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特表2023-546290キサントマチンを抗酸化剤およびUVフィルター安定化剤として含有する光防御化粧品組成物
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-11-01
(54)【発明の名称】キサントマチンを抗酸化剤およびUVフィルター安定化剤として含有する光防御化粧品組成物
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/49 20060101AFI20231025BHJP
   A61K 8/35 20060101ALI20231025BHJP
   A61K 8/40 20060101ALI20231025BHJP
   A61K 8/29 20060101ALI20231025BHJP
   A61K 8/27 20060101ALI20231025BHJP
   A61K 8/55 20060101ALI20231025BHJP
   A61K 8/34 20060101ALI20231025BHJP
   A61K 8/37 20060101ALI20231025BHJP
   A61K 8/86 20060101ALI20231025BHJP
   A61K 8/67 20060101ALI20231025BHJP
   A61K 8/44 20060101ALI20231025BHJP
   A61Q 17/04 20060101ALI20231025BHJP
【FI】
A61K8/49
A61K8/35
A61K8/40
A61K8/29
A61K8/27
A61K8/55
A61K8/34
A61K8/37
A61K8/86
A61K8/67
A61K8/44
A61Q17/04
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023548531
(86)(22)【出願日】2021-10-15
(85)【翻訳文提出日】2023-06-07
(86)【国際出願番号】 US2021055128
(87)【国際公開番号】W WO2022081942
(87)【国際公開日】2022-04-21
(31)【優先権主張番号】63/092,851
(32)【優先日】2020-10-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523140887
【氏名又は名称】シースパイア, インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 夏樹
(74)【代理人】
【識別番号】100181674
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 貴敏
(74)【代理人】
【識別番号】100181641
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】230113332
【弁護士】
【氏名又は名称】山本 健策
(72)【発明者】
【氏名】デラビ, レイラ エフ.
(72)【発明者】
【氏名】マーティン, カミール エー.
(72)【発明者】
【氏名】コックス, ナタリー
【テーマコード(参考)】
4C083
【Fターム(参考)】
4C083AB032
4C083AB211
4C083AB212
4C083AB241
4C083AB242
4C083AC012
4C083AC071
4C083AC072
4C083AC122
4C083AC172
4C083AC181
4C083AC211
4C083AC212
4C083AC251
4C083AC302
4C083AC311
4C083AC331
4C083AC342
4C083AC352
4C083AC421
4C083AC422
4C083AC471
4C083AC511
4C083AC512
4C083AC532
4C083AC761
4C083AC771
4C083AC841
4C083AC851
4C083AC852
4C083AC901
4C083AC902
4C083AD092
4C083AD352
4C083AD391
4C083AD531
4C083AD621
4C083AD641
4C083AD661
4C083BB46
4C083CC03
4C083CC19
4C083DD08
4C083DD31
4C083DD41
4C083EE01
4C083EE03
4C083EE17
(57)【要約】
フェノキサゾンおよび/またはフェノキサジンまたはその前駆体もしくは誘導体、例えばキサントマチンの不飽和溶液を、防御および安全性を高めるために皮膚科用およびスキンケア製剤においてこれら小分子を独立した別個の分子として使用する。凝集していないキサントマチン分子は、UVフィルター性能をブーストし、既知の化学的UVフィルターの光安定性およびUV吸収特性を高め、不飽和溶液中のキサントマチン分子は、サンケア製品においてUV-Aフィルターであるアボベンゾンの性能を置き換えて既知の抗酸化剤の性能を置き換え経時的により高い性能安定性をもたらし、皮膚科用製剤、特にサンスクリーン剤および顔用保湿剤などの日光防御用製剤に統合し、従来のUVフィルターに関連する全身毒性なしに防御の強化を達成し、キサントマチンの不飽和溶液は、より安全で、より効果的な広域スペクトルの防御を提供する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つのUVフィルター材料と、
1重量%またはそれ未満の1またはそれを超えるフェノキサゾンおよび/またはフェノキサジン化合物、その前駆体もしくは誘導体、または前述のいずれかの塩の不飽和溶液と
を含む組成物。
【請求項2】
前記少なくとも1つのUVフィルター材料と、前記1重量%またはそれ未満の1またはそれを超えるフェノキサゾンおよび/またはフェノキサジン化合物、その前駆体もしくは誘導体、または前述のいずれかの塩の不飽和溶液が、一緒に相乗効果を示す、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記組成物が、前記少なくとも1つのUVフィルター材料を含むが前記1重量%またはそれ未満の1またはそれを超えるフェノキサゾンおよび/またはフェノキサジン化合物、その前駆体もしくは誘導体、または前述のいずれかの塩の不飽和溶液を含まない組成物よりも大きい照射前SPFを有する、請求項1または2に記載の組成物。
【請求項4】
前記組成物が、前記少なくとも1つのUVフィルター材料を含むが前記1重量%またはそれ未満の1またはそれを超えるフェノキサゾンおよび/またはフェノキサジン化合物、その前駆体もしくは誘導体、または前述のいずれかの塩の不飽和溶液を含まない組成物よりも大きい照射後SPFを有する、請求項1~3のいずれかに記載の組成物。
【請求項5】
前記組成物が、前記少なくとも1つのUVフィルター材料を含むが前記1重量%またはそれ未満の1またはそれを超えるフェノキサゾンおよび/またはフェノキサジン化合物、その前駆体もしくは誘導体、または前述のいずれかの塩の不飽和溶液を含まない組成物と比較して、10%を超えるSPFの増加を有する、請求項3または4に記載の組成物。
【請求項6】
前記組成物が、前記少なくとも1つのUVフィルター材料を含むが前記1重量%またはそれ未満の1またはそれを超えるフェノキサゾンおよび/またはフェノキサジン化合物、その前駆体もしくは誘導体、または前述のいずれかの塩の不飽和溶液を含まない組成物と比較して、25%を超えるSPFの増加を有する、請求項3または4に記載の組成物。
【請求項7】
前記組成物の前記SPFが少なくとも1週間維持される、先行する請求項のいずれかに記載の組成物。
【請求項8】
前記組成物の前記SPFが少なくとも2週間維持される、先行する請求項のいずれかに記載の組成物。
【請求項9】
前記組成物の前記SPFが少なくとも3週間維持される、先行する請求項のいずれかに記載の組成物。
【請求項10】
前記組成物が、前記少なくとも1つのUVフィルター材料を含むが前記1重量%またはそれ未満の1またはそれを超えるフェノキサゾンおよび/またはフェノキサジン化合物、その前駆体もしくは誘導体、または前述のいずれかの塩の不飽和溶液を含まない組成物よりも大きいUV吸光度を示す、先行する請求項のいずれかに記載の組成物。
【請求項11】
前記組成物が、前記少なくとも1つのUVフィルター材料を含むが前記1重量%またはそれ未満の1またはそれを超えるフェノキサゾンおよび/またはフェノキサジン化合物、その前駆体もしくは誘導体、または前述のいずれかの塩の不飽和溶液を含まない組成物と比較して、100%よりも大きいUV吸光度の変化を示す、先行する請求項のいずれかに記載の組成物。
【請求項12】
前記組成物が、前記少なくとも1つのUVフィルター材料を含むが前記1重量%またはそれ未満の1またはそれを超えるフェノキサゾンおよび/またはフェノキサジン化合物、その前駆体もしくは誘導体、または前述のいずれかの塩の不飽和溶液を含まない組成物と比較して、150%よりも大きいUV吸光度の変化を示す、先行する請求項のいずれかに記載の組成物。
【請求項13】
前記組成物が、前記少なくとも1つのUVフィルター材料を含むが前記1重量%またはそれ未満の1またはそれを超えるフェノキサゾンおよび/またはフェノキサジン化合物、その前駆体もしくは誘導体、または前述のいずれかの塩の不飽和溶液を含まない組成物と比較して、200%よりも大きいUV吸光度の変化を示す、先行する請求項のいずれかに記載の組成物。
【請求項14】
前記1またはそれを超えるフェノキサゾンおよび/またはフェノキサジン化合物、その前駆体もしくは誘導体、または前述のいずれかの塩が、キサントマチン、脱炭酸型キサントマチン、非環化キサントマチン、オマチンD、ジヒドロキシ-キサントマチン、またはロドマチン、その誘導体もしくは前駆体、または前述のいずれかの塩を含む、先行する請求項のいずれかに記載の組成物。
【請求項15】
前記1またはそれを超えるフェノキサゾンおよび/またはフェノキサジン化合物、その前駆体もしくは誘導体、または前述のいずれかの塩が、キサントマチン、またはその塩を含む、請求項14に記載の組成物。
【請求項16】
前記1またはそれを超えるフェノキサゾンおよび/またはフェノキサジン化合物、その前駆体もしくは誘導体、または前述のいずれかの塩の不飽和溶液が、凝集していない分子を含む、先行する請求項のいずれかに記載の組成物。
【請求項17】
前記少なくとも1つのUVフィルター材料が少なくとも1つのUV吸収性化合物を含む、先行する請求項のいずれかに記載の組成物。
【請求項18】
前記少なくとも1つのUV吸収性化合物が、アボベンゾン、オキシベンゾン、オキシベンゾンシノキサート、ホモサレート、オクチサレート、オクチノキサート、オクトクリレン、およびトロラミンサリチル酸から選択される、請求項17に記載の組成物。
【請求項19】
前記少なくとも1つのUVフィルター材料が、少なくとも1つのUV散乱粒子を含む、請求項1~16のいずれかに記載の組成物。
【請求項20】
前記少なくとも1つのUV散乱粒子が、二酸化チタンおよび二酸化亜鉛から選択される、請求項19に記載の組成物。
【請求項21】
前記組成物が溶液として処方される、先行する請求項のいずれかに記載の組成物。
【請求項22】
前記少なくとも1つのUVフィルター材料と、前記1またはそれを超えるフェノキサゾンおよび/またはフェノキサジン化合物、その前駆体もしくは誘導体、または前述のいずれかの塩の不飽和溶液が、前記溶液内に均一に分布している、請求項21に記載の組成物。
【請求項23】
前記組成物がエマルジョンとして処方される、請求項1~18のいずれかに記載の組成物。
【請求項24】
セチルリン酸カリウム、ジステアリン酸PEG-150、セテアリルアルコール、カプリル酸/カプリン酸トリグリセリド、およびステアリン酸グリセリルから選択される1またはそれを超える非イオン性ポリマー乳化剤をさらに含む、先行する請求項のいずれかに記載の組成物。
【請求項25】
前記組成物が、化粧品または皮膚科用製剤で用いるための、クリーム、ゲル、スプレー、またはローションとして処方される、先行する請求項のいずれかに記載の組成物。
【請求項26】
前記組成物が、太陽紫外線からの防御を提供するように処方されている、先行する請求項のいずれかに記載の組成物。
【請求項27】
前記組成物が、少なくとも15のSPFを提供するように処方されている、先行する請求項のいずれかに記載の組成物。
【請求項28】
前記組成物が、少なくとも30のSPFを提供するように処方されている、請求項1~26のいずれかに記載の組成物。
【請求項29】
前記組成物が、15~100のSPFを提供するように処方されている、請求項1~26のいずれかに記載の組成物。
【請求項30】
前記組成物が、60またはそれを超えるSPFを提供するように処方されている、請求項1~26のいずれかに記載の組成物。
【請求項31】
前記組成物が、少なくとも15のUVA-PFを提供するように処方されている、請求項1~30のいずれかに記載の組成物。
【請求項32】
前記組成物が、少なくとも30のUVA-PFを提供するように処方されている、請求項1~30のいずれかに記載の組成物。
【請求項33】
前記組成物が、15~100のUVA-PFを提供するように処方されている、請求項1~30のいずれかに記載の組成物。
【請求項34】
前記組成物が、60またはそれを超えるUVA-PFを提供するように処方されている、請求項1~30のいずれかに記載の組成物。
【請求項35】
前記組成物が、広域スペクトルの防御を提供するように処方されている、請求項1~34のいずれかに記載の組成物。
【請求項36】
前記組成物が、少なくとも0.7またはそれを超えるUVA I対UV Bフィルター比を提供するように処方されている、請求項1~35のいずれかに記載の組成物。
【請求項37】
少なくとも1つの追加の抗酸化化合物をさらに含む、先行する請求項のいずれかに記載の組成物。
【請求項38】
前記少なくとも1つの追加の抗酸化化合物が、アルブチン、BHA、BHT、コウジ酸、ヒドロキシアニソール、ヒドロキノン、t-ブチルヒドロキノン、トコフェロール、ノルジヒドログアヤレチン酸、ロスマリン酸、トロロックス、ゴシポール(goosypol)、フラボン、フラバノン、イソフラボン、フラバノール、プロトカテク酸、レゾルシル酸、没食子酸、コーヒー酸、フェルラ酸、クロロゲン酸、アスコルビン酸、パルミチン酸アスコルビル、カロテノイド、塩酸システイン、ジチオトレイトール、グルタチオン、チオグリコール酸、チオジプロピオン酸、αリポ酸、および/またはキサンチンのうちの1つまたは複数を含む、請求項37に記載の組成物。
【請求項39】
前記少なくとも1つの追加の抗酸化化合物が、0.1~5重量%で存在する、請求項37または38に記載の組成物。
【請求項40】
前記少なくとも1つの追加の抗酸化化合物が、0.1~1重量%で存在する、請求項37または38に記載の組成物。
【請求項41】
抗ラジカル化合物をさらに含む、先行する請求項のいずれかに記載の組成物。
【請求項42】
前記抗ラジカル化合物が0.1~15重量%で存在する、請求項41に記載の組成物。
【請求項43】
前記抗ラジカル化合物が0.1~1重量%で存在する、請求項41に記載の組成物。
【請求項44】
前記抗ラジカル化合物が1~10重量%で存在する、請求項41に記載の組成物。
【請求項45】
前記抗ラジカル化合物が6~8重量%で存在する、請求項41に記載の組成物。
【請求項46】
前記少なくとも1つのUVフィルター材料が、10~35重量%で存在する、先行する請求項のいずれかに記載の組成物。
【請求項47】
前記少なくとも1つのUVフィルター材料が、0.1~15重量%で存在する、請求項1~45のいずれかに記載の組成物。
【請求項48】
前記少なくとも1つのUVフィルター材料が、0.1~5重量%で存在する、請求項1~45のいずれかに記載の組成物。
【請求項49】
前記少なくとも1つのUVフィルター材料が、0.1~1重量%で存在する、請求項1~45のいずれかに記載の組成物。
【請求項50】
前記組成物が、0.1~1重量%のフェノキサゾンおよび/またはフェノキサジン化合物、その前駆体もしくは誘導体、または前述のいずれかの塩を含む、先行する請求項のいずれかに記載の組成物。
【請求項51】
前記組成物が、0.01~0.1重量%のフェノキサゾンおよび/またはフェノキサジン化合物、その前駆体もしくは誘導体、または前述のいずれかの塩を含む、請求項1~49のいずれかに記載の組成物。
【請求項52】
前記組成物が、0.01~0.05重量%のフェノキサゾンおよび/またはフェノキサジン化合物、その前駆体もしくは誘導体、または前述のいずれかの塩を含む、請求項1~49のいずれかに記載の組成物。
【請求項53】
前記組成物が、0.1重量%のフェノキサゾンおよび/またはフェノキサジン化合物、その前駆体もしくは誘導体、または前述のいずれかの塩を含む、請求項1~49のいずれかに記載の組成物。
【請求項54】
少なくとも1つのUVフィルター材料を含む組成物の前記SPFを維持する方法であって、1重量%またはそれ未満の1またはそれを超えるフェノキサゾンおよび/またはフェノキサジン化合物、その前駆体もしくは誘導体、または前述のいずれかの塩を含む不飽和溶液を前記組成物に添加して、最終化粧品製剤を提供することを含む方法。
【請求項55】
前記1またはそれを超えるフェノキサゾンおよび/またはフェノキサジン化合物、その前駆体もしくは誘導体、または前述のいずれかの塩が、キサントマチン、脱炭酸型キサントマチン、非環化キサントマチン、オマチンD、ジヒドロキシ-キサントマチン、またはロドマチン、またはその前駆体もしくは誘導体、または前述のいずれかの塩を含む、請求項54に記載の方法。
【請求項56】
前記1またはそれを超えるフェノキサゾンおよび/またはフェノキサジン化合物、その前駆体もしくは誘導体、または前述のいずれかの塩が、キサントマチン、またはその塩を含む、請求項55に記載の方法。
【請求項57】
前記少なくとも1つのUVフィルター材料が、少なくとも1つのUV吸収性化合物を含む、請求項54~56のいずれかに記載の方法。
【請求項58】
前記少なくとも1つのUV吸収性化合物が、アボベンゾン、オキシベンゾン、オキシベンゾンシノキサート、ホモサレート、オクチサレート、オクチノキサート、オクトクリレン、およびトロラミンサリチル酸から選択される、請求項57に記載の方法。
【請求項59】
前記1またはそれを超えるフェノキサゾンおよび/またはフェノキサジン化合物、その前駆体もしくは誘導体、または前述のいずれかの塩が、前記最終化粧品製剤において0.01~0.1重量%を構成する、請求項54~58のいずれかに記載の方法。
【請求項60】
前記1またはそれを超えるフェノキサゾンおよび/またはフェノキサジン化合物、その前駆体もしくは誘導体、または前述のいずれかの塩が、前記最終化粧品製剤において0.01重量%を構成する、請求項54~58のいずれかに記載の方法。
【請求項61】
前記SPFが、少なくとも1週間維持される、請求項54~60のいずれかに記載の方法。
【請求項62】
前記SPFが、少なくとも2週間維持される、請求項54~60のいずれかに記載の方法。
【請求項63】
前記SPFが、少なくとも3週間維持される、請求項54~60のいずれかに記載の方法。
