(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-11-02
(54)【発明の名称】活性化トレイ停滞モニタリングシステム
(51)【国際特許分類】
B65G 43/00 20060101AFI20231026BHJP
H01M 10/04 20060101ALI20231026BHJP
H01M 10/058 20100101ALN20231026BHJP
【FI】
B65G43/00 Z
H01M10/04 Z
H01M10/058
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023522394
(86)(22)【出願日】2022-07-15
(85)【翻訳文提出日】2023-04-13
(86)【国際出願番号】 KR2022010363
(87)【国際公開番号】W WO2023003287
(87)【国際公開日】2023-01-26
(31)【優先権主張番号】10-2021-0094357
(32)【優先日】2021-07-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521065355
【氏名又は名称】エルジー エナジー ソリューション リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】弁理士法人RYUKA国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】キム、テ スン
(72)【発明者】
【氏名】オー、ヨーン ジョン
(72)【発明者】
【氏名】ジュン、ジ ヒェ
(72)【発明者】
【氏名】オー、ウーン グン
(72)【発明者】
【氏名】イェオ、サン ウク
【テーマコード(参考)】
3F027
5H028
5H029
【Fターム(参考)】
3F027AA03
3F027CA05
3F027DA32
3F027EA01
3F027EA09
3F027FA12
3F027FA13
5H028BB18
5H029AJ14
5H029CJ30
(57)【要約】
本発明は活性化トレイ停滞モニタリングシステムに関するものであって、複数個の電池セルがそれぞれ収容された複数個の活性化トレイを活性化工程およびその後続工程に移送させるトレイ移送ライン;上記複数個の活性化トレイの間に配置され、上記活性化トレイとともに上記トレイ移送ラインに沿って移送されるマスタートレイ;上記マスタートレイに備えられてマスタートレイの位置を感知し、その位置データを送信できる位置感知センサ;および上記位置感知センサから位置データを受信してマスタートレイの位置をリアルタイムでモニタリングして上記の活性化トレイの停滞区間を確認できる管制部を含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数個の電池セルがそれぞれ収容された複数個の活性化トレイを活性化工程およびその後続工程に移送させるトレイ移送ラインと、
前記複数個の活性化トレイの間に配置され、前記活性化トレイとともに前記トレイ移送ラインに沿って移送されるマスタートレイと、
前記マスタートレイに備えられて前記マスタートレイの位置を感知し、その位置データを送信できる位置感知センサと、
前記位置感知センサから位置データを受信して前記活性化トレイの停滞区間を確認できる管制部と、を含む、活性化トレイ停滞モニタリングシステム。
【請求項2】
前記トレイ移送ラインは、主移送ラインと、前記主移送ラインから前記活性化工程およびその後続工程の各細部工程の遂行のために分岐される分岐移送ラインおよび前記細部工程の遂行後に前記主移送ラインに復帰する復帰移送ラインを具備する、請求項1に記載の活性化トレイ停滞モニタリングシステム。
【請求項3】
前記マスタートレイは前記活性化トレイと同一種類のものであって、電池セルが収容されるか収容されないトレイである、請求項1に記載の活性化トレイ停滞モニタリングシステム。
【請求項4】
前記位置感知センサは所定の周期または所定の移動距離ごとに前記マスタートレイの位置データを送信する、請求項1に記載の活性化トレイ停滞モニタリングシステム。
【請求項5】
前記管制部は前記位置データに基づいて前記活性化トレイの停滞区間の発生の有無を判定する停滞判定ユニットを含む、請求項4に記載の活性化トレイ停滞モニタリングシステム。
【請求項6】
前記停滞判定ユニットは、前記管制部に受信された位置データの変化および位置データの受信周期に基づいて前記マスタートレイの移動速度を算出し、前記移動速度が設定された基準移動速度値未満である場合、前記マスタートレイが含まれた前記トレイ移送ラインの一定区間を前記活性化トレイの停滞区間として判定する、請求項5に記載の活性化トレイ停滞モニタリングシステム。
【請求項7】
前記停滞判定ユニットは、前記管制部に受信された位置データの受信周期を測定し、前記受信周期が設定された基準周期値を超える場合、前記マスタートレイが含まれた前記トレイ移送ラインの一定区間を前記活性化トレイの停滞区間として判定する、請求項5に記載の活性化トレイ停滞モニタリングシステム。
【請求項8】
前記トレイ移送ライン上にまたは前記トレイ移送ラインに隣接して前記位置感知センサから位置データを受信し、前記管制部にその位置データを送信する位置データ送受信機をさらに含む、請求項2に記載の活性化トレイ停滞モニタリングシステム。
【請求項9】
前記位置データ送受信機は前記主移送ライン、分岐移送ラインおよび復帰移送ライン別に少なくとも1つ以上設置される、請求項8に記載の活性化トレイ停滞モニタリングシステム。
【請求項10】
前記位置感知センサは前記位置データを超広帯域短距離無線通信によって管制部に送信する、請求項1に記載の活性化トレイ停滞モニタリングシステム。
【請求項11】
前記停滞判定ユニットによって停滞区間の発生が判定された場合、警報を発生させる警報部をさらに含む、請求項5に記載の活性化トレイ停滞モニタリングシステム。
【請求項12】
前記警報は前記トレイ移送ライン上のトレイ物流移送を制御する工場統合管制システムの制御ディスプレイ画面上に表示されるか携帯用端末機上に文字メッセージで表示される、請求項11に記載の活性化トレイ停滞モニタリングシステム。
