(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-11-02
(54)【発明の名称】皮膜用開口にマスクを用いた積層造形物
(51)【国際特許分類】
B22F 10/38 20210101AFI20231026BHJP
B22F 5/04 20060101ALI20231026BHJP
B22F 10/47 20210101ALI20231026BHJP
B33Y 80/00 20150101ALI20231026BHJP
【FI】
B22F10/38
B22F5/04
B22F10/47
B33Y80/00
【審査請求】未請求
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2023517973
(86)(22)【出願日】2021-10-14
(85)【翻訳文提出日】2023-05-16
(86)【国際出願番号】 US2021071868
(87)【国際公開番号】W WO2022087567
(87)【国際公開日】2022-04-28
(32)【優先日】2020-10-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】390041542
【氏名又は名称】ゼネラル・エレクトリック・カンパニイ
(74)【代理人】
【識別番号】100105588
【氏名又は名称】小倉 博
(72)【発明者】
【氏名】ハフナー、マシュー トロイ
(72)【発明者】
【氏名】ポーター、クリストファー ドナルド
(72)【発明者】
【氏名】スナイダー、ザカリー ジョン
(72)【発明者】
【氏名】ジョーンズ、ジェフェリー クラレンス
【テーマコード(参考)】
4K018
【Fターム(参考)】
4K018AA06
4K018AA08
4K018AA10
4K018AA16
4K018AA33
4K018BA03
4K018BA04
4K018BA08
4K018BA17
4K018CA44
4K018EA51
4K018FA01
4K018HA01
4K018KA12
(57)【要約】
【課題】積層造形物において皮膜及びピーニングの加工後皮膜による開口の目詰まり及び/又はブリッジングを防止する。
【解決手段】積層造形物(102)は、その外表面(110)に開口を含む本体(104)を含んでおり、開口(106)は、本体(104)の外表面(110)で形状及び第1の面積を有する。開口(106)の上方にマスク(100)が配置される。マスク(100)は、開口(106)の形状を有するとともに、開口(106)の周囲で本体(104)の外表面(110)に張り出すように第1の面積よりも大きい第2の面積を有する。複数の支持リガメント(130)が、マスク(100)の一部を支持するように、開口(106)に隣接した位置でマスク(100)及び本体(104)の外表面(110)に結合している。物品に皮膜(134)を施工し、マスク(100)を除去することができる。最終的な積層造形物は、本体(104)の外表面(110)から開口(106)に隣接して皮膜(134)を通って延在する複数のリガメント要素(180)を含み、各リガメント要素(180)は少なくとも部分的に皮膜(134)で囲繞される。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
積層造形構造(103)であって、当該積層造形構造(103)が、
外表面(110)に開口(106)を含む本体(104)を含む物品(102)であって、開口(106)が、前記本体(104)の外表面(110)で形状及び第1の面積を有する、物品(102)と、
前記開口(106)の上方に配置されかつ前記開口(106)の形状を有するマスク(100)であって、前記開口(106)の周囲で前記本体(104)の外表面(110)に張り出すように第1の面積よりも大きい第2の面積を有するマスク(100)と、
複数の支持リガメント(130)であって、各支持リガメント(130)が、前記マスク(100)の一部(188)を支持するように前記開口(106)に隣接した位置で前記マスク(100)及び前記本体(104)の外表面(110)に結合している、複数の支持リガメント(130)と
を備える、積層造形構造(103)。
【請求項2】
前記複数の支持リガメント(130)が破断可能であってそこから前記マスク(100)を除去することができる、請求項1に記載の積層造形構造(103)。
【請求項3】
積層造形時に張出部(112)を支持するために、前記本体(104)の張出部(112)及び外表面(110)に結合した張出部支持要素(140)をさらに備える、請求項1に記載の積層造形構造(103)。
【請求項4】
前記マスク(100)から延在する脱着部材(160)をさらに備える、請求項1に記載の積層造形構造(103)。
【請求項5】
前記開口(106)及び前記マスク(100)が、楕円形及び台形のいずれかの形状である、請求項1に記載の積層造形構造(103)。
【請求項6】
前記マスク(100)が、前記本体(104)の外表面(110)から離間しかつ前記開口(106)の上方にある下面(118)を含んでいるとともに、前記下面(118)から前記開口(106)に向かって延在するスカート(103)をさらに含んでおり、前記スカート(146)が、前記本体(104)の外表面(110)からのスカート間隔を画成する下端(150)を有する、請求項1に記載の積層造形構造(103)。
【請求項7】
前記スカート間隔が0.050mm~0.500mmである、請求項6に記載の積層造形構造(103)。
【請求項8】
少なくとも支持リガメント(130)が、前記複数の支持リガメント(130)の少なくとも1つの長さに沿って除去リンク(170)を含んでおり、前記除去リンク(170)が、前記複数の支持リガメント(130)の少なくとも1つの残りの部分よりも小さい横断面寸法を有する、請求項1に記載の積層造形構造(103)。
