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特表2023-546349一時的な気腹の生成に使用する医療機器
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-11-02
(54)【発明の名称】一時的な気腹の生成に使用する医療機器
(51)【国際特許分類】
   A61B 17/34 20060101AFI20231026BHJP
【FI】
A61B17/34
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023520554
(86)(22)【出願日】2020-10-06
(85)【翻訳文提出日】2023-04-07
(86)【国際出願番号】 US2020054415
(87)【国際公開番号】W WO2022075977
(87)【国際公開日】2022-04-14
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523122528
【氏名又は名称】コア アクセス サージカル テクノロジーズ インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100114775
【弁理士】
【氏名又は名称】高岡 亮一
(74)【代理人】
【識別番号】100121511
【弁理士】
【氏名又は名称】小田 直
(74)【代理人】
【識別番号】100202751
【弁理士】
【氏名又は名称】岩堀 明代
(74)【代理人】
【識別番号】100208580
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 玲奈
(74)【代理人】
【識別番号】100191086
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 香元
(72)【発明者】
【氏名】フォーリー,グレン
(72)【発明者】
【氏名】ヒメネス,オスカー
【テーマコード(参考)】
4C160
【Fターム(参考)】
4C160FF45
(57)【要約】
一時的な気腹の形成に使用する医療機器は、剛性のドーム、封止要素、保持バンド、セプタム、および真空ポートを含む。剛性のドームは、第一および第二のドームセクションを含む。第一のドームセクションは第二のドームセクションと係合して、剛性のドームを形成する。保持バンドは、第二のドームセクションに対して第一のドームセクションを固定するための力を加える。封止要素は、第一および第二のドームセクションを封止する。セプタムは、第一のドームセクションと第二のドームセクションとの間の開口で係合する。真空ポートは、真空源を剛性のドームに接続し、剛性のドームの内部の圧力を減少させる。
【選択図】図1

【特許請求の範囲】
【請求項1】
医療機器であって、
医療器具を手術部位で定位置に残したまま、前記手術部位から除去するために、分離するように構成された実質的に半球の幾何形状を有する剛性のドームであって、前記剛性のドームが、
前記剛性のドームの前記実質的に半球の幾何形状の一部分を形成する半球の半分の幾何形状を有する第一のドームセクションであって、
前記第一のドームセクションの基部の周りに延在する、患者インターフェースの第一の患者インターフェース部分であって、前記第一のドームセクションから離れて外側に延在して、前記第一のドームセクションの厚さと比べて増加させた表面積を前記第一の患者インターフェース部分に提供する、第一の患者インターフェース部分と、
前記第一のドームセクション上の前記第一の患者インターフェース部分と反対側の開口の第一の開口部分と、
前記第一のドームセクションの前記第一の開口部分と前記第一の患者インターフェース部分との間の縁に沿って延在する第一の接合インターフェースと、を備える、第一のドームセクションと、
前記第一のドームセクションに相補的な半球の半分の幾何形状を有する第二のドームセクションであって、前記第一のドームセクションと係合して前記剛性のドームを形成するように構成されていて、
前記第二のドームセクションの基部の周りに延在する、前記患者インターフェースの第二の患者インターフェース部分であって、前記第二のドームセクションから離れて外側に延在して、前記第二のドームセクションの厚さと比べて増加させた表面積を前記第一の患者インターフェース部分に提供する、第二の患者インターフェース部分と、
前記第二のドームセクション上の前記第二の患者インターフェース部分と反対側の第二の開口部分と、
前記第二の開口部分と前記第二の患者インターフェース部分との間に前記第二のドームセクションの縁に沿って延在する第二の接合インターフェースであって、前記第一の接合インターフェースに結合して前記第一のドームセクションを前記第二のドームセクションに接合し、前記剛性のドームを形成するように構成されている、第二の接合インターフェースと、を備える、第二のドームセクションと、
前記第一のドームセクションを前記第二のドームセクションに対して固定するために保持力を加えるように構成された保持バンドであって、前記第一のドームセクションおよび前記第二のドームセクションの両方の周りに延在するバンド領域上に位置付けられている、保持バンドと、
前記第一のドームセクションの前記第一の接合インターフェースを前記第二のドームセクションの前記第二の接合インターフェースに取り外し可能に封止するように構成された封止要素と、
前記開口に位置付けられ、前記第一のドームセクションと前記第一の開口部分で、および前記第二のドームセクションと前記第二の開口部分で係合するように構成されたセプタムと、
前記患者インターフェースと前記開口との間の前記剛性のドームに配置された真空ポートであって、前記剛性のドームの内部と前記剛性のドームの外部との間に流体経路を形成し、真空源の前記剛性のドームへの接続を容易にして、前記剛性のドームの前記内部の圧力を減少させる、真空ポートと、を備える、医療機器。
【請求項2】
前記真空ポートでバリアを形成し、前記剛性のドームの前記内部の前記減圧を維持するための前記真空ポートと適応する真空ポートプラグをさらに備える、請求項0に記載の医療機器。
【請求項3】
前記封止要素が、前記第一の接合インターフェースおよび前記第二の接合インターフェースを前記第二の接合インターフェースを重ね合わせて、前記第一の接合インターフェースを前記第二の接合インターフェースに封止するために前記剛性のドームの前記外部に適用され、かつ前記第一のドームセクションを前記第二のドームセクションから少なくとも部分的に分離するために、前記第一の接合インターフェースまたは前記第二の接合インターフェースのうちの少なくとも一つから除去可能な、医療用テープを含む、請求項0に記載の医療機器。
【請求項4】
前記第一の接合インターフェースを前記第二の接合インターフェースに封止するように構成され、かつ前記第一のドームセクションを前記第二のドームセクションから少なくとも部分的に分離するために壊れやすい、低せん断強度の接着剤を、前記封止要素が含む、請求項0に記載の医療機器。
【請求項5】
前記開口で前記セプタムに保持力を加えるための保持リングをさらに備える、請求項0に記載の医療機器。
【請求項6】
前記セプタムが、前記開口に透過性バリアを提供し、医療器具が前記セプタムを通って貫通して前記剛性のドームの前記内部にアクセスすることを可能にするように構成されている、請求項0に記載の医療機器。
