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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-11-02
(54)【発明の名称】ペットフード組成物
(51)【国際特許分類】
   A23K 10/30 20160101AFI20231026BHJP
   A23K 20/158 20160101ALI20231026BHJP
   A23K 50/40 20160101ALI20231026BHJP
【FI】
A23K10/30
A23K20/158
A23K50/40
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023523145
(86)(22)【出願日】2021-10-12
(85)【翻訳文提出日】2023-04-14
(86)【国際出願番号】 US2021054496
(87)【国際公開番号】W WO2022081524
(87)【国際公開日】2022-04-21
(31)【優先権主張番号】63/091,513
(32)【優先日】2020-10-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】502329223
【氏名又は名称】ヒルズ・ペット・ニュートリシャン・インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110003579
【氏名又は名称】弁理士法人山崎国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100118647
【弁理士】
【氏名又は名称】赤松 利昭
(74)【代理人】
【識別番号】100123892
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 忠雄
(74)【代理人】
【識別番号】100169993
【弁理士】
【氏名又は名称】今井 千裕
(74)【代理人】
【識別番号】100173978
【弁理士】
【氏名又は名称】朴 志恩
(72)【発明者】
【氏名】バドリ、ダヤカール
(72)【発明者】
【氏名】ジュエル、デニス
【テーマコード(参考)】
2B005
2B150
【Fターム(参考)】
2B005AA06
2B150AA06
2B150AB03
2B150AB10
2B150CE07
2B150CE23
2B150CE25
2B150DA58
2B150DC14
2B150DD45
(57)【要約】
本明細書には、ペットフード組成物およびそれを使用するための方法が記載されている。こうした組成物は、可溶性繊維と、リノレン酸対脂肪酸の特定の比とを含みうる。方法は、有効量のペットフード組成物をペットに給餌することを含んでもよい。方法は、可溶性繊維とリノレン酸対脂肪酸の特定の比とを含む有効量のペットフード組成物を給餌することを含む、コンパニオンアニマルの除脂肪量を増加させることを含みうる。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ペットフード組成物であって、
約0.5~20重量%の量で存在する可溶性繊維と、
リノレン酸を含む一つ以上の脂肪酸と、を含み、すべての重量割合が前記ペットフード組成物に基づく、ペットフード組成物。
【請求項2】
前記一つ以上の脂肪酸が植物源に由来する、請求項1に記載のペットフード組成物。
【請求項3】
前記一つ以上の脂肪酸が、亜麻仁、藻類、アボカド、麻の実、カボチャの種、ヒマワリの種、クルミ、大豆、またはそれらの二つ以上の組み合わせから得られる、請求項2に記載のペットフード組成物。
【請求項4】
前記一つ以上の脂肪酸が、10~50個の全炭素原子、または随意に10~40個の全炭素原子、または任意で10~30個の全炭素原子を有する脂肪酸から選択される、請求項1~3のいずれかに記載のペットフード組成物。
【請求項5】
前記一つ以上の脂肪酸が、多価不飽和脂肪酸である、請求項1~4のいずれかに記載のペットフード組成物。
【請求項6】
前記ペットフード組成物が、オメガ3、リノレン酸、オメガ6、ステアリン酸、アラキジン酸、オレイン酸、ステアリドン酸、エイコサペンタエン酸、リノレライジン酸 セルボン酸、ドコサテトラエン酸、パルミトレイン酸、バクセン酸、パウリン酸、エライジン酸、ゴンド酸、エルカ酸、ネルボン酸、ミード酸、およびそれらの二つ以上の組み合わせから選択される少なくとも一つの脂肪酸をさらに含む、請求項1~5のいずれかに記載のペットフード組成物。
【請求項7】
前記ペットフード組成物が、オメガ3、オメガ6、バクセン酸、オレイン酸、エライジン酸、リノレライジン酸、リノール酸、ステアリドン酸、およびそれらの二つ以上の組み合わせから選択される少なくとも一つの脂肪酸をさらに含む、請求項1~5のいずれか一項に記載のペットフード組成物。
【請求項8】
前記リノレン酸が、α-リノレン酸、γ-リノレン酸、またはそれらの組み合わせである、請求項1~7のいずれかに記載のペットフード組成物。
【請求項9】
前記ペットフード組成物が、約0.3以上のリノレン酸対脂肪酸重量比を有する、請求項1~8のいずれかに記載のペットフード組成物。
【請求項10】
前記リノレン酸対脂肪酸重量比が約0.3~約1である、請求項9に記載のペットフード組成物。
【請求項11】
前記ペットフード組成物が、約0.3以上のリノレン酸対全18炭素多価不飽和脂肪酸重量比を有する、請求項1~10のいずれかに記載のペットフード組成物。
【請求項12】
前記リノレン酸対全18炭素多価不飽和脂肪酸重量比が約0.3~約1である、請求項11に記載のペットフード組成物。
【請求項13】
前記可溶性繊維が、約2重量%~約7重量%の量で存在する、請求項1~12のいずれかに記載のペットフード組成物。
【請求項14】
前記ペットフード組成物が、約10:1~約1:10の可溶性繊維対脂肪酸重量比を有する、請求項1~13のいずれかに記載のペットフード組成物。
【請求項15】
前記可溶性繊維対脂肪酸重量比が、7:1~約1:5である、請求項14に記載のペットフード組成物。
【請求項16】
ペットフード組成物であって、
約0.5重量%以上の量で存在する可溶性繊維と、
約0.3以上のリノレン酸対全18炭素多価不飽和脂肪酸質量比と、を含み、すべての重量割合が、前記ペットフード組成物に基づく、ペットフード組成物。
【請求項17】
リノレン酸対全18炭素多価不飽和脂肪酸の前記比が約0.3~約1である、請求項16に記載のペットフード組成物。
【請求項18】
リノレン酸対全18炭素多価不飽和脂肪酸の前記比が0.3~約0.8である、請求項16または請求項17に記載のペットフード組成物。
【請求項19】
リノレン酸対全18炭素多価不飽和脂肪酸の前記比が約0.3~約0.5である、請求項16~請求項18のいずれか一項に記載のペットフード組成物。
【請求項20】
リノレン酸対全18炭素多価不飽和脂肪酸の前記比が約0.39である、請求項16~請求項19のいずれか一項に記載のペットフード組成物。
【請求項21】
前記可溶性繊維が、約1重量%~約10重量%の量で存在する、請求項16~20のいずれか一項に記載のペットフード組成物。
【請求項22】
前記可溶性繊維が、約2重量%~約7重量%の量で存在する、請求項16~21のいずれか一項に記載のペットフード組成物。
【請求項23】
前記可溶性繊維が、約3重量%~約5重量%の量で存在する、請求項16~22のいずれか一項に記載のペットフード組成物。
【請求項24】
全食物繊維が、20重量%未満の量で存在する、請求項1~23のいずれかに記載のペットフード組成物。
【請求項25】
全食物繊維が、約10~約20重量%の量で存在する、請求項1~24のいずれかに記載のペットフード組成物。
【請求項26】
全食物繊維が、約10~約18重量%の量で存在する、請求項1~25のいずれかに記載のペットフード組成物。
【請求項27】
全食物繊維が、約15~約18重量%の量で存在する、請求項1~26のいずれかに記載のペットフード組成物。
【請求項28】
