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特表2023-546294GP130シグナル伝達経路の小分子モジュレーター、局所製剤およびその使用方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-11-01
(54)【発明の名称】GP130シグナル伝達経路の小分子モジュレーター、局所製剤およびその使用方法
(51)【国際特許分類】
   C07D 401/12 20060101AFI20231025BHJP
   C07D 417/12 20060101ALI20231025BHJP
   C07D 413/12 20060101ALI20231025BHJP
   A61K 31/4439 20060101ALI20231025BHJP
   C07D 513/04 20060101ALI20231025BHJP
   A61K 31/437 20060101ALI20231025BHJP
   A61K 31/506 20060101ALI20231025BHJP
   A61K 31/497 20060101ALI20231025BHJP
   A61K 31/53 20060101ALI20231025BHJP
   A61K 31/444 20060101ALI20231025BHJP
   C07D 213/81 20060101ALI20231025BHJP
   C07D 417/14 20060101ALI20231025BHJP
   A61K 31/5377 20060101ALI20231025BHJP
   A61K 31/496 20060101ALI20231025BHJP
   C07D 413/14 20060101ALI20231025BHJP
   A61P 19/02 20060101ALI20231025BHJP
   A61P 29/00 20060101ALI20231025BHJP
   A61K 45/00 20060101ALI20231025BHJP
   A61K 9/16 20060101ALI20231025BHJP
   A61P 9/00 20060101ALI20231025BHJP
   A61P 17/14 20060101ALI20231025BHJP
   A61P 25/00 20060101ALI20231025BHJP
   A61P 17/00 20060101ALI20231025BHJP
   A61P 17/06 20060101ALI20231025BHJP
   A61P 1/04 20060101ALI20231025BHJP
   A61P 11/00 20060101ALI20231025BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20231025BHJP
   A61K 9/08 20060101ALI20231025BHJP
   A61K 9/107 20060101ALI20231025BHJP
   A61K 9/06 20060101ALI20231025BHJP
   A61K 47/36 20060101ALI20231025BHJP
   A61K 47/42 20170101ALI20231025BHJP
   A61K 47/22 20060101ALI20231025BHJP
【FI】
C07D401/12
C07D417/12
C07D413/12
A61K31/4439
C07D513/04 301
A61K31/437
A61K31/506
A61K31/497
A61K31/53
A61K31/444
C07D213/81
C07D417/14
A61K31/5377
A61K31/496
C07D413/14
A61P19/02
A61P29/00
A61K45/00
A61K9/16
A61P9/00
A61P17/14
A61P25/00
A61P17/00
A61P17/06
A61P29/00 101
A61P1/04
A61P11/00
A61P43/00 105
A61K9/08
A61K9/107
A61K9/06
A61K47/36
A61K47/42
A61K47/22
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023548538
(86)(22)【出願日】2021-10-15
(85)【翻訳文提出日】2023-06-13
(86)【国際出願番号】 US2021055317
(87)【国際公開番号】W WO2022082071
(87)【国際公開日】2022-04-21
(31)【優先権主張番号】63/093,140
(32)【優先日】2020-10-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】63/093,102
(32)【優先日】2020-10-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523141002
【氏名又は名称】カルスロニクス, インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】CARTHRONIX, INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100189131
【弁理士】
【氏名又は名称】佐伯 拓郎
(74)【代理人】
【識別番号】100182486
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 正展
(74)【代理人】
【識別番号】100147289
【弁理士】
【氏名又は名称】佐伯 裕子
(72)【発明者】
【氏名】ゴールズベリー, スーザン
(72)【発明者】
【氏名】ガルシネス, リンドン, シト
(72)【発明者】
【氏名】ヴァン ハンデル, ベン
(72)【発明者】
【氏名】ジャンバクシュ, アミルホサイン, ノバクト
(72)【発明者】
【氏名】エヴシエンコ, デニス
【テーマコード(参考)】
4C055
4C063
4C072
4C076
4C084
4C086
【Fターム(参考)】
4C055AA01
4C055BA02
4C055BA03
4C055BA08
4C055BA53
4C055BA58
4C055BB10
4C055CA01
4C055CA02
4C055CA39
4C055DA01
4C055EA01
4C063AA01
4C063AA03
4C063BB03
4C063BB07
4C063BB09
4C063CC29
4C063CC34
4C063CC41
4C063CC43
4C063CC52
4C063CC58
4C063CC61
4C063CC62
4C063CC67
4C063CC78
4C063DD03
4C063DD10
4C063DD12
4C063DD22
4C063DD25
4C063DD29
4C063DD34
4C063DD51
4C063DD62
4C063EE01
4C072AA01
4C072CC02
4C072CC16
4C072EE13
4C072FF07
4C072GG08
4C072HH07
4C076AA06
4C076AA09
4C076AA11
4C076AA17
4C076AA31
4C076BB01
4C076BB11
4C076BB16
4C076BB31
4C076CC01
4C076CC04
4C076CC09
4C076CC11
4C076CC15
4C076CC16
4C076CC18
4C076CC20
4C076DD59
4C076EE37
4C076EE41
4C076GG41
4C084AA19
4C084MA16
4C084MA22
4C084MA27
4C084MA28
4C084MA52
4C084MA63
4C084MA66
4C084NA05
4C084ZA961
4C084ZA962
4C084ZB111
4C084ZB112
4C086AA01
4C086AA02
4C086AA03
4C086BC39
4C086BC48
4C086BC64
4C086BC69
4C086BC70
4C086BC71
4C086BC73
4C086BC79
4C086BC84
4C086BC85
4C086CB27
4C086GA02
4C086GA07
4C086GA08
4C086GA09
4C086GA10
4C086MA01
4C086MA04
4C086MA16
4C086MA22
4C086MA27
4C086MA28
4C086MA41
4C086MA52
4C086MA63
4C086MA66
4C086NA05
4C086NA14
4C086ZA01
4C086ZA36
4C086ZA59
4C086ZA68
4C086ZA89
4C086ZA96
4C086ZB11
4C086ZB15
(57)【要約】
新規なスキンケア治療の小分子モジュレーター、組成物、製剤、および使用方法を本明細書に開示する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(X)の構造を有する化合物:
ここで、
Wは-C(R)(R)-、-C(O)-、-C(S)-、-0-、-S-または-N(R)-であり、
Vは-C(R)(R)-、-C(O)-、-C(S)-、-0-、-S-または-N(R)-であり、
Xは、
であり、
Yは存在しない、
であり、
Zは
であり、
~X13は、独立して、C、N、SまたはOから選択され、
~Yは、独立して、C、N、またはOから選択され、
~Z11は、独立して、C、N、またはOから選択され、
vは0、1または2であり、
各R~Rは、独立して、H、D、または(C~C)アルキルであり、
各R~Rは、独立して、H、D、ハロ、(C~C)アルコキシル、または(C~C)アルキルであり、
各R~R19は、独立して、H、D、(C~C)アルキル、(C~C)ハロアルキル、(C~C)アルケニル、ハロ、シアノ、ヒドロキシル、ニトロ、チオール、アミノ、(C~C)アルコキシル、
であり、
ここで、nは1~5の整数であり、
20~R23は、独立して、H、Dまたは(C~C)アルキルであり、
24~R34は、独立して、H、D、(C~C)アルキル、(C~C)ハロアルキル、(C~C)アルケニル、ハロ、シアノ、ヒドロキシル、ニトロ、チオール、アミノ、メトキシ、または、
であり;
各R2’~R3’は、独立して、H、D、(C~C)アルキル、(C~C)ハロアルキル、(C~C)アルケニル、ハロ、シアノ、ヒドロキシル、ニトロ、チオール、アミノ、(C~C)アルコキシル、
または、その薬学的に許容される塩である。
【請求項2】
式(X-A):
の構造を有する、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
式(XB):
の構造を有する、請求項1に記載の化合物。
【請求項4】
式(X-C):
の構造を有する、請求項1に記載の化合物。
【請求項5】
式(X-D):
の構造を有する、請求項1に記載の化合物。
【請求項6】
前記化合物が、表1および表2の化合物から選択される化合物である、請求項1に記載の化合物。
【請求項7】
請求項1ないし6のいずれか一項に記載の化合物を1つ以上含む医薬組成物。
【請求項8】
薬学的に許容される担体をさらに含む、請求項7に記載の医薬組成物。
【請求項9】
炎症を治療し、関節痛を軽減し、関節変性を予防し、または軟骨再生を促進するのに有効な量の式(X)の化合物を1つ以上含む、請求項7または8に記載の医薬組成物。
【請求項10】
前期化合物が、gp130、SRC、NF-κB、YAP、p38、ERK1/2、STAT3、MYC、MMP13、ADAMTS4、COL2および/またはACANの発現および/または活性を調節することを特徴とする、請求項7~9のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項11】
変形性関節症に罹患しているヒト対象への投与時に有効であるように製剤化された、請求項7~10のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項12】
関節内注射、経口投与または局所送達による投与のために製剤化された、請求項7~11のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項13】
アルキル化剤、がん免疫療法モノクローナル抗体、代謝拮抗剤、有糸分裂阻害剤、抗腫瘍抗生物質、トポイソメラーゼ阻害剤、光増感剤、チロシンキナーゼ阻害剤、抗がん剤、化学療法剤、抗片頭痛処置剤、抗痙攣剤、粘液溶解剤、鬱血除去剤、抗アレルギー性非ステロイド剤、去痰剤、抗ヒスタミン処置剤、抗レトロウイルス剤、CYP3A阻害剤、CYP3A誘導剤、プロテアーゼ阻害剤、アドレナリン作動性アゴニスト、抗コリン作動性剤、肥満細胞安定剤、キサンチン、ロイコトリエン拮抗薬、糖質コルチコイド治療剤、抗菌剤、抗真菌剤、敗血症治療剤、ステロイド剤、局所麻酔剤または全身麻酔剤、NSAIDS、NRI、DARI、SNRI、鎮静剤、NDRI、SNDRI、モノアミンオキシダーゼ阻害剤、視床下部リン脂質、制吐剤、ECE阻害剤、オピオイド、トロンボキサン受容体拮抗薬、カリウムチャネル開口薬、トロンビン阻害剤、成長因子阻害剤、抗血小板剤、P2Y(AC)アンタゴニスト、抗凝固剤、低分子量ヘパリン、Via因子阻害剤、Xa因子阻害剤、レニン阻害剤、NEP阻害剤、バソペプチダーゼ阻害剤、スクアレンシンセターゼ阻害剤、抗アテローム性動脈硬化剤、MTP阻害剤、カルシウムチャネル遮断剤、カリウムチャネル活性化剤、α-ムスカリン剤、β-ムスカリン剤、抗不整脈剤、利尿剤、血栓溶解剤、抗糖尿病剤、ミネラルコルチコイド受容体アンタゴニスト、成長ホルモン分泌促進物質、aP2阻害剤、ホスホジエステラーゼ阻害剤、抗炎症剤、抗増殖剤、抗生物質、ファメシルタンパク質トランスフェラーゼ阻害剤、ホルモン剤、植物由来産物、エピポドフィロトキシン、タキサン、プレニルタンパク質トランスフェラーゼ阻害剤、抗TNF抗体および可溶性TNF受容体、シクロオキシゲナーゼ-2阻害剤、ならびにその他の薬剤からなる群より選択されるさらなる治療化合物をさらに含む、請求項7~12のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項14】
前期組成物がミクロスフェアをさらに含み、徐放性送達のために製剤化されるものである、請求項7~13のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項15】
炎症、炎症性疾患または障害を治療し、関節痛を軽減し、関節変性を予防し、または軟骨再生を促進する方法であって、それを必要とする25歳以上のヒト対象において、有効量の請求項1~6のいずれか一項に記載の化合物または請求項7~14のいずれか一項に記載の組成物を対象に投与することを含む、方法。
【請求項16】
前期炎症性疾患または障害が、gp130活性化によって増強されるものであり、かつ
、脳卒中、心疾患、軟骨変性、脱毛、関節炎、神経変性障害、加齢、乾癬、酒さ、狼瘡、関節リウマチ、炎症性腸疾患、線維症、炎症および/または慢性炎症からなる群より選択される、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
gp130活性化によって増強される細胞増殖性疾患または障害を、それを必要とするヒト対象において治療する方法であって、前記対象に、有効量の請求項1~6のいずれか一項に記載の化合物または請求項7~14のいずれか一項に記載の組成物を投与することを含む、方法。
【請求項18】
gp130活性化によって増強される疼痛状態を、それを必要とするヒト対象において治療または改善する方法であって、有効量の請求項1~6のいずれか一項に記載の化合物または請求項7~14のいずれか一項に記載の組成物を対象に投与することを含み、前記疼痛状態が、神経因性疼痛、炎症性疼痛、頭痛、体性疼痛、内臓疼痛、筋骨格疼痛、頭蓋顔面疼痛、他の体性形態の疼痛および連関痛からなる群より選択される疼痛状態である、方法。
【請求項19】
細胞を、請求項1~6のいずれか一項に記載の化合物または請求項7~14のいずれか一項に記載の組成物と接触させることを含む、細胞においてIL-6ファミリーサイトカイン媒介性炎症応答を調節する方法。
【請求項20】
前記細胞が軟骨細胞または滑膜細胞である、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
薬学的に許容される担体と、請求項1~6のいずれか一項に記載の化合物または請求項7~14のいずれか一項に記載の組成物と、を含む組成物。
【請求項22】
有効量の請求項1~6のいずれか一項に記載の化合物または請求項7~14のいずれか一項に記載の組成物を対象に投与することを含む、急性または慢性炎症状態を治療する方法。
【請求項23】
細胞を、請求項1~6のいずれか一項に記載の化合物または請求項7~14のいずれか一項に記載の組成物と接触させることを含む、前記細胞における活性化された炎症経路を減少させる方法。
【請求項24】
細胞または対象を、請求項1~6のいずれか一項に記載の化合物または請求項7~14のいずれか一項に記載の組成物と接触させることを含む、炎症誘発性遺伝子、サイトカインまたはメディエーターの産生または誘導を阻害する方法。
【請求項25】
細胞外マトリックス分解酵素の産生または誘導を阻害する方法であって、細胞または対象を、請求項1~6のいずれか一項に記載の化合物または請求項7~14のいずれか一項に記載の組成物と接触させることを含む方法。
【請求項26】
細胞を、請求項1~6のいずれか一項に記載の化合物または請求項7~14のいずれか一項に記載の組成物と接触させることを含む、細胞内のSTAT3および/またはMYCレベルを調節する方法。
【請求項27】
前記細胞が軟骨細胞、幹細胞もしくは前駆細胞、マクロファージ、線維芽細胞、またはT細胞である、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
請求項1~6のいずれか一項に記載の化合物を含む局所製剤。
【請求項29】
前記化合物が、ヒト皮膚細胞の標的集団においてgp130シグナル伝達経路メンバーの活性を調節するのに有効な量で存在する、請求項28に記載の局所製剤。
【請求項30】
前記化合物が、gp130シグナル伝達分子と直接相互作用する、請求項28~29のいずれか一項に記載の局所製剤。
【請求項31】
前記化合物が、gp130シグナル伝達の下流の分子の活性および/または発現を調節する、請求項28~30のいずれか一項に記載の局所製剤。
【請求項32】
前記化合物が、ヒト皮膚細胞の標的集団において、(i)STAT3遺伝子の発現および/または(ii)STAT3ポリペプチドのレベルおよび/または活性を有意に増加させる、請求項28~31のいずれか一項に記載の局所製剤。
【請求項33】
前記化合物が、標的細胞集団においてNF-κB活性化を増加させない、請求項28~32のいずれか一項に記載の局所製剤。
【請求項34】
前記局所製剤が、本質的に顔、手、首からなる群から選択される皮膚表面への局所投与のために製剤化される、請求項28~33のいずれか一項に記載の局所製剤。
【請求項35】
前記化合物が、約100nM~約500μMの濃度で存在する、請求項28~34のいずれか一項に記載の局所製剤。
【請求項36】
製剤1000ml当たり2.70mgの前記化合物を含む、請求項28~35のいずれか一項に記載の局所製剤。
【請求項37】
DL-α-トコフェロール、BV-OSC、ヒアルロン酸ナトリウムクロスポリマー、N-プロリルパルミトイルトリペプチド-56酢酸塩をさらに含む、請求項28~36のいずれか一項に記載の局所製剤。
【請求項38】
前記製剤が、約0.095%WT/WT~約0.105%WT/WTの濃度のDL-α-トコフェロール、約0.475%WT/WT~約0.525%WT/WTの濃度のBV-OSC、約0.95%WT/WT~約1.05%WT/WTの濃度のヒアルロン酸ナトリウムクロスポリマー、約1.9%WT/WT~約2.1%WT/WTの濃度のN-プロリルパルミトイルトリペプチド-56アセテートを含む、請求項37に記載の局所製剤。
【請求項39】
前期化合物の経皮または皮下送達のために製剤化される、請求項28~38のいずれか一項に記載の局所製剤。
【請求項40】
液体、ゲル、クリームまたは軟膏として製剤化される、請求項28~39のいずれか一項に記載の局所製剤。
【請求項41】
室温で安定である、請求項28~40のいずれか一項に記載の局所製剤。
【請求項42】
立体的に安定化された水中油(o/w)エマルジョンである、請求項28~41のいずれか一項に記載の局所製剤。
【請求項43】
標的組織を、有効量の請求項28~42のいずれか一項に記載の局所製剤と接触させる工程を含む、それを必要とするヒト対象の標的組織における炎症を低減または予防する方法。
【請求項44】
ヒト皮膚細胞の標的集団においてgp130シグナル伝達経路メンバーの活性または発現を有意に調節するのに有効な量の化合物の局所製剤を製造する方法であって、下記a~dを含む方法:
a.第1の部分を形成する工程であり、以下の工程を含む工程:
i.主処理タンクに、ジメチコン、ポリシリコーン-11、イソヘキサデカン、アンモニウムポリアクリロイルジメチルタウレート、酢酸トコフェリル、ポリソルベート80、およびポリソルベート20の混合物を含む第1成分を、プロペラミキサーおよびサイドスイープを備えた処理タンクに添加する工程;
ii.イソドデカンを含む第2成分を添加し、よく混合する工程;
iii.ポリソルベート20を含む第3成分を添加し、よく混合する工程;
iv.テトラヘキシルデシルアスコルビン酸を含む第4成分を添加し、よく混合する工程;
v.シュウ酸メンチルエチルアミドを含む第5成分を添加し、よく混合する工程;および
vi.香料添加剤を含む第6成分を添加し、製剤の第1の部分を完全に均一になるまで混合する工程;

b.別個の容器内に第2の部分を形成する工程であり、以下の工程を含む工程:
i.トコフェロールと表1の化合物とを混合してプレミックスを形成する工程;および
ii.化合物が完全に溶解することを確実にする工程;次いで、第2の部分を前記主処理タンク内の前記第1の部分に添加し、前記第1の部分と前記第2の部分との組み合わせが完全に均一になるまで混合する工程;および

c.第3の容器内で第3の部分を形成する工程であり、以下の工程を含む工程:
i.脱イオン水を添加し、中程度の速度で混合を開始する。
ii.EDTA二ナトリウムおよび/またはフィチン酸ナトリウム、および/またはエチレンジアミン四酢酸三ナトリウムを添加し、よく混合する工程;
iii.ブチレングリコールを添加し、よく混合する工程;
iv.イソヘキサデカン、アンモニウムポリアクリロイルジメチルタウレート、およびポリソルベート80を含む混合物を添加し、よく混合する工程;
v.ペンチレングリコールを添加し、よく混合する工程;
vi.水、ペンチレングリコール、エチルヘキシルグリセリン、およびヒアルロン酸ナトリウムクロスポリマーを含む混合物を添加し、よく混合する工程;
vii.水、ペンチレングリコール、カプリリルグリコール、およびN-プロリルパルミトイルトリペプチド-56アセテートを含む混合物を添加し、よく混合する工程;
viii.グリセリンとAcer Rubrum抽出物を含む混合物を添加し、よく混合する工程;
ix.水、Spondias mombinパルプ抽出物、Mangifera indicaパルプ抽出物、グリセリン、Musa sapientumパルプ抽出物、ベンジルアルコールおよびソルビン酸カリウムを含む混合物を添加し、よく混合する工程;および、グリセリルカプリル酸塩、グリセリンおよびカプリルヒドロキサム酸の混合物を添加し、製剤が均一になるまでよく混合する工程;および

d.前記第3の容器から前記第3の部分を前記主処理タンクにゆっくりと添加し、完全に均一になるまで混合する工程。
【請求項45】
前記局所製剤が、請求項1~6のいずれか一項に記載の化合物を含む、請求項44に記載の方法。
【請求項46】
前記化合物が、ヒト皮膚細胞の標的集団において、(i)STAT3遺伝子の発現および/または(ii)STAT3ポリペプチドのレベルおよび/または活性を、有意に増加させるのに有効な量で前記局所製剤中に存在する、請求項45に記載の方法。
【請求項47】
皮膚障害を有する対象を治療する方法であって、ヒト皮膚細胞の標的集団においてgp130シグナル伝達を調節するのに有効な量の局所製剤を前記対象に投与することを含む方法。
【請求項48】
前記局所製剤が、請求項1~6のいずれか一項に記載の化合物を含む、請求項47に記載の方法。
【請求項49】
前記化合物がgp130シグナル伝達分子と直接的に相互作用する、請求項47~48のいずれか一項に記載の方法。
【請求項50】
前記局所製剤が、gp130シグナル伝達の下流の分子の活性または発現を調節する式(X)または表1~2の化合物を含む、請求項47~49のいずれか一項に記載の方法。
【請求項51】
前記局所製剤が、ヒト皮膚細胞の標的集団において、(i)STAT3遺伝子の発現および/または(ii)STAT3ポリペプチドのレベルおよび/または活性を、有意に増加させる化合物を含む、請求項47~50のいずれか一項に記載の方法。
【請求項52】
前記局所製剤が、標的細胞集団においてNF-κB活性化を増加させない化合物を含む、請求項47~51のいずれか一項に記載の方法。
【請求項53】
皮膚障害が皮膚状態および皮膚疾患を含む、請求項47ないし52のいずれか一項に記載の方法。
