(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-11-02
(54)【発明の名称】電磁式運搬システム
(51)【国際特許分類】
H02P 25/06 20160101AFI20231026BHJP
G05D 3/12 20060101ALI20231026BHJP
B65G 54/02 20060101ALI20231026BHJP
【FI】
H02P25/06
G05D3/12 E
B65G54/02
【審査請求】未請求
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2023518180
(86)(22)【出願日】2021-09-22
(85)【翻訳文提出日】2023-05-09
(86)【国際出願番号】 EP2021076104
(87)【国際公開番号】W WO2022063848
(87)【国際公開日】2022-03-31
(32)【優先日】2020-09-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】AT
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】518184708
【氏名又は名称】ベーウントエル・インダストリアル・オートメイション・ゲゼルシャフト・ミト・ベシュレンクテル・ハフツング
(74)【代理人】
【識別番号】100069556
【氏名又は名称】江崎 光史
(74)【代理人】
【識別番号】100111486
【氏名又は名称】鍛冶澤 實
(74)【代理人】
【識別番号】100191835
【氏名又は名称】中村 真介
(74)【代理人】
【識別番号】100221981
【氏名又は名称】石田 大成
(72)【発明者】
【氏名】フォルトフーバー・フリードリヒ
(72)【発明者】
【氏名】ログナー・フィリップ
(72)【発明者】
【氏名】カスティンガー・クリスティアン
【テーマコード(参考)】
3F021
5H303
5H540
【Fターム(参考)】
3F021BA02
3F021CA02
3F021CA06
3F021DA03
3F021DA04
3F021DA06
5H303BB01
5H303BB20
5H303DD04
5H303EE07
5H303FF03
5H303GG06
5H303GG23
5H303HH01
5H303KK01
5H540AA01
5H540BA03
5H540BB07
5H540EE05
5H540FA11
5H540FB01
5H540FC02
(57)【要約】
簡単な手法で拡張可能な電磁式運搬システム1を提示するために、運搬区間3が運搬区画4に分割されて、運搬区画4がそれぞれ少なくとも一つの運搬セグメント5から成り、運搬区画4には、それぞれ一つの区画制御ユニット4が割り当てられ、運搬セグメント5には、それぞれ一つのセグメントコントローラ50が割り当てられる。更に、論理ネットワーク34を介して区画制御ユニット40と接続された論理ユニット30が、配備されて、論理ネットワーク34を介して、これらの一定数の運搬ユニット2の目的地を区画制御ユニット40に与えるように構成される。運搬区画4の区画制御ユニット40が、セグメントネットワーク45を介して、対応する運搬セグメント5のセグメントコントローラ50と接続されて、目的地から、対応する運搬区画に関する軌道区画BAを特定し、この軌道区画BAを用いて、目標値swを特定して、セグメントネットワーク45を介してセグメントコントローラ50に伝送するように構成される。セグメントコントローラ50は、目標値swと生じた実際値iwを用いて、駆動コイルに電流を流して、運搬ユニット2の駆動磁石Mと相互に作用する磁界を発生させて、この一定数の運搬ユニット2を動かすように構成される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
運搬区間(3)に沿って移動可能に配置された一定数の運搬ユニット(2)を有する電磁式運搬システム(1)であって、駆動コイル(S)が運搬区間(3)に沿って配置され、駆動磁石(M)が運搬ユニット(2)に配置され、運搬区間(3)が運搬区画(4)に分割され、運搬区画(4)が、それぞれ少なくとも一つの運搬セグメント(5)から構成され、運搬区画(4)には、それぞれ一つの区画制御ユニット(4)が割り当てられ、運搬セグメント(5)には、それぞれ一つのセグメントコントローラ(50)が割り当てられている電磁式運搬システムにおいて、
論理ネットワーク(34)を介して区画制御ユニット(40)と接続された論理ユニット(30)が、配備されて、論理ネットワーク(34)を介して、これらの一定数の運搬ユニット(2)の目的地を区画制御ユニット(40)に与えるように構成されていることと、
運搬区画(4)の区画制御ユニット(40)が、セグメントネットワーク(45)を介して、対応する運搬セグメント(5)のセグメントコントローラ(50)と接続されて、
目的地から、対応する運搬区画(4)に関する軌道区画(BA)を特定し、この軌道区画(BA)を用いて、目標値(sw)を特定して、セグメントネットワーク(45)を介してセグメントコントローラ(50)に伝送するように構成されていることと、
セグメントコントローラ(50)が、目標値(sw)と生じた実際値(iw)を用いて、駆動コイルに電流を流して、運搬ユニット(2)の駆動磁石(M)と相互に作用する磁界を発生させて、これらの一定数の運搬ユニット(2)を動かすように構成されていることとを特徴とする電磁式運搬システム。
【請求項2】
請求項1に記載の電磁式運搬システム(1)において、
前記の運搬セグメント(5)には、実際値を検出するために、センサーが配備されていることを特徴とする電磁式運搬システム。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の電磁式運搬システム(1)において、
