(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-11-02
(54)【発明の名称】多次元相関を活用する学習ベースのスペクトル占有予測
(51)【国際特許分類】
H04W 16/14 20090101AFI20231026BHJP
H04W 24/08 20090101ALI20231026BHJP
H04W 72/54 20230101ALI20231026BHJP
H04W 72/04 20230101ALI20231026BHJP
【FI】
H04W16/14
H04W24/08
H04W72/54 110
H04W72/04
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023519822
(86)(22)【出願日】2021-10-12
(85)【翻訳文提出日】2023-04-25
(86)【国際出願番号】 EP2021078119
(87)【国際公開番号】W WO2022084096
(87)【国際公開日】2022-04-28
(32)【優先日】2020-10-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】519061251
【氏名又は名称】ヴェステル・エレクトロニキ・サナイ・ヴェ・ティジャレット・ア・セ
(74)【代理人】
【識別番号】100107456
【氏名又は名称】池田 成人
(74)【代理人】
【識別番号】100162352
【氏名又は名称】酒巻 順一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100123995
【氏名又は名称】野田 雅一
(72)【発明者】
【氏名】アイギュル, メフメット アリ
(72)【発明者】
【氏名】ナザル, マフムード
(72)【発明者】
【氏名】アルスラン, フセイン
【テーマコード(参考)】
5K067
【Fターム(参考)】
5K067AA03
5K067AA13
5K067EE02
5K067EE10
5K067JJ11
(57)【要約】
本開示は、第1の訓練可能モジュール及び第2の訓練可能モジュールを用いるスペクトル占有予測に関係する。第1及び第2の訓練可能モジュールは、過去の占有、及び/又は、隣り合うサブ帯域(複数可)における占有に基づいて、それぞれの第1及び第2の通信デバイスにおけるスペクトル占有を予測する。第1の訓練可能モジュール及び第2の訓練可能モジュールからの予測は、スペクトル占有予測を次いで提供する、訓練可能出力(第3の)モジュールに入力される。
【選択図】
図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
スペクトル占有の予測のための方法であって、
第1の訓練可能モジュールを適用することにより、第1の通信デバイスに関係付けられている過去のスペクトル占有に基づいて、ワイヤレス帯域幅におけるスペクトル占有の第1の尤度を予測するステップと、
第2の訓練可能モジュールを適用することにより、第2の通信デバイスに関係付けられている過去のスペクトル占有に基づいて、前記ワイヤレス帯域幅におけるスペクトル占有の第2の尤度を予測するステップと、
訓練可能出力モジュールを適用することにより、前記第1の尤度及び前記第2の尤度に基づいて、前記ワイヤレス帯域幅におけるスペクトル占有を予測するステップと、
を含む、方法。
【請求項2】
前記ワイヤレス帯域幅の第1のサブ帯域についての前記第1の尤度の予測する前記ステップ、及び/又は、前記ワイヤレス帯域幅の第1のサブ帯域についての前記第2の尤度の予測する前記ステップが、前記第1のサブ帯域とは異なる前記ワイヤレス帯域幅の第2のサブ帯域における周波数占有にさらに基づく、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記方法は、
前記第1の訓練可能モジュール及び前記第2の訓練可能モジュールの各々に、予め決定された時間瞬間についてのスペクトル占有ベクトルを入力するステップ、
を含み、
前記スペクトル占有ベクトルにおいて、各ベクトル座標が、前記ワイヤレス帯域幅のサブ帯域と関連付けられており、前記ベクトル座標の値は、前記関連付けられているサブ帯域が、前記予め決定された時間瞬間において占有されていたかどうかを指示する、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記第1の通信デバイスが、基地局であり、
前記第2の通信デバイスが、基地局であり、
前記訓練可能出力モジュールによる前記予測が、ユーザ機器である第3の通信デバイスに関係し、
前記方法が、
前記第3の通信デバイスに対する前記第1の通信デバイスの相対的位置に基づき前記第1の通信デバイスを選択するとともに、前記第3の通信デバイスに対する前記第2の通信デバイスの相対的位置に基づき前記第2の通信デバイスを選択するステップ、
をさらに含む、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
基地局とユーザ機器との間の前記相対的位置が、
前記基地局と前記ユーザ機器との間のハンドオーバの数、
前記基地局と前記ユーザ機器との間のチャネル品質、及び、
前記基地局と前記ユーザ機器との間の空間距離、
のうちの少なくとも1つに基づいて決定される、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記第1の通信デバイスが、ユーザ機器であり、
前記第2の通信デバイスが、ユーザ機器であり、
前記訓練可能出力モジュールによる前記予測が、前記第1の通信デバイスに関係し、
前記方法が、
前記第1の通信デバイスに対する前記第2の通信デバイスの相対的位置に基づき前記第2の通信デバイスを選択するステップ、
をさらに含む、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記方法は、
第3の予測により予測される前記スペクトル占有によって、前記第1の通信デバイス、前記第2の通信デバイス、及び/又は、第3の通信デバイス、のためのリソース管理を遂行するステップ、
をさらに含む、請求項1~6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記方法は、
予測するN個のステップであって、qが1~Nである第qのステップそれぞれが、第qの通信デバイスに関係付けられている過去のスペクトル占有に基づいて前記ワイヤレス帯域幅におけるスペクトル占有の第qの尤度を予測するために、第qの訓練可能モジュールを適用すること、を含み、前記Nが2よりも大きい整数である、当該予測するN個のステップ、
を含み、
前記訓練可能出力モジュールを適用することにより、前記ワイヤレス帯域幅におけるスペクトル占有を予測する前記ステップが、各第qの尤度に基づく、請求項1~7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記第1の訓練可能モジュール、前記第2の訓練可能モジュール、及び/又は、前記訓練可能出力モジュールが、畳み込みニューラルネットワーク及び長短期記憶のうちの少なくとも1つを含む、請求項1~8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記第1の通信デバイスに関係付けられている前記過去のスペクトル占有、及び/又は、前記第2の通信デバイスに関係付けられている前記過去のスペクトル占有が、電力スペクトル密度又は受信信号強度インジケータ値を測定することによって得られる、
請求項1~9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
スペクトル占有の予測のための予測器の訓練のための方法であって、
モデルが、N個の訓練可能モジュールと、訓練可能出力モジュールと、を含み、
前記方法が、
Nが1よりも大きい整数である、1~Nであるqそれぞれについて、第qの通信デバイスに関係付けられているワイヤレス帯域幅におけるスペクトル占有尤度、及び、前記ワイヤレス帯域幅におけるグラウンドトゥルーススペクトル占有、から成る第qの対を得るステップと、
前記第qの対によって、N個の訓練可能モジュールの中の各第qの訓練可能モジュールを訓練するステップと、
前記N個の訓練可能モジュールの出力、及び、前記グラウンドトゥルーススペクトル占有によって、前記訓練可能出力モジュールを訓練するステップと、
を含む、方法。
【請求項12】
前記ワイヤレス帯域幅における第qのスペクトル占有は、第qの通信デバイスによる前記スペクトル占有を検出することにより得られる、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記第qの訓練可能モジュールの訓練する前記ステップは、同時での複数のサブ帯域についてのマルチタスク訓練として遂行される、請求項11又は12に記載の方法。
【請求項14】
スペクトル占有の予測のためのデバイスであって、
第1の通信デバイスに関係付けられている過去のスペクトル占有に基づいて、ワイヤレス帯域幅におけるスペクトル占有の第1の尤度を予測するための第1の訓練可能モジュールと、
第2の通信デバイスに関係付けられている過去のスペクトル占有に基づいて、前記ワイヤレス帯域幅におけるスペクトル占有の第2の尤度を予測するための第2の訓練可能モジュールと、
前記第1の尤度及び前記第2の尤度に基づいて、前記ワイヤレス帯域幅におけるスペクトル占有を予測するための訓練可能出力モジュールと、
を備える、スペクトル占有の予測のためのデバイス。
【請求項15】
前記第1の訓練可能モジュール、前記第2の訓練可能モジュール、及び/又は、前記訓練可能出力モジュールが、1つ又は複数のフィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)により具現される、
請求項14に記載の、スペクトル占有の予測のためのデバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ワイヤレス通信システムのためにスペクトル占有を予測することに関係する。
【背景技術】
【0002】
コグニティブ無線は、システムスペクトルを活用するための新興技術のうちの1つである。コグニティブ無線デバイスは、スペクトル効率を改善するために、それらのデバイスの近傍における最も良好なワイヤレスチャネルを動的に使用することになっている。このことを達成するために、スペクトル占有情報が、効率的な動的スペクトルアクセスのためにスペクトル利用可能性をモデリング及び予測することを助けるために必要である。
【0003】
スペクトル占有予測は、将来の占有を予測するために、以前のスペクトル占有に関する情報を使用することに基づくことがある。そのような予測は、過去の占有と将来の占有との間の固有の相関を活用することに基づく。一部の手法は、時間領域相関を活用し、そうして、スペクトル予測を時系列予測として類別する。一部の手法は、加えて、周波数軸線に沿った相関を活用することを勘案し、そうして、時間-周波数相関を活用する。相関は、空間領域においてさらに存在することがある。そうして、すべての述べられた領域における相関を活用することが、望ましいことがある。しかしながら、実用的な実現形態のためには、スペクトル占有予測の複雑度及び要件を考慮に入れることが望ましいことになる。