【請求項9】
前記複数の支持リガメント(130)が、前記開口(106)の片側に1以上の支持リガメント(130)及び前記開口(106)の反対側に1以上の支持リガメント(130)を含む、請求項1に記載の積層造形構造(103)。
【請求項10】
積層造形物(102)であって、当該積層造形物(102)が、
外表面(110)に開口(106)を含む本体(104)であって、前記開口(106)が、前記本体(104)の外表面(110)で形状及び第1の面積を有する、本体(104)と、
前記本体(104)の外表面(110)上の皮膜(134)と、
前記本体(104)の外表面(110)から前記開口(106)に隣接して前記皮膜(134)を通って延在する複数のリガメント要素(180)であって、各リガメント要素(180)が前記皮膜(134)によって少なくとも部分的に囲繞されている、複数のリガメント要素(180)と
を備える、積層造形物(102)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、広義には物品の製造に関し、具体的には、物品の外表面の開口用のマスクを(例えば皮膜が開口に入らないようにするために)用いる物品の積層造形に関する。マスクの支持リガメントの残骸は物品の皮膜内に残る。
【背景技術】
【0002】
積層造形(AM;アディティブマニュファクチャリング)には、材料の除去ではなく、材料の連続的積層によって物品を製造する様々なプロセスが含まれる。そのため、積層造形は、工具、鋳型又は固定具を一切使用せずに、しかも廃棄物をほとんど又はまったく出さずに、複雑な形状を作成することができる。材料の中実ビレットから物品を機械加工すること(材料の大半は切除されて廃棄される)に代えて、積層造形で使用される材料は部品の造形に要するものだけである。したがって、タービンロータブレードのような多くの工業部材は好ましくは積層造形によって製造される。
【0003】
積層造形による形成後に、物品をさらに処理することがある。一例では、物品は、金属ショットのようなピーニング材料を物品の表面に投射するショットピーニングに付すことがある。別の例では、物品が用いられる過酷な環境から生地材料を保護するため、物品を保護層で被覆することがある。例えば、使用時の高温からタービンロータブレードを保護するためブレードの外表面に遮熱コーティング(TBC)を施工することがある。
【0004】
ある種の物品は、造形後(又は機械加工後)処理の際に保護する必要のある開口をその外表面に含んでいることがある。例えば、タービンロータブレードは様々な内部冷却回路を含んでいて、冷却通路(すなわち、ブレードの外表面の開口)を通して外表面に通じる。冷却通路は、それらが存在する内部構造を冷却するため及び/又はブレードの外表面上を流れる冷却フィルムを生成するために設けられる。
【0005】
開口を保護するため、様々なメカニズムが用いられている。場合によっては、例えば皮膜を施工する際に開口が詰まらないようにするため、プラグのような除去可能な材料が開口に設けられる。除去可能な材料は、皮膜が開口に入るのを防ぐが、除去可能な材料及び/又は皮膜を最終的に除去しなければならないので、製造時間及び複雑さが増す。例えば、各開口について遮蔽材料を除去しなければならず、時間がかかるおそれがある。さらに、皮膜は通例遮蔽材料の上に施工されるが、遮蔽材料及び/又は開口を露出させるために、遮蔽材料の上から除去する必要がある。皮膜は遮蔽材料上で橋架け(ブリッジング)しているので、皮膜の除去は、隣接皮膜(例えばTBC)に亀裂を生じるおそれがあり、物品が使いものにならなくなるか或いは大がかりな追加処理を要することがある。被覆プロセス後の遮蔽材料の除去は、そのプロセスで遮蔽材料が物品の材料にとらわれている場合に特に困難となりかねない。他のアプローチでは、開口を保護するために溶接される遮蔽特徴が用いられる。この後者の場合、すべての開口を覆うための労働時間はかなりのものになりかねない。
【発明の概要】
【0006】
本開示の一態様では、積層造形(AM)構造を提供するが、本積層造形構造は、外表面に開口を含む本体を含む物品であって、開口が本体の外表面で形状及び第1の面積を有する、物品と、開口の上方に配置されかつ開口の形状を有するマスクであって、開口の周囲で本体の外表面に張り出すように第1の面積よりも大きい第2の面積を有するマスクと、複数の支持リガメントであって、各支持リガメントが、マスクの一部を支持するように開口に隣接した位置でマスク及び本体の外表面に結合している、複数の支持リガメントとを備える。
【0007】
本開示の別の態様は、積層造形(AM)物を提供するが、本積層造形物は、外表面に開口を含む本体であって、開口が本体の外表面で形状及び第1の面積を有する、本体と、本体の外表面上の皮膜と、本体の外表面から開口に隣接して皮膜を通って延在する複数のリガメント要素であって、各リガメント要素が皮膜によって少なくとも部分的に囲繞されている、複数のリガメント要素とを備える。
【0008】
本開示の別の態様は、方法を提供するが、本方法は、物品を積層造形するステップであって、物品が、外表面に開口を含む本体であって、開口が本体の外表面で形状及び第1の面積を有する、本体と、開口の上方に配置されかつ開口の形状を有するマスクであって、開口の周囲で本体の外表面に張り出すように第1の面積よりも大きい第2の面積を有するマスクと、複数の支持リガメントであって、各支持リガメントが、マスクの一部を支持するように開口に隣接した位置でマスク及び本体の外表面に結合している、複数の支持リガメントとを備える、ステップと、マスクを含む本体の外表面上に皮膜を施工するステップであって、皮膜が、マスクの下面から本体の外表面までの隙間の全体には及ばない、ステップと、マスクを除去するステップであって、複数の支持リガメントの少なくとも1つの一部が皮膜の外表面にある、ステップとを含む。
