(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-11-02
(54)【発明の名称】中空シャフトのためのセルフロッククランプシステム
(51)【国際特許分類】
B23B 31/117 20060101AFI20231026BHJP
B23Q 3/12 20060101ALI20231026BHJP
【FI】
B23B31/117 601E
B23Q3/12 C
【審査請求】未請求
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2023518500
(86)(22)【出願日】2021-10-15
(85)【翻訳文提出日】2023-03-22
(86)【国際出願番号】 EP2021078617
(87)【国際公開番号】W WO2022079241
(87)【国際公開日】2022-04-21
(31)【優先権主張番号】102020127366.5
(32)【優先日】2020-10-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】520065097
【氏名又は名称】ダブリュティーオー フェルモーゲンスファーヴァルタン ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】シュミーダー、マルクス
(72)【発明者】
【氏名】ヤンセン、カールハインツ
【テーマコード(参考)】
3C016
3C032
【Fターム(参考)】
3C016FA23
3C016FA24
3C032AA05
3C032GG07
(57)【要約】
中空シャフトのアダプタのセルフロッククランプシステムを提案した。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
中空シャフト(5)のクランプ装置であって、特に円形又は多角形の外側輪郭を有する前記中空シャフトのテーパが、1つ以上のクランプセグメント(25)及び前記クランプセグメント(25)と協働するテンションボルト(13)を備え、前記クランプセグメント(25)が、外側で前端(FE)に前クランプ爪(31)と、前記テンションボルト(13)と協働する内側で前ラグ(27)とを有し、前記クランプセグメント(25)が、外側で後端(RE)に後クランプ爪(41)と、前記テンションボルト(13)と協働する内側で後ラグ(29)とを有し、クランプ位置において、前記クランプセグメント(25)の前記前クランプ爪(31)が、前記中空シャフト(5)のクランプ溝(7)に嵌合し、前記後クランプ爪(41)が、内側円錐部(43)に押し付けられ、開放位置で、前記前クランプ爪(31)が、前記中空シャフト(5)の前記クランプ溝(7)で嵌合し又は嵌合せず、軸方向の変位により、前記テンションボルト(13)が、前記クランプセグメント(25)を、前記クランプ位置から前記開放位置へ、及び前記開放位置から前記クランプ位置へ移動させ、前記クランプセグメント(25)が、前記開放位置から前記クランプ位置への移動に間に第1のピボット移動を行うことにより、前記クランプセグメント(25)の前記前クランプ爪(31)が、前記クランプ溝(7)で確実なロック方法で嵌合し、前記クランプセグメント(25)のその後の第2のピボット移動のためのジョイントを形成し、前記第2のピボット移動の間に前記クランプセグメント(25)の前記後ラグ(29)が、前記テンションボルト(13)の第3の円錐部(109)を摺動し、隣接する部品またはスピンドル(37)の前記内側円錐部(43)に前記クランプセグメント(25)の前記後クランプ爪(41)を押し付け、前記クランプセグメント(25)を軸方向でクランプし、前記第2のピボット移動に続く前記テンションボルト(13)のさらなる軸方向の移動の間に、前記クランプセグメント(25)の前記後ラグ(29)が、前記テンションボルト(13)の第2の円錐部(107)を摺動することにより、前記クランプセグメント(25)と前記テンションボルト(13)との間にセルフロック効果が生じることを特徴とするクランプ装置。
【請求項2】
第1の円筒部(101)と、第1の円錐部(103)と、第2の円筒部(105)と、前記第2の円錐部(107)と、前記第3の円錐部(109)と、第3の円筒部(111)とが、前記前端(FE)を始点として、前記テンションボルト(13)に連続的に形成されることを特徴とする請求項1に記載のクランプ装置。
【請求項3】
前記第2の円錐部(107)の傾斜角は、前記クランプセグメント(25)と前記テンションボルト(13)の接触面の対の摩擦係数(μ)の逆正接(アークタンジェント)よりも5°以下であることを特徴とする請求項1または2に記載のクランプ装置。
【請求項4】
前記第2の円錐部(107)の傾斜角度は、3°から5°の範囲にあることを特徴とする請求項1~3の何れか一項に記載のクランプ装置。
【請求項5】
前記第1の円錐部(103)の傾斜角度および/または前記第3の円錐部(109)の傾斜角度は、30°から60°の範囲にあることを特徴とする、請求項1~4の何れか一項に記載のクランプ装置。
【請求項6】
前記第1の円錐部(103)の傾斜角度および/または前記第3の円錐部(109)の傾斜角度は、45°であることを特徴とする請求項5に記載のクランプ装置。
【請求項7】
前記第2の円錐部(107)および前記第3の円錐部(109)は、直径変化を伴わずに、かつ中間円筒部を伴わずに、互いに結合されることを特徴とする、請求項1~6の何れか一項に記載のクランプ装置。
【請求項8】
前記前端(FE)を始点として、前記クランプセグメント(25)の前記前ラグ(27)は、前記第1の円錐部(103)の傾斜角に適合する第1の接触面(121)と、前記第1の円筒部(101)に適合する第2の接触面(123)とを有することを特徴とする請求項1~7の何れか一項に記載のクランプ装置。
【請求項9】
前記クランプセグメント(25)の前記後ラグ(29)は、前記第3の円錐部(109)の傾斜角に適合した第3の接触面(129)を有することを特徴とする、請求項1~8の何れか一項に記載のクランプ装置。
【請求項10】
前記クランプセグメント(25)の前記後ラグ(29)は、前記第2の円錐部(107)の傾斜角に適合した第4の接触面(131)を有することを特徴とする請求項1~9の何れか一項に記載のクランプ装置。
【請求項11】
前記後クランプ爪(41)は、第5の接触面(133)を有し、前記第5の接触面(133)が前記内側円錐部(43)の傾斜角に適合することを特徴とする請求項1~10の何れか一項に記載の挟持装置。
【請求項12】
前記内側円錐部(43)の傾斜角、及び/又は前記クランプセグメント(25)の前記第5の接触面(133)の傾斜角は、20°から45°の範囲にあり、好ましくは30°又は35°であることを特徴とする請求項1~11の何れか一項に記載のクランプ装置。
【請求項13】
前記クランプセグメント(25)は、それらが前記第1の円錐部(103)から前記第1の円筒部(101)に摺動できない場合に、軸方向に偏向させることができるように、ばね式の中間ディスク(47)に対して、または圧縮ばねに対して直接的に、後端で支持されることを特徴とする、請求項1~12の何れか一項に記載のクランプ装置。
【請求項14】
前記テンションボルト(13)の前記前端(FE)にストップディスク(11)を設けたことを特徴とする請求項1~13の何れか一項に記載のクランプ装置。
【請求項15】
前記第1の円筒部(101)は、小さな大きさの負の傾斜角αを有することを特徴とする請求項2~14の何れか一項に記載のクランプ装置。
【請求項16】
前記中間ディスク(47)は、前記クランプセグメント(25)に対向する側に円錐台(142)に形成されていることを特徴とする請求項13~15の何れか一項に記載のクランプ装置。
【請求項17】
前記クランプセグメント(25)は、少なくとも一部の領域で、後端で面取り部(141)を有することを特徴とする請求項13~16の何れか一項に記載のクランプ装置。
【請求項18】
前記テンションボルト(13)に、前記クランプセグメント(25)のためのストップとして機能するオフセット(48)が形成されていることを特徴とする、請求項1~17の何れか一項に記載のクランプ装置。
【請求項19】
前記内側円錐部(43)が、前記隣接する部品または前記スピンドル(37)に一体化されるか、または別個の構成要素として設計されることを特徴とする、請求項1~18の何れか一項に記載のクランプ装置。
【請求項20】
前記クランプ装置は、被駆動の又は固定された工具ホルダの一部であることを特徴とする請求項1~19の何れか一項に記載のクランプ装置。
【請求項21】
前記クランプ装置は、旋盤のタレットに用いられることを特徴とする請求項1~20の何れか一項に記載のクランプ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
例えばISO 12164又はISO 26623に従った、中空シャフト及び相補的な形状のセンタリングマウントを備えたクランプシステムは、長年にわたって市場に出回っていることが証明されている。
