(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-11-02
(54)【発明の名称】マルチリンクデバイスの存在下における協調グループ形成及び方式選択
(51)【国際特許分類】
H04W 28/16 20090101AFI20231026BHJP
H04W 88/12 20090101ALI20231026BHJP
H04W 92/20 20090101ALI20231026BHJP
【FI】
H04W28/16
H04W88/12
H04W92/20
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023519262
(86)(22)【出願日】2021-10-19
(85)【翻訳文提出日】2023-04-24
(86)【国際出願番号】 EP2021078928
(87)【国際公開番号】W WO2022084304
(87)【国際公開日】2022-04-28
(32)【優先日】2020-10-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】519061251
【氏名又は名称】ヴェステル・エレクトロニキ・サナイ・ヴェ・ティジャレット・ア・セ
(74)【代理人】
【識別番号】100107456
【氏名又は名称】池田 成人
(74)【代理人】
【識別番号】100162352
【氏名又は名称】酒巻 順一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100123995
【氏名又は名称】野田 雅一
(72)【発明者】
【氏名】ソライジャ, ムハンマド ソハイブ ジャマル
(72)【発明者】
【氏名】サルマン, ハナディ モハメッド ユセフ
(72)【発明者】
【氏名】アルスラン, フセイン
【テーマコード(参考)】
5K067
【Fターム(参考)】
5K067EE02
5K067EE10
5K067EE16
(57)【要約】
無線通信システムのための制御装置及び制御方法が提供される。制御装置は、アクセスポイントの候補グループ(複数可)について、バックホールリンク機能(複数可)が端末デバイスとの協調通信の要件を満たしているかどうかを判定するように構成されている。協調通信の要件は、マルチリンク動作の要件及び/又は協調方式の要件を含む。この判定の結果に基づいて、アクセスポイントの候補グループが、協調通信において端末デバイスをサーブするためのAPのグループとして選択される。本開示は、これらの技法を開示することによって、協調通信におけるマルチリンク動作及び/又は協調方式選択を考慮することを提供する。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
無線通信システムの複数のアクセスポイントによる協調通信を制御するための制御装置であって、
端末デバイスにおいて測定されたチャネル特性を複数のアクセスポイントから受信するように構成されたインターフェースと、
回路であって、
前記端末デバイスをサーブするための前記複数のアクセスポイントのうちの1つ又は複数の候補グループのアクセスポイントについて、少なくとも1つのバックホールリンク機能が協調通信の要件を満たしている否かを判定することであって、前記要件が、前記候補グループのアクセスポイントのうちの少なくとも1つのアクセスポイントが複数のアクティブリンクで動作するかどうかをテストするように前記回路が構成されているマルチリンク動作の要件、および、前記端末デバイスに適用可能な1つ又は複数の協調方式のうちの1つの協調方式の要件、のうちの少なくとも1つを含む、当該判定すること、
前記判定の結果に従って、前記端末デバイスをサーブするためのアクセスポイントのグループとして前記1つ又は複数の候補グループの中から1つの候補グループを選択すること、並びに、
前記選択されたグループのアクセスポイントを、協調通信において前記端末デバイスをサーブするように前記インターフェースを介して制御すること、
を行うように構成された、当該回路と、
を備える、制御装置。
【請求項2】
前記1つ又は複数の候補グループが複数の候補グループであり、
前記回路が、前記複数の候補グループのうちの第1の候補グループについて前記バックホールリンク機能が協調通信の前記要件を満たしていないと判定した場合、前記回路が、アクセスポイントの前記グループの最大許容グループサイズを増分し、前記複数の候補グループの中から、前記増分された最大許容グループサイズ以下の第2の候補グループを形成するように構成されている、請求項1に記載の制御装置。
【請求項3】
前記回路が、前記第1の候補グループ及び前記第2の候補グループを前記測定されたチャネル特性に基づいて選択するように構成されている、請求項2に記載の制御装置。
【請求項4】
前記端末デバイスが、複数の端末デバイスのうちの端末デバイスであり、
前記回路が、前記複数の端末デバイスのうちの端末デバイスごとに判定及び選択を実施するように構成されている、請求項2又は3に記載の制御装置。
【請求項5】
前記回路が、少なくとも1つのバックホールリンク機能がマルチリンク動作の前記要件を満たしていないと判定した場合、前記回路が、前記複数の端末デバイスのすべてについて前記最大許容グループサイズを増分するように構成されている、請求項4に記載の制御装置。
【請求項6】
前記最大許容グループサイズの初期値が、前記複数の端末デバイスのすべてについて設定される、請求項5に記載の制御装置。
【請求項7】
前記回路が、前記少なくとも1つのバックホールリンク機能が前記協調方式の前記要件を満たしていないと判定した場合、前記回路が、前記端末デバイスについて前記最大許容グループサイズを増分するように構成されている、請求項2~6のいずれか一項に記載の制御装置。
【請求項8】
前記端末デバイスについて前記最大許容グループサイズを増分する前に、前記回路は、前記端末デバイスに適用可能な前記1つ又は複数の協調方式のそれぞれについて、前記少なくとも1つのバックホールリンク機能がそれぞれの前記協調方式の前記要件を満たしているか否かを判定する、請求項7に記載の制御装置。
【請求項9】
前記回路が、前記第1の候補グループがグループ形成目標を満たしていないと判定した場合、前記回路が、前記最大許容グループサイズを増分し、前記複数の候補グループの中から第3の候補グループを形成するように構成されている、請求項2~8のいずれか一項に記載の制御装置。
【請求項10】
前記回路が、前記第1の候補グループと、前記少なくとも1つのバックホールリンク機能が協調通信の前記要件を満たしている前記1つ又は複数の協調方式の中から選択された協調方式と、の組合せが前記グループ形成目標を満たしていないと判定した場合、前記回路が、前記最大許容グループサイズを増分し、前記複数の候補グループの中から前記第3の候補グループを形成するように構成されている、請求項9に記載の制御装置。
【請求項11】
前記グループ形成目標が、負荷分散、エネルギー効率、スペクトル効率、および、バックホール最適化、のうちの少なくとも1つを含む、請求項9又は10に記載の制御装置。
【請求項12】
前記回路が、
前記端末デバイスのスループット、レイテンシ、信頼性、およびジッタのうちの少なくとも1つの要件、
前記測定されたチャネル特性、並びに、
パフォーマンスとオーバーヘッドとの間のトレードオフを示す利益メトリック、
に基づいて、前記1つ又は複数の協調方式を選択するように構成されている、請求項1~11のいずれか一項に記載の制御装置。
【請求項13】
前記少なくとも1つのバックホールリンク機能が、バックホールレイテンシ、バックホール帯域幅、および、前記複数のアクセスポイント間の同期、のうちの少なくとも1つを含む、請求項1~12のいずれか一項に記載の制御装置。
【請求項14】
協調通信を実施するためのアクセスポイントであって、
前記複数のアクセスポイントに含まれ、
請求項1~12のいずれか一項に記載の制御装置を含む、
アクセスポイント。
【請求項15】
複数のアクセスポイントによる協調通信を制御するための制御方法であり、制御装置によって実施される制御方法であって、
端末デバイスにおいて測定されたチャネル特性を複数のアクセスポイントから受信するステップと、
前記端末デバイスをサーブするための前記複数のアクセスポイントのうちの1つ又は複数の候補グループのアクセスポイントについて、少なくとも1つのバックホールリンク機能が協調通信の要件を満たしている否かを判定するステップであって、前記要件が、
前記候補グループのアクセスポイントのうちの少なくとも1つのアクセスポイントが複数のアクティブリンクで動作するかどうかがテストされるマルチリンク動作の要件、および、
前記端末デバイスに適用可能な1つ又は複数の協調方式のうちの1つの協調方式の要件、
のうちの少なくとも1つを含む、当該判定するステップと、
前記判定の結果に従って、前記端末デバイスをサーブするためのアクセスポイントのグループとして前記1つ又は複数の候補グループの中から1つの候補グループを選択するステップと、
前記選択されたグループのアクセスポイントを、前記協調通信において前記端末デバイスをサーブするように制御するステップと、
を含む、制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、一般には通信に関し、詳細には複数のアクセスポイントの協調に関する。
【背景技術】
【0002】
無線通信は現在、数十年にわたって進歩を遂げている。例示的な注目すべき標準化団体には、第3世代パートナーシッププロジェクト(3GPP(登録商標))、及び一般にWi-Fiと呼ばれるIEEE802.11が含まれる。
【発明の概要】
【0003】
協調されたアクセスポイントのグループ形成、特にグループ形成及び協調方式選択のための方法並びに技法について説明する。
【0004】
本発明は、独立請求項によって定義される。いくつかの例示的な実装形態は、従属請求項によって提供される。
