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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-11-02
(54)【発明の名称】機能的磁気共鳴画像
(51)【国際特許分類】
   A61B 5/055 20060101AFI20231026BHJP
   G01N 33/50 20060101ALI20231026BHJP
【FI】
A61B5/055 380
A61B5/055 382
G01N33/50 Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023522995
(86)(22)【出願日】2021-10-15
(85)【翻訳文提出日】2023-04-14
(86)【国際出願番号】 EP2021078559
(87)【国際公開番号】W WO2022084166
(87)【国際公開日】2022-04-28
(31)【優先権主張番号】20203355.1
(32)【優先日】2020-10-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.JAVASCRIPT
2.JAVA
(71)【出願人】
【識別番号】590000248
【氏名又は名称】コーニンクレッカ フィリップス エヌ ヴェ
【氏名又は名称原語表記】Koninklijke Philips N.V.
【住所又は居所原語表記】High Tech Campus 52, 5656 AG Eindhoven,Netherlands
(74)【代理人】
【識別番号】100122769
【弁理士】
【氏名又は名称】笛田 秀仙
(74)【代理人】
【識別番号】100163809
【弁理士】
【氏名又は名称】五十嵐 貴裕
(74)【代理人】
【識別番号】100145654
【弁理士】
【氏名又は名称】矢ヶ部 喜行
(72)【発明者】
【氏名】メナ ベニト マリア エストレラ
(72)【発明者】
【氏名】ウェスターリンク ジョアンヌ ヘンリエッテ デジレ モニーク
(72)【発明者】
【氏名】ファン エー レイモンド
(72)【発明者】
【氏名】ルフケンス ティミー ロベルトゥス マリア
(72)【発明者】
【氏名】ファン ドーレン マリーケ
(72)【発明者】
【氏名】デニッセン アドリアヌス ヨハネス マリア
(72)【発明者】
【氏名】ハイバース ウィレム
(72)【発明者】
【氏名】マッタース マルコ
【テーマコード(参考)】
2G045
4C096
【Fターム(参考)】
2G045AA40
2G045CA26
2G045CB07
2G045CB16
2G045DA54
2G045DA80
4C096AA01
4C096AC01
4C096AD06
4C096AD14
4C096AD24
4C096BA50
4C096DC40
(57)【要約】
機能的磁気共鳴撮像スキャン画像のキャプチャ時間の前、間、及び/又は後の所定の期間内に、被検体のストレス又は不安レベルに関する情報を取得することが提案される。この情報を使用して、実施形態はfMRIスキャン画像の解釈を支援し、支援し、又は他の方法で改善することができる追加/補足情報を提供することができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被検体の脳の領域の機能的磁気共鳴撮像スキャン画像の解釈を支援するための情報を取得するための方法であって、前記方法は、
評価時点における被検体の決定されるストレス又は不安レベルに関する情報を有する被検体データを取得するステップであって、前記評価時点は、前記機能的磁気共鳴撮像スキャン画像のキャプチャ時点の前、間、及び/又は後の所定の期間内にある、ステップと、
修正される機能的磁気共鳴撮像スキャン画像を生成するように、前記被検体データに基づいて前記機能的磁気共鳴撮像スキャン画像を修正するステップと
を有し、前記機能的磁気共鳴撮像スキャン画像を修正するステップは、前記評価時点における前記被検体の前記決定されるストレス又は不安に基づいて、前記機能的磁気共鳴撮像スキャン画像の脳活動の一つ又はそれより多くの値を修正するステップを有する、方法。
【請求項2】
前記被検体データを取得するステップは、
前記評価時点における被検体のコルチゾールレベルの測定値又は推定値を有するコルチゾールデータを取得するステップと、
前記取得されるコルチゾールデータに基づいて、前記評価時点における被検体のストレス又は不安の測定値を決定するステップと
を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記被検体データを取得するステップは、
前記評価時点における被検体の脳活動の測定値を有する脳活動データを取得するステップと、
前記取得される脳活動データに基づいて、前記評価時点における被検体のストレス又は不安の測定値を決定するステップと
を有する、請求項1乃至2の何れか一項に記載の方法。
【請求項4】
前記脳活動データを取得するステップは、
前記被検体の脳の一つ又はそれより多くの領域の第2の機能的磁気共鳴撮像スキャン画像を分析するステップであって、前記第2の機能的磁気共鳴撮像スキャン画像はキャプチャ時間にキャプチャされる、ステップと
を有する、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記第2の機能的磁気共鳴撮像スキャン画像は複数の異なる領域であり、前記複数の異なる領域の各々は、異なる空間的及び/又は時間的分解能でサンプリングされ、前記第2の機能的磁気共鳴撮像スキャン画像を分析するステップは前記異なる空間的及び/又は時間的分解能を補償するステップを有する、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記被検体データを取得するステップは、
前記評価時点における被検体の一つ又はそれより多くの生理学的パラメータの測定値を有する生理学的データを取得するステップと、
前記取得される生理学的データに基づいて、前記評価時点における被検体のストレス又は不安の測定値を決定するステップと
を有する、請求項1乃至5の何れか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記被検体の一つ又はそれより多くの生理学的パラメータは、皮膚コンダクタンス、心拍数、呼吸数、アドレナリンレベル、心拍数変動、皮膚温度、及び瞳孔拡張の少なくとも1つを有する、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記被検体データを取得するステップは、
前記評価時点における被検体のストレス又は不安レベルに関する質問に対する前記被検体の回答に関する情報を有する質問票データを取得するステップと、
前記取得される質問票データに基づいて、前記評価時点における被検体のストレス又は不安の測定値を決定するステップと
を有する、請求項1乃至7の何れか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記機能的磁気共鳴撮像スキャン画像を修正するステップは、
前記被検体のストレス又は不安が前記機能的磁気共鳴撮像スキャン画像にどのように影響するかの予測を生成するように、前記機能的磁気共鳴撮像スキャン画像及び機械学習アルゴリズムを有する被検体データを処理するステップと、
前記生成される予測に基づいて前記機能的磁気共鳴撮像スキャン画像を修正するステップと