【請求項64】
少なくとも1つのUVフィルター材料を含む組成物の前記SPFを高める方法であって、1重量%またはそれ未満の1またはそれを超えるフェノキサゾンおよび/またはフェノキサジン化合物、その前駆体もしくは誘導体、または前述のいずれかの塩を含む不飽和溶液を前記組成物に添加して、最終化粧品製剤を提供することを含む方法。
【請求項65】
前記少なくとも1つのUVフィルター材料と、前記1重量%またはそれ未満の1またはそれを超えるフェノキサゾンおよび/またはフェノキサジン化合物、その前駆体もしくは誘導体、または前述のいずれかの塩の不飽和溶液が、一緒に相乗効果を示す、請求項64に記載の方法。
【請求項66】
前記組成物が、前記少なくとも1つのUVフィルター材料を含むが前記1重量%またはそれ未満の1またはそれを超えるフェノキサゾンおよび/またはフェノキサジン化合物、その前駆体もしくは誘導体、または前述のいずれかの塩の不飽和溶液を含まない組成物と比較して、10%を超える照射前SPFの増加を有する、請求項64または65に記載の方法。
【請求項67】
前記組成物が、前記少なくとも1つのUVフィルター材料を含むが前記1重量%またはそれ未満の1またはそれを超えるフェノキサゾンおよび/またはフェノキサジン化合物、その前駆体もしくは誘導体、または前述のいずれかの塩の不飽和溶液を含まない組成物と比較して、10%を超える照射後SPFの増加を有する、請求項64または65に記載の方法。
【請求項68】
前記1またはそれを超えるフェノキサゾンおよび/またはフェノキサジン化合物、その前駆体もしくは誘導体、または前述のいずれかの塩が、キサントマチン、脱炭酸型キサントマチン、非環化キサントマチン、オマチンD、ジヒドロキシ-キサントマチン、またはロドマチン、またはその前駆体もしくは誘導体、または前述のいずれかの塩を含む、請求項64~67のいずれかに記載の方法。
【請求項69】
前記1またはそれを超えるフェノキサゾンおよび/またはフェノキサジン化合物、その前駆体もしくは誘導体、または前述のいずれかの塩が、キサントマチン、またはその塩を含む、請求項68に記載の方法。
【請求項70】
前記1またはそれを超えるフェノキサゾンおよび/またはフェノキサジン化合物、その前駆体もしくは誘導体、または前述のいずれかの塩が、前記最終化粧品製剤において0.03重量%を構成する、請求項64~69のいずれかに記載の方法。
【請求項71】
前記少なくとも1つのUVフィルター材料が、少なくとも1つのUV吸収性化合物を含む、請求項64~70のいずれかに記載の方法。
【請求項72】
前記UV吸収性化合物が、アボベンゾン、オキシベンゾン、オキシベンゾンシノキサート、ホモサレート、オクチサレート、オクチノキサート、オクトクリレン、および/またはトロラミンサリチル酸のうちの1つを含む、請求項71に記載の方法。
【請求項73】
前記少なくとも1つのUVフィルター材料が、少なくとも1つのUV散乱粒子を含む、請求項64~70のいずれかに記載の方法。
【請求項74】
前記UV散乱粒子が、二酸化チタンまたは酸化亜鉛を含む、請求項73に記載の方法。
【請求項75】
ビタミンE類似体と、
1またはそれを超えるフェノキサゾンおよび/またはフェノキサジン化合物、その前駆体もしくは誘導体、または前述のいずれかの塩の不飽和溶液と
を含む、抗酸化剤組成物。
【請求項76】
前記組成物が、前記ビタミンE類似体単独を含む組成物よりも長く抗酸化剤として機能する、請求項75に記載の組成物。
【請求項77】
前記1またはそれを超えるフェノキサゾンおよび/またはフェノキサジン化合物、その前駆体もしくは誘導体、または前述のいずれかの塩が、キサントマチン、脱炭酸型キサントマチン、非環化キサントマチン、オマチンD、ジヒドロキシ-キサントマチン、ロドマチン、またはその前駆体もしくは誘導体、または前述のいずれかの塩を含む、請求項75または76に記載の組成物。
【請求項78】
前記1またはそれを超えるフェノキサゾンおよび/またはフェノキサジン化合物、その前駆体もしくは誘導体、または前述のいずれかの塩が、キサントマチン、またはその塩を含む、請求項77に記載の組成物。
【請求項79】
前記ビタミンE類似体および前記1またはそれを超えるフェノキサゾンおよび/またはフェノキサジン化合物、その前駆体もしくは誘導体、または前述のいずれかの塩が、1:1のモル比で存在する、請求項75~78のいずれかに記載の組成物。
【請求項80】
前記ビタミンE類似体がトロロックスである、請求項75~79のいずれかに記載の組成物。
【請求項81】
0.01~1重量%の前記1またはそれを超えるフェノキサゾンおよび/またはフェノキサジン化合物、その前駆体もしくは誘導体、または前述のいずれかの塩を含む、請求項75~80のいずれかに記載の組成物。
【請求項82】
1~5重量%の前記1またはそれを超えるフェノキサゾンおよび/またはフェノキサジン化合物、その前駆体もしくは誘導体、または前述のいずれかの塩を含む、請求項75~80のいずれかに記載の組成物。
【請求項83】
1~10重量%の前記1またはそれを超えるフェノキサゾンおよび/またはフェノキサジン化合物、その前駆体もしくは誘導体、または前述のいずれかの塩を含む、請求項75~80のいずれかに記載の組成物。
【請求項84】
50重量%の前記1またはそれを超えるフェノキサゾンおよび/またはフェノキサジン化合物、その前駆体もしくは誘導体、または前述のいずれかの塩を含む、請求項75~80のいずれかに記載の組成物。
【請求項85】
アスコルビン酸と、
1またはそれを超えるフェノキサゾンおよび/またはフェノキサジン化合物、その前駆体もしくは誘導体、または前述のいずれかの塩の不飽和溶液と
を含む、抗酸化剤組成物。
【請求項86】
前記組成物が、前記アスコルビン酸単独を含む組成物よりも長く抗酸化剤として機能する、請求項86に記載の組成物。
【請求項87】
前記1またはそれを超えるフェノキサゾンおよび/またはフェノキサジン化合物、その前駆体もしくは誘導体、または前述のいずれかの塩が、キサントマチン、脱炭酸型キサントマチン、非環化キサントマチン、オマチンD、ジヒドロキシ-キサントマチン、ロドマチン、またはその前駆体もしくは誘導体、または前述のいずれかの塩を含む、請求項85または86に記載の組成物。
【請求項88】
前記1またはそれを超えるフェノキサゾンおよび/またはフェノキサジン化合物、その前駆体もしくは誘導体、または前述のいずれかの塩が、キサントマチン、またはその塩を含む、請求項87に記載の組成物。
【請求項89】
前記アスコルビン酸および前記1またはそれを超えるフェノキサゾンおよび/またはフェノキサジン化合物、その前駆体もしくは誘導体、または前述のいずれかの塩が、最終製剤中に1:1のモル比で存在する、請求項85~88のいずれかに記載の組成物。
【請求項90】
0.01~1重量%の前記1またはそれを超えるフェノキサゾンおよび/またはフェノキサジン化合物、その前駆体もしくは誘導体、または前述のいずれかの塩を含む、請求項85~89のいずれかに記載の組成物。
【請求項91】
1~5重量%の前記1またはそれを超えるフェノキサゾンおよび/またはフェノキサジン化合物、その前駆体もしくは誘導体、または前述のいずれかの塩を含む、請求項85~89のいずれかに記載の組成物。
【請求項92】
1~10重量%の前記1またはそれを超えるフェノキサゾンおよび/またはフェノキサジン化合物、その前駆体もしくは誘導体、または前述のいずれかの塩を含む、請求項85~89のいずれかに記載の組成物。
【請求項93】
50重量%の前記1またはそれを超えるフェノキサゾンおよび/またはフェノキサジン化合物、その前駆体もしくは誘導体、または前述のいずれかの塩を含む、請求項85~89のいずれかに記載の組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
本願は、2020年10月16日付で出願された米国特許仮出願第63/092,851号に基づく優先権の利益を主張し、その出願は参照によりその全文が本明細書に組み込まれる。
資金提供
【0002】
本発明は、アメリカ国立科学財団によって授与された助成金NSF SBIR 2050284の下で政府の支援を受けてなされた。政府は本発明に一定の権利を有する。
【背景技術】
【0003】
背景
太陽紫外線(UV)放射への環境曝露は、毎年350万件近くの皮膚癌症例の主な原因の一つであり続けている。黒色腫に利用できる有効な治療選択肢はほとんどなく、局所用サンスクリーン剤を毎日塗布することによる予防的なスキンケアに多大な努力が向けられてきた。
【0004】
しかし、環境ワーキンググループ(EWG)による最近の報告では、サンスクリーン剤中のUVフィルターの70%超が、(1)UV放射からヒト皮膚を防御するのに有効でないこと、および/または(2)毒性成分を含有することが記載されている。合わせて、動物における発生毒性および生殖毒性の発現を裏付けるデータの蓄積とともに、これらのデータは、市販のサンスクリーン剤の慢性的な使用が人間と海洋の両方の健康に対する新たな脅威であることを示しており、業界は米国食品医薬品局(FDA)とともに、現在の店頭販売(OTC)サンスクリーン剤の再検討を迫られている。
【0005】
既知の抗酸化剤(ビタミンCおよびE)は、不安定であり、空気中や日光と容易に反応して、効果のない(そして時には有毒な)副生成物を形成する。フェノキサゾンおよびフェノキサジンは、日焼け止め製剤として使用することができる小分子である。例えば、安定化された三次元形態の凝集キサントマチンは、サンケア製剤に組み込まれている。これらの製剤に使用されるキサントマチン粒子凝集体は、通常、サイズが100nmを超える。
【0006】
現在使用されているUVフィルターに代わる、より安全で、環境に優しく、より効果的なUVフィルターを開発することが緊急に必要とされている。
業界は、持続可能でない、時には有毒な多くの製品に代わるように設計された、自然で環境に優しい製品の提供を推進し続けているため、生物に由来するかまたは生物から着想を得た原材料の化粧品への応用および有用性を裏付ける動きが高まっている。Bom,S.,ら、A step forward on sustainability in the cosmetics industry:A review.Journal of Cleaner Production,2019.225:p.270-290。Bom,S.,ら、Replacing Synthetic Ingredients by Sustainable Natural Alternatives:A Case Study Using Topical O/W Emulsions.Molecules,2020.25(21)。これらの生物に基づくかまたは生物に着想を得た原材料は、その着想の起源または供給源にかかわらず、それでも店頭で販売される製品に組み込まれ得る前の厳格な安全性スクリーニングおよび基準の対象となる。Bom,S.,H.M.Ribeiro,およびJ.Marto,Sustainability Calculator:A Tool to Assess Sustainability in Cosmetic Products.Sustainability,2020.12(4):p.1437。キサントマチンアンモニウム(以降、キサントマチンと呼ぶ)は、節足動物および頭足類に存在する自然起源の生体色素であり、これらの種においてトリプトファンの代謝中に形成される。Riou,M.and J.P.Christides,Cryptic color change in a crab spider(Misumena vatia):identification and quantification of precursors and ommochrome pigments by HPLC.J Chem Ecol,2010.36(4):p.412-23。Futahashi,R.a.K.,Ryoji and Mano,Hiroaki and Fukatsu,Takema,Redox alters yellow dragonflies into red.PNAS 2012.109(31):p.12626-12631。Osani-Futahashi,M.,ら、Positional cloning of a Bombyz pink-eyed white egg locus reveals the major role of cardinal in ommochrome synthesis.Heredity,2016.116:p.135-145。Williams,T.L.,ら、Dynamic pigmentary and structural coloration within cephalopod chromatophore organs.Nature communications,2019.10。Deravi,L.F.,ら、The structure-function relationships of a natural nanoscale photonic device in cuttlefish chromatophores.J R Soc Interface,2014.11(93):p.20130942。Williams,T.L.,ら、Contributions of phenoxazone-based pigments to the structure and function of nanostructured granules in squid chromatophores.Langmuir,2016.32(15):p.3754-3759。Williams,T.L.,ら、Dynamic pigmentary and structural coloration within cephalopod chromatophore organs.Nat Commun,2019.10(1):p.1004。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】Bom,S.,ら、A step forward on sustainability in the cosmetics industry:A review.Journal of Cleaner Production,2019.225:p.270-290。Bom,S.,ら、Replacing Synthetic Ingredients by Sustainable Natural Alternatives:A Case Study Using Topical O/W Emulsions.Molecules,2020.25(21)
【非特許文献2】Riou,M.and J.P.Christides,Cryptic color change in a crab spider(Misumena vatia):identification and quantification of precursors and ommochrome pigments by HPLC.J Chem Ecol,2010.36(4):p.412-23
【非特許文献3】Futahashi,R.a.K.,Ryoji and Mano,Hiroaki and Fukatsu,Takema,Redox alters yellow dragonflies into red.PNAS 2012.109(31):p.12626-12631
【非特許文献4】Osani-Futahashi,M.,ら、Positional cloning of a Bombyz pink-eyed white egg locus reveals the major role of cardinal in ommochrome synthesis.Heredity,2016.116:p.135-145
【非特許文献5】Williams,T.L.,ら、Dynamic pigmentary and structural coloration within cephalopod chromatophore organs.Nature communications,2019.10
【非特許文献6】Deravi,L.F.,ら、The structure-function relationships of a natural nanoscale photonic device in cuttlefish chromatophores.J R Soc Interface,2014.11(93):p.20130942
【非特許文献7】Williams,T.L.,ら、Contributions of phenoxazone-based pigments to the structure and function of nanostructured granules in squid chromatophores.Langmuir,2016.32(15):p.3754-3759
【非特許文献8】Williams,T.L.,ら、Dynamic pigmentary and structural coloration within cephalopod chromatophore organs.Nat Commun,2019.10(1):p.1004
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0008】
要旨
サンケアおよび化粧品用途のための改善された組成物が本明細書において開示される。新しい組成物には、バイオインスパイアされた光安定性クラスのフェノキサゾンおよびフェノキサジン(またはその誘導体または前駆体)からの1またはそれを超える化合物の不飽和溶液が含まれており、サンケアおよび化粧を施す際により効果的な使用を提供する。本明細書において、1またはそれを超えるフェノキサゾンおよび/またはフェノキサジン化合物の不飽和溶液には、1またはそれを超えるフェノキサゾンおよび/またはフェノキサジン化合物が溶液に完全に溶解している化学溶液が含まれる。溶液中の小分子と他の溶液成分との間には、イオン結合、静電結合、水素結合、およびファンデルワールス結合が存在し得るが、不飽和溶液中の1またはそれを超えるフェノキサゾンおよび/またはフェノキサジン化合物は、共有結合または他の結合によって他の活性分子成分に結合しない。不飽和溶液中の1またはそれを超えるフェノキサゾンおよび/またはフェノキサジン化合物はまた、皮膚科用製剤または他の製剤中で安定化を増強するために不活性な側鎖および/またはポリマーに結合されることがあるが、同じまたは異なる種の活性分子に結合または関連することはない。不飽和溶液中の1またはそれを超えるフェノキサゾンおよび/またはフェノキサジン化合物は凝集しており、溶液またはより大きな製剤中の他のフェノキサゾンおよび/またはフェノキサジン化合物または他の活性分子と三次元安定化構造を形成しない。1またはそれを超えるフェノキサゾンおよび/またはフェノキサジン化合物の不飽和溶液には、3-ヒドロキシキヌレニンをはじめとするフェノキサゾンおよび/またはフェノキサジン誘導体または前駆体の不飽和溶液が含まれてよい。1またはそれを超えるフェノキサゾンおよび/またはフェノキサジン化合物の不飽和溶液には、キサントマチン、脱炭酸型キサントマチン、非環化キサントマチン、オマチンD、ジヒドロキシ-キサントマチンまたはロドマチン、前述のいずれかの誘導体、前述のいずれかの前駆体、および前述のいずれかの塩も含まれていてよい。特定の実施形態では、フェノキサゾンおよび/またはフェノキサジン化合物またはその塩は、キサントマチンまたはその塩である。特定のそのような実施形態では、フェノキサゾンおよび/またはフェノキサジン化合物またはその塩は、キサントマチンアンモニウムである。