前記の実際値(iw)が、実際の電流、実際の力、実際の位置、実際の速度及び実際の加速度の中の一つ以上から構成されることと、
前記の目標値(sw)が、目標の電流、目標の力、目標の位置、目標の速度及び目標の加速度の中の一つ以上から構成されることとを特徴とする電磁式運搬システム。
【請求項4】
請求項1から3までのいずれか一つに記載の電磁式運搬システム(1)において、
前記の区画制御ユニット(40)が、区画ネットワーク(44)を介して互いに接続されて、この区画ネットワーク(44)を介して、データを、有利には、実際値を伝送するように構成されていることを特徴とする電磁式運搬システム。
【請求項5】
請求項4に記載の電磁式運搬システム(1)において、
前記の区画ネットワーク(44)が、有利には、サイクルタイムを設定可能であるリアルタイムネットワーク又はポイントツーポイントネットワークであることを特徴とする電磁式運搬システム。
【請求項6】
請求項1から5までのいずれか一つに記載の電磁式運搬システム(1)において、
前記のセグメントネットワーク(45)が、有利には、サイクルタイムを設定可能であるリアルタイムネットワークであることを特徴とする電磁式運搬システム。
【請求項7】
請求項1から6までのいずれか一つに記載の電磁式運搬システム(1)において、
前記の論理ネットワーク(34)が、非リアルタイムネットワーク、有利には、イーサネットワークであることを特徴とする電磁式運搬システム。
【請求項8】
請求項1から7までのいずれか一つに記載の電磁式運搬システム(1)において、
隣り合う運搬セグメント(5)が重なり合って実現されていることを特徴とする電磁式運搬システム。
【請求項9】
請求項1から8までのいずれか一つに記載の電磁式運搬システム(1)において、
前記の運搬区画(4)が、それぞれ二次元及び/又は一次元で実現されていることを特徴とする電磁式運搬システム。
【請求項10】
電磁式運搬システム(1)の運搬区間(3)に沿って移動可能に配置された一定数の運搬ユニット(2)の動きを制御する方法であって、この運搬区間(3)が、運搬区画(4)に分割されて、これらの運搬区画(4)がそれぞれ少なくとも一つの運搬セグメント(5)から構成される方法において、
運搬区画(4)に割り当てられた区画制御ユニット(40)に、それぞれ論理ネットワーク(34)を介して、論理ユニット(30)から、これらの一定数の運搬ユニット(2)の目的地(Z)を与えられることと、
区画制御ユニット(40)が、これらの一定数の運搬ユニット(2)に関して、対応する目的地(Z)から、それぞれ軌道区画(BA)を特定し、これらの軌道区画(BA)から目標値(sw)を特定して、セグメントネットワーク(45)を介して、対応するセグメント(5)のセグメントコントローラ(50)に伝送することと、
セグメントコントローラ(50)が、これらの目標値(sw)と既知の実際値(iw)を用いて、運搬セグメント(5)の駆動コイル(S)に電流を流して、運搬ユニット(2)の駆動磁石(M)と相互に作用する磁界を発生させて、これらの一定数の運搬ユニット(2)を動かすこととを特徴とする方法。
【請求項11】
請求項10に記載の方法において、
前記の区画制御ユニット(40)が区画ネットワーク(44)を介してデータを交換することを特徴とする方法。
【請求項12】
請求項11に記載の方法において、
セグメントコントローラ(45)が、セグメントネットワーク(45)を介して実際値(iw)を区画制御ユニット(4)に伝送することと、
区画制御ユニット(4)が区画ネットワーク(44)を介して実際値(iw)を伝送することとを特徴とする方法。
【請求項13】
請求項10から12までのいずれか一つに記載の方法において、
隣り合う運搬区画(4)の軌道区画(BA)が、運搬ユニット(2)の、不変の位置と速度と加速度とのうちの一つ以上を有することを特徴とする方法。
【請求項14】
請求項10から13までのいずれか一つに記載の方法において、
前記のセグメントコントローラ(50)が、対応する区画制御ユニット(40)に動作パラメータ及び/又は動作データを伝送することを特徴とする方法。
【請求項15】
請求項14に記載の方法において、
前記の区画制御ユニット(40)が、論理ユニット(30)に動作パラメータ及び/又は動作データを伝送することを特徴とする方法。
【請求項16】
請求項10から15までのいずれか一つに記載の方法において、
前記の区画制御ユニット(40)が、所与の最大値を遵守した形で目標値(sw)を特定することを特徴とする方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、運搬区間に沿って移動可能に配置された一定数の運搬ユニットを有する電磁式運搬システムであって、この運搬区間に沿って、駆動コイルが配置され、これらの運搬ユニットには、駆動磁石が配置され、この運搬区間が、運搬区画に分割されて、これらの運搬区画が、それぞれ少なくとも一つの運搬セグメントから構成され、これらの運搬区画には、それぞれ一つの区画制御ユニットが割り当てられ、これらの運搬セグメントには、それぞれ一つのセグメントコントローラが割り当てられている電磁式運搬システムに関する。更に、本発明は、電磁式運搬システムの運搬区間に沿って移動可能に配置された一定数の運搬ユニットの動きを制御する方法であって、この運搬区間が、運搬区画に分割されて、これらの運搬区画が、それぞれ少なくとも一つの運搬セグメントから構成される方法に関する。
【背景技術】
【0002】