【請求項54】
皮膚障害が、加齢、皮膚の粗さの増加、皮膚弾力性の喪失、皮膚の透明性の増加、皮膚の脆弱性、あざの頻度の増加、皮膚の皺およびひだの肉眼的外観、および皮膚の変色の影響を含む、請求項53に記載の方法。
【請求項55】
請求項1~6のいずれか一項に記載の1つ以上の化合物を含む局所製剤を、対象の皮膚領域に適用することを含む、化粧用使用方法。
【請求項56】
前記化合物が、ヒト皮膚細胞の標的集団においてgp130シグナル伝達を調節するのに有効な量で前記局所製剤中に存在する、請求項55に記載の方法。
【請求項57】
前記化合物がgp130シグナル伝達分子と直接的に相互作用する、請求項55~56のいずれか一項に記載の方法。
【請求項58】
前記化合物が、gp130シグナル伝達の下流の分子の活性または発現を調節する、請求項55~57のいずれか一項に記載の方法。
【請求項59】
前記化合物が、ヒト皮膚細胞の標的集団において、(i)STAT3遺伝子の発現および/または(ii)STAT3ポリペプチドのレベルおよび/または活性を、有意に増加させる、請求項55~58のいずれか一項に記載の方法。
【請求項60】
前記化合物が、標的細胞集団においてNF-κB活性を増加させない、請求項55~59のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願への相互参照
本出願は、2020年10月16日に出願された米国仮出願第63/093,102号および2020年10月16日に出願された米国仮出願第63/093,140号の利益を主張するものであり、これらの出願の両方は、その全体およびすべての目的のために、参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
gpl30の小分子モジュレーター、組成物(例えば、医薬組成物)、製剤、およびそれらを使用する方法が本明細書で提供される。特に、本明細書に記載される小分子モジュレーターは、前炎症応答、線維化応答、および/または再生応答を調節することができる。本方法は、皮膚障害の治療および/または予防の方法、局所製剤の製造方法、並びにgpl30活性に関連する疾患、障害および状態、特に炎症性および変性障害に関連するもの、またはそれらの組み合わせを治療または改善する方法を含む。
【背景技術】
【0003】
ヒトの皮膚は、大部分が角質層に起因する強力なバリアとして作用する。角質層は、ほとんどが脂質に富んだマトリックスからなり、低分子量の脂溶性化合物を除いて、ほとんどの局所的に適用される薬剤の侵入を遮断する。
【0004】
糖タンパク質130(gp130)は、ヒトの体内に普遍的に発現しており、少なくとも9種類のサイトカイン(IL-6、OSM、LIF、IL-11、CNTF、CLC、IL-27、CT-1、NP)の受容体複合体の共通サブユニットであり、非常に多様な生物学的過程を媒介する。この受容体および関連サイトカインの最もよく解明された側面は、炎症および再生を促進または抑制する能力である。したがって、gp130の発現、活性化、または関連するシグナル伝達経路の調節(調節不全)は、炎症、線維化、変性、増殖性疾患および炎症などの状態を含む様々なヒト疾患に関与している。例えば、糖タンパク質130(gp130)は、インターロイキン-6(IL-6)ファミリーサイトカインの共通受容体サブユニットであり、ケラチノサイトの増殖を促進し、皮膚線維芽細胞によるマトリックス沈着(同化作用)を促進することが示されている。
【0005】
IL-6ファミリーメンバーであるサイトカインは、古典的シグナル伝達を介してその受容体に結合した後、gp130ホモ二量体化を介して受容体および細胞内タンパク質のリン酸化を含む細胞内シグナル伝達経路を誘導する(Murakami et al.,1993)。しかしながら、受容体複合体中の分子は、チロシンキナーゼを活性化するにもかかわらず、細胞質領域に酵素触媒ドメインを有していない。Janus Kinase(JAK)、STAT分子、およびサイトカインシグナル伝達の抑制因子(suppressor of cytokine signaling:SOCS)等の負の調節因子の発見は、サイトカインシグナル伝達に対する新たな知見を提供し、健康および疾患におけるサイトカインの役割を理解するための基礎となる。
【0006】
広範な検索の後、研究者らは、gp130を介するシグナル伝達が、抗炎症性および抗変性性のアウトプットに対して、状況特異的およびサイトカイン特異的効果の両方を有し得ることを示した(Shkhyan R,Van Handel B,Bogdanov J,et al.Annals of the Rheumatic Diseases 2018;77:760-769.)。特に、オンコスタチンMのようないくつかのリガンドは、MAPK核内因子-κB(NF-κB)活性を強力に促進する一方で、STAT3の活性化を比較的わずかに促進するが、LIFやIL-6のような他のリガンドは両方の経路を活性化する。
【0007】
IL-6が細胞表面受容体に結合すると、JAKが活性化され、gp130の細胞質ドメインにある6個のチロシン残基がリン酸化される。gp130シグナル伝達の最初の経路である5個の遠位チロシン残基(YXXQモチーフ)を介する経路は、STAT3の活性化に関与する。STAT3は、JAKのリン酸化とサイトカイン受容体関連キナーゼの活性化の結果として核にシグナルを伝達する重要な転写因子である。サイトカイン受容体関連キナーゼはSTATをリン酸化する。STATは、SH2ドメインを介してホモまたはヘテロ二量体化し、核内に移行して特異的なDNAエレメントに結合し、遺伝子の発現を調節する(Masaaki Murakami et al.,Immunity,2019)。STAT3は、増殖、アポトーシス、分化に関与する標的遺伝子の転写を促進し、調節する。JAK/STAT経路の調節異常は、複数のヒトの皮膚疾患に関与している。
【0008】
2番目の経路は、SHP2とY759との結合に関連しており、Y759はアダプター分子GAB1とGAB2を介してERK MAPKカスケードの活性化を媒介する。さらに、リン酸化されたY759はSOCS3の結合部位としても機能する(Kubo et al.,2003)。
【0009】
gp130シグナル伝達の第3の経路は、アミノ酸残基812-827を介してgp130と直接結合するSrcファミリーキナーゼYesによって媒介される(Taniguchi et al.,2015)。Yesは、IL-6に応答して、またはgp130の活性型によって、Yes関連タンパク質(YAP)-Notch経路を活性化する。
【0010】
NF-κBは強力な炎症誘発性核転写因子であり、炎症反応の中心的なメディエーターであると考えられており、IL-6はNF-κBを活性化し、これが次に炎症誘発性経路を誘発する(Wang L.et al.,J Immunol.2003)。
【0011】
角質層の有意な透過性障壁にもかかわらず、皮膚を介した送達は、非常に魅力的な選択肢である。皮膚障害の局所治療は、明らかに疾患部位を標的とし、それによって体内の他の場所での有害な副作用を最小限に抑える。しかしながら、主に高い疎水性のために、経皮投与を意図した多くの活性化合物は、水に難溶性であり、これらの小分子を製剤化するのに課題をもたらす。当技術分野では、そのような化合物の経皮投与のための改善された製剤が必要とされている。
【0012】
したがって、gp130活性に関連する疾患、障害および状態を治療または改善するための臨床転帰の成功のために、代謝傾向が低減され、物理化学的特性(溶解性、効力、官能基)が改善された新規化合物が必要である。本開示において証明されるように、本出願人は、改善された「薬物様」特性を有するgp130シグナル伝達経路の一連の小分子モジュレーターを提供する。
【0013】
言及される全ての刊行物、特許出願、特許および他の参考資料は、その全体が参照により組み込まれる。さらに、材料、方法および実施例は単なる例示であり、限定を意図するものではない。本明細書における参考文献の引用は、それらの参考文献が本発明に対する先行技術であることを認めるものとして解釈されるべきではない。
【発明の概要】
【0014】
ある態様では、式(X)の構造を有する化合物が提供される:
【化1】
ここで、
Wは-C(R)(R)-、-C(O)-、-C(S)-、-0-、-S-または-N(R)-であり、
Vは-C(R)(R)-、-C(O)-、-C(S)-、-0-、-S-または-N(R)-であり、
Xは、
【化2】
であり、
Yは存在しない、
【化3】
であり、
Zは
【化4】
であり、
~X13は、独立して、C、N、SまたはOから選択され、
~Yは、独立して、C、N、またはOから選択され、
~Z11は、独立して、C、N、またはOから選択され、
vは0、1または2であり、
各R~Rは、独立して、H、D、または(C~C)アルキルであり、
各R~Rは、独立して、H、D、ハロ、(C~C)アルコキシル、または(C~C)アルキルであり、
各R~R19は、独立して、H、D、(C~C)アルキル、(C~C)ハロアルキル、(C~C)アルケニル、ハロ、シアノ、ヒドロキシル、ニトロ、チオール、アミノ、(C~C)アルコキシル、
【化5】
であり、
ここで、nは1~5の整数であり、
20~R23は、独立して、H、Dまたは(C~C)アルキルであり、
24~R34は、独立して、H、D、(C~C)アルキル、(C~C)ハロアルキル、(C~C)アルケニル、ハロ、シアノ、ヒドロキシル、ニトロ、チオール、アミノ、メトキシ、または、
【化6】
各R2’~R3’は、独立して、H、D、(C~C)アルキル、(C~C)ハロアルキル、(C~C)アルケニル、ハロ、シアノ、ヒドロキシル、ニトロ、チオール、アミノ、(C~C)アルコキシル、
【化7】
または、薬学的に許容される塩である。
【0015】
ある態様では、本明細書中に記載される1つ以上の化合物を含む医薬組成物が提供される。
【0016】
ある態様では、炎症、炎症性疾患または障害を治療し、関節痛を軽減し、関節変性を予防し、または軟骨再生を促進する方法を、それを必要とする25歳以上のヒト対象において提供する。この方法は、有効量の本明細書に記載の化合物または組成物を対象に投与することを含む。
【0017】
ある態様では、gp130活性化によって増強される細胞増殖性疾患または障害を、それを必要とするヒト対象において治療する方法が提供される。この方法は、有効量の本明細書に記載の化合物または組成物を対象に投与することを含む。
【0018】
ある態様では、gp130活性化によって増強される疼痛状態を、それを必要とするヒト対象において治療または改善する方法が提供される。本方法は、有効量の本明細書に記載の化合物または組成物を対象に投与する工程を含む。特に、疼痛状態は、神経因性疼痛、炎症性疼痛、頭痛、体性疼痛、内臓疼痛、筋骨格疼痛、頭蓋顔面疼痛、他の体性形態の疼痛および連関痛からなる群より選択される。
【0019】
ある態様では、細胞においてIL-6ファミリーサイトカイン媒介性炎症反応を調節する方法が提供される。該方法は、細胞を、本明細書に記載の化合物または組成物と接触させることを含む。
【0020】
ある態様では、薬学的に許容される担体と、本明細書に記載の化合物または組成物とを含む組成物が提供される。
【0021】
ある態様では、急性または慢性炎症状態を治療する方法が提供される。この方法は、有効量の本明細書に記載の化合物または組成物を対象に投与することを含む。
【0022】
ある態様では、細胞内の活性化された炎症経路を減少させる方法が提供される。該方法は、細胞を、本明細書に記載の化合物または組成物と接触させることを含む。
【0023】
ある態様では、炎症誘発性遺伝子、サイトカインまたはメディエーターの産生または誘導を阻害する方法が提供される。該方法は、細胞または対象を、本明細書に記載の化合物または組成物と接触させることを含む。
【0024】
ある態様では、マトリックス分解酵素の産生または誘導を阻害する方法であって、細胞または対象を、本明細書に記載の化合物または組成物と接触させることを含む方法が提供される。
【0025】
ある態様では、細胞中のSTAT3および/またはMYCレベルを調節する方法が提供される。該方法は、細胞を、本明細書に記載の化合物または組成物と接触させることを含む。
【0026】
ある態様では、本明細書に記載の化合物を含む局所製剤が提供される。
【0027】
ある態様では、それを必要とするヒト対象の標的組織における炎症を低減または予防する方法が提供される。この方法は、標的組織を、本明細書に記載された有効量の局所製剤と接触させることを含む。
【0028】
ある態様では、ヒト皮膚細胞の標的集団においてgp130シグナル伝達経路メンバーの活性または発現を有意に調節するのに有効な量の化合物の局所製剤を製造する方法が提供される。
【0029】
ある態様では、皮膚障害を有する対象を治療する方法が提供される。この方法は、ヒト皮膚細胞の標的集団においてgp130シグナル伝達を調節するのに有効な量の局所製剤を対象に投与する工程を含む。
【0030】
ある態様では、化粧用の使用方法が提供される。本方法は、本明細書に開示する1種以上の化合物を含む局所製剤を対象の皮膚領域に適用することを含む。
【0031】
本発明の他の態様は以下に開示される。
【0032】
特許または出願ファイルは、カラーで作成された少なくとも1の図面を含む。カラー図面を付したこの特許または特許出願公開の写しは、請求および必要な手数料の納付に基づいて、特許庁により提供される。
【図面の簡単な説明】
【0033】
図1】式(I)の化合物の例示的有機合成経路を示す図である。
図2図2A図2Dは、gp130シグナル伝達経路の下流の種々のタンパク質の測定されたレベルに対する化合物10、14および41の修飾作用を示すSDS-PAGE結果を示す。成体ブタ軟骨細胞を標的化合物と24時間インキュベートし、化合物の異化応答を観察した。
図3図3A図3Cは、マウス骨髄間質細胞を用いたピクロシリウスレッド染色(PRS)の画像を示す。OSMの線維化促進作用の阻害を評価した。
図4図4A図4Bは、COL2、ACAN、MMP13、およびADAMTS4のmRNA発現に対する化合物10、14、41の調節効果に対応するグラフを示す。
【発明を実施するための形態】
【0034】
gp130シグナル伝達経路および/またはSTAT-3およびNF-κBなどの下流経路メンバーの1つ以上のモジュレーターを含む新規なクリーム製剤を適用することにより、ヒト皮膚細胞(例えば、顔面皮膚細胞)に対する軽度から中等度の光損傷を有する対象を美容的に治療するのに適した方法および組成物を本明細書に開示する。
【0035】
以下の開示は、そのようなモジュレーターを含む組成物、使用方法、およびこれらの状態を解消するように設計されたスキンケア製品の製造方法を提供する。
【0036】
特に、顔面に軽度から中等度の光損傷を有する女性および男性が8週間にわたって使用した場合の、本明細書に開示する組成物の有効性を評価するための研究を本明細書に開示する。
【0037】
別段の定義がない限り、本明細書で使用される技術用語、表記法および他の科学用語はすべて、本発明が関係する当業者に一般的に理解される意味を有することを意図している。場合によっては、一般的に理解される意味を有する用語は、明瞭性および/または容易な参照のために本明細書で定義され、本明細書にそのような定義を含めることは、当該技術分野で一般的に理解されているものに対する相違を表すと必ずしも解釈されるべきではない。本明細書に記載または参照される技術および手順は、一般的によく理解されており、当業者によって従来の方法論を使用して一般的に使用される。
【0038】
[定義]
本明細書に引用された全ての参考文献は、参照により、あたかも完全に記載されているかのように、その全体が組み込まれる。
【0039】
本明細書中で特に定義されない限り、本出願に関連して使用される科学的および技術的用語は、本開示が属する当業者によって一般的に理解される意味を有するものとする。本開示は、本明細書中に記載される特定の方法論、プロトコル、および試薬等に限定されず、それ自体変化し得ることを理解すべきである。一般的な用語の定義は、Singleton et al., Dictionary of Microbiology and Molecular Biology 3rd ed., J. Wiley & Sons New York, NY (2001); March, Advanced Organic Chemistry Reactions, Mechanisms and Structure 5th ed., J. Wiley & Sons New York, NY (2001); Michael Richard Green and Joseph Sambrook, Molecular Cloning: A Laboratory Manual, 4th ed., Cold Spring Harbor Laboratory Press, Cold Spring Harbor, N.Y., USA (2012); Davis et al., Basic Methods in Molecular Biology, Elsevier Science Publishing, Inc., New York, USA (2012); Jon Lorsch (ed.) Laboratory Methods in Enzymology: DNA, Elsevier, (2013); Frederick M. Ausubel (ed.), Current Protocols in Molecular Biology (CPMB), John Wiley and Sons, (2014); John E. Coligan (ed.), Current Protocols in Protein Science (CPPS), John Wiley and Sons, Inc., (2005); and Ethan M Shevach, Warren Strobe, (eds.) Current Protocols in Immunology (CPI) (John E. Coligan, ADA M Kruisbeek, David H Margulies, John Wiley and Sons, Inc., (2003);が、本出願で使用される用語の多くに対する一般的な指針を当業者に提供する。
【0040】
本明細書中で使用される場合、単数形「a」、「an」、および「the」は、文脈が明確に他のことを示さない限り、複数の指示対象を含む。したがって、例えば、「軟骨細胞(a chondrocyte)」への言及は、複数のそのような軟骨細胞を含み、「アンタゴニスト(an antagonist)」への言及は、当業者に公知の1つ以上のアンタゴニストまたはその等価物への言及などを含む。
【0041】
用語「含む(include)」、「そのような(such as)」などは、特に断らない限り、限定することなく包含を伝えることを意図している。
【0042】
本明細書で使用される場合、「含む(comprising)」という用語は、特に別段の指示がない限り、列挙された要素「からなる(consisting of)」および「から本質的になる(consisting essentially of)」の実施形態も具体的に含む。同様に、「備える(comprise)」、「備える(comprises)」、「備える(comprising)」、「含む(include)」、「含む(includes)」、および「含む(including)」は、交換可能に使用され、限定することを意図しない。
【0043】
また、「または」の使用は、別段の記載がない限り、「および/または」を意味する。
【0044】
さらに、さまざまな実施形態の説明が「含む(comprising)」という用語を使用する場合、「含む(comprising)」という当業者は、いくつかの特定の事例では、実施形態が代替的に「から本質的になる(consisting essentially of)」または「からなる(consisting of)」という言語を使用して説明され得ることを理解するであろうことを理解される。
【0045】
用語「約」は、示された値およびその値の上下の範囲を示し、包含する。特定の実施形態では、用語「約」は、指定された値±10%、±5%、または±1%を示す。特定の実施形態では、適用可能な場合、用語「約」は、指定された値±1標準偏差を示す。
【0046】
用語「アルキル」は、炭素間に単一の共有結合を含む炭素および水素原子からなる有機基を意味する。典型的には、本開示において使用される「アルキル」は、別段の記載がない限り、1~30個の炭素原子を含む有機基を意味する。1を超える炭素が存在する場合、炭素は直鎖状に結合していてもよく、あるいは2を超える炭素が存在する場合、親鎖が1以上の第二級、第三級、または第四級炭素を含むように、分岐状に結合していてもよい。アルキルは、別段の記載がない限り、置換されていても置換されていなくてもよい。
【0047】
「アルケニル」という用語は、2つの炭素間に少なくとも1つの二重共有結合を含む炭素原子および水素原子からなる有機基を意味する。典型的には、本開示において使用される「アルケニル」は、別段の記載がない限り、2~30個の炭素原子を含む有機基を意味する。C2-アルケニルは親鎖の炭素に二重結合を形成することができるが、3つ以上の炭素のアルケニル基は1つ以上の二重結合を含むことができる。アルケニル基が共役している場合もあれば、共役していない場合もあり、さらに、アルケニル基が共役の範囲および非共役の範囲を有する場合もある。加えて、2つより多い炭素がある場合、炭素は線状様式で結合していてもよく、あるいは3つより多い炭素がある場合、炭素は分岐様式で結合していてもよく、その結果、親鎖は1つ以上の第二級、第三級、または第四級炭素を含む。アルケニルは、別段の記載がない限り、置換されていても置換されていなくてもよい。
【0048】
「アルキニル」という用語は、2つの炭素間に三重共有結合を含む炭素原子および水素原子からなる有機基を意味する。典型的には、本開示において使用される「アルキニル」は、別段の記載がない限り、2~30個の炭素原子を含む有機基を意味する。C2-アルキニルは親鎖の炭素に三重結合を形成することができるが、3つ以上の炭素のアルキニル基は1つ以上の三重結合を含むことができる。2つを超える炭素が存在する場合、炭素は直鎖状に結合していてもよく、あるいは4つを超える炭素が存在する場合、親鎖が1つ以上の第二級、第三級、または第四級炭素を含むように分岐して結合していてもよい。アルキニルは、別段の記載がない限り、置換されていても置換されていなくてもよい。
【0049】
用語「アリール」とは、環原子として炭素のみを含有する非局在化π電子雲を有する共役平面環系をいう。本開示の目的のための「アリール」は、1~7個のアリール環を包含し、ここで、アリールが1環より大きい場合、アリール環は、それらが結合、縮合、またはそれらの組合せになるように結合される。アリールは、置換されていても非置換であってもよく、または1個より多いアリール環の場合、1個以上の環は、非置換であってもよく、1個以上の環は、置換されていてもよく、またはそれらの組合せであってもよい。アリールは、置換されていても非置換であってもよく、または1個以上の環は、置換されていてもよく、またはそれらの組合せであってもよい。より具体的には、置換アリール基には、以下の基が挙げられる:アセチルフェニル基、特に4-アセチルフェニル基;フルオロフェニル基、特に3-フルオロフェニルおよび4-フルオロフェニル基;クロロフェニル基、特に3-クロロフェニルおよび4-クロロフェニル基;メチルフェニル基、特に4-メチルフェニル基、およびメトキシフェニル基、特に4-メトキシフェニル基。
【0050】
用語「接触する」は、その単純な通常の意味に従って使用され、少なくとも2つの別個の種(例えば、生体分子または細胞を含む化合物)が、反応し、相互作用し、または物理的に接触するのに十分に近位となることを可能にするプロセスを指す。しかしながら、得られた反応生成物は、添加された試薬間の反応から直接的に、または反応混合物中で生成され得る1以上の添加された試薬からの中間体から直接的に生成され得ることが理解されるべきである。
【0051】
「シクロアルキル」という用語は、本開示において使用される場合、環を形成するように結合している少なくとも3個の炭素原子を含むが12個以下の炭素原子を含むアルキルを意味する。本開示の目的のための「シクロアルキル」は、1~7個のシクロアルキル環を包含し、ここで、シクロアルキルが1環より大きい場合、シクロアルキル環は、それらが結合、縮合、またはそれらの組合せになるように結合している。シクロアルキルは、置換されていても未置換であってもよく、または1個以上のシクロアルキル環の場合、1個以上の環が未置換であってもよく、1個以上の環が置換されていてもよく、またはそれらの組合せである。
【0052】
「シクロアルケニル」という用語は、本開示において使用される場合、環を形成するように結合している少なくとも3個の炭素原子を含むが12個以下の炭素原子を含むアルケンを意味する。本開示の目的のための「シクロアルケニル」は、1~7個のシクロアルケニル環を包含し、ここで、シクロアルケニルが1環より大きい場合、シクロアルケニル環は、それらが結合、縮合、またはそれらの組み合わせになるように結合している。シクロアルケニルは、置換されていても未置換であってもよく、または1個を超えるシクロアルケニル環の場合、1個以上の環が未置換であってもよく、1個以上の環が置換されていてもよく、またはそれらの組み合わせである。
