(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-11-01
(54)【発明の名称】容器を製造するためのプリフォームアセンブリ
(51)【国際特許分類】
B65D 1/02 20060101AFI20231025BHJP
B65D 1/00 20060101ALI20231025BHJP
B29C 49/02 20060101ALI20231025BHJP
【FI】
B65D1/02 111
B65D1/00 120
B29C49/02
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023547940
(86)(22)【出願日】2021-10-19
(85)【翻訳文提出日】2023-06-13
(86)【国際出願番号】 IT2021050338
(87)【国際公開番号】W WO2022085037
(87)【国際公開日】2022-04-28
(31)【優先権主張番号】102020000024688
(32)【優先日】2020-10-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IT
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523149178
【氏名又は名称】コヴィ エマヌエラ
(74)【代理人】
【識別番号】100134832
【氏名又は名称】瀧野 文雄
(74)【代理人】
【識別番号】100165308
【氏名又は名称】津田 俊明
(74)【代理人】
【識別番号】100115048
【氏名又は名称】福田 康弘
(72)【発明者】
【氏名】コヴィ エマヌエラ
【テーマコード(参考)】
3E033
4F208
【Fターム(参考)】
3E033AA07
3E033BA18
3E033BB08
3E033CA20
3E033DA04
3E033DB01
3E033DC04
3E033DD01
3E033EA03
3E033FA03
3E033GA02
4F208AA24
4F208AH55
4F208LA08
4F208LB02
4F208LG03
4F208LG06
4F208LG14
(57)【要約】
本発明は容器(110)を製造するためのプリフォームアセンブリ(10)に関するものであり、当該容器(110)は、当該容器(110)の外部のドラム部(111)となるように構成された外部のプリフォーム(11)と、当該容器(110)の内部のバッグ(112)となるように構成された内部のプリフォーム(12)と、を備えており、内部のプリフォーム(12)は、中心長手軸(X)に沿って外部のプリフォーム(11)に内部で関連付けられて外部のプリフォーム(11)と共に中空スペース(13)を画定可能である。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器(110)を製造するためのプリフォームアセンブリ(10)であって、
前記容器(110)の外部のドラム部(111)となるように構成された外部のプリフォーム(11)と、前記容器(110)の内部のバッグ(112)となるように構成された内部のプリフォーム(12)と、を備えており、
前記内部のプリフォーム(12)は、中心長手軸(X)に沿って前記外部のプリフォーム(11)に内部で関連付けられて前記外部のプリフォーム(11)と共に中空スペース(13)を画定可能であり、
前記外部のプリフォーム(11)及び前記内部のプリフォーム(12)のうち少なくとも1つは、前記中空スペース(13)側の各表面(27,28)に形成された複数の溝(25)を有し、
1つ又は複数の前記溝(25)の少なくとも一部は前記アセンブリ(10)の長手方向に延在して、前記中空スペース(13)内に流体を流すための優先流路(26)を画定する
ことを特徴とするプリフォームアセンブリ(10)。
【請求項2】
前記各プリフォーム(11,12)はネック部(14,15)と収容部(16,17)とを有し、前記1つ又は複数の溝(25)は前記ネック部(14,15)から前記各プリフォーム(11,12)の閉鎖端(11a,12b)に向かって延在する、
請求項1記載のプリフォームアセンブリ(10)。
【請求項3】
前記溝(25)は、前記プリフォーム(11,12)の各結合部(19,20,23,24,31)の下方に延在する、
請求項1又は2記載のプリフォームアセンブリ(10)。
【請求項4】
前記溝(25)は、前記各プリフォーム(11,12)の全高の少なくとも15%に等しい長さ(L)にわたって、好適には前記全高の15%~50%の長さ(L)にわたって延在する、
