(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-11-01
(54)【発明の名称】格子容積を組み込んだ外科用インプラントデバイスおよび関連する製造方法
(51)【国際特許分類】
A61F 2/44 20060101AFI20231025BHJP
【FI】
A61F2/44
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023548532
(86)(22)【出願日】2021-10-15
(85)【翻訳文提出日】2023-06-13
(86)【国際出願番号】 US2021055134
(87)【国際公開番号】W WO2022081944
(87)【国際公開日】2022-04-21
(32)【優先日】2020-10-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523142663
【氏名又は名称】キョウセラ メディカル テクノロジーズ,インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100120891
【氏名又は名称】林 一好
(74)【代理人】
【識別番号】100165157
【氏名又は名称】芝 哲央
(74)【代理人】
【識別番号】100205659
【氏名又は名称】齋藤 拓也
(74)【代理人】
【識別番号】100126000
【氏名又は名称】岩池 満
(74)【代理人】
【識別番号】100185269
【氏名又は名称】小菅 一弘
(72)【発明者】
【氏名】ラッカー スコット
(72)【発明者】
【氏名】カウリー トレース
(72)【発明者】
【氏名】トンプソン ジョセフ
(72)【発明者】
【氏名】グラズナー グレゴリー
【テーマコード(参考)】
4C097
【Fターム(参考)】
4C097AA10
4C097BB01
4C097BB09
4C097CC01
4C097CC05
4C097CC06
4C097CC15
4C097DD02
4C097DD10
4C097FF05
(57)【要約】
本開示は、固体表面と、固体表面に隣接して配置された格子構造であって、固体表面に隣接する第1の複数の空隙を規定する第1の複数の支柱、および固体表面から離れた第2の複数の空隙を規定する第2の複数の支柱を備える、格子構造とを備える、外科用インプラントデバイスを提供する。第1の複数の支柱の各々は、第2の複数の支柱の各々の平均断面直径より小さい平均断面直径を有する。第1の複数の空隙の各々は、第2の複数の空隙の各々の平均内径より小さい平均内径を有する。外科用インプラントデバイスはまた、格子構造に対向する固体表面に隣接して配置されるニードルが実装された多孔質表面を備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
固体表面と、
前記固体表面に隣接して配置された格子構造であって、前記固体表面に隣接する第1の複数の空隙を規定する第1の複数の支柱、および前記固体表面から離れた第2の複数の空隙を規定する第2の複数の支柱を備える、格子構造と
を備える、外科用インプラントデバイス。
【請求項2】
前記第1の複数の支柱の各々は、前記第2の複数の支柱の各々の平均断面直径よりも小さい平均断面直径を有する、請求項1に記載の外科用インプラントデバイス。
【請求項3】
前記第1の複数の空隙の各々は、前記第2の複数の空隙の各々の平均内径よりも小さい平均内径を有する、請求項1に記載の外科用インプラントデバイス。
【請求項4】
前記第1の複数の支柱および前記第1の複数の空隙は、前記第2の複数の支柱および前記第2の複数の空隙とほぼ等しい全体の物質密度を有する、請求項1に記載の外科用インプラントデバイス。
【請求項5】
前記格子構造は、前記第1の複数の支柱と前記第1の複数の空隙との間に配置され、前記第1の複数の支柱および前記第1の複数の空隙を、前記第2の複数の支柱および前記第2の複数の空隙に結合する、第3の複数の空隙を規定する第3の複数の支柱をさらに備える、請求項1に記載の外科用インプラントデバイス。
【請求項6】
前記固体表面は、前記外科用インプラントデバイスの外周に配置される、請求項1に記載の外科用インプラントデバイス。
【請求項7】
前記固体表面は、前記外科用インプラントデバイスの内部に配置される、請求項1に記載の外科用インプラントデバイス。
【請求項8】
前記固体表面および前記格子構造は、一体的に形成される、請求項1に記載の外科用インプラントデバイス。
【請求項9】
前記格子構造に対向する前記固体表面に隣接して配置された多孔質表面をさらに備える、請求項1に記載の外科用インプラントデバイス。
【請求項10】
前記固体表面および前記多孔質表面は、一体的に形成される、請求項9に記載の外科用インプラントデバイス。
【請求項11】
外科用インプラントデバイスを製造するための方法であって、
固体表面として仮想容積の一部を指定するステップと、
第1の複数の空隙を規定する第1の複数の支柱を配置する前記固体表面に隣接する前記仮想容積内に第1の複数の点を選択するステップと、
第2の複数の空隙を規定する第2の複数の支柱を配置する前記固体表面から離れた前記仮想容積内に第2の複数の点を選択するステップと、
前記第1の複数の点を使用して前記仮想容積内に前記第1の複数の空隙を規定する前記第1の複数の支柱を配置するステップと、
前記第2の複数の点を使用して前記仮想容積内に前記第2の複数の空隙を規定する前記第2の複数の支柱を配置するステップと
を含む、方法。
【請求項12】
前記第1の複数の支柱の各々が、前記第2の複数の支柱の各々の平均断面直径よりも小さい平均断面直径を有するように、前記仮想容積内の前記第1の複数の支柱および前記第2の複数の支柱の各々を厚化するステップをさらに含む、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記第1の複数の空隙の各々が、前記第2の複数の空隙の各々の平均内径よりも小さい平均内径を有するように、前記仮想容積内の前記第1の複数の支柱および前記第2の複数の支柱の各々を厚化するステップをさらに含む、請求項11に記載の方法。
【請求項14】
前記第1の複数の支柱および前記第1の複数の空隙が、前記第2の複数の支柱および前記第2の複数の空隙とほぼ等しい全体の物質密度を有するように、前記仮想容積内の前記第1の複数の支柱および前記第2の複数の支柱の各々を厚化するステップをさらに含む、請求項11に記載の方法。
【請求項15】
前記固体表面は、前記仮想容積の外周に配置される、請求項11に記載の方法。
【請求項16】
前記固体表面は、前記仮想容積の内部に配置される、請求項11に記載の方法。
【請求項17】
指定された固体表面、ならびに前記第1の複数の空隙を規定する配置された第1の複数の支柱および前記第2の複数の空隙を規定する第2の複数の支柱を含む前記仮想容積を使用して前記外科用インプラントデバイスを付加製造するステップをさらに含む、請求項11に記載の方法。
【請求項18】
前記固体表面に隣接する多孔質表面を規定するステップをさらに含む、請求項11に記載の方法。
【請求項19】
