(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-11-02
(54)【発明の名称】蒸気生成システム
(51)【国際特許分類】
A24F 40/46 20200101AFI20231026BHJP
A24F 40/10 20200101ALI20231026BHJP
【FI】
A24F40/46
A24F40/10
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023516098
(86)(22)【出願日】2021-10-15
(85)【翻訳文提出日】2023-03-10
(86)【国際出願番号】 EP2021078648
(87)【国際公開番号】W WO2022084189
(87)【国際公開日】2022-04-28
(32)【優先日】2020-10-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】516004949
【氏名又は名称】ジェイティー インターナショナル エスエイ
【住所又は居所原語表記】8,rue Kazem Radjavi,1202 Geneva,SWITZERLAND
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100186613
【氏名又は名称】渡邊 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100202854
【氏名又は名称】森本 卓行
(72)【発明者】
【氏名】フールマン,ディック・パウル
(72)【発明者】
【氏名】フプケス,エルンスト
(72)【発明者】
【氏名】フライエ,デニス
【テーマコード(参考)】
4B162
【Fターム(参考)】
4B162AA05
4B162AA22
4B162AB14
4B162AB23
4B162AC02
4B162AC17
4B162AC22
(57)【要約】
蒸気生成システム(1)は、少なくとも1つの加熱要素(18)を含むベース部分(10)と、ベース部分(10)に取り外し可能に接続可能なカートリッジ(12)とを含む。カートリッジ(12)は、蒸気生成液体を貯蔵するための液体貯蔵器(32)であって、液体貯蔵器(32)は液体出口(50)を含む、液体貯蔵器(32)と、液体貯蔵器(32)から蒸気生成液体を受け取るために液体出口(50)と連通する気化チャンバ(48)と、気化チャンバ(48)内の蒸気生成液体を気化させるために、加熱要素(18)から気化チャンバ(48)に熱を伝達するように構成された熱伝達ユニット(42)とを含む。熱伝達ユニット(42)は、ベース部分(10)の加熱要素(18)と接触する柔軟な熱伝達面(60)を含む。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
蒸気生成システム(1)であって、
少なくとも1つの加熱要素(18)を含むベース部分(10)と、
前記ベース部分(10)に取り外し可能に接続可能なカートリッジ(12)であって、前記カートリッジ(12)は、
蒸気生成液体を貯蔵するための液体貯蔵器(32)であって、前記液体貯蔵器(32)は液体出口(50)を含む、液体貯蔵器(32)と、
前記液体貯蔵器(32)から蒸気生成液体を受け取るために前記液体出口(50)と連通する気化チャンバ(48)と、
前記気化チャンバ(48)内の蒸気生成液体を気化させるために、前記加熱要素(18)から前記気化チャンバ(48)に熱を伝達するように構成された熱伝達ユニット(42)と、
を含む、カートリッジ(12)と、を含み、
前記熱伝達ユニット(42)は、前記ベース部分(10)の前記加熱要素(18)と接触する柔軟な熱伝達面(60)を含む、
蒸気生成システム(1)。
【請求項2】
前記柔軟な熱伝達面(60)が、前記熱伝達ユニット(42)に施される可撓層によって形成される、請求項1に記載の蒸気生成システム。
【請求項3】
前記可撓層が熱伝導性材料を含む、請求項2に記載の蒸気生成システム。
【請求項4】
前記可撓層がコーティングとして施される、請求項2又は3に記載の蒸気生成システム。
【請求項5】
