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特表2023-546378ねじり材料試験システムの制御用システム及び方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-11-02
(54)【発明の名称】ねじり材料試験システムの制御用システム及び方法
(51)【国際特許分類】
   G01N 3/22 20060101AFI20231026BHJP
   G01N 3/06 20060101ALI20231026BHJP
【FI】
G01N3/22
G01N3/06
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023521660
(86)(22)【出願日】2021-10-07
(85)【翻訳文提出日】2023-06-07
(86)【国際出願番号】 US2021053933
(87)【国際公開番号】W WO2022076661
(87)【国際公開日】2022-04-14
(31)【優先権主張番号】63/090,020
(32)【優先日】2020-10-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】17/487,820
(32)【優先日】2021-09-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.THUNDERBOLT
(71)【出願人】
【識別番号】591203428
【氏名又は名称】イリノイ トゥール ワークス インコーポレイティド
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100153729
【弁理士】
【氏名又は名称】森本 有一
(74)【代理人】
【識別番号】100211177
【弁理士】
【氏名又は名称】赤木 啓二
(72)【発明者】
【氏名】キース ジェイ.トレンブレイ
(72)【発明者】
【氏名】ニコラス エイチ.ブラッドショー
【テーマコード(参考)】
2G061
【Fターム(参考)】
2G061AA01
2G061AA08
2G061AA17
2G061AB01
2G061DA07
2G061EA01
2G061EA02
(57)【要約】
ねじり材料試験動作を実行するモーター等の回転可能アクチュエーターを備えるねじり材料試験システムの方法及びシステムが提供される。ねじり材料試験動作中、仮想インターロックは、アクチュエーターと係合又は係合解除して、アクチュエーターの回転運動を防止又は許容する(例えば、それぞれ、セットアップ状態中又はねじり材料試験動作中)ように構成される。制御回路類は、材料試験プロセスの前、最中、又は後、1つ以上の動作状態に基づいて仮想インターロック及びねじり試験システムを制御するために利用される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
材料試験システムにおいて、
該材料試験システムのオペレーターアクセス可能ねじり試験構成要素を制御する回転可能なアクチュエーターと、
前記アクチュエーターと係合又は係合解除して前記アクチュエーターの回転運動を防止又は許容する仮想インターロックと、
制御回路類であって、
材料試験プロセスを実行するように前記アクチュエーターを制御することと、
該材料試験システムの動作と関連する複数の入力を監視することと、
前記複数の入力及び前記材料試験プロセスに基づいて複数の所定の動作状態から該材料試験システムの動作状態を識別することであって、前記複数の所定の動作状態は、無効状態、セットアップ状態、注意状態、又は試験状態のうちの1つ以上を含むことと、
前記識別された状態に基づいて前記仮想インターロックを制御することとを行う制御回路類とを具備する材料試験システム。
【請求項2】
前記仮想インターロックは、電力信号又は制御信号のうちの1つ以上によって前記アクチュエーターの回転運動が始動することを防止する請求項1に記載の材料試験システム。
【請求項3】
前記制御回路類は、非回転試験プロセスの起動を識別し、これに応答して、前記ブレーキに係合して、前記アクチュエーターの回転運動をロックするように更に構成される請求項1に記載の材料試験システム。
【請求項4】
前記非回転試験プロセスは軸方向試験プロセスを含む請求項3に記載の材料試験システム。
【請求項5】
前記非回転試験は、無効状態、セットアップ状態、注意状態、又は試験状態のうちの1つ以上を含む複数の所定の動作状態のもとで動作する請求項3に記載の材料試験システム。
【請求項6】
前記非回転試験プロセスの前記動作状態は、前記ねじりシステムの前記動作状態よりも優先度が高い請求項5に記載の材料試験システム。
【請求項7】
前記非回転試験プロセスが前記セットアップ状態にて動作しているとき、前記制御回路類は、前記ねじりシステムの電動回転運動を防止するために係合するように前記仮想インターロックを制御する請求項5に記載の材料試験システム。
【請求項8】
前記制御回路類は、1つ以上のセンサーからの信号に応答して、係合又は係合解除するように前記仮想インターロックを制御するように更に構成される請求項1に記載の材料試験システム。
【請求項9】
前記仮想インターロックの係合は、制限モードに対応し、前記無効状態、前記注意状態、及び前記セットアップ状態は、前記アクチュエーターの動作を防止する前記制限モードに対応する請求項1に記載の材料試験システム。
【請求項10】
前記制限モードは、前記制御回路類がオペレーター入力に応答して前記アクチュエーターを制御しない状態での、前記アクチュエーターに対する制限の適用に対応する請求項9に記載の材料試験システム。
【請求項11】
前記試験状態は、前記アクチュエーターの動作を許容する非制限モードに対応し、前記試験状態は、ねじり材料試験プロセス又はジョグ又は復帰を実行するように前記アクチュエーターを制御しながらの、前記アクチュエーター動作に対する制限の低減に対応する請求項9に記載の材料試験システム。
【請求項12】
前記制限は、前記アクチュエーターの回転速度の限定、前記アクチュエーターの回転数の限定、又は前記アクチュエーターの回転角の限定のうちの1つ以上を含む請求項10に記載の材料試験システム。
【請求項13】
前記限定は、特定の閾値に限定されるか又はゼロ運動に限定される請求項12に記載の材料試験システム。
【請求項14】
前記仮想インターロックは係合され、前記ブレーキは係合解除され、前記アクチュエーターは、前記オペレーターが該アクチュエーターを前記セットアップ状態に手動で位置決めすることを可能にする請求項1に記載の材料試験システム。
【請求項15】
前記制御回路類は、
前記アクチュエーターの前記制御を実行する制御プロセッサと、
前記複数の入力の前記監視、前記材料試験システムの前記状態の前記識別、及び前記仮想インターロックの前記制御を実行する1つ以上の安全プロセッサと、
を備える請求項1に記載の材料試験システム。
【請求項16】
材料試験システムにおいて、
該材料試験システムのオペレーターアクセス可能ねじり試験構成要素を制御する回転可能なアクチュエーターと、
前記回転可能なアクチュエーターの回転運動を防止するブレーキと、
前記アクチュエーターに係合又は係合解除して前記アクチュエーターの回転運動を防止又は許容する仮想インターロックと、
制御回路類であって、
材料試験プロセスを実行するように前記アクチュエーターを制御することと、
該材料試験システムの動作と関連する複数の入力を監視することと、
前記複数の入力及び前記材料試験プロセスに基づいて複数の所定の動作状態から該材料試験システムの動作状態を識別することであって、前記複数の所定の動作状態は、無効状態、セットアップ状態、注意状態、又は試験状態のうちの1つ以上を含むことと、
前記識別された状態に基づいて前記仮想インターロックを制御することと、
を行うように構成される、制御回路類と、
を備える、材料試験システム。
【請求項17】
前記ブレーキは、前記アクチュエーターの自由回転運動を物理的にロックする請求項16に記載の材料試験システム。
【請求項18】
前記ブレーキは、手動で係合又は係合解除する請求項16に記載の材料試験システム。
【請求項19】
前記制御回路類は、非回転試験プロセスの起動を識別し、これに応答して、前記ブレーキ又は前記仮想インターロックに係合して、前記アクチュエーターの自由回転運動をロックするように更に構成される請求項16に記載の材料試験システム。
【請求項20】
前記非回転試験プロセスは、軸方向試験プロセスを含む請求項19に記載の材料試験システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願の相互参照]
本出願は、2020年10月9日に出願された「Systems And Methods For Control Of A Torsional Material Testing System」と題する米国仮特許出願第63/090,020号の非仮特許出願及び「Systems and Methods for Control of a Torsional Material Testing System」と題する米国特許出願第17/487,820号の非仮特許出願であり、これらの全体が引用することにより本明細書の一部をなす。
【0002】
本開示は、包括的には、材料試験に関し、より詳細には、ねじり材料試験システムを備える材料試験システムのシステム及び方法に関する。
【背景技術】
【0003】
万能試験機械は、機械試験、例えば、圧縮強さ試験、引張強さ試験又はねじり強さ試験を材料又は構成要素に対して実行するのに用いられる。
【発明の概要】
【0004】
ねじり材料試験システムを備える材料試験のシステム及び方法が、実質的に図面のうちの少なくとも1つによって図示されるとともにその図に関して説明され、特許請求の範囲においてより完全に明記されるように開示される。
【0005】
本開示のこれらの特徴、態様、及び利点並びに他の特徴、態様、及び利点は、以下の詳細な説明が添付図面を参照して読まれるとより良好に理解され、図面を通して同様の参照符号は同様の部分を表す。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】本開示の一態様による、機械特性試験を実行する一例示の試験デバイスを示す図である。
図2】本開示の一態様による、図1の試験デバイスの一例示の実施態様のブロック図である。
図3】本開示の一態様による、図2の安全システムの一例示の実施態様のブロック図である。
図4】本開示の一態様による、図1図3の材料試験システムの状態を制御するために図3の安全プロセッサによって実行することができる例示の機械可読命令を表すフローチャートである。
図5】本開示の一態様による、図1図3のオペレーターインターフェースを実施するために使用することができるオペレーターインターフェースの一例を示す図である。
図6】本開示の一態様による、図1図3のオペレーターインターフェースを実施するために使用することができるオペレーターインターフェースの他の例を示す図である。
図7】本開示の一態様による、材料試験システムのスタートアップルーチン中における図1に例示の材料試験システムと、図5、6のオペレーターインターフェースとを示す図である。
図8】本開示の一態様による、材料試験システムのセットアップ状態における図1の例示の材料試験システムと、図5、6のオペレーターインターフェースとを示す図である。
図9】本開示の一態様による、注意状態又は試験状態において軽減された制限を用いて回転アクチュエーターをジョグさせている間の図1の例示の材料試験システムと、図5、6のオペレーターインターフェースとを示す図である。
図10A】本開示の一態様による、材料試験を開始するためにセットアップ状態から注意状態及び試験状態に進んでいる間の図1の例示の材料試験システムと、図5、6のオペレーターインターフェースとを示す図である。
図10B】本開示の一態様による、材料試験を開始するためにセットアップ状態から注意状態及び試験状態に進んでいる間の図1の例示の材料試験システムと、図5、6のオペレーターインターフェースとを示す図である。
図10C】本開示の一態様による、材料試験を開始するためにセットアップ状態から注意状態及び試験状態に進んでいる間の図1の例示の材料試験システムと、図5、6のオペレーターインターフェースとを示す図である。
図11A】本開示の一態様による、回転アクチュエーターを所望の状態又は位置に復帰させるためにセットアップ状態から注意状態及び試験状態に進んでいる間の図1の例示の材料試験システムと、図5、6のオペレーターインターフェースとを示す図である。
図11B】本開示の一態様による、回転アクチュエーターを所望の状態又は位置に復帰させるためにセットアップ状態から注意状態及び試験状態に進んでいる間の図1の例示の材料試験システムと、図5、6のオペレーターインターフェースとを示す図である。