【0053】
「疾患」または「状態」とは、本明細書で提供される化合物/分子または方法で治療することができる患者または対象の状態または健康状態を指す。本明細書で使用される疾患とは、炎症性疾患および障害、ならびに免疫疾患および障害(例えば、軟骨変性疾患、関節表面損傷または関節炎(関節リウマチを含む)、乾癬、炎症性腸疾患、加齢、狼瘡、酒さ、線維症など)を指すことができる。
【0054】
本開示の目的のために、用語「伸長混合環系」は、少なくとも2つの環構造からなるが、7つ以下の環構造からなる基を指す。「伸長混合環系」は、別の環官能基とは異なる少なくとも1つの環官能基からなる。環基の例としては、シクロアルキル、シクロアルケニル、シクロアルキニル、アリール、および複素環が挙げられるが、これらに限定されない。各環は任意に置換されていてもよい。混合伸長環系を含む環は、それらが連結、縮合、またはそれらの組合せになるように結合していてもよい。
【0055】
用語「官能基」または「FG」は、それらの分子の特徴的な化学反応の原因となる、分子内の原子の特定のグループを指す。同じ官能基は、その一部である分子の大きさにかかわらず、同じまたは同様の化学的反応を受けるが、その相対的反応性は、近くの官能基によって修飾され得る。官能基の原子は、共有結合によって互いに、および残りの官能基と結合している。本開示において使用することができるFGの例としては、置換または非置換アルキル、置換または非置換アルケニル、置換または非置換アルキニル、置換または非置換アリール、置換または非置換ヘテロアルキル、置換または非置換ヘテロアルケニル、置換または非置換ヘテロアルキニル、置換または非置換シクロアルキル、置換または非置換シクロアルケニル、置換または非置換ヘテロアリール、置換または非置換複素環、ハロ、ヒドロキシル、無水物、カルボニル、カルボキシル、カーボネート、カルボキシレート、置換または非置換シクロアルキル、置換または非置換シクロアルケニル、置換または非置換ヘテロアリール、置換または非置換複素環、ハロ、ヒドロキシル、無水物、カルボニル、カルボキシル、カーボネート、カルボキシレート、アルデヒド、ハロホルミル、エステル、ヒドロペルオキシ、ペルオキシ、エーテル、オルトエステル、カルボキサミド、アミン、イミン、イミド、アジド、アゾ、シアネート、イソシアネート、ニトレート、ニトリル、イソニトリル、ニトロソ、ニトロソオキシ、ピリジル、スルフヒドリル、スルフィド、ジスルフィド、スルフィニル、スルホ、チオシアネート、イソチオシアネート、カルボノチオイル、ホスフィノス、ホスホノス、リン酸塩、Si(OH)、Ge(OH)、Sn(OH)、Si(SH)、Ge(SH)、AsOH、AsOH、P(SH)、As(SH)、SOH、Si(OH)、Ge(OH)、Sn(OH)、Si(SH)。Ge(SH)、Sn(SH)、ASOH、ASOH、P(SH)、およびAs(SH)
【0056】
本明細書で使用される「gp130」という用語は、体内で遍在的に発現され、遺伝子名IL6STによって指定される細胞表面受容体である糖タンパク質130を指す。gp130の活性化は、損傷および感染に対する急性期応答、妊性、代謝、造血、神経保護、抗血管新生、ならびに黒色腫および腫瘍細胞抑制を含むがこれらに限定されないいくつかの生理学的機能に必須である。Gp130は、限定されないが、IL-6、IL-11、白血病阻害因子(LIF)を含むサイトカインのIL-6ファミリー由来のリガンドによって活性化される。オンコスタチンM(OSM)、毛様体神経栄養因子(CNTF)、カルジオトロフィン-1(CT-1)およびカルジオトロフィン様サイトカイン(CLC)。gp130シグナル伝達の活性化は直接的であり得、すなわち、活性化は、リガンドのgp130への直接的結合によって誘発され得る(すなわち、IL-6又はIL-11であり、これはgp130ホモ二量体化をもたらす)。gp130シグナル伝達の活性化はまた、gp130と複合体を形成し、それによってそれを活性化する別の細胞表面受容体へのリガンドの結合によって間接的であり得る。LIF、CT-1、CNTF、OSMおよびCLCはgp130およびLIFRのヘテロダイマーを形成するが、OSMはgp130およびOSMRのヘテロダイマーも形成し得る。したがって、LIF、CT-1、CNTF、OSMおよびCLCは、gp130に最初に結合することによって直接的に、またはLIFR/OSMRに結合し、次いでgp130を複合体に動員することによって間接的に、gp130シグナル伝達を活性化し得る。IL-6サイトカインファミリーのリガンドは、JAK/STAT経路を誘発し、その第1の事象は、シグナル伝達受容体サブユニットのリガンド誘導性ホモダイマー化またはヘテロダイマー化である。すべてのIL-6型サイトカインは、gp130をそれらの受容体複合体に動員する。これらは、gp130のみを介して、またはLIFRもしくはOSMRと組み合わせてシグナル伝達し、これらはすべてJaksを活性化し、STATタンパク質を動員することができる。
【0057】
「gpl30受容体」、「gpl30」、「gpl30タンパク質」、「IL6ST受容体」、「IL6ST」または「IL6STタンパク質」という用語は、本明細書では互換的に使用され、それらの一般的、通常の意味(例えば、膜貫通タンパク質「糖タンパク質130(glycoprotein 130)」)に従って使用され、同一または類似の名前のタンパク質、およびその機能的断片および相同体を指す。
【0058】
「ヘテロ-」という用語は、接頭辞として使用される場合、ヘテロ-アルキル、ヘテロ-アルケニル、ヘテロ-アルキニル、またはヘテロ-炭化水素など、本開示の目的では、親鎖の一部として非炭素原子で置換された1つ以上の炭素原子を有する特定の炭化水素を指す。そのような非炭素原子の例としては、N、O、S、Si、Al、B、およびPが挙げられるが、これらに限定されない。ヘテロベースの親鎖に2つ以上の非炭素原子がある場合、この原子は、同じ元素であってもよく、またはNおよびOなどの異なる元素の組み合わせであってもよい。
【0059】
本開示で使用される「複素環」という用語は、少なくとも1個の非炭素環原子を含有する環構造を指す。本開示の目的のための「ヘテロ環」は、1~7個のヘテロ環環を包含し、ここで、ヘテロ環が1個を超える環である場合、ヘテロ環環は、それらが連結されるか、縮合されるか、またはそれらの組み合わせであるように連結される。複素環は、ヘテロアリールまたは非芳香族であってもよく、または1つ以上の複素環環の場合、1つ以上の環は、非芳香族であってもよく、1つ以上の環は、ヘテロアリールであってもよく、またはそれらの組み合わせであってもよい。複素環は置換されていても置換されていなくてもよく、または1つ以上の複素環環の場合、1つ以上の環は置換されていなくてもよく、1つ以上の環は置換されていてもよく、またはこれらの組み合わせであってもよい。典型的には、非炭素環原子は、N、O、S、Si、Al、B、またはPである。複数の非炭素環原子が存在する場合、これらの非炭素環原子は、同じ元素、またはNおよびOなどの異なる元素の組み合わせのいずれかであり得る:アジリジン、オキシラン、チイラン、アゼチジン、オキセタン、チエタン、ピロリジン、ピロリン、イミダゾリジン、ピラゾリジン、ピラゾリン、ジオキソラン、スルホラン2,3-ジヒドロフラン、2,5-ジヒドロフランテトラヒドロフラン、チオファン、ピペリジン、1、2、3、6-テトラヒドロ-ピリジン、ピペラジン、モルホリン、チオモルホリン、ピラン、チオピラン、2、3-ジヒドロピラン、テトラヒドロピラン、1、4-ジヒドロピリジン、1,4-ジオキサン、1,3-ジオキサン、ジオキサン、ホモピペリジン、2、3、4、7-テトラヒドロ-1H-アゼピンホモピペラジン、1,3-ジオキセパン、4、7-ジヒドロ-l、3-ジオキセピン、およびヘキサメチレンオキシドなどの単環式複素環;ならびに多環式複素環、例えば、インドール、インドリン、イソインドリン、キノリン、テトラヒドロキノリン、イソキノリン、テトラヒドロイソキノリン、1、4-ベンゾジオキサン、クマリン、ジヒドロクマリン、ベンゾフラン、2、3-ジヒドロベンゾフラン、イソベンゾフラン、クロメン、クロマン、イソクロマン、キサンテン、フェノキサチイン、チアントレン、インドリジン、イソインドール、インダゾール、プリン、フタラジン、ナフチリジン、キノキサリン、キナゾリン、シンノリン、プテリジン、フェナントリジン、ペリミジン、フェナントロリン、フェナジン、フェノチアジン、フェノキサジン、1、2-ベンゾイソオキサゾール、ベンゾチオフェン、ベンゾオキサゾール、ベンゾチアゾール、ベンゾイミダゾール、ベンゾトリアゾール、チオキサンチン、カルバゾール、カルボリン、アクリジン、ピロリジジンおよびキノリジジン。前記の多環式複素環に加えて、複素環は、2つ以上の環の間の環融合が、両方の環に共通の1つを超える結合および両方の環に共通の2つを超える原子を含む多環式複素環を含む。このような架橋複素環の例としては、キヌクリジン、ジアザビシクロ[2.2.1]ヘプタンおよび7-オキサビシクロ[2.2.1]ヘプタンが挙げられる。
【0060】
本明細書中で使用される、「予防する」とは、患者における疾患または状態(例えば、皮膚疾患)の予防を意味する。例えば、皮膚疾患または他の形態の皮膚障害を発症するリスクのある個体が本発明の方法で治療され、後に皮膚障害を発症しない場合、その疾患は、少なくともある期間にわたって、その個体において予防されている。
【0061】
用語「有効量」とは、本明細書中に記載されるように、特定の美容上の結果を達成するのに有効な化合物、製剤、材料、または組成物の量を指す。
【0062】
本明細書に開示される製剤の「局所」投与という用語は、患者の皮膚への製剤の適用を意味する。製剤を適用する目的では、皮膚への局所適用は、角質層への適用を含むものとする。本明細書に記載される局所製剤は、有効成分活性を有する成分を表皮の細胞を通過させ、基底膜を通って真皮に運ぶことによって、有効成分の表皮を介した送達を容易にすることができる。
【0063】
用語「対象」は、本明細書に開示された組成物および方法の適用が、少なくとも1つの老化の徴候または少なくとも1つの医学的皮膚疾患を抑制するのに有益である生物を含むことが意図される。
【0064】
「化粧品」という用語は、外見または人が自分自身について感じる方法を改善するために使用される化粧品調製物を意味する;化粧品は、副作用なしに目に見える結果をもたらさなければならず、また、自然に見えるはずである。
【0065】
用語「キレート剤」または「キレート剤」は、金属イオンと錯体(すなわち、「キレート」)を形成することができる任意の分子または部分を指す。特定の例示的実施形態では、キレート剤は、溶液中で金属イオンに「結合」し、それを化学的/酵素反応での使用に利用できないようにする任意の分子または部分を指す。キレート剤は一般に、金属イオンへの供与に使用できる2つ以上の非共有電子対を有する。金属イオンは通常、2つ以上の電子対によってキレート剤に配位されている。
【0066】
本明細書中で使用される用語「予防」は、疾患または疾患状態の予防または保護的処置を意味する。
【0067】
本開示全体を通して、本開示の様々な態様を範囲フォーマットで提示することができる。範囲フォーマットにおける説明は単に便宜と簡潔のためであり、本開示の範囲に対する柔軟性のない制限として解釈されるべきではないことを理解すべきである。従って、範囲の説明は、すべての可能な部分範囲ならびにその範囲内の個々の数値を具体的に開示したと考えるべきである。例えば、1~6のような範囲の説明は、1~3、1~4、1~5、2~4、2~6、3~6等のような部分範囲ならびにその範囲内の個々の数値、例えば、1、2、2.7、3、4、5、5.3、および6を具体的に開示したと考えるべきである。別の例として、95~99%の同一性の範囲は、95%、96%、97%、98%または99%の同一性を有する何かを含み、96~99%、96~98%、96~97%、97~99%、97~98%および98~99%の同一性のような部分範囲を含む。これは、範囲の幅に関係なく適用される。
【0068】
用語「モジュレーター」とは、モジュレーターの不在と比較して、標的分子のレベルまたは標的分子の機能または分子の標的の物理的状態を増加または減少させる組成物をいう。
【0069】
用語「炎症」は、刺激(例えば、病原体、細胞損傷または刺激物)に対する身体の複雑な生物学的応答を指す。炎症は、延長されると、炎症性疾患または障害をもたらし得る。炎症反応中に誘発される因子には、炎症誘発性サイトカイン(例えば、TNF-α、IL-1、IFN-γ、MCP-1、IL-6)、細胞遊走(例えば、単球、マクロファージ、リンパ球、形質細胞)および血清タンパク質(例えば、血清アミロイドA(SAA)および血清アミロイドP(SAP))が含まれる。炎症は、局所性(例えば、血管炎症)または全身性であり得る。
【0070】
「炎症性障害」または「炎症性疾患」とは、細胞、組織または体内の炎症によって特徴づけられる状態をいう。炎症性疾患および障害には、過敏症(例えば、アレルギー)、喘息、自己免疫疾患(例えば、リウマチおよび骨関節炎、狼瘡、多発性硬化症)、癌、糖尿病、炎症性腸疾患(IBD)または心血管疾患(例えば、アテローム性動脈硬化症)、NAFLD、NASH、肝炎、線維症、および肝硬変が含まれるが、これらに限定されない。
【0071】
本明細書に記載される「炎症」とは、特に皮膚の炎症であって、日光や風のような環境的挑戦と、食事、飲酒、喫煙のような内的要因、および他の潜在的に有害な刺激の両方に対する身体組織の生物学的応答としての炎症を意味し、これらは、微細な線や皺の出現、色素沈着、および弛緩の増加のような老化の目に見える徴候をもたらす有害な生物学的応答を促進する。有害な刺激には、病原体、細菌、ウイルス、真菌、損傷細胞、および当業者に公知の他の刺激物が含まれるが、これらに限定されない。一方、炎症は、例えば、免疫細胞、白血球、血管、分子メディエーター、および他の小分子が関与し得る防御的免疫応答であり得る。炎症の徴候には、痛み、熱、腫脹、および/または機能喪失が含まれるが、これらに限定されない。炎症は急性または慢性のいずれかである。
【0072】
「混合環系」という用語は、少なくとも2つの環を含み、それらの環が結合、縮合、またはそれらの組み合わせによって互いに結合している、任意に置換された環構造を意味する。混合環系は、シクロアルキル、シクロアルケニル、アリール、および複素環を含む異なる環タイプの組み合わせを含む。
【0073】
薬学的に受容可能な塩または薬学的に受容可能な対イオンにおける「薬学的に受容可能な」とは、局所または内部使用のために対象によって許容される化合物、塩、またはイオンをいう。
【0074】
「薬学的に許容される塩」という用語は、本明細書に開示される化合物の塩形成を行うことを意味する。塩形成は、例えば、化合物の溶解性を増加または減少させるため、化合物の安定化を改善するため、化合物の毒性を低減するため、および/または化合物の吸湿性を低減するために、本明細書に開示される化合物の特性を変化させる手段として使用することができる。本明細書に開示される化合物の薬学的に許容される塩を製造するために使用することができる、ある範囲のpKa値、分子量、溶解度および他の特性を有する広範囲の化学的に多様な酸および塩基が存在する。薬学的に許容される酸付加塩の例としては、塩酸塩、臭化水素酸塩、ヨウ化水素酸塩、硝酸塩、硫酸塩、重硫酸塩、リン酸塩、酸性リン酸塩、イソニコチン酸塩、酢酸塩、乳酸塩、サリチル酸塩、クエン酸塩、酒石酸塩、パントテン酸塩、重酒石酸塩、アスコルビン酸塩、コハク酸塩、マレイン酸塩、ゲンチジン酸塩、フマル酸塩、グルコン酸塩、glucaronate、サッカリン酸塩、ギ酸塩、安息香酸塩、グルタミン酸塩、メタンスルホン酸塩、エタンスルホン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、p-トルエンスルホン酸塩およびパモ酸塩(すなわち、1,1’-メチレン-ビス-(2-ヒドロキシ-3-ナフトエート))塩が挙げられるが、これらに限定されない。本開示の特定の化合物は、種々のアミノ酸と薬学的に許容される塩を形成することができる。薬学的に許容される塩基付加塩の例としては、アルミニウム塩、カルシウム塩、リチウム塩、マグネシウム塩、カリウム塩、ナトリウム塩、亜鉛塩、およびジエタノールアミン塩が挙げられるが、これらに限定されない。本開示を実施するために使用され得る薬学的塩のさらなる例については、い次の文献を参照されたい。P.H.Stahl and C.G.Wermuth (eds.), Pharmaceutical Salts: Properties, Selection, and Use (2d ed. 2011) Wiley and Sons Publisher, ISBN: 978-3-90639-051-2.
【0075】
用語「薬学的に受容可能な対イオン」は、限定されるわけではないが、アルカリ金属カチオン(例えば、Li、Na、K)、アルカリ土類金属カチオン(例えば、Ca2+、Mg2+)、非毒性重金属カチオンおよびアンモニウム(NH )および置換されたアンモニウム(N(R)4、ここで、R’は、水素、アルキル、または置換されたアルキルであり、すなわち、メチル、エチル、またはヒドロキシエチル、具体的には、トリメチルアンモニウム、トリエチルアンモニウム、およびトリエタノールアンモニウムカチオンを含む);または限定されるわけではないが、ハロゲン化物(例えば、Cl、Br)、硫酸塩、酢酸塩(例えば、酢酸塩、トリフルオロ酢酸塩)、アスコルビン酸塩、アスパラギン酸塩、安息香酸塩、クエン酸塩、および乳酸塩を含む薬学的に受容可能なアニオンをいう。
【0076】
「対象」は、一般に、ヒト患者および非ヒト霊長類などの哺乳動物、ならびにウサギ、ラット、およびマウスなどの実験動物、および他の動物を指す。動物には、すべての脊椎動物、例えば、哺乳動物および非哺乳動物、例えば、ヒツジ、イヌ、ウシ、ニワトリ、両生類、および爬虫類が含まれる。
【0077】
用語を修飾するために使用される「実質的に」という用語は、修飾された用語が、サイズ、純度、構造等のわずかな変化をわずかな量だけ含むことを意味し、従って、「実質的に均一なサイズ」とは、材料が平均サイズからサイズにおいて1%、5%、10%、20%または30%(またはその間の任意の値)を超えて変化しないことを意味する。
【0078】
複素環等に関して「置換された」という用語は、親鎖が1つ以上の置換基を含む構造を指す。
【0079】
「置換基」という用語は、水素原子の代わりに置換された原子または原子団を意味する。本開示の目的では、置換基には重水素原子が含まれる。
【0080】
用語「治療有効量」とは、1つまたは複数の症状(およびこの句の文法的等価物)、または症状の重症度もしくは頻度、または治療される疾患または障害に関連する症状の消失を軽減する、開示の化合物、分子または組成物の量を指す。
【0081】
薬物の「予防有効量」という用語は、対象に投与された場合、意図された予防効果、例えば、傷害、病気、病理若しくは状態の発症(または再発)を予防若しくは遅延させるか、または傷害、病気、病理若しくは状態またはそれらの症状の発症(または再発)の可能性を減少させる薬物の量である。完全な予防効果は必ずしも1回の投与によって生じるわけではなく、一連の投与の投与後にのみ生じることがある。したがって、予防有効量は1回以上の投与で投与することができる。正確な量は、治療の目的に依存し、公知の技術を用いて当業者によって確認することができる(例えば、Lieberman, Pharmaceutical Dosage Forms (vols. 1-3, 1992) ; Lloyd, The Art, Science and Technology of Pharmaceutical Compounding (1999); Pickar, Dosage Calculations (1999);及び Remington: The Science and Practice of Pharmacy, 20th Edition, 2003, Gennaro, Ed., Lippincott, Williams & Wilkins を参照)。
【0082】
炭化水素、複素環化合物等に関して「非置換」という用語は、親鎖が置換基を含まない構造を指す。
【0083】
1つの実施形態において、用語「調節(modulation)」は、増加および/または誘導および/または促進および/または活性化を意味する。別の実施形態において、用語「調節」は、減少および/または減少および/または阻害を意味する。
【0084】
1つの実施形態において、「調節する」という用語は、上方調節を指す。別の実施形態では、「調節する」という用語は、下方調節を指す。
【0085】
用語「小分子」とは、生物学的効果を有し、かつ10,000ダルトン未満の分子量を有する分子をいう。ある態様において、小分子は、5000ダルトン未満の分子量を有する。ある態様において、小分子は、2500ダルトン未満の分子量を有する。ある態様において、小分子は、1000ダルトン未満の分子量を有する。ある態様において、小分子は、800ダルトン未満の分子量を有する。ある態様において、小分子は、500ダルトン未満の分子量を有する。
【0086】
本明細書において使用される場合、「化合物」および「小分子」は交換可能に使用され、限定することを意図しない。
【0087】
本明細書で使用される「疼痛」という用語は、通常は身体障害に関連する任意の不快な感覚体験を意味する。身体障害は、臨床医に明らかであってもなくてもよい。疼痛は慢性および急性の2つのタイプがある。「急性疼痛」は、突然発症する短い持続時間の疼痛である。急性疼痛の1つのタイプは、例えば、皮膚または他の表面組織の損傷(例えば、切断または熱傷によって引き起こされる)で感じられる皮膚疼痛である。皮膚侵害受容器は皮膚の直下で終結し、高濃度の神経終末に起因して、明確に定義された短期間の局所疼痛を生じる。「慢性疼痛」は、急性疼痛以外の疼痛である。慢性疼痛には、神経因性疼痛、炎症性疼痛、頭痛、体性疼痛、内臓痛および言及される疼痛が含まれる。
【0088】
本明細書中で使用される場合、原子に結合している別の線と交差する波線は、この原子が構造中に存在するが描かれていない別の実体に共有結合していることを示し、線と交差しないが原子に結合している波線は、この原子が結合または他のタイプの識別可能な結合によって別の原子と相互作用していることを示す。
【0089】
直線と破線で示した結合は、単一の共有結合であっても二重の共有結合であってもよいが、二重の共有結合を形成して原子の最大原子価を超えた場合には、その結合は単一の共有結合となる。
【0090】
本明細書に示されるスキームにおいて使用される試薬および出発物質の多くは、Sigma-Aldrich、Alfa Aesar、Tokyo Chemical Industry Co.,LTDなどの種々の商業的供給者から容易に入手可能であることが理解されるべきである。さらに、これらの同じ試薬および出発物質の多くは、標準的な有機合成反応を使用することによって、さらなる官能基を組み込むように修飾することができる。
【0091】
[小分子モジュレーター]
本発明は、少なくとも1つのgp130の小分子モジュレーターを含む医薬組成物に関する。また、本明細書において開示されるのは、gp130シグナル伝達カスケード、例えば、gp130、STAT-3、またはNF-κBの小分子モジュレーターの局所製剤、前記製剤の製造方法、および使用方法である。本明細書において開示される新規な局所製剤は、皮膚の状態を修復するように作用するgp130シグナル伝達モジュレーター(例えば、STAT-3アゴニスト)アゴニストを含む。
【0092】
ある態様において、本発明の小分子モジュレーターは、以下の式(I)の1つ以上の化合物を含む:
【化8】
ここで、Xは以下の中から選択される:
【化9】
Yは任意で次の中から選択される:
【化10】
Zは次の中から選択される:
【化11】
Wは、独立して、C、SまたはNのいずれかであり;
Vは独立にC、SまたはNのいずれかであり;
~X13は、独立して、C、N、SまたはOから選択され;
~Yは、独立して、C、N、またはOから選択され;
~Z11は、独立して、C、N、またはOから選択され;
vは0、1または2であり;
~Rは、任意にかつ独立して、H、D、O(=Oを含む)、S(=Sを含む)、または(C1~C3)アルキルから選択され;
~R12は、任意にかつ独立して、H、D、ハロ、メトキシまたは(C~C)アルキルから選択され;
13~R19は、任意にかつ独立して、H、D、(C~C)アルキル、CF、(C~C)アルケニル、ハロ、シアノ、ヒドロキシル、ニトロ、チオール、アミノ、メトキシ、または
【化12】
から選択され;
ここで、nは1~5の整数であり;
20~R23は、独立して、H、D、Oまたは(C~C)アルキルから独立して選択され;
24~R34は、任意にかつ独立して、H、D、(C~C)アルキル、(C~C)ハロアルキル、(C~C)アルケニル、ハロ、シアノ、ヒドロキシル、ニトロ、チオール、アミノ、メトキシまたは
【化13】
から選択され;
2’-R3’は、H、D、(C~C)アルキル、CF、(C~C)アルケニル、ハロ、シアノ、ヒドロキシル、ニトロ、チオール、アミノ、メトキシ、または
【化14】
から選択され;
および、このような式Iの化合物の薬学的に許容される塩である。
【0093】
別の態様では、式I(A)の化合物が提供され、式I(A)は式Iについて定義されたものと同じであるが、Xは以下である:
【化15】
【0094】
別の態様では、式I(B)の化合物が提供され、式I(B)は式Iについて定義されたものと同じであるが、Xは以下である:
