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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-11-02
(54)【発明の名称】船の横方向推進装置
(51)【国際特許分類】
   B63H 25/42 20060101AFI20231026BHJP
   B63H 5/16 20060101ALI20231026BHJP
【FI】
B63H25/42 S
B63H25/42 Q
B63H5/16 B
B63H5/16 E
【審査請求】未請求
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2023522890
(86)(22)【出願日】2021-10-14
(85)【翻訳文提出日】2023-06-12
(86)【国際出願番号】 IB2021059445
(87)【国際公開番号】W WO2022079651
(87)【国際公開日】2022-04-21
(31)【優先権主張番号】102020000024202
(32)【優先日】2020-10-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IT
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】514146829
【氏名又は名称】フィンカンティエリ ソチエタ ペル アツィオニ
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【弁理士】
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100111039
【弁理士】
【氏名又は名称】前堀 義之
(74)【代理人】
【識別番号】100122286
【弁理士】
【氏名又は名称】仲倉 幸典
(72)【発明者】
【氏名】カイッツィ,アントニオ
(72)【発明者】
【氏名】マラソーマ,ニッコロ
(72)【発明者】
【氏名】クルト,ルイージ
(72)【発明者】
【氏名】カンポドニコ,マルコ
(57)【要約】
船2の横方向推進装置1であって、船2の船体4内に画定され、操縦プロペラ5を含むように構成された操縦トンネル3を備える。操縦トンネル3は、第1のトンネル入口7と第2のトンネル入口8との間に延びるトンネル壁6によって境界が定められている。カウンタ継手27を含む支持構造体10を備える。支持構造体10は、カウンタ継手27で、継手9に、分離可能な態様で連結される。横方向推進装置1は、閉鎖位置にあるときに、トンネル入口7,8を全体として閉鎖するように形作られた少なくとも2つの閉鎖扉12を更に備える。支持構造体10は、ヒンジ11を含む。閉鎖扉12は、支持構造体10のヒンジ11のみに回転可能にヒンジ止めされ、支持構造体10のカウンタ継手27が継手9から分離されたとき、閉鎖扉12が、支持構造体10と共に、操縦トンネル3から分離して、操縦トンネル3へのアクセスを可能にする。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
船(2)の横方向推進装置(1)であって、
上記船(2)の船体(4)内に画定され、かつ少なくとも1つの操縦プロペラ(5)を含むように構成された操縦トンネル(3)を備え、
上記操縦トンネル(3)は、第1のトンネル入口(7)と反対側の第2のトンネル入口(8)との間に延びるトンネル壁(6)によって境界が定められており、
上記横方向推進装置(1)は、閉鎖位置にあるときに、上記少なくとも1つのトンネル入口(7,8)を全体として閉鎖するように形作られた少なくとも2つの閉鎖扉(12)を更に備えた、横方向推進装置(1)において、
上記少なくとも1つのトンネル入口(7,8)にて上記トンネル壁(6)から延びる少なくとも1つの継手(9)と、
少なくとも1つのカウンタ継手(27)を含む少なくとも1つの支持構造体(10)とを備え、
上記支持構造体(10)は、その少なくとも1つのカウンタ継手(27)で、上記少なくとも1つの継手9に、分離可能な態様で連結され、
上記少なくとも1つの支持構造体(10)は、ヒンジ(11)を含み、
上記少なくとも2つの閉鎖扉(12)は、上記支持構造体(10)の上記ヒンジ(11)のみに回転可能に支持され、それによって、上記支持構造体(10)の上記少なくとも1つのカウンタ継手(27)が上記少なくとも1つの継手(9)から分離されたとき、上記閉鎖扉(12)が、上記支持構造体(10)と共に、上記操縦トンネル(3)から分離することによって、上記操縦トンネルが浸漬されたときでも上記操縦トンネル(3)へのアクセスを可能にする
ことを特徴とする横方向推進装置。
【請求項2】
請求項1に記載の横方向推進装置(1)において、
上記操縦トンネル(3)は、トンネル壁(6)を含み、
上記トンネル壁(6)は、トンネル入口(7,8)にて連結壁(16)を形成し、
上記連結壁(16)は、上記船体(2)の外壁(17)に連結されている
ことを特徴とする横方向推進装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の横方向推進装置(1)において、
扉制御機構(24)が、上記少なくとも2つの閉鎖扉(12)に動作可能に連結されており、
上記少なくとも2つの閉鎖扉(12)は、上記支持構造体(10)の上記ヒンジ(11)のみに回転可能に支持されており、それによって、上記支持構造体(10)の上記少なくとも1つのカウンタ継手(27)が上記少なくとも1つの継手(9)から分離されたとき、上記閉鎖扉(12)が、上記支持構造体(10)及び上記扉制御機構(24)と共に、操縦トンネル(3)から分離することによって、上記操縦トンネル(3)へのアクセスが可能となる
ことを特徴とする横方向推進装置。
【請求項4】
請求項1から3までのいずれか一つに記載の横方向推進装置(1)において、
上記少なくとも1つのカウンタ継手(27)は、上記少なくとも1つの継手(9)と幾何学的に結合可能であるように、上記少なくとも1つの継手(9)の形状と相補的である形状を有し、
上記少なくとも1つのカウンタ継手(27)及び上記少なくとも1つの継手(9)は、上記少なくとも1つのカウンタ継手(27)及び上記少なくとも1つの継手(9)が幾何学的に結合されたとき、流体力学的形状を画定するように形作られている
ことを特徴とする横方向推進装置。
【請求項5】
請求項1から4までのいずれか一つに記載の横方向推進装置(1)において、
幾何学的に結合された上記少なくとも1つのカウンタ継手(27)及び上記少なくとも1つの継手(9)は、拘束ねじ(28)によって一緒にロックされている
ことを特徴とする横方向推進装置。
【請求項6】
請求項1から5までのいずれか一つに記載の横方向推進装置(1)において、
上記横方向推進装置(1)は、上記トンネル入口(7,8)に対して互いに反対側に配置された少なくとも1対の継手(9)を備え、
上記支持構造体(10)は、2つのビーム端の間に延びる少なくとも1つの横材(21)を備え、
各ビーム端がカウンタ継手(27)を提供するように構成され、
上記ヒンジ(11)が上記少なくとも1つのビーム(21)に対して連結され、それによって、上記ヒンジ(11)の各々が上記船を横切る平面内に存在する扉回転軸(14)を画定している
ことを特徴とする横方向推進装置。
【請求項7】
請求項6に記載の横方向推進装置(1)において、
上記支持構造体(10)は、互いに実質的に平行な少なくとも2つのビーム(21)を含み、
1つのビーム(21)上に配置されたヒンジ(11)は、上記少なくとも1つの第2のビーム(21)上に配置されたヒンジ(11)の方へ向けられて、ヒンジ(11)の複数の対を形成しており、ヒンジ(11)の各対は、上記船を横切る平面内に存在する扉回転軸(14)を画定している
ことを特徴とする横方向推進装置。
【請求項8】
請求項6または7に記載の横方向推進装置(1)において、
少なくとも1つのビーム(21)は、翼部分、または、流体力学的であるように形成された部分を有する
ことを特徴とする横方向推進装置。
【請求項9】
請求項1から8までのいずれか一つに記載の横方向推進装置(1)において、
上記横方向推進装置(1)は、上記トンネル入口(7,8)に対して互いに反対側に配置された少なくとも1対の継手(9)を備え、
上記支持構造体(10)は、2つの直立体端部の間に延びる少なくとも1つの直立体(22)を含み、
上記直立体端部は、2つの反対側の継手(9)と連結されている
ことを特徴とする横方向推進装置。
【請求項10】
請求項9および請求項6から8までの一つに記載の横方向推進装置(1)において、
上記少なくとも1つの直立体(22)は、上記少なくとも1つのビーム(21)に連結され、かつ上記少なくとも1つのビーム(21)に対して横切って配置されている
ことを特徴とする横方向推進装置。
【請求項11】
請求項9または10に記載の横方向推進装置(1)において、
各直立体端部は、上記継手(9)から分離可能なカウンタ継手(27)を提供するように構成されている
ことを特徴とする横方向推進装置。
【請求項12】
請求項9から11までの一つに記載の横方向推進装置(1)において、
上記少なくとも1つの直立体(22)は、翼部分、または、流体力学的であるように形成された部分を有する
ことを特徴とする横方向推進装置。
【請求項13】
請求項7および請求項9から12までの一つに記載の横方向推進装置(1)において、
上記支持構造体(10)は、それぞれ2本の直立体(22)と連結された2本のビーム(21)を含み、それによって例えば四角形の枠を作るようになっているが、必ずしも四角形でなくてもよい
ことを特徴とする横方向推進装置。
【請求項14】
請求項1から13までのいずれか一つに記載の横方向推進装置(1)において、
上記閉鎖扉(12)は、扉外面(29)と、反対側の扉内面(30)とを画定し、
閉鎖構成では、上記扉外面(29)は上記操縦トンネル(3)の外側に向き、上記扉内面(30)は上記操縦トンネル3の内側に向き、
上記閉鎖扉(12)は、上記閉鎖構成において上記扉外面(29)が上記船(2)の船体外面(17)と面一になるように、上記ヒンジ(11)に回転可能にヒンジ止めされている
ことを特徴とする横方向推進装置。
【請求項15】
請求項1から14までのいずれか一つに記載の横方向推進装置(1)において、
各閉鎖扉(12)は、ヒンジ(11)と一列に並ぶようにヒンジ(11)を抱える少なくとも1対の対向する突起した形状のアイレット(33)を形成しており、
上記アイレット(33)を上記ヒンジ(11)に回転可能に連結する扉回転ピン34を挿入するようになっている
ことを特徴とする横方向推進装置。
【請求項16】
請求項1から15までのいずれか一つに記載の横方向推進装置(1)において、
上記閉鎖扉(12)は、開いたときに上記船を横切る平面内に存在するように上記支持構造体(10)と連結されている
ことを特徴とする横方向推進装置。
【請求項17】
請求項1から16までのいずれか一つに記載の横方向推進装置(1)において、
上記横方向推進装置(1)は、上記閉鎖扉(12)を閉鎖位置から開放位置へ、またはその逆へ動かすように構成された扉制御機構(24)を備え、
少なくとも1つの閉鎖扉(12)は、上記支持構造体(10)に設けられた少なくとも1つのヒンジ(11)と一列に並ぶ、少なくとも1つのスロットまたはアイレット(33)を形成しており、
少なくとも1つのヒンジ(11)は、回転モータステータ(51)と回転モータロータ(53)とを含む回転モータ(50)であり、
上記閉鎖扉(12)の上記少なくとも1つのアイレット(33)は、上記回転モータロータ(53)に連結されているか、
または、
上記横方向推進装置(1)は、上記閉鎖扉(12)を閉鎖位置から開放位置へ、またはその逆へ動かすように構成された扉制御機構(24)を備え、
少なくとも1つの閉鎖扉(12)は、上記支持構造体(10)に設けられた少なくとも1つのヒンジ(11)と一列に並ぶ、少なくとも1つのアイレット(33)を形成しており、
上記閉鎖扉(12)の上記少なくとも1つのアイレット(33)は、回転モータステータ(51)と回転モータロータ(53)とを含む回転モータ(50)であり、
上記少なくとも1つのヒンジ(11)はスロットを含み、上記スロットは上記回転モータロータ(53)に連結されている
ことを特徴とする横方向推進装置。
【請求項18】
請求項17に記載の横方向推進装置(1)において、
上記回転モータ(50)は、回転モータの動作連結部(53)によって上記船体に動作可能に連結された油圧モータ又は電気モータであり、
または、
