(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-11-02
(54)【発明の名称】フィルムの側面を検査するための方法および光学検査ユニット
(51)【国際特許分類】
G01N 21/892 20060101AFI20231026BHJP
【FI】
G01N21/892 B
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023522918
(86)(22)【出願日】2021-10-19
(85)【翻訳文提出日】2023-04-13
(86)【国際出願番号】 EP2021078921
(87)【国際公開番号】W WO2022084299
(87)【国際公開日】2022-04-28
(31)【優先権主張番号】102020000024796
(32)【優先日】2020-10-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IT
(31)【優先権主張番号】102020000024799
(32)【優先日】2020-10-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IT
(31)【優先権主張番号】102020000024808
(32)【優先日】2020-10-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IT
(31)【優先権主張番号】102020000024811
(32)【優先日】2020-10-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IT
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】502051955
【氏名又は名称】マーポス、ソシエタ、ペル、アッチオーニ
【氏名又は名称原語表記】MARPOSS S.P.A.
(74)【代理人】
【識別番号】100120031
【氏名又は名称】宮嶋 学
(74)【代理人】
【識別番号】100127465
【氏名又は名称】堀田 幸裕
(74)【代理人】
【識別番号】100164688
【氏名又は名称】金川 良樹
(72)【発明者】
【氏名】ウンベルト、カラリ
(72)【発明者】
【氏名】フランチェスコ、フォラステリ
【テーマコード(参考)】
2G051
【Fターム(参考)】
2G051AA37
2G051AB02
2G051BB01
2G051BB11
2G051CA04
2G051CB03
2G051DA06
2G051EA11
2G051EA17
2G051EB01
(57)【要約】
中央金属層(4)と2つの絶縁層(5)とを有するフィルム(3)であって、経路(P)に沿って前進するフィルム(3)の側面(2)を検査するための光学検査ユニット(1)および方法。カメラ(7)が、前記経路の隣に設けられて前記フィルムの前記側面を光学系(8)を介してフレーミングするとともに一連のデジタル画像(9)を取得する。少なくとも1つの照明装置(10)は、前記フィルムの前記側面を照明する光ビーム(11)を生成するように構成される。前記光ビームは、少なくとも1つの反射要素(14)により前記光学系に向かって反射して、検査すべき前記側面を取り囲む領域を照明する。各デジタル画像の解析は、色西部の値に基づいて前記デジタル画像における前記中央金属層の破片を認識するステップ、および/または、前記デジタル画像を連続する隣接する部分(19)に分割するステップ、各部分における定性パラメータの値を特定するステップ、および、統計的にかかる値を処理することにより、前記デジタル画像全体についての前記定性パラメータの要約値を得るステップを伴い得る。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
経路(P)に沿って前進するフィルム(3)の側面(2)を検査するための光学検査ユニット(1)であって、前記検査ユニット(1)は、
前記経路(P)の隣に配置されたカメラ(7)であって、前記フィルム(3)の前記側面(2)を光学系(8)を介してフレーミングするとともに前記側面(2)の一連のデジタル画像(9)を取得するように構成されたカメラ(7)と、
光ビーム(11)を生成するように構成されたエミッタ(13)であって、前記フィルム(3)の前記側面(2)に対して前記光学系(8)と同じ側に配置されて前記フィルム(3)の前記側面(2)に向くように配向されたエミッタ(13)を備える少なくとも1つの照明装置(10)と、
を含み、
前記照明装置(10)は、前記フィルム(3)の前記側面(2)に対して前記光学系(8)の反対側に配置されるとともに前記光学系(9)に向くように配向された少なくとも1つの反射要素(14)であって、前記反射要素(14)は、前記エミッタ(13)が発光した前記光ビーム(11)の一部を前記フィルム(3)の前記側面(2)に向けて反射して前記フィルム(3)の前記側面(2)を取り囲む領域を照明する反射要素(14)をさらに備える、
ことを特徴とする検査ユニット(1)。
【請求項2】
前記照明装置(10)は、前記フィルム(3)の両側に並んで配置された2つの反射要素(14)を備える、
請求項1に記載の検査ユニット(1)。
【請求項3】
前記エミッタ(13)は、前記光ビーム(11)が前記光学系(8)から前記光学系(8)に対して同軸に出射するように、前記光ビーム(11)を前記光学系(8)内で発光する、