【請求項13】
前記マスタートレイに衝撃による振動を感知してその衝撃データ値を送信できる衝撃感知センサが設置され、
前記管制部は前記衝撃データ値を受信して前記活性化トレイの異常衝撃発生区間をリアルタイムでモニタリングできる、請求項1に記載の活性化トレイ停滞モニタリングシステム。
【請求項14】
前記管制部は前記衝撃感知センサからの衝撃データ値が設定された基準値超過である場合、前記マスタートレイが含まれた前記トレイ移送ラインの一定区間を異常衝撃発生区間として判定する衝撃判定ユニットを含む、請求項13に記載の活性化トレイ停滞モニタリングシステム。
【請求項15】
前記異常衝撃発生区間の位置は前記位置感知センサが感知した位置データに連係して特定される、請求項14に記載の活性化トレイ停滞モニタリングシステム。
【請求項16】
前記衝撃感知センサは前記位置感知センサと一体に設置される、請求項15に記載の活性化トレイ停滞モニタリングシステム。
【請求項17】
前記衝撃判定ユニットによって異常衝撃区間の発生が判定された場合、警報を発生させる警報部をさらに含む、請求項14に記載の活性化トレイ停滞モニタリングシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は活性化トレイ停滞モニタリングシステムに関するものである。
【0002】
より詳細には、複数個の電池セルがそれぞれ収容された複数個の活性化トレイを活性化工程およびその後続工程に移送させるトレイ移送ラインで活性化トレイの停滞区間をリアルタイムで確認できる、活性化トレイ停滞モニタリングシステムに関する。
【0003】
本出願は2021年7月19日付の韓国特許出願第10-2021-0094357号に基づいた優先権の利益を主張し、該当韓国特許出願の文献に開示されたすべての内容は本明細書の一部として含まれる。
【背景技術】
【0004】
一般的に二次電池は外形により大きく円筒形電池、角型電池、パウチ型電池などに分類され、電解液の形態によりリチウムイオン電池、リチウムイオンポリマー電池、リチウムポリマー電池などに分類されたりもする。
【0005】
最近では、スタック型またはスタック/フォールディング型電極組立体をパウチ型電池ケースに内蔵した構造のパウチ型電池が低い製造費、小さい重量、容易な形態変形などを理由としてその使用量が次第に増加している。
【0006】
このような電池セルはその電池セルの特性を付与するために、電池組立工程後に活性化工程と良品出荷のための後続工程を経る。
【0007】
具体的には、電池ケースに電極組立体と電解液が共に収納された構造の1次電池セルを準備する工程、上記1次電池セルに対するエージング(aging)工程、上記1次電池セルを充放電する工程などの細部工程を含む活性化工程を経て製造される。引き続き、上記エージング工程および充放電工程で発生したガスを除去するための脱気(degasing)工程、良品をのみ出荷するために、OCVの変化値(電圧降下量)測定、バッテリーの内部抵抗測定などの多様な特性測定のための特性測定工程を含む後続工程を経て最終的な製品として出荷される。
【0008】
このとき、
図1に図示された通り、複数の電池セル10が収納されている活性化トレイ20が収容された状態でコンベヤなどの移動手段によって上記活性化工程および後続工程の各細部工程に移動することになる。
【0009】
図2および
図3は、従来の二次電池の製造過程で電池ケースに電極組立体を収納した状態で電解液を注入し電池ケースをシーリングして、パッケージングされたセル10が活性化トレイ20に収容されて活性化工程および後続工程に移送される物流システムの一例を示す。
【0010】
図2に図示された通り、活性化トレイ20はトレイ移送ライン100の主移送ライン110に沿って移送されてから、分岐移送ライン120に移送されて各細部工程に投入され、各細部工程を終えた複数個の電池セルが収容された活性化トレイ20は復帰移送ライン130を通じて再び主移送ライン110に復帰して次の工程に移送される。
【0011】
このとき、
図3に図示された通り、複数個の活性化トレイ20は複数の移送ローラ111が離隔して備えられたローラ型コンベヤ上に置かれて上記移送ローラ111の回転によって各細部工程に移送される。
【0012】
活性化トレイの物流の流れを制御するために、移送ローラ111の間の空間のうちいずれか一つ以上にストッパー112が設置され得、上記ストッパー112はコンベヤの主移送ライン110の移送面の上下に昇降できる構造を有する。上記ストッパー112が移送面の下に位置している時は活性化トレイ20の移送をそのまま進行させ、ストッパー112が移送面の上に位置すれば活性化トレイ20の移送を一時中断させる。したがって、ストッパー112はその昇降作動によって活性化トレイ20の移送を制御する役割をする。
【0013】
上記ストッパー112は各細部工程に投入される活性化トレイ20の個数を制御するために、主移送ライン110と分岐移送ライン120の境界地点および復帰移送ライン130と主移送ライン110の境界地点に設置するのが一般的である。
【0014】
しかし、ストッパーの誤作動などの多様な原因によって
図2のように、一定区間Aで停滞が発生した場合、トレイとストッパー間、またはトレイ間の衝突によって活性化トレイに収容された電池セルが衝撃を受けることになり、これによって電池セルに損傷が発生し得る。また、速やかに活性化トレイの停滞を解消させなければ連続的にトレイ間で衝突が発生して電池セルの損傷が累積される。また、各細部工程に投入される電池セルも足りなくなって円滑な二次電池の製造の流れにも悪影響を及ぼすことになる。
【0015】
したがって、活性化工程および後続工程に移送される活性化トレイの移送をリアルタイムでモニタリングして、速やかに停滞を確認してこれを解消できる技術開発が必要であるのが実情である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0016】
[特許文献1]韓国公開特許第10-2020-0030818号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
