(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-11-02
(54)【発明の名称】遠隔解除、冗長拘束ラッチ
(51)【国際特許分類】
B60R 22/02 20060101AFI20231026BHJP
A63G 31/02 20060101ALI20231026BHJP
A63G 31/16 20060101ALI20231026BHJP
【FI】
B60R22/02
A63G31/02
A63G31/16
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023521059
(86)(22)【出願日】2021-09-28
(85)【翻訳文提出日】2023-04-05
(86)【国際出願番号】 US2021052404
(87)【国際公開番号】W WO2022076203
(87)【国際公開日】2022-04-14
(32)【優先日】2020-10-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2020-11-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2021-02-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】511077292
【氏名又は名称】ユニバーサル シティ スタジオズ リミテッド ライアビリティ カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【識別番号】100109335
【氏名又は名称】上杉 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120525
【氏名又は名称】近藤 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100139712
【氏名又は名称】那須 威夫
(74)【代理人】
【識別番号】100141553
【氏名又は名称】鈴木 信彦
(74)【代理人】
【識別番号】100228337
【氏名又は名称】大橋 綾
(72)【発明者】
【氏名】シモネリ ジェームズ ケイ
(72)【発明者】
【氏名】ウィルソン ジョン ディー
(57)【要約】
本開示の実施形態は、遊園地乗り物の乗り物車両の内部に乗客を固定するためのシステム及び方法を含む。例えば、開示されたシステム及び方法は、遠隔で作動及び作動解除されるロック機構を含む拘束システム(例えば、ラップベルト、ハーネス、拘束バー(例えば、ラップバー、ショルダーバー)、及び同種のもの)を含む。遠隔解除ロック機構は、冗長ラッチ(例えば、一次ラッチ及び少なくとも1つの二次冗長ラッチ)を含み、比較的小さな量のスペースに収容された比較的少量の構成要素を包含する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
拘束システムであって、
乗り物座席に対して乗客を固定するように構成された拘束機構であって、第1のコネクタを備える拘束機構と、
第1のプライマリラッチと少なくとも1つの第2の冗長ラッチとを含む複数のラッチを含む遠隔解除ロック機構と、
を備え、
前記複数のラッチは、前記遠隔解除ロック機構の第2のコネクタに対して前記拘束機構の前記第1のコネクタをロック及びロック解除するために個別に遠隔作動されるように構成される、拘束システム。
【請求項2】
前記遠隔解除ロック機構は、複数のトグルボルトと複数のソレノイドとを備え、前記複数のトグルボルトの各トグルボルトは、前記複数のラッチのそれぞれのラッチを備え、前記複数のソレノイドの各ソレノイドは、それぞれのトグルボルトに対して力を加えるように個別に遠隔作動されるように構成される、
請求項1に記載の拘束装置。
【請求項3】
前記複数のトグルボルトの各トグルボルトは、前記複数のソレノイドのそれぞれのソレノイドによって加えられた力に応じて枢動し、前記複数のラッチのそれぞれのラッチを前記拘束機構の前記第1のコネクタを通る開口部に出入りさせて、前記拘束機構の前記第1のコネクタを前記遠隔解除ロック機構の前記第2のコネクタに対してロック及びロック解除するように構成される、請求項2に記載の拘束装置。
【請求項4】
前記複数のラッチを個別に遠隔作動させるために、前記遠隔解除ロック機構に制御信号を送るように構成された携帯型デバイスを備える、請求項1に記載の拘束装置。
【請求項5】
前記複数のラッチを個別に遠隔作動させるために、前記遠隔解除ロック機構に制御信号を送るように構成された制御システムを備える、請求項1に記載の拘束システム。
【請求項6】
前記乗り物座席に関連する1又は2以上のセンサを備え、前記1又は2以上のセンサは、前記乗り物座席内の前記乗客の存在を検出するように構成され、前記制御システムは、前記乗り物座席内の前記乗客の存在の検出に応答して、前記複数のラッチを個別に遠隔作動させるために前記遠隔解除ロック機構に制御信号を送るように構成される、請求項5に記載の拘束システム。
【請求項7】
前記遠隔解除ロック機構は、前記複数のラッチのうちの1又は2以上のラッチのラッチ状態を検出し、前記複数のラッチのうちの前記1又は2以上のラッチの検出されたラッチ状態を示す信号を前記制御システムに送るように構成された1又は2以上のセンサを備える、請求項5に記載の拘束システム。
【請求項8】
前記遠隔解除ロック機構は、前記拘束機構の前記第1のコネクタを前記遠隔解除ロック機構の前記第2のコネクタから押し出すように構成されたエジェクタ機構を備える、請求項1に記載の拘束システム。
【請求項9】
前記拘束機構は、ラップベルト、ハーネス、拘束バー、又はこれらの組み合わせを備える、請求項1に記載の拘束装置。
【請求項10】
遊園地乗り物であって、
各々が1又は2以上の乗り物座席を含む1又は2以上の乗り物を備え、
前記各乗り物座席が、
前記乗り物座席に対して乗客を固定するように構成され、第1のコネクタを備える拘束機構と、
第1のプライマリラッチ及び少なくとも1つの第2の冗長ラッチを含む複数のラッチを備える遠隔解除ロック機構と、
を備え、
前記複数のラッチは、前記遠隔解除ロック機構の第2のコネクタに対して前記拘束機構の前記第1のコネクタをロック及びロック解除するように個別に遠隔作動されるように構成される、遊園地乗り物。
【請求項11】
各遠隔解除ロック機構は、複数のトグルボルトと複数のソレノイドとを備え、前記複数のトグルボルトの各トグルボルトは、前記複数のラッチのそれぞれのラッチを備え、前記複数のソレノイドの各ソレノイドは、それぞれのトグルボルトに対して力を加えるために個別に遠隔作動するように構成されている、請求項10に記載の遊園地乗り物。
【請求項12】
前記複数のトグルボルトの各トグルボルトは、前記複数のソレノイドのそれぞれのソレノイドによって加えられた前記力に応答して枢動し、前記複数のラッチのそれぞれのラッチを前記拘束機構の前記第1のコネクタを通る開口部に出入りさせて、前記拘束機構の前記第1のコネクタを前記遠隔解除ロック機構の前記第2のコネクタに対してロック及びロック解除するように構成される、請求項11に記載の遊園地乗り物。