【背景技術】
【0002】
なかでも、それらは、被駆動のまたは固定された工具ホルダに使用されている。そして、センタリングマウントとクランプシステムは、駆動ツールホルダのスピンドルまたはツールホルダのハウジングに一体化されている。中空シャフトは、ドリル、旋盤工具または他の工具を運ぶアダプタの一部である。
【0003】
このような中空シャフトをクランプするための公知のクランプシステムは、多数のクランプセグメントからなるコレットを備えている。クランプセグメントは、テンションボルトの周囲に配置される。クランプセグメントに対するテンションボルトの軸方向の移動は、それらを径方向外側に強制する。これは、最初、クランプセグメントの前端の中空シャフトとの確実なクランプ嵌合をもたらす。テンションボルトをさらに動かすと、軸方向のクランプ力が発生し、このクランプ力は、アダプタの中空シャフトに作用し、アダプタがセンタリングマウントに引っ張られるようになる。このようなクランプシステムの一例は、欧州特許EP 2 164 662号から知られている。
【0004】
このようなクランプシステムはセルフロックではない。その結果、クランプ力を維持するために、ツールホルダの動作中、作動力が常にクランプシステムに作用しなければならない。そうしないと、クランプシステムが外れてしまう。
【0005】
これは、特に駆動工具ホルダの回転スピンドルの油圧クランプシステムで実現するのが非常に困難である。作動力およびその結果としてのクランプ力が、ツールホルダに配置されたばねによって加えられる場合、これは、設置スペースに対する要求の増大を表わす。さらに、テンションばねの力も克服しなければならないので、クランプシステムを開放するのに必要な力はより大きくなる。
【0006】
セルフロック機構を持つクランプ装置は欧州特許EP 1 924 379 B1号から知られている。クランププロセスは、それ自体公知の方法でクランプ爪5と協働するクランプヘッド6によって実行される。クランプヘッド6の前にはテンションボルト4が取り付けられており、このテンションボルトは、クランプ装置をクランプ又は開放するために、作動装置によって軸方向に移動される。テンションボルト4とクランプチャック6との間には、2ピースのドロートング7とクランプスリーブ11とが設けられている。テンションの付与中、テンションボルト4のオフセット15がテンショントング7の内側カラーに接触し、テンションボルト4の動きがテンショントング7を介して直接テンションヘッド6に伝達されるようにする。テンションボルトがある距離を移動した後、延伸トング7の半分は半径方向外側に偏向する。これにより、ドロートング7のハーフシェルとテンションボルトとの間の確実なロック嵌合が相殺される。
【0007】
クランププロセスの更なる過程において、引きトング7は軸方向に沿って僅かに引きずられるだけであるが、代わりに、所望のセルフロックが達成されるまでハウジングに固定される方法で取り付けられたテンションボルト4の円錐形ヘッド12とクランプスリーブ11との間にくさび形に嵌め込まれる。
【0008】
このような装置は構造が複雑であり、クランプチャック及びテンションボルトに加えて、2ピースの引き出しトング及びクランプスリーブ11を必要とする。さらに、それは、テンションボルトの比較的大きな移動を必要とし、大量の設置スペースを必要とし、製造に費用がかかる。
【0009】
工作機械の分野において、ドイツ特許DE 196 18 610 A1号からセルフロック付きの別のクランプ装置が知られている。セルフロックは、クランプセグメントの前端で生じる。しかし、このようなセルフロックは十分ではない。そのため、追加の固定装置が必要である。このような追加の固定装置は、圧縮ばねを備えており、この圧縮ばねは、テンションボルトの円錐形/円錐部に対してくさび形セグメントを押圧し、その結果、このような圧縮ばねのばね力は、くさび形セグメントを介してスピンドルへの摩擦接続を生じる。このような摩擦による接続は、クランプセットの意図しない開口に対抗する。また、このようなソリューションは、大量の設置スペースを必要とし、製造コストも高くなる。さらに、摩擦力に加えて、圧縮ばねの力も、クランプシステムを開放するために克服しなければならない。これは、高い力を意味し、それは、今度は、大きなシリンダアセンブリを必要とし、これも不利である。
【発明の概要】
【0010】
本発明は、セルフロックであり、非常にコンパクトで簡単かつ堅牢な構造を有するクランプシステムを提供することを目的とする。このようなコンパクトな設計は、あまり空間がない場合には特に重要である。これは、例えば、回転中心のタレットの場合である。ここで、クランプシステムは、直立及び駆動ツールホルダの様々な位置及び方向に柔軟に取り付けることができなければならない。これにより、例えば、許容されるピボット直径、ねじ込み面の幅、および回転中心に対するインターフェースによって、設置スペースが厳しく制限される。
【0011】
本発明によれば、そのような目的は、中空シャフト、特に、円形または多角形の外側輪郭を有する中空シャフトテーパのためのクランプ装置であって、1つ以上のクランプセグメントと、クランプセグメントと協働するテンションボルトとを備え、各クランプセグメントは、その外側に前端に前クランプ爪を有し、その内側に、テンションボルトと協働する前ラグを有し、各クランプセグメントは、その外側に後端に後クランプ爪を有し、その内側に、テンションボルトと協働する後ラグを有し、クランプ位置において、各クランプセグメントの前クランプ爪は、中空シャフトのクランプ溝に嵌合し、後クランプ爪は、隣接する部品またはスピンドルの円錐部に押し付けられ、開位置において、前クランプ爪は、中空シャフトのクランプ溝に嵌合せず、軸方向の変位によって、テンションボルトは、クランプセグメントをクランプ位置から移動させる、クランプ装置によって達成される クランプセグメントは、開位置から開位置への移行中に第1の回転移動を実行し、クランプセグメントの前クランプ爪は、クランプ溝で確実にロックするように嵌合し、クランプセグメントの後続の第2の回転移動のための継手を形成し、第2の回転移動中に、クランプセグメントの後突起は、テンションボルトの第3の円錐部を摺動し、クランプセグメントの後クランプ爪を隣接する部品またはスピンドルの円錐部に押し付け、クランプセグメントを軸方向にクランプするように、第1の回転移動を実行し、第2の回転移動に続くテンションボルトのさらなる軸方向の移動中に、クランプセグメントの後突起は、テンションボルトの第2の円錐部を摺動し、その結果、クランプセグメントとテンションボルトの後端におけるテンションボルトとの間にセルフロック効果が生じる。
【0012】
本発明に係る互いに整合した移動シーケンスは、クランプセグメントの前クランプ爪と第1のピボット移動における中空シャフトのクランプ溝との間の確実なクランプ連結を達成する。その後、クランプセグメントの前端におけるこのような確実なロック接続は、クランプセグメントまたは複数のセグメントに対するピボットポイント/ベアリングとして機能する。続いて、第2のピボット移動において、クランプセグメントの後端が、隣接する部品またはスピンドルの円錐部に対して半径方向外側に押圧され、それによって軸方向のクランプ力を蓄積する。テンションボルトのその後のさらなる移動において、軸方向のクランプ力はさらに増加する。同時に、クランプセグメントの後ラグとテンションボルトの第2の円錐部との間にセルフロック効果が生じる。テンションボルト後端でセルフロックが発生なかでも、前端と後端でテンションボルトをクランプ固定するというプラスの効果がある。
【0013】
本発明によれば、作動上で信頼性のあるセルフロック効果を生み出すために、クランプシステムの追加の部品は必要とされない。むしろ、所望のセルフロック効果は、本発明によるテンションボルトを設計し、それをクランプセグメント及び円錐部と整合させることによって達成される。その結果、本発明による解決策は、非常にコンパクトであり、生産およびコストの面でも非常に有利である。別の利点は、クランプおよび解除のための作動力が比較的小さく、大きさに大差がないことである。当然、クランプに必要な作動力は、リリースに必要な作動力よりも幾分大きい。
【0014】
クランプシステムが、油圧作動式シリンダアセンブリのようなアクチュエータの助けを借りて自動的に作動される場合、クランプ及び開放のためのほぼ等しい力は、特別な利点である。このようなアクチュエータの寸法は、通常、最大作動力によって決定される。
【0015】
本発明によるクランプシステムの別の利点は、第2のピボット移動の後に、クランプセグメントの後ラグがテンションボルトの第2の円錐部を摺動する場合、中空シャフトがより大きな力で隣接する部品又はスピンドルに引っ張られるように、クランプセグメントの軸方向のテンションが増大することである(ブースター機能)。
【0016】