図11C】本開示の一態様による、回転アクチュエーターを所望の状態又は位置に復帰させるためにセットアップ状態から注意状態及び試験状態に進んでいる間の図1の例示の材料試験システムと、図5、6のオペレーターインターフェースとを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
図面は、必ずしも正確な縮尺ではない。適切な場合は、同様の又は同一の参照番号を使用して、同様の又は同一の構成要素を指す。
【0008】
ねじり強さ試験のシステム及び方法が開示される。特に、開示されるねじり材料試験システムは、システムの安全動作を確保するために複数の安全モード及びソフトウェアアーキテクチャを利用する。例えば、システムが非制限又は試験モードにて動作するときに回転運動が安全に無効にされ、これは、オペレーターに視覚的に、聴覚的に、又は他の適切なフィードバックによって示されもする。
【0009】
システムが制限モード(例えば、無効モード又はセットアップモード)にて動作しているとき、仮想インターロックは、回転駆動システムの電動運動を防止する。これにより、オペレーターは、ねじり材料試験システムの意図せぬアクティブ化を伴うことなく、システムに関与することが可能になる。いくつかの例では、回転駆動システム(例えば、回転モーター)は、手動でのジョグを可能にする。例えば、仮想インターロックをアクティブ化させることにより、試験対象材料の物理的な回転を可能にしながら、回転駆動システムの電動運動を防止することができる。
【0010】
いくつかの例では、モーターブレーキは、回転駆動システムモーターの回転運動をロックするために設けられる。ブレーキは、手動で実装することもできるし、及び/又は、ハードウェア及び/又はソフトウェアのいずれかによって、トリガーに応答して実装することもできる。例えば、材料試験システムが、軸方向セットアップ又は試験を行うように構成されるが、回転運動又はねじり試験を伴うことなく構成されるとき、回転駆動システムは、モーターブレーキによってロックすることができる。
【0011】
いくつかの例では、非制限モード(試験状態を含む)は、ユーザーインターフェース(例えば、リモートデバイス、制御パネル、接続コンピューティングプラットフォーム等)を用いることより、モーターをジョグさせて時計回り又は反時計回りのいずれかに移動させることを可能にする。ねじり材料試験プロセスに従い、回転駆動システムは、自動的に又はユーザー入力に応答してのいずれかで、デフォルト又は指示位置に復帰することができる。
【0012】
従来の材料試験システムは、オペレーターの安全性を改善するために、構成スイッチ、ガード(guarding:防御)、力制限制御、運動制限、及び/又は保護等の緩和技法を使用する。しかしながら、従来の材料試験システムは、国際規格に完全に準拠するとは限らないことが頻繁にある。従来の緩和技法では、オペレーターが、安全な相互作用又は試験等の適切な動作モードにシステムを置く必要がある。多くの従来の安全技法は、プログラマブルロジックコントローラー(PLC:programmable logic controller)及び/又はリレー等の既製の安全構成要素を使用して実施することができる。PLC及びリレーは、通常、かなりのコストを材料試験システムに付加する。
【0013】
開示される例示の材料試験システムは、国際規格に準拠する安全システムを材料試験システム内に内蔵又は統合する。安全システムは材料試験システム内に統合されるので、開示される例示の材料試験システムは、安全性の改善をもたらし、安全システムは材料試験システムの既存の電子機器、半導体、及び/又は回路基板内に統合されるので、既製の部品を使用して行われるよりもはるかに低いコストをもたらす。統合によって、信頼性は更に改善され、これによって、購入される安全構成要素間の外部配線が削減又は除去される。
【0014】
以下でより詳細に説明するように、材料試験システムの開示される例示の安全システムは、動作制限の観点から試験機械の状態を視覚的に示す機械状態インジケーターを備える。材料試験システムの開示される例示の安全システムは、高い信頼性と、材料試験システム内の内部障害チェック及び/又は電源診断を含むことができる機械制御点において監視されるアクティブ化メカニズムとを提供する。
【0015】
開示される材料試験システムは、デバイス及び/又は構成要素の軸方向及びねじり試験を簡単に同時に行うように設計されるが、軸方向又はねじり試験だけに使用される柔軟性を有する。いくつかの例では、ねじり材料試験システムは、動作デバイスと、安全システム及び関連する回路類とを制御及び監視する。開示される例示の材料試験システムは、冗長性な又はそれぞれ異なる接点を有するインターロック式ガードシステムと互換性がある。そのようなガードシステムは、冗長な、それぞれ異なる、及び/又は動的なリアルタイムでの監視を使用することによってISO安全規格に準拠する。開示される例示の材料試験システムは、冗長なねじり材料試験システム監視部を備える。開示される例の材料試験システムシャットダウン回路類は、ISO13849-1を含む国際安全規格に準拠している。
【0016】
加えて、PLCとともに使用される従来の既製の安全リレー構成要素は、PLC内のファームウェアの余分なレイヤを使用して、緊急停止イベント中に可動構成要素の運動を停止する。材料試験システムの開示される例示の安全システムは、安全プロセッサ内の組み込みファームウェアが動作しているか否かを問わず、ハードウェア(例えば、緊急停止ボタン)がアクチュエーターに対する電力増幅器の駆動を直接シャットダウンすることを可能にする。
【0017】
回路類、アクチュエーター、及び/又は他のハードウェアの無効化は、ハードウェア、ソフトウェア(ファームウェアを含む)、又はハードウェア及びソフトウェアの組み合わせを介して行うことができ、物理的な接続解除、通電遮断、及び/又は、コマンドが実行されて、回路類、アクチュエーター、及び/又は他のハードウェアが起動することを制限するソフトウェア制御を含むことができる。同様に、回路類、アクチュエーター、及び/又は他のハードウェアの有効化は、無効化に使用されるメカニズムと同じメカニズムを用いて、ハードウェア、ソフトウェア(ファームウェアを含む)、又はハードウェア及びソフトウェアの組み合わせを介して行うことができる。ファームウェアは、安全適合組み込みソフトウェア(SRESW:Safety Rated Embedded Software)及び/又は安全適合アプリケーションソフトウェア(SRASW:Safety Rated Application Software)等の記憶された命令を含むことができる。
【0018】
開示される例示の材料試験システムは、「制御システムの安全関連部品(Safety Related Parts of Control Systems)」に関するISO13849-1規格に規定されたルールに従った欧州機械指令(European Machinery Directive)に準拠している。システムリスク解析によって特定される以下の機能は、材料試験システム内に組み込まれる。安全システムは、駆動クロスヘッドからエネルギーを除去する無効駆動状態と、ねじり材料試験システムからエネルギーを除去する無効駆動状態と、オペレーターセットアップ用の制限駆動状態とを提供する。制限駆動状態において、例示の安全システムは、クロスヘッド速度を監視して、クロスヘッド速度を速度上限未満に維持し、ねじり材料試験システムの意図的な手動による運動(ジョグ)を監視し、ねじり材料試験システムプロセスのコマンドを監視し、及び/又は意図せぬねじり運動を監視する。
【0019】
開示される例示の材料試験システムは、制限駆動状態におけるチェックを取り除くことを可能にする非制限駆動状態を更に含む。いくつかの例では、非制限駆動状態には、デュアルアクティブ化メカニズムを介して入ることができ、この状態では、材料試験機能が実行され、オペレーターはシステムとインタラクトしない。
【0020】
開示される例示の材料試験システムは、オペレーターがインタラクトすることができるとき及び危険が存在するときを明確に示すために、あらゆる機械における無効状態表示、セットアップ状態表示、注意状態(例えば、制限駆動モード)表示、及び試験状態(例えば、非制限駆動モード)表示等の種々の状態のインジケーターを備える。
【0021】
開示される例示の材料試験システムは、ねじり材料試験システム等の構成要素の運動の開始及び/又は継続に優先する1つ以上の停止機能を備える。さらに、1つ以上の停止機能は、安全システムのソフトウェア部分が無効にされているときであっても、これらの停止機能が材料試験システムを無効にするのに有効であるようにハードウェアを介して冗長に構成することができる。開示されるシステムに含めることができるそのような停止機能の例は、インターロックされたガード及び/又は緊急停止スイッチを含む。
【0022】
いくつかの開示される例示の材料試験システムは、材料試験フレーム及び/又はねじり材料試験システムを開始するための単一の制御点の選択及び実施を含む。いくつかの例示のシステムは、電力が復旧すると、システムが非制限動作を停止し、材料試験システムを無効駆動状態に置くことを確保するために、電力障害監視及び/又は保護を提供する。いくつかの例では、電力障害に応答して、ねじり材料試験システムの通電が自動的に遮断される。
【0023】
開示される例示の安全システム及び材料試験システムは、増加された内部診断と、機器の機能不良又は冗長入力、冗長出力、及び/又は冗長プロセス間の不一致等のシステム内の重大なエラーのオペレーターへの報告とを含む。開示される例示の材料試験システムは、材料試験システムを無効にすることもなく、ガードドアを必要とすることもなく、試験空間内でオペレーターの動作を可能にする試験機械の安全なセットアップモードに起因して、従来の材料試験システムよりも高速な試料の除去及び/又は挿入を可能にする。開示される例示のシステムは、試験空間内部でシステムをセットアップ及び構成するときに、ねじり材料試験システムの運動を制限するセットアップ状態の使用、及び/又はねじり材料試験システムに適用され得る若しくはねじり材料試験システムによって適用され得る限定された運動及び/又は力の使用に少なくとも部分的に起因して、オペレーターの安全性を更に改善する。
【0024】
開示される材料試験システム及び安全システムは、開示される例示の構成において利用されて、特定されたリスク緩和を達成するように特別に構成することができる。開示される材料試験システムは、汎用的な既製の個別の安全構成要素を購入するよりも大幅に効率的であり、材料試験向けである。
【0025】
開示される材料試験システム及び安全システムは、非制限状態がアクティブに使用されていないときは常に制限状態に戻るように構成され、及び/又は、制限状態から非制限状態に遷移するにはオペレーターによる意図的な動作を必要とするように構成される。例示の材料試験システム及び安全システムは、非制限状態がアクティブ化される時にアクティブ警告通知を提供する。例示のアクティブ警告通知は、(例えば、静的なラベル又は他の静的な視覚表示物を材料試験システム上に提供することとは対照的に)オペレーターが観察を行っている可能性が高いロケーションに現れ及び/又は消滅する通知として定義されるものを含む。さらに、開示される例示の通知は、材料試験システムの状態を知らせるために一般に理解される配色(例えば、緑色、黄色、赤色)を提供すること等によって直感的である。
【0026】
いくつかの例では、オペレーターインターフェースは、ハザードインジケーターを含み、1つ以上のプロセッサは、アクチュエーターに対する制限が低減されている間に、ハザードインジケーターを制御する。いくつかの例は、移動して試験対象材料を位置決めする又は試験対象材料に力を印加するクロスヘッドを更に備え、アクチュエーターは、クロスヘッドを駆動するように構成され、セットアップ状態におけるアクチュエーターに対する制限は、クロスヘッドの回転移動速度の上限を含む。
【0027】
いくつかの例示の材料試験システムにおいて、オペレーターインターフェースは、オペレーター選択可能入力のうちの対応する入力を選択的に強調するように構成される1つ以上の視覚インジケーターを更に含み、1つ以上のプロセッサは、材料試験システムの状態に基づいて、オペレーター選択可能入力のうちの対応する入力を強調するように視覚インジケーターのうちの1つ以上を制御する。いくつかの例では、1つ以上のプロセッサは、オペレーターインターフェースへの既定の入力に応答して、状態を制限状態のうちの1つから非制限状態のうちの1つに遷移する。いくつかの例では、オペレーターインターフェースは、材料試験システムの現在の状態の表示を出力する状態インジケーターを含む。
【0028】
