IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ベルサリス、ソシエタ、ペル、アチオニの特許一覧

特表2023-546450再生ゴム粉末を含むスチレン-ブタジエンゴムの調製プロセス
<>
  • 特表-再生ゴム粉末を含むスチレン-ブタジエンゴムの調製プロセス 図1
  • 特表-再生ゴム粉末を含むスチレン-ブタジエンゴムの調製プロセス 図2
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-11-02
(54)【発明の名称】再生ゴム粉末を含むスチレン-ブタジエンゴムの調製プロセス
(51)【国際特許分類】
   C08J 11/06 20060101AFI20231026BHJP
   C08J 3/03 20060101ALI20231026BHJP
   C08J 3/02 20060101ALI20231026BHJP
   C08L 9/06 20060101ALI20231026BHJP
   C08K 3/013 20180101ALI20231026BHJP
   C08K 3/011 20180101ALI20231026BHJP
【FI】
C08J11/06 ZAB
C08J3/03 CEQ
C08J3/02 D
C08L9/06
C08K3/013
C08K3/011
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023524155
(86)(22)【出願日】2021-10-25
(85)【翻訳文提出日】2023-04-21
(86)【国際出願番号】 IB2021059819
(87)【国際公開番号】W WO2022090892
(87)【国際公開日】2022-05-05
(31)【優先権主張番号】102020000025285
(32)【優先日】2020-10-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IT
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】508128303
【氏名又は名称】ベルサリス、ソシエタ、ペル、アチオニ
【氏名又は名称原語表記】VERSALIS S.P.A.
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【弁護士】
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100228120
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 蓮太朗
(72)【発明者】
【氏名】ガブリエル ガッティ
(72)【発明者】
【氏名】ウィリアム モンタナリ
(72)【発明者】
【氏名】コスタンティーノ ペレッタ
(72)【発明者】
【氏名】ジョバンニ レガティエリ
【テーマコード(参考)】
4F070
4F401
4J002
【Fターム(参考)】
4F070AA08
4F070AB10
4F070AB16
4F070AB26
4F070AC12
4F070AC42
4F070AC47
4F070AC84
4F070AE14
4F070CA02
4F070CA16
4F070CB02
4F070CB13
4F070CB15
4F401AA04
4F401AA06
4F401AC02
4F401BA13
4F401BB10
4J002AC08W
4J002AC13X
4J002DA036
4J002DJ016
4J002EV047
4J002EV167
4J002EV327
4J002FD010
4J002FD016
4J002FD147
4J002GC00
4J002GM01
4J002GN00
4J002GN01
(57)【要約】
微粉化再生ゴム粉末を含むスチレン-ブタジエンゴムの調製プロセスであって、該プロセスが、以下のステップ:(a)微粉化再生ゴム粉末、水、及び1種以上の界面活性剤を含む懸濁液を調製するステップと、(b)ステップ(a)で得られた懸濁液を1種以上のスチレン-ブタジエンラテックスと混合し、微粉化再生ゴム粉末を含むスチレン-ブタジエンラテックスを得るステップと、(c)ステップ(b)で得られたラテックスを凝固させ、微粉化再生ゴム粉末を含む凝固スチレン-ブタジエンゴムを得るステップとを含み、ステップ(a)において、前記微粉化再生ゴム粉末の粒径が0.05mm~0.8mmの範囲、好ましくは0.1mm~0.4mmの範囲であり、ステップ(a)において、前記1種以上の界面活性剤が前記微粉化再生ゴム粉末の全重量に対して0.5重量%~3重量%の範囲、好ましくは1重量%~2.5重量%の範囲の量で存在し、ステップ(a)において、前記微粉化再生ゴム粉末は、水中濃度が前記水の全重量に対して1重量%~50重量%の範囲、好ましくは5重量%~30重量%の範囲である。そのままの又は例えば天然ゴム(NR)、ポリブタジエン(BR)、スチレン-ブタジエン共重合体若しくはそれらの混合物等の他のゴムとの混合物中の前述のプロセスにより得られた微粉化再生ゴム粉末を含むスチレン-ブタジエンゴムは、加硫可能なエラストマー組成物に有利に使用することができ、その後、例えばタイヤ、靴底、ブレーキ、コンベアベルト等の様々なセクターに使用できる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
微粉化再生ゴム粉末を含むスチレン-ブタジエンゴムの調製プロセスであって、
該プロセスが、以下のステップ:
(a) 微粉化再生ゴム粉末、水、及び1種以上の界面活性剤を含む懸濁液を調製するステップと、
(b) ステップ(a)で得られた前記懸濁液を、1種以上のスチレン-ブタジエンラテックスと混合し、微粉化再生ゴム粉末を含むスチレン-ブタジエンラテックスを得るステップと、
(c) ステップ(b)で得られた前記ラテックスを凝固させ、微粉化再生ゴム粉末を含む凝固スチレン-ブタジエンゴムを得るステップと、を含み、
ステップ(a)において、前記微粉化再生ゴム粉末の粒径が、0.05mm~0.8mmの範囲、好ましくは0.1mm~0.4mmの範囲であり、
ステップ(a)において、前記1種以上の界面活性剤が、前記再生ゴム粉末の全重量に対して、0.5重量%~3重量%の範囲、好ましくは1重量%~2.5重量%の範囲の量で存在し、
ステップ(a)において、前記微粉化再生ゴム粉末は、水中濃度が、前記水の全重量に対して、1重量%~50重量%の範囲、好ましくは5重量%~30重量%の範囲である、微粉化再生ゴム粉末を含むスチレン-ブタジエンゴムの調製プロセス。
【請求項2】
ステップ(a)において、前記1種以上の界面活性剤が、
脂肪酸のポリオキシエチレン誘導体、アルキルポリグルコシド、エタノールアミド、エトキシ化アミド、エトキシ化アミン、エトキシ化酸、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、又はそれらの混合物等の非イオン界面活性剤、並びに/或いは、