長固定子リニアモーターや平面モーターなどの電磁式運搬システムの運搬区間は、例えば、特許文献1が長固定子リニアモーターに関して開示している通り、複数の区画に分割することができる。それらの区画は、部分領域に分割されて、部分領域毎にインバータが配備されている。更に、それらの区画には、それぞれ一つの制御ユニットが割り当てられて、その制御ユニットが、対応する部分領域のインバータを駆動して、各部分領域に電流を供給している。特許文献1には、区画の間での運搬ユニットの引き渡しの際に、運搬ユニットが領域内に在る制御ユニットをマスターとして定め、移動方向に在る制御ユニットをスレーブとして定めることが提案されている。そのマスターは、自身の部分領域とスレーブの部分領域に関する運搬ユニットの軌道を計画する。そのために、マスターは、リアルタイムインタフェースを介してスレーブを制御する。更に、上位の制御ユニットをマスターとして規定して、その制御ユニットが運搬ユニットの軌道を計画して、別のインタフェースを介して、下位の制御ユニットをスレーブとして制御することが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】欧州特許公開第3024128号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の課題は、簡単な手法で拡張可能な電磁式運搬システムを提示することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明では、この課題は、論理ネットワークを介して区画制御ユニットと接続され、この論理ネットワークを介して、一定数の運搬ユニットの目的地を区画制御ユニットに与えるように構成された論理ユニットを配備し、運搬区画の区画制御ユニットが、セグメントネットワークを介して、対応する運搬セグメントのセグメントコントローラと接続され、この目的地から、対応する運搬区画に関する軌道区画を特定し、この軌道区画を用いて目標値を特定して、セグメントネットワークを介してセグメントコントローラに伝送し、セグメントコントローラが、これらの目標値と生じた実際値を用いて、駆動コイルに電流を流し、運搬ユニットの駆動磁石と相互に作用する磁界を発生させて、一定数の運搬ユニットを動かすように構成されていることによって解決される。更に、この課題は、運搬区画に割り当てられた区画制御ユニットが、論理ネットワークを介して論理ユニットから一定数の運搬ユニットの目的地を与えられ、これらの区画制御ユニットが、一定数の運搬ユニットに関して、対応する目的地から、それぞれ軌道区画を特定し、これらの軌道区画から目標値を特定して、セグメントネットワークを介して対応するセグメントのセグメントコントローラに伝送し、セグメントコントローラが、これらの目標値と既知の実際値を用いて、運搬セグメントの駆動コイルに電流を流し、運搬ユニットの駆動磁石と相互に作用する磁界を発生させて、一定数の運搬ユニットを動かす方法によって解決される。
【0006】
そのために、任意の大きさの運搬区間を運搬区画に分割することができて、運搬区画毎に、一つの区画制御ユニットが配備される。従って、中央の箇所における運搬ユニットの全体的な軌道の計画が行われず、また、隣り合う二つの運搬区間の軌道区画の計画が一つのユニット上で行われるのではなく、運搬区間毎に軌道区画の計画が行われる。そのため、各区画制御ユニットによって計算される小さな軌道区画に運搬ユニットの軌道を分割することができる。それにより、これらは、それぞれ中央での軌道計画の場合又はマスター・スレーブ式軌道計画の場合よりも小さな計算能力を調達すればよいこととなる。本発明により、簡単かつ安価な手法で、長い運搬区間(それにより、長いルート、そのため(軌道区画に分割される)長い軌道)を有する長固定子リニアモーターを構築することができる。この軌道は、運搬ユニットのその時々の所在地から目的地までの一般的なルートを規定する。軌道区画は、その時々の所在地から(目的地が運搬区画の外に在る場合に)引渡場所までの一般的なルートを規定する。しかし、軌道を計画する場合、位置、速度、加速度に関する値、質量、力などの更に別の物理作用は考慮されない。
【0007】
それに対して、目標値は、軌道に沿った運搬ユニットの運動を規定し、そのため、例えば、予め規定された目標位置、目標速度、目標加速度を包含して、更に別の物理作用を考慮することができる。そのため、運搬ユニットの動きの時間的な推移が、目標値の時間的な推移(と実際値の相応の制御)から得られる。目標値を決定する際に、所与の限界値(最大値)も考慮することができる。
【0008】
更に、モジュール式構造によって、更に別の運搬区画とそれに対応する区画制御ユニットにより簡単な手法で運搬区間を拡張することが可能である。上位の論理ユニットは、論理ネットワークを介して一定数の運搬ユニットの目的地を区画制御ユニットに与える。この目的地は、関連する運搬ユニットの動作パラメータにも依存することができ、そのように、この目的地は、例えば、動作パラメータに基づき変えることができる。同様に、論理ユニットによって、運搬ユニットにより実行すべき更に別のプロセス工程を規定することができる。
【0009】
運搬ユニットの目的地は、軌道が目的地だけでなく、運搬ユニットのルートも規定するので、運搬ユニットの軌道と混同すべきではない。目的地が、異なる運搬区間を介して到達可能である場合、論理ユニットは、目的地に追加して、運搬区画のどの区画を通過すべきであるのかを与えることができるが、軌道自体を規定することはない。それにより、論理ユニットは、目的地の外に、或る程度は通過すべき運搬区画の形で里程標も規定する。
【0010】
分岐が運搬区画に設けられいる場合、それに対応する区画制御ユニットは、どの分岐線を使用すべきか(これが論理ユニットにより与えられていない場合に)を決めることもできる。目的地の方向に複数の平行な進路が運搬区画内に在り得る場合、区画制御ユニットは、同じくどの進路を使用すべきかを決めることができる。
【0011】
有利には、実際値を検出するために、センサーが運搬セグメントに配備される。それにより、実際値がセグメントで測定されて、セグメントコントローラに提供される。
【0012】