請求項1または2に記載の検査ユニット(1)。
【請求項4】
前記光学系(8)から出射した前記光ビーム(11)は、部分的に前記フィルム(3)の前記側面(2)を直接的に照明し、部分的に前記反射要素(14)により反射する、
請求項3に記載の検査ユニット(1)。
【請求項5】
前記光学系(8)は、前記エミッタ(13)が発光した前記光ビーム(11)の一部を、前記フィルム(3)の前記側面(2)に集束させるように構成される、
請求項3または4に記載の検査ユニット(1)。
【請求項6】
前記エミッタ(13)は前記光学系(8)に対して同軸に配置され、前記カメラ(7)は前記光学系(8)に対して垂直に配置される、
請求項3~5のいずれか一項に記載の検査ユニット(1)。
【請求項7】
フィルム(3)の側面(2)を検査するための光学検査方法であって、前記検査方法は、
前記フィルム(3)を経路(P)に沿って前進させるステップと、
前記フィルム(3)の前記側面(2)の一連のデジタル画像(9)を、前記経路(P)の隣に配置されて前記側面(2)を光学系(8)を介してフレーミングするカメラ(7)により取得するステップと、
少なくとも1つの光ビーム(11)を照明装置(10)により生成するステップであって、前記光ビーム(11)は、前記光学系(8)から前記光学系(8)に対して同軸に出射して一部が前記フィルム(3)の前記側面(2)を直接的に照明するステップと、
を含み、
前記照明装置(10)が生成した前記光ビーム(11)が、前記フィルム(3)の前記側面(2)に対して前記光学系(8)の反対側に配置されて前記光学系(8)に向くように配向された反射要素(14)により部分的に反射されて、前記フィルム(3)の前記側面(2)を取り囲む領域を照明する、
ことを特徴とする検査方法。
【請求項8】
中央金属層(4)と2つの絶縁外側層(5)とを特徴とするフィルム(3)の側面(2)を検査するための光学検査方法であって、前記検査方法は、
前記フィルム(3)を経路(P)に沿って前進させるステップと、
前記フィルム(3)を照明する少なくとも1つの光ビーム(11)を、照明装置(10)により生成するステップと、
前記フィルム(3)の前記側面(2)の一連のデジタル画像(9)を、前記経路(P)の隣に設置されて前記側面(2)を光学系(8)を介してフレーミングするカメラ(7)により取得するステップと、
各デジタル画像(9)を解析して前記デジタル画像(9)における前記中央金属層(4)の破片(B)を把握するステップと、
を含み、
各デジタル画像(9)は色を有するとともに画素のセットから構成され、各画素に、前記赤色成分のそれぞれの値、前記緑色成分のそれぞれの値、および前記青色成分のそれぞれの値が対応する検査方法において、
各デジタル画像(9)を解析する前記ステップは、前記赤色成分の前記対応する値が第1認識区間に含まれ、前記緑色成分の前記対応する値が第2認識区間に含まれ、かつ前記青色成分の前記対応する値が第3認識区間に含まれる場合のみ、画素が前記中央金属層(4)の前記破片のうちの1つを表すことを確認するさらなるステップを備える、
ことを特徴とする検査方法。
【請求項9】
3つの前記認識区間は、互いに異なる、
請求項8に記載の検査方法。
【請求項10】
各認識区間の中央値は、前記中央金属層(4)を構成する前記金属の前記光吸収係数の関数として、前記照明装置(10)が発光する前記光ビーム(11)の前記スペクトルの関数として、および、前記カメラ(7)の前記色彩応答性の関数として決定される、
請求項8または9に記載の検査方法。
【請求項11】
各認識区間の中央値は、先験的に既知の特性を有するサンプルフィルム(3)の前記デジタル画像(9)における3つの前記色成分の前記値を検出することにより実験的に決定される、
請求項8~10のいずれか一項に記載の検査方法。
【請求項12】
各認識区間の振幅は、先験的に既知の特性を有するサンプルフィルム(3)の前記デジタル画像(9)における3つの前記色成分の前記値を検出することにより実験的に決定される、
請求項8~11のいずれか一項に記載の検査方法。
【請求項13】
各認識区間の前記振幅は、前記認識区間の分布に対する前記「半値全幅」すなわちFWHMを測定することにより得られる、
請求項8~12のいずれか一項に記載の検査方法。
【請求項14】
中央金属層(4)と2つの絶縁外側層(5)とを特徴とするフィルム(3)であって、経路(P)に沿って前進するフィルム(3)の側面(2)を検査するための光学検査ユニットであって、前記検査ユニット(1)は、
前記フィルム(3)を照明する光ビーム(11)を生成するように構成された少なくとも1つの照明装置(10)と、
前記経路(P)の隣に配置されたカメラ(7)であって、前記フィルム(3)の前記側面(2)を光学系(8)を介してフレーミングするとともに前記側面(2)の一連のデジタル画像(9)を取得するように構成されたカメラ(7)と、
前記デジタル画像(9)における前記中央金属層(4)の破片の存在を把握することを目的として各デジタル画像(9)を解析するように構成された解析装置と、
を含み、
各デジタル画像(9)は色を有するとともに画素のセットから構成され、各画素に、前記赤色成分のそれぞれの値、前記緑色成分のそれぞれの値、および前記青色成分のそれぞれの値が対応する検査ユニットにおいて、
前記解析装置は、前記赤色成分の前記対応する値が第1認識区間に含まれ、前記緑色成分の前記対応する値が第2認識区間に含まれ、かつ前記青色成分の前記対応する値が第3認識区間に含まれる場合のみ、画素が前記中央金属層(4)の前記破片のうちの1つを表すことを確認するように構成される、