【0009】
本開示の例示的な態様は、本明細書に記載の及び/又は記載されていない他の問題を解決するように設計される。
【0010】
本開示の上記その他の特徴については、本開示の様々な実施形態を示す添付図面と併せて以下の詳細な説明を参照することによって理解を深めることができよう。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本開示の実施形態に係る、積層造形物のためのマスクを含む積層造形構造の斜視図を示す。
【
図2】本開示の実施形態に係る、マスクを含む積層造形構造の断面図を示す。
【
図3】本開示の実施形態に係る、皮膜が設けられたマスクを含む積層造形構造の断面図を示す。
【
図4】本開示の別の実施形態に係る、マスクを含む積層造形構造の斜視図を示す。
【
図5】本開示のさらに別の実施形態に係る、マスクを含む積層造形構造の斜視図を示す。
【
図6】本開示の実施形態に係る、任意構成要素のスカートを有するマスクを含む積層造形構造の断面図を示す。
【
図7】本開示の実施形態に係る、別の任意構成要素のスカート及び皮膜を有するマスクを含む積層造形構造の断面図を示す。
【
図8】本開示の実施形態に係る、任意構成要素の脱着部材を有するマスクを含む積層造形構造の斜視図を示す。
【
図9】本開示の実施形態に係る、支持リガメント内に任意構成要素の除去リンクを有するマスクを含む積層造形構造の部分断面図を示す。
【
図10】本開示の実施形態に係る、皮膜を有する積層造形物の斜視図を示す。
【
図11】本開示の実施形態に係る、積層造形構造からのマスクの除去の断面図を示す。
【0012】
なお、本開示の図面は必ずしも縮尺通りではない。図面は、本開示の典型的な態様を例示すものであり、本開示の技術的範囲を限定するものではない。複数の図面間で、同様の符号は同様の構成要素を表す。
【発明を実施するための形態】
【0013】
まず、本技術について明確に説明するため、関連する機械部品について言及及び説明する際の用語を選択する必要がある。できるだけ、当技術分野で一般的な用語を、その通常の意味と一致するように用いる。別途記載されていない限り、かかる用語は、本願の文脈及び添付の特許請求の範囲に則して広義に解釈すべきである。ある部品が幾つかの異なる又は重複する用語を用いて言及されることが多々あることは当業者には明らかであろう。本明細書において、単一の部材又は物品として記載したものであっても、別の文脈では複数の部品からなるものとして記載することもある。或いは、本明細書のある箇所で複数の部品を含むものとして記載したものであっても、別の箇所では単一の部材又は物品として記載することもある。
【0014】
位置に関して異なる直線的位置に配置された部分について説明する必要が多々ある。「遠位」という用語は、あるものの場所又は部分が、同じものの「近位」の場所又は部分よりも遠くにあることをいう。例えば、あるものの遠位端は同じものの近位端から遠くにある。これらの用語は、互いの概略的な位置関係を規定する。さらに、本明細書では、以下に記載する通り、幾つかの記述的用語を繰返し用いる。「第1」、「第2」及び「第3」という用語は、ある部品を他の部品と区別するために互換的に用いられ、個々の部品の位置又は重要性を示すものではない。
【0015】
本明細書で用いる用語は、特定の実施形態を説明するためのものにすぎず、開示内容を限定するものではない。本明細書において、単数形で記載したものであっても、前後関係から明らかでない限り、複数の場合も含めて意味する。本明細書において、「備える」及び/又は「含む」という用語は、記載した特徴、整数、ステップ、操作、構成要素及び/又は部品が存在することを示し、他の1以上の特徴、整数、ステップ、操作、構成要素、部品及び/又はそれらの群の存在又は追加を除外するものではない。「任意」又は「適宜」という用語は、その用語に続いて記載された事象又は状況が起きても起きなくてもよいことを意味しており、かかる記載はその事象又は状況が起こる場合と起こらない場合とを包含する。
【0016】
ある構成要素又は層が別の構成要素又は層に「配置」、「係合」、「接続」又は「結合」しているという場合、その別の構成要素又は層に直接、配置、係合、接続又は結合していてもよいし、或いは介在する構成要素又は層が存在していてもよい。対照的に、ある構成要素が別の構成要素又は層に「直接配置」、「直接係合」、「直接接続」又は「直接結合」しているという場合、介在する構成要素又は層は存在しない。構成要素間の関係について説明するために用いられる他の用語(例えば「~の間」と「直接~の間」、「隣接」と「直接隣接」など)も同様に解釈される。本明細書で用いる「及び/又は」という用語は、記載されたものの1以上のあらゆるすべての組合せを包含する。
【0017】
例えば燃焼タービンエンジンの高温ガス経路セクションに用いられる燃焼タービン部品の大半など、様々な工業製品の製造に慣用されてきた多くの鉄基、コバルト基及びニッケル基超合金材料は、過酷な高温燃焼環境での長期運転に耐えられるように保護皮膜で部品を被覆することによって、高温ガスから遮熱される。保護皮膜としては、限定されるものではないが、遮熱コーティング(TBC)、ボンドコート、環境遮蔽コーティング(EBC)、それらの組合せ、その他現在公知の又は将来開発される皮膜が挙げられる。保護皮膜は、タービン部品の所期の用途及び用途に関連する環境に応じて、保護皮膜を必要とする表面を、例えばボンドコート及びそれに続く追加の皮膜で被覆することを含む多段階プロセスによって作成することができる。
【0018】
