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特表2023-546390超音波溶接装置および超音波溶接方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-11-02
(54)【発明の名称】超音波溶接装置および超音波溶接方法
(51)【国際特許分類】
   B23K 20/10 20060101AFI20231026BHJP
【FI】
B23K20/10
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023522438
(86)(22)【出願日】2022-07-18
(85)【翻訳文提出日】2023-04-13
(86)【国際出願番号】 KR2022010461
(87)【国際公開番号】W WO2023008802
(87)【国際公開日】2023-02-02
(31)【優先権主張番号】10-2021-0099891
(32)【優先日】2021-07-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521065355
【氏名又は名称】エルジー エナジー ソリューション リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】弁理士法人RYUKA国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】リー、ジン ヨン
(72)【発明者】
【氏名】ジュン、フン バム
(72)【発明者】
【氏名】パク、ミン チョル
(72)【発明者】
【氏名】キム、ジョン ベク
【テーマコード(参考)】
4E167
【Fターム(参考)】
4E167BE02
4E167BE03
4E167BE04
4E167BE07
4E167BE10
4E167BE11
4E167DA04
(57)【要約】
本発明に係る超音波溶接装置は、加圧力測定センサを具備した加圧力測定用アンビル;上記加圧力測定用アンビルの上側で昇降可能に設置され、下降時に上記加圧力測定用アンビルを加圧するホーン;上記ホーンの加圧力が設定された加圧力範囲内に含まれるように上記ホーンの下降ストロークを調節し得るホーン下降ストローク調節部;およびホーンによって溶接される被溶接部材が置かれて支持され、上記設定された加圧力範囲に含まれるようにホーンの下降ストロークが調節された後、上記加圧力測定用アンビルと位置変更されて上記ホーンの下部に位置する溶接用アンビルを含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
加圧力測定センサを具備した加圧力測定用アンビル;
前記加圧力測定用アンビルの上側で昇降可能に設置され、下降時に前記加圧力測定用アンビルを加圧するホーン;
前記ホーンの加圧力が設定された加圧力範囲内に含まれるように前記ホーンの下降ストロークを調節できるホーン下降ストローク調節部;および
前記ホーンによって溶接される被溶接部材が置かれて支持され、前記設定された加圧力範囲に含まれるように前記ホーンの下降ストロークが調節された後、前記加圧力測定用アンビルと位置変更されて前記ホーンの下部に位置する溶接用アンビルを含む、超音波溶接装置。
【請求項2】
前記加圧力測定センサと連結されて前記加圧力測定センサによって感知される前記ホーンの加圧力を表す加圧力インジケータをさらに含む、請求項1に記載の超音波溶接装置。
【請求項3】
前記加圧力測定センサは前記加圧力測定用アンビルの上部面の中央に形成された設置溝に設置される、請求項1に記載の超音波溶接装置。
【請求項4】
前記加圧力測定用アンビルは胴体部の上部の一側または両側から突出した拡張突出部を具備し、前記加圧力測定センサが前記拡張突出部の上部面の中央に形成された前記設置溝に設置される、請求項3に記載の超音波溶接装置。
【請求項5】
前記ホーンが前記加圧力測定用アンビルを加圧する時、前記ホーンに超音波振動が付与されない、請求項1に記載の超音波溶接装置。
【請求項6】
測定された前記ホーンの加圧力と設定された加圧力範囲とを対比し、前記ホーンの加圧力が前記設定された加圧力範囲に含まれるように前記ホーン下降ストローク調節部を制御する制御部をさらに含む、請求項1に記載の超音波溶接装置。
【請求項7】
前記制御部は、測定された前記ホーンの加圧力と設定された最適加圧力とを対比し、前記ホーンの加圧力が前記最適加圧力となるように前記ホーン下降ストローク調節部を繰り返し制御する、請求項6に記載の超音波溶接装置。
【請求項8】
前記ホーン下降ストローク調節部は油圧または空圧シリンダであり、前記制御部は前記油圧または空圧シリンダに供給される油圧または空圧を制御してホーンの下降ストロークを調節する、請求項6に記載の超音波溶接装置。
【請求項9】
前記ホーン下降ストローク調節部はサーボモータによって移動する直線移動機構であり、前記制御部は前記サーボモータの回転量を制御して前記ホーンの下降ストロークを調節する、請求項6に記載の超音波溶接装置。
【請求項10】
前記加圧力測定用アンビルおよび溶接用アンビルは所定間隔離隔して前記ホーンの下部で前記ホーンに対して相対移動可能に設置され、
また、前記加圧力測定用アンビルおよび溶接用アンビルが前記ホーンに対して相対移動することによって前記ホーンに対する前記加圧力測定用アンビルおよび溶接用アンビルの位置が可変される、請求項1または請求項6に記載の超音波溶接装置。
【請求項11】
前記ホーンの下部で前記ホーンに対してスライディング移動し、前記加圧力測定用アンビルおよび溶接用アンビルが離隔して固定設置される可動板をさらに含み、
前記可動板が前記ホーンに対してスライディング移動することによって、前記ホーンに対する前記加圧力測定用アンビルおよび溶接用アンビルの位置が可変される、請求項10に記載の超音波溶接装置。
【請求項12】
前記被溶接部材は二次電池の電極組立体から延びる複数の電極タブ、または前記電極タブと電極リードである、請求項1に記載の超音波溶接装置。
【請求項13】
加圧力測定センサが備えられた加圧力測定用アンビルをホーンの下部に配置する段階;