【化16】
【0095】
別の態様では、式I(C)の化合物が提供され、式I(C)は式Iについて定義したものと同じであるが、Xは以下である:
【化17】
【0096】
別の態様では、式I(D)の化合物が提供され、式I(D)は式Iについて定義されたものと同じであるが、Xは以下である:
【化18】
【0097】
別の態様では、式I(Aa)、I(Ab)、I(Ac)およびI(Ad)の化合物が提供され、式I(Aa)、I(Ab)、I(Ac)およびI(Ad)は、以下を除き、式I(A)について定義されたものとそれぞれ同じである:
式I(Aa)中のYは
【化19】
式I(Ab)中のYは
【化20】
式I(Ac)中のYは
【化21】
式I(Ad)中のYは
【化22】
【0098】
別の態様では、式I(Ba)、式I(Bb)、式I(Bc)および式I(Bd)の化合物(式中、式I(Ba)、式I(Bb)、式I(Bc)および式I(Bd)は、以下を除き、式I(B)について定義されたものとそれぞれ同じである:
式I(Ba)中のYは
【化23】
式I(Bb)中のYは
【化24】
式I(Bc)中のYは
【化25】
式I(Bd)中のYは
【化26】
【0099】
別の態様では、式I(Ca)、I(Cb)、I(Cc)およびI(Cd)の化合物が提供され、式I(Ca)、I(Cb)、I(Cc)およびI(Cd)は、以下を除き、式I(C)について定義されたものとそれぞれ同じである:
式I(Ca)中のYは
【化27】
式I(Cb)中のYは
【化28】
式I(Cc)中のYは
【化29】
式I(Cd)中のYは
【化30】
【0100】
別の態様では、式I(Da)、式I(Db)、式I(Dc)および式I(Dd)の化合物(式中、式I(Da)、式I(Db)、式I(Dc)および式I(Dd)は、以下を除き、式I(D)について定義されたものとそれぞれ同じである:
式I(Da)中のYは
【化31】
式I(Db)中のYは
【化32】
式I(Dc)中のYは
【化33】
式I(Dd)中のYは
【化34】
【0101】
別の態様では、前記式I(A)、I(B)、I(C)、I(D)、I(Aa)、I(Ba)、I(Ca)、I(Da)、I(Ab)、I(Bb)、I(Cb)、I(Db)、I(Ac)、I(Bc)、I(Cc)、I(Dc)、I(Ad)、I(Bd)、I(Cd)およびI(Dd)のいずれかの化合物が提供され、式中、Zは以下である:
【化35】
【0102】
さらにもう1つの態様において、前記式I(A)、I(B)、I(C)、I(D)、I(Aa)、I(Ba)、I(Ca)、I(Da)、I(Ab)、I(Bb)、I(Cb)、I(Db)、I(Ac)、I(Bc)、I(Cc)、I(Dc)、I(Ad)、I(Bd)、I(Cd)およびI(Dd)のいずれかの化合物が提供され、式中、Zは以下である:
【化36】
【0103】
別の態様では、前記式I(A)、I(B)、I(C)、I(D)、I(Aa)、I(Ba)、I(Ca)、I(Da)、I(Ab)、I(Bb)、I(Cb)、I(Db)、I(Ac)、I(Bc)、I(Cc)、I(Dc)、I(Ad)、I(Bd)、I(Cd)およびI(Dd)のいずれかの化合物が提供され、式中、Zはは以下である:
【化37】
【0104】
ある態様において、本発明の小分子モジュレーターは、以下の式(X)の1つ以上の化合物を含む:
【化38】
ここで、
Wは-C(R)(R)-、-C(O)-、-C(S)-、-0-、-S-または-N(R)-であり、
Vは-C(R)(R)-、-C(O)-、-C(S)-、-0-、-S-または-N(R)-であり、
Xは、
【化39】
であり、
Yは存在しない、
【化40】
であり、
Zは
【化41】
であり、
~X13は、独立して、C、N、SまたはOから選択され、
~Yは、独立して、C、N、またはOから選択され、
~Z11は、独立して、C、N、またはOから選択され、
vは0、1または2であり、
各R~Rは、独立して、H、D、または(C~C)アルキルであり、
各R~Rは、独立して、H、D、ハロ、(C~C)アルコキシル、または(C~C)アルキルであり、
各R~R19は、独立して、H、D、(C~C)アルキル、(C~C)ハロアルキル、(C~C)アルケニル、ハロ、シアノ、ヒドロキシル、ニトロ、チオール、アミノ、(C~C)アルコキシル、
【化42】
であり、
ここで、nは1~5の整数であり、
20~R23は、独立して、H、Dまたは(C~C)アルキルであり、
24~R34は、独立して、H、D、(C~C)アルキル、(C~C)ハロアルキル、(C~C)アルケニル、ハロ、シアノ、ヒドロキシル、ニトロ、チオール、アミノ、メトキシ、または、
【化43】
であり;
各R2’~R3’は、独立して、H、D、(C~C)アルキル、(C~C)ハロアルキル、(C~C)アルケニル、ハロ、シアノ、ヒドロキシル、ニトロ、チオール、アミノ、(C~C)アルコキシル、
【化44】
または、その薬学的に許容される塩である。
【0105】
別の態様では、式(X-A)の化合物が提供され、式(X-A)は式(X)について定義されたものと同じであるが、Xは、
【化45】
であり、R2’、R3’、X、X、Xは前述の通りである。
【0106】
ある態様では、化合物は式(X-A)の構造を有する:
【化46】
2’、R3’、X、X、X、W、V、Y、Zは前述の通りである。
【0107】
別の態様では、式(X-B)の化合物が提供され、式(X-B)は式(X)について定義されたものと同じであるが、Xは:
【化47】
であり、R、R、X、X、XおよびXは前述のとおりである。
【0108】
ある態様では、化合物は式(X-B)の構造を有する:
【化48】
、R、X、X、X、X、W、V、YおよびZは前述のとおりである。
【0109】
別の態様では、式(X-C)の化合物が提供される。式中、式(X-C)は式(X)について定義されたものと同じであるが、Xは:
【化49】
であり、R、R、R、R10、R11、R12、X、X、X10、X11、X12およびX13は前述のとおりである。
【0110】
ある態様では、化合物は式(X-C)の構造を有する:
【化50】
、R、R、R10、R11、R12、X、X、X10、X11、X12、X13、W、V、Y、およびZは前述のとおりである。
【0111】
別の態様では、式(X-D)の化合物が提供され、式(X-D)は式(X)について定義されたものと同じであるが、Xは、
【化51】
であり、R13、X10、X11およびX12については、前述のとおりである。
【0112】
ある態様では、化合物は式(X-D)の構造を有する:
【化52】
13、W、V、Z、X10、X11およびX12は前述のとおりである。
【0113】
別の態様では、式(X-A-a)、(X-A-b)、(X-A-c)、および(X-A-d)の化合物が提供され、式(X-A)、(X-B)、(X-C)および(X-D)は、以下を除き、式I(A)について定義されたものとそれぞれ同じである:
式(X-A-a)において、Yは
【化53】
式(X-A-b)において、Yは
【化54】
式(X-A-c)において、Yは
【化55】
式(X-A-d)において、Yは
【化56】
であり、R14、R15、R16、R17、R18、R19、Y、Y、Y、Y、Yおよびvは、前述の通りである。
【0114】
別の態様では、式(X-B-a)、(X-B-b)、(X-B-c)、および(X-B-d)の化合物(式中、式I(Ba)、I(Bb)、I(Bc)およびI(Bd)は、以下を除き、式I(B)について定義されたものとそれぞれ同じである:
式(X-B-a)において、Yは
【化57】
式(X-B-b)において、Yは
【化58】
式(X-B-c)において、Yは
【化59】
式(X-B-d)において、Yは
【化60】
であり、R14、R15、R16、R17、R18、R19、Y、Y、Y、Y、Yおよびvは前記の通りである。
【0115】
別の態様において、前記式(X)、(X-A)、(X-B)、(X-C)、(X-D)、(X-A-a)、(X-A-b)、(X-A-c)、(X-A-d)、(X-B-a)、(X-B-b)、(X-B-c)、および(X-B-d)のいずれかの化合物が提供され、ここで、Zは
【化61】
であり、R24、R25、R26、R27、R28、Z、Z、Z、Zおよびvは前述のとおりである。
【0116】
さらにもう1つの態様において、前記式(X)、(X-A)、(X-B)、(X-C)、(X-D)、(X-A-a)、(X-A-b)、(X-A-c)、(X-A-d)、(X-B-a)、(X-B-b)、(X-B-c)、および(X-B-d)のいずれかの化合物が提供され、ここで、Zは
【化62】
であり、R24、R29、R30、R31、R32、R33、Z、Z、Z、Z、Zおよびvは前記のとおりである。
【0117】
別の態様において、前記式(X)、(X-A)、(X-B)、(X-C)、(X-D)、(X-A-a)、(X-A-b)、(X-A-c)、(X-A-d)、(X-B-a)、(X-B-b)、(X-B-c)、および(X-B-d)のいずれかの化合物が提供され、ここで、Zは
【化63】
であり、R24、R34、Z10、Z11およびvは前述のとおりである。
【0118】
本発明の組成物および製剤で使用するのに特に好ましい化合物は、以下の表1に示すものを含む。
【0119】
【表1-1】
【表1-2】
【表1-3】
【表1-4】
【表1-5】
【表1-6】
【表1-7】
【表1-8】
【表1-9】
【表1-10】
【表1-11】
【表1-12】
【表1-13】
【表1-14】
【表1-15】
【表1-16】
【表1-17】
【表1-18】
【表1-19】
【表1-20】
【表1-21】
【表1-22】
【表1-23】
【表1-24】
【表1-25】
【表1-26】
【表1-27】
【表1-28】
【表1-29】
【表1-30】
【表1-31】
【表1-32】
【表1-33】
【表1-34】
【0120】
1つの実施形態において、モジュレーターは、gp130シグナル伝達の下流の分子の活性および/または発現を調節する。
【0121】
別の実施形態では、式(I)の化合物は直接的なgp130アゴニストである。
【0122】
別の実施形態では、モジュレーターはgp130シグナル伝達分子と直接相互作用する。
【0123】
1つの態様では、開示されたモジュレーターは、ユニークな再生促進性および抗炎症性プロフィールを有し、ここで、モジュレーターは、(i)OSMによるp38、ERK1/2およびNF-kBの活性化、(ii)gp130リン酸化、(iii)IL-6ファミリーサイトカインによって誘導されるMMP13およびADAMTS4発現を阻害し、(iv)LIFによるYAPおよび/またはSTAT3活性化を促進するかまたは阻害せず、ここで、モジュレーターは、OSMの存在でCOL2およびAcanの発現を増加させることができる。
【0124】
別の態様では、開示されたモジュレーターは、(i)IL-6ファミリーサイトカインによるp38、ERK1/2、NF-κbおよびgp130の活性化、および(ii)OSMによって誘導されるMMP13およびADAMTS4発現を阻害する、独特の抗炎症性プロフィールを有する。
【0125】
別の態様では、開示されたモジュレーターは、ユニークな再生促進プロフィールを有し、モジュレーターは、LIFによるYAPおよび/またはSTAT3活性化を増強し、モジュレーターは、OSMの存在でCOL2およびACANの発現を増加させることができる。
【0126】
ある態様において、式(I)の化合物は、gp130活性を調節することによって、細胞の抗炎症性および/または再生促進性応答を調節する。
【0127】
1つの実施形態において、化合物は、SRC、NF-κB、YAP、p38、ERK1/2、STAT3もしくはMYC、またはそれらの組み合わせの活性を調節する。
【0128】
1つの実施形態において、式(I)の化合物は、STAT3およびMYCシグナル伝達を調節する。1つの実施形態において、化合物は、STAT3およびMYCシグナル伝達を刺激しない。別の実施形態において、化合物は、STAT3およびMYCシグナル伝達を刺激する。
【0129】
本発明の式(I)の特に好ましい化合物は、以下の表2に列挙されたものおよびこれらの化合物の薬学的に許容される塩を含む。
【0130】
【表2-1】
【表2-2】
【表2-3】
【表2-4】
【表2-5】
【表2-6】
【表2-7】
【表2-8】
【表2-9】
【表2-10】
【表2-11】
【表2-12】
【表2-13】
【表2-14】
【表2-15】
【0131】
1つの実施形態において、本発明はまた、式(I)およびその下位式の化合物のエナンチオマー、塩、溶媒和物、多形体、多成分複合体および液晶に関する。
【0132】
1つの実施形態において、本発明はまた、式(I)およびその下位式の化合物、そのプロドラッグおよび異性体(光学異性体、幾何異性体および互変異性体を含む)、ならびに式(I)およびその下位式の同位体標識化合物の多形および晶癖に関する。
【0133】
本製剤で使用される化合物は、薬学的に許容される塩の形態であってもよい。
【0134】
本明細書に開示される化合物が酸性または塩基性部分を含む場合、それはまた、薬学的に許容される塩として開示され得る(Berge et al ., J. Pharm. Sci. 1977, 66, 1- 19; および "Handbook of Pharmaceutical Salts, Properties, and Use," Stah and Wermuth, Ed.; Wiley- VCH and VHCA, Zurich, 2002、を参照)。
【0135】
薬学的に許容される塩の調製において使用するための適切な酸としては、酢酸、2,2-ジクロロ酢酸、アシル化アミノ酸、アジピン酸、アルギン酸、アスコルビン酸、L-アスパラギン酸、ベンゼンスルホン酸、安息香酸、4-アセトアミド安息香酸、ホウ酸、(+)-カンフル酸、カンフルスルホン酸、(+)-(IS)-カンフル-10-スルホン酸、カプリン酸、カプロン酸、カプリル酸、桂皮酸、クエン酸、シクラム酸、シクロヘキサンスルファミン酸、ドデシル硫酸、エタン-1,2-ジスルホン酸、エタンスルホン酸、2-ヒドロキシ-エタンスルホン酸、ギ酸、フマル酸、ガラクタル酸、ゲンチシン酸、グルコヘプトン酸、D-グルコン酸、D-グルクロン酸、L-グルタミン酸、a-oco-グルタル酸、グリコール酸、馬尿酸、臭化水素酸、塩酸、ヨウ化水素酸、(+)-L-乳酸、(+/-)-DL-乳酸、ラクトビオン酸、ラウリン酸、マレイン酸、(-)-L-リンゴ酸、マロン酸、(+/-)-DL-マンデル酸、メタンスルホン酸、ナフタレン-2-スルホン酸、(+/-)-DL-乳酸、ラクトビオン酸、ラウリン酸、マレイン酸、(-)-L-リンゴ酸、マロン酸、(+/-)-DL-マンデル酸、メタンスルホン酸、ナフタレン-2-スルホン酸、(+/-)-DL-乳酸、ラクトビオン酸、ラウリン酸、マレイン酸、(-)-L-リンゴ酸、マロン酸、(+/-)-DL-マンデル酸、メタンスルホン酸、ナフタレン-2-スルホン酸、(+/-)-DL-乳酸、1-ヒドロキシ-2-ナフトエ酸、ニコチン酸、硝酸、オレイン酸、オロチン酸、シュウ酸、パルミチン酸、パモ酸、過塩素酸、リン酸、L-ピログルタミン酸、サッカリン酸、サリチル酸、4-アミノ-サリチル酸、セバシン酸、ステアリン酸、コハク酸、硫酸、タンニン酸、(+)-L-酒石酸、チオシアン酸、p-トルエンスルホン酸、ウンデシレン酸および吉草酸。
【0136】
薬学的に許容される塩の調製における使用に適した塩基、例えば、限定されるものではないが、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、水酸化カリウム、水酸化亜鉛または水酸化ナトリウムのような無機塩基;およびL-アルギニン、ベニザミン、ベンザチン、コリン、デアノール、ジエタノールアミン、ジエチルアミン、ジメチルアミン、ジメチルアミン、ジプロピルアミン、ジイソプロピルアミン、2-(ジエチルアミノ)-エタノール、エタノールアミン、エチルアミン、エチレンジアミン、イソプロピルアミン、iV-メチル-グルカミン、ヒドラバミン、lH-イミダゾール、L-リジン、モルホリン、4-(2-ヒドロキシエチル)-モルホリン、メチルアミン、ピペリジン、ピペラジン、プロピルアミン、ピロリジン、1-(2-ヒドロキシエチル)-ピロリジン、ピリジン、キヌクリジン、キノリン、イソキノリン、第二級アミン、トリエタノールアミン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、iV-メチル-D-グルカミン、2-アミノ-2-(ヒドロキシメチル)-1,3-プロパンジオール、およびトロメタミンを含む、第一級、第二級、第三級、第三級、および第四級、脂肪族および芳香族アミンのような有機塩基;を含む。
【0137】
式I、I(A)、I(Aa)、I(Ab)、I(Ac)、I(Ac)、I(Ab)、I(Ac)、I(Ac)、I(Ad)、I(B)、I(Ba)、I(Bb)、I(Bc)、I(Bd)、I(C)、I(Ca)、I(Cb)、I(Cc)、I(Cd)、I(D)、I(Da)、I(Db)、I(Dc)、およびI(Dd)の化合物、ならびに式(X)、(X-A)、(X-B)、(X-C)、および(X-D)の化合物、ならびに表1~2は容易に調製することができる。例えば、第一級または第二級アミンを含むアミンのような求核試薬を、好適な条件下で、酸または他の反応基と反応させて、化合物の一部を連結させることができる。例えば、求核試薬を、塩化メチレン、クロロホルム等のような極性溶媒を含む1以上の溶媒中、室温または高温で、クロモグラフィーまたは他の分析によって決定されるような反応を効果的に完了するのに十分な時間、酸(例えば、-C(=O)OH、-C(=O)ハロゲン化物、例えば、-C(=O)Cl、-SOH)または他の反応基と反応させることができる。形成された化合物は、所望により、例えば、1以上の付加またはカップリング反応によって、さらに官能化され得る。例示的な好ましい合成は、図1に示される。
【0138】
本発明はまた、一般に、式(I)およびその下位式の化合物のすべての薬学的に許容されるプレドラッグおよびプロドラッグを包含する。
【0139】
また、アルコール基が存在する場合には、医薬的に許容されるエステル、例えば酢酸塩、マレイン酸塩、ピバロイルオキシメチルなど、および徐放性製剤またはプロドラッグ製剤として使用するための溶解性または加水分解特性を修飾するために当技術分野で公知のエステルを使用することができる。
【0140】
化合物のプロドラッグは、本開示の方法において有用である。本開示の化合物の生物学的、薬学的または治療的に活性な形態を提供するためにインビボで変換される任意の化合物は、プロドラッグである。プロドラッグの種々の例および形態は、当技術分野において周知である。プロドラッグの例は、特に、
Design of Prodrugs, edited by H. Bundgaard, (Elsevier, 1985), Methods in Enzymology, Vol. 42, at pp. 309-396, K. Widder, et al.編 (Academic Press, 1985); A Textbook of Drug Design and Development, Krosgaard-Larsen and H. Bundgaard編, Chapter 5, "Design and Application of Prodrugs," by H. Bundgaard, at pp . 113-191, 1991) ; H. Bundgaard, Advanced Drug Delivery Reviews, Vol. 8, p.1-38 (1992); H. Bundgaard, et al., Journal of Pharmaceutical Sciences, Vol. 77, p. 285 (1988); およびNogrady (1985) Medicinal Chemistry A Biochemical Approach, Oxford University Press, New York, pages 388-392に見いだされる.
【0141】
本明細書に開示された化合物のプロドラッグは、当業者に知られた方法およびそのルーチンの改変、および/または米国特許第8293786号およびそこに引用された参考文献に見出された手順およびそのルーチンの改変によって調製することができる。
【0142】
[医薬組成物]
本明細書では、医薬製剤も提供される。したがって、本発明は、gp130シグナル伝達経路の少なくとも1つのモジュレーター、好ましくは前記の式(I)の化合物、および少なくとも1つの薬学的に許容される担体、希釈剤、賦形剤および/またはアジュバントを含む医薬組成物に関する。
【0143】
好ましい実施形態において、医薬組成物は、前記の表1~2から選択されるgp130シグナル伝達経路の少なくとも1つのモジュレーター、ならびに少なくとも1つの薬学的に許容される担体、希釈剤、賦形剤および/またはアジュバントを含む。
【0144】
医薬組成物の実施形態において、化合物またはその薬学的に許容される塩は、治療有効量で含まれる。
【0145】
本開示の医薬組成物は、意図された投与経路と適合するように製剤化される。
【0146】
投与経路の例には、非経口、例えば関節内注射、静脈内、皮内、皮下、経口(例えば吸入)、経皮(局所)、経粘膜、および直腸投与が含まれる。
【0147】
1つの実施形態において、前記の式(I)の化合物を含む本発明の医薬組成物は、対象への投与に適した形態である。このような適切な投与形態は、固体、半固体または液体であり得る。このような適切な投与形態は当業者には明らかであり、Remington’s Pharmaceutical Sciencesの最新版が参照される。
【0148】
非経口的、皮内的または皮下的適用のために使用される溶液または懸濁液は、以下の成分を含むことができる:注射用の水、食塩溶液、固定油、ポリエチレングリコール、グリセリン、プロピレングリコールまたは他の合成溶媒のような滅菌希釈剤;ベンジルアルコールまたはメチルパラベンのような抗菌剤;アスコルビン酸または重亜硫酸ナトリウムのような抗酸化剤;エチレンジアミン四酢酸のようなキレート剤;酢酸塩、クエン酸塩またはリン酸塩のような緩衝剤、および塩化ナトリウムまたはデキストロースのような浸透圧調節剤。pHは、塩酸または水酸化ナトリウムのような酸または塩基で調整することができる。非経口製剤は、ガラスまたはプラスチック製のアンプル、使い捨てシリンジまたは複数回投与バイアルに封入することができる。
【0149】
注射可能な使用に適した医薬組成物には、無菌の水性溶液(水溶性の場合)または分散液、および無菌の注射可能な溶液または分散液の即時調製のための無菌粉末が含まれる。静脈投与の場合、適切な担体には、生理食塩水、静菌水、クレモホールEL(商標)(BASF, Parsippany, N.J.)またはリン酸緩衝生理食塩水(PBS)が含まれる。いずれの場合も、組成物は無菌でなければならず、シリンジで投与しやすい程度に流動性でなければならない。製造および保管条件下で安定でなければならず、バクテリアおよび真菌などの微生物の汚染作用に対して保存されていなければならない。担体は、例えば、水、エタノール、ポリオール(例えば、グリセロール、プロピレングリコール、および液状ポリエチレングリコールなど)、およびそれらの適切な混合物を含有する溶媒または分散媒であり得る。適切な流動性は、例えば、レシチンなどのコーティングの使用、分散の場合に必要な粒子サイズの維持、および界面活性剤の使用によって維持することができる。微生物の作用の防止は、種々の抗菌剤および抗真菌剤、例えば、パラベン、クロロブタノール、フェノール、アスコルビン酸、チメロサールなどによって達成することができる。多くの場合、組成物中に、等張剤、例えば、糖、ポリアルコール、例えば、マンニトール、ソルビトール、塩化ナトリウムなどを含むことが好ましい。多くの場合、組成物中に、等張剤、例えば、糖、ポリアルコール、例えば、マンニトール、ソルビトール、塩化ナトリウムなどを含むことが好ましい。注射可能な組成物の持続吸収は、組成物中に、吸収を遅延させる剤、例えば、モノステアリン酸アルミニウムおよびゼラチンなどを含むことによってもたらされ得る。
【0150】
滅菌された注射可能な溶液は、活性化合物、例えば本明細書中に開示された式(1)の化合物を、必要な量で、前記に列挙した成分の1つまたは組合せと共に適切な溶媒中に組み込んだ後、必要に応じてろ過滅菌することによって調製することができる。一般に、分散液は、活性化合物を、基本的な分散媒および前記に列挙したものからの必要な他の成分を含有する滅菌ビヒクル中に組み入れることによって調製される。滅菌された注射可能な溶液の調製のための滅菌粉末の場合、調製方法は、真空乾燥および凍結乾燥であり、これにより、事前に滅菌されろ過されたその溶液から、活性成分プラス任意の追加の所望の成分の粉末が得られる。
【0151】
特定の実施形態において、本開示の1以上の化合物は、生体からの急速な消失に対して化合物を保護する担体、例えば、インプラントおよびマイクロカプセル化されたデリバリーシステムを含む制御放出製剤を用いて調製される。エチレンビニルアセテート、ポリ無水物、ポリグリコール酸、コラーゲン、ポリオルトエステル、およびポリ乳酸などの生分解性、生体適合性ポリマーを使用することができる。そのような製剤の調製方法は、当業者に明らかであるべきである。材料はまた、Alza CorporationおよびNova Pharmaceuticals,Inc.から商業的に入手することができる。リポソーム懸濁液(モノクローナル抗体で細胞を標的とするリポソームを含む)も、薬学的に許容される担体として使用することができる。これらは、例えば、米国特許第4,522,811号に記載されているように、当業者に公知の方法に従って調製することができる。