カルボキシレート基又はスルホネート基で末端処理された炭素原子長鎖により形成された塩[例えば、ラウリル硫酸ナトリウム(SLS)、ラウリルエトキシ硫酸ナトリウム(SLES)]、アルキルベンゼンスルホン酸(ABS)、多スルホン化芳香族エーテル、又はそれらの混合物;カプロン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、若しくはそれらの混合物などの分子内に炭素原子を6~22個含む、飽和脂肪酸若しくは不飽和脂肪酸のナトリウム塩、カリウム塩、リチウム塩、若しくはアンモニウム塩、好ましくはナトリウム塩若しくはカリウム塩、又は前記塩の混合物;アビエチン酸、ネオアビエチン酸、パルストリン酸、レボピマール酸、又はそれらの混合物を含む樹脂酸の混合物の二量化、不均化、水素化、変性によって得られた変性樹脂酸のナトリウム塩、カリウム塩、リチウム塩、若しくはアンモニウム塩、好ましくはナトリウム塩若しくはカリウム塩、又は前記塩の混合物等のアニオン界面活性剤、並びに/或いは、
長鎖第4級アンモニウム塩[塩化ベンザルコニウム(BAC)、臭化セチルトリメチルアンモニウム(CTAB)、臭化ヘキサデシルトリメチルアンモニウム等]、又はそれらの混合物等のカチオン界面活性剤、並びに/或いは、
コカミドプロピルベタイン、ドデシルベタイン、レシチン、アミノカルボン酸、又はそれらの混合物等の両性界面活性剤、から選択される、請求項1に記載の微粉化再生ゴム粉末を含むスチレン-ブタジエンゴムの調製プロセス。
【請求項3】
前記ステップ(a)が、20℃~90℃の範囲、好ましくは50℃~80℃の範囲の温度で、ミキサーのサイズに依存し、均質懸濁液を得るのに十分な可変時間、好ましくは、5分~60分の範囲、好ましくは10分~40分の範囲の時間実行される、請求項1又は2に記載の微粉化再生ゴム粉末を含むスチレン-ブタジエンゴムの調製プロセス。
【請求項4】
前記ステップ(b)において、前記1種以上のスチレン-ブタジエンラテックスは、スチレン-ブタジエンポリマーの量が、前記ラテックスの全重量に対して、10重量%~50重量%の範囲、好ましくは15重量%~30重量%の範囲であり、結合スチレンの量が、前記ラテックスの全重量に対して、10重量%~60重量%の範囲、好ましくは20重量%~50重量%の範囲である、請求項1~3のいずれか一項に記載の微粉化再生ゴム粉末を含むスチレン-ブタジエンゴムの調製プロセス。
【請求項5】
前記ステップ(b)において、ステップ(a)で得られた前記懸濁液を、微粉化再生ゴム粉末の量が、前記ラテックスに含まれる前記スチレン-ブタジエンゴムの全重量に対して、5重量%~95重量%の範囲、好ましくは8重量%~35重量%の範囲の量であるような量で加える、請求項1~4のいずれか一項に記載の微粉化再生ゴム粉末を含むスチレン-ブタジエンの調製プロセス。
【請求項6】
前記ステップ(b)が、20℃~90℃の範囲、好ましくは50℃~80℃の範囲の温度で、前記ミキサーのサイズに依存し、微粉化再生ゴム粉末を含むスチレン-ブタジエンラテックスを得るのに十分な可変時間実行され、
前記粉末を、好ましくは、1分~45分の範囲、好ましくは5分~15分の範囲の時間、ラテックス中に均質に分散させる、請求項1~5のいずれか一項に記載の微粉化再生ゴム粉末を含むスチレン-ブタジエンの調製プロセス。
【請求項7】
(a1) 微粉化再生ゴム粉末、水、及び1種以上の界面活性剤を含む懸濁液を調製するステップと、
(c1) ステップ(a)で得られた前記懸濁液を、1種以上のスチレン-ブタジエンラテックスと混合し、全体を凝固させて微粉化再生ゴム粉末を含む凝固スチレン-ブタジエンゴムを得るステップと、を含み、
ステップ(a1)において、前記微粉化再生ゴム粉末の粒径が、0.05mm~0.8mmの範囲、好ましくは0.1mm~0.4mmの範囲であり、
ステップ(a1)において、前記1種以上の界面活性剤が、前記微粉化再生ゴム粉末の全重量に対して、0.5重量%~3重量%の範囲、好ましくは1重量%~2.5重量%の範囲の量で存在し、
ステップ(a1)において、前記微粉化再生ゴム粉末は、水中濃度が、前記水の全重量に対して、1重量%~50重量%の範囲、好ましくは5重量%~30重量%の範囲である、微粉化再生ゴム粉末を含むスチレン-ブタジエンゴムの調製プロセス。
【請求項8】
前記ステップ(a1)が、請求項2又は3に従って実行される、請求項7に記載の微粉化再生ゴム粉末を含むスチレン-ブタジエンゴムの調製プロセス。
【請求項9】
前記ステップ(c)及びステップ(c1)が、複数のアルキルアミン-エピクロリジン共重合体から選択される1種以上の凝固剤の存在下で実行される、請求項1~8のいずれか一項に記載の微粉化再生ゴム粉末を含むスチレン-ブタジエンゴムの調製プロセス。
【請求項10】
前記ステップ(c)及びステップ(c1)が、40℃~90℃の範囲、好ましくは60℃~80℃の範囲の温度で、凝固ミキサーのサイズ、ステップ(a)又はステップ(a1)で得られた懸濁液及び前記使用されたスチレン-ブタジエンラテックスの量、温度及びpH、前記使用された攪拌システムに依存する可変時間、好ましくは、5分~120分、好ましくは10分~60分の時間実行される、請求項1~9のいずれか一項に記載の微粉化再生ゴム粉末を含むスチレン-ブタジエンゴムの調製プロセス。
【請求項11】
前記ステップ(c)及びステップ(c1)が、pHが、5以下、好ましくは2.5~4の範囲で実行される、請求項1~10のいずれか一項に記載の微粉化再生ゴム粉末を含むスチレン-ブタジエンゴムの調製プロセス。
【請求項12】
硫酸、リン酸等の1種以上の無機酸、好ましくは硫酸を、前記ステップ(c)及びステップ(c1)で加え、前記1種以上の有機酸を、前記ステップ(c)及びステップ(c1)の全期間中、pHを5以下、好ましくは2.5~4の範囲に維持するような量で加える、請求項1~11のいずれか一項に記載の微粉化再生ゴム粉末を含むスチレン-ブタジエンゴムの調製プロセス。
【請求項13】
前記プロセスが、バッチ式又は連続式で、好ましくは連続式で実行される、請求項1~12のいずれか一項に記載の微粉化再生ゴム粉末を含むスチレン-ブタジエンゴムの調製プロセス。
【請求項14】
請求項1~13のいずれか一項によって得られる微粉化再生ゴム粉末を含む1種以上のスチレン-ブタジエンゴムと、カーボンブラック、シリカ、又はそれらの混合物から選択される1種以上の充填剤と、1種以上の加硫剤と、を含む、加硫可能なエラストマー組成物。
【請求項15】
請求項14に記載の前記エラストマー組成物を加硫することで得られた加硫物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、微粉化再生ゴム粉末を含むスチレン-ブタジエンゴムの調製プロセスに関する。
【0002】