本発明は上記のような問題点を解決するために作られたものであり、複数個の電池セルがそれぞれ収容された複数個の活性化トレイを活性化工程およびその後続工程に移送させるトレイ移送ラインの停滞区間をリアルタイムで確認できる、活性化トレイ停滞モニタリングシステムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0018】
本発明の活性化トレイ停滞モニタリングシステムは、複数個の電池セルがそれぞれ収容された複数個の活性化トレイを活性化工程およびその後続工程に移送させるトレイ移送ライン;上記複数個の活性化トレイの間に配置され、上記活性化トレイとともに上記トレイ移送ラインに沿って移送されるマスタートレイ;上記マスタートレイに備えられてマスタートレイの位置を感知し、その位置データを送信できる位置感知センサ;および上記位置感知センサから位置データを受信してマスタートレイの位置をリアルタイムでモニタリングして上記活性化トレイの停滞区間を確認できる管制部を含む。
【0019】
一つの例として、上記トレイ移送ラインは、主移送ラインと、上記主移送ラインから上記活性化工程およびその後続工程の各細部工程の遂行のために分岐される分岐移送ラインおよび上記細部工程の遂行後に主移送ラインに復帰する復帰移送ラインを具備する。
【0020】
一つの例として、上記マスタートレイは上記活性化トレイと同一種類のものであり、電池セルが収容されるか収容されないトレイであり得る。
【0021】
一つの例として、上記位置感知センサは所定の周期または所定の移動距離ごとに上記マスタートレイの位置データを送信するものであり得る。
【0022】
具体的な例として、上記管制部は上記位置データに基づいて上記活性化トレイの停滞区間の発生の有無を判定する停滞判定ユニットを含む。
【0023】
一つの例として、上記停滞判定ユニットは、上記管制部に受信された位置データの変化および位置データの受信周期に基づいて上記マスタートレイの移動速度を算出し、上記移動速度が設定された基準移動速度値未満である場合、上記マスタートレイが含まれたトレイ移送ラインの一定区間を上記活性化トレイの停滞区間として判定するものであり得る。
【0024】
他の例として、上記停滞判定ユニットは、上記管制部に受信された位置データの受信周期を測定し、上記受信周期が設定された基準周期値を超える場合、上記マスタートレイが含まれたトレイ移送ラインの一定区間を上記活性化トレイの停滞区間として判定するものであり得る。
【0025】
一つの例として、上記トレイ移送ライン上にまたはトレイ移送ラインに隣接して上記位置感知センサから位置データを受信し、上記管制部にその位置データを送信する位置データ送受信機をさらに含むことができる。
【0026】
具体的な例として、上記位置データ送受信機は上記主移送ライン、分岐移送ラインおよび復帰移送ライン別に少なくとも1つ以上設置され得る。
【0027】
一つの例として、上記位置感知センサは位置データを超広帯域短距離無線通信によって管制部に送信するものであり得る。
【0028】
具体的な例として、上記停滞判定ユニットによって停滞区間の発生が判定された場合、警報を発生させる警報部をさらに含むことができる。
【0029】
このとき、上記警報は上記トレイ移送ライン上のトレイ物流移送を制御する工場統合管制システム(FMCS:Facility Monitoring Contol System)の制御ディスプレイ画面上に表示されるか携帯用端末機上に文字メッセージで表示され得る。
【0030】
一つの例として、上記マスタートレイに衝撃による振動を感知してその衝撃データ値を送信できる衝撃感知センサが設置され、上記管制部は上記衝撃データ値を受信して上記活性化トレイの異常衝撃発生区間をリアルタイムでモニタリングできるものであり得る。
【0031】
具体的な例として、上記管制部は上記衝撃感知センサからの衝撃データ値が設定された基準値超過である場合、上記マスタートレイが含まれたトレイ移送ラインの一定区間を異常衝撃発生区間として判定する衝撃判定ユニットを含むものであり得る。
【0032】
また、上記異常衝撃発生区間の位置は上記位置感知センサが感知した位置データに連係して特定され得る。
【0033】
具体的な例として、上記衝撃感知センサは位置感知センサと一体に形成されたものであり得る。
【0034】
一方、上記衝撃判定ユニットによって異常衝撃区間の発生が判定された場合、警報を発生させる警報部をさらに含むことができる。
【発明の効果】
【0035】
本発明によると、マスタートレイに備えられた位置感知センサが送信する位置データを管制部が受信してマスタートレイの位置をモニタリングできるようになることによって、活性化トレイの停滞区間をリアルタイムで確認することができる。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【
図2】活性化トレイが活性化工程およびその後続工程に移送される従来の活性化トレイ物流システムを示した概略平面図である。
【
図4】本発明の一実施例に係る活性化トレイ停滞モニタリングシステムを示した概略平面図である。
【
図5】本発明の一実施例に係るマスタートレイの概略斜視図である。
【
図6】本発明の他の実施例に係る活性化トレイ停滞モニタリングシステムを示した概略平面図である。
【
図7】本発明の他の実施例に係るマスタートレイの概略斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0037】
以下、本発明について詳細に説明することにする。これに先立ち、本明細書および特許請求の範囲に使われた用語または単語は通常的または辞書的な意味で限定して解釈されてはならず、発明者は自身の発明を最も最善の方法で説明するために用語の概念を適切に定義できるという原則に則って本発明の技術的思想に符合する意味と概念で解釈されるべきである。
【0038】