水分が、約5重量%~約15重量%の量で存在する、請求項1~27のいずれかに記載のペットフード組成物。
【請求項29】
水分が、約8重量%~約13重量%の量で存在する、請求項1~28のいずれかに記載のペットフード組成物。
【請求項30】
水分が、約9重量%~約11重量%の量で存在する、請求項1~29のいずれかに記載のペットフード組成物。
【請求項31】
前記組成物が、約25重量%~約40重量%の量で存在するタンパク質をさらに含む、請求項1~30のいずれかに記載のペットフード組成物。
【請求項32】
前記組成物が、約30重量%~約40重量%の量で存在するタンパク質をさらに含む、請求項1~31のいずれかに記載のペットフード組成物。
【請求項33】
前記組成物が、約30重量%~約35重量%の量で存在するタンパク質をさらに含む、請求項1~32のいずれかに記載のペットフード組成物。
【請求項34】
前記組成物が、約7重量%の量の亜麻仁と、約4.4重量%の量のライ麦の実と、を含む、請求項1~33のいずれかに記載のペットフード組成物。
【請求項35】
前記組成物がキブルである、請求項1~34のいずれかに記載のペットフード組成物。
【請求項36】
コンパニオンアニマルにおいて肥満の症状を治療、予防、または改善するための方法であって、有効量の請求項1~35のいずれかに記載の組成物を、それを必要とするコンパニオンアニマルに給餌することを含む、方法。
【請求項37】
前記コンパニオンアニマルがイヌである、請求項36に記載の方法。
【請求項38】
コンパニオンアニマルの除脂肪量を増加させるための方法であって、有効量のペットフード組成物であって、
約0.5重量%以上の量で存在する可溶性繊維と、
約0.3以上のリノレン酸対全18炭素多価不飽和脂肪酸の比と、を含み、すべての重量割合が、すべての前記ペットフード組成物に基づく、有効量のペットフード組成物を給餌することを含む、方法。
【請求項39】
リノレン酸対全18炭素多価不飽和脂肪酸の前記比が約0.3~約1である、請求項38に記載の方法。
【請求項40】
リノレン酸対全18炭素多価不飽和脂肪酸の前記比が0.3~約0.8である、請求項38または請求項39に記載の方法。
【請求項41】
リノレン酸対全18炭素多価不飽和脂肪酸の前記比が約0.3~約0.5である、請求項38~請求項40のいずれか一項に記載の方法。
【請求項42】
リノレン酸対全18炭素多価不飽和脂肪酸の前記比が約0.39である、請求項38~請求項41のいずれか一項に記載の方法。
【請求項43】
前記可溶性繊維が、約3重量%~約12重量%の量で存在する、請求項38~42のいずれか一項に記載の方法。
【請求項44】
前記可溶性繊維が、約1%~約10%の量で存在する、請求項38~43のいずれか一項に記載の方法。
【請求項45】
前記可溶性繊維が、約2%~約7%の量で存在する、請求項38~44のいずれか一項に記載の方法。
【請求項46】
全食物繊維が、20重量%未満の量で存在する、請求項38~45のいずれか一項に記載の方法。
【請求項47】
全食物繊維が、約10~約20重量%の量で存在する、請求項38~46のいずれか一項に記載の方法。
【請求項48】
全食物繊維が、約10~約18重量%の量で存在する、請求項38~47のいずれか一項に記載の方法。
【請求項49】
全食物繊維が、約15~約18重量%の量で存在する、請求項38~48のいずれか一項に記載の方法。
【請求項50】
水分が、約5重量%~約15重量%の量で存在する、請求項38~49のいずれか一項に記載の方法。
【請求項51】
水分が、約8重量%~約13重量%の量で存在する、請求項38~50のいずれか一項に記載の方法。
【請求項52】
水分が、約9重量%~約11重量%の量で存在する、請求項38~51のいずれか一項に記載の方法。
【請求項53】
前記組成物が、約25重量%~約40重量%の量で存在するタンパク質をさらに含む、請求項38~52のいずれか一項に記載の方法。
【請求項54】
前記組成物が、約30重量%~約40重量%の量で存在するタンパク質をさらに含む、請求項38~53のいずれか一項に記載の方法。
【請求項55】
前記組成物が、約30重量%~約35重量%の量で存在するタンパク質をさらに含む、請求項38~54のいずれか一項に記載の方法。
【請求項56】
前記組成物が、前記ペットフード組成物の乾燥重量に基づいて、約7重量%の量の亜麻仁と、約4.4重量%の量のライ麦の実と、を含む、請求項38~55のいずれか一項に記載の方法。
【請求項57】
前記ペットフード組成物がキブルである、請求項38~56のいずれか一項に記載の方法。
【請求項58】
前記コンパニオンアニマルがイヌである、請求項38~57のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2020年10月14日に出願された米国仮特許出願第63/091,513号の優先権の利益を主張するものであり、これにより、その内容は参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
肥満はペットにとって深刻な健康上の脅威である。ペット肥満予防協会(APOP)の2019年の調査によると、米国におけるネコとイヌの肥満率は、それぞれ59.5%と55.8%であった。糖尿病、変形性関節炎、心血管系疾患、皮膚障害、および寿命の減少などの他の疾患は、肥満との併存状態とみなされる(Phillips et al. 2017; German AJ. 2006, 2016; Tarkosova et al. 2016)。
【0003】
飼育動物の健康は、その給餌と密接に関係している。正しい給餌は、元気で健康なペットをもたらすはずである。正しい給餌を達成するために、動物に有益な効果をもたらす特定の成分およびそれら成分の濃度を利用しうる。こうした有益な効果には、脂肪量の減少、除脂肪量の増加、または血中トリグリセリドおよび赤血球分布幅(RDW)の減少などの臨床的なパラメータの改善が含まれうる。
【0004】
したがって、例えば動物の除脂肪量を増加させることによって、肥満動物に有益に影響を与えうるペットフード組成物を提供することが望ましい。
【発明の概要】
【0005】
この概要は、本開示の一つ以上の実施の一部の態様の簡略化された要約を単に紹介することを意図するものである。本開示が適用可能であるさらなる領域は、本明細書で以下に提供される「発明を実施するための形態」から明らかになるであろう。この概要は広範な概説ではなく、本教示の鍵となる要素または重要な要素を特定することも意図しておらず、本開示の範囲を説明することも意図していない。むしろ、その目的は、以下の詳細な説明の前置きとして、一つ以上の概念を簡略化された形式で提示することに過ぎない。
【0006】
出願人は、ペットフード組成物の中で特定の成分を利用することが、効果的な健康上の利益をもたらすことを発見した。一態様では、健康上の利益は、動物の除脂肪量を増加させることであってもよい。別の態様では、健康上の利益は、肥満動物の除脂肪量を増加させることであってもよい。別の態様では、健康上の利益は、イヌの除脂肪量を増加させることであってもよい。したがって、一態様では、本発明は、可溶性繊維と、特定のリノレン酸対脂肪酸質量比とを含むペットフード組成物である。
【0007】
