(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-11-02
(54)【発明の名称】血管アクセスキット
(51)【国際特許分類】
A61M 25/09 20060101AFI20231026BHJP
A61M 25/092 20060101ALI20231026BHJP
【FI】
A61M25/09 516
A61M25/092 500
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023523198
(86)(22)【出願日】2021-04-14
(85)【翻訳文提出日】2023-06-14
(86)【国際出願番号】 US2021027280
(87)【国際公開番号】W WO2022081201
(87)【国際公開日】2022-04-21
(31)【優先権主張番号】PCT/US2020/055991
(32)【優先日】2020-10-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522135673
【氏名又は名称】エンブレイス メディカル エルティーディー.
(74)【代理人】
【識別番号】110003797
【氏名又は名称】弁理士法人清原国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】タル,ミカエル ガブリエル
【テーマコード(参考)】
4C267
【Fターム(参考)】
4C267AA21
4C267AA28
4C267BB02
4C267BB12
4C267BB16
4C267BB26
4C267BB40
4C267CC08
4C267FF03
4C267GG24
4C267HH08
(57)【要約】
ガイドワイヤおよび針を含む血管アクセスキット。ガイドワイヤは、ガイドワイヤ先端区域で終わる弾性の芯部材を含む。ガイドワイヤ先端区域は、拡幅部と、拡幅部まで遠位方向に延在するガイドワイヤ先端後方部分と、拡幅部から遠位方向に延在するガイドワイヤ先端前方部分とを含む。針は、ガイドワイヤ先端前方部分よりも長い斜角開口部を含む。ガイドワイヤ先端後方部分は、芯部材が軸方向に圧縮されたときに、ガイドワイヤ先端前方部分をガイドワイヤ先端後方部分に対して傾斜させるための局所的な座屈および/または屈曲を起こすように構成された関節屈曲部分を含む。
【選択図】
図6B
【特許請求の範囲】
【請求項1】
血管アクセスキットであって、
拡幅部と、前記拡幅部まで遠位方向に延在するガイドワイヤ先端後方部分と、前記拡幅部から遠位方向に延在する、前記ガイドワイヤ先端後方部分よりも厚肉なガイドワイヤ先端前方部分とを含む、ガイドワイヤ先端区分で終わる弾性の芯部材を含むガイドワイヤと、
前記ガイドワイヤ先端前方部分よりも長い斜角開口部を含む針とを含み、
前記ガイドワイヤ先端後方部分は、前記芯部材が軸方向に圧縮されたときに、前記ガイドワイヤ先端前方部分を前記ガイドワイヤ先端後方部分に対して傾斜させるための局所的な座屈および/または屈曲を起こすように構成された関節屈曲部分を含む、
血管アクセスキット。
【請求項2】
前記芯部材が、第1の狭幅部まで遠位方向に延在するガイドワイヤ近位区分と、前記第1の狭幅部から第2の狭幅部まで遠位方向に延在する、前記ガイドワイヤ近位区分よりも薄肉なガイドワイヤ中間区分と、前記第2の狭幅部から遠位方向に延在する前記ガイドワイヤ先端区分とを含む、請求項1に記載の血管アクセスキット。
【請求項3】
前記斜角開口部は、前記ガイドワイヤ先端前方部分の少なくとも2倍の長さである、請求項1に記載の血管アクセスキット。
【請求項4】
前記ガイドワイヤ先端後方部分および前記ガイドワイヤ先端前方部分の全長が10mm未満である、請求項1に記載の血管アクセスキット。
【請求項5】
前記ガイドワイヤ先端後方部分は、長さが少なくとも2mmである、請求項1に記載の血管アクセスキット。
【請求項6】
前記ガイドワイヤ先端前方部分は、長さが約1.5mm以下である、請求項1に記載の血管アクセスキット。
【請求項7】
前記ガイドワイヤ先端後方部分は、直径が約0.15mm以下である、請求項1に記載の血管アクセスキット。
【請求項8】
前記関節屈曲部分は、長さが約0.5mm以下である、請求項1に記載の血管アクセスキット。
【請求項9】
前記関節屈曲部分は、前記ガイドワイヤの遠位端から5mm以下離隔している、請求項1に記載の血管アクセスキット。
【請求項10】
前記関節屈曲部分は、前記ガイドワイヤ先端前方部分から1mm以下離隔している、請求項1に記載の血管アクセスキット。
【請求項11】
前記関節屈曲部分は、そのモーメントの停止時に、前記ガイドワイヤ先端前方部分の前記ガイドワイヤ先端後方部分との自己整列に作用するために構成された弾性特性を有する、請求項1に記載の血管アクセスキット。
【請求項12】
前記関節屈曲部分は、そのモーメントの停止時に、残留曲げ応力に作用するために構成された可塑特性を有する、請求項1に記載の血管アクセスキット。
【請求項13】
前記関節屈曲部分は、湾曲した長さ部分を含み、これに沿って、前記芯部材は、前記湾曲した長さ部分に近位および遠位方向に隣接する前記芯部材の真っ直ぐに並んだ部分に対して横方向に固定的に偏位する、請求項1に記載の血管アクセスキット。
【請求項14】
前記関節屈曲部分は、前記湾曲した長さ部分に近位および遠位方向に隣接する前記芯部材の前記真っ直ぐに並んだ部分よりも小さな、座屈および/または屈曲に対する抵抗で構成されている、請求項13に記載の血管アクセスキット。
【請求項15】
前記芯部材は、前記湾曲した長さ部分に沿って少なくとも1つの軸方向に偏位する、請求項13に記載の血管アクセスキット。
【請求項16】
前記芯部材は、前記湾曲した長さ部分に沿ってコイルを形成する、請求項13に記載の血管アクセスキット。
【請求項17】
前記関節屈曲部分は、少なくとも1つの局所的な側面陥凹部を含む、請求項1に記載の血管アクセスキット。
【請求項18】
前記芯部材は、前記ガイドワイヤ中間区分および前記ガイドワイヤ先端後方部分に沿って、少なくとも部分的に円筒形のコイル状部材で覆われている、請求項2に記載の血管アクセスキット。
【請求項19】
前記コイル状部材は、前記ガイドワイヤ中間区分および前記ガイドワイヤ先端前方部分に沿ったコイルピッチよりも大きな、前記ガイドワイヤ先端後方部分に沿ったコイルピッチで構成されている、請求項18に記載の血管アクセスキット。
【請求項20】
前記コイル状部材は、前記ガイドワイヤ先端後方部分の他の部分よりもむしろ前記関節屈曲部分に沿って、大きなコイルピッチで構成されている、請求項18に記載の血管アクセスキット。
【請求項21】
請求項2に記載の前記血管アクセスキットの前記ガイドワイヤを製造する方法であって、該方法は、
あらかじめ機械加工されたワイヤ上に、前記第1の狭幅部と、前記第2の狭幅部と、前記ガイドワイヤ先端後方部分と、前記拡幅部とを形成する工程と、
前記ガイドワイヤ先端後方部分の真っ直ぐに並んだ長さ部分を固定的に変化させて、前記関節屈曲部分を形成する工程と
を含む、方法。
【請求項22】
前記形成する工程が、前記あらかじめ機械加工されたワイヤを研削することを含む、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
前記固定的に変化させる工程が、前記真っ直ぐに並んだ長さ部分を、湾曲した長さ部分に固定的に変形させることを含み、これに沿って、前記芯部材は、前記湾曲した長さ部分に近位および遠位方向に隣接する前記芯部材の真っ直ぐに並んだ部分に対して、横方向に固定的に偏位する、請求項21に記載の方法。
【請求項24】
前記固定的に変化させる工程は、減法製造として、前記真っ直ぐに並んだ長さ部分から少なくとも1つの側面陥凹部またはスリットを形成することを含む、請求項21に記載の方法。
【請求項25】
前記第1の狭幅部と前記芯部材の前記拡幅部との間に円筒形のコイル状部材を接続する工程を含む、請求項21に記載の方法。
【請求項26】
前記コイル状部材は、その選択された長さに沿った第1のコイルピッチと、その残りの長さに沿った、前記第1のコイルピッチよりも小さい第2のコイルピッチとで構成され、前記接続する工程は、前記第1のコイルピッチを有する選択されたコイル状部材の長さ部分で前記関節屈曲部分を囲む、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
アクセス針を介して血管内に血管アクセスを形成するためのデバイスであって、該デバイスが、
第1の狭幅部まで遠位方向に延在するガイドワイヤ近位区分と、前記第1の狭幅部から第2の狭幅部まで遠位方向に延在する、前記ガイドワイヤ近位区分よりも薄肉なガイドワイヤ中間区分と、前記第2の狭幅部から拡幅部まで遠位方向に延在する、前記ガイドワイヤ中間区分よりも薄肉なガイドワイヤ先端後方部分と、前記拡幅部から遠位方向に延在する、前記ガイドワイヤ先端後方部分よりも厚肉なガイドワイヤ先端前方部分とを含む弾性の芯部材と、
前記芯部材の、前記第1の狭幅部と前記拡幅部との間で延在する円筒形のコイル状部材とを含み、
前記先端後方部分は、前記芯部材が軸方向に圧縮されたときに、前記先端前方部分を前記先端後方部分に対して傾斜させるための局所的な座屈および/または屈曲に作用するように構成された関節屈曲部分を含んでおり、前記コイル状部材は、前記関節屈曲部分を囲む、その選択された長さに沿った第1のコイルピッチと、前記コイル状部材の残りの長さに沿った、前記第1のコイルピッチよりも小さい第2のコイルピッチとで構成された、
デバイス。
【請求項28】