請求項1から3までのいずれか1項記載のプリフォームアセンブリ(10)。
【請求項5】
前記溝(25)は、前記軸(X)に対して実質的に平行な方向に、互いに等間隔で延在する、
請求項1から4までのいずれか1項記載のプリフォームアセンブリ(10)。
【請求項6】
前記溝(25)は、当該溝(25)が形成された前記プリフォーム(11,12)の厚さ(S1,S2)の約5%~約15%の深さ(D)を有する、
請求項1から5までのいずれか1項記載のプリフォームアセンブリ(10)。
【請求項7】
前記1つ又は複数の溝(25)は、当該1つ又は複数の溝(25)の幅(W)の10~20倍の長さ(L)を有する、
請求項1から6までのいずれか1項記載のプリフォームアセンブリ(10)。
【請求項8】
前記1つ又は複数の溝(25)の前記軸(X)に対して横方向の幅(W)は2~5mmである、
請求項1から7までのいずれか1項記載のプリフォームアセンブリ(10)。
【請求項9】
前記プリフォーム(11,12)のうち一方に、前記溝(25)が前記軸(X)に対して平行に配置されていると共に、前記プリフォーム(11,12)のうち他方に、各表面(27,28)から突出する1つ又は複数のスペーサ要素(29)が設けられており、
前記スペーサ要素(29)には、通過流路を画定する窪み(34)が設けられている、
請求項1から8までのいずれか1項記載のプリフォームアセンブリ(10)。
【請求項10】
前記1つ又は複数の溝(25)は、前記外部のプリフォーム(11)の内表面(27)に形成されている、
請求項1から9までのいずれか1項記載のプリフォームアセンブリ(10)。
【請求項11】
前記内部のプリフォーム(12)は、前記軸(X)に対して横方向に配置された複数のスペーサ要素(29)を備えている、
請求項10記載のプリフォームアセンブリ(10)。
【請求項12】
前記外部のプリフォーム(11)の前記ネック部(14)は、前記内部のプリフォーム(12)の前記ネック部(15)に対する支持部として働くように構成された肩部(24)を有し、
前記肩部(24)の上縁部(29)は不連続であり、窪み(30)と突起(31)とを交互に有し、
複数の前記各溝(25)が前記上縁部(29)から、前記各窪み(30)又は突起(31)に対応して前記閉鎖端(11a)に向かって延在する、
請求項2及び10記載のプリフォームアセンブリ(10)。
【請求項13】
前記1つ又は複数の溝(25)は、前記内部のプリフォーム(12)の外表面(28)に形成されている、
請求項1から12までのいずれか1項記載のプリフォームアセンブリ(10)。
【請求項14】
外部のドラム部(111)と、当該外部のドラム部(111)に内部で関連付けられた内部のバッグ(112)と、を備えた容器(110)であって、
前記ドラム部(111)及び前記バッグ(112)は、請求項1から13までのいずれか1項記載の各プリフォーム(11,12)から得られたものであり、当該ドラム部(111)と当該バッグ(112)との間に中空スペース(113)が画定されており、
前記中空スペース(113)内に流体を流すための優先流路(26)が設けられており、
前記優先流路(26)は前記容器(110)のネック部(114)の下方に延在し、前記外部のドラム部(111)又は前記内部のバッグ(112)の対向する各表面の少なくとも1つに形成された溝(25)によって画定されている
ことを特徴とする容器(110)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願にて記載されている実施形態は、外部のドラム部と内部のバッグとを備えたBIC型容器(Bag-In-Container)を製造するためのプリフォームアセンブリと、当該プリフォームアセンブリをブロー成形することにより作製される容器と、に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に大量の炭酸又は非炭酸飲料を、ケグとの呼称でも知られている容器に入れて消費地へ配送することが知られており、かかる容器の容量は通常は5リットル超、又は30リットルを超えることもある。
【0003】
伝統的な金属容器は「リターナブル」方式で供給されるので、回収されて洗浄及び殺菌作業を行ってから再充填されて販売されていたが、近年このような金属容器に代えて、プラスチック容器の利用がますます普及している。
【0004】
例えば、互いに同軸の2つの容器を備えたプラスチック材料製の容器であって、一方の容器は飲料を入れるために適した内部のバッグであり、他方は支持機能を備えた外部のドラム部である容器がますます利用されている。
【0005】