ことを特徴とする検査ユニット(1)。
【請求項15】
中央金属層(4)と2つの絶縁外側層(5)とを特徴とするフィルム(3)の側面(2)を検査するための光学検査方法であって、前記検査方法は、
前記フィルム(3)を経路(P)に沿って前進させるステップと、
前記フィルム(3)を照明する少なくとも1つの光ビーム(11)を、照明装置(10)により生成するステップと、
前記フィルム(3)の前記側面(2)の一連のデジタル画像(9)を、前記経路(P)の隣に設置されて前記側面(2)を光学系(8)を介してフレーミングするカメラ(7)により取得するステップと、
各デジタル画像(9)を解析するステップと、
を含み、
各デジタル画像(9)は、前記フィルム(3)に対して平行な長手方向範囲と、前記フィルム(3)に対して垂直な横方向範囲と、を有する検査方法において、
各デジタル画像(9)を解析する前記ステップは、
前記デジタル画像(9)を、各々が同一の長手方向寸法を有する一連の隣接する部分(19)に分割するステップと、
各部分(19)における前記フィルム(3)の前記品質を示す少なくとも1つの定性パラメータの値を特定するステップと、
すべての前記部分(19)の前記定性パラメータの前記値を統計的に処理することにより、前記デジタル画像(9)全体についての前記定性パラメータの要約値を特定するステップと、
をさらに含むことを特徴とする検査方法。
【請求項16】
各デジタル画像(9)は、60個~120個に含まれる多数の隣接する部分(19)に分割される、
請求項15に記載の検査方法。
【請求項17】
各部分(19)は、8~12画素に含まれる長手方向範囲を有する、
請求項15または16に記載の検査方法。
【請求項18】
第1定性パラメータは、前記中央金属層(4)に由来して存在し得るバリ(B)の面積の関数として決定される、
請求項15~17のいずれか一項に記載の検査方法。
【請求項19】
第2定性パラメータは、前記中央金属層(4)に由来して存在し得るバリ(B)の、前記中央金属層(4)の中心からの距離である、
請求項15~18のいずれか一項に記載の検査方法。
【請求項20】
前記フィルム(3)の前記側面(2)の前記デジタル画像(9)は、互いに一定の距離を置いて取得され、前記フィルム(3)の前記側面(2)の前記範囲の限られた部分を全体的にカバーする、
請求項15~19のいずれか一項に記載の検査方法。
【請求項21】
前記フィルム(3)の前記側面(2)の前記デジタル画像(9)は、前記フィルム(3)の前記側面(2)の前記全体範囲の5~15%を全体としてカバーする、
請求項20に記載の検査方法。
【請求項22】
前記デジタル画像(9)全体についての前記定性パラメータの前記要約値は、すべての前記部分(19)の前記定性パラメータの前記値の平均を計算することにより特定される、
請求項15~21のいずれか一項に記載の検査方法。
【請求項23】
経路(P)に沿って前進するフィルム(3)の側面(2)を検査するための光学検査ユニットであって、前記検査ユニット(1)は、
前記フィルム(3)を照明する光ビーム(11)を生成するように構成された少なくとも1つの照明装置(10)と、
前記経路(P)の隣に配置されたカメラ(7)であって、前記フィルム(3)の前記側面(2)を光学系(8)を介してフレーミングするとともに前記側面(2)の一連のデジタル画像(9)を取得するように構成されたカメラ(7)と、
各デジタル画像(9)を解析するように構成された解析装置と、
を含み、
各デジタル画像(9)は、前記フィルム(3)に対して平行な長手方向範囲と、前記フィルム(3)に対して垂直な横方向範囲と、を有する検査ユニットにおいて、
前記分析装置は、
前記デジタル画像(9)を、各々が同一の長手方向寸法を有する一連の隣接する部分(19)に分割し、
各部分(19)において、前記フィルム(3)の前記品質を示す少なくとも1つの定性パラメータの値を特定し、
すべての前記部分(19)の前記定性パラメータの前記値を統計的に処理することにより、前記デジタル画像(9)全体についての前記定性パラメータの要約値を特定するように構成される、
検査ユニット。
【請求項24】
前記フィルム(3)の前記側面(2)と前記光学系(8)との間の距離(D)の変化を検出するように構成された測定装置(17)と、
前記フィルム(3)の前記側面(2)と前記光学系(8)との間の前記距離(D)の前記変化の関数として前記カメラ(7)の焦点を変更するための駆動手段を制御するように構成された処理装置(12)と、
をさらに含む請求項1~6および14および23のいずれか一項に記載の検査ユニット。
【請求項25】
前記測定装置(17)は、前記経路(P)の隣に配置された追加カメラ(18)であって、前記フィルム(3)の前記側面(2)をフレーミングするとともに前記側面(2)の一連のさらなるデジタル画像を取得するように構成された追加カメラ(18)を備える、
請求項24に記載の検査ユニット(1)。
【請求項26】
前記カメラ(7)は、前記フィルム(3)の前記側面(2)を、前記フィルム(3)に対して平行な第1方向に沿ってフレーミングし、前記追加カメラ(18)は、前記フィルム(3)の前記側面(2)を、前記第1方向に対して垂直な第2方向に沿ってフレーミングする、
請求項25に記載の検査ユニット(1)。
【請求項27】