より具体的には、本発明は、微粉化再生ゴム粉末を含むスチレン-ブタジエンゴムの調製プロセスに関するものであり、該プロセスは、以下のステップ:(a) 微粉化再生ゴム粉末、水、及び1種以上の界面活性剤を含む懸濁液を調製するステップと、(b) ステップ(a)で得られた前記懸濁液と、1種以上のスチレン-ブタジエンラテックスとを混合し、微粉化再生ゴム粉末を含むスチレン-ブタジエンラテックスを得るステップと、(c) ステップ(b)で得られたラテックスを凝固させ、微粉化再生ゴム粉末を含む凝固スチレン-ブタジエンゴムを得るステップと、を含む。
【背景技術】
【0003】
そのままの、又は例えば天然ゴム(NR)、ポリブタジエン(BR)、スチレン-ブタジエン共重合体、若しくはそれらの混合物等の他のゴムとの混合物中の、前述のプロセスにより得られた微粉化再生ゴム粉末を含むスチレン-ブタジエンゴムは、加硫可能なエラストマー組成物に有利に使用することができ、その後、例えば、タイヤ、靴底、ブレーキ、コンベアベルト等の様々なセクターに使用できる。
【0004】
ゴムの再生利用は、例えば環境持続可能性及びサーキュラーエコノミーなどの関心事への注目が高まっていることで、さらにより注目を集めて継続して発展しているセクターである。その結果、前記再生利用に関する科学論文及び特許が、非常に多くなっている。
【0005】
ゴムの再生利用において最も広く使用されている方法の一つは、ゴムを微粉末に変え、乾式の機械的混合によって該微粉末を未使用のゴムに加えることである。
【0006】
例えば米国特許第9,840,613号明細書は、多種多様な商品を製造するための構造材料として有用なポリマー調合物に関するものであり、前記ポリマー調合物は、(1)約45重量%~約85重量%の微粉化ゴム粉末と、(2)約15重量%~約45重量%のメタロセンポリオレフィンエラストマーと、(3)約1重量%~約10重量%の無水マレイン酸でグラフトしたポリエチレンとで構成されている。前述のポリマー調合物の成分は、乾燥され、二軸押し出し機で混合される。
【0007】
また、ポリマーを可能な限りポリマーの原形に近づけるために、硫黄架橋を破壊することを目的とする脱硫として知られている技術を用いて、ゴムを再利用することも知られている。
【0008】
例えば米国特許第5,602,586号明細書は、脱硫によって加硫ゴムを脱硫するプロセスに関するものであり、該プロセスは、加硫ゴムのクラムを溶媒及びアルカリ金属と接触させて反応混合物を得るステップと、該反応混合物を、酸素の不存在下で、攪拌しながら、アルカリ金属を加硫ゴム中に存在する硫黄と反応させるのに十分な温度に加熱するステップと、該温度をゴムの熱分解が起こる温度未満に保ち、脱硫するステップと、を含む。
【0009】
脱硫技術のさらなる詳細を、例えば米国特許第6,541,526号明細書及び米国特許第9,527,978号明細書で見つけることができる。
【0010】
また、エマルジョン又は溶液中のゴムの使用を含むゴムの再生利用プロセスも知られている。
【0011】
例えば、中国特許出願第101792546号は、ゴム粉末及びゴムで構成された組成物の調製プロセスに関するものであり、該プロセスは、以下のステップ:水若しくは軟化油を含む材料を含有する粉末添加剤又はサイズ剤を任意で含むゴム粉末を、エマルジョン又は溶液中のゴムと、又は予め乾燥されていない固形のウェットゴムと混合し、ゴム-ゴム粉末組成物からなる中間生成物を得るステップと、続いて、液体除去処理を実行し、固体状態のゴム-ゴム粉末組成物からなる生成物を得るステップとを含む。
【0012】
中国特許出願第102344591号は、以下のステップ:(1) 粉末添加剤或いは水又は/及び軟化油を含む添加剤を任意で含む、グラフトされ又は混合された粒度90メッシュ(約0.16mm)~200メッシュ(0.074mm)の再生ゴム粉末を、エマルジョン又は溶液中のゴムと密閉式混合機で混合し、均質な材料を得るステップ、或いは前記再生ゴム粉末と、予め乾燥されていない固形のウェットゴムとをニーダーで混合し、均質な材料を得るステップと、(2) ステップ(1)で得られた均質な材料を、例えば解乳化、遠心分離、ペレット化、熱風流動化、排煙焼成、蒸気シリンダー中での気化、熱間押し出し、従来の液体除去技術によって脱水処理し、ゴム-ゴム粉末を含む均質な組成物を得るステップと、を含むことを特徴とするゴムを含む組成物の調製プロセスに関するものである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
しかしながら、上記プロセスは、例えば
- 使用されるエラストマー組成物の物理的-機械的性質を悪化させること
- 取り扱い及び操作者の健康に関しての問題
- 使用される製造ライン及び機器の付着物に関しての技術的問題
等の欠点があるかもしれなかった。
【0014】
微粉化再生ゴム粉末は、非常に水を含むと知られている。微粉化再生ゴム粉末による水分の吸収は、未使用のゴムとの機械的混合(「乾式混合」)、及びその後の加硫プロセスの両方を悪化させ、最終加硫物の物理的及び機械的性質を悪化させる原因となる可能性がある。
【0015】
さらに、機械的混合(「乾式混合」)での微粉化再生ゴム粉末の使用は、例えば、爆発、又は微粒子の大気中への拡散等の危険を回避するために、環境持続可能性及び操作者の健康の両方の点で注意深い管理を必要とし、結果的にプロセスコストの増加を伴う。さらに、機械的混合(「乾式混合」)での微粉化再生ゴム粉末の使用は、不十分な設備にとって主要な問題になり得る。
【0016】
最後に、微粉化再生ゴム粉末の使用は、使用される製造ライン及び機器の付着物の原因となる可能性があり、付着物は、目詰まり、機能不全、時間とプロセスコストの両方の増加につながる可能性がある。
【0017】
それゆえ、本出願人は、上記問題を克服できる微粉化再生ゴム粉末を含むスチレン-ブタジエンゴムの調製プロセスを見出すことを課題とした。
【課題を解決するための手段】
【0018】
そして、本出願人は、特定のサイズの微粉化再生ゴム粉末、水、及び特定の量で存在する1種以上の界面活性剤を含む、懸濁液を使用することによる微粉化再生ゴム粉末を含むスチレン-ブタジエンゴムの新たな調製プロセスにより、前述の欠点を克服できることを見出した。前記プロセスは、そのままで、又は例えば天然ゴム(NR)、ポリブタジエン(BR)、スチレン-ブタジエン共重合体、若しくはそれらの混合物等の他のゴムとの混合物中で、加硫可能なエラストマー組成物で有利に使用できる微粉化再生ゴム粉末を含むスチレン-ブタジエンゴムを得ることを可能にし、その後、例えばタイヤ、靴底、ブレーキ、コンベアベルト等の様々なセクターに使用できる。
【0019】
それゆえ、本発明の対象は、微粉化再生ゴム粉末を含むスチレン-ブタジエンゴムの調製プロセスであって、該プロセスは、以下のステップ:
(a) 微粉化再生ゴム粉末、水、及び1種以上の界面活性剤を含む懸濁液を調製するステップと、
(b) ステップ(a)で得られた懸濁液を、1種以上のスチレン-ブタジエンラテックスと混合し、微粉化再生ゴム粉末を含むスチレン-ブタジエンラテックスを得るステップと、
(c) ステップ(b)で得られたラテックスを凝固させ、微粉化再生ゴム粉末を含む凝固スチレン-ブタジエンゴムを得るステップと、を含み、