上記回転モータ(50)は、取り外し可能なコネクタ(54)、例えばクイックコネクタによる回転モータの動作連結部(53)によって上記船体に動作可能に連結された油圧モータ又は電気モータである
ことを特徴とする横方向推進装置。
【請求項19】
請求項15に記載の横方向推進装置(1)において、
上記1対の対向するアイレット(33)は、貫通アイレット(36)と、ねじ付きアイレット(37)とを含み、
扉回転ピン(34)は、上記貫通アイレット(36)及び上記ヒンジ(11)を貫通して挿入され、上記ねじ付きアイレット(37)に螺合されるように構成されている
ことを特徴とする横方向推進装置。
【請求項20】
請求項19に記載の横方向推進装置(1)において、
上記ねじ付きアイレット(37)に螺合された上記扉回転ピン(34)は、上記貫通アイレット(36)を越えて突出し、
上記少なくとも1つのヒンジ(11)に対する上記閉鎖扉(12)のヒンジ結合を締め付けるように、ナット(20)が上記扉回転ピン(34)の上記突出する部分に螺合されている
ことを特徴とする横方向推進装置。
【請求項21】
請求項15、19または20に記載の横方向推進装置(1)において、
上記対向するアイレット(33)は、上記閉鎖扉(12)の凹部(35)内に設けられている
ことを特徴とする横方向推進装置。
【請求項22】
請求項15および請求項19から21までの一つに記載の横方向推進装置(1)において、
各閉鎖扉(12)は、互いに連結された閉鎖壁(31)と扉枠(32)とを含み、
上記アイレット(33)は、上記扉枠(32)に形成されている
ことを特徴とする横方向推進装置。
【請求項23】
請求項22に記載の横方向推進装置(1)において、
上記閉鎖壁(31)は、上記扉枠(32)の上記アイレット(33)と幾何学的に結合するように形作られている
ことを特徴とする横方向推進装置。
【請求項24】
請求項1から23までのいずれか一つに記載の横方向推進装置(1)において、
閉鎖扉(12)の第1の組は、部分的に開いているとき、かつ上記船(2)が前進しているとき、上記船(2)の移動によって生成される流体流が第1の組の閉鎖扉(12)をさらに開く傾向があるように、上記支持構造体(10)にヒンジ止めされており、
閉鎖扉(12)の第2の組は、部分的に開いているとき、かつ上記船(2)が前進しているとき、上記船(2)の移動によって生成される流体流が第2の組の閉鎖扉(12)を閉じる傾向があるように、上記支持構造体(10)にヒンジ止めされている
ことを特徴とする横方向推進装置。
【請求項25】
請求項1から24までのいずれか一つに記載の横方向推進装置(1)において、
上記閉鎖扉(12)は、翼部分を有するか、または上記閉鎖扉(12)が開いた位置または部分的に開いた位置にあるとき流体力学的であるように、形作られている
ことを特徴とする横方向推進装置。
【請求項26】
請求項1から25までのいずれか一つに記載の横方向推進装置(1)において、
各閉鎖扉(12)は、扉外面(29)と、扉内面(30)とを含み、
閉鎖構成では、上記扉外面(29)は上記操縦トンネル(3)から外側に向き、上記扉内面(30)は上記操縦トンネル(3)から内側に向き、
開放構成では、少なくとも2つの隣り合う閉鎖扉(12)は、反対方向に回転、すなわちカウンタ回転し、それぞれの上記扉外面(29)を互いに向き合わせ、上記扉内面(30)を互いに反対向きにし、一緒に流体力学的プロファイルを形成する
ことを特徴とする横方向推進装置。
【請求項27】
請求項1から26までのいずれか一つに記載の横方向推進装置(1)において、
上記閉鎖扉(12)を閉鎖位置から開放位置へ、またはその逆へ動かすように構成された扉制御機構(24)を備えている
ことを特徴とする横方向推進装置。
【請求項28】
請求項27に記載の横方向推進装置(1)において、
上記扉制御機構(24)は、扉回転軸(14)に対して実質的に横方向の扉作動軸(26)に沿って作動するように構成されたリニアアクチュエータ(38)を含んでいる
ことを特徴とする横方向推進装置。
【請求項29】
請求項28に記載の横方向推進装置(1)において、
上記リニアアクチュエータ(38)は、トンネル入口(7,8)に配置され、上記トンネル壁(6)から上記操縦トンネル(3)の内部へ密閉されて開いている
ことを特徴とする横方向推進装置。
【請求項30】
請求項28または29に記載の横方向推進装置(1)において、
上記扉制御機構(24)は、関節接続を介して上記リニアアクチュエータ(38)に連結された制御コンソール(23)を含み、
上記制御コンソール(23)は、上記リニアアクチュエータ(38)の移動に伴って上記閉鎖扉(12)を移動させるように、さらに上記閉鎖扉(12)に連結されている
ことを特徴とする横方向推進装置。
【請求項31】
請求項30に記載の横方向推進装置(1)において、
上記制御コンソール(23)と上記リニアアクチュエータ(38)との間の上記関節接続は、上記制御コンソール(23)を上記リニアアクチュエータ(38)に回転可能に連結する連結ピン(43)を含んでいる
ことを特徴とする横方向推進装置。
【請求項32】
請求項30または31に記載の横方向推進装置(1)において、
上記制御コンソール(23)は、上記閉鎖扉(12)に連結され、かつ上記制御コンソール(23)に回転可能に連結された複数の制御レバー(39)によって、上記閉鎖扉(12)に連結されており、
各閉鎖扉(12)に単一の制御レバー(39)が連結されている
ことを特徴とする横方向推進装置。
【請求項33】
請求項32に記載の横方向推進装置(1)において、
上記複数の制御レバー(39)のうちの反転用制御レバー(41)は、この反転用制御レバー(41)と連結された上記閉鎖扉(12)の回転方向を反転させるように構成された運動反転用連結ロッド(40)と連結されており、
上記制御コンソール(23)が上記制御レバー(39)を作動させて上記閉鎖扉(12)を反時計回り方向に開くと、上記運動反転用連結ロッド(40)が上記反転用制御レバー(41)を制御して対応する上記閉鎖扉(12)を時計回り方向に開き、また、その逆も同様に行われる
ことを特徴とする横方向推進装置。
【請求項34】
請求項33に記載の横方向推進装置(1)において、
上記運動反転用連結ロッド(40)は、上記制御コンソール(23)に対して静止している制御ロッド(42)に枢着されている
ことを特徴とする横方向推進装置。
【請求項35】
請求項27から34までのいずれか一つに記載の横方向推進装置(1)において、
上記トンネル入口(7,8)に対して互いに反対側に配置された2つの制御機構(24)を備えた
ことを特徴とする横方向推進装置。
【請求項36】
請求項28から34までの一つおよび請求項35に記載の横方向推進装置(1)において、
上記2つの制御機構(24)のそれぞれの上記リニアアクチュエータ(38)は、同じ上記扉作動軸(26)に沿って作用して、上記リニアアクチュエータ(38)のうちの一方の前進が他方のリニアアクチュエータ(38)の後退に対応するようになっている
ことを特徴とする横方向推進装置。
【請求項37】
請求項36に記載の横方向推進装置(1)において、
上記閉鎖扉(12)の第1の組は、上記2つの制御機構(24)のうちの一方の制御コンソール(23)に連結され、上記閉鎖扉(12)の第2の組は、他方の制御機構(24)の制御コンソール(23)に連結されており、
上記2つの制御機構(24)の上記制御コンソール(23)は、互いに回転可能に連結されており、
両方の制御機構(24)は、同じ運動反転用連結ロッド(40)に連結された反転用制御レバー(41)を含み、
それによって、上記2つの制御機構(24)は、両方の通常動作中に上記閉鎖扉(12)の作動を助けるように構成される一方、上記2つの制御機構(24)の一方の故障の場合には、他方が全ての閉鎖扉(12)を自立的に動かすように構成されている
ことを特徴とする横方向推進装置。
【請求項38】
請求項1から37までのいずれか一つに記載の少なくとも1つの横方向推進装置(1)を備えた船(2)。
【請求項39】
請求項38に記載の船(2)において、
複数の横方向推進装置(1)を備え、
少なくとも1つの横方向推進装置(1)は、上記船(2)の船首領域に配置され、および/または、少なくとも1つの横方向推進装置(1)は、上記船(2)の船尾領域に配置されている
ことを特徴とする船。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、船の横方向推進装置に関する。
【背景技術】
【0002】
知られているように、船の操縦は複雑であり、特に大型船舶では、接岸または離岸時に、主推進装置と舵を使用して操縦される。
【0003】
実際、狭い場所や低速では、舵の使用は容易でも効果的でもない。これは、舵が翼形であるため、揚力を発生させるためには所定の速度の水流を流す必要があるからである。さらに、主推進装置と舵が船尾に配置されているため、接岸および離岸の操縦の際に船首部分が実質的に制御されないままとなる。
【0004】
そこで、船に、操縦プロペラとしても知られている少なくとも1つの横方向推進装置を装備することが知られている。その横方向推進装置は、回転軸を船の対称面に対して垂直に向けた状態で配置された羽根車(impeller)を含む。
【0005】
上記横方向推進装置は、船の船体に画定されたトンネル(船首または船尾であっても、船を左右に横断する)に組み込まれている。
【0006】
上記横方向推進装置を起こり得る衝突や損傷から保護するために、上記横方向推進装置が収容されるトンネルの入口に格子または開き扉を設置することが知られている。
【0007】
格子と比較して、上記開き扉は、巡航中、上記横方向推進装置の不使用時には閉じて、トンネル開口部から発生する乱流現象を最小限に抑えることができるとともに、上記横方向推進装置を最適な方法で覆って保護し、上記横方向推進装置の使用が必要な時には開くことができる、という利点を有する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
トンネル入口に連結された複数の貫通ヒンジに扉が設置される解決策が知られている。これらの解決策の例は、CN205819525、CN105329405、CN102381439、CN109094715、CN205327529、WO2019/220152、およびGB782628に記載されている。これらの既知の解決策は、トンネルの入口に凹部として作られた適切な開口に収容されなければならず、明確に説明されているように、船体に溶接される構造を示している。これらの既知の解決策は、まさに上記扉を囲み支持するフレームを船体に溶接する必要があるため、操縦用トンネルの入り口を四角く鋭いエッジで設計しなければならず、それによって、トンネルを出入りする流体の流れに渦と乱れが生じ、エネルギの高い損失を発生させる。
【0009】
上記トンネルの入口に上記扉があることは、上記横方向推進装置のメンテナンスを遅く、手間がかかるものとする。その理由は、上記扉が、上記横方向推進装置に介入できるようにメンテナンス担当者がトンネル内に素早く到達するのを妨げるからである。
【0010】
上記既知の横方向推進装置の更なる欠点は、上記扉が、閉じた構成で、巡航中に、上記扉における船体プロファイルの不連続性のために摩擦及び渦抵抗が発生することである。
【0011】
上記既知の横方向推進装置の更なる欠点は、上記扉が、開いた構成で、上記羽根車が使用されているときに、上記羽根車自体の動作状態に影響を与える乱流を発生させることである。
【0012】
本発明の目的は、上記背景技術の欠点の少なくとも幾つかを解決するような横方向推進装置を提供することにある。
【0013】
本発明の特別の目的は、メンテナンス担当者による横方向推進装置へのアクセスを容易にすることにより、メンテナンス作業を容易にする横方向推進装置を提供することにある。
【0014】
本発明のさらに特別の目的は、巡航中に発生する渦抵抗および摩擦を低減する横方向推進装置を提供することにある。
【0015】
本発明のさらに特別の目的は、横方向推進装置の使用中に、乱流の発生を低減し、層流を維持し、境界層分離および渦の現象を回避する横方向推進装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0016】
これら及び他の目的は、請求項1に記載の船の横方向推進装置によって達成される。
【0017】
従属請求項は、本発明の好ましく且つ有利な実施形態に関する。
【図面の簡単な説明】
【0018】
本発明をより良く理解し、その利点を理解するために、その幾つかの非限定的で例示的な実施形態が、添付図面を参照して以下に説明される。図面において、
【0019】
図1】本発明の一実施形態による横方向推進装置が設置された船の詳細図である。
【0020】