【請求項13】
前記複数のラッチを個別に遠隔作動させるために、前記遠隔解除ロック機構に制御信号を送るように構成された携帯型デバイスを備える、請求項10に記載の遊園地乗り物。
【請求項14】
前記複数のラッチを個別に遠隔作動させるために、前記遠隔解除ロック機構に制御信号を送るように構成された制御システムを備える、請求項10に記載の遊園地乗り物。
【請求項15】
前記1又は2以上の乗り物座席の各乗り物座席に関連する1又は2以上のセンサを備え、前記1又は2以上のセンサは、前記乗り物座席内の前記乗客の存在を検出するように構成され、前記制御システムは、前記乗り物座席内の前記乗客の存在の検出に応答して、前記複数のラッチを個別に遠隔作動させるために前記遠隔解除ロック機構に制御信号を送るように構成される、請求項14に記載の遊園地乗り物。
【請求項16】
前記遠隔解除ロック機構は、前記複数のラッチのうちの1又は2以上のラッチのラッチ状態を検出し、前記複数のラッチのうちの前記1又は2以上のラッチの前記検出されたラッチ状態を示す信号を前記制御システムに送るように構成された1又は2以上のセンサを備える、請求項14に記載の遊園地乗り物。
【請求項17】
前記遠隔解除ロック機構は、前記拘束機構の前記第1のコネクタを前記遠隔解除ロック機構の前記第2のコネクタから押し出すように構成されたエジェクタ機構を備える、請求項10に記載の遊園地乗り物。
【請求項18】
前記拘束機構は、ラップベルト、ハーネス、拘束バー、又はこれらの組み合わせを備える、請求項10に記載の遊園地乗り物。
【請求項19】
遠隔解除ロック機構であって、
第1のコネクタと、
第1のプライマリラッチ及び少なくとも1つの第2の冗長ラッチを含む複数のラッチであって、前記複数のラッチは、前記第1のコネクタに対して拘束機構の第2のコネクタをロック及びロック解除するために個別に遠隔作動されるように構成される、複数のラッチと、
を備える、遠隔解除ロック機構。
【請求項20】
複数のトグルボルトであって、前記複数のトグルボルトの各トグルボルトが、前記複数のラッチのそれぞれのラッチを備える、複数のトグルボルトと、
複数のソレノイドであって、前記複数のソレノイドの各ソレノイドが、前記複数のトグルボルトのそれぞれのトグルボルトに対して力を加えるように個別に遠隔作動されるように構成される、複数のソレノイドと、
を備える、請求項19に記載の遠隔解除ロック機構。
【請求項21】
前記複数のトグルボルトのそれぞれのトグルボルトは、前記それぞれのソレノイドによって加えられる前記力に応答して枢動し、前記複数のラッチのそれぞれのラッチを前記拘束機構の前記第2のコネクタを通る開口部の内外に移動させて、前記拘束機構の前記第2のコネクタを前記第1のコネクタに対してロック及びロック解除するように構成される、請求項20に記載の遠隔解除ロック機構。
【請求項22】
前記拘束機構の前記第2コネクタを前記第1コネクタから押し出すように構成されたエジェクタ機構を備える、請求項19に記載の遠隔解除ロック機構。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願に対する相互参照)
本出願は、2020年10月5日に出願された「REMOTE RELEASE,REDUNDANT RESTRAINT LATCH」と題する米国仮出願シリアル第63/087,513号、及び2020年11月2日に出願された「REMOTE RELEASE,REDUNDANT RESTRAINT LATCH」と題する米国仮出願シリアル第63/108,725号に対する優先権を主張し、これら両仮出願は、あらゆる目的で引用により全体が本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
本開示は、一般に、遊園地の分野に関する。より具体的には、本開示の実施形態は、遊園地乗り物の乗り物車両内の来園客を固定するためのシステム及び方法に関する。
【0003】
本セクションは、以下に説明される本開示の様々な態様に関連する可能性がある技術の様々な態様を読み手に紹介することを意図している。ここでの議論は、本開示の様々な態様のより良い理解を容易にする背景情報を読み手に提供するのに役立つと考えられる。従って、これらの記載は、先行技術の自認ではなく、この観点に照らして読まれるべきであることを理解されたい。
【0004】
ユニークな動きと視覚体験を乗客に提供するために、様々な遊園地乗り物が作られてきた。例えば、遊園地乗り物は、経路に沿って移動するか又はモーションベースを利用する単一乗客又は複数乗客の車両を用いて実施することができる。多くの場合、興奮は、車両が乗り物経路に沿って移動するとき、又はモーションルーチンに従うときの車両の速度又は方向の変化によって生成される。例えば、乗り物経路は、限定ではないが、トンネル、転回、アップ、ダウン、ループなどのような複数の特徴を含むことができる。乗客が動作中の乗り物の内部にいる間、乗客は、乗り物が動作している間は力を受ける可能性がある。従って、遊園地乗り物に持続時間の間、乗り物車両内の乗客を拘束し固定することが望ましいとすることができる。更に、例えば、潜在的に危険な領域(例えば、遊園地の来園客がいることを意図していない領域)で乗客が乗り物車両から出ることを防止することによって、乗客が怪我しないように乗り物車両からの乗客の退出を防止することも望ましいとすることができる。
【発明の概要】
【0005】
本明細書で開示される特定の実施形態の概要を以下に記載する。これらの態様は、単に読み手にこれらの特定の実施形態の概要を提供するために提示されており、これらの態様は、本開示の範囲を限定することを意図するものではないことを理解されたい。実際、本開示は、以下に記載されない場合のある様々な態様を包含することができる。
【0006】
特定の実施形態では、拘束システムは、乗り物座席に対して乗客を固定するように構成された拘束機構を含む。拘束機構は、第1のコネクタを含む。拘束システムはまた、第1の一次ラッチ及び少なくとも1つの第2の冗長ラッチを含む複数のラッチを有する遠隔解除ロック機構を含み、複数のラッチは、遠隔解除ロック機構の第2のコネクタに対して拘束機構の第1のコネクタをロック及びロック解除するために個別に遠隔作動されるように構成される。
【0007】
更に、特定の実施形態では、遊園地乗り物は、1又は2以上の乗り物車両を含む。各乗り物車両は、1又は2以上の乗り物座席を含む。各乗り物座席は、乗り物座席に対して乗客を固定するように構成された拘束機構を含む。拘束機構は、第1のコネクタを含む。各乗り物シートはまた、第1の一次ラッチ及び少なくとも1つの第2の冗長ラッチを含む複数のラッチを有する遠隔解除ロック機構を含み、複数のラッチは、遠隔解除ロック機構の第2のコネクタに対して拘束機構の第1のコネクタをロック及びロック解除するために個別に遠隔作動されるように構成される。