【0009】
1またはそれを超えるフェノキサゾンおよび/またはフェノキサジン化合物(例えば、キサントマチン、またはその塩、例えば、キサントマチンアンモニウム)の不飽和溶液は、不飽和溶液中の凝集していない小分子の分子特性および化学特性をUV防御製剤で利用することができるので、結合したフェノキサゾンおよびフェノキサジン化合物と比較して安定化特性およびブースト特性を有する組成物を提供する。1またはそれを超えるフェノキサゾンおよび/またはフェノキサジン化合物の不飽和溶液は、製剤に容易に組み込まれ、凝集していない小分子の化学的性質を利用して、UV吸収、ブースト、および安定化に関して驚くべき特性を提供することができる。特定の適応では、1またはそれを超えるフェノキサゾンおよび/またはフェノキサジン化合物の不飽和溶液は、キサントマチン、その1またはそれを超える誘導体もしくは前駆体、またはその塩を含む。キサントマチンは、節足動物(anthropod)および頭足類に存在する生体色素であるが、本明細書に開示される組成物のために合成によって形成されてよい。
【0010】
本出願は、少なくとも1つのUVフィルター材料(例えば、UV吸収性化合物またはUV散乱粒子)と、1重量%またはそれ未満の1またはそれを超えるフェノキサゾンおよび/またはフェノキサジン化合物、またはその前駆体もしくは誘導体、または前述のいずれかの塩の不飽和溶液とを含む組成物を提供する。特定のそのような実施形態では、1重量%またはそれ未満の1またはそれを超えるフェノキサゾンおよび/またはフェノキサジン化合物、またはその前駆体もしくは誘導体、または前述のいずれかの塩の不飽和溶液は、キサントマチン、脱炭酸型キサントマチン、非環化キサントマチン、オマチンD、ジヒドロキシ-キサントマチン、ロドマチン、その誘導体もしくは前駆体、または前述のいずれかの塩を含む。特定の実施形態では、1重量%またはそれ未満の1またはそれを超えるフェノキサゾンおよび/またはフェノキサジン化合物、またはその前駆体もしくは誘導体、または前述のいずれかの塩の不飽和溶液は、3-ヒドロキシキヌレニンを含む。特定の実施形態では、1重量%またはそれ未満の1またはそれを超えるフェノキサゾンおよび/またはフェノキサジン化合物、またはその前駆体もしくは誘導体、または前述のいずれかの塩の不飽和溶液は、キサントマチン、その1またはそれを超える誘導体もしくは前駆体、またはその塩(例えば、キサントマチンアンモニウム)を含む。特定の実施形態では、1重量%またはそれ未満の1またはそれを超えるフェノキサゾンおよび/またはフェノキサジン化合物、またはその前駆体もしくは誘導体、または前述のいずれかの塩の不飽和溶液は、合成分子を含む。特定の実施形態では、1重量%またはそれ未満の1またはそれを超えるフェノキサゾンおよび/またはフェノキサジン化合物、またはその前駆体もしくは誘導体、または前述のいずれかの塩の不飽和溶液は、凝集していない分子を含む。
【0011】
特定の実施形態では、本願の1またはそれを超えるフェノキサゾンおよび/またはフェノキサジン化合物、またはその前駆体もしくは誘導体の不飽和溶液は、従来の化学的フィルターよりも広いUV可視スペクトルにわたって最大3倍多く吸収することができるUVフィルターを提供する。
【0012】
本出願の組成物の特定の実施形態では、少なくとも1つのUVフィルター材料(例えば、UV吸収性化合物またはUV散乱粒子)と、1重量%またはそれ未満の1またはそれを超えるフェノキサゾンおよび/またはフェノキサジン化合物、またはその前駆体もしくは誘導体、または前述のいずれかの塩の不飽和溶液は、一緒に相乗効果を示す。特定の実施形態では、この組成物は、少なくとも1つのUVフィルター材料(例えば、UV吸収性化合物またはUV散乱粒子)を含むが1重量%またはそれ未満の1またはそれを超えるフェノキサゾンおよび/またはフェノキサジン化合物、その前駆体もしくは誘導体、または前述のいずれかの塩の不飽和溶液を含まない組成物よりも照射前のSPFが大きい。特定の実施形態では、この組成物は、少なくとも1つのUVフィルター材料(例えば、UV吸収性化合物またはUV散乱粒子)を含むが1重量%またはそれ未満の1またはそれを超えるフェノキサゾンおよび/またはフェノキサジン化合物、その前駆体もしくは誘導体、または前述のいずれかの塩の不飽和溶液を含まない組成物よりも照射後のSPFが大きい。特定の実施形態では、この組成物は、少なくとも1つのUVフィルター材料(例えば、UV吸収性化合物またはUV散乱粒子)を含むが1重量%またはそれ未満の1またはそれを超えるフェノキサゾンおよび/またはフェノキサジン化合物、その前駆体もしくは誘導体、または前述のいずれかの塩の不飽和溶液を含まない組成物と比較して、SPFの増加が10%よりも大きい。特定の実施形態では、この組成物は、少なくとも1つのUVフィルター材料(例えば、UV吸収性化合物またはUV散乱粒子)を含むが1重量%またはそれ未満の1またはそれを超えるフェノキサゾンおよび/またはフェノキサジン化合物、その前駆体もしくは誘導体、または前述のいずれかの塩の不飽和溶液を含まない組成物と比較して、SPFの増加が25%よりも大きい。前述の特定の実施形態では、組成物のSPFは少なくとも1週間維持される。前述の特定の実施形態では、組成物のSPFは少なくとも2週間維持される。前述の特定の実施形態では、組成物のSPFは少なくとも3週間維持される。
【0013】
本出願の組成物の特定の実施形態では、この組成物は、少なくとも1つのUV吸収性化合物を含むが1重量%またはそれ未満の1またはそれを超えるフェノキサゾンおよび/またはフェノキサジン化合物、その前駆体もしくは誘導体、または前述のいずれかの塩の不飽和溶液を含まない組成物よりも大きなUV吸光度を示す。特定の実施形態では、この組成物は、少なくとも1つのUV吸収性化合物を含むが1重量%またはそれ未満の1またはそれを超えるフェノキサゾンおよび/またはフェノキサジン化合物、その前駆体もしくは誘導体、または前述のいずれかの塩の不飽和溶液を含まない組成物と比較して、100%よりも大きいUV吸光度の変化を示す。特定の実施形態では、この組成物は、少なくとも1つのUV吸収性化合物を含むが1重量%またはそれ未満の1またはそれを超えるフェノキサゾンおよび/またはフェノキサジン化合物、その前駆体もしくは誘導体、または前述のいずれかの塩の不飽和溶液を含まない組成物と比較して、150%よりも大きいUV吸光度の変化を示す。特定の実施形態では、この組成物は、少なくとも1つのUV吸収性化合物を含むが1重量%またはそれ未満の1またはそれを超えるフェノキサゾンおよび/またはフェノキサジン化合物、その前駆体もしくは誘導体、または前述のいずれかの塩の不飽和溶液を含まない組成物と比較して、200%よりも大きいUV吸光度の変化を示す。
【0014】
特定の実施形態では、少なくとも1つのUVフィルター材料(例えば、UV吸収性化合物またはUV散乱粒子)と、1重量%またはそれ未満の1またはそれを超えるフェノキサゾンおよび/またはフェノキサジン化合物、またはその前駆体もしくは誘導体の不飽和溶液とを含む本出願の組成物は、溶液として処方されてよい。特定のそのような実施形態では、少なくとも1つのUVフィルター材料(例えば、UV吸収性化合物またはUV散乱粒子)と、1重量%またはそれ未満の1またはそれを超えるフェノキサゾンおよび/またはフェノキサジン化合物、その前駆体もしくは誘導体、または前述のいずれかの塩の不飽和溶液は、溶液内に均一に分布している。他の実施形態では、少なくとも1つのUVフィルター材料(例えば、UV吸収性化合物またはUV散乱粒子)と、1重量%またはそれ未満の1またはそれを超えるフェノキサゾンおよび/またはフェノキサジン化合物、またはその前駆体もしくは誘導体の不飽和溶液とを含む本出願の組成物は、エマルジョンとして処方されてよい。特定のそのような実施形態では、1またはそれを超えるフェノキサゾンおよび/またはフェノキサジン化合物、またはその前駆体もしくは誘導体の不飽和溶液は、エマルジョンの溶液相の可溶性部分を含む。
【0015】
特定の実施形態では、少なくとも1つのUVフィルター材料(例えば、UV吸収性化合物またはUV散乱粒子)と、1重量%またはそれ未満の1またはそれを超えるフェノキサゾンおよび/またはフェノキサジン化合物、その前駆体もしくは誘導体、または前述のいずれかの塩の不飽和溶液とを含む本出願の組成物は、化粧品または皮膚科用製剤で用いるために、クリーム、ゲル、スプレー、またはローションとして処方されてよい。特定の実施形態では、本出願の組成物は、太陽紫外線からの防御を提供するように処方されている。特定の実施形態では、本出願の組成物は、青色光および赤外領域から防御するための広域スペクトルの防御を提供するように処方されている。特定の実施形態では、本出願の組成物は、少なくとも0.7またはそれを超えるUVA I対UV Bフィルター比を提供するように処方されている。1またはそれを超えるフェノキサゾンおよび/またはフェノキサジン化合物、またはその前駆体もしくは誘導体(例えば、キサントマチン、その誘導体もしくは前駆体、または前述のいずれかの塩、例えばキサントマチンアンモニウムなど)の不飽和溶液は、広範囲(UV-近赤外)の太陽光を吸収および散乱して、皮膚保護剤としての活性を増強することができる。特定の実施形態では、この組成物は、紫外線防御指数(「SPF」)が少なくとも15、30、60または100となるように処方される。特定の実施形態では、この組成物は、15~100のSPFを提供するように処方されている。特定の実施形態では、この組成物は、UVA防御指数(「UVA-PF」)が少なくとも15、30、60、または100となるように処方される。特定の実施形態では、この組成物は、15~100のUVA-PFを提供するように処方されている。特定の実施形態では、この組成物は、少なくとも0.7またはそれを超えるUVA I対UVフィルター比を提供するように処方されている。
【0016】
特定の実施形態では、本出願の組成物は、1またはそれを超える非イオン性ポリマー乳化剤をさらに含む。特定のそのような実施形態では、1またはそれを超える非イオン性ポリマー乳化剤は、セチルリン酸カリウム、ジステアリン酸PEG-150、セテアリルアルコール、カプリル酸/カプリン酸トリグリセリド、およびステアリン酸グリセリルから選択される。
【0017】
特定の実施形態では、本出願の組成物は、少なくとも1つの追加の抗酸化化合物をさらに含む。特定のそのような実施形態では、少なくとも1つの追加の抗酸化化合物は、アルブチン、BHA、BHT、コウジ酸、ヒドロキシアニソール、ヒドロキノン、t-ブチルヒドロキノン、トコフェロール、ノルジヒドログアヤレチン酸、ロスマリン酸、トロロックス、ゴシポール(goosypol)、フラボン、フラバノン、イソフラボン、フラバノール、プロトカテク酸、レゾルシル酸、没食子酸、コーヒー酸、フェルラ酸、クロロゲン酸、アスコルビン酸、パルミチン酸アスコルビル、カロテノイド、システイン塩酸塩、ジチオトレイトール、グルタチオン、チオグリコール酸、チオジプロピオン酸、αリポ酸、および/またはキサンチンのうちの1つまたは複数を含む。特定の実施形態では、1またはそれを超えるフェノキサゾンおよび/またはフェノキサジン化合物、その前駆体もしくは誘導体、または前述のいずれかの塩(例えば、キサントマチン、その誘導体もしくは前駆体、またはキサントマチンアンモニウムなどの前述のいずれか1つの塩)の不飽和溶液は、組成物中で抗酸化化合物として機能する。特定の実施形態では、少なくとも1つの追加の抗酸化化合物は、0.1~5重量%で存在する。特定の実施形態では、少なくとも1つの追加の抗酸化化合物は、0.1~1重量%で存在する。
【0018】
本出願の組成物の特定の実施形態では、本出願の組成物は、1またはそれを超える抗ラジカル化合物をさらに含む。特定のそのような実施形態では、抗ラジカル化合物は、最終製剤中に約0.1~15重量%、0.1~1重量%、1~10重量%、または6~8重量%の量で存在する。特定の実施形態では、抗ラジカル化合物は、最終製剤中に約0.1重量%、0.5重量%、1重量%、6重量%、8重量%、10重量%、15重量%の量で、または任意の他の適切な量で存在する。
【0019】
本出願の組成物の特定の実施形態では、少なくとも1つのUVフィルター材料(例えば、UV吸収性化合物またはUV散乱粒子)は、0.1~15重量%、0.1~5重量%、0.1~1重量%の量で存在する。特定の実施形態では、少なくとも1つのUVフィルター材料(例えば、UV吸収性化合物またはUV散乱粒子)は、0.1重量%、0.5重量%、1重量%、6重量%、8重量%、10重量%、15重量%の量、または任意の他の適切な量で存在する。特定の実施形態では、UVフィルター材料(例えば、UV吸収性化合物またはUV散乱粒子)は、FDAに承認されたUVフィルターまたは別のUVフィルター化合物を含む。特定のこのような実施形態では、UV吸収性化合物は、1またはそれを超えるアボベンゾン、オキシベンゾン、オキシベンゾンシノキサート、ホモサレート、オクチサレート、オクチノキサート、オクトクリレン、および/またはトロラミンサリチル酸を含む。他の実施形態では、UV散乱粒子は、二酸化チタンまたは二酸化亜鉛を含む。
【0020】
本出願の組成物の特定の実施形態では、この組成物は、0.1~1重量%のフェノキサゾンおよび/またはフェノキサジン化合物、その前駆体もしくは誘導体、または前述のいずれかの塩(例えば、キサントマチン、その前駆体もしくは誘導体、またはキサントマチンアンモニウムなどの前述のいずれか1つの塩)を含む。本出願の組成物の特定の実施形態では、この組成物は、0.01~0.1重量%のフェノキサゾンおよび/またはフェノキサジン化合物、その前駆体もしくは誘導体、または前述のいずれかの塩(例えば、キサントマチン、その前駆体もしくは誘導体、またはキサントマチンアンモニウムなどの前述のいずれか1つの塩)を含む。本出願の組成物の特定の実施形態では、この組成物は、0.01~0.05重量%のフェノキサゾンおよび/またはフェノキサジン化合物、その前駆体もしくは誘導体、または前述のいずれかの塩(例えば、キサントマチン、その前駆体もしくは誘導体、またはキサントマチンアンモニウムなどの前述のいずれか1つの塩)を含む。特定の実施形態では、1またはそれを超えるフェノキサゾンおよび/またはフェノキサジン化合物、その前駆体もしくは誘導体、または前述のいずれかの塩(例えば、キサントマチン、その誘導体もしくは前駆体、またはキサントマチンアンモニウムなどの前述のいずれか1つの塩)の不飽和溶液は、最終製剤中に約0.01重量%、0.03重量%、0.05重量%、0.1重量%、0.5重量%、または1重量%の量で存在する。
【0021】
本出願は、少なくとも1つのUVフィルター材料(例えば、UV吸収性化合物またはUV散乱粒子)を含む組成物のSPFを維持する方法であって、1重量%またはそれ未満の1またはそれを超えるフェノキサゾンおよび/またはフェノキサジン化合物、その前駆体もしくは誘導体、または前述のいずれかの塩を含む不飽和溶液を組成物に添加して最終化粧品製剤を提供することを含む方法を提供する。特定の実施形態では、SPFは、少なくとも1週間、少なくとも2週間、または少なくとも3週間維持される。
【0022】
本出願はさらに、少なくとも1つのUVフィルター材料(例えば、UV吸収性化合物またはUV散乱粒子)を含む組成物のSPFを高める方法であって、1重量%またはそれ未満の1またはそれを超えるフェノキサゾンおよび/またはフェノキサジン化合物、その前駆体もしくは誘導体、または前述のいずれかの塩を含む不飽和溶液を組成物に添加して最終化粧品製剤を提供することを含む方法を提供する。特定の実施形態では、少なくとも1つのUVフィルター材料(例えば、UV吸収性化合物またはUV散乱粒子)と、1重量%またはそれ未満の1またはそれを超えるフェノキサゾンおよび/またはフェノキサジン化合物、またはその前駆体もしくは誘導体、または前述のいずれかの塩の不飽和溶液は、一緒に相乗効果を示す。特定の実施形態では、この組成物は、少なくとも1つのUVフィルター材料(例えば、UV吸収性化合物またはUV散乱粒子)を含むが1重量%またはそれ未満の1またはそれを超えるフェノキサゾンおよび/またはフェノキサジン化合物、その前駆体もしくは誘導体、または前述のいずれかの塩の不飽和溶液を含まない組成物と比較して、照射前のSPFの増加が10%よりも大きい。特定の実施形態では、この組成物は、少なくとも1つのUVフィルター材料(例えば、UV吸収性化合物またはUV散乱粒子)を含むが1重量%またはそれ未満の1またはそれを超えるフェノキサゾンおよび/またはフェノキサジン化合物、その前駆体もしくは誘導体、または前述のいずれかの塩の不飽和溶液を含まない組成物と比較して、照射後のSPFの増加が10%よりも大きい。
【0023】
本出願の方法の特定の実施形態では、1またはそれを超えるフェノキサゾンおよび/またはフェノキサジン化合物、その前駆体もしくは誘導体、または前述のいずれかの塩は、キサントマチン、脱炭酸型キサントマチン、非環化キサントマチン、オマチンD、ジヒドロキシ-キサントマチン、またはロドマチン、またはその前駆体もしくは誘導体、または前述のいずれかの塩を含む。特定のそのような実施形態では、1またはそれを超えるフェノキサゾンおよび/またはフェノキサジン化合物、その前駆体もしくは誘導体、または前述のいずれかの塩は、キサントマチンまたはその塩を含む。本出願の方法の特定の実施形態では、1またはそれを超えるフェノキサゾンおよび/またはフェノキサジン化合物、その前駆体もしくは誘導体、または前述のいずれかの塩は、最終化粧品製剤において0.01~0.1重量%を構成する。本出願の方法の特定の実施形態では、1またはそれを超えるフェノキサゾンおよび/またはフェノキサジン化合物、その前駆体もしくは誘導体、または前述のいずれかの塩は、最終化粧品製剤において0.01重量%を構成する。本出願の方法の特定の実施形態では、1またはそれを超えるフェノキサゾンおよび/またはフェノキサジン化合物、その前駆体もしくは誘導体、または前述のいずれかの塩は、最終化粧品製剤において0.03重量%を構成する。
【0024】
本出願の方法の特定の実施形態では、UVフィルター材料は、UV吸収性化合物を含む。特定のこのような実施形態では、UV吸収性化合物は、アボベンゾン、オキシベンゾン、オキシベンゾンシノキサート、ホモサレート、オクチサレート、オクチノキサート、オクトクリレン、および/またはトロラミンサリチル酸のうちの1つである。特定の実施形態では、UVフィルター材料は、UV散乱粒子を含む。特定のそのような実施形態では、UV散乱粒子は、二酸化チタンまたは酸化亜鉛を含む。
【0025】