を有する、請求項1乃至8の何れか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記被検体の脳の機能的磁気共鳴撮像スキャン画像を解釈する方法であって、前記方法は、
請求項1乃至9の何れか一項に記載の被検体の脳の領域の機能的磁気共鳴撮像スキャン画像の解釈を支援するための情報を取得するステップと、
前記機能的磁気共鳴撮像スキャン画像を取得するステップであって、前記機能的磁気共鳴撮像スキャン画像はキャプチャ時間にキャプチャされる、ステップと、
前記取得される情報に基づいて、前記取得される機能的磁気共鳴撮像スキャン画像を解釈するステップと
を有する、方法。
【請求項11】
前記取得される機能的磁気共鳴撮像スキャン画像を解釈するステップはさらに、前記評価時点と前記キャプチャ時間との間の時間の差に基づく、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
処理システムを有する計算装置上で実行されるとき、前記処理システムに、請求項1乃至11の何れか一項に記載の方法のステップの全てを実行させるコンピュータプログラムコード手段を有する、コンピュータプログラムプロダクト。
【請求項13】
被検体の脳の領域の機能的磁気共鳴撮像スキャン画像の解釈を支援するためのシステムであって、前記システムは、
評価時点における前記被検体の決定されるストレス又は不安レベルに関する情報を有する被検体データを取得するように構成されるインターフェースであって、前記評価時点は、前記機能的磁気共鳴撮像スキャン画像のキャプチャ時間の前、間、及び/又は後の所定の期間内にある、インターフェースと、
修正される機能的磁気共鳴撮像スキャン画像を生成するように、前記被検体データに基づいて前記機能的磁気共鳴撮像スキャン画像を修正するように構成されるプロセッサ装置と
を有し、前記機能的磁気共鳴撮像スキャン画像を修正するステップは、前記評価時点における前記被検体の決定されるストレス又は不安に基づいて、前記機能的磁気共鳴撮像スキャン画像の脳活動の一つ又はそれより多くの値を修正するステップを有する、
システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は磁気共鳴撮像に関し、より詳細には、機能的磁気共鳴撮像(fMRI)スキャンの解釈を支援することに関する。
【背景技術】
【0002】
機能的磁気共鳴画像法(fMRI)は一般に、ヒト対象の脳活動を検討するために使用される。fMRIスキャン画像の分析は典型的には被検体の脳の活性化と、スキャン中(すなわち、MRIスキャンのキャプチャ時又はその間)に被検体によって実行される特定の行動タスク(すなわち、記憶タスク)との間の相関を識別することを求め、fMRIスキャン分析はまた、被検体において誘発される記憶及び認識などの特定の認知状態との相関を発見することを目的とする。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
したがって、被検体の診断及び治療は、両方とも、fMRI探索中に収集される情報の解釈に基づくことができる。
【0004】
この発明は、請求項によって規定される。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一態様による例によれば、被検体の脳の領域の機能的磁気共鳴撮像スキャン画像の解釈を支援するための情報を取得するための方法であって、前記方法は、
評価時点における被検体の決定されるストレス又は不安レベルに関する情報を有する被検体データを取得するステップであって、前記評価時点は、前記機能的磁気共鳴撮像スキャン画像のキャプチャ時点の前、間、及び/又は後の所定の期間内にある、ステップと、
修正される機能的磁気共鳴撮像スキャン画像を生成するように、前記被検体データに基づいて前記機能的磁気共鳴撮像スキャン画像を修正するステップと
を有し、前記機能的磁気共鳴撮像スキャン画像を修正するステップは、前記評価時点における前記被検体の前記決定されるストレス又は不安に基づいて、前記機能的磁気共鳴撮像スキャン画像の脳活動の一つ又はそれより多くの値を修正するステップを有する、方法が提供される。
【0006】
したがって、提案される概念は、被検体の脳のfMRIスキャン画像の分析及び/又は解釈を支援又は支援することに関する計画、解決策、概念、設計、方法、及びシステムを提供することを目的とする。特に、本発明の実施形態は、神経撮像結果が被検体の心理的性質又は状態によって影響され得ることを提案する。特に、fMRIスキャンの前、最中、及び/又は後の被検体のストレス又は不安は測定値に影響を及ぼし、したがって、精神障害の解釈及び/又は診断に潜在的に影響を及ぼし得ることが提案される。
【0007】
現在、fMRIスキャンの標準的な分析はMRIスキャンの前又はMRIスキャン中に、被検体の文脈を考慮することなく行われている。例えば、閉所恐怖症に向かう傾向を有する被検体は、しばしば不安であるか、又はfMRI検査中に高レベルのストレスを経験し得る。また、被検体は、MRIスキャンに至る時間(数分又は数日)において不安を感じることがある。代替的に、又は追加的に、一部の被検体はMRIスキャンを開始する直前に高レベルのストレス又は不安を経験する可能性があり、さらに、被検体の大多数は、MRIスキャンプロセス中に不安になる。
【0008】
提案される概念は、被検体のfMRIスキャンがfMRIキャプチャプロセスの前、間、及び/又は後の期間において、被検体のストレス又は不安によって影響を受け得るという認識に基づいてもよい。このような実現形態によれば、fMRIスキャン画像の撮像時間の前、最中、及び/又は後の所定の期間内に、被検体のストレス又は不安レベルに関する情報を取得することが提案される。この情報を使用して、実施形態はfMRIスキャン画像の解釈を助け、支援し、又はそうでなければ改善することができる追加/補足情報を提供することができる(例えば、被検体のストレス又は不安の理解を可能にし、それにより、fMRIスキャン画像のデータがより正確な分析のために、補正、修正、補償、及び/又はコンテキスト化されることが可能になる)。
【0009】
実施形態は被検体の脳のfMRIスキャン画像のキャプチャ時間の前、間、及び/又は後に、被検体のストレス又は不安についての情報を取得しようとする。次いで、この情報は、fMRIスキャン画像の解釈又は分析を支援するために使用され得る。したがって、実施形態は、臨床的意思決定を支援するために特に有用であり得る。例示的な使用用途は例えば、病状及び/又は医療処置の発症、治療(結果)又は発症を評価、診断、又は予測することに関することができる。したがって、実施形態は例えば、神経障害の評価又は治療に関して特に有用であり得る。
【0010】
言い換えれば、実施形態は、fMRIスキャン画像のキャプチャ時間の前、間、及び/又は後の所定の時間内の評価時間における被検体のストレス又は不安レベルに基づいて、被検体の脳のfMRIスキャン画像の解釈を支援するための補足情報を生成することを提案する。生成される補足情報は、臨床的意思決定を助けることができる。したがって、実施形態は被検体のための治療を選択するときに医療専門家をサポートするように、治療選択に関連して使用され得る。そのような実施形態はまた、臨床計画をサポートし得る。したがって、改善される臨床決定支援(CDS)は、提案される概念によって提供され得る。
【0011】