処理装置(12)であって、前記さらなるデジタル画像を解析して前記さらなるデジタル画像における前記フィルム(3)の前記側面(2)の前記位置を把握するように構成されるとともに、前記一連のさらなるデジタル画像における前記フィルム(3)の前記側面(2)の前記位置を比較して、前記フィルム(3)の前記側面(2)が同一位置に留まっているか、前記フィルム(3)の前記側面(2)が前記光学系(8)に接近しているか、または前記フィルム(3)の前記側面(2)が前記光学系(8)から離れるように移動しているかを判定するように構成された処理装置(12)を備える、
請求項25または26に記載の検査ユニット(1)。
【請求項28】
前記駆動手段は、電気モータを備える、
請求項24~27のいずれか一項に記載の検査ユニット(1)。
【請求項29】
測定装置(17)により、前記フィルム(3)の前記側面(2)と前記光学系(8)との間の距離(D)の変化を検出するステップと、
処理装置(12)が制御する駆動手段により、前記フィルム(3)の前記側面(2)と前記光学系(8)との間の前記距離(D)の前記変化の関数として前記カメラ(7)の焦点を変更するステップと、
をさらに含む請求項7~13および15~22のいずれか一項に記載の検査方法。
【請求項30】
測定装置(17)により、前記フィルム(3)の前記側面(2)と前記光学系(8)との間の距離(D)の変化を検出する前記ステップは、
追加カメラ(18)により、一連のさらなるデジタル画像を取得するステップと、
前記さらなるデジタル画像における前記フィルム(3)の前記側面(2)の前記位置を把握することを目的として、処理装置(12)により、前記さらなるデジタル画像を解析するステップと、
前記フィルム(3)の前記側面(2)が同一位置に留まっているか、前記フィルム(3)の前記側面(2)が前記光学系(8)に接近しているか、または前記フィルム(3)の前記側面(2)が前記光学系(8)から離れるように移動しているかを判定することを目的として、前記処理装置(12)により、前記連続するさらなるデジタル画像における前記フィルム(3)の前記側面(2)の前記位置を比較するステップと、
をさらに含む請求項29に記載の検査方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フィルムの側面を検査するための方法および光学検査ユニットに関する。
【0002】
本発明は、電池の電極(アノードまたはカソード)を作製することが意図されたフィルムの(横方向切断の結果により得られる)側面または縁部の検査において有利な用途を有するが、以下の説明はこれにより一般性を失うことなく、それに明瞭に言及する。
【背景技術】
【0003】
電池の基本的な構成要素の1つである電極は、電池のサイズを最小とするために、2つの外側絶縁層(すなわち、酸化亜鉛等の電気絶縁材料から作製された層)の間に包囲された中央金属層(すなわち、銅またはアルミニウム等の電気伝導性材料から作製された層)を備える細いリボンまたはフィルムから、通常作製されている。フィルムは、最初に両側面が絶縁材料で被覆された大型の金属シートから作製され、その後ストリップに切断されてリボンまたはフィルムを分離する。
【0004】
金属シートの切断は、重要な作業である。なぜならば、切断を実施するナイフが正しくセットされていなかったり摩耗していたりすると、切断により切断の両側面に金属バリが発生し得る。そして、金属バリは絶縁層を破壊たりこれを横切ったりし得る。フィルムの側面に金属バリがあると、電池内で隣接する2つの電極間で短絡が発生しやすくなり、電池の性能が低下するだけでなく、電池の破壊現象が引き起こされ得る。
【0005】
したがって、フィルムの製造プロセスにおいて、フィルムの側面のサンプル検査を、切断の品質を周期的に検査するような態様で実施することが知られている。具体的には、フィルムのサンプルを周期的に採取し、その側面をオペレータにより顕微鏡を使用して検査する。しかしながら、抜取り検査は、切断の品質に関する判断が主観的であるオペレータの関与が必要である。さらに、抜取り検査では、切断作業時に問題が検出された場合、時宜を得た態様で介入することができない。
【0006】
抜取り検査に由来するこの問題を解決するために、切断直後のフィルムの側面にインライン光学検査を実施することが提案された。具体的には、側面をフレーミングするカメラを使用して、側面の一連のデジタル画像を得る。そして、これらのデジタル画像を解析することで金属バリが存在する可能性を検査する。しかしながら、フィルムの側面に対する既知の光学チェックシステムは、性能が足りない。なぜならば、有効性(すなわち、偽陰性)を回避しつつ欠陥を特定する能力)と効率性(すなわち、義陽性を回避する能力)とを組み合わせることができないからである。
【0007】
より詳細には、デジタル画像の解析についての問題の1つは、フィルムの側面の縁部、すなわちデジタル画像内でフィルムの側面が位置する場所を特定することである。なぜならば、2つの外方絶縁層は、実質的に黒色である背景に溶け込みやすい、ほとんど黒に近い非常に暗い色を有するからである。
【0008】
デジタル画像解析の別の問題は、デジタル画像のかなりの割合がおおよそ不鮮明であるということである。これは、非常に小さな物体(フィルムは、典型的には、通常10分の1ミリ未満の全厚を有する)を見るために使用が必要とされる顕微鏡光学系の被写界深度が浅いが、フィルムは、その前進中に、連続的な小さい横方向の移動(すなわち、カメラに連結された顕微鏡光学系に近づいたりこれから離れたりする移動)をするためである。