TBCは高度な先端材料システムである。これらの皮膜は、耐荷重合金と皮膜表面との間の相当な温度差に耐えることができる遮熱材料を利用することによって、大きな長期間の熱負荷から部品を遮熱するための保護皮膜として機能する。そうすることで、これらの皮膜は、構造部品の熱暴露を制限しつつ、作動温度を高めることができ、酸化及び熱疲労の低減によって部品寿命を延ばす。TBCは、様々な方法でタービン部品に施工される。TBC(又は他の皮膜)の施工には溶射が多用される。例示的な溶射法として、限定されるものではないが、大気及び減圧プラズマ溶射、コールドスプレー、静電溶射、電子ビーム物理蒸着、化学蒸着、溶射、高速フレーム溶射、物理蒸着、それらの組合せ、その他現在公知の又は将来開発される溶射技術が挙げられる。
【0019】
避けるべき後処理/形成後被覆の結果の1つが「ブリッジング」であり、これは、後段の形成後被覆プロセスで部材の表面からカバーまでの連続層が生成する場合である。ブリッジングは、TBC層の厚さが部材表面からカバーまでの距離よりも大きいときに起こるおそれがある。皮膜材料が多すぎると、カバーがTBCで完全に覆われて、カバーと部品表面との間に空隙が残らなくなってしまうことがある。カバーを除去すると、隣接TBC皮膜が割れたり欠けたりして、全体的寿命が短くなってしまうおそれがある。無論、冷却孔の所期の機能を維持するには、できるだけブリッジングを抑制及び解消すべきである。
【0020】
シャドーイングは、薄く質の劣る皮膜を生じさせる。溶射粒子(例えば、実施形態を限定するものではないが、TBC)の「シャドーイング」効果は、部材表面へのプラズマ溶射の視線が部分的又は完全に遮られているときに物品上に溶射粒子を堆積する際に起こる。シャドーイング効果は、物品を光源の前に置き、その物品の影を観察することによって最もよく視覚化できる。物品の周りを通過する光線は、堆積する溶射粒子を表し、物品の影は、堆積した溶射粒子のボイドを表す。薄い皮膜は所期の作動温度よりも高く、早期故障を招きかねない。近くの構造で逸れた皮膜粒子は、直線的な視線で堆積した粒子ほど十分には付着せず、早期故障を引き起こしかねない。そのため、(部品又は基材に皮膜が厳密に結合又は接着していない)箇所で再被覆するための再作業が必要になることがあり、処理時間が長くなり、追加のリソースが必要になり、機会費用の損失などを生じかねない。
【0021】
小さすぎる又は互いに近すぎる開口(冷却孔など)は、皮膜がその上に蓄積して孔を完全に塞いでしまうため、覆われてしまうことがある。これらの孔では、皮膜が開口を塞いでしまうおそれがある。
【0022】
上述の通り、本開示は、外表面に開口を含む本体を有する物品を含む積層造形(AM)構造を提供する。開口は、本体の外表面で形状及び第1の面積を有する。マスクを開口の上方に配置することができる。マスクは、開口の形状を有するとともに、開口の周囲で本体の外表面に張り出すように第1の面積よりも大きい第2の面積を有する。複数の支持リガメントが、開口に隣接した位置でマスク及び本体の外表面に結合して、マスクのそれぞれの部分を支持する。皮膜を物品に施工することができる。マスクは、機械加工で除去するのではなく、支持リガメントを破断することによって物品から取り外すことができる。最終的な積層造形物は、外表面に開口を含む本体と、本体の外表面上の皮膜とを含む。複数のリガメント要素、すなわち支持リガメントの残骸が、本体の外表面から開口に隣接して皮膜を通って延在する。各リガメント要素は、皮膜によって少なくとも部分的に囲繞される。特定の実施形態では、物品からマスクを容易に取り外すことができるように、脱着部材を設けてもよい。本開示の実施形態に係るマスクは、このように、高度にカスタマイズされたやり方で被覆(又はピーニング)プロセス中のブリッジング及び目詰まりから個々の開口を保護し、マスクを簡単に除去できるようになる。マスクは、皮膜/ピーニングの前に開口をカバーする時間を短縮し、開口を清浄化するための時間を短縮する。
【0023】
図1を参照すると、本開示の特定の実施形態に係る積層造形物102(以下、「物品102」)のためのマスク100の斜視図が示してある。マスク100及び物品102は、物品材料のための任意の適切な積層造形技術を用いて形成することができ、集合的に積層造形(AM)構造103を構成することができる。積層造形(AM)には、材料の除去ではなく、材料の連続的積層によって物品を製造する様々なプロセスが含まれる。そのため、積層造形は、工具、鋳型又は固定具を一切使用せずに、しかも廃棄物をほとんど又はまったく出さずに、複雑な形状を作成することができる。材料の中実ビレットから物品を機械加工すること(材料の大半は切除されて廃棄される)に代えて、積層造形で使用される材料は部品の造形に要するものだけである。積層造形技術は、通例、形成すべき部品(例えば物品102及びマスク100)の3次元コンピュータ支援設計(CAD)ファイルを取得し、部品を複数の層(例えば18~102μm厚)に電子的にスライスし、ベクトル、画像又は座標を含む各層の2次元画像を備えるファイルを作成する。このファイルを次いで、様々なタイプの積層造形システムによって構造(例えばマスク100及び物品102)を構築できるようにファイルを解釈する準備ソフトウェアにロードする。3Dプリンティング、ラピッドプロトタイピング(RP)及びダイレクトデジタルマニュファクチャリング(DDM)の形態の積層造形では、材料層(例えばプラスチック又はセラミックなど)を選択的に分配し、材料層を1層づつ積層することによって部品を作る。対照的に、直接金属レーザー溶融(DMLM)(選択的レーザー溶融(SLM)とも呼ばれる)のような金属粉末積層造形技術では、金属粉末層を1層ずつ溶融して部品を形成する。さらに具体的には、金属粉末床が処理チャンバ内に設けられる。ガス混合物の流れは、不活性ガス源及び酸素含有材料源から処理チャンバ内で制御される。