提案によれば、MRIスキャンされる被検体のストレス又は不安レベルに関する情報は被検体のfMRIスキャンの改善される(例えば、より正確)解釈を支援するために活用され得る。
【0012】
例として、いくつかの実施形態はfMRI脳スキャンの解釈を支援するために誘導される状況ストレスを測定するための方法又はシステムを提案し、方法/システムは、(i)fMRIスキャンと、(ii)被検体のストレスレベルの評価のためのコンポーネントと、(iii)被検体のストレスレベルに基づいてfMRI脳スキャンを解釈するための分析ユニットとを含む。被検体のストレスレベルを評価するための様々なアプローチが使用され得、これには、コルチゾール測定、脳領域の活性、及び周辺生理学的パラメータ(皮膚コンダクタンス及び心拍数など)に基づくアプローチが含まれる。
【0013】
特に、修正されるfMRIスキャン画像を生成するように、被検体データに基づいてfMRIスキャン画像を修正することによって補足情報を生成することが提案される。このようにして、実施形態は(例えば、被検体のストレス/不安の影響を低減又は除去することによって、又は被検体のストレス/不安の影響を受け得るスキャン画像の一部を示すことによって)解釈をサポートする一つ又はそれより多くの補償される、補正される、又はコンテキスト化されるfMRIスキャン画像を生成することができる。
【0014】
より具体的には、補足情報を生成することは評価時間における被検体のストレス又は不安の決定される尺度に基づいて、fMRIスキャン画像の脳活動の一つ又はそれより多くの値を修正すること(たとえば、増加又は減少させること)を含む。このようにして、fMRIスキャン画像は被検体の不安のストレスによって引き起こされる値の変化を除去する(例えば、低減する)方法で補正又は補償され得る。したがって、実施形態はより正確なfMRIスキャン画像を提供することができ、したがって、より正確な分析/解釈をサポートすることができる。
【0015】
被検体データを取得するための様々なアプローチが、実施形態によって採用され得る。ストレス/不安は多くの異なる形態で現れることがあり、これは、異なる被検体にわたって変化することがある。単なる例として、ストレスは扁桃体、海馬、及び下前頭回における有意な応答を含むことが知られている。さらに、副腎グランドは、(アドレナリン、テストステロン、アルドステロン、コルチゾールなどのようなホルモンを分泌することによってストレスに応答するので)身体のストレス応答における主要なプレーヤーである。ストレス測定のための一般的に受け入れられている規格は、ストレスホルモンコルチゾールのレベルを測定することである。ストレスの多い事象の後、身体コルチゾール濃度は約20乃至30分後にピークに達するまで徐々に上昇する(例えば、唾液中で測定される)。
【0016】
したがって、一実施形態では、被検体データを取得することは評価時間における被検体のコルチゾールレベルの尺度を含むコルチゾールデータを取得することと、取得されるコルチゾールデータに基づいて、評価時間における被検体のストレス又は不安の尺度を決定することとを含み得る。このようにして、実施形態は被検体のストレス又は不安の測定を決定するために、一般に受け入れられているアプローチを使用することができる。
【0017】
いくつかの実施形態では、被検体データを取得することはキャプチャ時間における被検体の脳活動の測定値を含む脳活動データを取得することと、取得される脳活動データに基づいて、評価時間における被検体のストレス又は不安の測定値を決定することとを含み得る。例えば、被検体のストレス又は不安レベルは、同時にfMRIスキャンを介して推定され得る。このようにして、被検体のストレス又は不安レベルについての瞬間的及び/又は連続的な情報が、fMRIスキャンから取得され得る。そうすることにおいて、ストレス/不安測定値を、MRIスキャンプロセス中に被検体によって実行される一つ又はそれより多くのタスクと同期させることが好ましい場合がある。単なる例として、タスク(例えば、ストレッサー)のタイミングは、視床下部、扁桃体及び/又は下垂体の活動又は生理学的活動の同時増加から識別され得る。
【0018】
また、脳活動データを取得することは被検体の脳の一つ又はそれより多くの領域の第2のfMRIスキャン画像を分析することを含んでもよく、第2のfMRIスキャン画像はキャプチャ時間にキャプチャされる。第2のfMRIスキャン画像は複数の異なる領域であってもよく、複数の異なる領域の各々は異なる空間的及び/又は時間分解能でサンプリングされる。次いで、第2のfMRIスキャン画像を分析することは、異なる空間的及び/又は時間的解像度を補償することを含み得る。したがって、複数の脳領域をスキャンするために、実施形態は、領域/領域当たりのスキャンが異なる分解能及びタイミング縮尺を使用して行われ得ることを考慮に入れ得る。例えば、1つの脳領域/領域はより頻繁に、より高い空間分解能でサンプリングされ得る。したがって、実施形態は、これを補償するように構成され得る。実施形態はまた、脳全体にわたる不均一な信号歪みを考慮に入れてもよく、したがって、精度を改善する。
【0019】
ストレス/不安はまた、自律神経系を介して被検体の身体に現れ得る。このシステムは、副交感神経枝(「休止及び消化」システム)と交感神経枝(「ファイト又は飛行」システム)の2つの枝を有する。交感神経系における活動は、ストレスの指標と考えられる。ストレスの影響下で変化する既知の生理学的パラメータは、心拍数、心拍変動、皮膚コンダクタンス、及び呼吸、ならびにアドレナリン分泌を含む。したがって、いくつかの実施形態では、被検体データを取得することは評価時間における被検体の一つ又はそれより多くの生理学的パラメータの尺度を含む生理学的データを取得することと、取得される生理学的データに基づいて、評価時間における被検体のストレス又は不安の尺度を決定することとを含み得る。例として、被検体の一つ又はそれより多くの生理学的パラメータは、皮膚コンダクタンス、心拍数、呼吸数、アドレナリンレベル、心拍数変動、皮膚温度、及び瞳孔拡張の少なくとも1つを含み得る。
【0020】
いくつかの実施形態では、被検体データを取得することは評価時間における被検体のストレス又は不安レベルに関する質問に対する被検体の回答に関する情報を含む質問票データを取得することと、取得される質問票データに基づいて、評価時間における被検体のストレス又は不安の測定を決定することとを含み得る。したがって、ストレス及び不安の程度は、自己報告情報/質問票によって評価することができる。例えば、デジタル質問票は例えば、スマートフォン、タブレットコンピュータ又はポータブルコンピューティングデバイス上の専用ソフトウエアアプリケーションによって、MRIスキャンの前後の様々な時間に記入することができる。
【0021】
fMRIスキャン画像を修正すること(150)は被検体のストレス又は不安がどのようにfMRIスキャン画像に影響を与えるかの予測を生成するために、fMRIスキャン画像及び被検体データを機械学習アルゴリズムで処理することと、生成される予測に基づいて補足情報を生成することとを備え得る。したがって、実施形態はfMRIスキャン画像の解釈をサポートするための改善される(たとえば、より正確)情報を提供するために、機械学習及び人工知能概念を活用することができる。
【0022】