開示される例では、材料試験システムは、この材料試験システムのオペレーターアクセス可能ねじり試験構成要素を制御する回転可能なアクチュエーターと、アクチュエーターと係合又は係合解除してアクチュエーターの回転運動を防止又は許容する仮想インターロックと、制御回路類とを備える。制御回路類は、材料試験プロセスを実行するようにアクチュエーターを制御することと、この材料試験システムの動作と関連する複数の入力を監視することと、複数の入力及び材料試験プロセスに基づいて複数の所定の動作状態からこの材料試験システムの動作状態を識別することであって、複数の所定の動作状態は、無効状態、セットアップ状態、注意状態、又は試験状態のうちの1つ以上を含むことと、識別された状態に基づいて仮想インターロックを制御することとを行うように構成される。
【0029】
いくつかの例では、仮想インターロックは、電力信号又は制御信号のうちの1つ以上によって、がアクチュエーターの回転運動が始動することを防止する。
【0030】
いくつかの例では、制御回路類は、非回転試験プロセスの起動を識別し、これに応答して、ブレーキに係合して、アクチュエーターの回転運動をロックするように更に構成される。例では、非回転試験プロセスは、軸方向試験プロセスを含む。例では、非回転試験は、無効状態、セットアップ状態、注意状態、又は試験状態のうちの1つ以上を含む複数の所定の動作状態のもとで動作する。
【0031】
いくつかの例では、非回転試験プロセスの動作状態は、ねじりシステムの動作状態よりも優先度が高い。いくつかの例では、非回転試験プロセスがセットアップ状態にて動作しているとき、制御回路類は、ねじりシステムの電動回転運動を防止するために係合するように仮想インターロックを制御する。
【0032】
例では、制御回路類は、1つ以上のセンサーからの信号に応答して、係合又は係合解除するように仮想インターロックを制御するように更に構成される。いくつかの例では、仮想インターロックの係合は、制限モードに対応し、無効状態、注意状態、及びセットアップ状態は、アクチュエーターの動作を防止する制限モードに対応する。例では、制限モードは、制御回路類がオペレーター入力に応答してアクチュエーターを制御しない状態での、アクチュエーターに対する制限の適用に対応する。例では、試験状態は、アクチュエーターの動作を許容する非制限モードに対応し、試験状態は、ねじり材料試験プロセス又はジョグ又は復帰を実行するようにアクチュエーターを制御しながらの、アクチュエーター動作に対する制限の低減に対応する。
【0033】
いくつかの例では、制限は、アクチュエーターの回転速度の限定、アクチュエーターの回転数の限定、又はアクチュエーターの回転角の限定のうちの1つ以上を含む。例では、限定は、特定の閾値に限定されるか又はゼロ運動に限定される。いくつかの例では、仮想インターロックは係合され、ブレーキは係合解除され、アクチュエーターは、オペレーターがこのアクチュエーターをセットアップ状態に手動で位置決めすることを可能にするように構成される。
【0034】
例では、制御回路類は、アクチュエーターの制御を実行する制御プロセッサと、複数の入力の監視、材料試験システムの状態の識別、及び仮想インターロックの制御を実行する1つ以上の安全プロセッサとを含む。
【0035】
いくつかの開示される例では、材料試験システムは、この材料試験システムのオペレーターアクセス可能ねじり試験構成要素を制御するように構成される回転可能なアクチュエーターと、回転可能なアクチュエーターの回転運動を防止するブレーキと、アクチュエーターに係合又は係合解除してアクチュエーターの回転運動を防止又は許容するように構成される仮想インターロックと、制御回路類とを備える。制御回路類は、材料試験プロセスを実行するようにアクチュエーターを制御することと、この材料試験システムの動作と関連する複数の入力を監視することと、複数の入力及び材料試験プロセスに基づいて複数の所定の動作状態からこの材料試験システムの動作状態を識別することであって、複数の所定の動作状態は、無効状態、セットアップ状態、注意状態、又は試験状態のうちの1つ以上を含むことと、識別された状態に基づいて仮想インターロックを制御することとを行うように構成される。
【0036】
いくつかの例では、ブレーキは、アクチュエーターの自由回転運動を物理的にロックする。例では、ブレーキは、手動で係合又は係合解除する。例では、制御回路類は、非回転試験プロセスの起動を識別し、これに応答して、ブレーキ又は仮想インターロックに係合して、アクチュエーターの自由回転運動をロックするように更に構成される。
【0037】
いくつかの例では、非回転試験プロセスは、軸方向試験プロセスを含む。
【0038】
本明細書において使用される場合、「クロスヘッド」は、方向のある力(軸方向力)及び/又は回転力を試料に印加する材料試験システムの構成要素を指す。材料試験システムは、1つ以上のクロスヘッドを有することができ、クロスヘッドは、材料試験システムにおいて任意の適切な位置及び/又は方位に配置することができる。
【0039】
図1は、機械特性試験を実行する一例示の材料試験システム100を示している。例示の材料試験システム100は、例えば、静止機械試験が可能である万能試験システムとすることができる。材料試験システム100は、例えば、圧縮強さ試験、引張強さ試験、せん断強さ試験、曲げ強さ試験、撓み強さ試験、引裂強さ試験、剥離強さ試験(例えば、接着剤結合の強さ)、ねじり強さ試験、及び/又は他の任意の圧縮及び/又は引張試験を実行することができる。加えて又は代替的に、材料試験システム100は、動的試験を実行することができる。
【0040】
例示の材料試験システム100は、試験装置102と、試験装置102に通信可能に結合されたコンピューティングデバイス104とを備える。試験装置102は、試験対象材料106に負荷を印加し、試験対象材料106の変位及び/又は試験対象材料106に印加された力等の試験の機械特性を測定する。例示の試験装置102は、デュアルカラム装置として示されているが、シングルカラム試験装置等の他の装置も使用することができる。例示の試験装置102は、試験対象材料106を回転させてねじり材料試験を実行する回転駆動システム101、及び/又は試験対象材料106に力を印加する変位強度試験システムのうちの1つ以上を備えることができる。
【0041】
例示のコンピューティングデバイス104を使用することで、試験装置102を構成し、試験装置102及びその構成要素(例えば、図2に提示するように、試験システム233及び/又は236)を制御し、及び/又は処理、表示、報告、及び/又は他の任意の所望の目的のために試験装置102からの測定データ(例えば、力及び変位等のトランスデューサー測定値)及び/又は試験結果(例えば、ピーク力、破断変位等)を受信することができる。いくつかの例では、オペレーターインターフェース107は、材料試験システム100上又はその近くに配置される。インターフェース107は、動作モード、試験プロセス、材料情報等に関する情報を提示するとともに、(例示のオペレーターインターフェース500の代替として又はこれに加えて)オペレーターからの入力及び/又はコマンドを受け入れることができる。
【0042】
図2は、図1の材料試験システム100の一例示の実施態様のブロック図である。図2の例示の材料試験システム100は、試験装置102と、コンピューティングデバイス104とを備える。例示のコンピューティングデバイス104は、汎用コンピューター、ラップトップコンピューター、タブレットコンピューター、モバイルデバイス、サーバー、オールインワンコンピューター、及び/又は他の任意のタイプのコンピューティングデバイスとすることができる。
【0043】
図2の例示のコンピューティングデバイス104は、プロセッサ202を備える。例示のプロセッサ202は、任意の製造者からの任意の汎用中央処理装置(CPU:central processing unit)とすることができる。他のいくつかの例では、プロセッサ202は、ARMコアを有するRISCプロセッサ、画像処理装置、デジタル信号プロセッサ、及び/又はシステムオンチップ(SoC)等の1つ以上の専用処理装置を含むことができる。プロセッサ202は、プロセッサにおいて(例えば、内蔵キャッシュ又はSoCに)、ランダムアクセスメモリ206(又は他の揮発性メモリ)に、リードオンリーメモリ208(又はフラッシュメモリ等の他の不揮発性メモリ)に、及び/又は大容量記憶装置210にローカルに記憶することができる機械可読命令204を実行する。例示の大容量記憶装置210は、ハードドライブ、ソリッドステートストレージドライブ、ハイブリッドドライブ、RAIDアレイ、及び/又は他の任意のマスデータストレージデバイスとすることができる。
【0044】
バス212は、プロセッサ202、RAM206、ROM208、大容量記憶装置210、ネットワークインターフェース214、及び/又は入力/出力インターフェース216間の通信を可能にする。
【0045】
例示のネットワークインターフェース214は、コンピューティングデバイス104を、インターネット等の通信ネットワーク218に接続するハードウェア、ファームウェア、及び/又はソフトウェアを含む。例えば、ネットワークインターフェース214は、通信を送信及び/又は受信するために、IEEE 202.X準拠無線及び/又は有線通信ハードウェアを含むことができる。
【0046】
図2の例示のI/Oインターフェース216は、プロセッサ202に入力を提供する及び/又はプロセッサ202から出力を提供するために、1つ以上の入力/出力デバイス220をプロセッサ202に接続するハードウェア、ファームウェア、及び/又はソフトウェアを含む。例えば、I/Oインターフェース216は、表示装置とインターフェース接続する画像処理装置、1つ以上のUSB準拠デバイスとインターフェース接続するユニバーサルシリアルバスポート、FireWire(登録商標)、フィールドバス、及び/又は他の任意のタイプのインターフェースを含むことができる。例示の材料試験システム100は、I/Oインターフェース216に結合された表示装置224(例えば、LCDスクリーン)を備える。他の例示のI/Oデバイス220は、キーボード、キーパッド、マウス、トラックボール、ポインティングデバイス、マイクロフォン、オーディオスピーカー、表示装置、光メディアドライブ、マルチタッチタッチスクリーン、ジェスチャー認識インターフェース、磁気メディアドライブ、及び/又は他の任意のタイプの入力及び/又は出力デバイスを含むことができる。
【0047】
例示のコンピューティングデバイス104は、I/Oインターフェース216及び/又はI/Oデバイス220を介して非一時的機械可読媒体222にアクセスすることができる。図2の機械可読媒体222の例は、光ディスク(例えば、コンパクトディスク(CD)、デジタルバーサタイル/ビデオディスク(DVD)、Blu-ray(登録商標)ディスク等)、磁気メディア(例えば、フロッピーディスク)、ポータブル記憶媒体(例えば、ポータブルフラッシュドライブ、セキュアデジタル(SD)カード等)、及び/又は他の任意のタイプの取り外し可能及び/又はインストール済み機械可読媒体を含む。(登録商標)
【0048】
図1の例示の材料試験システム100は、コンピューティングデバイス104に結合された試験装置102を更に含む。図2の例では、試験装置102は、USBポート、Thunderboltポート、FireWire(IEEE 1394)ポート、及び/又は他の任意のタイプのシリアル又はパラレルデータポート等のI/Oインターフェース216を介して、コンピューティングデバイスに結合される。他のいくつかの例では、試験装置102は、直接又はネットワーク218を介して、有線又は無線接続(例えば、Ethernet、Wi-Fi等)を介してネットワークインターフェース214及び/又はI/Oインターフェース216に結合される。
【0049】
図2の試験装置102は、フレーム228と、ロードセル230と、変位トランスデューサー232と、ねじり材料試験システム233(例えば、回転駆動システム101を備える)と、クロスメンバーローダー234と、材料固定具236と、制御プロセッサ238と、安全システム240とを備える。フレーム228は、試験を実行する試験装置102の他の構成要素の剛性構造支持を提供する。ロードセル230は、グリップ248を介して、クロスメンバーローダー234によって試験対象材料に印加された力を測定する。クロスメンバーローダー234は、試験対象材料に力を印加し、一方、材料固定具236(グリップとも称される)は、試験対象材料を把持するか、又は別の方法で試験対象材料をクロスメンバーローダー234に結合する。例示のクロスメンバーローダー234は、モーター242(又は他のアクチュエーター)及びクロスヘッド244を備える。クロスヘッド244は、材料固定具236をフレーム228に結合し、モーター242は、クロスヘッドをフレームに対して移動させて材料固定具236を位置決めし、及び/又は、試験対象材料に力を印加する。
【0050】