本出願はさらに、ビタミンE類似体を含む抗酸化剤組成物と、1またはそれを超えるフェノキサゾンおよび/またはフェノキサジン化合物、その前駆体もしくは誘導体、または前述のいずれかの塩の不飽和溶液を提供する。特定のそのような実施形態では、1またはそれを超えるフェノキサゾンおよび/またはフェノキサジン化合物、その前駆体もしくは誘導体、または前述のいずれかの塩は、キサントマチン、脱炭酸型キサントマチン、非環化キサントマチン、オマチンD、ジヒドロキシ-キサントマチン、ロドマチン、またはその前駆体もしくは誘導体、またはキサントマチンなどの前述のいずれかの塩、またはその塩を含む。特定の実施形態では、この組成物は、ビタミンE類似体単独を含む組成物よりも長く抗酸化剤として機能する。特定の実施形態では、ビタミンE類似体と、1またはそれを超えるフェノキサゾンおよび/またはフェノキサジン化合物、その前駆体もしくは誘導体、または前述のいずれかの塩(例えば、キサントマチン、その前駆体もしくは誘導体、またはキサントマチンアンモニウムなどの前述のいずれか1つの塩)は、約1:1のモル比で組成物中に存在する。特定の実施形態では、不飽和溶液の1またはそれを超えるフェノキサゾンおよび/またはフェノキサジン化合物、その前駆体もしくは誘導体、または前述のいずれかの塩(例えば、キサントマチン、その前駆体もしくは誘導体、またはキサントマチンアンモニウムなどの前述のいずれか1つの塩)は、約0.01~10重量%の間の量、特に0.01~1重量%の間、1~5重量%の間、1~10重量%の間、または任意の他の適切な量で存在する。特定の実施形態では、不飽和溶液の1またはそれを超えるフェノキサゾンおよび/またはフェノキサジン化合物、その前駆体もしくは誘導体、または前述のいずれかの塩(例えば、キサントマチン、その誘導体もしくは前駆体、またはキサントマチンアンモニウムなどの前述のいずれか1つの塩)の不飽和溶液は、約50重量%の量で存在する。特定の実施形態では、不飽和溶液の1またはそれを超えるフェノキサゾンおよび/またはフェノキサジン化合物、その前駆体もしくは誘導体、または前述のいずれかの塩(例えば、キサントマチン、その誘導体もしくは前駆体、またはキサントマチンアンモニウムなどの前述のいずれか1つの塩)の不飽和溶液は、約50重量%または最大75重量%の量で存在する。特定の実施形態では、ビタミンE類似体はトロロックスである。
【0026】
本出願は、アスコルビン酸と、1またはそれを超えるフェノキサゾンおよび/またはフェノキサジン化合物、その前駆体もしくは誘導体、または前述のいずれかの塩(例えば、キサントマチン、その前駆体もしくは誘導体、またはキサントマチンアンモニウムなどの前述のいずれか1つの塩)の不飽和溶液を含む抗酸化剤組成物を提供する。特定の実施形態では、この組成物は、アスコルビン酸単独を含む組成物よりも長く抗酸化剤として機能する。特定の実施形態では、1またはそれを超えるフェノキサゾンおよび/またはフェノキサジン化合物、その前駆体もしくは誘導体、または前述のいずれかの塩は、キサントマチン、脱炭酸型キサントマチン、非環化キサントマチン、オマチンD、ジヒドロキシ-キサントマチン、ロドマチン、またはその前駆体もしくは誘導体、またはキサントマチンなどの前述のいずれかの塩、またはその塩を含む。特定の実施形態では、アスコルビン酸と、不飽和溶液の1またはそれを超えるフェノキサゾンおよび/またはフェノキサジン化合物、その前駆体もしくは誘導体、または前述のいずれかの塩(例えば、キサントマチン、その誘導体もしくは前駆体、またはキサントマチンアンモニウムなどの前述のいずれか1つの塩)は、約1:1の比で存在する。特定の実施形態では、不飽和溶液の1またはそれを超えるフェノキサゾンおよび/またはフェノキサジン化合物、その前駆体もしくは誘導体、または前述のいずれかの塩(例えば、キサントマチン、その前駆体もしくは誘導体、またはキサントマチンアンモニウムなどの前述のいずれか1つの塩)は、最終製剤中に約0.01~10重量%の間の量、特に約0.01~1重量%の間、約1~5重量%の間、約1~10重量%の間、または任意の他の適切な量で存在する。特定の実施形態では、不飽和溶液の1またはそれを超えるフェノキサゾンおよび/またはフェノキサジン化合物、その前駆体もしくは誘導体、または前述のいずれかの塩(例えば、キサントマチン、その誘導体もしくは前駆体、またはキサントマチンアンモニウムなどの前述のいずれか1つの塩)の不飽和溶液は、最終製剤中に約50重量%の量で存在する。
【0027】
1またはそれを超えるフェノキサゾンおよび/またはフェノキサジン化合物、その前駆体もしくは誘導体、または前述のいずれかの塩(例えば、キサントマチン、その前駆体もしくは誘導体、またはキサントマチンアンモニウムなどの前述のいずれか1つの塩)の不飽和溶液を、皮膚科用製剤、特にサンスクリーン剤および顔用保湿剤などの日光防御用製剤に統合することによって、従来の化学的および物理的なUVフィルターに関連する全身毒性なしに防御の強化を達成することができる。1またはそれを超えるフェノキサゾンおよび/またはフェノキサジン化合物、その前駆体もしくは誘導体、または前述のいずれかの塩(例えば、キサントマチン、その前駆体もしくは誘導体、またはキサントマチンアンモニウムなどの前述のいずれか1つの塩)の不飽和溶液を含む組成物は、サンケア製品製剤においてより安全でより効果的な広域スペクトルの防御を提供し、製剤の有効性を延長する。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1図1は、トロロックス:キサントマチンの1:1の組み合わせの抗酸化特性と比較した、様々な濃度のトロロックスの抗酸化特性を示す。
【0029】
図2図2は、アスコルビン酸:キサントマチンの1:1の組み合わせの抗酸化特性と比較した、様々な濃度のアスコルビン酸の抗酸化特性を示す。
【0030】
図3図3は、様々な濃度のキサントマチンの抗酸化特性を示す。
【0031】
図4図4Aは、1日目のオキシベンゾン単独と比較した、キサントマチンとオキシベンゾンとの組合せのUV吸収を示す。図4Bは、16日目のオキシベンゾン単独と比較した、キサントマチンとオキシベンゾンとの組合せのUV吸収を示す。
【0032】
図5図5Aは、1日目のアボベンゾン単独と比較した、キサントマチンとアボベンゾンとの組合せのUV吸収を示す。図5Bは、16日目のアボベンゾン単独と比較した、キサントマチンとアボベンゾンとの組合せのUV吸収を示す。
【0033】
図6図6Aは、1日目のオクチサレートおよびホモサレート単独と比較した、キサントマチンとオクチサレートおよびホモサレートとの組合せ(上の2本の線)のUV吸収を示す。図6Bは、16日目のオクチサレートおよびホモサレート単独と比較した、キサントマチンとオクチサレートおよびホモサレートとの組合せ(上の2本の線)のUV吸収を示す。
【0034】
図7図7Aは、1日目のオクチノキサート単独と比較した、キサントマチンとオクチノキサートとの組合せのUV吸収を示す。図7Bは、16日目のオクチノキサート単独と比較した、キサントマチンとオクチノキサートとの組合せのUV吸収を示す。
【0035】
図8図8Aは、1日目のオクトクリレン単独と比較した、キサントマチンとオクトクリレンとの組合せのUV吸収を示す。図8Bは、16日目のオクトクリレン単独と比較した、キサントマチンとオクトクリレンとの組合せのUV吸収を示す。
【0036】
図9図9は、オクトノキサートの単独でのUV吸収、およびアボベンゾンまたはキサントマチンと組み合わせたUV吸収を示す。
【0037】
図10図10は、アボベンゾンの単独でのUV吸収、およびキサントマチンと組み合わせたオクトノキサートのUV吸収を示す。
【0038】
図11図11は、オキシベンゾンの単独でのUV吸収、およびアボベンゾンまたはキサントマチンと組み合わせたUV吸収を示す。
【0039】
図12図12は、化学的サンスクリーン剤サンプルの照射前(黒色バー)および照射後(模様付きバー)のSPFの測定結果を示す。
【0040】
図13図13は、ミネラルサンスクリーン剤サンプルの照射前(黒色バー)および照射後(模様付きバー)のSPFの測定結果を示す。
【0041】
図14図14は、キサントマチンアンモニウムの吸光度能力を示す。
【0042】
図15図15は、様々なFDA承認の有機UVフィルターと組み合わせたキサントマチンアンモニウムの吸光度能力を示す。
【0043】
図16図16は、様々なFDA承認の有機UVフィルターと組み合わせたキサントマチンアンモニウムの吸光度能力を示す。
【0044】
図17図17は、UVA光への曝露ありおよび曝露なしのキサントマチンのインビトロ光毒性測定を示す。図17Aは、様々な濃度のキサントマチンの細胞生存率を示す。図17Bは、様々な濃度の陽性対照、クロルプロマジンの細胞生存率を示す。
【0045】
図18図18は、は、ビタミンE、ビタミンC、およびキサントマチンアンモニウム(Xa)の最高濃度(40uM)条件での曲線下面積(AUC)計算を示す。
【0046】
図19図19は、同じ濃度でアッセイした場合の、溶液中のビタミンCと比較した、溶液中のキサントマチンアンモニウムの半減期測定値を示す。
【0047】
図20図20は、単独で、またはキサントマチンアンモニウム(Xa)と組み合わせて測定された、ビタミンCの活性を示す。
【0048】
図21図21は、単独で、またはキサントマチンアンモニウム(Xa)と組み合わせて測定された、ビタミンEの活性を示す。
【発明を実施するための形態】
【0049】
詳細な説明
キサントマチンは、節足動物および頭足類に存在する自然起源の生体色素であり、単離または合成することができ、化学的サンスクリーン剤のUVフィルター性能を安定化し、場合によってはブーストまたは増強する抗酸化剤として製剤に使用することができる。バイオインスパイアード分子は、サンケア製品に既存のUVフィルターおよび抗酸化化合物を増強およびブーストするため、または機能的な代替UVAフィルターとして使用される従来の化学物質に代わる、安全で細胞適合性のある分子である。本明細書に開示される組成物は、1またはそれを超えるフェノキサゾンおよび/またはフェノキサジン化合物、その前駆体もしくは誘導体、または前述のいずれかの塩(例えば、キサントマチン、その前駆体もしくは誘導体、またはキサントマチンアンモニウムなどの前述のいずれか1つの塩)の不飽和溶液を、紫外線防御または他の皮膚科用防御のための皮膚科用防御組成物中の有効成分として使用し、健康に有害な結果をもたらす可能性があるそのような組成物中で従来使用されている化学物質の、より安全でより効果的な代替物を提供する。
【0050】
フェノキサゾンおよび/またはフェノキサジン化合物、その前駆体または誘導体、または前述のいずれかの塩(例えば キサントマチン、脱炭酸型キサントマチン、非環化キサントマチン、オマチンD、ジヒドロキシ-キサントマチン、またはロドマチン、その前駆体または誘導体、または前述のいずれかの塩)を、不飽和溶液中で独立した凝集していない単位として製剤化することは、多くの驚くべき利点がある。例えば、UVフィルターの性能をブーストすることができる。添付の図面を参照して例示のセクションに記載されているように、予備データは、キサントマチンまたはその塩の不飽和溶液が、既知の化学的UVフィルターの光安定性を増加させるか、そうでなければUV吸収特性を安定化することができるという知見を裏付けている。キサントマチンまたはその塩の不飽和溶液は、その他の唯一の公知のUV-Aフィルターであるアボベンゾンの性能と完全に置き換えることができるか、またはそれと競合することができる。キサントマチンまたはその塩の不飽和溶液は、抗酸化特性および経時的安定性に関して既知の抗酸化剤と比較して改善された性能を提供することができる。
【0051】
本明細書に開示される組成物は、1またはそれを超えるフェノキサゾンおよび/またはフェノキサジン化合物、その前駆体もしくは誘導体、または前述のいずれかの塩(例えば、キサントマチン、その前駆体もしくは誘導体、またはキサントマチンアンモニウムなどの前述のいずれか1つの塩)の不飽和溶液を、エマルジョン(クリームなど)の可溶性部分または溶液相として、あるいは懸濁液(エアゾールスプレーなど)内に均一に分布したものとして含む。
【0052】
凝集していない非粒子形態の1またはそれを超えるフェノキサゾンおよび/またはフェノキサジン化合物、その前駆体もしくは誘導体、または前述のいずれかの塩(例えば、キサントマチン、その前駆体もしくは誘導体、またはキサントマチンアンモニウムなどの前述のいずれか1つの塩)の不飽和溶液のこれらの機能のそれぞれを、順番に簡単に考察する。
【0053】
一般的な使用
本出願は、1重量%またはそれ未満の1またはそれを超えるフェノキサゾンおよび/またはフェノキサジン化合物、その前駆体もしくは誘導体、または前述のいずれかの塩(例えば、キサントマチン、その前駆体もしくは誘導体、またはキサントマチンアンモニウムなどの前述のいずれか1つの塩)の不飽和溶液と、少なくとも1つのUVフィルター材料(例えば、UV吸収性化合物またはUV散乱粒子)を含む組成物を提供する。特定の実施形態では、この組成物は、広域スペクトルの防御を提供する際に使用するためのものである。特定の実施形態では、フェノキサゾンおよび/またはフェノキサジン化合物は、例えば、キサントマチン、脱炭酸型キサントマチン、非環化キサントマチン、オマチンD、ジヒドロキシ-キサントマチン、ロドマチン、その誘導体もしくは前駆体、または前述のいずれかの塩を含む。特定の実施形態では、フェノキサゾンおよび/またはフェノキサジン化合物、その前駆体もしくは誘導体、または前述のいずれかの塩は、約1.0重量%、0.9重量%、0.8重量%、0.7重量%、0.6重量%、0.5重量%、0.4重量%、0.3重量%、0.1重量%、0.05重量%、または0.01重量%未満の量で組成物中に存在する。特定の実施形態では、フェノキサゾンおよび/またはフェノキサジン化合物、その前駆体もしくは誘導体、または前述のいずれかの塩は、約0.1~1重量%、0.01~0.1重量%、0.01~0.05重量%の範囲で、または任意の他の適切な量で組成物中に存在する。特定の実施形態では、UVフィルター材料(例えば、UV吸収性化合物またはUV散乱粒子)は、約0.1重量%、1重量%、5重量%、10重量%、15重量%、20重量%、25重量%、30重量%、35重量%、または40重量%を超える量または他の適切な量で組成物中に存在する。一部の実施形態では、UVフィルター材料(例えば、UV吸収性化合物またはUV散乱粒子)は、約0.1~40重量%、0.1~35重量%、0.1~30重量%、0.1~25重量%、0.1~20重量%、0.1~15重量%、0.1~5重量%、または0.1~1重量%の範囲で最終製剤中に存在する。
【0054】
本出願は、0.1~1重量%の1またはそれを超えるフェノキサゾンおよび/またはフェノキサジン化合物、その前駆体もしくは誘導体、または前述のいずれかの塩(例えば、キサントマチン、その前駆体もしくは誘導体、またはキサントマチンアンモニウムなどの前述のいずれか1つの塩)の不飽和溶液と、0.1~40重量%のUVフィルター材料(例えば、UV吸収性化合物またはUV散乱粒子)を含む組成物を提供する。特定の実施形態では、この組成物はSPFが約30~100、UVA-PFが約30~100である。
【0055】
本出願の組成物の特定の実施形態では、少なくとも1つのUVフィルター材料(例えば、UV吸収性化合物またはUV散乱粒子)と、1重量%またはそれ未満の1またはそれを超えるフェノキサゾンおよび/またはフェノキサジン化合物、またはその前駆体もしくは誘導体、または前述のいずれかの塩の不飽和溶液は、一緒に相乗効果を示す。2またはそれを超える成分の混合物の有効性(例えば、SPFまたはUV吸収特性)が各成分の有効性を超える場合、それは「相乗効果」と呼ばれる。特定の実施形態では、少なくとも1つのUVフィルター材料(例えば、UV吸収性化合物またはUV散乱粒子)と、1重量%またはそれ未満の1またはそれを超えるフェノキサゾンおよび/またはフェノキサジン化合物、その前駆体もしくは誘導体、または前述のいずれかの塩の不飽和溶液は、一緒に、少なくとも1つのUVフィルター材料(例えば、UV吸収性化合物またはUV散乱粒子)と、1重量%またはそれ未満の1またはそれを超えるフェノキサゾンおよび/またはフェノキサジン化合物、その前駆体もしくは誘導体、または前述のいずれかの塩の不飽和溶液との組合せの予想を超える有効性(例えば、SPFまたはUV吸収および/またはUV散乱特性)を提供する。特定のこのような実施形態では、この組合せは、予想される有効性(例えば、SPFまたはUV吸収および/または散乱特性)よりも少なくとも5%、10%、15%、20%、25%、または30%高い有効性を提供する。
【0056】
特定の実施形態では、この組成物は、少なくとも1つのUVフィルター材料(例えば、UV吸収性化合物またはUV散乱粒子)を含むが1重量%またはそれ未満の1またはそれを超えるフェノキサゾンおよび/またはフェノキサジン化合物、その前駆体もしくは誘導体、または前述のいずれかの塩の不飽和溶液を含まない組成物よりも照射前のSPFが大きい。特定のそのような実施形態では、組成物は、少なくとも1つのUVフィルター材料(例えば、UV吸収性化合物またはUV散乱粒子)を含むが1重量%またはそれ未満の1またはそれを超えるフェノキサゾンおよび/またはフェノキサジン化合物、その前駆体もしくは誘導体、または前述のいずれかの塩の不飽和溶液を含まない組成物と比較して、照射前のSPFの1%またはそれを超える、5%またはそれを超える、10%またはそれを超える、15%またはそれを超える、20%またはそれを超える、25%またはそれを超える、30%またはそれを超える、35%またはそれを超える、40%またはそれを超える、45%またはそれを超える、または50%またはそれを超える増加を有する。特定の実施形態では、この組成物は、少なくとも1つのUVフィルター材料(例えば、UV吸収性化合物またはUV散乱粒子)を含むが1重量%またはそれ未満の1またはそれを超えるフェノキサゾンおよび/またはフェノキサジン化合物、その前駆体もしくは誘導体、または前述のいずれかの塩の不飽和溶液を含まない組成物よりも照射後のSPFが大きい。特定のそのような実施形態では、組成物は、少なくとも1つのUVフィルター材料(例えば、UV吸収性化合物またはUV散乱粒子)を含むが1重量%またはそれ未満の1またはそれを超えるフェノキサゾンおよび/またはフェノキサジン化合物、その前駆体もしくは誘導体、または前述のいずれかの塩の不飽和溶液を含まない組成物と比較して、照射後のSPFの1%またはそれを超える、5%またはそれを超える、10%またはそれを超える、15%またはそれを超える、20%またはそれを超える、25%またはそれを超える、30%またはそれを超える、35%またはそれを超える、40%またはそれを超える、45%またはそれを超える、または50%またはそれを超える増加を有する。特定の実施形態では、この組成物は、少なくとも1つのUVフィルター材料(例えば、UV吸収性化合物またはUV散乱粒子)を含むが1重量%またはそれ未満の1またはそれを超えるフェノキサゾンおよび/またはフェノキサジン化合物、その前駆体もしくは誘導体、または前述のいずれかの塩の不飽和溶液を含まない組成物よりも照射前および照射後のSPFが大きい。
【0057】
特定の実施形態では、組成物のSPFは、少なくとも1日間、少なくとも2日間、少なくとも3日間、少なくとも4日間、少なくとも5日間、少なくとも6日間、少なくとも1週間、少なくとも2週間、少なくとも3週間、少なくとも4週間、または少なくとも5週間維持される。特定の実施形態では、組成物のSPFは、少なくとも1週間維持される。特定の実施形態では、組成物のSPFは、少なくとも2週間維持される。特定の実施形態では、組成物のSPFは、少なくとも3週間維持される。前述の特定の実施形態では、SPFは照射前のSPFである。
