】
細胞の分化転換を誘導するための組成物、及び非ニューロン細胞のニューロンへの分化転換の誘導におけるその使用が提供され、前記組成物は、ミオシン阻害剤と、イソオキサゾール化合物及び/またはその誘導体とを含む。また、ミオシン阻害剤を含む誘導培地で非ニューロン細胞を培養し、次いで、成熟ニューロンが得られるまで、ミオシン阻害剤と、イソオキサゾール化合物及び/またはその誘導体とを含む成熟培地で培養することを含む、非ニューロン細胞のニューロンへの分化転換を誘導する方法も提供される。さらに、有効量のミオシン阻害剤と、イソオキサゾール及び/またはその誘導体とを被験者に投与することを含む、被験者の体内における非ニューロン細胞をニューロンに分化転換する方法も提供される。
【選択図】図1A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ミオシン阻害剤と、
イソオキサゾール及び/またはその誘導体と
を含むことを特徴とする、細胞の分化転換を誘導する組成物。
【請求項2】
細胞分化転換の誘導における、ミオシン阻害剤とイソオキサゾール化合物及び/またはその誘導体とを含む組成物の使用であって、好ましくは、前記分化転換は、非ニューロン細胞のニューロンへの分化転換を誘導する、前記使用。
【請求項3】
神経変性疾患の治療のための薬剤の調製における、ミオシン阻害剤とイソオキサゾール化合物及び/またはその誘導体とを含む組成物の使用。
【請求項4】
ミオシン阻害剤とイソオキサゾール化合物及び/またはその誘導体とを使用して非ニューロン細胞を処理することを含むことを特徴とする、非ニューロン細胞のニューロンへの分化転換を誘導する方法。
【請求項5】
非ニューロン細胞を誘導培地中で1~7日間培養し、次いで成熟培地を用いて7~45日間、好ましくは21~45日間培養することを含むことを特徴とする、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
誘導培地及び成熟培地を含むことを特徴とする、非ニューロン細胞のニューロンへの分化転換を誘導する培地。
【請求項7】
前記誘導培地がミオシン阻害剤を含み、
好ましくは、前記誘導培地が、N2B27培地をさらに含み、前記N2B27培地は、DMEM/F12とNeurobasalを1:1で混合してから、N2細胞培養サプリメント、B27細胞培養サプリメント、β-メルカプトエタノール、グルタマックス、インスリン、及びペニシリンを加えて調製されることを特徴とする、請求項5に記載の方法または請求項6に記載の培地。
【請求項8】
前記成熟培地が、ミオシン阻害剤とイソオキサゾール化合物及び/またはその誘導体とを含み、
好ましくは、前記成熟培地が、ミオシン阻害剤、イソオキサゾール化合物及び/またはその誘導体、N2B27培地、神経栄養因子、フォルスコリンを含み、前記N2B27培地は、DMEM/F12とNeurobasalを1:1で混合してから、N2細胞培養サプリメント、B27細胞培養サプリメント、β-メルカプトエタノール、グルタマックス、インスリン、及びペニシリンを加えて調製され、好ましくは、前記神経栄養因子は、神経栄養因子3、脳由来神経栄養因子及びグリア細胞由来神経栄養因子を含み、
好ましくは、前記成熟培地は、ミオシン阻害剤、イソオキサゾール化合物及び/またはその誘導体、及び前記N2B27培地を含み、
好ましくは、前記成熟培地は、ミオシン阻害剤、イソオキサゾール化合物及び/またはその誘導体、及び前記N2B27培地からなり、
好ましくは、前記成熟培地は、ミオシン阻害剤、イソオキサゾール化合物及び/またはその誘導体、前記N2B27培地、神経栄養因子3、脳由来神経栄養因子及びグリア細胞由来神経栄養因子を含み、
好ましくは、前記成熟培地は、ミオシン阻害剤、イソオキサゾール化合物及び/またはその誘導体、前記N2B27培地、神経栄養因子3、脳由来神経栄養因子及びグリア細胞由来神経栄養因子からなることを特徴とする、請求項5に記載の方法または請求項6または7に記載の培地。
【請求項9】
被験者の体内における非ニューロン細胞をニューロンに分化転換する方法であって、
有効量のミオシン阻害剤とイソオキサゾール化合物及び/またはその誘導体とを被験者に投与することを含み、
好ましくは、前記方法は、有効量のミオシン阻害剤とイソオキサゾール及び/またはその誘導体とを被験者に腹腔内注射により投与することを含み、
好ましくは、前記方法は、非ニューロン細胞を誘導培地及び成熟培地で順次培養し、次に培養した非ニューロン細胞を体内に注入し、最後に有効量のミオシン阻害剤とイソオキサゾール及び/またはその誘導体とを腹腔内注射により被験者に投与することを含み、
好ましくは、前記方法は、非ニューロン細胞を誘導培地で1~7日間、成熟培地で5~10日間培養した後、培養した非ニューロン細胞を体内に注入し、最後に有効量のミオシン阻害剤とイソオキサゾール化合物及び/またはその誘導体とを、腹腔内注射により被験者に連続14日以上投与することを含むことを特徴とする、前記方法。
【請求項10】
有効量のミオシン阻害剤とイソオキサゾール化合物及び/またはその誘導体とを被験者に投与することを含むことを特徴とする、前記被験者における神経変性疾患を治療する方法。
【請求項11】
前記神経変性疾患が、パーキンソン病、アルツハイマー病、筋萎縮性側索硬化症、ハンチントン病、脊髄小脳失調症、てんかん、脳卒中、脳損傷、及び脊髄損傷を含むことを特徴とする、請求項3に記載の使用または請求項10に記載の方法。
【請求項12】
請求項4~5及び7~8のいずれか一項に記載の方法によって得られるニューロン。
【請求項13】
非ニューロン細胞をニューロンに分化転換する製品またはキットであって、前記製品またはキットは、誘導培地及び成熟培地を含み、
前記誘導培地はミオシン阻害剤を含み、
前記成熟培地は、ミオシン阻害剤とイソオキサゾール化合物及び/またはその誘導体とを含むことを特徴とする、前記製品またはキット。
【請求項14】
ニューロンの形態形成の促進及び神経運命の開始におけるミオシン阻害剤の使用。
【請求項15】
ニューロン遺伝子の高発現の促進におけるイソオキサゾール化合物またはその誘導体の使用。
【請求項16】
前記ミオシン阻害剤が、(-)-Blebbistatin及び/または(-)-Blebbistatin O-Benzoateであることを特徴とする、請求項1に記載の組成物、請求項2、3、11または14に記載の使用、請求項4~5及び7~11のいずれか一項に記載の方法、請求項7または8に記載の培地、請求項12に記載のニューロンまたは請求項13に記載の製品またはキット。
【請求項17】
前記イソオキサゾール化合物またはその誘導体は、式(I)で示される構造を有し、
【化1】

式(I)中、R1基は、チエニル、フリル、ピロリル、フェニル及びピリジルから選択されるいずれか1つであり、R2基は、イソオキサゾリル、イソチアゾリル、ピラゾリル、オキサゾリル、チアゾリル及びイミダゾリル基から選択されるいずれか1つであり、R3基は、メチル、エチル、シクロプロピル、シクロブチル及びシクロペンチルから選択されるいずれか1つであり、ここで、R1基の連結部位は任意の炭素原子であり、R2基の2つの連結部位は2つのメタ位炭素原子であり、R3基の連結部位は任意の炭素原子であることを特徴とする、
請求項1または16に記載の組成物、請求項2、3、11及び15~16のいずれか一項に記載の使用、請求項4~5及び7~11、及び16のいずれか一項に記載の方法、請求項8もしくは16に記載の培地、請求項12もしくは16に記載のニューロンまたは請求項13もしくは16に記載の製品またはキット。
【請求項18】
前記イソオキサゾール化合物及び/またはその誘導体は、イソオキサゾール9(ISX9)、N-メチル-5-フェニルイソオキサゾール-3-カルボキサミド(ISX-PCA)、N,5-ジメチルイソオキサゾール-3-カルボキサミド、N-メチル-5-(ピリジン-4-イル)イソオキサゾール-3-カルボキサミド、N-メチル-5-フェニルイソチアゾール-3-カルボキサミド、N-メチル-5-フェニル-1H-ピラゾール-3-カルボキサミド、N-メチル-2-フェニルオキサゾール-4-カルボキサミド、N-メチル-2-フェニルチアゾール-4-カルボキサミド、N-メチル-2-フェニル-1H-イミダゾール-4-カルボキサミド、N-メチル-5-(チオフェン-2-イル)イソオキサゾール-3-カルボキサミド、5-(フラン-2-イル)-N-メチルイソオキサゾール-3-カルボキサミド、N-メチル-2-(チオフェン-2-イル)-1,3-チアゾール-4-カルボキサミドから選択されるいずれか1つまたは2つ以上であることを特徴とする、請求項17に記載の組成物、使用、方法、培地、ニューロン、製品またはキット。
【請求項19】