更に、本発明によるクランプシステムでは、テンションボルトは、中空シャフトのクランプ溝のクランプセグメントの前ラグによってその前端に、また円錐部のクランプセグメントの後ラグによってその後端にセンタリングされる。その結果、クランプシステムは、不均衡が全くないか、又はあったとしても、非常に小さな不均衡のみを有する。これにより、中空シャフトにクランプされた工具で加工されたワークの加工品質が向上し、被駆動工具の場合は、非常に高い主軸速度での加工が可能になる。
【0017】
本発明によるクランプシステムの別の利点は、前ラグ及びクランプ溝の形状を比較的自由に設計できることである。ISO 12164(HSK)またはISO 26623(コロマントカプト)などのシステムに使用できる。
【0018】
本発明の有利な実施形態では、第1の円筒部、第1の円錐部、第2の円筒部、第2の円錐部、第3の円錐部および第3の円筒部は、その前端FEを起点として、テンションボルトに連続的に形成される。第1のピボット移動の間、前ラグは第1の円錐部を摺動する。第2のピボット移動の間、後ラグは、第3の円錐部を摺動する。テンションボルトの更なる軸方向の移動によって引き起こされる引き続く回転移動の間に、後ラグは第2の円錐部を摺動し、セルフロック効果が構築される。
【0019】
セルフロックとは、いったんクランプシステムにテンションがかかった後、テンションボルトにそれ以上の作動力を加える必要がなく、テンションボルトはセルフロック効果によりその位置にとどまり、十分に大きなクランプ力が依然として加わることを意味する。
【0020】
換言すれば、テンションボルトが油圧で作動する場合、テンションボルトを作動させるシリンダアセンブリは、本発明によるクランプシステム又はアダプタのテンションに影響を及ぼすことなく、テンション後に減圧することができる。
【0021】
これは、特に、クランプシステムが回転スピンドルに設置され、加工中にスピンドルが回転する場合、大きな利点である。この場合、他のシステムの場合のように、クランプ力を維持するために、作動力を連続的に加える必要はなく、むしろ、セルフロックにより、クランプシステムにおいて、クランプ力が維持される。
【0022】
また、スピンドルと共に回転し、作動力を恒久的に加えるばねを一体化する必要もない。この解決手段の欠点は、ばねが不均衡を引き起こす可能性があることであり、摩擦力に加えて、ばねの力もクランプシステムを開放するために克服しなければならない。これは、高い作動力を意味し、これは、今度は、大きなシリンダアセンブリを必要とし、これも不利である。
【0023】
円錐部は内部の円錐部であり、ハウジング、隣接する部品またはスピンドルのいずれかに直接組み込むことができる。あるいは、円錐部が組み込まれたねじ付リングを設けることも可能である。そのようなねじ付リングは、次に、ハウジング、隣接する部品またはスピンドルにねじ込まれる。もちろん、接続は、リングとハウジングとの間のねじ接続である必要はない。また、他の接続を使用して、円錐部を半径方向にセンタリングし、軸方向の位置決めのための固定リングを備えたボアとシリンダのペアリングのように、クランプ力の方向に位置を保持することもできる。
【0024】
第2の円錐部の傾斜角が、クランプセグメントとテンションボルトの接触面の対形成によって生成される摩擦係数μのアークタンジェントよりも5°以下であるならば、有利であることが証明されている。これは、簡単で非常に安全な方法でセルフロックを提供する。もちろん、摩擦係数、ひいては第2の円錐部の傾斜角を決定する際には、オイルまたは冷却潤滑剤、表面仕上げ、材料のペアリング、可能性のあるコーティング、および振動による緩みに対する追加のセーフガードなどの流体の影響を考慮に入れることも望ましい。このような状況も考慮すると、動作中に発生するすべての条件下でセルフロックを確実に行うことができる。
【0025】
多くの場合、第2の円錐部の傾斜角が3°~5°の範囲である4°が非常に良好な値であることが証明されれば、それは十分であるかまたは有利であることが証明されている。
【0026】
対照的に、第1の円錐部および第3の円錐部の傾斜角ははるかに大きい。それらは、30°~60°の範囲であり、好ましくは、両方の傾斜角度は45°に等しい。
【0027】
本発明によるテンションボルトでは、第2の円錐部と第3の円錐部とが、直径変化を伴わずに、かつ中間円筒部を伴わずに、互いに結合されることが提供される。これにより、テンションボルトの必要なクランプ移動が最小限に抑えられる。2つの円錐部間の遷移は、途切れることなく行われる。
【0028】
クランプセグメントの前ラグは、(前端から始まり)テンションボルトの第1の円錐部の傾斜角に適合した第1の接触面と、円筒部に適合した第2の接触面とを有する。これは、クランプセグメントの前クランプ爪が中空シャフトのクランプ溝に入る間の第1のピボット移動を最適に制御する。
【0029】
この接続における「整合」とは、クランプセグメントのラグとクランプセグメントに対するテンションボルトの種々の位置におけるテンションボルトとの間の接触面が、できるだけ大きく、表面圧力及び摩耗を減少させるために、高荷重のエッジサポートが生じないことを意味する。したがって、傾斜角はほとんど同じである。
【0030】
しかしながら、例えば、クランプセグメントの回転移動から生じ得るエッジ支持を防止するために、接触面の形状がわずかにクラウニングされているか又は樽形状であることも可能である。同様に、テンションボルトの円筒部は、わずかに樽形状となるように設計されてもよい。
【0031】
本発明によるクランプシステムのセルフロック効果を増大させるために、第1の円筒部を、小さな大きさの負の傾斜角αを有する円錐部として設計することが有利であり得る。
【0032】
第1の円筒部の傾斜角αは、正または負とすることができる。結果として生じる言語的な「不正確さ」にもかかわらず、第1の円筒部は、小さな傾斜角を有する場合にも言及され、従って、厳密に言えば、第4の円錐部である。
【0033】
傾斜角αの大きさは、4°以下とすることができる。負の傾斜角αの場合、テンションボルトの第2の円錐部の傾斜角以下である。正の傾斜角αは、クランプ移動を増加させることができ、第2の円錐部と同様に、摩擦係数μのアークタンジェント(逆正接)よりも小さい傾斜角を有することができる。
【0034】
負の傾斜角αでは、テンションボルトの前端(=第1の円筒部)の円錐部は、ねじ付リングの円錐部と同じ方向を向いており、テンションボルトの第2の円錐部および第3の円錐部と反対方向を向いている。
図8では、負の傾斜角αが図示されている。
【0035】
したがって、負の傾斜角αでは、テンションボルト(=第1の円筒部)の前端の円錐部とねじ付リングの円錐部とが反対方向に向けられ;正の傾斜角は、そこにあるグリッパ溝がくさび形に設計されているので、クランプ移動を増加させるために、例えば、HSKで有用であり得る。
【0036】
セルフロックとは、運転中に作用する可能性のある不均衡、振動、冷却潤滑剤の圧力サージ、その他の外力により、テンションボルトがクランプ位置から開位置に移動することを設計手段によって防止することを意味する。これはセンタリングマウントの方向への移動であろう。
【0037】
任意の負の傾斜角αのために、第1の円筒部のクランプセグメントの前ラグから作用する半径方向の力は、クランプ位置の方向にテンションボルトに軸方向の力を生じさせる。
【0038】
更なる有利な実施形態では、クランプセグメントの後ラグは、第3の円錐部の傾斜角に適合した第3の接触面と、第2の円錐部に適合したそれらの後端における第4の接触面とを有する。
【0039】
これは、最初は第2のピボット移動がテンションボルトの第3の円錐部によって制御されることを意味する。
【0040】
続いて、半径方向のストロークの大部分およびある(通常はなお不十分である)クランプ力が達成された後、クランプボルトとクランプセグメントの後ラグとの間、およびクランプセグメントの後クランプ爪とねじ付リングまたはスピンドルハウジングの円錐部との間で、さらなるテンション付与が行われる。クランプセグメントの後ラグは、第2の円錐部をスライドする。第2の円錐部の傾斜角度は、第3の円錐部の傾斜角度よりも有意に小さい。これは、テンションボルトの軸方向の動きと、それらの後端におけるクランプセグメントの回転移動との間の縮小比を減少させる。すなわち、テンションボルトの同じ軸方向の動きは、クランプセグメントの半径方向の動きをより小さくする結果となる。その結果、クランプセグメントの軸方向のクランプ力、ひいては中空シャフトに作用する軸方向またはクランプ力が増加する(テンションボルトの一定の軸方向の力を仮定する)(ブースター機能)。言い換えると、テンションボルトに作用する変位力が比較的小さいにもかかわらず、クランプセグメントがアダプタをセンタリングマウントに大きな力で引き込むように、必要なクランプ力が達成される。
【0041】
第2の円錐部の傾斜角が小さいため、比較的大きな半径方向力が生じ、この力は、テンションボルトの第2の円錐とクランプセグメントの後ラグの第4の接触面との間の大きな接触面を介して、安全かつ構成要素に過負荷をかけることなく伝達される。