ステップ(a)において、前記微粉化再生ゴム粉末の粒径が、0.05mm~0.8mmの範囲、好ましくは0.1mm~0.4mmの範囲であり、
ステップ(a)において、前記1種以上の界面活性剤が、前記再生ゴム粉末の全重量に対して、0.5重量%~3重量%の範囲、好ましくは1重量%~2.5重量%の範囲の量で存在し、
ステップ(a)において、前記微粉化再生ゴム粉末は、水中濃度が、前記水の全重量に対して、1重量%~50重量%の範囲、好ましくは5重量%~30重量%の範囲である。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1図1は、本発明のプロセスの対象の第一の実施形態を概略的に示している。
図2図2は、本発明のプロセスの対象の第二の実施形態を概略的に示している。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本明細書及び以下の特許請求の範囲において、他に規定のない限り、数値間隔の定義は、常に極値を含む。
【0022】
また、本明細書及び以下の特許請求の範囲において、「含んでいる(comprising)」という用語は、「本質的に~からなる(which essentially consists of)」という用語、又は「~からなる(which consists of)」という用語も包含する。
【0023】
本明細書及び以下の特許請求の範囲において、前記微粉化再生ゴム粉末の粒径は、ASTM D5644-18規格に準拠して決定される。
【0024】
本発明のプロセスの対象において、微粉化再生ゴム粉末は、例えば、廃タイヤ(ELT)又はタイヤの一部(例えばトレッド)等の異なる種類のゴム製品に由来してもよい。それゆえ、微粉化再生ゴム粉末は、例えば、カーボンブラック、シリカなどの充填剤、硫黄、及び促進剤、様々な種類の添加剤だけでなく、例えば、天然ゴム(NR)、スチレンブタジエンゴム(SBR)、ブタジエンゴム(BR)などの異なる種類のゴムを含むことができる。
【0025】
微粉化再生ゴム粉末は、当該技術分野において既知のプロセスで得ることができる。例えば、微粉化再生ゴム粉末を、水の存在下で、極低温プロセス、機械的製粉プロセス、又は高圧プロセスで得てもよい。全てのプロセスにおいて、鋼成分を磁気分離機によって除去し、繊維成分を空気分級器、又は他の分離装置によって分離する。極低温プロセスにおいては、粉砕ゴムを極低温で凍結させ、その後、小粒子に粉砕する。機械的にゴムを小粒子にするために、機械的製粉プロセスは、一般的に室温(25℃)で実行され、例えば、クラッカーミル、グラニュレーター等の種々の製粉装置を使用する。高圧手段では、水の存在下で、ゴム製品、例えば廃タイヤを高圧のウォータージェットに曝し、タイヤの最外部を削って小粒子を生成させる。
【0026】
本発明においては、当該技術分野で既知のプロセスのいずれか一つによって得られた微粉化再生ゴム粉末を、例えば、上記プロセスのいずれかによって使用してもよい。
【0027】
本発明において有利に使用され得、現在市販されている微粉化再生ゴム粉末の例は、Lehigh Technologies社製PolyDyne(登録商標)(d90が0.074mm~0.4mm)、Albatros社製ゴム粉末B.0/0.35(d90<0.35mm)、Tyre Recicling Solutions社製TyreXol(登録商標)CWN 0-400(d90<0.33mm)の商品名で知られている製品である。
【0028】
本発明の好ましい実施形態によると、ステップ(a)において、前記1種以上の界面活性剤は、例として、例えば脂肪酸のポリオキシエチレン誘導体、アルキルポリグルコシド、エタノールアミド、エトキシ化アミド、エトキシ化アミン、エトキシ化酸、ポリオキシエチレンアルキル-エーテル、又はそれらの混合物等の非イオン界面活性剤から選択してもよい。
【0029】
本発明のさらなる好ましい実施形態によると、ステップ(a)において、前記1種以上の界面活性剤は、例として、例えばカルボキシレート基又はスルホネート基で末端処理された炭素原子長鎖により形成された塩[例えば、ラウリル硫酸ナトリウム(SLS)、ラウリルエトキシ硫酸ナトリウム(SLES)]、アルキルベンゼンスルホン酸(ABS)、多スルホン化芳香族エーテル(例えば、Dow Chemical社製Dowfax(登録商標) 2A1)、又はそれらの混合物;例えばカプロン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、若しくはそれらの混合物などの分子内に6~22個の炭素原子を含む飽和又は不飽和脂肪酸のナトリウム塩、カリウム塩、リチウム塩、若しくはアンモニウム塩、好ましくはナトリウム塩若しくはカリウム塩、又は前記塩の混合物;アビエチン酸、ネオアビエチン酸、パルストリン酸、レボピマール酸、又はそれらの混合物を含む樹脂酸の混合物の二量化、不均化、水素化、変性によって得られる変性樹脂酸のナトリウム塩、カリウム塩、リチウム塩、若しくはアンモニウム塩、好ましくはナトリウム塩若しくはカリウム塩、又は前記塩の混合物[例えば、Parchem社製の樹脂酸カリウム石鹸80% Gresinox 578Mの不均化に由来するカリウム塩]等のアニオン界面活性剤から選択してもよい。
【0030】
本発明のさらなる好ましい実施形態によると、ステップ(a)において、前記1種以上の界面活性剤は、例として、例えば長鎖第4級アンモニウム塩[例えば、塩化ベンザルコニウム(BAC)、臭化セチルトリメチルアンモニウム(CTAB)、臭化ヘキサデシルトリメチルアンモニウム]、又はそれらの混合物等のカチオン界面活性剤から選択してもよい。
【0031】
本発明のさらなる好ましい実施形態によると、ステップ(a)において、前記1種以上の界面活性剤は、例として、例えばコカミドプロピルベタイン、ドデシルベタイン、レシチン、アミノカルボン酸、又はそれらの混合物等の両性界面活性剤から選択してもよい。
【0032】
本発明のさらなる好ましい実施形態によると、前記ステップ(a)は、20℃~90℃の範囲、好ましくは50℃~80℃の範囲の温度で、ミキサーのサイズに依存し、均質懸濁液を得るのに十分な可変時間、好ましくは、2分~60分の範囲、好ましくは4分~40分の範囲である時間実行してもよい。
【0033】
均質懸濁液、即ち、微粉化再生ゴム粉末が水及び界面活性剤の全体積にわたって均質に分散している懸濁液を得るのに適した攪拌システムを設けたミキサーで、微粉化再生ゴム粉末、水、及び1種以上の界面活性剤を混合することにより、前記ステップ(a)を実行してもよい。好ましくは、前記攪拌システムは、例えば45°「ピッチブレード」タイプのインペラ等の混合二次流れインペラ、又は例えばLightninのA310 3-ブレードプロペラなどの純粋な軸流れの「水中翼」タイプのインペラで構成されていてもよい。
【0034】
上記のように操作することによって、安定した均質な(「不透明な」)懸濁液が、ステップ(a)の最後に得られることに留意すべきである。本明細書の目的において、「安定した均質な懸濁液」という用語は、このような懸濁液では、室温(25℃)において、攪拌せずに5分以上、目に見える層化、相分離、又は沈殿が見られないことを意味する。