このような容器を製造するためには、一般に2つのプリフォームを用いることが知られており、一方のプリフォームを他方のプリフォームの中に入れ、その後適切な装置を用いて加圧ガスを吹き込むことによりプリフォームを膨張及び変形させる。
【0006】
上記の容器はプリフォームを変形させることにより得られ、ドラム部の中にバッグを入れたものを備えており、ドラム部とバッグとは中空スペースによって互いに分離されている。
【0007】
飲料は、適切な装置を用いて加圧された流体を内部のバッグと外部のドラム部との間の中空スペースに導入して内部のバッグを圧縮することにより押し出される。
【0008】
よって、ブロー成形作業前及び後の両方において、プリフォームをスペース又は空洞によって分離する必要がある。
【0009】
公知のプリフォームでは、上記のブロー成形工程と、その結果として生じる2つのプリフォームの膨張とが、その対向面を過剰に付着させて中空スペースが実質的に消失する原因となることがあり、これによりプリフォームのブロー成形が不適正となり、また、外部のドラム部からの内部のバッグの分離が不適正となり得る。
【0010】
実際、過剰な付着に起因して生じる1つの欠点は、これが、加圧された流体の通流に対して高い抵抗を生じる原因となり、飲料の押出しが阻害され、及び/又は容器が使用不可となり得ることである。
【0011】
また、内部のバッグを外部のドラム部から完全に分離できない場合には、飲料の摂取の際に内部のバッグを完全に潰して飲料を完全に摂取することを保証することができなくなり、その結果、取り出せなかった飲料の一部が廃棄されることになる。
【0012】
内部のプリフォームの外表面から突出して軸方向に延在する複数のリブを内部のプリフォームに設けたプリフォームアセンブリが公知である。
【0013】
しかし、かかるリブは、内部のバッグの表面上に流体が一様に分布することを保証するためには有用ではない。
【0014】
米国特許出願公開第2018/044160号明細書に、内部のプリフォーム又は外部のプリフォームのうちいずれか一方に、外表面又は内表面から突出した複数対の部分が設けられたプリフォームアセンブリが記載されており、これらの部分間に貫通スリットが画定されている。この解決手段は、2つのプリフォーム間に間隔を空けたとしても、均一な中空スペースになることを保証することができない。
【0015】
米国特許出願公開第2019/0152122号明細書に、他方のプリフォームと係合するリブが一方のプリフォーム又は両方の各プリフォームに設けられたプリフォームアセンブリが記載されている。
【0016】
米国特許第8925748号明細書、米国特許出願公開第2017/313567号明細書、同第2019/291923号明細書及び欧州特許第3375593号明細書にもプリフォームアセンブリが記載されている。
【0017】
公知の解決手段の欠点の1つは、バッグとドラム部との適正な分離を常に保証できるわけではないことである。
【0018】
他の1つの欠点は、加圧された流体の通流が困難になり又は阻害されることがあり、これにより、飲料の適正な摂取を可能にするためにより高い圧力が必要になることである。
【0019】
他の1つの欠点は、中空スペースが部分的に塞がれただけでも、加圧下の気体の蓄積が過剰になり、これがユーザにとって危険となり得ることである。
【0020】
本発明の1つの目的は、流体を流し、内部のバッグを圧縮して流体の流出を促すことを可能にするために十分な中空スペースが、内部のバッグと外部のドラム部との間に存在することを保証することである。
【0021】
本発明の他の1つの目的は、ブロー成形したときにそもそも両プリフォームの連続的な付着部分が過剰に大きくならないプリフォームアセンブリを提供することである。
【0022】
本発明の他の1つの目的は、ブロー成形作業を容易にするため、相互の組付けを簡単化する形態を有し、しっかりした安定的な結合を保証するプリフォームアセンブリを提供することである。
【0023】
本発明の1つの目的は、加圧された流体が中空スペースに到達しやすい容器を製造するためのプリフォームアセンブリを提供することである。
【0024】
本発明の他の1つの目的は、圧縮された流体の流れが内部のバッグの周に沿って均一に分布するプリフォームアセンブリを提供することである。
【0025】
本発明の他の1つの目的は、圧縮された流体が容器のネックから底部に至るまで実質的に一様に流れることができるように内部のバッグと外部のドラム部との間に中空スペースが設けられたプリフォームアセンブリを提供することである。
【0026】
本願出願人は、従来技術の欠点を解消して上記及び他の目的及び利点を達成すべく、本発明の着想を得て試験及び具現化した。
【発明の概要】