前記関節屈曲部分は、湾曲した長さ部分を含み、これに沿って、前記芯部材は、前記湾曲した長さ部分に近位および遠位方向に隣接する前記芯部材の真っ直ぐに並んだ部分に対して横方向に固定的に偏位する、請求項27に記載のデバイス。
【請求項29】
請求項1に記載の血管アクセスキットを使用して血管アクセスを形成する方法であって、該方法が、
前記斜角開口部を用いて血管に貫入する工程と、
前記ガイドワイヤ先端前方部分と前記関節屈曲部分とを前記斜角開口部内に配置する工程と、
前記ガイドワイヤ先端前方部分が前記ガイドワイヤ先端後方部分に対して傾斜するまで、前記関節屈曲部分に局所的な座屈および/または屈曲を引き起こすのに十分なモーメントが発生するまで前記ガイドワイヤ先端前方部分を、前記斜角開口部を介して前記血管の壁に押し付ける工程と、
前記血管内で、前記ガイドワイヤを遠位方向に進行させる工程と、
前記ガイドワイヤ先端前方部分を後方に関節屈曲させ、および/または前記ガイドワイヤ先端後方部分と再度整列させる工程と
を含む、方法。
【請求項30】
前記関節屈曲部分は、湾曲した長さ部分を含み、これに沿って、前記芯部材は、前記湾曲した長さ部分に近位および遠位方向に隣接する前記芯部材の真っ直ぐに並んだ部分に対して横方向に固定的に偏位し、前記モーメントは、前記湾曲した長さ部分と、前記湾曲した長さ部分に近位および/または遠位方向に隣接する前記芯部材の前記真っ直ぐに並んだ部分とにそれぞれ働く、導出された対向する力として発生する、請求項29に記載の方法。
【請求項31】
前記斜角開口部の長さ部分は、前記血管の前記壁内で延在する、請求項29に記載の方法。
【請求項32】
前記配置する工程が、前記針を、前記針と前記血管との間で60度から90度の角度に向けることを含む、請求項29に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、そのいくつかの実施形態において、血管にアクセスするためのデバイスおよび方法に関し、より具体的には、ガイドワイヤおよび/または血管アクセスキットに関するが、これに限定はされない。
【背景技術】
【0002】
セルディンガー(Seldinger)法は、現在、血管にアクセスするための好ましい手法とされており、この手法では、針が血管に貫入し、針先端が血管内にあることが確認されると、針を通じてガイドワイヤを挿入し、血管の所望の場所へと操縦し、その後、針を取り出し、指定された領域でガイドワイヤ上にカテーテルを位置付けることができる。
【0003】
セルディンガー法を使用する場合に、血管の意図せぬ穿孔または切開は、まれな失敗ではない。針先端が血管の中心線の近くに、かつそれに対して鋭角に配置されている場合、ガイドワイヤは、記載されているような不要な穿孔を引き起こすことなく、針先端から出てくるはずである。オペレータは、挿入した針を介して、針が正確に配置されていることに対する肯定的な指標と想定される返血を行ってもよいが、多くの場合、針先端が反対側の血管壁に近すぎるか、またはさらにそこに部分的に貫入しており、および/または、血管に対する針のアクセス角度が浅すぎる。しかし、ガイドワイヤは、針を通じて血管に強く押し込まれ、特に、このガイドワイヤは、針を通じて血管を進行することができるのに十分な押し込み性(pushability)を備えるように設計されているため、ガイドワイヤの先端は、血管壁を穿孔したり、および/または、血管壁層を切開したりする可能性がある。
【0004】
血管へのアクセスを形成する際に、血管壁を意図せずに突き刺す(例えば、穿孔および/または切開する)という問題は、特にその壁が薄肉かつ柔軟である静脈において顕著であり、それによって、オペレータは、針からの抵抗を一切感知することなく、意図せずに形成してしまった突き刺し口を通じて血管の外にガイドワイヤを進行させ続けてしまう場合がある。その反面、動脈において、血液が逆流してワイヤを進行させることができない状況は、より多く見られる。そのような場合、ワイヤ先端は、時として血管壁に直接押しつけられ、たとえ血管壁を突き刺さなくても、刺激を与えることで、アクセス合併症、特に血管閉塞によく見られる血管の萎縮を引き起こす可能性がある。
【0005】
この背景技術は、請求される主題の範囲を決定する際の補助となることを意図するものではなく、請求される主題を、上記の欠点または課題のうちのいずれかまたはすべてを解決する実装形態に限定するものとしてみなすことを意図するものでもないことに注意するべきである。この背景技術の欄にある技術、文献、または参考文献のいずれの考察も、記載されている題材が本明細書で請求される主題のいずれかに対する先行技術であることを認めるものとして解釈されるべきではない。
【発明の概要】
【0006】
本開示は、そのいくつかの実施形態において、血管にアクセスするためのデバイスおよび方法に関し、より具体的には、血管へのアクセスを形成する際に、血管壁への意図せぬ損傷を防止するように構成されたガイドワイヤおよび/または血管アクセスキットに関するが、これに限定はされない。
【0007】
特定の実施形態では、血管アクセスキットが提供される。キットは、拡幅部と、拡幅部まで遠位方向に延在するガイドワイヤ先端後方部分と、拡幅部から遠位方向に延在する、ガイドワイヤ先端後方部分よりも厚肉なガイドワイヤ先端前方部分とを含むガイドワイヤ先端区分で終わる弾性の芯部材を含むガイドワイヤと、ガイドワイヤ先端前方部分よりも長い斜角開口部を含む針とを含んでもよい。いくつかの実施形態では、ガイドワイヤ先端後方部分は、芯部材が軸方向に圧縮されたときに、ガイドワイヤ先端前方部分をガイドワイヤ先端後方部分に対して傾斜させるための局所的な座屈および/または屈曲を起こすように構成された関節屈曲部分を、斜角開口部内に含む。
【0008】
いくつかの実施形態では、芯部材は、第1の狭幅部まで遠位方向に延在するガイドワイヤ近位区分と、第1の狭幅部から第2の狭幅部まで遠位方向に延在する、ガイドワイヤ近位区分よりも薄肉なガイドワイヤ中間区分と、第2の狭幅部から遠位方向に延在するガイドワイヤ先端区分とを含む。
【0009】
いくつかの実施形態では、斜角開口部は、ガイドワイヤ先端前方部分の少なくとも2倍の長さである。
【0010】
いくつかの実施形態では、ガイドワイヤ先端後方部分およびガイドワイヤ先端前方部分の全長は、10mm未満である。
【0011】
いくつかの実施形態では、ガイドワイヤ先端後方部分の長さは少なくとも2mmである。
【0012】
いくつかの実施形態では、ガイドワイヤ先端前方部分の長さは約1.5mm以下である。
【0013】
いくつかの実施形態では、ガイドワイヤ先端後方部分の直径は約0.15mm以下である。
【0014】
いくつかの実施形態では、関節屈曲部分の長さは約0.5mm以下である。
【0015】
いくつかの実施形態では、関節屈曲部分は、ガイドワイヤの遠位端から5mm以下離隔している。
【0016】
いくつかの実施形態では、関節屈曲部分は、ガイドワイヤ先端前方部分から1mm以下離隔している。
【0017】
いくつかの実施形態では、関節屈曲部分は、そのモーメントの停止時に、ガイドワイヤ先端前方部分のガイドワイヤ先端後方部分との自己整列に作用するために構成された弾性特性を有する。
【0018】
いくつかの実施形態では、関節屈曲部分は、そのモーメントの停止時に、残留曲げ応力に作用するために構成された可塑特性を有する。
【0019】
いくつかの実施形態では、関節屈曲部分は、湾曲した長さ部分を含み、これに沿って、芯部材は、湾曲した長さ部分に近位および遠位方向に隣接する芯部材の真っ直ぐに並んだ部分に対して横方向に固定的に偏位する。
【0020】
いくつかの実施形態では、関節屈曲部分は、湾曲した長さ部分に近位および遠位方向に隣接する芯部材の真っ直ぐに並んだ部分よりも小さな、座屈および/または屈曲に対する抵抗で構成されている。
【0021】
いくつかの実施形態では、芯部材は湾曲した長さ部分に沿って少なくとも1つの軸方向に偏位する。
【0022】
いくつかの実施形態では、芯部材は、湾曲した長さ部分に沿ってコイルを形成する。
【0023】
いくつかの実施形態では、関節屈曲部分は、少なくとも1つの局所的な側面陥凹部を含む。
【0024】
いくつかの実施形態では、芯部材は、ガイドワイヤ中間区分およびガイドワイヤ先端後方部分に沿って、少なくとも部分的に円筒形のコイル状部材で覆われている。
【0025】
いくつかの実施形態では、コイル状部材は、ガイドワイヤ中間区分およびガイドワイヤ先端前方部分に沿ったコイルピッチよりも大きな、ガイドワイヤ先端後方部分に沿ったコイルピッチで構成される。
【0026】
いくつかの実施形態では、コイル状部材は、ガイドワイヤ先端後方部分の他の部分よりもむしろ関節屈曲部分に沿って、大きなコイルピッチで構成される。
【0027】
特定の実施形態では、キットのガイドワイヤを製造する方法が提供される。該方法は、あらかじめ機械加工されたワイヤ上に、第1の狭幅部、第2の狭幅部、ガイドワイヤ先端後方部分、および拡幅部を形成する工程と、ガイドワイヤ先端後方部分の真っ直ぐに並んだ長さ部分を固定的に変化させて、関節屈曲部分を形成する工程とを含み得る。
【0028】
いくつかの実施形態では、形成する工程は、あらかじめ機械加工されたワイヤを研削することを含む。
【0029】
いくつかの実施形態では、固定的に変化させる工程は、直線的に並んだ長さ部分を、湾曲した長さ部分に固定的に変形させることを含み、これに沿って、芯部材は、湾曲した長さ部分に近位および遠位方向に隣接する芯部材の真っ直ぐに並んだ部分に対して、横方向に固定的に偏位する。
【0030】
いくつかの実施形態では、固定的に変化させる工程は、減法製造として、真っ直ぐに並んだ長さ部分から少なくとも1つの側面陥凹部またはスリットを形成することを含む。
【0031】