前記固体表面および前記多孔質表面を付加製造するステップをさらに含む、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
金属材料およびポリマー材料のうちの1つから前記固体表面および前記多孔質表面を付加製造するステップをさらに含む、請求項19に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、概して、外科用および医療用デバイスの分野に関する。より具体的には、本開示は、格子容積(lattice volume)を組み込んだ外科用インプラントデバイスおよび関連する製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
脊椎および他の整形外科用インプラントデバイスなどの様々な従来の外科用インプラントデバイスが存在し、それらは、特にこのような外科用インプラントデバイスが、金属および/またはポリマー材料から製造される場合、構造的完全性(structural integrity)および強度を維持することを試みながら、このような外科用インプラントデバイスにある程度の弾力性を与え、骨移植片の配置ならびに骨の内部成長および骨をつかむ(purchase)ための領域を提供することを意図する内部空隙(internal void)を組み込んでいる。一部の用途では軽量化も考慮され得る。これらの内部空隙は、例えば、別個の穴および/もしくは孔、支柱アセンブリ、および/または格子容積の形態を取る場合もある。しかしながら、今日まで、このような従来の外科用インプラントデバイスは、十分に機能しない、および/または製造が困難である。
【発明の概要】
【0003】
様々な例示的な実施形態において、本開示は、固体表面および内部格子容積(internal lattice volume)の両方を組み込んだ脊椎または他の整形外科用インプラントデバイスなどの外科用インプラントデバイスを提供する。具体的には、腰椎前方固定術(ALIF)ケージが例として提供される。この内部格子容積は、固体表面に隣接する、より多くの、より小さい細孔および細い(fine)支柱、ならびに固体表面から離れた、より少ない、より大きな細孔およびより厚い支柱を利用し、それによって優れた弾力性、骨の内部成長および骨のつかみ、ならびに構造完全性および強度特性(strength properties)を提供する。従来の内部空隙などもまた、骨移植片配置などのために設けられてもよい。本開示の外科用インプラントデバイスは、コンピュータ支援設計(CAD)モデルを使用して開発され、3次元(3D)プリンティングなどの付加製造(additive manufacturing)プロセス、または多くの従来の製造プロセスを使用して金属(例えば、チタン)またはポリマー(例えば、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK))材料から製造される。
【0004】
1つの例示的な実施形態において、本開示は、固体表面と、固体表面に隣接して配置された格子構造(lattice structure)であって、固体表面に隣接する第1の複数の空隙を規定(define)する第1の複数の支柱、および固体表面から離れた第2の複数の空隙を規定する第2の複数の支柱を備える、格子構造とを備える、外科用インプラントデバイスを提供する。第1の複数の支柱の各々は、第2の複数の支柱の各々の平均断面直径より小さい平均断面直径を有する。第1の複数の空隙の各々は、第2の複数の空隙の各々の平均内径より小さい平均内径を有する。第1の複数の支柱および第1の複数の空隙は、第2の複数の支柱および第2の複数の空隙とほぼ等しい全体の物質密度(material density)を有する。必要に応じて、格子構造は、第1の複数の支柱と第1の複数の空隙との間に配置され、第1の複数の支柱および第1の複数の空隙を、第2の複数の支柱および第2の複数の空隙に結合する、第3の複数の空隙を規定する第3の複数の支柱をさらに備える。必要に応じて、固体表面は、外科用インプラントデバイスの外周(external periphery)に配置される。あるいは固体表面は、外科用インプラントデバイスの内部に配置される。固体表面および格子構造は、一体的に形成される。外科用インプラントデバイスはまた、格子構造に対向する固体表面に隣接して配置されたニードル(針、needle)が実装された(needle-populated)多孔質表面を備える。固体表面およびニードルが実装された多孔質表面は、一体的に形成される。
【0005】
別の例示的な実施形態において、本開示は、外科用インプラントデバイスを製造するための方法であって、固体表面として仮想容積(virtual volume)の一部を指定するステップと、第1の複数の空隙を規定する第1の複数の支柱を配置する固体表面に隣接する仮想容積内に第1の複数の点を選択するステップと、第2の複数の空隙を規定する第2の複数の支柱を配置する固体表面から離れた仮想容積内に第2の複数の点を選択するステップと、第1の複数の点を使用して仮想容積内に第1の複数の空隙を規定する第1の複数の支柱を配置するステップと、第2の複数の点を使用して仮想容積内に第2の複数の空隙を規定する第2の複数の支柱を配置するステップとを含む、方法を提供する。この方法はまた、第1の複数の支柱の各々が、第2の複数の支柱の各々の平均断面直径より小さい平均断面直径を有するように、仮想容積内の第1の複数の支柱および第2の複数の支柱の各々を厚化(thickening)するステップを含む。この方法は、第1の複数の空隙の各々が、第2の複数の空隙の各々の平均内径より小さい平均内径を有するように、仮想容積内の第1の複数の支柱および第2の複数の支柱の各々を厚化するステップをさらに含む。この方法はさらに、第1の複数の支柱および第1の複数の空隙が、第2の複数の支柱および第2の複数の空隙とほぼ等しい全体の物質密度を有するように、仮想容積内の第1の複数の支柱および第2の複数の支柱の各々を厚化するステップをさらに含む。必要に応じて、固体表面は、仮想容積の外周に配置される。あるいは固体表面は、仮想容積の内部に配置される。この方法は、指定された固体表面、ならびに第1の複数の空隙を規定する配置された第1の複数の支柱および第2の複数の空隙を規定する第2の複数の支柱を含む仮想容積を使用して外科用インプラントデバイスを付加製造するステップをさらに含む。この方法はまた、固体表面に隣接するニードルが実装された多孔質表面を規定するステップを含む。この方法は、固体表面およびニードルが実装された多孔質表面を付加製造するステップをさらに含む。この方法は、金属材料およびポリマー材料のうちの1つから固体表面およびニードルが実装された多孔質表面を付加製造するステップを含む。
【0006】
本開示は、様々な図面を参照して示され、説明されており、必要に応じて、同様の参照番号が同様のデバイスの構成要素/方法のステップを示すために使用される。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】本開示のインプラントデバイスの1つの例示的な実施形態の斜視図である。
【
図2】