本発明の明細書全体で使われる、「含む」または「有する」等の用語は、明細書上に記載された特徴、数字、段階、動作、構成要素、部品またはこれらを組み合わせたものが存在することを指定しようとするものであり、一つまたはそれ以上の他の特徴や数字、段階、動作、構成要素、部分品またはこれらを組み合わせたものなどの存在または付加の可能性を予め排除しないものと理解されるべきである。
【0039】
また、層、膜、領域、板などの部分が他の部分の「上に」あるとする場合、これは他の部分の「真上に」ある場合だけでなくその中間にさらに他の部分がある場合も含む。反対に層、膜、領域、板などの部分が他の部分の「下に」あるとする場合、これは他の部分の「真下に」ある場合だけでなくその中間にさらに他の部分がある場合も含む。また、本発明の明細書で「上に」配置されるとは、上部だけでなく下部に配置される場合も含むものであり得る。
【0040】
本発明に係る活性化トレイ停滞モニタリングシステムは、複数個の電池セルがそれぞれ収容された複数個の活性化トレイを活性化工程およびその後続工程に移送させるトレイ移送ライン;上記複数個の活性化トレイの間に配置され、上記活性化トレイとともに上記トレイ移送ラインに沿って移送されるマスタートレイ;上記マスタートレイに備えられてマスタートレイの位置を感知し、その位置データを送信できる位置感知センサ;および上記位置感知センサから位置データを受信してマスタートレイの位置をリアルタイムでモニタリングして上記活性化トレイの停滞区間を確認できる管制部を含む。
【0041】
上述した通り、従来の活性化トレイ物流システムの場合、多様な原因によって活性化トレイの停滞が発生することになるが、この場合、停滞をリアルタイムで確認できないためそれぞれの活性化トレイに収容された電池セルに衝撃が加えられ、二次電池の製造工程の円滑な流れの妨げとなるという問題がある。
【0042】
そこで、本発明は従来の活性化トレイ物流移送で発生する停滞をリアルタイムでモニタリングできるように、位置を感知してその位置データを管制部に送信できる位置感知センサが備えられたマスタートレイを複数個の活性化トレイの間に配置したことを特徴とする。上記位置感知センサが管制部に送信する位置データを通じて、マスタートレイが含まれたトレイ移送ラインの一定区間が停滞が発生したことを管制部でリアルタイムでモニタリングすることができる。
【0043】
以上の本発明のより詳しい構成については、添付された図面と実施形態を利用してより詳細に説明する。各図面の説明の際に類似する参照符号を類似する構成要素に対して使った。添付された図面において、構造物の寸法は本発明の明確性のために実際より拡大して図示したものである。第1、第2等の用語は多様な構成要素を説明するのに使われ得るが、上記構成要素は上記用語によって限定されてはならない。上記用語は一つの構成要素を他の構成要素から区別する目的でのみ使われる。例えば、本発明の範囲を逸脱することなく第1構成要素は第2構成要素と命名され得、同様に第2構成要素も第1構成要素と命名され得る。単数の表現は文脈上明白に異なって意味しない限り、複数の表現を含む。
【0044】
以下、本発明について詳しく説明する。
【0045】
(第1実施形態)
図4は本発明の一実施例に係る活性化トレイ停滞モニタリングシステムを示した概略平面図であり、
図5は本発明の一実施例に係るマスタートレイの概略斜視図である。
【0046】
図4を参照すると、本発明の一実施例の活性化トレイ停滞モニタリングシステム1000は、複数個の電池セル10がそれぞれ収容された複数個の活性化トレイ20を活性化工程およびその後続工程に移送させるトレイ移送ライン100;上記複数個の活性化トレイ20の間に配置され、上記活性化トレイとともに上記トレイ移送ライン100に沿って移送されるマスタートレイ200;上記マスタートレイ200に備えられてマスタートレイの位置を感知し、その位置データを送信できる位置感知センサ210;および上記位置感知センサ210から位置データを受信してマスタートレイ200の位置をリアルタイムでモニタリングして上記活性化トレイ20の停滞区間を確認できる管制部300を含む。
【0047】
本発明に係る活性化トレイ停滞モニタリングシステム1000は、複数個の電池セルがそれぞれ収容された複数個の活性化トレイ20を活性化工程およびその後続工程に移送させるトレイ移送ライン100を含む。
【0048】
上記活性化トレイ20は電池ケースに電極組立体を収納した状態で電解液を注入し、電池ケースをシーリングするパッケージング工程を終えた電池セルを活性化工程に運搬するための運搬手段である。上記活性化トレイは電池セルの幅方向に沿ってスロットが形成されて電池セルが収容され得る構造を有し、電池セルは活性化トレイが収容されたまま、各細部工程に移送されて活性化のための充放電、エージングなどの工程を経ることになる。
【0049】
上記トレイ移送ライン100は、活性化トレイ20を移送させる主移送ライン110と、上記主移送ライン110から上記活性化工程およびその後続工程の各細部工程の遂行のために分岐される分岐移送ライン120、および上記細部工程遂行後にトレイを主移送ラインに復帰させる復帰移送ライン130を具備している。
【0050】
上記トレイ移送ライン100は活性化トレイ20およびマスタートレイ200を移送させ得る移送手段であれば特に制限されない。具体的な例として、上記トレイ移送ライン100は連続生産ラインに適用され得るようにトレイを連続的に移送供給できるコンベヤであり得、上記コンベヤはベルト型コンベヤまたはローラ型コンベヤであり得る。例えば、
図3および
図4に図示された通り、移送ローラ111が回転することによって移送ローラ111上に置かれた活性化トレイ20およびマスタートレイ200が移送されるローラ型コンベヤであり得る。
【0051】