前記ホーンを下降させて前記加圧力測定用アンビルを加圧し、前記加圧力測定センサによって前記ホーンの加圧力を測定する段階;
前記測定されたホーンの加圧力と設定された加圧力範囲とを対比し、前記ホーンの加圧力が設定された加圧力範囲に含まれるように前記ホーンの下降ストロークを調節する段階;
前記ホーンの下降ストロークが調節された後、前記加圧力測定用アンビルと被溶接部材が置かれて支持される溶接用アンビルの位置を変更して前記溶接用アンビルを前記ホーンの下部に位置させる段階;および
前記調節された下降ストロークで前記ホーンを下降させて前記溶接用アンビル上の前記被溶接部材を超音波溶接する段階;を含む超音波溶接方法。
【請求項14】
前記ホーンが前記加圧力測定用アンビルを加圧する時、前記ホーンに超音波振動が付与されない、請求項13に記載の超音波溶接方法。
【請求項15】
前記測定されたホーンの加圧力が設定された最適加圧力となるまで前記ホーンの下降ストロークを繰り返し調節し、最適加圧力に該当する下降ストロークで前記ホーンを溶接用アンビルに下降させて被溶接部材を溶接する、請求項13または請求項14に記載の超音波溶接方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は超音波溶接装置および超音波溶接方法に関する。
【0002】
本出願は2021年7月29日付の韓国特許出願第10-2021-0099891号に基づいた優先権の利益を主張し、該当韓国特許出願の文献に開示されたすべての内容は本明細書の一部として含まれる。
【背景技術】
【0003】
最近、充放電が可能な二次電池はワイヤレスモバイル機器のエネルギー源として広範囲に使われている。また、二次電池は、化石燃料を使う既存のガソリン車両、ディーゼル車両などの大気汚染などを解決するための方案として提示されている電気自動車、ハイブリッド電気自動車などのエネルギー源としても注目されている。したがって、二次電池を使うアプリケーションの種類は二次電池の長所により非常に多様化されており、今後は今よりも多くの分野と製品に二次電池が適用されるものと予想される。
【0004】
小型モバイル機器には1個または2、3、4個の電池セルが使われ、自動車などのような中大型装置には高出力大容量の必要性により、多数の電池セルを電気的に連結した電池モジュールまたは上記電池モジュールを多数個連結した電池パックが使われる。上記電池モジュールは小さなサイズと重量で製造されることが好ましいので、容量対比重量が小さい角型電池、パウチ型電池などが中大型電池モジュールの電池セルとして主に使用されている。
【0005】
上記電池セル内には多数個の単位セルが積層される電極組立体が備えられ、上記単位セルの電気的な連結は単位セルから導き出された電極タブを互いに溶接することによってなされる。また、上記電池セル同士の電気的連結あるいは外部装置との電気的連結のために、上記溶接された電極タブの塊は電極リードと溶接される。
【0006】
このような電極タブ間、電極タブと電極リードとの溶接のために超音波溶接方法が使われる。
【0007】
図1は、電極タブと電極リードを超音波溶接する過程を示す模式図である。
【0008】
電極組立体から導き出されたタブW1は、電極リードW2と上下に積層されて超音波溶接装置のアンビル20上に位置する。上記アンビル20の上には超音波接合のための振動を提供するホーン10が位置する。上記ホーン10は被溶接部材であるタブW1とリードW2上に下降して被溶接部材を加圧しながら振動を加えてタブとリードを超音波溶接することになる。
【0009】
このような超音波溶接時には、ホーン10が被溶接部材を加圧しながら溶接するので、ホーン10の加圧力が溶接品質を左右する。例えば、超音波溶接時にホーン10の加圧力が弱いと、タブW1とリードW2が離れてしまう弱溶接が発生し得る。その反対に、ホーン10の加圧力が過度に強いと、タブまたはリードが断線したり、ホーンまたはアンビルが早期に摩耗してしまう問題が発生する。
【0010】
したがって、ホーンとアンビルを利用した超音波溶接時には、ホーンの加圧力を設定された範囲または最適の加圧力で維持することが重要である。しかし、従来にはホーンの加圧力を正確に確認できる方法がなかった。例えばアンビルなどに圧力センサを設置してホーンの加圧力を測定するとしても、溶接中には超音波振動が加えられるため、ホーンの加圧力を正確に測定することができなかった。また、被溶接部材の取り替え時あるいは摩耗したホーンまたはアンビルを取り替えるたびにホーンの加圧力は微細に変わるため、均一な溶接品質の超音波溶接を行い難いという技術的課題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】韓国公開特許第10-2021-0037902号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明は上記のような課題を解決するために案出されたもので、ホーンの加圧力を正確に測定し、設定された加圧力となるようにホーンの下降ストロークを調節できる超音波溶接装置および超音波溶接方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明に係る超音波溶接装置は、加圧力測定センサを具備した加圧力測定用アンビル;上記加圧力測定用アンビルの上側で昇降可能に設置され、下降時に上記加圧力測定用アンビルを加圧するホーン;上記ホーンの加圧力が設定された加圧力範囲内に含まれるように上記ホーンの下降ストロークを調節できるホーン下降ストローク調節部;およびホーンによって溶接される被溶接部材が置かれて支持され、上記設定された加圧力範囲に含まれるようにホーンの下降ストロークが調節された後、上記加圧力測定用アンビルと位置変更されて上記ホーンの下部に位置する溶接用アンビルを含む。
【0014】
具体的な例において、本発明の超音波溶接装置は上記加圧力測定センサと連結されて上記加圧力測定センサによって感知される加圧力を表す加圧力インジケータをさらに含むことができる。
【0015】
具体的な例において、上記加圧力測定センサは上記加圧力測定用アンビルの上部面の中央に形成された設置溝に設置され得る。