図1のインプラントデバイスを生成する全体的な方法論を示す概略図である。
【
図3】
図2の全体的な方法論におけるメッシュ生成ステップを示す概略図である。
【
図4】
図2の全体的な方法論における第1の点選択ステップを示す概略図である。
【
図5】
図2の全体的な方法論における第2の点選択ステップを示す概略図である。
【
図6】
図2の全体的な方法論における格子生成ステップを示す概略図である。
【
図7】
図2の全体的な方法論における支柱厚化ステップを示す概略図である。
【
図8】
図1のインプラントデバイスの外部を覆うことができるニードルが実装された(needle-populated)多孔質構造の1つの例示的な実施形態を示す概略図である。
【
図9】本開示の様々なクラウドベースの動作を実装するためのクラウドベースのシステムのネットワーク図である。
【
図10】
図9のクラウドベースのシステムなどに使用できるサーバのブロック図である。
【
図11】
図9のクラウドベースのシステムなどに使用できるユーザデバイスのブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
繰り返すが、本開示は、固体表面および内部格子容積(internal lattice volume)の両方を組み込んでいる脊椎または他の整形外科用インプラントデバイスなどの外科用インプラントデバイスを提供する。具体的には、ALIFケージが例として提供される。この内部格子容積は、固体表面に隣接する、より多数の、より小さな細孔および細い支柱、ならびに固体表面から離れた、より少数の、より大きな細孔およびより厚い支柱(thicker strut)を利用し、それによって、優れた弾性、骨の内部成長および骨のつかみ、ならびに構造的完全性および強度特性を提供する。従来の内部空隙なども、骨移植片の配置などのために提供され得る。本開示の外科用インプラントデバイスは、CADモデルを使用して開発され、3Dプリンティングなどの付加製造プロセス、又はより伝統的な製造プロセスを使用して金属(例えば、チタン)またはポリマー(例えば、PEEK)材料から製造される。
【0009】
ここで具体的に
図1を参照すると、1つの例示的な実施形態において、本開示のインプラントデバイス10は、1つまたは複数の固体表面12を備える。これらの固体表面12は、骨接触表面(bone contacting surface)、ねじ穴表面、ポート表面、構成要素受容表面(component receiving surface)、および/または同様のものを表す。固体表面12は、インプラントデバイス10の外周に周囲に配置されてもよいが、デバイスの中間表面(middevice surface)であってもよく、および/またはインプラントデバイス10の内周(internal periphery)の周囲に配置されてもよい。本明細書で使用される場合、「固体」は、隣接する格子容積14よりも比較的高い密度および/または低い多孔率(porosity)を有することを意味する。したがって、固体表面12は、一体の金属表面もしくはポリマー表面であってもよく、および/またはそれ自体が、隣接する格子容積14よりも低い程度の多孔率を備えてもよい。固体表面12は、インプラントデバイス12の外側全体、または外側の一部のみを取り囲むことができる。図示した例示的な実施形態において、ALIFケージ16には、骨接触表面、ねじ穴表面、およびねじ固定器受容表面(screw retainer receiving surface)に利用される固体表面12が設けられる。格子容積14は、ALIFケージ16の外周の周囲、およびALIFケージ16の中心に形成された骨移植片受容空隙(bone graft receiving void)18の内周の周囲で露出する。
【0010】
インプラントデバイス10の内部は、固体表面12に隣接して/固体表面12の間に配置された格子容積14から構成される。格子容積14は、固体表面12に隣接するより多数のより小さな細孔14a、および固体表面12から離れた、より小数の、より大きな細孔14bを規定する。対応して、格子容積14は、固体表面12に隣接する、より多数の、より細い支柱14c、および固体表面12から離れた、より少数の、より厚い支柱14dを利用する。これらの細孔14a、14bは、規則的またはランダムな形状、寸法、および/または容積を有してもよい。同様に、これらの支柱14c、14dは、規則的またはランダムな断面形状、長さ、および/または直径を有してもよい。
【0011】
繰り返すが、本開示のインプラントデバイス10は、CADモデルを使用して開発され、3Dプリンティングなどの付加製造プロセス、またはより伝統的な製造プロセスを使用して、金属(例えば、チタン)またはポリマー(例えば、PEEK)材料から製造される。付加製造の場合、固体表面12および支柱14c、14dを含む格子容積14は一体的に形成される。
【0012】
本明細書で以下により詳細に説明するように、固体表面12の1つまたは複数は、格子容積14に対向する、固体表面12の上に配置された多孔質表面20を備えることができる。この多孔質表面20は、骨のつかみを促進する単純な粗面化またはパターン化された表面から構成され得るか、またはこれは、骨のつかみをさらに促進するニードルが実装された二次格子容積22から構成され得る。繰り返すが、付加製造の場合、固体表面12およびニードルが実装された二次格子容積22を備える多孔質表面20の1つまたは複数は一体的に形成される。したがって、インプラントデバイス10は、固体表面12、介在格子容積(intervening lattice volume)14、および骨接触多孔質表面20を備える。
【0013】
図2は、
図1のインプラントデバイス10を生成する全体的な方法論(methodology)を示す概略図である。3つの別個の(distinct)領域:(1)固体表面12、(2)格子容積14、および(3)多孔質表面20を強調表示するCADモデル24が提供される。ソフトウェアアプリケーションを使用して、ボロノイ・ボリューム・ラティス(Voronoi Volume Lattice)(VVL)26が格子容積14において生成され、これは、そうでなければ格子容積14内に存在する固体材料を置き換える。このVVL26の生成は、VVL26の空隙または細孔の中心になる格子容積14内のランダムな点および/または順序付けられた点の選択を必要とする。ここで、順序付けられた点は、手動で生成されてもよく、立体幾何学に基づいて生成されてもよく、および/または数学的方程式によって生成されてもよい。所望の空隙または細孔密度の変化を達成するために、例えば、VVL26が、細分容積(サブボリューム、sub-volume)境界面で相互接続されるならば、格子容積14は、固体表面12に隣接する細分容積ではより細かく、固体表面12から離れた細分容積ではより粗いVVL粒度を有する細分容積または領域にセグメント化されてもよい。好ましくは、2つの点の離散セット(discrete set)が選択され、VVL26を生成するために利用される。
【0014】
ここで具体的に
図3を参照すると、点32の第1の離散セット(