いくつかの実施形態では、上記方法は、芯部材の第1の狭幅部と拡幅部との間に円筒形のコイル状部材を接続する工程を含む。
【0032】
いくつかの実施形態では、コイル状部材は、その選択された長さに沿った第1のコイルピッチと、その残りの長さに沿った第1のコイルピッチよりも小さい第2のコイルピッチとで構成され、接続する工程は、第1のコイルピッチを有する選択されたコイル状部材の長さ部分で関節屈曲部分を囲むことを含む。
【0033】
特定の実施形態では、アクセス針を介して血管内に血管アクセスを形成するためのデバイスが提供される。該デバイスは、第1の狭幅部まで遠位方向に延在するガイドワイヤ近位区分と、第1の狭幅部から第2の狭幅部まで遠位方向に延在する、ガイドワイヤ近位区分よりも薄肉なガイドワイヤ中間区分と、第2の狭幅部から拡幅部まで遠位方向に延在する、ガイドワイヤ中間区分よりも薄肉なガイドワイヤ先端後方部分と、拡幅部から遠位方向に延在する、ガイドワイヤ先端後方部分よりも厚肉なガイドワイヤ先端前方部分とを含む弾性の芯部材と、芯部材の第1の狭幅部と拡幅部との間に延在する円筒形のコイル状部材とを含み得る。
【0034】
いくつかの実施形態では、先端後方部分は、芯部材が軸方向に圧縮されたときに、先端前方部分を先端後方部分に対して傾斜させるための局所的な座屈および/または屈曲に作用するように構成された関節屈曲部分を含む。
【0035】
いくつかの実施形態では、コイル状部材は、関節屈曲部分を囲むその選択された長さに沿った第1のコイルピッチと、コイル状部材の残りの長さに沿った第1のコイルピッチよりも小さい第2のコイルピッチとで構成される。
【0036】
いくつかの実施形態では、関節屈曲部分は、湾曲した長さ部分を含み、これに沿って、芯部材は、湾曲した長さ部分に近位および遠位方向に隣接する芯部材の真っ直ぐに並んだ部分に対して横方向に固定的に偏位する。
【0037】
特定の実施形態では、キットを使用して、血管アクセスを形成する方法が提供される。該方法は、斜角開口部を用いて血管に貫入する工程と、斜角開口部内にガイドワイヤ先端前方部分および関節屈曲部分を配置する工程と、ガイドワイヤ先端前方部分がガイドワイヤ先端後方部分に対して傾斜するまで、関節屈曲部分に局所的な座屈および/または屈曲を引き起こすのに十分なモーメントが発生するまでガイドワイヤ先端前方部分を、斜角開口部を介して血管の壁に押し付ける工程と、血管内でガイドワイヤを遠位方向に進行させる工程と、ガイドワイヤ先端前方部分を後方に屈曲させ、および/または、ガイドワイヤ先端後方部分と再度整列させる工程とを含み得る。
【0038】
いくつかの実施形態では、関節屈曲部分は、湾曲した長さ部分を含み、これに沿って、芯部材は、湾曲した長さ部分に近位および遠位方向に隣接する芯部材の真っ直ぐに並んだ部分に対して横方向に固定的に偏位し、かつ、モーメントは、湾曲した長さ部分と、湾曲した長さ部分に近位および/または遠位方向に隣接する芯部材の真っ直ぐに並んだ部分とにそれぞれ働く、導出された対向する力として発生する。
【0039】
いくつかの実施形態では、斜角開口部の長さ部分は血管の壁内で延在する。
【0040】
本明細書で使用されるすべての技術的または/および科学的単語、用語、または/および句は、本明細書に別段明確に定義または記述されない限り、本開示が属する技術分野の当業者によって通常理解されるものと同一か、あるいは同様の意味を有する。矛盾が生じた場合、定義を含め、本特許明細書が優先される。
【0041】
主題となる技術の様々な構成は、主題となる技術の様々な構成が例示として示され、かつ説明されている本開示から当業者にとって明らかになるであろうことが理解されよう。認識されるであろうが、主題となる技術は、他の構成および異なる構成をとることができ、そのいくつかの詳細は、様々なその他の観点において、すべてが主題となる技術の範囲から逸脱することなく変更することができる。したがって、概要、図面および詳細な説明は、その本質において例示とみなされるべきであって、限定的なものとはみなされるべきではない。
【図面の簡単な説明】
【0042】
本開示のいくつかの実施形態は、単なる例として、添付の図面を参照して本明細書に記載されている。ここで特定の図面を詳細に具体的に参照すると、図示した細部は、例示としてのものであり、本開示のいくつかの実施形態の例示的な説明を目的とするものであることが強調される。これに関して、本開示のいくつかの実施形態がどのように実践され得るのかは、添付の図面とともになされる詳細な説明から、当業者には明らかになる。
【0043】
【
図1A】
図1A~
図1Cは、先行技術のガイドワイヤの側面図(
図1A)と、従来のセルディンガー法を使用して血管に送り込まれたガイドワイヤの断面側面図(
図1B~
図1C)とを概略的に示している。
【
図1B】
図1A~
図1Cは、先行技術のガイドワイヤの側面図(
図1A)と、従来のセルディンガー法を使用して血管に送り込まれたガイドワイヤの断面側面図(
図1B~
図1C)とを概略的に示している。
【
図1C】
図1A~
図1Cは、先行技術のガイドワイヤの側面図(
図1A)と、従来のセルディンガー法を使用して血管に送り込まれたガイドワイヤの断面側面図(
図1B~
図1C)とを概略的に示している。
【
図2A】
図2A~
図2Cは、いくつかの実施形態に従って、弾性関節運動可能な先端部分を備える例示的なガイドワイヤのいくつかの図を概略的に示している。
【
図2B】
図2A~
図2Cは、いくつかの実施形態に従って、弾性関節運動可能な先端部分を備える例示的なガイドワイヤのいくつかの図を概略的に示している。
【
図2C】
図2A~
図2Cは、いくつかの実施形態に従って、弾性関節運動可能な先端部分を備える例示的なガイドワイヤのいくつかの図を概略的に示している。
【
図3A】
図3A~
図3Eは、いくつかの実施形態に従って、例示的な血管アクセス法を使用して
図2の例示的なガイドワイヤを送り込むための方法の実施にあたって考えられるシナリオを表したいくつかの図を概略的に示している。
【
図3B】
図3A~
図3Eは、いくつかの実施形態に従って、例示的な血管アクセス法を使用して
図2の例示的なガイドワイヤを送り込むための方法の実施にあたって考えられるシナリオを表したいくつかの図を概略的に示している。
【
図3C】
図3A~
図3Eは、いくつかの実施形態に従って、例示的な血管アクセス法を使用して
図2の例示的なガイドワイヤを送り込むための方法の実施にあたって考えられるシナリオを表したいくつかの図を概略的に示している。
【
図3D】
図3A~
図3Eは、いくつかの実施形態に従って、例示的な血管アクセス法を使用して
図2の例示的なガイドワイヤを送り込むための方法の実施にあたって考えられるシナリオを表したいくつかの図を概略的に示している。
【
図3E】
図3A~
図3Eは、いくつかの実施形態に従って、例示的な血管アクセス法を使用して
図2の例示的なガイドワイヤを送り込むための方法の実施にあたって考えられるシナリオを表したいくつかの図を概略的に示している。
【
図4A】
図4A~
図4Eは、いくつかの実施形態に従って、例示的な血管アクセス法を使用して
図2の例示的なガイドワイヤを送り込むための方法の実施にあたって考えられる他のシナリオを表したいくつかの図を概略的に示している。
【
図4B】
図4A~
図4Eは、いくつかの実施形態に従って、例示的な血管アクセス法を使用して
図2の例示的なガイドワイヤを送り込むための方法の実施にあたって考えられる他のシナリオを表したいくつかの図を概略的に示している。
【
図4C】
図4A~
図4Eは、いくつかの実施形態に従って、例示的な血管アクセス法を使用して
図2の例示的なガイドワイヤを送り込むための方法の実施にあたって考えられる他のシナリオを表したいくつかの図を概略的に示している。
【
図4D】
図4A~
図4Eは、いくつかの実施形態に従って、例示的な血管アクセス法を使用して
図2の例示的なガイドワイヤを送り込むための方法の実施にあたって考えられる他のシナリオを表したいくつかの図を概略的に示している。
【
図4E】
図4A~
図4Eは、いくつかの実施形態に従って、例示的な血管アクセス法を使用して
図2の例示的なガイドワイヤを送り込むための方法の実施にあたって考えられる他のシナリオを表したいくつかの図を概略的に示している。
【
図5A】
図5A~
図5Bは、いくつかの実施形態に従って、例示的なガイドワイヤの側面図、およびその前方長さ部分の断面側面図をそれぞれ示している。
【
図5B】
図5A~
図5Bは、いくつかの実施形態に従って、例示的なガイドワイヤの側面図、およびその前方長さ部分の断面側面図をそれぞれ示している。
【
図6A】
図6Aは、いくつかの実施形態に従って、
図5Aに示した例示的な針およびガイドワイヤを備える例示的な静脈内アクセスキットを示している。
【
図6B】
図6Bは、いくつかの実施形態に従って、例示的な展開における、
図6Aに示した静脈内キットの断面側面部分図を示している。
【
図7A】
図7A~
図7Cは、いくつかの実施形態に従って、
図6Aのキットを使用して静脈内アクセスを形成する方法の実施にあたって考えられるシナリオを表したいくつかの図を概略的に示している。
【
図7B】
図7A~
図7Cは、いくつかの実施形態に従って、
図6Aのキットを使用して静脈内アクセスを形成する方法の実施にあたって考えられるシナリオを表したいくつかの図を概略的に示している。
【
図7C】
図7A~
図7Cは、いくつかの実施形態に従って、
図6Aのキットを使用して静脈内アクセスを形成する方法の実施にあたって考えられるシナリオを表したいくつかの図を概略的に示している。
【
図8A】
図8A~