【0005】
いくつかの実装形態において、無線通信システムの複数のアクセスポイントによる協調通信を制御するための制御装置が提供される。制御装置は、端末デバイスにおいて測定されたチャネル特性を複数のアクセスポイントから受信するように構成されたインターフェースと、端末デバイスをサーブするための複数のアクセスポイントのうちの1つ又は複数の候補グループのアクセスポイントについて、少なくとも1つのバックホールリンク機能が協調通信の要件を満たしている否かを判定することであって、要件が、候補グループのアクセスポイントのうちの少なくとも1つのアクセスポイントが複数のアクティブリンクで動作するかどうかをテストするように回路が構成されているマルチリンク動作の要件、又は端末デバイスに適用可能な1つ又は複数の協調方式のうちの1つの協調方式の要件のうちの少なくとも1つを含む、判定すること、判定の結果に従って、端末デバイスをサーブするためのアクセスポイントのグループとして1つ又は複数の候補グループの中から1つの候補グループを選択すること、及び、選択されたグループのアクセスポイントを、協調通信において端末デバイスをサーブするようにインターフェースを介して制御することを行うように構成された回路と、を備える。
【0006】
いくつかの実装形態において、複数のアクセスポイントによる協調通信を制御するための制御方法が提供される。制御方法は、制御装置によって実施され、端末デバイスにおいて測定されたチャネル特性を複数のアクセスポイントから受信するステップと、端末デバイスをサーブするための複数のアクセスポイントのうちの1つ又は複数の候補グループのアクセスポイントについて、少なくとも1つのバックホールリンク機能が協調通信の要件を満たしている否かを判定するステップであり、要件が、候補グループのアクセスポイントのうちの少なくとも1つのアクセスポイントが複数のアクティブリンクで動作するかどうかがテストされるマルチリンク動作の要件、又は端末デバイスに適用可能な1つ又は複数の協調方式のうちの1つの協調方式の要件のうちの少なくとも1つを含む、判定するステップと、判定の結果に従って、端末デバイスをサーブするためのアクセスポイントのグループとして1つ又は複数の候補グループの中から1つの候補グループを選択するステップと、選択されたグループのアクセスポイントを、協調通信において端末デバイスをサーブするように制御するステップとを含む。
【0007】
現在開示されている主題のこれら及び他の特徴及び特性、並びに、構造の関連要素の動作方法及び機能、及び部品の組合せ及び製造の経済性は、添付の図面を参照しながら以下の説明及び添付の特許請求の範囲を考察することによって明らかとなり、添付の図面、以下の説明、及び添付の特許請求の範囲のすべてが、本明細書の一部を形成している。しかしながら、図面は例示及び説明のみを目的としており、本開示の主題の限定を定義するものではないことを明確に理解されたい。「a」、「an」、及び「the」という単数形は、本明細書及び特許請求の範囲で使用される場合、文脈が明確に指示しない限り、複数の指示対象を含む。
【0008】
以下の図を参照することにより、様々な実施形態の性質及び利点を理解することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図2B】メモリのモジュールを示すブロック図である。
【
図6-1】グループ形成及び協調方式選択プロセスのステップを示す流れ図である。
【
図6-2】グループ形成及び協調方式選択プロセスのステップを示す流れ図である。
【
図6-3】グループ形成及び協調方式選択プロセスのステップを示す流れ図である。
【
図6-4】グループ形成及び協調方式選択プロセスのステップを示す流れ図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
これ以降の説明のために、「端部」、「上方」、「下方」、「右」、「左」、「垂直」、「水平」、「上部」、「下部」、「横方向」、「縦方向」という用語及びそれらの派生語は、本開示の主題が図面において方向付けられているときに、本開示の主題に関連するものとする。しかしながら、別段に明確に指定されている場合を除き、本開示の主題が様々な代替の修正形態及びステップシーケンスを想定できることを理解されたい。添付の図面に示され以下の明細書に記載されている特定のデバイス及びプロセスが、本開示の主題の単なる例示的な実施形態又は態様であることも理解されたい。したがって、本明細書に開示される実施形態又は態様に関連する特定の寸法及び他の物理的特性は、特に明記しない限り、限定するものではない。
【0011】
本明細書で使用される態様、構成要素、要素、構造、作用、ステップ、機能、指示、及び/又は同様のもの、そのように明示的に記載されていない限り、重要である又は不可欠であると明示的に記載されていない限り、重要であるとも不可欠であるとも解釈されるべきではない。また、「a」及び「an」という冠詞は、本明細書で使用される場合、1つ又は複数の項目を含むことを意図しており、「1つ又は複数」及び「少なくとも1つ」と交換可能に使用されることがある。さらに、「セット」という用語は、本明細書で使用される場合、1つ又は複数の項目(例えば、関連項目、非関連項目、関連項目と非関連項目との組合せ、及び/又は同様のものなど)を含むことを意図しており、「1つ又は複数」又は「少なくとも1つ」と交換可能に使用されることがある。また、本明細書で使用される「有する(has)」、「有する(have)」、「有する(having)」という用語又は同様のものは、オープンエンド型の用語であることを意図している。さらに、「に基づいて」という語句は、特に明記しない限り、「に少なくとも部分的に基づいて」を意味することを意図している。
【0012】
図1は、例示的な通信システムCSを示し、Txは送信機を表し、Rxは受信機を表す。送信機Txは、インターフェースIfを通じて受信機Rxに信号を送信することが可能である。インターフェースは、例えば、無線インターフェースであってもよい。インターフェースは、送信機Tx及び受信機Rxによる送受信に使用できるリソースによって指定されてもよい。そのようなリソースは、時間領域、周波数領域、コード領域、及び空間領域のうちの1つ又は複数(又はすべて)において定義されてもよい。一般に、「送信機」と「受信機」との両方が同じ装置に統合される場合もあることに留意されたい。言い換えると、
図1におけるデバイスTx及びデバイスRxはそれぞれ、Rx及びTxの機能性を含む場合もある。
【0013】
本開示は、特定の送信機Tx、受信機Rx、及び/又はインターフェースIfの実装形態に限定されない。しかしながら、本開示は、いくつかの既存の通信システム並びに既存の通信システムを拡張したもの、又は新しい通信システムに容易に適用され得る。例示的な既存の通信システムは、例えば、現在のリリース若しくは将来のリリースでの5G新無線(NR:New Radio)及び/又は最近研究されたIEEE802.11be若しくは同様のものなどのIEEE802.11ベースのシステムであってもよい。
【0014】
一般にWi-Fiと呼ばれるIEEE802.11は、30年前から存在しており、何十億ものデバイスが世界中の無線トラフィックの過半数をサポートしているので、最も普及している無線通信規格のうちの1つであると言える。スループット、容量、レイテンシ、スペクトル、及び電力効率に関するユーザ需要の高まりにより、規格をユーザ需要に対応するよう更新又は修正することが求められている。そのため、Wi-Fiは通常、5年ごとに、独自の特有の特徴を有する新たな改正が行われる。旧世代では、焦点は主にデータレートの向上だったが、デバイスの密度の高まりに伴い、エリア効率がWi-Fiネットワークの主要な課題となった。この問題に起因して、最新の改正(802.11ax)及び今後の改正(802.11be)改正は、効率の問題に焦点を当てている。
【0015】
今後のIEEE802.11be改正では、Wi-Fiネットワークのパフォーマンスを向上させるために、マルチAP協調とマルチリンクオペレーション(MLO)との2つの機能が提案されている。マルチAP協調は、異なるAP間の(分散された)協調を利用してBSS(基本サービスセット)間の干渉を低減し、高密度配備でのスペクトル利用を改善することを目的としている。一方、MLOは、同じデバイスに複数のリンクを使用することによって提供される柔軟なリソース利用を活用することで、高データレート及び低レイテンシをサポートする。
【0016】
マルチアクセスポイント(AP)協調は、原則として、第3世代パートナーシッププロジェクト(3GPP)Rel-11において提案及び標準化された、セルラネットワーク用に提案された協調マルチポイント(CoMP)の概念と非常に類似している。CoMPのクラスタ化メカニズムは、本開示で扱うグループ形成に関連する。さらに、Wi-Fi7とも呼ばれるIEEE802.11be改正において議論されている様々な協調方式は、CoMP方式を起源とする。
【0017】
Wi-Fiにおける例示的な協調方式には、CSR(coordinated spatial reuse:協調空間再利用)、Co-OFDMA(coordinated OFDMA:協調OFDMA)、CBF(coordinated beamforming:協調ビームフォーミング)、又はJT(Joint Transmission:共同送信)が含まれる。BSS(基本サービスセット)間の干渉は弱いが、チャネルがビジーであると認識されるとき、CSRが使用されてもよい。Co-OFDMAでは、APは、APのスケジュールの時間及び頻度を協調させてもよい。CBF(又は「ヌルステアリング」)では、APは、サーブされるSTA(複数可)へのビームを形成しながら近隣のSTAへの干渉をゼロにすることを目的とする。JT(共同送信又は「共同送受信」)では、動的分散MU-MIMOシステムを作成することによって複数のAPが同じSTAをサーブしてもよい。