前記非ニューロン細胞は線維芽細胞またはアストロサイトであることを特徴とする、請求項2、16~18のいずれか一項に記載の使用、請求項4~5、7~9、及び16~18のいずれか一項に記載の方法、請求項6~8、16~18のいずれか一項に記載の培地、請求項12、16~18のいずれか一項に記載のニューロン、または請求項13、16~18のいずれか一項に記載の製品またはキット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、バイオ技術分野に関し、具体的には非ニューロン細胞をニューロンに分化転換する組成物及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
神経変性疾患は、時間の経過とともに悪化し、機能不全になるニューロン及び/またはそのミエリンの喪失によって引き起こされる疾患である。一般的な神経変性疾患としては、パーキンソン病(PD)、アルツハイマー病(AD)、筋萎縮性側索硬化症(ALS)、ハンチントン病(HD)、及びさまざまな種類の脊髄小脳失調症(SCA)、てんかん、脳卒中、脳損傷、及び脊髄損傷などが挙げられる。ニューロンの再生を促進することは、そのような疾患の治療における重要な一環であり、重要な手段でもある。シンプルで効率的なニューロン再生を実現する方法は、長い間注目されてきたホットスポットである。現在、従来技術は、非ニューロン細胞のニューロンへの分化転換のためのいくつかの方法を開示した。
【0003】
特許文献1には、線維芽細胞を誘導してニューロン細胞に分化転換させる方法とその応用が開示されており、その形質転換プロセスでは、レトロウイルスシステムを使用して、前述のmiRNA-302/367クラスター、miRNA-9、及びmiRNA-124をヒト線維芽細胞において安定かつ効率的に過剰発現させることによって、細胞内の一連の生化学反応を調節し、線維芽細胞をニューロン細胞に分化転換させる。
【0004】
特許文献2には、線維芽細胞を神経細胞に直接形質転換させることを誘導する医薬組成物及びその使用が開示されており、低分子化合物の組み合わせにより、外因性遺伝子なしで神経細胞の無系統分化転換が達成された。線維芽細胞の神経細胞への直接形質転換を誘導する医薬組成物が開示されており、その主な薬効成分は、VPA、CHIR-99021、RepSox、Forskolin、SP600125、Go6983及びY-27632を含む。
【0005】
特許文献3には、脊髄アストロサイトの運動ニューロンへのリプログラミングを誘導する方法が開示されており、7種類の低分子薬剤SB431542、LDN193189、RA、bFGF、Purmorphamine、Forskolin、及びVPAを選択して、低分子薬剤は、インビトロでアストロサイトのリプログラミングを誘導し、ラットのアストロサイトの運動ニューロンへのリプログラミングを誘導した。
【0006】
従来技術では、インビトロでの転写因子の過剰発現は、線維芽細胞またはアストロサイトなどの非ニューロン細胞のニューロンへの分化転換を達成することができるが、これらの方法は、インビボでの安全な適用を達成することができない。さらに、化学的小分子は、細胞処理が便利で、透過性が高く、免疫原性がなく、局所または全身投与が容易であるという利点があるため、多数の従来技術研究により、複数の小分子の複雑な組み合わせによってヒト線維芽細胞のニューロンへの分化転換が達成されている。しかし、分化転換効率が低く、小分子の数が多すぎるため、ニューロンの分化転換をインビボで達成することは困難である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
特許文献1:中国特許第103849601号明細書
特許文献2:中国特許出願公開第106337037号明細書
特許文献3:中国特許出願公開第110283788号明細書
【発明の概要】
【0008】
非ニューロン細胞のニューロンへの安全な分化転換をインビボで実現し、分化転換効率を改善するために、本出願は、単純な小分子化合物の組み合わせによって媒介される高効率のニューロン分化転換方法を提供し、ヒトまたは動物の非ニューロン細胞のニューロン細胞への分化転換のためにより便利で簡単な方法を提案し、先駆的で予想外の技術的効果を達成した。本願の技術案は次のとおりである。
【0009】
本願は、ミオシン阻害剤と、
イソオキサゾール及び/またはその誘導体と
を含むことを特徴とする、細胞の分化転換を誘導する組成物を提供する。
【0010】
本願は、細胞分化転換の誘導における、ミオシン阻害剤とイソオキサゾール化合物及び/またはその誘導体とを含む組成物の使用を提供する。
【0011】
好ましくは、前記分化転換は、非ニューロン細胞のニューロンへの分化転換を誘導する。
【0012】
本願は、神経変性疾患の治療のための薬剤の調製における、ミオシン阻害剤とイソオキサゾール化合物及び/またはその誘導体とを含む組成物の使用を提供する。
【0013】
本願は、ミオシン阻害剤とイソオキサゾール化合物及び/またはその誘導体とを使用して非ニューロン細胞を処理することを含むことを特徴とする、非ニューロン細胞のニューロンへの分化転換を誘導する方法を提供する。
【0014】
好ましくは、本願によって提供される非ニューロン細胞のニューロンへの分化転換を誘導する方法は、非ニューロン細胞を誘導培地中で1~7日間培養し、次いで成熟培地を用いて7~45日間、好ましくは21~45日間培養することを含む。
【0015】
本願は、誘導培地及び成熟培地を含むことを特徴とする、非ニューロン細胞のニューロンへの分化転換を誘導する培地を提供する。
【0016】
好ましくは、前記誘導培地はミオシン阻害剤を含む。
【0017】
好ましくは、前記誘導培地は、N2B27培地及びミオシン阻害剤を含み、前記N2B27培地は、DMEM/F12とNeurobasalを1:1で混合してから、N2細胞培養サプリメント、B27細胞培養サプリメント、β-メルカプトエタノール、グルタマックス、インスリン、及びペニシリンを加えて調製される。
【0018】
好ましくは、前記成熟培地が、ミオシン阻害剤とイソオキサゾール化合物及び/またはその誘導体とを含む。
【0019】
好ましくは、前記成熟培地は、ミオシン阻害剤、イソオキサゾール化合物及び/またはその誘導体、N2B27培地、神経栄養因子、フォルスコリン、ミオシン阻害剤、イソオキサゾール化合物及び/またはその誘導体を含み、前記N2B27培地は、DMEM/F12とNeurobasalを1:1で混合してから、N2細胞培養サプリメント、B27細胞培養サプリメント、β-メルカプトエタノール、グルタマックス、インスリン、及びペニシリンを加えて調製され、
好ましくは、前記神経栄養因子は、神経栄養因子3、脳由来神経栄養因子及びグリア細胞由来神経栄養因子を含み、
好ましくは、前記成熟培地は、ミオシン阻害剤、イソオキサゾール化合物及び/またはその誘導体、及び前記N2B27培地を含み、
好ましくは、前記成熟培地は、ミオシン阻害剤、イソオキサゾール化合物及び/またはその誘導体、及び前記N2B27培地からなり、
好ましくは、前記成熟培地は、ミオシン阻害剤、イソオキサゾール化合物及び/またはその誘導体、前記N2B27培地、神経栄養因子3、脳由来神経栄養因子及びグリア細胞由来神経栄養因子を含み、
好ましくは、前記成熟培地は、ミオシン阻害剤、イソオキサゾール化合物及び/またはその誘導体、前記N2B27培地、神経栄養因子3、脳由来神経栄養因子及びグリア細胞由来神経栄養因子からなる。
【0020】
本願は、有効量のミオシン阻害剤とイソオキサゾール化合物及び/またはその誘導体とを被験者に投与することを含むことを特徴とする、被験者の体内における非ニューロン細胞をニューロンに分化転換する方法を提供する。
【0021】
好ましくは、前記方法は、有効量のミオシン阻害剤とイソオキサゾール及び/またはその誘導体とを被験者に腹腔内注射により投与することを含む。
【0022】
好ましくは、前記方法は、非ニューロン細胞を誘導培地及び成熟培地で順次培養し、次に培養した非ニューロン細胞を体内に注入し、最後に有効量のミオシン阻害剤とイソオキサゾール及び/またはその誘導体とを腹腔内注射により被験者に投与することを含む。
【0023】
好ましくは、前記方法は、非ニューロン細胞を誘導培地で1~7日間、成熟培地で5~10日間培養した後、培養した非ニューロン細胞を体内に注入し、最後に有効量のミオシン阻害剤とイソオキサゾール化合物及び/またはその誘導体とを、腹腔内注射により被験者に連続14日以上投与することを含む。
【0024】
本願は、有効量のミオシン阻害剤とイソオキサゾール化合物及び/またはその誘導体とを被験者に投与することを含むことを特徴とする、前記被験者における神経変性疾患を治療する方法を提供する。
【0025】
好ましくは、前記神経変性疾患は、パーキンソン病、アルツハイマー病、筋萎縮性側索硬化症、ハンチントン病、脊髄小脳失調症、てんかん、脳卒中、脳損傷、及び脊髄損傷を含む。
【0026】