図2】本発明の一実施形態による横方向推進装置が設置された船の、さらなる詳細図である。
【0021】
図3】本発明の一実施形態による横方向推進装置の正面図である。
【0022】
図4】本発明の一実施形態による横方向推進装置の斜視図である。
【0023】
図5】本発明の一実施形態による、開いた構成にある横方向推進装置の斜視図である。
【0024】
図6図5に示された、開いた構成にある横方向推進装置の正面図である。
【0025】
図7】本発明の一実施形態による横方向推進装置の、さらなる斜視図である。
【0026】
図8】本発明の一実施形態による横方向推進装置の、さらなる斜視図である。
【0027】
図9】本発明の一実施形態による横方向推進装置の側面図である。
【0028】
図10】本発明の一実施形態による横方向推進装置の断面を示す斜視図である。
【0029】
図11】本発明の一実施形態による横方向推進装置の詳細を示す図である。
【0030】
図12】本発明の一実施形態による横方向推進装置の詳細を示す図である。
【0031】
図13】本発明の一実施形態による横方向推進装置の詳細図である。
【0032】
図14】本発明の一実施形態による横方向推進装置の、さらなる詳細図である。
【0033】
図15】本発明の一実施形態による横方向推進装置の、さらなる詳細図である。
【0034】
図16】本発明の一実施形態による横方向推進装置の部品を示す図である。
【0035】
図17】本発明の一実施形態による横方向推進装置の部分的分解図である。
【0036】
図18】本発明の一実施形態による、分解の第1ステップにある、分解ツールに関連付けられた横方向推進装置の斜視図である。
【0037】
図19】本発明の一実施形態による、分解の第2ステップにある、分解ツールに関連付けられた横方向推進装置の、さらなる斜視図である。
【0038】
図20】本発明の一実施形態による分解ツールの斜視図である。
【0039】
図21】横方向推進装置を備えた船体の局部的な断面を示す図である。この図は、操縦トンネルの閉鎖扉が開き、操縦推進が作動している様子を描いており、操縦トンネルに入り、反対側から出る流体流を強調表示しており、提案された装置のおかげで得られた層流と、トンネルの内面と船体外面との間の丸みを帯びた連結形状とを強調表示している。
【0040】
図22】閉鎖扉のアクチュエータが支持体上に配置され、船体への通路がなく、解決策の全体寸法が限定される、本発明の別実施形態の分離した部品(複数)を伴うアキソノメトリック図である。
【0041】
図23図22の船体の局部的な断面図である。この図は、操縦トンネルの閉鎖扉が開いた状態を描いており、トンネルの内面と船体外面との間の連結部の丸みを帯びた形状を強調表示している。
【0042】
図24図23の操縦トンネルのアキソノメトリック断面図である。この図では、中央の1対のカウンタ回転扉が強調表示され、互いに開いた状態で対向し、流体力学的な形状を形成している。
【発明を実施するための形態】
【0043】
これらの図を参照すると、横方向推進装置が参照数字1によって示されている。
【0044】
船2の横方向推進装置1は、船2の船体4内に画定され、かつ少なくとも1つの操縦プロペラ5を含むように構成された操縦トンネル3を備えている。
【0045】
操縦トンネル3は、第1のトンネル入口7と反対側の第2のトンネル入口8との間に延びるトンネル壁6によって境界が定められている。
【0046】
横方向推進装置1は、少なくとも1つのトンネル入口7,8にてトンネル壁6から延びる少なくとも1つの継手9を更に備えている。
【0047】
さらに、横方向推進装置1は、少なくとも1つのカウンタ継手27を含む少なくとも1つの支持構造体10を備えている。
【0048】
支持構造体10は、その少なくとも1つのカウンタ継手27で、上記少なくとも1つの継手9に、分離可能な態様で連結されている。
【0049】
横方向推進装置1は、閉鎖位置にあるときに、少なくとも1つのトンネル入口7、8を全体として閉鎖するように形作られた少なくとも2つの閉鎖扉12を更に備えている。
【0050】
本発明の一局面によれば、少なくとも1つの支持構造体10は、ヒンジ(複数)11を含んで構成されている。
【0051】
さらに、少なくとも2つの閉鎖扉12は、支持構造体10のヒンジ11にのみ回転可能にヒンジ結合されており、それによって、支持構造体10の少なくとも1つのカウンタ継手27が少なくとも1つの継手9から分離されると、閉鎖扉12が支持構造体10と共に操縦トンネル3から分離され、操縦トンネル3へのアクセスを可能にする。
【0052】
有利なことに、このように構成された横方向推進装置1は、メンテナンス担当者による横方向推進装置へのアクセスを容易にすることによって、メンテナンス作業を容易にする。
【0053】
一実施形態によれば、上記操縦トンネル3は、トンネル壁6を含んで構成されている。トンネル壁6は、トンネル入口7,8において連結壁16を形成している。連結壁16は、船体2の外壁17に連結されている。
【0054】
連結壁16のおかげで、トンネル壁6と船体外壁17との間のいかなる不連続性又はエッジも回避され、操縦トンネル3に入り又は出る流体が、迅速に、渦無し又は最小の渦で動くことができ、これにより船の前進抵抗を大幅に低減することができる。
【0055】
トンネル壁6に固定された少なくとも1つの継手9、取り外し可能な支持構造体10の同じく取り外し可能である少なくとも1つのカウンタ継手27、並びに、支持構造体10と共に操縦トンネル3から分離可能であるように支持構造体10に動作可能に連結された閉鎖扉12を、それによって連結壁16の形状を変えることなく設けることは、横方向推進装置1の最大の流体力学を得ることを可能にする。したがって、流体力学的効率に最適化され、当初は閉鎖扉12を備えていない既存の操縦トンネル3にこの解決策を使える可能性がある(閉鎖扉12を備えていない古い解決策に後付けすることができる)。
【0056】
(支持構造体10を継手9に連結すること)
【0057】
一実施形態によれば、少なくとも1つのカウンタ継手27の形状は、少なくとも1つの継手9と幾何学的に結合可能であるように、少なくとも1つの継手9の形状に対して相補的である。
【0058】
さらに、少なくとも1つのカウンタ継手27および少なくとも1つの継手9は、それらが幾何学的に結合されるときに流体力学的形状を画定するように形作られている。
【0059】
有利なことに、流体力学的形状は、横方向推進装置1の使用中に乱流の発生を低減し、層流を維持する。
【0060】
一実施形態によれば、少なくとも1つのカウンタ継手27は、ねじ連結を介して少なくとも1つの継手9に分離可能に連結され得る。
【0061】
好ましい実施形態によれば、少なくとも1つのカウンタ継手27と少なくとも1つの幾何学的に結合された継手9は、ねじ連結によって、好ましくは複数の拘束ねじ28によって一緒にロックされている。
【0062】
一実施形態によれば、横方向推進装置1は、トンネル入口7,8に対して互いに反対側に配置された少なくとも1対の継手9を備えている。
【0063】
一実施形態によれば、支持構造体10は、2つのビーム端の間に延在する少なくとも1つのビーム21を含んでいる。
【0064】
各ビーム端は、カウンタ継手27を作るように構成されている。
【0065】
この実施形態によれば、ヒンジ(複数)11は、少なくとも1つのビーム21に連結され、それによって、ヒンジ11の各々が船を横切る平面内に存在する扉回転軸14を画定している。
【0066】
一実施形態によれば、支持構造体10は、互いに実質的に平行な少なくとも2つのビーム21を含んでいる。
【0067】
この実施形態によれば、1つのビーム21上に配置されたヒンジ11は、少なくとも1つの第2のビーム21上に配置されたヒンジ11に向かって、複数のヒンジ11の対を形成するように向けられている。ヒンジ11の各対は、船を横切る平面内に存在する扉回転軸14を画定している。
【0068】
一実施形態によれば、少なくとも1つのビーム21は、翼形であるか、または流体力学的であるように形作られている。
【0069】
一実施形態によれば、支持構造体10は、2つの直立体端部の間に延在する少なくとも1つの直立体22を備えている。それらの直立体端部は、2つの対向する継手9と連結されている。
【0070】
さらに、少なくとも1つの直立体22は、少なくとも1つのビーム21に連結され、少なくとも1つのビーム21に対して横切って配置されている。
【0071】
一実施形態によれば、直立体端部(複数)は、ねじ連結によって、好ましくは複数の拘束ねじによって、継手9に連結されている。
【0072】
一実施形態によれば、各直立体端部は、上記継手9から分離可能なカウンタ継手27を作るように構成されている。
【0073】
一実施形態によれば、少なくとも1つの直立体22は、翼形であるか、または流体力学的であるように形作られている。
【0074】
一実施形態によれば、支持構造体10は、互いに実質的に平行で、かつ少なくとも1つのビーム21に連結された少なくとも2つの直立体22を含んでいる。
【0075】
好ましい実施形態によれば、支持構造体10は、それぞれ2本の直立体22と連結された2本のビーム21を含み、それによって例えば四角形の枠を作るようになっているが、必ずしも四角形でなくてもよい。
【0076】
(閉鎖扉12をヒンジ11に連結すること)
【0077】
閉鎖扉12は、扉外面29と、反対側の扉内面30とを画定する。
【0078】
閉鎖構成では、扉外面29は操縦トンネル3から外側に向き、扉内面30は操縦トンネル3から内側に向く。
【0079】
本発明の一実施形態によれば、閉鎖扉12は、閉鎖構成において扉外面29が船2の船体外面17と面一になるように、ヒンジ11に回転可能にヒンジ止めされている。
【0080】
有利なことに、閉鎖扉12のそのような配置は、渦抵抗及び渦の形成を低減し、閉鎖扉12のおかげで、ブレーキとして作用するトンネルの内面に衝突する水流によって与えられる付加抵抗の主要な原因を回避する。
【0081】
一実施形態によれば、各閉鎖扉12は、ヒンジ11と一列に並ぶようにヒンジ11を抱える少なくとも1対の対向する突起した形状のアイレット33を形成している。扉回転ピン34を挿入して、アイレット33をヒンジ11に回転可能に連結するためである。
【0082】
この実施形態によれば、閉鎖扉12は、開いたときに上記船を横切る平面内に存在するように支持構造体10と連結されている。
【0083】
一実施形態によれば、1対の対向するアイレット33は、貫通アイレット36と、ねじ付きアイレット37とを含んでいる。
【0084】
扉回転ピン34は、貫通アイレット36及びヒンジ11を貫通して挿入され、ねじ付きアイレット37に螺合されるように構成されている。
【0085】
一実施形態によれば、ねじ付きアイレット37に螺合された扉回転ピン34は、貫通アイレット36を越えて突出する。
【0086】
この実施形態によれば、少なくとも1つのヒンジ11に対する閉鎖扉12のヒンジ結合を締め付けるように、ナット20が扉回転ピン34の上記突出する部分に螺合されている。
【0087】
一実施形態によれば、対向するアイレット(複数)33は、閉鎖扉12のニッチ35内に形成されている。
【0088】
一実施形態によれば、各閉鎖扉12は、互いに連結された閉鎖壁31と扉枠32とを含んでいる。
【0089】
この実施形態によれば、アイレット33は、扉枠32に形成されている。
【0090】
一実施形態によれば、端壁31は、扉枠32のアイレット33と幾何学的に結合するように形作られている。
【0091】
一実施形態によれば、閉鎖扉12の第1の組、例えば5つの閉鎖扉12を有するものは、部分的に開いているとき、かつ船2が前進しているとき、船2の移動によって生成される流体流が上記第1の組の閉鎖扉12をさらに閉じる傾向があるように、支持構造体10にヒンジ止めされている。
【0092】
さらに、閉鎖扉12の第2の組、例えば単一の閉鎖扉12を有するものは、部分的に開いているとき、かつ船2が前進しているとき、船2の移動によって生成される流体流が上記第2の組の閉鎖扉12を開く傾向があるように、支持構造体10にヒンジ止めされている。
【0093】
一実施形態によれば、全部で5つの扉の組は、船が前進しているとき閉じる傾向にある4つの扉と、前進があるとき開く傾向にある唯一の扉とからなっている。扉が全て閉じているか、全て開いているかのどちらかであることを考慮すると、より露出した流体力学的表面積を有する組が優勢であり、システムは船が前進しているとき自発的に閉じる傾向がある。
【0094】
一実施形態によれば、閉鎖扉(複数)12は、翼形であるか、または閉鎖扉(複数)12が開いた位置または部分的に開いた位置にあるとき流体力学的であるように、形作られている。
