(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-11-02
(54)【発明の名称】基板間の導電性支柱を備えたアンテナアレイアーキテクチャ
(51)【国際特許分類】
H01Q 23/00 20060101AFI20231026BHJP
H01Q 21/06 20060101ALI20231026BHJP
H01Q 3/30 20060101ALI20231026BHJP
H01L 23/12 20060101ALI20231026BHJP
H01L 25/00 20060101ALI20231026BHJP
【FI】
H01Q23/00
H01Q21/06
H01Q3/30
H01L23/12 Z
H01L25/00 A
【審査請求】有
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2023516512
(86)(22)【出願日】2020-09-14
(85)【翻訳文提出日】2023-04-07
(86)【国際出願番号】 US2020050681
(87)【国際公開番号】W WO2022055507
(87)【国際公開日】2022-03-17
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】513180451
【氏名又は名称】ヴィアサット,インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】ViaSat,Inc.
(74)【代理人】
【識別番号】110001302
【氏名又は名称】弁理士法人北青山インターナショナル
(72)【発明者】
【氏名】アストルガ,ルイス ジー.
(72)【発明者】
【氏名】フランソン,スティーヴン ジェイ.
【テーマコード(参考)】
5J021
【Fターム(参考)】
5J021AA05
5J021AA09
5J021AA11
5J021AB02
5J021AB03
5J021AB06
5J021DB02
5J021DB03
5J021FA06
5J021FA23
5J021FA26
5J021FA29
5J021FA31
5J021GA02
5J021HA01
5J021HA05
5J021HA07
5J021HA08
5J021JA09
(57)【要約】
アンテナ装置は、対向する第1及び第2の面を有するアンテナ基板と、対向する第1及び第2の面を有するRGBとを備える。アンテナ素子は、アンテナ基板の第1の面に配設されている。それぞれが、RGBの第2の面に取り付けられた第1の端部及びアンテナ基板の第2の面に取り付けられた第2の端部を有する導電性支柱は、RGBをアンテナ基板に固定し、RGBとアンテナ基板との間に電気的相互接続を提供する。RFICチップは、それぞれ、アンテナ基板の第2の面に取り付けられ、アンテナ素子に結合されている。少なくとも1つの回路素子は、RGBの第1の面に取り付けられ、導電性支柱のうちの少なくとも1つを介してRFICチップのうちの少なくとも1つに電気的に結合されている。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
アンテナ装置であって、
対向する第1及び第2の面を有するアンテナ基板と、
前記アンテナ基板の前記第1の面に配設された複数のアンテナ素子と、
対向する第1及び第2の面を有するプリント回路基板(PCB)と、
前記PCBの前記第2の面に取り付けられた第1の端部及び前記アンテナ基板の前記第2の面に取り付けられた第2の端部をそれぞれが有し、前記PCBを前記アンテナ基板に固定し、前記PCBと前記アンテナ基板との間に電気的相互接続を提供する複数の導電性支柱と、
前記アンテナ基板の前記第2の面にそれぞれ取り付けられ、前記複数のアンテナ素子に結合された複数の高周波集積回路(RFIC)チップと、
前記PCBの前記第1の面に取り付けられ、前記導電性支柱のうちの少なくとも1つを介して前記RFICチップのうちの少なくとも1つに電気的に結合された少なくとも1つの回路素子と、を備える、アンテナ装置。
【請求項2】
前記電気的相互接続は、高周波(RF)信号を通信するRF相互接続である、請求項1に記載のアンテナ装置。
【請求項3】
前記電気的相互接続は、直流(DC)信号を通信するDC相互接続である、請求項1又は2に記載のアンテナ装置。
【請求項4】
前記電気的相互接続は、データ制御信号を通信するデータ制御信号相互接続である、請求項1~3のいずれか一項に記載のアンテナ装置。
【請求項5】
前記データ制御信号は、前記RFICチップのうちの複数のものに提供されて、その中の位相シフト器を調整し、フェーズドアレイを作製する、請求項4に記載のアンテナ装置。
【請求項6】
前記PCB及び前記アンテナ基板は、異なる熱膨張係数(CTE)を有し、前記支柱が、屈曲、圧縮、又は延伸することによって変形して、前記異なるCTEに起因する応力緩和を提供する、請求項1~5のいずれか一項に記載のアンテナ装置。
【請求項7】
前記少なくとも1つの回路素子は、前記支柱のうちの少なくとも1つと、前記アンテナ基板の前記第2の面の導電性トレース層とを介して、前記RFICチップに制御信号及び/又はバイアス電圧を提供するICチップである、請求項1~6のいずれか一項に記載のアンテナ装置。
【請求項8】
前記ICチップは、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)である、請求項7に記載のアンテナ装置。
【請求項9】
前記少なくとも1つの回路素子は、前記支柱のうちの前記少なくとも1つと、前記アンテナ基板の前記第2の面の導電性トレース層とを介して前記RFICチップにDC電圧を提供するDCコネクタである、請求項1~8のいずれか一項に記載のアンテナ装置。
【請求項10】
前記少なくとも1つの回路素子は、前記支柱のうちの少なくとも1つを介して、前記RFICチップとの間でRF信号をルーティングするRFコネクタである、請求項1~9のいずれか一項に記載のアンテナ装置。
【請求項11】
前記複数の支柱は、第1の支柱と、前記第1の支柱の対向する側にある第2及び第3の支柱とを含み、
前記RFコネクタは、信号相互接続として機能する前記第1の半田支柱と、それぞれのグランド相互接続として機能する前記第2及び第3の半田支柱とを含む、グランド-信号-グランド相互接続を介して前記RFICチップに結合される、請求項10に記載のアンテナ装置。
【請求項12】
前記アンテナ基板の前記第2の面は、前記RFICと前記アンテナ素子とを電気的に結合する相互接続のための開口部を有するアンテナグランド平面を備え、
前記RFICチップは、前記アンテナグランド平面に電気的に結合されたそれぞれのグランド接続点を有する、請求項1~11のいずれか一項に記載のアンテナ装置。
【請求項13】
前記RFICチップのそれぞれは、複数の電気接続ジョイントを介して前記アンテナ基板の前記第2の面に取り付けられた下面と、空隙によって前記PCBの前記第2の面から分離された上面と、を有する、請求項1~12のいずれか一項に記載のアンテナ装置。
【請求項14】
前記複数の電気接続ジョイントは、半田バンプ又は銅ピラーである、請求項13に記載のアンテナ装置。
【請求項15】
前記複数の導電性支柱は、半田支柱、銅螺旋巻付を有する固体円柱、バネ、及び微小同軸ケーブルのうちの少なくとも1つを含む、請求項1~14のいずれか一項に記載のアンテナ装置。
【請求項16】
前記複数の導電性支柱は、カラムグリッドアレイ(CGA)の銅巻付半田支柱である、請求項1~15のいずれか一項に記載のアンテナ装置。
【請求項17】
前記RFICチップは、それぞれ、受信アンプ、送信アンプ、及び位相シフト器のうちの少なくとも1つを備える、請求項1~16のいずれか一項に記載のアンテナ装置。
【請求項18】
前記RFICチップは、それぞれ、前記アンテナ基板内に形成されたそれぞれのビアを介して、前記アンテナ素子のうちの1つ以上に結合されている、請求項1~17のいずれか一項に記載のアンテナ装置。
【請求項19】