本発明のさらに別の態様によると、被検体の脳のfMRIスキャン画像を解釈するための方法であって、提案される実施形態による、被検体の脳の領域のfMRIスキャン画像の解釈を支援するための情報を取得することと、fMRIスキャン画像を取得することであって、fMRIスキャン画像は、キャプチャ時にキャプチャされる、取得することと、取得される情報に基づいて、取得されるfMRIスキャン画像を解釈することとを含む、方法が提供される。
【0023】
本発明のさらに別の態様によれば、コンピュータプログラムコード手段を含むコンピュータプログラムプロダクトが提供され、このコンピュータプログラムプロダクトは処理システムを有する計算装置上で実行されるとき、処理システムに、上述の方法のステップのすべてを実行させる。
【0024】
本発明の別の態様による例によれば、被検体の脳の領域の機能的磁気共鳴画像、fMRI、スキャン画像の解釈をサポートするためのシステムが提供される。システムは、評価時点における前記被検体の決定されるストレス又は不安レベルに関する情報を有する被検体データを取得するように構成されるインターフェースであって、前記評価時点は、前記機能的磁気共鳴撮像スキャン画像のキャプチャ時間の前、間、及び/又は後の所定の期間内にある、インターフェースと、修正される機能的磁気共鳴撮像スキャン画像を生成するように、前記被検体データに基づいて前記機能的磁気共鳴撮像スキャン画像を修正するように構成されるプロセッサ装置とを有し、前記機能的磁気共鳴撮像スキャン画像を修正するステップは、前記評価時点における前記被検体の決定されるストレス又は不安に基づいて、前記機能的磁気共鳴撮像スキャン画像の脳活動の一つ又はそれより多くの値を修正するステップを有する。
【0025】
本発明のこれら及び他の態様は以下に記載される実施形態から明らかであり、それらを参照して説明される。
【0026】
本発明をより良く理解し、どのように実施することができるかをより明確に示すために、ここで、単なる例として、添付の図面を参照する。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1】例示的実施形態による、被検体の脳の領域のfMRIスキャン画像の解釈をサポートするための情報を取得するための方法のフロー図を描写する。
図2】例示的な実施形態による、被検体の脳の領域のfMRIスキャン画像の解釈をサポートするためのシステム200の簡略化されるブロック図を示す。
図3】別の提案される実施形態によるシステムの簡略化されるブロック図である。
図4】実施形態の一つ又はそれより多くの部分が採用され得るコンピュータの一例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0028】
本発明は、図面を参照して説明される。
【0029】
詳細な説明及び特定の例は装置、システム、及び方法の例示的な実施形態を示しているが、例示のみを目的とするものであり、本発明の範囲を限定することを意図するものではないことを理解される。本発明の装置、システム及び方法のこれら及び他の特徴、態様、及び利点は、以下の説明、添付の特許請求の範囲、及び添付の図面からよりよく理解されるのであろう。特定の手段が相互に異なる従属請求項に記載されているという単なる事実は、これらの手段の組み合わせが有利に使用され得ないことを示すものではない。
【0030】
開示される実施形態に対する変形は図面、開示及び添付の特許請求の範囲の研究から、請求される発明を実施する際に当業者によって理解され、実行され得る。請求項において、単語「有する(comprising)」は他の要素又はステップを除外せず、不定冠詞「a」又は「an」は複数を除外しない。
【0031】
図は単に概略的なものであり、縮尺通りに描かれていないことを理解される。また、同じ又は同様の部分を示すために、図面全体を通して同じ参照番号が使用されることを理解される。
【0032】
本開示による実施形態は、被検体の脳のfMRIスキャン画像の分析及び/又は解釈を支援することに関連する様々な技術、方法、計画、及び/又は解決策に関する。提案される概念によれば、いくつかの解決策が別個に、又は一緒に実装され得る。すなわち、これらの可能な解決策は別々に以下で説明され得るが、これらの可能な解決策の2つ以上は1つの組み合わせ又は別の組み合わせで実装され得る。
【0033】
特に、提案される概念は、fMRIスキャンの前、その間、及び/又はその後の被検体のストレス又は不安がスキャン画像に影響を及ぼし得るという認識に基づいてもよい。このことを利用して、実施形態はfMRIスキャン画像のキャプチャ時間の前、間、及び/又は後の所定の期間内の被検体のストレス又は不安レベルを決定し、次いで、fMRIスキャン画像の解釈を支援し得る情報を生成するように構成される。したがって、提案される実施形態はfRMIスキャン分析のための有用な情報を生成し、供給するためのアプローチを提供することができる。したがって、実施形態は、治療選択に関連して使用され得、及び/又は改善される臨床決定支援(CDS)を提供し得る。
【0034】
提案される実施形態は、既知のアプローチを活用して、被検体のストレス又は不安レベルを評価することができる。次いで、そのような評価の結果を使用して、fMRIスキャン画像の解釈を助け、支援し、又はそうでなければ改善することができる補足情報を生成することができる(例えば、被検体のストレス又は不安の理解を可能にし、次いで、fMRIスキャン画像のデータを、より正確な分析のために補正し、修正し、補償し、かつ/又はコンテキスト化することを可能にすることによって)。そのような実施形態は例えば、神経障害を診断、治療、及び/又は予測するために使用され得る。
【0035】
図1は、例示的な実施形態による、被検体の脳の領域のfMRIスキャン画像の解釈を支援するための情報を取得するための方法のフロー図を示す。
【0036】
この方法は、被検体データを取得するステップ110から始まる。具体的には、被検体データが評価時間における被検体の決定されるストレス又は不安レベルに関する情報を含む。評価時間は、fMRIスキャン画像のキャプチャ時間の前、間、及び/又は後の所定の時間内である。
【0037】
被検体データを取得するステップ110を行うための異なるプロセスを(個々に、又は組み合わせて)用いることができる。単なる例として、図1の実施形態は、被検体データを取得するための3つの別個の方法/プロセスを含む。3つの方法/プロセスの1つ、2つ、又はすべてが、ステップ110の実行中に行われ得る。
【0038】
第1のプロセスは、ステップ115及び120を含む。ステップ115において、評価時間における被検体のコルチゾールレベルの測定値を含むコルチゾールデータが取得される(例えば、被検体におけるストレスホルモンコルチゾールのレベルを測定するための従来の方法を使用して)。取得されるコルチゾールデータに基づいて、ステップ120において、評価時間に基づく被検体のストレス又はcが決定される。
【0039】
第2のプロセスは、ステップ125及び130を含む。ステップ125は、fMRIスキャン画像のキャプチャ時間における被検体の脳活動の測定値を含む脳活動データを取得することを含む。次いで、ステップ130は、取得される脳活動データに基づいて、評価時間における被検体のストレス又は不安の測定値を決定することを含む。
【0040】