【請求項7】
前記セプタムが、前記セプタム内に形成され、かつ前記セプタムの厚さを通って延在して前記剛性のドームの前記内部へのアクセスを提供するアクセス構造を備える、請求項0に記載の医療機器。
【請求項8】
剛性のドームの患者インターフェースが手術部位を囲む状態で、前記剛性のドームを前記手術部位に定置することと、
真空源を前記剛性のドームの真空ポートに結合することと、
前記真空源を用いて前記剛性のドームの内部の圧力を減少させて、前記手術部位における組織を少なくとも部分的に前記剛性のドームの前記内部に隆起させることと、
前記剛性のドームの前記内部に、前記剛性のドームの外部から、前記剛性のドームの開口に配置されたセプタムを通して医療器具を挿入することと、
前記手術部位で前記隆起した組織に前記医療器具を挿入し、前記手術部位の表面より下にガスを送達して一時的な気腹を形成することと、
前記剛性のドーム内の前記圧力を正常化することと、
前記第一のドーム部分を第二のドーム部分から分離して、前記手術部位で医療器具を留置したままで、前記剛性のドームを前記手術部位から除去することであって、
前記剛性のドームが前記セプタムからさらに分離され、
前記剛性のドームが前記手術部位から除去された後、前記セプタムが前記医療器具に取り付けられたままである、ことと、
前記医療器具を前記手術部位に留置したままの状態で、前記剛性のドームが前記手術部位から除去された後に、前記セプタムを前記医療器具から除去することと、含む、方法。
【請求項9】
前記セプタムおよび前記保持リングを前記剛性のドームから除去し、前記医療器具を前記手術部位に留置したままの状態で、前記手術部位から前記剛性のドームを除去することを容易にするための分離可能な保持リングによって、前記セプタムが前記剛性のドームから分離される、請求項0に記載の方法。
【請求項10】
前記医療器具から前記セプタムを除去することが、
前記セプタムを第一のセプタム部分および第二のセプタム部分に分割することと、
前記医療器具を前記手術部位に留置したままの状態で、前記分割されたセプタムを前記医療器具から除去することと、含む、請求項8に記載の方法。
【請求項11】
前記真空ポートを塞いで、前記真空ポートを通した圧力の等化を防止することをさらに含む、請求項0に記載の方法。
【請求項12】
前記剛性のドームの外部表面から延在する隆起構造に力を加えることを通して、前記手術部位に対して前記剛性のドームを操作することをさらに含む、請求項0に記載の方法。
【請求項13】
手術部位に挿入されるように構成された医療器具と、
前記医療器具がセプタムを通って前記剛性のドームの内部に入ることを許して、前記医療器具が前記手術部位に挿入されることを可能にするように構成された剛性のドームであって、
前記手術部位から前記医療器具を除去することなく、手術部位から前記剛性のドームを除去するために、前記剛性のドームが、第一のドームセクションおよび第二のドームセクションに少なくとも部分的に分離可能であり、
前記セプタムが、前記剛性のドームから分離可能であり、かつ前記第一のドームセクションおよび前記第二のドームセクションが互いから分離される際に前記医療器具に取り付けられたままであり、
前記手術部位から前記医療器具を除去することなく、前記医療器具から前記セプタムを除去するために、前記セプタムが、第一のセプタム部分および第二のセプタム部分に少なくとも部分的に分割可能である、剛性のドームと、
前記剛性のドームの真空ポートに接続して、前記剛性のドーム内の圧力を減少させ、前記手術部位における前記医療器具の挿入のために前記剛性のドームの前記内部に前記手術を偏向させるように構成された真空源と、を備える、システム。
【請求項14】
前記医療器具が、腹腔鏡外科手術のためのトロカールを含む、請求項0に記載のシステム。
【請求項15】
前記剛性のドームが、
前記剛性のドームの外部表面上に形成された第一のバンド領域上に位置付けられた第一の保持バンドと、
前記剛体ドームの前記外部表面上の第二のバンド領域上に位置付けられた第二の保持バンドと、を備え、前記第一の保持バンドおよび前記第二の保持バンドが、前記剛性のドームを閉位置に保持するように構成されており、前記医療器具を前記手術部位から除去することなく、前記剛性のドームを手術部位から除去するために、前記第一の保持バンドおよび前記第二の保持バンドのそれぞれが分離可能で、前記剛性のドームの少なくとも部分的な分離を容易にする、請求項13に記載のシステム。
【請求項16】
前記剛性のドームの内部への医療器具の貫通を可能にするために、前記セプタムの材料が前記剛性のドームの材料とは異なる、請求項0に記載のシステム。
【請求項17】
前記セプタムが、前記セプタムにおいて前記医療器具とシールを提供するために、前記セプタム上に形成されたシールテクスチャを備え、前記シールテクスチャが、さまざまな医療器具サイズとシールを提供するように構成されている、請求項0に記載のシステム。
【請求項18】
前記剛性のドームの前記第一のドームセクションが、前記剛性のドームの前記第二のドームセクションから完全に分離する、請求項0に記載のシステム。
【請求項19】
前記セプタムが、前記セプタムから延在して、前記セプタムを握るまたは分割するための場所を形成するグリップタブをさらに備える、請求項0に記載のシステム。
【請求項20】
前記第一のドームセクションおよび前記第二のドームセクションが、ヒンジ、テザー、または接合部によって接続されている、請求項13に記載のシステム。

【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
腹腔鏡外科処置は、回復時間がより短く、患者の健康への悪影響が低減されるため、多くの場合、開腹術よりも好ましい。腹腔鏡外科処置の一部として、皮膚、組織、および筋肉を、その下にある腹腔内の器官から分離するために、患者の腹部内に一時的な気腹が形成される。これは、患者の腹部に不活性ガス(通常は、針注射を介して供給される二酸化炭素(CO))を注入することによって達成される。
【図面の簡単な説明】
【0002】
本明細書は、一時的な気腹の生成に使用する医療機器のさまざまな実施例の添付図面と併せて見る時に、より完全に理解されるであろう。説明は、医療機器を特定の実施例に限定することを意図していない。むしろ、図示および記載される特定の実施例は、一時的な気腹の生成に使用する医療機器の説明および理解のために提供される。説明全体を通して、図面は、図面(drawing)、図(figure)および/または図(FIG)と呼ばれる場合がある。
【0003】
図1図1は、一つの実施形態による、一時的な気腹の生成に使用する医療機器の分解図を示す。
図2図2は、一つの実施形態による、図1の医療機器の組立図を示す。
図3図3は、一つの実施形態による、図1の医療機器の断面図を示す。
図4図4は、一つの実施形態による、図1の医療機器の接合部の断面図を示す。
図5図5は、一つの実施形態による、図1の医療機器のセプタムの断面図を示す。
図6図6は、別の実施形態による、医療器具が挿入された状態の、図1の医療機器のセプタムの断面図を示す。
図7図7は、別の実施形態による、図1の医療機器のセプタムの断面図を示す。
図8図8は、別の実施形態による、図1の医療機器のセプタムの斜視図を示す。
図9図9は、別の実施形態による、分離された配置での、図8のセプタムの斜視図を示す。