【発明の概要】
【0004】
本発明は、ワイヤレスローカルエリアネットワーク又はモバイル通信ネットワーク又は類するものなどのワイヤレス通信システムにおけるスペクトル占有予測のための方法及び装置に関係する。
【0005】
本発明は、独立請求項の範囲により定義される。有利な実施形態のうちの一部が、従属請求項において提供される。
【0006】
特に、本開示の一部の実施形態は、複数の通信デバイスにおける過去の占有に基づくスペクトル占有の予測のための個々の訓練可能モデル(モジュールに対応する)、及び、複数のデバイスにより提供される予測に基づいてスペクトル占有を推定するための訓練可能モデルをもたらす、スペクトル占有予測に関係する。
【0007】
実施形態によれば、スペクトル占有の予測のための方法であって、第1の訓練可能モジュールを適用することにより、第1の通信デバイスに関係付けられている過去のスペクトル占有に基づいて、ワイヤレス帯域幅におけるスペクトル占有の第1の尤度を予測するステップ、第2の訓練可能モジュールを適用することにより、第2の通信デバイスに関係付けられている過去のスペクトル占有に基づいて、ワイヤレス帯域幅におけるスペクトル占有の第2の尤度を予測するステップ、訓練可能出力モジュールを適用することにより、第1の尤度及び第2の尤度に基づいて、ワイヤレス帯域幅におけるスペクトル占有を予測するステップを含む、方法が提供される。
【0008】
実施形態によれば、スペクトル占有の予測のための予測器の訓練のための方法であって、モデルが、N個の訓練可能モジュールと、訓練可能出力モジュールとを含み、方法が、Nが1よりも大きい整数である、1~Nである各qについて、第qの通信デバイスに関係付けられているワイヤレス帯域幅におけるスペクトル占有尤度、及び、ワイヤレス帯域幅におけるグラウンドトゥルーススペクトル占有の、第qの対を得るステップと、第qの対によって、N個の訓練可能モジュールの中の各第qの訓練可能モジュールを訓練するステップと、N個の訓練可能モジュールの出力、及び、グラウンドトゥルーススペクトル占有によって、訓練可能出力モジュールを訓練するステップと、を含む、方法が提供される。
【0009】
実施形態によれば、スペクトル占有の予測のためのデバイスであって、第1の通信デバイスに関係付けられている過去のスペクトル占有に基づいて、ワイヤレス帯域幅におけるスペクトル占有の第1の尤度を予測するための第1の訓練可能モジュール、第2の通信デバイスに関係付けられている過去のスペクトル占有に基づいて、ワイヤレス帯域幅におけるスペクトル占有の第2の尤度を予測するための第2の訓練可能モジュール、第1の尤度及び第2の尤度に基づいて、ワイヤレス帯域幅におけるスペクトル占有を予測するための訓練可能出力モジュールを備える、デバイスが提供される。
【0010】
本明細書で開示される主題のこれら及び他の特徴及び特性、並びに、動作の方法、及び、構造の関係付けられている要素の機能、及び、部分の組み合わせ、及び、製造の経済性は、付随する図面を参照しての、後続の説明、及び、添付される特許請求の範囲の検討を基に、より明らかになることになり、それらの説明、特許請求の範囲、及び図面のすべてが、本明細書の部分を形成する。しかしながら、図面は、単に例解及び説明の目的のためのものであり、開示される主題の限界の定義として意図されるものではないということが、明確に理解されるべきである。本明細書及び特許請求の範囲において使用される際、「a」、「an」、及び「the」の単数形は、文脈で別段に明瞭に定めない限り、複数の参照対象を含む。
【0011】
様々な実施形態の性質及び利点の理解は、後続の図の参照により現実のものとされ得る。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】複数の基地局とネットワークとを含むシステムを例解する概略図面である。
【
図2】例示的な機能的送信器-受信器システムを例解する概略図面である。
【
図3】例示的なスペクトル管理方法を例解するフロー線図である。
【
図4】例示的な訓練可能システムの局面を例解するフロー線図である。
【
図5】試験/本番局面の例を例解する概略図面である。
【
図7】通信デバイスの部分を例解するブロック線図である。
【
図8】通信デバイスのメモリの部分を例解するブロック線図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
様々な図における類する参照番号(reference number)及び符号が、ある決まった実現形態の例による、類する要素を指示する。
【0014】
本明細書において以降の説明の目的のために、用語「端部」、「上側」、「下側」、「右」、「左」、「垂直」、「水平」、「上部」、「下部」、「横方向」、「縦方向」、及び、それらの派生語は、開示される主題に、その主題が図面の図において向きを定められるように関係するものとする。しかしながら、開示される主題は、反対のことが明確に記される場合を除いては、様々な代替的な変動及びステップシーケンスを呈することがあるということが理解されるべきである。付属の図面において例解される、及び、後続の本明細書において説明される、特定のデバイス及びプロセスは、開示される主題の単純に例示的な実施形態又は態様であるということが、さらに理解されるべきである。ゆえに、本明細書において開示される実施形態又は態様に関係付けられる、特定の寸法、及び、他の物理特性は、別段に指示されない限り、制限的と考えられるべきではない。
【0015】
本明細書において使用される、態様、構成要素、要素、構造、行為、ステップ、機能、命令、及び/又は類するもののいずれも、決定的又は本質的とは、そのように明示的に説明されない限り、解されるべきではない。さらに、本明細書において使用される際、冠詞「a」及び「an」は、1つ又は複数の項目を含むことを意図され、「1つ又は複数の」及び「少なくとも1つの」と互換的に使用されることがある。さらにまた、本明細書において使用される際、用語「セット」は、1つ又は複数の項目(例えば、関係付けられる項目、関係付けられない項目、関係付けられる項目及び関係付けられない項目の組み合わせ、並びに/又は類するもの)を含むことを意図され、「1つ若しくは複数」又は「少なくとも1つ」と互換的に使用されることがある。1つの項目のみが意図される場合、用語「1つ」又は同様の文言が使用される。さらに、本明細書において使用される際、用語「有する(has)」、「有する(have)」、「有する(having)」、又は類するものは、オープンエンドの用語であることを意図される。さらに、語句「に基づく」は、別段に明示的に説述されない限り、「に少なくとも部分的に基づく」を意味することを意図される。
【0016】
増加するデータトラフィックを受け入れることは、第5世代(5G)及びそれ以後のモバイル通信システムなどの通信システムについての多くの難題の中の1つである。5Gネットワークにおいて、データレートは、第4世代と比較して10倍にされると推定され、遅延は、1ミリ秒まで、又は、いっそう少なく減少すべきである。より高いレートの通信に関する絶えず増大する需要が、この所要と利用可能なスペクトルの不足との間のつきものの隔たりを引き起こす。同様の状況が、ワイヤレスローカルエリアネットワーク(WLAN)において生起することがある。コグニティブ無線は、隔たりを埋めるための主要な解決法のうちの1つであると信じられている。コグニティブ無線によって、セカンダリユーザ(SU)が、プライマリユーザ(PU)により使用されない、利用可能なスペクトル帯域(スペクトルホールと呼称される)を日和見的に(opportunistically)使用することが可能になる。
【0017】
スペクトル予測は、将来の占有が以前の占有に基づいて予測される、継続的なスペクトルセンシングに対する代替法である。この代替法は、継続的なスペクトルセンシングにより要される、計算、エネルギー、及び時間オーバヘッドを大幅に省く。上記で述べられたように、様々なスペクトル占有予測手法が存する。早期の業績は、スペクトル占有を予測するために、古典的な統計的予測方法を使用した。例は、指数移動平均モデル、自己回帰モデル(ARM)、及び、隠れマルコフモデルによるベイズ推論(BIF)方法を使用することを含む。より近時では、周波数における相関が、スペクトル予測性能を改善するために、さらに活用されている。
【0018】
その上、スペクトル占有は、空間領域においてさらに相関させられる。それゆえに、スペクトル占有予測の品質を改善するために、時間、周波数、及び空間の次元におけるスペクトル相関を活用することが有利である。近時の文献は、スペクトル占有を非定常プロセスととらえる。しかしながら、前に述べられた技法は、この問題点に対処する能力を常にもつとは限らないことがある。この、能力をもたないことは、5G及びそれ以後において予想される、増大されるユーザモビリティ、及び、多様なユーザタイプによって、より強く悪化させられる。前に述べられた手法は、数多くの事例の分析において有用であることがあるが、それらの手法は、ワイヤレス信号の多次元属性及び非定常特性の詳細な分析についての可能性をもたらさない。多次元(時間、周波数、及び空間)相関を連帯的に活用することは、スペクトル予測についてのふさわしい観点をもたらす。
【0019】
スペクトル占有予測において多次元相関を同時的に活用することの可能な事柄のうちの1つが、テンソル補完である。例えば、スペクトル占有予測は、時間、周波数、及び空間相関を活用すること説明するための3次テンソル補完問題へと変換され得る。この手法は、まずまずの誤差許容範囲を伴う、1日長さの予測を達成した。他の手法は、予測のために長短期記憶(LSTM)リカレントニューラルネットワーク又は畳み込みネットワークを用いる。
【0020】
テンソルモデルは、重要な細部を含む、3次元(3D)形状の豊富で強力な表現をもたらすが、それらのモデルは、若干の共通の欠点を共有する。そのようなモデルは、高い処理時間、及び、高い計算複雑度を要することがあり、そのことは、リアルタイム用途において成し遂げられないことがある。それらのモデルは、3Dデータがいかなる時間においても継続的に利用可能であるということを普通は想定する。しかしながら、時として、例えば参加する基地局(BS)のすべてから、情報を得ることは困難であることがある。例えば、ある決まったBSからの情報が、様々な理由のためにないことがある。実例として、コグニティブ無線(CR)セキュリティ脅威(プライマリユーザエミュレーション攻撃又はジャミング攻撃など)の事例において、一部のBS(複数可)からのスペクトル占有に関する正確な情報の提供が可能でないことがある。別の例として、自然災害の事例において、一部のBSからの情報フローが、中断される、又は失われることがある。それゆえに、3D情報が利用可能であることの想定は、常に妥当及び現実的であるとは限らない。さらにまた、テンソル分析は、多くのパラメータを取り扱うことを要することがある。このことは、モバイルデバイスに適していないことがあり、自体のトラフィックオーバヘッド及びセキュリティ脆弱性を伴う、クラウドにおける計算を要することがある。そうして、テンソル分析の使用は、コンパクトなモデリングを助長しない。