単なる例として、脳活動データを取得することは被検体の脳の一つ又はそれより多くの領域の第2のfMRIスキャン画像を分析することを含むことができ、第2のfMRIスキャン画像はキャプチャ時間にキャプチャされる。第2のfMRIスキャン画像が複数の異なる領域であり、複数の異なる領域の各々が異なる空間的及び/又は時間分解能でサンプリングされる場合、第2のfMRIスキャン画像を分析するステップは、異なる空間的及び/又は時間分解能を補償することを含むことができる。これは、エリア/領域ごとのスキャンが異なる解像度及び/又はタイミング縮尺を使用する状況を説明することができる。例えば、1つの脳領域/領域を、より頻繁に、より高い空間分解能でサンプリングすることができ、これを補償することができる。
【0041】
第3のプロセスは、ステップ135及び140を含む。ステップ135は、評価時間における被検体の一つ又はそれより多くの生理学的パラメータの測定値を含む生理学的データを取得することを含む。例えば、被検体の一つ又はそれより多くの生理学的パラメータは、皮膚コンダクタンス、心拍数、呼吸数、アドレナリンレベル、心拍数変動、皮膚温度、及び瞳孔拡張の少なくとも1つを含み得る。次いで、ステップ140は、取得される生理学的データに基づいて、評価時間における被検体のストレス又は不安の測定を決定することを含む。
【0042】
被検体データを取得するステップ110が完了した後、方法はステップ130に進む。ステップ130は、被検体データに基づいてfMRIスキャン画像の解釈を支援するための補足情報を生成することを含む。例として、図1の実施形態において、補足情報を生成することは、3つのサブステップ、155、160、及び165を含む。
【0043】
ステップ155において、取得される被検体データ(ステップ110から)及びfMRIスキャン画像は、機械学習アルゴリズムに提供される。機械学習アルゴリズムはステップ160において、被検体データ及びfMRIスキャン画像を処理して、予測(例えば、被検体のストレス/不安レベルがfMRIスキャン画像をどのように変更/影響したかの予測)を生成する。生成される予測に基づいて、ステップ165において補足情報が生成される。例えば、ステップ165において、fMRIスキャン画像は、修正されるfMRIスキャン画像を生成するように修正される。そのような修正は例えば、評価時間における被検体のストレス又は不安の決定される尺度に基づいて、fMRIスキャン画像の一つ又はそれより多くの値を減少させることを含み得る。このようにして、修正されるfMRIスキャン画像が生成され得、これは、被検体の不安のストレスを考慮するために、その値が修正又は調整される。
【0044】
図1の実施形態は被検体のストレス又は不安レベルに関する情報を取得するための3つの異なるプロセスの1つ又は複数を採用するものとして上述されているが、提案される実施形態によって他のプロセスが採用され得ることを理解される。例えば、被検体データを取得することは、評価時間における被検体のストレス又は不安レベルに関する質問に対する被検体の回答に関する情報を含む質問票データを取得することを含んでもよい。すなわち、被検体のストレス又は不安に関する情報は、被検体によって実施形態に提供されてもよい。
【0045】
図2は、例示的な実施形態による、被検体の脳の領域のfMRIスキャン画像の解釈をサポートするためのシステム200の簡略化されるブロック図を示す。システム200はインターフェース210(例えば、被検体データ215を取得するように構成される信号インターフェース及び/又はユーザ入力インターフェース)を備える。被検体データは評価時間(例えば、fMRIスキャン画像のキャプチャ時間の前、間、及び/又は後)における被検体の決定されるストレス又は不安レベルに関する情報を備える。システム200はまた、被検体データに基づいてfMRIスキャン画像の解釈をサポートするための補足情報を生成するように構成される(一つ又はそれより多くのマイクロプロセッサの)プロセッサ構成220を備える。プロセッサ装置220は生成される補足情報を、例えば、ユーザ、表示装置、及び/又は別のシステムに出力するように適合される。
【0046】
図3は、別の提案される実施形態によるシステム300の簡略化されるブロック図を示す。システムは、監視モジュール310と、fMRI撮像モジュール320と、プロセッサ構成330とを備える。システム300の部品の様々な態様を、以下のそれぞれのセクションで説明する。
【0047】
モニタリングモジュール310患者ストレスレベルの評価のためのものである。
【0048】
このモジュール310は患者のストレス及び不安レベルを測定し、監視し、決定するためのものである。したがって、それは、客観的パラメータの測定値に基づいて、ストレス及び不安レベルを決定するように構成される。
【0049】
例えば、生理学的信号は異なる手法によって測定することができ、そのような信号は2つの異なる方法、すなわち、単一又は複数の瞬間、又は連続的に収集することができる。
【0050】
ストレス/不安レベルは、fMRIスキャン中、及び/又はfMRIスキャンの24時間前まで、及び24時間後まで、(評価時間に)決定され得る。これは、より正確な応力ベースラインを確立するのに役立ち得る。すなわち、スキャンの24時間前に、より低い応力レベルが見出され得る。
【0051】
さらに、ストレス及び不安の程度は、自己報告情報/質問票によって評価することができる。例えば、デジタル質問票はスキャンの前後の様々な瞬間に、すなわち、(例えば、スマートフォン、タブレット又はポータブルコンピュータを介して)被検体に利用可能にされる専用ソフトウエアアプリケーションによって記入されてもよい。
【0052】
撮像モジュール320 fMRI撮像用
【0053】
撮像モジュール320は、認知、知覚、又は行動タスク中の脳活動を測定及び監視するように構成される。診断のために複数の脳領域を使用するために、モジュールは、スキャンされる脳領域が異なる分解能及びタイミング縮尺を有し得るという事実を考慮することができる。例えば、1つの脳領域をより頻繁に、より高い空間分解能でサンプリングすることができ、これを考慮/補償することができる。脳全体にわたる不均一な信号歪みも考慮に入れることができる。
【0054】
プロセッサ装置330
【0055】
監視モジュール310及び撮像モジュール320からのデータの分析のために、プロセッサ装置330は、特定の形態の精神的ストレスに関連する特定の脳領域に関する既知の一対一の科学的学習の参照ライブラリ記録を使用する。そのような参照情報を使用して、プロセッサ構成は受信されるデータを分析し、被検体のストレス/不安レベルを決定することができる。
【0056】
図3のシステム300の可能な実装を実証することによって、様々な例示的な実施形態が、以下のセクションにおいて詳細に説明される。
【0057】
例示的な実施形態1はコルチゾール測定値で推定される患者のストレスレベルである。
【0058】
監視モジュール310は、コルチゾールレベルの決定のために構成される。例として、コルチゾールレベルは、以下のように推定され得る。
【0059】
(i)fMRIキャプチャ時間の前の最後の数ヶ月からの慢性(すなわち、長期)コルチゾールレベルを測定する毛髪サンプルを介して推定され得る。これらは、ベースライン値又はスカラー値を決定するために使用することができる。
【0060】
(ii)コルチゾールの急性レベルを測定する単一又は複数のコルチゾール唾液スワブを介して推定され得る。サンプリングは午前中に、MRIスキャンの前に開始して、1日の経過にわたって変動を補正し、検査中に継続することができる。
【0061】
(iii)好ましくはスキャンの30分前に開始する、血漿コルチゾールを測定する連続サンプリング血液ラインを介して推定され得る。又は、
【0062】