前記熱伝達ユニット(42)が、実質的に第1の平面内にある複数の第1の部分(54)と、前記第1の平面から外れており、前記第1の平面より下方において、前記第1の平面と実質的に平行な第2の平面内にある複数の第2の部分(56)とを含む、請求項1~4のいずれか一項に記載の蒸気生成システム。
【請求項6】
前記熱伝達ユニット(42)が実質的に円形の熱伝達ユニットであり、前記第1の部分(54)が前記熱伝達ユニット(42)の周りに周方向に間隔を空けて配置され、前記第2の部分(56)が前記熱伝達ユニット(42)の周りに周方向に間隔を空けて配置され、前記第2の部分(56)が前記第1の部分(54)の間に周方向に配置される、請求項5に記載の蒸気生成システム。
【請求項7】
前記第1及び第2の部分(54、56)が実質的に平面状であり、対応する第1及び第2の柔軟な熱伝達面(60a、60b)を有する、請求項6に記載の蒸気生成システム。
【請求項8】
前記加熱要素(18)が、前記第1の柔軟な熱伝達面(60a)と接触する実質的に平面状の加熱面(18a)を含む、請求項7に記載の蒸気生成システム。
【請求項9】
前記加熱要素(18)が、少なくとも前記第2の柔軟な熱伝達面(60b)と接触する非平面状加熱面(18b)を含む、請求項7に記載の蒸気生成システム。
【請求項10】
前記液体出口(50)を介して前記液体貯蔵器(32)から蒸気生成液体を吸収するために前記気化チャンバ(48)内に少なくとも部分的に配設された収着部材(38)をさらに含み、前記熱伝達ユニット(42)が、前記吸収された蒸気生成液体を気化させるために前記収着部材(38)と接触する、請求項1~9のいずれか一項に記載の蒸気生成システム。
【請求項11】
請求項1に記載の蒸気生成システムを製造するための方法であって、前記方法は、
前記柔軟な熱伝達面(60)を形成するために前記熱伝達ユニット(42)に可撓層を施すこと
を含む、方法。
【請求項12】
前記可撓層を施す前記ステップが、前記熱伝達ユニット(42)にコーティングを施すことを含む、請求項11に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は一般に、蒸気生成液体を加熱して蒸気を生成し、それが冷却及び凝縮して、システムのユーザが吸入するエアロゾルを形成するように構成された蒸気生成システムに関する。本開示の実施形態は、特に、再利用可能なベース部分と、再利用可能なベース部分とともに使用されるように構成されたカートリッジとを含む蒸気生成システムに関する。
【背景技術】
【0002】
蒸気生成システム(又はより一般的には、電子タバコ又はe-タバコ)という用語は、従来の紙巻きタバコでの喫煙の感覚又は体験を模倣することを目的とした携帯型電子デバイスを指す。電子タバコは、冷却及び凝縮して、その後ユーザが吸入するエアロゾルを形成する蒸気を生成する蒸気生成液体を加熱することにより機能する。したがって、e-タバコの使用は「ベイピング」と称される場合もある。蒸気生成液体は通常、ニコチン、プロピレングリコール、グリセリン及び香味料を含む。
【0003】
典型的なe-タバコ気化ユニット、すなわち、蒸気生成液体を気化させるためのシステム又はサブシステムは、綿芯及び加熱要素を利用して、カプセル又はタンク内に貯蔵された液体から蒸気を発生させる。ユーザがe-タバコを操作するとき、芯に染み込んだ液体が加熱要素によって加熱され、蒸気を発生させ、それが冷却及び凝縮して、その後吸入され得るエアロゾルを形成する。e-タバコの使い勝手を容易にするために、カートリッジがしばしば使用される。これらのカートリッジは、多くの場合、「カートマイザ」として構成され、これは、液体貯蔵器(リザーバ)と、液体移送要素(例えば芯)と、ヒータとから形成された、統合された構成要素を意味する。電気コネクタもまた、加熱要素と電源との間の電気接続を確立するように設けられていてよい。このようなカートリッジは使い捨てであってよく、すなわちリザーバ内の液体の供給が尽きた後に再利用できるように意図していない。代わりに、これらは、蒸気生成液体の新たな供給でリザーバを再充填することを可能にする手段を設けて、再利用可能にすることもできる。特に使い捨てカートリッジの場合、部品の数及び複雑さを減らすことにより無駄を減らして製造工程をより簡単且つ安価にすることが望ましい。
【0004】