【0009】
デジタル画像解析の別の問題は、中央金属層が銅から構成される場合、外方絶縁層を構成する絶縁材料が、赤みを帯びた粒子を有しているということである。赤みを帯びた粒子は、銅のバリすなわち砕片と非常に混同しやすいため、欠陥の不適切な検出につながり得る。この問題に対する可能な解決策は、絶縁材料の赤みを帯びた色の粒子は非常に小さいということに鑑み、比較的小さいサイズの赤色の物体は金属部として識別しないということである。しかしながら、この方法では、小さい銅のバリすなわち砕片が認識されない。
【0010】
デジタル画像解析のさらなる問題は、フィルムは高速(一般的に毎秒1~3メートル)で前進するため、フィルムの側面の全体範囲を光学的に調べるには、非常に性能が高いために非常に高価であるハードウェア(カメラおよびデジタル画像を解析する処理装置を含む)を使用すること、そして、特に高速であるため必に然的に精度が低くエラーが起こりやすいデジタル画像の解析を実施することの両方が必要であるということである。
【発明の概要】
【0011】
本発明の目的は、有効的な(すなわち、偽陰性を回避する)かつ効率的な(すなわち、偽陽性を回避する)態様で、側面を生じさせた切断の品質を検査することができる、フィルムの側面のための方法および光学検査ユニットを提供することである。
【0012】
本発明によれば、添付の特許請求の範囲に記載される、フィルムの側面のための方法および光学検査ユニットが提供される。
【0013】
特許請求の範囲は、本明細書の不可欠な部分を形成する本発明の実施形態を記載する。
【0014】
本発明を、実施形態の非限定的な例を示す添付図面を参照しつつ、以下に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】
図1は、明瞭性を期して一部の部品を除いた、本発明によるフィルムの側面の光学検査ユニットの斜視図である。
【
図2】
図2は、
図1の光学検査ユニットの一部の斜視分解図である。
【
図3】
図3は、
図1の光学検査ユニットの一部の平面図である。
【
図4】
図4は、好適な実施形態によるフィルムの側面の照明を強調する概略図である。
【
図5】
図5は、フィルムがバックライト照明された状態で
図1の光学検査ユニットにより取得されたデジタル画像を概略的に示す。
【
図6】
図6は、フィルムがバックライト照明されない状態で
図1の光学検査ユニットにより取得されたデジタル画像を概略的に示す。
【
図7】
図7は、カメラの光学系とフィルムの側面との間の距離を強調する、
図1の光学検査ユニットの概略図である。
【
図8】
図8は、
図1の光学検査ユニットにより取得されたデジタル画像を概略的に示す。
【発明を実施するための形態】
【0016】
図1において、符号1は、フィルム3の側面2の光学検査ユニット全体を示す。
【0017】
フィルム3は、2つの外側絶縁層5(すなわち、酸化亜鉛等の電気絶縁材料から作製された層)の間に包囲された中央金属層4(すなわち、銅またはアルミニウム等の電気伝導性材料から作製された層)を有している。フィルム3は、電池の電極を作製するために使用され、最初に両側面が絶縁材料で被覆された大型の金属シートから作製され、その後ストリップに切断される。
【0018】
図1、
図2および
図3に示すように、検査ユニット1は、フィルム3を経路Pに沿って前進させるコンベヤ6と、経路Pの横に配置されたカメラ7であって、フィルム3の側面2を光学系8を介してフレーミングするとともに側面2の連続するデジタル画像9(
図5、
図6および
図8に図示)を取得するように構成されたカメラ7と、を備えている。各デジタル画像9は、矩形形状を有するため、
図8に示すように、フィルム3に対して平行な(軸Xに沿った)長手方向範囲と、フィルム3に対して垂直な(軸Yに沿った)横方向範囲と、を有している。さらに、各デジタル画像9は、対応するデジタル画像9の各画素に、赤色成分のそれぞれの値、緑色成分のそれぞれの値、および青色成分のそれぞれの値を提供するRGB規格に従って色を有している(特に、各値は、8ビットバイトで保存され、0~255の間で変化する)。
【0019】
図1に示すものによれば、検査ユニット1は、フィルム3を照明すること(以下にさらに説明する)が意図された光ビーム11(
図4に概略的に示す)を生成するように構成された照明装置10を(少なくとも)備えている。
【0020】
検査ユニット1は、カメラ7に接続した処理装置12(
図1に概略的に示す)であって、カメラ7を駆動するとともにカメラ7からデジタル画像9を受信する処理装置12を備えている。
【0021】
図4に示すように、照明装置10が生成した光ビーム11の一部は、光学系8によりフィルム3の側面2に向けられて側面2を直接的に照明する(直接照明)一方で、照明装置10が生成した光ビーム11の残りの部分は、光学系8に向けられてフィルム3の側面2を取り囲む領域を照明する(バックライト照明)。換言すれば、照明装置10が生成した光ビーム11の一部は、側面2を直接的に照明することにより、フィルム3の側面2の表面をより視認しやすくすることが意図されており、照明装置10が生成した光ビーム11の残りの部分は、フィルム3の側面2を取り囲む領域を明るくしてバックライト照明をなすことが意図されている。具体的には、照明装置10が生成した光ビーム11の一部であって、バックライト照明することが意図された一部は、光学系8に対して側面2の背後から出射して、光学系8に向かう方向に沿って、側面2の縁部においてフィルム3にぶつかる。