【0035】
本発明のプロセスの対象において、使用されるスチレン-ブタジエンラテックスを、当該技術分野で既知のプロセスによって、例えば米国特許第4,070,324号明細書、及び米国特許第5,504、168号明細書、又はEl-Aasser M.S. and Sudol D.,“Emulsion Polymerization and Emulsion Polymers”(1997)、Klein A. and Daniel E.S.Ed., John Wiley and Sons, New York, Chapter VI,37-55ページで報告されているようなエマルジョンラジカル共重合によって得てもよい。
【0036】
本発明の好ましい実施形態によると、前記ステップ(b)において、前記1種以上のスチレン-ブタジエンラテックスは、スチレン-ブタジエンポリマーの量が、前記ラテックスの全重量に対して、10重量%~50重量%の範囲、好ましくは15重量%~30重量%の範囲であってもよく、結合スチレンの量が、前記ラテックスの全重量に対して、10重量%~60重量%の範囲、好ましくは20重量%~50重量%の範囲であってもよい。
【0037】
本発明の好ましい実施形態によると、前記ステップ(b)において、ステップ(a)で得られた懸濁液は、微粉化再生ゴム粉末の量が、ラテックスに含まれるスチレンブタジエンゴムの全重量に対して、5重量%~95重量%の範囲、好ましくは8重量%~35重量%の範囲であるような量で加えてもよい。
【0038】
前記ステップ(b)を、微粉化再生ゴム粉末を含むスチレン-ブタジエンラテックスを得るのに適した攪拌システムを設けたミキサー(「プレミキサー」と呼ばれる)で実行してもよく、前記微粉化再生ゴム粉末は、ラテックス中で均一に分散している。好ましくは、前記攪拌システムは、例えば45°「ピッチブレード」タイプのインペラ等の混合二次流れインペラ、又は例えばLightninのA310 3-ブレードプロペラなどの純粋な軸流れの「水中翼」タイプのインペラで構成されていてもよい。
【0039】
本発明の実施形態によると、前記ステップ(b)を、温度20℃~90℃の範囲、好ましくは50℃~80℃の範囲において、ミキサーのサイズに依存し、微粉化再生ゴム粉末を含むスチレン-ブタジエンラテックスを得るのに十分な可変時間、ミキサー(プレミキサーと呼ばれる)で実行してもよく、前記粉末を、好ましくは、1分~45分、好ましくは5分~15分間、ラテックス中で均質に分散させる。
【0040】
前記ミキサー(プレミキサーと呼ばれる)では、スチレン-ブタジエンゴムの製造におけるエマルジョンラジカル共重合プロセス(e-SBR)で一般的に使用されるさらなる成分を加えてもよく、該成分は、例えば、上述したものから選択される界面活性剤、エキステンダー油、酸化防止剤であり、スチレン-ブタジエンゴムの前記エマルジョンラジカル共重合プロセス(e-SBR)に関するさらなる詳細は、例えば米国特許4,070,324号明細書、及び米国特許5,504,168号明細書、又は上述のEl-Aasser M.S. and Sudol D.の“Emulsion Polymerization and Emulsion Polymers” (1997), Lovell P. A and El-Aasser Ed.,John Wiley and Sons, New York, Chapter VI,208-234ページで見つけることができる。
【0041】
代わりに、前記ステップ(b)を、前記ステップ(c)(凝固)を行う同一の凝固ミキサー(「凝固タンク」と呼ばれる)で行ってもよく、この場合においては、ステップ(a)で得られた懸濁液とスチレン-ブタジエンラテックスの混合が、前記凝固ミキサー(「凝固タンク」と呼ばれる)で直接行われる[ステップ(c1)]。
【0042】
そのため、これは本発明のさらなる対象であり、プロセスは、以下のステップ:
(a1) 微粉化再生ゴム粉末と、水と、1種以上の界面活性剤とを含む懸濁液を調製するステップと、
(c1) ステップ(a)で得られた懸濁液と、1種以上のスチレン-ブタジエンラテックスとを混合し、全体を凝固させて微粉化再生ゴム粉末を含む凝固スチレン-ブタジエンゴムを得るステップと、を含み、
ステップ(a1)において、前記微粉化再生ゴム粉末の粒径が、0.05mm~0.8mmの範囲、好ましくは0.1mm~0.4mmの範囲であり、
ステップ(a1)において、前記1種以上の界面活性剤が、前記微粉化再生ゴム粉末の全重量に対して、0.5重量%~3重量%の範囲、好ましくは1重量%~2.5重量%の範囲の量で存在し、
ステップ(a1)において、前記微粉化再生ゴム粉末は、水中濃度が、前記水の全重量に対して、1重量%~50重量%の範囲、好ましくは5重量%~30重量%の範囲である。
【0043】
前記ステップ(b)が、前記ステップ(c)(凝固)が実行される同一の凝固ミキサー(「凝固タンク」と呼ばれる)で行われる場合、即ち、[ステップ(c1)]の場合には、ステップ(b)について上述した条件と同一の条件下で操作することによって、前記さらなる成分をラテックス中に均質に分散させたスチレン-ブタジエンゴムラテックスを得るために、ミキサー(「プレミキサー」と呼ばれる)で、上述したさらなる成分と、スチレン-ブタジエンゴムラテックスとの混合を更に行ってもよいことに留意されたい。
【0044】
前記ステップ(a1)は、ステップ(a)について上述した条件と同一の条件下で操作して実行する。
【0045】
本発明の好ましい実施形態によると、前記ステップ(c1)において、前記1種以上のスチレン-ブタジエンラテックスは、スチレン-ブタジエンポリマーの量が、前記ラテックスの全重量に対して、10重量%~50重量%の範囲であってもよいし、好ましくは15重量%~30重量%の範囲であってもよく、また、結合スチレンの量が、前記ラテックスの全重量に対して、10重量%~60重量%の範囲であってもよいし、好ましくは20重量%~50重量%の範囲であってもよい。
【0046】
本発明の好ましい実施形態によると、ステップ(c1)において、ステップ(a1)で得られた懸濁液は、微粉化再生ゴム粉末の量が、ラテックス中に含まれるスチレン-ブタジエンゴムの全重量に対して、5重量%~95重量%の範囲、好ましくは8重量%~35重量%の範囲であるような量で加えてもよい。
【0047】
本発明の好ましい実施形態によると、前記ステップ(c)及びステップ(c1)を、例えば、アルキルアミン-エピクロリジン共重合体(例えば、NSF社製の商品名Floquat(登録商標)FL 2250で知られるジメチルアミン-エピクロルヒドリン共重合体)から選択され得る1種以上の凝固剤の存在下で行ってもよい。
【0048】
凝固剤及び、例えば界面活性剤、エキステンダー油、酸化防止剤等の存在し得る他の成分の量は、使用されるラテックス及び微粉化再生ゴム粉末の量によって変化する。
【0049】