本願は、非ニューロン細胞のニューロンへの分化転換を誘導する前記方法によって得られるニューロンを提供する。
【0027】
本願は、非ニューロン細胞をニューロンに分化転換する製品またはキットを提供し、前記製品またはキットは、誘導培地及び成熟培地を含み、
前記誘導培地はミオシン阻害剤を含み、
前記成熟培地は、ミオシン阻害剤とイソオキサゾール化合物及び/またはその誘導体とを含むことを特徴とする。
【0028】
本願は、ニューロンの形態形成の促進及び神経運命の開始におけるミオシン阻害剤の使用を提供する。
【0029】
本願は、ニューロン遺伝子の高発現の促進におけるイソオキサゾール化合物またはその誘導体の使用を提供する。
【0030】
好ましくは、前記ミオシン阻害剤は、(-)-Blebbistatin及び/または(-)-Blebbistatin O-Benzoateである。
【0031】
好ましくは、前記イソオキサゾール化合物またはその誘導体は、式(I)で示される構造を有し、
【0032】
【化1】
【0033】
式(I)中、R1基は、チエニル、フリル、ピロリル、フェニル及びピリジルから選択されるいずれか1つであり、R2基は、イソオキサゾリル、イソチアゾリル、ピラゾリル、オキサゾリル、チアゾリル及びイミダゾリル基から選択されるいずれか1つであり、R3基は、メチル、エチル、シクロプロピル、シクロブチル及びシクロペンチルから選択されるいずれか1つであり、ここで、R1基の連結部位は任意の炭素原子であり、R2基の2つの連結部位は2つのメタ位炭素原子であり、R3基の連結部位は任意の炭素原子である。
【0034】
好ましくは、前記イソオキサゾール化合物及び/またはその誘導体は、イソオキサゾール9(ISX9)、N-メチル-5-フェニルイソオキサゾール-3-カルボキサミド(ISX-PCA)、N,5-ジメチルイソオキサゾール-3-カルボキサミド、N-メチル-5-(ピリジン-4-イル)イソオキサゾール-3-カルボキサミド、N-メチル-5-フェニルイソチアゾール-3-カルボキサミド、N-メチル-5-フェニル-1H-ピラゾール-3-カルボキサミド、N-メチル-2-フェニルオキサゾール-4-カルボキサミド、N-メチル-2-フェニルチアゾール-4-カルボキサミド、N-メチル-2-フェニル-1H-イミダゾール-4-カルボキサミド、N-メチル-5-(チオフェン-2-イル)イソオキサゾール-3-カルボキサミド、5-(フラン-2-イル)-N-メチルイソオキサゾール-3-カルボキサミド、N-メチル-2-(チオフェン-2-イル)-1,3-チアゾール-4-カルボキサミドから選択されるいずれか1つまたは複数である。
【0035】
好ましくは、前記非ニューロン細胞は線維芽細胞またはアストロサイトである。
【発明の効果】
【0036】
本願によれば、ミオシン阻害剤とイソオキサゾール及び/またはその誘導体とを含む組成物により組み合わせて処理することにより、繊維芽細胞またはアストロサイトなどの非ニューロン細胞のニューロンへの分化転換をインビトロで効率的に達成することができ、再生医療においてインビトロでニューロンを取得するための新しい細胞源を提供する。また、前記組成物の腹腔内注射によりインビボでニューロンへの分化転換を達成し、ニューロン再生を実現し、神経変性疾患の治療に役立つことができる。本願の方法でニューロンを得るための細胞運命変化を達成することは報告されていない。同時に、以前に報告された細胞運命調節方法と比較して、この方法の適用はより単純であり、2つの単純な小分子のみを組み合わせて処理すれば、特定の遺伝子の過剰発現制御なしに、細胞培養基質を変更するだけで細胞運命の変化を達成でき、インビトロ及びインビボで効率的に実行できるため、簡単で効率的なニューロン再生を実現できる。これは、老化や病理学的損傷によって引き起こされる神経変性疾患のインビボ治療のための新しいアプローチを提供する。
【0037】
本願は次の特徴を有する。1.操作が簡単であり、非ニューロン細胞をミオシン阻害剤を含む誘導培地に添加して培養した後、ミオシン阻害剤とイソオキサゾール化合物及び/またはその誘導体とを含む成熟培地を使用すれば、運命転換ができる。2.効率的かつ迅速であり、ミオシン阻害剤とイソオキサゾール化合物及び/またはその誘導体との組み合わせによる非ニューロン細胞からニューロン細胞への分化転換の過程で、1~7日目に明らかなニューロンの形態が現れることができる。3.普遍的な適応性を有し、この方法は、異なる種からの異なる類型の開始細胞のニューロンへの分化転換の過程において一般的に適用できる。4.先行技術と比較して、本願の方法は生体内でより強い誘導性を有する。5.安全的であり、本願の方法は、従来のウイルスベクター媒介遺伝子法よりも安全性が高い。6.制御可能性があり、複数の複雑な小分子の組み合わせによって媒介される分化転換と比較して、2つの単純な小分子の徐放システムはより実行可能であり、計量制御が容易である。
【図面の簡単な説明】
【0038】
図1A図1Aは、ヒト包皮線維芽細胞(HFF1y、北京幹細胞バンク)の顕微鏡写真(左)、及び前記ヒト包皮線維芽細胞(HFF1y、北京幹細胞バンク)をミオシンII阻害剤(-)-Blebbistatinを含む誘導培地で7日間培養した後に(-)-Blebbistatinとイソオキサゾール化合物ISX9とを含む成熟培地で21日間培養した後の誘導ニューロンの顕微鏡写真(右)である。
図1B図1Bは、図1A(右)の誘導ニューロンのニューロンマーカーの染色結果の図である。
図1C図1Cは、図1A(左)のヒト包皮線維芽細胞(HFF1y、北京幹細胞バンク)を(-)-Blebbistatinを含む誘導培地で7日間培養した後に、(-)-Blebbistatinとイソオキサゾール化合物ISX9とを含む成熟培地で38日間培養した後の誘導ニューロンのニューロンマーカーの遺伝子発現状況を示す図である。
図1D図1Dは、図1A(左)のヒト包皮線維芽細胞(HFF1y、北京幹細胞バンク)を誘導培地で7日間培養した後に、成熟培地で38日間培養したニューロン誘導中の神経関連遺伝子の発現のヒートマップである。
図1E図1Eは、図1A(右)の誘導ニューロンに対するパッチクランプ実験の結果を示す図であり、左の図は検出されたナトリウム電流とカリウム電流を示し、右の写真は誘発された活動電位を示す。
図1F図1Fは、図1A(左)のヒト包皮線維芽細胞(HFF1y、北京幹細胞バンク)を(-)-Blebbistatinを含む誘導培地で7日間培養した後に、(-)-Blebbistatinとイソオキサゾール化合物ISX9とを含む成熟培地で38日間培養した全プロセスにおける(3時間、6時間、1日目、2日目、7日目、24日目、30日目、45日目)単一細胞シーケンシング結果とインビボでのニューロンシーケンシング結果との比較図である。
図1G図1Gは、図1A(左)のヒト包皮線維芽細胞(HFF1y、北京幹細胞バンク)を(-)-Blebbistatinを含む誘導培地で7日間培養した後に、(-)-Blebbistatinとイソオキサゾール化合物ISX9とを含む成熟培地で45日間培養し、次いで、(-)-Blebbistatinを含む誘導培地で7日間培養した後に、(-)-Blebbistatinとイソオキサゾール化合物ISX9とを含まない成熟培地で45日間培養した後、及びブランク対照群の誘導ニューロンのニューロンマーカーの遺伝子発現の比較図である。
図2A図2Aは、ヒト包皮線維芽細胞(HFF1y、北京幹細胞バンク)の顕微鏡写真(左)、及び前記ヒト包皮線維芽細胞(HFF1y、北京幹細胞バンク)を(-)-Blebbistatinを含む誘導培地で7日間培養した後に、(-)-Blebbistatinとイソオキサゾール化合物ISX9の誘導体であるISX-PCAとを含む成熟培地で21日間培養した後の誘導ニューロンの顕微鏡写真(右)である。
図2B図2Bは、図2A(左)のヒト包皮線維芽細胞(HFF1y、北京幹細胞バンク)を(-)-Blebbistatinを含む誘導培地で7日間培養した後に、(-)-Blebbistatinとイソオキサゾール化合物ISX9の誘導体であるISX-PCAとを含む成熟培地で45日間培養した後の誘導ニューロンのニューロンマーカーの遺伝子発現状況を示す図である。
図3図3は、ヒト包皮線維芽細胞(HFF1y、北京幹細胞バンク)を順次に(-)-Blebbistatinを含む誘導培地で培養し、(-)-Blebbistatinとイソオキサゾール化合物ISX9とを含む成熟培地で培養した後、インビボで移植し、次いで、(-)-Blebbistatinとイソオキサゾール化合物ISX9とを腹腔内注射した後のニューロンの分化転換の染色結果を示す図である。
図4A図4Aは、ヒト包皮線維芽細胞(HFF1y、北京幹細胞バンク)の顕微鏡写真(左)、及び前記ヒト包皮線維芽細胞(HFF1y、北京幹細胞バンク)を(-)-Blebbistatinを含む誘導培地で7日間培養した後の誘導ニューロンの顕微鏡写真(右)である。