【0042】
とりわけ、これは、本発明による解決策を高耐久性にし、ほとんどまたは全く摩耗せず、ラグとテンションボルトの第2の円錐部との間の面圧が許容値にとどまる。
【0043】
ねじ付リングまたはハウジングの円錐部と、それに対応して適合したクランプセグメントの後クランプ爪の第5の接触面との傾斜角度は、20°~45°の範囲にあることが好ましい。25°~40°、特に30°または35°の範囲の傾斜角が非常に適していることが証明されている。
【0044】
更なる有利な実施形態では、クランプセグメントは、クランププロセス中に軸方向に偏向させることができるように、ばね荷重式の中間ディスクに対して、又は圧縮ばねに対して直接、後端で、クランプセグメントが支持される。
【0045】
不正確なクランプの場合、第1の円錐部でクランプセグメントのフロントラグがスライドし、前クランプ爪が中空シャフトの位置が正しくないために中空シャフトのクランプ溝に入らないと、中空シャフトに接触した場合、クランプセグメントはばねの力に抗してテンションボルトと共に後方に移動する可能性があり(
図9と
図10を参照)、またテンションボルトの力から切り離される方法もある。
【0046】
これは、クランププロセスの開始時に、センタリングマウントまたはテンションボルトに対してアダプタが正しい位置にない場合、クランプシステムの損傷を防止するのは当然である。したがって、本発明によるクランプシステムは耐故障性技術であり、不正確な動作はクランプシステムの全損失に至らない。
【0047】
本発明のさらなる利点および有利な実施形態は、以下の図面、それらの説明および特許請求の範囲において見ることができる。図面、それらの説明及び特許請求の範囲に開示された全ての特徴は、個々に、及び相互の任意の組合せにおいて、発明に必須であり得る。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【
図1】
図1は、種々の位置の縦断面における本発明の第1の例示的実施形態を示す。
【
図2】
図2は、種々の位置の縦断面における本発明の第1の例示的実施形態を示す。
【
図3】
図3は、種々の位置の縦断面における本発明の第1の例示的実施形態を示す。
【
図4】
図4は、種々の位置の縦断面における本発明の第1の例示的実施形態を示す。
【
図5】
図5は、種々の位置の縦断面における本発明の第1の例示的実施形態を示す。
【
図6】
図6は、本発明のさらなる例示的実施形態を示す。
【
図7】
図7は、本発明によるテンションボルトの縦断面を示す。
【
図8】
図8は、本発明によるクランプセグメントの縦断面を示す。
【
図9】
図9は、異なる位置におけるアダプタの不正確なクランプを示す。
【
図10】
図10は、異なる位置におけるアダプタの不正確なクランプを示す。
【
図12】
図12は、本発明によるクランプセグメントの前部のさらなる例示的実施形態を縦断面で示す。
【発明を実施するための形態】
【0049】
クランプされるアダプタ1は、手動または自動でセンタリングマウント3に挿入される。
【0050】
本発明に関して、用語「アダプタ」は、本発明によるクランプシステムの助けを借りてセンタリングマウント3でテンションを加えることができる全ての構成要素又は組立体の総称として使用される。これは、工具、工具ホルダ(ドリルチャック)、工作物をクランプする装置またはパレット、およびその他多くのものとすることができる。
【0051】
図1は、本発明によるクランプシステムの第1の例示的な実施形態を示しており、開放位置または開放位置にセルフロックがある。
図5は、セルフロック付きのクランプ位置での同じクランプシステムを示している。
【0052】
図2~
図4にクランプ装置の中間位置を示し、クランプ装置の動作を説明する。
図5に示すセルフロックでのクランプ位置から、クランプシステムを解除すると、
図4~
図1に示す位置を通過する、すなわち、クランプの場合と逆の順序で通過する。
【0053】
すべての図において、同一の参照符号は、同一の構成要素に用いられている。明確にするために、各図にはすべての参照符号が付されているわけではない。
【0054】
図1に、クランプするアダプタ1を示す。それは、本発明によるクランプシステムの一部ではなく、むしろ、センタリングマウント3でそれによりテンションが付与される。
【0055】
図1~
図5に示す例示的な実施形態において、センタリングマウント3は、スピンドル37に挿入される別個の部品である。
【0056】
アダプタ1は、本発明によるクランプ装置と協働する中空シャフト5を備えている。このために、中空シャフト5は、クランプ溝7と端面9とを有する。
【0057】
中空シャフト5は、通常、センタリングマウント3に埋め込まれる。なぜなら、工作機械において、アダプタ1の中空シャフト5およびセンタリングマウント3は、クリアランスなしで軸方向および半径方向に協働するからである。アダプタ1の同心度および軸方向の振れに対する要求、ならびにセンタリングマウント3と中空シャフト5との間で伝達され得るトルクに対する要求は、ますます厳しくなっている。中空シャフト5及びセンタリングマウント3は、例えば、ISO 12164又はISO 26623に従って設計することができる。ただし、センタリング効果のない他のデザインも可能である。センタリングマウントは、例えば、本発明による複数のクランプシステムが、ワークピースを装置でクランプするためにワークピースクランプ装置で使用される場合には、必要ではない。
【0058】
図中、センタリングマウント3としては、ISO26623(Capto)による「フランジ接触面を有する多角形テーパ・インターフェース」を例として用いる。図に示すようにセンタリングマウント3は、隣接する部品(ハウジング、回転スピンドル、固定ワーククランプ装置など)によって、またはその中に収容される、追加または別個の構成要素とすることができる。
【0059】
しかし、センタリングマウント3は、「隣接する部品」のいずれかに一体化することもできる。この場合、隣接する部品とセンタリングマウントは、一体として設計される。実施形態の対応する例示的な実施形態が
図6に示されている。この設計は、より少ない半径方向設置スペースを必要とする。したがって、それは、多くの場合、回転または被動スピンドルに使用される。
図6に関連する図の説明では、設計上の意味についても説明している。
【0060】
以下の
図1から
図5に、さまざまな段階でのテンションのプロセスを図示および説明する。
【0061】
まず、
図7に、本発明によるテンションボルト13を示す。この例示的な実施形態では、シリンダアセンブリの一部であるピストン15がテンションボルト13に接続されている。この図では、本発明による機能的な面がはっきりと見え、参照符号で印が付いている。
【0062】
これらは:
101:第1の円筒部;
103:第1の円錐部;
105:第2の円筒部;
107:第2の円錐部;
109:第3の円錐部;
111:第3の円筒部;である。
【0063】
第2の円筒部105と第2の円錐部107との間には、直径変化が存在し得る。
【0064】
前端FEと後端REも示した。「前」はセンタリングマウント3の領域(
図1参照)であり、第3の円筒部111(
図7および
図1参照)は、図の説明の用語ではテンションボルト13の後端REに位置し、「後」である。
【0065】
図7に示すテンションボルト13の機能的な面101~111は、クランプセグメントの「内側」の対応する接触面と一緒に作用する。これらは
図8に示され、以下のように指定される。
【0066】
第1の接触面121および第2の接触面123は、前ラグ27を形成する。
【0067】
第3の接触面129および第4の接触面131は、後ラグ29を形成する。
【0068】
1つの(ここでは、2つの部分)遷移部125は、この意味では機能的な面ではない。それは、テンションボルト13の第2の円錐部107に必要なクリアランスを生じる。
【0069】
クランプセグメント25の外側には前クランプ爪31と後クランプ爪41が形成されている。後クランプ爪41は、円錐台または円錐形状の第5の接触面133として実質的に形成され、また凹形状であってもよい。前クランプ爪31の形状は中空シャフト5におけるクランプ溝7の形状に合わせている。すでに述べたISO規格から、例えば、半径形状及び面取り形状の設計が知られている。特に、良好なポジティブロック嵌合と、前クランプ爪31とクランプ溝7との間の可能な限り低い表面圧力とは、クランプシステムがテンション付与された場合に達成されるべきである。
【0070】
図1に戻る。明確にするために、
図1から
図5には、参照符号101から133は示されていない。それにもかかわらず、そのような参照符号は、図の説明で使用されている。
【0071】
アダプタ1がセンタリングマウント3に挿入されると、中空シャフト5がストップディスク11の方向に定められた位置に移動される。ストップディスク11は、テンションボルト13に取り付けられるか、またはテンションボルト13(一体設計)に一体化される。