図10図10は、一つの実施形態による、医療機器の分解図を示す。
図11図11は、一つの実施形態による、図10の医療機器の斜視図を示す。
図12図12は、一つの実施形態による、図10の医療機器の側面図を示す。
図13図13は、一つの実施形態による、図10の医療機器のセプタムの底面図を示す。
図14図14は、一つの実施形態による、図10の医療機器のセプタムの上面図を示す。
図15図15は、一つの実施形態による、図10の医療機器の保持リングの斜視図を示す。
図16図16は、別の実施形態による、図1の医療機器を使用する方法の流れ図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0004】
本明細書に開示される一時的な気腹の生成に使用する医療機器は、図と併せて、以下の詳細な説明を検討することによってよりよく理解されるであろう。詳細な説明および図は、一時的な気腹の生成に使用する医療機器のさまざまな実施形態の実施例を単に提供するだけである。多くの変形が、異なる用途および設計の考慮に対して意図されるが、簡潔かつ明確にするために、意図される変形のすべてが、以下の詳細な説明で個別に記述されていない場合がある。当業者は、本開示の実施例がどのように変化、修正、および変更されうるか、また本明細書に記載される実施例の範囲から実質的に逸脱しないかを理解するであろう。
【0005】
従来の機器は、機器を通して患者の腹部内に挿入される医療器具の動きを制限し、医療器具の位置調整のための空間をほとんどまたは全く許容しない。第二に、公知の機器の一部は比較的複雑な構造を有し、これが製造コストを増加させる。これらの機器は使い捨てであることが意図されているため、低い製造コストは不可欠である。その上、従来の機器の複雑さにより、学習曲線だけでなく、ユーザーエラーまたは機器故障のリスクも増大する。
【0006】
本明細書に開示されるように、一時的な気腹の生成に使用する医療機器の実施は、上述の問題の一部または全部に対処しうる。例えば、本明細書に開示される実施形態は、手術部位に対する医療機器の調整および操作を可能にし、また手術部位で所定位置にある間に、医療機器内の医療器具を操作することも可能にする。本明細書に記載の実施形態はまた、手術部位からの医療機器の除去を可能にしつつ、留置トロカールラインの持続的使用を可能にする。言い換えれば、手術部位から医療機器を取り除くためにトロカールを取り外す必要がない。その上、医療機器の複雑さが相対的にないことは、費用、潜在的なユーザーエラー、および医療機器自体の故障率を低減させる。例えば、多くの外科手術では、トロカールまたは他の医療器具を留置したままにして、医療機器を除去し、医療機器から干渉を受けることなく、追加の医療器具を手術部位に横方向にまたは別のやり方で導入するための明確なアクセスを提供することが有利である。
【0007】
図1は、一つの実施形態による、一時的な気腹の生成に使用する医療機器100の分解図を示す。分離可能なドームの使用は、外科手術の準備および実施を支援するために一時的な気腹を生成することを可能にする。分離性は、医療器具を所定位置に維持しながら、ドームを除去することを可能にする。
【0008】
一部の実施形態では、医療機器100は、剛性のドーム102、封止要素104、セプタム106、真空ポート107、および隆起構造108を含む。剛性のドーム102は、第一のドームセクション110および第二のドームセクション112を有する、ほぼ実質的に半球形またはドーム形状の構造である。第一のドームセクション110および第二のドームセクション112は、一緒に接合された時に剛性のドーム102を形成する。言い換えれば、第一のドームセクション110は、半球の半分の幾何形状を有するか、または剛性のドーム102の半球の幾何形状の一部分を構成する一方、第二のドーム部分112は、第一のドームセクション112に相補的な半球の半分の幾何形状を有する。
【0009】
第一のドームセクション110および第二のドームセクション112はそれぞれ、剛性のドーム102の等しい半分を形成しうる。一部の実施形態では、第一のドームセクション110または第二のドームセクション112のうちの一方は、他方よりも剛性のドーム102の大きな部分を構成する。一部の実施形態では、第一のドームセクション110または第二のドームセクション112の少なくとも一つは、剛性のドーム102の内部上の手術部位の視認を容易にするために透明または半透明である。第一のドームセクション110の曲率半径は、第二のドームセクション112の曲率半径と同等であってもよい。一部の実施形態では、第一のドームセクション110の曲率またはその他の幾何形状は、第二のドームセクション112の対応する幾何形状とは異なる。
【0010】
一部の実施形態では、第一のドームセクション110は、第二のドームセクション112から完全に解放可能であり、剛性のドーム102を除去し、剛性のドーム102を通して挿入された医療器具を所定位置に置いたままにすることを可能にする。他の実施形態では、第一のドームセクション110は、第二のドームセクション112から部分的に解放可能であり、例えば、ヒンジ、テザー、接合などにおいて、第二のドームセクション112に結合されたままである。一部の実施形態では、第一のドームセクション110を第二のドームセクション112から完全に分離するために、第一のドームセクション110と第二のドームセクション112との間の残りの接続はさらに分離可能である。他の実施形態では、第一のドームセクション110と第二のドームセクション112との間の残りの接続は、分離抵抗性である。剛性のドーム102の第一のドームセクション110はまた、患者インターフェース116の第一の患者インターフェース部分114、開口120の第一の開口部分118、および第一の接合インターフェース122を含む。
【0011】
一部の実施形態では、第一の患者インターフェース部分114は、第一のドームセクション110の基部の周りに延在する。第一の患者インターフェース部分114は、第一のドームセクション110の厚さと比べて増加させた表面積を第一の患者インターフェース部分114に提供するために、第一のドームセクション110から外側にロールされてもよい。一部の実施形態では、第一の患者インターフェース部分114は、第一のドームセクション110および第二のドームセクション112の両方にわたって延在する、患者インターフェース116の第一の部分を形成する。患者インターフェース116は、剛性のドーム102の周りの手術部位における圧力を減少させうる。これは、血液または他の流体の流れへの影響を低減するか、または組織損傷のリスクを低減しうる。その上、患者インターフェース116での表面積の増加は、手術部位における創傷を悪化させるリスクを低減しうる。一部の実施形態では、患者インターフェース116は、衛生化、摩擦、真空シールなどを改善するために、コーティング、ライナー、処理などを含みうる。
【0012】
第一の開口部分118は、第一のドームセクション110上の第一の患者インターフェース部分114と反対側の開口120の一部分を形成する。一部の実施形態では、開口120は、剛性のドーム102内の円形の開口部である。他の実施形態では、開口120は、非円形の幾何形状を有する。一部の実施形態では、開口120は、第一のドームセクション110および第二のドームセクション112の両方によって同じ分量で形成される。他の実施形態では、開口120は、第一のドームセクション110および第二のドームセクション112のうちの一方が、第一のドームセクション110および第二のドームセクション112のうちの他方よりも大きな程度で形成される。開口120は、セプタム106に関連するシール、保持、解放可能性、またはその他の特性を改善するために、隆起、くぼみ、リング、摩擦フィッティングなどを含んでもよい。