【0016】
より具体的な例において、上記加圧力測定用アンビルは胴体部の上部の一側または両側から突出した拡張突出部を具備し、上記加圧力測定センサが上記拡張突出部の上部面の中央に形成された設置溝に設置され得る。
【0017】
具体的な例として、上記ホーンが上記加圧力測定用アンビルを加圧する時、上記ホーンに超音波振動が付与されなくてもよい。
【0018】
一つの例として、上記測定されたホーンの加圧力と設定された加圧力範囲とを対比し、ホーンの加圧力が上記設定された加圧力範囲に含まれるように上記ホーン下降ストローク調節部を制御する制御部をさらに含むことができる。
【0019】
具体的な例において、上記制御部は、測定されたホーンの加圧力と設定された最適加圧力とを対比し、ホーンの加圧力が上記最適加圧力となるように上記ホーン下降ストローク調節部を繰り返し制御することができる。
【0020】
一つの例として、上記ホーン下降ストローク調節部は油圧または空圧シリンダであり、上記制御部は上記油圧または空圧シリンダに供給される油圧または空圧を制御してホーンの下降ストロークを調節することができる。
【0021】
他の例として、上記ホーン下降ストローク調節部はサーボモータによって移動する直線移動機構であり、上記制御部は上記サーボモータの回転量を制御してホーンの下降ストロークを調節することができる。
【0022】
本発明の他の実施例として、上記加圧力測定用アンビルおよび溶接用アンビルは所定間隔離隔して上記ホーンの下部で上記ホーンに対して相対移動可能に設置され、上記加圧力測定用アンビルおよび溶接用アンビルが上記ホーンに対して相対移動することによって上記ホーンに対する上記加圧力測定用アンビルおよび溶接用アンビルの位置が可変され得る。
【0023】
具体的な例として、上記実施例の超音波溶接装置は、ホーンの下部で上記ホーンに対してスライディング移動し、上記加圧力測定用アンビルおよび溶接用アンビルが離隔して固定設置される可動板をさらに含み、上記可動板が上記ホーンに対してスライディング移動することによって、上記ホーンに対する上記加圧力測定用アンビルおよび溶接用アンビルの位置が可変され得る。
【0024】
上記被溶接部材は二次電池の電極組立体から延びる複数の電極タブ、または上記電極タブと電極リードであり得る。
【0025】
本発明の他の側面としての超音波溶接方法は、加圧力測定センサが備えられた加圧力測定用アンビルをホーンの下部に配置する段階;上記ホーンを下降させて加圧力測定用アンビルを加圧し、上記加圧力測定センサによって上記ホーンの加圧力を測定する段階;上記測定されたホーンの加圧力と設定された加圧力範囲とを対比し、ホーンの加圧力が設定された加圧力範囲に含まれるように上記ホーンの下降ストロークを調節する段階;上記ホーンの下降ストロークが調節された後、上記加圧力測定用アンビルを被溶接部材が置かれて支持される溶接用アンビルの位置を変更して上記溶接用アンビルをホーンの下部に位置させる段階;および上記調節された下降ストロークで上記ホーンを下降させて溶接用アンビル上の被溶接部材を超音波溶接する段階;を含む。
【0026】
具体的な例として、上記ホーンが上記加圧力測定用アンビルを加圧する時、上記ホーンに超音波振動が付与されなくてもよい。
【0027】
具体的な例として、上記測定されたホーンの加圧力が設定された最適加圧力となるまで上記ホーンの下降ストロークを繰り返し調節し、最適加圧力に該当する下降ストロークで上記ホーンを溶接用アンビルに下降させて被溶接部材を溶接することができる。
【発明の効果】
【0028】
本発明によって、超音波溶接前のホーンの加圧力を確認し、これを設定された加圧力範囲あるいは最適加圧力に調節して溶接不良の発生を防止することによって、超音波溶接の品質を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
図1】電極タブと電極リードを超音波溶接する過程を示す模式図である。
図2】本発明の一実施例に係る超音波溶接装置の構成を示す概略図である。
図3】本発明の超音波溶接装置の構成要素である加圧力測定用アンビルと加圧力インジケータの概略図である。
図4】本発明の超音波溶接装置の構成要素である加圧力測定用アンビルの平面図および側面図である。
図5】本発明の超音波溶接装置の構成要素である溶接用アンビルの斜視図である。
図6】本発明に係るホーン下降ストロークの調節過程を示す概略図である。
図7】本発明の一実施例によって溶接が行われることを示す概略図である。
図8】本発明の他の実施例に係る超音波溶接装置の構成を示す概略図である。
図9】本発明の他の実施例に係る超音波溶接装置の構成を示す概略図である。
図10】本発明の別の実施例に係る超音波溶接装置の構成を示す側面図および正面図である。
図11】本発明の別の実施例に係る超音波溶接装置の構成を示す側面図および正面図である。
図12図10および図11の超音波溶接装置の要部を示す斜視図である。
図13】本発明に係る超音波溶接方法の順序を示したフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、本発明について詳細に説明することにする。その前に、本明細書および特許請求の範囲に使われた用語または単語は通常的または辞書的な意味で限定して解釈されてはならず、発明者は自身の発明を最も最善の方法で説明するために用語の概念を適切に定義できるという原則に則って本発明の技術的思想に符合する意味と概念で解釈されるべきである。
【0031】
本出願で、「含む」や「有する」等の用語は、明細書上に記載された特徴、数字、段階、動作、構成要素、部品またはこれらを組み合わせたものが存在することを指定しようとするものであり、一つまたはそれ以上の他の特徴や数字、段階、動作、構成要素、部分品またはこれらを組み合わせたものなどの存在または付加の可能性を予め排除しないものと理解されるべきである。また、層、膜、領域、板などの部分が他の部分の「上に」あるとする場合、これは他の部分の「真上に」ある場合だけでなくその中間にさらに他の部分がある場合も含む。反対に層、膜、領域、板などの部分が他の部分の「下に」あるとする場合、これは他の部分の「真下に」ある場合だけでなくその中間にさらに他の部分がある場合も含む。また、本出願で「上に」配置されるとは、上部だけでなく下部に配置される場合も含むものであり得る。