図4)は、比較的細かい仮想メッシュ(virtual mesh)28を格子容積14に適用することによって選択される。この仮想メッシュ28は均一であってもよく、例えば、仮想メッシュが固体表面12と交差して、1.75~2mmのオーダーの縁部の長さ(edge lengths)を利用する。他の寸法も同様に使用できることは、当業者には容易に明らかであろう。
【0015】
ここで具体的に
図4を参照すると、次に固体表面12を有する仮想メッシュ28(
図3)の頂点30が、点32の第1の離散セットとして選択される。
【0016】
ここで具体的に
図5を参照すると、点34の第2の離散セットが、格子容積14内でランダムに選択または生成され、固体表面12に隣接して約3mm、および固体表面12から約4mm離れて間隔を空けられる。他の寸法も同様に使用できることは当業者には容易に明らかであろう。
【0017】
ここで具体的に
図6を参照すると、点32の第1の離散セット(
図4)および点34の第2の離散セット(
図5)は結合され、VVL26を生成するために使用され、点32、34は空隙または細孔の中心(または代替としてVVL26の支柱の交点)を表す。次に、VVL26は、格子容積14に適合するようにトリミングされる。その結果、格子容積14の骨格(skeleton)が得られる。全ての支柱が同じ断面直径を有すると、固体表面12に隣接する格子容積14はより厚く、多孔性がより少なく(
図1~5)、固体表面12から離れた格子容積14は、より細かく(finer)、多孔性がより多くなる。なぜなら、より多くの点32および空隙または細孔が固体表面12に隣接して設けられるからである。
【0018】
ここで具体的に
図7を参照すると、格子容積14の骨格が厚くなる。固体表面12に隣接する支柱14c(
図1~
図5)は、例えば、約0.45mmまで増加し、一方、固体表面12から離れた支柱14dは、例えば、約1mmまで増加する。他の寸法も同様に使用できることは、当業者には容易に明らかであろう。さらに、所与の支柱(given strut)14c、14dの厚さは、その長さに沿って変化させることができる。固体表面12に隣接している、より小さな支柱14cは、より小さく、より密度の高い細孔14aを取り囲み、固体表面12から離れたより大きな支柱14dは、より大きく、より密度の低い細孔14bを取り囲んでいるため、2つの領域は、多孔率が同等であり、例えば、60~85%であり得る。他の多孔率も同様に使用できることは当業者には容易に明らかであろう。支柱14c、14dは、円形、楕円形、三角形、正方形、長方形、五角形、八角形、不規則などの任意の適切な断面形状を有してもよい。
【0019】
図8は、インプラントデバイス10(
図1~5)の外側(exterior)を覆うことができるニードルが実装された多孔質構造22の1つの例示的な実施形態を示す概略図である。インプラントデバイス10は、以下のうちの少なくとも1つを備えることができる。
一次構造12、および一次構造12の少なくとも1つの外側部分(exterior portion)に形成される少なくとも1つの二次格子または多孔質表面部分36。
インプラント10が患者に移植されたときに患者の骨と係合するように配置される少なくとも1つの表面部分36。
このようなニードルが実装された金属表面部分22は、例えば、少なくとも50、100、200、500本またはそれ以上のニードル38a、38bの集合体を含むことができ、以下の特徴のうちの少なくとも1つ、2つ、3つ、4つ、5つまたはそれ以上をさらに特徴とすることができる。
(a)集合体(collection)のニードル38a、38bは全て、表面部分36に対して実質的に垂直に配向されている。
(b)集合体のニードル38a、38bは全て実質的に同じ方向に配向されており、その方向は表面部分36に対して垂直ではない。
(c)集合体のニードル38a、38bは全て実質的に同じ方向に配向されており、その方向は表面部分36に対して垂直ではないが、垂直方向から15度以内である。
(d)集合体のニードル38a、38bは全て実質的に同じ方向に配向されており、その方向は表面部分36に対して垂直ではなく、垂直方向から15度を超えている。
(e)集合体は、表面部分36に対して少なくとも3つの異なる方向に配向されたニードル38a、38bを含む。
(f)集合体は、表面部分36に対して少なくとも5つの異なる方向に配向されたニードル38a、38bを含み、ニードルの全ては表面部分の垂直方向から20度以内に配向される。
(g)集合体のニードル38a、38bの全ては実質的に同じ高さを有する。
(h)集合体は少なくとも3つの異なる高さのニードル38a、38bを含む。
(i)集合体のニードル38a、38bの全ては実質的に同じ形状を有する。
(j)集合体は少なくとも2つの異なる形状のニードル38a、38bを含む。
(k)ニードル38a、38bは、表面部分36上に実質的に均一に分布している。
(l)ニードル38a、38bは、表面部分36上に不均一に分布している。
(m)集合体のニードル38aの全ては一次構造12に固定されている。
(n)集合体のニードル38aのほとんどは一次構造12に固定されている。
(o)集合体のニードル38bのほとんどは、一次構造12の少なくとも1つの外側部分上の骨多孔性(osteo-porous)、骨由来(osteo-derived)または小柱(trabecular)コーティング36内に含まれる構造要素に固定されている。
ならびに/あるいは
(p)集合体のニードル38bの全ては、一次構造12の少なくとも1つの外側部分上の骨多孔性、骨由来または小柱コーティング36内に含まれる構造要素に固定されている。
少なくとも1つの外側部分22は、好ましくは、少なくとも1つの骨多孔性表面36を含み、この骨多孔性表面36は、少なくとも1つの骨由来表面36を含み得る。少なくとも1つの骨多孔性表面36およびニードル38a、38bは、付加製造プロセスによって同時に形成され得る。
【0020】
例示的な製造フローは、海綿骨サンプルから開始し、3Dスキャンデータを得るためにマイクロスキャンされ、その後、骨多孔性または骨由来のテクスチャを表す固体モデルデータに処理される。次に、このテクスチャデータは、後続の製造ステップのいずれかで使用するための製造ファイルを作成するためにインプラント全体の形状を表すデータと結合される。製造ファイルは、「.amf」形式または「.stl」形式などの任意の認識可能な固体モデル仕様を利用でき、任意の種類の永久的で非一時的な記憶媒体(例えば、CD、CD-ROM、フラッシュ)、半永久的(例えば、SRAM)もしくは一時的(例えば、DRAM)記憶媒体で実現され得るか、または符号化されたデータ信号で実現され得る。
【0021】