【0022】
フィルム3の側面2をバックライト照明することにより、デジタル画像9において側面2の縁部(境界)を認識すること、または、デジタル画像9においてどこにフィルム3、より詳細にはフィルム3の側面2が位置しているかを認識することが大幅に向上し得る。実際に、側面2を適切にバックライト照明しない場合、2つの外側絶縁層5は、実質的に黒色である背景に溶け込みやすい、ほとんど黒に近い非常に暗い色を有する。一例として、
図5および
図6の2つのデジタル画像9は、側面2が適正にバックライト照明された状態のデジタル画像9(
図5)、および側面2がバックライト照明されない状態のデジタル画像9(
図6)を示す。側面2をバックライト照明することで、デジタル画像9における側面2の後方の背景が非常に明るく、実質的に「白い」状態となり、側面2の縁部を容易に認めることができる。
【0023】
図4に示すように、照明装置10は、フィルム3の側面2に対して光学系8と同一の側に配置されてフィルム3の側面2に向くように配向された(好適には白色光LEDを有する)エミッタ13を備えている。より詳細には、エミッタ13は、光学系8に対して同軸に配置されて、光ビーム11が光学系8から光学系8に対して同軸に出射するように、光ビーム11を光学系8内で発光する。さらに、照明装置10は、フィルム3の側面2に対して光学系8の反対側に並んで配置された2つの反射要素14(すなわち、2つの「ミラー」)であって、光学系8に向くように配向されてエミッタ13が(光学系8を介して)発光した光ビーム11の一部を側面2に向かって反射する反射要素14を備えている。具体的には、2つの反射要素14は、フィルム3の両側に並んで配置されている。すなわち、2つの反射要素14の間には、フィルム3が配置される空きスペースが存在する。この結果、光学系8から出射した光ビーム11は、一部がフィルム3の側面2を直接的に照明し、一部が反射要素14により反射してバックライト照明となる。したがって、光学系8は、エミッタ13が発光した光ビーム11の一部をフィルム3の側面2に集束させる(直接照明する)とともに、エミッタ13が発光した光ビーム11の残りの部分を照明要素14に集束させる(バックライト照明する)ように構成されている。
【0024】
図1~
図3に示す想定可能な実施形態によれば、カメラ7、光学系8、エミッタ13、および反射要素14を支持する単一の支持構造体15(
図2でも見える)が提供される。
【0025】
添付図面に示す実施形態において、エミッタ13は光学系8に対して同軸に配置され、カメラ7は光学系8に対して垂直に配置されている(すなわち、光学系8は「T」字形状を有する)。
【0026】
添付図面に示すように、検査ユニット1は、支持構造体15に支持された測定装置17であって、フィルム3の側面2とカメラ7に連結した光学系8との間の距離D(
図7に図示)の変化を検出するように構成された測定装置17を備えている。さらに、処理装置12は、作動装置、例えばカメラ7に接続した電気モータを制御して、フィルム3の側面2と光学系8との間の距離Dの変化の関数として、(カメラ7および/または光学系8に作用することにより)カメラ7の焦点を変更するように構成されている。
【0027】
好適な実施形態によれば、測定装置17は、経路Pの横に配置された追加カメラ18であって、フィルム3の側面2をフレーミングするとともにこのような側面2の連続するさらなるデジタル画像を取得するように構成された追加カメラ18を備えている。具体的には、カメラ7は、側面2を(フィルム3に対して平行な)第1方向に沿ってフレーミングし、追加カメラ18は、側面2を第1方向に対して垂直な(フィルム3に対して垂直な)第2方向に沿ってフレーミングする。この結果、処理装置12は、追加カメラ18が取得した追加デジタル画像を解析して、これらの追加デジタル画像におけるフィルム3の側面2の位置を認識するように構成されている。追加カメラ18が取得した連続するさらなるデジタル画像におけるフィルム3の側面2の位置を比較することにより、フィルム3の側面2が同一位置に留まっているか(すなわち、距離Dが一定であるか)、フィルム3の側面2が光学系8に接近しているか(すなわち、距離Dが減少しているか)、またはフィルム3の側面2が光学系8から離れるように移動しているか(すなわち、距離Dが増加しているか)を判定することができる。
【0028】
追加カメラ18は(カメラ7と異なり)、フィルム3の側面2の横方向位置を検出するためだけに使用されるため、好適には単色である。
【0029】
非常に小さな物体(フィルム3は、典型的には、通常10分の2ミリ未満の全厚を有する)を見るために使用が必要とされる光学系8は、顕微鏡タイプであり、非常に限られた被写界深度しか有さない。フィルム3は、その前進中、連続的な小さい横方向の移動をする、すなわち、カメラ7に連結した顕微鏡光学系8に近づいたりこれから離れたりする。換言すれば、10分1ミリ程度の厚さを有する断面フィルム3を解析して数ミクロンの大きさの金属片すなわちバリを認識しなければならないため、その性質上非常に限られた被写界深度、すなわち数十ミクロンの許容焦点範囲しか有さない顕微鏡光学系8を使用しなければならない。測定装置17と処理装置12との複合作用により、光学系8および/またはカメラ7の焦点を連続的に調整して距離Dの連続的な(偶発的で予測不能な)変化に実質的に追従することができる。これにより、カメラ7が取得したデジタル画像9は常に焦点が合うため、より容易に解析され得るとともに、より精密で正確な解析が可能とされる。