(iv)好ましくはスキャンの30分前に開始する、生理学的パラメータを用いた間接連続サンプリングを介して推定され得る。
【0063】
プロセッサ装置330は、様々なコルチゾール測定値を同期させ、fMRI測定値における応力誘起バイアスを補正するように装置される。単一又は複数のコルチゾール値についてのそのような補正は、以下の方法で行うことができる。スキャン画像の活性が存在する各1 nmol/Lコルチゾールについて(最初は)5%減少する。5%の数字はより正確にそれを決定するために、蓄積されるスキャンに基づいて定期的に適合させることができる。すなわち、5%の標準値が詳述されているが、それは例示的なものに過ぎず、例えば、関心のある脳領域及び/又はストレスに関連するパーティキュラーニューラルネットワークに応じて、他の値が使用されてもよい。
【0064】
したがって、代替的に、単一又は複数のコルチゾール値の補正は、同様の方法で行うことができる。スキャン画像の活性がスキャン前及びスキャン中に測定されるコルチゾールレベルの各1 nmol/Lの差についてy%で(最初は)減少する。ここでも、y%の数値はより正確に決定するために、蓄積されるスキャンに基づいて定期的に適合させることができる。
【0065】
連続的なコルチゾール測定を使用する補正は同様に行うことができる。スキャン画像の活性がMRI処置が開始される前に、少なくとも20乃至30分の時間窓の間、存在する各1 nmol/Lコルチゾールについてz%で(最初は)減少する。したがって、画像は、MRIスキャナー自体によって引き起こされるストレスに対して補正することができる。また、このz%の数値はより正確に決定するために、蓄積されるスキャンに基づいて定期的に適合させることができる。
【0066】
あるいは、連続測定を使用して、(ゆっくりと)変化するコルチゾール測定のための遅延時間経過を作成することができる。この連続的なコルチゾール時系列は、脳活動の推定中に交絡回帰因子を含むことができた。
【0067】
長期毛髪コルチゾール値は、脳活動のレベルを修正するためのスカラーとして使用することができる。あるいは、長期毛髪コルチゾール値が急性コルチゾール測定値をスケーリングするために使用され得る。例えば、慢性ストレスはストレス要因に対するガルバニック皮膚コンダクタンス応答を増加させることができ、又は実際に唾液中の急性応答を減少させることができる。
【0068】
これらのコルチゾールに基づく補正方法のいくつかを組み合わせることができる。
【0069】
例えば、PTSD外傷に関連するストレスの場合、関連するパラメータは体積であり、関連する関心領域は海馬である(これは、空間及び時間の正しいコンテキストにメモリを配置することに関連する)。大うつ病性障害(MDD)に関連するストレスについては、パラメータは機能的接続性であり、関心のあるネットワークはデフォルトモードネットワークである。
【0070】
例示的な実施形態2は画像処置中の周辺生理学的パラメータ(皮膚コンダクタンスなど)上で推定される患者のストレスレベルである。
【0071】
ストレスレベルの推定は、皮膚コンダクタンス又は心拍数のような周辺生理学的パラメータによって提供される連続情報に基づく。皮膚コンダクタンス及び心拍数は、ウェアラブルデバイス、すなわちスマートウォッチによって収集することができる。心拍数情報は、(PPG)カメラによって収集することもできる。そのような測定は、ストレス応答に関与する自律神経系の反応を伴う。
【0072】
加えて、皮膚コンダクタンス測定値は、身体コルチゾールの量を推定するために(既知の技術を使用して)処理され得、したがって、約20乃至30分前のストレスの指標を提供する。生理学的測定がこの技術によってコルチゾール推定値に変換される場合、これらのコルチゾール推定値は、上記の実施形態1の一部と考えることができる。
【0073】
さらなる例として、システム300の実施形態はストレスレベルの評価及び脳スキャンの解釈のために、機械学習アルゴリズムの人工知能(AI)モジュールを(例えば、プロセッサ装置330を介して)使用することができる。ストレスレベル推定値はストレスの絶対的指標として使用することができ、どの程度ストレスがスキャンされる脳画像に影響を及ぼすと予想されるかを示す。加えて、ストレスレベルはタスクが提示される前に(直接的に)それらと比較することもでき、したがって、提示されるタスクの応力効果からスキャン手順の応力効果を分離する。次いで、これらの相対的ストレスレベル又は絶対的ストレスレベルの何れかを用いて、以下のような様々な方法で脳スキャンを補正する。
【0074】
(a)ストレスレベル(特定のタスクに関して測定される)は、タスク誘発脳活動の推定値を補正するために使用され、ストレスレベルの影響下で増幅又は低減される脳信号を識別するために使用される。脳活動レベルはストレス下で異なることが知られており、この情報を用いて脳活動推定値を補正することができる。連続的な応力推定では、これをリアルタイムで行うことができる。
【0075】
(b)絶対ストレスレベルの補正は、以下の方法で行うことができる。スキャン画像の活性が存在する応力の単位ごとにx%とともに(最初は)減少する。このx%の数値はより正確に決定するために、蓄積されるスキャンに基づいて定期的に適合させることができる。
【0076】
(c)相対応力値の補正は、同様の方法で行うことができる。スキャン画像のアクティビティがスキャン前及びスキャン中に測定される応力レベルの単位差ごとにy%で(最初は)減少する。また、ここでは、y%の数値がより正確に決定するために、蓄積されるスキャンに基づいて定期的に適合させることができる。
【0077】
(d)スキャンプロトコル誘起応力の補正も同様に行うことができる。スキャン画像の活性は、タスクが開始される直前に存在する応力の各単位に対してz%で(最初は)減少する。したがって、画像は、スキャナ自体のストレスの多い影響に対して補正される。また、このz%の数値はより正確に決定するために、蓄積されるスキャンに基づいて定期的に適合させることができる。
【0078】
同じ方法を使用して、2つの(診断)グループ間のストレス差を補正する一方で、グループ内の相対的ストレス関連分散を同様に保つことができる。
【0079】
次いで、正規化される脳測定値の臨床解釈のための潜在的なガイダンスは、生信号ではなく、補正される信号に基づく。
【0080】
実施形態3は同じ撮像手順の間に測定される副腎活動の測定から推定される患者のストレスレベルである。
【0081】
急性又は亜急性ストレスの指標は、副腎(皮質及び髄質の両方)活動のfMRIスキャンから得ることができる。十分に広い二重孔の場合、この副腎活動は、脳活動を測定するスキャンと同じスキャン中に測定することができる。ストレスレベルの推定は異なるアプローチによって行うことができる。(i)副腎活動値が副腎活動レベルが高いと推定されるときに撮影される画像にフラグを付け、タスクがこの個人にとってストレスが多いことを示し、現在のタスクの結果がストレスによって影響を受ける可能性があることを示す。又は(ii)副腎活動レベル(特定のタスクに関連して測定される)を使用して、そのタスク中の脳活動の強度を増強/補正する。脳活動レベルはストレスによって影響を受けることが知られており、この情報は、脳活動推定値を補正/増強するために使用することができる。これは、リアルタイムで行うことができる。
【0082】