骨多孔性および/または骨由来のコーティング36の外面上に、外側に突き出た(outwardly-protruding)「ニードル」38a、38bを追加するさらなるステップが行われる。このようなニードル38a、38bは、インプラント表面22の摩擦係数を実質的に増加させる。高い摩擦係数を有することは、より強力な初期固定を提供するため、臨床的に有利であり、これは、骨が多孔質構造20上/内に成長することができる前に重要である。このようなニードル38a、38bは、均一または不均一に多孔質表面に沿って分布し得る。同様に、長方形、角錐形、円錐形、管形、とげ付きなどを含む、ニードル38a、38bの様々な形状が可能である。また、ニードル38a、38bは、外面に対して正確に垂直に配向される必要はないが、好ましくは、実質的に垂直(例えば、垂直から+/-15度以内)方向に配向される。さらに、全てのニードル38a、38bの配向および/または形状は、同じである必要はなく、ニードル38a、38bは、外側コーティング表面20の選択された部分または全体に与えられ(rendered)てもよい。
【0022】
この方法論は、インプラント本体12と、インプラント本体12に直接隣接して配置される多孔質層36とを含む表面22を生成および提供する。多孔質層36は、インプラント本体12の上に付加的に製造することができ、またはインプラント本体12と共に付加的に製造することができる。多孔質層36は、様々な厚さ、形状、および交点の巨視的でランダムに分布した確率的支柱の骨界面格子(bone-interfacing lattice)40から構成される。この格子40は、細孔サイズおよび全体の多孔率の点で海綿骨(cancellous bone)に匹敵し、したがって、それが適用される関連インプラント10の骨対向面(bone-opposition surface)に適用されると、好ましい骨反応(bone response)を引き出す。ニードル38a、38bは、多孔質層36および/またはインプラント本体12と共に付加的に製造され、ニードル38aの一部または全ては、多孔質層36の骨対向面から突出し、多孔質層36を通ってインプラント本体12に直接固定され、多孔質層36の骨対向面から突出する規則的またはランダムに配置された摩擦構造(friction structure)を形成する。これにより、有利なニードルの強度および安定性が提供される。多孔質層36内で、これらの貫通ニードル38aは、格子40の支柱の隣接部と一体的に形成されるか、そうでなければその隣接部に固定され、この場合もやはり有利なニードルの強度および安定性を提供する。1つの好ましい実施形態において、全てのニードル38aは、物理的にまたは動作モデリングの目的(対応する支持剛性を有する)のいずれかのために固体基板に0.004~0.006インチで植え付けられ、多孔質層36の骨対向面の上に約0.008インチ伸び、各ニードル38aの長さに沿って複数の介在する格子支柱接続を有する。ここで、ニードル38aは、例えば、一定断面積を有する0.2mm×0.2mmの直方体である。最適な骨摩擦係合(bone friction engagement)のために、好ましいニードル密度は0.3個のニードル/mm2であるか、または3.33mm2ごとに1個のニードル38aである。ニードル38aは、大部分が、多孔質層36およびインプラント本体12の骨対向面に対して垂直に配置されているが、多孔質層36およびインプラント本体12の骨対向面の曲率(curvature)により、互いに対して角度が付いていてもよい。完成した多孔質層ニードル構築物は、結果として得られる骨係合構造の粗さを促進するために、リン酸カルシウムでブラストされるか、または他の方法で表面処理される。あるいは、ニードル38bを備えた骨多孔性、骨由来、および/または小柱コーティング36は、骨多孔性、骨由来、および/または小柱コーティング36の骨対向面にのみ固定され、下にあるインプラント本体12は利用されなくてもよい。
【0023】
わずかに不規則な二次格子(secondary lattice)40は、理想的には、本開示による付加製造に適合される。ノードパータベーション(Node perturbation)とは、交差する支柱の位置を指す。このような交差位置は、ノードが均一な格子からランダムな距離または程度だけ逸脱するようにランダム化され得る。支柱サイズのランダム化とは、形状および長さだけでなく、断面寸法(例えば、支柱の直径)の偏差も指す。格子内の個別の支柱は、異なる断面サイズを有し得るか、または支柱は、一端から他端までの直径の勾配を有し得る。これらのパラメータは、格子の形状の多様性を高めるためにランダム化され得る。このようなわずかに不規則な格子は、そうでなければ規則的な格子が使用される可能性がある、あらゆる種類の医療用インプラントを製造するために使用することができる。
【0024】
本開示によって開示され、可能となる新規な構造は、付加製造を使用して製造されるものにのみ限定されるわけではないことを理解されたい。実際に、当業者が理解するように、他の公知の表面改質技法を使用して、本発明のインプラントの骨多孔性、骨由来、および/またはニードル含有テクスチャを生成することができる。
【0025】
本開示の方法論は、インプラント本体(または「溶融物」)およびインプラント本体に直接隣接して配置される多孔質層(または「構造」)を含む表面を提供する。多孔質層は、インプラント本体の上部に付加的に製造することができるか、またはインプラント本体と共に付加的に製造することができる。多孔質層は、様々な厚さ、形状、および交差点(intersection point)を持つ巨視的でランダムに分布した確率的支柱の骨界面格子から構成される。この格子は、孔径および全体の多孔率に関して海綿骨に匹敵するため、適用される関連インプラントの骨対向面に適用されると、有益な骨反応を引き出す。全体構造の生成は、以下のデータ準備プロセスフローのいくつかのCADモデリングプログラムを通じて達成される。CADモデリングソフトウェアは、様々な構造要素の設計エンベロープ(design envelope)(すなわち、容積)および空間的な関係(すなわち、重なり)を生成するために使用される。全体構造は、3つの特定の容積要素:溶融容積(melt volume)、構造容積(structure volume)、およびニードル容積(needle volume)から構成される。溶融容積は、付加製造プロセスの間に機械的インターフェースを確保するために、構造およびニードルが面して、重なり合う固体基板を規定するCAD容積である。ほとんどの状況では、溶融容積がデバイスの大部分を占める。構造容積は、ランダムで確率的な構造が生成される仮想境界条件を規定するCAD容積である。構造容積は、純粋に固体であり、格子を有しない。ニードル容積は、ランダムな突起が構造容積の領域を超えて広がる仮想境界条件を規定するCAD容積である。ニードル容積は、純粋に固体であり、ニードル(すなわち、突起)を有しない。CADアセンブリは、溶融容積、構造容積、およびニードル容積のパーツモデルを組み合わせる。構造容積要素およびニードル容積要素は、メイトインターフェース(mate interface)GUIを介して規定された座標系内で溶融容積と重なり合う。この重なりは、デバイスが製造される予定の付加製造技法の解像度および精度に基づく。CADアセンブリが規定された後、モデルは、「.stl」ファイル形式としてエクスポートされる。ファイルは追加のCADソフトウェアにインポートされ、以前に規定された構造容積要素およびニードル容積要素から構造およびニードルを生成するために使用される。構造容積を使用して、ユーザは、グラフィカルユーザインターフェース(GUI)アルゴリズムを実行する。