【0013】
一部の実施形態では、第一の接合インターフェース122は、第一の開口部分118と第一の患者インターフェース部分114との間の第一のドームセクション110の縁に沿って延在する。一部の実施形態では、第一の接合インターフェース122は、フランジ、唇状のもの、舌状のものまたは溝、出っ張りなどを形成する。一部の実施形態では、第一の接合インターフェース122は、第一のドームセクション110を第二のドームセクション112に結合して剛性のドーム102を形成するために、第二の接合インターフェース128と整列するように構成されている。
【0014】
剛性のドーム102の第二のドームセクション112は、第二の患者インターフェース部分124、第二の開口部分126、および第二の接合インターフェース128を含む。一部の実施形態では、第二の患者インターフェース部分124は、第一の患者インターフェース部分114を補完して、患者インターフェース116全体を形成する。一部の実施形態では、第一の患者インターフェース部分114は、第二のドームセクション112の基部の周りに延在する患者インターフェース116の一部分を形成する。一部の実施形態では、第二の患者インターフェース部分124は、第二のドームセクション112の厚さと比べて増加させた表面積を第二の患者インターフェース部分124に提供するために、第二のドームセクション112から外向きに広げられている。
【0015】
第二の開口部分126は、第二の患者インターフェース部分124第二のドームセクション112の反対側に位置付けられている。一部の実施形態では、第二の開口部分126は、第一のドームセクション110の第一の開口部分118と組み合わされて、開口120を形成する。第二の開口部分126は、第一の開口部分118と比較して、より大きな量またはより小さな量の開口120を構成しうる。一部の実施形態では、第一の開口部分118および第二の開口部分126の一方または両方は、開口120内のセプタムの整列を容易にするために、セプタム106の幾何形状または特徴に対応する整列機能を含む。
【0016】
一部の実施形態では、第二の接合インターフェース128は、第二の開口部分126と第二の患者インターフェース部分124との間の第二のドームセクション112の縁に沿って延在する。第二の接合インターフェース128は、第一のドームセクション110を第二のドームセクション112に結合して剛性のドーム102を形成するために、第一の接合インターフェース122に結合するように構成されてもよい。
【0017】
一部の実施形態では、封止要素104は、第一のドームセクション110の第一の接合インターフェース122を第二のドームセクション112の第二の接合インターフェース128に取り外し可能に封止するように構成されている。一部の実施形態では、封止要素104は医療用テープである。一部の実施形態では、封止要素104は、第一の接合インターフェース122および第二の接合インターフェース128が重なって、第一の接合インターフェース122を第二の接合インターフェース128に封止するために、剛性のドーム102の外部に適用される。封止要素104は、第一のドームセクション110を第二のドームセクション112から少なくとも部分的に分離するために、第一の接合インターフェース122または第二の接合インターフェース128の少なくとも一つから除去可能であってもよい。
【0018】
他の実施形態では、封止要素104は、低せん断強度の接着剤である。例えば、低せん断強度の接着剤は、手で壊せる低せん断強度のシリコンまたはその他の低せん断強度のポリマーであってもよい。封止要素104は、第一のドームセクション110を第二のドームセクション112から分離することを容易にするために除去可能であってもよい。封止要素104によって提供される封止効果は、剛性のドーム102が手術部位で所定位置にある時に、剛性のドーム102の内部への、またはそこからの圧力の漏れを低減することを可能にする。一部の実施形態では、封止要素104は、剛性のドーム102からの封止要素104の除去を容易にするために、タブ、ストリップ、ハンドル、ループなどを含む。
【0019】
一部の実施形態では、医療機器100はまた、セプタム106を含む。セプタム106は、開口120内に位置付けられ、かつ透過性バリアを形成して、医療器具がセプタム106を貫通して剛性のドーム102の内部にアクセスすることを可能にしてもよい。セプタム106は、第一のドームセクション110の第一の開口部分118と係合し、第二のドームセクション112の第二の開口部分126と係合するように構成されてもよい。一部の実施形態では、セプタム106は、剛性のドーム102とは異なる材料から形成される。異なる材料の使用は、剛性のドーム102よりも簡単にセプタム106を穿刺することを可能にし、それによってセプタム106を通した医療器具の挿入を容易にしうる。
【0020】
医療機器100はまた、真空ポート107を含んでもよい。一部の実施形態では、真空ポート107は、患者インターフェース116と開口120との間の剛性のドーム102内に配置される。一部の実施形態では、真空ポート107は、剛性のドーム102の内部と剛性のドーム102の外部との間に流体経路を形成する。一部の実施形態では、真空ポート107は、剛性のドーム102への真空源の接続を容易にし、剛性のドーム102の内部の圧力を減少させる。一部の実施形態では、真空ポート107は、剛性のドーム102から垂直または角度の付いた配向で外向きに突出する。真空ポート107は、真空源への接続を受容するために、滑面、ねじ込み式、有刺などでありうる。
【0021】
一部の実施形態は、真空ポートプラグ130を含む。真空ポートプラグ130は、真空ポート107にバリアを形成して、剛性のドーム102の内部の減圧を維持するために、真空ポート107に適合していてもよい。一部の実施形態では、真空ポートプラグ130は、真空ポート107に組み込まれて、剛性のドーム102の内部に戻る空気の流れに抵抗しながら、剛性のドーム102の内部から空気を排出することを可能にする一方向弁を作成してもよい。一部の実施形態では、真空ポートプラグ130は、剛性のドーム102の外部の入力によって作動されて、剛性のドーム102の内部の圧力を外部圧力に等しくする。
【0022】
医療機器100はまた、剛性のドーム102を物理的に操作する力を受容する物理的インターフェースを形成するために、剛性のドーム102の外部表面から外側に延在する隆起構造108を含んでもよい。例えば、ユーザーは、隆起構造108で医療機器100を掴む、手術部位に対して医療機器100を位置付ける、ユーザーまたは手術部位に対して医療機器100を配向する、手術部位の平面に力を加えたり平面から力を取り去ったりする、第一のドームセクション110を第二のドームセクション112から分離するなどをしてもよい。一部の実施形態では、隆起構造108は、グリップ要素を含む。例えば、隆起構造108は、隆起構造108の少なくとも一部分の摩擦係数を増加させるために、隆起、ローレット、くぼみ、コーティングなどを含んでもよい。