【0021】
前に述べられた影響について補償するために、より適応的及び柔軟な方法が望ましい。この点において、スペクトル占有予測の、興味を引く利点は、モデルにおける何らかの要素がその要素の情報を提供することを失敗しても、モデル全部分を再訓練することは要されない、セッティングであることがある。そのセッティングは、情報がモデルから一時的に除去されるそのような要素(例えば基地局)、及び単に、スペクトル占有に関する最後の判断を与えることになるエンド分類器(end-classifier)が再訓練され得る場合、有利であることになる。
【0022】
一部の実施形態において、時間及び/又は周波数相関について訓練可能な第1のタイプのモデルを有する訓練可能モデルが用意される。そのようなモデルは、基地局などのネットワーク要素ごとに用意され得るものであり、そのネットワーク要素のスペクトル占有を予測するために訓練され得る。その上、入力として第1のタイプモデル(複数可)の出力を有する、空間相関について訓練可能な第2のタイプモデルが存し得る。このアーキテクチャは、上記で述べられた再訓練可能性などの利点を可能なものにし得るものであり、ネットワーク要素が、非アクティブである、又は障害の様態にある事例において、スペクトル利用可能性に対するそのネットワーク要素の寄与は抜かされ得るものであり、残りの第1のタイプモデルは、再訓練を要さないことになる。再訓練は、第2のタイプモデルについて遂行されることがある。しかしながら、再訓練は、第2のタイプモデルの予め訓練されたパラメータが、そのような事例のために予め記憶されている事例において、必要でないことがあるということが留意される。そうして、上記で述べられたモデルは、複雑度を低減し、汎用性をもたらし得る。
【0023】
図1は、スペクトル占有が用いられ得る例示的なシステムを例解する。システムは、複数の基地局BS1からBSnを含む。本明細書における用語、基地局は、ロングタームエボリューション(LTE)のeNB、又は、新無線(NR)のgNB、又は、任意のモバイル、例えばセルラー、通信システムの基地局などの基地局を指し得るということが留意される。しかしながら、基地局は、さらに、ワイヤレスローカルエリアネットワーク(WLAN)のアクセスポイントであってもよい。一般的には、基地局は、端末UE1からUE8に対して、他の通信ピアへのアクセスを提供するネットワーク要素である。
図1の例において、基地局BS1が、UE1からUE4にサービス提供する。基地局BS2が、UE4及びUE5にサービス提供する。この例において、UE4は、2つの基地局によりサービス提供される。しかしながら、本開示は、UEが一時に単に単一のBSによりサービス提供され得る事例に、さらに適用可能であり得る。その上、基地局BSnが、UE6からUE8にサービス提供する。
【0024】
この例における基地局BS1からBSnは、コアネットワークに接続される。このコアネットワークは、4G(LTE)若しくは5G(NR)コアネットワークなどのコアネットワークであってもよく、又は、そのコアネットワークは、WLANにおけるAPが接続されるインターネットであってもよい。本開示は、コアネットワークなどのネットワークを伴わないネットワークアーキテクチャに、さらに適用可能であり、(完全又は部分的に)互いと相互接続される基地局が存するシステムに適用され得るということが留意される。システムによって、ある決まった周波数リソース(例えば、所与の場所において利用可能な認可又は無認可スペクトル)における動作が可能になり得る。各BSは、時間-周波数リソースなどの、リソースのある部分を管理し得る。(完全又は部分的に)重なる空間-周波数スペクトルアクセスを伴うBSが存することがある。
【0025】
上記で述べられたスペクトル占有予測は、必ずしも基地局、UE、又は他のネットワークエンティティである必要がない、任意のデバイスの中で実現され得る。本開示の一部の実施形態は、第1のタイプ訓練可能モジュール、及び、第2のタイプ訓練可能モジュール(複数可)が、相互に異なるデバイスにより実現される、分散型解決法を含む。しかしながら、本開示は、例えば、基地局若しくは基地局制御エンティティにより、又は、AP協調をさらに制御するアクセスポイントにより、又は、任意のAPにより、又は、UE若しくはSTA若しくは類するものにより実現されるように、さらにたやすく適用可能である。
【0026】
図2は、Txが送信器を表し、Rxが受信器を表す、例示的な機能的通信(サブ)システムCSを例解する。送信器Txは、インターフェース200を越えて受信器Rxに信号を送信する能力をもつ。インターフェースは、実例として、ワイヤレスインターフェースであってもよい。インターフェースは、送信器Tx及び受信器Rxによる送信及び受信のために使用され得るリソースの手段により仕様を定められ得る。そのようなリソースは、時間領域、周波数領域、コード領域、及び空間領域のうちの1つ若しくは複数(又はすべて)において規定され得る。一般的には、「送信器」及び「受信器」は、さらに両方が同じデバイスにおいて統合されてもよいということが留意される。換言すれば、
図2におけるデバイスTx及びRxは、Rx及びTxの機能性をそれぞれさらに含んでもよい。送信器Tx及び受信器Rxは、基地局(eNB、AP)若しくは端末(UE、STA)などの任意のデバイスにおいて、又は、通信システムCSの任意の他のエンティティにおいて実現されてもよい。基地局又は端末などのデバイスは、Rx及びTxの両方を実現してもよい。本開示は、いかなる個別の送信器Tx、受信器Rx、及び/又はインターフェース200実現形態にも制限されない。しかしながら、本開示は、一部の既存の通信システムに、及び、そのようなシステムの拡張に、又は、新しい通信システムにたやすく適用され得る。例示的な既存の通信システムは、実例として、自体の現在若しくは将来のリリースにおける5G新無線(NR)、及び/又は、近時に研究されているIEEE802.11be若しくは類するものなどのIEEE802.11ベースのシステムであり得る。
【0027】
一部の実施形態における本開示のスペクトル占有は、将来のスペクトル占有状態を予測するために、時間-周波数グリッドにおいて配置構成されている、以前の占有を、そのような占有の空間相関とともに使用することに基づく。このことは、例えば、時間-周波数占有グリッドについて占有確率を予測するための訓練可能モデルを訓練することにより達成され得る。設計される訓練可能モデルは、時間-周波数相関について説明し得る。関心のユーザの近傍におけるユーザに対応するグリッドの予測される(占有)確率が、同じように予測される。そのような確率は、次いで、統一確率特徴ベクトルへと連結され得る。このベクトルは、空間情報について説明し、例えば関心のユーザについての、次の将来の占有ステータスの、最終的な結局のところの予測を生み出すために、(単純な)エンド分類器に供給される。深層学習及び分類器モデルが、測定によって得られる現実世界データによって訓練されることがあり、次いで、それらのモデルは、スペクトル予測のためにたやすく使用可能であるということが留意される。
【0028】
深層学習は、2つ以上の層を伴う訓練可能モデルを指す。機械学習は、1つ又は複数の層を適用する層構造を含む任意の構造を伴う訓練可能モデルを指す。モデルは、機能的及び/又は物理モジュールに埋め込まれ得る。よって、本明細書において訓練可能モジュールに言及するとき、示唆されるものは、機械学習、又は深層学習、又は他の種類のモデルなどの訓練可能モデルを実現する機能的モジュールである。
【0029】
提案される方法の使用法の例は、実用的なスペクトル測定に基づいて、LTEスペクトルにおけるスペクトル機会を予測することである。最初に、方法は、深層学習モデルが構成及び訓練される、訓練段階において動作させられる。次いで、その方法は、スペクトル機会が予測される、試験段階において動作させられる。
【0030】
スペクトル占有予測の非制限的な用途のうちの1つは、モバイル通信ネットワーク(例えば、4G、5G、6G、若しくは類するもの)又はワイヤレスローカルエリアネットワーク(WLAN)などの一部のワイヤレスネットワークにおける、無線リソース管理及び/又はスペクトル割り当て目的のためのものである。一般的には、スペクトル占有予測は、コグニティブ無線システムにおいて利用され得る。
図3は、コグニティブ無線におけるスペクトルセンシングの使用例を示す。無線環境210が、例えば
図1において示されるように、複数のBS及びUE、並びに/又は、他のエンティティにより形成され得る。エンティティのうちの1つ又は複数は、次いで、スペクトルセンシング220を遂行し得る。スペクトルセンシングは、いかなるデバイスも、信号を送信する前に、別のデバイスがすでに送信しているか否かをリッスン(検出)する、手順である。そのような手法は、WLANにより、及び、セルラーシステム又は他のシステムにより使用され得る無認可スペクトル部分などの、異なるシステムにより使用され得るスペクトル部分において特に有用であることがある。送信のための帯域が、利用可能と、ステップ220において検出される場合、送信のためにスペクトルを使用することが、ステップ240において判断され得る。スペクトルがステップ220において利用可能でない場合、異なるスペクトルが、ステップ230において利用のために選択され得る。以て、スペクトルは、効率的な様式で共有(250)され得るものであり、スペクトル利用情報が、無線環境210によりさらに勘案され得る。ここでは、スペクトル占有予測は、予測の結果に基づいてセンシングされることになるスペクトルを選択するために、無線環境により遂行され得る。
【0031】
実施形態によれば、スペクトル占有の予測のための方法が提供される。方法は、第1の訓練可能モジュールを適用することにより、第1の通信デバイスに関係付けられている過去のスペクトル占有に基づいて、ワイヤレス帯域幅におけるスペクトル占有の第1の尤度を予測するステップを含む。第1の訓練可能モジュールは、機械学習、MLモジュールであってもよい。一般的には、本開示は、任意のモデルベースの第1のモジュールによって作動し得る。MLモジュールの一部の例は、深層学習(DL)モジュール又は類するものであり得る。例えば、訓練可能モジュールは、畳み込みニューラルネットワーク又は長短期記憶ネットワーク又は多層パーセプトロンなどのニューラルネットワークを含んでもよい。訓練可能モジュールは、畳み込みニューラルネットワーク、長短期記憶ネットワーク、多層パーセプトロン、及び、他の訓練可能モデルのうちの2つ以上の組み合わせを含んでもよい。
【0032】