【0095】
したがって、横方向推進装置1が動作しているとき、閉鎖扉12のこのような整形は、閉鎖扉12を通過する流体の乱流運動の形成を制限する。
【0096】
さらなる実施形態によれば、隣り合う閉鎖扉12の少なくとも1つの対は、扉外面29と扉内面30とを含む。
【0097】
閉鎖構成では、扉外面29は操縦トンネル3から外側に向き、扉内面30は操縦トンネル3から内側に向く。
【0098】
開放または開口構成では、少なくとも1対の隣り合う閉鎖扉12は、各閉鎖扉12が相互に反対方向に回転する。すなわち、それぞれの扉外面29を互いに向き合わせ、扉内面30を互いに反対向きにしたカウンタ回転の態様で回転する。それによって、一緒に流体力学的プロファイルを形成する(2つの連続した開放扉の組で)。
【0099】
(閉鎖扉12の作動)
【0100】
一実施形態によれば、横方向推進装置1は、閉鎖扉12を閉鎖位置から開放位置へ、またはその逆へ動かすように構成された扉制御機構24を備えている。
【0101】
一実施形態によれば、少なくとも1つの閉鎖扉12は、支持構造体10に設けられた少なくとも1つのヒンジ11と一列に並ぶ、少なくとも1つのスロットまたはアイレット33を形成している。
【0102】
支持構造体10の少なくとも1つのヒンジ11は、回転モータステータ51と回転モータロータ53とを含む回転モータ50である。
【0103】
閉鎖扉12の少なくとも1つのアイレット33は、回転モータロータ53に連結され、それによって、回転モータロータ53が回転すると、閉鎖扉12に回転運動が発生する。
【0104】
一実施形態によれば、少なくとも1つの閉鎖扉12は、支持構造体10に設けられた少なくとも1つのヒンジ11と一列に並ぶ、少なくとも1つのアイレット33を形成している。
【0105】
閉鎖扉12の少なくとも1つのアイレット33は、回転モータステータ51と回転モータロータ53とを含む回転モータ50である。
【0106】
少なくとも1つのヒンジ11はスロットを含み、このスロットは、回転モータロータ53が回転すると閉鎖扉12に回転運動が発生するように、回転モータロータ53に連結されている。
【0107】
一実施形態によれば、回転モータ50は、回転モータの動作連結部53によって船体に動作可能に連結された油圧モータ又は電気モータである。
【0108】
一実施形態によれば、回転モータ50は、取り外し可能なコネクタ54、例えばクイックコネクタ55による回転モータの動作連結部53によって船体に動作可能に連結された油圧モータ又は電気モータである。
【0109】
支持構造体20または閉鎖扉12に固定された回転モータ50が設けられているおかげで、船体を横切る作動機構から解放された完全に船外の解決策を作ることができ、構造を単純化して全体の寸法を大幅に縮小し、海水に浸漬される可動スライド部品を回避することができる。
【0110】
一実施形態によれば、アクチュエータ、必ずしもリニアアクチュエータである必要はないが、例えばリニアアクチュエータ38は、操縦トンネル3に入ることによって船体から出て、扉制御機構24に作動的かつ分離可能に連結する。
【0111】
一実施形態によれば、扉制御機構24は、扉回転軸14に対して実質的に横方向の扉作動軸26に沿って作動するように構成されたリニアアクチュエータ38を含んでいる。
【0112】
一実施形態によれば、リニアアクチュエータ38は、トンネル入口7,8に配置され、トンネル壁6から操縦トンネル3の内部へ密閉された態様で開いている。
【0113】
一実施形態によれば、扉制御機構24は、関節接続を介してリニアアクチュエータ38に連結された制御コンソール23を備えている。
【0114】
制御コンソール23は、リニアアクチュエータ38の移動に伴って閉鎖扉12を移動させるように、さらに閉鎖扉12に連結されている。
【0115】
本発明の実施形態によれば、制御コンソール23とリニアアクチュエータ38との間の関節接続は、制御コンソール23をリニアアクチュエータ38に回転可能に連結する連結ピン43を含んでいる。
【0116】
一実施形態によれば、制御コンソール23は、閉鎖扉12に連結され、かつ制御コンソール23に回転可能に連結された複数の制御レバー39によって、閉鎖扉12に連結されている。
【0117】
好ましくは、1つの制御レバー39のみが、各閉鎖扉12に連結されている。
【0118】
一実施形態によれば、複数の制御レバー39のうちの反転用制御レバー41は、この反転用制御レバー41と連結された閉鎖扉12の回転方向を反転させるように構成された運動反転用連結ロッド40と連結されている。
【0119】
この態様で、制御コンソール23が制御レバー39を作動させて閉鎖扉12を反時計回り方向に開くと、運動反転用連結ロッド40が反転用制御レバー41を作動させて対応する閉鎖扉を時計回り方向に開き、また、その逆も同様に行われる。
【0120】
一実施形態によれば、運動反転用連結ロッド40は、制御コンソール23に対して静止している制御ロッド42に枢着されている。
【0121】
一実施形態によれば、制御コンソール23は、各閉鎖扉12の扉枠32に作用するように構成されている。
【0122】
本発明の実施形態によれば、横方向推進装置1は、トンネル入口7,8に対して互いに反対側に配置された2つの制御機構24を備えている。
【0123】
有利なことに、2つの制御機構24のうちの1つは、他方の制御機構24に対して冗長であり、それによって、第1の制御機構24の誤作動の場合にそれを置き換えることができる。
【0124】
一実施形態によれば、2つの制御機構24のそれぞれのリニアアクチュエータ38は、同じ扉作動軸26に沿って作用して、リニアアクチュエータ38のうちの一方の前進が他方のリニアアクチュエータ38の後退に対応するようになっている。
【0125】
一実施形態によれば、第1の組の閉鎖扉12は、2つの制御機構24のうちの一方の制御コンソール23に連結され、第2の組の閉鎖扉12は、他方の制御機構24の制御コンソール23に連結されている。
【0126】
さらに、2つの制御機構24の制御コンソール(複数)23は、互いに回転可能に連結されている。
【0127】
一実施形態によれば、両方の制御機構24は、同じ運動反転用連結ロッド40に連結された反転用制御レバー41を含んでいる。
【0128】
有利なことに、このように構成された2つの制御機構24は、両方の通常動作中に閉鎖扉12の作動において協力し、一方、2つの制御機構24の一方の故障の場合には、他方が自立的に全ての閉鎖扉12を動かすよう構成されている。
【0129】
(分解ツール44)
【0130】
本発明のさらなる局面によれば、横方向推進装置1の組立キット45は、先に説明した横方向推進装置1と、分解ツール44とを備えている。
【0131】
一実施形態によれば、分解ツール44は、例えばフォークリフト車によってフォークされるように構成された2つの中空状のベースレール46を含んでいる。
【0132】
さらに、分解ツール44は、ベースレール46に対して交差し、かつ船2の船体4から離脱した横方向推進装置1の少なくとも1つのカウンタ継手27を支持するように構成された少なくとも1つの支持コラム47を含んでいる。
【0133】
好ましい実施形態によれば、分解ツール44は、船2の船体4から離脱した横方向推進装置1の少なくとも1つのビーム21のビーム端を支持するように構成された2つの支持コラム47を含んでいる。
【0134】
一実施形態によれば、分解ツール47は、支持コラム47をベースレール46に連結する多角形構造体48を含んでいる。
【0135】
多角形構造体48とベースレール46との間の連結部には、船2の船体4から離脱し、分解ツール44に関連付けられた横方向推進装置1の離脱を防止するための停止要素49が形成されている。
【0136】
(横方向推進装置1のメンテナンス方法)
【0137】
本発明のさらなる局面によれば、船2の船体4の横方向推進装置1をメンテナンスするための方法は、次のステップを含む。
【0138】
- 横方向推進装置1の少なくとも1つのカウンタ継手27を、船2の船体4の少なくとも1つの継手9から分離し、
【0139】
- 支持構造体10を、閉鎖扉12と共に、船2の船体4から取り外し、
【0140】
- 操縦トンネル3にアクセスし、メンテナンス介入を行い、
【0141】
- 横方向推進装置1の少なくとも1つのカウンタ継手27を、船2の船体4の少なくとも1つの継手9に再連結すること。
【0142】
本発明のさらなる局面によれば、船2の船体4の横方向推進装置1をメンテナンスするための方法は、次のステップを含む。
【0143】
- 分解ツール44を横方向推進装置1に関連付け、
【0144】
- 横方向推進装置1の少なくとも1つのカウンタ継手27を、船2の船体4の少なくとも1つの継手9から分離し、
【0145】
- 分解ツール44によって支持構造体10を支持し、
【0146】
- 分解ツール44によって、支持構造体10を、閉鎖扉12と共に、船2の船体4から分離し、
【0147】
- 操縦トンネル3にアクセスし、メンテナンス介入を行い、
【0148】
- 分解ツール44によって、操縦トンネル3に支持構造体10を再配置し、
【0149】
- 横方向推進装置1の少なくとも1つのカウンタ継手27を、船2の船体4の少なくとも1つの継手9に再連結すること。
【0150】
本発明のさらなる局面によれば、船2の船体4の横方向推進装置1をメンテナンスするための方法は、次のステップを含む。
【0151】
- 横方向推進装置1の扉制御機構24から、少なくとも1つのアクチュエータ38を分離し、
【0152】
- 横方向推進装置1の少なくとも1つのカウンタ継手27を、船2の船体4の少なくとも1つの継手9から分離し、
【0153】
- 支持構造体10を、閉鎖扉12と共に、船体2の船体4から取り外し、
【0154】
- 操縦トンネル3にアクセスし、メンテナンス介入を行い、
【0155】
- 横方向推進装置1の少なくとも1つのカウンタ継手27を、船2の船体4の少なくとも1つの継手9に再連結し、
【0156】
- 少なくとも1つのアクチュエータ38を、横方向推進装置1の扉制御機構24に再連結すること。
【0157】
さらなる実施形態によれば、船2の船体4の横方向推進装置1をメンテナンスするための方法は、次のステップを含む。
【0158】
- 分解ツール44を横方向推進装置1の支持構造体10に関連付け、
【0159】
- 少なくとも1つのアクチュエータ38を、横方向推進装置1の扉制御機構24から分離し、
【0160】
- 横方向推進装置1の少なくとも1つのカウンタ継手27を、船2の船体4の少なくとも1つの継手9から分離し、
【0161】
- 支持構造体10を、閉鎖扉12及び扉制御機構24と共に、分解ツール44によって支持し、
【0162】
- 分解ツール44によって、支持構造体10を、閉鎖扉12及び扉制御機構24と共に、船2の船体4から分離し、
【0163】
- 操縦トンネル3にアクセスし、メンテナンス介入を行い、
【0164】
- 分解ツール44によって、支持構造体10を、閉鎖扉12及び扉制御機構24と共に、操縦トンネル3に再配置し、
【0165】
- 横方向推進装置1の少なくとも1つのカウンタ継手27を、船2の船体4の少なくとも1つの継手9に再連結し、
【0166】
- 少なくとも1つのアクチュエータ38を、横方向推進装置1の扉制御機構24に再連結すること。
【0167】
(船2)
【0168】
本発明のさらなる局面によれば、船2は、上述のような少なくとも1つの横方向推進装置1を備えている。
【0169】
一実施形態によれば、船2は、複数の横方向推進装置1を備えている。
【0170】
好ましい実施形態によれば、船2は、3つの横方向推進装置1を備えている。
【0171】
一実施形態によれば、船2は、船2の船首領域に配置された少なくとも1つの横方向推進装置1を備えている。
【0172】
一実施形態によれば、船2は、船2の船尾領域に配置された少なくとも1つの横方向推進装置1を備えている。
【0173】
好ましくは、船2は、少なくとも2つの横方向推進装置1を備え、そのうちの1つは船2の船首領域に配置され、他方は船2の船尾領域に配置されている。
【0174】
(横方向推進装置1のさらなる特徴)
【0175】
本発明の実施形態によれば、操縦トンネル3は、船体4の両側の側面13に流出する。
【0176】
本発明の実施形態によれば、推進装置1は、トンネル壁6に回転可能に支持された、操縦スラスタ15の操縦プロペラ5を含む。
【0177】
好ましい実施形態によれば、操縦プロペラ5は、可変翼タイプのものである。
【0178】
有利なことに、可変翼タイプの操縦プロペラ5は、各トンネル入口7,8の方向において、選択的に、船2にパルスを付与するように動作可能である。