上記活性化工程の細部工程は充放電工程1000a、およびエージング工程1000bを含むことができ、後続工程の細部工程は脱気工程1000c、および特性測定工程1000dを含むことができる。これに伴い、トレイ移送ライン100は主移送ライン110と、主移送ライン110から各細部工程に分岐される分岐移送ライン120と、各細部工程の遂行後に主移送ライン110に復帰する復帰移送ライン130を具備している。一つの例として、上記トレイ移送ライン100は充放電工程1000aの充放電装置30a、エージング工程1000bのエージング装置30b、脱気工程1000cの脱気装置30cおよび特性測定工程1000dの特性測定装置30dにそれぞれ分岐される第1分岐移送ライン120a、第2分岐移送ライン120b、第3分岐移送ライン120c、および第4分岐移送ライン120dを含み、充放電装置30aで充放電を遂行後に主移送ライン110に復帰する第1復帰移送ライン130a、エージング装置30bでエージングを遂行後に主移送ライン110に復帰する第2復帰移送ライン130b、脱気装置30cで脱気を遂行後に主移送ライン110に復帰する第3復帰移送ライン130c、特性測定装置30aで特性測定を遂行後に主移送ライン110に復帰する第4復帰移送ライン30bを含む。このとき、各工程の個数、順序、および種類は製造しようとする電池セルの特性により変形が可能であって特に制限されない。
【0052】
これに、本発明の活性化トレイ停滞モニタリングシステム1000はマスタートレイ200が上記複数個の活性化トレイ20の間に配置され、活性化トレイ20とともにトレイ移送ライン100に沿って移送される。
【0053】
図4に図示された通り、主移送ライン110とそれぞれの分岐移送ライン120a、120b、120c、120dの境界地点および復帰移送ライン130a、130b、130c、130dと主移送ライン110の境界地点には、移送ローラ111の間の空間にストッパー112が設置されている。上記ストッパー112は
図3のように、主移送ライン110の移送面の上下に昇降できる構造を有し、ストッパー112が移送面の下に位置している時はトレイの移送をそのまま進行させ、ストッパーが移送面の上に位置すればトレイの移送を一時中断させて、トレイの移送を制御する役割をする。
【0054】
本発明は複数個の活性化トレイ20の間に配置され、上記活性化トレイ20とともにトレイ移送ライン100に沿って移送されるマスタートレイ200を含む。上記マスタートレイ200は後述するように、位置感知センサなどを搭載して管制部に位置データを送信するようにすることによって、活性化トレイの物流の流れや停滞の有無を管制部が確認できるようにする。すなわち、マスタートレイは自身の位置データを管制部に送信することによって、マスタートレイ自体はもちろん、マスタートレイが含まれた物流区間あるいはマスタートレイの前後に共に配置される活性化トレイの停滞の有無を判別できる基準となる。したがって、マスタートレイ200は
図5に図示された通り、
図1に図示された活性化トレイ20と同一の種類にすることが好ましい。マスタートレイ200を活性化トレイ20と同一の種類(形状、規格、重さなどの諸元が同一の種類)にすることにより、活性化トレイ20の移送状態をさらに正確に類推して感知することができる。具体的には、上記マスタートレイ200はトレイ移送ライン100の移動速度による活性化トレイ20の移動速度を同一に反映することができ、後述するように、停滞区間の発生やその他外部衝撃によって活性化トレイ20に加えられる衝撃もマスタートレイ200が同一に反映することができる。マスタートレイ200には他の活性化トレイ20と同一に、電池セルを収容してもよく、収容しないものを使ってもよい。前者の場合には、活性化トレイ20と同一に各細部工程を遂行しながら活性化トレイ20の停滞や衝撃などをモニタリングするのに使うことができる。後者のように電池セルを収容しない場合にはトレイの本体のみが移動されるので、マスタートレイ200に設置される位置感知センサなどがより敏感に位置や衝撃などを感知することができるという利点がある。ただし、この場合には電池セルが収容されないため、各細部工程にマスタートレイ200が投入される場合、バーコードなどでマスタートレイ200を識別してマスタートレイに対しては各細部工程装置内で該当工程を遂行せずに通過させるなどの付加設備が必要となり得る。
【0055】
上記マスタートレイ200にはマスタートレイ200の位置を感知し、その位置データを送信できる位置感知センサ210が備えられる(
図5参照)。
【0056】
上記位置感知センサ210は、マスタートレイ200を含む一定区間Aの停滞発生の有無を確認できるように位置データを送信する役割をする。位置感知センサ210はマスタートレイ200のフレーム、底面などに設置され得、具体的には内壁面230または内側底面240に設置され得る。マスタートレイ200の位置をよりよく感知でき、データ送信に妨げとなる障害物がないトレイ内部の位置であれば、その設置位置は特に限定されない。ただし、移送中に振動などの衝撃が発生しても上記位置感知センサ210がトレイから分離されないように堅固に設置されることが好ましい。例えば、マスタートレイ200に衝撃が加えられる場合、マスタートレイがトレイ移送ライン100から離脱する場合などにも位置感知センサ210が脱落しないようにするために、トレイの内側底面240に設置することができる。
【0057】
上記位置感知センサ210はマスタートレイ200がトレイ移送ライン100の特定地点を通る時、予め設定された該当地点の位置座標を管制部300に送信することができる。位置感知センサ210が特定地点の位置座標を認識する方式は、位置感知センサ210に備えられたリーダーが出力する電波がトレイ移送ライン100に配置されたタグに反応して位置座標を認識するRFID(Radio Frequency Identification)方式であり得る。また、上記リーダーが電波ではなく可視光線や赤外線を出力し、トレイ移送ライン100に配置されたタグに反応して位置座標を認識するバーコード方式であり得る。上記タグはトレイ移送ライン100上にまたはトレイ移送ライン100に隣接して設置され得る。
【0058】
RFID方式とバーコード方式の他にも、上記位置感知センサ210はレーザーセンサ、超音波センサ、またはこれと類似する近距離測定センサであり得る。例えば、管制部300に向かって超音波を出力すれば、管制部300が位置感知センサ210から管制部300に超音波が到達する時間を通じて距離を測定して位置データを取得することができる。
【0059】
上記位置感知センサ210は所定の周期または所定の移動距離ごとにマスタートレイ200の位置データを管制部300に送信することができる。