さらに、副腎活動の2つの領域の間で区別がなされる。副腎の髄質(カーネル)が活動である場合、これは通常、ストレス事象の直後の副腎の産生を示し、したがって、髄質における副腎活動は急性ストレスのインジケータである(したがって、上記の実施形態におけるものと同様の補正が適用可能)。副腎皮質が活動である場合、これはコルチゾールの産生を示し、通常、いくらかの遅延を伴い、したがって、皮質における副腎活動は過去のストレスの尺度である(したがって、上記の実施形態1におけるものと同様の補正が適用可能)。
【0083】
上記の説明から、脳活動の解釈を支援及び/又は改善し、結果として神経画像解釈を最適化するためのアプローチが提案されていることが理解されるのであろう。fMRI検査中に患者のストレスレベルの補足情報を提供するための方法及びシステムが提案されている。情報は例えば、脳測定値自体を補正するために、又は脳測定値の解釈/分析を補正するために使用することができる。
【0084】
様々な例示的な実施形態が説明されてきたが、代替の実施形態及び/又は様々な修正が実施され得ることが理解されるのであろう。例えば、ストレス及び不安の程度は、自己報告情報/質問票によって評価することができる。
【0085】
加えて、ストレス情報は患者体験を改善するために使用されてもよく、すなわち、脳スキャンによる患者のストレスレベルの減少、すなわち、被検体のストレスレベルに従って呼吸訓練が提供されてもよく、これは、MRIスキャン処理を改善してもよい。
【0086】
MRI検査は、タスクベースのfMRIスキャン以外のスキャンを含んでもよい。これらのスキャンの間、ストレスも測定される(これは、非タスク誘導ストレスであるべき)。
【0087】
いくつかの実施形態では、双生児被検体(すなわち、双生児)を監視することが提案される。このような提案は、双生児の脳活動が類似しているという仮定に基づいている。双生児の1つが、脳活動に関連する閉所恐怖症である場合、この活動は例えば、閉所恐怖症関連脳領域を識別するために使用され得る。
【0088】
さらなる例として、図4は、実施形態の一つ又はそれより多くの部分が採用され得るコンピュータ400の一例を示す。上述の様々な動作は、コンピュータ400の能力を利用することができる。例えば、被検体の脳の領域のfMRIスキャン画像の解釈をサポートするためのシステムは、本明細書で論じられる任意の要素、モジュール、アプリケーション、及び/又は構成要素に組み込まれ得る。この点に関して、システム機能ブロックは単一のコンピュータ上で実行することができ、又はいくつかのコンピュータ及び位置(たとえば、インターネットを介して接続される)にわたって分散させることができることを理解される。
【0089】
コンピュータ400はPC、ワークステーション、ラップトップ、PDA、パーム装置、サーバ、ストレージなどを含むが、これらに限定されない。一般に、ハードウェアアーキテクチャに関して、コンピュータ400は、ローカルインターフェース(図示せず)を介して通信可能に結合される一つ又はそれより多くのプロセッサ410、メモリ420、及び一つ又はそれより多くのI/O装置470を含み得る。ローカルインターフェースは例えば、限定はしないが、当技術分野で知られているように、一つ又はそれより多くのバス又は他の有線又は無線接続であり得る。ローカルインターフェースは通信を可能にするために、コントローラ、バッファ(キャッシュ)、ドライバ、リピータ、及び受信機などの追加の要素を有し得る。さらに、ローカルインターフェースは前述の構成要素間の適切な通信を可能にするために、アドレス、制御、及び/又はデータ接続を含み得る。
【0090】
プロセッサ410は、メモリ420に格納され得るソフトウェアを実行するためのハードウェア装置である。プロセッサ410は実質的に、コンピュータ400に関連するいくつかのプロセッサの任意のカスタムメイド又は市販のプロセッサ、中央処理装置(CPU)、デジタル信号プロセッサ(DSP)、又は補助プロセッサとすることができ、プロセッサ410は、半導体ベースのマイクロプロセッサ(マイクロチップの形成)又はマイクロプロセッサとすることができる。
【0091】
メモリ420は、揮発性メモリ素子、ダイナミックランダムアクセスメモリ(DRAM)、スタティックランダムアクセスメモリ(SRAM)などのランダムアクセスメモリ(RAM)、及び不揮発性メモリ素子、ROM、消去可能プログラマブル読取り専用メモリ(EPROM)、電子消去可能プログラマブル読取り専用メモリ(EEPROM)、プログラマブル読取り専用メモリ(PROM)、テープ、コンパクトハードディスク読取り専用メモリ(CD-ROM)、ハードディスク、ディスケット、カートリッジ、カセットなど)の任意の1つ又は組合せを含むことができる。さらに、メモリ420は、電子、磁気、光学、及び/又は他のタイプの記憶媒体を組み込むことができる。メモリ420は様々なコンポーネントが互いに離れて位置する分散アーキテクチャを有することができるが、プロセッサ410によってアクセスすることができることに留意される。
【0092】
メモリ420内のソフトウェアは一つ又はそれより多くの別個のプログラムを含むことができ、その各々は、論理機能を実装するための実行可能命令の順序付きリストを備える。メモリ420内のソフトウェアは、例示的な実施形態による、適切なオペレーティングシステム(O/S)450、コンパイラ440、ソースコード430、及び一つ又はそれより多くのアプリケーション460を含む。図示のように、アプリケーション460は、例示的な実施形態の特徴及び動作を実装するための多数の機能構成要素を備える。コンピュータ400のアプリケーション460は例示的な実施形態による、様々なアプリケーション、計算ユニット、ロジック、機能ユニット、プロセス、動作、仮想エンティティ、及び/又はモジュールを表し得るが、アプリケーション460は限定であることを意味しない。
【0093】
オペレーティングシステム450は他のコンピュータプログラムの実行を制御し、スケジューリング、入出力制御、ファイル及びデータ管理、メモリ管理、ならびに通信制御及び関連サービスを提供する。例示的な実施形態を実装するためのアプリケーション460はすべての市販のオペレーティングシステムに適用可能であり得ることが、本発明者らによって企図される。
【0094】
アプリケーション460は、ソースプログラム、実行可能プログラム(オブジェクトコード)、スクリプト、又は実行されるべき命令のセットを備える任意の他のエンティティであり得る。ソースプログラムの場合、プログラムは通常、O/S 450に関連して適切に動作するように、メモリ420内に含まれても含まれなくてもよいコンパイラ(コンパイラ440など)、アセンブラ、インタプリタなどを介して翻訳される。さらに、アプリケーション460は例えば、C、C++、C#、Pascal、BASIC、APIコール、HTML、XHTML、XML、ASPスクリプト、JavaScript、FORTRAN、COBOL、Perl、Java、ADA、NETなどであるが、これらに限定されない、ルーチン、サブルーチン、及び/又は関数を有する、データ及びメソッドのクラスを有するオブジェクト指向プログラミング言語、又はプロシージャプログラミング言語として記述することができる。
【0095】
I/Oデバイス470は例えば、マウス、キーボード、スキャナ、マイクロフォン、カメラなどの入力デバイスを含むことができるが、これらに限定されない。さらに、I/Oデバイス470は出力装置、例えば、限定はしないが、プリンタ、ディスプレイなどを含むこともできる。最後に、I/Oデバイス470は例えば、(遠隔装置、他のファイル、デバイス、システム、又はネットワークにアクセスするための)ネットワークインタフェースカード又は変調器/復調器、無線周波数(RF)又は他のトランシーバ、電話インターフェース、ブリッジ、ルータなどであるが、これらに限定されない、入力と出力の両方を通信するデバイスをさらに含み得る。I/O装置470はまた、インターネット又はイントラネットなどの様々なネットワークを介して通信するためのコンポーネントを含む。