【0008】
更に、特定の実施形態において、遠隔解除ロック機構は、第1のコネクタと第1の一次ラッチ及び少なくとも1つの第2の冗長ラッチを含む複数のラッチとを含み、複数のラッチは、第1のコネクタに対する拘束機構の第2のコネクタをロック及びロック解除するために個別に遠隔作動するように構成される。
【0009】
本開示のこれら及び他の特徴、態様、並びに利点は、添付図面を参照して以下の詳細な説明を読むとより良く理解され、これらの図面では、全体にわたって同様の参照符号は同様の要素を表す。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本開示の実施形態による、遊園地乗り物の動作中に乗客を固定するために遠隔解除ロック機構を有する拘束システムを使用する遊園地乗り物を示す図である。
【
図2】本開示の実施形態による、ラップベルトがロック構成にある、
図1の拘束システムを示す図である。
【
図3】本開示の実施形態による、
図1及び
図2の拘束システムの遠隔解除ロック機構の斜視図である。
【
図4】本開示の実施形態による、
図3の遠隔解除ロック機構のラップベルトブラケット組立体の斜視図である。
【
図5】本開示の実施形態による、
図3の遠隔解除ロック機構のラップベルトラッチカバーの斜視図である。
【
図6】本開示の実施形態による、
図3の遠隔解除ロック機構のラップベルトレシーバブロックの斜視図である。
【
図7】本開示の実施形態による、共に組み立てられた
図3の遠隔解除ロック機構のデュアル冗長ラッチ組立体、ラップベルトブラケット組立体、及びラップベルトレシーバブロックの斜視図である。
【
図8】本開示の実施形態による、
図7のデュアル冗長ラッチ組立体の斜視図である。
【
図9】本開示の実施形態による、
図7のデュアル冗長ラッチ組立体の側面図である。
【
図10】本開示の実施形態による、
図7のデュアル冗長ラッチ組立体の上面図である。
【
図11】本開示の実施形態による、
図7のデュアル冗長ラッチ組立体の切断底面図である。
【
図12】本開示の実施形態による、
図7のデュアル冗長ラッチ組立体のトグルボルトの斜視図である。
【
図13】本開示の実施形態による、
図7のデュアル冗長ラッチ組立体のソレノイドのアーマチュアに結合されたトグルボルトの斜視図である。
【
図14】本開示の実施形態による、
図7のデュアル冗長ラッチ組立体のラッチチャネルに挿入することができるラップベルトの雄型コネクタを示す図である。
【
図15】本開示の実施形態による、
図7のデュアル冗長ラッチ組立体の斜視底面図である。
【
図16】本開示の実施形態による、
図7のデュアル冗長ラッチ組立体の取付プレートの斜視図である。
【
図17】本開示の実施形態による、
図7のデュアル冗長ラッチ組立体の切断側面図である。
【
図18A】本開示の実施形態による、ラッチの一方がロック(例えば、ラッチ)位置にあり、ラッチの他方がロック解除(例えば、ラッチ解除)位置にある、
図7のデュアル冗長ラッチ組立体の斜視図である。
【
図18B】本開示の実施形態による、ラッチの一方がロック(例えば、ラッチ)位置にあり、ラッチの他方がロック解除(例えば、ラッチ解除)位置にある、
図7のデュアル冗長ラッチ組立体の側面図である。
【
図19】本開示の実施形態による、
図5のラップベルトラッチカバーの斜視図である。
【
図20】本開示の実施形態による、手動エジェクタツールの使用を示す
図3の遠隔解除ロック機構の切断側面図である。
【
図21】本開示の実施形態による、
図20で使用される手動エジェクタツールの斜視図である。
【
図22】本開示の実施形態による、メンテナンステストツールの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、1又は2以上の特定の実施形態について説明する。これらの実施形態の簡潔な説明を行うために、本明細書では、実際の実施態様の全ての特徴については説明しないことにする。何れかの技術又は設計プロジェクトと同様に、このような何らかの実際の実施構成の開発において、システム及びビジネスに関連した制約への準拠など、実施構成毎に異なる可能性のある開発者の特定の目標を達成するために、多数の実施時固有の決定を行う必要がある点は理解されたい。更に、このような開発の取り組みは、複雑で時間を要する可能性があるが、本開示の利点を有する当業者にとっては、設計、製作、及び製造の日常的な業務である点を理解されたい。
【0012】
本開示の現在の実施形態は、遊園地乗り物の乗り物車両内に乗客を固定するためのシステム及び方法に向けられている。例えば、開示されたシステム及び方法は、遠隔で作動及び作動解除されるロック機構を含む拘束システム(例えば、ラップベルト、ハーネス、拘束バー(例えば、ラップバー、ショルダーバー)、及び同種のもの)を含む。本明細書でより詳細に説明するように、遠隔解除ロック機構は、冗長ラッチ(例えば、一次ラッチ及び少なくとも1つの二次冗長ラッチ)を含み、比較的少量のスペースに収容された比較的少量の製造が容易な構成要素を包含する。遠隔解除ロック機構は、遊園地乗り物の持続時間を通して乗り物車両内に乗客を固定するために、乗車後、遊園地乗り物の始動前にいつでも作動させることができる。遠隔解除ロック機構の冗長ラッチは、乗り物の作動中に乗客が遠隔解除ロック機構を早期にロック解除できないように、乗客がアクセスできないようにすることができる。遊園地乗り物が終了すると、遠隔解除ロック機構は、例えば、降車ステーションでのロック解除ポイントで作動解除され、乗り物車両から乗客を解放することができる。
【0013】
図1は、遠隔解除ロック機構14を有する拘束システム12を使用して、遊園地乗り物10の作動中に乗客16を固定する遊園地乗り物10を示す。図示の実施形態では、遊園地乗り物10は、遊園地乗り物10の乗り物経路を定める軌道20に沿って走行する乗り物車両18を含む。乗り物車両18は、乗り物車両18内に乗客16を支持する乗り物座席22と、遊園地乗り物10の動作中に乗り物座席22内に乗客16を固定する拘束システム12とを含む。
【0014】
本明細書でより詳細に説明するように、拘束システム12は、遠隔で(例えば、無線周波数又は何れかの他の適切な電磁信号を介して)作動することができる冗長ラッチ(例えば、一次ラッチ及び少なくとも1つの二次冗長ラッチ)を有する遠隔解除ロック機構14を含む。例えば、遠隔解除ロック機構14は、乗車/降車ステーション24で作動させて、遠隔解除ロック機構14をロック又はロック解除し、乗客16を乗り物座席22内でそれぞれ固定又は解放することができる。乗車/降車ステーション24は、乗り物車両18内に乗客16を固定するために遠隔解除ロック機構14が(例えば、自動的に、又は乗務員26によって)作動されるロックポイントを含むことができる。特定の実施形態では、乗車/降車ステーション24はまた、制御ポイントを含むことができ、ここで乗務員26は、乗客16が乗り物座席22内に適切に拘束されていることを確認することができる。同様に、乗車/降車ステーション24は、ロック解除ポイントを含むことができ、ここで、遠隔解除ロック機構14が作動解除されて、乗り物車両18から乗客16をロック解除して解放する。