【0060】
上記管制部300は位置感知センサ210が送信する位置データを受信し、上記位置データに基づいてマスタートレイ200の位置をリアルタイムでモニタリングして活性化トレイの停滞区間を確認する役割をする。
【0061】
本実施例で上記管制部300は、上記位置データに基づいて上記活性化トレイの停滞区間の発生の有無を判定する停滞判定ユニット310を具備している。
【0062】
上記停滞判定ユニット310は、上記管制部300に受信された位置データの変化および位置データの受信周期に基づいて上記マスタートレイ200の移動速度を算出し、上記移動速度が設定された基準移動速度値未満である場合、上記マスタートレイ200が含まれたトレイ移送ライン100の一定区間Aを上記活性化トレイの停滞区間として判定することができる。このとき、上記受信周期は10-3~10秒であり得るが、これに限定されるものではない。
【0063】
より具体的には、位置感知センサ210が所定の周期ごとに位置データを管制部300に送信する場合、停滞判定ユニット310は管制部300に受信された位置データの変化および位置データの受信周期に基づいてマスタートレイ200の移動速度を算出し、上記移動速度が設定された基準移動速度値未満である場合、マスタートレイ200が含まれたトレイ移送ライン100の一定区間Aを上記活性化トレイ20の停滞区間として判定する。例えば、受信周期が1秒であり位置データ変化が1mである場合、マスタートレイ200の移動速度を1m/sと算出し、設定された基準移動速度値と比較する。上記基準移動速度値はトレイ移送ライン100の平均移動速度で設定することができ、上記トレイ移送ライン100の平均速度は停滞が発生しなかった場合、マスタートレイ200の移動速度の平均値に定めることができる。
【0064】
あるいは、上記停滞判定ユニット310は、上記管制部300に受信された位置データの受信周期を測定し、上記受信周期が設定された基準周期値を超える場合、上記マスタートレイ200が含まれたトレイ移送ライン100の一定区間Aを活性化トレイ20の停滞区間として判定することができる。
【0065】
より具体的には、位置感知センサ210が所定の移動距離ごとに位置データを管制部300に送信する場合、停滞判定ユニット310は上記管制部300に受信された位置データの受信周期を測定し、上記受信周期が設定された基準周期値を超える場合、上記マスタートレイ200が含まれたトレイ移送ライン100の一定区間Aを活性化トレイ20の停滞区間として判定する。例えば、位置感知センサ210が1mごとに位置データを送信し、管制部300が上記位置データを受信する受信周期と設定された基準周期値を比較する。上記基準周期値はトレイ移送ライン100の平均移動速度を考慮して設定することができ、トレイ移送ライン100の平均移動速度が1m/sであれば、基準周期値を1秒に設定することができる。すなわち、管制部300が位置データを受信する受信周期が1秒を超過する場合、上記マスタートレイ200が含まれたトレイ移送ライン100の一定区間Aを停滞区間として判定することができる。
【0066】
このとき、停滞発生の有無を判断する単位であるマスタートレイ200を含む一定区間Aは、各細部工程の種類と移送される活性化トレイおよびマスタートレイ数によって適切な範囲に定めることができる。例えば、充放電工程1000a、エージング工程1000b、脱気工程1000c、および特性測定工程1000dにそれぞれ投入される活性化トレイの平均個数を上記一定区間とすることができる。例えば、それぞれの工程に一度に投入される活性化トレイの個数が6個に設定された場合、
図4に図示された通り、マスタートレイ200を含む一定区間Aは、1個のマスタートレイ200と5個の活性化トレイ20を一定区間Aの単位として定めることができる。これに伴い、上記工程別に停滞区間を確認することができる。その他にも、マスタートレイ200前後の1個または複数個の活性化トレイ210が含まれた区間を一定区間とすることができ、停滞区間の基準となる活性化トレイ210の個数は移送ラインの長さ、工程の特性などを考慮して多様に定めることができる。
【0067】
上記位置感知センサ210から管制部300へのデータ送信は通信の有線/無線によって遂行でき、有線で送信する場合、直接管制部300に送信することができる。ただし、設備の設置空間上の限界を考慮して、工場自動化の管制部では無線データ送信が好ましい。無線送信の場合、システムの仕様が許容する限り、位置感知センサ210から管制部300に直接通信することができる。しかし、データ送受信効率を考慮すれば、位置感知センサ210と管制部300のデータ通信を中継するデータ送受信機410を設置することが必要となり得る。
【0068】
具体的には、上記トレイ移送ライン100上にまたはトレイ移送ライン100に隣接して位置感知センサ210から位置データを受信し、上記管制部300にその位置データを送信する送受信機410a、410b、410c、410dをさらに含むことができる。上記位置データ送受信機410a、410b、410c、410dは、活性化工程およびその後続工程のトレイ移送ライン100の長さや経路に制限されずに位置感知センサ210と管制部300を連結する役割を遂行することができる。これによって、トレイ移送ラインの通信死角領域などにも制限されずにデータの送受信が可能であるという長所がある。例えば、上記位置データ送受信機410a、410b、410c、410dを主移送ライン110、分岐移送ライン120a、120b、120c、120dおよび復帰移送ライン130a、130b、130c、130d別に少なくとも1つ以上設置すれば、トレイ移送ライン110のほぼ全領域に亘ってトレイの停滞をモニタリングすることができる。この場合、移送される方向が変更されてもすべての移送ラインで位置データの受信が妨害されず、管制部300は円滑にマスタートレイ200の位置データを受信することができる。
【0069】