尤度は、任意の分解能において予測(推定)され得る。一般的には、尤度は、バイナリ(占有されている/占有されていない)であってもよく、又は、軟値であってもよく、そのことは、その尤度が3つ以上の可能な値を有し得るということを意味する。ワイヤレス帯域幅は、最も小さい割り当て可能な帯域幅単位、又はその単位の倍数、又は類するものなどの、任意の帯域幅であってもよい。用語「過去のスペクトル占有」は、予測の前の時間インスタンスにおける、すなわち、予測の時間において知られている、占有値を指す。第1の通信デバイスに関係付けられている過去のスペクトル占有は、第1の通信デバイスにおいて、及び/若しくは、第1の通信デバイスにより測定された、並びに/又は、第1の通信デバイスについて他の形で決定された(例えば、別のデバイスにより測定された、第1の通信デバイスにより使用可能な帯域幅)、過去のスペクトル占有と理解され得る。過去のスペクトル占有は、必ずしも直接的に測定される必要はないということが留意される。帯域幅のサブセットに関して、例えば、数個の規則的又は不規則に間を空けられた帯域幅の一部分に関して、占有を測定し、システム帯域幅の他の部分においてスペクトル占有を内挿又は外挿することが想像可能である。同様に、過去のスペクトル占有は、測定により、直接的に得られてもよく、又は、内挿若しくは外挿により決定若しくは補足されてもよい。
【0033】
第1の通信デバイスは、上記で述べられているような任意のデバイス、例えば、AP若しくはgNBである、又はUE若しくはSTAでさえある、又は類するものであることがある。
【0034】
方法は、第2の訓練可能モジュールを適用することにより、第2の通信デバイスに関係付けられている過去のスペクトル占有に基づいて、ワイヤレス帯域幅におけるスペクトル占有の第2の尤度を予測するステップをさらに含む。予測するステップは、第1の訓練可能モジュールについて上記で説明されたのと同じ手立てで遂行されてもよい。実際のところ、第1及び第2の訓練可能モジュールは、同じ手立てで動作してもよい。しかしながら、本開示は、第1及び第2の訓練可能モジュールのそのような同様の設計に制限されない。一般的には、モジュールは異なってもよい。第1及び第2の訓練可能モジュールは、同じデバイスにおいて実現されてもよい。しかしながら、それらのモジュールは、異なるデバイスにおいて実現されてもよい。例えば、第1及び第2の通信デバイスが、それぞれ、これらのモジュールを実現してもよい。しかしながら、本開示は、そのことに制限されず、第1及び第2の訓練可能モジュールは、第1の通信デバイス及び第2の通信デバイスのうちの1つ、又は、両方とは異なる別のデバイスであり得る、単一のデバイスにおいて実現されてもよい。
【0035】
ここでは、用語「第1の」及び「第2の」は、訓練可能モジュール(第1の、第2の)の異なるインスタンス又はタイプを区別するための単なるラベルである。その用語は、何らかの領域における何らかのシーケンス又は順序を含意するものではない。特に、その用語は、モジュールの訓練又は動作が遂行されることになる時間シーケンスに関する何らかの要件を提起するものではない。
【0036】
方法は、訓練可能出力モジュールを適用することにより、第1の尤度及び第2の尤度に基づいて、ワイヤレス帯域幅におけるスペクトル占有を予測するステップをさらに含む。訓練可能出力モジュールは、機械学習、又は、他のタイプの適応を適用し得るということが留意される。その訓練可能出力モジュールは、上記で述べられた第1及び第2の訓練可能モジュールと同様に、CNN若しくはLSTMなどのニューラルネットワーク(複数可)、又はリカレントネットワーク、又は類するものを含んでもよい。そうして、第1の訓練可能モジュール及び第2の訓練可能モジュールの出力が、訓練可能出力モジュールの入力に接続され得る。第1の訓練可能モジュール及び第2の訓練可能モジュールからの入力に加えて、訓練可能出力モジュールは、第1の通信デバイスと第2の通信デバイスとの間の空間相関などのさらなる情報を受信してもよい。しかしながら、本開示は、そのような入力情報に制限されない。例えば、第1の通信デバイス及び第2の通信デバイスが、モバイルでない、例えば基地局又はAPである場合、位置的情報は、知られており、訓練により処置されることがある。他方で、第1の通信デバイス及び/又は第2の通信デバイスがモバイルである場合、それらのデバイスの相互位置、又は、何らかの他の場所に相対的な位置に関係する情報が、予測器の正確度を改善し得る。第1の訓練可能モジュール及び第2の訓練可能モジュールよりも多くのものが存することがある。
【0037】
例えば、ワイヤレス帯域幅の第1のサブ帯域についての、第1の尤度の予測すること、及び/又は、第2の尤度の予測することが、第1の帯域幅とは異なるワイヤレス帯域幅の第2のサブ帯域における周波数占有にさらに基づく。以て、周波数領域における相関が、時間領域における相関(過去のスペクトル占有を利用することにより与えられる)を活用することに加えて活用されることがある。一般的には、第1の尤度は、以前に測定された時間-周波数グリッド占有に、すなわち、時間的に隣り合うスペクトル占有、及び、周波数が隣り合うスペクトル占有の両方(以前の占有、及び/又は、推定されることになるサブ帯域に近く配置される近隣若しくは他のサブ帯域について測定される占有)に基づいて推定されてもよい。しかしながら、第1及び第2の予測が、時間領域を利用することなく、周波数領域における相関に基づいて遂行されるということが、さらに想像可能である。
【0038】
例示的な実現形態によれば、方法は、第1の訓練可能モデル及び第2の訓練可能モデルの各々に、予め決定された時間瞬間についてのスペクトル占有ベクトルを入力するステップを含む。スペクトル占有ベクトルにおいて、各ベクトル座標(ベクトル要素)が、ワイヤレス帯域幅のサブ帯域と関連付けられている。例えば、関連付けは、1対1関連付けであってもよい。前記ベクトル座標の値は、関連付けられているサブ帯域が、予め決定された時間瞬間において占有されていたか(否か)を指示し得る。サブ帯域占有値は、バイナリであってもよく、すなわち、2つの状態、占有されている/非占有である、のうちの1つを指示する。しかしながら、測定される、又は他の形で決定されるサブ帯域占有が、例えば占有の程度を反映する、非バイナリ値を有する、他の実現形態が想像可能である。そのような指示は、例えば、サブ帯域の部分のみが占有されていた、又は、時間区間ごとの占有が決定され、占有が区間の中で変動し得る、実現形態において有利なものであることがある。換言すれば、非バイナリ(3つ以上の値のうちの1つをとる能力をもつ)サブ帯域占有値は、観測されるサブ帯域及び時間区間が(4G/5Gシステムにおける物理リソースブロックなどの)最小の割り当て可能なサブ帯域/時間区間よりも大きい事例において、有利であることがある。
【0039】
一般的には、訓練可能モデルに関して、必然的に含まれるいくつかの局面が存し得る。
図4は、これらの局面を示す。第1の局面410において、訓練可能モデル(複数可)を訓練するためのデータセットが獲得される。第2の局面420において、訓練可能モデル(複数可)が、局面410において獲得された訓練データセットを入力することにより訓練される。第3の局面において、訓練可能モデル(複数可)が試験される。試験によって、モデルの正確度を評価することが可能になる。正確度が十分でない場合、ステップ420、及び場合によってはさらに410が繰り返され得る。第4の局面440は、訓練されたモデル(複数可)がスペクトル占有予測のために用いられる、本番局面である。後続において、例示的な詳細な実現形態が、すべての4つの局面について説明される。
【0040】
訓練セットデータ準備410
訓練セットは、様々な異なる手立てにより得られ得る。例えば、その訓練セットは、既存の、及び動作する通信システムからデータを収集することにより得られてもよく、又は、その訓練セットは、通信システムをシミュレートし、シミュレーションに基づいてデータを得ること、若しくは類することにより得られてもよい。
【0041】
動作可能な、及び動作する通信システムからの現実データの利用は、現実動作への訓練可能モジュールの、より近い適応の利点をもたらす。
【0042】
例えば、訓練セットは、後続のように得られてもよい。電力スペクトル密度(PSD)の測定が、グラウンドトゥルースバイナリ占有とともに、周波数、時間、及び空間の関数として獲得される。グラウンドトゥルースバイナリ占有は、(空間パラメータを規定する)ある決まった場所におけるデバイスによる、時間(区間)における、及び、周波数(サブ)帯域における、測定されたPSDに基づいて決定された占有である。測定は、複数のデバイスにより得られてもよく、そのことは、そうして、より多くの空間インスタンスをもたらす。測定は、異なる時間において、複数個の場所において、同じデバイスにより得られてもよい。
【0043】
バイナリ占有は、特定のしきい値に関してPSD測定をしきい値処理することにより得られてもよい。一部の実施形態において、しきい値は、熱雑音の電力によって調整される。雑音レベルは、測定により決定されてもよく、又は、当技術分野において知られているように推定されてもよい。しかしながら、3dBの許容範囲が、加えて、何らかの予見し難い影響及び変動について説明するために、最終的なしきい値の値を決定するために勘案されてもよい。ある決まった周波数帯域における測定されたPSDが、このしきい値よりも上である(しきい値を超過する)場合、この周波数帯域は、占有されているとして報告される。他方で、周波数帯域における測定されたPSDが、しきい値以下である場合、周波数帯域は、占有されていないとして報告(決定)される。
【0044】
しきい値セッティングは、リッスンビフォアトーク手順を遂行するときに、STA又はAP(一般的には、基地局及び端末)などの通信デバイスにおいてと同じ手立てで遂行されてもよいということが留意される。さらに、測定は、リッスンビフォアトーク(LBT)手順が遂行されるときと同様の手立てで遂行されてもよい。LBT手順は、一部のシステムについて、標準規格において仕様を定められることがある。
【0045】
スペクトル占有を推定するために、(1つ又は複数の時間区間における)1つ又は複数の時間インスタンスにおけるスペクトル占有が勘案され得る。その上、周波数サブ帯域相関が、占有が推定されるサブ帯域の近辺における1つ又は複数の隣り合うサブ帯域を考慮に入れることにより、さらに活用されてもよい。対応するモジュールの訓練を可能にする訓練データを提供するために、1つ又は複数の過去の/隣り合うサブ帯域占有が、訓練データの中で利用可能であるべきである。換言すれば、(所与の時間区間における)所与の時間における(ある決まった周波数帯域における)ある決まった周波数におけるスペクトル占有のサンプルを予測するために、隣り合う時間インスタンス(区間)及び周波数帯域からの1つ又は複数の占有サンプルのグリッドが使用されてもよい。よって、訓練のために要される入力及び出力データは、後続のように得られてもよい。
【0046】