図4B図4Bは、図4A(右)の誘導ニューロンのRNA-seq後のGOクラスター分析の結果を示す図である。
図5A図5Aは、ヒト包皮線維芽細胞(HFF1y、北京幹細胞バンク)の顕微鏡写真(左)、及び前記ヒト包皮線維芽細胞(HFF1y、北京幹細胞バンク)をミオシンII阻害剤(-)-Blebbistatinを含まない誘導培地で1日間培養した後に、イソオキサゾール化合物ISX9を含むが(-)-Blebbistatinを含まない成熟培地で6日間培養した後の誘導ニューロンの顕微鏡写真(右)である。
図5B図5Bは、図5A(右)の誘導ニューロンのニューロンマーカーの遺伝子発現を示す図である。
図6図6は、図5A(左)に対して誘導培地で1日培養後、フォルスコリンを除去した後、あるいは神経栄養因子3、脳由来神経栄養因子、グリア細胞由来神経栄養因子、及びフォルスコリンを同時に除去した神経成熟培地で6日間培養した後の古典的なニューロンマーカーの遺伝子発現を示す図である。(ここで、Fはフォルスコリンを表し、FBGNはフォルスコリン、脳由来神経栄養因子、グリア細胞由来神経栄養因子、及び神経栄養因子3の混合物を表す。)
図7A図7Aは、マウスアストロサイトを(-)-Blebbistatinを含む誘導培地で1日間培養した後、(-)-Blebbistatinとイソオキサゾール化合物ISX9とを含む成熟培地で13日間培養した誘導ニューロンの形態及びニューロンマーカーの染色の結果を示す図である。
図7B図7Bは、図7Aの誘導ニューロンのニューロンマーカーの遺伝子発現を示す図である。
図8図8は、異なる誘導培地及び成熟培地での誘導培養によって得られたニューロンのニューロンマーカー遺伝子発現の比較結果を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0039】
以下、本願の実施形態を具体的な実施例により詳細に説明するが、以下の内容は、本願に対するいかなる限定としても解釈すべきではない。
【0040】
本文で使用されている用語の意味は次の通りである。
高グルコースDMEM:高糖DMEM培地(dulbecco’s modified eagle medium,DMEM)、すなわち、MEM培地をベースにして開発された、様々なグルコースとアミノ酸を含む市販の培地。
N2B27培地:DMEM/F12基礎培地とNeurobasal基礎培地を1:1で混合した、N2細胞培養サプリメントとB27細胞培養サプリメントを含む、成分がはっきりしている細胞培養液である。培養する細胞が異なれば、N2B27培地中の上記成分以外の成分も異なる。マウス胚性幹細胞の神経系への分化に寄与すると報告されている。本願のN2B27培地は、DMEM/F12とNeurobasalを1:1で混合した後、N2細胞培養サプリメント、B27細胞培養サプリメント、β-メルカプトエタノール、グルタマックス、インスリン、及びペニシリンを添加して調製してなる。
DMEM/F12:クローン密度の培養に適した、DMEM培地とF12培地を1:1で混合した市販の基礎培養液。
Neurobasal:神経細胞培養に寄与する市販の基礎培地。
グルタマックス:細胞培地中のL-グルタミンを直接に置き換えることができる細胞培養サプリメント。
ペニシリンとストレプトマイシン:ペニシリンとストレプトマイシンは、細胞培養中に細菌の混入を防ぐために細胞培養で一般的に使用される2つの抗生物質である。
N2細胞培養サプリメント:市販の無血清細胞培養添加剤。
B27細胞培養サプリメント:市販の無血清細胞培養添加剤。
神経栄養因子3:神経栄養因子(neurotrophin,NT)は、神経支配組織(筋肉など)及びアストロサイトによって産生され、ニューロンの成長と生存に必要なタンパク質分子のクラスである。神経栄養因子3(NT-3)は神経栄養因子の一種であり、神経系では主に後根神経節、脊髄、脳幹、小脳、海馬などに分布し、交感神経、感覚、基底前脳のコリン作動性及び運動ニューロンの生存を維持できる。
脳由来神経栄養因子:神経栄養因子の一種であり、体内に最も多く存在する神経栄養因子であり、TrkB(チロシンキナーゼB)と結合して作用する。中枢神経系、末梢神経系、内分泌系、骨・軟骨組織などに広く分布しているが、主に中枢神経系で発現し、海馬と皮質での含有量が最も高い。
グリア細胞由来の神経栄養因子:中脳のドーパミン作動性ニューロンの生存をインビトロ実験でサポートでき、パーキンソン病のさまざまな動物モデルで、ドーパミン作動性ニューロンの生存率と神経終末の密度を改善し、症状を改善することができる。
GABA:ガンマアミノ酪酸の略であり、中枢神経系の重要な神経伝達物質であり、抑制性神経伝達物質であり、学習、記憶、及び睡眠に影響を与える。
GABAN:GABA作動性ニューロンの略であり、主にGABAを伝達物質として利用する神経細胞を指す。
【0041】
本出願は、
ミオシン阻害剤と、
イソオキサゾール及び/またはその誘導体と
を含む、細胞の分化転換を誘導する組成物を提供する。
【0042】
本出願における誘導体は、イソオキサゾールの誘導体を指す。
【0043】
特定の一実施形態では、前記分化転換は、非ニューロン細胞のニューロンへの分化転換を誘導することであり、前記非ニューロン細胞は線維芽細胞またはアストロサイトである。前記ミオシン阻害剤は、(-)-Blebbistatin及び/または(-)-Blebbistatin O-Benzoateである。
【0044】
本発明で使用される(-)-Blebbistatinは、Bleと略記され、式(II)に示す構造を有する。
【0045】
【化2】
【0046】
本発明で使用される(-)-Blebbistatin O-Benzoateは、Ble-OBと略記され、式(IIb)に示す構造を有する。
【0047】
【化3】
【0048】
本願はまた、細胞分化転換の誘導における、ミオシン阻害剤とイソオキサゾール化合物及び/またはその誘導体とを含む組成物の使用を提供する。
【0049】
本願はまた、神経変性疾患の治療のための薬剤の調製における、ミオシン阻害剤とイソオキサゾール化合物及び/またはその誘導体とを含む組成物の使用を提供する。
【0050】
特定の一実施形態では、前記神経変性疾患は、パーキンソン病、アルツハイマー病、筋萎縮性側索硬化症、ハンチントン病、脊髄小脳失調症、てんかん、脳卒中、脳損傷、及び脊髄損傷などの疾患を含むが、これらに限定されない。
【0051】
本願は、ミオシン阻害剤とイソオキサゾール化合物及び/またはその誘導体とを使用して非ニューロン細胞を処理することを含むことを特徴とする、インビトロで非ニューロン細胞のニューロンへの分化転換を誘導する方法を提供する。
【0052】
特定の一実施形態では、前記方法は、非ニューロン細胞を誘導培地中で1~7日間、任意選択で1日間、2日間、3日間、4日間、5日間、6日間または7日間培養し、次いで成熟培地を用いて7~45日間、好ましくは21~45日間、より好ましくは30~45日間、任意選択で7日間、8日間、9日間、10日間、11日間、12日間、13日間、14日間、15日間、16日間、17日間、18日間、19日間、20日間、21日間、22日間、23日間、24日間、25日間、26日間、27日間、28日間、29日間、30日間、31日間、32日間、33日間、34日間、35日間、36日間、37日間、38日間、39日間、40日間、41日間、42日間、43日間、44日間または45日間など培養することを含む。ここで、前記誘導培地はミオシン阻害剤を含み、前記成熟培地は、ミオシン阻害剤とイソオキサゾール化合物及び/またはその誘導体とを含む。
【0053】
本願はまた、有効量のミオシン阻害剤とイソオキサゾール化合物及び/またはその誘導体とを被験者に投与することを含むことを特徴とする、被験者の体内における非ニューロン細胞をニューロンに分化転換する方法を提供する。
【0054】
特定の一実施形態では、前記方法は、非ニューロン細胞を誘導培地で1~7日間、任意選択で1日間、2日間、3日間、4日間、5日間、6日間または7日間など培養し、次いで成熟培地で5~10日間、任意選択で5日間、6日間、7日間、8日間、9日間、10日間など、好ましくは7日間培養した後、培養した非ニューロン細胞を体内に注入し、最後に有効量のミオシン阻害剤とイソオキサゾール化合物及び/またはその誘導体とを、腹腔内注射により被験者に連続14日以上(任意選択で14日間、15日間、16日間、17日間、18日間、19日間など)投与することを含む。
【0055】
本願はまた、有効量のミオシン阻害剤とイソオキサゾール化合物及び/またはその誘導体とを被験者に投与することを含むことを特徴とする、前記被験者における神経変性疾患を治療する方法を提供する。
【0056】
本願はまた、誘導培地及び成熟培地を含むことを特徴とする、非ニューロン細胞のニューロン細胞への分化転換を誘導する培地を提供する。
【0057】