有利には、実際値は、運搬セグメントで生じる実際の電流及び/又は実際の力から構成される。特に有利には、実際値は、関連する運搬ユニットの実際の位置、実際の速度及び実際の加速度の中の一つ以上から構成される。有利には、目標値は、運搬セグメントに関する目標の電流、目標の力、関連する運搬ユニットに関する目標の位置、目標の速度及び目標の加速度の中の一つ以上から構成される。
【0013】
有利には、区画制御ユニットは、区画ネットワークを介して互いに接続されて、この区画ネットワークを介して、データ、有利には、実際値を伝送するように構成される。例えば、運搬ユニットが、第一の運搬区画から別の隣りの第二の運搬区画に伝送されると規定される場合、第一の運搬区画の区画制御ユニットが、運搬ユニットの改善された引き渡し及び引き受けを可能にするために、第二の運搬区画の区画制御ユニットにデータを伝送する。
【0014】
セグメントコントローラは、セグメントネットワークを介して実際値を区画制御ユニットに伝送するとともに、区画ネットワークを介して実際値を区画制御ユニットに伝送することができる。それにより、区画制御ユニットは、その運搬区画外における実際値に関する知見を取得して、例えば、到来する運搬ユニットとその引き受けに関して準備することができる。
【0015】
更に、複数のネットワークに分割することによって、個々のネットワークのサイクルタイムを低減することができ、それによって、更に、ネットワークの負荷を軽減し、それにより、より速いプロセスを実現することができる。
【0016】
区画ネットワークは、有利には、設定可能なサイクルタイムを有するリアルタイムネットワーク又はポイントツーポイントネットワークとして構成することができる。区画ネットワークは、それ以外の形式のアナログ又はデジタルインタフェースとして構成することもできる。
【0017】
セグメントネットワークは、有利には、設定可能なサイクルタイムを有するリアルタイムネットワーク又はポイントツーポイントネットワークとして構成することができる。セグメントネットワークは、それ以外の形式のアナログ又はデジタルインタフェースとして構成することもできる。
【0018】
有利には、論理ネットワークは、非リアルタイムネットワークとして、有利には、イーサネットワークとして構成される。目的地の付与は、軌道区画の計画と比べて、高い計算能力を必要としないので、論理ネットワークに関しては、区画ネットワーク及び/又はセグメントネットワークほどの高い性能を必要としない。
【0019】
隣り合う運搬セグメントは、重なり合う形で実現することができ、それにより、冗長性が生み出されて、更に、運搬ユニットの最適な引き渡しが可能となる。
【0020】
運搬区画は、それぞれ二次元及び/又は一次元で実現することができる。特に、この電磁式運搬システムは、長固定子リニアモーターとして、平面モーターとして、或いは、例えば、運搬区画の一部を長固定子リニアモーターとして実現し、運搬区画の別の部分を平面モーターとして実現することによって長固定子リニアモーターと平面モーターの組合せとして実現することができる。
【0021】
隣り合う運搬区画の軌道区画は、運搬ユニットの不変の位置、速度及び加速度の中の一つ以上を有することができ、それにより、隣り合う運搬区画の間の不変の引き渡しを実行することができる。言い換えると、運搬ユニットに関する軌道区画が、総じて運搬ユニットの位置、速度及び加速度の中の一つ以上が不変である軌道を生じさせる。
【0022】
セグメントコントローラは、それに対応する区画制御ユニットに運搬ユニットの動作パラメータ及び/又は動作データを伝送することができ、その際、区画制御ユニットは、これらの動作パラメータ及び/又は動作データを論理ユニットに伝送することができる。
【0023】
有利には、区画制御ユニットは、所与の最大値を遵守する形で軌道区画を特定する。区画制御ユニットによって、直に目標値を特定することもでき、このことは、又もや最大値を遵守する形で行うことができる。最大値の遵守は、中央で計画される軌道と同様に行うことができ、本発明の範囲内では、最大値は、中央で計画される軌道の代わりに、軌道区画に関して考慮される。
【0024】
以下において、本発明の有利な実施例を模式的に、本発明を制限しない形で図示する
図1~4を参照して、本発明を詳しく説明する。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図2】運搬区画への運搬区間の分割と運搬セグメントへの運搬区画の分割の模式図
【
図3】セグメントコントローラから区画制御ユニットへの実際値の伝送の模式図
【
図4】区画制御ユニットから隣りの区画制御ユニットへの実際の引き渡しの模式図
【発明を実施するための形態】
【0026】
図1は、電磁式運搬システム1として、非常に簡単な運搬区間3から構成される長固定子リニアモーター1の例を図示している。ここでは、運搬区間3が単に一つの閉じたループを示すが、当然のことながら、任意の分岐した運搬区間3も考え得る。この運搬区間1に沿って移動可能に配置され、ここでは、単に例として時計回りに動かされる一定数の運搬ユニット2が配備されている。駆動コイルSが運搬区間3に沿って配置されており、それに対して、駆動磁石Mが運搬ユニット2に配置されている。駆動コイルSに電流を流すことによって、運搬ユニット2の駆動磁石Mと協力して作用する、運搬区間3に沿って動く磁界が生成されて、運搬ユニットを運搬区間3に沿って動かす。運搬区間3は、用途と必要に応じて、任意の形状にするとともに、閉じた区間区画及び/又は開いた区間区画から構成することができる。運搬区間3は、平面内に存在しなければならないのではなく、空間内に任意に敷設することができる。また、少なくとも運搬区間3の一部に渡って両側又は複数の側に、駆動コイルSを配置することができる。同様に、駆動磁石Mは、運搬ユニット2の両側又は複数の側に配置することができる。長固定子リニアモーターの基本的な構造及び動作原理は、十分に既知であり、その結果、ここでは、これに更に立ち入らない。
【0027】