前記複数のRFICチップの間に位置し、前記アンテナ基板の前記第2の面に取り付けられた少なくとも1つの誘電体基板上に形成されたビーム形成ネットワーク(BFN)を更に備える、請求項1~18のいずれか一項に記載のアンテナ装置。
【請求項20】
前記アンテナ基板は、
前記アンテナ素子に隣接する第1の層と、
前記RFICに近接する第2の層と、
前記第1の層と前記第2の層との間のアンテナグランド平面と、を備え、
前記第2の層は、前記複数のRFICチップを前記BFNに結合する伝送ラインを備える、請求項19に記載のアンテナ装置。
【請求項21】
前記アンテナ基板は、
前記アンテナ素子に隣接する第1の層と、
前記RFICチップに近接する第2の層と、
内部を通って横断する第1のビアのための開口部を有するアンテナグランド平面を形成する、前記第1の層と前記第2の層との間のパターン化された金属層であって、前記第1のビアが、前記RFICチップを前記アンテナ素子に接続する、パターン化された金属層と、
前記アンテナグランド平面を前記RFICチップに結合する前記第2の層内の複数の第2のビアと、を備える、請求項1~20のいずれか一項に記載のアンテナ装置。
【請求項22】
前記第2の層内に、前記アンテナ装置のためのビーム形成ネットワークを形成する別のパターン化された金属層を更に備える、請求項21に記載のアンテナ装置。
【請求項23】
前記アンテナ基板の前記第2の面に取り付けられ、前記RFICチップと共平面的に配置され、前記RFICチップに結合される複数のシリアルペリフェラルインターフェース(SPI)チップを更に備え、前記SPIチップは、前記半田支柱のうちの少なくとも1つを介して前記少なくとも1つの回路素子に結合されている、請求項1~22のいずれか一項に記載のアンテナ装置。
【請求項24】
電子デバイスの相互接続構造であって、
第1及び第2の対向する面を有する基板と、
前記基板の前記第1の面に配設された複数の第1の回路素子と、
対向する第1及び第2の面を有するプリント回路基板(PCB)と、
前記PCBを前記基板に固定し、それぞれが前記PCBと前記基板との間に電気的相互接続を提供する複数の導電性支柱と、
前記第1の回路素子に結合され、前記基板の前記第2の面に取り付けられた複数の集積回路(IC)チップと、
前記PCBの前記第1の面に取り付けられ、前記導電性支柱のうちの少なくとも1つを介して前記ICチップのうちの少なくとも1つに電気的に結合されている少なくとも1つの第2の回路素子と、を備える、相互接続構造。
【請求項25】
前記電気的相互接続は、高周波(RF)信号を通信するRF相互接続である、請求項24に記載の相互接続構造。
【請求項26】
前記電気的相互接続は、直流(DC)信号を通信するDC相互接続である、請求項24又は25に記載の相互接続構造。
【請求項27】
前記電気的相互接続は、データ制御信号を通信するデータ制御信号相互接続である、請求項24~26のいずれか一項に記載の相互接続構造。
【請求項28】
前記PCB及び前記基板は、異なる熱膨張係数(CTE)を有し、前記支柱が、偏向されるか、屈曲するか、又は圧縮されて、前記異なるCTEに起因する応力の緩和を提供する、請求項24~27のいずれか一項に記載の相互接続構造。
【請求項29】
前記ICチップのそれぞれは、複数の電気接続ジョイントを介して前記基板の前記第2の面に取り付けられた下面と、空隙によって前記PCBの前記第2の面から分離された上面と、を有する、請求項24~28のいずれか一項に記載の相互接続構造。
【請求項30】
電子デバイスの相互接続構造であって、
上面を有する基板と、
上面及び下面を有するプリント回路基板(PCB)と、
前記PCBの前記下面と前記基板の前記上面との間に取り付けられ、前記PCBを前記基板に固定し、前記PCBと前記基板との間に電気的相互接続を提供する複数の導電性支柱と、
前記基板の前記上面に取り付けられた複数の集積回路(IC)チップと、
前記PCBの前記上面及び前記下面のうちの少なくとも1つに取り付けられ、前記導電性支柱のうちの少なくとも1つを介して前記ICチップのうちの少なくとも1つに電気的に結合されている少なくとも1つの第2の回路素子と、を備える、相互接続構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、一般に、高周波集積回路チップ(RFIC)一体型アンテナアレイ用コンパクトアーキテクチャに関する。
【背景技術】
【0002】
アンテナアレイは、例えば、航空機、衛星、車両、及び汎用地上ベース通信用基地局において、マイクロ波及びミリ波の周波数における様々な用途に配備されている。このようなアンテナアレイは、典型的には、位相シフトビーム形成回路によって駆動されるマイクロストリップ放射素子を備え、ビーム操縦可能フェーズドアレイを生成する。典型的には、アンテナアレイ及びビーム形成回路を備えたアンテナシステム全体は、環境条件の範囲にわたって必要な性能メトリックを満たしながら、薄型で最小限のスペースを占めることが望ましい。
【0003】
薄型アンテナアレイ装置は、コンパクトな構造のRFIC(例えば、MMIC)と一体化したアンテナ素子で構成され得る。アンテナアレイ装置は、アンテナ素子が外装部品層に配設され、RFICがアンテナ素子層の後ろの近接平行部品層内の有効アンテナ開口全体に分散されている、サンドイッチ型構成を有してもよい。RFICは、送信動作用RFパワーアンプ(PA)、受信動作用低雑音アンプ(LNA)、及び/又はビーム操作用位相シフト器/振幅調整器を含んでもよい。このようにPA/LNAを分散することにより、送信時の高効率性及び/又は受信時の低ノイズ性能を実現することができる。複雑な接続レイアウトは、アンプにDCバイアス電圧を至らせ、位相シフト器にビーム操作用制御信号を至らせることができる。わずか数度の狭いビーム幅を生成する典型的なアンテナアレイ装置は、それぞれ数百又は数千個のRFICチップ、アンテナ素子、及び制御ラインを備える場合もある。このような複雑な配置は、広範囲の環境で好適に動作する薄型設計を製造するための設計上の課題を提示する。
【発明の概要】
【0004】
本開示の一態様では、アンテナ装置は、対向する第1及び第2の面を有するアンテナ基板と、対向する第1及び第2の面を有するプリント回路基板(PCB)とを備える。アンテナ基板の第1の面には、複数のアンテナ素子が配設されている。それぞれが、PCBの第2の面に取り付けられた第1の端部及びアンテナ基板の第2の面に取り付けられた第2の端部を有する複数の導電性支柱は、PCBをアンテナ基板に固定し、PCBとアンテナ基板との間に電気的相互接続を提供する。複数の高周波集積回路(RFIC)チップは、それぞれ、アンテナ基板の第2の面に取り付けられ、複数のアンテナ素子に結合されている。少なくとも1つの回路素子は、PCBの第1の面に取り付けられ、導電性支柱のうちの少なくとも1つを介してRFICチップのうちの少なくとも1つに電気的に結合されている。
【0005】
様々な例では、電気的相互接続は、RF信号を通信するRF相互接続、DC信号を通信するDC相互接続、又はデータ制御信号を通信するデータ制御信号相互接続とすることができる。PCB及びアンテナ基板は、異なる熱膨張係数(CTE)を有する可能性があり、支柱が、偏向されるか、屈曲するか、又は圧縮されて、異なるCTEによる応力の緩和を提供する。
【0006】
別の態様では、電子デバイスの相互接続構造は、上面を有する基板と、上面及び下面を有するPCBと、PCBの下面と基板の上面との間に取り付けられた複数の導電性支柱と、を備える。支柱は、PCBを基板に固定し、PCBと基板との間に電気的相互接続を提供する。基板の上面には複数のICチップが取り付けられている。少なくとも1つの回路素子は、PCBの上面及び下面のうちの少なくとも1つに取り付けられ、導電性支柱のうちの少なくとも1つを介してICチップのうちの少なくとも1つに電気的に結合されている。
【図面の簡単な説明】
【0007】