【0018】
3GPPセルラシステムにおける協調方式に関しては、協調スケジューリングがCSR及びCo-OFDMAに類似している。また、3GPPシステムは、Wi-Fiに対応して、CBF協調方式及びJT協調方式を有する。さらに、3GPPPでは、動的ポイント選択が提案されており、動的ポイント選択では、ユーザデータは異なる協調AP間で共有されるが、各送信時間間隔(TTI)において最も好適なAPのみがユーザに送信し、他のAPはミュートされる。
【0019】
一般に、APのグループ化又はクラスタ化のためのメカニズムは、協調ノード間での情報交換及び/又はシグナリングの方法並びにプロセスに焦点を当てている。いくつかの手法は、あるAPの分散型多入力多出力(MIMO:multiple-input multiple-output)能力をそのカバレッジエリア内の他のAPに示すことを中心に展開するか、又は同様に、「マスタ」APを、マルチAPグループを通知するメッセージを送信すること及びグループに参加している他のAPに関連するシグナリング交換を担当するAPとする。さらに、グループ形成は、グループ識別の観点で研究されている。
【0020】
Wi-Fi7は、複数のリンク(又はさらには帯域)で同時に機能又は動作する能力をデバイス(AP及びSTA)に与える、マルチリンクオペレーション(MLO)の概念を導入している。MLOは、マルチAP協調に対して、旧式の協調手法には含まれていなかった新しいパラダイムを導入している。
【0021】
Wi-Fi-7では、マルチリンクオペレーション(MLO)を考慮して、デバイスが複数のリンクを使用できるようにすることによって、ネットワークのスループットを向上させ、レイテンシの問題に対処する。MLOのもとでのマルチバンド及びマルチチャネルについては、Ryuichi Hirataら(ソニー株式会社)、Discussion on Multi-band operation、IEEE802.11-19/0818r0、2019年7月において例証されている。前者は、異なる周波数帯域(例えば2.4GHz帯域及び5GHz帯域)で動作する複数のリンクを考慮し、後者は、同じ帯域内の複数のチャネルの使用を考慮する。
【0022】
マルチリンクデバイス(MLD)は、複数の「関連」デバイスを有し、各関連デバイスは個別のPHYインターフェースを有し、MLDはLLC(論理リンク制御)層への単一リンクを有する。提案されたIEEE802.11beの草案では、マルチリンクデバイス(MLD)とは、「論理エンティティであり、2つ以上の関連ステーション(STA)を有し、1つの媒体アクセス制御(MAC)データサービスを含む論理リンク制御(LLC)への単一の媒体アクセス制御(MAC)サービスアクセスポイント(SAP)を有するデバイス」と定義されている。(LAN/MAN Standards Committee of the IEEE Computer Society、改正8:Enhancements for extremely high throughput(EHT)、IEEE P802.11be(商標)/D0.1、2020年9月、セクション3.2を参照)。関連デバイスのMLDとの接続(複数可)は、単独で又は共同で生じることがある。
【0023】
マルチリンク要素の暫定的な定義及び範囲は、前述のIEEE802.11be草案のセクション9.4.2.247bで説明されている。この情報要素/コンテナの背景にある考え方は、マルチリンクデバイス(MLD)が異なるリンクの能力を互いに共有し、発見及び関連付けのプロセスを容易にする方法を提供することである。しかしながら、この情報要素は引き続き変更される可能性があるか、又は、例えばバックホールの使用に関連するMLO情報を共有するための新しいメカニズムが導入される可能性がある。
【0024】
マルチリンクオペレーション(MLO)では、STAとAPとの両方が、同時にアクティブとなり得る複数のリンクを所有することができる。これらのリンクは、同じ帯域/チャネルを使用しても使用しなくてもよい。複数のリンクが存在するため、MLOでは、バックホールステータス要件を検査することが特に重要になる。したがって、MLOは、従来の協調マルチポイント(CoMP)又はデュアルコネクティビティのシナリオでの要件に加えて、追加の要件又はより厳しい要件をバックホールリンクに課す場合がある。
【0025】
本開示は、Wi-Fi技術の前述の態様に関連し、現在の又は将来リリースされる他の無線通信規格における上記の5G新無線(NR)を含む3GPP(セルラ)ネットワークにも適用可能である。
【0026】
上述の手法は、マルチAPグループ形成に関連する情報交換及び通知メカニズムを提供することを対象としているが、本開示は、協調グループの形成に関連するプロセス及びメカニズムを提供する。APグループ形成のための技法、並びに、いくつかの実施形態では、グループ形成及び協調方式選択が提供される。
【0027】
さらに、本開示によって提供されるメカニズムは、Wi-Fi7が、複数のリンク(又はさらには帯域)で同時に機能又は動作する能力をデバイス(AP及びSTA)に与えるマルチリンクオペレーション(MLO)の概念を導入していることを考慮に入れる。MLOは、マルチAP協調に対して、旧式の協調手法には含まれていなかった新しいパラダイムを導入している。
【0028】
さらに、協調グループ形成及び方式選択は互いに関連しており、すなわち、方式はグループの形成に影響を与える可能性があり、その逆も同様である。例えば、共同送信(JT)などのいくつかの方式は、時間領域と周波数領域との両方において協調APの非常に厳密な同期を必要とする。したがって、本開示は、グループ形成を考慮に入れ、これらのグループ形成と方式選択との両方の決定を同時に最適化する可能性があるメカニズムを提供する。本開示の装置及び方法は、APグループの形成がマルチリンクオペレーション及び選択された協調方式にどのように関連し得るかというシナリオを構築する。
【0029】
本開示は、無線通信システムの複数のアクセスポイント(AP)による協調通信を制御するための制御装置を提供する。
【0030】
制御装置200は
図2Aに示されている。さらに、無線通信システムは
図3及び
図4に図示されている。
【0031】
制御装置200は、インターフェース230と回路220とを備え、回路220は、処理回路及び制御回路のうちの少なくとも1つを備えてもよい。
【0032】
インターフェースは、端末デバイス350Aにおいて測定されたチャネル特性を複数のAP300A~AP300Cから受信するように構成されている。
【0033】
回路220は、端末デバイスをサーブするための複数のアクセスポイントのうちの1つ又は複数の候補グループのアクセスポイントについて、少なくとも1つのバックホールリンク機能又はリンク機能が協調送信の要件を満たしている否かを判定する(又は
テストする)ように構成されている。
【0034】
バックホールリンク機能又はリンク機能は、(バックホール)リンクの機能である。協調通信の要件は、
候補グループのアクセスポイントのうちの少なくとも1つのアクセスポイントが複数のアクティブリンクで動作するかどうかをテストするように回路が構成されているマルチリンク動作の要件、又は
端末デバイスに適用可能な1つ又は複数の協調方式のうちの1つの協調方式の要件
のうちの少なくとも1つを含む。
【0035】
回路220は、端末デバイス350Aをサーブするためのアクセスポイントのグループとして、1つ又は複数の候補グループの中から1つの候補グループを選択するようにさらに構成される。選択は、協調送信の要件が満たされているかどうかの判定の結果に従って実施される。さらに、回路220は、端末デバイスとの協調通信を実施する際に、インターフェース330を介して、選択されたグループのアクセスポイントを制御するように構成されている。
【0036】
図2Aは、いくつかの実施形態による制御装置200を図示する。制御装置200は、メモリ210と、処理回路220と、インターフェース又はバックホールインターフェース230と備え、これらは、バス201を介して互いに通信することが可能であってもよい。加えて、制御装置200は、送受信機240を含んでもよく、送受信機240は、送信機及び受信機の機能性を有し、例えば、無線送受信機であってもよい。
【0037】
無線通信システムには、2種類のリンクがある。一方では、アクセスリンクは、端末デバイスとアクセスポイントとの間のリンクである。他方では、バックホールリンクは、制御装置及びアクセスポイントなどの異なるインフラ要素間のリンクである。したがって、本開示において、バックホールリンクは、制御装置200と複数のアクセスポイントのうちの1つとの間のバックホールリンクであってもよく、バックホールリンクは、2つの通信装置間のリンクであってもよい。
【0038】
制御デバイス200は、アクセスポイントとして機能しない別個のデバイス又はエンティティ、例えば、スタンドアロンデバイスとして実装されてもよい。この事例を
図3に示す。例えば、
図3に見られるように、バックホールリンクは、制御装置200を複数のAP300A~AP300C(AP1、AP2、AP3)のそれぞれと接続する1つ又は複数のバックホールリンク301A~301Cを備える。さらに示されているように、バックホールリンクは、任意選択で、アクセスポイントAP1~AP3を接続するバックホールリンク305A~305Cをさらに備えてもよい(任意選択的なAP間のバックホールリンクについては
図3及び
図4の破線を参照)。さらに、APは、
図1に示すインターフェースIfに対応する無線インターフェース又は無線チャネル315A~315Dを通じて、端末デバイス350A~350Bと通信する。
【0039】
代替として、
図4に図示するように、制御装置200は、複数のAPのうちのAP400A内に統合されてもよく、AP400Aは無線送受信機240を使用して1つ又は複数の端末デバイス又は装置と通信する。
【0040】