【0030】
上述のように、処理装置12は、各デジタル画像9を解析して、デジタル画像9における中央金属層4の破片(バリ)、具体的には、外側絶縁層5の内部に不当に存在する中央金属層4の破片(バリ)Bを認識する。バリBを、
図5および
図6においてのみ純粋に例として概略的かつ現実的でないレイアウトで示すが、
図1および
図8においては明瞭性を期して示さない。フィルム3を金属シートの残りの部分から分離する横方向の切断時に、切断を実施するブレードにより(特にかかるブレードが摩耗している場合)、中央金属層4から外方絶縁層5内に延びるバリBが生じ得る。外側絶縁層5における金属バリBの望ましくない危険な存在は、顕著な弊害をもたらし得る。なぜならば、これらの金属バリは、電池において隣接する電極間の短絡を引き起こしやすいからである。このような事象は、電池の性能を低下させるだけでなく、電池が破壊するという現象をももたらし得る。このため、フィルム3の欠陥を適切に評価するために、デジタル画像9において、外側絶縁層5に不当に存在する中央金属層4の破片を認識することが必要である。
【0031】
上述のように、各デジタル画像9は、画素のセットから構成され、各画素に、赤色成分のそれぞれの値、緑色成分のそれぞれの値、および青色成分のそれぞれの値が対応する。前記値の各々は、8ビットバイトで保存され、0~255の間で変化する。
【0032】
処理装置12が実施する各デジタル画像9の解析により、赤色成分の対応する値が第1認識区間内にあり、緑色成分の対応する値が第2認識区間内にあり、青色成分の対応する値が第3認識区間内にある場合のみ、画素が中央金属層4の破片を表している(すなわち、絶縁材料の破片ではなく金属の破片を表している)ということを確認することができる。
【0033】
通常、3つの認識区間は、互いに異なる、すなわち、異なる値を有する。具体的には、中央金属層4が銅から作製される場合、すなわち、中央金属層4を構成する金属が銅である場合、赤色成分に関する第1認識区間は、緑色成分および青色成分に関する他の2つの認識区間よりも高い値を有している。実際に、銅の色において、赤色成分が他の成分よりも優勢であることは明らかである。
【0034】
銅は、特徴的な赤橙色を有している。既知のように、あらゆる物体に色があるという第1の最も明白な理由は、物体が、ある波長の光を吸収し、他の波長の光を反射するということである。銅の光の強度スペクトルに注目すると、光が銅で反射するとき、銅原子は、スペクトルの青緑色領域の光の一部を吸収する。そして、青緑色の光が吸収されるため、その補色である赤橙色が反射する。反射光も、入射光、および光学系8を通過するカメラ7の応答の作用である。
【0035】
銅での反射に特有なデジタル画像9の3つの基本色(赤、緑、青)の値を考慮すれば、すべての「銅画素」を確実に識別することができるため、銅と同様に反射しない絶縁層にあるすべての粒子を、それらが銅の色に類似した赤色を有している場合であっても、誤って銅と識別することがない。
【0036】
好適な実施形態によれば、各認識区間の中央値は、理論的な仮定により決定される。具体的には、各認識区間の中央値は、中央金属層4を構成する金属の光吸収係数の関数として、照明装置10が発光する光ビームのスペクトルの関数として、そしてカメラ7の色彩応答性の関数として決定される。さらに、好適な実施形態によれば、各認識区間の中央値は、先験的に既知の特性を有するサンプルフィルム3のデジタル画像9における3つの色成分の値を検出することにより、実験的に精緻化される(またはさらに決定される)。当然ながら、各認識区間の中央値を、理論的にのみ、あるいは逆に実験的にのみ決定することも可能であるが、2つの方法を組み合わせることにより、最短時間で最良の結果を得ることができる。
【0037】
同様に、各認識区間の振幅は、先験的に既知の特性を有するサンプルフィルム3のデジタル画像9における3つの色成分の値を検出することにより、理論的および/または実験的に決定され得る。理論的なアプローチに従えば、各認識区間(RGB)の振幅は、特定の認識区間の分布に対する半値幅、すなわち半値全幅FWHM(Full Width At Half Maximum)を測定することによって得ることができる。実験的なアプローチによれば、各認識区間の振幅は、やはりFWHMを用いて得ることができ、この場合、サンプルフィルム3を観察して得られるヒストグラムと関連付けられる。
【0038】
外側絶縁層5の絶縁材料は、銅のバリすなわち砕片と非常に混同しやすい赤みを帯びた粒子を有している。中央金属層4が銅から作製される場合、このような赤みを帯びた粒子の検出は、存在しない欠陥の存在(すなわち、外側絶縁層5において銅の金属破片が見かけ上存在すること)を誤って示し得る。3つの色成分の同時検証により、すなわち、赤色成分の対応する値が第1認識区間内にあり、緑色成分の対応する値が第2認識区間内にあり、青色成分の対応する値が第3認識区間内に同時にある場合のみ、画素が中央金属層4の破片を表しているとして認識されるという事実により、銅の金属破片と絶縁材料の赤みを帯びた粒子とを、極めて正確に(すなわちエラー率が少なく)区別することができる。
【0039】