【0179】
一実施形態によれば、トンネル壁6は、円筒形である。
【0180】
有利なことに、上記円筒形の形状は、操縦トンネル3内の層流を維持し、乱流運動の形成を妨げる。
【0181】
本発明の実施形態によれば、トンネル壁6は、トンネル入口7,8で船体2の外壁17に連結された連結壁16を形成している。連結壁16のおかげで、トンネルの内面、またはトンネル壁6は、表面連続性をもって、したがって、船体の外壁17にエッジなしで(言い換えれば、Rによって)連結される。少なくとも1つのトンネル入口7,8でトンネル壁6から延びる少なくとも1つの継手9を設けることは、トンネル壁6と船体2の外壁17との間のこの表面連続性を変更しないことを可能にする。さらに、船体2の外壁17に連結される連結壁16の完全性が確保され、少なくとも1つの支持構造体10が少なくとも1つのカウンタ継手27(上記少なくとも1つの継手9に分離可能な態様で連結する)を構成しているおかげで、操縦トンネル3への流体の流入または流出が流体力学的に最適化され得る。
【0182】
当然ながら、当業者であれば、後述の特許請求の範囲から逸脱することなく、本発明に修正又は適合を加えることができるであろう。
【符号の説明】
【0183】
1 横方向推進装置
2 船
3 操縦トンネル
4 船体
5 操縦プロペラ
6 トンネル壁
7 第1のトンネル入口
8 第2のトンネル入口
9 継手
10 支持構造体
11 ヒンジ
12 閉鎖扉
13 側面
14 扉回転軸
15 操縦スラスタ
16 連結壁
17 船体外面
18 -
19 -
20 ナット
21 ビーム
22 直立体
23 連結ブラケット
24 扉制御機構
25 アクチュエータ、例えばリニアアクチュエータ
26 扉作動軸
27 カウンタ継手
28 拘束ねじ
29 扉外面
30 扉内面
31 閉鎖壁
32 扉枠
33 アイレット
34 扉回転ピン
35 ニッチ
36 貫通アイレット
37 ねじ付きアイレット
38 リニアアクチュエータ
39 制御レバー
40 運動反転用連結ロッド
41 反転用制御レバー
42 制御ロッド
43 連結ピン
44 分解ツール
45 組立キット
46 ベースレール
47 支持コラム
48 多角形構造体
49 停止要素
50 回転モータ
51 回転モータステータ
52 回転モータロータ
53 回転モータの動作連結部
54 取り外し可能なコネクタ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24
【手続補正書】
【提出日】2023-06-14
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
船(2)の横方向推進装置(1)であって、
上記船(2)の船体(4)内に画定され、かつ少なくとも1つの操縦プロペラ(5)を含むように構成された操縦トンネル(3)を備え、
上記操縦トンネル(3)は、第1のトンネル入口(7)と反対側の第2のトンネル入口(8)との間に延びるトンネル壁(6)によって境界が定められており、
上記横方向推進装置(1)は、閉鎖位置にあるときに、上記少なくとも1つのトンネル入口(7,8)を全体として閉鎖するように形作られた少なくとも2つの閉鎖扉(12)を更に備えた、横方向推進装置(1)において、
上記少なくとも1つのトンネル入口(7,8)にて上記トンネル壁(6)から延びる少なくとも1つの継手(9)と、
少なくとも1つのカウンタ継手(27)を含む少なくとも1つの支持構造体(10)とを備え、
上記少なくとも1つのカウンタ継手(27)及び上記少なくとも1つの継手(9)は、幾何学的に結合されるとき、拘束ねじ(28)によって一緒にロックされ、
上記支持構造体(10)は、その少なくとも1つのカウンタ継手(27)で、上記少なくとも1つの継手9に、分離可能な態様で連結され、
上記少なくとも1つの支持構造体(10)は、ヒンジ(11)を含み、
上記少なくとも2つの閉鎖扉(12)は、上記支持構造体(10)の上記ヒンジ(11)のみに回転可能に支持され、それによって、上記支持構造体(10)の上記少なくとも1つのカウンタ継手(27)が上記少なくとも1つの継手(9)から分離されたとき、上記閉鎖扉(12)が、上記支持構造体(10)と共に、上記操縦トンネル(3)から分離することによって、上記操縦トンネルが浸漬されたときでも上記操縦トンネル(3)へのアクセスを可能にする
ことを特徴とする横方向推進装置。
【請求項2】
請求項1に記載の横方向推進装置(1)において、
上記操縦トンネル(3)は、トンネル壁(6)を含み、
上記トンネル壁(6)は、トンネル入口(7,8)にて連結壁(16)を形成し、
上記連結壁(16)は、上記船体(2)の外壁(17)に連結されている
ことを特徴とする横方向推進装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の横方向推進装置(1)において、
扉制御機構(24)が、上記少なくとも2つの閉鎖扉(12)に動作可能に連結されており、
上記少なくとも2つの閉鎖扉(12)は、上記支持構造体(10)の上記ヒンジ(11)のみに回転可能に支持されており、それによって、上記支持構造体(10)の上記少なくとも1つのカウンタ継手(27)が上記少なくとも1つの継手(9)から分離されたとき、上記閉鎖扉(12)が、上記支持構造体(10)及び上記扉制御機構(24)と共に、操縦トンネル(3)から分離することによって、上記操縦トンネル(3)へのアクセスが可能となる
ことを特徴とする横方向推進装置。
【請求項4】
請求項1から3までのいずれか一つに記載の横方向推進装置(1)において、
上記少なくとも1つのカウンタ継手(27)は、上記少なくとも1つの継手(9)と幾何学的に結合可能であるように、上記少なくとも1つの継手(9)の形状と相補的である形状を有し、
上記少なくとも1つのカウンタ継手(27)及び上記少なくとも1つの継手(9)は、上記少なくとも1つのカウンタ継手(27)及び上記少なくとも1つの継手(9)が幾何学的に結合されたとき、流体力学的形状を画定するように形作られている
ことを特徴とする横方向推進装置。
【請求項5】
請求項1からまでのいずれか一つに記載の横方向推進装置(1)において、
上記横方向推進装置(1)は、上記トンネル入口(7,8)に対して互いに反対側に配置された少なくとも1対の継手(9)を備え、
上記支持構造体(10)は、2つのビーム端の間に延びる少なくとも1つの横材(21)を備え、
各ビーム端がカウンタ継手(27)を提供するように構成され、
上記ヒンジ(11)が上記少なくとも1つのビーム(21)に対して連結され、それによって、上記ヒンジ(11)の各々が上記船の縦軸を横切る平面内に存在する扉回転軸(14)を画定している
ことを特徴とする横方向推進装置。
【請求項6】
請求項に記載の横方向推進装置(1)において、
上記支持構造体(10)は、互いに実質的に平行な少なくとも2つのビーム(21)を含み、
1つのビーム(21)上に配置されたヒンジ(11)は、上記少なくとも1つの第2のビーム(21)上に配置されたヒンジ(11)の方へ向けられて、ヒンジ(11)の複数の対を形成しており、ヒンジ(11)の各対は、上記船を横切る平面内に存在する扉回転軸(14)を画定している
ことを特徴とする横方向推進装置。
【請求項7】
請求項またはに記載の横方向推進装置(1)において、
少なくとも1つのビーム(21)は、翼部分、または、流体力学的であるように形成された部分を有する
ことを特徴とする横方向推進装置。
【請求項8】
請求項1からまでのいずれか一つに記載の横方向推進装置(1)において、
上記横方向推進装置(1)は、上記トンネル入口(7,8)に対して互いに反対側に配置された少なくとも1対の継手(9)を備え、
上記支持構造体(10)は、2つの直立体端部の間に延びる少なくとも1つの直立体(22)を含み、
上記直立体端部は、2つの反対側の継手(9)と連結されている
ことを特徴とする横方向推進装置。
【請求項9】
請求項および請求項からまでの一つに記載の横方向推進装置(1)において、
上記少なくとも1つの直立体(22)は、上記少なくとも1つのビーム(21)に連結され、かつ上記少なくとも1つのビーム(21)に対して横切って配置されている
ことを特徴とする横方向推進装置。
【請求項10】
請求項またはに記載の横方向推進装置(1)において、
各直立体端部は、上記継手(9)から分離可能なカウンタ継手(27)を提供するように構成されている
ことを特徴とする横方向推進装置。
【請求項11】
請求項から10までの一つに記載の横方向推進装置(1)において、
上記少なくとも1つの直立体(22)は、翼部分、または、流体力学的であるように形成された部分を有する
ことを特徴とする横方向推進装置。
【請求項12】
請求項および請求項から11までの一つに記載の横方向推進装置(1)において、
上記支持構造体(10)は、それぞれ2本の直立体(22)と連結された2本のビーム(21)を含み、それによって例えば四角形の枠を作るようになっているが、必ずしも四角形でなくてもよい
ことを特徴とする横方向推進装置。
【請求項13】
請求項1から12までのいずれか一つに記載の横方向推進装置(1)において、
上記閉鎖扉(12)は、扉外面(29)と、反対側の扉内面(30)とを画定し、
閉鎖構成では、上記扉外面(29)は上記操縦トンネル(3)の外側に向き、上記扉内面(30)は上記操縦トンネル3の内側に向き、
上記閉鎖扉(12)は、上記閉鎖構成において上記扉外面(29)が上記船(2)の船体外面(17)と面一になるように、上記ヒンジ(11)に回転可能にヒンジ止めされている
ことを特徴とする横方向推進装置。
【請求項14】
請求項1から13までのいずれか一つに記載の横方向推進装置(1)において、
各閉鎖扉(12)は、ヒンジ(11)と一列に並ぶようにヒンジ(11)を抱える少なくとも1対の対向する突起した形状のアイレット(33)を形成しており、
上記アイレット(33)を上記ヒンジ(11)に回転可能に連結する扉回転ピン34を挿入するようになっている
ことを特徴とする横方向推進装置。
【請求項15】
請求項1から14までのいずれか一つに記載の横方向推進装置(1)において、
上記閉鎖扉(12)は、開いたときに上記船を横切る平面内に存在するように上記支持構造体(10)と連結されている
ことを特徴とする横方向推進装置。
【請求項16】
請求項14に記載の横方向推進装置(1)において、
上記1対の対向するアイレット(33)は、貫通アイレット(36)と、ねじ付きアイレット(37)とを含み、
扉回転ピン(34)は、上記貫通アイレット(36)及び上記ヒンジ(11)を貫通して挿入され、上記ねじ付きアイレット(37)に螺合されるように構成されている
ことを特徴とする横方向推進装置。
【請求項17】
請求項16に記載の横方向推進装置(1)において、
上記ねじ付きアイレット(37)に螺合された上記扉回転ピン(34)は、上記貫通アイレット(36)を越えて突出し、
上記少なくとも1つのヒンジ(11)に対する上記閉鎖扉(12)のヒンジ結合を締め付けるように、ナット(20)が上記扉回転ピン(34)の上記突出する部分に螺合されている
ことを特徴とする横方向推進装置。
【請求項18】
請求項1416または17に記載の横方向推進装置(1)において、
上記対向するアイレット(33)は、上記閉鎖扉(12)の凹部(35)内に設けられている
ことを特徴とする横方向推進装置。
【請求項19】
請求項14および請求項16から18までの一つに記載の横方向推進装置(1)において、
各閉鎖扉(12)は、互いに連結された閉鎖壁(31)と扉枠(32)とを含み、
上記アイレット(33)は、上記扉枠(32)に形成されている
ことを特徴とする横方向推進装置。
【請求項20】
請求項19に記載の横方向推進装置(1)において、
上記閉鎖壁(31)は、上記扉枠(32)の上記アイレット(33)と幾何学的に結合するように形作られている
ことを特徴とする横方向推進装置。
【請求項21】
請求項1から20までのいずれか一つに記載の横方向推進装置(1)において、
閉鎖扉(12)の第1の組は、部分的に開いているとき、かつ上記船(2)が前進しているとき、上記船(2)の移動によって生成される流体流が第1の組の閉鎖扉(12)をさらに開く傾向があるように、上記支持構造体(10)にヒンジ止めされており、
閉鎖扉(12)の第2の組は、部分的に開いているとき、かつ上記船(2)が前進しているとき、上記船(2)の移動によって生成される流体流が第2の組の閉鎖扉(12)を閉じる傾向があるように、上記支持構造体(10)にヒンジ止めされている
ことを特徴とする横方向推進装置。
【請求項22】
請求項1から21までのいずれか一つに記載の横方向推進装置(1)において、