【0023】
図2は、一つの実施形態による、図1の医療機器100の組立図を示す。一部の実施形態は、外科手術中または外科手術の準備中の意図しない危害のリスクを低減するために、手術部位を覆い、操作するための、完全に気密な、またはほぼ気密なドームを形成する。一部の実施形態では、第一のドームセクション110は、第二のドームセクション112を封止して、閉じた継ぎ目202を生成する。一部の実施形態では、継ぎ目202は、継ぎ目202内に塗布された接着剤または他の材料で封止される。他の実施形態では、継ぎ目202は、剛性のドーム102の外部または剛性のドーム102の内部にある継ぎ目202の外部に適用されたテープまたは他の材料で封止される。
【0024】
一部の実施形態では、セプタム106は、剛性のドーム102の開口120に封止される。一部の実施形態では、セプタム106は、継ぎ目202に適用される材料と類似または異なる材料を使用して、開口120内に封止される。他の実施形態では、セプタム106の構造は、開口120に対してシールを維持するのに十分である。
【0025】
図3は、一つの実施形態による、図1の医療機器100の断面図を示す。一部の実施形態は、医療機器100の内部の圧力を低減することを可能にして、手術部位を医療機器100の内部に引き込み、手術部位における意図しない危害のリスクを低減する、医療機器100の内部への真空ポート107の通過態様を示す。一部の実施形態では、真空ポート107は、剛性のドーム102から実質的に垂直方向に延在する。他の実施形態では、真空ポート107は、真空ポート107が延在する剛性のドーム102の表面に対して垂直の角度で剛性のドーム102から延在する。他の実施形態では、真空源との接続を容易にし、セプタム106へのアクセスに対する干渉を低減するなどのために、他の角度が使用されてもよい。一部の実施形態では、真空ポート107は、手術部位における組織を真空ポート107へ、または真空ポート107内に引き込む、膨張させる、偏向する、またはその他の方法で移動する可能性を低減するために、剛性のドーム102上に位置付けられている。
【0026】
図4は、一つの実施形態による、図1の医療機器の接合部400の断面図を示す。一部の実施形態では、第一の接合インターフェース122は、第二の接合インターフェース128と接触してシールを形成するように構成されている。一部の実施形態では、接合部400は、第二の接合インターフェース128を形成している溝に第一の接合インターフェース122を挿入する、目違い継ぎである。他の実施形態では、接合部400は、重ね継ぎ、サンク・ラップ・ジョイント(sunk lap joint)、突合せ継ぎ、T接合(t-bull joint)、フランジ接合、立ちはぜ継ぎ(standing joint)、こはぜ継ぎなどである。
【0027】
図5は、一つの実施形態による、図1の医療機器100のセプタム106の断面図を示す。一部の実施形態では、セプタム106は、医療器具が剛性のドーム102の内部にアクセスするアクセス構造502を含む。一部の実施形態では、セプタム106のアクセス構造502は、セプタム106の別の部分よりも薄い。アクセス構造502の厚さの減少は、アクセス構造502でのセプタム106のより容易な貫通を可能にしうる。一部の実施形態では、アクセス構造502は、セプタム106の残りの部分の別の材料とは異なる材料を含む。例えば、アクセス構造502は、セプタム106の残りの部分に含まれていない、またはより低い量もしくは濃度で含まれる、より柔らかい材料またはより弾力のある材料を含んでもよい。
【0028】
その上、アクセス構造502におけるセプタム106の厚さの減少は、剛性のドーム102上の医療器具に衝撃を与える可能性を低減しながら、医療器具がセプタム106を通って挿入されうる場所の視覚的インジケータを提供しうる。一部の実施形態では、アクセス構造502は、セプタム106上の中央に位置付けられ、アクセス構造502の両側に凹部504を形成する。他の実施形態では、アクセス構造502は、中心をはずれて位置付けられて、異なるサイズの凹部504が形成されるか、またはセプタム106の片面にある単一の凹部のみが形成されて、アクセス構造502がセプタム106の片面にあるセプタム106の残りの部分と同一平面であってもよい。
【0029】
一部の実施形態では、セプタム106は、開口120に保持力を加えるための保持構造506を含む。一部の実施形態では、保持構造506は、セプタム106の周囲の少なくとも一部分の周りに延在するチャネル508内の隆起部分を含む。保持構造506は、チャネル508に形成されたリングであってもよい。保持構造506は、丸みを帯びている、角形である、面取りされている、などであってもよい。
【0030】
図6は、別の実施形態による、医療器具602が挿入された、図1の医療機器100のセプタム106の断面図を示す。一部の実施形態では、医療器具602は、セプタム106のアクセス構造502を通して挿入されて、医療機器100の内部へのアクセスが得られる。図示するように、セプタム106の実施形態は、手術部位、外科手術の種類、または他の変数の結果として生じうる角度の範囲で、医療機器100を挿入することを可能にする。一部の実施形態では、セプタム106は、第一の角度での医療器具602の挿入を受容し、医療器具602の再位置付けを可能にするために、第一の角度とは異なる第二の角度への移行を通して、医療器具でのシールを維持するように構成されている。また、凹型である保持構造506の変形も示されている。凹型の保持構造506は、開口120において剛性のドーム102上の対応する隆起構造と接合する。
【0031】
図7は、別の実施形態による、図1の医療機器100のセプタム106の断面図を示す。一部の実施形態では、セプタム106は、セプタム106の表面で狭くなる開口部を有する凹部504を含んでもよい。一部の実施形態では、凹部504の狭まった様相は、医療器具602がセプタム106のアクセス構造502に挿入される際に、医療器具602に加えられる自己復元力を提供しうる。
【0032】
図8は、別の実施形態による、図1の医療機器100のセプタム106の断面図を示す。一部の実施形態では、セプタム106の分離可能な実施形態が示され、これにより、医療器具602を妨害または除去することなく、セプタム106を手術部位から除去することが可能になる。言い換えれば、セプタム106は、手術部位から医療器具602を除去することなく、医療器具602から解放するために少なくとも部分的に分離可能である。これにより、意図しない危害のリスクが低減されるか、または外科手術の成功の可能性が増加しうる。一部の実施形態では、セプタム106は、セプタム106に形成された分離境界802で分離可能である。分離境界802には、穿孔、異なる材料、溝付けや切込み、または他の弱化する構造や裂けを促進する構造または変形を含みうる。分離境界802は、セプタム106の表面に対していくらかの境界角度804を成していてもよい。例えば、分離境界802は、30度の境界角度804を有してもよい。一部の実施形態では、分離境界802は、貫通切断であり、セプタム106の材料によって、剛性のドーム内の減圧によって、および/または剛性のドーム102によりセプタム106に加えられる力によって、封止された配置で一緒に維持される。一部の実施形態では、セプタム106は、分離境界802で第一のセプタム部分および第二の部分に分割されてもよい。他の実施形態では、セプタム106は、セプタム106の中心から、セプタム106の縁へと外に向かって部分的に分割されてもよい。