いくつかの例では、ねじり試験システム233が、加えて又は代替的に含まれる。ねじり試験システム233は、回転モーター241(又は他のアクチュエーター)を備え、グリップ236を回転させて、クロスヘッドをフレーム228に対して回転させて材料固定具236を位置決めする及び/又は力を試験対象材料に印加する。ねじり試験システム233の回転モーター241及び/又は他の構成要素は、手動で構成する、手動入力を介して制御する、及び/又は制御プロセッサ238によって自動的に制御することができる。クロスヘッド244及びグリップ236は、オペレーターアクセス可能構成要素である。材料試験システム100の構成要素の力及び/又は運動を与えるのに使用することができる例示のアクチュエーターは、電気モーター、空気圧アクチュエーター、油圧アクチュエーター、圧電アクチュエーター、リレー、及び/又はスイッチを含む。
【0051】
例示のグリップ236は、試験されている機械特性及び/又は試験対象材料に応じて、圧縮プラテン、顎部又は他のタイプの固定具を含む。グリップ236は、手動で構成することもできるし、手動入力を介して制御することもできるし、及び/又は制御プロセッサ238によって自動的に制御することもできる。クロスヘッド244及びグリップ236は、オペレーターアクセス可能構成要素である。
【0052】
例示の制御プロセッサ238は、コンピューティングデバイス104と通信して、例えば、コンピューティングデバイス104から試験パラメーターを受信し、及び/又は測定値及び/又は他の結果をコンピューティングデバイス104に報告する。例えば、制御プロセッサ238は、コンピューティングデバイス104との通信を可能にする1つ以上の通信又はI/Oインターフェースを含むことができる。制御プロセッサ238は、印加される回転力、アクチュエーターの回転速度、回転数、及び/又は回転モーター241からの回転角を増減するようにねじり試験システム233を制御することができる。いくつかの例において、制御プロセッサ238は、印加される力を増減させるようにクロスメンバーローダー234を制御し、試験対象材料を把持又は解放するように固定具236を制御し、及び/又は変位トランスデューサー232、ロードセル230及び/又は他のトランスデューサーから測定値を受信することができる。
【0053】
例示の安全システム240は、監視及び制御の追加のレイヤを試験装置102に提供する。安全システム240は、オペレーター入力及び試験装置102の状態を監視する。図2の例では、安全システム240は、機械が適切な状態にあるときにのみ試験装置102がユーザーによって制御可能であるように、ユーザーによる試験装置102の操作を制限する。1つ以上の状態を検出したことに応答して、安全システム240は、試験装置102に制限状態(例えば、危険な状態を提示することができる全ての電力及び運動を無効にする制限されたセットアップ状態等)に自動的に進ませる。
【0054】
安全システム240は、材料試験システム100からの入力信号、安全システム240からの入力信号、及び/又は制御プロセッサ238からの制御信号を監視することに基づいて材料試験システムの動作に対する制限を選択的に追加し、除去し、増加し、及び/又は減少させる。安全システム240は、材料試験システム100が任意の所与の時点において動作される状態を複数の所定の状態から決定することによって、材料試験システム100の動作を制御する。例示の所定の状態は、材料試験システム100の1つ以上の動作が制限される(例えば、無効にされる、限定される等)1つ以上の制限状態と、制限状態の制限が削減及び/又は除去される1つ以上の非制限状態とを含む。図2の例では、安全プロセッサ240は、制御プロセッサ238によるねじり試験システム233及び/又は固定具236の制御に付随し及び/又はこの制御に割り込みをかける。いくつかの他の例では、安全システム240は、アクチュエーターに対して任意の適用可能な制限を実施しながらねじり試験システム233及び/又はクロスメンバーローダー234及び/又は固定具236を直接制御することができる。
【0055】
例示の制限状態は、セットアップ状態、注意状態及び無効状態を含む。セットアップ状態では、安全システム240は、1つ以上のアクチュエーター(例えば、モーター241及び/又はグリップアクチュエーター246)を制限し、オペレーター入力に応答してこれらのアクチュエーターを制御する(又はこれらのアクチュエーターの制御を可能にする)。モーター241に対する例示の制限は、アクチュエーターの上限回転速度、アクチュエーターの回転数の限定、及び/又は試験装置102に対するアクチュエーターの回転角の限定を含むことができる。無効状態では、安全システム240はアクチュエーターを制限し、制御プロセッサ238は、オペレーター入力に応答してアクチュエーターを制御しない(例えば、モーター241の制御を試みないか、又は通電遮断を介してモーター241の制御を妨げられる)。
【0056】
例示の非制約状態は、試験状態を含む。例示の試験状態において、安全システム240は、アクチュエーター(例えば、モーター241)に対する制限を低減し、一方、制御プロセッサ238は、試験を(例えば、制御プロセッサ238によって実行される材料試験手順又はプログラムに従って)実行するようにアクチュエーターを制御する。試験状態において、制御プロセッサ238は、回転モーター241のジョグ等のアクションを実行するようにアクチュエーターを制御することができ、これらのアクションに際して、オペレーターはクロスヘッド244及び/又は空気圧グリップ248に物理的に近接するべきではない。
【0057】
図2の例示の材料試験システム100は、複数の状態インジケーター252と1つ以上のモードスイッチ254とを備える1つ以上の制御パネル250を更に備えることができる。モードスイッチ254は、ボタン、スイッチ、及び/又はオペレーター制御パネル上に配置される他の入力デバイスを含むことができる。例えば、モードスイッチ254は、グリップ248を介して試験対象材料をジョグさせる(例えば、回転位置を変化させる)ようにモーター241を制御するボタン、安全システム240が非制限状態において動作を許可することを可能にする別のボタンとともに押下されるモード制御ボタン、及び/又は非制限状態において動作をもたらすことができる他の任意の入力デバイスを含むことができる。
【0058】
状態インジケーター252は、安全システム240が材料試験システム100に対して設定することができる一組の所定の状態(例えば、上述した無効状態、セットアップ状態、注意状態、及び試験状態)に対応する。以下でより詳細に説明するように、安全システム240は、安全システム240によって判断される材料試験システム100の現在の状態に関する表示を提供するように状態インジケーター252を制御する。状態インジケーター252は、ライト、ディスプレイ、オーディオ、機械システム、及び/又はオペレーターが識別することができる他の任意の表示を含むことができる。
【0059】
図3は、図2の安全システム240の一例示の実施態様のブロック図である。図3に示すように、安全システム240は安全プロセッサ302を備える。
【0060】
例示の安全プロセッサ302は、複数の冗長処理コア304a、304bを備える。処理コア304a、304bは、試験装置102の通常動作中は、実質的に同一の出力を生成するように、冗長命令306a、306bを実行し、冗長入力を受信する。安全プロセッサ302は、(例えば、冗長コア304a、304bを介して)複数の入力を監視し、これらの入力に基づいて材料試験システム100の状態を判断する。安全プロセッサ302は、冗長命令306a、306bの出力を比較し、この出力の比較に基づいて材料試験システム100の状態を制御することができる。
【0061】
例示の安全プロセッサ302及び/又は冗長処理コア304a、304bは、任意の製造業者が提供している汎用中央処理装置(CPU)を含むことができる。いくつかの例では、安全プロセッサ302及び/又は冗長処理コア304a、304bは、ARMコアを有するRISCプロセッサ、画像処理装置、デジタル信号プロセッサ及び、/又はシステムオンチップ(SoC)等の1つ以上の専用処理装置を含むことができる。安全プロセッサ302及び/又は冗長処理コア304a、304bは、プロセッサにおいて(例えば、内蔵キャッシュ又はSoCに)、ランダムアクセスメモリ、リードオンリーメモリ、及び/又は大容量記憶装置等の記憶デバイスにローカルに記憶することができる、冗長命令306a、306b等の機械可読命令を実行する。
【0062】
冗長処理コア304a、304b及び冗長命令306a、306bは、冗長な及び/又はそれぞれ異なる入力及び出力を安全システム240によって処理することを可能にし、これによって、高い信頼性を有する予測可能なシステムが提供される。したがって、図3には代表的な入力及び出力が示されているが、これらの入力及び/又は出力は、冗長処理コア304a、304b及び冗長命令306a、306bをサポートするために複製することができる。安全プロセッサ302によって実行される冗長命令306a、306b(例えば、組み込みソフトウェア、オペレーティングシステム、及び生成されたコード)は、国際規格に概説されたプロセスに準拠している。これらの国際規格には、「制御システムの安全関連部品」に関するISO13849-1が含まれるが、これに限定されるものではない。例示の安全プロセッサ302は、複数の冗長処理コアを備えるが、他の例では、安全プロセッサ302は、単一の処理コア、又は複数の非冗長処理コアを備えることができる。
【0063】
図3の安全システム240は、ねじり試験システム233の動作を選択的に無効にするアクチュエーター無効回路308(例えば、仮想インターロック)を更に備える。例えば、アクチュエーター無効回路308の係合は、電力増幅器310がねじり試験システム233のモーター241にエネルギーを提供することを無効にすることができる。加えて又は代替的に、アクチュエーター無効回路308(又は別のアクチュエーター無効回路)は、グリップアクチュエーター246がエネルギーを空気圧グリップ248に提供することを無効にすることができる。電力増幅器310は、モーター242に対する入力電力及び出力電力を受信し、モーター241の移動を制御する。例示のアクチュエーター無効回路308及び電力増幅器310は、安全適合安全トルクオフ(STO:Safe Torque Off)高信頼性サーボ電力増幅器を使用して実施することができる。制御プロセッサ238は、電力増幅器310へのモーター制御信号312を介してモーター241及びクロスヘッド244の回転運動を制御することができる。
【0064】
安全プロセッサ302からのSTO信号314に応答して、アクチュエーター無効回路308は、接続されたアクチュエーター(例えば、回転モーター241)を無効にする。例えば、アクチュエーター無効回路308は、或る特定の既定の期間よりも短い期間において、モーター241(及び/又は材料試験システム100内の他の可動部分)への全てのエネルギーを接続解除することができる。例示のアクチュエーター無効回路308は、このアクチュエーター無効回路308が現在アクチュエーターを無効にしているか否かを示すSTOフィードバック信号315を安全プロセッサ302に提供することができる。安全プロセッサ302は、STO信号314をSTOフィードバック信号315と比較して、障害を検出することができる。
【0065】
例示の材料試験システム100では、回転モーター241及び任意の内部構成要素の移動は、国際規格によって指定されるように、STO信号314のアクティブ化後に停止される。本明細書に開示される安全システム240のサブシステムのほとんどは、材料固定システム236及び/又は試験対象材料の回転運動を安全に停止させるためにアクチュエーター無効回路308を起動する。加えて、電力増幅器310は、STO信号314を印加する前にモーター241を減速するモーター制動回路316を備えることができる。モーター制動回路316は、駆動電力の遮断後の機械的慣性による継続した移動を除去することによって、モーター242がより制御された方法で停止することを可能にする。制動の事前無効化を使用することによって、モーター241への通電遮断後のクロスヘッド244の運動が低減又は最小化される。したがって、例示のアクチュエーター無効回路308及びモーター制動回路316は、「機械類の電気安全規格(Electrical Safety Standard for Machinery)」であるIEC60204-1規格に定義されているカテゴリー1の停止を提供する。
【0066】