開示される技術の上記及び他の態様及び特徴は、同様の参照文字が同様の要素又は特徴を示す添付の図面と併せて、以下の詳細な説明からより明らかになるであろう。同一の又は類似の種類の様々な要素は、同一/類似の要素(例えば、_1、_2)の中で区別する下線/ダッシュ及び第2のラベルで参照ラベルを付加することによって、又は第2のラベルで参照ラベルを直接付加することによって区別され得る。しかしながら、所与の説明が第1の参照ラベルのみを使用する場合、このラベルは、第2のラベルに関係なく、同じ第1の参照ラベルを有する同一/類似の要素のうちのいずれか1つに適用可能である。要素及び特徴は、図面で縮尺どおりに描画されていない場合がある。
【0008】
【
図1】
図1は、一実施形態による例示的なアンテナ装置の分解斜視図である。
【
図2】
図2は、一実施形態による
図1のアンテナ装置の一部の例示的な断面図である。
【
図3A】
図3Aは、導電性支柱がアンテナ基板の第1の金属層に導電付着されている、
図2の領域「A」の例示的な相互接続構造を示す。
【
図3B】
図3Bは、導電性支柱がアンテナ基板の第2の金属層に導電付着されている、
図2Aの領域「A」の別の例示的な相互接続構造を示す。
【
図4】
図4は、導電性支柱がアンテナ基板の伝送ライン層に導電付着されている、
図2の領域「B」の例示的な相互接続構造を示す。
【
図5A】
図5Aは、別の実施形態による
図1のアンテナ装置の一部の例示的な断面図である。
【
図6】
図6は、
図5Aの線6-6に沿った例示的な図であり、アンテナ基板の表面に取り付けられたICチップ及びPCB部のレイアウトを示す。
【
図7】
図7は、更なる実施形態による
図1のアンテナ装置の一部の例示的な断面図である。
【
図8】
図8は、一実施形態によるアンテナ装置を製造する例示的な方法を示す流れ図である。
【
図9A】
図9Aは、アンテナ装置のアンテナ基板組立体あって、その上に導電性支柱が部分的に形成されたアンテナ基板組立体を示す。
【
図9B】
図9Bは、アンテナ基板組立体であって、その上に支柱が完全に形成されたアンテナ基板組立体を示す。
【
図9C】
図9Cは、アンテナ基板組立体であって、それに予備形成された支柱が取り付けられたアンテナ基板組立体を示す。
【発明を実施するための形態】
【0009】
説明の目的で本明細書に開示される技術の特定の例示的な実施形態の包括的な理解を支援するために、添付の図面を参照しながら以下の説明が提供される。説明は、当業者が技術を理解するのを助けるための様々な具体的な詳細を含むが、これらの詳細は、単なる例示と見なされるべきである。単純化及び明確化の目的で、周知の機能及び構造の説明は、それらの包含が、当業者による技術の理解を曖昧にする可能性がある場合には、省略される場合がある。
【0010】
図1は、一実施形態による例示的なアンテナ装置100の分解斜視図である。アンテナ装置100は、複数の導電性支柱122によってプリント回路基板(PCB)140に固定された板状アンテナ基板120を含むコンパクト配置を有する。複数のアンテナ素子125は、アンテナ基板120の第1の主面131(x-y平面内)に配設されている。複数の高周波集積回路(RFIC)チップ126は、それぞれ、アンテナ基板120の第2の反対側の主面139に取り付けられ、アンテナ素子125に結合されている。フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)142、DCコネクタ146、及び/又はRFコネクタ144などの少なくとも1つの回路素子は、PCB140の第1の主面149に取り付けられている。支柱122のそれぞれは、アンテナ基板120内の導電層を介して、PCB140に固定された回路素子とRFICチップ126との間に電気的相互接続を提供し得る。
【0011】
電気的相互接続を提供するために、支柱122のそれぞれは、アンテナ基板120の第2の面139に取り付けられた第1の端部151と、PCB140の第2の面141に取り付けられた第2の端部159とを有し得る。アンテナ基板120とPCB140とは、異なる熱膨張係数(CTE)を有する可能性がある。支柱122の構造及び材料は、アンテナ装置100(以下、交換可能に「アンテナ100」)がアンテナ基板120とPCB140との間のCTE不整合に対応することを可能にすることによって応力緩和を可能にするように設計され得る。この目的のために、支柱122構成は、電気接続を維持しながら、PCB及びアンテナ基板が温度にわたって異なる速度で膨張するにつれて、支柱が屈曲、圧縮、又は伸張することによって変形することを可能にする。これは、同じ応力にさらされた場合に破損する可能性のある半田ボールとは対照的である。例えば、支柱122はそれぞれ、固体円柱、異なる材料のらせん状表皮を有する固体円柱、バネ、可撓性固体構造、又は微小同軸ケーブル部などの形状で構成されてもよい。支柱122は、半田(例えば、Pb/Sn合金)又は他の導電性材料で構成され得る。一例では、支柱122は、熱伝導及び信頼性を向上させるために、Pb/Sn合金の内側円柱及び銅製螺旋巻付表皮を有するカラムグリッドアレイ(CGA)型支柱である。
図1では、説明の単純さのために、いくつかの支柱122、RFICチップ126、アンテナ素子125などのみが示されている。アンテナ100の典型的な実施形態では、アンテナ素子125、RFICチップ126、及び支柱122は、それぞれ数百又は数千個を数える場合がある。更に、複数のFGPA142、複数のDCコネクタ146、及び/又は複数のRFコネクタ144がアンテナ100に含まれ、PCB140に取り付けられてもよい。PCB140のアンテナ基板120への取り付けのための全体の機械的支持体は、支柱122によって提供され得る。
【0012】
例えば、支柱122は、半田の層に支柱を段階的に積み上げるプロセスによって、固体半田支柱として形成されてもよい。例示的なプロセスは、まず、アンテナ基板の第2の面139又はPCB140の第2の面141上の半田パッドに対して、全ての支柱122の最下層を形成し得る。最も低い層は、支柱から支柱へ順に移動するコンピュータ制御半田ツールを使用して順次形成され得る。プロセスは、層ごとに繰り返されて、全ての支柱122上で所望の高さに達するまで(z平面内で)支柱の高さを段階的に構築し得る。最後の半田層は、支柱122の他の層上の半田よりも低温の半田からなってもよい。例えば、支柱122がアンテナ基板120の表面から積み上げられる場合、最終的な付着ステップは、PCB140の第2の面141上の低温半田パッドを支柱122と位置合わせすることによって、支柱122の上にPCB140を配置することを含んでもよい。次いで、アンテナ組立体全体が、低温半田のみを溶融させるのに十分な温度で加熱されて、PCB140のアンテナ基板120への付着プロセスを完了し得る。
【0013】
例えば、PCB140は、その第1の面149に取り付けられた1つ以上のFPGA142、DCコネクタ146、及びRFコネクタ144を有してもよく、これらの回路素子は、122a、122b、及び122cなどの支柱を介してアンテナ基板120内に形成された信号ライン及び/又はグランドラインに電気的に接続し得る。アンテナ基板120は、その中に形成された複数の薄い金属層を有してもよく、これらは、DCバイアスライン、制御信号ライン、グランドライン、及びRF伝送ラインを形成するようにパターン化されてもよい。例えば、支柱122bは、DCコネクタ146をアンテナ基板120内のDCラインに結合してDC信号を通信するDC相互接続であってもよい。DC信号は、RFICチップ126内のアンプをバイアスしてもよい。支柱122cは、FPGA142をアンテナ基板120内の制御信号ラインに結合してデータ制御信号を通信するデータ制御信号相互接続であってもよい。データ制御信号は、RFICチップ126及び/又はシリアルペリフェラルインターフェース(SPI)チップ127などの他のICチップに提供されてもよい。SPIチップ127は、データ制御信号に基づいて位相シフト器制御信号を生成することができ、この信号は、複数のRFICチップ126に提供されて、その中で位相シフト器を調整し、それによってアンテナ100をフェーズドアレイとして動作させる。支柱122aは、RFコネクタ144を伝送ラインに結合してRF信号を通信するRF相互接続であってもよい。