少なくとも一つの実施形態では、本発明は、ペットフード組成物の乾燥重量に基づいて約0.5%以上の量で存在する可溶性繊維と、約0.39以上のリノレン酸対全18炭素多価不飽和脂肪酸((リノレン酸):(全18炭素多価不飽和脂肪酸))質量比とを含むペットフード組成物を対象とする。一部の実施形態では、リノレン酸対全18炭素多価不飽和脂肪酸の比は、約0.3~約1である。一部の実施形態では、リノレン酸対全18炭素多価不飽和脂肪酸の比は、0.3~約0.8である。一部の実施形態では、リノレン酸対全18炭素多価不飽和脂肪酸の比は、約0.3~約0.5である。一部の実施形態では、リノレン酸対全18炭素多価不飽和脂肪酸の比は約0.39である。一部の実施形態では、可溶性繊維は、ペットフード組成物の乾燥重量に基づいて、約3~約12%の量で存在する。一部の実施形態では、可溶性繊維は、ペットフード組成物の乾燥重量に基づいて、約3~約10%の量で存在する。一部の実施形態では、可溶性繊維は、ペットフード組成物の乾燥重量に基づいて、約3.5~約7%の量で存在する。一部の実施形態では、全食物繊維は、ペットフード組成物の乾燥重量に基づいて、20%未満の量で存在する。一部の実施形態では、全食物繊維は、ペットフード組成物の乾燥重量に基づいて、約10~約20%の量で存在する。一部の実施形態では、全食物繊維は、ペットフード組成物の乾燥重量に基づいて、約10~約18%の量で存在する。一部の実施形態では、全食物繊維は、ペットフード組成物の乾燥重量に基づいて、約15~約18%の量で存在する。一部の実施形態では、水分は、ペットフード組成物の重量に基づいて、約5~約15%の量で存在する。一部の実施形態では、水分は、ペットフード組成物の重量に基づいて、約8~約13%の量で存在する。一部の実施形態では、水分は、ペットフード組成物の重量に基づいて、約9~約11%の量で存在する。一部の実施形態では、組成物は、ペットフード組成物の乾燥重量に基づいて、約25%~約40%の量で存在するタンパク質を含む。一部の実施形態では、組成物は、ペットフード組成物の乾燥重量に基づいて、約30%~約40%の量で存在するタンパク質を含む。一部の実施形態では、組成物は、ペットフード組成物の乾燥重量に基づいて、約30%~約35%の量で存在するタンパク質をさらに含む。一部の実施形態では、組成物は、ペットフード組成物の乾燥重量に基づいて、約7%の量の亜麻仁と、約4.4%の量のライ麦の実とを含む。一部の実施形態では、組成物はキブルである。
【0008】
さらなる実施形態において、本発明は、コンパニオンアニマルにおいて肥満の症状を治療、予防、または改善するための方法であって、有効量の上記実施形態のいずれか一つによる組成物を、それを必要とするコンパニオンアニマルに給餌することを含む、方法を対象とする。特定の実施形態では、コンパニオンアニマルはイヌである。
【0009】
他の実施形態では、本発明は、ペットフード組成物の乾燥重量に基づいて約0.5%以上の量で存在する可溶性繊維と、約0.39以上のリノレン酸対全18炭素多価不飽和脂肪酸の比とを含む、有効量のペットフード組成物を給餌することを含むコンパニオンアニマルの除脂肪量を増加させるための方法を対象とする。一部の実施形態では、リノレン酸対全18炭素多価不飽和脂肪酸の比は、約0.3~約1である。一部の実施形態では、リノレン酸対全18炭素多価不飽和脂肪酸の比は、0.3~約0.8である。一部の実施形態では、リノレン酸対全18炭素多価不飽和脂肪酸の比は、約0.3~約0.5である。一部の実施形態では、リノレン酸対全18炭素多価不飽和脂肪酸の比は約0.39である。一部の実施形態では、可溶性繊維は、ペットフード組成物の乾燥重量に基づいて、約3~約12%の量で存在する。一部の実施形態では、可溶性繊維は、ペットフード組成物の乾燥重量に基づいて、約3~約10%の量で存在する。一部の実施形態では、可溶性繊維は、ペットフード組成物の乾燥重量に基づいて、約3.5~約7%の量で存在する。一部の実施形態では、全食物繊維は、ペットフード組成物の乾燥重量に基づいて、20%未満の量で存在する。一部の実施形態では、全食物繊維は、ペットフード組成物の乾燥重量に基づいて、約10~約20%の量で存在する。一部の実施形態では、全食物繊維は、ペットフード組成物の乾燥重量に基づいて、約10~約18%の量で存在する。一部の実施形態では、全食物繊維は、ペットフード組成物の乾燥重量に基づいて、約15~約18%の量で存在する。一部の実施形態では、水分は、ペットフード組成物の重量に基づいて、約5~約15%の量で存在する。一部の実施形態では、水分は、ペットフード組成物の重量に基づいて、約8~約13%の量で存在する。一部の実施形態では、水分は、ペットフード組成物の重量に基づいて、約9~約11%の量で存在する。一部の実施形態では、組成物は、ペットフード組成物の乾燥重量に基づいて、約25%~約40%の量で存在するタンパク質を含む。一部の実施形態では、組成物は、ペットフード組成物の乾燥重量に基づいて、約30%~約40%の量で存在するタンパク質を含む。一部の実施形態では、組成物は、ペットフード組成物の乾燥重量に基づいて、約30%~約35%の量で存在するタンパク質を含む。一部の実施形態では、組成物は、ペットフード組成物の乾燥重量に基づいて、約7%の量の亜麻仁と、約4.4%の量のライ麦の実とを含む。一部の実施形態では、ペットフード組成物はキブルである。一部の実施形態では、コンパニオンアニマルはイヌである。
【0010】
本発明が適用可能であるさらなる領域は、本明細書で以下に提供される「発明を実施するための形態」から明らかになるであろう。当然のことながら、「発明を実施するための形態」および特定の実施例は、本発明の典型的な実施形態を示しているものの、例示の目的のみを意図していて、本発明の範囲を限定することを意図していない。
【発明を実施するための形態】
【0011】
例示的な目的のために、その様々な例示的な実施形態を参照することによって、本発明の原理が記述される。本発明のある特定の実施形態が本明細書に具体的に記述されているものの、当業者であれば、同じ原理が他の用途および方法に対して等しく適用可能であり、かつ他の用途および方法において採用されることができることを容易に認識するであろう。本発明が、その用途において、示された任意の特定の実施形態の詳細に限定されないことが理解される。本明細書で使用される用語は、記述の目的のためのものであり、本発明、その用途、または使用を限定しない。
【0012】
本明細書および添付の特許請求の範囲で使用される単数形「一つの(a)」、「一つの(an)」および「その(the)」は、文脈によって別途規定されない限り、複数の参照を含む。成分の任意のクラスの単数形は、そのクラス内の一つの化学種だけでなく、それらの化学種の混合物も指す。「一つの(a)」(または「一つの(an)」)、「一つ以上の」および「少なくとも一つの」という用語は本明細書において、互換的に使用されてもよい。「備える(comprising)」、「含む(including)」、「含有する(containing)」および「有する(having)」という用語は、互換的に使用されてもよい。「含む(include)」という用語は、「含むがこれらに限定されない」と解釈されるべきである。「含む(including)」という用語は、「含むがこれらに限定されない」と解釈されるべきである。
【0013】
全体を通して使用されている通り、範囲は、その範囲内にある各値およびすべての値を示すための省略表現として使用される。範囲内の任意の値を、その範囲の末端として選択することができる。
【0014】
別段の特定のない限り、本明細書において、および本明細書のどこか他の箇所で表現される割合および量はすべて、全組成物の重量割合を指すものと理解されるべきである。「重量%」で存在する分子、または複数の分子への言及は、組成物の総重量に基づいて、組成物中に存在するその分子、または複数の分子の量を指す。
【0015】
本出願によると、数値に伴う「約」という用語の使用は、その数字の+/-5%であってもよい値を指す。本明細書で使用される場合、「実質的に無い(substantially free)」という用語は、組成物の約5.0重量%未満、3.0重量%未満、1.0重量%未満、好ましくは約0.5重量%未満、より好ましくは約0.25重量%未満の量を意味することを意図する。
【0016】
別段の定義のない限り、本明細書で使用されるすべての技術用語および科学用語は、本発明が属する技術分野の当業者によって一般的に理解されるものと同じ意味を有する。本明細書に引用または参照されるすべての特許、特許出願、刊行物、他の参考文献は、すべての目的のためにその全体が参照により組み込まれる。本開示における定義と、引用された参照文献における定義に矛盾がある場合、本開示が支配する。
【0017】
本開示は、ペットフード組成物、およびこうしたペットフード組成物を家庭用ペットの治療のために使用する方法を対象とする。ある特定の実施形態において、ペットはイヌである。他の実施形態では、イヌは肥満である。