このアルゴリズムは、CAD環境の座標系に対して規定された容積内に単位セルを適用する。このアルゴリズムは、容積内の単位セルの部分のみを生成するために単位セルのアレイと構造容積との間でブール演算(Boolean operation)を実行する。全体構造は、規定された寸法、形状、および容積の多孔質構造の単位セルを利用する。このアルゴリズムは、多孔質構造の単位セルを構造容積要素にわたるアレイとして複製し、次いで構造容積の境界内で単位セルをトリミングするために使用される。その結果が、元の構造容積エンベロープの容積を満たすランダムな確率的格子である構造である。構造生成と同様に、ニードルは、ニードル容積要素と、方程式駆動アルゴリズムによって生成される事前にプログラムされたファイルとの間の交差ブール演算(intersection Boolean operation)を介して生成される。事前にプログラムされたニードル要素は、CADソフトウェアにインポートされ、ニードル容積と空間的に位置合わせされる。ブール演算が実行され、結果として得られる形状は、ニードル容積によって事前に規定された境界内にランダムに配置されたニードル(すなわち、突起)のアレイである。構造およびニードルを首尾よく生成した後、構成要素は、「.stl」ファイルとしてエクスポートされる。次に、ファイルは、付加製造プロセスの準備として付加製造技法に固有のソフトウェアプログラムにインポートされる。この技法固有のソフトウェアプログラムは、付加製造装置に許容される規定された厚さでCADモデルをスライスし、パーツの構築オーダーの順序を規定し、露光戦略を適用する。これらのプログラムの結果は、物理的パーツを生成するために付加製造機械にインポートされ、実行される構築ファイルである。
【0026】
実施例によっては、本明細書で説明される技法のいずれかの特定の動作または事象は、異なる順序で実行でき、追加、融合、または完全に省略されてもよい(例えば、説明された動作または事象の全てが技法の実施に必ずしも必要ではない)ことが認識されるべきである。さらに、特定の例では、動作または事象は、順次ではなく、例えば、マルチスレッド処理、割り込み処理、または複数のプロセッサを通じて同時に実行されてもよい。
【0027】
図9は、本開示の様々なクラウドベースのサービスを実装するためのクラウドベースのシステム100のネットワーク図である。クラウドベースのシステム100は、インターネット104などに通信可能に接続された1つまたは複数のクラウドノード(CN)102を含む。クラウドノード102は、サーバ200(
図10に示す)などとして実装することができ、国中または世界中の様々なデータセンターに配置されるなど、地理的に互いに異なっていてもよい。さらに、クラウドベースのシステム100は、1つまたは複数の中央権限(central authority、CA)ノード106を含むことができ、これも同様にサーバ200として実装され、CN102に接続され得る。説明のために、クラウドベースのシステム100は、地域事務所110、本社120、様々な従業員の自宅130、ラップトップ/デスクトップ140、およびモバイルデバイス150に接続されてもよく、それらの各々は、CN102の1つに通信可能に接続され得る。これらのロケーション110、120、および130、ならびにデバイス140および150は、例示のために示されており、当業者であれば、クラウドベースのシステム100への様々なアクセスシナリオがあり、その全てが本明細書で企図されることを認識するであろう。デバイス140および150は、いわゆる出張者(road warriors)、すなわち、オフサイト、オンザロードなどのユーザであってもよい。クラウドベースのシステム100は、プライベートクラウド、パブリッククラウド、プライベートクラウドとパブリッククラウドの組み合わせ(ハイブリッドクラウド)などであってもよい。
【0028】
繰り返すが、クラウドベースのシステム100は、サービス型ソフトウェア(SaaS)、サービス型プラットフォーム、サービス型基盤(infrastructure)、サービス型セキュリティ、ネットワーク機能仮想化(NVF)基盤(NFVI)内の仮想ネットワーク機能(VNF)などのサービスを介して任意の機能性を、ロケーション110、120、および130、ならびにデバイス140および150に提供することができる。従来、情報技術(IT)展開モデルは、現場の従業員により、または仮想プライベートネットワーク(VPN)などを介してリモートでアクセス可能な、ファイアウォールの背後の企業ネットワーク(すなわち、物理デバイス)内に記憶された企業のリソースおよびアプリケーションを含んでいた。クラウドベースのシステム100は、従来の展開モデルに取って代わっている。クラウドベースのシステム100は、物理デバイスおよび企業IT管理者によるそれらの管理を必要とせずに、これらのサービスをクラウド内に実装するために使用することができる。
【0029】
クラウドコンピューティングのシステムおよび方法は、物理的なサーバ、ストレージ、ネットワーキングなどを取り除き、代わりにオンデマンドおよび柔軟なリソースとしてこれらを提供する。米国国立標準技術研究所(NIST)は簡潔で具体的な定義を提供し、その定義は、クラウドコンピューティングが、最小の管理努力またはサービスプロバイダとの対話で迅速にプロビジョニング(provisioned)およびリリースされ得る、構成可能なコンピューティングリソース(例えば、ネットワーク、サーバ、ストレージ、アプリケーション、およびサービス)の共有プールに対する便利でオンデマンドのネットワークアクセスを可能にするためのモデルであると記述する。クラウドコンピューティングは、クライアントのウェブブラウザなどによって実行および管理されるサーバからのアプリケーションを提供することによる伝統的なクライアントサーバモデルとは異なり、インストールされたクライアントバージョンのアプリケーションが必ずしも必要であるとは限らない。集中化は、クライアントに提供されるブラウザベースおよび他のアプリケーションのバージョンに対する完全な制御をクラウドサービスプロバイダに与え、それにより、個々のクライアントコンピューティングデバイス上のバージョン更新またはライセンス管理に対する必要性が取り除かれる。「サービス型ソフトウェア」(SaaS)という語句は、時々、クラウドコンピューティングを介して提供されるアプリケーションプログラムを記述するために使用される。提供されたクラウドコンピューティングサービス(またはさらに全ての既存のクラウドサービスの集約)のための共通の省略表現は「クラウド」である。クラウドベースのシステム100は、本明細書ではクラウドベースのシステムの例示的な一実施形態として示され、当業者は、本明細書に記載されたシステムおよび方法が必ずしもそれによって限定されるとは限らないことを認識するであろう。
【0030】
図10は、クラウドベースのシステム100(
図9)内、他のシステム内、またはスタンドアロンで使用され得るサーバ200のブロック図である。例えば、CN102(
図9)および中央権限ノード106(