本発明の好ましい実施形態によると、前記ステップ(c)及びステップ(c1)は、40℃~90℃の範囲、好ましくは60℃~80℃の範囲の温度で、凝固ミキサー(「凝固タンク」と呼ばれる)のサイズ、ステップ(a)又はステップ(a1)で得られた懸濁液の量及び使用されたスチレン-ブタジエンラテックスの量、温度、並びにpH、使用される攪拌システムに依存する可変時間、好ましくは5分~120分の範囲の時間、好ましくは10分~60分の範囲の時間行ってもよい。
【0050】
本発明の好ましい実施形態によると、前記ステップ(c)及びステップ(c1)を、pH5以下、好ましくは2.5~4の範囲で行ってもよい。
【0051】
本発明の好ましい実施形態によると、例えば硫酸、リン酸、好ましくは硫酸等の1種以上の無機酸を、前記ステップ(c)及びステップ(c1)に加えてもよい。
【0052】
本発明の好ましい実施形態によると、前記1種以上の有機酸を、前記ステップ(c)及びステップ(c1)の全期間において、pHを5以下、好ましくは2.5~4の範囲に維持するような量で加えてもよい。
【0053】
前記ステップ(c)及びステップ(c1)を、攪拌システムを設けた凝固ミキサー(「凝固タンク」と呼ばれる)で行ってもよい。前記ステップ(b)を、前記ステップ(c)と同一の凝固ミキサー(「凝固タンク」と呼ばれる)で行う場合に[ステップ(c1)]、前記攪拌システムは、スチレン-ブタジエンラテックス中に微粉化再生ゴム粉末を均質に分布させられることにも適していることに留意されたい。好ましくは、前記攪拌システムが、例えば45°「ピッチブレード」タイプのインペラ等の混合二次流れインペラ、又は例えばLightninのA310 3-ブレードインペラ等の純粋な軸流れの「水中翼」タイプのインペラで構成されていてもよい。
【0054】
凝固後、微粉化再生ゴム粉末を含むスチレン-ブタジエンゴムは、通常、クラム状で存在している。
【0055】
例えば、炭酸ナトリウム溶液等の1種以上の有機塩基を含む水溶液を加え、その後、水で洗浄することにより、前記クラムを中和するのが好ましい。前記洗浄に使用される水は、脱イオン水及び非脱イオン水のいずれであってもよい。
【0056】
好ましくは、前記水での洗浄は、35℃~90℃の範囲、好ましくは40℃~90℃の範囲の温度で行ってもよい。
【0057】
微粉化再生ゴム粉末を含むスチレン-ブタジエンゴムを、水で1回以上洗浄、例えば1回~7回洗浄してもよく、該洗浄を、バッチ式又は連続式、好ましくは連続式で行ってもよい。微粉化再生ゴム粉末を含むスチレン-ブタジエンゴムの部分乾燥を、洗浄と洗浄の間に行ってもよい。
【0058】
水での洗浄後、微粉化再生ゴム粉末を含むスチレン-ブタジエンゴムは、通常、水分を除去(「脱水」)される。水分の除去は、微粉化再生ゴム粉末を含むスチレン-ブタジエンゴムを、まず、例えばスクリュー装置を用いて機械的処理を行い、次に例えばストーブ、ホットプレートを用いて蒸発させることによって、2ステップで行ってもよいし、或いは微粉化再生ゴム粉末を含むスチレン-ブタジエンゴムを、例えばストーブ、ホットプレートを用いて直接蒸発させることによって、単一のステップで行ってもよい。前記水分の除去(「脱水」)は、40℃~150℃の範囲、好ましくは60℃~120℃の範囲の温度で、5分より長い時間、好ましくは8分~45分の範囲の時間行ってもよいが、該時間は、残留水分含有量がスチレン-ブタジエンゴムの全重量の1重量%未満である、微粉化再生ゴム粉末を含むスチレン-ブタジエンゴムを得るのに十分な時間でなければならない。
【0059】
本発明の好ましい実施形態によると、前記プロセスを、「バッチ式」及び連続式のいずれで行ってもよく、連続式で行うのが好ましい。
【0060】
上述したように、そのままの、又は例えば天然ゴム(NR)、ポリブタジエン(BR)、スチレン-ブタジエン共重合体、若しくはそれらの混合物等の他のゴムとの混合物中の、前述のプロセスにより得られた、微粉化再生ゴム粉末を含むスチレン-ブタジエンゴムは、加硫可能なエラストマー組成物で有利に使用してもよく、該組成物は、次に例えばタイヤ、靴底、ブレーキ、コンベアベルト等の様々なセクターで使用してもよい。
【0061】
例えば、前記微粉化再生ゴム粉末を含むスチレン-ブタジエンゴムを、タイヤの作製に適した加硫可能なエラストマー組成物において、カーボンブラック及び/又はシリカと混合して使用してもよい。
【0062】
したがって、本発明のさらなる対象は、上述のように得られた微粉化再生ゴム粉末を含む1種以上のスチレン-ブタジエンゴムと、カーボンブラック、シリカ又はそれらの混合物から選択された1種以上の充填剤と、1種以上の加硫剤と、を含む加硫可能なエラストマー組成物である。好ましくは、前記充填剤は、5phr~500phrの範囲の量で前記加硫可能なエラストマー組成物中に存在してもよい。
【0063】
前記加硫可能なエラストマー組成物は、前記微粉化再生ゴム粉末を含むスチレン-ブタジエンゴムに加えて、例えば天然ゴム(NR)、ポリブタジエン(BR)又はそれらの混合物等の他のエラストマーを含んでもよい。
【0064】
本発明及び以下の特許請求の範囲において、「phr」という用語は、存在する微粉化再生ゴム粉末を含むスチレン-ブタジエンゴム、及び加硫可能なエラストマー組成物中に任意で存在する他のエラストマー100重量部当たりの所与の成分の重量部を意味する。
【0065】
前記加硫剤は、例えば、可溶性若しくは不溶性の元素状硫黄、硫黄供与体又はそれらの混合物から選択してもよい。
【0066】
硫黄供与体は、例えば、ジモルホリルジスルフィド(DTDM)、2-モルホリノ-ジチオベンゾチアゾール(MBSS)、カプロラクタムジスルフィド、ジペンタメチレンチウラムテトラスルフィド(DPTT)、テトラメチルチウラムジスルフィド(TMTD)、又はそれらの混合物である。
【0067】
加硫剤が硫黄又は硫黄供与体から選択される場合、加硫量を増加させるために、例えばジチオカルバメート、チウラム、チアゾール、スルフェンアミド、キサントゲン酸塩、グアニジン誘導体、カプロラクタム、チオ尿素誘導体、又はそれらの混合物等の他の添加物(例えば促進剤)を使用することも有利であり得る。
【0068】
前記加硫可能なエラストマー組成物において、前記硫黄及び/又は前記硫黄供与体、並びに任意で存在する上述の前記他の添加剤は、通常、0.05phr~10phrの範囲、好ましくは0.1phr~8phrの範囲の量で存在している。
【0069】
他の成分を、本発明の加硫可能なエラストマー組成物に加えてもよい。
【0070】
例えば、無機化合物又は有機化合物を加えてもよい。前記化合物の例は、酸化亜鉛、炭酸亜鉛、酸化鉛、飽和若しくは不飽和有機脂肪酸又はそれらの亜鉛塩、ポリアルコール、アミノアルコール(例えば、トリエタノールアミン)、アミン(例えば、ジブチルアミン、ジシクロヘキシルアミン、シクロヘキシルエチルアミン)、ポリエーテルアミン、或いはそれらの混合物がある。
【0071】