上記閉鎖扉(12)は、翼部分を有するか、または上記閉鎖扉(12)が開いた位置または部分的に開いた位置にあるとき流体力学的であるように、形作られている
ことを特徴とする横方向推進装置。
【請求項23】
請求項1から22までのいずれか一つに記載の横方向推進装置(1)において、
各閉鎖扉(12)は、扉外面(29)と、扉内面(30)とを含み、
閉鎖構成では、上記扉外面(29)は上記操縦トンネル(3)から外側に向き、上記扉内面(30)は上記操縦トンネル(3)から内側に向き、
開放構成では、少なくとも2つの隣り合う閉鎖扉(12)は、反対方向に回転、すなわちカウンタ回転し、それぞれの上記扉外面(29)を互いに向き合わせ、上記扉内面(30)を互いに反対向きにし、一緒に流体力学的プロファイルを形成する
ことを特徴とする横方向推進装置。
【請求項24】
請求項1から23までのいずれか一つに記載の横方向推進装置(1)において、
上記閉鎖扉(12)を閉鎖位置から開放位置へ、またはその逆へ動かすように構成された扉制御機構(24)を備えている
ことを特徴とする横方向推進装置。
【請求項25】
請求項24に記載の横方向推進装置(1)において、
上記扉制御機構(24)は、扉回転軸(14)に対して実質的に横方向の扉作動軸(26)に沿って作動するように構成されたリニアアクチュエータ(38)を含んでいる
ことを特徴とする横方向推進装置。
【請求項26】
請求項25に記載の横方向推進装置(1)において、
上記リニアアクチュエータ(38)は、トンネル入口(7,8)に配置され、上記トンネル壁(6)から上記操縦トンネル(3)の内部へ密閉されて開いている
ことを特徴とする横方向推進装置。
【請求項27】
請求項25または26に記載の横方向推進装置(1)において、
上記扉制御機構(24)は、関節接続を介して上記リニアアクチュエータ(38)に連結された制御コンソール(23)を含み、
上記制御コンソール(23)は、上記リニアアクチュエータ(38)の移動に伴って上記閉鎖扉(12)を移動させるように、さらに上記閉鎖扉(12)に連結されている
ことを特徴とする横方向推進装置。
【請求項28】
請求項27に記載の横方向推進装置(1)において、
上記制御コンソール(23)と上記リニアアクチュエータ(38)との間の上記関節接続は、上記制御コンソール(23)を上記リニアアクチュエータ(38)に回転可能に連結する連結ピン(43)を含んでいる
ことを特徴とする横方向推進装置。
【請求項29】
請求項27または28に記載の横方向推進装置(1)において、
上記制御コンソール(23)は、上記閉鎖扉(12)に連結され、かつ上記制御コンソール(23)に回転可能に連結された複数の制御レバー(39)によって、上記閉鎖扉(12)に連結されており、
各閉鎖扉(12)に単一の制御レバー(39)が連結されている
ことを特徴とする横方向推進装置。
【請求項30】
請求項29に記載の横方向推進装置(1)において、
上記複数の制御レバー(39)のうちの反転用制御レバー(41)は、この反転用制御レバー(41)と連結された上記閉鎖扉(12)の回転方向を反転させるように構成された運動反転用連結ロッド(40)と連結されており、
上記制御コンソール(23)が上記制御レバー(39)を作動させて上記閉鎖扉(12)を反時計回り方向に開くと、上記運動反転用連結ロッド(40)が上記反転用制御レバー(41)を制御して対応する上記閉鎖扉(12)を時計回り方向に開き、また、その逆も同様に行われる
ことを特徴とする横方向推進装置。
【請求項31】
請求項30に記載の横方向推進装置(1)において、
上記運動反転用連結ロッド(40)は、上記制御コンソール(23)に対して静止している制御ロッド(42)に枢着されている
ことを特徴とする横方向推進装置。
【請求項32】
請求項24から31までのいずれか一つに記載の横方向推進装置(1)において、
上記トンネル入口(7,8)に対して互いに反対側に配置された2つの制御機構(24)を備えた
ことを特徴とする横方向推進装置。
【請求項33】
請求項25から31までの一つおよび請求項32に記載の横方向推進装置(1)において、
上記2つの制御機構(24)のそれぞれの上記リニアアクチュエータ(38)は、同じ上記扉作動軸(26)に沿って作用して、上記リニアアクチュエータ(38)のうちの一方の前進が他方のリニアアクチュエータ(38)の後退に対応するようになっている
ことを特徴とする横方向推進装置。
【請求項34】
請求項33に記載の横方向推進装置(1)において、
上記閉鎖扉(12)の第1の組は、上記2つの制御機構(24)のうちの一方の制御コンソール(23)に連結され、上記閉鎖扉(12)の第2の組は、他方の制御機構(24)の制御コンソール(23)に連結されており、
上記2つの制御機構(24)の上記制御コンソール(23)は、互いに回転可能に連結されており、
両方の制御機構(24)は、同じ運動反転用連結ロッド(40)に連結された反転用制御レバー(41)を含み、
それによって、上記2つの制御機構(24)は、両方の通常動作中に上記閉鎖扉(12)の作動を助けるように構成される一方、上記2つの制御機構(24)の一方の故障の場合には、他方が全ての閉鎖扉(12)を自立的に動かすように構成されている
ことを特徴とする横方向推進装置。
【請求項35】
請求項1から34までのいずれか一つに記載の少なくとも1つの横方向推進装置(1)を備えた船(2)。
【請求項36】
請求項35に記載の船(2)において、
複数の横方向推進装置(1)を備え、
少なくとも1つの横方向推進装置(1)は、上記船(2)の船首領域に配置され、および/または、少なくとも1つの横方向推進装置(1)は、上記船(2)の船尾領域に配置されている
ことを特徴とする船。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、船の横方向推進装置に関する。
【背景技術】
【0002】
知られているように、船の操縦は複雑であり、特に大型船舶では、接岸または離岸時に、主推進装置と舵を使用して操縦される。
【0003】
実際、狭い場所や低速では、舵の使用は容易でも効果的でもない。これは、舵が翼形であるため、揚力を発生させるためには所定の速度の水流を流す必要があるからである。さらに、主推進装置と舵が船尾に配置されているため、接岸および離岸の操縦の際に船首部分が実質的に制御されないままとなる。
【0004】
そこで、船に、操縦プロペラとしても知られている少なくとも1つの横方向推進装置を装備することが知られている。その横方向推進装置は、回転軸を船の対称面に対して垂直に向けた状態で配置された羽根車(impeller)を含む。
【0005】
上記横方向推進装置は、船の船体に画定されたトンネル(船首または船尾であっても、船を左右に横断する)に組み込まれている。
【0006】
上記横方向推進装置を起こり得る衝突や損傷から保護するために、上記横方向推進装置が収容されるトンネルの入口に格子または開き扉を設置することが知られている。
【0007】
格子と比較して、上記開き扉は、巡航中、上記横方向推進装置の不使用時には閉じて、トンネル開口部から発生する乱流現象を最小限に抑えることができるとともに、上記横方向推進装置を最適な方法で覆って保護し、上記横方向推進装置の使用が必要な時には開くことができる、という利点を有する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
トンネル入口に連結された複数の貫通ヒンジに扉が設置される解決策が知られている。これらの解決策の例は、CN205819525、CN105329405、CN102381439、CN109094715、CN205327529、WO2019/220152、およびGB782628に記載されている。これらの既知の解決策は、トンネルの入口に凹部として作られた適切な開口に収容されなければならず、明確に説明されているように、船体に溶接される構造を示している。これらの既知の解決策は、まさに上記扉を囲み支持するフレームを船体に溶接する必要があるため、操縦用トンネルの入り口を四角く鋭いエッジで設計しなければならず、それによって、トンネルを出入りする流体の流れに渦と乱れが生じ、エネルギの高い損失を発生させる。
【0009】
上記トンネルの入口に上記扉があることは、上記横方向推進装置のメンテナンスを遅く、手間がかかるものとする。その理由は、上記扉が、上記横方向推進装置に介入できるようにメンテナンス担当者がトンネル内に素早く到達するのを妨げるからである。
【0010】
上記既知の横方向推進装置の更なる欠点は、上記扉が、閉じた構成で、巡航中に、上記扉における船体プロファイルの不連続性のために摩擦及び渦抵抗が発生することである。
【0011】
上記既知の横方向推進装置の更なる欠点は、上記扉が、開いた構成で、上記羽根車が使用されているときに、上記羽根車自体の動作状態に影響を与える乱流を発生させることである。
【0012】
本発明の目的は、上記背景技術の欠点の少なくとも幾つかを解決するような横方向推進装置を提供することにある。
【0013】
本発明の特別の目的は、メンテナンス担当者による横方向推進装置へのアクセスを容易にすることにより、メンテナンス作業を容易にする横方向推進装置を提供することにある。
【0014】
本発明のさらに特別の目的は、巡航中に発生する渦抵抗および摩擦を低減する横方向推進装置を提供することにある。
【0015】
本発明のさらに特別の目的は、横方向推進装置の使用中に、乱流の発生を低減し、層流を維持し、境界層分離および渦の現象を回避する横方向推進装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0016】
これら及び他の目的は、請求項1に記載の船の横方向推進装置によって達成される。
【0017】
従属請求項は、本発明の好ましく且つ有利な実施形態に関する。
【図面の簡単な説明】
【0018】
本発明をより良く理解し、その利点を理解するために、その幾つかの非限定的で例示的な実施形態が、添付図面を参照して以下に説明される。図面において、
【0019】
図1】本発明の一実施形態による横方向推進装置が設置された船の詳細図である。
【0020】
図2】本発明の一実施形態による横方向推進装置が設置された船の、さらなる詳細図である。
【0021】
図3】本発明の一実施形態による横方向推進装置の正面図である。
【0022】
図4】本発明の一実施形態による横方向推進装置の斜視図である。
【0023】
図5】本発明の一実施形態による、開いた構成にある横方向推進装置の斜視図である。
【0024】
図6図5に示された、開いた構成にある横方向推進装置の正面図である。
【0025】
図7】本発明の一実施形態による横方向推進装置の、さらなる斜視図である。
【0026】
図8】本発明の一実施形態による横方向推進装置の、さらなる斜視図である。
【0027】
図9】本発明の一実施形態による横方向推進装置の側面図である。
【0028】
図10】本発明の一実施形態による横方向推進装置の断面を示す斜視図である。
【0029】
図11】本発明の一実施形態による横方向推進装置の詳細を示す図である。
【0030】
図12】本発明の一実施形態による横方向推進装置の詳細を示す図である。
【0031】
図13】本発明の一実施形態による横方向推進装置の詳細図である。
【0032】
図14】本発明の一実施形態による横方向推進装置の、さらなる詳細図である。
【0033】
図15】本発明の一実施形態による横方向推進装置の、さらなる詳細図である。
【0034】
図16】本発明の一実施形態による横方向推進装置の部品を示す図である。
【0035】
図17】本発明の一実施形態による横方向推進装置の部分的分解図である。
【0036】
図18】本発明の一実施形態による、分解の第1ステップにある、分解ツールに関連付けられた横方向推進装置の斜視図である。
【0037】
図19】本発明の一実施形態による、分解の第2ステップにある、分解ツールに関連付けられた横方向推進装置の、さらなる斜視図である。
【0038】
図20】本発明の一実施形態による分解ツールの斜視図である。
【0039】
図21】横方向推進装置を備えた船体の局部的な断面を示す図である。この図は、操縦トンネルの閉鎖扉が開き、操縦推進が作動している様子を描いており、操縦トンネルに入り、反対側から出る流体流を強調表示しており、提案された装置のおかげで得られた層流と、トンネルの内面と船体外面との間の丸みを帯びた連結形状とを強調表示している。
【0040】
図22】閉鎖扉のアクチュエータが支持体上に配置され、船体への通路がなく、解決策の全体寸法が限定される、本発明の別実施形態の分離した部品(複数)を伴うアキソノメトリック図である。
【0041】