【0014】
アンテナ100は、RFICチップ126の間に共平面上に配置され、アンテナ基板120の第2の面139に取り付けられた少なくとも1つのプリント回路基板(PCB)部128(以下、複数のPCB部128として例示される)上に部分的又は全体的に形成されたビーム形成ネットワーク(BFN)を含んでもよい。各PCB部128は、例えば、共面導波路(CPW)又はマイクロストリップにおいて、伝送ライン部を集合的に形成する、アルミナなどの誘電体基板、信号導体、及び少なくとも1つのグランド導体で構成されてもよい。単一のPCB部128ではなく、複数のPCB部128を提供することは、アンテナ100の製造を容易にし得る。BFNは、「統合ネットワーク」又は「分配ネットワーク」と呼ばれることもある合成器/分周器ネットワークであり、これは、アンテナアレイを形成するN個のアンテナ素子125によって送信するために入力RF送信信号をN個の分割された「素子信号」に分割する、及び/又はN個のアンテナ素子125によって提供されるN個の受信経路素子信号を最終的な複合受信信号に合成する。RFコネクタ144は、(送信の場合)BFNの入力及び/又は(受信の場合)BFNの出力に電気的に接続し得る。別の実施形態では、PCB部128は省略され、BFNはその代わりとしてアンテナ基板120の層内に形成される。BFNをRFコネクタ144に接続する異なる方法については、後述する。
【0015】
アンテナ素子125はそれぞれ、アンテナ基板120上にプリントされたマイクロストリップパッチアンテナ素子であって平面アレイを形成してもよい。双極子又はモノポールなどの他の種類のアンテナ素子に置き換えられてもよい。アンテナ素子125は、それぞれの供給点でRFICチップ126に電気的又は電磁的に結合(「から給電」)されてもよい。RFICチップ126は、アンテナ基板25上に位置する接続パッドへの半田バンプ接続などによってアンテナ基板25に機械的に接続されてもよい。RFICチップ126はまた、以下で説明される「単一RF層基板」の場合に、面139の近位下のアンテナグランド平面に機械的及び電気的に接続されてもよい。典型的な実施形態では、各RFICチップ126は、複数の(例えば、いくつかの)アンテナ素子125に結合され、RFICチップ126は、アンテナ素子125によって形成された平面アレイの実質的に全有効開口に分散されている。
【0016】
アンテナ素子125は、マイクロストリップパッチとして具体化される場合、円形、正方形、長方形、楕円形又はそれらの変形などの任意の好適な形状を有してもよく、所望の分極、例えば、円形、線形、又は楕円形、を達成するのに十分な方法で給電され、構成されてもよい。アンテナ素子125の数、それらの種類、サイズ、形状、素子間の間隔、及びそれらが給電される方法は、目標性能メトリックを達成するための設計によって変化し得る。典型的な実施形態では、アンテナ100は、数百又は数千個のアンテナ素子125を備え得る。以下に記載される実施形態では、各アンテナ素子125は、プローブ給電で給電されるマイクロストリップパッチである。プローブ給電は、RFICチップ126の入出力(I/O)パッドに電気的に接続するビアとして実装され得る。I/Oパッドは、信号がRFICチップ126に入る又はそこから出ることを可能にするインターフェースである。他の例では、ビアの代わりに電磁給電メカニズムが使用され、各アンテナ素子125は、近接電界エネルギーでそれぞれの給電点から励起される。
【0017】
アンテナ100は、一般に、30GHz~300GHzの範囲内の帯域として定義される、ミリメートル(mm)の波動周波数帯域にわたって動作するように構成されてもよい。他の例では、アンテナ100は、約1GHz~30GHzのマイクロ波範囲、又は1GHz未満のサブマイクロ波範囲で動作する。ここで、高周波(RF)信号は、1GHz未満~300GHzまであたりの周波数の信号を示す。マイクロ波又はミリ波の周波数で動作するように構成されたRFICチップは、モノリシックマイクロ波集積回路(MMIC)と呼ばれることが多いことに留意されたい。MMICは、典型的には、III-V族半導体材料又はシリコン-ゲルマニウム(SiGe)などの他の材料からなる。
【0018】
各RFICチップ126は、アクティブビーム形成回路、例えば、接続されたアンテナ素子125と通信される1つ以上の信号を調整するために使用されるアンプ及び/又は位相シフト器を備えてもよい。RFICチップ126が動的に制御される位相シフト器を含む実施形態では、アンテナ100は、送信及び/又は受信動作のためのフェーズドアレイとして動作可能である。フェーズドアレイの実施形態では、アンテナ100によって形成されたビームは、主に位相シフト器の位相シフトに従って設定された所望のビーム指向角に操作される。ビームパターンを調整するために、RFICチップ126内の追加の振幅調整が更に含まれる場合もある。RFフロントエンドアンプ及び/又は位相シフト器がアンテナアレイの有効開口全体に分散されている場合、アンテナ100は、アクティブアンテナアレイと称されてもよい。いくつかの実施形態では、アンテナ100は、送信アンテナシステムと受信アンテナシステムとの両方として動作し、各RFICチップ126は、受信信号を増幅するための少なくとも1つの低雑音アンプ(LNA)と、送信信号を増幅するための少なくとも1つのパワーアンプ(PA)とを備える受信回路を備える。この場合、各RFICチップ126は、共有リソース上の双方向信号フローを可能にする好適な送受信(T/R)スイッチング/フィルタリング回路を備えてもよい。アンテナ100は、代替的に、受信アンテナシステムとしてのみ、又は送信アンテナシステムとしてのみ動作するように構成され、この場合、各RFICチップ126は、LNAを備えるがPAは備えない、又はその逆であってもよい。
【0019】
図2は、一実施形態による、組み立てられた状態の
図1のアンテナ100の一部の断面図である。断面図は、
図1に示されたアンテナ100の直線でない断面を表し、明確にするために図のいくつかの末梢的な特徴は省略されている。この例では、アンテナ基板120は、第1の層121a及び第2の層121bからなる「デュアルRF層」構成で構成されている。領域「A」(後述するが、
図2には示されていない)のような第2の面139におけるアンテナ基板120の最上層は、DC信号ルーティング及び/又は制御信号ルーティングのための1つ以上の薄い金属層を備えてもよい。
【0020】
層121aは、第1の誘電体層227aと、アンテナ素子125によって送信/受信される信号エネルギーを反射するためのアンテナグランド平面として機能する金属層250とを備えてもよい。平面アレイを形成するアンテナ素子125は、アンテナ基板120の第1の面131(誘電体層227aの下面)に配設されている。各アンテナ素子125は、プローブ給電の信号導体として機能する第1のビア210を介してそれぞれのRFICチップ126に結合されてもよい。第1のビア210は、グランド平面250内の開口部234を横断している。第1のビア210の対向する側の第2のビア211は、プローブ給電のグランド導体として機能し、RFICチップ126のそれぞれのグランド接点とグランド平面250との間の電気的接続を行う。第2の層121bは、第2の誘電体層227bと、様々な接続点の間にRF伝送ライン導体を形成するようにパターン化された別の金属層240とを含む。誘電体層227a、227bは、溶融シリカなどの任意の好適な誘電体からなってもよい。金属層240と、RFICチップ126、PCB部128、ICチップ127、及びRF接続を行う任意の支柱122上の接続点(例えば、I/Oパッド)との間の接続は、それぞれのショートビア243及び半田ボール又は銅ピラーなどの電気接続ジョイント230を介して行われてもよい。例えば、第2の金属層240の第1の部分240aは、RFICチップ126のI/Oパッド215をPCB部128の接続点に結合する伝送ライン導体である。第2の部分240bは、以下に説明する「信号支柱」122a2の接続点にPCB部128の別の接続点を結合する伝送ライン導体である。
【0021】