図9)は、サーバ200のうちの1つまたは複数として形成される場合がある。サーバ200は、ハードウェアアーキテクチャの観点から、一般に、プロセッサ202、入力/出力(I/O)インターフェース204、ネットワークインターフェース206、データストア208、およびメモリ210を含むデジタルコンピュータであり得る。
図10は単純化し過ぎた方式でサーバ200を描写し、実際の実施形態は、本明細書に詳細に記載されていない既知または従来の動作機能をサポートするために、さらなる構成要素および適切に構成された処理ロジックを含む場合があることは、当業者によって理解されるべきである。構成要素(202、204、206、208、および210)は、ローカルインターフェース212を介して通信可能に結合される。ローカルインターフェース212は、例えば、限定されないが、当該技術分野で知られているように、1つもしくは複数のバスまたは他の有線もしくはワイヤレスの接続であり得る。ローカルインターフェース212は、通信を可能にするために、とりわけ、コントローラ、バッファ(キャッシュ)、ドライバ、リピータ、および受信機などの、簡潔にするために省略されたさらなる要素を有する場合がある。さらに、ローカルインターフェース212は、前述の構成要素間の適切な通信を可能にするために、アドレス、制御、および/またはデータの接続を含む場合がある。
【0031】
プロセッサ202は、ソフトウェア命令を実行するためのハードウェアデバイスである。プロセッサ202は、特注もしくは市販のプロセッサ、中央処理装置(CPU)、サーバ200に関連付けられたいくつかのプロセッサの中の補助プロセッサ、(マイクロチップもしくはチップセットの形態の)半導体ベースのマイクロプロセッサ、または一般にソフトウェア命令を実行するための任意のデバイスであり得る。サーバ200が動作中であるとき、プロセッサ202は、メモリ210内に記憶されたソフトウェアを実行して、メモリ210との間でデータを通信し、ソフトウェア命令に従ってサーバ200の動作を全体的に制御するように構成される。I/Oインターフェース204は、1つもしくは複数のデバイスまたは構成要素からユーザ入力を受信し、かつ/または1つもしくは複数のデバイスまたは構成要素にシステム出力を提供するために使用される場合がある。
【0032】
ネットワークインターフェース206は、サーバ200がインターネット104(
図9)などのネットワーク上で通信することを可能にするために使用される場合がある。ネットワークインターフェース206には、例えば、イーサネットカードもしくはアダプタ(例えば、10BaseT、ファーストイーサネット、ギガビットイーサネット、もしくは10GbE)またはワイヤレスローカルエリアネットワーク(WLAN)カードもしくはアダプタ(例えば、802.11a/b/g/n/ac)が含まれる場合がある。ネットワークインターフェース206は、ネットワーク上の適切な通信を可能にするために、アドレス、制御、および/またはデータの接続を含む場合がある。データストア208は、データを記憶するために使用される場合がある。データストア208は、揮発性メモリ要素(例えば、ランダムアクセスメモリ(DRAM、SRAM、SDRAMなどのRAM))、不揮発性メモリ要素(例えば、ROM、ハードドライブ、テープ、CDROMなど)、およびそれらの組み合わせのうちのいずれかを含む場合がある。その上、データストア208は、電子、磁気、光、および/または他のタイプの記憶媒体を組み込むことができる。一例では、データストア208は、例えば、サーバ200内のローカルインターフェース212に接続された内部ハードドライブなどの、サーバ200の内部に位置する場合がある。さらに、別の実施形態では、データストア208は、例えば、I/Oインターフェース204(例えば、SCSI接続またはUSB接続)に接続された外部ハードドライブなどの、サーバ200の外部に位置する場合がある。さらなる実施形態では、データストア208は、例えば、ネットワーク接続型ファイルサーバなどのネットワークを介してサーバ200に接続される場合がある。
【0033】
メモリ210は、揮発性メモリ要素(例えば、ランダムアクセスメモリ(DRAM、SRAM、SDRAMなどのRAM))、不揮発性メモリ要素(例えば、ROM、ハードドライブ、テープ、CDROMなど)、およびそれらの組み合わせのうちのいずれかを含む場合がある。その上、メモリ210は、電子、磁気、光、および/または他のタイプの記憶媒体を組み込むことができる。メモリ210は、様々な構成要素が互いに離れて位置するが、プロセッサ202によってアクセスすることができる、分散アーキテクチャを有する場合があることに留意されたい。メモリ210内のソフトウェアは1つまたは複数のソフトウェアプログラムを含む場合があり、それらの各々は、論理機能を実装するための実行可能命令の順序付けされたリスティング(ordered listing)を含む。メモリ210内のソフトウェアは、適切なオペレーティングシステム(O/S)514および1つまたは複数のプログラム216を含む。オペレーティングシステム214は、基本的に1つまたは複数のプログラム216などの他のコンピュータプログラムの実行を制御し、スケジューリング、入出力制御、ファイルおよびデータ管理、メモリ管理、ならびに通信制御および関連サービスを提供する。1つまたは複数のプログラム216は、本明細書に記載された様々なプロセス、アルゴリズム、方法、技法(techniques)などを実装するように構成される場合がある。
【0034】
本明細書に記載されたいくつかの実施形態は、マイクロプロセッサ、中央処理装置(CPU)、デジタル信号プロセッサ(DSP)、ネットワークプロセッサ(NP)またはネットワーク処理装置(NPU)、グラフィックス処理装置(GPU)などの特製プロセッサ、特定の非プロセッサ回路と連携して、本明細書に記載された方法および/またはシステムの機能のいくつか、ほとんど、または全てを実装するようにそれを制御するための独自の記憶された(ソフトウェアおよびファームウェアの両方を含む)プログラム命令と共にフィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)などの、1つまたは複数の汎用プロセッサまたは専用プロセッサ(「1つまたは複数のプロセッサ」)を含む場合があることを理解されたい。あるいは、いくつかまたは全ての機能は、記憶されたプログラム命令をもたない状態機械により、または各機能もしくはある特定の機能のいくつかの組み合わせがカスタムロジックもしくはカスタム回路としてそれらの中に実装される1つもしくは複数の特定用途向け集積回路(ASIC)内に実装される場合がある。当然、前述の手法の組み合わせが使用されてもよい。本明細書に記載された実施形態のうちのいくつかの場合、任意選択でソフトウェア、ファームウェア、およびそれらの組み合わせを有するハードウェア内の対応するデバイスは、様々な実施形態について本明細書に記載されたように、デジタル信号および/またはアナログ信号に対する動作、ステップ、方法、プロセス、アルゴリズム、機能、技法などのセットを実行するように「構成または適合された回路」、「構成または適合されたロジック」などと呼ぶことができる。
【0035】