【0027】
本発明は独立請求項に記載されたものであり、また独立請求項に記載の事項を特徴とする。従属請求項に本発明の他の特徴又は本発明の主な思想の変形形態が記載されている。
【0028】
本発明は、外部のドラム部と内部のバッグとを備えた容器を製造するためのプリフォームアセンブリに関するものである。
【0029】
容器は、炭酸若しくは非炭酸飲料、又は水、油、洗浄剤等の他の種類の液体を入れるために適したものとすることができる。
【0030】
プリフォームアセンブリは、実質的に円筒状の2つのプリフォームを備えており、これらの一端は閉鎖しており、当該2つのプリフォームは、外部のプリフォームと、当該外部のプリフォームとの間に中空スペースを画定するように当該外部のプリフォームに挿入するために適した内部のプリフォーム、である。
【0031】
使用時には、上記2つのプリフォームは中心長手軸Xに沿って互いに同軸に配置される。
【0032】
両プリフォームはそれぞれ、相互間の安定的な位置決めを可能にするために適した結合部を備えている。
【0033】
互いに結合された内部のプリフォーム及び外部のプリフォームをブロー成形作業によって膨張及び変形することにより、容器のバッグ及びドラム部を作製することができる。
【0034】
一部の実施形態では、外部のプリフォーム又は内部のプリフォームのうち少なくとも一方が、当該少なくとも一方のプリフォームの厚さに形成された溝を、他方のプリフォーム側を向いた表面に備えている。
【0035】
このようにして上記の溝は流体の優先流路を画定し、この優先流路は、中空スペースの平均深さより大きい深さを有する。
【0036】
上記の溝の少なくとも一部は、中心軸Xに対して実質的に平行な長手方向に延在する。
【0037】
一部の実施形態では複数の溝を設けることができ、中心軸Xを基準とした溝相互間の角度距離は等しい。
【0038】
一部の実施形態では、前記溝は、前記プリフォームにおける当該溝が形成された部分の平均厚さの約5%~約15%の深さを有することができる。
【0039】
一部の実施形態では、溝の個数に依存して、溝の幅は各溝の深さの2~4倍とされる。
【0040】
このようにして、各側壁の厚さを過度に薄くすることなく、流体の適正な通流を保証すると共にバッグ及び/又はドラム部の所望の抵抗を維持するために十分な幅を有する優先流路が画定される。
【0041】
ブロー成形後にドラム部とバッグとが少なくとも部分的に互いに接触しても、通過流路を流体が流れることができ、これにより、注入された流体の圧力を上昇させる必要なく、2つの部材間の分離や取外しが容易になる。
【0042】
一部の実施形態では、外部のプリフォームのより大きい厚さを活用すべく、前記溝は好適には外部のプリフォームに設けられる。このようにして、実際には、ドラム部に必要な抵抗の特性を阻害することなく溝の深さを大きくすることができる。
【0043】
外部のプリフォームは実際には、一般に内部のプリフォームの厚さより大きい厚さを有するので、ブロー成形作業を行った後、外部のプリフォームから得られた外部のドラム部は内部のバッグより高い剛性を有し、これにより、飲料の摂取の際に中空スペースに注入される流体の圧力を際立たせるために適したものとなる。
【0044】
他の実施形態では、両プリフォームの対向する各表面に溝を形成することができる。
【0045】
他の変形形態では、対向する各表面において、一方のプリフォームがその自己の表面に対して形成された溝を有すると共に、他方のプリフォームはその自己の表面に対して突出するスペーサ要素を有することができ、使用時、このスペーサ要素は対向する表面と接触することにより上記2つのプリフォームを位置決めし、スペーサ要素にはまた、他の通過流路を画定するために適した窪みも設けられている。
【0046】
一部の実施形態ではプリフォームは、ブロー成形工程中に変形する収容部と、対応する開口を有するネック部と、を有し、ネック部は上記のブロー成形中に実質的に変化せずに維持される。溝はネック部の下方からプリフォームの底部に向かって延在する。
【0047】
可能な解決手段では、溝はプリフォームの全高の少なくとも15%、好適には15%~50%の区間にわたって延在する。
【0048】
かかる構成により、容器において優先流路が、閉止キャップを接続するネックゾーンの下方に配され、ネック部と収容部との移行ゾーン、すなわちブロー成形中により変形を受けて外部のドラム部と内部のバッグとの付着が大きくなり得るゾーンに対応して延在することとなる。
【0049】
本願にて記載されている他の実施形態は、互いに同軸に配置された外部のドラム部と内部のバッグとを備えた容器に関するものであり、ドラム部及びバッグは本発明のプリフォームアセンブリから得られたものであり、ドラム部とバッグとの間に中空スペースを画定する。