【0032】
一方、本出願で「長さ方向」とは、電池セルの電極リードが突出した方向を意味する。
【0033】
以下、本発明について詳しく説明する。
【0034】
本発明の超音波溶接装置は、加圧力測定センサを具備した加圧力測定用アンビル;上記加圧力測定用アンビルの上側で昇降可能に設置され、下降時に上記加圧力測定用アンビルを加圧するホーン;上記ホーンの加圧力が設定された加圧力範囲内に含まれるように上記ホーンの下降ストロークを調節できるホーン下降ストローク調節部;およびホーンによって溶接される被溶接部材が置かれて支持され、上記設定された加圧力範囲に含まれるようにホーンの下降ストロークが調節された後、上記加圧力測定用アンビルと位置変更されて上記ホーンの下部に位置する溶接用アンビルを含む。
【0035】
本発明はホーンの加圧力を測定できる加圧力測定用アンビルを具備して溶接品質と密接な関連があるホーンの加圧力を予め測定することができる。また、この加圧力測定用アンビルによって測定されたホーンの加圧力を、設定された加圧力範囲内に含まれるようにホーンの下降ストロークを調節できるホーン下降ストローク調節部を具備してホーンの加圧力を設定された加圧力範囲にすることができる。ホーンの加圧力が設定された加圧力範囲に含まれるようにホーンの下降ストロークが調節されると、上記加圧力測定用アンビルと被溶接部材が置かれて支持される溶接用アンビルの位置を変更して上記ホーンの調節された下降ストロークで溶接用アンビル上の被溶接部材を溶接することによって、弱溶接などの溶接不良を防止しするとともに、ホーンとアンビルが急激に摩耗することを防止することができる。
【0036】
(第1実施形態)
図2は、本発明の一実施例に係る超音波溶接装置100の構成を示す概略図である。
【0037】
図2の(a)を参照すると、本発明の超音波溶接装置100は加圧力測定センサ115を具備した加圧力測定用アンビル110を含んでいる。上記加圧力測定センサ115は上記加圧力測定用アンビル110に設置されてホーン120から伝達される加圧力を測定することになる。具体的には、上記加圧力測定センサ115はロードセルのような荷重感知センサを採用することができる。ロードセルはストレインゲージを通じてロードセルに加えられる圧力を電気的信号に転換および出力して圧力を表示することができる。上記加圧力測定センサ115は圧力の数値を示すことができるものであればその種類は大きく限定されず、例えばビームロードセル、円柱型ロードセルなどの多様な形態のロードセルを使うことができる。
【0038】
図3は超音波溶接装置100の構成要素である加圧力測定用アンビル110と加圧力インジケータ117の概略図であり、図4図3の加圧力測定用アンビル110の平面図および側面図である。
【0039】
図3に図示された通り、本発明は上記加圧力測定センサ115に加えられる圧力を電気的信号にデジタル化して出力する加圧力インジケータ117をさらに含むことができる。加圧力測定センサ115はワイヤ116によって上記加圧力インジケータ117と電気的に連結され、加圧力測定センサ115に加えられる圧力が電気的信号にデジタル化されて肉眼で確認できる数値で加圧力インジケータ117の圧力表示部117aに現出される。また、上記加圧力インジケータ117は所定の操作ボタン117bを具備している。このようなロードセル、加圧力インジケータ117は通常的に知られている圧力測定部材または荷重測定部材であるので、本明細書で具体的な説明は省略する。本明細書ではロードセルを加圧力測定センサとして例示したが、ホーンの加圧力または荷重を測定できる他の適切な種類の加圧力測定センサを採用できることは言うまでもない。
【0040】
加圧力測定センサ115は加圧力測定用アンビル110の上部面の中央に設置することが好ましい。本発明はホーン120の加圧力を正確に測定して設定加圧力範囲あるいは最適な加圧力を加えることができるホーン120の下降ストロークHを探すことが重要である。したがって、加圧力測定センサ115を加圧力測定用アンビル110の側部や下部に設置する場合、ホーンの加圧力を正確に測定できないので、ホーンが直接加圧する加圧力測定用アンビル110の上部面111Aに加圧力測定センサ115を設置する。また、加圧力測定センサ115がアンビル上部面のいずれか一側に偏って設置されると、同様に正確な加圧力を反映できないので、アンビル上部面の中央に加圧力測定センサ115を設置する。このために、図4に示された通り、加圧力測定用アンビル110には、その上部面の中央に加圧力測定センサ115の設置のための設置溝113が設けられる。
【0041】
上記加圧力測定用アンビル110は通常の溶接用アンビルと同一の形状および材質のものを使うことができる。しかし、被溶接部材の大きさが小さいと溶接用アンビルの大きさも小さくなる。特に、二次電池の電極タブや電極リードは大きさが非常に小さいので、これを溶接する溶接用アンビルの大きさも比較的小さい。この場合、溶接用アンビルと同一の大きさや形状のアンビルを加圧力測定用として使用すると、アンビルに加圧力測定センサを設置できる十分な空間を確保することができない。加圧力測定センサ115を設置する空間の確保のために、図3および図4に示された通り、溶接用アンビル140の形状と異なるように加工された加圧力測定用アンビル110を使うことができる。上記加圧力測定用アンビル110は胴体部111、胴体部の両側に突出した締結部114、上記胴体部の上部に形成された拡張突出部112を具備している。
【0042】
上記拡張突出部112は図4に図示された通り、胴体部111の上部の両側から突出してさらに大きい設置面を提供している。しかし、拡張突出部112は胴体部の上部の一側から突出する形態としてもよい。拡張突出部112の突出方向と大きさ、形状などは、設置されるセンサの大きさや形状を考慮して適切に変更することができる。上記拡張突出部112の上部面112Aの中央には設置溝113が形成され、この設置溝113に加圧力測定センサ115を設置することができる。加圧力測定用アンビル110の胴体部111の両側部に締結部114が備えられ、締結部には加圧力測定用アンビル110をベースなどの支持部材に設置するための締結孔114aが形成されている。したがって、上記加圧力測定用アンビル110はボルトなどの締結部材Cで上記締結孔114aを通じてベースなどの支持部材に固定結合され得る。