図8Fは、いくつかの実施形態に従って、異なる例示的な関節屈曲部分構成を有する例示的なガイドワイヤ芯部材の遠位部分の側面図をそれぞれ示している。
【
図8B】
図8A~
図8Fは、いくつかの実施形態に従って、異なる例示的な関節屈曲部分構成を有する例示的なガイドワイヤ芯部材の遠位部分の側面図をそれぞれ示している。
【
図8C】
図8A~
図8Fは、いくつかの実施形態に従って、異なる例示的な関節屈曲部分構成を有する例示的なガイドワイヤ芯部材の遠位部分の側面図をそれぞれ示している。
【
図8D】
図8A~
図8Fは、いくつかの実施形態に従って、異なる例示的な関節屈曲部分構成を有する例示的なガイドワイヤ芯部材の遠位部分の側面図をそれぞれ示している。
【
図8E】
図8A~
図8Fは、いくつかの実施形態に従って、異なる例示的な関節屈曲部分構成を有する例示的なガイドワイヤ芯部材の遠位部分の側面図をそれぞれ示している。
【
図8F】
図8A~
図8Fは、いくつかの実施形態に従って、異なる例示的な関節屈曲部分構成を有する例示的なガイドワイヤ芯部材の遠位部分の側面図をそれぞれ示している。
【発明を実施するための形態】
【0044】
以下の説明および例は、開示されている本発明のいくつかの例示的な実装形態、実施形態、および構成を詳細に例示している。当業者であれば、本発明の範囲に包含される本発明の多数の変形および変更が存在することを認識するであろう。したがって、特定の例示的な実施形態の説明は、本発明の範囲を限定するものとみなされるべきではない。
【0045】
本開示は、そのいくつかの実施形態において、血管にアクセスするためのデバイスおよび方法に関し、より具体的には、血管へのアクセスを形成する場合に、血管壁への意図せぬ損傷(例えば、穿孔)を防止するように構成されたガイドワイヤおよび/または血管アクセスキットに関するが、これに限定はされない。「ガイドワイヤ(guidewire)」(あるいは「ガイド・ワイヤ(guide wire)」)という用語は、シース、カニューレ、カテーテル、またはガイドワイヤ上の任意の他のデバイスを内腔または血管に通すなどによって、目的とする位置まで人工物を通すために、身体血管内において選択された経路を促進するために構成された任意の肉薄の部材を指す。いくつかの実施形態では、ガイドワイヤという単語は、任意選択で、例えば、患者の血管構造内でより深くまで人工物を送り込むために既定された別のガイドワイヤを挿入する前に、血管アクセスを形成する過程で使用される血管アクセスワイヤを含む。
【0046】
図1Aは、細長いガイドワイヤ本体(11)を有する、先行技術のガイドワイヤ(10)を概略的に示しており、これは、一般的な市販のガイドワイヤにおける場合と同様に、遠位区分(13)に隣接する近位区分(12)を含む。当該技術分野で知られているように、関節屈曲部分などを通してガイドワイヤを患者の血管構造内に押し込みやすくするめに、近位区分(12)およびその外径を形成している構造部材は、その長さに沿ってある点で(あるいはその全長に沿って徐々に)幅が狭くなっていてもよい。遠位区分(13)は、コイル状部材、または弾性塗料もしくは弾性マトリックスで覆われていてもよい。血管の内部に押し込まれたときに、その座屈を防止しながら、ガイドワイヤの遠位区分の柔軟性および操縦性を改善するために、この設計の概念が展開されたが、初期のガイドワイヤの血管へのアクセスに関する課題は解消されていなかった。
【0047】
従来のセルディンガー法の一部を表わす
図1B~
図1Cで示されているように、最初に針(20)は、その針先端(21)が反対側の血管壁OBWに近傍するように位置付けられるまで、血管BVに挿入される。その後、針(20)を介して、ガイドワイヤ(10)の遠位区分(13)が血管BVに導入される。関連刊行物において、遠位区分(13)は比較的柔軟性があるとみなされているが、針先端(21)に近傍する針(20)の斜角開口部(22)から出た、遠位区分(13)の初期突出長さ部分(15)は、関節屈曲するには短すぎるものであり、これは、
図1Cで示されているように、屈曲に対するその抵抗が、ガイドワイヤ(10)のその遠位端(16)によって突き刺されるのに対する血管壁OBWの抵抗よりも大きいからである。
【0048】
図2A~
図2Cは、経管的に血管に人工物を送り込むために構成された例示的なガイドワイヤ(30)のいくつかの図を概略的に示している。
図2Aで示されているように、ガイドワイヤ(30)は、中間区分(35)および先端区分(40)を含むガイドワイヤ遠位部分を有するガイドワイヤ本体(31)を含む。ガイドワイヤ中間区分(35)は、上記の先行技術のガイドワイヤの遠位区分の一部であり、これは、ガイドワイヤ近位区分と比べてより高い柔軟性および/または弾性を有する場合がある。
【0049】
先端区分(40)は、(
図3Bで示されているように)血管にアクセスするためのアクセス針(例えば、
図1Bで示されている針(20))を通じて出るように規定されるガイドワイヤ(30)の初期突出長さ部分(38)の長さを少なくとも有する全長を有し、任意選択で、先端区分(40)は、長さが初期突出長さ部分(38)の2倍から3倍である。先端区分(40)は、任意選択で、全長が約20mm以下であり、任意選択で、約10mm以下であり、任意選択で、約5mm以下であり、任意選択で、全長が約1mmと約4mmの間である。
【0050】
図2Bは、先端区分(40)の一部の拡大概略図である。先端区分(40)は、長手軸方向の圧縮時に、先端区分(40)と近傍にある、(関節屈曲部分(41)から近位方向に延在する)前方部分(42)と(関節屈曲部分(41)から遠位方向に延在する)後方部分(43)との、(
図2Cで示されているような)相対的な弾性関節運動を促進し、および/または、これを引き起こすように構成された関節屈曲部分(41)(例えば、点または領域)を含む。関節屈曲部分(41)の中心は、有利には、ガイドワイヤ遠位端(37)から約5mm以下であってもよく、任意選択で、具体的には約1mm以下であってもよい。関節運動は、例えば、1つの方向、複数の特定の方向、もしくは任意の方向に関節屈曲部分(41)を中心として、もしくはその中で屈曲、関節屈曲、または回動する形態であってもよい。関節屈曲部分(41)は、任意選択で、スリット、係合部、陥凹部、コイル状区分のうちの少なくとも1つ、またはそれらの任意の組み合わせを含む。あるいは、関節屈曲部分(41)は、熱処理および/もしくは化学処理などによって、先端区分(40)の他の部分と異なるように、またはこれらに加えて適当な状態にされてもよく、任意選択で、寸法(例えば、直径)の変化によって関節屈曲部分(41)に作用することなく、適当な状態にされてもよい。弾性関節運動は、関節屈曲(関節運動)力が途絶えるか、または特定の閾値よりも低下すると、近傍にある部分(42)および(43)、ならびに/もしくは関節屈曲部分(41)が復元して、かつ、応力なしで、あるいはは少ない応力で相対的な位置決めがなされることを意味する。任意選択で、先端区分(40)の前方部分(42)および後方部分(43)は通常、互いに並び、これは、弾性関節運動がなされて関節屈曲(関節運動)力が途絶えた後に、関節屈曲部分(41)の復元弾性関節運動によって発生した内部応力に起因して、関節屈曲部分(41)、ならびに/または前方部分(42)および後方部分(43)が、前方部分(42)と後方部分(43)とが相対的に並ぶところに向かって弾性復元する傾向があることを意味する。
【0051】
いくつかの実施形態では、関節屈曲部分(41)は、先端区分(40)の前方部分(42)および後方部分(43)よりも屈曲に対する抵抗が小さく、そこに屈曲力ないしモーメントを加えることによって、前方部分(42)は、任意選択で、実質的に関節屈曲しにないままであるか、あるいはガイドワイヤ本体(31)の残りの部分に対して真っすぐのままでさえある後方部分(43)対して関節運動(例えば回転)を行う。応力が加えられない場合は、先端区分(40)の前方部分(42)および後方部分(43)が、任意選択で、通常互いに並ぶか、またはそれらの間に名目上の位置決め角度αnomを形成し、これは、任意選択で、135°よりも大きく、任意選択で、具体的には150°よりも大きく、任意選択で、具体的には約180°である(すなわち、前方部分(42)および後方部分(43)は、通常、互いに真っすぐのものである)。前方部分(42)および後方部分(43)が名目上の相対的な位置決め、または応力が加えられていない相対的な位置決めからずれた場合は、任意選択で、関節屈曲部分(41)における屈曲に対する抵抗が増加する。いくつかの実施形態では、ガイドワイヤ(30)は、最大限許容される力Fmaxが加えられた場合に、前方部分(42)と後方部分(43)との間に最小限許容される関節角度αminを有するように構成され、および/または規定され、これは、任意選択で、90°よりも大きく、任意選択で、約150°と約90°の間であり、任意選択で、具体的には約135°と約95°の間である。
【0052】
いくつかの実施形態では、関節屈曲部分(41)における屈曲に対する(最小)抵抗は、先端区分(40)の近傍する部分(42)および(43)が並ぶ場合に、(例えば、
図3Bで示されるように)ガイドワイヤ(30)の遠位端を血管壁(静脈の内壁構造など)に押しつけたときに、先端区分(40)を血管壁に突き刺すのに十分な最小限の軸方向の力よりも小さく、抵抗は、関節運動の程度に伴って、徐々に増加する。この特徴は、血管にガイドワイヤ(30)を導入する間などに、宿主血管壁の意図せぬ穿孔を防止するのを助けるのに有利であるとみなされる可能性がある。
【0053】