【0050】
本発明の他の一側面では、前記中空スペースは、当該中空スペースの平均厚さより大きい深さを有する優先流路を備えており、優先流路の少なくとも一部は長手方向に延在する。
【0051】
一部の実施形態では複数の優先流路が設けられており、これらの優先流路はネック部の下方に放射パターンで延在すると共に、中心軸に対して実質的に平行に延在する。
【0052】
特に、優先流路は容器の少なくとも凸状上部全体にわたって延在し、又は少なくとも、ネック部と円筒状の収容部の一部との間の移行ゾーンに相当する長さにわたって延在する。
【0053】
本発明の上記及び他の側面、特徴及び利点は、添付の図面を参照した非限定例としての一部の実施形態の以下の説明から明らかである。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【
図1】本願に記載されている一部の実施形態のプリフォームアセンブリの概略的な縦断面図である。
【
図2】本願に記載されている一部の実施形態の外部のプリフォームの概略的な縦断面図である。
【
図3】
図2の線 II-II に沿った断面図である。
【
図4】本願に記載されている一部の変形形態の内部のプリフォームの部分断面図である。
【
図5】本発明の一変形形態の内部のプリフォームの部分断面図である。
【
図6】本発明の他の一変形形態の内部のプリフォームの部分断面図である。
【
図7】
図5の線 VII-VII に沿った断面図である。
【
図8】
図1の線 VIII-VIII に沿った断面図である。
【
図9】本発明のプリフォームアセンブリを用いて作製された容器の概略的な断面図である。
【
図10】本発明のプリフォームアセンブリを用いて作製された容器の上部分の三次元概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0055】
より理解しやすくするため、可能な場合には、図面中の同一の共通要素を示すために同一の符号を使用している。1つの実施形態の要素や特徴は、さらなる明確化を要せずに他の実施形態に簡便に組み合わせ又は取り入れることが可能であると解される。
【0056】
ここで、本発明の可能な実施形態について詳細に言及する。添付の図面には例示として非限定的に、これら実施形態のうち1つ又は複数の例が示されている。また、本願にて使用されている文言及び用語用法は、非限定的な例を提示することを目的としている。
【0057】
以下の詳細な説明において
図1を参照して記載されている実施形態は、容器110を製造するためのプリフォームアセンブリ10に関するものである。アセンブリ10は、外部のプリフォーム11と、当該外部のプリフォーム11との間に中空スペース13を画定するように当該外部のプリフォーム11に内部で関連付けられた内部のプリフォーム12と、を備えている。換言すると、2つのプリフォーム11,12は、互いに対向する各表面を有し、これらの対向する各表面は互いに離隔している。
【0058】
2つのプリフォーム11,12はブロー成形処理によってそれぞれ、構造的機能と容器110を支持する機能とを備えた外部のドラム部111と、例えば飲料等の液体を入れるために適した内部のバッグ112と、を形成する(
図9~10)。
【0059】
内部のバッグ112と外部のドラム部111とは中空スペース113によって分離され、飲料の摂取時にはこの中空スペース113内に空気又は二酸化炭素等の加圧流体が注入され、これにより、内部のバッグ112の圧縮を引き起こして液体の押出しを引き起こすことができる。
【0060】
内部のバッグ112は液体を入れるために構成され、好適には可撓性及び圧縮性であり、これに対して外部のドラム部111は変形しにくく、容器110のための支持体として働くように構成され、また、中空スペース113に注入された加圧流体に対する増強としても働くように構成されている。
【0061】
一部の実施形態では、外部のプリフォーム11及び/又は内部のプリフォーム12は、ポリエチレンテレフタレート(PET)等のポリマー材料から作製することができる。一部の実施形態では、特に飲料の場合、少なくとも内部のプリフォーム12が、内部のバッグ112に入れようとする液体の感覚刺激特性を保つためにバリア特性を向上する添加剤により改質したPETから作製されることができる。
【0062】
一部の実施形態では、各プリフォーム11,12はそれぞれ、閉鎖端11a,12aと、反対側の端部11b,12bに形成された開口21,22と、を有する筒状である。
【0063】