本開示において、「バックホールリンク機能」という用語は、制御装置200と複数の端末デバイスAP1~AP3との間のバックホールリンクのバックホールの可用性などのリンク機能を指し、それぞれのAP間のバックホールリンクのリンク機能をさらに含んでもよい。
【0041】
したがって、本開示は、1つ又は複数の端末デバイスとの協調通信を実施するためのAP400Aも提供し、APは制御装置200を含む。
【0042】
メモリ210は、本開示のいくつかの実施形態を実装する複数のファームウェア又はソフトウェアモジュールを記憶してもよい。メモリ210は、処理回路220によって読み出されてもよい。処理回路は、メモリを読み出すことによって、実施形態を実装するファームウェア/ソフトウェアを実行するように構成されてもよい。処理回路220は、1つ又は複数のプロセッサを含んでもよい。いくつかの実施形態において、本明細書に記載の機能を実施する処理回路220は、単一チップ上の集積回路内に統合されてもよい。
【0043】
図2Bは、メモリ210及びメモリ210に記憶された機能コード部分の概略的な機能ブロック図を示す。機能コード部分は、プロセッサ(複数可)又は処理回路220で実行されたとき、以下のようにそれぞれの機能を実施する。アプリケーションコード270は、バックホールリンク機能が協調通信の要件を満たしているかどうかをテストするためのテストモジュールを実装し、アプリケーションコード260は、APのグループを選択するためのグループセレクタとして作用し、アプリケーションコード280は、複数のAPによる協調通信のコントローラとして作用する。
【0044】
無線送受信機240は、電力増幅器PAモジュール及びアンテナモジュールを含んでもよい。PAモジュールは、アンテナモジュールのそれぞれの1つ又は複数のアンテナから送信される信号を増幅するための1つ又は複数の電力増幅器を含んでもよい。無線送受信機は、任意の知られている無線送受信機に対応してもよい。無線送受信機は、さらなる構成要素を含んでもよい。さらに、無線送受信機240は、信号を受信するための無線受信機部分を実装してもよい。
【0045】
制御装置200に対応して、複数のアクセスポイントによる協調通信を制御するための制御方法が提供され、制御方法は、
図5Aに示された、制御装置によって実行される以下の方法のステップを含む。
【0046】
方法は、端末デバイスにおいて測定されたチャネル特性を複数のアクセスポイントから受信するステップS510を含む。方法は、端末デバイスをサーブするための複数のアクセスポイントのうちの1つ又は複数の候補グループのアクセスポイントについて、バックホールリンクの少なくとも1つのバックホールリンク機能が強調通信の要件を満たしているか否かを判定する(又はテストする)ステップS530をさらに含む。要件は、候補グループのアクセスポイントのうちの少なくとも1つのアクセスポイントが複数のアクティブリンクで動作するかどうかがテストされるマルチリンク動作の要件、又は端末デバイスに適用可能な1つ又は複数の協調方式のうちの1つの協調方式の要件のうちの少なくとも1つを含む。方法は、判定(又はテスト)の結果に従って、端末デバイスをサーブするためのアクセスポイントのグループとして、1つ又は複数の候補グループの中から1つの候補グループを選択するステップS540をさらに含む。加えて、方法は、選択されたグループのアクセスポイントを、協調通信において端末デバイスをサーブするように制御するステップS550を含む。
【0047】
任意の実施形態による制御装置と、データ及びチャネル状態情報を共有し、共有データの協調通信を実施するように構成された複数のアクセスポイントとを含む無線通信システムも提供される。さらに、通信システムのための対応する通信方法も提供される。
【0048】
本開示では、本明細書で提供される技法の詳細、実施例、及び実施形態は、提供される装置と対応する方法との両方を指すものと理解されるべきである。
【0049】
前述のように、本開示による無線通信システムは、Wi-Fiシステム若しくは3GPP通信システム、又は複数のAPから端末デバイスへの協調送信又は協調通信を提供するための任意の他の無線通信システムであってもよい。「アクセスポイント(AP)」という用語は、この専門用語が一般的に使用されるWi-Fiにおけるアクセスポイントを指すだけでなく、LTE技術におけるeNodeB又は5GのgNodeBなど、無線通信システムにおける任意の無線基地局又は送受信ポイント(TRP)も含むと理解されるべきである。したがって、複数のアクセスポイントによる通信は、例えば、協調送信、マルチAP協調、マルチTRP通信、又は協調マルチポイント送信を含む。さらに、複数のAPによる通信は、ダウンリンクでの1つ又は複数の端末デバイスへの送信、及び端末デバイスからのアップリンクでの受信を含み、1つ又は複数の端末デバイスのそれぞれは、複数のAPと通信してもよい。さらに、端末デバイスは、例えば、ステーション(若しくは略して「STA」)、ユーザ端末、又はユーザ機器と呼ばれることがあり、端末デバイスには、携帯電話若しくはセルラ電話、タブレットデバイス、パーソナルコンピュータ、ノートブック、リピータ、コネクテッド車両及び/若しくは自動運転車両、又は任意のコネクテッドIoT(「モノのインターネット」)デバイスが含まれることがある。したがって、「AP」のように、「STA」という用語は、無線APによってサーブされる任意の無線通信デバイスを指すと理解されるべきである。
【0050】
インターフェース230は、バックホールインターフェースであってもよく、制御装置200は、このバックホールインターフェースを通じて、1つ又は複数のAPからチャネル特性を受信する。例えば、STAは、信号の受信元となる各APのチャネル特性を測定する。この点において、チャネル特性は、平均受信基準信号電力レベル、信号対(干渉及び)雑音比(SINR/SNR)、受信信号強度インジケータ(RSSI)、又は各アクセスポイントまでの距離などの、受信電力レベルの電力測定を含んでもよい。次いで、STAは、複数のAPの中からのAPのうちの1つ、例えば、最も高い平均受信電力レベル又は最も短い測定距離などの「最良の」チャネル特性を有するAPに、平均受信電力レベルなどのチャネル特性を送信する。複数のAPのうちの、STAからチャネル特性を受信したいずれかのAPは、バックホールを通じてチャネル特性を制御装置200に送信する。しかしながら、特に、制御装置200が複数のAPのうちの1つとして作用するように統合されており、STAが、制御装置を含む前記APからの最も強い信号電力を測定した場合、制御装置200は、STAからチャネル特性を直接受信してもよい。したがって、制御装置200のインターフェース230は、バックホールインターフェースに加えて、無線インターフェースを含んでもよい。さらに、制御装置200と複数のAPとの間のバックホール接続又はバックホールリンク、及びAP間のバックホールリンクは、ファイババックホール、有線バックホール、又は無線バックホール、例えば、APとSTAと間の無線通信に使用される周波数スペクトルとは異なる周波数スペクトルであってもよい。
【0051】
ステップS520において、制御装置200の回路220は、例えば電力測定を通じて所与のSTAによって測定された受信したチャネル特性に基づいて、協調送信においてSTAをサーブするための可能なAPである候補APのセットを決定してもよい。例えば、候補APのセットは、電力閾値などのチャネル特性の閾値レベルを超える複数のAPである。回路220は、候補APのセットから、端末デバイスをサーブするための候補グループを形成する(例えば、選択又は決定する)。例えば、候補グループ内のAPの数は、最大許容可能(又は許容)グループサイズによって制限されてもよい。
【0052】
前述のように、制御装置200は、回路220を使用して、候補グループのアクセスポイントについて、少なくとも1つのバックホールリンク機能が協調通信の要件を満たしているか否かを判定する。本開示において、バックホールリンク機能という用語は、複数のアクセスポイントを接続するリンクのリンク機能を指す。テストされ得るバックホールリンク機能は、バックホールの可用性、例えば、バックホール帯域幅又はバックホールレイテンシのうちの少なくとも1つを含む。加えて、本開示では、テストされるバックホールリンク機能は、複数のアクセスポイント間の同期をさらに含んでもよい。
【0053】
複数のアクセスポイント間の同期は、無線キャリアを通じたSTAとの協調通信の要件であることに留意されたい。STAとの協調通信を実施するには、異なるAP間でRF(無線周波数)キャリアが同期される必要がある。例えば、位相、時間、及び周波数が同期している必要がある場合がある。複数のAP間の共通バックホールは、キャリアの同期を容易にすることがある。また、バックホールリンクを介して接続された複数のアクセスポイントがAPと協調通信を実施するためには、APが同期されている必要がある。この理由から、本開示では、1つ又は複数のバックホールリンク機能は、バックホールリンクの帯域幅及び/又はレイテンシなどのバックホールの可用性に加えて、協調通信を実施するためのアクセスポイント間の同期を含んでもよい。
【0054】
図5Aに示すように、ステップS520において、制御装置200の回路220は、チャネル特性(複数可)がSTAによって測定されて報告された候補APの中から、アクセスポイントの候補グループを形成(例えば、選択又は決定)する。
図5Aにさらに示すように、ステップS530において、選択された候補グループについて協調要件が満たされていると判定された場合、回路220は、協調通信においてAPをサーブするためのグループとして候補グループを選択してもよい(はい)。しかしながら、候補グループについて協調要件が満たされていないと判定された場合、方法はステップS520に戻り、回路220は、受信したチャネル特性に基づいて新しい候補グループを決定する。したがって、制御方法は、候補グループの決定を繰り返すこと、又は、繰り返しの選択で選択された1つ又は複数の候補グループのうちの1つの候補グループについてバックホールリンク機能(複数可)が協調通信の要件を満たすまで、候補グループ(複数可)を再選択することを含んでもよい。