任意選択でさらに、関節角度が、最小限許容される関節角度αminに近づくと、屈曲に対する抵抗が増加し、後方部分(43)を含む先端区分(40)の残りの非関節運動部分の座屈に対する抵抗よりも大きくなる。この特徴は、ガイドワイヤ(30)を血管にさらに押し込んだときに、先端区分(40)を血管壁やアクセス針から離れて前方に向けるのに有利であって、それによって、アクセス針の近位にある血管壁への損傷(例えば、切開)を防止するか、あるいは軽減するのをさらに助け、任意選択で、その前に血管壁を意図せず突き刺した後でさえ、これを助ける。
【0054】
いくつかの実施形態では、ガイドワイヤ(30)は、
図3Aで示されている針(60)などの少なくとも他の血管アクセス部材を含むキット内に設けられている。キットはまた、シースおよび/またはダイレータを含んでいてもよい。針(60)は、遠位にある針先端(61)に近傍する斜角開口部(62)を含む。針(60)およびガイドワイヤ(30)は、斜角開口部(62)が先端区分(40)の前方部分(42)と長さが同様であるように構成され、それによって、ガイドワイヤ本体が血管壁に押しつけられると、前方部分(42)は、遠位にある針先端(61)に対して軸方向に突出するのに伴って、関節屈曲部分(41)を中心に関節運動するように構成される。いくつかの実施形態では、斜角開口部(62)は、長さが前方部分(42)以上である。あるいは、斜角開口部(62)は、長さが前方部分(42)以上であり得る。
【0055】
次に、
図3A~
図3Eを参照するが、
図3A~
図3Eは、ガイドワイヤ(30)を送り込むための方法の実施にあたって考えられるシナリオを表したいくつかの図を概略的に示しており、これらは、任意選択で、例示的な血管アクセス法の一環としてのものである。いくつかの実施形態では、この血管アクセス法は、針(20)などの異なる種類のアクセス針を使用して適用できる。しかし、いくつかの例では、上記方法の結果を最大限にするために、および/または、血管壁を意図せず突き刺す可能性をさらに軽減するか、あるいは防止するために、針(60)を使用してこの例示的な手法を適用することがさらに有利である場合がある。
【0056】
最初に、針(60)は、針先端(61)が反対側の血管壁OBWに近傍するように位置付けられるまで血管BVに挿入される(
図3A)。その後、ガイドワイヤ(30)が針(60)に導入され、それによって、先端区分(40)が斜角開口部(62)を介して針先端(61)を越えて突出する(
図3B)が、場合によっては、そこに加えられる押付力、組織弾性、および圧縮に対する抵抗に応じた大きさで、反対側の血管壁OBWに小さな陥凹部または圧縮部を生じさせる。この段階で、関節屈曲部分(41)はすでに、針の斜角開口部(62)から少なくとも部分的に前方に(遠位方向に)突出している。
【0057】
図3Cは、血管BVにさらに押し込まれた後のガイドワイヤ(30)を示している。両方(先端区分(40)における長手軸方向の圧縮、および、反対側の血管壁OBWにおける圧縮に対する抵抗)が上昇すると、関節屈曲部分(41)に働くモーメントが最終的には、屈曲に対する初期抵抗を超え、それによって、図示されているように、前方部分(42)が後方部分(43)に対して関節運動する。
【0058】
血管壁に対するガイドワイヤ本体(31)の長手軸方向の圧縮が特定の閾値(任意選択で予め定められた閾値、または予め定められた範囲内)を超える場合、関節角度が名目上の位置決め角度α
nomと最小限許容される関節角度α
minとの間にあるとき、先端区分(40)は、ガイドワイヤ本体(31)の残りの部分に対して、関節屈曲部分(41)上に(近位方向に)座屈形状に座屈するように構成されている(
図3D)。先に記載されているように、座屈は、発生した圧縮力が血管壁OBWへ貫入するのに十分なものになる前に生じるように設定されている。先端区分(40)は、任意選択で、選択された、または予め定められた向きに座屈するように構成され、それによって、座屈形状にある先端区分(40)の頂点(44)は、ガイドワイヤ本体(31)および血管壁OBWから離れるように、血管BV内で前方を向いている。
【0059】
さらに、後方部分(42)が血管壁OBWに対して実質的に水平であり、その側面の長さの大部分またはその全長に沿ってそれに押しつけられた場合に、それを通じて血管壁OBWに加えられる圧力が減少する。そのため、関節運動した前方部分(42)は、反対側の血管壁OBWに向かうさらなる横進行に対してストッパとして有効に機能し、それによって、ガイドワイヤ本体(31)のより近位部分の、頂点(44)を越える前方向の進行に作用する。ガイドワイヤ(30)の血管BVへの前方向のさらなる進行に伴って、先端区分(40)は、任意選択で、(例えば、
図3Eで示されているように)前方に跳ね、血管輪郭に対してより真っすぐの形状を取り戻すことができる。
【0060】
図4A~
図4Eは、例示的な血管アクセス法を使用してガイドワイヤ(30)を送り込むための方法の実施にあたって考えられる他のシナリオを表したいくつかの図を概略的に示している。この一連のシナリオは、挿入後に血管壁を意図せずに突き刺した後の、ガイドワイヤ(30)の使用における起こり得る結果および/または考え得る利点に関するが、これは、ガイドワイヤがアクセス針から出るのに伴って、ガイドワイヤによる血管壁の初期突き刺しを引き起こす。例えば、ガイドワイヤ(30)および針(60)を含む専用キットを使用している場合と異なり、針(20)のような既製品の針を使用している場合に、このような出来事がより起こりやすい場合がある。
【0061】
示されているように、針(20)は、針先端(21)が意図せずに反対側の血管壁OBWを突き刺し(
図4A)、内部の血管壁層IWLの前に止まるまで血管BVに挿入される。その後、ガイドワイヤ(30)が針(20)に導入され、それによって、先端区分(40)は、内壁層IWLに達し、関節屈曲部分(41)が斜角開口部(22)に近傍するように位置するまで、関節屈曲部分(22)を介して針先端(21)を越えて突出する(
図4B)。このような段階で、関節屈曲部分(41)が自由に前方部分(42)を関節運動させられる場合、針の先端区分(40)のさらなる進行に対する抵抗は増加して、
図4Cで示されているように、後方部分(43)、ガイドワイヤ(30)の残りの部分および針(20)を含む他の部材すべてに対して、前方部分(42)を関節運動させる。
【0062】
関節角度が名目上の位置決め角度α
nomと最小限許容される関節角度α
minとの間にある場合、先端区分(40)は、ガイドワイヤ本体(31)の残りの部分に対して、関節屈曲部分(41)上で(近位方向に)座屈形状に座屈するように構成される(
図4D)。ガイドワイヤ先端区分(40)は、座屈が、内壁層IWLを通じて反対側の血管壁OBWをさらに突き刺すのに十分な軸方向の力に達する前に起こるように設定されるように構成される。先端区分(40)は、任意選択で、選択された、または予め定められた向きに座屈するように構成され、それによって、座屈形状にある先端区分(40)の頂点(44)は、ガイドワイヤ本体(31)および血管壁OBWから離れるように、血管BV内で前方を向く。
【0063】
さらに、後方部分(42)が内壁層IWLに対して実質的に水平であり、その側面の長さの大部分またはその全長に沿ってそれに押しつけられた場合、それを通じて内壁層IWLに加えられる圧力は減少する。そのため、関節運動した前方部分(42)は、反対側の血管壁OBWに向かうさらなる横進行に対してストッパとして有効に機能し、それによって、ガイドワイヤ本体(31)のより近位部分の、頂点(44)を越える前方向の進行に作用する。ガイドワイヤ(30)の血管BVへの前方向のさらなる進行に伴って、先端区分(40)は、任意選択で、(例えば、
図4Eに示されているように)前方に跳ね、血管輪郭に対してより真っすぐの形状を取り戻すことができる。
【0064】
図5A~
図5Bは、ガイドワイヤ(101)の側面図およびその前方長さ部分の断面側面図をそれぞれ示している。ガイドワイヤ(101)は、任意選択で、その例示的な構成として、ガイドワイヤ(30)と少なくとも部分的に類似しているか、または、少なくとも部分的に同一である。ガイドワイヤ(101)は、任意選択で、(例えば、Ni-Ti合金で形成されている)弾性または超弾性部材から作製され、ガイドワイヤの長さの大部分またはその全長に沿って延在する、弾性の芯部材(103)を含む。ガイドワイヤ(101)は、その長さの一部に沿って芯部材(103)を覆うコイル部材(104)をさらに含む。芯部材(103)は、機能的、構造的および/または寸法的特徴によって分類可能な3つの主要な連続した区分を含む。(1)ガイドワイヤ(101)の近位端(106)から芯部材(103)の第1の狭幅部(107)まで遠位方向に延在するガイドワイヤ近位区分(105)、(2)芯部材(103)の第1の狭幅部(107)から第2の狭幅部(109)まで遠位方向に延在するガイドワイヤ中間区分(108)、および、(3)第2の狭幅部(109)からガイドワイヤ(101)の遠位端(111)まで遠位方向に延在するガイドワイヤ先端区分(110)。
【0065】