したがって、加熱要素が再利用可能なベース部分に一体化され、蒸気生成液体がベース部分の加熱要素によって加熱され得るように、蒸気生成液体が入っている使い捨てカートリッジがベース部分に取り外し可能に接続可能である蒸気生成システムを提供することが提案されている。加熱要素を再利用可能なベース部分に一体化することにより、カートリッジ構造を単純化することが可能になる。しかしながら、再利用可能なベース部分の加熱要素からカートリッジ内の蒸気生成液体への熱伝達を最大化する必要があり、本開示はこの必要に対処しようとするものである。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の第1の態様によれば、蒸気生成システムであって、
少なくとも1つの加熱要素を含むベース部分と、
ベース部分に取り外し可能に接続可能なカートリッジであって、
蒸気生成液体を貯蔵するための液体貯蔵器であって、液体出口を含む、液体貯蔵器と、
液体貯蔵器から蒸気生成液体を受け取るために液体出口と連通する気化チャンバと、
気化チャンバ内の蒸気生成液体を気化させるために、加熱要素から気化チャンバに熱を伝達するように構成された熱伝達ユニットと、
を含む、カートリッジとを含み、
熱伝達ユニットは、ベース部分の加熱要素と接触する柔軟な熱伝達面を含む、
蒸気生成システムが提供される。
【0006】
ベース部分は、加熱要素に接続された電源ユニット、例えばバッテリを含み得る。動作時、蒸気生成システムを作動させると、電源ユニットは、ベース部分の加熱要素を電気的に加熱し、その後、加熱要素は、その熱を伝導によってカートリッジの熱伝達ユニットに提供する。熱伝達ユニットは、今度はその熱を気化チャンバに提供し、蒸気生成液体の気化をもたらす。本プロセス中に作り出された蒸気は、蒸気生成システムのユーザが吸入できるように、カートリッジ内の蒸気出口チャネルを介して気化チャンバから移送される。
【0007】
柔軟な熱伝達面が加熱要素と熱伝達ユニットとの間に最適な接触があることを確実にするので、ベース部分の加熱要素からカートリッジの熱伝達ユニットへの熱伝達は、最大化される。これにより、蒸気生成システムのエネルギー効率が向上する。
【0008】
一般的に、蒸気は、その臨界温度よりも低い温度で気相である物質であり、これは温度を低下させることなく圧力を増加させることによって蒸気を液体に凝縮させ得ることを意味する。一方、エアロゾルは、空気又は別の気体中の微細な固体粒子又は液滴の浮遊物である。しかしながら、本明細書では、「エアロゾル」及び「蒸気」という用語は、特にユーザによる吸入のために生成される吸入可能媒体の形態に関して、互換的に使用され得ることに留意されたい。
【0009】
柔軟な熱伝達面は、熱伝達ユニットに施される可撓層によって形成され得る。可撓層は、コーティングとして施され得る。これにより、柔軟な熱伝達面は容易に形成され、したがって、熱伝達ユニットの製造可能性が向上する。
【0010】
可撓層は、熱伝導性材料を含み得る。これにより、熱伝導性可撓層は、加熱要素から気化チャンバへの熱伝達を促進し、それによって蒸気生成システムのエネルギー効率を向上させる。
【0011】
熱伝達ユニットは、実質的に第1の平面内にある複数の第1の部分を含み得、且つ第1の平面から外れており、且つ実質的に第2の平面内にある複数の第2の部分を含み得る。第2の平面は、第1の平面より下方にあり得、且つ第1の平面と実質的に平行であり得る。複数の第2の部分は、接触領域において収着部材に接触し得る。熱は、主として熱伝達ユニットの第2の部分から収着部材への伝導により、接触領域において熱伝達ユニットから収着部材に伝達される。これにより、エネルギー効率がさらに向上し、蒸気生成システムのエネルギー消費が減少する。
【0012】
熱伝達ユニットは、実質的に円形の熱伝達ユニットであり得る。第1の部分は、熱伝達ユニットの周りで周方向に間隔を空けて配置され得、第2の部分は、熱伝達ユニットの周りで周方向に間隔を空けて配置され得る。第2の部分は、第1の部分の間に周方向に配置され得る。熱伝達ユニットは、比較的容易に製造することができる。
【0013】
第1及び第2の部分は、実質的に平面状であり得、対応する第1及び第2の柔軟な熱伝達面を有し得る。
【0014】