図6および
図11は、ツーピース設計の例示的実施形態を示す。
【0072】
ストップディスク11は、深さストップを表しており、従って、言い換えれば、アダプタ1又は中空シャフト5に対して、アダプタ1が、クランププロセスが開始する前に、軸方向において規定された位置をとることを確実にする。これは、中空シャフト5の基部19をストップディスク11に接触させることによって行われる。中空シャフト5のクランプ溝7とクランプセグメント25の前クランプ爪31との関係は、自動クランプのために重要であり、この関係が正しい場合にのみ、前クランプ爪31は、中空シャフト5のクランプ溝7に入ることができる。この目的のために、調節のためにねじ山を使用することによって、または位置を達成するために停止ディスクの前部を所望の寸法に機械加工することによって、規定された位置に停止ディスクを調節することが有用である場合がある。
【0073】
中空シャフトのテーパとフランジ接触面を有するセンタリングマウントの場合、規定の位置はおよそ1.5~0.5mmであり、通常、センタリングマウント3の端面とアダプタ1の平坦面9との間のおよそ1mmのフランジ接触面距離にある。距離のサイズは、アダプタのタイプによって異なる。
【0074】
テンションボルト13の端におけるストップディスク11は、大きな外径を有する。中空シャフトの「基部」19は、ストップディスク11に接触する。これにより、アダプタ1のフランジ接触面が改善され、センタリングマウント3に対してアダプタ1が傾く危険性が低減される。
【0075】
この時点(すなわち、クランププロセスの開始前)において、テンションボルト13はその軸方向の位置に正確に位置決めされなければならない。そうすると、ストップディスク11が軸方向に正確な位置を有するだけであり、その後、上記のアダプタ1の規定された位置のみを確保することができる。
【0076】
この例示的な実施形態では、テンションボルト13の軸方向の位置は、その作動手段によって決定される。図では、作動手段は、一例として、ピストンとシリンダの組合せ(「シリンダアセンブリ」とも呼ばれる)であり、そのピストン15は、テンションボルト13およびストップディスク11に連結されている。
【0077】
図1に示すように、ピストン15がそのフロントエンドストップ23に接触している場合、テンションボルト13およびストップディスク11は規定された軸方向の位置を有する。
【0078】
テンションボルト13を作動させる複動ピストン15は、液密にシリンダ21に案内される。どのシリンダ21.1または21.2に加圧流体が充填されるかに応じて、シリンダ21のピストン15は一方向または他方向に移動する。
図1に示すフロントエンドストップ23におけるピストン15の軸方向の位置において、シリンダチャンバ21.2はその最大容積を有し、シリンダチャンバ21.1の容積は最小である。
【0079】
本発明によるクランプシステムは、一つ以上のクランプセグメント25からなるコレットを備える。クランプセグメント25は、それ自体公知の方法でテンションボルト13の周りに配置される。クランプセグメント25は、相互に連結されてもよく、または個々のクランプセグメント25として存在してもよい。
【0080】
前端FEにおいて、第1の接触面121及び第2の接触面123は、前ラグ27を形成する。後端REにおいて、第3の接触面129と第4の接触面131は、後ラグ29を形成している。
【0081】
クランプセグメント25の内側の前ラグ27は、
図1に示すテンションボルト13の位置においてテンションボルト13の第2の円筒部105(直径d1)に接触するように形成されている。
【0082】
クランプセグメント25の内側のラグ29は、
図1に示すテンションボルト13の位置においてテンションボルト13の第3の円筒部111(径d2)に接触するように形成されている。
【0083】
円筒部101、105および111では、テンションボルト13は円筒形であるが、わずかに先細りの、凹形または凸形の設計も可能である。
【0084】
前クランプ爪31の領域におけるコレットまたはクランプセグメント25の外径は、この例示的な実施形態では非常に小さく、テンションボルト13のこの位置では、中空シャフト5を前側のストップディスク11の上に押して後続の前クランプ爪31の包絡円直径を越えることができる。
【0085】
本発明によるクランプシステムの後部において、ねじ付リング33が、周囲のハウジング/隣接する部品またはスピンドルハウジング37にねじ込まれる。内側円錐部43がねじ付リング33に形成され、この内側円錐部は、テンションボルト13の後クランプ爪41又は第5の接触面133と協働する。クランプセグメント又は複数のセグメント25の後ラグ29が、テンションボルト13の第3又は第4の接触面129、131から半径方向外方に動かされる場合、内側円錐部43は、クランプセグメント又は複数のセグメント25の後端REにおけるこのような動きを、クランプセグメント25の軸方向の動きに偏向させる。換言すれば、
図1において、テンションボルト13が右に移動された場合には、クランプセグメント25は右に、すなわち後端REの方向に移動する。前クランプ爪31と中空シャフト5のクランプ溝7との間の確実なロック嵌合により、アダプタ1はセンタリングマウント3に引き込まれる。クランプシステムにテンションがかかっている。
【0086】
ねじ付リング33または内側円錐部43の内径は、ねじ付リング33が前クランプ爪の包絡円直径をスライドすることもできるように有利に選択される。これは、少なくとも
図1に示すテンションボルト13の位置で可能でなければならず、これにより、ハウジング又はスピンドル37のクランプシステムの組立て及び分解が簡単になる。
【0087】
後クランプ爪41の包絡円直径、または、第5の接触面133の包絡円直径は、各位置における内側円錐部43の内径よりも大きくなっている。
【0088】
もし、例えば、空間の理由から、ねじ付リング33を用いることができないならば、内側円錐部43は、隣接する部品(例えば、スピンドルハウジング37)に直接一体化される。そして、クランプセグメント25は「後」から取り付けられる。
【0089】
コレットまたはそのクランプセグメント25が常にこの位置で最小の包絡円直径を形成することを確実にするために、クランプセグメント25はプリテンションされなければならない。これは、コレットまたはクランプセグメント25の後端REにあるテンションばね39によって、またはクランプセグメント25の長手方向の延長部に対してほぼ中央に配置された
図1~
図6に示すように行うことができる。クランプセグメント25をばね弾性の態様で互いに接続して、一体型コレット(別個のばね要素なし)を形成することも可能である(図示せず)。
【0090】
これらの実施形態の目的は、テンションボルト13周りの中央で、プリテンションを介してクランプセグメント25を一緒に押圧することである。テンションばね39をクランプセグメント25の長手方向延長線のほぼ中央に配置して、クランプセグメント25が傾いてラグ27及び29で前後で均等にテンションボルト13と接触することができないようにすることが有利である。
【0091】
後方領域の圧縮ばね45は、一方では圧縮ばねスリーブ49の端面に支持され、図に示された状態では、任意の中間ディスク47に押し付けられる。中間ディスク47は、順番に、ねじ付リング33の肩に確実なクランプ状態で接触する。また、圧縮ばね45がねじ付リング33の肩に直接当たるように中間ディスク47を省略することもできる。また、中間ディスク47または圧縮ばね45は、隣接する部品またはスピンドルハウジング37の肩に接触することができる。このような接触が与えられると、圧縮ばね45は、クランプセグメント25を
図1に示すよりも前端FEの方向に更に動かすことができず、なおプリテンションをかけることができる。
【0092】
クランプセグメント25は、既に説明したように、テンションばね39によって内側に押され、テンションボルト13を前ラグ27および後ラグ29と接触させる。
【0093】
軸方向において、クランプセグメント25の位置は、ねじ付リング33の(内側の)内側円錐部43、圧縮ばね45または圧縮ばね45によってプリテンションされた中間ディスク47、およびテンションボルト13によって決定される。
【0094】
軸方向にわずかなプリテンションを生じさせ、自由振動を生じさせないようにするために、クランプセグメント25をラグ27、29の少なくとも一方に第1の円錐部103または第3の円錐部109に接触させ、プリテンションを与えられた中間ディスク47に対してわずかなテンションを得ることが有利である場合がある。
【0095】