同様に、例えば、平面モーターを電磁式運搬システム1として配備することができる。平面モーターは、基本的に一次元の運搬区間3を有する長固定子リニアモーターと異なり、二次元の運搬区間3を有し、そのため、運搬面と呼ぶこともできる。駆動コイルSは、運搬区間3内を二次元に動かすことができる磁界を発生させるために、二次元の運搬区間3に分散して配置される。駆動磁石Mは、有利には、駆動コイルの磁界と協力して作用して、運搬ユニット2を運搬区間3内に動かすために、同じく運搬ユニット2に二次元に分散して配置される。駆動コイルSと駆動磁石Mは、有利には、運搬区間3により規定される軸(yz面内のy軸及びz軸)に沿った一次元の動きの外に、運搬区間3内の運搬ユニットの複雑な二次元の動きも可能であるように配置される。基本的に、二次元の運搬区間3内での一次元の動きだけを規定することも可能である。この場合、駆動磁石Mと駆動コイルSを単に一次元に配置することもできる。平面モーターの基本的な動作方式及び構造も基本的に既知であり、そのため、ここでは、その詳細に立ち入らない。
【0028】
本発明は、以下において、基本的に一次元の運搬区間3に関して規定するが、例えば、平面モーターなどの二次元の運搬区間3を有する、それ以外の電磁式運搬システムに関しても成り立つ。電磁式運搬システム1は、一次元である第一の数の運搬区画4と二次元である第二の数の運搬区画4から構成することもできる。
【0029】
図2には、図面を簡略化することだけを目的として、複数(ここでは、三つ)の運搬区画4に分割された平坦な運搬区間3が図示されている。これらの運搬区画4は、又もや一定数(ここでは、三つ)の運搬セグメント5に分割されており、運搬セグメント5の数は、運搬区画4の間で変えることができる。運搬区画4は、分岐した運搬セグメント5及び/又は平行な運搬セグメント5から構成することもできる。運搬セグメント5は、それぞれ運搬区間3に沿って動き回る磁界を発生させるために、運搬セグメント5に属するセグメントコントローラ50によって(それぞれコイル電流iとして表示された)電流を流される(
図2では、見易くするために図示されていない)駆動コイルSを有する。当然のことながら、一つの運搬セグメント5は、二つ以上の駆動コイルSを有することもできる。運搬セグメント5に生じる実際値iwは、セグメントコントローラ50には既知である。例えば、対応する運搬セグメント5内に在る運搬ユニット2の実際の位置、実際の速度及び実際の加速度と運搬セグメントに生じる実際の電流、実際の電圧、実際の力などの中の一つ以上を実際値iwとして検出することができる。そのために、運搬セグメント5には、それぞれセンサーを、例えば、実際の位置を検出する(磁気式)位置センサーを配備することができる。セグメントコントローラ50は、目標値swを与えられ、それに対応して、実際値iwを目標値swに適合させるために、制御量(例えば、駆動コイルSのコイル電流i又はコイル電圧)が与えられる。
【0030】
同様に、ステータス情報(運搬ユニット2の識別番号、運搬ユニット2の動作時間、運搬ユニット2の保守データ、運搬ユニット2の負荷状態、運搬ユニット2のツール番号、処理順序、運搬ユニット2に載せられた製品に関するデータ等)などの動作データ及び/又は動作パラメータが、セグメントコントローラ50において既知であるとすることができる。
【0031】
従来技術では、全体的な軌道、そのため目標値の計算と付与のために、中央の軌道計画ユニットがしばしば配置されて、このユニットが、所望の軌道を作り出すために、目標値を全てのセグメントコントローラ50に伝送している。
【0032】
本発明では、運搬区画4には、それぞれ区画制御ユニット40が割り当てられている。区画制御ユニット40は、例えば、蓄積プログラム制御部(SPS,PLC)として、或いはコンピュータとして実現することができる。中央論理ユニット30が配備されて、このユニットが、対応する区画制御ユニット40に論理ネットワーク34を介して運搬ユニット2の目的地Zを与える。更に、論理ネットワーク34を介して、論理ユニット30から、別の論理機能、例えば、ロード活動などの実行すべき動作を区画制御ユニット40に与えることもできる。これらの論理機能は、各運搬ユニットの動作データ及び/又は動作パラメータに依存して実行することもできる。
【0033】
この目的地Zが複数の運搬区画4を介して到達可能である場合、論理ユニット30は、どの運搬区画4からどの運搬区画4に運搬ユニット2を引き渡すのかを運搬区画4に与えることができる。各運搬ユニット2の目的地Zは、動作パラメータ/動作データに依存して決定することもできる。それにより、区画制御ユニット40は、論理ユニット30が介入する必要無しに、対応する動作パラメータ/動作データに依存して、どの運搬区画に運搬ユニット2を引き渡すのかを決めることができる。
【0034】
論理ユニット30は、区画制御ユニット40に目的地Zを与えることによって、運搬ユニット2の動きを制御する。
【0035】
区画制御ユニット40は、論理ユニット30から与えられた目的地Zに基づき、対応する運搬区画4内に在る個々の運搬ユニット2の軌道区画BAを特定する。この軌道区画BAは、運動プロファイルに相当して、隣りの運搬区画4にまで達することができる。この隣りの運搬区画4以降において、又もや対応する区画制御ユニット40が対応する軌道区画BAを計画することができる。有利には、隣り合う運搬区画4の間における軌道区画BAの不変の移行を規定することができる。軌道区画BAに基づき、運搬区画4内に在る運搬ユニット2に関する目標値swが特定されて、セグメントネットワーク45を介して、対応するセグメントコントローラ50に伝送される。例えば、対応する運搬セグメント5内に在る運搬ユニット2に関する目標の位置、目標の速度及び目標の加速度の中の一つ以上、目標の電流、目標の力などを目標値swとして与えることができる。そのため、運搬区画4への目標値swの付与によって、対応する軌道区画BAを規定することができる。
【0036】
この場合、