時間及び周波数軸線を掃くように動くスライディングウィンドウが、サンプルを形成するために使用されてもよい。例えば、スライディングウィンドウの長さが(この例における時間領域及び周波数領域の両方において)7にセットされる場合、各入力は、予測されることになる所与のサンプル(占有)のために、7つの過去の時間、及び、7つの隣り合う(サブ)帯域について獲得される、バイナリ占有の7x7行列を有することになる。この行列が、時間及び周波数軸線を掃くように動くことになる。よって、予測されることになる各サンプル占有について、占有の、異なる群(行列)が存することになる。群は、(スライディングウィンドウのため)予測されることになる近隣サンプルに対して部分的に重なっていることがある。
【0047】
予測されることになるサンプルの場所及び行列の入力についての出力データは、予測されることになる、やがて来る時間区間についての中間周波数値におけるPSD値である。換言すれば、出力は、予測されるサンプルである。このセッティングによれば、PSD測定は、各通信デバイスについての入力データセットとして、時間及び周波数を表す2D形状で収集され得る。
【0048】
本開示は、測定されるパラメータとしてPSDに制限されないということが留意される。むしろ、信号存在を指示しているRSSI又は他のパラメータが、PSDの代わりに、又は、PSDに加えて決定されてもよい。
【0049】
上記で述べられた例は、本開示を制限するためのものではない。一般的には、予測されることになる各スペクトル占有について、それぞれのN個の通信デバイスのN個の訓練可能モジュールに対応するN個のスペクトル占有行列(又は、一般的にはテンソル)を含む、訓練データが獲得され得る。ワイヤレス帯域幅における第qのスペクトル占有が、第qの通信デバイスによるスペクトル占有を検出することにより得られる。ここでは、第qのスペクトル占有は、上記で述べられたスペクトル占有の行列などの、測定されるスペクトル占有に対応し得る。スペクトル占有は、バイナリ値として、又は、(所与の時間及び周波数における)スペクトル占有の尤度を指示しているとさらに考えられ得る、測定されるパラメータとして直接的に、獲得/使用されてもよいということが留意される。行列は、一般的には、任意のK1xK2行列であってもよく、K1は、測定が遂行される時間インスタンス(区間)の数であり、K2は、測定が遂行される周波数(周波数帯域)の数である。しかしながら、一般的には、測定は、K1xK2行列要素の中の時間及び周波数の各組み合わせについて遂行される必要はないということが留意される。測定は、行列(一般的なグリッドであって、その上の行列がスライディングウィンドウである、グリッドにおける)要素のサブセットについて単に遂行されるということ、及び、残りの値は内挿されるということが想像可能である。
【0050】
訓練420
実施形態によれば、スペクトル占有の予測のための予測器の訓練のための方法であって、モデルが、N個の訓練可能モジュールと、訓練可能出力モジュールとを含む、方法が提供される。
【0051】
方法は、
図6において例解される。この個別の例において、N個の基地局610_1、610_2、…610_Nの各々が、測定を遂行し、次のバイナリ占有、及び、過去の占有の行列の対を出力する。この対は、上記で説明された訓練データに対応する。「次のバイナリ占有」は、グラウンドトゥルース、すなわち、試験局面又は予測局面においては予測されるが、訓練局面においては知られる(例えば、測定される)ことになるサンプルを表す、測定される値であるということが留意される。行列620_1、620_2、…、620_Nは、上記で説明された、及び、それぞれのN個の基地局により提供される、それぞれのスライディングウィンドウ行列を表す。これらの行列は、占有が予測されることになる同じ帯域/時間をカバーし得る行列である。そうして、1つのBSについての占有予測が、別の1つ又は複数のBSの占有予測、及び、それらのBSの空間関係(相関)を勘案することにより改善され得る。一般的には、スライディングウィンドウサイズ(行列寸法)は、異なる基地局について異なってもよい。それでも、同じ行列サイズをあてがうことによって、幾分、より複雑でない実現形態が可能なものとなることがある。
【0052】
グラウンドトゥルース値は、一緒に/行列グリッドの中で送り届けられてもよい。
図6において、グラウンドトゥルース640_1、640_2、…、640_Nは、同じ占有値を表し、N個の基地局は、同じ値を測定/決定すべきである。しかしながら、何らかの誤りのため、値は異なることがある。グラウンドトゥルース640_1、640_2、…、640_Nすべてが640_1に等しい、例えば、訓練のために使用されるグラウンドトゥルースが、基地局であって、それについて(及び場合によってはそれにより)占有予測が遂行される、基地局により得られる(測定される)グラウンドトゥルースである場合、本開示はさらに効力があり得るということが留意される。データ(2D行列、ベクトル、又はテンソル)のフォーマット/構造は、
図6における、より良好な提示のために単に例示的なものであり、本開示を制限するためのものではない。
【0053】
換言すれば、方法は、Nが1よりも大きい整数である、1~Nである各qについて、第qの通信デバイスに関係付けられているワイヤレス帯域幅におけるスペクトル占有尤度620_1、620_2、…、620_N、及び、ワイヤレス帯域幅におけるグラウンドトゥルーススペクトル占有640_1、640_2、…、640_Nの、第qの対を得るステップを含む。次いで、方法は、第qの対によって、N個の訓練可能モジュール630_1、630_2、…、630_Nの中の各第qの訓練可能モジュールを訓練するステップを含む。この例において、訓練可能モジュールは、深層学習モジュールである。訓練可能モジュールは、逐次的又は並列に訓練されてもよい。一般的には、それらの訓練可能モジュールは、互いとは無関係に訓練されてもよい。
【0054】
方法は、次いで、N個の訓練可能モジュール630_1、630_2、…、630_Nの出力、及び、グラウンドトゥルーススペクトル占有によって、訓練可能出力モジュール650の訓練するステップを遂行する。グラウンドトゥルース占有は、基地局のうちの1つにより提供される同じグラウンドトゥルース占有(例えば、上記で述べられたような640_1)であってもよい。グラウンドトゥルースは、測定以外の手段により得られてもよいということが留意される。例えば、そのグラウンドトゥルースは、シミュレーションによる訓練データ(シミュレーションアルゴリズムにより予めセットされた)を準備することの事例において、又は、(例えば、スケジューリングに基づく、若しくは、測定による)実際のスペクトル使用状況に関する情報が利用可能であることの事例において、知られることがある。
【0055】
訓練可能出力モジュールは、
図6においてエンド分類器と呼称される。この例において、N個の推定されるスペクトル占有尤度P(1)、P(2)、…、P(N)の入力に基づいて、エンド分類器は、試験/本番(推論)局面におけるスペクトル占有を出力するように訓練される。スペクトル占有尤度(確率)P(1)、P(2)、…、P(N)は、ベクトルに埋め込まれ、エンド分類器に提供され得る。しかしながら、本開示は、いかなる個別の形式又はエンド分類器入力にも制限されないということが留意される。例えば、各基地局の訓練可能モジュールは、各可能な成り行きについての確率(例えば、占有されている状態の確率、及び、非占有である状態の確率)のベクトルを提供してもよい。これらの確率が、次いで、行列に埋め込まれ(又は、行列がベクトル化されてもよい)、エンド分類器に提供されてもよい。
【0056】
訓練局面の結果が、N個の訓練可能モジュール630_1、630_2、…、630_Nと、訓練可能出力モジュール650とを含む、訓練されたモジュールである。この結果は、
図6において「予測モデル」と呼称される。
【0057】
図6における予測モデルは、複数の通信デバイス、ここでは基地局において別々に、スペクトル占有を最初に大まかに推定する。次いで、推定(予測)されるスペクトル占有が、エンド分類器650により決定される。そのようなモデルアーキテクチャの利点は、N個の訓練可能モジュールのうちの1つが作動していない、又は使用されない場合、残りの訓練可能モデルは、再訓練されることを必要としないということである。エンド分類器のみが再訓練されるべきであり、又は、そのエンド分類器の重みが、何らかの予め訓練された重みにセットされるべきである。
【0058】
上記で例解された例において、深層学習アーキテクチャ600は、総合的な数のN個のモデルを有するように構成されており、その場合、Nは、空間的に相関させられるユーザの数を指し示し、各モデルは、時間-周波数占有グリッドに対応する。より早期に述べられたように、この構成は、空間相関、及び、時間、周波数、又は時間-周波数相関を同時的に組み込む。各深層学習モデルは、所与の時間-周波数占有グリッド、及び、対応するグラウンドトゥルース占有ステータスの対のセットにわたって訓練される。各深層学習モデルは、占有の確率を算出する。すべてのN個のモデルの占有の確率が、占有確率特徴ベクトルを形成するために水増しされる。ベクトル形式は、1Dエンド分類器を適用することの利点をもたらすことがある。しかしながら、そのことは、本開示を制限するためのものではなく、本開示は、より高い次元の分類器、及びそうして、他の形式の入力データによってさらに作動し得る。
【0059】
占有確率ベクトルは、真の占有状態とともに、空間相関を組み込むためのエンド分類器の訓練データ対を形成する。真の占有状態は、上記で説明されたように得られてもよい。エンド分類器650は、前に述べられたデータ対にわたって訓練される。
【0060】
訓練は、逆伝搬アルゴリズム又は他の学習アルゴリズムを適用し得る、機械学習又は深層学習などのモデルベースの学習の手段により遂行されてもよいということが注目される。本開示は、いかなる特定の学習モデル又は手法にも制限されない。
【0061】
学習は、対単位で逐次的に遂行される必要はないということが留意される。上記の例において、入力サンプルの各々に対応する出力サンプルが存した。例えば、入力行列620_1は入力を表し、予測される占有640_1は、第1の訓練可能モジュール630_1における出力を表す。他の出力(他の時間インスタンス又は時間-周波数インスタンスについての)を見いだすために、入力としての過去の占有の異なるスライディングウィンドウ(行列)が必要とされる。しかしながら、本開示は、そのような種類の学習に制限されない。代替法として、時間及び周波数相関についてのすべての所望される出力値(例えば、1つの時間瞬間のすべての周波数サブ帯域について予測される占有)は、マルチタスク学習に類する手法を使用することにより、1つの入力のみによって同時的に見いだされ得る。YU,Lixingら、Spectrum availability prediction in cognitive aerospace communications:A deep learning perspective. 於Proc. Cognitive Communications for Aerospace Applications Workshop(CCAA).IEEE、2017.1~4頁において、著者らは、この時間及び周波数相関を利用するために、同様の手法を使用している。