【0043】
通常の溶接用アンビルは、超音波振動時に被溶接部材を加圧および圧入するために表面に凹凸部が形成されているが(図5参照)、上記加圧力測定用アンビル110は溶接のためのものではないので上部面に突起部が形成されていない。
【0044】
図2を再び参照すると、上記加圧力測定用アンビル110の上側にはホーン120が昇降可能に設置される。上記ホーン120は被溶接部材Wの接合部位に超音波接合のための振動を提供するためのものであり、被溶接部材Wと接触する部位には、振動を効果的に伝達するために上部に位置した被溶接部材に圧入跡を形成できる凹凸部が設けられ得る。ホーン120はソノトロードとも呼ばれ、その先端部に被溶接部材と接触する拡張部121を具備している。しかし、このようなホーンの形状は一例に過ぎず、超音波溶接を遂行できる他の形態のホーンを採用できることは言うまでもない。ホーン120は自重を有しているので、ホーン120の下降時にその自重によるホーンの加圧力を測定することができる。しかし、必要に応じて、ホーン120の上部に別途の加圧部(図示せず)を設置してホーンの加圧力を増加させることができる。例えば、ホーンの上側で別途の駆動部によって駆動される駆動シリンダを加圧部として採用してホーンを追加的に加圧することができる。
【0045】
上記ホーン120は超音波を発生させる超音波ジェネレータG、超音波を振動に変換させるトランスデューサTおよび上記トランスデューサの振幅を増幅させるブースターB等と連結される。上記超音波ジェネレータG、トランスデューサTおよびブースターBは超音波溶接装置に共通して使われる公知の構成であるので、これに対する具体的な説明は省略する。
【0046】
上記ホーン120は単独であるいはブースターなどの他の超音波溶接部材と共に加圧力測定用アンビル110の上側で昇降可能に配置され得る。ホーン120が加圧力測定用アンビル110に向かって下降し、上記ホーンが加圧力測定用アンビル上の加圧力測定センサ115(例えば、ロードセル)を加圧した時、ホーンの加圧力が測定される。加圧力測定センサによるホーンの加圧力測定時にはホーン120に超音波振動を付与しない。超音波振動を加えると、ホーン120が同一の下降ストロークで下降してもホーン120の加圧力が可変されて正確な加圧力を測定できないためである。
【0047】
ホーン120の昇降または下降ストロークの調節のためにホーン下降ストローク調節部130が備えられる。このようなストローク調節部として公知の上下運動機構を採用することができる。例えば、油圧または空圧シリンダをホーン120を支持する支持台Pの下部に設置し、油圧または空圧を上記シリンダに供給してホーンを昇降させることができる。空圧シリンダの例として、空気吸入ポートが1個備えられた単動シリンダまたは空気吸入ポートが入口側と出口側にそれぞれ備えられた複動シリンダを採用することができる。あるいは、サーボモータと連結された直線移動機構、例えばボールスクリューとボールナットを利用してホーンを昇降させることができる。この場合、必要に応じて、上記直線移動機構の移動をガイドするLMガイドレールなどを採用することができる。その他にも当該技術分野で通常使われる上下移動機構または直線移動機構を上記ホーン下降ストローク調節部として使うことができる。本実施例ではシリンダ本体131とシリンダロッド132を具備した空圧シリンダ130をホーン下降ストローク調節部として導入した。
【0048】
図6は、本発明に係るホーン下降ストロークの調節過程を示す概略図である。
【0049】
ホーン120の加圧力はホーンが下降するストロークによって表現され得る。すなわち、ホーン120が被溶接部材に向かって相対的により多く下降すると、被溶接部材Wが受けるホーンの加圧力は増大する。反面、ホーンの下降ストロークが短くなると、被溶接部材が受けるホーンの加圧力は減少する。すなわち、ホーン120の加圧力はホーンの下降ストロークで表出または換算され得、下降ストロークを調節することによって、ホーンの加圧力を調節することができる。前述した油圧または空圧シリンダ、あるいはサーボモータとこれに結合された直線移動機構などのホーン下降ストローク調節部130を調節してホーン120の加圧力を設定された加圧力範囲に含まれるようにすることができる。ただし、このためにはホーンの加圧力測定が先行されなければならない。前述した通り、ホーン120は振動時に加圧力が可変され、被溶接部材Wの種類によって、あるいは被溶接部材の取り替えやホーン、アンビルの取り替えによりホーンの加圧力が変わり得る。したがって、図6に図示された通り、まず加圧力測定用アンビル110でホーン120を下降させてホーンの(初期)加圧力を確認する。この加圧力が設定された加圧力の範囲と異なれば、上記ホーン下降ストローク調節部130でホーンの下降ストロークを可変させて繰り返しホーンの加圧力を測定することができる。この時、ホーンの加圧力は前述した加圧力インジケータ117によってリアルタイムで表示されるので、測定された加圧力が設定された加圧力範囲に含まれるかを対比しながらホーン120の下降ストロークを調節することができる。例えば、作業者は加圧力インジケータ117の加圧力数値を確認し、油圧または空圧を調節してシリンダロッド132の昇降の長さを調節してホーンの下降ストロークを調節することができる。あるいはサーボモータ(図示せず)の回転量を制御して直線移動機構の移動量を制御することによって、ホーンの下降ストロークを調節することができる。
【0050】
図2の(a)を再び参照すると、上記ホーン120はブースターBとともに支持台P上で支持され、上記支持台Pは空圧シリンダ130に結合されている。具体的には、空圧シリンダ130はシリンダ本体131と上記シリンダ本体131から出没するシリンダロッド132を具備し、上記シリンダロッドが上記支持台Pに結合されている。