【0015】
本明細書で使用される場合、用語「乗車ステーション」は、乗客16が遊園地乗り物10の乗り物車両18に乗り込む領域を表すことを意図している。本明細書で使用される場合、用語「降車ステーション」とは、乗客16が乗り物車両18から出る領域を表すことを意図している。特定の実施形態では、乗車/降車ステーション24は、遊園地乗り物10の異なる領域に配置される。他の実施形態では、乗車/降車ステーション24は、遊園地乗り物10の同じ領域に配置される。本明細書で使用される場合、用語「制御ポイント」とは、乗客16が乗り物車両18内に適切に固定されているという検証が行われる場所を表すことを意図している。本明細書で使用される場合、用語「ロックポイント」とは、拘束システム12の遠隔解除ロック機構14がロックされ、ロック解除ができないポイントを表すことを意図している。「ロックポイント」は、場所(例えば、遠隔解除ロック機構14が特定の物理的な場所を越えてロックされる)、時間ポイント(例えば、遠隔解除ロック機構14が特定の時間の後にロックされる)、又はイベントポイント(例えば、遠隔解除ロック機構14が車両移動の始動などの特定のイベントの前にロックされる)を指すことができる。本明細書で使用される場合、用語「ロック解除ポイント」とは、拘束システム12の遠隔解除ロック機構14がロック解除される点を表すことを意図している。
【0016】
本明細書でより詳細に説明するように、拘束システム12の遠隔解除ロック機構14は、制御ポイントを通過する前に、ロックポイントで作動させることができる。特定の実施形態では、ロックポイントは、乗車/降車ステーション24に配置されたゲート28を含むことができる。特定の実施形態では、ゲート28は、ワイヤレス信号32を拘束システム12に送信する送信機30を含むことができる。ワイヤレス信号32は、本明細書でより詳細に説明するように、遠隔解除ロック機構14をロック又はロック解除するように構成される。図示の実施形態では、ゲート28は、軌道20の上に配置される。しかしながら、ゲート28は、拘束システム12と送信機30との間の無線通信を可能にする遊園地乗り物10内の他の何れかの適切な位置に配置することができる。他の実施形態では、乗務員26は、携帯型デバイス34を使用してワイヤレス信号32を遠隔解除ロック機構14に送信し、これにより遠隔解除ロック機構14をロックし、乗客16を乗り物車両18内に固定することができる。
【0017】
本明細書でより詳細に説明するように、遠隔解除ロック機構14は、遊園地乗り物10の完了後に送信されるロック非作動信号を受信しなければ、ロックを解除することができない。例えば、ゲート28又は携帯型デバイス34は、遊園地乗り物10の完了後に、乗車/降車ステーション24にてワイヤレス信号32を送信して、遠隔解除ロック機構14を作動解除し、乗り物車両18から乗客16を解放する。特定の実施形態では、携帯型デバイス34を用いて、例えば、ロックポイントを通過した後で且つ遊園地乗り物10の始動前に、乗客16が乗り物車両18から降車する必要がある場合に、ゲート28からの作動信号を無効にすることができる。
【0018】
図示の実施形態では、拘束システム12は、乗り物車両18の乗客16の周囲に少なくとも部分的に配置され、乗り物車両18内(例えば、乗り物車両18の乗り物座席22に対して)に乗客16を固定するために、本明細書に記載された遠隔解除ロック機構14によってロック/ロック解除されるように構成されたラップベルト36を含む。しかしながら、他の実施形態では、拘束システム12は、5点ハーネス、拘束バー、又は乗り物車両18の乗客16の周囲に少なくとも部分的に配置され、乗り物車両18内に乗客16を固定するために(例えば、乗り物車両18の乗り物座席22に関して)本明細書に記載の遠隔解除ロック機構14によってロック/ロックされるよう構成された他の何れかの適切な拘束機構を含むことができる。
【0019】
図2は、ラップベルト36がロック構成にある
図1の拘束システム12を示す。ラップベルト36が乗客16の腰の周囲に適切に配置されると、乗客16は、ラップベルト36の雄型コネクタ38を遠隔解除ロック機構14のそれぞれの雌型コネクタ40に挿入して、ラップベルト36を遠隔解除ロック機構14に取り外し可能に結合することができる。ラップベルト36の遠隔解除ロック機構14への結合(例えば、コネクタ38、40を介した)に続いて、遠隔解除ロック機構14を作動させて、乗客16を乗り物車両18内に固定することができる。
【0020】
本明細書でより詳細に説明するように、遠隔解除ロック機構14は、遠隔解除ロック機構14をロック及びロック解除するように機能するデュアル冗長ラッチ(例えば、一次ラッチ及び二次冗長ラッチ)を含む。例えば、
図2に示されるように、遠隔解除ロック機構14は、遊園地乗り物10の始動前(例えば、軌道20に沿った乗り物車両18の移動前)に、制御システム44から作動信号42を受け取ることができる。制御システム44は、遊園地乗り物10の主制御システムの一部とすることができ、又は、例えばゲート28に統合された別個の制御システムであってもよい。特定の実施形態では、制御システム44は、乗客16が乗り物座席22を占有していることを検出し、これに応答して、作動信号42を遠隔解除ロック機構14に送信することができる。例えば、制御システム44が、乗客16が乗り物座席22を占有していることを識別すると、制御システム44は、乗り物車両18が乗車ステーション24のロックポイントに近づいた時点で、作動信号42を送信することができる。他の実施形態では、乗務員26は、携帯型デバイス34を使用して遠隔解除ロック機構14を作動することができる。
【0021】
制御システム44は、1又は2以上の処理デバイスを含むことができる少なくとも1つのプロセッサ46と、少なくとも1つのプロセッサ46によって実行可能な命令を格納する少なくとも1つのメモリ48と、を含むことができる。少なくとも1つのメモリ48は、1又は2以上の有形の非一時的な機械可読媒体を含むことができる。一例として、このような機械可読媒体は、RAM、ROM、EPROM、EEPROM、光ディスクストレージ、磁気ディスクストレージ又は他の磁気記憶装置、又は機械実行可能命令又はデータ構造の形態で所望のプログラムコードを格納するのに使用でき、また少なくとも1つのプロセッサ46又は何れかの汎用又は専用のコンピュータ又はプロセッサを有する他の機械によってアクセスできる他の何れかの媒体を含むことができる。制御システム44はまた、本明細書でより詳細に説明するように、遠隔解除ロック機構14をロック/ロック解除する目的で、遊園地乗り物10の他の構成要素(例えば、遠隔解除ロック機構14、ゲート28、携帯型デバイス34など)との通信を容易にするための通信回路50及び/又は入力及び出力回路を含むことができる。更に、制御システム44は、直接又はワイヤレスで、作動時には1又は2以上の乗り物特徴を制御するのに用いられる入力を提供するために、乗り物技術者によって使用できるオペレータ入力装置又はオペレータインタフェース52に結合することができる。オペレータインタフェース52、又は遊園地乗り物10の他の構成要素は、特定の実施形態では、制御システム44から遠隔に配置されてもよく、例えば、モバイルデバイス上で実装することができる。