【0055】
ステップS520において候補グループ決定のこのような繰り返しを実施する必要があるとき、回路は、複数のAPのうちの第1の候補グループについて協調要件が満たされているかどうかを判定し、再選択後、ステップS520の繰り返しの選択で形成された複数のAPのうちの第2のグループについて協調要件が満たされているかどうかを判定する。
【0056】
いくつかの実施形態において、回路220が、第1の候補グループについてバックホールリンクが協調通信の要件を満たしていないと判定した場合、回路220は、アクセスポイントの前記グループの最大許容グループサイズを増分し、ステップS520を繰り返す際に、複数の候補APの中から、増分された最大許容グループサイズ以下の第2の候補グループを形成するように構成されている。例えば、第1の候補グループのグループサイズは、現在の最大許容グループサイズ(例えば、候補グループの再選択がまだ実行されていない場合、初期の、例えば、予め定めされた最大許容グループサイズ)を超えることはできず、増分後、第2の候補グループのグループサイズは、増分されたグループサイズを超えることはできない。
【0057】
第1の候補グループと再選択によって決定された第2の候補グループとの両方を含む可能性がある1つ又は複数の候補グループは、例えば、上述した平均受信基準信号電力レベル、信号対(干渉及び)ノイズ比(SINR/SNR)、STAとAPとの間の距離、若しくはさらなる測定のうちのチャネル特性又はチャネル品質の1つ又は複数の測定を含むチャネル特性に基づいて決定されてもよい。
【0058】
本開示によれば、アクセスポイントのグループの決定は、1つ又は複数のSTA(単一の端末デバイス及び複数の端末デバイス)、例えば、
図3及び
図4においてSTA1及びSTA2と表示されている端末デバイス350A~350Bについて実施されてもよい。ここでは、第1の端末デバイス350A(STA1)をサーブするために、アクセスポイントAP1及びAP2を含むグループが選択されており、端末デバイス350B(STA2)をサーブするために、アクセスポイントAP2及びAP3を含むグループが選択されている。無線ネットワーク又は通信システムに複数の端末デバイスが存在する場合、複数の端末デバイスのそれぞれが、複数のアクセスポイントのチャネル特性をそれぞれ測定して、測定値を1つのアクセスポイントに報告し、1つのアクセスポイントは、例えばバックホールを介して、その測定値を制御装置200に転送する。複数のSTAの場合、制御装置200の回路220は、複数のSTAのそれぞれについて、APの候補グループの選択(さらに場合によっては、協調通信の要件が満たされているかどうかの判定の結果により必要に応じて、再選択)、協調通信の要件が満たされているか否かの判定、及びアクセスポイントをサーブするためのグループとしての候補グループの選択を実施してもよい。
【0059】
要件(複数可)のテスト(バックホールリンク機能(複数可)が協調通信の要件を満たしているかどうかを判定すること)は、複数のSTAについて形成された複数のグループ候補全体に対してテストすること、若しくは、例えばSTAのうちの1つについてそれぞれ形成された各候補グループについて、STAごとにそれぞれテストすることのうちの一方又は両方を含んでもよい。
【0060】
特に、バックホールリンク機能がマルチリンク動作の要件を満たしているかどうかの判定は、複数のSTAに対して1回の実行で実施されてもよい。一方、バックホールリンク機能が協調方式の要件を満たしているかどうかの判定は、複数のSTA及びそれに対応するAPの候補グループのそれぞれについて実施されてもよい。これについては、
図5Aに示す方法のうちのステップS520とステップS540との間の部分に関する実施形態を示した
図5Bに示されている。特に、1つ又は複数の協調方式は、STAをサーブするための所与の候補グループについて、パフォーマンス又はオーバーヘッドなどの基準に基づいて予め選択されてもよい。特に、予め選択する際、パフォーマンスとオーバーヘッドとの間のトレードオフを定量化するための尺度として、利益メトリックが使用されてもよい。さらに、このトレードオフに関して予め選択された協調方式をランク付けするために、利益メトリックが使用されてもよい。S525において、予め選択された協調方式のうちの1つが選択され、この協調方式について、バックホールリンク機能(例えば、バックホールの可用性及び/又は同期)がこの協調方式の要件を満たしているかどうかが判定される(
図5Aからのステップ530の一例としてのS530’)。要件を満たしておらず、また予め選択されたすべての方式がテストされたわけではない場合(S535)、予め選択された方式からの別の予め選択された方式が採用される。すべての方式が検査されているが、予め選択された方式のいずれについてもバックホールリンク機能が協調通信の要件を満たしていると判明していない場合、方法はステップS520に戻り、1つ又は複数のSTAのそれぞれについて、新しい候補グループが選択される。
【0061】
本開示による制御装置200は、制御装置200と複数のアクセスポイントとを含むシステムの一部を形成する。制御装置200及びアクセスポイント(AP300A~300C、又は400A、300B~300C)は、グループ形成及び選択プロセスにおいて作用し、グループ形成及び選択プロセスは、Wi-Fiネットワーク又はセルラネットワークなどのネットワークにおける協調方式選択プロセスを含む可能性がある。このプロセスの様々な例示的なステップが
図6-1~
図6-4に示されている。
【0062】
グループ形成及び選択に先立ち、ステップS610において、STAの総数及びAPの総数が定義されてもよい。例えば、変数名Num_STA及びNum_APがそれぞれ使用されてもよい。例えば、APの総数は、バックホールを介して相互に接続されるAPの数であり、STAの総数は、APのうちの1つと接続を確立しているSTAの数である。前述のように、STAの数は1つ又は2つ以上であってもよい。
【0063】
ステップS615において、各STAは、複数のAPからそれぞれ受信した信号の平均受信基準信号電力レベル(複数可)などのチャネル特性を、最も高い平均受信電力レベルを有するAPなど、STAにとって「最良のサービングAP」であり得る1つのAPに報告する。例えば、STAは、チャネル特性の測定を実施するための信号又は十分に強い信号の受信元である各APのチャネル特性を報告する。各STAから報告された信号レベルは、ファイババックホール、有線バックホール、無線バックホールなどのバックホールを介して制御装置200(「制御部」と呼ばれることがある)に送られる。制御装置200は、上述した
図5AからのステップS510に従って、バックホールを介して、又は、STAからチャネル特性を受信するAPの中に制御装置200が統合されている場合は無線送受信機/インターフェースを介して、チャネル特性を受信する。
【0064】
次いで、ステップS620において、制御装置200は、電力制約に基づいて、各STAの候補APを選び出す。例えば、チャネル特性の測定値を送信したSTAごとに、候補APのセットが決定される。STAの候補APのセットには、STAがSTAの電力/チャネル測定値を送信したサービングAP、及びSTAがサービングAPの受信電力レベルの範囲内でチャネル特性又は電力レベルを測定した1つ又は複数のAPが含まれてもよい。例えば、協調APグループ内に受信電力レベルが低いAPを不必要に含めることを回避するために、最小電力閾値が適用されてもよい。
【0065】
ステップS625において、最大クラスタサイズ又は最大許容グループサイズが初期化されてもよい。例えば、複数の端末デバイスのすべて、及び複数の端末デバイスのそれぞれの判定対象のサービングAPグループについて、初期値(例えば、同じ初期値)が設定されてもよい。例えば、Max_Cluster_Sizeなどの変数が設定されてもよい。しかしながら、最大許容グループサイズは、すべてのグループに対して同じ初期値を用いて初期化される必要はない。例えば、異なるクラスの端末デバイスには、例えばレイテンシ要件などのサービス要件に従って異なる最大サービンググループサイズが割り当てられてもよい。しかしながら、さらに説明されるように、クラスタサイズ又は最大許容グループサイズは、STAごとに動的に変化するように設計されてもよい。
【0066】
ここで、最大クラスタサイズ又は最大許容グループサイズとは、任意のSTAをサーブするためにシステムにおいて許容可能な最大APクラスタサイズを意味する。例えば、最大クラスタサイズが4である場合、STA(複数可)は、1つのAP、2つのAP、3つのAP、又は4つのAPによってサーブされてもよい。しかしながら、どのSTAも、4つを超えるAPによってサーブされることはない。最適なクラスタサイズは、干渉除去による利益とチャネルオーバーヘッドとの間のトレードオフを含む要因に依存することがあり、干渉除去による利益とチャネルオーバーヘッドとはどちらも、クラスタが大きいほど大きくなることがある。例えば、ステップS625では、ステップS630においてグループ形成を開始するために、初期の最大クラスタサイズ(Max_Cluster_Size)が2に設定されてもよい。最大クラスタサイズが動的に変化するように設計されている場合、動的な変化が重要であるときは、最大クラスタサイズが増加されてもよい。
【0067】
次いで、(
図5AのステップS520に対応する)ステップS630において、STAごとに、協調AP候補グループが形成又は決定される。最大許容数が定義されている場合、この協調AP候補グループの形成は、協調APグループ候補内のAPの数が最大許容クラスタサイズを超えないように実施される。1つの方法は、測定された電力の最高値が報告されている所与のSTAについてAPを選択することである。しかしながら、例えば、1つのAPは、含まれる候補グループの最大数を超えることはできないなど、他の基準も同様に考慮されてもよい。