【0018】
本発明者らは、可溶性繊維を含み、リノレン酸対全18炭素多価不飽和脂肪酸の比が高いペットフード食餌を動物に与えることが、動物の健康上の利益の向上をもたらすことを驚くべきことに、かつ予想外に発見した。こうした健康上の利益の向上は、多数の態様によって例示されうる。最初の態様では、健康上の利益は、動物の除脂肪量を増加させることであってもよい。別の態様では、健康上の利益は、肥満動物の除脂肪量を増加させることであってもよい。別の態様では、健康上の利益は、肥満のイヌの除脂肪量を増加させることであってもよい。
【0019】
したがって、一態様では、本開示は、ペットフード組成物の乾燥重量に基づいて、約0.5%以上の量で存在する可溶性繊維を含み、かつリノレン酸対全18炭素多価不飽和脂肪酸の比が約0.39以上である、ペットフード組成物を提供する。特定の実施形態では、ペットフードは乾燥形態である。特定の実施形態では、ペットフードはキブルである。
【0020】
可溶性繊維は、様々な量または濃度で存在しうる。一実施形態では、可溶性繊維は、ペットフード組成物の乾燥重量に基づいて、約0.5重量%以上(約0.5~約20重量%など)の量で存在しうる。例えば、可溶性繊維は、ペットフード組成物の乾燥重量に基づいて、約2.0重量%、約2.5重量%、約3.0重量%、約3.5重量%、約4.0重量%、約4.5重量%、約5重量%、約5.5重量%、約6.0重量%、約6.5重量%、約7.0重量%、約7.5重量%、約8.0重量%、約8.5重量%、約9.0重量%、約9.5重量%、約10.0重量%、約10.5重量%、約11.0重量%、約12.0重量%、約12.5重量%、約13.0重量%、約13.5重量%、約14.0重量%、約14.5重量%、約15.0重量%、約15.5重量%、約16.0重量%、約16.5重量%、約17.0重量%、約18.0重量%、または約20.0重量%(すべての範囲およびその間の部分範囲を含む)の量で存在しうる。例えば、ペットフード組成物は、ペットフード組成物の乾燥重量に基づいて、約0.5~約20重量%、約0.5~約15重量%、約0.5~約10重量%、約0.5~約8重量%、約0.5~約6重量%、約0.5~約5重量%、約0.5~約4重量%、約0.5~約3重量%、約1~約20重量%、約1~約15重量%、約1~約10重量%、約1~約8重量%、約1~約6重量%、約1~約5重量%、約1~約4重量%、約1~約3重量%、約1.5~約20重量%、約1.5~約15重量%、約1.5~約10重量%、約1.5~約8重量%、約1.5~約6重量%、約1.5~約5重量%、約1.5~約4重量%、約1.5~約3重量%、約2~約20重量%、約2~約15重量%、約2~約10重量%、約2~約8重量%、約2~約6重量%、約2~約5重量%、約2~約4重量%、約2~約3重量%、約2.5~約20重量%、約2.5~約15重量%、約2.5~約10重量%、約2.5~約8重量%、約2.5~約6重量%、約2.5~約5重量%、約2.5~約4重量%、約3~約20重量%、約3~約15重量%、約3~約10重量%、約3~約8重量%、約3~約6重量%、約3~約5重量%、または約3~約4重量%(そのすべての範囲および部分範囲を含む)の量の可溶性繊維を含みうる。
【0021】
別の実施例では、可溶性繊維は、ペットフード組成物の乾燥重量に基づいて、約3%~約12%、約3%~約10%、または約3.5%~約7%の量で存在してもよい。さらなる実施形態では、可溶性繊維は、ペットフード組成物の乾燥重量に基づいて、約3%以上、約3.5%以上、約3.7%以上、または約4.0%以上の量で存在する。さらなる実施形態では、可溶性繊維は、ペットフード組成物の乾燥重量に基づいて、約3%~4%、約3%~約5%、約3%~約10%、または約3%~約20%の量で存在する。
【0022】
ペットフード組成物は、ペットフード組成物の総重量に基づいて、典型的に約0.5~約20重量%の量の一つ以上の脂肪酸を含む。例えば、ペットフード組成物は、ペットフード組成物の乾燥重量に基づいて、約0.5~約20重量%、約0.5~約15重量%、約0.5~約10重量%、約0.5~約8重量%、約0.5~約6重量%、約0.5~約5重量%、約0.5~約4重量%、約0.5~約3重量%、約1~約20重量%、約1~約15重量%、約1~約10重量%、約1~約8重量%、約1~約6重量%、約1~約5重量%、約1~約4重量%、約1~約3重量%、約1.5~約20重量%、約1.5~約15重量%、約1.5~約10重量%、約1.5~約8重量%、約1.5~約6重量%、約1.5~約5重量%、約1.5~約4重量%、約1.5~約3重量%、約2~約20重量%、約2~約15重量%、約2~約10重量%、約2~約8重量%、約2~約6重量%、約2~約5重量%、約2~約4重量%、約2~約3重量%、約2.5~約20重量%、約2.5~約15重量%、約2.5~約10重量%、約2.5~約8重量%、約2.5~約6重量%、約2.5~約5重量%、約2.5~約4重量%、約3~約20重量%、約3~約15重量%、約3~約10重量%、約3~約8重量%、約3~約6重量%、約3~約5重量%、または約3~約4重量%(そのすべての範囲および部分範囲を含む)の量の一つ以上の脂肪酸を含みうる。
【0023】
一つ以上の脂肪酸は、10~50個の全炭素原子、10~40個の全炭素原子、または10~30個の全炭素原子を有する脂肪酸から選択されることが好ましい。一部の実施形態では、ペットフード組成物は、10~30個、12~28個、14~26個、16~24個、16~22個、または16~20個の炭素原子の総数を有する。好ましくは、ペットフード組成物は、多価不飽和脂肪酸から選択される一つ以上の脂肪酸を含む。好ましい一実施形態では、ペットフード組成物は、合計18個の炭素原子を有する多価不飽和脂肪酸を含む。
【0024】
脂肪酸は、植物源に由来してもよい。いかなる特定の理論にも限定されないが、植物源から得られるか、またはそれに由来する脂肪酸は、動物源に由来する脂肪酸と比較して、利益を強化しうると考えられる。脂肪酸を引き出す、または得るための植物源の例としては、例えば亜麻仁、藻類、アボカド、麻の実、カボチャの種、ヒマワリの種、クルミ、大豆、またはそれらの二つ以上の組み合わせが挙げられる。しかしながら、一部の実施形態では、脂肪酸は、動物源に由来するか、または合成される。
【0025】
脂肪酸は、オメガ3、リノレン酸、オメガ6、ステアリン酸、アラキジン酸、オレイン酸、ステアリドン酸、エイコサペンタエン酸、リノレライジン酸 セルボン酸、ドコサテトラエン酸、パルミトレイン酸、バクセン酸、パウリン酸、エライジン酸、ゴンド酸、エルカ酸、ネルボン酸、ミード酸、またはそれらの二つ以上の組み合わせからなりうる。一部の実例では、脂肪酸は、オメガ3、オメガ6、バクセン酸、オレイン酸、エライジン酸、リノレライジン酸、リノール酸、ステアリドン酸、またはそれらの二つ以上の組み合わせを含む。好ましくは、ペットフード組成物は、リノール酸(α-リノレン酸および/またはγ-リノレン酸など)を含む。
【0026】
一部の実施形態については、ペットフード組成物は、約0.3~約2のリノレン酸対全多価不飽和脂肪酸重量比を有するように配合されてもよい。例えば、リノレン酸対全多価不飽和脂肪酸重量比は、約0.3~約1.8、約0.3~約1.5、約0.3~約1.25、約0.3~約1、約0.3~約0.8、約0.3~約0.6、約0.3~約0.5、約0.3~約0.5、約0.35~約1.8、約0.35~約1.5、約0.35~約1.25、約0.3~約1、約0.35~約0.8、約0.35~約0.6、約0.35~約0.5、約0.35~約0.5、約0.38~約1.8、約0.38~約1.5、約0.38~約1.25、約0.38~約1、約0.38~約0.8、約0.38~約0.6、約0.38~約0.5、約0.38~約0.5、約0.4~約1.8、約0.4~約1.5、約0.~約1.25、約0.4~約1、約0.4~約0.8、約0.4~約0.6、約0.4~約0.5、約0.4~約0.5である。一部の実施形態では、リノレン酸対全多価不飽和脂肪酸重量比は約0.39である。
【0027】