金属粉末層上でアプリケータを用いて均一に分配した後で、微細金属粉末層を金属粉末層上で順次溶融させて物品を生成させる。各アプリケーターは、金属、プラスチック材料、炭素繊維又はゴムで作られたリップ、ブラシ、刃又はローラの形態のアプリケーター要素を含んでおり、ビルドプラットフォーム上に金属粉末を均一に広げる。金属粉末床は垂直軸方向に移動できる。上述の通り、プロセスは、正確に制御された雰囲気を有する処理チャンバ内で行われる。各層ができたら、部品形状の各2次元スライスを、金属粉末の選択的溶融によって融合させることができる。溶融は、金属粉末を十分に融合(溶融)して固体金属を形成するため、100Wイッテルビウムレーザーのような高出力溶融ビームによって実施し得る。溶融ビームは走査ミラーを用いてXY方向に移動し、金属粉末を完全に融合(溶融)して固体金属を形成するのに十分な強度を有する。次の各二次元層のために金属粉末床を下降させ、部品が完全に形成されるまで上記プロセスを繰り返す。非限定的な例では、マスク100及び物品102は、金属部品の場合はDMLM又はSLMによって、或いはセラミック部品の場合は3Dプリンティングによって形成し得る。
【0024】
図1の実施形態では、物品102は、物品102の外表面110に開口106を含む本体104を含む。いかなる数の開口106を設けてもよい。物品102として、現在公知の又は将来開発される工業部材を含むことができる。非限定的な例では、物品102は、冷却通路を通じてブレードの外表面110に開口する様々な内部冷却回路を含むタービンロータブレードを含むことができる。冷却通路は、それらが存在する内部構造を冷却するため及び/又は物品102の外表面110上を流れる冷却膜を形成するために設けることができる。平坦な外表面110にあるものとして示してあるが、開口106は、物品の表面から延在する物品の外表面110の台座(図示せず)に配置してもよい。
【0025】
開口106は、例えば楕円形又は卵形(
図1)、円形(
図4~
図5)、多角形(
図5)(正方形、長方形、台形など)、ディフューザ形状(
図5)など、外表面110で任意の断面形状を有し得る。開口106は、物品102内に外表面110に対して任意の方向に延在し得る。開口106は、物品102の外表面110上にいかように配置してもよく、例えば一列に配置し得る。開口106は、外表面110上に間隔をおいて、例えば等間隔又は非等間隔に配置し得る。例えば、すべての開口106をカバーするか或いは選択された開口106だけをカバーするかに応じて、任意の数のマスク100を用いることができる。各開口106は、本体104の外表面110で面積(すなわち断面積)を有する。
【0026】
マスク100は、各開口106の上方に配置される。マスク100は、それぞれの開口106の形状、すなわち外表面110での開口106と同じ断面形状を有する。そこで、マスク100は、例えば、楕円形もしくは卵形(
図1)又は円形(
図4~
図5)のような丸形、多角形(
図5)(正方形、長方形、台形など)、ディフューザ形状などとし得る。ただし、
図1~
図3に示すように、マスク100は、開口106の面積(つまり開口の断面積)よりも大きい面積を有する。このようにして、
図2の断面図に最も明瞭に示されているように、マスク100は、本体104の外表面110上で開口106の外側及び周囲に延在する張出部(オーバーハング)112を有する。張出部112は、マスク100の下面118から開口106の外表面110までの隙間116を形成するように作用する。マスク100は、本体104の外表面110から開口106の上方に離間している。すべての場合に必要とされるわけではないが、張出部112は、開口106の縁114から外側に一様な距離(W1)で延在し得る。この距離は、皮膜の厚さ並びに他の変数、例えば表面に対する溶射角度、皮膜粒子の粒度などに依存する。所望により、
図5に示すように、同一物品102上の異なる形状の開口106に対応する異なる形状のマスク100を使用してもよい。
【0027】
AM構造103は、開口106に隣接した位置でマスク100及び本体104の外表面110に結合する複数の支持リガメント130も含む。支持リガメント130は、本体104の外表面110に対してマスク100を支持する。すなわち、各リガメント130は、マスク100の一部を支持するため、開口106に隣接した位置でマスク100及び本体104の外表面110に結合している。後述するように、支持リガメント130は、物品102からマスク100を簡単に除去できるように物品102にマスク100を連結する。支持リガメント130は、通常、外表面110とマスク100の下面118との間で垂直に(直角に)延在するが、垂直からある程度傾いた角度も使用し得る。支持リガメント130は、例えば円形(
図4)、楕円形(
図1)、多角形(
図2)(正方形、長方形、台形など)など、任意の断面形状を有し得る。
図1~
図3では、4本の支持リガメント130が示してあるが、任意の数の支持リガメント130を用いることができ、例えば2本以上であってもよい。特定の実施形態では、複数の支持リガメント130は、開口106の片側に1以上の支持リガメント130及び開口106の反対側に1以上の支持リガメント130を含む。以下でさらに説明する通り、支持リガメント130は、マスクを取り外すのに機械加工を要することなく、破断してマスク100を取り外すことができるような十分な細さで形成される。なお、幾つかの積層造形技術の限界のため、マスク100、支持リガメント130及び物品102は、図に示すように必ずしも同じ配向で形成されないこともある。
【0028】
支持リガメント130は、隙間116の隙間間隔D2を、マスク100の下面118と物品102の外表面110との間に画成する。隙間116は数多くの利点をもたらす。特定の実施形態では、