【0062】
試験430及び本番局面440
試験及び本番局面は、同じ手立てで動作するが、それらの局面は、異なる目標を典型的には有する。試験局面の目標は、どれだけ良好に訓練可能システム600が訓練されるか、すなわち、性能を試験することである。このことは、偽陽性及び偽陰性分類結果の割合、又は類するものなどの、正確度又は他の判定基準などの性能(performance)判定基準を算出する手段により遂行されてもよい。本番局面の目標は、現実の状況において結果(スペクトル占有予測)を生み出すことである。
【0063】
この段階の動作は、
図5において例解され、後続の手順を含む。以前の(過去の)時間-周波数グリッド520_1、520_2、…、520_Nは、それらのグリッドの占有値によって充填される。グリッドのこの充填は、PSD又はRSSI又は類するものなどの、信号存在を指示している何らかのパラメータを測定することにより遂行されてもよい。各そのようなグリッドは、対応する占有確率を予測するために、そのグリッドのそれぞれの深層学習モデルに渡される。予測されるスペクトル占有確率は、次いで、予測モデル560に入れられる。予測モデル560は、上記で説明されたようにエンド分類器650を訓練することにより得られる。分類器(訓練可能モデル)のパラメータが訓練データセットに構成される訓練局面においてとは違い、本番局面において、分類器のパラメータは、訓練されたのと同じままであり得る。訓練段階におけるセッティングに類似して、予測される確率は、それぞれの基地局について訓練可能モデルにより提供される値(P(1)、P(2)、…、P(N))を含む占有確率ベクトルの形状で増殖される(埋め込まれる)。占有確率ベクトルは、次いで、エンド分類器への入力として提供される。上記で述べられたように、基地局ごとに複数の尤度値を提供することが想像可能であるということが留意される。
【0064】
このセッティングによって、一部の知られているテンソルベースの方法と比較して、低減された計算コストにおける多次元相関を活用することが可能となる。その上、N個の深層学習モデルを有するようにセッティングを分けることは、テンソルベースの方法により要されるユーザ情報が継続的に利用可能であることについての必要性を軽減する。
【0065】
占有確率ベクトルは、次いで、対応するサンプル占有の予測(予測されるバイナリ占有)570を得るために、予測モデル560に入れられる。換言すれば、予測される占有確率ベクトルは、結局のところの占有予測を生むために、エンド分類器に供給される。
【0066】
一部の実施形態において、第1の通信デバイスが、基地局(610_1など)であり、第2の通信デバイスが、基地局(610_2など)であり、訓練可能出力モジュールによる予測が、ユーザ機器である第3の通信デバイスに関係する。方法が、第1の通信デバイス及び第2の通信デバイスを、第3の通信デバイスに対するそれらの第1の通信デバイス及び第2の通信デバイスの相対的位置に基づいて選択するステップをさらに含んでもよい。例えば、第3の通信デバイスに利用可能なスペクトルのスペクトル占有を予測するために、基地局は、基地局と第3の通信デバイスとの間の相対的位置に関する、何らかの予め規定された判定基準に処するように選択される。
【0067】
このアーキテクチャは、通信システムにおいてたやすく実現され得るが、基地局として/基地局において、第1の通信デバイス及び第2の通信デバイスを有することは、原理的には必要でないということが留意される。それらの通信デバイスは、スペクトル分析器などの、より単純なデバイスであってもよく、端末のためのネットワークアクセスの機能を実現することを必要としない。
【0068】
例えば、基地局とユーザ機器との間の相対的位置が、基地局とユーザ機器との間のハンドオーバの数、基地局とユーザ機器との間のチャネル品質、及び、基地局とユーザ機器との間の空間距離のうちの少なくとも1つに基づいて決定される。ハンドオーバの数は有益であり、その理由は、その数が、チャネル品質(電力)のみではなく、さらに、ユーザ機器(UE若しくはSTA、又は、任意の他のエンドデバイスであってもよい、端末)の動きパターンを反映するからということである。チャネル品質は、効率的なスペクトル割り当てのための重要な要因である。
【0069】
例示的な実現形態において、第1の通信デバイスが、ユーザ機器であり、第2の通信デバイスが、ユーザ機器であり、訓練可能出力モジュールによる予測が、第1の通信デバイスに関係する。方法が、第2の通信デバイスの、第1の通信デバイスに対するその第2の通信デバイスの相対的位置に基づく選択するステップをさらに含んでもよい。例えば、第1の通信デバイスは、WLANシステムにおけるSTA1であってもよく、第2の通信デバイスは、WLANシステムにおけるSTA2であってもよい。訓練可能出力モジュールは、STA1についてのスペクトル占有を推定する。そのようにするために、その訓練可能出力モジュールは、STA1からの、及び、その訓練可能出力モジュールがSTA1の近辺におけるSTAのうちの1つとして選択するSTA2からの、過去の占有を評価する(入力として得る)。STA2を決定するために、将来におけるSTA1の予測される位置が使用されてもよい。訓練可能出力モジュールは、APにより、又は、STAのうちの1つにより実現されてもよい。基地局(AP)において学習を遂行することが有利であることがある。基地局は、より多くの情報を有し得るものであり、その基地局の電力消費は、それほど危うくはなく、それらの基地局は、複雑なプロセスを取り扱う能力をもち得る。
【0070】
一部の実施形態において、方法が、第3の予測により予測されるスペクトル占有によって、第1の通信デバイス、第2の通信デバイス、及び/又は第3の通信デバイスのためのリソース管理を遂行するステップをさらに含む。無線リソース管理は、リソース割り当て若しくはスケジューリング、又は類するものを含んでもよい。特に、リソース管理は、コグニティブ無線タスクを含んでもよい。
【0071】
上記で、2つの基地局を伴う例が提示されたものの、一般的には、方法が、予測するN個のステップであって、qが1~Nである各第qのステップが、第qの通信デバイスに関係付けられている過去のスペクトル占有に基づいて、ワイヤレス帯域幅におけるスペクトル占有の第qの尤度を予測するための第qのMLモジュールを適用することを含み、Nが2よりも大きい整数である、予測するN個のステップを含んでもよく、出力MLを適用することにより、ワイヤレス帯域幅におけるスペクトル占有を予測するステップが、各第qの尤度に基づく。第1の訓練可能モデル、第2の訓練可能モデル、及び/又は訓練可能出力モデルが、畳み込みニューラルネットワーク、多層パーセプトロン、長短期記憶、又はリカレントニューラルネットワークのうちの少なくとも1つである。上記で述べられたように、多くのさらなる可能な変形例が存し、本開示は、訓練可能モジュールのいかなる個別のアーキテクチャにも制限されない。
【0072】
具体的な例示的な実現形態及び代替法
上記で解説された方法の機能を遂行する能力をもつデバイスが、様々な異なる手立てで実現され得る。例えば、そのデバイスは、深層学習がFPGAにおいて履行されてもよい、ソフトウェア無線(SDR:software defined radio)プラットフォームにおいて実現されてもよい。実例として、ユニバーサルソフトウェア無線周辺機器(USRP:Universal Software Radio Peripheral)が、この目的のために使用されてもよい。そのようなデバイスの主な構成要素は、USRPモジュール(BS及びUE)、USRPをプログラムするためのPC、アンテナ、クロック同期モジュール、スペクトル測定のための、及び、訓練目的のためのベクトルスペクトル分析器、並びに場合によっては、さらなる機能的要素を含んでもよい。
【0073】
その上、
図7が、本開示の一部の実施形態を実現し得る、例示的なデバイス750を示す。例えば、デバイスは、スペクトル占有予測のためのデバイスであってもよい。そのようなデバイスは、メモリ710と、処理回路網720と、ワイヤレストランシーバ730と、場合によってはユーザインターフェース740とを含んでもよい。デバイスは、実例として、上記で述べられたような、基地局若しくは端末/STA又は別のデバイス(の部分)であってもよい。
【0074】
メモリ710は、上記で述べられた方法のうちの任意のもののステップを遂行するために処理回路網720により実行され得るプログラムを記憶し得る。処理回路網は、1つ又は複数のプロセッサを備えてもよい。ワイヤレストランシーバ730は、ワイヤレス信号を受信及び/又は送信するように構成されていることがある。トランシーバ730は、何らかの標準規格又は予め規定された約束事によって、データを検出、デコード、及び解釈し得る、ベースバンド処理をさらに含んでもよい。例えば、トランシーバは、測定を遂行する、基地局及び/又は端末などの他のデバイスと通信するために使用され得る。デバイス750は、デバイスのメッセージ若しくはステータス、又は類するものを表示するための、及び/或いは、ユーザの入力を受信するための、ユーザインターフェース740をさらに含んでもよい。バス701は、メモリ、処理回路網、ワイヤレストランシーバ、及びユーザインターフェースを相互接続する。
図8は、訓練可能モジュール760と、訓練可能出力モジュール770と、学習モジュール780とを含む、メモリ710の例を示す。訓練可能モジュール760は、デバイスであって、それ自体の過去の占有に基づいて次の占有を予測するための、デバイスに含まれてもよい。一部の実施形態において、同じデバイスが、他のデバイスについての次の占有を、例えばそのような他のデバイスから受信されるデータに基づいて予測するためのモジュールをさらに含んでもよい。訓練可能出力モデルは、上記で説明されたエンド分類器に対応する。学習モジュールによって、訓練可能モジュール760の、及び/又は、訓練可能出力モジュール770の訓練が可能になり得る。これらのモジュール760~780は、メモリからフェッチされ、処理回路網により実行され得る。
【0075】
上記の例は、本開示を制限するためのものではない。下記で簡潔に説明されることになるように、加えて、又は代替法として使用され得る、多くの変更及び構成が存する。
【0076】
上記で述べられたように、PSD測定が、スペクトル占有を推定するために使用され得る。受信信号強度インジケータ(RSSI)が、PSDの代わりに使用されてもよい。RSSIは、大部分の通信デバイスにおいて造作なく利用可能であり、ユーザアクティビティ、すなわちスペクトル使用状況の大まかな定量化を与え得る。一部の知られている通信システムにおいて、RSSI測定は、様々な異なる目的のためにすでに遂行されており、そのため、RSSIの使用法は、すでに遂行された測定を役立てるというものである。収集される測定は、基地局により収集及び遂行される測定であってもよい。しかしながら、それらの測定は、基地局に接続され、それらの(1つ又は複数の)基地局に測定を報告する、端末からさらに/代わりに生じることがある。一般的には、スペクトル分析器などの単純なデバイスが、測定を遂行し、占有予測のためにそれらの測定を提供してもよい。