例示の安全プロセッサ302は、制動の事前無効化が行われている間、モーター241及び/又はモーター制動回路316を監視して、モーター241が制動していることを確認する。安全プロセッサ302が、モーター241が制動中に減速していないと判断した場合には、安全プロセッサ302は、制動を中止してモーター241への通電を直ちに遮断する制動故障軽減を実行する。2段階無効シーケンスに対して制動故障軽減を実施することによって、安全プロセッサ302は、制動の効果がない状況において停止距離を短くすることができる。制動の事前無効化が作用しているときに停止距離が最短となるが、制動の事前無効化が完全に作用しているわけではないとき、作用していない制動の事前無効化を伴う2段階シーケンスは、単一段階シーケンス(例えば、接続解除のみ)よりも長い停止距離を有する可能性がある。制動故障軽減の副次的な利点は、この軽減によって、より広範囲の構成要素及びシステムを、制動システムの故障を捕らえることができる制動故障軽減プロセスとともに、高性能の制動に使用することができるという点で、2段階無効シーケンスを実施する際の柔軟性をより高くすることができるということである。
【0067】
例示の安全システム240は、緊急停止入力信号320を安全プロセッサ302に提供する緊急停止部318(例えば、ボタン、スイッチ等)を更に備える。緊急停止部318は、相補型安全機能である、手動操作される緊急停止ボタンとすることができる。緊急停止部318は、シグナリング用の2チャネル冗長性を有する。緊急停止部318は、緊急停止スイッチ322と、緊急停止検出回路324と、アクチュエーター無効回路326とを備えることができる。緊急停止部318は、安全プロセッサ302のハードウェア及び組み込みソフトウェアを使用して独立して制御可能である。例えば、緊急停止検出器324からの緊急停止入力信号320の検出に応答して、安全プロセッサ302は、材料試験システム100の状態を無効状態に設定し、緊急停止出力信号321を緊急停止部318(例えば、緊急停止スイッチ322)に与える。
【0068】
緊急停止スイッチ322は、緊急停止出力信号321に応答して、(例えばモーターブレーキ243を介して)モーター241を停止させるようにアクチュエーター無効回路314及び/又はモーター制動回路314を制御するようアクチュエーター無効回路326を制御する。例示のアクチュエーター無効回路326は、モーター制動回路314への第1の接続と、アクチュエーター無効回路308への第2の冗長接続とを有することができる。アクチュエーター無効回路326がトリガーされると、アクチュエーター無効回路326は、モーター制動回路314をアクティブ化し、制動が行われることを可能にする時間の間、遅延を実施し、その後、アクチュエーター無効回路308をアクティブ化し、適用可能なアクチュエーターの通電を遮断する。
【0069】
安全プロセッサ302を介した制御に加えて又はその代わりに、緊急停止スイッチ322は、安全プロセッサ302とアクチュエーター無効回路308との間のSTO信号314の物理的な割り込み等によって電力増幅器310内のアクチュエーター無効回路308を直接作動させることができる。安全プロセッサ302は、緊急停止検出回路324を監視し、ハードウェアの冗長モニターとしての役割を果たす。緊急停止スイッチ322が解除されても、材料試験システム100が無効状態(例えば制限状態)に留まり、モーター241の動作を再度有効にするにはユーザー相互作用を必要とするように、安全プロセッサ302は、STO信号314を出力し、モーター241を無効にし続けるようにアクチュエーター無効回路308を制御する。
【0070】
例示の材料試験システム100(例えば、試験装置102)は、冗長な又はそれぞれ異なる接点を有するインターロック式ガードシステムと互換性がある。例示の安全システム240は、非制限状態において動作している間に材料試験システム100へのオペレーターアクセスに対する物理的バリア及び/又は仮想的バリアを提供する1つ以上のガード328及びガードインターロック330を備えることができる。例えば、ガード328は、空気圧グリップ248及び/又はクロスヘッド244(及び/又は他の可動構成要素)の周囲の体積領域(volume)へのアクセスを制御するために開閉される物理的バリアを含むことができる。いくつかの例では、ガード328は、手動及び/又は自動係合を行うように構成されるモーターブレーキ243を備える。例えば、モーターブレーキ243は、オペレーターによって及び/又は安全システム240によって係合され、モーター241の回転を物理的に防止することができる。例示の物理的バリアは、冗長安全スイッチを使用して、保護体積領域をガードするドアが開放されているのか又は閉鎖されているのかを監視することができるガードドアを含む。各ドアスイッチは、(例えば、ガードインターロック330によって)動的にパルス化することができ、及び/又は、それ以外に入力装置として収容することができる機械的にリンクされた通常時開放型接点及び通常時閉鎖型接点を有する。パルス化によって、リアルタイムでのガードドアスイッチの妥当性(plausibility)診断チェックが可能になる。
【0071】
加えて又は代替的に、ガード328は、体積領域内への侵入の有無について、空気圧グリップ248及び/又はクロスヘッド244の周囲の体積領域を監視する仮想的ガードを含むことができる。例示の仮想的ガードは、ライトカーテン、近接センサー、及び/又は圧力パッドを含むことができる。仮想的ガードは、アクセスを物理的に妨げるものではないが、仮想的ガードは、ガード信号をガードインターロック330に出力し、ガードインターロック330は、インターロック信号332を安全プロセッサ302及び/又はアクチュエーター無効回路308に出力する(例えば、上述した緊急停止スイッチ322と同様)。
【0072】
インターロック330は、アクチュエーター無効回路308をトリガーして、モーター242の通電を遮断することができる。いくつかの例では、ガードインターロック330がもはやトリガーされていないとき、上述した緊急停止スイッチ322と同様の方法で、安全プロセッサ302は電力増幅器310の再有効化を制御する。
【0073】
加えて又は代替的に、例示の安全システム240は、オペレーターが材料試験システム100の保護体積領域に入ると、デフォルトで、制限された「セットアップ」状態になることができ、これにより、システム100のアクチュエーターを無効又は通電遮断する。
【0074】
例示の安全システム240は、複数の状態インジケーター252及びモードスイッチ254を備える。例示の安全プロセッサ302は、例えば、モードスイッチ254を動的にパルス化してモードスイッチ入力信号338(例えば、モードスイッチ254のそれぞれについて1つ以上のモードスイッチ入力)を生成又は取得することによってモードスイッチ254を監視する。いくつかの例では、モードスイッチ254は高信頼性スイッチである。安全プロセッサ302は、周期的に、非周期的に、イベント(例えば、材料試験機械の始動時)に応答して、所定のスケジュールに基づいて、及び/又は他の任意の時点に、短絡又は他の障害状態の有無についてモードスイッチ254を試験することができる。
【0075】
例示の安全プロセッサ302は、材料試験システム100の状態をオペレーターに示すように状態インジケーター252を制御する。例えば、安全プロセッサ302は、インジケーター信号342を状態インジケーター252に出力することができる。状態インジケーター252がライトである場合には、出力インジケーター信号342は、例えば、オン状態、オフ状態、点滅状態、及び/又はライトの他の任意の出力状態になるようにライトのそれぞれを制御することができる。いくつかの例では、安全プロセッサ302は、インジケーターフィードバック信号340を介してインジケーターの状態を判断する。例示のインジケーターフィードバック信号340は、状態インジケーター252のそれぞれがオンであるのか、オフであるのか、短絡しているのか、開回路であるのか、及び/又はインジケーター252の他の任意のステータス若しくは状態であるのかを安全プロセッサ302に示すことができる。状態インジケーター252のうちの1つ以上が命令された適切な状態にないとプロセッサが判断した場合には、安全プロセッサ302は、制限状態になるように材料試験システムを制御し、通知を(例えば、制御パネル250又は他の通知を介して)オペレーターに提供する。
【0076】
安全システム240は、材料試験システム100の構成要素に電力を提供する電源(例えば、DC電源及びAC電源)を監視する電源モニター344を備える。電源モニター344は、監視される電源がそれぞれの電圧範囲内及び/又は電流範囲内にあるか否かを示す1つ以上の電源ステータス信号346を安全プロセッサ302及び/又はウォッチドッグ回路362(以下で説明される)に提供する。電源のうちの1つ以上が許容範囲外にあると電源モニター344が判断した場合には、安全プロセッサ302及び/又はウォッチドッグ回路362は、材料試験システム100を無効にし、オペレーターにアラートすることができる。
【0077】
例示の安全システム240は、1つ以上の速度センサー348を更に備える。例示の速度センサー348は、一体化された速度監視センサー、冗長の速度監視センサー、及び/又はそれぞれ異なる速度監視センサーとすることができる。速度センサー348は、クロスヘッド速度を表す速度信号350を安全プロセッサ302に提供する。安全プロセッサ302は、モーター241が、機械の現在の動作モードによって決まる上限速度(例えば、モーター速度限界352)を越えないことを確保するために、速度信号350を監視する。例えば、上限速度の値は、材料試験システム100が制限状態にあるのか又は非制限状態にあるのかに依存することができる。いくつかの例では、異なる原理で動作する2つの速度センサーを材料試験システム100において使用して、センサー348が共通の原因故障を被ることを防止することができる。各速度センサー348の速度信号350は、安全プロセッサ302によって読み取られて比較され、速度信号350が一致していることが検証される。1つの速度センサー348が、別の速度センサー350と異なる速度を示している場合には、安全プロセッサ302は、(例えば、アクチュエーター無効回路308を介して)材料試験システム100を無効にする。
【0078】
例示のモーター運動限界352は、モーター241の回転速度又は回転角に関する限界を指定する速度及び/又は回転限界を含むことができる。モーター運動限界352に達すると、安全プロセッサ302は、モーター241の運動を停止する。いくつかの例では、モーター運動限界352は、トリガーされる限界の数が、モーター運動限界352をどの程度越えているかを示すマルチレベル限界である。いくつかの例では、第1レベル限界は、モーター241等の適用可能なアクチュエーター(又は全てのアクチュエーター)の動作を停止させるように安全プロセッサ302によってハンドリングされる。モーター241が、第1レベル限界を超えて移動し続け、第2レベル限界(例えば、許容可能範囲の外側の第1レベル限界よりも遠くにある)に達すると、モーター運動限界352は、アクチュエーター無効回路308及び/又はモーター制動回路316、及び/又はアクチュエーター無効回路326への直接接続(例えば、ハードウェア接続)をトリガーして、モーター241の2相無効化をトリガーすることができる。
【0079】
安全プロセッサ302が制限状態にて(例えば、無効状態、注意状態、又はセットアップ状態中の)材料試験システム100を制御しているとき、安全プロセッサ302はモーター241を無効にする。逆に、安全プロセッサ302が試験状態にて材料試験システム100を制御しているとき、安全プロセッサ202は、試験中に試験試料をモーター241が回転させることを可能にすることをモーターコントローラー354に行わせる制御信号356を提供する。例示のモーターコントローラー354は、(例えば、回転センサー358を介して)ねじり試験システム233を監視して、モーター241が所定の制限及び/又は所望の動作パラメーター内で動作することを確保することができる。モーターコントローラー354は、回転信号360を安全プロセッサ302に供給して、指示速度、力、角度等が実施されていることを検証する。
【0080】
いくつかの例では、モーターコントローラー354は、フットペダルスイッチを使用したオペレーター入力を介して制御される。例えば、フットペダルスイッチは、モーター241の回転のアクティブ化及び回転のアクティブ解除を行う個別のスイッチを備えることができる。これらのスイッチは、スイッチ間の妥当性のチェック及び/又はスイッチ内の潜在的な障害(例えば、電気的障害)の監視を行うために動的にパルス化することができる機械的にリンクされたスイッチとすることができる。
【0081】
安全プロセッサ302は、材料試験システム100への電力が無効にされると、モーター241の通電を遮断するようにモーターコントローラー354を更に制御する。例えば、安全プロセッサ302は、電力供給を受けているときにアクティブ化を可能にするが、材料試験システム100が電力供給を受けていないときはモーター241の回転が妨げられるようにアクチュエーターを通常時はアクティブ解除するように、(例えば、1つ以上のプログラム、回路等を介して)モーター241を制御することができる。