支柱122は、それぞれ、アンテナ基板120に取り付けられた部品126~128のいずれか1つの厚さよりも高い高さを有してもよい。したがって、部品128の上面とPCB140との間に空隙が存在してもよい。上述のように、各支柱122を形成する1つの方法は、支柱から支柱へ順に、一度に1層ずつ半田などの液化金属を積み上げることによる。各支柱は、アンテナ基板120の第2の面139上のそれぞれの接続パッドと位置合わせされ得る。代替プロセスは、予備形成された導電性支柱を使用し、ロボットツールなどを使用して予備形成された支柱の底面及び上面を、それぞれ面139及び141の接続パッドに導電付着してもよい。予備形成された支柱122のいくつかの例は、固体円柱、銅巻付表皮を有する固体円柱(「銅巻付支柱」)、バネ、及び微小同軸ケーブルを含む。前述のように、支柱122の構造及び材料は、アンテナ基板120とPCB140との間のCTE不整合に対応することによって応力緩和を可能にするのに十分であり得る。PCB140とアンテナ基板120とが温度にわたって異なる速度で膨張するにつれて、支柱122構成は、機械的接続及び電気的接続を維持しながら、屈曲、圧縮、又は延伸することによって破損を防止し得る。例えば、銅巻付支柱は、ひびが入っていても電気的接続を依然として維持することができる。
【0022】
PCB140内に形成されたビア220は、上面149の導電性ラインをそれぞれの支柱122の上端部159に結合し得る。例えば、ビア220は、上面149の導電性ライン261を介して支柱122cをFPGA142の接続点に電気的に結合する。他の例では、ビア220は、レイアウトが許せば、FPGA142の接続点に直接接続してもよい。支柱122cの底端部151は、誘電体層120b内の導電ライン(例えば、後述の
図3Aの層266の一部)及び導電性ジョイント230を介してRFICチップ126のI/Oパッドに結合される。支柱122cが制御信号をルーティングするために指定されている場合、RFICチップ126のグランド接続点へのその下面における制御信号のグランド接続経路は、同様に、FPGA142のグランド接続点に結合された別のビア220(それの真下又は面149の別の導電性ラインを介して)と、別の支柱122と、誘電体層120b内の別の導電体と、別の導電性ジョイント230とから構成されてもよい。
【0023】
同様に、DCコネクタ146は、DCコネクタ146の下面の電気接点から、面149の信号導体263、ビア220、支柱122b、誘電体層227b内の第1の金属層、及びRFICチップ126のI/Oパッドに接続された導電性ジョイント230を含む経路を介して、RFICチップ126に正又は負の電圧を提供し得る。別の支柱122及び誘電体層227b内の第2の金属層を通る同様の経路は、DCコネクタ146のグランド接点とRFICチップ126との間のDC電圧のグランド接続を提供し得る。
【0024】
RFコネクタ144は、PCB部128内のBFNのRF入力ポート及び/又は出力ポートに電気的に結合された同軸又は他の種類のコネクタであってもよい。例えば、グランド-信号-グランド(GSG)遷移(「GSG相互接続」)260が、結合経路で使用されてもよく、信号支柱122a2、信号支柱122a2の一方側の第1の「グランド支柱」122a1、及び信号支柱122a2の反対側の第2のグランド支柱122a3を含んでもよい。これらの支柱は、それらの上端部で、それぞれ、PCB140を通って形成された、第1のグランドビア223a1、信号ビア223a2、及び第2のグランドビア223a3に接続し得る。RFコネクタ144は、信号ビア223a2に接続された内側導体と、第1のグランドビア223a1に一方側で接続され、信号ビア223a3に反対側で接続された外側導体とを含んでもよい。他の実施形態では、1つのグランド支柱のみを利用する「GS」スキーム、又は3つ以上のグランド支柱を有するスキームなどの他の接続構造に置き換えられてもよいことに留意されたい。
【0025】
信号支柱122a3は、アンテナ基板120内の再分配層(RDL)相互接続を介して、PCB部128内のBFNのRF入力点及び/又は出力点に結合されてもよい。この相互接続は、信号支柱122a3の下端部に接続されたビア243(
図4に見られる)、伝送ライン導体240bの一方の端部、導体240bの反対側の端部にある別のビア243、及び後者をPCB部128に接続する接続ジョイント230を含む接続経路を含み得る。グランド支柱122a1及び122a2は、誘電体層120b内のマイクロストリップグランド層又は金属層240内に形成されたCPWグランド導体に接続し得る。
【0026】
図3Aは、
図2における領域「A」の例示的な相互接続構造を示す。この例では、アンテナ基板120の上部構造は、ポリマ、例えば、ベンゾシクロブテン(BCB)などの第1の絶縁層262を含み、その上面は、アンテナ基板120の上面139を形成する。第1の金属層266(「第1の導電性トレース層」)は、第1の絶縁層262の真下にあり、DC信号及び/又は制御信号のグランド導体を形成するため、又はDC/制御信号の信号導体を形成するために指定され得る。第2の金属層270(「第2の導電性トレース層」)は、第1のグランド層266の下にあり、第2の絶縁層268によってそこから分離されている。第1の金属層266がDC/制御信号のグランド導体に指定されている場合、第2の金属層は、これらの信号の信号導体を形成するために指定されてもよく、逆もまた同様である。伝送ライン導体に使用される金属層240aは、誘電体層227bの上部(第2の金属層270の真下)と、誘電体層227bの下部との間に位置している。
【0027】
図3Aの例では、支柱122bは、支柱122bの直径よりわずかに大きい絶縁層262の開口部を介して第1の層266に電気的に接続されている。電気接続ジョイントの形成を容易にするために、無電解パラジウム浸漬金(ENEPIG)又はニッケル/金合金などの表面仕上げ金属層265が、絶縁層262の開口部内に形成されていてもよい。層265は、金属層266の上のベース部、開口部の外周の周辺壁部、及び面139の上の環状リング領域を有して、キャビティを形成するように堆積されておいてもよい。半田又は他の液化可能金属264のウェルは、キャビティを充填し、表面仕上げ層265と支柱122bの下端部との両方に付着して、支柱122bとアンテナ基板120との間の機械的接続及びその中の金属層266への電気的接続を形成し得る。他の実施形態では、表面仕上げ金属層265は省略される。
【0028】
金属層266及び270並びに絶縁層262及び268のそれぞれは、基板120の厚さよりも少なくとも1桁薄くてもよい。例えば、これらの層のそれぞれは、2~10μmオーダの厚さを有してもよく、一方、基板120は、250μmオーダの厚さであってもよい。金属層266及び268は、それぞれ、12μmのオーダの幅を有し、12μmオーダの間隔で互いに離間している、x-y平面内の信号/グランドラインを形成し得る。層266及び268のそれぞれは、アンテナ100の典型的な実施形態において、数百又は数千個の信号ライン及びグランドラインを形成するようにエッチング、あるいはパターン化されておいてもよい。
【0029】
図3Bは、
図2における領域「A」の別の例示的な相互接続構造を示す。この例では、支柱122bは、第1の絶縁層262、第1の金属層266及び第2の絶縁層268の開口部を介して第2の金属層270に電気的に接続されている。これらの層の開口部は、それぞれの層の堆積中に異なる幾何学形状のレジスト材料を層ごとに位置合わせすることによって形成されておいてもよい。支柱122bが第1の金属層266に短絡するのを防ぐために、第1の金属層266は、第1及び第2の絶縁層268及び262のものよりも大きな開口部を有する堆積パターニングによって形成されてもよい。環状絶縁領域287は、第1の金属層266を、支柱122bと第2の金属層270との間の後に続く電気接続から絶縁するために、金属層266の深さで形成されておいてもよい。表面仕上げ層265に類似する表面仕上げ層285は、電気めっきなどを用いて形成されておいてもよい。表面仕上げ層285は、第2の金属層270上のベース部、それぞれの開口部内の絶縁層262、266及び268の縁部に対する環状壁部、並びに上面139上のリム部を有してもよい。これは、半田又は他の液化可能金属284で充填することができる金属裏打ちキャビティとなる。支柱122bの下端部がキャビティ内に配置されている間に半田284が冷却されると、半田284は、支柱122bを、表面仕上げ層285を介して第2の層270に電気的に接続する。他の実施形態では、表面仕上げ層285は省略される。