【0152】
ある態様において、式(I)の化合物を含む医薬組成物は、固体形態で投与される。そのような形態のいくつかの好ましい例として、散剤、錠剤、丸剤、カプセル剤、カシェ剤、坐剤、および分散性顆粒が挙げられるが、これらに限定されない。ある態様において、医薬組成物は、式(I)の化合物および固体担体を含む。固体担体は、希釈剤、着香剤、結合剤、防腐剤、錠剤崩壊剤、またはカプセル化材料としても作用し得る1以上の物質であり得る。適切な担体は、炭酸マグネシウム、ステアリン酸マグネシウム、タルク、砂糖、ラクトース、ペクチン、デキストリン、デンプン、ゼラチン、トラガカント、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、低融点ワックス、カカオバター等である。
【0153】
粉末では、担体は、細かく分割された活性成分との混合物中の細かく分割された固体であってもよく、錠剤では、活性成分を、必要な結合特性を有する担体と適切な割合で混合し、所望の形状および大きさに圧縮してもよい。
【0154】
粉末および錠剤は、好ましくは1%から70%の式(I)の活性化合物を含有する。
【0155】
座薬の製造には、脂肪酸グリセリドやココアバターの混合物などの低融点ワックスをまず溶融し、有効成分を攪拌などで均一に分散させた後、適当な大きさの型に流し込み、冷却して固化させる。
【0156】
医薬組成物は、静脈内使用を意図することができる。薬学的に許容される賦形剤は、pHを静脈内使用のための望ましい範囲に調節するための緩衝液を含むことができる。リン酸、ホウ酸塩、および硫酸塩などの無機酸の塩を含む多くの緩衝液が知られている。
【0157】
ある態様において、本明細書に記載される医薬組成物は、局所投与に適合するように製剤化される。1つの実施形態において、医薬組成物は、局所製剤として製剤化される。
【0158】
局所製剤は、適切な用量および治療計画に従って皮膚領域に適用することができる。記載された方法のための用量および投与計画は、治療される性質および状態、患者の年齢および状態、ならびに前治療または同時治療に依存する。
【0159】
いくつかの例において、局所製剤は、毎週1回、隔日1回、1日1回、1日2回、1日3回、または1日4回、適切な期間適用することができる。皮膚領域が回復した時点で治療を終了してもよいし、必要な場合には、例えば、皮膚領域に追加の治療が必要な場合に治療を再開してもよい。
【0160】
本発明によれば、局所製剤は、クリーム、ゲルまたは液体の形態で局所的に投与することができる。局所投与は、安定化された製剤を皮膚に直接提供するものであり、好ましくは皮膚科学的に許容される担体を使用して提供される。担体は、油のような比較的単純な溶媒または分散剤からなるものであってもよいが、一般に、担体は、局所適用に対してより伝導性のある材料、特に、それが適用される皮膚上にフィルムまたは層を形成する材料を含むことが好ましい。これにより、適用が局所化され、発汗に対するいくらかの抵抗を提供し、および/または、経皮的送達および脂肪層への活性成分の浸透を助ける。多くのそのような組成物は当技術分野で公知であり、クリーム、ゲル、軟膏、ヒドロゲル、ペーストまたはプラスター、および液体投薬形態、例えば、溶液、エマルジョン、特に水中油エマルジョン、懸濁液、例えばローションなど、または固体スティックの形態をとることができる。リポソームまたはミクロスフェアも使用することができる。
【0161】
いくつかの態様において、局所製剤は、皮膚バリアをより容易に破壊し、局所製剤中の薬剤に、より迅速なまたはより効果的な手段を角質層を通して提供するように設計された装置または方法を用いて投与することができる。これらには、例えば、超音波療法または超音波、酸素ネブライザー、およびイオントフォレーシスと組み合わせたナノソームミストが含まれる。いくつかの態様において、ナノソームミストを生成するためにスプレーまたはネブライザーを使用することができる。一実施形態では、PowerCosmetics(登録商標)として記載されるマイクロ電子化粧品送達機構を、局所製剤の皮膚への送達のために使用することができる。この方法は、イオン性化合物を皮膚に送達するのに有用であり、角質層を通した小分子の浸透を助ける。
【0162】
一実施形態では、OZ Inside(商標)として記載される低強度超音波送達システムを皮膚への局所製剤の送達に使用することができる。PCT/US2011/041787、PCT/US2014/043951は、本開示の局所製剤を投与するためにかかる送達システムを使用するために参考として本明細書に組み込まれる。
【0163】
局所製剤によって治療される対象は、ヒトまたは非ヒト哺乳動物であり得る。
【0164】
ある態様において、式(I)の化合物を含む医薬組成物は、固体形態で経口投与することができる。そのような形態のいくつかの好ましい例としては、散剤、錠剤、丸剤、カプセル剤、カシェ剤、坐剤、および分散性顆粒が挙げられるが、これらに限定されない。
【0165】
ある態様において、式(I)の化合物を含む医薬組成物は、インプラントコーティングにおける使用のために製剤化することができる。
【0166】
いくつかの実施形態において、インプラントコーティングは、埋込み可能なデバイスをコーティングするために使用される。
【0167】
ある態様において、インプラントコーティングは、式(I)の化合物を含む医薬組成物の徐放のために有用である。
【0168】
いくつかの実施形態では、移植可能な装置は、骨代替物、関節プロテーゼ、歯科インプラント、顎顔面インプラント、脊椎手術補助器具、および経皮的装置からなる群から選択される部材である。
【0169】
[その他の材料]
本発明の医薬組成物は、任意に、1つ以上の他の薬学的に受容可能なキャリア、希釈剤、賦形剤および/またはアジュバントを含み得る。投与形態の調製において使用するためのそのような適切なキャリア、希釈剤、賦形剤および/またはアジュバントは、当業者には明らかであり、Remington’s Pharmaceutical Sciencesの最新版が参照される。
【0170】
特に、本発明の医薬組成物は、例えば共溶媒、抗酸化剤、界面活性剤、湿潤剤、乳化剤、緩衝剤、pH調節剤、保存剤(またはpreservating剤)、等張化剤、安定化剤、造粒剤または結合剤、沈殿阻害剤、潤滑剤、崩壊剤、流動促進剤、希釈剤または充填剤、吸着剤、分散剤、懸濁化剤、増量剤、放出剤、甘味剤、香味剤などの医薬製剤において一般的に使用される不活性物質を任意に含有することができる。
【0171】
一実施形態によれば、本発明の医薬組成物は、カプリル酸、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、エタノール、グリセロール、ジメチルスルホキシド、ジメチルアセトアミド、ジメチルイソソルビド、セルロース誘導体(ヒドロキシプロピルメチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、フタル酸ヒドロキシプロピルメチルセルロースおよび酢酸コハク酸ヒドロキシプロピルメチルセルロースを含む)、クレモホールRH40(ポリオキシエチレン40水素化ヒマシ油)、クレモホールEL(ポリオキシエチレン35水素化ヒマシ油)、ポリソルベート20(ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート)、ポリソルベート80(ポリオキシエチレンソルビタンモノオレエート)、ポロクサマー188(ポリ(エチレングリコール)-ブロック-ポリ(プロピレングリコール)-ブロック-ポリ(エチレングリコール))、ポロクサマー407(ポリ(エチレングリコール)-ブロック-ポリ(プロピレングリコール)-ブロック-ポリ(エチレングリコール))、ビタミンE TPGS(ビタミンEポリエチレングリコールコハク酸エステル)、可溶性HS15(ポリオキシエチル化12-ヒドロキシステアリン酸)、ラブラゾール(カプリロカプロンポリオキシ-8グリセリド)、ラブラフィルM1944(オレオイルポリオキシ-6グリセリド)、ポリビニルピロリドン(ポビドンとも呼ばれ、好ましくはポリビニルピロリドンK17、K19、K29-K32、K90)、ポリビニルピロリドンポリ酢酸ビニルコポリマー、カルボキシメチルセルロース(Na/Ca)、ポリエチレングリコールメチルエーテル-ブロック-ポリ(D-L-ラクチド)コポリマー、ラウリル硫酸ナトリウム、ジオクチル酸ナトリウム、プロピレングリコールモノラウレート、プロピレングリコールジラウレート、プロピレングリコールモノカプリレート、ポリエチレングリコール660-12-モノステアレート、ポリ(ブチルメタクリレート-co-(2-ジメチルアミノエチル)メタクリレート-co-メチルメタクリレート)1:2:1、ラウリル硫酸ナトリウムから選択される1以上の薬学上許容される不活性成分を含む。
【0172】
好ましい実施形態において、本発明の医薬組成物は、1種以上の薬学的に許容される共溶媒を含む。好ましくは、共溶媒は、カプリル酸、ポリエチレングリコール(PEG)、プロピレングリコール、エタノール、ジメチルスルホキシド、ジメチルアセトアミド、ジメチルイソソルビドおよびそれらの混合物から選択される。特定の実施形態において、本発明の医薬組成物は、カプリル酸および/またはPEGを含む。有利には、組成物が共溶媒としてPEGを含む場合、PEGは低分子量であり、好ましくはPEG 400である。代替的な実施形態において、組成物がPEGを含む場合、それは中程度の分子量であり、好ましくはPEG 2000である。
【0173】
1つの実施形態において、本発明の医薬組成物は、1種以上の抗酸化剤をさらに含み;好ましくは、抗酸化剤は、ブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)、ブチル化ヒドロキシアニソール(BHA)、クエン酸、メタ重亜硫酸ナトリウム、アスコルビン酸、メチオニンおよびビタミンEから選択され;より好ましくは、抗酸化剤はBHTである。
【0174】
いくつかの実施形態において、界面活性剤、例えば、ポリエチレングリコール、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ソルビタンエステル、ジオクチル酸ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム、ポリソルベート(20、80等)、ポロキサマー(188、407等)、プルロニック(登録商標)ポリオール、ポリオキシエチレンソルビタンモノエーテル(TWEEN(登録商標)-20、TWEEN(登録商標)-80等)、ビタミンE TPGS(ビタミンEポリエチレングリコールスクシネート)、クレモホールRH40(ポリオキシ40水素化ヒマシ油)、クレモホールEL(ポリオキシ35水素化ヒマシ油)、ポリエチレングリコール660 12-モノステアレート、ソルトールHS15(ポリオキシエチル化12-ヒドロキシステアリン酸)、ラブラゾール(カプリロカプロイルポリオキシl-8グリセリド)、ラブラフィルM1944(オレオイルポリオキシl-6グリセリド)が添加される。
【0175】
いくつかの実施形態において、湿潤剤、例えば、ラウリル硫酸ナトリウム、ビタミンE TPGS、ジオクチル酸ナトリウム、ポリソルベート80、ポロクサマー407を添加する。好ましい湿潤剤はラウリル硫酸ナトリウムである。
【0176】
いくつかの実施形態において、例えばカルボマー、カラギーナン、ラノリン、レシチン、鉱油、オレイン酸、オレイルアルコール、ペクチン、ポロクサマー、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ソルビタンエステル、トリエタノールアミン、プロピレングリコールモノラウレート、プロピレングリコールジラウレート、プロピレングリコールモノカプリレート等の乳化剤を添加する。好ましい乳化剤は、例えば、ポロクサマー、プロピレングリコールモノラウレート、プロピレングリコールジラウレート、およびプロピレングリコールモノカプリレートである。
【0177】
いくつかの実施形態において、緩衝剤は生理的条件に近い範囲にpHを維持するのを助けるために使用され、適切な緩衝剤としては、有機酸および無機酸の両方およびそれらの塩、例えば、クエン酸塩緩衝液(例えば、クエン酸-クエン酸ナトリウム混合物、クエン酸-クエン酸三ナトリウム混合物、クエン酸-クエン酸ナトリウム混合物など)、コハク酸塩緩衝液(例えば、コハク酸-コハク酸ナトリウム混合物、コハク酸-水酸化ナトリウム混合物、コハク酸-コハク酸二ナトリウム混合物など)、酒石酸塩緩衝液(例えば、酒石酸-酒石酸ナトリウム混合物、酒石酸-酒石酸カリウム混合物、酒石酸-水酸化ナトリウム混合物など)、フマル酸緩衝液(例えば、フマル酸-フマル酸一ナトリウム混合物、フマル酸一ナトリウム-酒石酸カリウム混合物、酒石酸-水酸化ナトリウム混合物など)、グルコン酸塩緩衝液(例えば、グルコン酸-グリコネートナトリウム混合物、グルコン酸-水酸化ナトリウム混合物、グルコン酸-フマル酸-グルコン酸カリウム混合物など)、シュウ酸塩緩衝液(例えば、シュウ酸-乳酸ナトリウム混合物、乳酸-水酸化ナトリウム混合物、乳酸-乳酸カリウム混合物など)、乳酸塩緩衝液(例えば、酢酸-酢酸ナトリウム混合物、酢酸-水酸化ナトリウム混合物など)および酢酸塩緩衝液(例えば、酢酸-酢酸ナトリウム混合物、酢酸-水酸化ナトリウム混合物など)が含まれる。さらに、リン酸緩衝液、ヒスチジン緩衝液および、トリスなどのトリメチルアミン塩を使用することができる。
【0178】
ある態様において、pH調節剤、例えば、水酸化ナトリウム、重炭酸ナトリウム、酸化マグネシウム、水酸化カリウム、メグルミン、炭酸ナトリウム、クエン酸、酒石酸、アスコルビン酸、フマル酸、コハク酸およびリンゴ酸が添加される。
【0179】
いくつかの実施形態において、微生物の増殖を遅らせるために防腐剤が添加される。本開示と共に使用するための適切な防腐剤としては、フェノール、ベンジルアルコール、メタ-クレゾール、メチルパラベン、プロピルパラベン、オクタデシルジメチルベンジル塩化アンモニウム、ハロゲン化ベンザルコニウム(例えば、塩化物、臭化物、およびヨウ化物)、塩化ヘキサメソニウム、およびメチルまたはプロピルパラベンなどのアルキルパラベン、カテコール、レゾルシノール、シクロヘキサノール、および3-ペンタノールが挙げられる。
【0180】
いくつかの実施形態において、「安定剤」として知られることもある等張化剤が添加され、多価糖アルコール、例えば、グリセリン、エリトリトール、アラビトール、キシリトール、ソルビットおよびマンニトールなどの三価または高級糖アルコールが挙げられる。安定剤とは、増量剤から、治療剤を可溶化するか、または変性またはコンテナ壁への付着を防止するのを助け、または活性成分の沈殿、粒成長または凝集を阻害するのを助ける添加剤まで、機能範囲が広い賦形剤のカテゴリーを指す。典型的な安定剤は、多価糖アルコール(前記に列挙されている);アルギニン、リジン、グリシン、グルタミン、アスパラギン、ヒスチジン、アラニン、オルニチン、L-ロイシン、2-フェニルアラニン、グルタミン酸、スレオニンなどのアミノ酸;ラクトース、トレハロース、スタキオース、マンニトール、ソルビット、キシリトール、リビトール、ミオイノシトール、ガラクチトール、グリセロールなどの有機糖または糖アルコール、イノシトールなどのシクリトールを含む;ポリエチレングリコール;アミノ酸ポリマー;尿素、グルタチオン、チオクト酸、チオグリコール酸ナトリウム、チオグリセロール、α-モノチオグリセロールおよびチオ硫酸ナトリウムなどの硫黄含有還元剤;低分子ポリペプチド(例えば、10残基以下のペプチド);ヒト血清アルブミン、ウシ血清アルブミン、ゼラチンまたは免疫グロブリンなどのタンパク質;ポリビニルピロリドンなどの多糖類;ヒドロキシプロピルメチルセルロース、フタル酸ヒドロキシプロピルメチルセルロースまたは酢酸コハク酸ヒドロキシプロピルメチルセルロースなどのセルロース誘導体;カルボキシメチルセルロース(Na/Ca);キシロース、マンノース、フルクトース、グルコースなどの単糖類;ラクトース、麦芽糖、スクロースなどの二糖類およびラフィノースなどの三糖類;デキストランなどの多糖類;ポリエチレングリコールメチルエーテル-ブロック-ポリ(D-L-ラクチド)コポリマー;ポリ(ブチルメタクリレート-co-(2-ジメチルアミノエチル)メタクリレート-co-メチルメタクリレート)1:2:1。好ましい安定剤は、例えば、グリセロール;ポリエチレングリコール;ポリビニルピロリドン;ヒドロキシプロピルメチルセルロース、フタル酸ヒドロキシプロピルメチルセルロースまたは酢酸コハク酸ヒドロキシプロピルメチルセルロースなどのセルロース誘導体;カルボキシメチルセルロース(Na/Ca);ポリエチレングリコールメチルエーテル-ブロック-ポリ(D-L-ラクチド)コポリマー;ポリ(ブチルメタクリレート-co-(2-ジメチルアミノエチル)メタクリレート-co-メチルメタクリレート)1:2:1である。
【0181】
いくつかの実施形態において、例えば、デンプン、ガム(天然、半合成および合成を含む)、微結晶セルロース、エチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、液体グルコースポリマー、例えば、ポビドン、ポリビニルピロリドンポリ酢酸ビニルコポリマーなどの顆粒化剤/結合剤を添加する。好ましい顆粒化剤は、例えば、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ポビドンおよびポリビニルピロリドンポリ酢酸ビニルコポリマーである。
【0182】
いくつかの実施形態において、沈殿阻害剤、例えば、ヒドロキシプロピルメチルセルロースおよびメチルセルロースを含むセルロースの水溶性誘導体、およびポリビニルピロリドンまたはポリビニルピロリドンポリ酢酸ビニルコポリマーなどの水溶性ポリマーが添加される。好ましい沈殿阻害剤はヒドロキシプロピルメチルセルロースである。
【0183】
いくつかの実施形態において、潤滑剤、例えばステアリン酸マグネシウム、グリセリルエステル、ベヘノイルポリオキシ-8グリセリドNf(Compriol HD5 ATO)、ステアリルフマル酸ナトリウム等が添加される。
【0184】
いくつかの実施形態において、崩壊剤、例えば、デンプングリコール酸ナトリウムのような合成物、クロスポビドン、クロスカルメロースナトリウム、コリドンCL、および天然起源、例えば、ローカストビーンガムなどが添加される。
【0185】
いくつかの実施形態において、流動促進剤(例えば、タルク、ステアリン酸マグネシウム、コロイド状二酸化ケイ素、デンプンなど)が添加される。
【0186】
いくつかの実施形態において、希釈剤(または充填剤)、例えば、デキストロース、ラクトース、マンニトール、微結晶セルロース、ソルビトール、スクロース、二塩基性リン酸カルシウム、硫酸カルシウム二水和物、デンプンなどが添加される。
【0187】
いくつかの実施形態において、例えば二酸化ケイ素、精製ケイ酸アルミニウムなどの吸着剤が添加される。
【0188】
いくつかの実施形態において、本発明の医薬組成物は、錠剤の形態であり、錠剤化賦形剤、例えば、造粒剤、結合剤、潤滑剤、崩壊剤、流動促進剤、希釈剤、吸着剤などが添加される。
【0189】
いくつかの実施形態において、本発明の医薬組成物は、カプセルの形態であり、カプセルシェルは、ゼラチンまたはセルロースおよびヒドロキシプロピルメチルセルロースのようなその誘導体のような非動物由来製品から構成される。可塑剤として作用するポリエチレングリコールのような他の成分をカプセルシェルに含めることができる:不透明度および色の区別を提供する二酸化チタンまたは酸化鉄のような顔料;カルナウバワックスのような潤滑剤;カラギーナンのようなゲル化剤およびラウリル硫酸ナトリウムのような湿潤剤。一実施形態において、本発明の医薬組成物は、カプセルとして製剤化され、カプセルシェルはゼラチンから構成され、付加的な成分、例えば、ポリエチレングリコールおよびラウリル硫酸ナトリウムのようなカプセルシェルに任意に含まれる。
【0190】
[用量および単位用量]
細胞培養アッセイおよび動物試験から得られたデータは、ヒトに使用するための用量範囲を決定する際に用いることができる。そのような化合物の用量は、ED50を含む循環濃度の範囲内にあり、毒性はほとんどまたは全くない。用量は、使用される投与形態および利用される投与経路に依存して、この範囲内で変化し得る。本開示の方法で使用されるいずれの化合物についても、治療有効用量は、最初に細胞培養アッセイから推定することができる。用量は、細胞培養で決定されたIC50(例えば、症状の最大阻害の半分を達成する試験化合物の濃度)を含む循環血漿濃度範囲を達成するように、動物モデルで製剤化することができる。このような情報は、ヒトにおける有用な用量をより正確に決定するために用いることができる。血漿中のレベルは、例えば、高速液体クロマトグラフィーによって測定することができる。
【0191】
医薬製剤は、好ましくは単位投薬形態であり、そのような形態では、製剤は、適切な量の活性成分を含有する単位投薬形態に細分される。
【0192】
単位投与形態は、パッケージされた製剤であってもよく、パッケージは、バイアルまたはアンプル中のパッケージ化された錠剤、カプセル、および粉末などの製剤の個別の量を含む。
【0193】
また、単位投薬形態は、カプセル、錠剤、カシェ剤、またはロゼンジ自体であってもよく、または包装形態におけるこれらのいずれかの適切な数であってもよい。
【0194】
単位用量の調製物中の式(I)の化合物の量は、特定の用途および活性成分の効力に従って、0.1mgから10000mgまで変化または調節することができる。
【0195】
組成物は、所望により、他の適合性治療剤を含有することもできる。式(I)のいくつかの化合物は、水への溶解性が制限される場合があり、したがって、組成物中に界面活性剤または他の適切な共溶媒を必要とする場合がある。そのような共溶媒には、ポリソルベート20、60、および80;プルロニック(登録商標)F-68、F-84、およびP-103;シクロデキストリン;およびポリオキシエル35ヒマシ油が含まれる。そのような共溶媒は、典型的には、約0.01重量%~約2重量%のレベルで使用される。単純な水溶液の粘度よりも高い粘度は、製剤を分配する際の変動性を減少させるため、製剤の懸濁液またはエマルジョンの成分の物理的分離を減少させるため、および/または製剤を改善するために望ましい場合がある。そのような粘度増強剤としては、例えば、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、コンドロイチン硫酸およびその塩、ヒアルロン酸およびその塩、ならびに前述のものの組み合わせが挙げられる。そのような薬剤は、典型的には、約0.01重量%~約2重量%のレベルで使用される。
【0196】
一実施形態において、本発明の医薬組成物は、前記の式(I)の化合物約1mg~約400mgを1日に対象に投与することに対応するように、1日用量として投与される。
【0197】
いくつかの実施形態において、1日用量は、1日を通して2、3、4、または6等単位用量の別々の投与で投与される。
【0198】
別の実施形態において、1日用量は、単一単位用量として投与される。
【0199】
いくつかの実施形態において、各単位用量は、1、2、3、または4個の錠剤、懸濁液、顆粒またはカプセルの形態で投与される。
【0200】
また、本発明の医薬組成物は、その中に含まれる前記のモジュレーターの迅速な、持続的な、または遅延放出を提供するように製剤化することもできる。
【0201】
[追加の治療剤および方法]
本明細書に開示されるgp130シグナル伝達経路の1つ以上のモジュレーターの組成物および製剤は、対象における障害または疾患を治療するために他の活性剤と組み合わせて使用することができる。
【0202】
追加の治療剤を本開示の化合物と共に投与することは、活性成分の固定比率を有する単一のカプセル、または各活性成分のための複数の別々のカプセルなど、実質的に同時にこれらの治療剤を同時投与することを包含することを理解すべきである。さらに、本明細書に開示された化合物と組み合わせた追加の治療剤の投与は、連続的な方法での各タイプの治療剤の使用も包含する。いずれの場合も、治療レジメンは、本明細書に記載された障害を治療する際に、薬物組合せの有益な効果を提供する。
【0203】
さらなる実施形態では、本明細書に開示する化合物は、アルキル化剤、がん免疫療法モノクローナル抗体、代謝拮抗剤、有糸分裂阻害剤、抗腫瘍抗生物質、トポイソメラーゼ阻害剤、光増感剤、チロシンキナーゼ阻害剤、抗がん剤、化学療法剤、抗片頭痛処置剤、抗痙攣剤、粘液溶解剤、鬱血除去剤、抗アレルギー性非ステロイド剤、去痰剤、抗ヒスタミン処置剤、抗レトロウイルス剤、CYP3A阻害剤、CYP3A誘導剤、プロテアーゼ阻害剤、アドレナリン作動性アゴニスト、抗コリン作動性剤、肥満細胞安定剤、キサンチン、ロイコトリエン拮抗薬、糖質コルチコイド治療剤、抗菌剤、抗真菌剤、敗血症治療剤、ステロイド剤、局所麻酔剤または全身麻酔剤、NSAIDS、NRI、DARI、SNRI、鎮静剤、NDRI、SNDRI、モノアミンオキシダーゼ阻害剤、視床下部リン脂質、制吐剤、ECE阻害剤、オピオイド、トロンボキサン受容体拮抗薬、カリウムチャネル開口薬、トロンビン阻害剤、成長因子阻害剤、抗血小板剤、P2Y(AC)アンタゴニスト、抗凝固剤、低分子量ヘパリン、Via因子阻害剤、Xa因子阻害剤、レニン阻害剤、NEP阻害剤、バソペプチダーゼ阻害剤、スクアレンシンセターゼ阻害剤、抗アテローム性動脈硬化剤、MTP阻害剤、カルシウムチャネル遮断剤、カリウムチャネル活性化剤、α-ムスカリン剤、β-ムスカリン剤、抗不整脈剤、利尿剤、血栓溶解剤、抗糖尿病剤、ミネラルコルチコイド受容体アンタゴニスト、成長ホルモン分泌促進物質、aP2阻害剤、ホスホジエステラーゼ阻害剤、抗炎症剤、抗増殖剤、抗生物質、ファメシルタンパク質トランスフェラーゼ阻害剤、ホルモン剤、植物由来産物、エピポドフィロトキシン、タキサン、プレニルタンパク質トランスフェラーゼ阻害剤、抗TNF抗体および可溶性TNF受容体、シクロオキシゲナーゼ-2阻害剤、ならびにその他の薬剤を含むが、これらに限定されない治療剤と組み合わせることができる。