【0022】
制御システム44の通信回路50は、作動信号42を遠隔解除ロック機構14に送信することができる。本明細書でより詳細に説明するように、作動信号42を受信すると、遠隔解除ロック機構14のデュアル冗長ラッチ(例えば、一次ラッチ及び二次冗長ラッチ)が制御システム44によって作動され、これにより、それぞれの雄型コネクタ38のそれぞれの雌型コネクタ40から出る移動を固定及び阻止することができる。雄型コネクタ38の移動を阻止することによって、乗客16は、乗り物車両18が動いている間、遠隔解除ロック機構14を早期に解除することをできないようにすることができる。
【0023】
特定の実施形態では、乗り物座席22は、各乗り物座席22の拘束システム12が拘束構成にあるか非拘束構成にあるかを決定するセンサ54を含むことができる。例えば、拘束システム12が非拘束構成にあるとき、センサ54は、拘束システム12が非拘束構成にあることを示す信号を制御システム44に送信することができる。制御システム44は、拘束システム12が拘束構成になるまで、ロックポイント及び又は制御ポイントからの乗り物車両18の解放を阻止することができる。このため、乗務員26は、乗り物座席22が空いていることを確認し、雄型コネクタ38を雌型コネクタ40に手動で結合して、携帯型デバイス34を使用して遠隔解除ロック機構14を作動させることが必要とすることができる。その後、制御システム44は、乗り物車両18内の全ての拘束システム12が固定されていると決定し、乗り物車両18を解放することができる。図示の実施形態では、センサ54は、乗り物座席22のバックレスト上に配置される。しかしながら、センサ54は、拘束システム12及び/又は制御システム44との通信を容易にする乗り物座席22又は乗り物車両18上の他の何れかの場所に配置してもよい。
【0024】
他の実施形態では、センサ54は、非占有乗り物座席22を示す信号を送信することができる。センサ54からの信号を検出すると、制御システム44は、乗り物座席22が占有されていないと決定し、拘束システム12が非拘束構成にある非占有乗り物座席22に対応して、制御ポイントからの乗り物車両18の解放を許可することができる。例えば、特定の実施形態では、センサ54は、乗り物座席22に配置された再帰反射性マーカから信号を受信することができる。再帰反射性マーカは、センサ54によって検出される光を反射することができる。センサ54によって検出された反射光の強度又は反射光の減衰度に基づいて、制御システム44は、乗り物座席22が占有されているか否かを決定することができる。例えば、乗客16が乗り物座席22内に配置されている場合、乗客16は、再帰反射マーカの少なくとも一部を遮ることができる。このため、再帰反射マーカによって反射される光は減衰することができる。しかしながら、乗り物座席22が占有されていない場合、再帰反射マーカは遮られず、再帰反射マーカによって反射される光の強度は、乗り物座席22が占有されているときに反射される光の強度よりも大きくなるであろう。従って、制御システム44は、乗り物座席22が占有されていないと決定することができる。
【0025】
他の実施形態では、センサ54は、乗り物座席22に配置された圧力センサとすることができる。例えば、センサ54は、乗り物座席22のバックレスト又はシートクッション上に配置することができる。圧力センサは、乗り物座席22に作用された圧力を示す信号を制御システム44に送信することができる。圧力信号が所定の値(例えば、1平方インチ当たり約5ポンド未満)未満である場合、制御システム44は、乗り物座席22が占有されていないと決定することができる。このように、制御システム44は、拘束システム12が非拘束構成で占有されていない乗り物座席22に対応する状態で、制御ポイントから乗り物車両18を解放することができる。
【0026】
更に、特定の実施形態では、遠隔解除ロック機構14は、遠隔解除ロック機構14のラッチの1又は2以上がラッチ(例えば、ロック)位置又はラッチ解除(例えば、解放)位置にあるかどうかを検出する(例えば、ラッチ状態を検出する)ように構成された1又は2以上の内部センサ55(例えば、遠隔解除ロック機構14のラップベルトラッチカバー60内に含まれる)を含むことができる。例えば、特定の実施形態では、内部センサ55は、物理的及び/又は電気的接触センサ、光学センサ、又は他の位置検出センサを含むことができ、これらは、遠隔解除ロック機構14のラッチがラッチ(例えば、ロック)位置又はラッチ解除(例えば、解放)位置にあるかどうかを検出する(例えば、ラッチ状態を検出する)、及び制御システム44が、例えば本明細書でより詳細に説明されるように、遠隔解除ロック機構14に作動及び/又は非作動信号を送信することによってこの情報に作用できるように、ラッチ状態に関する1又は2以上の信号を制御システム44に送信するように構成することができる。
【0027】
遊園地乗り物10の完了後、拘束システム12はロック解除することができる。例えば、遊園地乗り物10が完了し、乗り物車両18が降車ステーション24で完全に停止すると、制御システム44は、非作動信号42を遠隔解除ロック機構14に送信することができる。本明細書でより詳細に説明するように、制御システム44から非作動信号42を受信すると、遠隔解除ロック機構14のデュアル冗長ラッチ(例えば、一次ラッチ及び二次冗長ラッチ)が解放され、これにより、それぞれの雄型コネクタ38のそれぞれの雌型コネクタ40から外への移動を可能にすることができる。雄型コネクタ38の移動を可能にすることによって、乗客16は、乗り物車両18から出ることを可能にすることができる。
【0028】
特定の実施形態では、乗務員26は、携帯型デバイス34を使用して、拘束システム12の遠隔解除ロック機構14を作動解除することができる。ワイヤレス信号を介して拘束システム12の遠隔解除ロック機構14を作動解除することにより、遠隔解除ロック機構14の早期のロック解除を回避することができる。更に、動力制御式拘束システムを作動させるのに使用される動力源は、乗り物車両18に統合されることを必要としなくてもよい。従って、動力源を含まない既存の遊園地乗り物は、拘束システム12を後付けすることができ、これにより、遊園地乗り物10に動力源を実装することに関連するコストを低減し、遊園地乗り物10の持続時間中、乗り物座席22内に乗客16をより良好に固定し保持するように拘束システム12を改善することができる。