また、例えば、N-シクロヘキシル-チオフタルイミド(PVI)、N,N’-ジニトロソペンタメチレン-テトラミン(DNPT)、無水フタル酸(PTA)、ジフェニルニトロソアミン、又はそれらの混合物等の加硫阻害剤を加えてもよい。
【0072】
上述の加硫剤及び/又は他の化合物に加えて、本発明の加硫可能なエラストマー組成物の対象は、例えば、他の充填剤、充填剤の活性剤、オゾン保護剤、老化防止剤、酸化防止剤、加工助剤、エキステンダー油、可塑剤、補強材、離型剤等のエラストマー組成物に習慣的に使用され、当業者に既知の他のさらなる添加剤を含んでいてもよい。
【0073】
本発明において使用され得る他の充填剤は、例えば、硫酸バリウム、二酸化チタン、酸化亜鉛、酸化カルシウム、炭酸カルシウム、酸化マグネシウム、酸化アルミニウム、酸化鉄、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、ケイ酸アルミニウム、珪藻土、タルク、カオリン、ベントナイト、カーボンナノチューブ、テフロン(登録商標)(粉末状が好ましい)、ケイ酸塩、又はそれらの混合物である。ただし、充填剤の全量は、5phr~500phrの範囲である。
【0074】
本発明において使用され得る充填剤の活性剤は、例として、例えばビス(トリエトキシシリルプロピル)ポリスルフィド、ビニルトリメチルシラン、ビニルジメトキシメチルシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリス-(2-メトキシエトキシ)シラン、N-シクロヘキシル-3-アミノプロピル-トリメトキシシラン、3-アミノ-プロピルトリメトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、トリメチルエトキシシラン、イソオクチルトリメトキシシラン、イソオクチルトリエトキシシラン、ヘキサデシルトリメトキシシラン、(オクタデシル)メチルジメトキシシラン、又はそれらの混合物等の有機シランがある。さらなる充填剤の活性剤は、例えば、トリエタノールアミン、エチレングリコール、又はそれらの混合物等の界面活性剤がある。充填剤の活性剤の量は、通常、0phr~10phrの範囲である。
【0075】
本発明のさらなる対象は、前記加硫可能なエラストマー組成物の加硫で得られた加硫物である。
【0076】
ここで、以下で説明される図1及び図2を参照して、実施形態で本発明をより詳細に説明する。
【0077】
図1は、本発明のプロセスの対象の第一の実施形態を概略的に示している。これにおいては、微粉化再生ゴム粉末(微粉化粉末)、水、及び1種以上の界面活性剤(例えばカリウム石鹸80% Gresinox 578M)を、攪拌システム(例えば、45°「ピッチブレード」タイプのインペラ、又はLightnin社製の3-ブレードプロペラ A310)を備えた第一のミキサー(1)に供給し、(「不透明な」)懸濁液を得る[ステップ(a)]。ステップ(a)で得られた(「不透明な」)懸濁液を、攪拌システム(例えば、45°「ピッチブレード」タイプのインペラ、又はLightnin社製3-ブレードプロペラ A310)を備えた第二のミキサー(2)に供給し、また、スチレン-ブタジエンラテックス(SBRラテックス)及び任意の他の成分[例えば、界面活性剤、エキステンダー油、酸化防止剤(他の成分)]も第二のミキサー(2)に供給して微粉化再生ゴム粉末を含むスチレン-ブタジエンラテックスを得る[ステップ(b)](SBRラテックス+微粉化粉末)。得られたラテックスを、攪拌システム(例えば、45°「ピッチブレード」タイプのインペラ、又はLightnin社製3-ブレードプロペラ A310)を備えた第三のミキサー(例えば、「凝固タンク」と呼ばれる凝固ミキサー)に供給し、また、酸(例えば硫酸)及び凝固剤(例えば、Floquat FL 2250)も第三のミキサーに供給して凝固させ[ステップ(c)]、(例えば炭酸ナトリウムの水溶液で)pH中和をし、水で洗浄し、水を除去して(「脱水」)、微粉化再生ゴム粉末を含むスチレン-ブタジエンゴム(eSBRゴム+微粉化粉末)を得る。
【0078】
図2は、本発明のプロセスの対象の第二の実施形態を概略的に示している。これにおいては、微粉化再生ゴム粉末(微粉化粉末)、水、及び1種以上の界面活性剤(例えばカリウム石鹸80% Gresinox 578M)を、攪拌システム(例えば、45°「ピッチブレード」タイプのインペラ、又はLightnin社製3-ブレードプロペラ A310)を備えた第一のミキサー(1)に供給し、(「不透明な」)懸濁液を得る[ステップ(a1)]。攪拌システム(例えば、45°「ピッチブレード」タイプのインペラ、又はLightnin社製3-ブレードプロペラ A310)を備えた第二のミキサー(2)(「プレミキサー」と呼ばれる)に、スチレン-ブタジエンラテックス(SBRラテックス)、及び任意の他の成分[例えば、界面活性剤、エキステンダー油、酸化防止剤(さらなる成分)]を供給し、前記他の成分を含むスチレン-ブタジエンラテックス(SBR+さらなる成分)を得る。得られたラテックスを、攪拌システム(例えば、45°「ピッチブレード」タイプのインペラ又はLightnin社製3-ブレードプロペラ A310)を備えた第三のミキサー(例えば第三のミキサー(例えば「凝固タンク」として知られる凝固ミキサー))に供給し、また、ステップ(a1)で得られた(「不透明な」)懸濁液、酸(例えば硫酸)、及び凝固剤(例えば、Floquat FL 2250)も第三のミキサーに供給して、全体を凝固させ[ステップ(c1)]、(例えば、炭酸ナトリウムの水溶液で)pH中和をし、水で洗浄し、水を除去して(「脱水」)微粉化再生ゴム粉末を含むスチレン-ブタジエンゴム(eSBR+微粉化粉末)を得る。
【実施例
【0079】
本発明をより理解し、実行するために、いくつかの例示的で限定されない本発明の例を以下で説明する。
【0080】
例1
45°「ピッチブレード」タイプのインペラで構成される攪拌システムを備えた第一の20リットルミキサー中に、廃タイヤ(ELT)由来の微粉化再生ゴム粉末[ゴム粉末B.0/0.35mm(d90<0.35mm)-Albatoros]67.5g、水675mL、及びアニオン界面活性剤(カリウム石鹸80% Gresinox 578M-Parchem)の10重量%水溶液13.5gを投入し、全体を310rpmで攪拌しながら、5分間、60℃で維持し、765gの(「不透明な」)懸濁液を得た。
【0081】
(「不透明な」)懸濁液を、45°「ピッチブレード」タイプのインペラで構成される攪拌システムを備えた第二の20リットルミキサー(「プレミキサー」と呼ばれる)に送り、スチレン-ブタジエンラテックス(前記ラテックスの全重量に対して、スチレン-ブタジエンのポリマー量が21重量%であり、スチレン量が40重量%である)3.2リットル、酸化防止剤(Irganox(登録商標)1520L-Basf)2.7g、芳香油[RAE(「残留芳香族抽出物」)-Clematis RL-Eni]252g、及びアニオン界面活性剤(カリウム石鹸80% Gresinox 578M-Parchem)の10重量%水溶液25gを投入し、全体を310rpmで攪拌しながら、10分間、60℃に維持し、微粉化再生ゴム粉末を含むスチレン-ブタジエンラテックス4.25リットルを得た。