その上、いくつかの実施形態は、それらの各々が本明細書に記載され特許請求された機能を実行するためにプロセッサを含む場合がある、コンピュータ、サーバ、アプライアンス(家電、appliance)、デバイス、プロセッサ、回路などをプログラムするために、そこに記憶されたコンピュータ可読コードを有する非一時的コンピュータ可読記憶媒体を含む場合がある。そのようなコンピュータ可読記憶媒体の例には、限定されないが、ハードディスク、光ストレージデバイス、磁気ストレージデバイス、読取り専用メモリ(ROM)、プログラマブル読取り専用メモリ(PROM)、消去可能プログラマブル読取り専用メモリ(EPROM)、電気的消去可能プログラマブル読取り専用メモリ(EEPROM)、フラッシュメモリなどが含まれる。非一時的コンピュータ可読媒体に記憶されるとき、ソフトウェアは、プロセッサまたはデバイス(例えば、任意のタイプのプログラマブル回路またはプログラマブルロジック)によって実行可能な命令を含むことができ、命令は、そのような実行に応答して、様々な実施形態について本明細書に記載された動作、ステップ、方法、プロセス、アルゴリズム、機能、技法などのセットをプロセッサまたはデバイスに実行させる。
【0036】
図11は、クラウドベースのシステム100(
図9)などで使用され得るユーザデバイス300のブロック図である。繰り返すが、ユーザデバイス300は、スマートフォン、タブレット、スマートウォッチ、モノのインターネット(IoT)デバイス、ラップトップ、仮想現実(VR)ヘッドセットなどであり得る。ユーザデバイス300は、ハードウェアアーキテクチャの観点から、一般に、プロセッサ302、I/Oインターフェース304、無線306、データストア308、およびメモリ310を含むデジタルデバイスであり得る。
図18は単純化し過ぎた方式でユーザデバイス300を描写し、実際の実施形態は、本明細書に詳細に記載されていない既知または従来の動作機能をサポートするために、さらなる構成要素および適切に構成された処理ロジックを含む場合があることは、当業者によって理解されるべきである。構成要素(302、304、306、308、および310)は、ローカルインターフェース312を介して通信可能に結合される。ローカルインターフェース312は、例えば、限定されないが、当該技術分野で知られているように、1つもしくは複数のバスまたは他の有線もしくはワイヤレスの接続であり得る。ローカルインターフェース312は、通信を可能にするために、とりわけ、コントローラ、バッファ(キャッシュ)、ドライバ、リピータ、および受信機などの、簡潔にするために省略されたさらなる要素を有する場合がある。さらに、ローカルインターフェース312は、前述の構成要素間の適切な通信を可能にするために、アドレス、制御、および/またはデータの接続を含む場合がある。
【0037】
プロセッサ302は、ソフトウェア命令を実行するためのハードウェアデバイスである。プロセッサ302は、特注もしくは市販のプロセッサ、CPU、ユーザデバイス300に関連付けられたいくつかのプロセッサの中の補助プロセッサ、(マイクロチップもしくはチップセットの形態の)半導体ベースのマイクロプロセッサ、または一般にソフトウェア命令を実行するための任意のデバイスであり得る。ユーザデバイス300が動作中であるとき、プロセッサ302は、メモリ310内に記憶されたソフトウェアを実行して、メモリ310との間でデータを通信し、ソフトウェア命令に従ってユーザデバイス300の動作を全体的に制御するように構成される。一実施形態では、プロセッサ302は、電力消費およびモバイルアプリケーション向けに最適化されたプロセッサなどのモバイル最適化プロセッサを含む場合がある。I/Oインターフェース304は、ユーザ入力を受信し、および/またはシステム出力を提供するために使用することができる。ユーザ入力は、例えば、キーパッド、タッチスクリーン、スクロールボール、スクロールバー、ボタン、バーコードスキャナなどを介して提供することができる。システム出力は、液晶ディスプレイ(LCD)、タッチスクリーンなどのディスプレイデバイスを介して提供することができる。
【0038】
無線306は、外部のアクセスデバイスまたはネットワークへのワイヤレス通信を可能にする。任意の数の適切なワイヤレスデータ通信のプロトコル、技法、または方法論が、ワイヤレス通信用の任意のプロトコルを含む無線306によってサポートすることができる。データストア308は、データを記憶するために使用される場合がある。データストア308は、揮発性メモリ要素(例えば、ランダムアクセスメモリ(DRAM、SRAM、SDRAMなどのRAM))、不揮発性メモリ要素(例えば、ROM、ハードドライブ、テープ、CDROMなど)、およびそれらの組み合わせのうちのいずれかを含む場合がある。その上、データストア308は、電子、磁気、光、および/または他のタイプの記憶媒体を組み込むことができる。
【0039】
繰り返すが、メモリ310は、揮発性メモリ要素(例えば、ランダムアクセスメモリ(DRAM、SRAM、SDRAMなどのRAM))、不揮発性メモリ要素(例えば、ROM、ハードドライブなど)、およびそれらの組み合わせのうちのいずれかを含む場合がある。その上、メモリ310は、電子、磁気、光、および/または他のタイプの記憶媒体を組み込むことができる。メモリ310は、様々な構成要素が互いに離れて位置するが、プロセッサ302によってアクセスすることができる、分散アーキテクチャを有する場合があることに留意されたい。メモリ310内のソフトウェアは1つまたは複数のソフトウェアプログラムを含むことができ、それらの各々は、論理機能を実装するための実行可能命令の順序付けされたリスティングを含む。
図11の例では、メモリ310内のソフトウェアは、適切なオペレーティングシステム314およびプログラム316を含む。オペレーティングシステム314は、基本的に他のコンピュータプログラムの実行を制御し、スケジューリング、入出力制御、ファイルおよびデータ管理、メモリ管理、ならびに通信制御および関連サービスを提供する。プログラム316は、ユーザデバイス300にエンドユーザ機能性を提供するように構成された様々なアプリケーション、アドオンなどを含む場合がある。例えば、例示的なプログラム316には、限定されないが、ウェブブラウザ、ソーシャルネットワーキングアプリケーション、ストリーミングメディアアプリケーション、ゲーム、マッピングおよび位置特定アプリケーション、電子メールアプリケーション、財務アプリケーションなどが含まれる場合がある。典型的な例では、エンドユーザは、典型的に、クラウドベースのシステム100(
図9)などのネットワークと共にプログラム316のうちの1つまたは複数を使用する。
【0040】
本開示は、好ましい実施形態およびそれらの具体例を参照して本明細書に例示および記載されているが、他の実施形態および例が同様の機能を実行し、かつ/または同様の結果を達成することができることは、当業者には容易に明らかになる。全てのそのような均等な実施形態および例は、本開示の趣旨および範囲内にあり、それによって考察され、全ての目的のために以下の非限定的な特許請求の範囲によって包含されるものである。
【国際調査報告】