一方、上記位置感知センサ210はマスタートレイ200の位置データを超広帯域短距離無線通信によって管制部300に送信することができる。超広帯域(Ultra-wideband、UWB)短距離無線通信とは、中心周波数の20%以上の占有帯域幅を占めるシステムや500MHz以上の占有帯域幅を占める無線伝送技術を意味する。既存の狭帯域や広帯域方式に比べて非常に広い周波数帯域に亘って相対的に低いスペクトル電力密度が存在するので既存の無線通信システムに干渉を与えず、周波数を共有して使用することができるため、多様な通信装備がある二次電池の製造工程においても正確な位置データを伝送できる利点を有する。また、他の無線システムとは異なって搬送波を使わずに基底帯域で通信がなされるので位置感知センサの構造が簡単となり、安価で位置感知センサを製作できる利点も提供する。
【0070】
このように、本発明の活性化トレイ停滞モニタリングシステム1000は前述したマスタートレイ200、位置感知センサ210および管制部300によってトレイ移送ライン100上の活性化トレイ20の停滞または停滞区間をリアルタイムで確認することができる。
【0071】
本発明はトレイの停滞のモニタリングに止まらず、トレイ停滞解消のために工場自動化システムなどの制御システムや作業者にアラームなどの警報を発する警報部を含むことができる。すなわち、
図4に図示された通り、停滞判定ユニット310によって停滞区間の発生が判定された場合、警報を発生させる警報部500をさらに含むことができる。警報部500をさらに含むことによって、位置感知センサ210が送信する位置データを観察し続けなくても、警報部500が発生させる警報によって管理者が容易に確認することができる。
【0072】
より具体的な例として、トレイ移送ライン100上のトレイ物流移送を制御する工場統合管制システム(FMCS:Facility Monitoring Contol System)の制御ディスプレイ画面上に警報を表示したり携帯用端末機上に文字メッセージで警報を通知することができる。上記工場統合管制システムとは、制御ディスプレイ画面を通じて、トレイ移送速度、ストッパー作動の有無、各細部工程別トレイ投入個数などを設定、変更してトレイ物流移送を制御できるシステムである。既存の工場統合管制システムと連係して使うことによって、追加の設備なしに活性化トレイの停滞発生の有無を確認することができる。工場統合管制システムは管制部300と一体に形成されてもよく、別途の装備を通じて備えられてもよい。一方、携帯用端末機上に文字メッセージで表示する警報の場合、管理者が工場内にいない場合であっても、活性化トレイの停滞をリアルタイムで確認することができ、携帯用端末機を通じて遠隔で工場統合管制システムを制御したり、工場内の他の管理者を通じて活性化トレイの停滞に対して速やかに措置を取ることができる。例えば、該当工程ラインの投入地点にあるストッパーを作動させるか、トレイ移送ラインの速度を減少させるなどの措置が可能である。
【0073】
(第2実施形態)
図6は本発明の他の実施例に係る活性化トレイ停滞モニタリングシステムを示した概略平面図であり、
図7は本発明の他の実施例に係るマスタートレイの概略斜視図である。
【0074】
本実施形態の活性化トレイ停滞モニタリングシステム2000は、マスタートレイ200に、衝撃による振動を感知してその衝撃データ値を送信できる衝撃感知センサ220が設置される点が第1実施形態と異なる。第2実施形態で第1実施形態と共通する構成要素には共通する符号を付し、それに関する具体的な説明は省略することにする。
【0075】
本実施形態で、上記管制部300は上記衝撃データ値を受信して上記活性化トレイ20の異常衝撃発生区間をリアルタイムでモニタリングすることができる。上記衝撃感知センサ220は外部衝撃、停滞によって発生するトレイ間の衝突による衝撃などの多様な原因から発生するトレイの衝撃を感知することができる。
【0076】
図7を参照すると、前述した通り、マスタートレイ200が活性化トレイ20と同一の種類のものとすれば、活性化トレイ20に加えられる衝撃と同一の結果を反映することができる。
【0077】
上記衝撃感知センサ220の一つの例として、機械的衝撃や振動を受けた時に電気的な出力を発生させる加速度計を使用できるが、これに限定されるものではない。加速度計のより具体的な例としては、周波数範囲が約0.5Hz~10kHzと広く、工場などの多様な環境に適用可能であり、作業領域が広く体積が小さい利点を提供する圧電型加速度計を使うことができる。また、衝撃感知センサ220が送信する衝撃データ値は周波数で表現される振動値であり得る。ただし、上記衝撃データ値は振動値に限定されるものではなく、適用される衝撃感知センサ220が測定する衝撃に関するセンシング値の形態(電流、電圧の電気的データ、衝撃量などの物理的データ)により異なる形態のデータ値を送信することができる。
【0078】
衝撃感知センサ220は位置感知センサ210と同様に、マスタートレイ200の内壁面230または内側底面240に備えられ得、移送中に動きによって分離されないように設置される必要がある。例えば、マスタートレイ200に衝撃が加えられたりマスタートレイ200がトレイ移送ライン100から離脱する場合などによっても安定的に備えられるために、
図7に図示された通り、内側底面240に備えられ得る。あるいは、マスタートレイ200の内壁面230に衝撃感知センサ220を配置する場合、トレイ間、またはトレイとストッパー間の衝撃をさらに正確に感知することができる。
【0079】
本実施形態で、
図6に図示された通り、上記管制部300は上記衝撃感知センサ220からの衝撃データ値が設定された基準値を超過する場合、マスタートレイ200が含まれたトレイ移送ライン100の一定区間を異常衝撃発生区間として判定する衝撃判定ユニット320を含む。
【0080】
上記基準値はマスタートレイ200に衝撃が発生せず、トレイ移送ライン100による移送による弱い振動が加えられる時に衝撃感知センサ220によって測定される衝撃データのうち最大値であり得る。
【0081】
このとき、異常衝撃発生の有無を判断する単位であるマスタートレイ200を含む一定区間は、停滞発生区間を判断する場合と同様に、各細部工程の種類と移送される活性化トレイおよびマスタートレイ数によって定めることができる。例えば、充放電工程1000a、エージング工程1000b、脱気工程1000c、および特性測定工程1000dにそれぞれ投入される活性化トレイの平均個数を上記一定区間とすることができる。例えば、それぞれ工程に一度に投入される活性化トレイの個数が6個に設定された場合、