図2に示すように、隙間116は、ピーニング材料132(例えばグリット、金属ショット、氷、ペレット、砂など)が通過しないように構成された寸法を有する。この場合、ピーニング材料132の最小寸法D1(例えば直径)を確認し、ピーニング材料132が隙間116及び/又は開口106に入らないように、隙間間隔D2を最小寸法D1よりも十分に小さい寸法にすればよい。こうして、マスク100は、ピーニング材料132による衝撃に起因する開口106への損傷を防ぐことができる。
図3に示すように、隙間間隔D2は、マスク100上に施工される皮膜134が、それぞれのマスク部材100から物品102の外表面110上の皮膜134へのブリッジング(架橋)を防ぐように構成された寸法を有していてもよい。すなわち、皮膜134内に皮膜隙間136が存在する。隙間間隔D2は、様々な要因の中でも、例えば、皮膜134の材料、施工フォーマット、予想厚さに基づいて大きさを決定することができる。図に示すように、皮膜134は物品102及びマスク100を被覆するが、開口106には入り込まず、開口106を被覆することも埋めることもない。皮膜134は、マスク100を物品102に架橋することもない。こうして、マスク100を取り除く際に、皮膜を破壊してマスクを取り除く必要がないが、さもなければ皮膜134が物品102上に延在している箇所で亀裂を生じかねない。換言すると、物品102上の皮膜134に力が加わらないので、物品102上の皮膜13が割れるおそれはない。隙間間隔D2は、ピーニング材料132及び/又は皮膜134に応じて変化し得るが、非限定的な例では、隙間間隔D2は、0.88mm~1.4mm(0.035~0.055インチ)とし得る。この範囲の寸法は、例えば、厚さ1.40mm~1.52mmの皮膜134がマスク100から物品102へと架橋(ブリッジング)するのを防ぐとともに、1.5mmの金属ショットが隙間116に入り込んで開口106に衝突するのを防ぐ。その他の寸法も可能である。
【0029】
図1~
図5を参照すると、AM構造103は、積層造形時に張出部112を支持するために張出部112及び本体104の外表面110に結合する張出部支持要素140を適宜含んでいてもよい。張出部支持要素140は、物品の積層造形の際に、形成される新たな層がその下支えとなり得る材料層を有しておらず、支持リガメント130が下支えとならない位置にある場合の問題に対処したものである。この場合、新たな層は押し下げることができず、上向きに丸まってしまいかねない。張出部支持要素140は、マスク100の屈曲が予想される箇所など、必要とされるあらゆる箇所に設けることができる。支持リガメント130とは対照的に、張出部支持要素140は、本体104の外表面110に対して垂直でない角度となる可能性が高い。
【0030】
図6は、別の実施形態に係るマスク100を有するAM構造103の断面図を示す。この実施形態では、マスク100は、上述の通り、本体104の外表面110から離間し、開口106の上方にある下面118を含む。隙間116が存在する。開口106をさらに保護するため、マスク100は、下面118から開口106に向かって延在するスカート146を含んでいてもよい。スカート146は、支持リガメント130の半径方向内側にある。スカート146は、マスクの下面118から下方に延在する壁148を含んでいてもよく、壁148は連続的(
図6)であっても或いは断続的(
図7)であってもよい。壁148は、壁148が開口106の縁114の輪郭に追従するように、開口106の断面形状と一致する断面形状(例えば楕円、円など)を有することができる。スカート146の壁148は、開口106の上方に下端150を有していて、本体104の外表面110からスカート間隔D3を有する。スカート間隔D3は、例えば0.050mm~0.500mmとすることができ、
図7の断面図に示すように、皮膜134が開口106に入り込むのを防ぐ。場合によっては、下端150は外表面110と融合してもよいが、本体104からマスク100を簡単に取り外すことができるように結合は十分に弱い。
【0031】
図8を参照すると、特定の実施形態では、マスク100は、マスク100から延在する脱着部材160を含んでいてもよい。脱着部材160は、支持リガメント及び張出部支持要素140を破断させることによって物品102からマスク100を取り外すために係合及び操作できる任意の構造を含むことができる。脱着部材160は、例えば、チャンネルロックプライヤ、調整式レンチなどの工具(図示せず)で把持できる四角い端部を含むことができる。加えて/或いは、脱着部材160は、限定されるものではないが、プライバー、ねじ回し、チャンネルロックプライヤー、調整式レンチのような工具(図示せず)を受け入れるように構成された工具受け部162を内部に含んでいてもよい。工具受け部162は、皮膜134(
図3及び
図7)で詰まることがないような任意の形状及び/又は寸法を有し得る。いずれにせよ、脱着部材160は、工具を用いて或いは手作業によって、支持リガメント130及び任意の張出部支持要素140を破壊する力を加えて、マスク100を除去できるように、操作することができる。脱着部材160は、マスク100から所望の垂直高さを有し得る。
【0032】
さらに支持リガメント130に関しては、
図1に示すように、各支持リガメント130は、物品102から簡単に脱着でき、したがってマスク100の脱着もできるように、その長さに沿って均一な幅W2を有していてもよい。支持リガメント130はある特定の断面を有する直線状の要素として図示してあるが、図示していない様々な構造的形態を取り得る。すなわち、支持リガメント130は破断し易くするため先細又は狭窄させるのが有利であることがあるので、すべての場合に均一な幅W2が必要なわけではない。例えば、