図8に示す好適な実施形態によれば、各デジタル画像9の解析において、処理装置12は、デジタル画像9を、各々が同一の(軸Xに沿った)長手方向寸法を有する連続する隣接する部分(セクション、スライス)19に分割し、各部分19におけるフィルム3の品質を示す少なくとも1つの定性パラメータの値を特定し、すべての部分19の定性パラメータの値を統計的に処理することにより(最も単純な場合、すべての部分19の定性パラメータの値の平均を計算することにより)デジタル画像9全体についての定性パラメータの要約値を特定する。換言すれば、処理はセクション毎に実施され(セクションは、同一のデジタル画像9が分割された部分19に対応する)、デジタル画像9のすべてのセクション(部分19)の処理の最終結果は、品質の「統計的」表示をなす固有の要約値である。
【0040】
好適であるが拘束力はない実施形態によれば、各デジタル画像9は、通常、60個~120個に含まれる多数の隣接する部分19に分割され、各部分19は、8~12画素に等しい長手方向範囲を有する。
【0041】
上述のように、デジタル画像9において、中央金属層4の破片(バリ)、具体的には、外側絶縁層5内に不当に位置する中央金属層4の破片(バリ)B(すなわち、中央金属層4に由来するバリBの存在)を認識してフィルム3の欠陥を評価する必要がある。この結果、デジタル画像9の解析中に処理装置12により決定され得る第1の定性パラメータは、中央金属層4に由来して存在し得るバリ(すなわち外側絶縁層5に不当に位置する任意の金属破片)の面積の関数として決定される。すなわち、第1定性パラメータは、中央金属層4に由来する任意のバリBのデジタル画像9における面積の関数として、すなわち、デジタル画像9において、中央金属層4からのバリBを表す画素が、より延長されているか、より延長されていないかにより決定される。デジタル画像9の解析中に処理装置12により決定され得る第2の定性パラメータは、中央金属層4に由来して存在し得るバリBの、中央金属層4からの距離(すなわち、中央金属層4に由来する任意のバリが、中央金属層4の中央からより離れているか、より離れていないか)である。
【0042】
実際に、フィルム3の欠陥レベルを確認するためには、外側絶縁層5に存在して存在し得る金属バリBの範囲(バリBが大きいほど、電池の完全性にとって危険である)、および、中央金属層4から外方絶縁層5に存在して存在し得る金属バリBの距離、すなわち任意のバリBのフィルム3の外面までの近接性(バリBが中央金属層4から遠いほど、電池の完全性にとって危険である)の両方を評価する必要がある。
【0043】
好適な実施形態によれば、デジタル画像9において認識された任意のバリBの面積は、側面2の面積に対して正規化される、すなわち、バリBの面積は、デジタル画像9のスケールファクタに依存しない任意のバリBの面積に関する表示を有するように、側面2の面積の関数として表現される。
【0044】
好適な実施形態によれば、フィルム3の側面2のデジタル画像9は、互いから一定の距離を置いて、フィルム3の側面2のデジタル画像9が、フィルム3の側面2の範囲の限られた部分、例えば、全体範囲の5~15%を完全にカバーするように取得される。この動作モードにより、一方で、極度に高い取得速度および処理速度が必要ないため、ハードウェアの複雑さ(したがってコスト)が大幅に低減され得る。また他方で、フィルム3の現実の欠陥に関する重要な情報を失うことがないことが保証される。なぜならば、フィルム3の実際の欠陥は、急激なピークを呈することは決してなく、フィルム3の切断を実施するブレードの進行性摩耗を理由とするゆっくりとしたドリフト(およそ数時間)のみを呈するためである。
【0045】
以上をまとめると、検査ユニット1は、「顕微鏡」光学系8により、フィルム3の側面2の一連のデジタル画像9(すなわち、切断されたばかりのフィルム3の断面の一連のデジタル画像9)を取得し、フィルム3が高速で流れる間にその品質を検査する。検査の結果は、フィルム3それ自体および/または切断プロセスの品質を解析するために使用され得る。
【0046】
好適な実施形態によれば、カメラ7は、(より伝統的なマトリクスカメラではなく)各スキャンで単一ラインからなるデジタル画像を取得するリニアカメラである。最終的な(完全な)デジタル画像9は、フィルム3とカメラ7との相対的な移動を利用し、単一ラインの画素からなる複数のデジタル画像を接合することにより、事後的に構築される。実際に、本出願において、リニアカメラを使用することで、より伝統的なマトリクスカメラを使用するよりも良好な結果を得られることが観察されている。
【0047】
本明細書で説明した実施形態は、本発明の保護範囲から逸脱することなく、互いに組み合わせることができる。上述の検査ユニット1は、多数の利点を有している。
【0048】
第1に、上述の検査ユニット1により、有効的(すなわち、見かけ上のネガを回避)かつ効率的(すなわち、見かけ上のポジを回避する能力)な態様で、側面を生じさせた切断の品質を検査することができる
【0049】
また、上述の検査ユニット1により、フィルム3の欠陥の経時的な増加を評価することができる。このような増加は、フィルム3の切断を実施するブレードの進行性摩耗に直接的に相関している。このようにして、所望の品質を維持するためにブレードの交換が必要になる時期を、事前に良好に予測することができる。すなわち、ブレードのメンテナンス時期を効果的に予測することができる。
【0050】
最後に、上述の検査ユニット1は、市販の部品のみを使用し、特に高い処理能力(電力)を必要としないため、比較的製造コストが低い。
【国際調査報告】