コレットが互いに分離された複数のクランプセグメント25からなる場合、それらが最小直径を形成する位置における個々のクランプセグメント25の間の距離がほぼゼロになるように製造することが有用である。クランプセグメント25を離すと、テンションばね39を介して円周にほぼ等しく分配される。これは、クランプシステムがクランプされたとき、全く又はごくわずかな不均衡が生じないことを保証し、クランプセグメント25を円周に均等に分配する付加的な分離ユニットは必要とされない。それにもかかわらず、これが必要な場合(例えば、最高速度で駆動される工作機械主軸の場合)は、例えば、クランプセグメントの上または間の対応するカウンターガイドでバーまたは溝を追加的に接続することにより、中間ディスク47の一部として分離を作ることができる。
【0096】
図1~
図5の特定のデザインにおいて、圧縮ばね45は、圧縮ばねスリーブ49に受け入れられている。圧縮ばねスリーブ49は、スピンドル37の段付きボア53または隣接部品のオフセット51に受けられる。
【0097】
オフセット51は、圧縮ばねスリーブ49を介してねじ付リング33の長手方向のストップを形成する。同時に、圧縮ばねスリーブ49が所定位置に保持される。
【0098】
図6に示す例示的な実施形態では、縦方向のストップは、ねじ付リング33のフランジを介して実施される。フランジは、形状が多角形であってもよい。各ケースにおける目的は、油圧作動の場合にできるだけ多くの直径がシリンダ21に対して利用可能であることを保証することである。そして、具体的には、ピストン15によって提供される作動力は、最大である。
【0099】
シリンダ21は圧縮ばねスリーブ49の後方に配置されている。圧縮ばねスリーブ49は、ピストン15のフロントエンドストップ23を兼ねている。テンションボルト13はまた、他の方法で軸方向に動かして、クランプシステムをクランプまたは開放することもできる(例えば、偏心器、ウェッジなどを介して)。
【0100】
シリンダアセンブリに関連して、ピストンロッド(=テンションボルトの後端)をシールするための、ピストン15及び圧縮ばねスリーブ49の必要なシールが示されている。
【0101】
この実施形態において、ピストン15は、例えば、テンションボルト13と一体に連結され又は設計されている。ただし、デザインによっては、マルチパーツデザインも役立つ。そうすると、ピストン15とテンションボルト13とが軸方向に互いに連結されるだけである。
【0102】
図1~
図7は、さらに、テンションボルト13が軸方向に差し込まれていることを示している。テンションボルト13の軸方向のボア55(
図7参照)は、流体(冷却潤滑剤(KSS))または流体-空気混合物(最小量潤滑)の通路に使用される。この場合、流体は、隣接する部品(ハウジング、スピンドル37など)から作動ユニット(シリンダ21およびピストン15)を介してテンションボルト13に接続点を介して供給される。
【0103】
テンションボルト13の前端FEにおけるストップディスク11は、1つ以上の貫通孔を有する。これは、流体が、流体を供給されるべき次の構成要素(この例ではアダプタ1)に移送される場所である。
【0104】
このような移送の設計は、密閉することも、チャネル化することも、または密閉及びチャネル化することもなく、ここに示すように行うこともできる。
【0105】
図2~
図5を参照して、本発明によるセルフロッククランプシステムのクランプについて説明する。
【0106】
図2は、テンションボルト13が、
図1に示される開位置と比較して、わずかに右に移動された位置におけるクランプシステムを示しており、これは、例えば、フロントエンドストップ23とピストン15との間の隙間に見ることができる。テンションボルト13は同じ経路を移動した。クランプセグメント25は、テンションボルト13の第1の円錐部103とそれらの前ラグ27と接触する。すなわち、クランプセグメント25は、その前端と共に半径方向外方に移動される。クランプセグメント25は、依然として、第3の円筒部111の後ラグ29に接触している。したがって、テンションボルト13の軸方向の動きによって、クランプセグメント25の第1の傾斜移動が生じる。傾斜移動のピボットポイントは、後ラグ29に配置される。これにより、前クランプ爪31の包絡円直径が大きくなる。
【0107】
第1の円錐部103は、30°~60°、好ましくは45°の傾斜角を有する。クランプセグメント25は、第1の円錐部103との接触点において、前ラグ27の領域に、広い範囲にわたって少なくとも2点支持を有し、傾動できないように形成される。この場合、第1の接触面121(
図8参照)の形状は、純粋なエッジサポートを防止するために、円錐形であっても、又はわずかにクラウニングした円錐形であってもよい。
【0108】
クランプセグメント25の前クランプ爪31は、中空シャフト5のクランプ溝7にまだ接触していない。
【0109】
中空シャフト5は、機械のオペレータによって、しかし好ましくはハンドリングロボットのようなハンドリング装置(図示せず)によって、テンションボルト13のストップディスク11に接触して保持される。これは、アダプタ1、及びそれと共に中空シャフト5も、中空シャフト5がセンタリングマウント3の円錐部に対して静止するまでテンションボルト13と共にセンタリングマウントに移動することを意味する。そして、最初は軸方向にそれ以上動くことはできない。このような第1の軸方向の後退移動は、アダプタ1の平坦面9とセンタリングマウント3の接触面との間の距離を数1/10mmに減少させる。
【0110】
しかし、これに代えて、アダプタ1を
図1に示す開始位置に保持することも可能であり、この場合でも、ここで説明する第1の経路のために、前クランプ爪31と中空シャフト5のクランプ溝7との間には十分なキャッチスペースがある。これにより、クランプセグメント25の前クランプ爪31は、邪魔になることなくクランプ溝7に入ることができる。
【0111】
このような第1の部分的な移動の間、中間ディスク47は、圧縮ばね45によってねじ付リング33の端面に押し付けられ、したがって軸方向に静止したままとなる。中間ディスク47がない場合には、圧縮ばねの前端はねじ付リング33と接触したままである。
【0112】
図3では、クランプシステムは、
図2に示す位置2と比較して、テンションボルト13が右にわずかに更に移動した位置で示されている。
【0113】
このような位置では、前ラグ27は、テンションボルト13の第1の円筒部101に達するまで、第1の円錐部103を外側に向かって移動し続けている。同時に、クランプセグメント25の前クランプ爪31がクランプ溝7に外向きに移動し、これにより、前クランプ爪31とクランプ溝7との間に、軸方向に力を伝達することができる確実なクランプ嵌合が形成される。
【0114】
これと並行して、クランプ工程のこの段階において、クランプセグメント25の後ラグ29も、第3の円錐部109を外側に移動する。これにより、クランプセグメント25の後端の第1の「大きい」半径方向ストロークが生じる。
【0115】
第3の円錐部109は、好ましくは、45°の傾斜角を有し、30°~60°の範囲であってもよい。第1の円錐部103および第3の円錐部109の傾斜角度は同一であることが好ましい。45°の傾斜角は、第1の円錐部103に対して有効であることも証明されている。
【0116】
後クランプ爪41、すなわちクランプセグメント25の第5の接触面133は、常にねじ付リング33の内側円錐部43と接触している。ねじ付リング33の内側円錐部43は、後端の方向にその最大直径を有する。円錐部103、107、および109は、前端の方向に、それらの最大直径を有する。言い換えると、ねじ付リング33の内側円錐部43と、円錐部103、107、および109は、反対に配向されている。
【0117】
したがって、第3の円錐部109の後ラグ29の半径方向の移動により、クランプセグメント25、したがってアダプタ1の軸方向の大きな第1のクランプストロークが生じる。これは、ねじ付リング33の内側円錐部43とクランプセグメント25の第5の接触面133との相互作用によってもたらされ、後ラグ29の第3の円錐部109との相互作用によってもたらされる。
【0118】
ねじ付リング33における内側円錐部43の中心軸に対する傾斜角度は、好ましくは30°~35°である。20°から60°までの傾斜角度が可能である。傾斜角を変えることにより、力‐移動変換を最適化できる。
【0119】
内側円錐部43に対する30°の傾斜角において、第3の円錐部109の領域および(クランプ工程の後の段階において)テンションボルト13の第2の円錐部107の、クランプセグメント25の軸方向の変位への直径変化の変換は、約1.7倍増加する。より小さい傾斜角は、この係数を増加させるが、しかし、クランプ力の減少と、クランプセグメント25とテンションボルト13との間の表面圧力の増加とを犠牲にする。勾配を大きくすると、係数が減少する。
【0120】
前ラグ27と後ラグ29との間の間隔は、後ラグ29の第3の円錐部109の移動の端に、前ラグ27がテンションボルト13の第1の円筒部101に位置するように整合される。その結果、クランプセグメント25の前クランプ爪31は円周方向のクランプ溝7に放射状に係止される。
【0121】