【0068】
アクセスポイントのグループ形成又はクラスタ化では、電力測定メトリック、又は電力測定若しくはチャネル特性を定量化するためのメトリックとして、受信基準信号電力(RSRP、基準信号受信電力)、信号対(干渉及び)ノイズ比(SNR/SINR)、又は、受信信号強度インジケータ(RSSI)若しくは基準信号受信品質(RSRQ)などの他のメトリックが考慮されてもよい。
【0069】
さらに、マクロ基地局又は基地局(複数可)のカバレッジ内にM個の小型基地局が配備される異種のシナリオが考慮されてもよい。このようなシナリオでは、アクセスポイントは、マクロ基地局と小型基地局とに分類される(例えば、「マイクロセル/基地局、又はフェムトセル/基地局」)。例えば、マクロ基地局には、制御装置200として中央制御ユニット(CCU)が配備されてもよい。しかしながら、本開示は、アクセスポイント間のいずれの階層にも限定されない。本開示はそのような階層に関するいずれのシナリオにも限定されないので、CCU/制御装置200は、より一般的な用語として又は前述のように、別個のデバイス/エンティティとしてコーディネータ基地局に配置されてもよい。
【0070】
ステップS635において、グループ形成の目標が選択されてもよい。例えば、主要なグループ形成目標(GFO:group formation objective)、又は2つ以上のグループ形成目標の組合せ若しくは2つ以上のグループ形成目標間のトレードオフが定義される。例示的なグループ形成目標として、負荷分散、エネルギー効率、スペクトル効率、及び/又はバックホール最適化のうちの1つ又は複数が考慮されてもよい。
【0071】
協調マルチリンク動作の要件がマルチリンク動作の要件を含む場合、ステップS640において、ステップS630で形成されたAP候補グループのうちの少なくとも1つのアクセスポイントが複数のアクティブリンクで動作するかどうかが判定(例えば、検査又はテスト)されてもよい。例えば、システム内に、又は、特に1つ又は複数の選択された候補APグループの中に、AP-MLD(複数可)が存在する場合、又は、AP-MLDが存在する場合、AP-MLDの状況をマルチリンクアクティベーションの観点から評価するために、例えば、少なくとも1つのAP-MLDの複数のリンクがアクティブであるかどうかを判定するために、MLO情報要素が使用されてもよい。例えば、IEEEP802.11be規格からの前述のマルチリンク要素が使用されてもよい。2つ以上のアクティブリンクを有するAP-MLDが識別されない場合、ステップS630で形成された候補グループが、変更を必要とせずにさらなるプロセスステップに使用されてもよい。
【0072】
一方、AP候補グループに2つ以上のアクティブリンクを有する1つ又は複数のAP-MLDが存在すると判定された場合、特に、バックホールリンクが独立しており、異なるアクティブリンク間で共通の制御が実施されない(例えば、複数のSTAからの異なるデータが、異なるリンクを通じて送信又は受信されることがある)場合、S645において、バックホールリンク機能、例えばレイテンシ及び帯域幅の観点での上述のバックホールの可用性並びに/又は候補グループ内のAPの同期について検査又はテストされるべきである。ステップS645においてAP-MLDのバックホール及び/又は同期に問題がないと判定された場合、プロセスは、以前に判定されたAP候補グループを用いてさらに継続してもよい。
【0073】
その他の場合として、バックホールリンク機能がマルチリンク動作の要件を満たしていない判定された場合、再クラスタ化が実施される(新しい候補グループを形成するステップS630に戻る)。このような再クラスタ化は、最大許容クラスタサイズを増加させて実施されてもよい。
【0074】
例えば、制御装置200の回路220が、少なくとも1つのバックホールリンク機能がマルチリンク動作の要件を満たしていないと判定した場合、回路220は最大許容グループサイズを増分してもよい。例えば、最大許容グループサイズは、複数の端末デバイス(又はSTA)のすべてについて共通に増分されてもよい。代替として、最大許容グループサイズは、AP-MLDを含む候補グループが割り当てられたSTAについてのみ増分されてもよい。さらに代替として、ステップS625における候補グループの形成を繰り返す試行は、グループあたりのAPの最大許容数を増加させずに又は最大許容数/グループサイズを増加させる前に実施されてもよい。
【0075】
図6-1の前述のステップは、システム内の各STA、例えば、測定されたチャネル特性を1つのAPに送信した各STAに対して実施される候補グループ形成を説明している。上述のように、協調通信の要件は、協調方式の要件を含んでもよい。協調方式は、STAをサーブするために、STAごと/APグループごとに個別に設定されてもよい。
【0076】
以下のステップは、各STA及び対応するAPの(候補)グループに対する最良の協調方式の選択を説明しており、これらのステップは、STAを通じて実行されるループにおいて実施されてもよい。ステップS660において、STAインデックスが、例えばIdx=0に初期化又は開始されてもよい。
【0077】
ステップS665において、協調方式の選択のために、サービス要件又はチャネル要件であり得るSTAの要件が検査される。可能な要件には、前記端末デバイスのスループット、レイテンシ、又はジッタが含まれる。例えば、STAの1つ又は複数の要件は、トラフィックアイデンティティ(TID)又はアクセスカテゴリなどの1つ又は複数のパラメータから抽出されてもよい。セルラネットワークの場合、スループット、レイテンシ、信頼性などの要件を抽出するために、アクセスカテゴリ又はTIDの代替として、3GPP標準化(例えば、第3世代パートナーシッププロジェクト(3GPP)、5Gシステム(5GS)のシステムアーキテクチャ、ステージ2(Rel-16)、技術仕様23.501、バージョン16.5.1、2020年8月)に基づく5G Qos識別子のようなフィールドが使用されてもよい。
【0078】
ステップS665に続いて、ステップS670において、STAと、前記STAのための協調候補APグループを形成するAPとの間のリンク品質が決定されてもよい。可能な品質メトリックには、上述のチャネル特性のいずれかを含むチャネル特性、又は、STAとAPとの間の(1つ又は複数の)距離、受信信号強度インジケータ(RSSI)、及び信号対干渉及びノイズ(SINR)値などの信号電力メトリックが含まれる。
【0079】
次いで、ステップS675において、STAに使用される協調方式の候補として選択されるように、STAの要件に応じて、異なる協調方式のうちの1つ又は複数が選択されてもよい。例えば、制御装置200の回路220は、前記端末デバイスのスループット、レイテンシ、信頼性、又はジッタのうちの少なくとも1つの要件、測定されたチャネル特性に基づいて、1つ又は複数の協調方式を選択するように構成されている。例えば、1つ又は複数の協調方式の選択において、パフォーマンスとオーバーヘッドとの間のトレードオフを示す利益メトリックが使用されてもよい。その結果、サービス要件などのSTAの要件を満たす1つ又は複数の協調方式が決定され、この1つ又は複数の協調方式は、装置200の制御回路220によって、前記端末デバイスのスループット、レイテンシ、信頼性、又はジッタのうちの少なくとも1つ、測定されたチャネル特性、及びパフォーマンスとオーバーヘッドとの間のトレードオフを示す利益メトリックに基づいて決定されてもよい。
【0080】
例えば、選択において考慮される協調方式は、上述したWi-FiのCSR(協調空間再利用)、Co-OFDMA(協調OFDMA)、CBF(協調ビームフォーミング)、若しくはJT(共同送信)のうちの1つ又は複数、又は3GPPシステムにおける対応する方式を含んでもよい。
【0081】
次いで、ステップS680において、バックホールリンク機能(例えば、帯域幅及びレイテンシなどのバックホールの可用性、並びに/又は同期)が、選択された協調方式の要件を満たしているかどうか、及び、選択された方式がサポートされ得るか否かを判定するために、バックホールリンク機能が検査される。ステップS675において、可能な協調方式候補として2つ以上の協調方式が選択された場合、選択された協調方式のうちの1つ又は複数について要件が満たされないと判定されるとき、ステップS680におけるバックホールリンク機能に関する決定が繰り返されてもよい。それぞれの否定の判定の後、それぞれのSTAについて選択されたすべての可能な協調方式が検査されたかどうかが検査されてもよい。
【0082】
制御装置200の回路220が、テストされたバックホールリンク機能が現在テストされている協調方式の要件を満たしていないと判定した場合、回路220は、ステップS690において、端末デバイスの最大グループサイズを増分してもよい。ここで、増分は、端末デバイスごとにそれぞれ実施されてもよく、その結果、異なる端末デバイスに対して異なるサイズの最大許容APグループがもたらされる可能性がある。しかしながら、代替として、協調方式に関するバックホールリンク機能(複数可)の検査の後でも、最大許容グループサイズの増分がすべてのSTAに対して共通に実行されてもよく、又は、最大数を増分する前に同じ最大数でグループを形成しようと試みられてもよい。
【0083】
上述のように、マルチAP協調のシナリオでの方式を選択するためにテストされるバックホールリンク機能として、バックホールの帯域幅及びレイテンシに加えて、同期などの他の基準を考慮することができる。異なる方式の同期要件は異なる場合があるので、この点は重要である。例えば、協調空間再利用(CSR)はフレームレベルの同期を必要とし、協調OFDMA(Co-OFDMA)及び協調ビームフォーミングにはシンボルレベルの同期が必要であり、一方、共同送信(JT)にはさらに、厳密な時間及び位相の同期が必要である。