第1の例では、加熱要素は、第1の柔軟な熱伝達面と接触する実質的に平面状の加熱面を含み得る。熱伝達ユニットの第1の部分は、第1の柔軟な熱伝達面と平面状熱伝達面との間の接触によって加熱され、第2の部分は、第1の部分から伝達される熱によって間接的に加熱される。この配置により、単純な幾何学的形状を有する加熱要素の使用を可能にし得る。
【0015】
第2の例では、加熱要素は、少なくとも第2の柔軟な熱伝達面と接触し得る非平面状加熱面を含み得る。したがって、熱伝達ユニットの第2の部分は、第2の柔軟な熱伝達面と加熱要素の非平面状加熱面との間の接触によって直接的に加熱される。それにより、収着部材と接触していない第1の部分の加熱が最小限になる。これは、熱が接触領域において熱伝達ユニットから収着部材により効率的に伝達されることを意味する。これは、ひいてはエネルギー消費を減少させる。これにより、熱伝達ユニットの温度、特に第1の部分の温度を低下させることもできる。これにより、ひいてはカートリッジ及び蒸気生成システムの他の部品への熱伝達が減少し、それによりエネルギー消費がさらに減少し、場合によっては蒸気生成システムの外部表面の温度が低下し、ユーザの快適性を向上させることができる。
【0016】
蒸気生成システムは、液体出口を介して液体貯蔵器から蒸気生成液体を吸収するために、気化チャンバ内に少なくとも部分的に配設された収着部材をさらに含み得る。熱伝達ユニットは、収着部材と接触して収着部材を加熱し、吸収された蒸気生成液体を気化させることができる。これは、液体貯蔵器からの蒸気生成液体が収着部材によって連続的に吸収される、連続的なプロセスである。上記のように、本プロセス中に作り出された蒸気は、蒸気生成システムのユーザが吸入できるように、カートリッジ内の蒸気出口チャネルを介して気化チャンバから移送される。
【0017】
蒸気生成液体としては、グリセリン又はプロピレングリコールなどの多価アルコール及びその混合物が挙げられ得る。蒸気生成液体は、ニコチンを含有し得、したがって、ニコチン含有液体に指定され得る。蒸気生成液体は、香味料などの1つ又は複数の添加物を含有し得る。
【0018】
収着部材は、別の材料の収着及び/又は吸収を行うことができる任意の材料又は材料の組み合わせで作製することができ、例えば以下の材料:繊維、ガラス、アルミニウム、綿、セラミック、セルロース、ガラス繊維ウィック、ステンレス鋼メッシュ、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリ(シクロヘキサンジメチレンテレフタレート)(PCT)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、延伸ポリテトラフルオロエチレン(ePTFE)及びBAREX(登録商標)などのうちの1つ又は複数で作製することができる。
【0019】
熱伝達ユニットは、熱伝導性材料、例えばアルミニウム、銅などの金属を含み得る。
【0020】
加熱要素は、電気抵抗材料を含み得る。加熱要素は、セラミック材料、例えばタングステン及びその合金を含み得る。セラミック材料の使用は、加熱要素を堅くするのに便利に役立つ。加熱要素は、少なくとも部分的に、ガラスなどの保護材料に封入され得るか又はガラスなどの保護材料でコーティングされ得る。
【0021】
加熱要素は、温度と抵抗率との間の定義された関係を有する金属を使用して形成され得る。このような実施形態では、金属は、2層の適切な絶縁材料間のトラックとして形成され得る。このようにして形成された加熱要素は、ヒータ及び温度センサの両方として使用され得る。
【0022】
加熱要素は、加熱要素に埋め込まれた又は取り付けられた温度センサを含み得る。
【0023】
電源ユニット、例えばバッテリは、直流電圧源であり得る。例えば、電源ユニットは、ニッケル水素バッテリ、ニッケルカドミウムバッテリ又はリチウムベースのバッテリ、例えばリチウムコバルトバッテリ、リン酸鉄リチウムバッテリ、リチウムイオンバッテリ又はリチウムポリマーバッテリであり得る。
【0024】
ベース部分は、バッテリを含む蒸気生成システムの電気部品と関連付けられたプロセッサをさらに含み得る。
【0025】