【0096】
コンピュータ400がPC、ワークステーション、インテリジェント装置である場合、メモリ420内のソフトウェアは、基本入出力システム(BIOS)(簡略化のために省略)をさらに含むことができる。BIOSは起動時にハードウェアを初期化及びテストし、O/S 450を開始し、ハードウェア装置間のデータ転送をサポートする、必須ソフトウェアルーチンのセットである。BIOSはROM、PROM、EPROM、EEPROMなどの何らかのタイプの読み出し専用メモリに記憶され、その結果、BIOSはコンピュータ400が起動されるときに実行され得る。
【0097】
コンピュータ400が動作中であるとき、プロセッサ410はメモリ420内に記憶されるソフトウェアを実行し、メモリ420との間でデータを通信し、ソフトウェアに従ってコンピュータ400の動作を一般的に制御するように構成される。アプリケーション460及びO/S 450は、プロセッサ410によって全体的又は部分的に読み出され、おそらくプロセッサ410内にバッファリングされ、次いで実行される。
【0098】
アプリケーション460がソフトウェアで実装されるとき、アプリケーション460は任意のコンピュータ関連システム又は方法によって、又はそれに関連して使用するために、事実上任意のコンピュータ可読媒体上に記憶され得ることに留意される。本文書の文脈において、コンピュータ可読媒体は、コンピュータ関連システム又は方法によって、又はそれに関連して使用するためのコンピュータプログラムを含むか、又は記憶することができる、電子的、磁気的、光学的、又は他の物理的な装置又は手段であってもよい。
【0099】
アプリケーション460は命令実行システム、装置、又はデバイスによって、又はそれと関連して使用するための任意のコンピュータ可読媒体、たとえば、命令実行システム、装置、又はデバイスから命令をフェッチし、命令を実行することができるコンピュータベースのシステム、プロセッサを含むシステム、又は他のシステムで実施することができる。本明細書の文脈では、「コンピュータ可読媒体」が命令実行システム、機器、又は装置によって、又はそれに関連して使用するために、プログラムを記憶、通信、伝播、又は移送することができる任意の手段であり得る。コンピュータ可読媒体は例えば、電子、磁気、光学、電磁気、赤外線、又は半導体システム、装置、デバイス、又は伝搬媒体であり得るが、これらに限定されない。
【0100】
本発明は、システム、方法、及び/又はコンピュータプログラム製品であってもよい。コンピュータプログラム製品は、プロセッサに本発明の態様を実行させるためのコンピュータ可読プログラム命令をその上に有するコンピュータ可読記憶媒体(又は複数の媒体)を含み得る。
【0101】
コンピュータ可読記憶媒体は、命令実行デバイスによって使用するための命令を保持及び記憶することができる有形デバイスであり得る。コンピュータ可読記憶媒体はたとえば、電子記憶デバイス、磁気記憶デバイス、光記憶装置、電磁記憶デバイス、半導体記憶デバイス、又は前述の任意の適切な組合せであり得るが、これらに限定されない。
【0102】
本発明の態様は、本発明の実施形態による方法、装置(システム)、及びコンピュータプログラム製品のフローチャート図及び/又はブロック図を参照して本明細書で説明される。フローチャート図及び/又はブロック図の各ブロック、ならびにフローチャート図及び/又はブロック図のブロックの組合せは、コンピュータ可読プログラム命令によって実装され得ることを理解される。
【0103】
単一のプロセッサ又は他のユニットは、特許請求の範囲に列挙されるいくつかのアイテムの機能を満たすことができる。
【0104】
開示される方法は、コンピュータで実施される方法であることが理解されるのであろう。従って、処理システム上でプログラムが実行されるときに、任意の記述される方法を実行するためのコード手段を含むコンピュータプログラムの概念も提案されている。
【0105】
当業者は、本明細書に記載の方法を実行するためのプロセッサを容易に開発することができるのであろう。したがって、フローチャートの各ステップは、プロセッサによって実行される異なるアクションを表し得、処理プロセッサのそれぞれのモジュールによって実行され得る。
【0106】
上述のように、システムは、データ処理を実行するためにプロセッサを利用する。プロセッサは必要とされる様々な機能を実行するために、ソフトウェア及び/又はハードウェアを用いて、多数の方法で実装され得る。プロセッサは典型的には必要な機能を実行するためにソフトウェア(例えば、マイクロコード)を使用してプログラムされ得る一つ又はそれより多くのマイクロプロセッサを使用する。プロセッサは、いくつかの機能を実行するための専用ハードウェアと、他の機能を実行するための一つ又はそれより多くのプログラムされるマイクロプロセッサ及び関連する回路との組合せとして実装され得る。
【0107】
本開示の様々な実施形態において使用され得る回路の例は従来のマイクロプロセッサ、特定用途向け集積回路(ASIC)、及びフィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)を含むが、これらに限定されない。
【0108】
様々な実装形態では、プロセッサがRAM、PROM、EPROM、及びEEPROMなどの揮発性及び不揮発性コンピュータメモリなどの一つ又はそれより多くの記憶媒体に関連付けられ得る。記憶媒体は、一つ又はそれより多くのプロセッサ及び/又はコントローラ上で実行されると、必要な機能を実行する一つ又はそれより多くのプログラムで符号化され得る。様々な記憶媒体はその上に記憶される一つ又はそれより多くのプログラムがプロセッサにロードされ得るように、プロセッサ又はコントローラ内に固定され得るか、又は可搬型であり得る。
【0109】
開示される実施形態に対する変形は図面、開示及び添付の特許請求の範囲の研究から、請求される発明を実施する際に当業者によって理解され、実行され得る。請求項において、単語「有する(comprising)」は他の要素又はステップを除外せず、不定冠詞「a」又は「an」は複数を除外しない。単一のプロセッサ又は他のユニットは、特許請求の範囲に列挙されるいくつかのアイテムの機能を満たすことができる。特定の手段が相互に異なる従属請求項に記載されているという単なる事実は、これらの手段の組み合わせが有利に使用され得ないことを示すものではない。コンピュータプログラムは他のハードウェアとともに、又は他のハードウェアの一部として供給される光記憶媒体又はソリッドステート媒体などの適切な媒体上に記憶/配布され得るが、インターネット又は他の有線もしくはワイヤレス電気通信システムなどの他の形態で配布されてもよい。「に適合する(adapted to)」という用語が特許請求の範囲又は説明において使用される場合、「に適合する(adapted to)」という用語は、「に構成される(configured to)」という用語と等価であることが意図されることに留。請求項におけるいかなる参照符号も、範囲を限定するものとして解釈されるべきではない。
図1
図2
図3
図4
【国際調査報告】