【0077】
上記の実施形態において、ある決まった基地局において(例えば、基地局によりサービス提供される端末(複数可)について)スペクトル占有を推定するとき、空間的に関係付けられている基地局のスペクトル占有が勘案される(基地局610_1、610_2、…、610_N)を確認されたい。
【0078】
空間関係は、地理的距離、すなわち、基地局又は類するもののオペレータ又は通信システム(能力)に関する何らかの制約を伴う地理的距離であることがある。何が近隣基地局であるかを規定するための他の判定基準が、さらに可能である。例えば、基地局であって、それ自体と、ある決まった基地局との間の最大数のハンドオーバを有する、基地局が、近隣基地局と考えられてもよい。スペクトル占有予測について勘案されることになる、隣り合う基地局として選択される、複数のそのような基地局が存することがある。近隣を規定することの別の可能な事柄は、ある決まった基地局に関するエッジユーザ、すなわち、両方の基地局のカバレッジ内に、及び、ある決まった基地局カバレッジのエッジにいるユーザの総数である。これら及び他の判定基準が、ある決まった基地局、隣り合う1つ又は複数の基地局であって、それらの時間-周波数占有測定が、ある決まった基地局についてスペクトル占有を推定するために使用される、隣り合う1つ又は複数の基地局について、使用され、組み合わされてもよい。
【0079】
エンド分類器を構成するための多くの選択肢が存する。上記で述べられた実施形態において、エンド分類器650は、それぞれのN個の通信デバイス(例えば、基地局)の占有を処理するN個の訓練可能モジュールから、スペクトル占有確率のベクトルを供給された。時間-周波数グリッドポーション(time-frequency grid potion)(上記ではスライディングウィンドウ又は行列と呼称された)は、正方形、長方形、又はセルラーグリッドなどの、異なる2D形状及び次元の時間-周波数グリッドを有してもよい。エンド分類器に供給されることになるベクトルの形状で占有確率を増殖するよりもむしろ、他の類いの増殖が考えられてもよい。例えば、それらの占有確率は、多次元エンド分類器に負担をかける形で、別の2Dグリッドとして形状を定められてもよい。
【0080】
提案される訓練可能モデルを得るために、一般の機械学習モデル又は深層学習モデルのいずれかが使用されてもよい。深層学習の主要な利点のうちの1つは、その深層学習が、未加工データに関して作動し、以て、特徴抽出/細工/工作についての必要性を軽減し得るということである。翻って、一般の(浅い)機械学習は、その機械学習のより単純な構造において秀でていることがあり、適した特有の特徴によって良好に作動する。そのような特徴が利用可能であることによって、機械学習は、深層学習よりも多くの利点をもたらすことがある。深層学習は、人間ベースの特徴抽出/細工/工作についての必要性を軽減し得るので、上記で説明された方法を、何らのバイナリしきい値処理も行うことなく、現実世界測定に直接的に適用することが可能である。翻って、使用される機械学習の「深い」属性は、より多くの特徴抽出を加えることの代償として低減され得る。一部の実施形態において、深層学習を回避し、機械学習又はモデルベースの学習を使用してもよく、そのことは、とりわけ、特有の特徴を抽出することが可能である場合、有利であることがある。
【0081】
本開示の実施形態及び例は、時間、周波数、及び空間相関を同時的に活用するおかげで、高い予測正確度を達成することの可能性を含む。その上、提案されるセッティングは、角度又はコード領域などの他の領域における他の相関を活用するために容易に拡張可能である。拡張は、より高い次元を伴うテンソル(例えば、2Dグリッドの代わりにD次元グリッド、換言すれば、2D行列よりもむしろD次元テンソル)の用意をただ単に含むことになる。
【0082】
適度な計算複雑度を伴う予測を現実のものとすることは、問題をより小さい問題に分割することの分散化手法のおかげで可能であり得る。このことによって、制限された計算能力を伴うネットワークデバイスにおけるリアルタイム動作が可能となる。例えば、上記で述べられたように、N個の訓練可能モジュールは、互いとは別々に訓練されてもよい。エンド分類器は、N個の訓練可能モジュールを訓練することとは無関係に訓練されてもよい。分散化手法は、基地局のうちの一部からのデータがないことに対する堅牢性の、ある程度の改善をさらにもたらし得る。分散化訓練によって、利用可能なデータを伴わないそれらの1つ又は複数の基地局を無視することが可能となる。このことは、予測の継続性にとって有利であり、すなわち、スペクトル占有予測は、基地局(一般的には、通信デバイス)、又は基地局どうしの間のチャネル、又は類するものの障害の事例においてでさえ作動し得る。
【0083】
本明細書において説明される実施形態及び例は、コグニティブ無線スペクトル共有(
図3を参照)の一体部分として、たやすく適用可能である。このことは、インテリジェントなリソース管理の範囲に該当する。本開示は、セルラーシステム及びワイヤレスLAN又は任意のアドホックネットワークを含む広い範囲の通信システムにおいて、並びに特に、複数個のシステムが同じ帯域幅又は類するものにおいて動作する環境において、適用され得るということが留意される。例えば、本開示は、衛星及び地上の両方のシステムから利益を得る、ビヨンド第5世代(B5G:beyond fifth-generation)ワイヤレスシステムに向けての統合衛星地上ネットワーク(ISTN:integrated satellite-terrestrial network)のためのスペクトル予測のための、ビヨンド5Gのシステムについて適用可能である。この使用法において、スペクトル不足は、この技術に対して顕著に厳しいものであり、そのことは、本開示を利用してスペクトル共有概念を適用することにより改善され得る。
【0084】
本開示は、モノのインターネット(IoT)端末のための、衛星ベースのIoTネットワークの環境におけるB5Gスペクトル予測、並びに/又は、5G及びB5Gにおける、LPWAN(低電力ワイドエリアネットワーク)及びローラ(LoRa)(登録商標)長距離ネットワークにおける動的スペクトルアクセスのためのスペクトル予測においてさらに適用されてもよい。
【0085】
本開示についての別の可能な展開は、大きい帯域幅を要する5G拡張モバイルブロードバンド(eMBB)におけるものである。データベース支援技法が、補足的周波数リソースを、eMBBにとって不可欠である認可帯域動作に加え得る。さらに、認可支援アクセス(LAA)などの他の方法が、容量を増強するために使用されてもよい。加えて、又は代替法として、本開示は、1GHzよりも下の周波数スペクトルへのアクセスを意味する、大きいカバレッジ、並びに、壁及び他の障害物を通る良好な信号貫通を要する、5G大規模マシンタイプ通信(mMTC)において適用されてもよい。予測的技法は、低データレート送信のために最も適したタイムスロットを見いだすことを支援し得る。
【0086】
別の可能な用途は、認可スペクトルの使用を要する5G超高信頼低遅延通信(URLLC)である。ジョイントモビリティ(joint mobility)及びスペクトル予測が、例えば、基地局選択を支援し、ハンドオーバの数を最小化し、ビークルツーエブリシング(V2X:vehicle-to-everything)通信の品質を改善することにおいて使用されてもよい。
【0087】
本開示は、上記で述べられた手法に制限されない。次世代HF自動リンク確立のためのスペクトル推論、1.5~30MHzスペクトル帯域において動作する、短波無線としてさらに知られている高周波(HF)無線は、見通し外ワイヤレス通信のために、衛星に対する代替法として、アマチュア集団によってのみではなく、さらに、世界中の政府及び非政府機関によって、今や広く使用される。HF無線の典型的な用途シナリオは、ほんの数例を挙げると、海上の船、見通し距離内無線ネットワークの範囲の外の航空機、地上通信インフラストラクチャが破壊されている災害区域、及び、他の通信を欠く遠方地域を含む。
【0088】
別の興味を引く用途は、UAV(無人航空機)通信のための日和見的スペクトルアクセスである。このアクセスは、例えば、ドローンと地球制御局との間の、又はドローンそれら自体どうしの間の、又は類することの、誘導及び通信にとって重要性をもつことがある。
【0089】
本開示のスペクトル占有予測は、アクセスリンクとバックホール(固定)リンクとの間の共有のためにさらに使用可能である。用語「バックホール」は、基地局どうしの間の(例えば、gNBどうしの間の、又はAPどうしの間の、又は類することの)リンクを指す。用語「アクセス」は、端末と基地局との間のリンクを指す。
【0090】
無認可ミリ波スペクトルを共有することは、本開示を役立て得る別の用途であり、このことは、利用可能なシステム帯域幅を拡張するために認可及び無認可の両方のスペクトルを同時的に利用する、セルラー通信における近時の傾向に関係付けられる。この文脈において、LTE-Uと呼称される、無認可スペクトルにおけるLTEが、モバイルオペレータがより効率的及び効果的に無認可周波数へとデータトラフィックをオフロードすることを可能にするために提案され、高い性能、及び、シームレスなユーザエクスペリエンスをもたらす。無認可帯域の統合が、5Gセルラーシステムについての主要なイネーブラのうちの1つとさらに考えられる。しかしながら、動作するBSが、スペクトルへの排他的なアクセスを有し、それゆえに、相互干渉を軽減するためのやり取り又はシグナリングにより協調することができる、認可帯域における典型的な動作とは違い、そのようなマルチスタンダード及びマルチオペレータスペクトル共有シナリオは、干渉軽減の見地において、共存に相当の難題を課す。リッスンビフォアトーク(LBT)プロトコルを伴う認可支援アクセス(LAA)が、LTE-Uの現在の共存機構のために提案されている。ミリ波無認可共有の事例において、重大な問題点は、5Gネットワークについての主要なイネーブラのうちの1つとしての高度に指向性のアンテナの使用が、全方向性アンテナが主として想定された現在の共存機構について問題をはらむようになるということである。よって、占有予測は、利用可能なリソースを効率的に管理することを助け得る。
【0091】
ソフトウェア及びハードウェアにおける実現形態
本明細書において説明される方法論は、用途に依存する様々な手段により実現され得る。例えば、これらの方法論は、ハードウェア、オペレーションシステム、ファームウェア、ソフトウェア、又は、それらのうちの2つの任意の組み合わせ、若しくは、それらのすべてにおいて実現され得る。ハードウェア実現形態については、1つ又は複数のプロセッサを含んでもよい、任意の処理回路網が使用されてもよい。例えば、ハードウェアは、上記で説明された機能を遂行するように設計された、特定用途向け集積回路(ASIC)、デジタル信号プロセッサ(DSP)、デジタル信号処理デバイス(DSPD)、プログラマブル論理デバイス(PLD)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、プロセッサ、コントローラ、任意の電子デバイス、又は、他の電子回路網ユニット若しくは要素のうちの1つ又は複数を含み得る。