カートリッジは、液体貯蔵器及び気化チャンバを少なくとも部分的に含むカートリッジハウジングと、カートリッジハウジングに沿って延び、且つ気化チャンバと流体連通する蒸気出口チャネルとをさらに含み得る。カートリッジハウジングは、蒸気出口チャネルを介して気化チャンバと流体連通するマウスピース端部として構成される近位端と、熱伝達ユニットと関連付けられた遠位端とを有し得る。マウスピース端部は気化された液体をユーザに提供するように構成され得る。熱伝達ユニットは、遠位端に配設され得る。熱伝達ユニットは、蒸気出口チャネルに対して実質的に垂直であり得る。
【0026】
液体貯蔵器は、気化チャンバとマウスピース端部との間に延びる蒸気出口チャネルに並置され得る。液体貯蔵器は、蒸気出口チャネルの周りに配設され得る。
【0027】
カートリッジハウジングは、以下の材料:アルミニウム、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、カプトン(登録商標)などのポリイミド、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレン(PE)、高密度ポリエチレン(HDPE)、ポリプロピレン(PP)、ポリスチレン(PS)、フッ化エチレンプロピレン(FEP)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリオキシメチレン(POM)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、アクリロニトリルブタジエンスチレン(ABS)、ポリカーボネート(PC)、エポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂及びビニル樹脂のうちの1つ又は複数で作製され得る。
【0028】
本開示の第2の態様によれば、上記で定義された熱伝達ユニットを製造する方法であって、
柔軟な熱伝達面を形成するために熱伝達ユニットに可撓層を施すこと
を含む、方法が提供される。
【0029】
本開示の第3の態様によれば、上記で定義された蒸気生成システムを製造するための方法であって、
柔軟な熱伝達面を形成するために熱伝達ユニットに可撓層を施すこと
を含む、方法が提供される。
【0030】
可撓層を施すステップは、熱伝達ユニットにコーティングを施すことを含み得る。上記のように、可撓層は、単純な方式で施すことができ、それによって熱伝達ユニットの製造可能性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【
図1】ベース部分及びカートリッジを含む蒸気生成システムの概略図である。
【
図4】カートリッジの熱伝達ユニットの上からの概略斜視図である。
【
図5】カートリッジの熱伝達ユニットの下からの概略斜視図である。
【
図6】ベース部分の加熱要素の例示的な実施形態の概略斜視図である。
【
図7】ベース部分の加熱要素の例示的な実施形態の概略斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
ここで、本開示の実施形態について、単なる例として、添付の図面を参照しながら説明する。
【0033】
最初に
図1を参照すると、システム1のユーザによる吸入のための蒸気(又はエアロゾル)を生成するために蒸気生成液体を気化させるための蒸気生成システム1が概略的に示されている。蒸気生成システム1は、ベース部分10と、ベース部分10に熱的に接続されるカートリッジ12とを含む。したがって、ベース部分10は、蒸気生成システム1の本体部であり、好ましくは再利用可能である。
【0034】
ベース部分12は、ハウジング14を含み、ハウジング14は、ハウジング14の第1の端部14aに設置された抵抗加熱要素18に接続されるバッテリ16の形態の電源ユニットを収容する。ハウジング14の第1の端部14aは、カートリッジ12の対応するインタフェースと適合するように構成されるインタフェース15を有する。バッテリ16は、加熱要素18の動作に必要な電力を加熱要素18に提供するように構成され、加熱要素18が必要とされる温度まで加熱されることを可能にする。バッテリ16は、プロセッサ20にも接続され、プロセッサ20の動作に必要とされる電力供給を可能にする。プロセッサ20は、加熱要素18に接続され、その動作を制御する。
【0035】
さらに
図2及び