【0204】
[キット]
本明細書に記載される治療用途で使用するために、キットおよび製品も本明細書に記載される。そのようなキットは、バイアル、チューブなどの1つ以上の容器を受容するように区画化されたキャリア、パッケージ、または容器を含むことができ、各容器は、本明細書に記載される方法で使用される別個の要素の1つを含む。適切な容器には、例えば、ボトル、バイアル、シリンジ、および試験管が含まれる。容器は、ガラスまたはプラスチックなどの様々な材料から形成することができる。
【0205】
例えば、コンテナは、本明細書に記載された1つ以上の化合物を、任意に組成物中に、または本明細書に開示された別の薬剤と組み合わせて含むことができる。コンテナは、任意に無菌のアクセスポートを有する(例えば、コンテナは、静脈内溶液バッグまたは皮下注射針で刺し通すことができるストッパーを有するバイアルであり得る)。このようなキットは、任意に、本明細書に記載された方法におけるその使用に関連する識別説明またはラベルまたは指示を有する化合物を含む。
【0206】
キットは、典型的には、1つ以上の追加の容器を含み、各容器は、本明細書に記載される化合物の使用のために商業的および使用者の観点から望ましい種々の材料(例えば、試薬、場合により濃縮された形態、および/または装置)の1つ以上を含む。このような材料の非限定的な例としては、緩衝液、希釈剤、フィルター、針、シリンジ、担体、パッケージ、容器、バイアルおよび/またはチューブラベル、内容物および/または使用説明書を記載したラベル、および使用説明書付きの添付文書が挙げられるが、これらに限定されない。一連の説明書もまた、典型的に含まれる。
【0207】
ラベルは、コンテナ上にあっても、コンテナと関連付けられていてもよい。ラベルは、ラベルを形成する文字、数字、または他の文字がコンテナ自体に添付され、成形され、またはエッチングされたときにコンテナ上にあってもよく、ラベルは、コンテナを保持する容器またはキャリア内に存在するときに、例えば、パッケージ挿入物としてコンテナと関連付けられてもよい。ラベルは、内容物が特定の治療用途に使用されることを示すために使用することができる。また、ラベルは、本明細書に記載される方法におけるような内容物の使用のための指示を示すこともできる。これらの他の治療剤は、例えば、Physicians’Desk Reference(PDR)に示される量で、または当業者によって決定されるように使用することができる。
【0208】
[局所製剤]
本発明はまた、一般に、正常および老化したヒト皮膚における皮膚外観を改善するためのgp130シグナル伝達の小分子モジュレーターまたはその誘導体の新規な局所製剤を提供する全てを包含する。
【0209】
一実施形態では、局所製剤は不透明で粘稠なローションの外観を有する。
【0210】
別の実施形態では、局所製剤はオフホワイトからストローの色を有する。
【0211】
別の実施形態では、局所製剤は柑橘類の香りを有する。
【0212】
別の実施形態では、局所製剤は25℃で特定の比重を有する。
【0213】
別の実施形態では、局所製剤は25℃で4.5~5.5の範囲のpHを有する。
【0214】
別の実施形態では、局所製剤は、17.5%~21.5%の範囲の全固形分のパーセンテージを有する
【0215】
別の実施形態では、局所製剤は25℃で18000センチポアズ(cps)~40000cpsの範囲の粘度を有する。
【0216】
一実施形態では、スキンケア組成物中に一般的に見出される賦形剤、例えば、皮膚軟化剤、皮膚調整剤、乳化剤、保湿剤、防腐剤、酸化防止剤、香料、キレート剤、緩衝剤は、それらが製剤の他の成分と物理的および化学的に適合性であるならば、利用することができる。
【0217】
一実施形態では、局所製剤は以下を含む:
a.第1成分、第2成分、第3成分、第4成分、第5成分、および第6成分の混合物を含む第1の部分と
b.2つの成分、第7成分と第8成分の混合物を含む第2部分、および
c.第9成分、第10成分、第11成分、第12成分、第13成分、第14成分、第15成分、第16成分、第17成分、および第18成分の混合物を含む第3の部分、
ここで、製剤は第1の部分、第2の部分、および第3の部分の組み合わせを含む。
【0218】
一実施形態では、局所製剤は架橋ヒアルロン酸を含む。一実施形態では、架橋ヒアルロン酸は、ペンチレングリコール、エチルヘキシルグリセリン、ヒアルロン酸ナトリウム、およびクロスポリマー、例えば、Hylasome(登録商標)EG10(CAS#105524-32-1、Vantage Specialty Ingredientsから入手可能)の水性混合物である。一実施形態では、局所製剤は、約1%W/Wの架橋ヒアルロン酸を含む。一実施形態では、局所製剤は、約1%W/Wの架橋ヒアルロン酸を含む。
【0219】
1つの実施形態において、局所製剤は、自己乳化型エラストマー分散体を含む。1つの実施形態において、自己乳化型エラストマー分散体は、ジメチコン、ポリシリコーン-11、イソヘキサデカン、アンモニウムポリアクリロイルジメチルタウレート、トコフェリルアセテート、ポリソルベート80、およびポリソルベート20、例えば、Gransil ORB-5CS(Grant Industriesから入手可能)の組み合わせである。1つの実施形態において、局所製剤は、約25%W/Wの自己乳化型エラストマー分散体を含む。1つの実施形態において、局所製剤は、約25%W/Wの自己乳化型エラストマー分散体を含む。
【0220】
1つの実施形態において、局所製剤は、分岐脂肪族炭化水素皮膚軟化剤(emollient)を含む。1つの実施形態において、分岐脂肪族炭化水素皮膚軟化剤は、イソドデカン、例えば、Armesii12C(CAS#93685-81-5、#31807-55-3、#13475-82-6、Argan Co.から入手可能)である。1つの実施形態において、局所製剤は、約8%W/Wの分岐脂肪族炭化水素皮膚軟化剤を含む。1つの実施形態において、局所製剤は、約8%W/Wの分岐脂肪族炭化水素皮膚軟化剤を含む。
【0221】
1つの実施形態において、局所製剤は、安定で油溶性の形態のビタミンCを含む。1つの実施形態において、安定で油溶性の形態のビタミンCは、テトラヘキシルデシルアスコルビン酸塩、例えば、BV-OSC(CAS#183476-82-6、Barnet Products Corporationから入手可能)である。1つの実施形態において、局所製剤は、約0.5%W/WのビタミンCの安定で油溶性の形態を含む。1つの実施形態において、局所製剤は、約0.5%W/WのビタミンCの安定で油溶性の形態を含む。
【0222】
1つの実施形態において、局所製剤は、活性冷却成分を含む。1つの実施形態において、活性冷却成分は、シュウ酸メンチルエチルアミド、例えば、Fresclat(登録商標)X-Cool(Symriseから入手可能)である。1つの実施形態において、局所製剤は、約0.1%W/WのビタミンCの安定で油溶性の形態を含む。1つの実施形態において、局所製剤は、約0.1%W/WのビタミンCの安定で油溶性の形態を含む。
【0223】
1つの実施形態において、局所製剤は、オレンジ精油ブレンドを含む。1つの実施形態において、オレンジ精油ブレンドは、リモネン、citrus Aurantium dulcis(オレンジ)、ピールオイル、およびCitrus tangerina(タンジェリン)ピールオイルの組み合わせ、例えば、Frag.Orange Essential Oil Blend(#CE-188609、Harrisから入手可能)である。1つの実施形態において、局所製剤は、約0.2%W/WのビタミンCの安定で油溶性の形態を含む。1つの実施形態において、局所製剤は、約0.2%W/Wのオレンジ精油ブレンドを含む。
【0224】
1つの実施形態において、局所製剤は粘性油を含む。1つの実施形態において、粘性油はトコフェロール、例えば、DL-α-トコフェロール(DSM社から入手可能)である。1つの実施形態において、局所製剤は約0.1%W/Wの粘性油を含む。1つの実施形態において、局所製剤は約0.1%W/Wの粘性油を含む。
【0225】
一実施形態では、局所製剤は皮膚軟化剤を含む。一実施形態では、皮膚軟化剤はブチレングリコール、例えば1,3-ブチレングリコール(Univarから入手可能)である。一実施形態では、局所製剤は皮膚軟化剤を約4%W/Wで含む。一実施形態では、局所製剤は皮膚軟化剤を約4%W/Wで含む。
【0226】
一実施形態では、局所製剤は、ポリマー増粘剤および安定化剤を含む。一実施形態では、ポリマー増粘剤および安定化剤は、イソヘキサデカン、アンモニウムポリアクリロイルジメチルタウレート、ポリソルベート80、例えば、Granthix APP(Grant Industriesから入手可能)の組合せである。一実施形態では、局所製剤は、ポリマー増粘剤および安定化剤を約2.5%W/Wで含む。一実施形態では、局所製剤は、ポリマー増粘剤および安定化剤を約2.5%W/Wで含む。
【0227】
1つの実施形態において、局所製剤は、持続可能なペンチレングリコールを含む。1つの実施形態において、局所製剤は、Hydrolite(登録商標)5グリーン(Symriseから入手可能)である。1つの実施形態において、局所製剤は、持続可能なペンチレングリコールを約1%W/Wで含む。1つの実施形態において、局所製剤は、持続可能なペンチレングリコールを約1%W/Wで含む。
【0228】
1つの実施形態において、局所製剤はリポペプチドを含む。1つの実施形態において、リポペプチドは、水(アクア)、ペンチレングリコール、カプリリルグリコール、N-プロリルパルミトイルトリペプチド-56アセテート、例えば、Matrixyl(登録商標)Morphemics(登録商標)(Sedermaから入手可能)の組み合わせである。1つの実施形態において、局所製剤は、約2%W/Wのリポペプチドを含む。1つの実施形態において、局所製剤は、約2%W/Wのリポペプチドを含む。
【0229】
1つの実施形態において、局所製剤はストレス酸化阻害剤を含む。1つの実施形態において、ストレス酸化阻害剤は、グリセリンとAcer Rubrum抽出物、例えばBorealine Expert (Lucas Meyerから入手可能)との組合せである。1つの実施形態において、局所製剤は、約0.1%W/Wのリポペプチドを含む。1つの実施形態において、局所製剤は、約0.1%W/Wのストレス酸化阻害剤を含む。
【0230】
1つの実施形態において、局所製剤は、炭水化物で標準化した熱帯果実からの抽出物および全α-ヒドロキシ酸(AHAs)を含む。1つの実施形態において、熱帯果実からの抽出物は、水(アクア)、Spondias mombinパルプ抽出物、Mangifera indica (マンゴー)パルプ抽出物、Musa sapientum (バナナ)パルプ抽出物、ベンジルアルコール、ソルビン酸カリウム、例えば、Exfo-Bio(ChemyUnionから入手可能)の組み合わせである。1つの実施形態において、局所製剤は、約2%W/Wの熱帯果実からの抽出物および全α-ヒドロキシ酸(AHAs)を含む。1つの実施形態において、局所製剤は、約2%W/Wの熱帯果実からの抽出物および全α-ヒドロキシ酸(AHAs)を含む。
【0231】
1つの実施形態において、局所製剤は、自己保存特性を有する多機能成分のブレンドを含む。1つの実施形態において、多機能成分のブレンドは、グリセリルカプリル酸、グリセリン、カプリル-ヒドロキサム酸、例えば、Spectrastat(登録商標)G2N(Inolexから入手可能)の組み合わせを含む。1つの実施形態において、局所製剤は、約1.2%W/Wの自己保存特性を有する多機能成分のブレンドを含む。1つの実施形態において、局所製剤は、約1.2%W/Wの自己保存特性を有する多機能成分のブレンドを含む。
【0232】
1つの実施形態において、局所製剤は、少なくとも1つのキレート剤を含む。本明細書中で使用される用語「キレート剤」は、任意の公知の薬学的に許容されるキレート剤を意味する。適切なキレート剤としては、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)およびその誘導体、エチレングリコール-ビス-(2-アミノエチル)-N,N,N’,N’-四酢酸(EGTA)およびその誘導体、シクロヘキサンジアミン四酢酸(CDTA)およびその誘導体、ヒドロキシエチルエチレンジアミン三酢酸(HEDTA)およびその誘導体、ジエチレントリアミン五酢酸(DTPA)およびその誘導体、ジメルカプトプロパンスルホン酸(DMPS)およびその誘導体、ジメルカプトこはく酸(DMSA)およびその誘導体、アミノトリメチレンホスホン酸(ATPA)およびその誘導体、N,N-ビス(カルボキシメチル)グリシン(NTA)およびその誘導体、ニトリロ三酢酸およびその誘導体、クエン酸およびその誘導体、ナイアシンアミドおよびその誘導体、デソキシコレートナトリウムおよびその誘導体、フィチン酸ナトリウムおよびその誘導体、エチレンジアミン二コハク酸三ナトリウムおよびその誘導体、ポリリン酸塩;ポルフィン;およびその任意の薬学的に許容される塩のいずれか1つ以上を挙げることができるが、これらに限定されない。
【0233】
記載されたキレート剤は、記載された局所用医薬組成物中に、例えば、約0.001重量%~約10重量%;約0.005重量%~約5重量%;約0.005重量%~約0.5重量%;約0.001重量%~約1重量%;約0.01重量%~約5重量%;約0.006重量%~約0.04重量%;約0.007重量%~約0.035重量%;約0.008重量%~約0.035重量%;約0.009重量%~約0.035重量%;約0.01重量%~約0.03重量%;約0.015重量%~約0.025重量%;約0.018重量%~約0.022重量%;約0.019重量%~約0.021重量%;約0.019重量%;約0.02重量%;または約0.021重量%のキレート剤の量で存在することができる。
【0234】
1つの実施形態において、局所製剤は室温で安定である。最適な保存条件は、15~25℃の間、乾燥した環境で、UVおよび熱を避けて保存することである。
【0235】
通常の取扱いは優良事例の下で行われ、高温は回避される。
【0236】
[皮膚の健康増進と加齢の影響を軽減するためのキット]
本開示はまた、皮膚の健康を促進し、加齢の影響を低減するのに使用するためのキットを提供する。このようなキットは、本明細書に記載の局所製剤を含む1つ以上の容器を含むことができ、これには式I、I(A)、I(Aa)、I(Ab)、I(Ac)、I(Ad)、I(Aa)、I(Ab)、I(Ac)、I(Ad)、I(B)、I(Ba)、I(Bb)、I(Bc)、I(Bd)、I(C)、I(Ca)、I(Cb)、I(Cc)、I(Cd)、I(D)、I(Da)、I(Db)、I(Dc)、およびI(Dd)の1つ以上の化合物、式(X)、(X-A)、(X-B)、(X-C)、および(X-D)の化合物、ならびに前記の表1~2が含まれるが、これらに限定されない。
【0237】
いくつかの実施形態において、キットは、本明細書に記載される方法のいずれかに従って使用するための説明書を含むことができる。含まれる説明書は、本明細書に記載される方法のいずれかに従って、皮膚の健康を促進し、加齢の影響を軽減するための局所製剤の投与に関する説明を含むことができる。キットは、さらに、個体が治療を必要とするかどうかを識別することに基づいて、治療に適した個体を選択するという説明を含むことができる。局所製剤の使用に関する説明書は、一般に、意図された治療のための用量、投薬スケジュール、および投与経路に関する情報を含む。容器は、単位用量、バルクパッケージ(例えば、複数用量パッケージ)、またはサブ単位用量であり得る。本発明のキットに供給される説明書は、典型的には、ラベルまたはパッケージ挿入物(例えば、キットに含まれる紙シート)上に書かれた説明書であるが、機械可読の説明書(例えば、磁気または光学記憶ディスク上に担持された説明書)もまた受け入れられる。
【0238】
ラベルまたは添付文書は、組成物が皮膚の健康を促進し、加齢の影響を低減するために使用されることを示している。ここに記載される方法のいずれかを実施するための指示を提供することができる。
【0239】
本発明のキットは、適切なパッケージに入っている。適切なパッケージには、バイアル、ボトル、ジャー、可撓性パッケージ(例えば、密封されたマイラーまたはプラスチックバッグ)などが含まれるが、これらに限定されない。組成物中の少なくとも1つの活性剤は、表1~2からの化合物を含む群から選択される活性剤である。
【0240】
キットは、必要に応じて、解釈情報などの追加コンポーネントを提供することができます。通常、キットは、コンテナと、コンテナ上またはコンテナに付随するラベルまたはパッケージ挿入物から構成されます。いくつかの態様において、本発明は、前記のキットの内容物を含む製品を提供する。
【0241】
[使用方法-皮膚の健康の促進および炎症の予防または軽減]
本明細書に記載される「炎症」とは、特に皮膚の炎症であって、日光や風のような環境的挑戦と、食事、飲酒、喫煙のような内的要因、および他の潜在的に有害な刺激の両方に対する身体組織の生物学的応答としての炎症を意味し、これらは、微細な線や皺の出現、色素沈着、および弛緩の増加のような老化の目に見える徴候をもたらす有害な生物学的応答を促進する。有害な刺激には、病原体、細菌、ウイルス、真菌、損傷細胞、および当業者に公知の他の刺激物が含まれるが、これらに限定されない。一方、炎症は、例えば、免疫細胞、白血球、血管、分子メディエーター、および他の小分子が関与し得る防御的免疫応答であり得る。炎症の徴候には、痛み、熱、腫脹、および/または機能喪失が含まれるが、これらに限定されない。炎症は急性または慢性のいずれかである。
【0242】
本明細書に記載されるいくつかの実施形態において、炎症の治療のための製剤が提供される。製剤は、本明細書に記載される方法によって製造される細胞を含むことができる。
【0243】
いくつかの実施形態において、対象は、1つ以上の皮膚領域における炎症に罹患しているか、または炎症を発症するリスクがある。
【0244】
いくつかの実施形態において、炎症は、皮膚、頭皮、鼻腔、口、爪領域(例えば、甘皮)、眼、膣領域または会陰領域にある。
【0245】
本明細書に記載される局所製剤のいずれも、皮膚の健康を促進し、治療を必要とする対象において加齢の影響を軽減するために使用することができる。局所製剤は、適切な用量および治療レジメンに従って皮膚領域に適用することができる。記載された方法のための用量および投与レジメンは、治療される創傷の性質および状態、患者の年齢および状態、ならびに前治療または同時治療に依存する。
【0246】
いくつかの例において、局所製剤は、毎週1回、隔日1回、1日1回、1日2回、1日3回、または1日4回、適切な期間適用することができる。皮膚領域が回復した時点で治療を終了してもよいし、必要な場合には、例えば、皮膚領域に追加の治療が必要な場合に治療を再開してもよい。
【0247】
本発明によれば、局所製剤は、クリーム、ゲルまたは液体の形態で局所的に投与することができる。局所投与は、安定化された製剤を皮膚に直接提供し、好ましくは皮膚科学的に許容される担体の使用と共に提供される。担体は、油のような比較的単純な溶媒または分散剤からなることができるが、担体は、局所適用に対してより伝導性のある材料、特に、それが適用される皮膚上にフィルムまたは層を形成する材料を含むことが一般的に好ましい。これにより、適用が局所化され、発汗に対するいくらかの抵抗を提供し、および/または、経皮的送達および脂肪層への活性成分の浸透を助ける。多くのそのような組成物は当技術分野で公知であり、クリーム、ゲル、軟膏、ヒドロゲル、ペーストまたはプラスター、および液体投薬形態、例えば、溶液、エマルジョン、特に水中油エマルジョン、懸濁液、例えばローションなど、または固体スティックの形態をとることができる。リポソームまたはミクロスフェアも使用することができる。
【0248】
いくつかの実施形態において、局所製剤は、皮膚バリアをより容易に破壊し、局所製剤中の薬剤に、より迅速なまたはより効果的な手段を角質層を通して提供するように設計された装置または方法を用いて投与することができる。これらには、例えば、超音波療法または超音波、酸素ネブライザー、およびイオントフォレーシスと組み合わせたナノソームミストが含まれる。いくつかの態様において、ナノゾームミストを生成するためにスプレーまたはネブライザーを使用することができる。一実施形態では、PowerCosmetics(登録商標)として記載されるマイクロ電子化粧品送達機構を、局所製剤の皮膚への送達のために使用することができる。この方法は、イオン性化合物を皮膚に送達するのに有用であり、角質層を通した小分子の浸透を助ける。
【0249】
一実施形態では、OZ Inside(商標)として記載される低強度超音波送達システムを皮膚への局所製剤の送達に使用することができる。PCT/US2011/041787、PCT/US2014/043951は、本開示の局所製剤を投与するためにかかる送達システムを使用するために参考として本明細書に組み込まれる。
【0250】
局所製剤によって治療される対象は、ヒトまたは非ヒト哺乳動物であり得る。
【0251】
いくつかの実施形態において、対象は、皮膚の健康の改善、皮膚自己再生プロセスの促進、および皮膚への酸化的損傷に対する保護から利益を得るヒト患者である。
【0252】
いくつかの実施形態において、皮膚障害を患っている対象を治療するための方法が提供される。この方法は、本明細書に記載された態様のいずれかの細胞または本明細書に記載された態様のいずれかの局所製剤を提供すること、および局所製剤を対象に適用することを含むことができ、局所製剤は皮膚上に適用される。
【0253】
いくつかの実施形態において、皮膚障害は、乾せん、皮膚がん、ざ瘡(acne)、脱毛症、癰(carbuncles)、皮膚炎、湿疹、アトピー皮膚炎、接触性皮膚炎、脂漏性皮膚炎、乳痂(cradle cap)、口囲皮膚炎、帯状疱疹(shingles)、白癬、メリスマ、および膿痂疹(impetigo)からなる群より選択される。
【0254】
いくつかの実施形態において、皮膚障害は、自己免疫疾患または炎症性疾患から生じる。
【0255】
いくつかの実施形態において、自己免疫または炎症性疾患は、円形脱毛症、自己免疫血管性浮腫、自己免疫プロゲステロン皮膚炎、自己免疫蕁麻疹、水疱性類天疱瘡、瘢痕性類天疱瘡、疱疹状皮膚炎、円板状エリテマトーデス、後天性表皮水疱症、結節性紅斑、妊娠性類天疱瘡、化膿性汗腺炎、扁平苔癬、硬化性苔癬、線状IgA病、モルフェア、尋常性天疱瘡、急性痘瘡状苔癬状粃糠疹、Mucha-Habermann病、乾せん、全身性強皮症または白斑である。いくつかの実施形態では、皮膚疾患および皮膚障害には、acne aestivalis (Mallorca acne)、acne fulminans (acute febrile ulcerative acne)、化粧ざ瘡(cosmetic acne)、劇症ざ瘡(急性熱性潰瘍性ざ瘡)、nuchae acne keloidalis(acne keloidalis.頭部乳頭状皮膚炎, folliculitis keloidalis, folliculitis keloidis nuchae, nuchal keloid acne)、赤ざ瘡が散在する大人の額、尋常性ざ瘡、機械性ざ瘡、薬物性ざ瘡、壊死性ざ瘡(acne varioliformis)、尋常性ざ瘡、顔面浮腫を伴うざ瘡(固形顔面浮腫)、眼瞼色素斑、紅斑性酒さ(紅斑毛細血管拡張型酒さ、vascular rosacea)、剥離性ざ瘡(acne excoriee des jeunes filles, Picker’s acne)、肉芽腫性顔面皮膚炎、大きく赤い球状の鼻を持つ成人男性、鼻瘤、肉芽腫性口周囲皮膚炎、ハロゲン性ざ瘡、化膿性汗腺炎(acne inversa, pyoderma fistulans significa, Verneuil病)、突発性顔面無菌肉芽腫、乳児ざ瘡、ルポイド酒さ(肉芽腫性酒さ、微小丘疹性類結核、Lewandowskyの酒さ様類結核)、顔面播種状狼瘡、metophyma、新生児ざ瘡(幼児性ざ瘡、幼児性ざ瘡、新生児頭皮膿瘍)、職業性ざ瘡、油ざ瘡、眼ざ瘡(眼科ざ瘡、眼光瘡)、耳ざ瘡、人工皮膚周囲炎、酒さの持続性浮腫(慢性上面紅斑性浮腫、Morbihan病、酒さ性リンパ浮腫)、フィマット性酒さ、ポマード性ざ瘡、丘疹膿疱型酒さ(炎症性酒さ)、perifolliculitis capitis abscedens et suffodiens(頭皮の剥離性蜂巣炎、剥離性毛包炎、ホフマンのperifolliculitis capitis abscedens et suffodiens)、口腔周囲皮膚炎、眼窩周囲皮膚炎(眼周囲皮膚炎)、顔面膿皮症(劇症型酒さ)、鼻瘤、酒さ(ざ瘡酒さ)、酒さコングロベート、滑膜炎-ざ瘡-膿疱-骨化症-骨髄炎症候群(SAPHO症候群)、ステロイド性酒さ、タール性ざ瘡、皮膚がん、および熱帯ざ瘡が挙げられる。