図9は、支持リガメント130の長さに沿って除去リンク170を含む支持リガメント130を示す。除去リンク170は、支持リガメント130の残りの部分よりも小さい幅W3(横断面寸法)を含んでおり、支持リガメントに脆弱な箇所を生じる。さらに具体的には、支持リガメント130の下部172は物品102と一体に結合していて第1の幅W4を有しており、下部172の上方の上部174は、第1の幅W4よりも広い第2の幅W5を有する。様々な実施に際して、下部172は、上部174と比較して別個の形状をもつ、台座、ピン、基礎部材などとして具体化及び/又は呼ぶことができる。除去リンク170は下部172と上部174の間に配置される。除去リンク170の幅W3が小さいので、支持リガメント130を破断するのが容易になり、支持リガメント130が破断する位置及び各支持リガメント130が本体104の外表面110からどの程度残るかをカスタマイズできるようになる。除去リンク170は、様々な代替的形態(例えば形状、寸法など)を取ることができ、図に示してはいないが、本開示の技術的範囲に属する。非限定的な例では、支持リガメント130は、0.125mm~1.000mmの範囲の幅W2(
図1)、W4、W5を有することができ、除去リンク170は、0.01mm~0.150mmの幅W3を有することができる。幅は、限定されるものではないが、物品及びマスクの材料、物品102の寸法、開口106の寸法、マスクを取り外すのに要する力、使用すべき工具などを始めとする、数多くの要因に応じて変更し得る。
【0033】
マスク100は、物品102と同じ材料で作ることができる。したがって、材料は物品の用途に依存することがある。一実施形態では、マスク100及び物品102は、純金属又は合金を始めとする金属で製造し得る。例えば、物品102がタービンブレードである場合、金属として、実質的にあらゆる非反応性金属粉末、すなわち非爆発性又は非導電性粉末、例えば、限定されるものではないが、コバルトクロムモリブデン(CoCrMo)合金、ステンレス鋼、ニッケル-クロム-モリブデン-ニオブ合金(NiCrMoNb)(例えばインコネル625又はインコネル718)のようなオーステナイト系ニッケル-クロム基合金、ニッケル-クロム-鉄-モリブデン合金(NiCrFeMo)(例えばHaynes International社から市販のHastelloy(商標)X)、又はニッケル-クロム-コバルト-モリブデン合金(NiCrCoMo)(例えばHaynes International社から市販のHaynes282)などを挙げることができる。別の例では、金属は、実質的にあらゆる金属、例えば、限定されるものではないが、工具鋼(例えばH13)、チタン合金(例えばTi6Al4V)、ステンレス鋼(例えば316L)、コバルトクロム合金(例えばCoCrMo)及びアルミニウム合金(例えばAlSi10Mg)などが挙げられる。或いは、物品102及びマスク100は、例えばプラスチック、セラミック、それらの組合せなどで製造し得る。上述の通り、マスク100及び物品102は、積層造形(例えばDMLM、SLM、3Dプリンティングなど)技術によって製造し得るが、材料に応じて変更し得る。いずれにせよ、物品102、支持リガメント130、張出部支持要素140及び脱着部材160は、積層造形によって作成された複数の一体材料層を含む。
【0034】
図10に示すように、本開示の実施形態は、積層造形(AM)物102、すなわちマスク100が除去されたものも包含する。物品102は、その外表面110に開口106を含む本体104を含む。上述の通り、開口106は、本体104の外表面110で形状及び第1の面積を有する。物品102は、本体104の外表面110上に皮膜134も含んでいる。従来のAM物品とは対照的に、物品102は、本体104の外表面110から開口106に隣接して皮膜134を通って延在する複数のリガメント要素180を含む。リガメント要素180は、マスク100を除去した後に残る支持リガメント130の残骸である。図に示すように、各リガメント要素180は、皮膜134によって少なくとも部分的に囲繞される。特定の実施形態では、1以上のリガメント要素180が開口106の片側にあり、1以上のリガメント要素180が開口106の反対側にある。
図11に示すように、支持リガメント130が
図9に示すような除去リンク170を含んでいる場合、皮膜134の外表面184における各リガメント要素180の外側部分182は、皮膜134内部の各リガメント要素180の内側部分186よりも小さい幅W3を有する。リガメント要素180の外側部分182は除去リンク170(
図9)に対応し、内側部分182は支持リガメント130(
図9)の下部172(
図9)に対応する。
図10に示すように、張出部支持要素140を用いる場合、物品102は、マスク100の除去後に、皮膜134の外表面184に張出部支持要素140(
図1)の一部188を含んでいてもよい。
【0035】
本開示の実施形態は、物品102の積層造形方法も包含する。例えば、
図1に示すように、本方法は、本明細書で説明したように物品102を積層造形することを含むことができる。上述の通り、物品102は、本体104の外表面110に開口106を含む本体104を含むことができる。開口106は、本体104の外表面110で形状及び第1の面積を有し、開口106の上方に配置されるマスク100によって模倣される。マスク100は開口106の形状を有する。非限定的な例では、開口106及びマスク10は、楕円形(
図1)及び/又は台形(
図3)の形状である。上述の通り、マスク100は、第1の面積よりも大きい第2の面積を有するので、マスク100の張出部112は、開口106の周囲で本体104の外表面110の上方に延在する。物品102は、マスク100の除去前に、複数の支持リガメント130を含む。各支持リガメント130は、マスク100(すなわちその下面118)及び開口106に隣接した位置で本体104の外表面110に結合しており、マスク100の一部を支持する。