【0033】
図9は、別の実施形態による、分離された配置での、図8のセプタム106の斜視図を示す。一部の実施形態では、セプタム106は、第一のセプタム部分806および第二のセプタム部分808の別個の断片に分割される。第一のセプタム部分806は、第二のセプタム部分808とセプタム106のサイズおよび量が類似しているとして示されているが、他の実施形態は、第一のセプタム部分806および第二のセプタム部分808に対して異なるサイズ比を組み込んでもよい。
【0034】
図10は、一つの実施形態による、医療機器100の分解図を示す。医療機器100の一部の実施形態は、医療従事者が、外科手術中に意図しない損傷または危害のリスクを著しく低減しながら、利用可能な真空源を使用して、患者に過度の合併症またはリスクを引き起こすことなく、手術部位に一時的な気腹を形成することを可能にする。一部の実施形態では、医療機器100は、第一の保持バンド1014に適応する形をした第一のバンド領域1010と、第二の保持バンド1016に適応する形をした第二のバンド領域1012とを有する、第一のドームセクション110および第二のドームセクション112を含む。第一のバンド領域1010は、第一のドームセクション110および第二のドームセクション112の両方の周りに延在する。第一のバンド領域1010は、平行円筒を形成するようにサイズ設定および配向され、第一のバンド領域1010は第一の保持バンド1014を保持するために未変更のままでもよい。他の実施形態では、第一のバンド領域1010は、医療機器100の頂部または底部に向かって先細りしていてもよい。第二のバンド領域1012は、第一のバンド領域1010と類似して、または異なるように構成されてもよい。一部の実施形態では、第一のバンド領域1010は、第二のバンド領域1012よりも直径が小さく、第二の保持バンド1016と比較して小さい第一の保持バンド1014の直径に適応する。一部の実施形態では、真空ポート107は、第一のバンド領域1010と開口120との間に配置される。一部の実施形態では、真空ポート107は、第一のバンド領域1010と第二のバンド領域1012との間に配置されてもよい。他の実施形態は、真空ポート107のその他の配置を含む。一部の実施形態では、第一の保持バンド1014または第二の保持バンド1016は、十分な引張強度を有する収縮バンドである。他の実施形態では、第一の保持バンド1014または第二の保持バンド1016は、補強テープである。一部の実施形態では、補強テープは、自己接着性であってもよい。補強テープは、炭素フィラメント、ナノチューブ、ガラス繊維、ポリマーなどの補強要素を含んでもよい。一部の実施形態では、補強は、軸性または二軸性であってもよい。
【0035】
一部の実施形態では、医療機器100は、セプタムシート1002を含む。セプタムシート1002は、開口120の周りに形成されて、セプタム106の定置および固定を容易にしうる。一部の実施形態では、セプタムシート1002は、第一のドームセクション110および第二のドームセクション112のそれぞれの上の開口120の周りに形成された平面領域である。セプタムシート1002は、環状の幾何形状であり、開口120と同心であってもよい。他の実施形態では、セプタムシート1002は、他の形状を有してもよく、開口120に対して他の整列を有してもよい。
【0036】
一部の実施形態では、セプタムシート1002は、第一のドームセクション110および第二のドームセクション112の厚さ内に延在する保持穴1004を含む。一部の実施形態では、保持穴1004は、第一のドームセクション110の厚さおよび第二のドームセクション112の厚さを完全に貫いて、医療機器100の内部まで延在する。他の実施形態では、保持穴1004は、第一のドームセクション110の厚さおよび第二のドームセクション112の厚さを完全に貫いては延在しない。
【0037】
保持穴1004は、セプタム106をセプタムシート1002上の定位置に固定することを容易にしうる。一部の実施形態では、医療機器100は、保持穴1004と係合してセプタムシート1002においてセプタム106を固定するように構成されうる保持リング1005をさらに含む。一部の実施形態では、保持リング1005は、第一のリング部分1006および第二のリング部分1008に分離可能である。保持リング1005の分離性は、トロカール、針、ラインなどの医療ツールの周りから医療機器100を除去することを可能にしうる。保持リング1005は、第一のリング部分1006および第二のリング部分1008に分離されてもよく、または引き裂き、切断などを介した機械的分離を必要としてもよい。
【0038】
一部の実施形態では、医療機器100は、第一のドーム部分110と第二のドーム部分112との間の接合部の断面形状に適合するように予め成形された封止要素104を含む。封止要素104は、弾性材料または粉砕可能な材料を含んでもよい。例えば、封止要素104は、Oリング式のシールを形成するためのポリマー材料、フルオロポリマー、シリコーンゴム(中実のストランドまたは管)を含んでもよく、または封止要素104は、ガスケット式のシールを形成するための金属、ワックス、もしくは他の破砕可能なシール材料であってもよい。他の封止方式も実施されうる。
【0039】
図11は、一つの実施形態による、図10の医療機器100の斜視図を示す。一部の実施形態は、手術部位の周りに安全なシールを形成して一時的な気腹を生成し、意図しない危害のリスクを低減することを可能にする。その上、医療機器100は、医療器械を原位置で手術部位に残したままで除去可能であり、抜去および再挿入による潜在的な危害をさらに低減する。
【0040】
一部の実施形態では、第一の保持バンド1014および第二の保持バンド1016は、第二のドーム部分112で第一のドーム部分110を閉じて保持するように位置付けられる。第一の保持バンド1014および第二の保持バンド1016は、切断またはその他の方法で切り離して医療機器100から除去し、第一のドーム部分110を接合部202で第二のドーム部分112から分離することを容易にすることによって除去されてもよい。
【0041】
図12は、一つの実施形態による、図10の医療機器の側面図を示す。一部の実施形態は、患者にさらなる害を与えることなく、一時的な気腹を形成する能力を提供する、快適で容易に展開可能な構造を形成する。
【0042】
一部の実施形態では、第一の保持バンド1014は、医療機器の100の中央付近に位置付けられる一方、第二の保持バンド1016は、医療機器の100の底部の近くに位置付けられる。一部の実施形態では、第一の保持バンド1014および第二の保持バンド1016は、接合部202の封止を保つために、同じ量または類似した保持力を医療機器100に加えてもよい。他の実施形態では、第一の保持バンド1014は、第二の保持バンド1016よりも大きな力または小さな力を加えてもよく、これは第一の保持バンド1014または第二の保持バンド1016の位置、厚さ、材料、または他の特性または構成要素に基づきうる。
【0043】