【0030】
図4は、
図2の領域「B」の例示的な相互接続構造を示しており、信号支柱122a2は、アンテナ基板120内のビア243を介して伝送ライン導体240bに導電付着されている。ビア243は、その上端部を金属層270内に形成されたディスク状キャッチパッド270aに接続することができる。例えば、金属層270は、ビア243を形成する前に、誘電体層227bの上に形成されておいてもよい。金属層270を形成する場合、キャッチパッド270aは、リング状レジスト材料をビア243の円形領域(後で形成される)と同心円状に位置合わせすることによって形成されておいてもよい。次いで、金属層270が堆積されておいてもよく、これはキャッチパッド270aの周りのリング状開口部となる。ビア243は、キャッチパッド270aを介して次に形成されておいてもよい。絶縁材料は、キャッチパッド270aの周りの開口部内に環状絶縁領域289を形成する後続のステップで堆積されておいてもよく、それによって、金属層270の残りの材料をビア243から絶縁する。キャッチパッド270aと支柱122a2の下端部との間の相互接続構造は、支柱122bへの接続について
図3Bに関連して説明したものと同じであってもよい。すなわち、相互接続構造は、キャッチパッド270aの上部にベース部、環状壁部、及びリム部を有する表面金属層285を備えてもよく、上述のように液化可能金属284で充填されたキャビティを形成する。
【0031】
送電線導体240bは、例えば、マイクロストリップ導体、コ共面導波路(CPW)導体、又はストリップライン導体であってもよい。送電線導体240bがCPW導体として構成される場合、グランド支柱122a1及び122a3は、
図4に説明されたのと同じ方法で、層部分240bの対向する側にある伝送ライン層240の他のそれぞれの部分に導電付着されてもよい。マイクロストリップの場合、マイクロストリップのためのグランド平面は、導体240b上に重なる第2の金属層268の領域とすることができる。この場合、グランド支柱122a1及び122a3は、それぞれ、
図3Bについて上述したのと同じ方法で第2の金属層270に導電付着されてもよい。あるいは、第1の金属層266の領域は、(第2の金属層270の対応する領域を除去することによって)グランド平面として使用されてもよく、この場合、グランド支柱122a1及び122a3は、
図3Aについて説明したのと同じ方法で第1の金属層266に導電付着されてもよい。ストリップラインの場合、追加の金属層は、層240bの下に提供され、第1又は第2の金属層266、270によって提供されるグランド平面に電気的に接続されるであろう。
【0032】
図5Aは、別の実施形態による
図1のアンテナ装置の一部の例示的な断面図である。(
図5Aの図は、
図2のものとは異なるアンテナ100の直線でないスライスを表す)。この実施形態は、アンテナグランド平面550がその上面139に近接するアンテナ基板120a内に位置する「単一RF層」アンテナ基板120a(
図1のアンテナ基板120の別の実施形態)を採用する。なお、
図5Aの断面図は、RFコネクタ144とアンテナ基板120aとの間でビア223a2を介して電気的に結合された信号支柱122a2を示している。この図では、信号支柱122a2の後方及び前方(又はその逆)にそれぞれあるため、第1及び第2のグランド支柱122a1及び122a3は見えないと仮定することができる。
【0033】
図5Bは、
図5Aの領域Cの例示的な構造の断面図である。アンテナ基板120aは、誘電体層527及び基板120aの上部の交互金属層/絶縁層からなってもよい。これらは、誘電体層527の真上にあるアンテナグランド平面550を備えてもよく、この層から上面139に向かって順に絶縁層540、第2の金属層270、絶縁層268、第1の金属層266、及び最上部絶縁層262が続いている。
【0034】
信号支柱122a2は、
図3Aに関連して上記で説明されたものに類似する、半田ウェル264及び表面仕上げ金属層265を通って金属層266内に形成された導電性トレース266aの第1の端部に導電付着してもよい。導電性トレース266aは、導電性トレース266aを取り囲むリング状絶縁領域595aによって、第1の金属層266の隣接部分から絶縁され得る。電気的相互接続は、導電性トレース266aの第2の反対側の端部と、PCB部128の上面にあるCPW又はマイクロストリップ信号導体604との間に形成され得る。この相互接続は、PCB部128内に形成されたビア593、電気接続ジョイント230、及び導電性トレース266aの第2の端部に形成された表面仕上げ金属層585を含み得る。絶縁層262の絶縁部262aは、表面仕上げ金属層265の壁部を支持するように形成されておいてもよい。代替的に、部分265aは、導電層部、例えば、追加の表面仕上げ金属層材料で置き換えられる。
【0035】
PCB部128がCPW伝送ラインとして構成される場合、信号導体604の対向する側の第1及び第2のグランド導体は、それぞれ、
図5Bと同様の構成を使用して、グランド支柱122a1及び122a3の下端部に接続してもよい。この場合、それぞれの接続は、導電性トレース266aの対向する側の金属層266に形成され、導電性トレース266aから絶縁された第1及び第2の追加の導電性トレース(「グランドトレース」)を介して行われ得る。換言すれば、第1及び第2のグランドトレースは、導電性トレース266aと併せて、CPW伝送ラインの相互接続部を形成する。代替的に、グランド接続は、信号導体接続に使用される金属層(例えば、266)とは異なる基板120a内の金属層で行われる。
【0036】
PCB部128がマイクロストリップ伝送ラインとして構成される場合、信号ライン604から信号支柱122bへの接続は、同様の導電性トレース266aを介して、
図5Bと同様に行われてもよい。この場合、マイクロストリップグランド平面は、PCB部128の下面に存在してもよく、ビア593の下端部は、マイクロストリップグランド平面の開口部を通過してもよい。更に、第1及び第2のグランドトレースは、導電性トレース266aの対向する側に延在してもよく、それぞれ、一方の端部でマイクロストリップグランド平面のそれぞれの接続点に接続され、反対側の端部でそれぞれ、グランド支柱122a1又は122a3に接続されてもよい。
【0037】
ここで、
図5Bに示されるものと同様の相互接続は、RFICチップ126の下面のI/Oパッドと第1の金属層266との間で行われてもよいことに留意されたい。(相互接続は、表面仕上げ金属層585で裏打ちされたキャビティ内に導電性ジョイント230を含んでもよい)。RFICチップ126の任意のI/Oパッドを第2の金属層270の信号ラインに接続するために、開口部は、第1の金属層266及び第2の絶縁層268のそれぞれの範囲内に形成されている。これらの開口部の周面は、第2の金属層270に延びる表面仕上げ金属層585で裏打ちされてキャビティを形成してもよい。キャビティは、液化可能な金属で充填され、
図3Bの導電性ウェル284に類似する導電性ウェルを形成してもよい。導電性ウェルは、RFICチップ126のI/Oパッドの下端部に接続してもよい。
【0038】
アンテナグランド平面550は、RFICチップ126及び/又はPCB部128の下面のマイクロストリップグランド平面に電気的に接続されてもよい。この接続のための相互接続は、少なくとも1つの電気接続ジョイント230と、アンテナグランド平面550に延在するアンテナ基板120a内の半田ウェルなどとを含んでもよい。そのような半田ウェルは、上記の