アダプタ1がオペレータによって、あるいは原則としてハンドリングシステム(例えばロボット)によって、その初期の軸方向の位置に保持されていれば、ここでセンタリングマウント3に引っ張られる。この段階では、アダプタを保持するためのハンドリングシステムはもはや必要ない。
【0122】
クランプセグメント25がテンションボルト13の引っ込んだ動きと、これによってトリガーされたアダプタ1のクランプストロークのために軸方向において後方に移動すると、中間ディスク47は、プリテンションされた圧縮ばね45の力に抗して後方に押される。すなわち、
図3にはっきりと見えるように、ストップディスクは、ねじ付リング33に対してもはや押されなくなる。
【0123】
図4に示す次のステップでは、第3の経路において、中空シャフト5とセンタリングマウント3との間のテンションに必要な(軸方向の)クランプ力が発生する。さらに、クランプシステムのセルフロックが発生する。
【0124】
テンションボルト13が軸方向の後方に移動し続けると、前ラグ27はテンションボルト13の第1の円筒部101を移動する。テンションボルト13の第2および第3の円錐部107、109は、さらにクランプセグメント25に引き込まれる。
【0125】
クランプ溝7の設計に依存して、第1の円筒部101は、テンションボルト13の移動とクランプセグメント25の軸方向のクランプ移動の間の関係を更に改善するために、4°以下の量の正の傾斜角αを有する円錐部として形成することもできる。しかしながら、第1の円筒部101を、クランププロセスの後の方の過程でセルフロックを増大させるために2°以下の量の負の傾斜角αを有する円錐部として形成することも可能である。
【0126】
前クランプ爪31の領域では、図示の例示的な実施形態において、前クランプ爪31とクランプ溝7との間に円筒状の第1の円筒部がある場合、まずクランプ位置までの軸方向の動きがあり、それ以上の軸方向の変位はない。クランプセグメント25の前領域(前ラグ27、前クランプ爪31)は、ここでは、ジョイントと見なされる。
【0127】
テンションボルト13が動き続けると、クランプセグメント25の後ラグ29は、第3の円錐部109によってもはや外側に押されず、第2の円錐部107によって押される。
【0128】
第2の円錐部107は、第3の円錐部109よりもはるかに小さい傾斜角を有する。第2の円錐部107は、理想的には、arctan(μ)未満の傾斜角を有する。「μ」はクランプセグメント25とテンションボルト13との材料対形成の摩擦係数である。多くの場合(および通常の摩擦条件下では)、3°~4°の傾斜角度がうまく機能する。(DLC)コーティングまたは標的潤滑を使用することによって、そのような領域は、機能的に適合され得るか、または適合されなければならない。
【0129】
第2の円錐部の傾斜は、クランプセグメント25の後ラグ29をさらに半径方向外側に移動させる。
【0130】
後クランプ爪41、または第5の接触面133とねじ付リング33の内側円錐部43との間のくさび作用は、まず、クランプ位置までの軸方向の動きをもたらし、次いで、クランプセグメント25において軸方向に作用するクランプ力に至り、これは、前クランプ爪31およびクランプ溝7を介して吸収され、中空シャフト5またはアダプタ1に導入される。このような高いクランプ力は、中空シャフト7とセンタリングマウント3との間に所望の軸方向のテンションをもたらす。
【0131】
図5は、本発明によるクランプシステムを、セルフロック付きのクランプ位置に示している。
【0132】
作動ユニット(ここでは、ピストン15とシリンダ21を有するシリンダアセンブリ)は、必要な作動力を構築し、これで無力にすることができる。シリンダアセンブリの場合、流体圧力を下げることも減圧することもできる。
【0133】
クランプセグメント25は、クランプ溝7の前クランプ爪31を介してアダプタ1またはその中空シャフト5にポジティブロック方式で接続される。
【0134】
同時に、前ラグ27は、テンションボルト13の第1の円筒部101に接触する。半径方向において、クランプセグメント25の前方領域はこのように支持される。
【0135】
クランプセグメント25の後クランプ爪41は、ねじ付リング33の内側円錐部43に接触する。同時に、コレットセグメント25の後ラグ29は、テンションボルト13の第2の円錐部107に接触する。
【0136】
すでに
図4に関連して説明したように、これは、クランプセグメント25に大きな軸方向のクランプ力をもたらす。したがって、クランプセグメント25はテンションが付与された状態で装填される。すなわち、クランプセグメント25の後領域はクランプセグメント25の前領域をテンション、クランプ溝7の確実なクランプ嵌合を介して、従ってアダプタ1にも引っ張られる。中空シャフト5とセンタリングマウント3との間には、高いクランプ力で所望の軸方向のテンションが発生する。
【0137】
この例では、アダプタとセンタリングマウント間のインターフェースが円錐形で、非円形の設計(ISO 26623、Capto)でさえあるため、軸方向、半径方向、回転方向の成分のテンションがかかっている。フランジ接触面を持つシステムの場合(ISO 26623やISO 12164など)、同じものをプリテンションする場合も同様である。
【0138】
しかし、さらに、内側円錐43の傾斜角によって、大きな半径方向の力が後クランプ爪41に作用し、後ラグ29を介してテンションボルト13の第2の円錐部107にそれらを伝達する。
【0139】
第2の円錐部107の傾斜角度は、本発明に従って非常に小さく選択されるので、後ラグ29によってテンションボルト13の第2の円錐部107に伝達される半径方向の力によって、テンションボルト13がこのような位置に固定される。外力がなければ、テンションボルト13は、クランプセグメント25およびアダプタ1に対してその位置を変えることができない。これは、本発明によるクランプシステムが、クランプ位置においてセルフロックであることを意味する。
【0140】
これは、クランププロセスが完了した後にシリンダアセンブリを減圧することができることを意味し、同様に、クランプ位置の方向にテンションボルト13に作動力を連続的に作用させるのにばねを必要としない。
【0141】
これは、スピンドル37が駆動され、回転している間、加圧された油圧流体をシリンダアセンブリに供給する必要がないので非常に有利である。
【0142】
スピンドル37が回転している間、加圧された作動油をシリンダアセンブリに供給することは、技術的に非常に要求され、多くの設置スペースを必要とする。
【0143】
第2の円錐部の領域におけるセルフロック設計のため、シリンダアセンブリの作動力がゼロまで低下しても、開始されるクランプ力は維持される。
【0144】
本発明によるクランプシステムの力の増幅により、クランプ力は、テンション方向にシリンダアセンブリによって加えられる作動力よりも3~4倍大きい。
【0145】
図6は、第1の例示的な実施形態に機能的に対応するさらなる例示的な実施形態を示す。1つの相違点は、センタリングマウント3が別個の構成要素として設計されておらず、むしろそれがスピンドルハウジング37に一体化されていることである。この例示的な実施形態では、全クランプシステムは、センタリングマウント3の内径を介して、すなわち前側から取り付けることができるようにコンパクトになるように設計されている。これにより、センタリングマウントをツールホルダの周囲の部品と一体に設計し、2ピース構造無しで済ますことが可能になる。
【0146】
図9および
図10は、アダプタ1の「不正確なクランプ」を示す。このような図に基づいて、本発明によるクランプシステムの有利な特徴である、このような場合に後方に偏向することができ、従ってクランプシステムの損傷を防止することが説明される。
【0147】
図9では、アダプタ1がセンタリングマウント3に十分に押し込まれていないため、前クランプ爪31が中空シャフト5のクランプ溝に入り込むことができず、中空シャフト5によって半径方向外側への移動が妨げられている。
【0148】
その結果、前ラグ27はテンションボルト13の第1の円筒部101に到達しない。それらは、第1の円錐部103に留まり、テンションボルト13の軸方向の動きに追従する。その結果、クランプセグメント25は、圧縮ばね45を圧縮するように中間ディスク47に対して強く押圧する。その結果、クランプセグメント25は、不正確なクランプの場合に後方に偏向することができ、損傷されない。
【0149】
明瞭にするために、
図10には参照符号は付されていない。
図10では、テンションボルト13は、
図9と比較してさらに後方に移動し、圧縮ばね45の力に抗して、中空シャフト5の端の前クランプ爪31または中空シャフト5の挿入面取りが再び半径方向外側に移動し、クランプセグメント25が第1の円錐部103から第1の円筒部101にスライドすることを可能にするまで、クランプセグメント25を駆動する。これが一旦なされると、クランプセグメント25は、テンションボルト13の動きとは無関係に、第1の円筒部101を自由にスライドすることができる。圧縮ばね45(中間ディスク47の有無に関わらず)の加圧は、クランプセグメント25をアダプタ1の方向に押し、アダプタ1をセンタリングマウント3から押し出す。