【0058】
特定の実施形態では、この組成物は、少なくとも1つのUVフィルター材料(例えば、UV吸収性化合物またはUV散乱粒子)を含むが1重量%またはそれ未満の1またはそれを超えるフェノキサゾンおよび/またはフェノキサジン化合物、その前駆体もしくは誘導体、または前述のいずれかの塩の不飽和溶液を含まない組成物よりも高いUV吸光度を示す。特定のそのような実施形態では、この組成物は、少なくとも1つのUVフィルター材料(例えば、UV吸収性化合物またはUV散乱粒子)を含むが1重量%またはそれ未満の1またはそれを超えるフェノキサゾンおよび/またはフェノキサジン化合物、その前駆体もしくは誘導体、または前述のいずれかの塩の不飽和溶液を含まない組成物と比較して、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、100%、125%、150%、175%、200%、225%、または250%のUV吸光度の増加を示す。
【0059】
特定の実施形態では、1またはそれを超えるUVフィルター材料は、1またはそれを超える化学的サンブロック剤などの1またはそれを超えるUV吸収性化合物を含む。特定の実施形態では、1またはそれを超えるUVフィルター材料は、1またはそれを超える物理的サンブロック剤などの1またはそれを超えるUV散乱性化合物を含む。特定のそのような実施形態では、1またはそれを超えるUV吸収性化合物は、アボベンゾン、オキシベンゾン、オキシベンゾンシノキサート、ホモサレート、オクチサレート、オクチノキサート、オクトクリレン、およびトロラミンサリチル酸、ベモトリジノール、およびビソクトリゾールから選択される。特定の実施形態では、UVフィルター材料は、化学的および物理的なサンブロック剤を含む。使用することができる化学的サンブロック剤の非限定的な例としては、ベモトリジノール(チノソーブS)、ビソクトリゾール(チノソーブM)、パラ-アミノ安息香酸(PABA)、PABAエステル(グリセリルPABA、アミルジメチルPABAおよびオクチルジメチルPABA)、ブチルPABA、エチルPABA、エカムスル、エチルジヒドロキシプロピルPABA、ベンゾフェノン(オキシベンゾン、スリソベンゾン、ベンゾフェノン、およびベンゾフェノン-1~12)、桂皮酸塩(メトキシ桂皮酸オクチル、P-メトキシ桂皮酸イソアミル、メトキシ桂皮酸オクチル、シノキサート、桂皮酸ジイソプロピルメチル、DEA-メトキシ桂皮酸、ジイソプロピル桂皮酸エチル、ジメトキシ桂皮酸オクタン酸グリセリルおよびメトキシ桂皮酸エチル)、シンナメートエステル、サリチル酸塩(サリチル酸ホモメチル、サリチル酸ベンジル、サリチル酸グリコール、サリチル酸イソプロピルベンジルなど)、アントラニル酸塩、ウロカニン酸エチル、ホモサレート、オクチサレート、ジベンゾイルメタン誘導体(例えば、アボベンゾン)、オクトクリレン、オクチルトリアゾン、トリオレイン酸ジガロイル、アミノ安息香酸グリセリル、ローソンとジヒドロキシアセトン、エチルヘキシルトリアゾン、ジオクチルブタミドトリアゾン、ベンジリデンマロネートポリシロキサン、テレフタリリデンジカンフルスルホン酸、フェニルジベンズイミダゾールテトラスルホン酸二ナトリウム、ジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシル、ビスジエチルアミノヒドロキシベンゾイルベンゾエート、ビスベンゾオキサゾイルフェニルエチルヘキシルイミノトリアジン、ドロメトリゾールトリシロキサン、メチレンビス-ベンゾトリアゾリルテトラメチルブチルフェノール、およびビス-エチルヘキシルオキシフェノールメトキシフェニルトリアジン、4-メチルベンジリデンカンファー、および4-メトキシ桂皮酸イソペンチルが挙げられる。物理的サンブロック剤の非限定的な例としては、カオリン、タルク、ワセリンおよび金属酸化物(例えば、二酸化チタンおよび酸化亜鉛)が挙げられる。特定の実施形態では、UVフィルター材料(例えば、UV吸収性化合物またはUV散乱粒子)は、1重量%を超えて、2重量%を超えて、3重量%を超えて、4重量%を超えて、5重量%を超えて、10重量%を超えて、15重量%を超えて、20重量%を超えて、25重量%を超えて、30重量%を超えて、35重量%を超えて、40重量%を超えて、45重量%を超えて、または50重量%を超えて組成物中に存在する。
【0060】
本出願の組成物は、溶液、懸濁液またはエマルジョンとして処方することができる。特定の実施形態では、1またはそれを超えるフェノキサゾンおよび/またはフェノキサジン化合物、その前駆体もしくは誘導体、または前述のいずれかの塩(例えば、キサントマチン、その前駆体もしくは誘導体、またはキサントマチンアンモニウムなどの前述のいずれか1つの塩)は、溶液、懸濁液またはエマルジョン内でUVフィルター材料(例えば、UV吸収性化合物またはUV散乱粒子)とともに分布している。特定のそのような実施形態では、分布は均一であってよい。特定の実施形態では、本出願の組成物は、クリーム、ゲル、スプレー、またはローションとして処方される。特定のそのような実施形態では、組成物は、化粧品または皮膚科用製剤で使用するためのものである。本出願の組成物は、太陽紫外線からの防御を提供するための局所使用に適している。
【0061】
本出願は、1重量%またはそれ未満の1またはそれを超えるフェノキサゾンおよび/またはフェノキサジン化合物、その前駆体もしくは誘導体、または前述のいずれかの塩(例えば、キサントマチン、その前駆体もしくは誘導体、またはキサントマチンアンモニウムなどの前述のいずれか1つの塩)の不飽和溶液と、0.1~40重量%のUVフィルター材料(例えば、UV吸収性化合物またはUV散乱粒子)とを含む化粧品または皮膚科用製剤を適用することを含む、太陽紫外線からの防御を提供する方法を提供する。特定の実施形態では、この組成物は、0.1~1重量%の1またはそれを超えるフェノキサゾンおよび/またはフェノキサジン化合物、その前駆体もしくは誘導体、または前述のいずれかの塩(例えば、キサントマチン、その誘導体もしくは前駆体、またはキサントマチンアンモニウムなどの前述のいずれか1つの塩)の不飽和溶液を含む。特定の実施形態では、この組成物は、10~40重量%のUVフィルター材料(例えば、UV吸収性化合物またはUV散乱粒子)を含む。特定の実施形態では、化粧品または皮膚科用製剤は局所投与用である。
【0062】
特定の実施形態では、本出願の組成物は、セチルリン酸カリウム、ジステアリン酸PEG-150、セテアリルアルコール、カプリル酸/カプリン酸トリグリセリド、およびステアリン酸グリセリルなどの非イオン性ポリマー乳化剤をさらに含む。
【0063】
特定の実施形態では、本出願の組成物は、紫外線防御を提供する。特定の実施形態では、組成物は、少なくとも約15、30、60、100のSPF、または他の適切な量の防御を提供する。特定の実施形態では、組成物中のフェノキサゾンおよび/またはフェノキサジン化合物、その前駆体もしくは誘導体、または前述のいずれかの塩(例えば、キサントマチン、その前駆体もしくは誘導体、またはキサントマチンアンモニウムなどの前述のいずれか1つの塩)の量を変更または調整して、特定のSPFを得てもよい。特定の実施形態では、組成物中のUVフィルター材料(例えば、UV吸収性化合物またはUV散乱粒子)の量を変更または調整して、特定のSPFを得てもよい。例えば、キサントマチンは385nmの臨界波長を有するが、FDA承認のUVフィルターは、臨界波長が少なくとも370nmであれば「広域スペクトル」と見なされる。したがって、不飽和溶液中のキサントマチンは、広域スペクトルUVフィルターとして機能することができる。キサントマチン製剤によって提供されるSPFは濃度によって変化するため、キサントマチンは調整可能なUVフィルターである。溶液中の0.03mMキサントマチン製剤は約1のSPFをもたらし、0.25mM濃度は約5のSPFをもたらし、1mM濃度は約20のSPFをもたらし、5mM濃度は約100のSPFをもたらすと予想される。特定の実施形態では、この組成物は、少なくとも15のUVA-PFを提供するように処方されている。例えば、組成物は、少なくとも15、30、60、100のUVA-PF、または任意の他の適切な量の防御を提供するように処方することができる。組成物中のフェノキサゾンおよび/またはフェノキサジン化合物、その前駆体もしくは誘導体、または前述のいずれかの塩(例えば、キサントマチン、その前駆体もしくは誘導体、またはキサントマチンアンモニウムなどの前述のいずれか1つの塩)および/またはUVフィルター材料(例えば、UV吸収性化合物またはUV散乱粒子)の量は、特定のSPFを得るために変更または調整されてよい。特定の実施形態では、この組成物は、広域スペクトルの防御を提供する。特定の実施形態では、この組成物は、少なくとも0.7またはそれを超えるUVA I対UVフィルター比を提供する。
【0064】
本出願の組成物の特定の実施形態では、フェノキサゾンおよび/またはフェノキサジン化合物、その前駆体もしくは誘導体、または前述のいずれかの塩(例えば、キサントマチン、その前駆体もしくは誘導体、またはキサントマチンアンモニウムなどの前述のいずれか1つの塩)の不飽和溶液は、その抗酸化特性に依存する。組成物中に存在するフェノキサゾンおよび/またはフェノキサジン化合物、その前駆体もしくは誘導体、または前述のいずれかの塩(例えば、キサントマチン、その前駆体もしくは誘導体、またはキサントマチンアンモニウムなどの前述のいずれか1つの塩)の量は、必要な抗酸化性能を達成するために、増加させるかまたは他の方法で調整することができる。特定の実施形態では、本出願の組成物は、さらなる抗酸化化合物を含んでよい。特定のそのような実施形態では、さらなる抗酸化化合物は、アルブチン、BHA、BHT、コウジ酸、ヒドロキシアニソール、ヒドロキノン、t-ブチルヒドロキノン、トコフェロール、ノルジヒドログアヤレチン酸、ロスマリン酸、トロロックス、ゴシポール(goosypol)、フラボン、フラバノン、イソフラボン、フラバノール、プロトカテク酸、レゾルシル酸、没食子酸、コーヒー酸、フェルラ酸、クロロゲン酸、アスコルビン酸、パルミチン酸アスコルビル、カロテノイド、システイン塩酸塩、ジチオトレイトール、グルタチオン、チオグリコール酸、チオジプロピオン酸、αリポ酸、および/またはキサンチンを含む。特定の実施形態では、さらなる抗酸化化合物は、アセチルシステイン、α-リポ酸、アルブチン、アスコルビン酸、アスコルビン酸ポリペプチド、ジパルミチン酸アスコルビル、メチルシラノールペクチン酸アスコルビル、パルミチン酸アスコルビル、ステアリン酸アスコルビル、BHA、BHT、t-ブチルヒドロキノン、コーヒー酸、カロテノイド、クロロゲン酸、システイン、システインHCl、イアミルヒドロキノン(diamyihydroquinone)、ジ-t-ブチルヒドロキノン、ジセチルチオジプロピオネート、ジオレイルトコフェリルメチルシラノール、アスコルビル硫酸二ナトリウム、ジステアリルチオジプロピオネート、ジトリデシルチオジプロピオネート、ドデシルガレート、エリソルビン酸、アスコルビン酸のエステル、フェルラ酸エチル、フェルラ酸、フラボン、フラバノン、フラバノール、没食子酸エステル、グルタチオン、ゴシポール(goosypol)、ヒドロキノン、ヒドロキシアニソール、イソフラボン、チオグリコール酸塩イソオクチル、ジチオトレイトール(ithiothreitol)、コウジ酸、アスコルビン酸マグネシウム、アスコルビルリン酸マグネシウム、アスコルビン酸メチルシラノール、緑茶またはブドウ種子抽出物などの天然植物抗酸化剤、ノルジヒドログアヤレチン酸、没食子酸オクチル、フェニルチオグリコール酸、アスコルビルトコフェリルリン酸カリウム、亜硫酸カリウム、没食子酸プロピル、プロトカテク酸、キノン、ロスマリン酸、アスコルビン酸ナトリウム、亜硫酸水素ナトリウム、エリソルビン酸ナトリウム、メタ重亜硫酸ナトリウム、亜硫酸ナトリウム、スーパーオキシドジスムターゼ、チオグリコール酸ナトリウム、ソルビチルフルフラール、チオジグリコール、チオジグリコールアミド、チオジグリコール酸、チオジプロピオン酸、チオグリコール酸、チオ乳酸、チオサリチル酸、トコフェレス-5、トコフェレス-10、トコフェレス-12、トコフェレス-18、トコフェレス-50、トコフェロール、トコフェルソラン、酢酸トコフェリル、リノール酸トコフェリル、ニコチン酸トコフェリル、コハク酸トコフェリル、亜リン酸トリス(ノニルフェニル)、トロロックス、およびキサンチンの1つまたは複数を含む。特定の実施形態では、さらなる抗酸化化合物は、0.1重量%、0.5重量%、1重量%、3重量%、5重量%を超える量、または任意の他の適切な量で組成物中に存在する。
【0065】
特定の実施形態では、本出願の組成物は、抗ラジカル化合物をさらに含む。特定のそのような実施形態では、抗ラジカル化合物は、最終製剤中に0.1重量%、1重量%、5重量%、6重量%、8重量%、10重量%を超える量で、または任意の他の適切な量で存在する。
【0066】
本出願はさらに、1またはそれを超えるフェノキサゾンおよび/またはフェノキサジン化合物、その前駆体もしくは誘導体、または前述のいずれかの塩(例えば、キサントマチン、その前駆体もしくは誘導体、またはキサントマチンアンモニウムなどの前述のいずれか1つの塩)の不飽和溶液と、UVフィルターまたは抗酸化成分を含む組成物を提供する。特定の実施形態では、1またはそれを超えるフェノキサゾンおよび/またはフェノキサジン化合物、その前駆体もしくは誘導体、または前述のいずれかの塩(例えば、キサントマチン、その前駆体もしくは誘導体、またはキサントマチンアンモニウムなどの前述のいずれか1つの塩)の不飽和溶液は、UVフィルターまたは抗酸化成分の性能を強化する。フェノキサゾンおよび/またはフェノキサジン化合物、その前駆体もしくは誘導体、または前述のいずれかの塩(例えば、キサントマチン、その前駆体もしくは誘導体、またはキサントマチンアンモニウムなどの前述のいずれか1つの塩)の不飽和溶液を、活性UVフィルターまたは抗酸化成分の組成物中に均一に分布させることによって、不飽和溶液は、UVフィルターまたは抗酸化成分のUVフィルターまたは抗酸化性能を向上させることができる。
【0067】
UVフィルター安定化剤
1重量%またはそれ未満の1またはそれを超えるフェノキサゾンおよび/またはフェノキサジン化合物、その前駆体もしくは誘導体、または前述のいずれかの塩(例えば、キサントマチン、その前駆体もしくは誘導体、またはキサントマチンアンモニウムなどの前述のいずれか1つの塩)の不飽和溶液は、活性UVフィルター材料(例えば、UV吸収性化合物またはUV散乱粒子)を含む組成物中に分布している場合に、独立した、関連のない安定化剤として作用することができる。したがって、本出願は、1重量%またはそれ未満の1またはそれを超えるフェノキサゾンおよび/またはフェノキサジン化合物、その前駆体もしくは誘導体、または前述のいずれかの塩(例えば、キサントマチン、その前駆体もしくは誘導体、またはキサントマチンアンモニウムなどの前述のいずれか1つの塩)の不飽和溶液と、UVフィルター材料(例えば、UV吸収性化合物またはUV散乱粒子)を含む組成物を提供し、該1またはそれを超えるフェノキサゾンおよび/またはフェノキサジン化合物、その前駆体もしくは誘導体、または前述のいずれかの塩(例えば、キサントマチン、その前駆体もしくは誘導体、またはキサントマチンアンモニウムなどの前述のいずれか1つの塩)は、UVフィルター材料(例えば、UV吸収性化合物またはUV散乱粒子)を安定させる。特定の実施形態では、最初のUV吸収能力の10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、または90%超が、UV吸収性化合物に対して少なくとも1週間、少なくとも2週間、または少なくとも3週間保持される。特定の実施形態では、最初のUV吸収能力の100%が、UV吸収性化合物に対して少なくとも1週間、少なくとも2週間、または少なくとも3週間保持される。特定の実施形態では、最初のUV散乱能力の10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、または90%超が、UV散乱粒子に対して少なくとも1週間、少なくとも2週間、または少なくとも3週間保持される。特定の実施形態では、最初のUV散乱能力の100%が、UV散乱粒子に対して少なくとも1週間、少なくとも2週間、または少なくとも3週間保持される。
【0068】
本出願はさらに、UVフィルター材料(例えば、UV吸収性化合物またはUV散乱粒子)を1重量%またはそれ未満の1またはそれを超えるフェノキサゾンおよび/またはフェノキサジン化合物、その前駆体もしくは誘導体、または前述のいずれかの塩(例えば、キサントマチン、その前駆体もしくは誘導体、またはキサントマチンアンモニウムなどの前述のいずれか1つの塩)の不飽和溶液と組み合わせることを含む、UVフィルター材料(例えば、UV吸収性化合物またはUV散乱粒子)を安定させる方法を提供する。特定の実施形態では、UVフィルター材料(例えば、UV吸収性化合物またはUV散乱粒子)の安定化は、UV吸収および/またはUV散乱能力の10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、または90%超を少なくとも1週間、少なくとも2週間、または少なくとも3週間保持することを含む。
【0069】
特定の実施形態では、UVフィルター材料(例えば、UV吸収性化合物またはUV散乱粒子)は、光不安定性化学的UVフィルター、例えばアボベンゾン、オキシベンゾン、オキシベンゾンシノキサート、ホモサレート、オクチサレート、オクチノキサート、オクトクリレン、および/またはトロラミンサリチル酸を含む。これらのUV光吸収化学的フィルターは、一般的に不安定であり、製剤中の1またはそれを超える化合物または材料による安定化が必要である。
【0070】
特定の実施形態では、フェノキサゾンおよび/またはフェノキサジン化合物、その前駆体もしくは誘導体、または前述のいずれかの塩(例えば、キサントマチン、その前駆体もしくは誘導体、またはキサントマチンアンモニウムなどの前述のいずれか1つの塩)は、組成物の約0.01~0.05重量%、0.1~1重量%の量で存在する。
【0071】
実施例および添付の図面に関して以下に記載されるように、凝集していないキサントマチンの存在は、周囲光および周囲温度に曝露された場合に、市販のUVフィルターのUVBおよびUVA安定性のブーストに寄与することが示された。キサントマチンの不飽和溶液の存在下での、この安定性のブーストは、ホモサレート、オクチサレート、オクトクリレン、オキシベンゾン、およびオクチノキサートを含む試験した全ての化学的フィルターで一貫していた。10~100%のUVフィルター保持率が数週間にわたって観察された。1またはそれを超えるフェノキサゾンおよび/またはフェノキサジン化合物、その前駆体もしくは誘導体、または前述のいずれかの塩(例えば、キサントマチン、その前駆体もしくは誘導体、またはキサントマチンアンモニウムなどの前述のいずれか1つの塩)の不飽和溶液を含む溶液は、模擬太陽光、または太陽光の存在下でUVフィルターの安定性を促進することもある。
【0072】
UV吸光度ブースター