図2における個々の目標値swは、同じ符号idRを有するが、当然のことながら、同じではなく、区画制御ユニット40によって個々に特定されることに留意すべきである。当然のことながら、コイル電流iは、同様に同じ符号idRにも関わらず同じではなく、むしろ各目標値swに依存する。しかし、論理ユニット30により与えられる目的地Zは、基本的に区画制御ユニット40に関して画一的であり、当然のことながら、個々の運搬ユニット2の間で目的地Zが異なるようにすることができる。
【0037】
全体的な軌道を目的地Zから特定するのではなく、区画制御ユニット40に基づき、それぞれ軌道区画BAだけを特定すればよいことによって、全体的な軌道を特定する場合よりも必要な計算能力が遥かに小さくなる。即ち、軌道の特定が、基本的に軌道区画BAの特定に分割される。
【0038】
有利には、セグメントネットワーク45のサイクルタイムは、設定可能であり、関連する運搬区画40の大きさと下位の運搬セグメントの数に適合させることができる。
【0039】
別のプロセス工程を与えるために、論理ユニット30によって、目的地Zの外に、論理機能を与えることもできる。これらの論理機能は、例えば、コンフィグレーションの形で区画制御ユニット40に引き渡すことができ、これらのユニットは、論理機能を実行するために、運搬ユニット2の軌道区画BAの計算時に、例えば、動作パラメータ/動作データに依存して、そのための指示を運搬ユニット2に与えることができる。
【0040】
図3に図示されている通り、区画ネットワーク44を介して、区画制御ユニット40を互いに接続することができ、それにより、区画制御ユニット40の間でデータを伝送することができる。区画ネットワーク44を介して、特に、隣りの区画制御ユニット40に、特に、実際値iw、既知の動作データ及び既知の動作パラメータの中の一つ以上をデータとして伝送することができる。そのために、実際値iw、既知の動作データ及び既知の動作パラメータの中の一つ以上は、セグメントネットワーク45を介して、セグメント制御ユニット50から上位の区画制御ユニット40に伝送されると規定することができる。
図3には、区画ネットワーク44及びセグメントネットワーク45が個別接続部として図示されているが、これらは、当然のことながら、バス等として実現することもできる。
【0041】
運搬ユニット2は、運搬区間3に沿って動かすことができ、異なる運搬区画2も通過又は到達することができる。そのため、運搬区画の間で運搬ユニット2の引き渡しが行われる。
【0042】
特に、運搬ユニット2の安全な引き渡し及び引き受けを保証するために、引き渡す側の運搬区画4に属する区画制御ユニット40から引き受け側の運搬区画4に属する区画制御ユニット40にデータを引き渡すことができる。
【0043】
図4には、第一の運搬区画4’から第二の運搬区画4’’への運搬ユニット2の引き渡しが図示されており、第一の運搬区画4’の第一の運搬セグメント5’と第二の運搬区画4’’の第二の運搬セグメント5’’だけが図示されている。この運搬ユニット2は、第一及び第二の運搬セグメント5’,5’’が、そのため第一と第二の運搬区画4’,4’’も重なり合う引渡領域U内に在る。第一のセグメントネットワーク45’を介して、第一の運搬セグメント5’に割り当てられた第一のセグメントコントローラ50’と接続された第一の区画制御ユニット40’が第一の運搬区画4’に割り当てられ、第二のセグメントネットワーク45’’を介して、第二の運搬セグメント5’’に割り当てられた第二のセグメントコントローラ50’’と接続された第二の区画制御ユニット40’’が第二の運搬区画4’’に割り当てられている。
【0044】
運搬ユニット2は、引渡領域U内において、二つの運搬区画4’,4’’のセグメントコントローラ50’,50’’によって駆動するか、或いは初めは第一のセグメントコントローラ50’により、次に第二のセグメントコントローラ50’’によって駆動することができる。両方の場合に、第一の区画制御ユニット4’が、目的地Zに基づき、第一の目標値sw’を特定して、第一のセグメントコントローラ50’に伝送することができる。セグメントコントローラ50’は、受け取った第一の目標値sw’と既存の(例えば、センサーに基づき検出した)第一の実際値iw’を出発点として、第一の運搬セグメント5’の駆動コイルに電流を流すための制御量を運搬セグメント5に提供する。ここでは、第一のコイル電流i’が制御量として規定されているが、例えば、コイル電圧などの別の制御量も考え得る。運搬ユニット2が第一の運搬区画4’を離れると、第一の目標値sw’の計算を終了することができる。
【0045】
実際値iw及び/又は動作データ/動作パラメータが第一の運搬区画4’から第二の運搬区画4’’に引き渡されると規定することができる。そのために、実際値iw及び/又は動作データ/動作パラメータは、第一のセグメントコントローラ50’から第一のセグメントネットワーク45’を介して第一の区画制御ユニット40’に伝送され、このユニットは、区画ネットワーク44を介して第二の区画制御ユニット40’’に実際値iw’を伝送する。
【0046】
引渡領域U内において、それぞれ一方のセグメントコントローラ50’,50’’だけが運搬ユニット2を制御すると規定される場合、第一のセグメントコントローラ50’が第一の実際値iw’をその区画制御ユニット40’に伝送し、この区画制御ユニットが、又もや区画ネットワーク44を介して第一の実際値iw’を第二の区画制御ユニット40’に伝送し、この第二の区画制御ユニットが、その実際値を第二のセグメントコントローラ50’’にも伝送できるようにすることによって、制御するセグメントコントローラ50’,50’’の交替を実行することができる。第二の区画制御ユニット40’’の第一の実際値iw’は事前に既知であるので、第二の運搬区画4’’への運搬ユニット2の迅速な引き渡しを行うことができる。第二の区画制御ユニット40’’は、運搬ユニット2の引き受けのために、事前に第一の実際値iw’に基づき第二の目標値sw’’を準備しておくことができる。そのため、第二の運搬コントローラ50’’は、第二の実際値iw’’を第二の目標値sw’’に適合させるために、第二の目標値sw’’を用いて、第二の制御量(例えば、第二のコイル電流i’’)を相応に与えるように準備しておき、引き渡しの際に第二の制御量を直ちに与えることができる。それに続いて、軌道区画BAが、第二の区画制御ユニット40’’によって、目的地に基づき計算されて、第二の目標値sw’’が特定され、第二のセグメントコントローラ50’’に与えられ、このコントローラは、更に、第二の実際値iw’’を第二の目標値sw’’に適合させるために第二の制御量を与える。