【0256】
[使用方法]
本明細書では、対象において関節表面損傷を修復する方法であって、対象に、治療有効量の結合部位1 gp130受容体アゴニストまたは有効量の本明細書に記載のgp130シグナル伝達経路のモジュレーターを投与することを含む方法が提供される。
【0257】
本明細書では、軟骨変性疾患の治療を必要とする対象において軟骨変性疾患を治療する方法も提供される。本方法は、治療有効量の結合部位1 gp130受容体アゴニストまたは有効量の本明細書に記載のモジュレーターを対象に投与することを含む。実施形態において、障害は関節炎である。実施形態において、障害は変形性関節症である。実施形態において、障害は関節リウマチである。
【0258】
さらに、軟骨中の軟骨マトリックスの分泌を増加させる方法であって、gpl30受容体を結合部位1 gpl30受容体アゴニストと接触させるか、または本明細書に記載のモジュレーターの有効量と接触させることを含む方法が本明細書で提供される。
【0259】
実施形態では、軟骨マトリックスは関節軟骨中にある。実施形態では、軟骨マトリックスはコラーゲンおよびプロテオグリカンを含む。
【0260】
本明細書では、細胞内でgp130受容体の活性を調節する方法が提供される。
【0261】
該方法は、細胞を結合部位1 gpl30受容体アゴニストまたは有効量の本明細書に記載された式(I)の化合物と接触させることを含む。
【0262】
実施形態では、gp130受容体の活性は増加する。実施形態では、gpl30受容体の活性は減少または阻害される。実施形態では、活性はヘテロ二量体化である。
【0263】
また、本明細書中では、成熟成体細胞を前駆細胞に形質転換する方法であって、該細胞を結合部位1 gpl30受容体アゴニストまたは本明細書中に記載されるモジュレーターの有効量と接触させることを含む方法も提供される。
【0264】
実施形態において、細胞はヒト細胞である。実施形態において、細胞は軟骨細胞である。いくつかの実施形態において、軟骨細胞は成体軟骨細胞である。いくつかの実施形態において、結合サイト1 cgpl30受容体アゴニストは、本明細書に記載の化合物、例えば、本明細書に記載の式(I)の化合物である。
【0265】
軟骨細胞を本明細書に記載のモジュレーターと接触させることを含む、軟骨細胞の活性化、成熟および/または分化を調節する方法が本明細書で提供される。
【0266】
また、本明細書では、治療に有効な量の本明細書に記載のモジュレーターを対象に投与することを含む、それを必要とする対象において組織を再生または修復する方法を提供する。好ましくは、組織は軟骨である。
【0267】
本明細書においてさらに提供されるのは、IL-6ファミリーサイトカインの存在においてCOL2およびACANの発現を調節する方法である。
【0268】
IL-6ファミリーサイトカインの存在下で、IL-6ファミリーサイトカインの存在下でMMP13およびADAMTS4の発現を調節する方法である。
【0269】
本明細書においてさらに提供されるのは、細胞内でSRC、NF-κB、STAT3、p38、ERK1/2、YAP、もしくはMYC、またはそれらの組み合わせの活性を調節する方法である。
【0270】
ある態様において、本方法は、結合部位1 gpl30受容体アゴニストまたは有効量の本明細書に記載の式(I)の化合物と細胞を接触させることを含む。
【0271】
接触はインビトロで行うことができる。接触はインビボで行うことができる。
【0272】
本明細書では、軟骨細胞の活性化、成熟および/または分化を調節する方法が提供される。特定の態様において、本方法は、軟骨細胞を結合部位1 gpl30受容体アゴニストまたは有効量の本明細書に記載のモジュレーターと接触させることを含む。
【0273】
ある態様において、軟骨細胞の活性化は、増殖、遊走、代謝、またはそれらの任意の組み合わせの増加を含む。
【0274】
本開示はまた、対象を本明細書および前記に記載の化合物と接触させることを含む、炎症性疾患もしくは障害または細胞増殖疾患もしくは障害を治療する方法を提供する。1つの実施形態において、炎症性疾患もしくは障害または細胞増殖疾患もしくは障害は、脳卒中;心疾患;軟骨変性;脱毛;創傷治癒;関節炎;線維症;神経変性障害;加齢;低グレードの慢性炎症に関連することが知られている疾患;乾癬、酒さ、狼瘡、関節リウマチ、炎症性腸疾患を含む免疫疾患;サイトカイン放出症候群;および癌からなる群より選択される。
【0275】
いくつかの実施形態では、本開示は、細胞または対象を、本明細書に記載の式(I)の化合物と接触させることを含む、炎症および/または炎症性サイトカインの産生または誘導を調節する方法を提供する。ある態様において、細胞は軟骨細胞である。
【0276】
本開示はまた、細胞を本明細書および前記に記載の化合物と接触させることを含む、細胞においてIL-6媒介炎症応答を調節する方法を提供する。1つの実施形態において、細胞は軟骨細胞である。
【0277】
本開示はまた、薬学的に許容される担体および本明細書および前記に記載の式(I)の化合物を含む組成物を提供する。
【0278】
本開示はまた、対象を式(I)の化合物または本明細書および前記に記載の医薬と接触させることを含む、慢性炎症状態の急性を治療する方法を提供する。
【0279】
本開示はまた、細胞を式(I)の化合物または本明細書および前記に記載の医薬と接触させることを含む、細胞における活性化された炎症経路を減少させる方法を提供する。
【0280】
本開示は、細胞または対象を本明細書および前記に記載の式(I)の化合物または医薬と接触させることを含む、炎症誘発性遺伝子、サイトカインまたはメディエーターの産生または誘導を阻害する方法を提供する。
【0281】
本開示は、細胞外マトリックス分解酵素の産生または誘導を阻害する方法であって、細胞または対象を、式(I)の化合物または本明細書および前記に記載の医薬と接触させることを含む方法を提供する。
【0282】
本開示はまた、対象を式(I)の化合物と接触させることを含む、急性または慢性炎症状態を治療する方法を提供する。
【0283】
本開示はさらに、細胞を式(I)の化合物と接触させることを含む、細胞内の活性化された炎症経路を減少させる方法を提供する。
【0284】
本開示は、細胞または対象を式(I)の化合物と接触させることを含む、炎症誘発性遺伝子、サイトカインまたはメディエーターの産生または誘導を阻害する方法を提供する。
【0285】
本開示はまた、対象を本明細書および前記に記載されるようなモジュレーターと接触させることを含む、皮膚障害を治療する方法を提供する。一実施形態では
【0286】
いくつかの実施形態では、対象は、皮膚の健康の改善、皮膚自己再生プロセスの促進、および皮膚への酸化的損傷に対する保護から利益を得るヒト患者である。
【0287】
ある態様において、皮膚障害を患っている対象を治療するための方法が提供される。この方法は、本明細書に記載された態様のいずれかの細胞または本明細書に記載された態様のいずれかの局所製剤を提供すること、および局所製剤を対象に適用することを含むことができ、局所製剤は皮膚上に適用される。
【0288】
いくつかの実施形態において、皮膚障害は、乾せん、皮膚がん、ざ瘡、脱毛症、癰(carbuncles)、皮膚炎、湿疹、アトピー皮膚炎、接触性皮膚炎、脂漏性皮膚炎、乳痂、口囲皮膚炎、帯状疱疹(shingles)、白癬、メリスマ、白斑、および膿痂疹(impetigo)からなる群より選択される。
【0289】
ある態様において、皮膚障害は、自己免疫疾患または炎症性疾患から生じる。
【0290】
いくつかの実施形態において、自己免疫または炎症性疾患は、円形脱毛症、自己免疫血管性浮腫、自己免疫プロゲステロン皮膚炎、自己免疫蕁麻疹、水疱性類天疱瘡、瘢痕性類天疱瘡、疱疹状皮膚炎、円板状エリテマトーデス、後天性表皮水疱症、結節性紅斑、妊娠性類天疱瘡、化膿性汗腺炎、扁平苔癬、硬化性苔癬、線状IgA病、モルフェア、尋常性天疱瘡、急性痘瘡状苔癬状粃糠疹、Mucha-Habermann病、乾せん、全身性強皮症または白斑である。いくつかの実施形態では、皮膚疾患および皮膚障害には、acne aestivalis (Mallorca acne)、acne fulminans (acute febrile ulcerative acne)、化粧ざ瘡(cosmetic acne)、劇症ざ瘡(急性熱性潰瘍性ざ瘡)、nuchae acne keloidalis(acne keloidalis.頭部乳頭状皮膚炎, folliculitis keloidalis, folliculitis keloidis nuchae, nuchal keloid acne)、赤ざ瘡が散在する大人の額、尋常性ざ瘡、機械性ざ瘡、薬物性ざ瘡、壊死性ざ瘡(acne varioliformis)、尋常性ざ瘡、顔面浮腫を伴うざ瘡(固形顔面浮腫)、眼瞼色素斑、紅斑性酒さ(紅斑毛細血管拡張型酒さ、vascular rosacea)、剥離性ざ瘡(acne excoriee des jeunes filles, Picker’s acne)、肉芽腫性顔面皮膚炎、大きく赤い球状の鼻を持つ成人男性、鼻瘤、肉芽腫性口周囲皮膚炎、ハロゲン性ざ瘡、化膿性汗腺炎(acne inversa, pyoderma fistulans significa, Verneuil病)、突発性顔面無菌肉芽腫、乳児ざ瘡、ルポイド酒さ(肉芽腫性酒さ、微小丘疹性類結核、Lewandowskyの酒さ様類結核)、顔面播種状狼瘡、metophyma、新生児ざ瘡(幼児性ざ瘡、幼児性ざ瘡、新生児頭皮膿瘍)、職業性ざ瘡、油ざ瘡、眼ざ瘡(眼科ざ瘡、眼光瘡)、耳ざ瘡、人工皮膚周囲炎、酒さの持続性浮腫(慢性上面紅斑性浮腫、Morbihan病、酒さ性リンパ浮腫)、フィマット性酒さ、ポマード性ざ瘡、丘疹膿疱型酒さ(炎症性酒さ)、perifolliculitis capitis abscedens et suffodiens(頭皮の剥離性蜂巣炎、剥離性毛包炎、ホフマンのperifolliculitis capitis abscedens et suffodiens)、口腔周囲皮膚炎、眼窩周囲皮膚炎(眼周囲皮膚炎)、顔面膿皮症(劇症型酒さ)、鼻瘤、酒さ(ざ瘡酒さ)、酒さコングロベート、滑膜炎-ざ瘡-膿疱-骨化症-骨髄炎症候群(SAPHO症候群)、ステロイド性酒さ、タール性ざ瘡、皮膚がん、および熱帯ざ瘡が挙げられる。
【0291】
さらに、炎症を治療または改善する方法が本明細書で提供される。
【0292】
いくつかの実施形態では、炎症を治療または改善する方法は、対象の細胞を、本明細書に記載される有効量のモジュレーターと接触させることを含む。
【0293】
いくつかの実施形態では、対象は、1つ以上の皮膚領域における炎症に罹患しているか、または炎症を発症するリスクがある。
【0294】
いくつかの実施形態では、炎症は、皮膚、頭皮、鼻腔、口、爪領域(例えば、甘皮)、眼、膣領域または会陰領域にある。
【0295】
1つの実施形態において、本明細書に記載されるgp130シグナル伝達経路のモジュレーターは、皮膚の健康を促進し、治療を必要とする対象において加齢の影響を低減するために使用することができる。
【0296】
1つの実施形態において、本明細書に記載されるgp130シグナル伝達経路のモジュレーターは、治療を必要とする対象において毛髪成長を促進するために使用することができる。
【0297】
1つの実施形態において、本明細書に記載するgp130シグナル伝達経路のモジュレーターは、筋ジストロフィーを治療または改善するために使用することができる。
【0298】
本明細書においてさらに提供されるのは、疼痛状態を必要とする対象における疼痛状態を治療または改善する方法であって、前記疼痛状態が、神経因性疼痛、炎症性疼痛、頭痛、体性疼痛、内臓疼痛、筋骨格疼痛、頭蓋顔面疼痛、他の体性形態の疼痛および連関痛からなる群より選択される方法である。
【0299】
ある態様において、炎症性疼痛は、関節炎障害;自己免疫疾患;結合組織障害;損傷;感染;神経炎;および関節の炎症からなる群より選択される炎症状態に関連する疼痛から選択される。
【0300】
ある態様において、体性疼痛は、過度の筋肉の緊張;反復性運動障害;筋疾患;筋痛;感染;および薬物からなる群より選択される。
【0301】
この方法は、治療有効量の結合部位1 gpl30受容体アゴニストを、または本明細書に記載された有効量のモジュレーターとともに、対象に投与することを含む。
【0302】
別の態様では、本明細書では、敗血症ショックおよびサイトカインストームから選択される複数の症候群を含む状態を治療または改善する方法が提供される。
【0303】
[IL-6/gpl30軸]
変形性関節症(OA)の病因は、関節軟骨の損傷から始まることが多く、IL-6/糖コプロテイン130(IL-6/gpl30)および経時的なマトリックス分解と最終的な軟骨破壊を促進する他の因子によって媒介される慢性の低悪性度の炎症を確立する。IL-6R/gpl30を介したIL-6シグナル伝達は、軟骨細胞増殖を抑制し、関節軟骨の石灰化を促進し、マトリックスタンパク質の発現を抑制し、マトリックス分解プロテアーゼの発現を増加させる。さらに、OAのマウスモデルにおけるインビボでのIL-6の遮断は、軟骨保護作用を有することが示されている。重要なことに、IL-6の高い血清中濃度はヒトにおけるOAの発症と相関しており、IL-6Rに対するモノクローナル抗体は現在、手のOAの治療について第III相臨床試験中である(NCT02477059)。
【0304】
IL-6/gpl30の下流のシグナル伝達は、シグナル伝達性転写因子3(STAT3)を含む複数の経路によって媒介される。STAT3は、軟骨形成中および関節軟骨細胞において多面発現効果を有することが実証されている。多能性間葉系幹細胞の軟骨形成分化中、IL-6/STAT3シグナル伝達は、軟骨細胞のコミットメントおよびマトリックス産生を促進する。同様に、肢形成中のSTAT3の喪失は、肥大の増大、早期骨化、および軟骨細胞アイデンティティSOX9のマスターレギュレーターの発現低下をもたらす。対照的に、成人関節軟骨細胞では、IL-6の下流のSTAT3の阻害は軟骨保護的であり、マウスモデルにおけるOA様病態の重症度を低下させる。まとめると、これらのデータは、IL-6/STAT3シグナル伝達が、マウスモデルおよびヒトの両方において、インビボでマトリックスの喪失およびOAの発生を促進し得ることを示している。
【0305】
最近の研究では、骨形成蛋白受容体IB(BMPR1B)がヒト個体発生中およびげっ歯類の関節中の表在性軟骨細胞を標識することが示されている。本明細書中に記載されるように、これらの細胞はまた、それらの高レベルのIL-6補助受容体gpl30発現および活性によって同定することもできる。肥大およびOAの病因におけるIL-6/gpl30シグナル伝達の既知の作用に基づいて、gpl30シグナル伝達を操作する可能性のある薬剤を同定するために小分子スクリーニングが実施された。これらの研究は、gpl30の小分子モジュレーターであるRegulator of Cartilian Growth and Differentiation 423(RCGD 423)を明らかにした(例えば、PCT/US2016/020126(全ての目的のために参照として本明細書に組み込まれる)を参照のこと)。
【0306】
インビトロ試験では、RCGD 423はgpl30を介してシグナルを伝達し、gpl30の細胞外領域と相互作用することが示された。
【0307】
RCGD423の機序がさらに解明されたことにより、それがリガンド非依存性の活性型gpl30ホモ二量体形成を促進し、その活性がIL-6ファミリーサイトカインと区別されることが実証された。このことは、IL-6ファミリーサイトカインおよびoRCGD423刺激の下流分子事象における重大な差に反映された。さらに、oRCGD423は、IL-6Rとのヘテロ二量体形成からgpl30を隔離することにより、炎症誘発性IL-6ファミリーサイトカインによるシグナル伝達と積極的に競合する。最後に、OAのラットモデルにおいて、この分子は軟骨変性を予防する顕著な能力を証明した。
【0308】
RCGD423の類似体は、MYC蛋白の安定化を介してマウスの毛周期を刺激することが示されており、完全に独立した系におけるこの化合物の作用機序が確認されている。しかしながら、これらの陽性結果にもかかわらず、pSTAT3およびMYCレベルの上昇は、それぞれ潜在的な前変性および発がん性の懸念に基づいて、臨床OA病理シナリオにおいて有害である可能性がある。
【0309】
RCGD423は、gpl30の特定の規制ポケット/裂け目に関する情報を提供した。この情報を用いて、モデリングとベンチ研究により、gpl30ポケット/裂け目と相互作用する他の小分子が同定された。例えば、そのような分子の1つであるCX-011(本明細書中で「B8」とも呼ばれる)および関連する類似体は、IL-6ファミリーサイトカインによる前異化シグナル伝達の強力な阻害剤であり、pSTAT3またはMYCタンパク質のレベルに影響を及ぼさないことが示されている(例えば、全ての目的のために参照により本明細書に組み込まれているPCT/US2019/020058を参照のこと)。
【0310】
CX-011は、RCGD423と同じ結合ポケットにおいてgp130に結合すると予測され、不活性立体構造を安定化すると仮定される。インビトロの結果は、gp130を介してIL-6ファミリーサイトカインによって媒介される炎症促進性、変性促進性シグナル伝達の小分子阻害剤が、大きな臨床的重要性を有するであろうことを示唆する。IL-6Rに対する生物学的製剤は、現在、変形性関節症に対する治療薬として試験されているが、この治療法は、関節軟骨に対して異化作用を促進する他の2つのIL-6ファミリーメンバーであるオンコスタチンM(OSM)およびLIFの作用を阻害しない。したがって、CX-011などの小分子gpl30阻害薬およびその類似体は、外傷後のOAに有用であり、異なる作用機序を有する。IL-6ファミリーサイトカインシグナル伝達の広範な調節が、損傷後に存在する炎症促進性、変性促進性の環境を遮断するという仮説が立てられている。
【0311】
しかしながら、RCGD 423、CX-01およびそれらの誘導体の物理的化学的性質(例えば、溶解性、力価、官能基)および代謝不安定性の部位(「ホットスポット」)は、臨床転帰を確実に成功させるために改善される必要がある。これらの性質が大幅に改善されれば、外傷後OAの治療において画期的新薬(first-in-class)となる可能性がある。従って、本開示は、改良された性質を有するgp130シグナル伝達経路の小分子モジュレーターを提供する。特に、これらの化合物は、炎症性障害または状態、新生物、および細胞増殖障害の治療または改善に有用である。
【0312】
本発明は以下の実施例に例示されており、これらは例示として提供され、限定を意図するものではない。
【実施例
【0313】
以下の実験例を参照して、本発明をさらに詳細に説明する。これらの実施例は、例示のみを目的として提供されており、特に明記しない限り、限定することを意図するものではない。したがって、本発明は、決して以下の実施例に限定されるものと解釈されるべきではなく、むしろ、本明細書に提供された教示の結果として明らかとなるあらゆる変形例を包含するものと解釈されるべきである。さらなる説明なしに、当業者は、先行する説明および以下の例示的な実施例を使用して、本発明の化合物を製造および利用し、クレームされた方法を実施することができると考えられる。以下の実施例は、本発明の様々な態様を具体的に指摘しており、開示の残りの部分を限定するものとして解釈されるべきではない。
【0314】
実施例1:改良された特性を有する低分子gp130シグナル伝達経路モジュレーターのライブラリーの作成
RCGD 423およびCX-011(B805)足場に基づく構造改変体のライブラリーを作製し、それらは改善された物理的特性を有した。さらに、式(I)の化合物は、異なるgp130シグナル伝達経路を調節する別個の分子プロファイルを有することが見出された。
【0315】
式(I)の好ましい化合物としては、表1~2に示す化合物が挙げられる。式(I)の化合物は、当技術分野で公知の適切な合成方法によって合成することができる。合成方法は、任意の有機合成経路または生体触媒経路に従うことができる。例示的な合成経路を図1に示す。
【0316】
実施例2:gp130シグナル伝達経路モジュレーターの選択
gpl30補助受容体LIFRは、ヒト個体発生を通じて表在性軟骨細胞のサブセットで発現している。これらのデータに基づいて、gpl30もこれらの細胞で発現すると仮定されており、これは実際に当てはまる。関節軟骨細胞におけるIL-6ファミリーサイトカインの既知の(および大部分は有害な役割)を考慮し、gpl30シグナル伝達を潜在的に調節する可能性のある小分子を同定するためにハイスループットスクリーニングを実施する。成体マウスでは、IL-6/gpl30シグナル伝達がCol10a1の発現と肥大を促進する。肥大の強力な促進因子であるBMP-4で刺激したマウス肢間葉細胞におけるCol10-mCherry蛍光の増加を阻害する能力について化合物をスクリーニングする。表2の化合物は、胎児関節軟骨細胞における肥大のマーカーであるアルカリホスファターゼの増加を阻害することができるため、二次スクリーニング後に出現する。
【0317】
表2の化合物の作用機序を検討するために、成体ブタ軟骨細胞をIL-6ファミリーサイトカインと共にインキュベートし、異化応答を駆動することが知られているこれらのサイトカインの下流の種々のタンパク質のレベルを測定した。実施例化合物の裏付けとなるウェスタンプロットデータを図2A~Bに示す。さらに、表2の化合物をピクロシリウスレッド染色(PRS)を用いてマウス骨髄間質細胞上でスクリーニングし、OSMの線維化促進効果を阻害できる化合物を探索する。実施例化合物の裏付けとなるPRS画像を図3A~Cに示す。
【0318】
これらのデータに基づいて、3種類の化合物が同定された。
【0319】
クラス1:再生促進性、抗炎症性。CX-124はこのクラスのプロトタイプである。OSMによるp38、ERK1/2、およびNF-kBの活性化、ならびにgp130のリン酸化を阻害する。同時に、LIFによるYAPの活性化にもアゴナイズする一方で、LIFによるSTAT3に対しては寛容である。OSMによるMMP13およびADAMTS4の発現を大きく阻害する。
【0320】
クラス2:主に再生促進性。CX-120はこのクラスのプロトタイプである。p38の活性化を軽度に阻害し、OSMによるERK1/2およびNF-kBの活性化、ならびにgp130のリン酸化にほとんどまたは全く影響を及ぼさない。同時に、LIFによるYAP活性化を強くアゴナイズする。これはOSM存在下でCOL2とACANの発現を増加させる一方、OSMによって誘導されるMMP13の発現を阻害するが、ADAMTS4の発現を阻害することはない。
【0321】
クラス3:主に抗炎症性。CX-121はこのクラスのプロトタイプである。OSMによるp38、ERK1/2、およびgp13の活性化を強く阻害、NF-kBの阻害は比較的低い。同時に、LIFによるYAP、STAT3の活性化を阻害する。これはOSMによるMMP13、ADAMTS4の発現を阻害する。
【0322】
COL2、ACAN、MMP13、ADAMTS4のmRNA発現をPCRを用いて評価し、対応するデータを図4A~Bに示す。
【0323】
gp130シグナル伝達経路の下流の種々のタンパク質に対する例示的化合物の調節効果を、表3および4に示す。
【0324】
【表3】
【0325】
【表4】
【0326】
これらの予備的データを総合すると、gp130シグナル伝達経路に影響を及ぼす明確な分子プロファイルが同定され、gp130シグナル伝達に関連する広範囲の疾患、状態、障害を治療または改善するためにこれらのモジュレーターを使用する道が開かれるであろう。
【0327】
本開示は、以下の実施例を参照してよりよく理解されるであろう。これらの実施例は、本開示の特定の実施形態を代表することを意図するものであり、本開示の範囲を限定することを意図するものではない。
【0328】
実施例3:製剤化された化合物の製造方法
本明細書中に開示される化合物は、以下のように、cGMP要件に従って製剤化される。
・計量手順:ドラムの蓋および/または袋は、ほこりおよび破片による汚染を避けるために拭き取る。全ての成分を計量し、計量し、個別の、清潔で、適切な大きさであることが適切に特定された風袋計量した容器に入れる。
・配合手順:使用前に製品と接触するすべての工具と同様に、すべての機器は洗浄され、消毒される。すべての成分は完全に乾燥している。その後、材料は主要な配合領域にステージングされる。
【0329】
フェーズAでは、第一の混合物を以下のように製造する。プロペラミキサーとサイドスイープを装備した主処理タンクに、表5に従った成分#1を添加し、中程度の速度で混合を開始する。次に成分#2から#6を所定の順序で添加し、各添加後によく混合する。第一の混合物を完全に均一になるまで混合する。
【0330】
フェーズBでは、別の容器で成分#7と#8をプレミックスする。#8が溶解したら、プレミックスを第1の容器の処理タンクにゆっくりと加え、完全に均一になるまで混合する。
【0331】
フェーズCでは、成分#9を別の容器に添加し、中程度の速度で混合を開始する。成分#10~#18を所定の順序でフェーズ3の容器に添加し、各添加後に混合する。製剤は均一になるまで混合する。均一になったら、フェーズCの容器の内容物を主処理タンクにゆっくり添加し、完全に均一になるまで混合する。