【0082】
例示の安全システム240は、ウォッチドッグ回路362を更に備える。ウォッチドッグ回路362は、周期的に、非周期的に、1つ以上のイベント若しくはトリガーに応答して、及び/又は他の任意の時点に安全プロセッサ302と通信して、安全プロセッサ302の動作を検証する。例えば、安全プロセッサ302は、ハートビート信号、又はウォッチドッグ回路362からの問いかけに対する応答を通信し、安全システム240が適切に動作していることをウォッチドッグ回路362に示すことができる。ウォッチドッグ回路362が、予想された信号を安全プロセッサ302から受信しない場合には、ウォッチドッグ回路362は、材料試験システム100を無効にし、オペレーターに通知する。
【0083】
例示の安全プロセッサ302、例示の緊急停止部322、例示のガードインターロック330、例示のモーター速度限界352、及び/又は例示のウォッチドッグ回路362は、アクチュエーター無効回路326に結合される(例えば、ハードウェアを介して接続される)。安全プロセッサ302、緊急停止部322、ガードインターロック330、クロスヘッド移動量限界352、及び/又はウォッチドッグ回路362のうちのいずれかが、それぞれの条件が、材料試験システム100を無効にするために(例えば、緊急停止スイッチ322のアクティブ化、ガード328のトリッピング、回転運動限界352の超過、及び/又はウォッチドッグ回路362のトリガー)満たされていると判断すると、アクチュエーター無効回路326が使用されて、モーター制動回路316及びアクチュエーター無効回路308がアクティブ化される。安全プロセッサ302は、材料試験システム100の状態が無効状態であると判断することができる。
【0084】
例示の制御プロセッサ238及び安全プロセッサ302は、別々のプロセッサとして示されているが、他の例では、制御プロセッサ238及び安全プロセッサ302は、単一のプロセッサ、又は、制御機能及び安全機能に分割されない一組のプロセッサに組み合わせることができる。さらに、制御プロセッサ238、安全プロセッサ302、及び/又は組み合わされたプロセッサは、1つ以上の専用機能を実行するアナログ回路類及び/又はデジタル回路類等の非処理回路類を備えることができる。
【0085】
図4A、4Bは、図1図3のねじり材料試験システムの状態を制御するために図3の安全プロセッサ302によって実行することができる例示の機械可読命令400を表すフローチャートを示している。例示の命令400は、複数の所定の状態から材料試験システムの状態を決定し、アクチュエーター(例えば、モーター241)に対して制限を実施し、アクチュエーターの制御を伴う動作の完了に応答してねじり材料試験システムの状態を制限状態(及び/又は制限状態サブグループのうちの1つ)に自動的に設定するために実行することができる。
【0086】
ブロック402において、材料試験システム100及び/又は1つ以上のサブシステムの電源をオンにすることができる。材料試験システム100の電源がオンにされていない場合には、ブロック402は、材料試験システム100がオンにされるまで反復する。材料試験システム100の電源をオンにされると(ブロック402)、ブロック404において、安全システム240は、材料試験システム100の状態を無効状態に設定し、1つ以上のアクチュエーター(例えば、回転モーター241、グリップアクチュエーター246)を無効にする。例えば、安全システム240は、アクチュエーター無効回路308をモーター241の通電遮断にデフォルト設定することができる。
【0087】
ブロック406において、安全プロセッサ302が初期化される。例えば、安全プロセッサ302は、障害チェック(例えば、入力、出力、及び/又は付属デバイスの開回路及び/又は閉回路のチェック)、冗長性チェック(例えば、冗長入力及び/又は冗長出力が一致しているとの判断)、及び/又は他の初期化プロセスを実行することができる。
【0088】
ブロック408において、安全プロセッサ302は、何らかの障害が安全システム240に検出される(例えば、初期化プロセス中に検出される)か否かを判断する。障害が検出された場合には(ブロック408)、安全プロセッサ302は障害アラートを(例えば、制御パネル250、コンピューティングデバイス104等を介して)出力する。例示の命令400は、その後、終了することができる。
【0089】
障害が検出されないときは(ブロック408)、ブロック411において、安全プロセッサ302は、材料試験システム100を無効状態からセットアップ状態に遷移させるオペレーター入力が受信されているか否かを判断する。例えば、安全プロセッサ302は、無効状態から遷移するために1つ以上の指定された入力(例えば、ロック解除ボタンの押圧)を必要とすることができる。オペレーター入力が受信されていない場合には(ブロック411)、ブロック411は、材料試験システム100が無効モードに留まっている間反復し、オペレーター入力を待ち受ける。
【0090】
オペレーター入力が受信されると(ブロック411)、ブロック412において、安全プロセッサ302は、材料試験システム100の状態をセットアップ状態に設定する。このセットアップ状態の設定に従って、安全プロセッサ302は、アクチュエーター(例えば、モーター241)を有効にし、アクチュエーターを制限し、状態を無効(例えば、状態インジケーター252を介して示されるセットアップ状態又は注意状態等の1つ以上のサブグループを含むことができる)として示す。いくつかの例では、安全プロセッサ302は、材料試験システム100の状態が無効状態又は制限状態であることに基づいて、オペレーター選択可能入力のうちの対応する入力(例えば、モードスイッチ254)を選択的に強調するように制御パネル250上の1つ以上の視覚インジケーターを制御する。例えば、安全プロセッサ302は、セットアップモードにおいてオペレーターが使用することができる入力(例えば、回転駆動システム101の手動回転)を強調するとともに、セットアップモードにおいて使用することができない入力(例えば、ジョグ機能)をあまり強調しないように視覚インジケーターを制御することができる。
【0091】
ブロック414において、安全プロセッサ302は、安全システム240の入力信号(例えば、センサー信号320、332、338、346、350)、フィードバック信号(例えば、フィードバック信号315、340、360)、及び/又は制御信号(例えば、制御プロセッサ238からの信号)を監視する。安全プロセッサ302は、例えば、安全プロセッサ302にねじり材料試験システム233の状態の変化を認識させるオペレーターコマンド及び/又は状態を識別するために上記信号を監視することができる。
【0092】
ブロック416において、安全プロセッサ302及び/又は制御プロセッサ238は、制限を用いて(例えば、低速度又は低圧力において)アクチュエーターを作動させるオペレーター制御信号が受信されているか否かを判断し、これにより、非制約(又はより少ない制約)状態(例えば、試験状態)に入るが試験プロセスの実行は伴わない。例えば、オペレーターは、モーター241を介して低速ジョグでクロスヘッド244を回転させる1つ以上のモードスイッチ254を選択することができる。アクチュエーターを作動させるオペレーター制御信号が受信されている場合には(ブロック416)、ブロック418において、制御プロセッサ238は、安全プロセッサ302によって適用される制限(例えば、速度制限、力制限、オペレータークリアランス制限)に従ってアクチュエーターを制御する。
【0093】
ブロック420において、安全プロセッサ302は、制御される作動の表示を出力する。例えば、安全プロセッサ302は、点滅するように状態インジケーター252のうちの1つ以上を制御し、コンピューティングデバイス104に作動の表示を出力させ、及び/又は他の任意の表示を提供することができる。
【0094】
ブロック422において、安全プロセッサ302は、安全システム240の入力信号(例えば、センサー信号320、332、338、346、350)、フィードバック信号(例えば、フィードバック信号315、340、360)、及び/又は制御信号(例えば、制御プロセッサ238からの信号)を監視する。ブロック424において、安全プロセッサ302は、作動が終了したか否かを判断する。例えば、安全プロセッサ302は、モードスイッチ254をパルス化して、オペレーター制御信号のうちの1つ以上が変化したか否かを判断することができ、及び/又は、入力信号及びフィードバック信号を監視して、ガード及び/又はインターロックのトリガー、障害、及び/又は作動の中断を引き起こす他の任意のイベントを識別することができる。作動が終了していない場合には(ブロック418)、制御はブロック418に戻り、アクチュエーターの制御を継続する。作動が終了すると(ブロック424)、安全プロセッサ302は制御をブロック412に戻す。
【0095】
図4Bを参照すると、アクチュエーターを作動させるオペレーター制御信号が受信されていない場合には(ブロック416)、ブロック426において、安全プロセッサ302及び/又は制御プロセッサ238は、軽減された制限を用いて(例えば、高速度又は高圧力において試験プロセスを実行するために)アクチュエーターを作動させるオペレーター制御信号が受信されているか否かを判断する。例えば、試験状態に入って試験を行うオペレーター入力を受信することができる。軽減された制限を用いてアクチュエーターを作動させるオペレーター制御信号が受信されていない場合には(ブロック426)、制御はブロック412に戻る。
【0096】
軽減された制限を用いてアクチュエーターを作動させるオペレーター制御信号が受信された場合には(ブロック426)、ブロック428において、安全プロセッサ302は、材料試験システム100の状態を試験状態に設定し、グリップアクチュエーター246、アクチュエーター制限を低減する。いくつかの例では、安全プロセッサ302は、試験状態では、モーター241及び/又はグリップアクチュエーター246を制御プロセッサ238によって制御することを可能にする。例示の安全プロセッサ302は、材料試験システム100が試験状態にあることを示すように状態インジケーター252を更に制御する。
【0097】
ブロック430において、安全プロセッサ302及び/又は制御プロセッサ238は、ねじり材料試験(例えば、軽減された制限を用いる)及び/又は軽減された制限を用いる別の動作(例えば、クロスヘッド244の高速ジョグ)の実行を始動するオペレーター制御信号が受信されたか否かを判断する。例えば、大きな回転力を伴うプログラミングされた材料試験を行うオペレーター入力及び/又はコンピューティングデバイス104からの入力を受信することができる。
【0098】
ねじり強さ材料試験及び/又は別の動作を行うオペレーター制御信号が受信された場合には(ブロック430)、ブロック432において、安全プロセッサ302は、材料試験システム100の状態を試験状態に設定し、アクチュエーター(例えば、モーター241、グリップアクチュエーター246)を有効にする。例示の安全プロセッサ302は、材料試験システム100が試験状態にあることを示すように状態インジケーター252を更に制御する。
【0099】
ブロック434において、制御プロセッサ238は、プログラミングされた試験及び/又は別の動作(例えば、低減及び/又は除去された制限を用いる)を行うようにアクチュエーターを制御する。ブロック436において、安全プロセッサ302は、進行中の材料試験の表示を出力する。例えば、安全プロセッサ302は、点滅するように状態インジケーター252のうちの1つ以上を制御することができ、コンピューティングデバイス104に非制限作動の表示を出力させることができ、及び/又は他の任意の表示を提供することができる。
【0100】
ブロック438において、安全プロセッサ302は、安全システム240の入力信号(例えば、センサー信号320、332、338、346、350)、フィードバック信号(例えば、フィードバック信号315、340、360)、及び/又は制御信号(例えば、制御プロセッサ238からの信号)を監視する。ブロック440において、安全プロセッサ302は、ねじり強さ材料試験及び/又は他の動作が終了したか否かを判断する。例えば、安全プロセッサ302は、モードスイッチ254をパルス化して、オペレーター制御信号のうちの1つ以上が変化したか否かを判断することができ、及び/又は入力信号及びフィードバック信号を監視して、ガード及び/又はインターロックのトリガー、障害、及び/又は作動の中断を引き起こす他の任意のイベントを識別することができる。作動が終了した場合には(ブロック440)、制御は、ブロック434に戻って、材料試験及び/又は他の動作を行うことを継続する。
【0101】