【0051】
上記ホーン120を安定的に支持するために空圧シリンダ150はベース150に設置されている。図2では、加圧力測定用アンビル110も上記ベース150上に共に設置されたものを図示しているが、加圧力測定用アンビル110を別途の支持部材上に設置してもよい。
【0052】
上記ホーン下降ストローク調節部130によってホーン120の下降ストロークが設定された加圧力範囲に含まれるようにホーンの下降ストロークHが調節された後、上記加圧力測定用アンビル110と位置変更される溶接用アンビル140が備えられる。
【0053】
図5は、本発明の超音波溶接装置100の構成要素である溶接用アンビル140の一例を示した斜視図である。
【0054】
図5を参照すると、溶接用アンビル140は胴体部141と胴体部の左右側に締結部材が挿入され得る締結孔142aを具備した締結部142を具備している。また、胴体部141の上部面141Aには被溶接部材の底面に圧入跡を形成できる凹凸部が設けられている。図示された溶接用アンビルの形態は一例に過ぎず、必ずしも上記の形態のアンビルに限定されるものではない。溶接用アンビルはホーンによって実際に超音波溶接が進行される部分であるので、上記溶接用アンビルの上部には被溶接部材が置かれて支持される。すなわち、図1に図示された通り、例えば被溶接部材Wが二次電池の電極組立体から延びる電極タブW1と電極リードW2の場合、上記電極タブと電極リードが積層されて上記溶接用アンビル140上に位置する。
【0055】
図2の(b)を参照すると、溶接用アンビル140が加圧力測定用アンビル110と位置変更されてホーン120の下部に設置されたものが図示されている。加圧力測定用アンビル110と溶接用アンビル140の位置変更または取り替えは作業者が手動で行うことができる。この場合、前述した加圧力測定用アンビル110の締結部114から締結部材Cを分離して加圧力測定用アンビル110をベース150等から脱去する。以後、溶接用アンビル140を加圧力測定用アンビル110が設置された位置に配置し、溶接用アンビル140の締結部141に締結部材Cを設置してホーンの下部に上記溶接用アンビル140を設置することができる。しかし、加圧力測定用アンビルおよび溶接用アンビルの位置変更は、後述するように別途の移動部材を使って自動で行ってもよい。
【0056】
図7は、図2の実施例によって溶接が行われることを示す概略図である。
【0057】
図7では、ホーンの下降ストロークHが設定された加圧力範囲に含まれるように調節された後、加圧力測定用アンビル110と位置変更されて溶接用アンビル140がベース150上に位置した状態を示す。この場合、ホーン120の加圧力は加圧力測定用アンビルの加圧力測定センサ115によって確認され、また、その加圧力が設定された加圧力と対比されて設定された加圧力範囲に含まれるようにホーンの下降ストロークが調節された状態である。したがって、上記ホーン120は設定された加圧力に該当する下降ストロークHだけ溶接用アンビル140の被溶接部材に下降することになる。以後、図7に図示された通り、超音波ジェネレータG-トランスデューサT-ブースターBに伝達された超音波振動によって、上記ホーン120が設定された加圧力で溶接用アンビル上の被溶接部材Wを超音波溶接することができる。
【0058】
(第2実施形態)
図8および図9は、本発明の他の実施例に係る超音波溶接装置100'の構成を示す概略図である。
【0059】
図8および図9を参照すると、本実施例の超音波溶接装置100'は、ホーンの測定加圧力と設定された加圧力範囲とを対比し、ホーンの加圧力が上記設定された加圧力範囲に含まれるように上記ホーン下降ストローク調節部130を制御する制御部160をさらに含むことができる。
【0060】
すなわち、本実施例は、ホーン120の加圧力の確認と連係してホーン下降ストローク調節を自動制御する制御部160を具備している。図8に図示された通り、上記制御部160はホーン下降ストローク調節部130の空圧シリンダと連結されて加圧力測定段階からホーン120を自動で下降させることができる。制御部160が上記ホーン下降ストローク調節部130を作動させてホーンが加圧力測定用アンビル110に下降すると、加圧力測定センサ115によって測定されたホーンの加圧力が上記加圧力インジケータ117に表示され、制御部160はこの加圧力データの伝達を受けることができる。また、制御部160は測定された上記ホーン120の加圧力と設定された加圧力範囲とを対比し、測定されたホーンの加圧力が設定された加圧力範囲を外れる場合、上記ホーン下降ストローク調節部130を調節することができる。例えば、電極タブと電極リードの設定加圧力範囲が150~200kfgであり、測定された加圧力が150kgf未満であれば、上記制御部160は油圧/空圧を制御するかサーボモータの回転量を増加させてホーンの加圧力が150kgf以上となるまでホーンの下降ストロークを増加させる。この時、加圧力測定センサ115(ロードセル)ではホーンの加圧力が下降ストロークの増加により連続的に測定され、その加圧力は上記加圧力インジケータの表示部117aに表示され得る。制御部160は加圧力インジケータから伝達された測定加圧力が上記設定加圧力範囲に属することになる時のホーンの下降ストロークを保存することができる。またはホーンの加圧力が設定加圧力を超過する場合、例えば200kfg超過である場合、ホーンの下降ストロークを減少させてホーンの加圧力が前述した設定範囲内となるように調節することができる。
【0061】
一方、制御部160は上記のように、ホーンの加圧力の範囲の制御をすることができるが、ホーンの加圧力が最適加圧力となるようにピンポイント制御も可能である。この場合、ホーンの測定された加圧力が最適加圧力となるまで、上記ホーン下降ストローク調節部130を繰り返し制御することができる。このために、ホーンの測定加圧力が最適加圧力となるまでホーンを繰り返し昇降および下降させ、加圧力測定センサ115による加圧力の測定を繰り返して最適加圧力を示すホーンの下降ストロークHを見付け出すことができる。
【0062】