プリフォーム11,12は、各開口21,22の近傍のネック部14,15と、ネック部14、15の下方に延在して閉鎖端11a,12aで終了する収容部16,17とを有する。
【0064】
プリフォームアセンブリ10をブロー成形することによって得られた容器110は、プリフォーム11,12における開口122が設けられたネック部14,15から形成されるネック部114と、プリフォーム11,12の各収容部16,17から形成される収容部116と、を備えている。
【0065】
収容部16,17はブロー成形工程の際に膨張して、容積を相当な程度に増大させるようになっており、それに対してネック部14,15は実質的に変化せず、その形状及び構造を実質的に変えずに維持する。
【0066】
特に、ネック部14,15と収容部16,17との間の移行ゾーンTは、ブロー成形工程中に変形するおそれが最も高いゾーンであり、かかる変形では、外部のプリフォーム11と内部のプリフォーム12との間に不所望の付着が生じ得る。
【0067】
内部のプリフォーム12は、第1の開口21から外部のプリフォーム11に挿入できる形状となっている。
【0068】
一部の実施形態では、内部のプリフォーム12のネック部15は、外部のプリフォーム11のプロファイルと協働して適正な相互位置決めを達成するために適した寸法及びプロファイルを有する。
【0069】
一部の実施形態では、容器110の剛性を向上させて想定外の衝撃に対する耐性を高めるため、外部のプリフォーム11は内部のプリフォーム12の第2の内部厚さS2より大きい第1の外部厚さS1を有することができる。
【0070】
一部の実施形態では、外部厚さS1は約6mm~約9mmとすることができる。このようにして、ブロー成形作業後、外部のドラム部111のある程度の剛性を確保するために十分な最終的な壁厚を有する外部のドラム部111を得ることができる。
【0071】
他の実施形態では、内部厚さS2は約2mm~約5mmとすることができる。このようにして、ブロー成形作業後、圧縮しやすく変形しやすい厚さの内部のバッグ112を得ることができる。
【0072】
一部の実施形態では、外部のプリフォーム11及び内部のプリフォーム12は、その推移全体において一定の厚さS1、S2を有することができる。
【0073】
可能な変形形態では、外部のプリフォーム11及び内部のプリフォーム12の厚さS1,S2は可変であり、例えば収容部16,17とネック部分14、15とで異なる。
【0074】
一部の実施形態では、外部のプリフォーム11はネック部14の外表面にねじ付き周面領域18を有し、このねじ付き周面領域18は、相手方ねじ部を備えたスクリューキャップ等の閉止要素120に結合するために適したものとなっている。
【0075】
一部の実施形態では、外部のプリフォーム11のネック部14は内部のプリフォーム12のネック部15と協働して2つのプリフォーム11,12間に安定的な結合を提供し、両プリフォーム11,12を互いに実質的に同軸に維持して中心軸Xに沿って整列した状態に維持する。
【0076】
一部の実施形態では、両プリフォーム11,12はそれぞれ、相互間の安定的な結合及び位置決めを達成するために適した結合部19,20,23,24,31を備えることができる。
【0077】
一部の実施形態では、内部のプリフォーム12は開口22に対応して又はその付近に、径方向に突出する環状部分19を有することができ、この環状部分19は外部のプリフォーム11の上縁部に据置きされるように配置されて、その上部分において中空スペース113を閉止するように構成されている。
【0078】
一部の実施形態では上記2つのプリフォーム11,12は、定義された当接ゾーンでのみ、特に各上縁部に対応して、相互に接触するように構成されている。内部のプリフォーム12における当接ゾーンの下方の表面は、中空スペース113によって外部のプリフォーム11から離隔している。
【0079】
一部の実施形態では、外部のプリフォーム11のネック部14の上部分20の径は収容部16より僅かに大きく、内部のプリフォーム12のネック部15の収容室23を画定する。
【0080】
収容室23の下部分は、内部のプリフォーム11のネック部15の突起31に対する当接部を提供するように構成された段付きの肩部24によって画定されている。
【0081】
一部の実施形態では突起31は、内部のプリフォーム12の全周にわたって延在する環状とすることができる。この場合、突起31は、使用時に流体が通過できる複数の窪み又は溝36を有することができる。
【0082】
本発明の一側面では、外部のプリフォーム11又は内部のプリフォーム12のうち少なくとも一方に、当該プリフォーム11,12における中空スペース13を向いた表面に形成された溝25、すなわち窪み、キャビティが設けられている。