作動が終了すると(ブロック440)、安全プロセッサ302は、状態をセットアップ状態等の制限状態に自動的に変更し、制御をブロック412に戻す。
【0102】
図5は、図2、3の制御パネル250を実装するのに使用することができる一例示のオペレーターインターフェース500を示している。オペレーターインターフェース500は、例示の試験装置102に取り付けることもできるし、試験装置に近接して配置することもできる(図1のオペレーターインターフェース107等)し、及び/又は試験装置102から遠隔に配置することもできる。例えば、オペレーターインターフェース500は、試験装置102のベース上に組み込み式のオペレーターパネル又はスイッチとして実装することができる。
【0103】
例示のオペレーターインターフェース500は、入力を図2及び/又は図3の制御プロセッサ238及び/又は安全システム240に提供する複数の入力デバイス(例えば、ボタン、スイッチ等)を備える。例示の入力デバイスは、状態制御ボタン502を備える。この状態制御ボタン502は、制限状態(例えば、無効状態、注意状態、及び/又はセットアップ状態)から非制限状態(例えば、試験状態)への遷移を制御し、非制限状態を伴う動作を実行するために使用されることが要求される場合がある。状態制御ボタン502は、非制限状態での材料試験システムの使用を可能にする「ロック解除」ボタン又は安全入力装置とみなすことができる。
【0104】
ジョグボタン504、506は、クロスヘッド244を回転式に(例えば、上方向若しくは下方向、左方向若しくは右方向、及び/又はモーター及びクロスヘッドの相対方位に基づく他の方向に)ジョグさせるようにモーター241を制御する。例えば、モーター241は、回転クロスヘッド移動の場合、右回転方向若しくは左回転方向に転回することができる。ジョグボタン504、506は、個別に押下されると、クロスヘッド244を低速(例えば、安全プロセッサ302によって決定される)で右回転方向及び左回転方向に移動させるように制御する。ジョグボタン504、506が、状態制御ボタン502と同時に押下されると、安全プロセッサ302は、モーター241に対する速度制限を低減し、より高速でのクロスヘッド244のジョグを可能にすることができる。例示のジョグボタン504、506は、方向入力装置としての機能を果たすことができる。いくつかの例では、オペレーターインターフェース500は、本明細書において開示されるように、ねじり材料試験システムだけでなく、軸方向試験システム等の非回転試験システムも制御することができる。
【0105】
本明細書において使用される場合、「同時に」受信されるとは、双方の入力が任意の所与の時点にアクティブ化又は押下されることを指し、双方のボタンが最初に正確に同じ瞬間に押下されなければならないことを必ずしも指さない。
【0106】
開始ボタン508は、材料試験を開始するように制御プロセッサ238を制御する。復帰ボタン510は、クロスヘッド244を所定の回転位置に復帰させるように制御プロセッサ238を制御し、この復帰は、低速又は高速で行うことができる。いくつかの例では、安全プロセッサ302は、開始ボタン508及び/又は復帰ボタン510が状態制御ボタン502とともに押下されることを必要とする。停止ボタン512は、動作中の試験を停止又は一時停止するように制御プロセッサ238を制御する。緊急停止スイッチ514は、図3の緊急停止スイッチ322を実装するために含めることができる。
【0107】
オペレーターインターフェース500は、材料試験システム100の現在の状態の表示を出力する状態インジケーター516~522を更に備える。例示の状態インジケーター516~522は、安全プロセッサ302が判断することができる材料試験システム100の状態のそれぞれを表すライトである。図5の例では、オペレーターインターフェース500は、無効状態インジケーター516と、セットアップ状態インジケーター518と、注意状態インジケーター520と、試験状態インジケーター522とを備える。状態インジケーター516~522のそれぞれは、材料試験システム100が対応する状態にあると安全プロセッサ302が判断したときに点灯され、現在の状態に対応していない状態インジケーター516~522は消灯される。状態インジケーターは、4つの個別のインジケーターとして示されているが、単一のインジケーター(例えば、状態の変化に応答して変化する1つ以上の特性に関する)、又は2つのインジケーターであって、1つは制限状態に対応し、1つは非制限状態に対応する、2つのインジケーターとすることができる。いくつかの例では、状態インジケーターは、材料試験システム100及び全てのサブシステム(例えば、ねじり及び/又は軸方向試験システム)の動作状態を示す。いくつかの例では、状態インジケーターは、ねじり試験システム又は軸方向試験システムの動作状態を示す。いくつかの例では、2つ以上の状態インジケーターは、特定の試験システムに固有のものとして示される。
【0108】
図6は、図2、3の制御パネル250を実装するのに使用することができる別の例示のオペレーターインターフェース600を示している。この例示のオペレーターインターフェース600は、限られた一組の入力デバイス(例えば、ボタン、スイッチ等)を有するハンドセットとすることができる。オペレーターインターフェース600は、例示の試験装置102に取り付けることもできるし、試験装置に近接して配置することもできるし、及び/又は試験装置102から遠隔に配置することもできる。オペレーターインターフェース600は、状態制御ボタン602(例えば、図5の状態制御ボタン502と類似又は同一)と、ジョグボタン604、606(例えば、ジョグボタン504、506と類似又は同一)と、開始ボタン608(例えば、開始ボタン508と類似又は同一)と、復帰ボタン610(例えば、復帰ボタン510と類似又は同一)とを備える。
【0109】
オペレーターインターフェース500、600は、追加又は代替の機能をオペレーターに提供することができるカスタムボタン612を備えることができる。いくつかの例では、追加又は代替の機能は、制限状態のうちの1つ以上の制限を受ける。図6の例では、カスタムボタン609は回転ジョグボタンとして、一方、カスタムボタン611は回転復帰ボタンとして、どちらもねじり材料試験システム233のモーター241を制御するように構成される。
【0110】
図7は、材料試験システム100のスタートアップルーチン中の図1の例示の材料試験システム100と、図5、6のオペレーターインターフェースとを示している。材料試験システム100は、電源を投入され、無効状態において初期化される。無効状態では、無効インジケーター516が(例えば、白色に)点灯され、材料試験システムが無効状態にあることを示す。いくつかの例では、インターフェースがねじり試験システム233の制御を対象とする場合等、2つのインジケーター(制限及び非制限)のみが提示される。加えて、図1、2のコンピューティングデバイス104、200上で実行されるユーザーインターフェース700は、材料試験システム100が無効状態にあることを示す目立つ(prominent)動作インジケーター702も含む。例示のオペレーターインターフェース500及び600は、押圧されたときに機能を提供するボタンのみを点灯又は強調する。電源投入ステージ(例えば、無効状態)においては、状態制御ボタン602のみが機能している。電力投入イベントに加えて、無効状態は、緊急停止スイッチがトリガーされたとき、ガードシステムがトリガーされたとき、障害に応答して、及び/又は状態を無効状態に設定することによって安全プロセッサ302が応答する他の任意のイベントに応答して生じることができる。
【0111】
オペレーターが状態制御ボタン602を押圧すると、安全プロセッサ302は、システムをセットアップ状態に変更する。図8は、材料試験システム100のセットアップ状態における図1の例示の材料試験システム100と、図5、6のオペレーターインターフェース500、600とを示している。安全プロセッサ302が状態をセットアップ状態に設定した後、安全プロセッサ302は、(例えば、青色又は緑色に)点灯してセットアップ状態をオペレーターに示すようにセットアップインジケーター518を制御する。加えて、ユーザーインターフェース700は、材料試験システム100がセットアップ状態(例えば、セットアップの準備完了)にあることを示す目立つ表示802を含む。セットアップ状態では、追加の制御ボタンが強調又は点灯され(例えば、ジョグ)、追加の機能が現在利用可能であることを示す。いくつかの例では、ねじり試験システム233が制限状態に留まりながら、非回転試験システムは、セットアップ状態(例えば、軸方向試験システム)において動作することができる。
【0112】
図9は、試験状態(又は、いくつかの例では、注意状態)において軽減された制限を用いてクロスヘッド244をジョグさせている間の図1の例示の材料試験システム100と、図5、6のオペレーターインターフェースとを示している。例えば、いくつかの用途では、安全システム240を回避しようとする動機をなくすために、安全プロセッサ302は、試験状態において1つ以上の制限を低減して、クロスヘッド244の回転ジョグを可能にすることができる。材料試験システム100が、図9に示す試験状態にある間、オペレーターは、状態制御ボタン602及びジョグボタン609を同時に押圧することができる。ボタン602と609との組み合わせに応答して、制御プロセッサ238は、クロスヘッド244を回転させるようにモーター241を制御し、安全プロセッサ302は、材料試験システム100の状態を試験状態(又は、いくつかの例では、注意状態)に設定し、モーター241に適用される制限を低減する。その結果、モーター241は、命令された方向にクロスヘッドを回転させることが可能になる。安全プロセッサ302は、試験インジケーター522(又は、いくつかの例では、注意インジケーター520)を点灯及び/又は点滅するように更に制御し、ユーザーインターフェースソフトウェアは、材料試験システム100がジョグ移動を行っていることを示す目立つ危険インジケーター1002を含む。これは、テキスト、表示1002及び/又は試験インジケーター522(又は、いくつかの例では、注意インジケーター520)の点滅、及び/又は他の任意の強調を含むことができる。いくつかの例では、危険インジケーター1002は、特定の潜在的な危険を警告するアクティブ警告ラベルを連続して表示することができる。
【0113】
オペレーターが状態制御ボタン602を解除した場合には、ジョグ移動は、試験状態において軽減された制限を用いて継続することができる。オペレーターがジョグボタン609を解除すると、制御プロセッサ238はジョグ移動を停止し、安全プロセッサ302は、材料試験システム100の状態をセットアップ状態に自動的に設定し、制限を元に戻す。いくつかの他の例では、オペレーターが状態制御ボタン602又はジョグボタン609のいずれかを解除すると、安全プロセッサ302は、材料試験システム100の状態をセットアップ状態に自動的に設定し、対応する制限を元に戻す。
【0114】
図10A図10B、及び図10Cは、材料試験を開始するために無効状態及び/又はセットアップ状態から試験状態に進行中の図1の例示の材料試験システム100と、オペレーターインターフェース500、600とを示している。図10Aに示す例示のセットアップ状態は、試料106がグリップ248に握持されることを除いて、図8に示すセットアップ状態と同様又は同一のものとすることができる。
【0115】
オペレーターは、最初に状態制御ボタン602を押圧し、次に開始ボタン608を押圧することによって材料試験を開始することができる。安全プロセッサ302は、状態制御ボタン602の押圧に応答して注意インジケーター520を点灯するように制御し(図10B)、ユーザーインターフェース700は、試験状態及び/又は注意状態の表示1304(例えば、黄色の枠線及び/又はアクティブ警告のオーバーレイ)を表示する。開始ボタン608のその後の押圧に応答して、安全プロセッサ302は、次に、試験インジケーター522の点灯に移行し(図10C)、ユーザーインターフェース700は、試験状態の表示1306(例えば、赤色の枠線及び/又はアクティブ警告のオーバーレイ)を表示する。制御プロセッサ238は、次に、安全プロセッサ302が状態を試験状態(例えば、非制限駆動モード)に設定すると、構成された試験の実行に進むことができる。ユーザーインターフェース700におけるオーバーレイは、ユーザーが進行中の試験測定をユーザーインターフェース700上で観察することを可能にするために、或る期間の後に除去することができる。一方、安全プロセッサ302は、試験中に他の視覚警告、可聴警告、及び/又はそれ以外の知覚可能警告の提供(例えば、試験インジケーター522の表示又は点滅、ユーザーインターフェース700上の表示1306のような赤色の枠線の表示又は点滅)を継続することができる。