図13は、一つの実施形態による、図10の医療機器のセプタム106の底面図を示す。セプタム106の一部の実施形態は、医療器械上に真空抵抗シールを維持しながら、医療器械の挿入を可能にする。セプタム106はまた、分離することができ、手術部位から医療器械を引き出すことなく、セプタム106を医療器械から除去することを可能にする。
【0044】
一部の実施形態では、セプタム106は、グリップタブ1302を含む。グリップタブ1302は、セプタム106から互いに斜めに延在し、外科医または他の医療従事者がセプタム106を掴むための場所を形成する。グリップタブ1302は、グリップを改善するために、テクスチャのある部分1304を含んでもよい。これは、血液、脂肪、油、洗浄液などの存在下で、グリップを改善するのに役立ちうる。
【0045】
一部の実施形態では、セプタム106は、セプタム106の分離を容易にするために、セプタム106の構造内に形成された一連の引裂き線1308を含む。セプタム106を完全に分離してそこを通して挿入された医療器械を解放することのない、望ましくない断片化または引裂きを防止するために、引裂き線1308は、引裂き切欠1306または他の設計された破壊点と一致して、セプタム106の破壊または引裂きの位置、方向、または様式を制御してもよい。
【0046】
一部の実施形態では、セプタム106は、整列穴1310を含む。整列穴1310は、セプタムシート1002および保持リング1005と併せて、セプタム106の整列および固定を容易にするために、セプタム106内に形成された貫通穴であってもよい。例えば、保持リングは、セプタム106の整列穴1310を通って、セプタムシート1002内に形成された保持穴1004の中に突出するように整列されてもよい。
【0047】
図14は、一つの実施形態による、図10の医療機器のセプタム106の上面図を示す。一部の実施形態は、シールテクスチャ1402が、医療器械の挿入のための標的を形成して、使いにくさを低減することと、可撓性シールを形成して、シールを維持しながら広範囲の医療器械サイズを受容することの両方を備えた、使いやすいセプタム106を提供する。
【0048】
一部の実施形態では、シールテクスチャ1402は、セプタム106の中心に配置された隆起構造として形成される。シールテクスチャ1402の隆起構造は、円形断面を有する医療器械を容易に受容するためのリングを形成してもよい。非円形断面に適応するために、その他の形状が意図される。
【0049】
図15は、一つの実施形態による、図10の医療機器の保持リング1005の斜視図を示す。保持リング1005の一部の実施形態は、第一のドーム部分110および第二のドーム部分112に対するセプタム106の安定性およびシールの増加を可能にする一方、器械が原位置のままである間に、医療器械から除去することも可能にする。保持リング1005は、第一のリング部分1006および第二のリング部分1008に分離可能であってもよい。保持リング1005は、第一のリング部分1006および第二のリング部分1008に分離されてもよく、または保持リング1005を分離するためのユーザー入力を容易にしてもよい。保持リング1005は、中央開口1500を含んでもよい。中央開口1500は、保持リング1005内に位置付けられて、セプタム106を通して医療器械を挿入するためのセプタム106へのアクセスを可能にしてもよい。
【0050】
一部の実施形態では、保持リング1005は、保持リング1005の平面から垂直に延在するポスト1502を含む。一部の実施形態では、ポスト1502は、保持リング1005の周りにパターンで配置される。一部の実施形態では、ポスト1502は、保持リング1005の周りに均等に分布される。一部の実施形態では、ポスト1502はセプタム106を保持し、第一のドームセクション110および第二のドームセクション112の分離に応答して、セプタム106の分割を促進する。
【0051】
一部の実施形態では、ポスト1502は、一貫した断面形状を有してもよい。他の実施形態では、ポスト1502は、差分的な幾何形状を有する。例えば、一部の実施形態では、ポスト1502は、より小さな直径を有する先端部分を有する。この幾何形状の変化により、ポスト1502が、セプタム106およびセプタムシート1002の保持穴1004と別々に係合することが可能となりうる。ポスト1502は、第一のドームセクション110および第二のドームセクション112に対する保持リング1005の整列、ならびに第一のドームセクション110および第二のドームセクション112とセプタム106の整列を提供しうる。
【0052】
図16は、別の実施形態による、図1の医療機器100を使用する方法1600の流れ図を示す。方法1600は、手術のための一時的な気腹の生成を可能にする。方法1600は、剛性のドームの患者インターフェースが手術部位を囲む状態で、剛性のドームを手術部位に定置することを含みうる。例えば、剛性のドーム102は、剛性のドーム102の患者インターフェース116が手術部位を囲むように位置付けられた状態で、手術部位に定置されてもよい(ブロック1602)。
【0053】
方法1600は、真空源を剛性のドームの真空ポートに結合することを含みうる(ブロック1604)。例えば、真空源は、剛性のドーム102の真空ポート107に結合されて、剛性のドーム102に減圧を供給してもよい。方法1600は、真空源を用いて剛性のドームの内部の圧力を低減して、手術部位における組織を少なくとも部分的に剛性のドームの内部に隆起させることを含みうる(ブロック1606)。例えば、剛性のドーム102内の圧力が減少すると、剛性のドームの下の手術部位における組織は、剛性のドーム102の中に上向きに膨張する。
【0054】
方法1600は、剛体ドームの開口に配置されたセプタムを通して、剛性のドームの外部から剛体ドームの内部の中に医療器具を挿入することを含みうる(ブロック1608)。例えば、医療器具602は、剛性のドーム102のセプタム106を通して挿入されて、剛性のドーム102の内部にアクセスしてもよい。方法1600は、手術部位で隆起した組織に医療器具を挿入し、手術部位の表面より下にガスを送達して一時的な気腹を形成することを含みうる(ブロック1610)。例えば、医療器具602は、剛性のドーム102の中に膨張した手術部位に導入されて、手術部位の表面層より下に不活性ガス(例えば、CO)を送達し、手術部位に一時的な気腹を生成して、腹腔鏡手術または別の外科手術を容易にしうる。
【0055】
方法1600は、剛性のドーム内の圧力を正常化することを含みうる(ブロック912)。例えば、剛性のドーム102内の圧力は、真空ポート107から真空源の接続を解く、真空ポートプラグ130を操作する、剛性のドーム102を手術部位から持ち上げる、封止要素104を除去する、第一のドームセクション110と第二のドームセクション112との間に初期分離を作り出すことなどによって、正常化または均等化されてもよい。方法1600は、第一のドーム部分を第二のドーム部分から分離して、手術部位で医療器具を留置したままで、剛性のドームを手術部位から除去することを含みうる(ブロック1614)。例えば、第一のドームセクション110は、隆起構造108を掴み、剛性のドーム102に力を加えることによって、封止要素に打ち勝ち、封止要素104を除去することなどによって、第二のドームセクション112から分離されてもよい。
【0056】