【0029】
従って、拘束システム12の遠隔解除ロック機構14は、制御システム44によって遠隔作動して、遊園地乗り物10の乗り物座席22内に乗客16を拘束し、乗り物が完了すると遊園地乗り物10の乗り物座席22から乗客16を解放することができる。特に、本明細書でより詳細に説明するように、拘束システム12の遠隔解除ロック機構14は、例えば、デュアル冗長ラッチの2つのラッチのうちの1つ(例えば、第1の第1のラッチ)が作動しない(及び/又は作動したままになる)場合に、遠隔解除ロック機構14の冗長ラッチを提供するように構成されたデュアル冗長ラッチを含む。本明細書で説明する遠隔解除ロック機構14のデュアル冗長ラッチの二重の性質は、デュアル冗長ラッチの2つのラッチのうちの少なくとも1つ(例えば、第2の冗長ラッチ)が、デュアル冗長ラッチの2つのラッチのうちの他方(例えば、第1のプライマリラッチ)が作動しなくてもラッチ機能を提供し続けることを保証する。本明細書では主に、2つのラッチ(例えば、第1の一次ラッチ及び第2の冗長ラッチ)を有するデュアル冗長ラッチを含むものとして説明するが、他の実施形態では、遠隔解除ロック機構14は、複数のラッチ(例えば、第1の一次ラッチ及び2の冗長ラッチ、第1の一次ラッチ及び3の冗長ラッチ、第1の一次ラッチ及び4の冗長ラッチ等)のうちの任意の数を含むことができることは理解できるだろう。
【0030】
図3は、
図1及び
図2の拘束システム12の遠隔解除ロック機構14の斜視図である。
図3に示されているように、遠隔解除ロック機構14は、本明細書でより詳細に説明するように、デュアル冗長ラッチ組立体64の特定の構成要素を取り付けることができるラップベルトブラケット組立体56(
図4にも図示されている)を含む。
図3にも図示されているように、ラップベルトブラケット組立体56は、遠隔解除ロック機構14を乗り物車両18の別の嵌合装着特徴に装着するように構成された1又は2以上の装着特徴58を含むことができる。加えて、
図3にも図示されているように、遠隔解除ロック機構14は、本明細書でより詳細に説明するように、デュアル冗長ラッチ組立体64の構成要素を囲むラップベルトラッチカバー60(
図5にも図示されている)を含む。更に、
図3にも図示されているように、遠隔解除ロック機構14は、乗り物車両18のラップベルト36の雄型コネクタ38を受けるように構成されたラップベルトレシーバブロック62(
図6にも図示されている)を含む。特に、
図3に示されているように、ラップベルトレシーバブロック62は、ラップベルト36の雄型コネクタ38を挿入することができる雌型コネクタ40(例えば、スロット)を含む。理解されるように、ラップベルト36の雄型コネクタ38は、本明細書でより詳細に説明するように、デュアル冗長ラッチ組立体64によって係合することができる、貫通する開口部を含む舌部として形成することができる。
【0031】
図7~
図11は、拘束システム12の遠隔解除ロック機構14のデュアル冗長ラッチ組立体64の様々な図を示している。特に、
図7は、共に組み立てられた拘束システム12の遠隔解除ロック機構14のデュアル冗長ラッチ組立体64、ラップベルトブラケット組立体56、及びラップベルトレシーバブロック62の斜視図であり、
図8は、デュアル冗長ラッチ組立体64の斜視図、
図9及び10は、デュアル冗長ラッチ組立体64のそれぞれ側面図及び上面図、
図11は、デュアル冗長ラッチ組立体64の切欠底面図である。
図8から
図10に最も明確に示されているように、デュアル冗長ラッチ組立体64は、互いに平行に配置された2つの(例えば、デュアル冗長)ソレノイド66を含み、各ソレノイド66はそれぞれのトグルボルト68に結合される。特に、特定の実施形態では、各ソレノイド66のアーマチュア70は、それぞれのボルト72を介してそれぞれのトグルボルト68に結合される。更に、特定の実施形態では、各アーマチュア70は、本明細書でより詳細に説明するように、それぞれのソレノイド66が通電/非通電されるときにそれぞれのソレノイド66とトグルボルト68との間の力のバランスをとるのを助けるそれぞれのソレノイドバネ74によって半径方向に囲むことができる。
【0032】
本明細書に記載されたトグルボルト68は、少量製造のためにビレットから比較的効率的に機械加工するような形状である。しかしながら、より多くの数量では、トグルボルト68の形状は、インベストメント鋳造、焼結金属、射出成形、ダイカストなどの選択された製造方法における効率的な生産のために変更することができる。
【0033】
特定の実施形態では、ソレノイド66は、直流(DC)作動プル型管状ソレノイドとすることができる。しかしながら、他の実施形態では、プッシュ型管状ソレノイドなどの他のタイプのソレノイドを代わりに使用することができる。何れにしても、それぞれの電流によって通電されると(例えば、本明細書に記載の制御システム44によって提供されるように)、それぞれのソレノイド66のそれぞれのアーマチュア70は、それぞれのソレノイド66の軸76に沿って第1の軸方向位置に移動し、それぞれの電流が取り除かれると(すなわち、それぞれのソレノイド66が非通電にされる)、それぞれのソレノイド66のそれぞれのアーマチュア70は、
図9及び10において矢印78により示されるように、それぞれのソレノイド66の軸76に沿って第2の軸方向(例えば、第1の軸方向と反対方向)の第2の軸方向位置に移動される。
【0034】
図8及び
図9に最も明確に示されているように、特定の実施形態では、トグルボルト68の各々は、概ねL字形であり、それぞれのソレノイド66のアーマチュア70に結合されたL字形トグルボルト68の第1の脚部80とL字形トグルボルト68の第2の脚部82とを備え、第2の脚部82は、第1の脚部80とは反対の第2の脚部82の端部に配置されたラッチ84(例えば、トグル歯)を有する。本明細書でより詳細に説明するように、それぞれのソレノイド66のアーマチュア70のそれぞれのソレノイド66に向かう(例えば、入る)第1の軸方向位置への移動(例えば、それぞれのソレノイド66が通電されるとき)により、それぞれのL字形トグルボルト68の第1の脚部80に第1の軸方向力が加わり、第1の脚部80をそれぞれのソレノイド66に向かって動かし、それぞれのソレノイド66のアーマチュア70の第2の軸方向位置へのそれぞれのソレノイド66から離れる(例えば、出る)移動(例えば、それぞれのソレノイド66が非通電されるとき)により、それぞれのL字形トグルボルト68の第1の脚部80に第2の軸方向の力が加わり、第1の脚部80をそれぞれのソレノイド66から離れて移動させる。
【0035】
図7、
図8、
図11、及び
図15に最も明確に示されているように、各トグルボルト68は、L字形トグルボルト68の第1の脚部80と第2の脚部82とが交わるL字形トグルボルト68のコーナーから枢動延長部86を含む。
図11及び