図9は、ホーンの加圧力が設定加圧力範囲あるいは最適加圧力となった後に、加圧力測定用アンビル110と溶接用アンビル140を位置変更して溶接用アンビル上の被溶接部材Wがホーン120によって溶接されることを示している。ホーン120が設定加圧力範囲あるいは最適加圧力に該当する下降ストロークHだけ下降して溶接用アンビル上の被溶接部材Wを加圧して超音波溶接するので、被溶接部材の弱溶接やホーンとアンビルが過度に摩耗することを防止することができる。
【0063】
また、本実施形態は、制御部160によってホーン下降ストローク調節部130またはホーンの下降ストロークを自動で制御するので、ホーンの加圧力をより細密かつ正確に調整できるという長所がある。
【0064】
(第3実施形態)
図10および図11は本発明のさらに他の実施例に係る超音波溶接装置100"の構成を示す側面図および正面図であり、図12図10および図11の超音波溶接装置100"の要部を示す斜視図である。
【0065】
本実施形態はホーンの加圧力の確認と連係してホーン下降ストローク調節を自動制御するだけでなく、加圧力測定用アンビルと溶接用アンビルの位置変更も自動で遂行できることを特徴としている。
【0066】
図10図12を参照すると、本実施例の加圧力測定用アンビル110および溶接用アンビル140は、互いに所定間隔をおいて上記ホーン120の下部で上記ホーンに対して相対移動可能に配置される。本実施例では、上記加圧力測定用アンビル110および溶接用アンビル140が上記ホーンに対して相対移動することによって、上記ホーンに対する上記加圧力測定用アンビルおよび溶接用アンビルの位置が可変され得る。
【0067】
本実施例は、具体的には、上記ホーン120の下部でホーンに対してスライディング移動できる可動板170を具備している。上記可動板170上には加圧力測定用アンビル110と溶接用アンビル140が所定間隔をおいて固定設置される。制御部160によるホーンの下降ストローク調節作業が終了すると、作業者があるいは制御部の移動信号によって上記可動板170をホーンに対してスライディング移動するようにする。すなわち、上記可動板170の移動によって上記加圧力測定用アンビル110および溶接用アンビル140がホーンに対して同時に水平方向に移動することになり、これに伴い、溶接用アンビル110が上記ホーンの下部に位置することになる。以後、ホーンを設定された加圧力または最適加圧力に該当する下降ストロークだけ溶接用アンビル140上に下降させて、溶接用アンビルに支持された被溶接部材Wを加圧および超音波溶接することができる。超音波溶接が終了すると、上記可動板170を再び元の位置に移動して加圧力測定用アンビル110による加圧力測定作業を繰り返すことができる。
【0068】
したがって、本実施例によると、加圧力の測定およびホーン下降ストローク調節後に溶接過程への移行時ごとに加圧力測定用アンビル110の分解および溶接用アンビル140の設置作業を行う必要がない。制御部160は、加圧力測定、ホーン下降ストローク調節および加圧力測定用アンビル110および溶接用アンビル140の移動を統括制御することができる。必要に応じて、上記制御部160は超音波ジェネレータおよびトランスデューサと連結されてその部材も共に統合制御することができる。
【0069】
上述した通り、上記加圧力測定用アンビル110で測定されたホーンの加圧力とホーンの設定加圧力範囲あるいは最適加圧力を対比してホーンの下降ストロークHを調節した後、上記加圧力測定用アンビル110の取り替えおよび溶接用アンビル140の設置は例えば、加圧力測定用アンビルの締結部の締結部材を分解し、溶接用アンビル締結部の締結部材をベースなどに結合することによって手作業で行うことができる。しかし、これは時間と人員が必要とされ、また制御部160の自動制御効率を下げ得る。本実施例はホーンの下降ストロークと連係してアンビルの取り替えまたは位置変更も、例えば制御部160によって自動で遂行できるようにすることによって、大量生産および設備自動化に本発明がさらに適合するようにしたものである。
【0070】
上記可動板170のホーン120に対するスライディング移動は、通常的に知られている機械分野の直線移動機構によって行うことができる。例えば図10および図12に図示された通り、ベース150上にガイドレール151を設置し、可動板170の下部にガイド溝171を形成して、可動板170をホーン120およびベース150に対してスライディング移動させることができる。あるいはその反対に、可動板170の下部にガイドレールを設置し、ベース150上にガイド溝を形成してもよい。また、可動板170はホーンに対して相対移動すればよく、ベース150上に必ずしも設置しなければならないものではない。ただし、本実施例では、スライディング作動の安定性のために、シリンダなどが設置されたベース150上に可動板170を設置し、上記可動板をホーンに対して相対移動させている。
【0071】
上記可動板170の移動前後に、可動板170の移動距離を制限し可動板を停止させるストッパー152または固定部材を上記ガイドレール151上に設置することができる。図11および図12は、加圧力測定用アンビル110による加圧力測定後、可動板170が移動して溶接用アンビル140がホーンの下部に位置した状態でストッパー152をガイドレール151に固定して可動板170が停止した状態を示している。上記ストッパー152をガイドレール151から分離し、溶接用アンビル140をホーンに対して左に移動させると、加圧力測定用アンビル110をホーンの下部に再び位置させることができる。この状態で上記ストッパー152をベース150上のガイドレール151に結合して加圧力測定用アンビル110および溶接用アンビル140をホーン120に対して位置固定させることができる。
【0072】
上記ガイドレール151やガイド溝171に加えてサーボモータとボールスクリュー機構(図示せず)を上記可動板170に設置することによって、可動板170をホーンおよびベースに対して相対移動させることができる。この場合、サーボモータの回転量によって可動板の移動距離を制限し可動板を停止させることができるので、前述したストッパーは必ずしも必要なものではない。ただし、可動板の移動前後に可動板を確実に固定して、ホーンに対して揺れることなく溶接を遂行するためにストッパーを設置することが好ましい。