【0084】
しかしながら、ステップS675において、例えば、上述の利益メトリックを検査して、どの方式がパフォーマンス対オーバーヘッドのトレードオフを十分に実現するかを調べることによって、複数の協調方式がSTAの要件に関して適切であると判定され、候補協調方式として選択されている場合、回路220は、これらの候補協調方式のうちの2つ以上について、バックホールの可用性、又はより一般的には、バックホールリンク機能に関する判定を実施してもよい。ある通信方式について、バックホールリンク機能が協調通信の要件を満たさない場合、ステップS685において、すべての可能な協調方式が検査されたかどうかがテストされ、すべての可能な協調方式が検査されたわけではない場合、ステップS680のバックホール機能のテストのために、別の可能な協調方式が選択される。したがって、前記端末の最大許容グループサイズを増分する前に、回路220は、端末デバイスに適用可能な1つ又は複数の協調方式のそれぞれについて、少なくとも1つのバックホールリンク機能がそれぞれの協調方式の要件を満たしているか否かを判定する。
【0085】
言い換えれば、方式の選択には2つの重要なステップがある。一方のステップ(S675)は、「利益メトリック」を検査して、どの方式が最良のパフォーマンス対オーバーヘッドのトレードオフを実現するかを調べることであり、次いで、他方のステップ(S680)は、バックホールリンク機能(複数可)(例えば、バックホールの可用性及び/又は同期)が前記方式をサポートすることが可能であるかどうかについて、そのバックホールリンク機能を検査することである。
【0086】
しかしながら、可能なすべての協調方式が検査され、協調方式のいずれもバックホール要件を達成していない場合、例えば、協調方式のいずれについても、バックホールリンク機能が協調方式の要件を満たしていない場合、ステップS690において、最大クラスタサイズが増分されてもよく、ステップS630に戻ることによって、複数のSTAのための新しい候補グループの再クラスタリング又は形成が実施される。一方、協調方式のうちの1つがバックホールに関して十分であると判定された場合、又はその結果、バックホールリンク機能(複数可)が協調通信のための協調方式の要件を満たしている場合、ステップS695において、例えばSTAインデックスをIdxからIdx+1に更新することによって、アルゴリズム又はプロセスが次のSTAへ移動してもよい。
【0087】
複数のSTAの場合、各STAについて、対応する協調方式(「最良の」又は最適な協調方式)を有するそれぞれのAPグループ候補が見出されるまで、協調方式を選択及びテストするための上記のステップS665~ステップS685が繰り返される。(例えば、アルゴリズムでは、ステップS700において、STAを通じて実行されるインデックスが、反復が1から始まるかゼロから始まるかに応じて、STAの数Num_STA又はNum_STA-1よりも大きいと判定されてもよい)。
【0088】
したがって、この段階で、各STAには、STAをサーブするためのAPの候補グループ及び対応する協調方式が提供されている。この時点で、決定された候補グループのセット及び対応する協調方式についてAPグループ形成の目標を評価することができ、例えば、対応する協調方式に関連するAPグループ候補の現在のセットが、ステップS635で決定されたGFOを達成しているかどうかが判定される。
【0089】
したがって、ステップS645及びステップS680のうちの一方又は両方でテストされる協調通信の要件に加えて、制御装置200の回路220は、ステップS705において、STA(複数可)の候補グループ(複数可)がグループ形成目標を満たしているかどうかを判定する。グループ形成目標を満たしていない場合、回路は、候補グループ及び場合によっては協調方式全体に対してGFOの評価が実施されるので、例えば、すべてのSTAに共通に候補グループの最大サイズを増分又は更新し、新しい候補グループを形成してもよい。この点において、第1の候補グループ及び場合によっては第2の候補グループが以前に形成及びテストされた所与のSTAに対して、新しい候補グループが形成される場合、GFOの評価の否定的な結果のときに、グループあたりのAPの最大許容数を増加させた第3の候補グループが形成されてもよい。
【0090】
例えば、回路が、第1の候補グループと、少なくとも1つのバックホールリンク機能が協調通信の要件を満たしている1つ又は複数の協調方式の中から選択された協調方式との組合せがグループ形成目標を満たしていないと判定した場合、回路220は、最大許容グループサイズを増分し、「第3の」候補グループに対応する新しい候補グループ(複数可)を形成してもよい。
【0091】
グループ形成目標が達成されない場合、ステップS710において、すべてのSTAの最大クラスタサイズが1つ増分されもよく、ステップS705の評価においてグループ形成目標が達成されたと判定されるまでグループ候補形成(及び場合によっては協調方式の選択)が繰り返される。
【0092】
グループ形成目標が達成されると、目標が達成された候補グループが、それぞれのSTAをサーブするためのグループとして選択される。制御回路220は、各STAに対して選択されたアクセスポイントのグループを、ステップS720においてAPのそれぞれのグループのうちの協調AP間で必要なデータ及び/又はチャネル状態情報(CSI)を交換並びに共有するように、また協調通信(送信及び/又は受信)においてSTAをサーブするように、例えば協調送信を進めるように、インターフェース230を介して制御する。
【0093】
本開示は、上述した
図6-1~
図6-4に示すステップの数及び順序に限定されない。例えば、ステップS625での候補グループの決定の前に、グループ形成目標を選択するステップS630が実施されてもよい。例えば、新しいAPグループ候補を形成する必要がある場合でも、同じGFOが保持されてもよい。
【0094】
さらに、
図6-1~
図6-4に示すように、協調通信の要件は、ステップS645でテストされるマルチリンク動作の要件とステップS680でテストされる協調方式の要件との両方を含むように示されている。しかしながら、両方の要件をテストする代わりに、これら2つの要件のうちの一方のみがテストされてもよい。特に、要件が協調方式(複数可)の要件を含まない場合、ステップS660~ステップS700は省略されてもよく、ステップS645での判定が肯定の結果を有する場合、プロセスはステップS645からステップS705に進む。
【0095】
そのような場合、ステップS705のGFOの評価は、ステップS630で又はステップS630の直後に実施されてもよく、例えば、異なる協調方式についてGFOがテストされない場合、GFOを満たすグループ候補がすでに選択されている場合がある。さらに、テストされる協調要件がマルチリンク動作の要件を含まない場合、ステップS640~ステップS655は省略されもよく、プロセスはステップS635からステップS660に進む。
【0096】
さらに、上述の要件の両方がテストされるときも、ステップS660及びステップS665は、
図6-1~
図6-4に示す任意のステップとは独立して、その任意のステップに先立って実施されてもよい。
【0097】
ソフトウェア及びハードウェアでの実装形態
本明細書に記載の(送信側及び受信側での)方法論は、用途に応じて様々な手段によって実装されてもよい。例えば、これらの方法論は、ハードウェア、オペレーティングシステム、ファームウェア、ソフトウェア、又はハードウェアと、オペレーティングシステムと、ファームウェアと、ソフトウェアとのうちの2つ若しくはすべての任意の組合せにおいて実装されてもよい。ハードウェアでの実装形態の場合、1つ又は複数のプロセッサを含み得る任意の処理回路が使用されてもよい。例えば、ハードウェアには、特定用途向け集積回路(ASIC)、デジタル信号プロセッサ(DSP)、デジタル信号処理デバイス(DSPD)、プログラマブルロジックデバイス(PLD)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、プロセッサ、コントローラ、任意の電子デバイス、又は上記の機能を実施するように設計された他の電子回路ユニット若しくは電子回路要素のうちの1つ又は複数が含まれることがある。
【0098】
送信装置(デバイス)によって実施される機能は、プログラムコードとして実装される場合、メモリ210又は任意の他のタイプの記憶装置などの非一過性コンピュータ可読記憶媒体に1つ若しくは複数の命令又はコードとして記憶されてもよい。コンピュータ可読媒体は、コンピュータによって又は一般的には処理回路220によってアクセスできる任意の利用可能な媒体であり得る物理的コンピュータ記憶媒体を含む。そのようなコンピュータ可読媒体には、RAM、ROM、EEPROM、光ディスク記憶装置、磁気ディスク記憶装置、半導体記憶装置、又は他の記憶装置が含まれることがある。いくつかの特定の非限定的な例には、コンパクトディスク(CD)、CD-ROM、レーザディスク、光ディスク、デジタルバーサタイルディスク(DVD)、Blu-ray(登録商標)(BD)ディスクなどが含まれる。異なる記憶媒体の組合せも可能であり、言い換えれば、分散された異種の記憶装置が採用されてもよい。
【0099】
上述の実施形態及び例示的な実装形態は、いくつかの非限定的な実施例を示している。特許請求された主題から逸脱することなく様々な修正が加えられてもよいことが理解される。例えば、本明細書に記載の中心的な概念から逸脱することなく、実施例を新しいシステム及びシナリオに適合させるように修正が加えられてもよい。
【0100】
選択された実施形態及び実施例