図3Bの半田ウェル284に類似する上部と、第2の金属層270の絶縁された開口部を通って延在し、グランド平面550に接続する下部とを有してもよい。
【0039】
図6は、
図5Aの線6ー6に沿う例示的な図である。この図は、アンテナ基板120aの上面139に向かって見下ろすICチップ及びPCB部の例示的なレイアウトを示す。導電性支柱122(支柱122a、122b、122cなどを含む)は、レイアウトの周辺領域と内部領域との両方に分散されてもよい。行及び列に均一に配置された16個のRFICチップ126_1~126_16、RFICチップ126の一対の隣接する行の間に直線的に配置された8個のシリアルペリフェラルインターフェース(SPI)チップ127_a~127_8、及びBFNの少なくとも一部が形成される5個のPCB部128_a~128_5を示す例を提示する。PCB部128は、その上面にBFNの信号導体620を備え、これは、第1の金属層266内に形成されたRDL相互接続266bを介してRFICチップ126内のそれぞれの信号導体613に、又は第2の金属層270内に形成された相互接続部に電気的に接続されてもよい。(RDL相互接続266bは、第1の絶縁層262を介して
図6の図において目に見えると仮定することができる)。PCB部128がCPWとして実装される場合、630a、630b、630cなどのCPWグランド導体は、信号導体620の対向する側に存在する。これらのグランド導体630a~630cは、それぞれ、信号導体613の対向する側のRDL相互接続を介して、RFICチップ126のCPWグランド導体(図示せず)に電気的に接続されてもよい。マイクロストリップの場合、マイクロストリップグランド平面は、一緒に好適に接続されたPCB部128及びRFICチップ126の下面に存在してもよい。ここで、
図6に示すような類似のレイアウトを
図2の実施形態に実装してもよいが、この場合、信号導体613と620との間の電気接続は、アンテナ基板120内の伝送ライン層(金属層240)を介して行われてもよいことに留意されたい。
【0040】
PCB部128内のBFNは、アンテナ100の送信方向で、信号支柱122a2、グランド支柱122a1、及びグランド支柱122a3によって形成されるGSG遷移660を介してRFコネクタ144から入力RF信号を受信してもよい。BFNは、アンテナ基板120a又は120内のRDL接続を介してGSG遷移660に電気的に接続されたI/Oポートを有する2:1 I/Oカプラ604を含んでもよい(例えば、前述のように、第1及び/又は第2の金属層266、270内の導電性トレースを通して)。I/Oカプラ604は、606及び608などのBFNの他のカプラと併せて、入力RF信号を、RFICチップ126_1~126_16にそれぞれ提供される16個の分割送信信号に分割することができる。受信方向において、RFICチップ126_1~126_16から出力されるRF受信信号は、BFNによって合成されてもよく、合成された受信信号は、GSG遷移660を介してRFコネクタ144に出力される。BFNカプラ604、606などのいくつかの例は、ウィルキンソンディバイダ(例えば、分割された出力ラインの間にプリントされた抵抗器を有する)と、ハイブリッドリング(「ラットレース」)カプラと、及び90°分岐ラインカプラとを含む。他のレイアウトの例では、Kが16以外である伝送ライン部128内に1:K分周器/合成器を形成するために、より大きい又はより小さい数の2:1カプラ及び/又はM:1カプラ(M>2)が提供される。
【0041】
各RFICチップ126は、少なくとも1つのアンプ655及び少なくとも1つの位相シフト器657などのアクティブRFフロントエンド部品を備えてもよい。RFICチップ126に結合されたアンテナ素子125は、RFICチップ126の上にほぼ重なり得る。例えば、RFICチップ126_1は、4つのアンテナ素子125の上に重なることが示されており、これらのアンテナ素子のそれぞれは、1つのアンプ655及び1つの位相シフト器657を含むそれぞれの信号経路に接続されてもよく、これは、そのアンテナ素子125を横断する信号の振幅及び位相を個別に制御する。(説明を明確にするために、1つのアンプ655及び1つの位相シフト器657は、RFICチップ126_9及び126_16にのみ示されている。例えば、4つのアンテナ素子125が各RFICチップ126に結合されている場合、各RFICチップ126は、4つのアンプ655及び4つの位相シフト器657を含んでもよい)。
【0042】
DCコネクタ146及びFGPA142から生じるDC電圧及び制御電圧は、金属層266及び270に形成された導体を介して、支柱122を介してRFICチップ126及びSPIチップ127にルーティングされてもよい。DC電圧は、アンプ655をバイアスしてもよく、及び/又はRFICチップ126及びSPIチップ127内の他の回路によって使用されてもよい。例えば、DCコネクタ146からのDCバイアス電圧は、支柱122b2上で運ばれ、RFICチップ126_9内のアンプ655に、導電性ライン270_3及びRFICチップ126_9の下面のI/Oコンタクトパッドを介してルーティングされてもよい。DCバイアス電圧をDCコネクタ146に戻すためのグランド戻りは、導電性ライン266_3及び支柱122b1を含んでもよい。
【0043】
同様の方法で、制御信号は、FGPA142からSPIチップ127及び/又はRFICチップ126に支柱122cを介してルーティングされてもよい。例えば、ビーム操作のための位相/振幅制御信号は、FGPA142によって生成され、SPIチップ127にルーティングされてもよい。一例として、FGPA142によって生成された制御信号は、支柱122c1及び122c2間に印加されてもよい。制御信号は、それぞれ支柱122c1及び122c2に接続された導電性ライン270_1及び266_1間のSPIチップ127_1にルーティングされてもよい。制御信号に基づいて、SPIチップ127_1は、位相シフト器制御電圧を生成し、導電性ライン270_2を介して位相シフト器657にそれを印加して、その位相シフト器657に結合されたアンテナ素子125を横断する信号の位相シフトを動的に設定してもよい。一例では、支柱122c2は、FGPA142のグランド接点、SPIチップ127_1のグランド接点(導電性ライン266_1を介して)、及びRFICチップ126_9のグランド接点(導電性ライン266_2を介して)のそれぞれへの電気的接続を介して、様々な制御信号のグランド戻り経路を提供してもよい。
【0044】
ここで、BFNは、PCB部128上に部分的に形成されてもよく、RFICチップ126上に部分的に形成されてもよいことに留意されたい。BFNは、GSG遷移660とアンプ素子125の給電点との間の信号経路及び分周器/合成器回路と見なされてもよい。したがって、例えば、各RFICチップ126が図示のようにN>1個のアンテナ素子125に給電する場合、各RFICチップ126内にN:1合成器/分周器692(
図6の例ではN=4)が存在してもよい。N:1合成器/分周器692は、RFIC126の入力点613と、それぞれがそれぞれのアンテナ素子125に結合されたN個のそれぞれのアンプ655及び/又は位相シフト器657のN個の入力との間に配置されてもよい。N:1合成器/分周器692は、BFNの「初期段階」と見なされてもよく、一方、カプラ608、606などからなるBFN部は、BFNの「後期段階」と見なされてもよい。
【0045】
図6の例示的なレイアウトでは、隣接するPCB部128の信号導体620は、ワイヤボンド503によって互いに接続されてもよい。CPW伝送ラインでは、信号導体620の対向する側の630a及び630cに類似する一対のグランド導体は、同様に、それぞれのワイヤボンド503を介して、隣接するPCB部128内の対応するグランド導体に接続されてもよい。代替の実施形態では、共通の誘電体基板が、PCB部128_1~128_5の全てに使用され、ワイヤボンド503は省略される。
【0046】