図23図22の船体の局部的な断面図である。この図は、操縦トンネルの閉鎖扉が開いた状態を描いており、トンネルの内面と船体外面との間の連結部の丸みを帯びた形状を強調表示している。
【0042】
図24図23の操縦トンネルのアキソノメトリック断面図である。この図では、中央の1対のカウンタ回転扉が強調表示され、互いに開いた状態で対向し、流体力学的な形状を形成している。
【発明を実施するための形態】
【0043】
これらの図を参照すると、横方向推進装置が参照数字1によって示されている。
【0044】
船2の横方向推進装置1は、船2の船体4内に画定され、かつ少なくとも1つの操縦プロペラ5を含むように構成された操縦トンネル3を備えている。
【0045】
操縦トンネル3は、第1のトンネル入口7と反対側の第2のトンネル入口8との間に延びるトンネル壁6によって境界が定められている。
【0046】
横方向推進装置1は、少なくとも1つのトンネル入口7,8にてトンネル壁6から延びる少なくとも1つの継手9を更に備えている。
【0047】
さらに、横方向推進装置1は、少なくとも1つのカウンタ継手27を含む少なくとも1つの支持構造体10を備えている。
【0048】
支持構造体10は、その少なくとも1つのカウンタ継手27で、上記少なくとも1つの継手9に、分離可能な態様で連結されている。
【0049】
横方向推進装置1は、閉鎖位置にあるときに、少なくとも1つのトンネル入口7、8を全体として閉鎖するように形作られた少なくとも2つの閉鎖扉12を更に備えている。
【0050】
本発明の一局面によれば、少なくとも1つの支持構造体10は、ヒンジ(複数)11を含んで構成されている。
【0051】
さらに、少なくとも2つの閉鎖扉12は、支持構造体10のヒンジ11にのみ回転可能にヒンジ結合されており、それによって、支持構造体10の少なくとも1つのカウンタ継手27が少なくとも1つの継手9から分離されると、閉鎖扉12が支持構造体10と共に操縦トンネル3から分離され、操縦トンネル3へのアクセスを可能にする。
【0052】
有利なことに、このように構成された横方向推進装置1は、メンテナンス担当者による横方向推進装置へのアクセスを容易にすることによって、メンテナンス作業を容易にする。
【0053】
一実施形態によれば、上記操縦トンネル3は、トンネル壁6を含んで構成されている。トンネル壁6は、トンネル入口7,8において連結壁16を形成している。連結壁16は、船体2の外壁17に連結されている。
【0054】
連結壁16のおかげで、トンネル壁6と船体外壁17との間のいかなる不連続性又はエッジも回避され、操縦トンネル3に入り又は出る流体が、迅速に、渦無し又は最小の渦で動くことができ、これにより船の前進抵抗を大幅に低減することができる。
【0055】
トンネル壁6に固定された少なくとも1つの継手9、取り外し可能な支持構造体10の同じく取り外し可能である少なくとも1つのカウンタ継手27、並びに、支持構造体10と共に操縦トンネル3から分離可能であるように支持構造体10に動作可能に連結された閉鎖扉12を、それによって連結壁16の形状を変えることなく設けることは、横方向推進装置1の最大の流体力学を得ることを可能にする。したがって、流体力学的効率に最適化され、当初は閉鎖扉12を備えていない既存の操縦トンネル3にこの解決策を使える可能性がある(閉鎖扉12を備えていない古い解決策に後付けすることができる)。
【0056】
(支持構造体10を継手手段9に連結すること)
【0057】
一実施形態によれば、少なくとも1つのカウンタ継手27の形状は、少なくとも1つの継手9と幾何学的に結合可能であるように、少なくとも1つの継手9の形状に対して相補的である。
【0058】
さらに、少なくとも1つのカウンタ継手27および少なくとも1つの継手9は、それらが幾何学的に結合されるときに流体力学的形状を画定するように形作られている。
【0059】
有利なことに、流体力学的形状は、横方向推進装置1の使用中に乱流の発生を低減し、層流を維持する。
【0060】
一実施形態によれば、少なくとも1つのカウンタ継手27は、ねじ連結を介して少なくとも1つの継手9に分離可能に連結され得る。
【0061】
本発明によれば、少なくとも1つのカウンタ継手27と少なくとも1つの幾何学的に結合された継手9は、ねじ連結によって、好ましくは複数の拘束ねじ28によって一緒にロックされている。
【0062】
一実施形態によれば、横方向推進装置1は、トンネル入口7,8に対して互いに反対側に配置された少なくとも1対の継手9を備えている。
【0063】
一実施形態によれば、支持構造体10は、2つのビーム端の間に延在する少なくとも1つのビーム21を含んでいる。
【0064】
各ビーム端は、カウンタ継手27を作るように構成されている。
【0065】
この実施形態によれば、ヒンジ(複数)11は、少なくとも1つのビーム21に連結され、それによって、ヒンジ11の各々が船を横切る平面(すなわち、船の縦軸に対して横方向の平面)内に存在する扉回転軸14を画定している。
【0066】
一実施形態によれば、支持構造体10は、互いに実質的に平行な少なくとも2つのビーム21を含んでいる。
【0067】
この実施形態によれば、1つのビーム21上に配置されたヒンジ11は、少なくとも1つの第2のビーム21上に配置されたヒンジ11に向かって、複数のヒンジ11の対を形成するように向けられている。ヒンジ11の各対は、船を横切る平面内に存在する扉回転軸14を画定している。
【0068】
一実施形態によれば、少なくとも1つのビーム21は、翼形であるか、または流体力学的であるように形作られている。
【0069】
一実施形態によれば、支持構造体10は、2つの直立体端部の間に延在する少なくとも1つの直立体22を備えている。それらの直立体端部は、2つの対向する継手9と連結されている。
【0070】
さらに、少なくとも1つの直立体22は、少なくとも1つのビーム21に連結され、少なくとも1つのビーム21に対して横切って配置されている。
【0071】
一実施形態によれば、直立体端部(複数)は、ねじ連結によって、好ましくは複数の拘束ねじによって、継手9に連結されている。
【0072】
一実施形態によれば、各直立体端部は、上記継手9から分離可能なカウンタ継手27を作るように構成されている。
【0073】
一実施形態によれば、少なくとも1つの直立体22は、翼形であるか、または流体力学的であるように形作られている。
【0074】
一実施形態によれば、支持構造体10は、互いに実質的に平行で、かつ少なくとも1つのビーム21に連結された少なくとも2つの直立体22を含んでいる。
【0075】
好ましい実施形態によれば、支持構造体10は、それぞれ2本の直立体22と連結された2本のビーム21を含み、それによって例えば四角形の枠を作るようになっているが、必ずしも四角形でなくてもよい。
【0076】
(閉鎖扉12をヒンジ11に連結すること)
【0077】
閉鎖扉12は、扉外面29と、反対側の扉内面30とを画定する。
【0078】
閉鎖構成では、扉外面29は操縦トンネル3から外側に向き、扉内面30は操縦トンネル3から内側に向く。
【0079】
本発明の一実施形態によれば、閉鎖扉12は、閉鎖構成において扉外面29が船2の船体外面17と面一になるように、ヒンジ11に回転可能にヒンジ止めされている。
【0080】
有利なことに、閉鎖扉12のそのような配置は、渦抵抗及び渦の形成を低減し、閉鎖扉12のおかげで、ブレーキとして作用するトンネルの内面に衝突する水流によって与えられる付加抵抗の主要な原因を回避する。
【0081】
一実施形態によれば、各閉鎖扉12は、ヒンジ11と一列に並ぶようにヒンジ11を抱える少なくとも1対の対向する突起した形状のアイレット33を形成している。扉回転ピン34を挿入して、アイレット33をヒンジ11に回転可能に連結するためである。
【0082】
この実施形態によれば、閉鎖扉12は、開いたときに上記船を横切る平面内に存在するように支持構造体10と連結されている。
【0083】
一実施形態によれば、1対の対向するアイレット33は、貫通アイレット36と、ねじ付きアイレット37とを含んでいる。
【0084】
扉回転ピン34は、貫通アイレット36及びヒンジ11を貫通して挿入され、ねじ付きアイレット37に螺合されるように構成されている。
【0085】
一実施形態によれば、ねじ付きアイレット37に螺合された扉回転ピン34は、貫通アイレット36を越えて突出する。
【0086】
この実施形態によれば、少なくとも1つのヒンジ11に対する閉鎖扉12のヒンジ結合を締め付けるように、ナット20が扉回転ピン34の上記突出する部分に螺合されている。
【0087】
一実施形態によれば、対向するアイレット(複数)33は、閉鎖扉12のニッチ35内に形成されている。
【0088】
一実施形態によれば、各閉鎖扉12は、互いに連結された閉鎖壁31と扉枠32とを含んでいる。
【0089】
この実施形態によれば、アイレット33は、扉枠32に形成されている。
【0090】
一実施形態によれば、端壁31は、扉枠32のアイレット33と幾何学的に結合するように形作られている。
【0091】
一実施形態によれば、閉鎖扉12の第1の組、例えば5つの閉鎖扉12を有するものは、部分的に開いているとき、かつ船2が前進しているとき、船2の移動によって生成される流体流が上記第1の組の閉鎖扉12をさらに閉じる傾向があるように、支持構造体10にヒンジ止めされている。
【0092】
さらに、閉鎖扉12の第2の組、例えば単一の閉鎖扉12を有するものは、部分的に開いているとき、かつ船2が前進しているとき、船2の移動によって生成される流体流が上記第2の組の閉鎖扉12を開く傾向があるように、支持構造体10にヒンジ止めされている。
【0093】
一実施形態によれば、全部で5つの扉の組は、船が前進しているとき閉じる傾向にある4つの扉と、前進があるとき開く傾向にある唯一の扉とからなっている。扉が全て閉じているか、全て開いているかのどちらかであることを考慮すると、より露出した流体力学的表面積を有する組が優勢であり、システムは船が前進しているとき自発的に閉じる傾向がある。
【0094】
一実施形態によれば、閉鎖扉(複数)12は、翼形であるか、または閉鎖扉(複数)12が開いた位置または部分的に開いた位置にあるとき流体力学的であるように、形作られている。
【0095】
したがって、横方向推進装置1が動作しているとき、閉鎖扉12のこのような整形は、閉鎖扉12を通過する流体の乱流運動の形成を制限する。
【0096】
さらなる実施形態によれば、隣り合う閉鎖扉12の少なくとも1つの対は、扉外面29と扉内面30とを含む。
【0097】
閉鎖構成では、扉外面29は操縦トンネル3から外側に向き、扉内面30は操縦トンネル3から内側に向く。
【0098】
開放または開口構成では、少なくとも1対の隣り合う閉鎖扉12は、各閉鎖扉12が相互に反対方向に回転する。すなわち、それぞれの扉外面29を互いに向き合わせ、扉内面30を互いに反対向きにしたカウンタ回転の態様で回転する。それによって、一緒に流体力学的プロファイルを形成する(2つの連続した開放扉の組で)。
【0099】
(閉鎖扉12の作動)
【0100】
一実施形態によれば、横方向推進装置1は、閉鎖扉12を閉鎖位置から開放位置へ、またはその逆へ動かすように構成された扉制御機構24を備えている。
【0101】
一実施形態によれば、少なくとも1つの閉鎖扉12は、支持構造体10に設けられた少なくとも1つのヒンジ11と一列に並ぶ、少なくとも1つのスロットまたはアイレット33を形成している。
【0102】
支持構造体10の少なくとも1つのヒンジ11は、回転モータステータ51と回転モータロータ53とを含む回転モータ50である。
【0103】
閉鎖扉12の少なくとも1つのアイレット33は、回転モータロータ53に連結され、それによって、回転モータロータ53が回転すると、閉鎖扉12に回転運動が発生する。
【0104】
一実施形態によれば、少なくとも1つの閉鎖扉12は、支持構造体10に設けられた少なくとも1つのヒンジ11と一列に並ぶ、少なくとも1つのアイレット33を形成している。
【0105】
閉鎖扉12の少なくとも1つのアイレット33は、回転モータステータ51と回転モータロータ53とを含む回転モータ50である。
【0106】
少なくとも1つのヒンジ11はスロットを含み、このスロットは、回転モータロータ53が回転すると閉鎖扉12に回転運動が発生するように、回転モータロータ53に連結されている。
【0107】
一実施形態によれば、回転モータ50は、回転モータの動作連結部53によって船体に動作可能に連結された油圧モータ又は電気モータである。
【0108】