【0047】
実際値iw’は、必要な場合に、第二の運搬セグメント5’’に合った実際値iw’’に換算することができる。これは、第一の区画制御ユニット40’における区画ネットワーク44を介した実際値iw’の本来の引き渡しの前に、或いは第二の区画制御ユニット40’’における実際値iw’の受信後に行うことができる。
【0048】
引き渡しの実行後には、第二の区画制御ユニット40’’において既に軌道区画BAが作り出されているので、第一の区画制御ユニット40’において、軌道区画BAを削除することができる。運搬ユニット2が第二の運搬区画4’’に到来することは、論理ネットワーク34を介して論理ユニット30から、区画ネットワーク44を介して第一の区画制御ユニット40’から、或いはその両方から第二の区画制御ユニット40’’に通報することができる。それにより、第二の区画制御ユニット40’’は、運搬ユニット2の受け入れに対して準備することができる。更に、論理ネットワーク34を介して論理ユニット30から、区画ネットワーク44を介して第一の区画制御ユニット40’から、或いはその両方から、到来する運搬ユニット2の位置及び/又は速度を第二の区画制御ユニット40’’に伝送することができる。
【0049】
引渡領域U内において、第一のセグメントコントローラ50’と第二のセグメントコントローラ50’’の両方が運搬ユニット2を少なくとも部分的に制御すると規定される場合、第二の実際値iw’’は、当然のことながら、第二の区画制御ユニット40’’には既に知られており、それにより、このユニットは、直に第二の軌道区画BAを計算し、その軌道区画から目標値sw’’を計算して、第二のセグメントコントローラ50’’に伝送することができる。更に、実際値iw’が区画ネットワーク44を介して第二の区画制御ユニット40’’に伝送されるとともに、第二のセグメントコントローラ50’’の実際値iw’’が既に第二の区画制御ユニット40’’で得られている場合、これは、冗長的な情報と見做すことができ、それにより、例えば、誤りを検出することができる。
【0050】
運搬ユニット2は、引き渡し中、静止状態にあるとすることができる。しかし、運搬ユニット2の如何なる任意の速度においても、引き渡しを行うことができる。
【0051】
運搬区間3の分岐(即ち、転轍機)が引渡領域U内に在る場合、特定された軌道区画BAに対応して規定された分岐が行わるように、運搬ユニット2を反発及び/又は吸引するために、分岐領域内に在る駆動セグメント4の駆動コイルSによって、推進力に追加して、横方向の力も加えられる。
【0052】
論理ユニット30、区画制御ユニット40及びセグメントコントローラ50の中の一つ以上は、マイクロプロセッサベースのハードウェア、例えば、コンピュータ又はデジタルシグナルプロセッサ(DSP)から構成することができ、その上で、相応のソフトウェアが、各機能を実現するために実行される。論理ユニット30、区画制御ユニット40及びセグメントコントローラ50の中の一つ以上は、マイクロプロセッサも備えた集積回路、例えば、特定用途向け集積回路(ASIC)又は利用者プログラム可能なゲートアレー(FPGA)から構成することもできる。しかし、論理ユニット30、区画制御ユニット40及びセグメントコントローラ50の中の一つ以上は、アナログ回路又はアナログコンピュータから構成することもできる。それらの混合形態も考えられる。同様に、同じハードウェアに異なる機能を実装することが可能である。
【手続補正書】
【提出日】2022-09-21
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
運搬区間(3)に沿って移動可能に配置された一定数の運搬ユニット(2)を有する電磁式運搬システム(1)であって、駆動コイル(S)が運搬区間(3)に沿って配置され、駆動磁石(M)が運搬ユニット(2)に配置され、運搬区間(3)が運搬区画(4)に分割され、運搬区画(4)が、それぞれ少なくとも一つの運搬セグメント(5)から構成され、運搬区画(4)には、それぞれ一つの区画制御ユニット(4)が割り当てられ、運搬セグメント(5)には、それぞれ一つのセグメントコントローラ(50)が割り当てられている電磁式運搬システムにおいて、
論理ネットワーク(34)を介して区画制御ユニット(40)と接続された論理ユニット(30)が、配備されて、論理ネットワーク(34)を介して、これらの一定数の運搬ユニット(2)の目的地
(Z)を区画制御ユニット(40)に与えるように構成されていることと、
運搬区画(4)の区画制御ユニット(40)が、セグメントネットワーク(45)を介して、対応する運搬セグメント(5)のセグメントコントローラ(50)と接続されていて、対応する運搬区画(4)に関する目的地(Z)から、対応する運搬区画(4)内に在る運搬ユニット(2)に関する軌道区画(BA)を特定し、この軌道区画(BA)を用いて、対応する運搬区画(4)内に在る運搬ユニット(2)に関する目標値(sw)を特定して、これらの目標値(sw)をセグメントネットワーク(45)を介して対応するセグメントコントローラ(50)に伝送するように構成されていて、