【0036】
積層造形は、張出部を支持するため張出部112及び外表面110に結合する張出支持要素140を積層造形することを適宜含んでいてもよい。張出部支持要素140の一部188(
図10)が、マスク100の除去後に皮膜134の外表面184にあってもよい。所望に応じて、皮膜施工前に張出部支持要素140を除去してもよい。
図8に示すように、積層造形は、マスク100から延在する脱着部材160を積層造形することを適宜含んでいてもよい。上述の通り、マスク100は、外表面110から離間し、開口106の上方にある下面118を含む。
図6及び
図7に示すように、積層造形は、下面118から開口106に向かって延在するスカート146を積層造形することを適宜含んでいてもよい。スカート146は、本体104の外表面110及び開口106からスカート間隔D3を有する下端150を有する。
【0037】
積層造形としては、本明細書に記載のプロセスを挙げることができる。例えば、積層造形は、処理チャンバ内に金属粉末床を供給すること、処理チャンバ内で不活性ガス源及び酸素含有材料源からの、不活性ガスと酸素含有材料からの酸素とを含むガス混合物の流れを制御すること、金属粉末層上で金属粉末層を順次溶融させて物品を生成させることを含むDMLMを含むことができる。DMLMは周知の積層造形プロセスであり、これ以上の詳細又は例示は不要である。他の積層造形プロセスも使用し得る。
【0038】
図3及び
図7に示すように、本方法は、マスク100を含む本体104の外表面110上に皮膜134を施工することをさらに含むことができる。任意のステップとして、本方法は、皮膜の施工前に、
図2に示すように、本体104の外表面110にピーニング材料132を施工することを含んでいてもよい。この場合、ピーニング材料132は最小寸法D1を有し、ピーニング材料132が開口106に入り込まないように、本体104の外表面110からの隙間間隔D2は最小寸法D1よりも小さい。D1及びD2の例示的な寸法については既に記載した。上述の通り、皮膜134は、マスク100の下面118から本体104の外表面110までの皮膜隙間136全体には及ばない。皮膜134は、その皮膜に適した任意の技術を用いて施工し得る。例示的な溶射法として、限定されるものではないが、大気及び減圧プラズマ溶射、コールドスプレー、静電溶射、電子ビーム物理蒸着、化学蒸着、溶射、高速フレーム溶射、物理蒸着、それらの組合せ、その他現在公知の又は将来開発される溶射技術が挙げられる。
【0039】
図11は、マスク100を除去する際の断面図を示す。上述の通り、複数の支持リガメント130(
図1)の1本以上の一部、すなわちリガメント要素180は、皮膜134の外表面184内にある。マスク100は、様々な技術のいずれかを用いて除去し得るが、本開示の実施形態に従って配置されたマスク100では、機械加工を含む必要はない。マスク100の除去は、例えば、マスク100或いは存在する場合には脱着部材160(
図8)に力Fを加えることを含む。マスク100の除去は、例えば複数の支持リガメント130を、例えば、リガメントを切断又は疲労させるための任意の機構で切断することを含むことができる。
図11に示すように、マスク100の除去は、スカート146が設けられている場合にはスカート146を除去することを含んでいてもよい。なお、マスク100を除去するのに機械加工は必要とされない。
【0040】
上述の通り、本開示は、皮膜134(例えばTBC)又は他の加工後皮膜による開口(例えば冷却孔)の目詰まり及び/又はブリッジングを防ぐため、造形物102と一体化された開口マスク106を提供する。マスク100は、外表面110における開口106の形状を有しているとともに、テーブルの脚のような複数の支持リガメント130を介して外表面110に取り付けられる。本開示の実施形態は、皮膜施工前に開口をマスクするのに要する時間及び皮膜形成後に穴を清浄化するのに要する時間を短縮する。
【0041】
本明細書及び特許請求の範囲で用いる近似表現は、数量の修飾語であって、その数量が関係する基本機能に変化をもたらさない許容範囲内で変動し得る数量を表すために施工される。したがって、「約」、「略」及び「実質的に」のような用語で修飾された値はその厳密な数値に限定されない。場合によっては、近似表現は、その値を測定する機器の精度に対応する。本明細書及び特許請求の範囲において、数値限定の範囲は互いに結合及び/又は交換可能であり、かかる範囲はその上下限で規定され、前後関係等から明らかでない限り、その範囲に含まれるあらゆる部分範囲を包含する。範囲の特定の値に用いられる「約」は、上下限に施工され、その値を測定する機器の精度に依存する場合を除いて、記載された数値の±10%を示すことがある。
【0042】
以下の特許請求の範囲において機能的記載によって特定された構成要素の対応する構造、材料、行為及び均等物は、特許請求の範囲に具体的に記載された他の構成要素と組合せて機能を発揮するあらゆる構造、材料又は行為を包含する。本開示の記載は、例示及び説明を目的としたものであり、網羅的なものでもなければ、開示された形態に限定するものでもない。本開示の技術的範囲及び技術的思想から逸脱せずに、数多くの修正及び変形が当業者には明らかであろう。本開示の実施形態は、本開示の原理及び実用的用途の説明として最も適しかつ当業者が様々な実施形態に関する開示内容及び特定の用途に適した様々な修正について理解できるように、選択して記載したものである。
【符号の説明】
【0043】
100 マスク
102 積層造形物,物品
104 本体
106 開口
110 本体の外表面
112 張出部
116 隙間
130 支持リガメント
140 張出部支持要素
160 脱着部材
180 リガメント要素
【国際調査報告】