1重量%またはそれ未満の1またはそれを超えるフェノキサゾンおよび/またはフェノキサジン化合物、その前駆体もしくは誘導体、または前述のいずれかの塩(例えば、キサントマチン、その前駆体もしくは誘導体、またはキサントマチンアンモニウムなどの前述のいずれか1つの塩)の不飽和溶液は、既知のUV吸収性化合物のUV吸光度ブースターとして使用することができる。したがって、本出願は、1重量%またはそれ未満の1またはそれを超えるフェノキサゾンおよび/またはフェノキサジン化合物、その前駆体もしくは誘導体、または前述のいずれかの塩(例えば、キサントマチン、その前駆体もしくは誘導体、またはキサントマチンアンモニウムなどの前述のいずれか1つの塩)の不飽和溶液と、活性UV吸収性化合物とを含む組成物を提供し、該1またはそれを超えるフェノキサゾンおよび/またはフェノキサジン化合物、その前駆体もしくは誘導体、または前述のいずれかの塩(例えば、キサントマチン、その前駆体もしくは誘導体、またはキサントマチンアンモニウムなどの前述のいずれか1つの塩)は、UV吸収性化合物のUV吸収特性を向上させる。特定の実施形態では、この組成物は、UV-B中のUV吸収性化合物のUV吸収特性を向上させる。特定の実施形態では、この組成物は、UV-A中のUV吸収性化合物のUV吸収特性を向上させる。特定の実施形態では、この組成物は、UV-AおよびUV-B中のUV吸収性化合物のUV吸収特性を向上させる。
【0073】
本出願は、UV吸収性化合物と、1重量%またはそれ未満の1またはそれを超えるフェノキサゾンおよび/またはフェノキサジン化合物、その前駆体もしくは誘導体、または前述のいずれかの塩(例えば、キサントマチン、その前駆体もしくは誘導体、またはキサントマチンアンモニウムなどの前述のいずれか1つの塩)の不飽和溶液とを組み合わせることを含む、UV吸収性化合物のUV吸収特性を向上させる方法をさらに提供する。
【0074】
特定の実施形態では、1またはそれを超えるフェノキサゾンおよび/またはフェノキサジン化合物、その前駆体もしくは誘導体、または前述のいずれかの塩は、キサントマチン、脱炭酸型キサントマチン、非環化キサントマチン、オマチンD、ジヒドロキシ-キサントマチン、ロドマチン、その前駆体もしくは誘導体、または前述のいずれかの塩を含む。特定の実施形態では、1またはそれを超えるフェノキサゾンおよび/またはフェノキサジン化合物、その前駆体もしくは誘導体、または前述のいずれかの塩は、組成物の0.01~0.03重量%、0.1~1重量%、または0.1~1重量%を構成する。特定のそのような実施形態では、1またはそれを超えるフェノキサゾンおよび/またはフェノキサジン化合物、その前駆体もしくは誘導体、または前述のいずれかの塩(例えば、キサントマチン、その前駆体もしくは誘導体、またはキサントマチンアンモニウムなどの前述のいずれか1つの塩)は、組成物の0.03重量%を構成する。
【0075】
特定の実施形態では、UV吸収性化合物は、アボベンゾン、オキシベンゾン、ホモサレート、オクチサレート、オクチノキサート、オクトクリレン、オキシベンゾンシノキサート、および/またはトロラミンサリチル酸を含む。特定の実施形態では、UV吸収性化合物は、二酸化チタンまたは酸化亜鉛を含む。
【0076】
0.01~0.03重量%、0.1~1重量%、0.1~1重量%、または1~10重量%の範囲の濃度のキサントマチンの不飽和溶液を単純に添加するだけで、市販の化学的UVフィルターのUV吸収特性の大幅なスペクトル増強を誘導することができる。一例では、約0.03重量%のキサントマチンで組成物に組み込まれたキサントマチンの不飽和溶液は、アボベンゾンの活性をUV-B(300nm)で約250%、UV-A(360nm)で約9%高めることができる。これは、アボベンゾンのUV-B性能をそれぞれ229%および393%ブーストするだけであるアボベンゾンとオキシベンゾン、またはアボベンゾンとオクチノキサートの活性とは異なる。(実施例および添付の図面を参照されたい)。UV-A性能を見ると、オキシベンゾンおよびオクチノキサートは、アボベンゾンの性能をそれぞれ約46%および56%低下させる。これらの大きな違いは、キサントマチンのブースターとしての重要な能力を浮き彫りにしている。
【0077】
代替UV-Aフィルター
1またはそれを超えるフェノキサゾンおよび/またはフェノキサジン化合物、その前駆体もしくは誘導体、または前述のいずれかの塩(例えば、キサントマチン、その前駆体もしくは誘導体、またはキサントマチンアンモニウムなどの前述のいずれか1つの塩)の不飽和溶液は、現在米国でのみ承認されている化学的UV-Aフィルターである光不安定性アボベンゾンに対する代替UV-Aフィルターとして機能することができる。
【0078】
実施例および添付の図面に関して以下に記載するように、実験では、凝集していないキサントマチンをオキシベンゾンとともに使用すると、溶液中の吸収強度は、(360nmで測定された強度0.79のアボベンゾンおよびオキシベンゾンと比較して)約1.19であった。この傾向は、凝集していないキサントマチンとオクチノキートでも同様に観察され、360nmで約0.65の強度をもたらしたオクチノキサートトとアボベンゾンと比較して、溶液中で約1.09の強度が達成されたた。
【0079】
抗酸化剤ブースターと安定化剤
1またはそれを超えるフェノキサゾンおよび/またはフェノキサジン化合物、その前駆体もしくは誘導体、または前述のいずれかの塩(例えば、キサントマチン、その前駆体もしくは誘導体、またはキサントマチンアンモニウムなどの前述のいずれか1つの塩)の不飽和溶液は、抗酸化剤ブースターとして機能することができる。したがって、本出願は、1またはそれを超えるフェノキサゾンおよび/またはフェノキサジン化合物、その前駆体もしくは誘導体、または前述のいずれかの塩(例えば、キサントマチン、その前駆体もしくは誘導体、またはキサントマチンアンモニウムなどの前述のいずれか1つの塩)の不飽和溶液と、抗酸化剤とを含む組成物を提供し、該1またはそれを超えるフェノキサゾンおよび/またはフェノキサジン化合物、その前駆体もしくは誘導体、または前述のいずれかの塩(例えば、キサントマチン、その前駆体もしくは誘導体、またはキサントマチンアンモニウムなどの前述のいずれか1つの塩)は、抗酸化剤の抗酸化能力を増強する。特定の実施形態では、抗酸化剤は、ビタミンE類似体トロロックスまたはアスコルビン酸を含む。
【0080】
本出願は、抗酸化剤を、1またはそれを超えるフェノキサゾンおよび/またはフェノキサジン化合物、その前駆体もしくは誘導体、または前述のいずれかの塩(例えば、キサントマチン、その前駆体もしくは誘導体、またはキサントマチンアンモニウムなどの前述のいずれか1つの塩)の不飽和溶液と組み合わせることを含む、抗酸化剤の抗酸化能力を増強する方法を提供する。
【0081】
1またはそれを超えるフェノキサゾンおよび/またはフェノキサジン化合物、その前駆体もしくは誘導体、または前述のいずれかの塩(例えば、キサントマチン、その前駆体もしくは誘導体、またはキサントマチンアンモニウムなどの前述のいずれか1つの塩)の不飽和溶液は、化粧品用途において既存および既知の抗酸化剤の直接的な代替品として機能することができる。したがって、本出願は、化粧用組成物に使用するための1またはそれを超えるフェノキサゾンおよび/またはフェノキサジン化合物、その前駆体もしくは誘導体、または前述のいずれかの塩(例えば、キサントマチン、その前駆体もしくは誘導体、またはキサントマチンアンモニウムなどの前述のいずれか1つの塩)の不飽和溶液を提供し、該不飽和溶液は、化粧用組成物に抗酸化剤特性をもたらす。
【0082】
1またはそれを超えるフェノキサゾンおよび/またはフェノキサジン化合物、その前駆体もしくは誘導体、または前述のいずれかの塩(例えば、キサントマチン、その前駆体もしくは誘導体、またはキサントマチンアンモニウムなどの前述のいずれか1つの塩)の不飽和溶液は、同じ抗酸化剤に対する安定化剤として機能することができる。したがって、本出願は、1またはそれを超えるフェノキサゾンおよび/またはフェノキサジン化合物、その前駆体もしくは誘導体、または前述のいずれかの塩(例えば、キサントマチン、その前駆体もしくは誘導体、またはキサントマチンアンモニウムなどの前述のいずれか1つの塩)と、抗酸化剤とを含む組成物を提供し、該1またはそれを超えるフェノキサゾンおよび/またはフェノキサジン化合物、その前駆体もしくは誘導体、または前述のいずれかの塩(例えば、キサントマチン、その前駆体もしくは誘導体、またはキサントマチンアンモニウムなどの前述のいずれか1つの塩)は、抗酸化剤を安定させる。特定の実施形態では、1またはそれを超えるフェノキサゾンおよび/またはフェノキサジン化合物、その前駆体もしくは誘導体、または前述のいずれかの塩(例えば、キサントマチン、その前駆体もしくは誘導体、またはキサントマチンアンモニウムなどの前述のいずれか1つの塩)と抗酸化剤は、0.1:1、0.2:1、0.3:1、0.4:1、0.5:1、0.6:1、0.7:1、0.8:1、0.9:1、または1:1のモル比で組成物中に存在する。特定の実施形態では、1またはそれを超えるフェノキサゾンおよび/またはフェノキサジン化合物、その前駆体もしくは誘導体、または前述のいずれかの塩(例えば、キサントマチン、その前駆体もしくは誘導体、またはキサントマチンアンモニウムなどの前述のいずれか1つの塩)と抗酸化剤は、2:1、3:1、4:1、5:1、6:1、7:1、8:1、9:1、または10:1のモル比で組成物中に存在する。特定の実施形態では、1またはそれを超えるフェノキサゾンおよび/またはフェノキサジン化合物、その前駆体もしくは誘導体、または前述のいずれかの塩(例えば、キサントマチン、その前駆体もしくは誘導体、またはキサントマチンアンモニウムなどの前述のいずれか1つの塩)と抗酸化剤は、1:1のモル比で組成物中に存在する。特定の実施形態では、抗酸化剤は、ビタミンE類似体トロロックスまたはアスコルビン酸を含む。例えば、トロロックスなどのビタミンE類似体とキサントマチンの約1:1の組成物は、抗酸化剤安定性の向上の証拠を示す。同様に、アスコルビン酸とキサントマチンの1:1の組成物も抗酸化剤の安定化を示す。
【0083】
本出願は、抗酸化剤を、1またはそれを超えるフェノキサゾンおよび/またはフェノキサジン化合物、その前駆体もしくは誘導体、または前述のいずれかの塩(例えば、キサントマチン、その前駆体もしくは誘導体、またはキサントマチンアンモニウムなどの前述のいずれか1つの塩)の不飽和溶液と組み合わせることを含む、抗酸化剤の抗酸化能力を維持する方法を提供する。特定の実施形態では、抗酸化剤の抗酸化能力の100%が少なくとも1週間維持される。特定の実施形態では、抗酸化剤の抗酸化能力の少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、または少なくとも90%が、少なくとも1週間維持される。
【0084】
前述の方法および組成物の特定の実施形態では、1またはそれを超えるフェノキサゾンおよび/またはフェノキサジン化合物、その前駆体もしくは誘導体、または前述のいずれかの塩は、キサントマチン、脱炭酸型キサントマチン、非環化キサントマチン、オマチンD、ジヒドロキシ-キサントマチン、ロドマチン、その前駆体もしくは誘導体、または前述のいずれかの塩を含む。特定の実施形態では、1またはそれを超えるフェノキサゾンおよび/またはフェノキサジン化合物、その前駆体もしくは誘導体、または前述のいずれかの塩は、組成物の0.01~1重量%、1~5重量%、1~10重量%、50重量%、または最大75%を構成する。重量%重量%重量%重量%。
【0085】
以下および添付の図面に記載されるように、抗酸化剤の安定化/ブースト効果が、キサントマチン単独の不飽和溶液と、等モルのアスコルビン酸(ビタミンC)またはトロロックス(ビタミンE類似体)と37℃で90分間にわたりブレンドしたキサントマチンの不飽和溶液の実験において、標準的な酸素ラジカル抗酸化能力(ORAC)アッセイを使用して観察された。ORACアッセイは、ペルオキシルラジカルによるフルオレセインプローブの酸化に基づいて生体分子の抗酸化能力を測定する(抗酸化能力が低下するにつれて蛍光が低下する)。すべての場合において、不飽和溶液中のキサントマチンは、既知の抗酸化剤標準物質(トロロックスおよびビタミンC)と同等の抗酸化能力をもたらした。これらの知見は、最高濃度(40μM)条件の同等の曲線下面積(AUC)計算によって裏付けられている。
【0086】
化粧品または皮膚科用製剤
本出願は、本明細書に開示される組成物を含む化粧品または皮膚科用製剤を提供する。
【0087】
特定の実施形態では、本明細書に開示される組成物を含む化粧品または皮膚科用製剤は、レオロジー改質剤をさらに含む。特定の実施形態では、レオロジー改質剤は、皮膚への適用後に組成物が著しく滴るかまたは貯留するのを防止する量で存在する。特定の実施形態では、レオロジー改質剤はカルボマーである。一部の実施形態では、レオロジー改質剤は、ステアリン酸、パルミチン酸、ステアリルアルコール、セチルアルコール、ベヘニルアルコール、ステアリン酸、パルミチン酸、平均約1~約21個のエチレンオキシド単位を有するステアリルアルコールのポリエチレングリコールエーテル、平均約1~約5個のエチレンオキシド単位を有するセチルアルコールのポリエチレングリコールエーテル、およびそれらの混合物から選択される。
【0088】
レオロジー改質剤のさらなる例としては、組成物の粘度を増加させることができる物質をはじめとする増粘剤またはゲル化剤が挙げられる。増粘剤には、組成物内の有効成分の有効性を実質的に変更することなく組成物の粘度を増加させることができるものが含まれる。増粘剤はまた、本出願の組成物の安定性を高めることができる。本出願の特定の態様では、増粘剤には、水素化ポリイソブテンまたはトリヒドロキシステアリン、または両方の混合物が含まれる。本出願の文脈で使用することができる追加の増粘剤の追加の非限定的な例には、カルボン酸ポリマー、架橋ポリアクリレートポリマー、ポリアクリルアミドポリマー、多糖類、およびガムが含まれる。カルボン酸ポリマーの例としては、アクリル酸、置換アクリル酸、およびこれらのアクリル酸と置換アクリル酸の塩とエステルから誘導される1またはそれを超えるモノマーを含む架橋化合物が挙げられ、架橋剤は、2またはそれを超える炭素-炭素二重結合を含み、多価アルコールから誘導される(CTFA International Cosmetic Ingredient Dictionary,Fourth Edition,1991,pp.12および80を参照)。市販のカルボン酸ポリマーの例としては、スクロースまたはペンタエリトリトール(例えば、B.F.Goodrich製のCarbopol(商標)900シリーズ)のアリルエーテルで架橋されたアクリル酸のホモポリマーであるカルボマーが挙げられる。架橋ポリアクリレートポリマーの非限定的な例としては、カチオン性および非イオン性ポリマーが挙げられる。
【0089】
ポリアクリルアミドポリマー(置換分枝または非分枝ポリマーを含む非イオン性ポリアクリルアミドポリマーを含む)の非限定的な例としては、ポリアクリルアミド、イソパラフィンおよびラウレス-7、アクリルアミドおよび置換アクリルアミドとアクリル酸および置換アクリル酸とのマルチブロックコポリマーが挙げられる。
【0090】
多糖類の非限定的な例としては、セルロース、カルボキシメチルヒドロキシエチルセルロース、セルロースアセテートプロピオネートカルボキシレート、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシエチルエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、メチルヒドロキシエチルセルロース、微結晶セルロース、硫酸セルロースナトリウム、およびそれらの混合物が挙げられる。別の例は、セルロースポリマーのヒドロキシ基がヒドロキシアルキル化(好ましくはヒドロキシエチル化またはヒドロキシプロピル化)されてヒドロキシアルキル化セルロースを形成し、次いでこれをエーテル結合を介してC10~C30直鎖または分枝鎖アルキル基でさらに修飾するアルキル置換セルロースである。典型的には、これらのポリマーは、C10~C30直鎖または分枝鎖アルコールとヒドロキシアルキルセルロースのエーテルである。他の有用な多糖には、3単位ごとに(1~6)結合グルコースを有する(1~3)結合グルコース単位の直鎖を含むスクレログルカンが含まれる。
【0091】
本発明の組成物と共に使用することができるガムの非限定的な例としては、アカシア、寒天、アルギン、アルギン酸、アルギン酸アンモニウム、アミロペクチン、アルギン酸カルシウム、カラギーナンカルシウム、カルニチン、カラギーナン、デキストリン、ゼラチン、ジェランガム、グアーガム、グアーヒドロキシプロピルトリモニウムクロリド、ヘクトライト、ヒアルロン酸、水和シリカ、ヒドロキシプロピルキトサン、ヒドロキシプロピルグアー、カラヤガム、コンブ、ローカストビーンガム、納豆ガム、アルギン酸カリウム、カラギーナンカリウム、アルギン酸プロピレングリコール、スクレロチウムガム、カルボキシメチル(carboyxmethyl)デキストランナトリウム、カラギーナンナトリウム、トラガカントガム、キサンタンガム、およびそれらの混合物が挙げられる。一実施形態では、増粘剤は、Chondrus crispus(カラギーナン)抽出物である。
【0092】