軌道区画(BA)は、運搬ユニット(2)のその時々の所在地から、目的地(Z)が運搬区画(4)外に在る場合には隣り合う運搬区画(4)の間の引渡位置までの、目的地(Z)が運搬区画(4)内に在る場合には目的地(Z)までの一般的なルートを規定し、
セグメントコントローラ(50)が、目標値(sw)と生じた実際値(iw)を用いて、駆動コイルに電流を流して、運搬ユニット(2)の駆動磁石(M)と相互に作用する磁界を発生させて、これらの一定数の運搬ユニット(2)を動かすように構成されていることとを特徴とする電磁式運搬システム。
【請求項2】
請求項1に記載の電磁式運搬システム(1)において、
前記の運搬セグメント(5)には、実際値
(iw)を検出するために、センサーが配備されていることを特徴とする電磁式運搬システム。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の電磁式運搬システム(1)において、
前記の実際値(iw)が、実際の電流、実際の力、実際の位置、実際の速度及び実際の加速度の中の一つ以上から構成されることと、
前記の目標値(sw)が、目標の電流、目標の力、目標の位置、目標の速度及び目標の加速度の中の一つ以上から構成されることとを特徴とする電磁式運搬システム。
【請求項4】
請求項1から3までのいずれか一つに記載の電磁式運搬システム(1)において、
前記の区画制御ユニット(40)が、区画ネットワーク(44)を介して互いに接続されて、この区画ネットワーク(44)を介して、データを、有利には、実際値
(iw)を伝送するように構成されていることを特徴とする電磁式運搬システム。
【請求項5】
請求項4に記載の電磁式運搬システム(1)において、
前記の区画ネットワーク(44)が、有利には、サイクルタイムを設定可能であるリアルタイムネットワーク又はポイントツーポイントネットワークであることを特徴とする電磁式運搬システム。
【請求項6】
請求項1から5までのいずれか一つに記載の電磁式運搬システム(1)において、
前記のセグメントネットワーク(45)が、有利には、サイクルタイムを設定可能であるリアルタイムネットワークであることを特徴とする電磁式運搬システム。
【請求項7】
請求項1から6までのいずれか一つに記載の電磁式運搬システム(1)において、
前記の論理ネットワーク(34)が、非リアルタイムネットワーク、有利には、イーサネットワークであることを特徴とする電磁式運搬システム。
【請求項8】
請求項1から7までのいずれか一つに記載の電磁式運搬システム(1)において、
隣り合う運搬セグメント(5)が重なり合って実現されていることを特徴とする電磁式運搬システム。
【請求項9】
請求項1から8までのいずれか一つに記載の電磁式運搬システム(1)において、
前記の運搬区画(4)が、それぞれ二次元及び/又は一次元で実現されていることを特徴とする電磁式運搬システム。
【請求項10】
電磁式運搬システム(1)の運搬区間(3)に沿って移動可能に配置された一定数の運搬ユニット(2)の動きを制御する方法であって、この運搬区間(3)が、運搬区画(4)に分割されて、これらの運搬区画(4)がそれぞれ少なくとも一つの運搬セグメント(5)から構成される方法において、
運搬区画(4)に割り当てられた区画制御ユニット(40)に、それぞれ論理ネットワーク(34)を介して、論理ユニット(30)から、これらの一定数の運搬ユニット(2)の目的地(Z)が与えられることと、
区画制御ユニット(40)が、これらの一定数の運搬ユニット(2)に関して、
それぞれ対応する運搬区画に関する対応する目的地(Z)から、それぞれ
この対応する運搬区画(4)内に在る運搬ユニット(2)に関する軌道区画(BA)を特定し、
軌道区画(BA)は、各運搬ユニット(2)のその時々の所在地から、目的地(Z)が運搬区画(4)外に在る場合には隣り合う運搬区画(4)の間の引渡位置までの、目的地(Z)が運搬区画(4)内に在る場合には目的地(Z)までの一般的なルートを規定し、
これらの軌道区画(BA)から
、この対応する運搬区画(4)内に在る運搬ユニット(2)に関する目標値(sw)を特定して、
これらの目標値(sw)を、セグメントネットワーク(45)を介して、対応するセグメント(5)のセグメントコントローラ(50)に伝送することと、
セグメントコントローラ(50)が、これらの目標値(sw)と既知の実際値(iw)を用いて、運搬セグメント(5)の駆動コイル(S)に電流を流して、運搬ユニット(2)の駆動磁石(M)と相互に作用する磁界を発生させて、これらの一定数の運搬ユニット(2)を動かすこととを特徴とする方法。
【請求項11】
請求項10に記載の方法において、
前記の区画制御ユニット(40)が区画ネットワーク(44)を介してデータを交換することを特徴とする方法。
【請求項12】
請求項11に記載の方法において、
セグメントコントローラ(45)が、セグメントネットワーク(45)を介して実際値(iw)を区画制御ユニット(4)に伝送することと、
区画制御ユニット(4)が区画ネットワーク(44)を介して実際値(iw)を伝送することとを特徴とする方法。
【請求項13】
請求項10から12までのいずれか一つに記載の方法において、
隣り合う運搬区画(4)の軌道区画(BA)が、運搬ユニット(2)の、不変の位置と速度と加速度とのうちの一つ以上を有することを特徴とする方法。
【請求項14】
請求項10から13までのいずれか一つに記載の方法において、
前記のセグメントコントローラ(50)が、対応する区画制御ユニット(40)に動作パラメータ及び/又は動作データを伝送することを特徴とする方法。
【請求項15】
請求項14に記載の方法において、
前記の区画制御ユニット(40)が、論理ユニット(30)に動作パラメータ及び/又は動作データを伝送することを特徴とする方法。
【請求項16】
請求項10から15までのいずれか一つに記載の方法において、
前記の区画制御ユニット(40)が、所与の最大値を遵守した形で目標値(sw)を特定することを特徴とする方法。
【国際調査報告】