特定の一実施形態では、前記誘導培地は、N2B27培地及びミオシン阻害剤を含み、前記成熟培地は、N2B27培地、神経栄養因子、フォルスコリン、ミオシン阻害剤、イソオキサゾール化合物及び/またはその誘導体を含む。前記N2B27培地は、DMEM/F12とNeurobasalを1:1で混合してから、N2細胞培養サプリメント、B27細胞培養サプリメント、β-メルカプトエタノール、グルタマックス、インスリン、及びペニシリンを加えて調製される。
【0058】
特定の一実施形態では、前記神経栄養因子は、神経栄養因子3、脳由来神経栄養因子及びグリア細胞由来神経栄養因子を含む。
【0059】
特定の一実施形態では、前記成熟培地は、ミオシン阻害剤、イソオキサゾール化合物及び/またはその誘導体、前記N2B27培地を含むが、神経栄養因子及びフォルスコリンを含まない。
【0060】
特定の一実施形態では、前記成熟培地は、ミオシン阻害剤、イソオキサゾール化合物及び/またはその誘導体、及び前記N2B27培地からなる。
【0061】
特定の一実施形態では、前記成熟培地は、ミオシン阻害剤、イソオキサゾール化合物及び/またはその誘導体、前記N2B27培地、神経栄養因子3、脳由来神経栄養因子及びグリア細胞由来神経栄養因子を含むが、フォルスコリンを含まない。
【0062】
好ましい一実施形態では、前記成熟培地は、ミオシン阻害剤、イソオキサゾール化合物及び/またはその誘導体、前記N2B27培地、神経栄養因子3、脳由来神経栄養因子及びグリア細胞由来神経栄養因子からなる。
【0063】
特定の一実施形態では、前記神経栄養因子3の濃度は、0~25ng/mL、任意選択で0ng/mL、1ng/mL、2ng/mL、3ng/mL、4ng/mL、5ng/mL、6ng/mL、7ng/mL、8ng/mL、9ng/mL、10ng/mL、11ng/mL、12ng/mL、13ng/mL、14ng/mL、15ng/mL、16ng/mL、17ng/mL、18ng/mL、19ng/mL、20ng/mL、21ng/mL、22ng/mL、23ng/mL、24ng/mL、25ng/mLなどである。前記脳由来神経栄養因子は、0~25ng/mL、任意選択で0ng/mL、1ng/mL、2ng/mL、3ng/mL、4ng/mL、5ng/mL、6ng/mL、7ng/mL、8ng/mL、9ng/mL、10ng/mL、11ng/mL、12ng/mL、13ng/mL、14ng/mL、15ng/mL、16ng/mL、17ng/mL、18ng/mL、19ng/mL、20ng/mL、21ng/mL、22ng/mL、23ng/mL、24ng/mL、25ng/mLなどである。前記グリア細胞由来神経栄養因子は、0~25ng/mL、任意選択で0ng/mL、1ng/mL、2ng/mL、3ng/mL、4ng/mL、5ng/mL、6ng/mL、7ng/mL、8ng/mL、9ng/mL、10ng/mL、11ng/mL、12ng/mL、13ng/mL、14ng/mL、15ng/mL、16ng/mL、17ng/mL、18ng/mL、19ng/mL、20ng/mL、21ng/mL、22ng/mL、23ng/mL、24ng/mL、25ng/mLなどである。フォルスコリンは、0~20μM、任意選択で0ng/mL、1ng/mL、2ng/mL、3ng/mL、4ng/mL、5ng/mL、6ng/mL、7ng/mL、8ng/mL、9ng/mL、10ng/mL、11ng/mL、12ng/mL、13ng/mL、14ng/mL、15ng/mL、16ng/mL、17ng/mL、18ng/mL、19ng/mL、20ng/mLなどである。ここで、前記濃度は、成熟培地中の3つの異なる栄養因子の最終濃度である。
【0064】
特定の一実施形態では、前記誘導培地中のミオシン阻害剤の濃度は、5~25μM、任意選択で5μM、10μM、15μM、20μM、21μM、22μM、23μM、24μMまたは25μMである。ここで、前記濃度は、非ニューロン細胞を処理するために使用される誘導培地中の前記ミオシン阻害剤の最終濃度である。
【0065】
特定の一実施形態では、前記成熟培地中のミオシン阻害剤の濃度は、0~25μM、任意選択で0μM、5μM、10μM、15μM、20μMまたは25μMであり、前記成熟培地中のイソオキサゾール化合物またはその誘導体の濃度は20~50μM、任意選択で20μM、22μM、24μM、26μM、28μM、30μM、32μM、34μM、36μM、40μM、42μM、44μM、46μM、48μM、50μMなどである。ここで、前記濃度はそれぞれ、非ニューロン細胞を処理するために使用される誘導培地中の前記ミオシン阻害剤及びイソオキサゾール化合物またはその誘導体の最終濃度である。
【0066】
特定の一実施形態において、まず非ニューロン細胞を基礎培地で培養し、次いで、誘導培地及び成熟培地で順次培養する。
【0067】
特定の一実施形態では、前記基礎培地は、高グルコースDMEM+10%ウシ胎児血清から調製される。
【0068】
特定の一実施形態において、前記イソオキサゾール化合物は、イソオキサゾール環アミド結合骨格構造を有するイソオキサゾール9(略称ISX9)であり、具体的には、式(III)で示される構造を有する。
【0069】
【化4】
【0070】
特定の一実施形態では、イソオキサゾール9またはその誘導体は、式(I)で示される構造を有し、
【0071】
【化5】
【0072】
式中、R1は、チエニル、フリル、ピロリル、フェニル及びピリジルから選択されるいずれか1つであり得、R2は、イソオキサゾリル、イソチアゾリル、ピラゾリル、オキサゾリル、チアゾリル及びイミダゾリル基から選択されるいずれか1つであり得、R3基は、メチル、エチル、シクロプロピル、シクロブチル及びシクロペンチルから選択されるいずれか1つであり得、ここで、R1基の連結部位は任意の炭素原子であり、R2基の2つの連結部位は2つのメタ位炭素原子であり、R3基の連結部位は限定されない。
【0073】
本願では、ミオシン阻害剤と、イソオキサゾール化合物及び/またはその誘導体とを含む組成物を使用して、非ニューロン細胞のニューロンへの分化転換を誘導する方法が提供され、非ニューロン細胞を誘導培地及び成熟培地で培養し、前記誘導培地は、ミオシン阻害剤を含み、前記成熟培地は、ミオシン阻害剤と、イソオキサゾール化合物及び/またはその誘導体とを含む。培養プロセス中、細胞は明らかなニューロン形態を示し、顕著な細胞体と明らかなシナプスがあり、ニューロンマーカー染色の陽性率は99.6%であった。神経転写因子がアップレギュレートされ、シナプス関連遺伝子の発現がアップレギュレートされ、分化転換したニューロンは主にGABA作動性ニューロンである。培養時間がD0からD45まで経つにつれて、神経関連遺伝子がニューロンにますます接近しており、D14からD45まではニューロンの色深度に近くなり、これは、誘導されたニューロンが、幹細胞由来のニューロン及び初代単離ニューロンと同様の発現パターンを有することを示している。単一細胞シーケンシングの結果は、培養プロセスの30日目と45日目のニューロンの全体的な転写レベルが、インビボでの単離されたニューロンのレベルに近いことを示している。誘導培地を用いた誘導培養や、Ble及びISX9を含まない成熟培地を用いた誘導培養と比較して、本願の誘導培養法により得られたニューロンのニューロンマーカーの遺伝子発現レベルが高かった。誘導培養後の細胞をマウスの左海馬に注入したところ、注入した誘導ニューロン側の海馬にGFP陽性の誘導ニューロンが見られ、古典的ニューロンマーカーであるMAP2とNEUNが発現していた。BleとBle-OB混合物を添加した培地、及びBle-OBを添加した培地と比較して、Bleを添加した培地から得られたニューロンのニューロンマーカーの遺伝子発現レベルが最も高かった。
【実施例
【0074】
実施例1
小分子ミオシン阻害剤(-)-Blebbistatinとイソオキサゾール9との組み合わせは、インビトロでニューロンの分化転換を効率的に達成する
10cm皿(ディッシュ)(Corning、430167)を例にとると、各皿を3mLの20μg/mLフィブロネクチン溶液(millipore、fc010、1xPBSで調製)で6時間コーティングした。フィブロネクチン溶液を除去し、ヒト包皮線維芽細胞(HFF1y、北京幹細胞バンク)を皿あたり2×10細胞で均一に播種し、基礎培地(高グルコースDMEM(Gibco、C12430500BT)と10%ウシ胎児血清(Gibco、16000-044))で12時間培養した。基礎培地を除去し、PBSで一回洗浄した。
【0075】
本願の細胞形質転換キットはニューロンの分化転換に用いられた。前記キットは以下の誘導培地及び成熟培地を含む。
【0076】