【0083】
換言すると、外部のプリフォーム11の内表面27又は内部のプリフォーム12の外表面28のうち少なくとも一方に溝が形成されている。
【0084】
これらの溝25は、流体に対する優先的な通過流路26となる。実際、これらの溝25に対応して、2つのプリフォーム11,12の間の中空スペース13はその周囲のゾーンよりも大きい深さを有する。
【0085】
上記の流路26はアセンブリ10のブロー成形工程後も存在したままであるから、上記の構成により内部のバッグ112と外部のドラム部111との間に不所望の付着が生じるのを阻止するという利点が奏される。
【0086】
一部の実施形態では、複数の溝25が設けられ、これらは中心軸Xまわりに互いに離隔している。
【0087】
一部の実施形態では、3つ以上の溝25、例えば3~12個を設けることができ、これらは好適には互いに等間隔に設けられる。
【0088】
例として
図3及び
図4には10個の溝25が設けられているのが示されており、それに対して
図1には6個の溝25、
図9には8個の溝25が設けられているのが示されている。
【0089】
一部の実施形態では、全部の溝25が等しい長さすなわち等しい長手方向寸法を有する。
【0090】
可能な変形形態では、少なくとも1つの溝25の長さを他の溝25とは異なる長さとすること、すなわち他の溝25より長くすること又は短くすることができる。
【0091】
他の変形形態では、長い溝25と短い溝25とを交互に配置することができる。かかる構成により、ブロー成形後、容器110において複数の異なる長さの優先流路26が画定され、これにより中空スペース113における流体の分布をより均一にすることができる。
【0092】
一部の実施形態では、溝25を垂直にすることができ、すなわち、軸Xに対して平行な方向に延在させることができる。
【0093】
可能な変形形態では、溝25の少なくとも一部を軸Xに対して傾けることができる。
【0094】
他の変形形態では、溝25は螺旋状とすることができる。
【0095】
溝25は、その延在方向に沿って一定の断面を有することができる。
【0096】
一部の実施形態では、溝25は台形、正方形若しくは方形の断面を有し、又は実質的に半円形若しくは周の弧を有することができ、上記の台形、正方形又は方形の断面のエッジは丸め処理を施すことができる。
【0097】
しかし、台形、正方形又は方形とすることにより、ブロー成形処理後の流路26をより良好に画定することができる。
【0098】
一部の実施形態では、溝25は各ネック部14,15の下方において閉鎖端11a,12aに向かって延在する。
【0099】
好適には、溝25は2つのプリフォームの各結合部19,20,23,24,31の下方に配置される。
【0100】
一部の実施形態では、溝25は少なくともプリフォーム12,14の全高の15%以上の高さにわたって延在し、例えば当該全高の15%~50%の区間にわたって延在する。
【0101】
特に、溝25は少なくとも、各ネック部14,15と各収容部16,17との間の移行ゾーンTに相当する区間にわたって延在することができる。
【0102】
移行ゾーンTとは、プリフォーム11,12におけるブロー成形処理中に最も変形しやすい部分であって容器110の上部分となる部分をいう。特に、出発プリフォーム11,12の径に略相当する小さい径D1を有する実質的に円筒状の容器110のネック部114と、より大きい径D2を有する収容部116の円筒状部分とを接続するゾーンを移行ゾーンTと考えることができる。
【0103】
一部の実施形態では、溝25の深さDを各プリフォーム11,12の部分の厚さS1,S2の約5%~約15%とすることができ、特に収容部16,17に対応する厚さS1,S2の約5%~約15%とすることができる。
【0104】
好適には、溝25の深さDはプリフォーム11,12の平均厚さS1,S2の約7%~12%とすることができる。
【0105】
一部の実施形態では、溝25は横方向寸法より長手方向寸法の方が大きい長片状であり、例えば、溝25の長さLを幅Wの10~20倍とすることができる。
【0106】
一部の実施形態では、溝25の幅Wは2~5mmとすることができる。
【0107】
好ましくは、幅Wは2.5~4mmである。
【0108】
一部の実施形態では、溝25の幅Wはその深さDより大きく、例えば深さDの約2~4倍である。
【0109】
例えば
図1~3を参照して説明した実施形態等の一部の実施形態では、溝25は外部のプリフォーム11の内表面27に形成されている。
【0110】