特定の実施形態では、本明細書に開示される組成物を含む化粧品または皮膚科用製剤は、保湿剤(例えば、保水剤)をさらに含む。本出願の化粧品または皮膚科用製剤に使用することができる保湿剤の例としては、アミノ酸、コンドロイチン硫酸、ジグリセリン、エリトリトール、フルクトース、グルコース、グリセリン、グリセロールポリマー、グリコール、1,2,6-ヘキサントリオール、ハチミツ、ヒアルロン酸、水添ハチミツ、水添デンプン加水分解物、イノシトール、ラクチトール、マルチトール、マルトース、マンニトール、天然保湿因子、PEG-15ブタンジオール、ポリグリセリルソルビトール、ピロリドンカルボン酸の塩、PCAカリウム、プロピレングリコール、グルクロン酸ナトリウム、PCAナトリウム、ソルビトール、スクロース、トレハロース、尿素およびキシリトールが挙げられる。一実施形態では、保湿剤はグリセリンである。他の例としては、アセチル化ラノリン、アセチル化ラノリンアルコール、アラニン、藻類抽出物、アロエ・バルバデンシス、アロエ・バルバデンシス抽出物、アロエ・バルバデンシスゲル、アルテア・オフィシナリス抽出物、アンズ(prunus armeniaca)核油、アルギニン、アスパラギン酸アルギニン、アルニカ・モンタナ抽出物、アスパラギン酸、アボカド(persea gratissima)油、バリアスフィンゴ脂質、ブチルアルコール、蜜蝋、ベヘニルアルコール、β-シトステロール、カバノキ(betula alba)樹皮抽出物、ルリジサ(borago officinalis)抽出物、ブッチャーブルーム(ruscus aculeatus)抽出物、ブチレングリコール、カレンデュラ・オフィシナリス抽出物、カレンデュラ・オフィシナリス油、キャンデリラ(euphorbia cerifera)ワックス、カノーラ油、カプリル酸/カプリン酸トリグリセリド、カルダモン(elettaria cardamomum)油、カルナウバ(copernicia cerifera)ワックス、ニンジン(daucus carota sativa)油、ヒマシ(ricinus communis)油、セラミド、セレシン、セテアレス-5、セテアレス-12、セテアレス-20、セテアリルオクタノエート、セテス-20、セテス-24、セチルアセテート、セチルオクタノエート、セチルパルミテート、カミツレ(anthemis nobilis)油、コレステロール、コレステロールエステル、コレステリルヒドロキシステアレート、クエン酸、クラリー(salvia sclarea)油、ココア(theobroma cacao)バター、ココ-カプリル酸/カプリン酸、ココナツ(コココヤシ)油、コラーゲン、コラーゲンアミノ酸、トウモロコシ(zea mays)油、脂肪酸、デシルオレエート、ジメチコンコポリオール、ジメチコノール、アジピン酸ジオクチル、コハク酸ジオクチル、ヘキサカプリル酸/ヘキサカプリン酸ジペンタエリスリチル、DNA、エリスリトール、エトキシジグリコール、リノール酸エチル、ユーカリグロブルス油、月見草(oenothera biennis)油、脂肪酸、ホクベイフウロウソウ油、グルコサミン、グルコースグルタメート、グルタミン酸、グリセリン-26、グリセリン、グリセリロール、ジステアリン酸グリセリル、ヒドロキシステアリン酸グリセリル、ラウリン酸グリセリル、リノール酸グリセリル、ミリスチン酸グリセリル、オレイン酸グリセリル、ステアリン酸グリセリル、ステアリン酸グリセリルSE、グリシン、ステアリン酸グリコール、ステアリン酸グリコールSE、グリコサミノグリカン、ブドウ(vitis vinifera)種子油、ハシバミ(Corylus americana)ナッツ油、ハシバミ(Corylus avellana)ナッツ油、ヘキシレングリコール、ヒアルロン酸、ハイブリッドサフラワー(carthamus tinctorius)油、水添ヒマシ油、水添ココグリセリド、水添ヤシ油、水添ラノリン、水添レシチン、水添パームグリセリド、水添パーム核油、水添大豆油、水添獣脂グリセリド、水添植物油、加水分解コラーゲン、加水分解エラスチン、加水分解グリコサミノグリカン、加水分解ケラチン、加水分解大豆タンパク質、ヒドロキシラノリン、ヒドロキシプロリン、ステアリン酸イソセチル、ステアロイルステアリン酸イソセチル、オレイン酸イソデシル、イソステアリン酸イソプロピル、ラノリン酸イソプロピル、ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、ステアリン酸イソプロピル、イソステアラミドDEA、イソステアリン酸、乳酸イソステアリル、ネオペンタン酸イソステアリル、ジャスミン(jasminum officinale)油、ホホバ(buxus chinensis)油、コンブ、ククイ(aleurites moluccana)ナッツ油、ラクタムMEA、ラネト-16、ラネト-10酢酸塩、ラノリン、ラノリン酸、ラノリンアルコール、ラノリン油、ラノリンワックス、ラベンダー(lavandula angustifolia)油、レシチン、レモン(citrus medica limonum)油、リノール酸、リノレン酸、マカデミアナッツ油、マルチトール、マトリカリア(chamomilla recutita)油、セスキステアリン酸メチルグルコース、メチルシラノールPCA、鉱油、ミンク油、モルティエレラ油、乳酸ミリスチル、ミリスチン酸ミリスチル、プロピオン酸ミリスチル、ジカプリル酸/ジカプリン酸ネオペンチルグリコール、オクチルドデカノール、ミリスチン酸オクチルドデシル、ステアロイルステアリン酸オクチルドデシル、ヒドロキシステアリン酸オクチル、パルミチン酸オクチル、サリチル酸オクチル、ステアリン酸オクチル、オレイン酸、オリーブ(olea europaea)油、オレンジ(citrus aurantium dulcis)油、パーム(elaeis guineensis)油、パルミチン酸、パンテチン、パンテノール、パンテニルエチルエーテル、パラフィン、PCA、モモ(prunus persica)核油、ピーナッツ(arachis hypogaea)油が挙げられる。保湿剤のさらなる非限定的な例としては、PEG-8 C12-18エステル、PEG-15コカミン、PEG-150ジステアレート、PEG-60グリセリルイソステアレート、PEG-5ステアリン酸グリセリル、PEG-30ステアリン酸グリセリル、PEG-7水添ヒマシ油、PEG-40水添ヒマシ油、PEG-60水添ヒマシ油、PEG-20メチルグルコースセスキステアレート、PEG40ソルビタンペルオレエート、PEG-5大豆ステロール、PEG-10大豆ステロール、PEG-2ステアレート、PEG-8ステアレート、PEG-20ステアレート、PEG-32ステアレート、PEG40ステアレート、PEG-50ステアレート、PEG-100ステアレート、PEG-150ステアレート、ペンタデカラクトン、ペパーミント(mentha piperita)油、ワセリン、リン脂質、ポリアミノ糖縮合物、ジイソステアリン酸ポリグリセリル-3、ポリクオタニウム-24、ポリソルベート20、ポリソルベート40、ポリソルベート60、ポリソルベート80、ポリソルベート85、ミリスチン酸カリウム、パルミチン酸カリウム、プロピレングリコール、ジカプリル酸/ジカプリン酸プロピレングリコール、ジオクタン酸プロピレングリコール、ジペラルゴン酸プロピレングリコール、ラウリン酸プロピレングリコール、ステアリン酸プロピレングリコール、ステアリン酸プロピレングリコールSE、PVP、ジパルミチン酸ピリドキシン、レチノール、パルミチン酸レチノール、パルミチン酸レチノール、米(oryza sativa)ぬか油、RNA、ローズマリー(rosmarinus officinalis)油、ローズ油、ベニバナ(carthamus tinctorius)油、セージ(salvia officinalis)油、ビャクダン(santalum album)油、セリン、血清タンパク質、ゴマ(sesamum indicum)油、シアバター(butyrospermum parkii)、シルクパウダー、コンドロイチン硫酸ナトリウム、ヒアルロン酸ナトリウム、乳酸ナトリウム、パルミチン酸ナトリウム、PCAナトリウム、ポリグルタミン酸ナトリウム、可溶性コラーゲン、ラウリン酸ソルビタン、オレイン酸ソルビタン、パルミチン酸ソルビタン、セスキオレイン酸ソルビタン、ステアリン酸ソルビタン、ソルビトール、大豆(glycine soja)油、スフィンゴ脂質、スクアラン、スクアレン、MEA-ステアリン酸ステアラミド、ステアリン酸、ステアロキシジメチコン、ステアロキシトリメチルシラン、ステアリルアルコール、グリチルレチン酸ステアリル、ヘプタン酸ステアリル、ステアリン酸ステアリル、ヒマワリ(Helianthus annuus)種子油、スイートアーモンド(prunus amygdalus dulcis)油、合成蜜蝋、トコフェロール、酢酸トコフェロール、リノール酸トコフェロール、トリベヘニン、ネオペンタン酸トリデシル、ステアリン酸トリデシル、トリエタノールアミン、トリステアリン、尿素、植物油、水、ワックス、小麦(trificum vulgare)胚芽油およびイラン(cananga odorata)油を挙げることができる。一実施形態では、保湿剤はアラントインであってよい。
【0093】
特定の実施形態では、本明細書に開示される組成物を含む化粧品または皮膚科用製剤は、防腐剤/保存料をさらに含む。特定の実施形態では、防腐剤は、1またはそれを超える第四級アンモニウム防腐剤、例えばポリクオタニウム-1およびハロゲン化ベンザルコニウム(例えば、塩化ベンザルコニウム(「BAC」)および臭化ベンザルコニウム)、パラベン(例えば、メチルパラベンおよびプロピルパラベン)、フェノキシエタノール、エチルヘキシルグリセリン、エチルヘキシルグリセリンベンジルアルコール、クロロブタノール、フェノール、ソルビン酸、チメロサールおよびそれらの組み合わせなどから選択される。
【0094】
特定の実施形態では、本明細書に開示される組成物を含む化粧品または皮膚科用製剤は、局所使用のための化粧品または医薬品の製剤に一般的に使用される賦形剤、例えば殺菌剤、安定化剤、乳化剤、緩衝剤、湿潤剤、着色剤、および化粧品/医薬品の調製技術に一般的に使用される他の賦形剤をさらに含んでよい。
【0095】
特定の実施形態では、本明細書に開示される組成物を含む化粧品または皮膚科用製剤は、1またはそれを超える乳化剤をさらに含む。特定のそのような実施形態では、乳化剤は、相間の界面張力を低下させ、エマルジョンの製剤および安定性を改善する。乳化剤には、非イオン性乳化剤、アニオン性乳化剤、カチオン性乳化剤、両性イオン性乳化剤またはそれらの組み合わせが含まれてよい。乳化剤の非限定的な例としては、グリセリンのエステル、プロピレングリコールのエステル、ポリエチレングリコールの脂肪酸エステル、ポリプロピレングリコールの脂肪酸エステル、ソルビトールのエステル、ソルビタン無水物のエステル、カルボン酸コポリマー、グルコースのエステルおよびエーテル、エトキシル化エーテル、エトキシル化アルコール、アルキルホスフェート、ポリオキシエチレン脂肪エーテルホスフェート、脂肪酸アミド、乳酸アシル、石鹸、TEAステアレート、オレス-3リン酸DEA、ポリエチレングリコール20ソルビタンモノラウレート(ポリソルベート20)、ポリエチレングリコール5大豆ステロール、ステアレス-2、ステアレス-20、ステアレス-21、セテアレス-20が挙げられる。PPG-2メチルグルコースエーテルジステアレート、セテス10、ポリソルベート80、リン酸セチル、セチルリン酸カリウム、ジエタノールアミンセチルホスフェート、ポリソルベート60、ステアリン酸グリセリル、ステアリン酸PEG-100、およびそれらの混合物。一実施形態では、非イオン性乳化剤は、オリーブ油脂肪酸セテアリルまたはオリーブ油脂肪酸ソルビタンである。
【0096】
特定の実施形態では、本明細書に開示される組成物は、使用前に1またはそれを超えるさらなる化粧品組成物と組み合わされる。特定の実施形態では、1またはそれを超えるさらなる化粧品組成物は、αおよびβヒドロキシ酸、アミノ酸、ペプチド、マトリックスタンパク質、成長因子、幹細胞活性化因子、エストロゲン、抗アンドロゲン、ならびに皮膚美白剤およびブライトニング剤から選択される1またはそれを超える薬剤を含む。本明細書に開示される組成物が使用前に1またはそれを超えるさらなる化粧品組成物と組み合わされる本出願の特定の実施形態では、1またはそれを超えるさらなる化粧品組成物は1またはそれを超える化粧品成分を含む。CTFA International Cosmetic Ingredient Dictionary and Handbook(2004および2008)に記載の多種多様の非限定的な化粧品成分を使用することができる。化粧品成分の非限定的な例としては、芳香剤(人工および天然)、染料および着色成分(例えば、ブルー1、ブルー1レーキ、レッド40、二酸化チタン、D&Cブルーno.4、D&Cグリーンno.5、D&Cオレンジno.4、D&Cレッドno.17、D&Cレッドno.33、D&Cバイオレットno.2、D&Cイエローno.10、およびD&Cイエローno.11)、吸着剤、潤滑剤、溶媒、保湿剤(例えば、皮膚軟化剤、保湿剤、皮膜形成剤、閉塞剤、および皮膚の自然な保湿機構に影響を及ぼす薬剤を含む)、撥水剤、UV吸収剤(パラアミノ安息香酸(「PABA」)および対応するPABA誘導体、二酸化チタン、酸化亜鉛などの物理的および化学的吸収剤)、精油、ビタミン(例えば、A、B、C、D、E、およびK)、微量金属(例えば、亜鉛、カルシウムおよびセレン)、抗刺激剤(例えば、ステロイドおよび非ステロイド性抗炎症剤)、植物抽出物(例えば、アロエベラ、カモミール、キュウリ抽出物、イチョウ葉、朝鮮人参およびローズマリー)、抗菌剤、抗酸化剤(例えば、BHTおよびトコフェロール)、キレート剤(例えば、EDTA二ナトリウムおよびEDTA四ナトリウム)、防腐剤(例えば、メチルパラベンおよびプロピルパラベン)、pH調整剤(例えば、水酸化ナトリウムおよびクエン酸)、吸収剤(例えば、オクテニルコハク酸アルミニウムデンプン、カオリン、コーンスターチ、オーツデンプン、シクロデキストリン、タルクおよびゼオライト)、皮膚漂白剤および美白剤(例えば、ヒドロキノンおよび乳酸ナイアシンアミド)、保水剤(例えば、ソルビトール、尿素およびマンニトール)、角質剥離剤、防水剤(例えば、水酸化ステアリン酸マグネシウム/アルミニウム)、皮膚コンディショニング剤(例えば、アロエ抽出物、アラントイン、ビサボロール、セラミド、ジメチコン、ヒアルロン酸、およびグリチルリチン酸二カリウム)が挙げられる。
【0097】
本出願の特定の実施形態では、本明細書に開示される組成物は、使用前に1またはそれを超える局所皮膚薬組成物と組み合わされる。特定のそのような実施形態では、薬学的に活性な薬剤は、抗座瘡剤、酒さの処置に使用される薬剤、鎮痛剤、麻酔剤、肛門直腸剤、抗ヒスタミン剤、非ステロイド系抗炎症剤を含む抗炎症剤、抗生物質、抗真菌剤、抗ウイルス剤、抗菌剤、抗癌剤、殺疥癬虫剤、シラミ駆除剤、抗悪性腫瘍剤、制汗剤、鎮痒薬、抗乾癬剤、抗脂漏薬、生物活性タンパク質およびペプチド、熱傷処置剤、焼灼剤、脱色剤、脱毛剤、おむつかぶれ処置剤、酵素、発毛刺激剤、エフロルニチンおよびその塩および類似体を含む発毛遅延剤、止血剤、角質溶解剤、口内炎処置剤、口唇ヘルペス処置剤、歯科用および歯周処置剤、光増感剤、皮膚保護剤/バリア剤、ホルモンおよびコルチコステロイドを含むステロイド、日焼け処置剤、サンスクリーン剤、経皮活性剤、鼻活性剤、膣活性剤、いぼ処置剤、創傷処置剤、創傷治癒剤などから選択される。
【0098】
上記は、本開示の原理を単に例示するものであり、装置は、記載された実装形態以外によって実行することができる。これらは説明目的で提示されたものであり、限定を目的とするものではない。当業者であれば、本開示を検討した後、変形および修正が思い浮かぶであろう。開示された特徴は、本明細書に記載の1またはそれを超える他の特徴との任意の組合せおよび部分的組合せ(複数の依存する組合せおよび部分的組合せを含む)で実装されてよい。上記で記載または例示された様々な特徴は、その任意の成分を含めて、他のシステム、組成物、および製剤に組み合わされてもよく、または統合されてもよい。さらに、特定の特徴は省略されても実装されなくてもよい。
【0099】
変更、置換、および変更の例は、当業者によって確認可能であり、本明細書に開示される情報の範囲から逸脱することなく行うことができるであろう。本明細書において引用されるすべての参考文献は、参照によりその全文が組み込まれ、本出願の一部となる。
例証
【0100】
ここで、本発明を一般的に説明したが、本発明は添付の図面に文書化された結果を参照する以下の実施例を参照することにより、より容易に理解されるであろう。添付の図面は、単に本発明の特定の態様および実施形態を説明する目的で含められており、本発明を限定することを意図するものではない。
【実施例
【0101】
実施例1:キサントマチンの抗酸化特性
不飽和溶液中のキサントマチンアンモニウム(本明細書では「キサントマチン」と呼ぶ)の抗酸化特性を、既知の標準的な抗酸化剤と比較した。実験の結果は図1~3に示される。これらの図はキサントマチンと比較した既知の抗酸化剤トロロックス(ビタミンE類似体)とアスコルビン酸の経時的な(秒単位の)相対蛍光値(RFU)を示している。実験は、10、20、および40μMのトロロックス、アスコルビン酸、およびキサントマチンアンモニウム(「Xa」)を使用して行い、1:1のトロロックス:Xa(20μM:20μMおよび40μM:40μM)および1:1のアスコルビン酸:Xa(20μM:20μMおよび40μM:40μM)の性能と比較した。
【0102】
図1は、トロロックスと、1:1のトロロックス:キサントマチンの性能を示す。図2は、アスコルビン酸と、1:1のアスコルビン酸:キサントマチンの性能を示す。図3は、キサントマチン単独を示している。全ての場合において、キサントマチンは、不飽和溶液中で凝集していないキサントマチン分子の形態であった。図1は、トロロックス対キサントマチンの比が1:1の場合、トロロックス単独を20μMまたはそれを超える濃度で含有する組成物と比較して、RFUの経時的な減少が遅いことを示している。組成物中にキサントマチンが存在すると、トロロックスの分解が遅くなる。同様に、図2に示すように、図3の比のアスコルビン酸とキサントマチンの比が1:1の場合、同等の濃度のアスコルビン酸単独と比較して、高いRFU値が長期間維持され、RFU値の減少が遅くなり、分解が遅延する。図3は、10、20および40μMの濃度のキサントマチンが、図1および2の組成物と比較して、より長い時間にわたって高いRFU値を維持することを示している。キサントマチンを含む組成物では、抗酸化剤単独の組成物と同等の活性レベルが観察された。さらに、キサントマチンは、既知の標準的な抗酸化剤単独の組成物と比較した場合、経時的に抗酸化剤の分解を遅延させて、より長い寿命を提供する能力を実証した。
【0103】
表1は、図1~3に示すデータの曲線下面積(AUC)の計算結果を示す。
【表1】
【0104】
結果は、キサントマチンがビタミンCおよびビタミンEと同等の活性を有することを示す。
【0105】
実施例2:キサントマチンのUVフィルター安定化特性
キサントマチンの不飽和溶液のUVフィルター安定化特性を、経時的なUVフィルター安定化剤の挙動を、キサントマチンと組み合わせたUVフィルター安定化剤と比較することによって調べた。図4~8に示すように、キサントマチンの不飽和溶液を、オキシベンゾン(図4Aおよび4B)、アボベンゾン(図5Aおよび5B)、オクチおよびホモサレート(図6Aおよび6B)、オクチノキサート(図7Aおよび7B)およびオクトクリレン(図8Aおよび8B)を含む溶液に添加すると、化学的UVフィルター単独と比較して、UV吸収量が1日目に約240~約310nm増加した。16日目、キサントマチンと化学的UVフィルターを含む製剤のUV吸収プロファイルは、1日目のUV吸収プロファイルにより類似しており、化学的UVフィルター単独よりもUVスペクトル全体にわたってより高いUV吸収を示している。したがって、化学的UVフィルターのオキシベンゾン、アボベンゾン、オクチ-およびホモサレート、オクチノキサートおよびオクトクリレンを含む製剤中に約0.01重量%のキサントマチンが存在することにより、化学的UVフィルターのUV吸収特性が増強され、化学的UVフィルターが経時的に安定化される。
【0106】
実施例3:キサントマチンのUVブースト特性
図9~11は、不飽和溶液(0.03重量%)中での、化学的UVフィルターであるオクチノキサート、アボベンゾン、およびオキシベンゾンの、単独で、アボベンゾンと組み合わせた、およびキサントマチン小分子と組み合わせたUV吸収挙動を示す。表2~4は、様々な組み合わせの性能の変化を示す。
【表2】
【表3】
【表4】
【0107】
オクチノキサート、アボベンゾンおよびオキシベンゾンを含む組成物にキサントマチンを添加すると、組成物のUV吸収プロファイルが変化し、UVスペクトルにわたって製剤のUV吸収が増加する。オクチノキサートまたはオキシベンゾンとキサントマチン分子との組み合わせは、アボベンゾンを含む同じUVフィルターよりも高いUV吸収を示す。キサントマチンが0.03重量%存在すると、場合によっては、オクチノキサートおよびオキシベンゾンのUVB吸収力が250%超強化されることが示された。同量のキサントマチンの存在により、アボベンゾンの性能は最大109%強化された。したがって、キサントマチンの不飽和溶液は、アボベンゾンの代替物として機能することができ、他のフィルターのUVB吸収力を高めることもできる。