上記処理後のHFF1y培養皿(ペトリ皿)に誘導培地を加え、1~7日間培養した。誘導培地は、25μM Ble(MCE、HY-13441)をN2B27培地に添加することによって調製された。N2B27培地は、DMEM/F12(Gibco、10565018)とNeurobasal(Gibco、21103-049)とを1:1で混合した後、N2細胞培養サプリメント(100x、Gibco、17502048)、B27細胞培養サプリメント(50x、Gibco、17504044)、β-メルカプトエタノール(1000x、Gibco、21985023)、グルタマックス(100x、Gibco、35050)、1μg/mLのインスリン(Roche、11376497001)、及びペニシリン(100×、gibco、REF 15140-122)を添加して調製された。誘導培地で1~7日間培養した後、HFF1yに明らかなニューロンの形態が現れた。
【0077】
1~7日間誘導した後のHFF1yに、成熟培地を添加し、7~45日間培養した。成熟培養培地は、上記N2B27培地に、20ng/mLの神経栄養因子3(Peprotech、450-03)、20ng/mLの脳由来神経栄養因子(peprotech、450-02)、20ng/mLのグリア細胞由来神経栄養因子(peprotech、450-10)、10μMのフォルスコリン(Stemgent、04-0025)、20μM Ble(MCE、HY-13441)、及び30μM ISX9(MCE、HY-12323)を添加して調製された。
【0078】
Ble及びISX9の神経分化転換効果をさらに説明するために、出願人は図1A~1Fを提供する。
【0079】
高グルコースDMEMと10%のウシ胎児血清とで培養した後のHFF1yの顕微鏡写真を図1Aの左側に示す。上記HFF1yをBleを含む誘導培地で7日間培養した後、BleとISX9を含む成熟培地で21日間培養した後の誘導ニューロンの顕微鏡写真を図1Aの右側に示す。図1Aの右側に示すように、21日間培養した後の細胞は、明らかなニューロンの形態、顕著な細胞体、及び明らかなシナプスを示した。
【0080】
図1A(右)の細胞を古典的なニューロンマーカーで染色し、染色結果を図1Bに示す。ニューロンマーカーには、TUJ1(Covance、MRB-435P)、MAP2(santa cruz biotechnology、sc-20172)、NF2000(Abcam、ab4680)、及びNEUN(chemicon、MAB377)が含まれる。上記のニューロンマーカーの染色はいずれも陽性であり、陽性率は100%に近く、具体的には99.6%であった。
【0081】
図1A(左)に示すHFF1yを誘導培地で7日間誘導した後、成熟培地で38日間培養した細胞のニューロンマーカーの遺伝子発現状況を図1Cに示す。図から、線維芽細胞のマーカーFSP1がダウンレギュレートされ、GFAP、DCX、TUJ1、MAP2、NEUNなどの古典的な神経マーカーが大幅にアップレギュレートされ、同時に、ASCL1、BRN2、NEUROD1などの神経転写因子がアップレギュレートされていることが分かる。これは、誘導された細胞の神経運命の獲得を示す。NEFH、PSD95、SYN1、SYTなどのシナプス関連遺伝子の発現がアップレギュレートされ、これは、ニューロン機能の誘導の基礎を築く。また、PVALB、GAD、及びGABBR3遺伝子の発現レベルがアップレギュレートされ、これは、分化転換したニューロンが主にGABA作動性ニューロンであることを示している。
【0082】
ニューロンの誘導中の神経関連遺伝子の発現のヒートマップを図1Dに示す。D0はヒト包皮線維芽細胞(HFF1y、北京幹細胞)の誘導の0日目の初期細胞状態を表し、hは時間数を表し、Dは日数を表し、3h、6h、D1、D2、D7、D14、D30、D45はそれぞれ異なる誘導培養段階を表し、つまり、図1A(左)のHFF1yを誘導培地で誘導した3時間目、6時間目、1日目、2日目、7日目(それぞれ図中の3h、6h、D1、D2、D7に対応)、その後、成熟培地で培養した7日目、23日目、38日目(それぞれ図中のD14、D30、及びD45に対応)を表す。HNcDNAは初代ヒトニューロンであり、GABANはヒト多能性幹細胞から分化したGABA作動性ニューロンである。図の右側の縦軸は遺伝子名、横軸はサンプル名、色付きの各小さな四角は遺伝子発現量の大きさを表し、左上隅はカラースケールである。各行は異なるサンプルにおける各遺伝子の発現を表し、各列は各サンプルのすべての遺伝子の発現を表す。左側のデンドログラムは、さまざまなサンプルからのさまざまな遺伝子のクラスター分析結果を表す。図1Dでは、誘導時間がD0からD45に経つにつれて、神経関連遺伝子がますますニューロンに近づいていることがはっきりと分かる。これは、誘導されたニューロンが、幹細胞由来のニューロン及び初代単離ニューロンと同様の発現パターンを持っていることを示している。
【0083】
図1A(右)の誘導されたニューロンに対してパッチクランプ実験を実行し、結果は図1Eに示す。パッチクランプは、主に細胞膜イオンチャネルの活動を検出し、活動電位を誘導するために使用される電気生理学的技術である。電気生理学的結果は、誘導ニューロンが成熟ニューロンのナトリウム電流、カリウム電流及び誘発活動電位を有することを示し、誘導ニューロンが電気生理学的特性を有することを示している。
【0084】
図1Fは、図1A(左)のヒト包皮線維芽細胞(HFF1y、北京幹細胞バンク)を本実施例の誘導培地で7日間培養した後、本実施例の成熟培地で38日間培養した全プロセスのシングルセルシーケンシングの結果を示す図である。図中、D0は誘導0日目の初期細胞状態であり、3h、6h、D1、D2、D7、D14、D30、及びD45はそれぞれ、この方法で培養した3時間目、6時間目、1日目、2日目、7日目、24日目、30日目、45日目を表し、「Neuron1~6」はインビボで単離されたニューロンである。分析の結果、培養プロセスの30日目と45日目のニューロンの全体的な転写レベルは、インビボで単離されたニューロンの転写レベルにより近いことが示されている。
【0085】
比較例1
誘導培地で7日間培養した後、成熟培地を使用して(実施例1の成熟培地と比較して、本比較例の成熟培地にはBle及びISX9を添加しなかった)38日間培養したこと以外、実施例1の実験操作を参照した。細胞のニューロンマーカーの遺伝子発現を図1Gに示す。図1Gはまた、実施例1の誘導培地で7日間培養し、次いで実施例1の成熟培地で38日間培養した後の細胞のニューロンマーカーの遺伝子発現、及びブランク対照細胞のニューロンマーカーの遺伝子発現を示す。図1Gは、本願の誘導培養法によって得られたニューロンのニューロンマーカーの遺伝子発現レベルがより高いことを示している。
【0086】
実施例2
Bleとイソオキサゾール化合物またはその誘導体との組み合わせは、ニューロンの分化転換を効率的に達成する
イソオキサゾール化合物ISX9の誘導体であるN-メチル-5-フェニルイソオキサゾール-3-カルボキサミド(略称ISX-PCA、20~50μM、TCI、BD399148)を選択し、R1基がベンゼン環、R3基がメチルであり、得られたISX-PCAの構造を式(IV)に示す。ISX9の代わりにISX-PCAを使用して実施例1の方法に従ってニューロンの分化転換を行った。
【0087】
【化6】
【0088】
図2Aは、HFF1yの顕微鏡写真(左)と、前記HFF1yをBle含有誘導培地で7日間培養した後、BleとISX-PCAとを含む成熟培地で21日培養した後の誘導ニューロンの顕微鏡写真(右)である。図2A(右)に示すように、BleとISX-PCAの組み合わせによって誘導された細胞は、図1A(右)の細胞と形態が類似しており、明らかなニューロン形態、顕著な細胞体、及び明白なシナプスを有する。
【0089】
さらに、図2A(右)について古典的なニューロンマーカーの遺伝子発現を検出し、その結果を図2Bに示す。ここで、GFAP、DCX、TUBB3、MAP2、NEUN、MAPT、NEFHなどの古典的なニューロンマーカーが有意にアップレギュレートされていると同時に、ASCL1、BRN2、NEUROD1などの神経転写因子がアップレギュレートされており、これは、分化転換細胞が神経運命を獲得したことを示している。
【0090】
実施例3
Bleとイソオキサゾールまたはその誘導体との組み合わせは、ヒト線維芽細胞のインビボでの神経分化転換を促進する
10cm皿(Corning、430167)を例にとると、各皿を3mLの20μg/mLフィブロネクチン溶液(millipore、fc010、1xPBSで調製)で6時間コーティングした。フィブロネクチン溶液を除去し、ヒト包皮線維芽細胞(HFF1y、北京幹細胞バンク)を皿あたり2×10細胞で均一に播種し、基礎培地(高グルコースDMEM(Gibco、C12430500BT)と10%ウシ胎児血清(Gibco、16000-044))で12時間培養した。基礎培地を除去し、PBSで一回洗浄した。
【0091】