一実施形態によれば、回転モータ50は、取り外し可能なコネクタ54、例えばクイックコネクタ55による回転モータの動作連結部53によって船体に動作可能に連結された油圧モータ又は電気モータである。
【0109】
支持構造体20または閉鎖扉12に固定された回転モータ50が設けられているおかげで、船体を横切る作動機構から解放された完全に船外の解決策を作ることができ、構造を単純化して全体の寸法を大幅に縮小し、海水に浸漬される可動スライド部品を回避することができる。
【0110】
一実施形態によれば、アクチュエータ、必ずしもリニアアクチュエータである必要はないが、例えばリニアアクチュエータ38は、操縦トンネル3に入ることによって船体から出て、扉制御機構24に作動的かつ分離可能に連結する。
【0111】
一実施形態によれば、扉制御機構24は、扉回転軸14に対して実質的に横方向の扉作動軸26に沿って作動するように構成されたリニアアクチュエータ38を含んでいる。
【0112】
一実施形態によれば、リニアアクチュエータ38は、トンネル入口7,8に配置され、トンネル壁6から操縦トンネル3の内部へ密閉された態様で開いている。
【0113】
一実施形態によれば、扉制御機構24は、関節接続を介してリニアアクチュエータ38に連結された制御コンソール23を備えている。
【0114】
制御コンソール23は、リニアアクチュエータ38の移動に伴って閉鎖扉12を移動させるように、さらに閉鎖扉12に連結されている。
【0115】
本発明の実施形態によれば、制御コンソール23とリニアアクチュエータ38との間の関節接続は、制御コンソール23をリニアアクチュエータ38に回転可能に連結する連結ピン43を含んでいる。
【0116】
一実施形態によれば、制御コンソール23は、閉鎖扉12に連結され、かつ制御コンソール23に回転可能に連結された複数の制御レバー39によって、閉鎖扉12に連結されている。
【0117】
好ましくは、1つの制御レバー39のみが、各閉鎖扉12に連結されている。
【0118】
一実施形態によれば、複数の制御レバー39のうちの反転用制御レバー41は、この反転用制御レバー41と連結された閉鎖扉12の回転方向を反転させるように構成された運動反転用連結ロッド40と連結されている。
【0119】
この態様で、制御コンソール23が制御レバー39を作動させて閉鎖扉12を反時計回り方向に開くと、運動反転用連結ロッド40が反転用制御レバー41を作動させて対応する閉鎖扉を時計回り方向に開き、また、その逆も同様に行われる。
【0120】
一実施形態によれば、運動反転用連結ロッド40は、制御コンソール23に対して静止している制御ロッド42に枢着されている。
【0121】
一実施形態によれば、制御コンソール23は、各閉鎖扉12の扉枠32に作用するように構成されている。
【0122】
本発明の実施形態によれば、横方向推進装置1は、トンネル入口7,8に対して互いに反対側に配置された2つの制御機構24を備えている。
【0123】
有利なことに、2つの制御機構24のうちの1つは、他方の制御機構24に対して冗長であり、それによって、第1の制御機構24の誤作動の場合にそれを置き換えることができる。
【0124】
一実施形態によれば、2つの制御機構24のそれぞれのリニアアクチュエータ38は、同じ扉作動軸26に沿って作用して、リニアアクチュエータ38のうちの一方の前進が他方のリニアアクチュエータ38の後退に対応するようになっている。
【0125】
一実施形態によれば、第1の組の閉鎖扉12は、2つの制御機構24のうちの一方の制御コンソール23に連結され、第2の組の閉鎖扉12は、他方の制御機構24の制御コンソール23に連結されている。
【0126】
さらに、2つの制御機構24の制御コンソール(複数)23は、互いに回転可能に連結されている。
【0127】
一実施形態によれば、両方の制御機構24は、同じ運動反転用連結ロッド40に連結された反転用制御レバー41を含んでいる。
【0128】
有利なことに、このように構成された2つの制御機構24は、両方の通常動作中に閉鎖扉12の作動において協力し、一方、2つの制御機構24の一方の故障の場合には、他方が自立的に全ての閉鎖扉12を動かすよう構成されている。
【0129】
(分解ツール44)
【0130】
本発明のさらなる局面によれば、横方向推進装置1の組立キット45は、先に説明した横方向推進装置1と、分解ツール44とを備えている。
【0131】
一実施形態によれば、分解ツール44は、例えばフォークリフト車によってフォークされるように構成された2つの中空状のベースレール46を含んでいる。
【0132】
さらに、分解ツール44は、ベースレール46に対して交差し、かつ船2の船体4から離脱した横方向推進装置1の少なくとも1つのカウンタ継手27を支持するように構成された少なくとも1つの支持コラム47を含んでいる。
【0133】
好ましい実施形態によれば、分解ツール44は、船2の船体4から離脱した横方向推進装置1の少なくとも1つのビーム21のビーム端を支持するように構成された2つの支持コラム47を含んでいる。
【0134】
一実施形態によれば、分解ツール47は、支持コラム47をベースレール46に連結する多角形構造体48を含んでいる。
【0135】
多角形構造体48とベースレール46との間の連結部には、船2の船体4から離脱し、分解ツール44に関連付けられた横方向推進装置1の離脱を防止するための停止要素49が形成されている。
【0136】
(横方向推進装置1のメンテナンス方法)
【0137】
本発明のさらなる局面によれば、船2の船体4の横方向推進装置1をメンテナンスするための方法は、次のステップを含む。
【0138】
- 横方向推進装置1の少なくとも1つのカウンタ継手27を、船2の船体4の少なくとも1つの継手9から分離し、
【0139】
- 支持構造体10を、閉鎖扉12と共に、船2の船体4から取り外し、
【0140】
- 操縦トンネル3にアクセスし、メンテナンス介入を行い、
【0141】
- 横方向推進装置1の少なくとも1つのカウンタ継手27を、船2の船体4の少なくとも1つの継手9に再連結すること。
【0142】
本発明のさらなる局面によれば、船2の船体4の横方向推進装置1をメンテナンスするための方法は、次のステップを含む。
【0143】
- 分解ツール44を横方向推進装置1に関連付け、
【0144】
- 横方向推進装置1の少なくとも1つのカウンタ継手27を、船2の船体4の少なくとも1つの継手9から分離し、
【0145】
- 分解ツール44によって支持構造体10を支持し、
【0146】
- 分解ツール44によって、支持構造体10を、閉鎖扉12と共に、船2の船体4から分離し、
【0147】
- 操縦トンネル3にアクセスし、メンテナンス介入を行い、
【0148】
- 分解ツール44によって、操縦トンネル3に支持構造体10を再配置し、
【0149】
- 横方向推進装置1の少なくとも1つのカウンタ継手27を、船2の船体4の少なくとも1つの継手9に再連結すること。
【0150】
本発明のさらなる局面によれば、船2の船体4の横方向推進装置1をメンテナンスするための方法は、次のステップを含む。
【0151】
- 横方向推進装置1の扉制御機構24から、少なくとも1つのアクチュエータ38を分離し、
【0152】
- 横方向推進装置1の少なくとも1つのカウンタ継手27を、船2の船体4の少なくとも1つの継手9から分離し、
【0153】
- 支持構造体10を、閉鎖扉12と共に、船体2の船体4から取り外し、
【0154】
- 操縦トンネル3にアクセスし、メンテナンス介入を行い、
【0155】
- 横方向推進装置1の少なくとも1つのカウンタ継手27を、船2の船体4の少なくとも1つの継手9に再連結し、
【0156】
- 少なくとも1つのアクチュエータ38を、横方向推進装置1の扉制御機構24に再連結すること。
【0157】
さらなる実施形態によれば、船2の船体4の横方向推進装置1をメンテナンスするための方法は、次のステップを含む。
【0158】
- 分解ツール44を横方向推進装置1の支持構造体10に関連付け、
【0159】
- 少なくとも1つのアクチュエータ38を、横方向推進装置1の扉制御機構24から分離し、
【0160】
- 横方向推進装置1の少なくとも1つのカウンタ継手27を、船2の船体4の少なくとも1つの継手9から分離し、
【0161】
- 支持構造体10を、閉鎖扉12及び扉制御機構24と共に、分解ツール44によって支持し、
【0162】
- 分解ツール44によって、支持構造体10を、閉鎖扉12及び扉制御機構24と共に、船2の船体4から分離し、
【0163】
- 操縦トンネル3にアクセスし、メンテナンス介入を行い、
【0164】
- 分解ツール44によって、支持構造体10を、閉鎖扉12及び扉制御機構24と共に、操縦トンネル3に再配置し、
【0165】
- 横方向推進装置1の少なくとも1つのカウンタ継手27を、船2の船体4の少なくとも1つの継手9に再連結し、
【0166】
- 少なくとも1つのアクチュエータ38を、横方向推進装置1の扉制御機構24に再連結すること。
【0167】
(船2)
【0168】
本発明のさらなる局面によれば、船2は、上述のような少なくとも1つの横方向推進装置1を備えている。
【0169】
一実施形態によれば、船2は、複数の横方向推進装置1を備えている。
【0170】
好ましい実施形態によれば、船2は、3つの横方向推進装置1を備えている。
【0171】
一実施形態によれば、船2は、船2の船首領域に配置された少なくとも1つの横方向推進装置1を備えている。
【0172】
一実施形態によれば、船2は、船2の船尾領域に配置された少なくとも1つの横方向推進装置1を備えている。
【0173】
好ましくは、船2は、少なくとも2つの横方向推進装置1を備え、そのうちの1つは船2の船首領域に配置され、他方は船2の船尾領域に配置されている。
【0174】
(横方向推進装置1のさらなる特徴)
【0175】
本発明の実施形態によれば、操縦トンネル3は、船体4の両側の側面13に流出する。
【0176】
本発明の実施形態によれば、推進装置1は、トンネル壁6に回転可能に支持された、操縦スラスタ15の操縦プロペラ5を含む。
【0177】
好ましい実施形態によれば、操縦プロペラ5は、可変翼タイプのものである。
【0178】
有利なことに、可変翼タイプの操縦プロペラ5は、各トンネル入口7,8の方向において、選択的に、船2にパルスを付与するように動作可能である。
【0179】
一実施形態によれば、トンネル壁6は、円筒形である。
【0180】
有利なことに、上記円筒形の形状は、操縦トンネル3内の層流を維持し、乱流運動の形成を妨げる。
【0181】
本発明の実施形態によれば、トンネル壁6は、トンネル入口7,8で船体2の外壁17に連結された連結壁16を形成している。連結壁16のおかげで、トンネルの内面、またはトンネル壁6は、表面連続性をもって、したがって、船体の外壁17にエッジなしで(言い換えれば、Rによって)連結される。少なくとも1つのトンネル入口7,8でトンネル壁6から延びる少なくとも1つの継手9を設けることは、トンネル壁6と船体2の外壁17との間のこの表面連続性を変更しないことを可能にする。さらに、船体2の外壁17に連結される連結壁16の完全性が確保され、少なくとも1つの支持構造体10が少なくとも1つのカウンタ継手27(上記少なくとも1つの継手9に分離可能な態様で連結する)を構成しているおかげで、操縦トンネル3への流体の流入または流出が流体力学的に最適化され得る。
【0182】
当然ながら、当業者であれば、後述の特許請求の範囲から逸脱することなく、本発明に修正又は適合を加えることができるであろう。
【符号の説明】
【0183】
1 横方向推進装置
2 船
3 操縦トンネル
4 船体
5 操縦プロペラ
6 トンネル壁
7 第1のトンネル入口
8 第2のトンネル入口
9 継手手段
10 支持構造体
11 ヒンジ
12 閉鎖扉
13 側面
14 扉回転軸
15 操縦スラスタ
16 連結壁
17 船体外面
18 -
19 -
20 ナット
21 ビーム
22 直立体
23 連結ブラケット
24 扉制御機構
25 アクチュエータ、例えばリニアアクチュエータ
26 扉作動軸
27 カウンタ継手手段
28 拘束ねじ
29 扉外面
30 扉内面
31 閉鎖壁
32 扉枠
33 アイレット
34 扉回転ピン
35 ニッチ
36 貫通アイレット
37 ねじ付きアイレット
38 リニアアクチュエータ
39 制御レバー
40 運動反転用連結ロッド
41 反転用制御レバー
42 制御ロッド
43 連結ピン
44 分解ツール
45 組立キット
46 ベースレール
47 支持コラム
48 多角形構造体
49 停止要素
50 回転モータ
51 回転モータステータ
52 回転モータロータ
53 回転モータの動作連結部
54 取り外し可能なコネクタ
【国際調査報告】