【0108】
実施例4:化学的およびミネラルサンスクリーン剤
化学的サンスクリーン剤を、表5に概説されるような成分を用いて調製した。
【表5】
【0109】
具体的には、上記の対照化学的サンスクリーン剤は、以下の表6に記載される完全な成分リストを用いて調製した。相Aは、EDTA二ナトリウムをメインビーカー中の水に可溶化することによって調製した。ビーカーを75℃に加熱した。溶液を撹拌し、C10~C30アルキルアクリレートクロスポリマーをゆっくりと加え、材料の大部分が溶液中に分散するまで混合した。C10~C30アルキルアクリレートクロスポリマーを統合した後、全てのクロスポリマーが混合物全体に均一に分散するまで溶液を混合した。相Bは、相Bの成分4~9を計量して別個のビーカーに入れ、60℃に加熱することによって調製した。混合物を撹拌して、すべての成分およびワックスを確実に溶融および混合した。相Bの成分10~12を別個の容器に添加し、相Bのビーカーにゆっくりと添加して、各成分を均一に分散させた。すべてが組み込まれたら、相Bを相Aに添加し、よく混合した。撹拌を強めてバッチを完全に乳化させた。次いで、混合を続けながらバッチを冷却した。相Cをバッチに添加し、十分に混合して確実に統合した。50℃で水酸化ナトリウムをバッチに添加した。次いで、バッチを混合物から取り出し、4分間均質化した。次いで、バッチが室温に達するまで混合を続けた。
【表6】
【0110】
キサントマチンアンモニウムを含有する上記の化学的サンスクリーン剤は、以下の表7に記載される完全な成分リストを用いて調製した。具体的には、相Aは、EDTA二ナトリウムをメインビーカー中の水に可溶化し、75℃に加熱することによって調製した。溶液を撹拌し、C10~C30アルキルアクリレートクロスポリマーをゆっくりと添加し、材料の大部分が溶液中に分散するまで混合した。C10~C30アルキルアクリレートクロスポリマーを統合した後、キサントマチンアンモニウムを添加し、溶解するまで混合し、クロスポリマーを混合物全体に均一に分散させた。相Bの成分5~10を別個のビーカーに添加し、60℃に加熱し、撹拌してすべての成分およびワックスを確実に溶融および混合した。混合物を撹拌し続けた。相Bの成分11~13を相Bのビーカーにゆっくりと添加して、各成分を均一に分散させた。すべてが組み込まれたら、相Bを相Aに添加し、よく混合した。撹拌を強めてバッチを完全に乳化させた後、混合を継続しながらバッチを冷却した。次いで、相Cをバッチに添加し、十分に混合して確実に統合した。次いで、水酸化ナトリウムを50℃で添加し、次いで、バッチをミキサーから取り出し、4分間均質化した後、バッチが室温に達するまで混合を継続した。
【表7】
【0111】
ミネラルサンスクリーン剤は、表8に概説されるような成分を用いて調製した。
【表8】
【0112】
具体的には、上記の対照ミネラルサンスクリーン剤は、以下の表9に記載される完全な成分リストを用いて調製した。相Aは、EDTA二ナトリウムをメインビーカー中の水に可溶化し、適度に混合しながらビーカーを75℃に加熱することによって調製した。別個のビーカー内で、グリセリン、キサンタンガム、およびヒドロキシエチルセルロースを合わせ、十分に混合した後、メインビーカーに添加した。バッチを約5分間撹拌させた。相Bの成分6~11を別個のビーカーに添加し、75℃に加熱し、撹拌してすべての成分およびワックスを確実に溶融および混合した。このビーカーを適度に混合しながら撹拌した後、相Bの成分14を添加した。次いで、相Bの成分12をバッチに少量ずつ添加し、材料を油相に分散させてから次の部分を添加した。成分12をすべて添加したら、成分13を用いて同じプロセスを繰り返した。両方の成分が、相Bに組み込まれて混合されたら、相Bを相Aに添加し、十分に混合した後、撹拌を強めてバッチを完全に乳化させた。加熱下でバッチが乳化したら、ビーカーをホットプレートから取り出し、加熱下で5分間連続して完全に均質化した。次いで、得られた混合物を室温に冷却しながら撹拌を継続した。
【表9】
【0113】
キサントマチンアンモニウムを含有する上記のミネラルサンスクリーン剤は、以下の表10に記載される完全な成分リストを用いて調製した。相Aは、EDTA二ナトリウムをメインビーカー中の水に可溶化し、適度に混合しながらビーカーを75℃に加熱することによって調製した。次いで、キサントマチンアンモニウムをバッチで添加し、各添加間に混合して、キサントマチンアンモニウムを混合物に溶解させた。完了したら、混合物を40℃に冷却し、必要に応じてNaOHを添加してpHを5.0~5.5にした。次いで、混合物を適度に混合しながら75℃に加熱した。別個のビーカー内で、グリセリンとキサンタンガムを合わせ、十分に混合した後、メインビーカーに添加した。バッチを約10分間撹拌させた。相Bの成分7~12を別個のビーカーに添加し、75℃に加熱し、撹拌してすべての成分およびワックスを確実に溶融および混合した。このビーカーを適度に混合しながら撹拌した後、相Bの成分13をバッチに少量ずつ添加し、材料を油相に分散させてから次の部分を添加した。成分13をすべて添加したら、成分14を用いて同じプロセスを繰り返した。両方の成分が、相Bに組み込まれて混合されたら、成分15を相Bに添加し、次いで相Bを相Aに添加して十分に混合した後、撹拌を強めてバッチを完全に乳化させた。加熱下でバッチが乳化したら、ビーカーをホットプレートから取り出し、加熱下で5分間連続して完全に均質化した。次いで、得られた混合物を室温に冷却しながら撹拌を継続した。水でQSを行った。
【表10】
【0114】
Labsphere UV 2000S Ultraviolet Transmittance AnalyzerまたはSolar Light Company、Inc.SPF290-ASを使用して、全UVスペクトル(290~400ナノメートル)にわたる各波長の分光透過率を測定した。透過率値は1ナノメートル間隔で測定した。Solar Light Model LS1000-4S-009をUV照射に使用した。シミュレーターには、UVダイクロイックミラー、WG320フィルター、熱フィルター、UG5フィルターが取り付けられており、250~400nmの間のすべての波長について、ソーラーシミュレーターの全照射量を1,500W/m2に制限して、290~400nmの連続した発光スペクトルを得た。指定された各波長における紅斑有効放射の割合を表11に示す。
【表11】
【0115】
サンスクリーン剤を、4枚の新しい未処理の粗面化PMMAプレートに(粗面化面を一番上にして)1.3mg/cm2の塗布量で塗布した。サンスクリーン剤は、ほぼ同じ体積の多数の小さな液滴として塗布し、プレートの表面全体に均等に分布させた。指サックを使用して、非常に軽く広げる動作で約30秒間製品を塗り広げ、続いてより強い圧力で約30秒間塗り広げた。このサンプルを、制御された温度(25~35℃)で光から保護して30分間乾燥させた。
290~400nmの範囲で1nm間隔で取得した、PMMAプレートの異なるポイントにある製品の5つのスペクトルを得た。サンプルを含有するPMMAプレートを、制御された線量のUV照射に曝露して、4時間の太陽光(UV)曝露をシミュレートした。照射の後、290~400nmの範囲で1nm間隔で取得した、PMMAプレートの異なるポイントにある製品の5つのスペクトルを再び得た。グリセリンで処置したPMMAの参照(ブランク)測定を行った。全UV(290~400nm)、UVB(290~320nm)、およびUVA(320~400nm)範囲の初期および最終吸光度を計算した。安定性の割合は、最終値(照射後)と初期値(照射前)との比によって計算した。
【0116】
SPFは、導出されたMansur式(Sayre,R.M.,ら、A Compare of in vivo and in vitro testing of sunscreening Formulas.Photochemistry and Photobiology,1979.29(3):p.559-566)を使用して、式1、
【数1】
(式中、EE(λ)は紅斑効果スペクトル、I(λ)は太陽光強度スペクトル、Abs(λ)はUVフィルターの吸光度、CFは補正係数(=10)である)
に従って計算した。SPFの計算に使用した正規化積関数[EE(λ)×I(λ)]の値は、表12に見出すことができる。算出したSPF値は小数点以下を四捨五入している。臨界波長は、このデータを式2、
【数2】
(式中、A(λ)はUV吸収性化合物の吸光度を表し、λ_cは臨界波長である)
に適用することによって決定される。(Administration,U.S.F.D.,米国連邦規則集第21章:Sunscreen drug products for over-the-counter human use U.S.D.o.H.H.Services,Editor.2018)。
【表12】
【0117】
光安定性は、上記データを式3、
【数3】
、および4
【数4】
に適用することによって決定した。ここで、AUCは、式3を使用して計算された290~400nmのUV吸光度スペクトルから導出された曲線下面積であり、AUCt=0は、照射前に決定された曲線下面積であり、AUCtは、特定の時点(例えば、30分、60分、および90分)の曲線下面積であり、AUC Index(AUCI)は、式4から算出した照射後AUCと照射前AUCの商である。AUCI>0.8の場合、化合物または材料は光安定性であると考えられる。(Hojerova,J.,Medovcikova,A.and M.Mikula,Photoprotective efficacy and photostability of fifteen sunscreen products having the same label SPF subjected to natural sunlight.International Journal of Pharmaceutics,2011.408:p.27-38.)
【0118】
照射前および照射後に化学的サンスクリーン剤サンプルのSPFを測定した結果を図12に示す。この図において、黒色のバーは照射前の測定値であり、模様付きのバーは照射後の測定値である。示されるように、0.1%のキサントマチンアンモニウムを含有する化学的サンスクリーン剤は、照射前で45%、照射後で38%のSPFのブーストをもたらした。
【0119】
照射前および照射後にミネラルサンスクリーン剤サンプルのSPFを測定した結果を図13に示す。この図において、黒色のバーは照射前の測定値であり、模様付きのバーは照射後の測定値である。示されるように、0.1%のキサントマチンアンモニウムを含有するミネラルサンスクリーン剤は、照射前で21%、照射後で3%のSPFのブーストをもたらした。
【0120】
キサントマチンアンモニウムを含む化学的およびミネラルサンスクリーン剤の両方の性能は、下の表11に記載されるデータからも確認することができる。具体的には、表13に見られるように、ミネラルサンスクリーン剤および化学的サンスクリーン剤の両方に0.1%キサントマチンアンモニウムを添加すると、製剤のSPFおよびUVA PFがブーストされた。
【表13】
【0121】
キサントマチンアンモニウムを含む化学的サンスクリーン剤およびミネラルサンスクリーン剤の両方の照射後の安定性と照射前の安定性の比較は、下の表14に記載されるデータから確認することができる。具体的には、対照の化学的サンスクリーン製剤のSPF安定性は、0.1%キサントマチンアンモニウムによって改善された。
【表14】
【0122】
実施例5:吸光度および細胞毒性研究
【0123】
キサントマチンの天然の光学的特徴を低濃度(<0.2mM)の有機UVフィルターのUV性能をブーストするために使用できるかどうかを評価するために、広域スペクトル吸収剤としてキサントマチンアンモニウムの性能を試験した。キサントマチンの吸光度能力は、溶液中で単独で(図14)、およびFDA承認の有機UVフィルターと組み合わせて(図15および16)、280~500nmのスペクトル範囲にわたって試験された。本発明者らは、キサントマチンの濃度の増加と可視光によるUVの吸収との間に明確な関係を観察した(図14)。具体的には、純粋な有機UVフィルター(DMSO中0.1~0.2mM)の吸収挙動と比較すると、キサントマチン(DMSO中0.6mM)は、UVBから可視光領域に及ぶより広いプロファイルを示した。キサントマチンを化学的UVフィルターと組み合わせた場合、UVB(300nm)とUVA(360nm)の両領域での有意な増加が、試験したすべてのフィルターで達成され、本発明者らはキサントマチンを添加するとUVAおよびUVBの性能が少なくとも50%増加することを観察した(図16)。これらの結果は、キサントマチンが溶液中のこれらの分子の吸収プロファイルを増強することを効果的に実証している。
【0124】
キサントマチンのUVフィルターブースト特性を考慮して、本発明者らは次に、その細胞毒性を非細胞毒性量のUVA光(315~400nm、測定範囲0~199.9mW/cm2)に曝露した場合と曝露しない場合で試験した。これらの実験では、細胞傷害性は、UVA曝露の存在下および非存在下の両方で処置した後の BALB/c 3T3マウス線維芽細胞株内のニュートラルレッド色素の取り込みの濃度依存的減少として表された。(Borenfreund,E.and J.A.Puerner,Toxicity determined in vitro by morphological alchanges and neutral red absorption.Toxicol Lett,1985.24(2-3):p.119-24)。UVAの存在下では、キサントマチンで処置した細胞は明確な細胞毒性効果を示し、3回の独立した+UVA実験における最高の試験項目濃度での相対細胞生存率は、-UVA対照(3回の実験で88.5%、99.3%、および100.6%)と比較して18.1%、29.7%、および62.3%であった(図17A)。-UVA実験ではEC50値を計算することができなかったため、光刺激係数(PIF=EC50(-UVA)/EC50(+UVA))を計算することはできなかった。代わりに、式5、
【数5】
(式中、任意の濃度(C)での光効果(PE)は、応答効果(REC)および用量効果(DEC)濃度との積として定義される)
を使用して平均光効果を計算した。キサントマチンを用いた3回の独立した実験では、0.019、0.199、および0.042のMPE値を測定した。MPE>0.15は光毒性を示す。したがって、キサントマチンは、3回のデータセットのうちの2回がこの閾値未満であるので、光毒性がないと分類された。この図では、灰色の線はUVAの非存在下(-UVA)で収集されたデータを表し、黒色の線はUVAに曝露して(+UVA)収集されたデータを表す。データは、3回の独立した実験について収集された。
【0125】
対照は、試験の妥当性を確認し、+UVA実験の陰性対照は、未処理の-UVA対照と比較して86.80%(実験1)、92.03%(実験2)、102.39%(実験3)の細胞生存率を示した。一方、-UVA(8.327μg/mL 実験1、15.530μg/mL 実験2および18.809μg/mL 実験3)および+UVA実験(0.221μg/mL 実験1、0.413μg/mL 実験2および0469μg/mL 実験3)についてのクロルプロマジンを含む陽性対照のEC50計算値は有効範囲内であった。陽性対照のPIF値は、37.81 実験1、37.74 実験2、および40.33 実験3(図17B)であった。
【0126】
このインビトロ3T3 NRU光毒性アッセイの毒性学的エンドポイントは、EU/COLIPAの共同プロジェクトで開発および検証されたため、このアッセイは、使用されている様々なインビボ試験に対するインビトロ代替物としてよく認識されている。(Spielmann,H.ら、EEC/COLIPA project on in vitro phototoxicity testing:First results obtained with a Balb/c 3T3 cell phototoxicity assay.Toxicol In Vitro,1994.8(4):p.793-6;Balls,M.Statement on the scientific validity of the 3T3 NRU PT test(an in vitro test for phototoxic potential).1998;Spielmann,H.ら、The International EU/COLIPA In Vitro Phototoxicity Validation Study:Results of Phase II(Blind Trial).Part 1:The 3T3 NRU Phototoxicity Test.Toxicol In Vitro,1998.12(3):p.305-27)。これらのガイドラインによれば、本発明者らのデータから、キサントマチンが光毒性も光刺激性もないことが推察される。ここで、光毒性とは、最初に試験化学物質に曝露した後に光に曝露した後に起こるか、または照射後に化学物質を全身投与した後に誘発される毒性反応と定義される。
【0127】
実施例6:抗酸化剤の安定化/ブースト
抗酸化剤の安定化/ブースト実験のために、アンモニウムキサントマチン単独、および等モルのアスコルビン酸(ビタミンC)またはトロロックス(ビタミンE類似体)とブレンドしたアンモニウムキサントマチンの37℃で90分間にわたる抗酸化能力および性能を、標準的な酸素ラジカル抗酸化能力(ORAC)アッセイを用いて試験した。ORACアッセイは、ペルオキシルラジカルによるフルオレセインプローブの酸化に基づいて生体分子の抗酸化能力を測定した(蛍光は、抗酸化能力が低下するにつれて減少する)。ORACアッセイは、https://www.cellbiolabs.com/sites/default/files/STA-345-orac-assay-kit.pdf,に詳細に記載されており、その内容は参照により本明細書に組み込まれる。すべての場合において、キサントマチンアンモニウムは、既知の抗酸化剤標準物質(トロロックスおよびビタミンC)と同等の抗酸化能力をもたらした。これらの知見は、最高濃度(40uM)条件での匹敵する曲線下面積(AUC)計算によって裏付けられた(図18)。図19は、同じ濃度でアッセイした場合の、溶液中のビタミンCと比較した、溶液中のキサントマチンアンモニウムの半減期測定値を提供する。溶液中のキサントマチンアンモニウムの溶液は、同じ濃度でアッセイした場合、ビタミンCよりも2倍長かった。図20および図21は、それぞれ、ビタミンCおよびビタミンEの性能が、キサントマチンアンモニウムと組み合わせた場合に延長されることを示す。具体的には、図20は、キサントマチンアンモニウムと組み合わせると、ビタミンCの性能が23%延長されたことを示す。図21は、キサントマチンアンモニウムと組み合わせると、ビタミンEの性能が9%延長されたことを示す。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
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【国際調査報告】