上記で処理したHFF13y-GFP培養皿に実施例1の誘導培地を添加して7日間培養した後、実施例1の成熟培地で7日間培養した後、2.5×10の細胞数で5週齢の免疫不全(SCID)マウスの左海馬に注射し、緑色蛍光タンパク質(GFP)マーカーで細胞を移植し、3mg/kg Ble+10mg/kg ISX9の用量で毎日、連続14日間マウスに腹腔内注射した。注射溶媒は、ジメチルスルホキシド(DMSO)(最終容量2%)+PEG400(最終容量40%)+Tween 80(最終容量2%)+滅菌水であった。14日後、海馬を採取してパラフィン切片染色を行い、GFP及び古典的神経マーカーの発現を検出した。結果を図3に示す。上から数えて、1行目及び2行目は対照群であり、それぞれ、マウスの移植されなかった細胞の脳側をインビボ誘導した後の、ニューロンマーカータンパク質MAP2(1行目)、NEUN(2行目)、及びGFP(移植された誘導細胞に由来)の染色結果である。図3の3行目及び4行目は、同じマウスの移植された細胞の脳側をインビボ誘導した後の、ニューロンマーカータンパク質MAP2(3行目)、NEUN(4行目)、及びGFP(誘導される移植線維芽細胞に由来)の染色結果である。Mergeはオーバーレイを表し、3行目と4行目は、MAP2(オーバーレイの3行目は、シグナル共局在化によってGFPシグナルを持つ細胞は、MAP2シグナルも持っていることが確認された)とNEUN(オーバーレイの4行目は、シグナル共局在化によってGFPシグナルを持つ細胞は、NEUNシグナルも持っていることが確認された)を発現するGFP陽性細胞があることを示しており、これは、GFPが移植された細胞がインビボで誘導後にニューロンになったことを示している。図3より、誘導ニューロンを注入した側の海馬にはGFP陽性の誘導ニューロンが見られ、古典的なニューロンマーカーであるMAP2とNEUNが発現していることがわかる。
【0092】
実施例4
Bleはニューロンの形態形成及び神経運命関連遺伝子のアップレギュレーションを促進する
10cm皿(Corning、430167)を例にとると、各皿を3mLの20μg/mLフィブロネクチン溶液(millipore、fc010、1xPBSで調製)で6時間コーティングした。フィブロネクチン溶液を除去し、HFF1yを皿あたり2×10細胞で均一に播種し、基礎培地(高グルコースDMEM(Gibco、C12430500BT)と10%ウシ胎児血清(Gibco、16000-044))で12時間培養した。基礎培地を除去し、PBSで一回洗浄した。
【0093】
上記で処理したHFF1y培養皿に実施例1の誘導培地を添加して1~7日間培養した後、細胞の形態変化は図4Aに示すように、誘導後、細胞は明らかなニューロンの形態を持ち、細胞体は小さくて丸く、シナプスは豊富で細いものであった。
【0094】
上記の細胞に対してRNA-seq、GOクラスター分析を実行し、結果を図4Bに示す。赤の長さは、このプロセスに濃縮された有意性p値の負の対数値(p<0.05)を表す。図4Bは、Bleのみを含む神経誘導培養系では、誘導細胞のアップレギュレートされた遺伝子がニューロンの運命発生関連経路に富んでいることを示している。これはさらに、Bleだけでニューロンの形態形成及び神経運命発生に関連する遺伝子のアップレギュレーションを促進できることを示している。
【0095】
実施例5
イソオキサゾール化合物及びその誘導体は転写レベルで神経運命転換を強力に促進する
HFF1yを誘導培地(実施例1の誘導培地と比較して、本実施例の誘導培地にはBleを添加しなかった)で7日間培養した後、成熟培地(実施例1の成熟培地と比較して、本実施例の成熟培地にはBleを添加しなかった)を使用して7日間培養したこと以外、実施例1の実験操作を参照した。細胞の形態変化を図5A(右)に示し、図5A(左)はHFF1yである。比較すると分かるように、誘導された細胞形態がニューロンに似た形態を示さなかった。
【0096】
図5A(右)について、古典的なニューロンマーカーの遺伝子発現をさらに検出した。結果を図5Bに示す。線維芽細胞のマーカーFSP1は大幅にダウンレギュレートされ、GFAP、TUJ1、MAP2、MAPT、STMN1、及びNCAMなどの古典的なニューロンマーカー、及びシナプス関連タンパク質NEFH、PSD95、SYN1、SYTの発現は大幅にアップレギュレートされたと同時に、ASCL1、BRN2、NEUROD1などの神経転写因子がアップレギュレートされ、これは、分化転換された細胞が神経運命を獲得したことを示している。
【0097】
実施例4及び実施例5の結果から、Bleとイソオキサゾール化合物またはその誘導体との組み合わせにより線維芽細胞からニューロンへの効率的な転換を促進する過程では、Bleが神経形態形成に関与し、神経運命の転換を開始するが、イソオキサゾール化合物またはその誘導体がニューロン運命の完全な分化転換を強力に促進すると推定することができる。
【0098】
実施例6
Bleとイソオキサゾールまたはその誘導体との組み合わせは、強力なニューロン誘導効果を有する
Ble+イソオキサゾールまたはその誘導体の強力なニューロン誘導効果をさらに検証するために、図5A(左)について、実施例1の誘導培地で7日間培養した後、実施例1の成熟培地をベースに、フォルスコリンを除去した、または神経栄養因子3、脳由来神経栄養因子、グリア細胞由来神経栄養因子及びフォルスコリンを同時に除去した成熟培地で7日間培養して、古典的なニューロンマーカーの遺伝子発現を検出した。結果を図6に示す。フォルスコリンを除去した、または3つの神経栄養因子及びフォルスコリンを同時に除去した神経成熟培地で処理した細胞は、DCX、TUBB3、MAP2、NEUN、MAPT、STMN1などの古典的なニューロンマーカー及びシナプス関連タンパク質NEFH、SYT1、SYN1、及びPSD95は有意にアップレギュレートされたと同時に、ASCL1、BRN2、及びNEUROD1などの神経転写因子がアップレギュレートされた。これは、分化転換細胞が神経運命を獲得したことを示している。
【0099】
実施例7
Bleとイソオキサゾール化合物またはその誘導体との組み合わせは、マウスアストロサイトからニューロンへの効率的な分化転換を実現する
アストロサイトは脳環境の主要な細胞の1つであり、脳の生理学的機能に関与する。アストロサイトのニューロンへの分化転換は、パーキンソン病やアルツハイマー病などの神経変性疾患の治療に重要な指針となる。
【0100】
実施例1の実験操作を参照した。ただし、HFF1yの代わりにマウス大脳皮質由来のアストロサイトを使用し、マウス大脳皮質由来のアストロサイトを処理した点で異なる。マウスアストロサイトを実施例1の誘導培地で1日間誘導した後、実施例1の成熟培地で13日間培養し、13日後の細胞形態及び古典的なニューロンマーカーの染色を図7Aに示す。マウスアストロサイトによって誘導された細胞の形態はニューロンと同様に、細胞体が小さくて丸く、シナプスが豊富であり、古典的なニューロンマーカーTUJ1、MAP2、及びNEUNを発現する。
【0101】
図7Aの誘導細胞のニューロンマーカー遺伝子の発現を図7Bに示す。その結果、DCX、TUBB3、MAP2、NEUN、MAPT、NEFHなどの古典的な神経マーカーが有意にアップレギュレートされ、シナプス後肥厚タンパク質PSD95の発現がアップレギュレートされたと同時に、ASCL1、BRN2、MYTL1などの神経転写因子がアップレギュレートされた。これは、分化転換細胞が神経運命を獲得したことを示している。
【0102】
実施例8
誘導培地で7日間培養した後、成熟培地で7日間培養したこと以外、実施例1の実験操作を参照した。
【0103】
実施例9
誘導培地(実施例1の誘導培地と比較して、本実施例の誘導培地はBleの代わりにBle-OBを使用した)で7日間培養した後、成熟培地(実施例1の成熟培地と比較して、本実施例の成熟培地はBleの代わりにBle-OBを使用した)で7日間培養したこと以外、実施例1の実験操作を参照した。
【0104】
実施例10
誘導培地(実施例1の誘導培地と比較して、本実施例の誘導培地はBleの代わりにBle-OBを使用した)で7日間培養した後、成熟培地(実施例1の成熟培地と比較して、本実施例の成熟培地は、ISX9の代わりにISX-PCAを、Bleの代わりにBle-OBを使用した)で7日間培養したこと以外、実施例1の実験操作を参照した。
【0105】
実施例11
誘導培地(実施例1の誘導培地と比較して、本実施例の誘導培地は、Bleの代わりにBle-OBとBleの1:1混合物を使用し、本実施例の誘導培地中のBle-OBとBleの総濃度は、実施例1の誘導培地中のBle濃度に等しい)で7日間培養した後、成熟培地(実施例1の成熟培地と比較して、本実施例の成熟培地は、Bleの代わりにBle-OBとBleの1:1混合物を使用し、成熟培地中のBle-OBとBleの総濃度は、実施例1の成熟培地中のBle濃度に等しい)で7日間培養したこと以外、実施例1の実験操作を参照した。
【0106】
実施例12