追加的または代替的に、ペットフード組成物は、特定の質量比でリノレン酸および全18炭素多価不飽和脂肪酸を含む。特定の実施形態では、リノレン酸対全18炭素多価不飽和脂肪酸質量比は約0.3~約2である。他の実施形態では、リノレン酸対全18炭素多価不飽和脂肪酸質量比は約0.3~約1である。特定の実施形態では、リノレン酸対全18炭素多価不飽和脂肪酸の比は、約0.3~約0.8、約0.3~約0.6、約0.3~約0.5、または約0.3~約0.5である。さらなる実施形態では、リノレン酸対全18炭素多価不飽和脂肪酸の比は約0.39である。他の実施形態では、リノレン酸対全18炭素多価不飽和脂肪酸質量比は約0.3~約1.8、または約0.39である。一部の実施形態では、リノレン酸対全18炭素多価不飽和脂肪酸重量比は、約0.3~約1.8、約0.3~約1.5、約0.3~約1.25、約0.3~約1、約0.3~約0.8、約0.3~約0.6、約0.3~約0.5、約0.3~約0.5、約0.35~約1.8、約0.35~約1.5、約0.35~約1.25、約0.3~約1、約0.35~約0.8、約0.35~約0.6、約0.35~約0.5、約0.35~約0.5、約0.38~約1.8、約0.38~約1.5、約0.38~約1.25、約0.38~約1、約0.38~約0.8、約0.38~約0.6、約0.38~約0.5、約0.38~約0.5、約0.4~約1.8、約0.4~約1.5、約0.~約1.25、約0.4~約1、約0.4~約0.8、約0.4~約0.6、約0.4~約0.5、約0.4~約0.5である。
【0028】
ペットフード組成物は、有益な可溶性繊維対脂肪酸重量比を有してもよい。具体的には、可溶性繊維対脂肪酸重量比は、特定の重量比において、体重減少、痩せ、および/または除脂肪筋肉量を促進しうると考えられる。例えば、ペットフード組成物は、可溶性繊維対脂肪酸重量比、約10:1~約1:10、約7:1~約1:10、約5:1~約1:10、約3:1~約1:10、約2:1~約1:10、約10:1~約1:7、約7:1~約1:7、約5:1~約1:7、約3:1~約1:7、約2:1~約1:7、約10:1~約1:5、約7:1~約1:5、約5:1~約1:5、約3:1~約1:5、約2:1~約1:5 約10:1~約1:3、約7:1~約1:3、約5:1~約1:3、約3:1~約1:3、約2:1~約1:3、約10:1~約1:2、約7:1~約1:2、約5:1~約1:2、約3:1~約1:2、または約2:1~約1:2を有しうる。
【0029】
組成物の水分は、様々な量または濃度で存在しうる。水分は、様々な量または濃度で存在しうる。一実施形態では、水分は、ペットフード組成物の重量に基づいて、約5%~約15%の量で存在しうる。例えば、水分は、約5.0重量%、約5.5重量%、約6.0重量%、約6.5重量%、約7.0重量%、約7.5重量%、約8.0重量%、約8.5重量%、約9.0重量%、約9.5重量%、約10.0重量%、約10.5重量%、約11.0重量%、約11.5重量%、約12.0重量%、約12.5重量%、約13.0重量%、約13.5重量%、約14.0重量%、約14.5重量%、または約15.0重量%の量で存在しうる。別の実施例では、水分は、ペットフード組成物の重量に基づいて、約8%~約13%、約9%~約13%、約9%~約11%、または約9%~約13%の量で存在しうる。ある特定の実施形態では、水分は、ペットフード組成物の重量に基づいて、約10%~約12%、約10.5%~約12%、または約10.5%~約11.5%の量で存在する。
【0030】
組成物のタンパク質は、様々な量または濃度で存在しうる。一実施形態では、タンパク質は、ペットフード組成物の乾燥重量に基づいて、約20%~約45%の量で存在しうる。例えば、タンパク質は、約20重量%、約25重量%、約30重量%、約35重量%、約40重量%、または約45重量%の量で存在しうる。別の実施例では、タンパク質は、ペットフード組成物の乾燥重量に基づいて、約25%~約40%、約30%~約40%、または約30%~約35%の量で存在しうる。ある特定の実施形態では、タンパク質は、ペットフード組成物の乾燥重量に基づいて、約20%~約35%、約25%~約35%、または約28%~約35%の量で存在する。
【0031】
ペットフード組成物は、タンパク質および/または可消化粗タンパク質を含んでもよい。「可消化粗タンパク質」は、胃の酵素で消化した後、利用可能な、または遊離窒素(アミノ酸)へと変換されることができるタンパク質の一部分である。可消化粗タンパク質のインビトロ測定は、ペプシンなどの胃の酵素を使用することと、試料を消化することと、消化後に遊離アミノ酸を測定することとによって達成されてもよい。可消化粗タンパク質のインビボ測定は、飼料/フード試料中のタンパク質レベルを測定することと、試料を動物に給餌することと、動物の糞便中で収集される窒素の量を測定することとによって達成されてもよい。
【0032】
組成物中のタンパク質の一部分は、可消化タンパク質であってもよい。例えば、組成物は、タンパク質の約40重量%以上、約50重量%以上、約60重量%以上、約70重量%以上、約80重量%以上、または約90重量%以上が可消化タンパク質である、タンパク質の量を含んでもよい。一部の実施形態では、例えば望ましい組成物が体重減少を促進する時、可消化タンパク質であるタンパク質の一部分は、組成物中のタンパク質の総量に基づいて、約60重量%以下、約50重量%以下、約40重量%以下、約30重量%以下、約20重量%以下、または約10重量%以下である。さらなる実施形態では、可消化タンパク質であるタンパク質の量は、組成物中のタンパク質の総量に基づいて、約10~約90重量%、約10~約70重量%、約10~約50重量%、約10~約30重量%、約30~約90重量%、約30~約70重量%、約30~約50重量%、約50~約90重量%、約50~約70重量%、または約70~約90重量%(その中の範囲および部分範囲を含む)である。
【0033】
本発明の組成物は随意に、ペットフード組成物での使用に適した追加的な成分を含んでもよい。こうした成分の例としては、脂肪、炭水化物、食物繊維、アミノ酸、ミネラル、微量元素、ビタミン、添加物が挙げられるがこれらに限定されない。
【0034】
食物繊維とは、動物の消化酵素による消化に耐性を有する植物の構成要素を指す。食物繊維としては、可溶性繊維および不溶性繊維が挙げられる。可溶性繊維は、小腸での消化および吸収に対して耐性があり、かつ大腸で完全にまたは部分的に発酵されるものであり、例えばビートパルプ、グアーガム、チコリー根、サイリウム、ペクチン、ブルーベリー、クランベリー、カボチャ、リンゴ、オート麦、マメ類、柑橘類、大麦、フラクトオリゴ糖(FOS)またはエンドウである。不溶性繊維は、例えばセルロース、全粒小麦製品、小麦オート麦(wheat oat)、コーンブラン、亜麻仁、ブドウ、セロリ、サヤインゲン、カリフラワー、ジャガイモの皮、果物の皮、野菜の皮、落花生殻、ライ麦の実、サツマイモおよび大豆繊維を含む、任意の様々な原料源から供給されることができる。粗繊維としては、例えば米、トウモロコシ、およびマメなどの穀物の殻である、穀物などの植物の細胞壁および細胞含有物に含有される消化されにくい成分が挙げられる。本開示の組成物中の典型的な粗繊維量は、約0~10%、または約1%~約5%とすることができる。
【0035】
全食物繊維は、様々な量または濃度で存在しうる。一実施形態では、全食物繊維は、ペットフード組成物の乾燥重量に基づいて、約20%未満の量で存在しうる。ある特定の実施形態では、全食物繊維は、ペットフード組成物の乾燥重量に基づいて、約10%~約20%の量で存在する。例えば、全食物繊維は、約10.0重量%、約10.5重量%、約11.0重量%、約11.5重量%、約12.0重量%、約12.5重量%、約13.0重量%、約13.5重量%、約14.0重量%、約14.5重量%、約15.0重量%、約15.5重量%、約16.0重量%、約16.5重量%、約17.0重量%、約17.5重量%、約18.0重量%、約18.5重量%、約19.0重量%、約19.5重量%、または約20.0重量%の量で存在しうる。別の実施例では、全食物繊維は、ペットフード組成物の乾燥重量に基づいて、約10%~約18%、約12%~約18%、または約15%~約18%の量で存在しうる。さらなる実施形態では、全食物繊維は、ペットフード組成物の乾燥重量に基づいて、約15%~約20%、約16%~約19%、または約16%~約18%の量で存在する。