この解決手段の特に有利な点は、流体の適正な通流を保証するためにある程度の幅を有する流路26の作製に係る要求と、必要な構造的特性を保証するために十分な厚さの維持に係る要求と、の間の優れた妥協線を得ることができることである。
【0111】
例えば、外部のプリフォーム11の厚さS1を約7mmとし、外部のプリフォーム11に形成される溝25の深さDを約1mmとすることができる。
【0112】
例えば
図4を参照して説明した変形形態等の他の変形形態では、溝25を内部のプリフォーム12の外表面28に形成することができる。
【0113】
上記の実施形態と組み合わせることができる他の実施形態では、各溝25を両プリフォーム11,12に設けることができる。
【0114】
一部の実施形態では、少なくとも、外部のプリフォーム11に設けられる肩部24が、隆起部32と窪み部分33とを交互に配した不連続な推移を有することができる。
【0115】
この実施形態では、内部のプリフォーム12は外部のプリフォーム11に適切に結合するための嵌合形状をさらに有することができる。
【0116】
各隆起部32及び/又は窪み部分33に対応してそれぞれ溝25を設けることができる。
【0117】
このようにして、溝25が各プリフォーム11,12に設けられている場合、これら両側の溝25を対向させて配置し、通過流路26の断面を拡大することを簡単に行うことができる。
【0118】
他の実施形態では、プリフォーム11又は12のうち一方に、中心軸Xに対して平行に配置された複数の溝25が設けられており、他方のプリフォーム11,12にスペーサ要素29が設けられ、このスペーサ要素29は当該他方のプリフォーム11,12における中空スペース13側の表面27,28から突出する。スペーサ要素29は、プリフォーム11,12間の離間距離を大きくすることを保証することができる。
【0119】
一部の実施形態では、スペーサ要素29は、中心軸Xに対して平行(
図5)若しくは一部傾いている横方向に延在することができ、又は螺旋状(
図6)とすることができる。
【0120】
スペーサ要素29には、中心軸Xに対して平行に延在する又は中心軸Xに対して傾いている窪み34を形成することができ、これにより、中空スペース13に向かう追加の通過流路35を作成することができる。上記の少なくとも1つのスペーサ要素29は、各ネック部14,15付近に配置することができる。
【0121】
一部の実施形態では、上記の1つ又は各スペーサ要素29は外部端部に向かってテーパ状であると共に、窪み34はフレア状であり、これによって流路35に高い安定性と補強とを提供することができる。
【0122】
一例として
図1に示されている実施形態では、外部のプリフォーム11に複数の溝25が設けられ、内部のプリフォーム12に3つのスペーサ要素29が設けられている。
【0123】
他の実施形態では、外部のプリフォーム11及び内部のプリフォーム12の両方の対向する各表面27,28に溝25を形成することができる。この解決手段は例えば、
図1の外部のプリフォーム11と
図4の内部のプリフォーム12とを組み合わせてアセンブリ10を作成することにより得ることができる。
【0124】
図1,5~7に示す実施形態では、外部のプリフォーム11は中心軸Xに対して平行である実質的に垂直な方向に延在する複数の溝25を有し、これらの溝25はその内表面27に形成されていると共に、内部のプリフォーム12は中心軸Xに対して横方向に配置された複数のスペーサ要素29を備えており、これらのスペーサ要素29は外表面28から延在する。この場合、窪み34は中心軸Xに対して実質的に平行に延在することができる。
【0125】
スペーサ要素29の径方向寸法は、中空スペース13の幅に実質的に相当し、これにより、内部のプリフォーム12を外部のプリフォーム11に入れたときにスペーサ要素29の最外側端部が内部のプリフォーム12又は外部のプリフォーム11の反対側の各表面27,28と接触するように位置決めされ、これにより2つのプリフォーム11,12の相互間の適正な位置決めが保証される。
【0126】
他の実施形態では、内部のプリフォーム12のネック部15に、中空スペース13を開口22と接続する少なくとも1つの貫通孔30が設けられている。
【0127】
上記にて説明したプリフォームアセンブリ10及び容器110については、特許請求の範囲に特定された本発明の分野及び範囲から逸脱することなく、各部分の改良及び/又は追加を行うことが可能であることが明らかである。
【0128】
以下のクレームにおいて、括弧内の引例の唯一の目的は、読み取りを容易にすることである。それらは、特定のクレームにおいてクレームされている保護の分野に関する制限要因とみなしてはならない。
【国際調査報告】