要約すると、無線通信システムの複数のアクセスポイントによる協調通信を制御するための制御装置であって、端末デバイスにおいて測定されたチャネル特性を複数のアクセスポイントから受信するように構成されたインターフェースと、回路であり、端末デバイスをサーブするための複数のアクセスポイントのうちの1つ又は複数の候補グループのアクセスポイントについて、少なくとも1つのバックホールリンク機能が協調通信の要件を満たしている否かを判定することで、要件が、候補グループのアクセスポイントのうちの少なくとも1つのアクセスポイントが複数のアクティブリンクで動作するかどうかをテストするように回路が構成されているマルチリンク動作の要件、又は端末デバイスに適用可能な1つ又は複数の協調方式のうちの1つの協調方式の要件のうちの少なくとも1つを含む、判定すること、判定の結果に従って、端末デバイスをサーブするためのアクセスポイントのグループとして1つ又は複数の候補グループの中から1つの候補グループを選択すること、及び、選択されたグループのアクセスポイントを、協調通信において端末デバイスをサーブするようにインターフェースを介して制御することを行うように構成された、回路と、を備える、制御装置が提供される。
【0101】
いくつかの実施形態において、1つ又は複数の候補グループは複数の候補グループであり、回路が、複数の候補グループのうちの第1の候補グループについてバックホールリンク機能が協調通信の要件を満たしていないと判定した場合、回路は、アクセスポイントの前記グループの最大許容グループサイズを増分し、複数の候補グループの中から、増分された最大許容グループサイズ以下の第2の候補グループを形成するように構成されている。
【0102】
いくつかの実施形態において、回路は、第1の候補グループ及び第2の候補グループを測定されたチャネル特性に基づいて選択するように構成されている。
【0103】
いくつかの実施形態において、端末デバイスは、複数の端末デバイスのうちの端末デバイスであり、回路は、複数の端末デバイスのうちの端末デバイスごとに判定及び選択を実施するように構成されている。
【0104】
いくつかの実施形態において、回路が、少なくとも1つのバックホールリンク機能がマルチリンク動作の要件を満たしていないと判定した場合、回路は、複数の端末デバイスのすべてについて最大許容グループサイズを増分するように構成されている。
【0105】
いくつかの実施形態において、最大許容グループサイズの初期値が、複数の端末デバイスのすべてについて設定される。
【0106】
いくつかの実施形態において、回路が、少なくとも1つのバックホールリンク機能が協調方式の要件を満たしていないと判定した場合、回路は、前記端末デバイスについて最大許容グループサイズを増分するように構成されている。
【0107】
いくつかの実施形態において、前記端末デバイスについて最大許容グループサイズを増分する前に、回路は、端末デバイスに適用可能な1つ又は複数の協調方式のそれぞれについて、少なくとも1つのバックホールリンク機能がそれぞれの協調方式の要件を満たしているか否かを判定する。
【0108】
いくつかの実施形態において、回路が、第1の候補グループがグループ形成目標を満たしていないと判定した場合、回路が、最大許容グループサイズを増分し、複数の候補グループの中から第3の候補グループを形成するように構成されている。
【0109】
いくつかの実施形態において、回路が、第1の候補グループと、少なくとも1つのバックホールリンク機能が協調通信の要件を満たしている1つ又は複数の協調方式の中から選択された協調方式との組合せがグループ形成目標を満たしていないと判定した場合、回路は、最大許容グループサイズを増分し、複数の候補グループの中から第3の候補グループを形成するように構成されている。
【0110】
いくつかの実施形態において、グループ形成目標は、負荷分散、エネルギー効率、スペクトル効率、又はバックホール最適化のうちの少なくとも1つを含む。
【0111】
いくつかの実施形態において、回路は、前記端末デバイスのスループット、レイテンシ、信頼性、又はジッタのうちの少なくとも1つの要件、測定されたチャネル特性、及びパフォーマンスとオーバーヘッドとの間のトレードオフを示す利益メトリックに基づいて、1つ又は複数の協調方式を選択するように構成されている。
【0112】
いくつかの実施形態において、少なくとも1つのバックホールリンク機能は、バックホールレイテンシ、バックホール帯域幅、又は複数のアクセスポイント間の同期のうちの少なくとも1つを含む。
【0113】
協調通信を実施するためのアクセスポイントであって、複数のアクセスポイントに含まれ、本開示の実施形態のいずれかに記載の制御装置を含む、アクセスポイントがさらに提供される。
【0114】
複数のアクセスポイントによる協調通信を制御するための制御方法であって、制御装置によって実施され、端末デバイスにおいて測定されたチャネル特性を複数のアクセスポイントから受信するステップと、端末デバイスをサーブするための複数のアクセスポイントのうちの1つ又は複数の候補グループのアクセスポイントについて、少なくとも1つのバックホールリンク機能が協調通信の要件を満たしている否かを判定するステップであり、要件が、候補グループのアクセスポイントのうちの少なくとも1つのアクセスポイントが複数のアクティブリンクで動作するかどうかがテストされるマルチリンク動作の要件、又は端末デバイスに適用可能な1つ又は複数の協調方式のうちの1つの協調方式の要件のうちの少なくとも1つを含む、判定するステップと、判定の結果に従って、端末デバイスをサーブするためのアクセスポイントのグループとして1つ又は複数の候補グループの中から1つの候補グループを選択するステップと、選択されたグループのアクセスポイントを、協調通信において端末デバイスをサーブするように制御するステップと、を含む、制御方法がさらに提供される。
【0115】
いくつかの実施形態において、1つ又は複数の候補グループは複数の候補グループであり、方法は、複数の候補グループのうちの第1の候補グループについてバックホールリンク機能が協調通信の要件を満たしていないと判定された場合、アクセスポイントの前記グループの最大許容グループサイズを増分し、複数の候補グループの中から、増分された最大許容グループサイズ以下の第2の候補グループを形成するステップを含む。
【0116】
いくつかの実施形態において、方法は、測定されたチャネル特性に基づいて、第1の候補グループ及び第2の候補グループを選択することを含む。
【0117】
いくつかの実施形態において、端末デバイスは、複数の端末デバイスのうちの端末デバイスであり、決定及び選択は、複数の端末デバイスのうちの端末デバイスごとに実施される。
【0118】
いくつかの実施形態において、少なくとも1つのバックホールリンク機能がマルチリンク動作の要件を満たしていないと判定した場合、方法は、複数の端末デバイスのすべてについて最大許容グループサイズを増分するステップを含む。
【0119】
いくつかの実施形態において、最大許容グループサイズの初期値が、複数の端末デバイスのすべてについて設定される。
【0120】
いくつかの実施形態において、少なくとも1つのバックホールリンク機能が協調方式の要件を満たしていないと判定された場合、前記端末デバイスについて最大許容グループサイズが増分される。
【0121】
いくつかの実施形態において、前記端末デバイスについて最大許容グループサイズを増分する前に、方法は、端末デバイスに適用可能な1つ又は複数の協調方式のそれぞれについて、少なくとも1つのバックホールリンク機能がそれぞれの協調方式の要件を満たしているか否かを判定するステップを含む。
【0122】
いくつかの実施形態において、方法は、第1の候補グループがグループ形成目標を満たしていないと判定された場合、最大許容グループサイズを増分し、複数の候補グループの中から第3の候補グループを形成するステップを含む。
【0123】
いくつかの実施形態において、方法は、第1の候補グループと、少なくとも1つのバックホールリンク機能が協調通信の要件を満たしている1つ又は複数の協調方式の中から選択された協調方式との組合せがグループ形成目標を満たしていないと判定された場合、最大許容グループサイズを増分し、複数の候補グループの中から第3の候補グループを形成するステップを含む。
【0124】
いくつかの実施形態において、グループ形成目標は、負荷分散、エネルギー効率、スペクトル効率、又はバックホール最適化のうちの少なくとも1つを含む。
【0125】
いくつかの実施形態において、1つ又は複数の協調方式は、前記端末デバイスのスループット、レイテンシ、信頼性、又はジッタのうちの少なくとも1つの要件、測定されたチャネル特性、及びパフォーマンスとオーバーヘッドとの間のトレードオフを示す利益メトリックに基づいて選択される。
【0126】
いくつかの実施形態において、少なくとも1つのバックホールリンク機能は、バックホールレイテンシ、バックホール帯域幅、又は複数のアクセスポイント間の同期のうちの少なくとも1つを含む。
【0127】
無線通信システムの複数のアクセスポイントによる協調通信を制御するための制御装置の処理回路によって実行されたときに、制御措置を制御して実施形態のいずれかによる制御方法に従ってステップを実施する命令を保持する、コンピュータプログラムも提供される。
【0128】
要約すると、無線通信システムのための制御装置及び制御方法が提供される。制御装置は、アクセスポイントの候補グループ(複数可)について、バックホールリンク機能(複数可)が端末デバイスとの協調通信の要件を満たしているかどうかを判定するように構成されている。協調通信の要件は、マルチリンク動作の要件及び/又は協調方式の要件を含む。この判定の結果に基づいて、アクセスポイントの候補グループが、協調通信において端末デバイスをサーブするためのAPのグループとして選択される。本開示は、これらの技法を開示することによって、協調通信におけるマルチリンク動作及び/又は協調方式選択を考慮することを提供する。
【国際調査報告】