図の一つに図示された特徴は、図の別の図に図示された特徴と同一であってもよく、またはそれに類似していてもよい。同様に、図の一つに関連して記載される特徴は、別の図に関連して記載される特徴と同一であるか、またはこれに類似していてもよい。同一または類似の特徴は、別途明示的に記載されない限り、同一または類似の参照文字によって認識されうる。その上、特定の図の説明は、特定の図に示されていない特徴を指しうる。特徴は、別の図に関連して、図示および/またはさらに説明されうる。
【0057】
本明細書に記載のプロセス(すなわち、方法)の要素は、例えば人間によって、処理装置によって、自動的または人間の制御下で動作する機構によってなど、一つ以上の方法で実行されうる。その上、プロセスのさまざまな要素は、特定の順序で図に図示されうるが、プロセスの要素は、本明細書の開示の実質および主旨から逸脱することなく、一つ以上の異なる順序で行われてもよい。
【0058】
前述の説明は、いくつかの実施を良く理解するために、特定のシステム、構成要素、方法などの例など、多数の具体的な詳細を明らかにする。しかしながら、当業者には、少なくとも一部の実施がこれらの具体的な詳細なしに実行されうることは明らかであろう。他の例では、周知の構成要素または方法は、本実施を不必要に不明瞭にすることを避けるために、詳細に記載されていない、または単純なブロック図形式で提示される。したがって、上述の具体的な詳細は単に例示的なものである。特定の実施は、これらの例示的な詳細とは異なる場合があるが、なおも本実施の範囲内であることが意図される。
【0059】
本明細書に記載される実施例および/または実施形態の関連する要素は、異なる実施例で同一であってもよく、類似していてもよく、または類似していなくてもよい。簡潔さおよび明確さのために、関連する要素は重複して説明されない場合がある。代わりに、同一の、類似した、および/または関連する要素名および/または参照文字の使用は、所与の名称および/または関連する参照文字を有する要素が、本明細書の他の箇所で説明される実施例の同一の、類似した、および/または関連する要素名および/または参照文字を有する別の関連する要素と類似しうることを、読者に知らせうる。所与の実施例に特有の要素は、その特定の例に関して記載されうる。当業者であれば、関連する要素の特徴を共有するために、所与の要素が、任意の所与の図または実施例における関連する要素の特定の描写と同一である、および/または類似している必要はないことを理解するであろう。
【0060】
前述の説明は、例示であり、限定ではないことが意図されていることが理解されるべきである。上記の説明を読み、理解することで、当業者には他の多くの実施が明らかになるであろう。したがって、本実施の範囲は、添付の特許請求の範囲を参照して、こうした特許請求の範囲が権利を有する均等物の全部の範囲と共に、決定されなければならない。
【0061】
前述の開示は、独立した効用を有する複数の別個の実施例を包含する。これらの実施例は特定の形態で開示されているが、上記に開示および図示した特定の実施例は多数の変形が可能であるため、限定的意味で考えられるべきではない。本明細書に開示される主題は、上記で明示的かつ本質的に開示されたさまざまな要素、特徴、機能および/または特性の新規かつ非自明の組合せおよび部分的組合せを含む。本開示またはその後出願される特許請求の範囲が、「一つの」要素、「第一の」要素、または任意のこうした同等の用語を列挙する場合、本開示または特許請求の範囲は、かかる要素の二つ以上を必要とすることも除外することもなく、一つ以上のかかる要素を組み込むと理解されるべきである。
【0062】
本明細書で使用される「同じ」は、すべての特徴を共有することを意味し、「類似」は、相当数の特徴を共有することまたは相当数の特徴を共有しない場合でも、実質的に重要な特徴を共有することを意味する。本明細書で使用される「may(~しうる、~してもよい)」は寛容な意味で解釈されるべきであり、不確定な意味で解釈されるべきではない。その上、実施例、要素、および/または特徴に関する「is」の使用は、特定の実施例に関してのみ確定的であると解釈されるべきであり、すべての実施例に関して確定的に解釈されるべきではない。さらに、「開示」および/または「本開示」の言及は、本書の執筆全体および付随する図の全体を指し、これは、発明の名称、背景技術、図面の簡単な説明、発明を実施するための形態、特許請求の範囲、要約、および参照により本明細書に組み込まれるその他の文書および/またはリソースを含む、本書の各小部のすべての執筆に及んでいる。
【0063】
本明細書で列挙に関して使用される「および」は、列挙された要素すべてを含めた群を形成する。例えば、A、B、C、およびDを含むとして記載される実施例は、Aを含み、Bを含み、Cを含み、およびDも含む実施例である。本明細書で列挙に関して使用される「または」は、要素の列挙を形成し、それらのいずれかが含まれうる。例えば、A、B、C、またはDを含むとして記載される実施例は、要素A、B、C、およびDのいずれかを含む実施例である。別段の記載がない限り、代替的に包含される要素の列挙を含む実施例は、代替的に包含される要素の一部またはすべてのさまざまな組合せを含む他の実施例を排除しない。代替的に包含される要素の列挙を使用して記載される実施例は、列挙された要素の少なくとも一つの要素を含む。しかしながら、代替的に包含される要素の列挙を使用して記載される実施例は、列挙された要素のすべてを含む別の実施例を排除しない。そして、代替的に包含される要素の列挙を使用して記載される実施例は、列挙された要素の一部の組合せを含む別の実施例を排除しない。本明細書で列挙に関して使用される「および/または」は、単独または任意の組合せを含めた要素の列挙を形成する。例えば、A、B、C、および/またはDを含むとして記載される実施例は、A単独;AおよびB;A、BおよびC;A、B、C、およびDなどを含みうる。「および/または」列挙の範囲は、列挙に対する組合せおよび順列の完全なセットによって定義される。
【0064】
特定の要素の倍数が図に示されていて、その要素が図全体を通して重複していることが明らかな場合、図中にその要素の複数の事例が存在していても、その要素に対して一つの標識のみが提供されてもよい。よって、同一または類似の構造および/または機能を有する要素の図中の他の事例は、重複して標識されていない場合がある。当業者であれば、本明細書の開示に基づいて、同じ図の余分な、および/または重複した要素を認識するであろう。これにもかかわらず、図示した実施例の構造を明確にするのに有用な場合には、重複標識が含められてもよい。
【0065】
出願人は、新規かつ非自明と考えられる、開示された実施例の組合せおよび部分的組合せを対象とする特許請求の範囲を提出する権利を留保する。特徴、機能、要素、および/または特性の他の組合せおよび部分的組合せで具体化された実施例は、これらの特許請求の範囲の修正、または本出願もしくは関連する出願における新しい特許請求の範囲の提示を通して請求されうる。こうした修正されたまたは新しい特許請求の範囲は、それらが同じ実施例または異なる実施例を対象としているかどうか、およびそれらが元の特許請求の範囲とは異なる、より広い、より狭い、または等しいかどうかに関わらず、本明細書に記載される実施例の主題内と見なされるべきである。

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【国際調査報告】