【0036】
必須アミノ酸を含むアミノ酸は、遊離アミノ酸として本開示の組成物に添加されることができ、または任意の数の原料源(例えば粗タンパク質)によって本開示の組成物に供給されることができる。必須アミノ酸は、新規に合成できない、または生命体により不十分な量しか合成できないアミノ酸であり、それ故に食事内に供給されなければならない。必須アミノ酸は、生命体の代謝に依存して、種ごとに異なる。例えば、イヌおよびネコ(ならびにヒト)の必須アミノ酸はフェニルアラニン、ロイシン、メチオニン、リシン、イソロイシン、バリン、スレオニン、トリプトファン、ヒスチジン、アルギニンであることが一般的に理解されている。加えて、タウリンは、専門的にはアミノ酸ではなくシステインの誘導体であるが、ネコにとっての必須栄養素である。
【0037】
本発明の組成物は随意に、脂質を含んでもよい。「脂質」という用語は一般的に、通常の室温(例えば、25℃)および圧力(例えば、1気圧)にて概して固体または液体であってもよい脂質または脂質の混合物を指す。一部の場合において、脂質は、標準室温および標準圧力にて粘性液体または非結晶性固体であってもよい。脂質は、肉、食肉副産物、キャノーラ油、魚油、および植物を含む、当業者に知られている様々な原料源のいずれかによって供給されることができる。植物性脂肪源としては、小麦、亜麻仁、ライ麦、大麦、米、モロコシ、トウモロコシ、オート麦、粟、コムギ胚芽、トウモロコシ胚芽、大豆、落花生、および綿実、ならびにこれらおよび他の植物性脂肪源由来の油が挙げられる。本開示の組成物は、少なくとも約9%(または約9%~約25%、もしくは約10%~約20%、もしくは約10%~約15%)の総脂質を含有しうる。
【0038】
一部の場合において、組成物中の脂質は粗脂質である。粗脂質は、組成物の総重量に基づいて、約10~約20重量%、約10~約18重量%、約10~約16重量%、約12~約20重量%、約12~約18重量%、約12~約16重量%、約12~約14重量%、または約12~約13重量%の量で組成物の中に含まれてもよい。一部の場合において、総脂質の約50重量%以上、約60重量%以上、約70重量%以上、約80重量%以上、または約90重量%以上が動物源から得られることが好ましい場合がある。代替的に、総脂質の約50重量%以上、約60重量%以上、約70重量%以上、約80重量%以上、または約90重量%以上が植物源から得られてもよい。
【0039】
炭水化物は、オート麦繊維、セルロース、落花生殻、ビートパルプ、パーボイルド米、コーンスターチ、コーングルテンミール、およびこれら原料源の任意の組み合わせを含む、当業者に知られている任意の様々な原料源から供給されることができる。炭水化物を供給する穀物としては、小麦、トウモロコシ、大麦、および米を挙げることができるが、これらに限定されない。食品の炭水化物含有量は、当業者に知られている任意の数の方法によって決定されることができる。一般的に、炭水化物の割合は、可溶無窒素物(「NFE」)として計算されることができ、これは以下のように計算されることができる。NFE=100%-水分%-タンパク質%-脂質%-灰分%-粗繊維%。組成物中に存在する炭水化物の量、例えば、NFEとして計算される量は、組成物の総重量に基づいて、約10~約90重量%、約10~約70重量%、約10~約50重量%、約10~約40重量%、約10~約30重量%、約10~約20重量%、約20~約90重量%、約20~約70重量%、約20~約50重量%、約20~約40重量%、約30~約90重量%、約30~約70重量%、約30~約50重量%、約30~約40重量%、約50~約90重量%、約50~約70重量%、または約70~約90重量%でありうる。
【0040】
本開示の組成物はまた、例えば塩化物、ヨウ化物、フッ化物、硫化物、もしくは酸化物などの、対イオンを有する、一つ以上のミネラルおよび/または微量元素、例えば、カルシウム、リン、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、マンガン、銅、亜鉛、クロム、モリブデン、セレン、または鉄塩類を、欠乏を回避しかつ健康を維持するために必要とされる量で、含有することもできる。これらの量は、例えばOfficial Publication of the Associate of American Feed Control Officials,Inc.("AAFCO"),Nutrient Requirements of Dogs and Cats,2006で提供されている通り、当業者に知られている。典型的なミネラルの量は、約0.1%~約4%、または約1%~約2%である。
【0041】
本発明の組成物はまた、欠乏を回避しかつ健康を維持するために必要とされる量で、ビタミンを含むことができる。これらの量および測定方法は当業者に知られている。例えば、Official Publication of the Associate of American Feed Control Officials,Inc.("AAFCO"),Nutrient Requirements of Dogs and Cats,2006は、イヌおよびネコにとってのこうした成分の推奨される量を提供している。本明細書で企図される通り、ビタミンとしては、ビタミンA、ビタミンB1、ビタミンB2、ビタミンB6、ビタミンB12、ビタミンC、ビタミンD、ビタミンE、ビタミンH(ビオチン)、ビタミンK、葉酸、コリン、イノシトール、ナイアシン、パントテン酸を挙げることができるがこれらに限定されない。本発明の組成物中の典型的なビタミンの量は、約0~約3%、または約1%~約2%である。
【0042】
本開示の組成物は、食味強化剤および安定剤などの他の添加物を、当業者によく知られている量および組み合わせで追加的に含むことができる。安定化物質としては、例えば組成物の貯蔵寿命を増加させる傾向にある物質が挙げられる。本発明の組成物中に含めるために潜在的に適切である他のこうした添加物の他の例としては、例えば防腐剤、着色剤、抗酸化剤、風味剤、協力剤および捕捉剤、包装ガス、安定剤、乳化剤、増粘剤、ゲル化剤、湿潤剤が挙げられる。乳化剤および/または増粘剤の例としては、例えば、ゼラチン、セルロースエーテル、デンプン、デンプンエステル、デンプンエーテル、および加工デンプンが挙げられる。組成物中のこうした添加物の濃度は典型的に、最大約5重量%とすることができる。一部の実施形態では、こうした添加物の濃度(特に、こうした添加物が主に栄養バランス剤(ビタミンおよびミネラルなど)である場合)は、約0重量%~約2.0重量%である。一部の実施形態では、こうした添加物の濃度(この場合も特に、こうした添加物が主に栄養バランス剤である場合)は、約0重量%~約1.0重量%である。
【0043】
任意の堅さまたは含水量のフードが企図されていて、例えば本発明の組成物は、例えばドライ、モイスト、またはセミモイストの動物用食品組成物とすることができる。一部の実施形態では、含水量は、組成物の総重量の約3%~約90%である。「セミモイスト」は、約25~約35%の水分を含有する食品組成物を指す。「モイスト」食品は、約60~90%以上の含水量を有する食品組成物を指す。「ドライ」食品は、約3~約12%の含水量を有する食品組成物を指し、多くの場合、小片またはキブルの形態で製造される。
【0044】