【0116】
いくつかの例では、制御プロセッサ238は、伸び計の除去等の試料106とのオペレーターインタラクション用に試験を一時停止する試験方法を用いて構成することができる。試験が、インタラクションが必要とされる点に達すると、制御プロセッサ238は、試験を一時停止する(例えば、モーター242による作動を中止する)。一時停止点に達すると、安全プロセッサ302は、材料試験システム100をセットアップ状態に設定し、ユーザーインターフェース700は、試験が一時停止されていることを示すものを表示する。加えて又は代替的に、安全プロセッサ302は、試験が一時停止状態にあり、完了していないことを視覚的に示す(例えば、ライトアップする、点滅する)ようにセットアップインジケーター518を制御することができる。
【0117】
オペレーターは、その後、状態制御ボタン602(例えば、ロック解除)と開始ボタン608とを同時に押圧することによって試験を再開することができる。安全プロセッサ302及び制御プロセッサ238は、その後、上述したような試験の開始と同じインジケーターのシーケンスを使用して試験を再開することができる。いくつかの例では、状態制御ボタン602が押圧されると、ユーザーインターフェース700は、システムが注意状態にあることと、試験が一時停止されていることとを示すものを表示する。
【0118】
試験が完了すると、安全プロセッサ302は、状態をセットアップ状態に自動的に設定し、関連付けられた制限を適用する。
【0119】
図11A図11B、及び図11Cは、クロスヘッド244を所望の位置(例えば、径方向及び/又は軸方向位置)に復帰させるためにセットアップ状態から試験状態に進んでいる間の図1の例示の材料試験システムと、図5、6のオペレーターインターフェース500、600とを示している。以前の試験が終了した後、材料試験システム100は、セットアップインジケーター518の点灯によって示されるセットアップ状態又は無効状態に設定される。クロスヘッド244は、例えば、前の試験が完了したロケーションに位置決めすることができる。セットアップ状態では、オペレーターは、安全プロセッサ302によって適用される制限を用いて、試料を除去し、及び/又は、試験装置102及び/又はオペレーターインターフェース500、600とインタラクトすることが可能になる。
【0120】
オペレーターがクロスヘッド244を所望の位置に復帰させる(例えば、別の試験を行う)準備ができると、オペレーターは、状態制御ボタン602と復帰ボタン611(回転運動のために)及び/又は復帰ボタン610(軸方向運動のために)とを同時に又は順次押圧することによって復帰を開始することができる。安全プロセッサ302は、状態制御ボタン602の押圧に応答して注意インジケーター520を点灯する(図11B)ように制御し、ユーザーインターフェース700は、注意状態の表示1402(例えば、黄色の枠線及び/又はアクティブ警告のオーバーレイ)を表示する。復帰ボタン611及び/又は610のその後の押圧に応答して、安全プロセッサ302は、次に、試験インジケーター522の点灯(図11C)に移行し、ユーザーインターフェース700は、試験状態の表示1404(例えば、赤色の枠線及び/又はアクティブ警告のオーバーレイ)を表示する。制御プロセッサ238は、次に、安全プロセッサ302が状態を試験状態(例えば、非制限駆動モード)に設定すると、クロスヘッド244を低減又は除去された速度制限を用いて移動させるようにモーター241を制御することに進むことができる。
【0121】
クロスヘッド244が所望の位置(例えば、試験開始位置)に到達した後、安全プロセッサ302は、状態をセットアップ状態に自動的に設定する。
【0122】
材料試験システム100は、有効にされ動作する安全機能を一貫して(例えば、絶えず)有するが、安全システム240によって使用されるパラメーターのうちのいくつかは、所望のインタラクション(例えば、デフォルトのジョグ速度よりも低速のジョグ速度)を提供するように調整可能とすることができる。例示のコンピューティングデバイス104は、アドミニストレーター又は他の権限を有するオペレーターが安全システム240のいくつかのパラメーターを制御することを可能にすることができる。
【0123】
コンピューティングシステム104は、安全システムパラメーターの構成のためのインターフェースを提供することができるが、例示のコンピューティングシステム104は、パラメーターの実施に参加しない。安全システム240のパラメーターをデフォルトパラメーターから変更するには、権限を有するオペレーター又はアドミニストレーターは、変更を加えようとする権限を有するオペレーターを認証するソフトウェアセキュリティシステムを有効にすることが必要とされる場合がある。
【0124】
セキュリティシステムが有効にされると、オペレーターは、ジョグレート、グリップ圧力、制御点(例えば、ローカル又はリモート)、インターロック挙動(可動ガード)、及び/又は材料試験の開始等の動作を行うときの通知を却下するか否か等のパラメーターを変更することができる。変更前及び/又は変更後に、セキュリティシステムは、設定の変更を実施のために安全システム240に委ねることを可能にする有効な認証情報の入力を必要とする。安全システム240は、構成変更を記憶するためにシャットダウンされる場合があり、その結果、材料試験システム100の状態は無効状態に変化する。
【0125】
変更用のセキュリティシステムは、アドミニストレーター又は他の権限を有するオペレーターが特定のリスクアセスメントと一致した方法で安全システムを構成することを可能にするキーレスシステムであり、標準的なオペレーターがこれらの設定を無効にすることを防止する。キーレス管理機能は、キー又は選択制御を使用する従来の安全システムに起こる可能性がある偶然の誤用及び/又は意図的な誤用を防止する。
【0126】
本方法及びシステムは、ハードウェア、ソフトウェア、及び/又はハードウェア及びソフトウェアの組み合わせで実現することができる。本方法及び/又はシステムは、少なくとも1つのコンピューティングシステムにおいて集中的に、或いは、複数の相互接続されたコンピューティングシステムにわたって異なる要素が分散される分散的に、実現することができる。本明細書に記載した方法を実行するように適合された任意の種類のコンピューティングシステム又は他の装置が適している。ハードウェア及びソフトウェアの典型的な組み合わせは、汎用コンピューティングシステムを、ロードされ実行されるとコンピューティングシステムを本明細書に記載した方法を実行するように制御するプログラム又は他のコードとともに、含むことができる。別の典型的な実施態様は、特定用途向け集積回路又はチップを含むことができる。いくつかの実施態様は、非一時的機械可読(例えば、コンピューター可読)媒体(例えば、フラッシュドライブ、光ディスク、磁気記憶ディスク等)を含むことができ、そうした非一時的機械可読媒体は、機械によって実行可能なコードの1つ以上のラインを記憶し、それにより、機械に、本明細書に記載したようなプロセスを実施させる。本明細書において使用される場合、「非一時的機械可読媒体」という用語は、全てのタイプの機械可読記憶媒体を含み、伝播信号を排除するように定義される。
【0127】
本明細書において使用される場合、「回路」及び「回路類」という用語は、物理的な電子構成要素(すなわち、ハードウェア)と、ハードウェアを構成することができ、ハードウェアが実行することができ、及び/又は他の方法でハードウェアに関連付けることができる、任意のソフトウェア及び/又はファームウェア(「コード」)とを指す。本明細書において使用される場合、例えば特定のプロセッサ及びメモリは、コードの第1の1つ以上のラインを実行しているとき、第1の「回路」を含むことができ、コードの第2の1つ以上のラインを実行しているとき、第2の「回路」を含むことができる。本明細書において使用される場合、「及び/又は」は、「及び/又は」によって連結されるリストにおける項目のうちの任意の1つ以上の項目を意味する。一例として、「x及び/又はy」は、3つの要素の組{(x),(y),(x,y)}のうちの任意の要素を意味する。言い換えれば、「x及び/又はy」は、「x及びyのうちの一方又は両方」を意味する。別の例として、「x、y及び/又はz」は、7つの要素の組{(x),(y),(z),(x,y),(x,z),(y,z),(x,y,z)}のうちの任意の要素を意味する。言い換えれば、「x、y及び/又はz」は、「x、y及びzのうちの1つ以上」を意味する。本明細書において使用される場合、「例示的な」という用語は、非限定的な例、事例又は例証としての役割を果たすことを意味する。本明細書において使用される場合、「例えば」という用語は、1つ以上の非限定的な例、事例又は例証のリストを開始する。本明細書において使用される場合、回路類は、或る機能を実施するために必要なハードウェア及びコード(いずれかが必要である場合)を含む場合はいつでも、その機能の実施が(例えば、ユーザーが構成可能な設定、工場トリム等により)無効にされる又は有効にされていないか否かにかかわらず、回路類はその機能を実行するように「動作可能」である。
【0128】
本方法及び/又はシステムを、或る特定の実施態様を参照して記載してきたが、当業者であれば、本方法及び/又はシステムの範囲から逸脱することなく、種々の変更を行うことができること及び均等物に置き換えることができることを理解するであろう。例えば、開示した例のブロック及び/又は構成要素を、組み合わせ、分割し、再配置し、及び/又は他の方法で変更することができる。加えて、本開示の範囲から逸脱することなく、本開示の教示に対して特定の状況又は材料を適合させるように多くの改変を行うことができる。したがって、本方法及び/又はシステムは、開示されている特定の実施態様に限定されない。代わりに、本方法及び/又はシステムは、字義どおりにでも均等論のもとにおいても、添付の特許請求の範囲内に入る全ての実施態様を含む。
【符号の説明】
【0129】
100 材料試験システム
101 回転駆動システム
102 試験装置
104 コンピューティングデバイス
106 試験対象材料
107 オペレーターインターフェース
200 コンピューティングデバイス
202 安全プロセッサ
204 機械可読命令
206 ランダムアクセスメモリ
208 リードオンリーメモリ
210 大容量記憶装置
212 バス
214 ネットワークインターフェース
216 I/Oインターフェース
218 通信ネットワーク
220 I/Oデバイス
222 機械可読媒体
224 表示装置
228 フレーム
230 ロードセル
232 変位トランスデューサー
233 材料試験システム
234 クロスメンバーローダー
236 材料固定具
238 制御プロセッサ
240 安全プロセッサ
241 モーター
242 モーター
243 モーターブレーキ
244 クロスヘッド
246 グリップアクチュエーター
248 空気圧グリップ
250 制御パネル
252 状態インジケーター
254 モードスイッチ
302 安全プロセッサ
304a 処理コア
304b 処理コア
306a 冗長命令
306b 冗長命令
308 アクチュエーター無効回路
310 電力増幅器
312 モーター制御信号
314 STO信号
315 STOフィードバック信号
316 モーター制動回路
318 緊急停止部
320 緊急停止入力信号
321 緊急停止出力信号
322 緊急停止スイッチ
324 緊急停止検出回路
326 アクチュエーター無効回路
328 ガード
330 ガードインターロック
332 インターロック信号
338 モードスイッチ入力信号
340 インジケーターフィードバック信号
342 出力インジケーター信号
344 電源モニター
346 電源ステータス信号
348 速度センサー
350 速度信号
352 モーター運動限界
354 モーターコントローラー
356 制御信号
358 回転センサー
360 回転信号
362 ウォッチドッグ回路
400 機械可読命令
500 オペレーターインターフェース
502 状態制御ボタン
504 ジョグボタン
506 ジョグボタン
508 開始ボタン
510 復帰ボタン
512 停止ボタン
514 緊急停止スイッチ
516 無効状態インジケーター
518 セットアップ状態インジケーター
519 状態インジケーター
520 注意状態インジケーター
521 状態インジケーター
522 試験状態インジケーター
600 オペレーターインターフェース
602 状態制御ボタン
602 ボタン
604 ジョグボタン
606 ジョグボタン
608 開始ボタン
609 ジョグボタン
610 復帰ボタン
611 復帰ボタン
612 カスタムボタン
700 ユーザーインターフェース
702 動作インジケーター
図1
図2
図3
図4A
図4B
図5
図6
図7
図8
図9
図10A
図10B
図10C
図11A
図11B
図11C
【国際調査報告】