【0150】
これは、圧縮ばね45のばね力を介して行われる。その他のシステムには、このような組み込まれた緊急機能はない。このような緊急機能は、他のシステムと同様に、セグメントが力を十分に回避することができず、システムに存在する力によって破壊されるか、または大規模に損傷される、大きな利点である。
【0151】
組み込まれた緊急機能により、特に以下で説明するエラー例の場合、危険や損傷を効果的に防止できる。
【0152】
仮定:クランプセグメント25が正しい位置、すなわちクランプ溝7にないにもかかわらず、アダプタ1はセンタリングマウント3に引っ張られる。これは、テンションがなく、アダプタが機械加工力によって脱落する可能性があるにもかかわらず、システムが適切にテンションされているように見えることになる。この場合も、本発明による構造によって防止される。
【0153】
また、排出によって、アダプタ1がセンタリングマウント3にアンクランプされたままになり、1および3のフランジ接触面に触れることも防止される。
【0154】
このような緊急時の排出は、クランプが正しく行われたかどうかを自動運転で直接フィードバックするので、特に重要である。これは、アダプタ1の平坦面9とセンタリングマウント3の平坦面とが接触しているかどうかのチェックがある、いわゆる「フランジ接触面チェック」によって実現されることが多い。
【0155】
図11は、別の例示的な実施形態を部分で示し、アダプタ1を備えていない。下半分は開放状態、上半分は閉鎖状態を示す。この例示的な実施形態は、その設計および機能性において、第1の例示的な実施形態の説明に関してこれを参照するように、
図1から
図5の第1の例に大いに対応している。追加の詳細や機能を説明するために必要な参照符号のみを記入する。
【0156】
変更は、開放状態におけるクランプセグメント25のプリテンションのタイプに実質的に関与する。これにより、(第1の例示的な実施形態におけるように)クランプセグメント25がテンションボルト13の外径のそれらの内側に接触することが保証される。しかしながら、ここでは、クランプセグメント25は、説明された支持が生じるような方法で、ばね45の圧縮力によって負荷される。
【0157】
他方、後領域の圧縮ばね45は、圧縮ばねスリーブ49の端面に支持され、図に示す状態で中間ディスク47に押し付けられる。次に、この例示的な実施形態による中間ディスク47は、開いた状態でねじ付リング33に接触せず、むしろ、圧縮ばねスリーブ49で案内され、常にクランプセグメント25を押圧する。中間ディスク47の内径は、
図1~
図6に示す第1の例示的な実施形態におけるよりも、この例示的な実施形態と共に大きい。これにより、ストップディスク11は、ここでは中間ディスク47のボアを貫通して嵌合するので、テンションボルト13と一体に連結されることが可能となる。
【0158】
詳細にYにおいて、クランプセグメント25の後端は拡大されて示されている。この説明図から分かるように、クランプセグメント25は、後ラグ29の領域で軸方向に延在する突起30を有する。このような突起30は、図示の設置状態では圧縮ばね45および中間ディスク47との接触がない。それは、設置長さを短くするように働き、なぜなら、中間ディスク47は、突起30の上方に配置され、従って、中間ディスク47は、これらが組み立て中に内径を介して予め入りこまれるので、クランプセグメント25のための組み立て補助具である。
【0159】
詳細Zから分かるように、中間ディスク47は、クランプセグメントに面するその側面で円錐台に形成される(詳細Zにおける角度β参照)。結果として得られる円錐台は、参照符号142を有する。このような傾斜位置により、クランプセグメント25と中間ディスク47との間の接触面は、中間ディスク47の外径及び後クランプ爪41の半径方向最も外側点(詳細Z参照)まで変位する。これにより、後ラグ29とテンションボルト13との間の接触点において、接触面からピボットポイントまでのレバーアームが最大となる。クランプセグメント25は、内側円錐部43に同時に押し付けられる。接触点の周りの結果として生じる全トルクのために、クランプセグメント25は、前ラグ27もテンションボルト13に押し付けられるように常にピボット運動される。これは、
図11に示すテンションボルト13の終端位置だけでなく、図示しないすべての中間位置にも当てはまる。
【0160】
円錐台142の角度βは、テンションが付与された状態と開放状態との間のクランプセグメント25のピボット角度よりも僅かに大きく、クランプセグメント25が後クランプ爪41の半径方向最も外側点に任意の位置で接触するように選択される。
【0161】
代替として又は付加的に、後クランプ爪41の領域においてクランプセグメント25の後端をわずかに面取りすることも可能である(詳細Yにおける角度β参照)。面取り部141は、クランプセグメント25に対向するその側面において、中間ディスク47の円錐台142と同じ効果を有する。多くの場合、これにより、第1の例示的な実施形態のテンションばね39を不要にすることができる。後クランプ爪41の面取り部141と中間ディスク47の円錐台142は同じ機能を有するので、角度βは両方の例の説明に用いた。
【0162】
テンションボルト13にはオフセット48/直径変化が形成され、これはクランプセグメント25の(後方の)ストップとして機能する。
図11に明確に見られるように、オフセット48は、後ラグ29に作用する。オフセット48は、クランプセグメント25が開いているときに軸方向に互いに対して変位できないことを保証する。例えば、アダプタ1が不正確にセンタリングマウント3に「斜めに」挿入され、従って個々のクランプセグメント25と接触すると、これらは不正確に後方に押されることができず、むしろ、これらはそれらの意図された位置に留まる。システムのテンション付与を避けるために、オフセット48は、数1/10mm後方に変位され、通常、クランプセグメント25との接触がない。
【0163】
図12は、クランプセグメント25の別の例示的な実施形態の前端を示す。これは、アダプタ1のためのクランプセグメント25の設計であり、これは、円形の円弧形状の断面を有するクランプ溝7を有する。このようなクランプ溝は、例えば、ISO 26623(Coromant Capto)によるクランプシステムに存在する。
【0164】
前クランプ爪31は、アダプタ1の挿入面取り部(図示せず)に適合する面取り部31.1を備える。不正確なクランプの場合、クランプセグメント25は、テンションボルト13によって後方に引き込まれた後、すでにアダプタ1の挿入面取りに対してそのような面取り部31.1に接触し、それらが第1の円錐部(103)から第1の円筒部(101)に摺動することができるまで、半径方向外側に偏向することができる。その結果、このような機能のために、前クランプ爪31全体をアダプタ1から軸方向に引き出す必要はない。これは、ばね45のばね移動量を、
図10に示す例示的な実施形態におけるよりも小さくなるように選択できるという利点を有する。それにもかかわらず、ばね45はアダプタ1を排出することができる。これにより、必要なばね長が短くなり、その結果、取付け全長も短くなる。
【0165】
前クランプ爪31は最大径(31.2参照)を有するところでは、円筒形である。そのような短い円筒部31.2の後に、半径31.3が続く。
【0166】
円筒部31.2は、クランプ溝7の溝基部とテンションボルト13の表面101との間のクランプセグメント25の意図しない半径方向のジャミングを防止する。典型的には、半径31.3の外径は、円筒部31.2を生成するために、1/10mmだけ回される。
【0167】
半径31.3は、アダプタ1のクランプ溝7の可能な最小半径に常に対応するように選択される。これは、クランプ溝7に対するクランプセグメント25の接触点を、クランプ溝7の最小直径にできるだけ近づける。これにより、クランプセグメント25に作用するてこ力が減少し、力の流れが改善される。
【0168】
領域31.4は、アダプタ1の内側輪郭の自由空間を最適に利用し、力の流れを、好ましくは10~20°である角度γ、および隣接する半径R1およびR2を有する面取り部でゆっくりと偏向させるように設計される。これは、局部的なテンションのピークを減少させ、クランプセグメント25の疲労強度を増加させ、軸方向のクランプ力による自発的な部品の破損のリスクを著しく減少させる。
【0169】
クランプセグメント25の内側の面取り部125.1及び125.2は、開いた位置(中心線の下の
図11を参照)でテンションボルト13に接触することなく、又はクランプセグメント25の開いた位置への崩壊を妨げることなく、クランプセグメント25における断面を最大にするように設計される。これはまた、クランプセグメント25のテンションを減少させ、クランプセグメント25の疲労強度を増加させる。
【国際調査報告】