図4に図示された通り、マスタートレイ200を含む一定区間Aは1個のマスタートレイ200と5個の活性化トレイ20を一定区間Aの単位として定めることができる。これに伴い、上記工程別に異常衝撃発生区間を確認することができる。
【0082】
上記衝撃感知センサ220から管制部300へのデータ通信は有線/無線によって遂行することができ、位置感知センサ210と管制部300とのデータ通信と同様に、衝撃感知センサ220と管制部300のデータ通信を中継するデータ送受信機420を設置してもよい。
【0083】
具体的には、
図6に図示された通り、上記トレイ移送ライン100上にまたはトレイ移送ライン100に隣接して衝撃感知センサ220から衝撃データ値を受信し、上記管制部300にその衝撃データ値を送信する衝撃データ送受信機420a、420b、420c、420dをさらに含むことができる。上記衝撃データ送受信機420a、420b、420c、420dは、活性化工程およびその後続工程のトレイ移送ライン100の長さや経路に制限されずに衝撃感知センサ220と管制部300を連結する役割を遂行することができる。例えば、上記衝撃データ送受信機420a、420b、420c、420dを主移送ライン110、分岐移送ライン120a、120b、120c、120dおよび復帰移送ライン130a、130b、130c、130d別に少なくとも1つ以上設置すれば、トレイ移送ライン110のほぼ全領域に亘って異常衝撃発生区間をモニタリングすることができる。この場合、移送される方向が変更されても、すべての移送ラインで位置データの受信が妨害を受けずに、管制部300は円滑にマスタートレイ200の衝撃データ値を受信することができる。
【0084】
一方、衝撃感知センサ220の衝撃データ値送信時にマスタートレイ200に設置された位置感知センサ210の位置データと上記衝撃データ値を連係(マッチング)すると、異常衝撃発生区間の位置も共に特定することができる。すなわち、衝撃感知センサ220からの衝撃データ値と、位置感知センサ210からの位置データを一つのセットとして管制部に送信することによって、各マスタートレイ200の位置および衝撃を連係してリアルタイムでモニタリングすることができる。これによってマスタートレイ200の位置や衝撃データのうちいずれか一つまたは両方に異常が発生する場合、管制部300がこれを感知して異常を解消するための措置を行うことができる。
【0085】
図7では衝撃感知センサ220と位置感知センサ210を別個にしてマスタートレイ200内に設置したものを示しているが、上記衝撃感知センサ220を位置感知センサ210と一体に設置することができる。例えば、一つのセンサケース内に衝撃感知センサと位置感知センサを同時に設置し、共通の電源をセンサケース内に設置する形態が可能である。この場合、センサの小型化が可能であり、マスタートレイ200に一度だけ設置すればよいので設置が簡便であるという利点がある。
【0086】
また、位置判定ユニット310によって停滞区間の発生が判定された場合と同様に、衝撃判定ユニット320によって異常衝撃区間の発生が判定された場合も警報を発生させる警報部500をさらに含むことができる。このとき、警報部500に関する説明は前述したものと重複するため省略することにする。
【0087】
以上のように、本発明によると、活性化工程およびその後続工程において、トレイ移送ラインを移動する活性化トレイの停滞の有無をリアルタイムで把握できる長所がある。また、本発明の他の実施例によると、停滞区間の確認の他に活性化トレイに発生する衝撃または異常衝撃発生区間をモニタリングすることができるという効果がある。
【0088】
これによって、例えば工場の物流制御システムと連係して、停滞発生の有無および衝撃発生の有無を警報部を通じて通知することによって、停滞や衝撃の原因を速かに除去することができる。
【0089】
以上の説明は本発明の技術思想を例示的に説明したものに過ぎず、本発明が属する技術分野で通常の知識を有する者であれば、本発明の本質的な特性から逸脱しない範囲で多様な修正および変形が可能であろう。したがって、本発明に開示された図面は本発明の技術思想を限定するためのものではなく説明するためのものであり、このような図面によって本発明の技術思想の範囲が限定されるものではない。本発明の保護範囲は下記の特許請求の範囲によって解釈されるべきであり、それと同等な範囲内にあるすべての技術思想は本発明の範囲に含まれるものと解釈されるべきである。
【0090】
一方、本明細書で上、下、左、右、前、後のような方向を示す用語が使われたが、このような用語は説明の便宜のためのものに過ぎず、対象となる事物の位置や観測者の位置などにより変わり得ることは自明である。
【符号の説明】
【0091】
10:電池セル
20:活性化トレイ
1000、2000:活性化トレイ停滞モニタリングシステム
1000a、2000a:充放電工程
1000b、2000b:エージング工程
1000c、2000c:脱気工程
1000d、2000d:特性測定工程
30a:充放電装置
30b:エージング装置
30c:脱気装置
30d:特性測定装置
100:トレイ移送ライン
110:主移送ライン
111:移送ローラ
112:ストッパー
112c:脱気工程での投入を制御するストッパー
120:分岐移送ライン
120a:第1分岐移送ライン
120b:第2分岐移送ライン
120c:第3分岐移送ライン
120d:第4分岐移送ライン
130:復帰移送ライン
130a:第1復帰移送ライン
130b:第2復帰移送ライン
130c:第3復帰移送ライン
130d:第4復帰移送ライン
200:マスタートレイ
210:位置感知センサ
220:衝撃感知センサ
230:内壁面
240:内側底面
300:管制部
310:停滞判定ユニット
320:衝撃判定ユニット
410a、410b、410c、410d:位置データ送受信機
420a、420b、420c、420d:衝撃データ送受信機
500:警報部
【国際調査報告】