図15に示されるように、特定の実施形態では、枢動ピン88は、L字形トグルボルト68が枢動ピン88の周りに枢動するように、L字形トグルボルト68の枢動延長部86の各々を通って延びる。このため、それぞれのソレノイド66のアーマチュア70のそれぞれのソレノイド66に向かう(例えば、入る)第1の軸方向位置への移動(例えば、それぞれのソレノイド66が通電されるとき)により、それぞれのL字形トグルボルト68の第1の脚部80に第1の軸方向の力が加わり第1の脚部80をそれぞれのソレノイド66に向かって動かし、これにより、それぞれのL字形トグルボルト68を枢動ピン88の周りに枢動させて、それぞれのL字形トグルボルト68の第2の脚部82が、デュアル冗長ラッチ組立体64の取付プレート90、92、94から離れるように移動し、これにより、
図9において矢印98で示されるように、取付プレート90、92、94(
図8を参照)の間に形成されるラッチチャネル96(例えば、ラッチスロット)の外にそれぞれのラッチ84を移動させるようにする。逆に、それぞれのソレノイド66のアーマチュア70のそれぞれのソレノイド66から離れる(例えば、出る)第2の軸方向位置への移動(例えば、それぞれのソレノイド66が非通電されるとき)により、それぞれのL字形トグルボルト68の第1の脚部80に第2の軸方向の力が加わり、第1の脚部80をそれぞれのソレノイド66から離れるように移動させ、これにより、それぞれのL字形トグルボルト68が枢動ピン88の周りに枢動させて、それぞれのL字形トグルボルト68の第2の脚部82が、デュアル冗長ラッチ組立体64の取付プレート90、92、94に向かって移動し、これにより、
図9に矢印100で示すように、取付プレート90、92、94の間に形成されたラッチチャネル96にそれぞれのラッチ84を移動させるようにする。
【0036】
図12は、
図8のデュアル冗長ラッチ組立体64のトグルボルト68の斜視図である。図示されるように、特定の実施形態では、各トグルボルト68は、トグルボルト68の第1の脚部80から延び、且つそれぞれのソレノイド66のアーマチュア70をトグルボルト68に結合するボルト72を受け入れるように構成されたスロット102を含むことができる(
図13参照)。
図12に示されるように、特定の実施形態では、トグルボルト68のスロット102は、トグルボルト68がそのそれぞれの枢動延長部86の周りに枢動するときに半径変化を収容するような形状にすることができる。
図12にも示されているように、特定の実施形態では、各トグルボルト68は、トグルボルト68の第2の脚部82から延び、例えば、第1の取付プレート90(
図9参照)に当接することによってそれぞれのラッチ84が取付プレート90、92、94に向かってどれだけ移動するかを制御するのに使用されるストップ104(例えば、拡張部)を含むことができる。
図12にも示されているように、特定の実施形態では、各トグルボルト68は、本明細書でより詳細に説明するように、ラッチ84を解放するために手動で係合することができる、手動解除突出部106を含むことができる。
【0037】
更に、
図11及び
図17に最も明確に示されているように、特定の実施形態では、遠隔解除ロック機構14は、例えば、取付プレート90、92、94の間に形成されたラッチチャネル96内に配置されたエジェクタ108及びエジェクタバネ110を含み、これらは、雄型コネクタ38が遠隔解除ロック機構14のラッチチャネル96内に配置されたときに、ラップベルト36の雄型コネクタ38に対して力を加えるエジェクタ機構として集合的に機能することができる。具体的には、エジェクタ108に対するエジェクタバネ110の力は、ラッチ84がロック位置にある(例えば、雄型コネクタ38を通る開口部112内に配置されている)ときに、ラッチ84のみが雄型コネクタ38をラッチチャネル96内に保持した状態で、雄型コネクタ38をラッチチャネル96の外に押し出すようにする。特定の実施形態では、エジェクタ108は、ラッチ84を雄型コネクタ38を通る開口部112の外に移動させて、雄型コネクタ38を遠隔解除ロック機構14からラッチ解除するように(例えば、乗務員26によって)手動で作動させることができる。
【0038】
図14に示されるように、ラップベルト36の雄型コネクタ38(例えば、舌)が、遠隔解除ロック機構14のラップベルトレシーバブロック62の雌型コネクタ40を通して挿入されると(
図3参照)、雄型コネクタ38はまた、取付プレート90、92、94間に形成されたラッチチャネル96に挿入されて、エジェクタ108を押すことによって、エジェクタバネ110によって与えられるバネ力に抗して作用することができ、ラッチ84の両方が、雄型コネクタ38を通る開口部112に係合(例えば、そこに挿入)又は解除(例えば、そこから取り外し)され、本明細書でより詳細に説明されるように、遠隔解除ロック機構14内で雄型コネクタ38をラッチ又はラッチ解除することができる。特に、エジェクタ108が特定の距離だけ押し下げられると、ラッチ84(これらは、両方ともそれぞれのソレノイドバネ74によってバネ付勢され、その両方がエジェクタ108に対して静止状態にある)は、雄型コネクタ38を貫通する開口部112を通って落下することが可能にされる。ラッチ84が雄型コネクタ38を貫通する開口部112内に配置されることにより、雄型コネクタ38が遠隔解除ロック機構14に対して所定の位置に保持され、そうでなければ雄型コネクタ38をラッチチャネル96の外に押し出す傾向にあるはずのエジェクタ108に対するエジェクタバネ110によって生じる力に抗して作用する。
【0039】
図16は、デュアル冗長ラッチ組立体64の取付プレート90、92、94の斜視図であり、取付プレート90、92、94が、エジェクタ108及びエジェクタバネ110(並びに、トグルボルト68及び関連の枢動ピン88の枢動延長部86)の機能をどのように促進しているかを少なくとも部分的に示している。特に、特定の実施形態では、第1及び第3の取付プレート90、94(例えば、外側取付プレート)は各々、T字形スロット114を含むことができ、これは、本明細書でより詳細に説明するように、エジェクタバネ110が少なくとも部分的に配置され且つそこをエジェクタバネ110が移動することができる主スロット部分116と、ラッチ84がロック位置にあるときにその内部にラッチ84を配置することができる2次スロット部分118とを含む。加えて、特定の実施形態では、第2の取付プレート92(例えば、内側取付プレート)は、エジェクタ108及びエジェクタバネ110の両方を配置することができる開放部分120(例えば、ラッチチャネル96を形成するもの)を含むことができる。