誘導培地(実施例1の誘導培地と比較して、本実施例の誘導培地は、Bleの代わりにBle-OBを使用)で7日間培養した後、成熟培地(実施例1の成熟培地と比較して、本実施例の成熟培地は、Bleの代わりにBle-OBを使用し、ISX9の代わりにISX9とISX-PCAの1:1混合物を使用し、本実施例の成熟培地中のISX9とISX-PCAの総濃度は、実施例1の成熟培地中のISX9濃度に等しい)で7日間培養したこと以外、実施例1の実験操作を参照した。
【0107】
比較例2
誘導培地で7日間培養した後、成熟培地で7日間培養したこと以外は、比較例1の実験操作を参照した。
【0108】
実施例8~12及び比較例2で得られたニューロンのニューロンマーカーの遺伝子発現(MAPT及びMAP2)を図8に示す。図から見えるように、イソオキサゾール類及び/またはその誘導体を添加しなかった培地と比較して、イソオキサゾール類及び/またはその誘導体を添加した培地で誘導培養して得られたニューロンのニューロンマーカーの遺伝子発現量は明らかに向上した。また、Bleが添加された培地、BleとBle-OBの混合物が添加された培地、及びBle-OBが添加された培地でそれぞれ得られたニューロンのニューロンマーカーの遺伝子発現量を比較したところ、Bleが添加された培地で得られたニューロンのニューロンマーカーの遺伝子発現量は最も高く、BleとBle-OBの混合物が添加された培地で得られたニューロンのニューロンマーカーの遺伝子発現量は低く、Ble-OBが添加された培地で得られたニューロンのニューロンマーカーの遺伝子発現量はより低かった。
【0109】
以上は本出願の好ましい実施形態に過ぎず、本出願を他の形態に限定することを意図するものではなく、当業者であれば、上記に開示された技術的内容を使用して、変更または修正を加えて均等変化の同等の実施形態とするができる。ただし、本出願の技術案の内容から逸脱することなく、本出願の技術的本質に従って上記の実施形態に対して行った任意の単純な修正、同等の変更、及び改良は、依然として本出願の技術案の保護範囲に属する。
図1A
図1B
図1C
図1D
図1E
図1F
図1G
図2A
図2B
図3
図4A
図4B
図5A
図5B
図6
図7A
図7B
図8
【手続補正書】
【提出日】2023-04-14
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ミオシン阻害剤と、
イソオキサゾール及び/またはその誘導体と
を含むことを特徴とする、細胞の分化転換を誘導する組成物。
【請求項2】
細胞分化転換の誘導における、ミオシン阻害剤とイソオキサゾール化合物及び/またはその誘導体とを含む組成物の使用であって、好ましくは、前記分化転換は、非ニューロン細胞のニューロンへの分化転換を誘導する、前記使用。
【請求項3】
神経変性疾患の治療のための薬剤の調製における、ミオシン阻害剤とイソオキサゾール化合物及び/またはその誘導体とを含む組成物の使用。
【請求項4】
ミオシン阻害剤とイソオキサゾール化合物及び/またはその誘導体とを使用して非ニューロン細胞を処理することを含むことを特徴とする、非ニューロン細胞のニューロンへの分化転換を誘導する体外の方法。
【請求項5】
非ニューロン細胞を誘導培地中で1~7日間培養し、次いで成熟培地を用いて7~45日間、好ましくは21~45日間培養することを含むことを特徴とする、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
誘導培地及び成熟培地を含むことを特徴とする、非ニューロン細胞のニューロンへの分化転換を誘導する培地。
【請求項7】
前記誘導培地がミオシン阻害剤を含み、
好ましくは、前記誘導培地が、N2B27培地をさらに含み、前記N2B27培地は、DMEM/F12とNeurobasalを1:1で混合してから、N2細胞培養サプリメント、B27細胞培養サプリメント、β-メルカプトエタノール、グルタマックス、インスリン、及びペニシリンを加えて調製されることを特徴とする、請求項5に記載の方法または請求項6に記載の培地。
【請求項8】
前記成熟培地が、ミオシン阻害剤とイソオキサゾール化合物及び/またはその誘導体とを含み、
好ましくは、前記成熟培地が、ミオシン阻害剤、イソオキサゾール化合物及び/またはその誘導体、N2B27培地、神経栄養因子、フォルスコリンを含み、前記N2B27培地は、DMEM/F12とNeurobasalを1:1で混合してから、N2細胞培養サプリメント、B27細胞培養サプリメント、β-メルカプトエタノール、グルタマックス、インスリン、及びペニシリンを加えて調製され、好ましくは、前記神経栄養因子は、神経栄養因子3、脳由来神経栄養因子及びグリア細胞由来神経栄養因子を含み、
好ましくは、前記成熟培地は、ミオシン阻害剤、イソオキサゾール化合物及び/またはその誘導体、及び前記N2B27培地を含み、
好ましくは、前記成熟培地は、ミオシン阻害剤、イソオキサゾール化合物及び/またはその誘導体、及び前記N2B27培地からなり、
好ましくは、前記成熟培地は、ミオシン阻害剤、イソオキサゾール化合物及び/またはその誘導体、前記N2B27培地、神経栄養因子3、脳由来神経栄養因子及びグリア細胞由来神経栄養因子を含み、
好ましくは、前記成熟培地は、ミオシン阻害剤、イソオキサゾール化合物及び/またはその誘導体、前記N2B27培地、神経栄養因子3、脳由来神経栄養因子及びグリア細胞由来神経栄養因子からなることを特徴とする、請求項5に記載の方法または請求項6または7に記載の培地。
【請求項9】
前記神経変性疾患が、パーキンソン病、アルツハイマー病、筋萎縮性側索硬化症、ハンチントン病、脊髄小脳失調症、てんかん、脳卒中、脳損傷、及び脊髄損傷を含むことを特徴とする、請求項3に記載の使用。
【請求項10】
請求項4~5及び7~8のいずれか一項に記載の方法によって得られるニューロン。
【請求項11】
非ニューロン細胞をニューロンに分化転換する製品またはキットであって、前記製品またはキットは、誘導培地及び成熟培地を含み、
前記誘導培地はミオシン阻害剤を含み、
前記成熟培地は、ミオシン阻害剤とイソオキサゾール化合物及び/またはその誘導体とを含むことを特徴とする、前記製品またはキット。
【請求項12】
ニューロンの形態形成の促進及び神経運命の開始におけるミオシン阻害剤の使用。
【請求項13】
ニューロン遺伝子の高発現の促進におけるイソオキサゾール化合物またはその誘導体の使用。
【請求項14】
前記ミオシン阻害剤が、(-)-Blebbistatin及び/または(-)-Blebbistatin O-Benzoateであり、または、前記イソオキサゾール化合物またはその誘導体は、式(I)で示される構造を有し、
【化1】

式(I)中、R1基は、チエニル、フリル、ピロリル、フェニル及びピリジルから選択されるいずれか1つであり、R2基は、イソオキサゾリル、イソチアゾリル、ピラゾリル、オキサゾリル、チアゾリル及びイミダゾリル基から選択されるいずれか1つであり、R3基は、メチル、エチル、シクロプロピル、シクロブチル及びシクロペンチルから選択されるいずれか1つであり、ここで、R1基の連結部位は任意の炭素原子であり、R2基の2つの連結部位は2つのメタ位炭素原子であり、R3基の連結部位は任意の炭素原子であり、好ましくは、前記イソオキサゾール化合物及び/またはその誘導体は、イソオキサゾール9(ISX9)、N-メチル-5-フェニルイソオキサゾール-3-カルボキサミド(ISX-PCA)、N,5-ジメチルイソオキサゾール-3-カルボキサミド、N-メチル-5-(ピリジン-4-イル)イソオキサゾール-3-カルボキサミド、N-メチル-5-フェニルイソチアゾール-3-カルボキサミドアミド、N-メチル-5-フェニル-1H-ピラゾール-3-カルボキサミド、N-メチル-2-フェニルオキサゾール-4-カルボキサミド、N-メチル-2-フェニルチアゾール-4-カルボキサミド、N-メチル-2-フェニル-1H-イミダゾール-4-カルボキサミド、N-メチル-5-(チオフェン-2-イル)イソオキサゾール-3-カルボキサミド、5-(フラン-2-イル)-N-メチルイソオキサゾール-3-カルボキサミド、N-メチル-2-(チオフェン-2-イル)-1,3-チアゾール-4-カルボキサミドから選択されるいずれか1つまたは2つ以上であることを特徴とする、
請求項1に記載の組成物、請求項2、3、9、12及び13のいずれか一項に記載の使用、請求項4~5及び7~のいずれか一項に記載の方法、請求項もしくはに記載の培地、請求項10に記載のニューロンまたは請求項11に記載の製品またはキット。
【請求項15】
前記非ニューロン細胞は線維芽細胞またはアストロサイトであることを特徴とする、請求項1に記載の組成物、請求項2、3、9、12及び13のいずれか一項に記載の使用、請求項4~5及び7~のいずれか一項に記載の方法、請求項7もしくは8に記載の培地、請求項10に記載のニューロン、または請求項11に記載の製品またはキット。
【国際調査報告】