ある特定の態様において、本出願は、本開示の組成物のいずれかを作製する方法をさらに開示する。ウェット形態または缶詰形態での本発明の組成物の調製において、任意の成分(例えば、可溶性繊維および望ましいリノレン酸):(全18炭素多価不飽和脂肪酸の比)は一般的に例えば、配合物の加工中、例えば組成物の他の構成成分の混合中および/または混合後に、組成物の中に組み込まれることができる。これらの構成成分の組成物への分配は、従来の手段によって達成されることができる。一部の実施形態では、粉砕した動物タンパク性組織および家禽タンパク性組織は、魚油、穀物粒、他の栄養的にバランスをとる成分、特殊目的の添加物を含む他の成分(例えば、ビタミンおよびミネラル混合物、無機塩、セルロースおよびビートパルプ、増量剤、ならびにこれに類するもの)と混合されていて、また加工のために十分な量の水が添加されている。これらの成分は、構成成分をブレンドしながら加熱するために適切な容器内で混合されることができる。例えば、直接蒸気注入によって、または熱交換器を備えた容器を使用することによってなど、任意の適切なやり方を使用して、混合物の加熱を行うことができる。最後の成分の添加に続いて、混合物を約50°F(10℃)~約212°F(100℃)の温度範囲に加熱することができる。一部の場合において、混合物を約70°F(21℃)~約140°F(60℃)の温度範囲に加熱することができる。これら範囲の外の温度は、一般的に許容可能であるが、他の加工助剤を使用しなければ商業的に非実用的である場合がある。適切な温度に加熱されると、材料は典型的に、濃厚液の形態になるであろう。この濃厚液は缶の中に充填されることができる。缶の中に充填されると、蓋が付けられ、容器は気密密封される。次いで、密封した缶は、内容物を滅菌するために設計された従来の機器の中に定置される。これは通常、約230°F(110℃)を超える温度に、適切な時間にわたって加熱することによって達成され、この時間は例えば、使用する温度、および組成物に依存する。
【0045】
ペットフード組成物は代替的に、従来のプロセスを使用して、乾燥形態で調製されることができる。典型的に、例えば動物性タンパク質、植物性タンパク質、穀物などを含む乾燥成分は粉砕され、一緒に混合される。次いで、脂質、油、動物性タンパク質、水などを含む、湿った成分または液体成分を乾燥混合物に加え、その乾燥混合物と混合する。次いで、混合物をキブルまたは類似の乾燥片へと加工する。キブルは多くの場合、乾燥成分とウェット成分との混合物に高圧および高温にて機械作業を施し、次いで小さい開口部を通して押し出し、回転ナイフによってキブルへと切断される、押出成形プロセスを使用して形成される。次いで、ウェットキブルを乾燥させ、例えば風味剤、脂質、油、粉末、およびこれに類するものを含んでもよい、一つ以上の局所的なコーティングを用いて随意にコーティングする。キブルはまた、押出成形ではなく焼き上げるプロセスを使用してドウから作製されることができ、このプロセスにおいてドウは型の中に定置された後、乾燥加熱処理される。
【0046】
別の態様では、本開示は、動物の除脂肪量を増加させるために本明細書に記載されるようにペットフード組成物を有効な量で動物に給餌することを含む、コンパニオンアニマルの除脂肪量を増加させるための方法を提供する。コンパニオンアニマルは、イヌまたはネコであってもよい。好ましい実施形態では、有益な代謝産物バイオマーカーのこのような増加は、指定された成分のうちの一つ以上が存在しないか、または所望の比で存在しない条件下で発生する場合よりも大きい。一部の実施形態では、コンパニオンアニマルの除脂肪量を増加させるための方法は、ペットフード組成物の乾燥重量に基づいて、約3.5%以上の量で存在する可溶性繊維を含み、かつリノレン酸対全18炭素多価不飽和脂肪酸の比が約0.39以上である、有効量のペットフード組成物を給餌することを含む。
【実施例
【0047】
本明細書に記載の実施例および他の実施は例示的であり、本開示の組成物および方法の全範囲の記述に限定することを意図しない。特定の実施、材料、組成物、および方法の同等の変更、修正、および変形は、実質的に類似の結果を伴って、本開示の範囲内で行われうる。
実施例1
【0048】
研究デザインには、肥満のビーグル犬21匹と肥満の雑種犬1匹を使用した。イヌは1.11~12.6歳で、体重は9.1~17.4kgであり、卵巣摘出または去勢をした。給餌は、クロスオーバーデザインに従って実施されたのであり、すべてのイヌは、給餌前の相において4週間にわたって対照食物を給餌され、次いで第1相試験のために二つの群に分けられた。第1相中、第1群には8週間にわたり組成物1を、第2群には8週間にわたり組成物2を給餌した。その後、両方の群に、ウォッシュアウト期間として4週間にわたり対照食物を給餌した。次に、第2相試験が実施され、これには、8週間にわたり、第1群に組成物2を、第2群に組成物1を給餌することが含まれた。三つの食品組成物はすべて、特定のイヌのカロリー必要量に基づいて給餌され、これはそのイヌの現在の体重に基づいて計算された。二重エネルギーX線吸収測定法(DEXA)分析を、給餌前、第1相、および第2相の終了時に行った。血液/血清および糞便試料を、給餌前、第1相、ウォッシュアウト、および第2相の終了時に採取した。対照群は、同様の試験条件下で対照食物を与えられるイヌに基づいて評価された。
【0049】
食品組成物は、表1に記載されるように配合された。すべての組成物はキブルとして給餌され、押出で生成され、乾燥され、食味増強剤でコーティングされた。数値は、ペットフード組成物の乾燥重量に基づいた、その構成要素の重量パーセントを表す。
【表1】
【表2】
実施例2
【0050】
実施例1からの給餌試験の結果を、表3に示す。括弧の外側の数値は平均を表し、一方、括弧内の数値は標準偏差を表す。
【表3】
【0051】
リノレン酸対全18炭素多価不飽和脂肪酸の比が少なくとも0.39(組成物1および組成物2)の食餌を給餌された動物は、驚くべきことに、より低いリノレン酸対全18炭素多価不飽和脂肪酸の比0.0661の食餌を給餌された動物と比較して、a)より高い量の除脂肪体重を示し、かつb)より高い可溶性繊維の摂取量を示した。理論に拘束されるものではないが、除脂肪体重における何らかの変化は、食品組成物による直接的な結果であると考えられる。
【表4】
【0052】
表4は、DEXA、血液CBC、ケムスクリーンおよび糞便変数に関する解析からのp値の結果を示す。結果は、混合モデル、続いてテューキーの事後有意性分析を使用して導出された。負の数は、対照と比較した減少を表す。
実施例3
【0053】
より低いレベルの可溶性繊維を含み、リノレン酸対全18炭素多価不飽和脂肪酸の比が0.39未満である、ペットフード組成物についての健康上の利益を評価するために、さらなる組成物を調製した。表5は、組成物を要約したものである。
【表5】
実施例4
【0054】
実施例3からの給餌試験の結果を表6に示す。
【表6】
【0055】
本発明は、本発明の完全な開示を行う目的でかなり詳細に記載されている幾つかの実施形態を参照しながら記述されているが、こうした実施形態は単に例示的であり、本発明のすべての態様の網羅的な列挙を限定または代表することを意図していない。本発明の範囲は、本明細書に添付される特許請求の範囲から決定されるべきである。さらに、本発明の精神および原理から逸脱することなく、こうした詳細において数多くの変更がなされうることが当業者に明白であろう。
実施例5
【0056】
食品組成物1および2の効果をさらに評価するために、イヌの糞便についてマイクロバイオームシーケンシングを実施した。具体的には、イヌからの糞便試料を、排便後30分以内に収集し、均質化し、2mlのクライオバイアルに分割し、液体窒素で瞬間凍結した後、さらなる処理のために70℃で保存した。糞便試料を、MoBio PowerFecal DNA抽出キット(QIAGENから市販)を改造して使用して、凍結試料から全DNAを抽出することによって、マイクロバイオームシーケンシングについて分析した。その後、16s rDNAアンプリコンを、PCRと、V3およびV4超可変領域にわたるプライマーセットとを使用して、全DNA試料から作成した。次いで、アンプリコンを、2100 Bioanalyzer(AGILENT製)を使用して定性的に分析した。
【0057】