図16に示されるように、特定の実施形態では、エジェクタ108は、エジェクタ108が第2の取付プレート92の開放部分120によって形成されたラッチチャネル96内の所定の位置に留まることを確実にするために、第2の取付プレート92の嵌合する第2の面124に当接するように構成された第1の面122を含むことができる。加えて、特定の実施形態では、第2の取付プレート92から延びる延長部126(例えば、突出部)は、第2の取付プレート92の開放部分120によって形成されたラッチチャネル96内でエジェクタバネ110の位置合わせを助けるのに使用することができる。加えて、特定の実施形態では、第2及び第3の取付プレート92、94は各々、トグルボルト68の枢動延長部86及び関連する枢動ピン88を所定の位置に保持するように構成された開口部128を含むことができるが、第1の取付プレート90は、トグルボルト68の枢動延長部86のみを所定の位置に保持するように構成された1対の開口部130を含むことができる。
【0040】
図18A及び
図18Bは、それぞれ、デュアル冗長ラッチ組立体64の斜視図及び側面図であり、ラッチ84の一方(例えば、ラッチ84A)がロック(例えば、ラッチ)位置にあり、これによりラッチ84Aが遠隔解除ロック機構14のラッチチャネル96内の所定の位置に雄型コネクタ38を保持し(例えば、
図14を参照)、ラッチ84の他方(例えば、ラッチ84B)は、ラッチ84Bが雄型コネクタ38を遠隔解除ロック機構14のラッチチャネル96から解放するロック解除(例えば、ラッチ解除)位置にある。本明細書でより詳細に説明するように、ラッチ84は、ラッチ84間の冗長性を提供するために、それぞれのソレノイド66の作動を通じて個別に制御することができる。特に、雄型コネクタ38を遠隔解除ロック機構14のラッチチャネル96内の所定の位置に保持するために、ラッチ84のうちの1つだけが、例えば、
図18A及び18Bに示されているように、ロック(例えば、ラッチ)位置にある必要があり、一方、ラッチ84の両方は、雄型コネクタ38を遠隔解除ロック機構14のラッチチャネル96から解放し、これによりエジェクタ108及びエジェクタバネ110が雄型コネクタ38を遠隔解除ロック機構14のラッチチャネル96から排出することを可能にするために、ロック解除(例えば、ラッチ解除)位置にある必要がある。
【0041】
特定の実施形態では、乗務員26は、手動エジェクタツール132(
図21参照)を、ラップベルトラッチカバー60を通る開口部134(
図19参照)に挿入して、ラッチ84を、雄型コネクタ38を貫通する開口部112から手動で移動させて、雄型コネクタ38を、遠隔解除ロック機構14からラッチ解除することができる。
図20に示されるように、手動エジェクタツール132は、手動エジェクタツール132のフック端部136がトグルボルト68の第1の脚部80の手動解除突出部106と係合するまで、ラップベルトラッチカバー60の開口部134を通して遠隔解除ロック機構14内に挿入することができ、この時点で、矢印138で示されるように、手動エジェクタツール132を遠隔解除ロック機構14の外に引き出すことができ、トグルボルト68及びその関連ラッチ84が、ロック解除(例えば、ラッチ解除)位置に移動し、これにより、本明細書でより詳細に説明されるように、雄型コネクタ38を遠隔解除ロック機構14から解放することができるようになる。特定の実施形態では、手動エジェクタツール132は、本明細書で説明するソレノイド66の手動交換品として実際に使用することができる。言い換えれば、解除ロック機構14は、代わりに、手動冗長ラッチを含むことができる。
【0042】
更に、特定の実施形態では、メンテナンステストツール140を使用して、遠隔解除ロック機構14の独立したトグルボルト68が動作可能であり、ラッチ冗長性を維持していることを確保することができる。
図22は、この機能を手動でテストするのに使用することができるメンテナンステストツール140の斜視図である。メンテナンステストツール140は、ラッチ84が独立して機能していることを確認するための比較的簡単で迅速で安価な手法である。
図22に示されるように、特定の実施形態では、メンテナンステストツール140は、メンテナンステストツール140の第1の軸方向端部144上の第1のフック端部142と、第2の軸方向端部(例えば、第1の軸方向端部144の反対側)上の第2のフック端部146とを含むことができる。しかしながら、第1のフック端部142及び第2のフック端部146は、メンテナンステストツール140の第1の側面150上のメンテナンステストツール140の幅の半部分でのみ軸方向に延びており、一方、メンテナンステストツール140の反対の第2の側面152上の幅の反対の半部分は、そこから軸方向に延びるフック端部を含まない。このため、メンテナンステストツール140の第1の軸方向端部144がラップベルトラッチカバー60を貫通して開口部134に挿入されると、第1のフック端部142は、トグルボルト68の第1の脚部80の手動解除突出部106の一方にのみ係合し、一方、メンテナンステストツール140の第2の軸方向端部148がラップベルトラッチカバー60を貫通して開口部134に挿入されると、第2のフック端部146はトグルボルト68の第1の脚部80の手動解除突出部106の他方のみに係合することは理解できるであろう。
【0043】
個々のトグルボルト68の機能を手動でテストするために、メンテナンステストツール140の軸方向端部144、148の一方は、ラップベルトラッチカバー60を貫通して開口部134に挿入し、トグルボルト68の第1の脚部80の手動解除突出部106の一方に係合させることができ、メンテナンステストツール140がその終端停止部まで引き戻されると、乗務員26はラッチ84の他方がまだラッチされていることを確認することができる。次いで、メンテナンステストツール140の軸方向端部144、148の他方をラップベルトラッチカバー60を貫通する開口部134に挿入して、トグルボルト68の第1の脚部80の手動解除突出部106の他方に係合することによって、このプロセスを繰り返すことができる。
【0044】
本発明の特定の特徴のみを本明細書で例示し説明してきたが、当業者であれば、多くの変更形態及び変形が想起されるであろう。従って、添付の特許請求の範囲は、本開示の真の技術的思想の範囲内にあるこのような修正形態及び変更全てを保護することを意図していることを理解すべきである。
【0045】
本明細書で提示され請求項に記載された手法は、本発明の技術分野を明らかに改善する実際的な性質の実質的な目的及び具体的な実施例に参照及び適用され、このため、抽象的、無形、又は真に理論的でもない。更に、本明細書の終わりに添付した何れかの請求項が「機能」を「実行」する手段」又は「機能」を「実行」するステップ」として指定された1又は2以上の要素を含む場合、このような要素は、米国特許法第112条(f)に従って解釈されるものとする。しかしながら、任意の他の方法で指定された要素を含む何れかの請求項については、このような要素は、米国特許法第112条(f)に従って解釈されないものとする。
【符号の説明】
【0046】
12 拘束システム
14 遠隔解除ロック機構
22 乗り物座席
36 ラップベルト
38 雄型コネクタ
40 雌型コネクタ
42 作動信号
44 制御システム
46 プロセッサ
48 メモリ
50 通信回路
52 オペレータインタフェース
54 センサ
55 内部センサ
【国際調査報告】