シースまたはラインを挿入するためなど、静脈内アクセスを形成するために構成された他のアクセスガイドワイヤと同様に、ガイドワイヤ(101)の全長は、例えば、500mm程度、任意選択で、約450mmとすることができる。ガイドワイヤ近位区分(105)は、ガイドワイヤ(101)の全長の約80%以上、任意選択で、約375mmとすることができ、かつ、実質的に一定の直径(任意選択で、約0.45mm)を有し、および/または、その長さの大部分またはその全長に沿ってコイル部材(104)で覆われていない芯部材(103)を有するように示されている。ガイドワイヤ中間区分(108)は、ガイドワイヤ(101)の全長の約10%または15%程度、例えば、任意選択で、約45mmとすることができる。ガイドワイヤ中間区分(108)は、任意選択で、第1の狭幅部(107)から第2の狭幅部(109)まで、その長さの大部分またはその全長に沿って(近位方向から遠位方向に)連続的および/または徐々に幅が縮小する、細長い錐台形状に形成される。第1の狭幅部(107)は、任意選択で、ガイドワイヤ(101)の全長の1%、2%または5%程度であってもよく、第2の狭幅部(109)は、任意選択で、第1の狭幅部(107)および/またはガイドワイヤ中間区分(108)の傾斜した長さ部分よりも急峻であり、任意選択で、約0.5mmの長さに沿って直径約10%以上の縮小または傾斜である。任意選択で、短い近位拡幅部(112)は、例えば、コイル部材(104)を芯部材(103)に結合させることによって、第1の狭幅部(107)とガイドワイヤ中間区分(108)との間に形成される。
【0066】
ガイドワイヤ先端区分(110)は、他の区分よりもかなり短く、ガイドワイヤ(101)の全長の約2%以下(任意選択で、1%程度)であり、任意選択で、10mm未満、任意選択で、約5mm以下である。ガイドワイヤ先端区分(110)は、芯部材(103)の局所(遠位)拡幅部(114)と合流するガイドワイヤ先端後方(近位)部分(113)およびガイドワイヤ先端前方(遠位)部分(119)を含む。ガイドワイヤ先端後方部分(113)は、第2の狭幅部(109)を有するガイドワイヤ中間区分(108)に合流し、任意選択で、約6mm以下、または約3mm以下の長さに沿って、ガイドワイヤ(101)の最大直径の30%以下程度、任意選択で0.15mm未満、任意選択で、例えば約0.1mmである一定および/または平均直径を有する芯部材(103)の最も薄い部分である。拡幅部(114)は、急峻であり、任意選択で、約0.5mmまたは0.25mm程度などの最小の長さに沿って直径(例えば、約0.1mm~0.25mm超である)が2倍超拡大する。拡幅部(114)は、鋭角に形成される第1の狭幅部(107)および第2の狭幅部(109)とは異なり、任意選択で鈍角に形成される。ガイドワイヤ先端前方部分(119)は、任意選択で、長さが約2mm以下であり、円筒形の近位区域(115)と、ドーム状の形をした遠位区域(116)とを含む。近位区域(115)は、任意選択で、その遠位区域(116)(任意選択で、例えば、直径および長さが約0.45mmである)よりも長く、かつ薄肉である(例えば、直径が約0.25mm以上で、かつ長さが約1.5mm以下である)。
【0067】
ガイドワイヤ先端後方部分(113)は、ガイドワイヤ先端前方部分(119)のガイドワイヤ先端後方部分(113)に対する傾斜、任意選択で、関節屈曲部分(120)の周りの、またはそれに近傍する傾斜を起こすための局所的な座屈および/または屈曲に作用するために構成される関節屈曲部分(120)を含む。
図8に関してより詳論されるように、関節屈曲部分(120)は、任意選択で、ガイドワイヤ後方部分(113)に沿った、またはそれに近傍した、芯部材(103)の局所的長さ部分または領域であって、局所的な座屈、関節屈曲、および/または屈曲に対してより小さな抵抗を生じさせるために、ならびに/あるいは、そのような傾斜や関節運動のための回動軸または回動領域をもたらすのに十分な幾何学的なずれに作用するために、例えば、材料の減法プロセスにおいて、機械的および/または熱的に処理される。いくつかの実施形態では、関節屈曲部分(120)は、そのモーメントの停止時に、ガイドワイヤ先端前方部分(119)の、ガイドワイヤ先端後方部分(113)との自己整列に作用するために構成された弾性特性を有する。他の実施形態では、関節屈曲部分(120)は、そのモーメントの停止時に、残留曲げ応力に作用するために構成された可塑特性を有する。関節屈曲部分(120)は、ガイドワイヤ先端後方部分(113)の長さのある程度、または大部分に沿って延在してもよく、任意選択で、長さが約1mm以下、任意選択で、約0.5mm以下であり、任意選択で、ガイドワイヤの遠位端(111)から5mm以下離隔し、および/または、任意選択で、ガイドワイヤ先端前方部分(119)から1mm以下離隔している。
【0068】
コイル部材(104)は、任意選択で、その長さの大部分またはその全長に沿って一定の外径を有する円筒形であり、かつ、ガイドワイヤ中間区分(108)およびガイドワイヤ先端区分(110)の周りを含む芯部材(103)の狭幅部分の周りに、一定のガイドワイヤの最大外径(例えば、約0.45mm)を維持するように構成される。コイル部材(104)は、その近位部分(117)によって、第1の狭幅部(107)に隣接するガイドワイヤ中間区分(108)の近位部分に接続され、それによって、任意選択で、近位拡幅部(112)(例示的な接続機能部である接着層に埋め込まれて示されている)を形成し、かつ、その遠位部分(118)によって、ガイドワイヤ先端前方部分(119)の近位区域(115)に接続される。いくつかの実施形態では、コイル状部材(104)は、ガイドワイヤ中間区分(108)およびガイドワイヤ先端前方部分(119)に沿って(および、任意選択で、関節屈曲部分(120)以外のガイドワイヤ先端後方部分(113)の部分の上にも)設けられた第2のコイルピッチCP2よりも大きい、ガイドワイヤ先端後方部分(113)に(任意選択で、特に関節屈曲部分(120)の上に)沿って設けられた第1のコイルピッチCP1で構成される。他の実施形態では、コイル部材(104)は、例えば、ガイドワイヤ中間区分(108)、および/またはガイドワイヤ先端前方部分(119)、あるいはその長さの大部分またはその全長に沿ってなど、その他の部分に沿って、(より大きい)第1のコイルピッチCP1で構成される。いくつかの実施形態では、第2のコイルピッチCP2は、コイルワイヤ(コイルを形成するワイヤであって、例えば、約0.08mm以下である)の直径に実質的に等しく、それによって、2つの近傍するコイル巻線のそれぞれは、接触しているか、または接触に近い状態にあり、それによって、軸方向の収縮および/または屈曲に抵抗するか、またはこれを防止する。第1のコイルピッチCP1は、任意選択で、コイルワイヤの直径(例えば、0.09mm超)よりも大きく、それによって、軸方向の収縮および/または屈曲を起こし、ガイドワイヤ先端後方部分(113)に対するガイドワイヤ先端前方部分(119)の傾斜を促進するように構成される。
【0069】
ガイドワイヤ(101)は、まず芯部材(103)とコイル部材(104)とを別々に作製し、その後それらを記載のように接続することにより形成される。芯部材(103)は、まず、あらかじめ機械加工されたワイヤ(すなわち、実質的に一定の直径を有する)の材料減法によって、例えば、研削(例えば、スピンドル軸研削を使用して、ワイヤを機械のスピンドル軸に対して同心円状に整列させ、円筒対称形状を維持しながら研削する)などによって、第1の狭幅部(107)、ガイドワイヤ中間区分(108)、第2の狭幅部(114)、ガイドワイヤ先端後方部分(113)、拡幅部(114)、およびガイドワイヤ先端前方部分(119)の1つ1つに沿ったものを含む、芯部材(103)の選択された形状に達するように形成される。その後、ガイドワイヤ先端後方部分(113)上の選択された長さおよび位置を有する部分を処理して、関節屈曲部分(120)を形成することができる。これは、ガイドワイヤ先端後方部分(113)の真っ直ぐに並んだ長さ部分を固定的に変化させ、それによって関節屈曲部分を形成する工程を含み得る。追加の化学処理または熱処理が必要となる場合がある。関節屈曲部分(120)を形成するために真っ直ぐに並んだ長さ部分を固定的に変化させる工程は、それを湾曲した長さ部分に固定的に変形させることを含み得、これに沿って、芯部材(103)は、湾曲した長さ部分に近位および遠位方向に隣接するその真っ直ぐに並んだ部分に対して、横方向に固定的に偏位する。あるいは、またはさらに、この工程は、例えば、レーザー源を使用するか、またはスピンドル軸外(偏心)研削法(例えば、研削されたワイヤは、スピンドル軸に対して平行および直角に固定される)などの減法製造によって、真っ直ぐに並んだ長さ部分から少なくとも1つの側面陥凹部またはスリットを形成することを含み得る。関節屈曲部分を形成した後、コイル状部材(104)は、芯部材(103)上に被装され、ガイドワイヤ先端後方部分(113)が第1のコイルピッチCP1で構成されたコイル状部材(104)の長さ部分で囲まれるように位置付けられる。いくつかの実施形態では、コイル状部材(104)の近位部分(117)は、接着剤によって芯部材(103)に接続されてもよく、その遠位部分(118)は、ガイドワイヤ先端前方部分(119)の近位区域(115)に溶接、またははんだ付けされてもよい。コイル状部材の遠位部分(118)の接続中または接続後に、ガイドワイヤ先端前方部分(119)のドーム状の遠位区域(116)を接続する(例えば、溶接、またははんだ付けされる)か、または、芯部材(103)の先端から形成する(例えば、研削または鍛造される)ことができる。
【0070】
図6Aは、ガイドワイヤ(101)および例示的な針(102)を含む例示的な血管アクセスキット(100)を示している。