【0092】
プログラムコードとして実現される場合、送信装置(デバイス)により遂行される機能は、メモリ710又は任意の他のタイプの記憶装置などの非一時的コンピュータ可読記憶媒体において、1つ又は複数の命令又はコードとして記憶されてもよい。コンピュータ可読媒体は、コンピュータにより、又は、一般的には処理回路網720によりアクセスされ得る、任意の利用可能な媒体であり得る、物理コンピュータ記憶媒体を含む。そのようなコンピュータ可読媒体は、RAM、ROM、EEPROM、光学ディスク記憶装置、磁気ディスク記憶装置、半導体記憶装置、又は、他の記憶デバイスを含み得る。一部の個別の、及び非制限的な例は、コンパクトディスク(CD)、CD-ROM、レーザーディスク(登録商標)(laser disc)、光学ディスク、デジタルバーサタイルディスク(DVD)、ブルーレイ(Blu-ray(登録商標))(BD)ディスク、又は類するものを含む。異なる記憶媒体の組み合わせが、さらに可能であり、換言すれば、分散型及び異種記憶装置が用いられてもよい。
【0093】
上記で述べられた、実施形態及び例示的な実現形態は、一部の非制限的な例を示す。様々な変更が、主張される主題から逸脱することなくなされることがあるということが理解される。例えば、変更は、本明細書において説明される中心概念から逸脱することなく、新しいシステム及びシナリオに対して、例を構成するためになされることがある。
【0094】
選択された実施形態及び例
約言すると、ワイヤレス通信のためのスペクトル占有予測のための方法及び技法が説明される。本開示は、第1の訓練可能モジュール及び第2の訓練可能モジュールを用いるスペクトル占有予測に関係する。第1及び第2の訓練可能モジュールは、過去の占有、及び/又は、隣り合うサブ帯域(複数可)における占有に基づいて、それぞれの第1及び第2の通信デバイスにおけるスペクトル占有を予測する。第1の訓練可能モジュール及び第2の訓練可能モジュールからの予測は、スペクトル占有予測を次いで提供する、訓練可能出力(第3の)モジュールに入力される。
【0095】
実施形態によれば、スペクトル占有の予測のための方法であって、第1の訓練可能モジュールを適用することにより、第1の通信デバイスに関係付けられている過去のスペクトル占有に基づいて、ワイヤレス帯域幅におけるスペクトル占有の第1の尤度を予測するステップ、第2の訓練可能モジュールを適用することにより、第2の通信デバイスに関係付けられている過去のスペクトル占有に基づいて、ワイヤレス帯域幅におけるスペクトル占有の第2の尤度を予測するステップ、訓練可能出力モジュールを適用することにより、第1の尤度及び第2の尤度に基づいて、ワイヤレス帯域幅におけるスペクトル占有を予測するステップを含む、方法が提供される。
【0096】
実施形態による、スペクトル占有の予測のためのデバイスであって、第1の通信デバイスに関係付けられている過去のスペクトル占有に基づいて、ワイヤレス帯域幅におけるスペクトル占有の第1の尤度を予測するための第1の訓練可能モジュール、第2の通信デバイスに関係付けられている過去のスペクトル占有に基づいて、ワイヤレス帯域幅におけるスペクトル占有の第2の尤度を予測するための第2の訓練可能モジュール、第1の尤度及び第2の尤度に基づいて、ワイヤレス帯域幅におけるスペクトル占有を予測するための訓練可能出力モジュールを備える、デバイス。デバイスにおいて、例示的な実現形態において、第1の訓練可能モジュール及び/又は第2の訓練可能モジュール及び/又は訓練可能出力モジュールが、1つ又は複数のFPGAにおいて具現される。
【0097】
例えば、ワイヤレス帯域幅の第1のサブ帯域についての、第1の尤度の予測すること、及び/又は、第2の尤度の予測することが、第1のサブ帯域とは異なるワイヤレス帯域幅の第2のサブ帯域における周波数占有にさらに基づく。
【0098】
一部の実施形態において、第1の訓練可能モジュール及び第2の訓練可能モジュールの各々が、予め決定された時間瞬間についてのスペクトル占有ベクトルを入力され、そのスペクトル占有ベクトルにおいて、各ベクトル座標が、ワイヤレス帯域幅のサブ帯域と関連付けられており、前記ベクトル座標の値は、関連付けられているサブ帯域が、予め決定された時間瞬間において占有されていたかどうかを指示する。
【0099】
例えば、第1の通信デバイスが、基地局であり、第2の通信デバイスが、基地局であり、訓練可能出力モジュールによる予測が、ユーザ機器である第3の通信デバイスに関係し、方法が、第1の通信デバイス及び第2の通信デバイスの、第3の通信デバイスに対するそれらの第1の通信デバイス及び第2の通信デバイスの相対的位置に基づく選択するステップをさらに含む。
【0100】
実例として、基地局とユーザ機器との間の相対的位置が、基地局とユーザ機器との間のハンドオーバの数、基地局とユーザ機器との間のチャネル品質、及び、基地局とユーザ機器との間の空間距離のうちの少なくとも1つに基づいて決定される。
【0101】
例示的な実現形態において、第1の通信デバイスが、ユーザ機器であり、第2の通信デバイスが、ユーザ機器であり、訓練可能出力モジュールによる予測が、第1の通信デバイスに関係し、方法が、第2の通信デバイスの、第1の通信デバイスに対するその第2の通信デバイスの相対的位置に基づく選択するステップをさらに含む。
【0102】
方法が、第3の予測により予測されるスペクトル占有によって、第1の通信デバイス、第2の通信デバイス、及び/又は第3の通信デバイスのためのリソース管理を遂行するステップをさらに含んでもよい。デバイスが、対応して、第3の予測により予測されるスペクトル占有によって、第1の通信デバイス、第2の通信デバイス、及び/又は第3の通信デバイスのためのリソース管理を遂行するように構成されているリソース管理モジュール(ユニット)を含んでもよい。
【0103】
一部の実施形態において、方法が、予測するN個のステップであって、qが1~Nである各第qのステップが、第qの訓練可能モジュール、第qの通信デバイスに関係付けられている過去のスペクトル占有に基づいて、ワイヤレス帯域幅におけるスペクトル占有の第qの尤度を予測するためのモジュールを適用することを含み、Nが2よりも大きい整数である、予測するN個のステップを含んでもよく、訓練可能出力モジュールを適用することにより、ワイヤレス帯域幅におけるスペクトル占有を予測するステップが、各第qの尤度に基づく。
【0104】
デバイスの一部の実施形態において、対応して、デバイスが、N個の訓練可能モジュールを含む。各第qの訓練可能モジュールが、第qの通信デバイスに関係付けられている過去のスペクトル占有に基づいて、ワイヤレス帯域幅におけるスペクトル占有の第qの尤度を予測するように構成されており、Nが2よりも大きい整数である。訓練可能出力モジュールが、各第qの尤度に基づいて、ワイヤレス帯域幅におけるスペクトル占有を予測するように構成されている。
【0105】
例えば、第1の訓練可能モジュール、第2の訓練可能モジュール、及び/又は訓練可能出力モジュールが、畳み込みニューラルネットワーク及び長短期記憶のうちの少なくとも1つを含む。その上、一部の実施形態において、第1の通信デバイスに関係付けられている過去のスペクトル占有、及び/又は、第2の通信デバイスに関係付けられている過去のスペクトル占有が、電力スペクトル密度又は受信信号強度インジケータ値を測定するステップを含んで得られる。
【0106】
実施形態によれば、スペクトル占有の予測のための予測器の訓練のための方法であって、モデルが、N個の訓練可能モジュールと、訓練可能出力モジュールとを含み、方法が、Nが1よりも大きい整数である、1~Nである各qについて、第qの通信デバイスに関係付けられているワイヤレス帯域幅におけるスペクトル占有尤度、及び、ワイヤレス帯域幅におけるグラウンドトゥルーススペクトル占有の、第qの対を得るステップと、第qの対によって、N個の訓練可能モジュールの中の各第qの訓練可能モジュールを訓練するステップと、N個の訓練可能モジュールの出力、及び、グラウンドトゥルーススペクトル占有によって、訓練可能出力モジュールを訓練するステップと、を含む、方法が提供される。実例として、ワイヤレス帯域幅における第qのスペクトル占有が、第qの通信デバイスによるスペクトル占有を検出することにより得られる。例えば、第qの訓練可能モジュールの訓練するステップが、同時での複数のサブ帯域についてのマルチタスク訓練として遂行される。スペクトル占有の予測のための予測器の訓練のための対応する訓練デバイスであって、N個の訓練可能モジュールと、訓練可能出力モジュールとを備える、対応する訓練デバイスが提供され、(Nが1よりも大きい整数である)N個の訓練可能モジュールの各第qのものが、第qの通信デバイスに関係付けられているワイヤレス帯域幅におけるスペクトル占有尤度、及び、ワイヤレス帯域幅におけるグラウンドトゥルーススペクトル占有の、第qの対を得るように構成されている。デバイスが、第qの対によって、N個の訓練可能モジュールの中の各第qの訓練可能モジュールを訓練するための、並びに、N個の訓練可能モジュールの出力、及び、グラウンドトゥルーススペクトル占有によって、訓練可能出力モジュールを訓練するための訓練モジュールを含む。実例として、ワイヤレス帯域幅における第qのスペクトル占有が、第qの通信デバイスによるスペクトル占有を検出することにより得られる。例えば、第qの訓練可能モジュールの訓練が、同時での複数のサブ帯域についてのマルチタスク訓練として遂行される。
【0107】
その上、上記で述べられた処理回路網実現形態のうちの任意のものにより遂行されるステップを含む、対応する方法が提供される。
【0108】
なおもさらに、非一時的媒体において記憶される、及び、コンピュータにより、又は、処理回路網により実行されるときに、上記で述べられた方法のうちの任意のもののステップを遂行するコード命令を含む、コンピュータプログラムが提供される。
【0109】
一部の実施形態によれば、処理回路網及び/又はトランシーバが、集積回路(IC)に埋め込まれる。
【0110】
本開示の装置のうちの任意のものが、集積チップにおいて具現されてもよい。
【0111】
上記で述べられた実施形態及び例示的な実現形態のうちの任意のものが、組み合わされてもよい。
【0112】
開示される主題は、最も実用的な、及び好まれる実施形態であると現在考えられるものに基づいて、例解の目的のために詳細に説明されたが、そのような詳細は、ただ単にその目的のためのものであるということ、並びに、開示される主題は、開示される実施形態に制限されるのではなく、反対に、添付される特許請求の範囲の趣旨及び範囲の中にある、変更及び均等な配置構成を包含することを意図されるということが理解されるべきである。例えば、本明細書で開示される主題は、可能な限り、任意の実施形態の1つ又は複数の特徴が、任意の他の実施形態の1つ又は複数の特徴と組み合わされ得るということを目論むということが理解されるべきである。
【国際調査報告】