図3を参照すると、第1の例では、カートリッジ12は、近位端24と遠位端26とを有するカートリッジハウジング22を含む。近位端24は、ユーザの口内に直接導入されるように構成されたマウスピース端を構成することができ、したがって、口端24として指定することもできる。いくつかの実施形態では、マウスピース25は、
図2に示すように近位端24に嵌め込まれ得る。
【0036】
カートリッジ12は、ベース部28及び液体貯蔵部30を含む。液体貯蔵部30は、蒸気生成液体がその中に入るように構成された液体貯蔵器32と、蒸気出口チャネル34とを含む。蒸気生成液体は、プロピレングリコール及び/又はグリセロールなどのエアロゾル形成物質を含んでもよく、ニコチン及び酸などの他の物質を含有し得る。蒸気生成液体は、例えばタバコ、メントール又はフルーツ味などの香味料も含み得る。液体貯蔵器32は、概ね近位端24と遠位端26との間に延び得るが、遠位端26から間隔を空けて配置される。液体貯蔵器32は、蒸気出口チャネル34を包囲し、且つ蒸気出口チャネル34と同一の広がりを有し得る。
【0037】
図3から最もよく分かるように、カートリッジ12のベース部28は、カートリッジ12の遠位端26を封止的に閉鎖するように構成され得る。ベース部28は、第1及び第2のプラグ部材36a、36bを含むプラグアセンブリ36と、中央に位置する穴40を有するリング形状の収着部材38と、熱伝達ユニット42とを含み、これらはすべて、カートリッジハウジング22の遠位端26、より詳細には液体貯蔵器32と遠位端26との間に形成される空間内に位置する。プラグアセンブリ36、より具体的には第1のプラグ部材36aは、カートリッジハウジング22の遠位端26を閉じ、それによって蒸気生成液体を液体貯蔵器32内に保つ。
【0038】
第1のプラグ部材36aは、液体貯蔵器32の内周面と接触する周面46を備えている。第1のプラグ部材36aは、周面46が液体貯蔵器32の内周面と接触したときに封止効果を提供する弾性を有する材料で形成され得る。例えば、第1のプラグ部材36aは、ゴム又はシリコーンを含み得る。代わりに、第1のプラグ部材36aは、第1のプラグ部材36aと液体貯蔵器32とを例えば超音波溶接によって互いに接合することを可能にする熱可塑性材料を含み得る。第1のプラグ部材36aは、
図3に示すように、蒸気出口チャネル34の遠位端34aに封止的に接続するように構成された接続部分44を含む。
【0039】
カートリッジ12は、第1のプラグ部材36aと熱伝達ユニット42との間に画定された気化チャンバ48を含む。収着部材38は、気化チャンバ48内に位置する。第1のプラグ部材36aは、液体貯蔵器32から液体出口50に隣接する気化チャンバ48内に位置する収着部材38への蒸気生成液体の制御された流れを提供する、複数の周方向に間隔を空けて配置された液体出口50を含む。
【0040】
収着部材38は、液体出口50と熱伝達ユニット42との間において気化チャンバ48内に位置する。収着部材38は、一方では、液体貯蔵器32からの蒸気生成液体の一部を吸収するように構成され、他方では、熱伝達ユニット42によって加熱されることにより、収着部材38中に吸収された蒸気生成液体を、気化チャンバ48内で気化させるように構成される。
【0041】
ベース部分10とカートリッジ12とが
図1に概略的に示すように互いに組み立てられるとき、ベース部分10の加熱要素18は、カートリッジ12がベース部分10に熱的に接続されるように、カートリッジ12の熱伝達ユニット42と接触する。動作時、加熱要素18は、バッテリ16からの電力によって抵抗加熱され、その熱を、伝導を介して熱伝達ユニット42に提供する。熱伝達ユニット42からの熱は、その後、主に伝導によって収着部材38に伝達される。したがって、収着部材38は、熱伝達ユニット42によって間接的に加熱され、ベース部分10の加熱要素18によって直接加熱されない。収着部材38と熱伝達ユニット42との間の界面が、気化が起こる温度(通常200℃~250℃の間)に到達するように、十分な熱を伝達するために、ベース部分12内の加熱要素18は、理想的には約500℃の温度に達する必要がある。収着部材38の加熱の結果として、液体貯蔵器32から収着部材38に吸収された蒸気生成液体は、気化チャンバ48で気化し、ユーザがカートリッジ12の近位(口)端24を吸引するとき、蒸気は、蒸気出口チャネル34を介して気化チャンバ48から漏出する。蒸気は、蒸気出口チャネル34を通って流れるとき冷却及び凝縮して、近位(口)端24を介してユーザが吸入できるエアロゾルを形成する。