図6Bは、例示的な針(102)内に配置されたガイドワイヤ(101)の遠位部分を示す断面側面図を示している。キット(100)は、完全な、または部分的なセルディンガーキット、他の血管アクセスキット、あるいは穿孔キットであってもよく、シリンジ、イントロデューサーシース、および/または、拡張器などの他の器具を含んでもよく、かつ、1つまたは複数の種類または大きさのガイドワイヤ(101)および/または針(102)を備えてもよい。針(102)は、任意選択で、その例示的な構成として、任意選択で、針(20)または針(60)と少なくとも部分的に類似しているか、もしくは同一である。針(102)は、それを通るガイドワイヤ(101)の通過を妨げない大きさに作製された中空管(121)を含む。針の中空管(121)は、生体の皮膚層および血管壁を通る初期突き刺しを促進するように構成された針先端(122)と、針先端(122)で終わる斜角開口部(123)とで終わる。針の中空管(121)の中心線に対して平行にとられた斜角開口部(123)の長さは、ガイドワイヤ先端前方部分(119)の長さよりも長く、かつ、任意選択で、ガイドワイヤ(101)の追加的な長さでもあって、それにより、いくつかの実施形態では、
図6Bに示すように、ガイドワイヤ(101)および針(102)の遠位端/先端が並置された場合、関節屈曲部分(120)の全長を含む、ガイドワイヤ先端後方部分(113)の長さのある程度か、大部分、またはその全長は、斜角開口部(123)に沿って延在する。このようにして、ガイドワイヤ(101)が、針(102)を通して、例えば、血管壁に対するように、両方に共通の表面(すなわち、両方ともそれに接触しているか、近傍している)に対して押されると、針(102)は、関節屈曲部分(120)を拘束せず、ガイドワイヤ先端後方部分(113)に対するガイドワイヤ先端前方部分(119)の傾斜に作用するための局所的な屈曲および/または関節屈曲を引き起こす。いくつかの実施形態では、斜角開口部(123)の長さは、ガイドワイヤ先端前方部分(119)の少なくとも2倍であって、任意選択で、少なくとも2mm、任意選択で、少なくとも4mm、もしくは任意選択で、少なくとも6mm、あるいはそれより長く、もしくはそれより短く、もしくは任意の中間値である。
【0071】
図7A~
図7Cは、キット(100)を使用して静脈内アクセスを形成する方法の実施にあたって考えられるシナリオを表したいくつかの図を概略的に示している。
図7Aに示されているように、針(102)は、斜角開口部(123)が完全に血管管腔内にあるよう血管BVへ貫入される。慣習として、施術者は、針先および/またはガイドワイヤによって第2の(下の)血管壁を意図せず突き刺すことによる損傷の可能性を軽減するために、可能な限り浅い角度で血管を突き刺そうと試みるか、または初期突き刺しの直後に針を浅い角度まで回転させようと試みる。しかし、針(102)の斜角開口部に拘束されずに、先端関節運動が可能なガイドワイヤ(101)を有するキット(100)を導入することによって、施術者は、60°~90°の間など、あまり鋭角でない角度で血管を突き刺すことができる。
【0072】
斜角開口部(123)が血管BV内で少なくとも部分的に延在する場合、血液は、針の中空管(121)を介して近位方向(上方向)に流れ始め、これは血管内での適切な位置決めの指標となり得る。しかし、先に説明されたように、血液が引き出されたにもかかわらず、斜角開口部(123)がガイドワイヤ、特に既知の(例えば、現在市販されている)アクセスガイドワイヤの導入のための、適切な位置に位置付けられない、異なる状況があり得、これは、血管壁を損傷し、および/またはワイヤ上のカテーテルもしくはシースの適切な挿入を妨げる可能性がある。第1の例示的なシナリオでは、斜角開口部(123)の短い長さ部分のみしか、より近位に突き刺された血管壁PBWを越えて血管管腔に導入されておらず、そこを通って血管管腔に既知のガイドワイヤを通すには不十分である。このシナリオでは、既知のガイドワイヤが、代わりに、貫通された血管壁PBWを形成しながら層を通って進行するように、かつそこで損傷を起こすように経路を定められる場合がある。第2の例示的なシナリオでは、針(102)は、意図せず、より遠位の反対側の血管壁OBWへ貫入してしまい、斜角開口部(123)は、反対側の血管壁OBW内で少なくとも部分的に延在している。このシナリオでは、既知のガイドワイヤは、代わりに、反対側の血管壁OBWを越えて進行するように、かつそこで損傷を起こすように経路を定められる場合がある。ガイドワイヤ(101)およびキット(100)は、このような一般的なシナリオを克服することを意図して構成されており、血管を損傷する可能性を軽減するか、あるいは防止し、血管へのシースまたはカテーテルの適切なアクセスをもたらす。
【0073】
いくつかの実施形態では、針の突き刺し中または突き刺し後に、任意選択で、血液を引き出して血管BV内の斜角開口部(123)の位置を示すために使用した後、ガイドワイヤ(101)は、ガイドワイヤ先端前方部分(119)および関節屈曲部分(120)が血管BV内の斜角開口部(123)に沿って延在するように、針(102)を通して挿入され得る。その後、ガイドワイヤ(101)は、(例えば、
図7Bで示されているように)ガイドワイヤ先端前方部分(119)が血管BVの血管壁(例えば、図示されているように、反対側の壁部分OBW、または貫通された壁部分PBW)に対して押し付けられ、ガイドワイヤ先端後方部分(113)に対するガイドワイヤ先端前方部分(119)の局所的な傾斜を引き起こすのに十分なモーメントが、関節屈曲部分(120)上に発生するまで、(所定の位置に保持または格納され得る)針(102)に対して遠位方向に進行させることができる。モーメントは、任意選択で、関節屈曲部分(120)内の非直線状の(例えば、湾曲した)長さ部分と、非直線状の長さ部分に近位および/または遠位方向に隣接する芯部材(103)の真っ直ぐに並んだ部分とにそれぞれ働く導出された対向する力として、関節屈曲部分(120)上に発生する。図示されているように、ガイドワイヤ先端前方部分(119)を反対側の血管壁OBWに押し付けることによって、後者は、変形し、針先端(122)から押しやられ、ガイドワイヤ先端前方部分(119)は傾斜して、ガイドワイヤ先端後方部分(113)内に湾曲を形成する。ガイドワイヤ先端後方部分(113)の弾性(ばね性)特性による、その関節屈曲および徐々に増加する湾曲によって、反対側の血管壁OBWに押し付けている間、ガイドワイヤ先端後方部分(113)は、蓄積された位置エネルギーが反対側の血管壁OBWによって適用可能な最大抵抗力よりも大きくなるまで、位置エネルギーを蓄積し、その結果、ガイドワイヤ先端前方部分(119)は、最終的に解放され、かつより弾性的に弛緩した形状に、反対向きに関節屈曲する。ガイドワイヤ(101)を血管BV内で遠位方向にさらに進行させることによって、ガイドワイヤ先端前方部分(119)はまた、例えば、
図7Cで示されているように、弾性的に後方に関節屈曲し、任意選択で、ガイドワイヤ先端後方部分(113)と再度整列させられる。
【0074】
図8A~
図8Fは、芯部材(103)の例示的な構成の遠位部分の側面図をそれぞれ示し、関節屈曲部分(120)の例示的な構成に違いがある。いくつかの実施形態では、本明細書に記載される例示的な構成は、例えば、芯部材(103)がアクセス針を介してアクセスワイヤを押すために通常用いられるよりも小さい力に等しい力で押されたときなどの、軸圧縮を受けたとき、関節屈曲部分(120)に沿って、またはそれに近傍して、ガイドワイヤ先端後方部分(113)の局所的な座屈および/または屈曲を起こす(作用する)ことを意図している。ガイドワイヤ(101)におけるそのような座屈、屈曲、および/または傾斜を起こすのに十分な、ガイドワイヤに対する例示的な通常の押し込み力および/または軸圧縮力は、任意選択で、2N(ニュートン)未満、任意選択で、1N以下、任意選択で、約0.75N以下、任意選択で、約0.2N以下、任意選択で、約0.1N以下である。これにより、ガイドワイヤ先端前方部分(119)が針(102)の斜角開口部(123)内に完全に収まる場合にも、ガイドワイヤ先端後方部分(113)に対するガイドワイヤ先端前方部分(119)の傾斜が可能になるか、またはこれが発生する。このような構成にすることで、ガイドワイヤが通常の力で押された場合に、針がそのような座屈、屈曲、および/または傾斜を制限し、ならびに妨げ、それにより、意図せぬ穿孔および/または切開などによって血管壁を損傷する可能性が高くなる、既知のアクセスガイドワイヤならびにキットに関連する一般的な失敗を回避することを目的としている。
【0075】
図8Aは、関節屈曲部分(120)の第1の構成を有するガイドワイヤ(101)を示し、ここで、関節屈曲部分(120)は、湾曲した長さ部分(125)を含み、これに沿って、芯部材(103)は、湾曲した長さ部分(125)に近位および遠位方向に隣接する芯部材(103)の真っ直ぐに並んだ部分(126)および(127)に対して、横方向に固定的に偏位する。この構成では、芯部材(103)は、湾曲した長さ部分(125)に沿って横方向(長軸に対して)に偏位している。このように、関節屈曲部分(120)は、芯部材(103)が軸圧縮を受けたときに、真っ直ぐに並んだ部分(126)および(127)に沿ったところよりも、湾曲した長さ部分(125)に沿って、座屈および/または屈曲に対する抵抗を局所的により小さくする。
図8Bは、先の
図8Aの構成と同様の関節屈曲部(120)の構成を示し、ここで、湾曲した長さ部分(125)よりも遠位の、芯部材(103)の長さ部分は、湾曲した長さ部分(125)に近位の、芯部材(103)の長さ部分に対して傾斜角度IAで固定的に傾斜している。傾斜角度IAは、任意選択で、約20°未満、任意選択で、約10°未満、任意選択で、約5°未満、または任意の中間値を有する。