別の実施形態では、隣接するPCB部128間の直接接続は、異なるPCB部128間のRFICチップ126を介してBFN信号経路を接続することによって回避される。
【0047】
図7は、別の実施形態による
図1のアンテナ100の一部の例示的な断面図である。この例では、ビーム形成ネットワーク(BFN)は、PCB部128内ではなく、アンテナ基板120b内に形成され、PCB部128は省略される。本実施形態は、
図2の実施形態で上述したものと同様に、アンテナ基板120bにデュアルRF層構造を採用している。例えば、RFコネクタ144は、支柱122a1、122a2、及び122a3からなるGSG遷移760を介して、金属層240によって形成されたCPW伝送ラインに結合されてもよい。あるいは、金属層240がマイクロストリップ信号導体を形成するために使用される場合、グランド支柱122a1及び122a3は、アンテナ基板120b内のマイクロストリップグランドとして機能する別の金属層に導電的に付着されてもよい。
【0048】
GSG遷移760は、
図6のI/Oカプラ604に類似するI/O RFカプラ604aに近接する位置に配置されてもよい。金属層240は、一例における
図6のものと同様のレイアウトを有するBFNを形成するようにパターン化されてもよい。この場合、BFNの1つの信号経路は、RF送信信号を、RFICチップ126_13及び126_14に印加される2つの分割信号に分割する2:1方向カプラ608a(カプラ608に類似する)につながってもよい。RFICチップ226から方向性カプラを通ってGSG遷移760への相互信号フローは、受信アンテナシステムに対して発生し得る。この構成の他の態様は、
図2に関連して説明されたものと同じであってもよい。
【0049】
図8は、アンテナ装置100を製造する例示的な方法を説明する流れ図である。プロセスステップ820は、上面149及び/又は下面141(例えば、
図2を参照)上に信号導体261を有するPCB組立体140を形成することを含んでもよく、チップ/コネクタ(例えば、142、144、146)は、上面149及びPCB140の基板を通るビア220に取り付けられている。ビアは、チップ/コネクタを下面141で接触パッドに電気的に結合するように形成される。
【0050】
別のプロセスステップS840は、アンテナ基板120の下面131上のアンテナ素子125と、アンテナ基板120内のグランド平面(例えば、250、550)と、アンテナ素子125をRFICチップ126に結合するための第1のビア210と、GSG遷移(隣接する支柱122a1、122a2、122a3によって形成される)を接続するための位置の第2のビア243及び/又はアンテナ基板120内の伝送ライン導体にRFICチップ126を接続するための第2のビア243と、アンテナ基板120の上面139に取り付けられたRFICチップ126及び他のチップ127と、上面139に取り付けられたPCB部128(使用される場合)と、を備えるアンテナ基板組立体を形成することを含んでもよい。
【0051】
PCB組立体及びアンテナ基板組立体が別々に形成された状態で、支柱122が形成され、アンテナ組立体の上面又はPCB組立体の下面のいずれかに一端部で取り付けられてもよい(S860)。このプロセスの一例の技術は、アンテナ基板120の上面139から、又はPCB組立体の下面から、支柱を段階的に積み上げることを含む。各支柱122の1つの層は、支柱から支柱へ順次移動し、少量の半田を堆積して各支柱を段階的に積み上げるコンピュータ制御半田ツールを使用して一度に形成されてもよい。
図9Aは、例えば、支柱122b、122cなどの下部がアンテナ基板120の上面139に形成されている中間組立体構造を示す。プロセスは、層ごとに繰り返されて、全ての支柱122上で所望の高さに達するまで、支柱の高さを段階的に構築してもよい。ほぼ完成した支柱122の開放端部に低温半田が塗布されてもよい(S880)。例えば、
図9Bに示されるように、完成した支柱122は、それぞれ、高温半田からなる大部分931と、低温半田からなる端部935とを有してもよい。代替的に又は追加的に、低温半田パッドは、支柱122と位置合わせされた位置でPCB140の下面に形成されている。
【0052】
プロセスS860の代替の実装は、予備形成された支柱122をアンテナ基板120又はPCB140に導電付着することを含む。例えば、
図9Cは、アンテナ基板組立体に取り付けられたバネの形状の予備形成された支柱122を有するアンテナ基板組立体を示す。バネの下端部は、高温半田でアンテナ基板120の表面139に取り付けられてもよい。低温半田935は、バネの下端部が取り付けられた後、上端部に塗布されてもよい。前述のように、予備形成された支柱122は、より良好な熱伝導及び信頼性のために、固体Pb/Sn合金内部円柱及び銅製螺旋巻付表皮などの他の構成を有してもよい。高温半田及び低温半田は、同一又は同様の方法でこれらの他の支柱構成の両端に塗布されてもよい。
【0053】
なお、アンテナ基板又はPCB上に支柱を形成する/取り付ける処理ステップS860は、支柱が最初に取り付けられるアンテナ基板又はPCB上にICチップ/コネクタを取り付ける前に行われてもよい。
【0054】
したがって、支柱122がアンテナ組立体又はPCB組立体の一端部に導電付着され、PCB組立体又はアンテナ組立体が支柱122の開放端部に対して配置された状態で、次いで、組立体全体が、低温半田のみを溶融させるのに十分な低温で加熱されてもよい(S890)。低温半田が冷却されると、支柱122の以前の開放端部は、PCB又はアンテナ組立体の導電性接点に導電付着される。
【0055】
上記実施形態が、アンテナ装置100の文脈において説明されてきた。本明細書における技術の他の実装は、非アンテナ用途に適用されてもよい。例えば、他の電子デバイスでは、アンテナ素子125は、ICチップなどの少なくとも1つの他の種類の第1の回路素子で置き換えられる。RFICチップ126は、基板120を通って延在するビア210を介して第1のICチップに電気的に結合される他の種類の第2のICチップで置き換えられてもよい。電子デバイスの導電性支柱122は、同じ方法で基板120内の少なくとも1つの上部金属層に接続して、DC相互接続、制御信号相互接続、及び/又はRF信号相互接続を提供してもよい。支柱相互接続体は、PCB140の上面に取り付けられた第3のICチップ/コネクタ/部品を、基板120の上面139に取り付けられた第2のICチップに接続してもよい。得られる電子デバイスは、コンパクト三次元積層構造で形成される。更に、電子デバイスの基板120及びPCB140が異なる熱膨張係数(CTE)を有する場合、上述のように基板120とPCB140との間の応力緩和を可能にすることの同じ利点が電子デバイスに適用可能である。すなわち、支柱122の構造及び材料は、基板120とPCB140との間のCTE不整合に対応することによって応力緩和を可能にするのに十分であり得る。PCB140及び基板120が温度にわたって異なる速度で膨張するにつれて、支柱122構成は、機械的接続及び電気的接続を維持しながら、屈曲、圧縮又は延伸することによって破損を防止し得る。
【0056】
更に、上記の実施形態では、チップ142、DCコネクタ146及び/又はRFコネクタ144が、PCB基板140の上面149に取り付けられて示され、説明される。他の実施形態では、アンテナ基板120とPCB140との間に空間が利用可能であり、上面149で平坦で部品のない表面が望ましい場合、チップ/コネクタは、代替的に、PCB140の下面に付着されてもよい。この場合、144、146などのコネクタは、側面接続ポートを有する場合がある。これらの実施形態又は他の実施形態では、基板120の下面131に回路素子又はアンテナ素子は提供されなくてもよい。
【0057】
本明細書に記載される技術は、その例示的な実施形態を参照しながら特に示され、説明されているが、当業者であれば、以下の特許請求の範囲及びそれらの等価物によって定義される特許請求の範囲の主題の趣旨及び範囲から逸脱することなく、形態及び詳細の様々な変更がその中で行われ得ることを理解するであろう。
【国際調査報告】