【0042】
カートリッジ12は、上述のように、蒸気生成システム1の使用中にユーザがカートリッジ12の近位(口)端24を吸引するときに、空気が気化チャンバ48に流れることを可能にするために吸気口52を含む。図示例では、吸気口52は、第2のプラグ部材36bに形成され、
図3に示すように、第1及び第2のプラグ部材36a、36bの間に形成される経路に沿って空気が気化チャンバ48に流れることを可能にする。しかしながら、他の構成も本開示の範囲内に完全に含まれる。
【0043】
さらに
図4及び
図5を参照すると、熱伝達ユニット42は、実質的に円形又は円板形状であり、実質的に第1の平面内にある複数の第1の部分54と、第1の部分54より下方において、第1の平面と実質的に平行な第2の平面内にある複数の第2の部分56とを含む。第1の部分54と第2の部分56とは、熱伝達ユニット42の周りで交互に且つ周方向に間隔を空けて配置される。即ち、第2の部分56は、第1の部分54の間に周方向に配置される。第1の部分54は収着部材38から間隔を空けて配置されるのに対して、第2の部分56は、収着部材36と熱伝達ユニット40とが部分的にのみ接触するように、収着部材38と接触する(
図3を参照されたい)。したがって、熱伝達ユニット42は、収着部材38と接触する側に隆起部58b(
図5を参照されたい)を備え、加熱要素20に面する側に溝58a(
図4を参照されたい)を備えていると見なすことができる。
【0044】
熱伝達ユニット42は、ベース部分10とカートリッジ12とが互いに組み立てられたときに加熱要素18と接触する柔軟な熱伝達面60を含む。図示の実施形態では、第1の部分54のそれぞれは、第1の柔軟な熱伝達面60aを有し、第2の部分56のそれぞれは、第2の柔軟な熱伝達面60bを有する。
図4から明らかになるように、第1及び第2の柔軟な熱伝達面60a、60bは、ベース部分10の加熱要素18が接触する熱伝達ユニット42の上側に設けられる。
【0045】
図6に示す一実施形態では、ベース部分10の加熱要素18は、実質的に平面状の熱伝達面18aを含み得、例えば、第1の部分54の上面とのみ接触する円形又は円板形状の加熱要素18を含み得る。この場合、第1の部分54のみが対応する第1の柔軟な熱伝達面60aを有することが、必要であり得る。
図7に示す別の実施形態では、加熱要素18は、熱伝達ユニット42の溝58aに入ることができる形状及び形態を有し得る、複数の突出した熱伝達面18bを含み得る。この場合、加熱要素18の非平面状加熱面と熱伝達ユニット42との間の接触を最適化するために、第1の部分54と第2の部分56の両方が上述のように対応する第1及び第2の柔軟な熱伝達面60a、60bを有することが好ましい場合がある。
【0046】
柔軟な熱伝達面60は、熱伝達ユニット42の上面に施された可撓層を含み得る。可撓層は、通常、熱伝達ユニット42から収着部材38への熱の伝達を促進するための熱伝導性材料を含み、例えばマイクログラビアコーティングプロセス又は当業者には明らかであろうその他の適切なプロセスによって、薄膜コーティングとして熱伝達ユニット42に施すことができる。
【0047】
これまでの段落では例示的な実施形態について説明してきたが、添付の特許請求の範囲から逸脱することなく、これらの実施形態に対して様々な修正を加えることができることを理解されたい。したがって、特許請求の広さ及び範囲は、上述した例示的な実施形態に限定されるべきではない。
【0048】
本明細書において別段の指示がない限り、又は文脈に明らかに矛盾しない限り、すべての可能な変形形態における上述した特徴の任意の組み合わせは、本開示によって包含される。
【0049】
文脈上、明らかに他の意味に解すべき場合を除き、本明細書及び特許請求の範囲の全体を通して、「含む」、「含んでいる」などの語は、排他的意味又は網羅的意味とは反対に、包括的に、すなわち「含むが、限定されない」という意味で解釈されるべきである。
【国際調査報告】