【0073】
本実施例では、加圧力測定用アンビル110および溶接用アンビル140をホーンに対して相対移動させることを説明したが、ホーン120を上記アンビルに対して水平方向に相対移動させるように変形させてもよい。また、本実施例では加圧力測定用アンビル110と溶接用アンビル140がホーンの延長方向を横切る水平方向に相対移動することを示したが、ホーン120の延長方向に対して平行な方向にホーン120の下部で可動板170が相対移動するように変形してもよい。また、ホーンに対するアンビルあるいは可動板の移動方向は、ホーンの延長方向、アンビルの配置方向などを考慮して適切に変更できることは言うまでもない。
【0074】
以下、本発明の超音波溶接方法の各段階について説明する。
【0075】
図13は、本発明に係る超音波溶接方法の順序を示したフローチャートである。
【0076】
まず、加圧力測定センサ115が備えられた加圧力測定用アンビル110をホーン120の下部に配置する(S10段階)。加圧力測定用アンビル110はホーンの下部の設定位置(ベース150上の設定位置)に締結部材Cによって設置され得る。あるいはベース150上にホーンに対してスライディング移動できる可動板170が設置される場合、上記可動板170に締結部材Cによって固定設置され得る。加圧力測定用アンビル110は図3および図4に図示された通り、通常の溶接用アンビルとは異なる形状で製作され得、加圧力測定センサ115を設置できる余裕空間を有するように拡張突出部112等を具備することができる。
【0077】
次に、上記ホーン120を下降させて加圧力測定用アンビル110を加圧し、上記加圧力測定センサ115によって上記ホーンの加圧力を測定する(S20段階)。上記加圧力測定センサ115はロードセルのような荷重測定センサであり得る。また、上記加圧力測定センサは加圧力インジケータ117と連結されてホーンの加圧力をデジタル化してリアルタイムで数値で表示することができる。このホーンの加圧力は肉眼で確認するか、制御部に伝達され得る。
【0078】
その後、上記測定されたホーン120の加圧力と設定された加圧力範囲とを対比し、ホーンの加圧力が設定された加圧力範囲に含まれるように上記ホーンの下降ストロークを調節する(S30段階)。
【0079】
ホーンの下降ストロークの調節は、例えば空圧または油圧シリンダに供給される空圧または油圧を制御したり、ボールスクリューのような直線移動機構に連結されたサーボモータの回転量を制御して行うことができる。上記ストロークの調節は作業者が手作業で遂行するか、制御部160によって自動で遂行できる。
【0080】
測定された加圧力が設定された加圧力範囲に属さないか最適加圧力と異なる場合、必要に応じて上記加圧力測定および下降ストローク調節作業を繰り返し行うことができる。
【0081】
上記ホーンの下降ストロークHが調節された後、上記加圧力測定用アンビル110と被溶接部材が置かれて支持される溶接用アンビル140を位置変更する(S40段階)。この場合、手作業でアンビルの位置を変更または取り替えることができるが、これは効率性が下がるため、図11および図12に図示された通り、予め加圧力測定用アンビル110および溶接用アンビル140を固定設置しておき、上記アンビルをホーン120に対して相対移動させることによってアンビルの取り替えを容易に行うことができる。
【0082】
最後に、上記調節された下降ストロークHで上記ホーン120を下降させ、振動を印加して溶接用アンビル上の被溶接部材Wを超音波溶接する(S50段階)。
【0083】
S20段階で、上記ホーン120が上記加圧力測定用アンビルを加圧する時、上記ホーンに超音波振動を付与しない。これによって超音波による影響なしにホーンの加圧力をより正確に測定することができる。
【0084】
S30段階で、上記測定されたホーン120の加圧力が設定された最適加圧力となるまで上記ホーンの下降ストロークを繰り返し調節することができる。繰り返し調節によって、最適加圧力に該当する下降ストロークを求めた後、その下降ストロークで上記ホーンを溶接用アンビル140に下降させて被溶接部材を溶接すれば、最適の加圧力で溶接することができる。これによって、例えば電極タブと電極リード間の弱溶接を防止することができる。また、最適の加圧力で溶接するので、ホーンと溶接用アンビルが必要以上に摩耗したり電極タブやリードが強い圧力によって断線するなどの問題を防止することができる。
【0085】
以上の説明は本発明の技術思想を例示的に説明したものに過ぎず、本発明が属する技術分野で通常の知識を有する者であれば、本発明の本質的な特性から逸脱しない範囲で多様な修正および変形が可能であろう。したがって、本発明に開示された図面は本発明の技術思想を限定するためのものではなく説明するためのものであり、このような図面によって本発明の技術思想の範囲が限定されるものではない。本発明の保護範囲は下記の特許請求の範囲によって解釈されるべきであり、それと同等な範囲内にあるすべての技術思想は本発明の範囲に含まれるものと解釈されるべきである。
【0086】
一方、本明細書で上、下、左、右、前、後のような方向を示す用語が使われたが、このような用語は説明の便宜のためのものに過ぎず、対象となる事物の位置や観測者の位置などにより変わり得ることは自明である。
【符号の説明】
【0087】
100、100´、100″:超音波溶接装置
110:加圧力測定用アンビル
111:胴体部
112:拡張突出部
113:設置溝
114:締結部
120:ホーン
121:拡張部
130:ホーンストローク調節部(空圧シリンダ)
131:シリンダ本体
132:シリンダロッド
140:溶接用アンビル
141:胴体部
142:締結部
150:ベース
151:ガイドレール
152:ストッパー
160:制御部
170:可動板
171:ガイド溝
G:超音波ジェネレータ
T:トランスデューサ
B:ブースター
C:締結部材
P:支持台
W:被溶接部材
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
【国際調査報告】