【0332】
フェーズDでは、清潔な容器を用いて、適切なサンプルと完成したバッチ記録を試験施設に持ち込み、試験と承認を受ける。
【0333】
【表5-1】
【表5-2】
【0334】
実施例4:化粧用スキンケア製剤の臨床評価-患者選択
顔面に軽度から中等度の光損傷を有する女性および男性が8週間にわたって使用した場合の、本明細書に開示した化合物および製剤の効力を評価するために、単一施設の臨床試験を実施した。この試験では、ベースラインスコアと比較して、8週間の使用期間中に効力パラメータの臨床評価スコアに統計的に有意な改善がみられたかどうかを評価する。変化は、サブグループから採取した皮膚試料中の光老化に関連するバイオマーカーにおいて認められる。
1.試験の評価項目および患者のランダム化
試験の評価項目は以下のとおりである:
・ベースライン、4週目および8週目の有効性パラメータの臨床的評価
・ベースライン、および8週目にVISIA画像処理を実施する。
・Antera 3D(登録商標)画像処理、ベースライン、4週目および8週目の画像を用いて、試験終了時に平均粗さ(Ra)、平均メラニン量およびしわ(圧痕指数および最大深さ)の画像解析を実施する。
・少なくとも3例以上のサブグループについては、2mmの生検材料を採取し(ベースラインおよび8週時に各1例;対象あたり合計2例)、組織学的評価のために治験依頼者に送付する。
2.治験期間を通じた有害事象(AE)のモニタリング
被験者は、試験に参加する資格がある順序で順次番号を付される。全ての被験者は、指示通りに試験材料を使用する。Antera 3D(登録商標)画像(頬および眉の足)の位置を顔の右側または左側に確定するために、ランダム化を行う。
3.被験者数
適格要件を満たす少なくとも25例以上の被験者が臨床試験への参加を完了すると予想され、少なくとも3例以上の被験者が生検サブグループに含まれる。
【0335】
[適格基準:選択基準]
以下のすべての基準を満たす個人が、本研究への参加する資格がある。そのような個人は以下の通りである:
・30~65歳の女性または男性。
・全般的に健康であること(身体的、精神的および社会的な健康であり、単に疾患/虚弱がないことだけではない)、被験者の自己報告に従う。
・Fitzpatrick皮膚I-V型であること。
【0336】
Fitzpatrick皮膚分類は、日光暴露のない冬季の後、最初の30~45分間の日光暴露に対する皮膚の防御されていない反応に基づいており、表6に皮膚タイプのカテゴリーを示す。
【0337】
【表6】
【0338】
・軽度から中等度(修正Griffithsスケールによるスコア3~6、0=なしおよび9=重度)の顔全体の光損傷
・治験開始前にSPF>30の日焼け止めを30日以上使用しており、特に問題がなく、治験期間中その使用を継続する意思がある者。
・書面によるインフォームド・コンセントを提供する意思があり、英語を読み、話し、書き、理解することができる。
・写真のリリースに署名する意思がある。
・過去6カ月間に顔面の治療を受けたことがなく、治験期間中、顔面、顔面ピール、顔面写真、レーザー治療、削皮術、ボツリヌス毒素(Botox(登録商標))、注射充填治療、インテンス・パルス・ライト(IPL)、酸処理、引き締め治療、顔面形成手術、または医師若しくは皮膚の専門家が顔面の皮膚の外観または硬さを改善するために行うその他の治療を含む全ての顔面の治療を保留する意思があること。ワックスおよび糸による脱毛は認められるが、顔面レーザー脱毛は認められない。
・定期的(週3回以上)に顔を剃る男性。顔の大部分を剃れば口ひげや小さなひげを剃ることができる。
・治験期間中、治験の要件(実施例3を含む)に従うことにより、治験に協力し参加する意思があり、健康状態、薬剤、有害事象の症状または反応に変化があった場合には、直ちに報告すること。
【0339】
以下に示す追加の選択基準は、以下に該当する生検サブグループの予定被験者のみに適用する。
・顔面から2mmのパンチ生検を2回受ける意思がある。
・ヒト免疫不全ウイルス(HIV)、B型肝炎(HBV)およびC型肝炎(HCV)を含む血液由来病原体のスクリーニングのための採血する意思がある。
【0340】
[適格基準:除外基準]
以下の基準のいずれかを満たす者は、以下の者を含め、本試験への参加資格を有しない。
・顔用スキンケア製品に対する既知のアレルギーと診断された場合。
・被験者の自己申告に従って、治験期間中に授乳中、妊娠中、または妊娠を計画している者
・過去5年以内に皮膚がんの既往歴があること。
・治験開始前の定められた期間内に、以下のいずれかの薬剤を現在使用しているかまたは使用したことがある者
1.試験開始前6ヵ月以内にイソトレチノイン(Accutane(登録商標))を内服した;
2.試験開始後3カ月以内に、Avita(登録商標)、Differin(登録商標)、Renova(登録商標)、Retin-A(登録商標)、Retin-A Micro(登録商標)、Soriatane(登録商標)、またはTazorac(登録商標)が投与された;
3.治験開始後3カ月以内の処方強度の皮膚美白剤(例:ヒドロキノン、トレチノイン、α/β/ポリヒドロキシ酸、4-ヒドロキシアニソール単独またはトレチノインとの併用等)
4.試験開始後2週間以内に皮膚の老化または異色症に影響を及ぼすことが知られている防しわ剤、皮膚美白剤、その他の製品または局所または全身投与薬(例:α/β/ポリヒドロキシ酸含有製品、エンブリカエキス、Alpaflor(登録商標)Gigawhite(商標)、ヒドロキノン、レモン汁エキス[局所]、Q-10、大豆、全身または甘草エキス[局所]、Tego(登録商標)Cosmo C250、ビタミンC)
・治験責任医師またはその指名する者が治験への参加に不適切であると判断し、または治験の結果に影響を及ぼす可能性のある健康状態および/または既存若しくは休眠性の顔面の皮膚疾患(例えば、乾せん、酒さ、ざ瘡(重度のざ瘡、集簇性ざ瘡、結節または嚢胞)、湿疹、脂漏性皮膚炎、重度の表皮剥離)を有する者
・治験責任医師または指名された者が、検査結果に影響を及ぼす可能性があると判断した、観察可能なサンバーン、サンタン、はん痕、母斑、過剰な毛髪、入れ墨またはその他の皮膚の状態が検査部位にあること。
・免疫抑制/免疫不全疾患(HIV感染、エイズ、多発性硬化症、クローン病、関節リウマチを含む)、臓器移植(心臓、腎臓等)の既往、免疫抑制薬および生物製剤(アザチオプリン、ベリムマブ、Cimzia(登録商標)、Cosentyx(登録商標)、シクロホスファミド、シクロスポリン、Enbrel(登録商標)、Humira(登録商標)、Imuran(登録商標)、Kineret(登録商標)、ミコフェノール酸モフェチル、メトトレキサート、Orencia(登録商標)、プレドニゾン、Remicade(登録商標)、Rituxan(登録商標)、Siliq(商標)、Simponi(登録商標)、Stelara(登録商標)、Taltz(登録商標))の経口投与または全身投与を受けている者、および/または試験資料により決定された放射線療法または化学療法を受けている者
・現在、過去4週間以内に副腎皮質ステロイド(ベタメタゾン、クロベタゾール、デソキシメタゾン、ジフロラゾン、フルオシノニド、フルチカゾン、モメタゾン、ハルシノニドおよびハロベタゾールを含むが、これらに限定されない)を使用しているかまたは定期的に使用していた者(全身投与または局所投与、鼻用または眼用を除く)
・喘息、糖尿病、てんかん、高血圧、甲状腺機能亢進症、甲状腺機能低下症等の疾患を有し、食事や薬剤等によりコントロールされていない者。食事や薬剤等によりコントロールされている場合であっても、複数の健康状態を有する者は参加できない場合がある。
・治験開始前2カ月以内に長期投与を開始した者
・治験期間中に予定された手術または侵襲的な医学的処置を受けること。非侵襲的な医学的処置または手術が治験の結果に及ぼす影響および容認可能性について、治験責任医師またはその指名する者がレビューする。
・現在、同一の治験実施施設、他の研究施設または診療所において他の臨床試験に参加している者
・治験参加前2週間以内に、同一の治験実施施設、他の研究施設または診療所において、当該治験実施施設を含む治験に参加した者
・治験参加前3カ月以内にホルモン補充療法(HRT)または避妊のためのホルモンを開始した者、または治験期間中にHRTまたは避妊のためのホルモンの開始、中止または用量変更を予定している者
・治験参加前3カ月以内に製剤化されたテストステロン療法を開始した場合、または治験期間中のテストステロン療法の開始、中止若しくは用量変更の計画がある場合(例:テストステロンシピオン酸塩、テストステロンエナント酸エステル、ウンデカン酸テストステロンおよびテストステロンペレット)、テストステロンブースターまたは製剤化されたテストステロン(例:DHEA、ハマビシ属(tribulus)、テストステロンシピオン酸塩、テストステロンエナント酸エステル、サスタノン、テストステロンプロピオン酸エステル、フェニルプロピオン酸テストステロンまたはオムナドレン)
【0341】
以下の追加除外は、以下に該当する生検サブグループの予定被験者のみに適用される:
・局所の抗生物質または消毒薬、局所麻酔、血液凝固および止血に影響を及ぼす可能性のある治療(クマジン、ヘパリン、プラビックス(Plavix)、NSAIDの慢性使用、などを含む抗凝血薬)によるアレルギー、過敏症または重篤な反応の既往があること。
・皮膚切開、皮膚生検等の医学的処置により色素沈着、色素減少等の異常な色素沈着反応(皮膚の色の変化)が生じた既往歴、または肥大、ケロイド瘢痕等の治癒欠損の既往歴があること。
・特定の疾患に対して抗炎症薬を現在または頻繁に使用しており、低用量アスピリン(81mg/日未満)は許容される。
・活動性または非活動性の全身性肉芽腫性疾患(サルコイドーシス、ヴェーゲナー肉芽腫症、結核等)または結合組織疾患(ループス、皮膚筋炎等)の既往があること。
・肝炎または急性若しくは慢性の腎不全と診断されている者
【0342】
実施例5:スキンケア製剤の臨床評価-治療レジメン
被験者には3桁の番号を割り当て、この番号を臨床試験番号と組み合わせて使用することにより、試験に参加するすべての被験者を一意に識別する。この番号は試験期間を通じて被験者に付与され、本試験における個々の被験者を参照する際に使用されるべきである。試験開始後は番号を割り当てない。
【0343】
被験者には、試験中に従うべき以下の指示が与えられる:
【0344】
試験前の指示は、Visit1の少なくとも7日前からは顔用保湿剤の使用を避け、Visit1の少なくとも14日前からは、顔用防しわ剤、皮膚美白剤、または皮膚の老化や色素異常に影響することが知られているその他の製品や局所投与や治療薬の使用を避けることである。
【0345】
試験材料の使用説明書は以下から構成される:試験材料を、日焼け止めを塗布する前に、1日2回、朝と晩に塗布すること;1回の使用につき4分の1量を、皮膚上に完全な層が存在するように塗布すること;眼の下と周囲(上まぶたを避けて)、口の周囲、あごのラインに沿って、耳の近くを含む顔全体を覆うこと;および血清の上に他の製品を塗布する前に15分間待機すること。
【0346】
被験者の来院時の指示には以下のものが含まれる:被験物質を予定通りにその日の夕方に塗布する。予約時間が午前中(正午前)の場合は、被験物質の朝の塗布を実施し、Visitの少なくとも30分前に顔を洗浄する。来院の少なくとも30分前に顔を洗浄し、すべてのメイクを除去する。Visitが完了するまで、他の局所製剤を顔または眼の部分に塗布しない。来院前にメイクを除去しない場合は、クリニックでメイクを除去する必要があり、検査手順の前に20分間の待ち時間がある。
【0347】
試験の一般的な指示は次のとおりである:試験期間中、被験者はSPF 30以上の日焼け止めを毎日使用する。長期の日光暴露は避け、試験期間中、すべての日焼け用ベッドおよび日焼け用製品の使用は避ける。防護服およびサングラスを着用し、午前10時から午後3時まで日光暴露を避けるよう特に注意する。指定された被験物質を指示通りに使用する。被験者はすべての通常ブランドのカラー化粧品およびメイク落としを引き続き使用し、試験期間中、指定された被験物質を使用する。被験者は老化防止製品の使用を控え、指定された被験物質以外の新しい顔用製品の使用を開始しない。
【0348】
有効性はベースライン、4週目および8週目の臨床段階で評価される。VISIA画像はベースラインおよび8週目に実施する。Antera 3D(登録商標)デジタル画像はベースラインおよび4週目および8週目に実施し、試験終了時にはすべての時点の画像について画像解析を実施する。被験者のサブグループに対して、外眼角と生え際の間に2mmのパンチ生検を実施する(ベースライン時に1回、8週目に1回、合計2回)。手順の概要を表7に示す。
【0349】
【表7】
【0350】
被験材料および/または日誌については、D=配布、C=収集、R=レビュー、W=計量、I=検査(目視)。
a.生検を実施する可能性のある被験者のサブグループは、スクリーニングVisitに参加する。
b.ベースライン並びに第4週および第8週のAntera 3D(登録商標)画像は、試験終了後に粗さ、平均メラニンおよび皺の画像解析を実施する。
c.フタル酸ブチルベンジルが陰性であった被験者のサブグループ(少なくとも3名)の各被験者から、示された各時点で2mmパンチ生検を1回実施し、試験終了後にサンプルを治験依頼者に送付して組織学的評価を行う。
【0351】
[生検予定被験者のスクリーニング:Visit 1]
21 Code of Federal Regulations(CFR)50.25の要件に従い、治験審査委員会が承認したインフォームド・コンセント(ICF)は、治験に参加する前に各被験者に与えられる。被験者は、ICFを読むために必要な時間を与えられ、ICFに署名する前に、治験に関連する全ての質問に対して満足のいく回答を得る機会を与えられる。さらに質問がある場合には、被験者は最初の来院時に十分な時間を与えられ、治験に関する質問および/またはICFに対して治験責任医師、治験分担医師または治験調整医師が回答した回答を得る。治験に参加する各被験者の署名入りICFの原本は治験ファイルに保管され、各被験者は署名入りICFの写しを受け取る。被験者は、署名入りICFなしに治験に参加する資格はない。
【0352】
生検を受ける予定の被験者には、治験審査委員会が承認した同意文書を読んで署名し、治験に関連する全ての質問に治験責任医師または指名されたスタッフが回答し、同意した場合には同意文書に署名し、署名された同意文書の写しを渡され、署名された同意文書の原本は治験ファイルに保管する。
【0353】
ICFに署名した候補被験者にはスクリーニング番号を割り当て、少なくとも15分間周囲の温度および湿度条件に順応させる。
【0354】
被験者候補は、適格性および健康に関する質問票に記入し、治験責任医師または指名された者によって適格性基準についてスクリーニングされる。
【0355】
生検を受ける可能性のある候補被験者(少なくとも3人)は、HIV、HBV、およびHCVを含む血液由来病原体をスクリーニングするために採血された血液サンプルを有する。
【0356】
[生検予定被験者のベースライン:Visit 2]
臨床医は、併用薬を記録し、被験者に前回の来院時から健康状態に変化があったかどうかを尋ね、有害事象が報告された場合には、治験責任医師にその旨を伝え、有害事象報告書に記入する。
【0357】
HIV、HBV、HCVを含むBBPが陰性であった場合、適格要件を満たした被験者を本試験に登録し、被験者番号を割り当てる。
【0358】
被験者は、少なくとも15分間周囲の温度と湿度の条件に順応させる。該当する部屋の温度を68°Fから75°Fに維持し、相対湿度を35%から65%の範囲に維持する。順化後、被験者候補は以下の処理に参加する:効果パラメータの臨床評価、VISIA(登録商標)画像処理、Antera 3D(登録商標)画像処理。適格な被験者については、生検検体を採取する。
【0359】
各被験者には、あらかじめ重量を測定した試験材料および支持材料を1単位ずつ提供し、使用方法を口頭および書面で指示し、試験材料の適用およびコメントを記録するための日誌を毎日提供する。
【0360】
[ベースライン、Visit 2:非生検被験者]
ICFに署名する予定の被験者にはスクリーニング番号を割り当て、少なくとも15分間周囲の温度および湿度条件に順応させる。該当する部屋の温度は68°Fから75°F、相対湿度は35%から65%の範囲に維持する。
【0361】
被験者候補は適格性および健康に関する質問票に記入し、治験責任医師または指名された者により適格性基準についてスクリーニングされる。
【0362】
候補被験者は、すべての有効性パラメータについて評価され、適格要件を満たした被験者は試験に登録され、被験者番号が割り当てられる。被験者は、VISIA画像処理およびAntera 3D(登録商標)画像処理に参加する。各被験者には、あらかじめ秤量した試験材料および支持材料の単位、並びに口頭および書面による使用説明書が提供される。
【0363】
[被験者の中間評価:Visit 3(第4週±3日)]
臨床医は、併用薬を記録し、被験者の健康に前回の来院時から何らかの変化があったかどうかを被験者に質問する。AEが報告された場合、治験責任医師に通知し、AEフォームに記入する。毎日の日記を収集し、遵守状況を確認する。遵守していない被験者には、継続して遵守していない場合は試験から除外することを助言する。日記は試験施設に保管され、新しい日記が被験者に配布される。試験材料ユニットを目視検査し、計量して使用遵守を確認し、試験材料ユニットを被験者に返却する。
【0364】
被験者は、少なくとも15分間周囲の温度および湿度条件に順応させた。該当する部屋の温度は68°Fから75°Fに維持し、相対湿度は35%から65%の範囲に維持した。順応後、被験者は効果パラメータの臨床評価およびAntera 3D(登録商標)画像手順に参加する。
【0365】
[最終来院日:Visit 4(第8週±3日)]
臨床医は、併用薬を記録し、被験者に前回の来院時から健康状態に変化があったか尋ねた。有害事象が報告された場合は、治験責任医師に連絡し、有害事象報告書に記入する。以下の有害事象の項に基づく報告手順を参照すること。
【0366】
毎日の日記を収集し、遵守状況を確認し、試験施設に保管する。遵守していない被験者は試験から除外してもよい。試験材料ユニットを目視検査し、計量して使用が遵守されていることを確認する。試験材料ユニットは試験施設に保管する。被験者はその後少なくとも15分間周囲の温度および湿度条件に順応させる。該当する部屋の温度は68°Fから75°Fに維持し、相対湿度は35%から65%の範囲に維持する。順応後、被験者は以下の処理に参加する:効果パラメータの臨床評価、VISIA(登録商標)画像処理、およびAntera 3D(登録商標)画像処理。生検サブグループの被験者は、生検を採取される。
【0367】
実施例6:有効性パラメータの臨床的評価
有効性評価項目については、ベースライン、4週目および8週目に臨床評価を行い、以下の定義に基づき、修正Griffiths 10 Point Scale (Griffiths CE,Wang TS,Hamilton TA,Voorhees JJ,Ellis CN.A photonumeric scale for assessment of cutaneous photodamage.Arch Dermatol.1992;128(3):347-351)を用いて、各被験者の顔全体で有効性評価項目を評価する(皮膚症状をより正確に表現するためには、必要に応じてハーフポイントスコアを用いてもよい)。
・0=なし(最良の状態)
・1~3=軽度
・4~6=中等度
・7~9=Severe(最悪の状態)
【0368】
以下のパラメータは、表8に示すスケールアンカーを使用して評価される。
【0369】
【表8】
【0370】
1.デジタル画像処理手順
画像撮影の前に、クリニックの職員は、被験者が試験手順に記載されているとおり、化粧をしていないきれいな顔をしていることを確認する。被験者は、写真を撮る場所から宝石を取り除き、写真を撮る前に少なくとも15分間、クリニック内の環境条件に順応させる。被験者には、髪を顔から遠ざけるための黒またはグレーのマットのヘッドバンドが提供され、被験者の衣服の上に黒またはグレーのマットの布が掛けられる。
【0371】
被験者には、静かに目を閉じて中立的な笑顔でない表情を採用するよう指示し、各写真に対して慎重に配置する。
【0372】
2.VISIA(登録商標)画像処理
ベースラインおよび8週目にVISIA画像処理を実施する。VISIA CRフォトステーション(Canfield Imaging Systems, Fairfield, New Jersey)とCanon Mark IIデジタルSLRカメラ(Canon Incorporated, Tokyo, Japan)を用いて、以下の照明条件下で、各被験者の顔(左、中央、右)の3枚のフルフェイスデジタル画像を撮影する。
・標準照明1:可視(明るい)
・標準照明2:可視標準照明3
・交差偏波平行偏波
【0373】
Antera(登録商標)3D画像処理
Antera 3D画像処理を、ベースライン、4週目および8週目に頬および眉の足(Stephensにより作成したランダム化手順に従って顔の左側または右側)の3D画像を撮影し、各時点で被験者毎に合計2枚の画像を撮影する。各画像には、試験番号、被験者番号および治験実施医療機関のコードを表示する。
【0374】
Antera 3D画像(Miravex Limited, Dublin, Ireland)を使用して写真撮影を行う。Antera 3Dは、多方向照明とコンピュータ支援による皮膚表面の再構成に依存し、異なる角度から異なる波長の発光ダイオード(LED)で表面を照明し、これらの画像間の差を利用して表面を3次元で再構成する。視野は56x56mmで、横方向の分解能は0.1mm、垂直方向の分解能は0.01mmである。
【0375】
選択されたパラメータに従って画像を評価し、それにより30人の患者のデータは4週目および8週目の指定されたパラメータにおける臨床等級スコアの平均変化を示す。
【0376】
3.生検処理(サブグループのみ)
ベースラインおよび第8週に、被験者のサブグループ(少なくとも3名)は、他の全ての処理の後に生検処理に参加し、選択された各被験者は、ベースライン時にAntera 3D画像が実施された側の顔の外側眼角と生え際の間で2mmパンチ生検を受け、第8週には顔の反対側の顔の外側眼角と生え際の間で生検を受ける。
【0377】
生検は、皮内局所麻酔後に標準的な滅菌技術を用いて得られ、常套的な様式で局所抗生物質および滅菌包帯で処置することができる。試験部位は、参照のために外科用マーカーでマークされ得る。
【0378】
生検試料を直ちに10%ホルマリン溶液中に移し、室温で12~16時間保存し、水道水で洗浄し、70%エタノール中で保存して出荷する。採取した生検試料は、FedExを通じて治験依頼者に送付し、以下の名称と住所で組織学的評価を行う。生検試料マニフェストには、被験者番号、製品情報、採取した生検試料の総数、分析後の試料の特定に必要なその他の関連情報が記載されている。
【0379】
実施例7:化合物175-176の合成
【化64】
【0380】
ジクロロメタン(2.50mL)中の2-アミノ-4-(p-トリル)チアゾール(100mg、0.526mmol、1.0当量)および1-メチルピペリジン-2-カルボン酸塩酸塩(113mg、0.631mmol、1.20当量)の混合物に、トリエチルアミン(0.22mL、1.58mmol、3.00当量)、次いで、EtOAc中の50%プロピルホスホン酸無水物溶液(50%、0.47mL、0.788mmol、1.50当量)を添加し、得られた混合物をアルゴン下、室温で18時間撹拌した。
【0381】
反応混合物をDCMおよび水で希釈した。有機相を分離し、水性物をさらに10%MeOH/DCM(2回)で抽出した。合わせた有機相を相分離器に通し、減圧濃縮して、前記化合物(199mg)を得た。LCMS(basic standard、2.5分、U3178015)-MH316.2、1.64分。MDAPによって精製して、前記化合物(43mg、26%)をオフホワイトの非晶質固体として得た。
【0382】
[参照による組み込み]
本明細書に引用された全ての特許および非特許文献の全開示は、全ての目的のためにその全体が参照により援用される。
【0383】
[その他の実施形態]
前記の開示は、独立した有用性を有する複数の別個の開示を包含することができる。これらの開示の各々は、その好ましい形態で開示されているが、本明細書に開示され、図示されているその特定の実施形態は、多数のバリエーションが可能であるため、限定的な意味で考慮されるべきではない。開示の主題は、本明細書に開示された様々な要素、特徴、機能、および/または特性の全ての新規で非自明な組合せおよびサブ組合せを含む。以下のクレームは、特に、新規で非自明とみなされる特定の組合せおよびサブ組合せを指摘する。特徴、機能、要素、および/または特性の他の組合せおよびサブ組合せで具体化された開示は、本出願、本出願からの優先権を主張する出願、または関連出願において請求することができる。かかるクレームは、異なる開示に向けられたものであれ、同一の開示に向けられたものであれ、また、元のクレームと比較して範囲が広く、狭く、等しい、または異なるものであれ、本開示の開示の主題に含まれるものとみなされる。
図1
図2A
図2B
図2C
図2D
図3A
図3B
図3C
図4A
図4B
【国際調査報告】