インデックスPCRを行い、続いて、製造業者の指示に従って、改造し、ライブラリの定量化、正規化、および試料のプールを行った。最終的にプールされた試料ライブラリをMiSeq v3試料充填カートリッジキットに充填し、カートリッジをMiSeqシークエンサー内に配置して、アンプリコンのシークエンシングを行った(カートリッジキットおよびシークエンサー装置はILLUMINAから入手可)。試料配列を、MiSeqに搭載された「メタゲノミクス」ワークフローを使用してデマルチプレクスして、FASTQファイルを得た。FASTQファイルを、MOTHURソフトウェアを使用して処理し、Greengenesデータベースを使用して配列読み取り値を分類し、その後にカスタム変更を行った。
【0058】
マイクロバイオーム解析については、門、科、および属レベルでの存在量データを、データセットの出現率(>50%)および試料当たりの保持された読み取り値の割合(>99.0%)に基づいてフィルタリングした。データセットのフィルタリング後、計数データを有心対数比(CLR)値に変換して、ALDEx2 Rパッケージを使用した適切な統計解析を可能にした。多様性の尺度を、シャノン指数として評価し、属レベルでフィルタリングされていないデータを使用して、豊富さおよび均等度を計算した。クロスオーバーデザイン試験として、固定効果として食物タイプを、および変量効果として動物同定を使用して、偽発見率(FDR)補正P値を用いて、混合モデル解析を実施した。結果として減少したモデルP値は、ベンジャミニ‐ホックバーグ補正を用いてFDR調整した。テューキーの事後検定を使用して、各分析物に対する食餌タイプ間での対差異を評価した。
【0059】
糞便マイクロバイオーム解析に基づいて、組成物1および2は、対照食物よりも、バクテロイデス門およびフソバクテリウム門の有意な増加を示した。さらに、バクテロイデス門対ファーミキューテス門(B:F)の比は、対照食物と比較して、組成物1および2で、より大きかった(表7を参照)。それに反して、組成物1および2は、対照食物と比較してファーミキューテス門の存在量を大幅に減少させた。
【表7】
【0060】
対照食物を与えられるイヌと比較して、組成物1および2を与えられるイヌについて、バクテロイデス門、特にバクテロイデス科(表8を参照)、およびバクテロイデス属(表9を参照)の増加に一貫性があった。バクテロイデス属と宿主のイヌとの相互作用は、バクテロイデス属の種由来の莢膜多糖類成分によって媒介される免疫系を補正すると考えられる。さらに、B:F比を増加させることは、イヌなどの動物における体重減少を促進または補助しうると考えられる。
【表8】

【表9】
【0061】
同様に、フソバクテリウム門、フソバクテリア科、およびフソバクテリウム属は、対照食物と比較して組成物1および2によって有意に増加した(表7、表8、および表9を参照)。フソバクテリウム門は、イヌで豊富であり、一般的にイヌの痩せと関連していると考えられる。フソバクテリウム門の存在量がより多いことは、一般に、結腸がんとの関連から、ヒトにおいては有害であるとみなされる。それに反して、フソバクテリウム門はイヌの健康維持に欠くことのできない役割を持つ。例えば、フソバクテリウム門は一般的に、イヌの胃腸疾患を減少させると考えられる。さらに、対照食物を与えられるイヌと比較して、組成物1または2を与えられるイヌでは、微生物の多様性および均等度が有意に改善された(表10を参照)。
【表10】
実施例6
【0062】
糞便の短鎖脂肪酸(SCFA)を、METABOLON INC.によって分析した。クロスオーバーデザイン試験として、固定効果として食物タイプを、および変量効果として動物同定を使用して、偽発見率(FDR)補正P値を用いて、混合モデル解析を実施した。結果として減少したモデルP値は、ベンジャミニ‐ホックバーグ補正を用いてFDR調整した。テューキーの事後検定を使用して、各分析物に対する食餌タイプ間での対差異を評価した。
【0063】
分岐鎖脂肪酸は一般的に、基質として分岐アミノ酸を使用して細菌によって産生され、有害な腐敗の指標である。糞便の分岐鎖脂肪酸(イソ吉草酸および2-メチル酪酸)レベルは、対照食物と比較して、組成物1および2によって有意に減少した(表11を参照)。さらに、組成物1および2を与えられるイヌは、対照食物を与えられるイヌと比較して、直鎖脂肪酸(酢酸塩、プロピオン酸塩、酪酸塩)の有意な増加があった。糞便の短鎖脂肪酸データは、組成物1および2が有害な分岐鎖脂肪酸を減少させ、有益な直鎖脂肪酸の産生を増加させたことを示唆する。
【表11】
【0064】
全体的に、組成物1および2は、有益な細菌の存在量、多様性、均等度、B:F比を増加させかつ直鎖脂肪酸などのポストバイオティクスを増加させることによって、腸内マイクロバイオームを有意に改善した。さらに、組成物1および2は、体重減少期間中に、分岐鎖脂肪酸を減少させて、全体的な腸の健康を改善した。
【手続補正書】
【提出日】2023-04-14
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ペットフード組成物であって、
約0.5~20重量%の量で存在する可溶性繊維と、
リノレン酸を含む一つ以上の脂肪酸と、を含み、すべての重量割合が前記ペットフード組成物に基づく、ペットフード組成物。
【請求項2】
前記一つ以上の脂肪酸が植物源に由来し、前記一つ以上の脂肪酸が、亜麻仁、藻類、アボカド、麻の実、カボチャの種、ヒマワリの種、クルミ、大豆、またはそれらの組み合わせから得られる、請求項1に記載のペットフード組成物。
【請求項3】
前記一つ以上の脂肪酸が、10~50個の全炭素原子、または任意で10~40個の全炭素原子、または任意で10~30個の全炭素原子を有する脂肪酸から選択される、請求項1または2に記載のペットフード組成物。
【請求項4】
メガ3、オメガ6、ステアリン酸、アラキジン酸、オレイン酸、ステアリドン酸、エイコサペンタエン酸、リノレライジン酸 セルボン酸、ドコサテトラエン酸、パルミトレイン酸、バクセン酸、パウリン酸、エライジン酸、ゴンド酸、エルカ酸、ネルボン酸、ミード酸、およびそれらの組み合わせから選択される少なくとも一つの脂肪酸をさらに含む、請求項1~のいずれか一項に記載のペットフード組成物。
【請求項5】
前記ペットフード組成物が、約0.3~約1のリノレン酸対脂肪酸重量比を有する、請求項1~のいずれか一項に記載のペットフード組成物。
【請求項6】
前記ペットフード組成物が、約0.3~約1のリノレン酸対全18炭素多価不飽和脂肪酸重量比を有する、請求項1~のいずれか一項に記載のペットフード組成物。
【請求項7】
前記可溶性繊維が、約2重量%~約7重量%または約3~約5重量%の量で存在する、請求項1~のいずれか一項に記載のペットフード組成物。
【請求項8】
前記ペットフード組成物が、約10:1~約1:10または約7:1~約1:5の可溶性繊維対脂肪酸重量比を有する、請求項1~のいずれか一項に記載のペットフード組成物。
【請求項9】
リノレン酸対全18炭素多価不飽和脂肪酸の前記比が0.3~約0.8である、請求項6~8のいずれか一項に記載のペットフード組成物。
【請求項10】
全食物繊維が、20重量%未満、約10~約20重量%、約10~約18重量%、または約15~約18重量%の量で存在する、請求項1~のいずれか一項に記載のペットフード組成物。
【請求項11】
水分が、約5重量%~約15重量%、約8重量%~約13重量%、または約9重量%~約11重量%の量で存在する、請求項1~10のいずれか一項に記載のペットフード組成物。
【請求項12】
前記組成物が、約25重量%~約40重量%、約30重量%~約40重量%、または約30重量%~約35重量%の量で存在するタンパク質をさらに含む、請求項1~11のいずれか一項に記載のペットフード組成物。
【請求項13】
前記組成物が、約7重量%の量の亜麻仁と、約4.4重量%の量のライ麦の実と、を含む、請求項1~12のいずれか一項に記載のペットフード組成物。
【請求項14】
前記組成物がキブルである、請求項1~13のいずれか一項に記載のペットフード組成物。
【請求項15】
コンパニオンアニマルにおいて肥満の症状を治療、予防、もしくは改善するまたはコンパニオンアニマルの除脂肪量を増加するための方法であって、有効量の請求項1~14のいずれか一項に記載のペットフード組成物を、それを必要とする前記コンパニオンアニマルに給餌することを含む、方法。
【国際調査報告】