図8Cは、関節屈曲部分(120)の第2の構成を有するガイドワイヤ(101)を示し、ここで、関節屈曲部分(120)は、湾曲した長さ部分(125)に沿ってコイルを形成する。この構成では、芯部材(103)は、湾曲した長さ部分(125)に沿っていくつかの軸方向に偏位しており、かつアキシャル荷重を受けて軸方向に圧縮することができる。このように、関節屈曲部分(120)は、芯部材(103)が軸圧縮を受けたとき、どんな方向でも、真っ直ぐに並んだ部分(126)および(127)に沿ったところよりも、湾曲した長さ部分(125)に沿って、座屈および/または屈曲に対するより小さな抵抗で構成されている。
【0076】
図8Dは、関節屈曲部分(120)が少なくとも1つ(この例では2つ)の局所的な側面陥凹部(128)を含む、別の構成を示している。陥凹部(128)は、スピンドル軸外(偏心)研削などのスピンドル軸(同心)研削を除いたプロセスで形成されてもよい。いくつかの実施形態では、図示されるように、陥凹部は、その間に離間部分(129)を有して異なる(例えば、反対)方向に形成され、それにより、芯部材(103)が軸圧縮を受けたときに、異なる方向または反対方向を向いた陥凹部(128)は、離間部分(129)の周りのモーメントの発生に作用し、その結果、局所的な屈曲を起こす。
図8Eは、関節屈曲部分(120)が円周方向に離間したスリット(130)(これは、例えば、レーザー切断によって形成することができる)を含む別の例示的な構成を示しており、スリット(130)は、ガイドワイヤ先端後方部分(113)に沿って延在し、かつ、屈曲および/または座屈に対する局所的な抵抗を低減するために、関節屈曲部分(120)を、それぞれが異なる慣性モーメントを有する並列したより小さな4つの芯に分割する。
図8Fは、ガイドワイヤ先端前方部分(119)がガイドワイヤ先端後方部分(113)に枢動可能に接続され、これにより、拡幅部(114)に沿ってまたは隣接して、枢動接続部(131)を含む関節屈曲部分(120)の周りを自由に回転するようになっている別の例示的な構成を示している。
【0077】
本明細書で使用される場合、単数の文法形態で書かれている以下の用語「a」、「an」、および「the」のそれぞれは、「少なくとも1つ」、または「1つ以上」を意味する。本明細書において、句「1つ以上」の使用は、「a」、「an」、または「the」のこの意図された意味を変更しない。したがって、本明細書で使用される場合、用語「a」、「an」、および「the」は、本明細書で別途明確に定義または記述されない限り、または文脈が別途明確に指示しない限り、記述された複数の実体または対象を指し、それらを包含することもできる。また、例えば、本明細書で使用される場合、句「ユニット」、「デバイス」、「アセンブリ」、「メカニズム」、「構成要素」、「要素」、および「工程または手順」は、それぞれ、複数のユニット、複数のデバイス、複数のアセンブリ、複数のメカニズム、複数の構成要素、複数の要素、および複数の工程または手順を指し、それらを包含することもできる。
【0078】
本明細書で使用される場合、以下の用語「含む(includes)」、「含むこと(including)」、「有する(has)」、「有すること(having)」、「含む(comprises)」、および「含むこと(comprising)」、ならびに、それらの言語上/文法上の変形、派生語、または/および活用のそれぞれは、「含むが、これらに限定されない」を意味し、記述された構成要素、機能、特徴、パラメータ、整数、または工程を特定するものとして解釈されるべきであり、1つ以上のさらなる構成要素、機能、特徴、パラメータ、整数、工程、またはそれらの群の追加を排除しない。これらの用語のそれぞれは、「実質的に・・・からなる」という句と意味が同等であるとみなされる。
【0079】
本明細書で使用される場合、用語「方法」は、開示されている本開示の関連分野で実務者によって、既知の工程、手順、様式、手段、または/および手法から既知であるか、あるいは容易に開発される工程、手順、様式、手段、または/および手法を含むが、これらに限定されない、所与のタスクを達成するための工程、手順、様式、手段、または/および手法を指す。
【0080】
本開示全体を通して、パラメータ、機能、特徴、対象、または寸法の数値は、数値範囲の形式に関して記述または記載されている場合がある。本明細書で使用される場合、そのような数値範囲の形式は、本開示のいくつかの例示的な実施形態の実装形態を示すものであり、本開示の例示的な実施形態の範囲を確固として限定するものではない。したがって、記述または記載された数値範囲は、その記述または記載された数値範囲内のすべての考えられる部分的な範囲および個々の数値(数値は全体として、整数または小数で表される場合がある)も指し、これらを包含する。例えば、記述または記載された数値範囲「1~6」は、「1~3」、「1~4」、「1~5」、「2~4」、「2~6」、「3~6」などのすべての考えられる部分的な範囲と、「1」、「1.3」、「2」、「2.8」、「3」、「3.5」、「4」、「4.6」、「5」、「5.2」、および「6」などの、記述または記載された数値範囲「1~6」内の個々の数値も指し、これらを包含する。これは、記述または記載された数値範囲の数値幅、範囲、または大きさにかかわらず適用される。
【0081】
さらに、数値範囲を記述または記載するために、「第1の数値付近と第2の数値付近との間の範囲にある」という句は、「第1の数値付近から第2の数値付近までの範囲にある」という句と同等であるとみなされ、同じことを意味し、したがって、2つの同等の意味の句は、互換的に使用される場合がある。例えば、室温の数値範囲を記述または記載するために、「室温とは、約20℃と約25℃との間の範囲の温度を指す」という句は、「室温とは、約20℃から約25℃までの範囲の温度を指す」という句と同等であるとみなされ、同じことを意味する。
【0082】
本明細書で使用される場合、用語「約」は、記述された数値の±10%を指す。
【0083】
本開示の特定の態様、特徴、および機能は、明確にするために、複数の別個の実施形態の文脈または形式で例示的に記載および提示され、単一の実施形態の文脈または形式で任意の適切な組み合わせまたは部分的な組み合わせで例示的に記載および提示される場合もあることを十分に理解されたい。逆に、単一の実施形態の文脈または形式で組み合わせまたは部分的な組み合わせで例示的に記載および提示される本開示の様々な態様、特徴、および機能は、複数の別個の実施形態の文脈または形式で例示的に記載および提示される場合もある。
【0084】
本開示は、特定の例示的な実施形態およびその例によって例示的に記載および提示されてきたが、その多くの変更、修正、または/および変形が当業者には明らかであることは明白である。したがって、このような変更、修正、または/および変形はすべて、添付の特許請求の範囲の広い範囲の精神内に入るものであり、それによって包含されるものであることが意図される。
【0085】
本開示において引用または参照されるすべての刊行物、特許、または/および特許出願は、それぞれの個々の刊行物、特許、または/および特許出願が参照により本明細書に組み込まれるように具体的かつ個々に示されたのと同じ程度まで、それらの全体が参照により本明細書に組み込まれる。さらに、本明細書における任意の参考文献の引用または特定は、そのような参考文献が本開示の先行技術を表しているか、あるいはそれらに対応していることを認めるものとして解釈または理解されてはならない。欄の見出しが使用される限り、それらは必ずしも限定するものとして解釈されるべきではない。
【0086】
本明細書で記載される物または動作の特徴または特性の絶対値について記載されている場合、用語「本質的」、「実質的に」、「本質的に」、「およそ」、および/または他の程度の用語もしくは句は、数字範囲を具体的に記載することなく使用される。本明細書で記載される物または動作の特徴または特性に適用される場合、これらの用語は、その特徴または特性に関連した所望の機能をもたらすことと一致した特徴または特性の範囲を指す。
【0087】
本開示で説明される実装形態に対する様々な変更形態は、当業者であれば容易に明らかになることができ、本明細書で定義される一般的原理は、本開示の精神または範囲から逸脱することなく他の実装形態にも適用されることができる。したがって、本開示は、本明細書に示される実装形態に限定されるように意図されておらず、本明細書に開示される請求項、原理および新規な特徴と矛盾しない最も広い範囲が許容されるべきである。「例示的」という単語は、本明細書では「例、事例、または例示として機能すること」を意味するために使用される。本明細書で「例示的」であるとして記載されるいかなる実装形態も、必ずしも他の実装形態よりも好ましいまたは有利であると解釈されるべきではない。
【0088】
また、別個の実装形態の文脈で本明細書に記載される特定の特徴は、単一の実装形態において組み合わせて実施されることができる。また、逆に、単一の実装形態の文脈で記載される様々な特徴は、複数の実装形態において別個に、または任意の適切な部分的な組み合わせで実施されることができる。さらに、特徴は、特定の組み合わせで動作するとして以上で記載され、初めにそのように請求されていることさえあるが、請求される組み合わせからの1つ以上の特徴は、場合によってはその組み合わせから削除されてもよく、請求される組み合わせは、部分的な組み合わせ、または部分的な組み合わせの変形でもよい。
【0089】
本明細書で開示される方法は、記載される方法を達成するための1つ以上の工程または動作を含む。本方法の工程および/または動作は、特許請求の範囲から逸脱することなく互いに交換され得る。言い換えれば、工程または動作の特定の順序が指定されていない限り、特定の工程および/または動作の順序および/または使用は、特許請求の範囲から逸脱することなく変更され得る。
【国際調査報告】