【0082】
45°「ピッチブレード」タイプのインペラで構成される攪拌システムを備えた第三の70リットルミキサー(例えば、「凝固タンク」と呼ばれる凝固ミキサー)中に、脱イオン水10リットルを投入し、温度を70℃にした後、硫酸(Aldrich)をpH値が3に達するまで徐々に供給し、その後、上述のように得られた微粉化再生ゴム粉末を含むスチレン-ブタジエンラテックス4.25リットルを、約0.7リットル/分の流量で投入し、また、凝固剤(Floquat FL 2250-SNF)13.4グラムを投入した。最後に、全体を100rpmで攪拌しながら、さらに30分間、温度70℃、pH3に維持し、凝固中、pHを3に維持するために、必要であれば硫酸(Aldrich)を再び加えた。その後、さらに100rpmで攪拌しながら、温度を80℃にした後に、pHを6.5-7にするために炭酸ナトリウム(Aldrich)を加え、所望のpHに達したら、微粉化再生ゴム粉末を含むスチレン-ブタジエンゴムクラムを回収するために、凝固ラテックスを濾過し、その後、脱イオン水の流れの下において、温度約70℃で10分間洗浄した。
【0083】
10分後、微粉化再生ゴム粉末を含むスチレン-ブタジエンゴムクラムを、100℃で24時間、空気乾燥機中で乾燥させた(残留水分:1%未満)。
【0084】
例2
例2を、異なる量の成分を使用し、例1と同一の操作条件下で操作して実行した。表1は、微粉化再生ゴム粉末を含むスチレン-ブタジエンゴムの製造のための様々な成分の量を示している。
【0085】
【表1】

*:適量
【0086】
例3
例3を、異なる量の成分及び異なる芳香油[TDAE(「処理済み留出芳香族抽出物)]を使用し、例1と同一の操作条件下で操作して実行した。表2は、微粉化再生ゴム粉末を含むスチレン-ブタジエンゴムの製造のための様々な成分の量を示している。
【0087】
【表2】

*:適量
【0088】
例4
例4を、異なる量の成分、異なるスチレン-ブタジエンラテックス(前記ラテックスの全重量に対して、スチレン-ブタジエンポリマーの量が21重量%、スチレン量が23.5重量%である)、及び芳香油なしで、例1と同一の操作条件下で操作して実行した。表3は、微粉化再生ゴム粉末を含むスチレン-ブタジエンゴムの製造のための様々な成分の量を示している。
【0089】
【表3】
*:適量
【0090】
例5
上述の例1及び例2で得られた微粉化再生ゴム粉末を含むスチレン-ブタジエンゴムを、トレッド用配合物を製造するために使用した。
【0091】
例1で得られた微粉化再生ゴム粉末を含むスチレン-ブタジエンゴムを含む配合物を、以下(A)と呼ぶ。
【0092】
例2で得られた微粉化再生ゴム粉末を含むスチレン-ブタジエンゴムを含む配合物を、以下(B)と呼ぶ。
【0093】
上記配合物の物理的機械的性質を、
(C) 乾式混合により加えたスチレン-ブタジエンゴム(Europrene(登録商標) 1739-Versalis)及び廃タイヤ(ELT)由来の微粉化再生ゴム粉末[ゴム粉末B.0/0.35(d90<0.35mm)-Albatros](10phr)を含む配合物
(D) 乾式混合により加えたスチレン-ブタジエンゴム(Europrene(登録商標) 1739-Versalis)及び廃タイヤ(ELT)由来の微粉化再生ゴム粉末[ゴム粉末B.0/0.35(d90<0.35mm)-Albatros](20phr)を含む配合物
のように定めた他の二つの配合物の物理的機械的性質と比較した。
【0094】
配合物の調製
配合物を、1.6リットルのバンバリータイプのインターナルミキサーで調製した。操作条件を表4に示し、成分及び量は表5で与えられる。
【0095】
【表4】

*FF:充填率
【0096】
次に、サンプルを、ISO 6502-1:2018規格に準拠して、160℃で加硫した。
【0097】
【表5】
【0098】
e-SBR+微粉化粉末:例1及び2において上述のようにして得られた微粉化再生ゴム粉末を含むスチレン-ブタジエンゴム
Europrene(登録商標)1739(e-SBR):エマルジョンで得られた油展スチレン-ブタジエンゴム(TDAE-オイル)(Versalis)
ELT:ゴム粉末B.0/0.35(d90<0.35mm)-Albatros
N220:カーボンブラック
芳香油:TDAE(「処理済み留出芳香族抽出物」)-NORMAN 346-ORGKHIM
WB220(加工助剤):Struktol
ステアリン酸:Sigma Aldrich
TMQ(酸化防止剤):2,2,4-トリメチル-1,2-ジヒドロキノリン重合物(Nord Chemie)
Rhenogran(登録商標)ZnO 80(活性剤):酸化亜鉛(Lanxess)
TBBS(促進剤):N-tert-ブチル-2-ベンゾチアジルスルフェンアミド、Vulkacit(登録商標)NZ/EGC(Lanxess)
TBTD 80(促進剤):テトラブチルチウラムジスフフィド(Sigma Aldrich)
【0099】
表6は、得られた加硫配合物の物理的-機械的性質、及び対応する測定方法を示している。
【0100】
【表6】
【0101】
表6で報告されているデータによると、本発明のプロセスに従って得られた微粉化再生ゴム粉末を含むスチレン-ブタジエンゴムを含む配合物[配合物(A)及び配合物(B)]は、スチレンブタジエンゴム及び再生ゴム粉末を含む、乾式混合により得られた配合物[配合物(C)及び配合物(D)]に比べて、物理的-機械的性質を維持しているか、或いは向上さえもしていることが明らかである。特に、引き裂き抵抗及び摩耗体積に関して、配合物(A)及び配合物(B)は、配合物(C)及び配合物(D)に比べて、それぞれ向上していることを示していることに注目すべきである。
【0102】
例6
配合物(B)の物理的-機械的性質を、微粉化再生ゴム粉末を含むスチレン-ブタジエンゴムSBR+20phrの粒径0.8~2.5mmのELT(Tritogran 1-P-0.8-2.5mm--Tritogom)を含む配合物(E)と比較した。前記ゴムは、例1で説明した操作によって得た。
【0103】
配合物(E)を、例5で報告した操作条件下(即ち、同一の混合、加速、及び加硫サイクル)、及び配合物(B)について表5で報告した成分及び量と同一の成分及び量(即ち、157.5phrのe-SBR+微粉化再生ゴム粉末+同一のphrの前記さらなる成分)で操作をすることにより得た。
【0104】
表7は、得られた加硫配合物の性質及び関係する測定方法を示している。
【0105】
【表7】
【0106】
表7で報告したデータから、本発明のプロセスに従って得られた微粉化再生ゴム粉末を含むスチレン-ブタジエンゴムを含む配合物[配合物(B)]は、スチレン-ブタジエンゴム及び粒径がより大きい再生ゴム粉末を含む配合物[配合物(E)]と比べて、物理的-機械的性質が向上していることが明らかである。
図1
図2
【国際調査報告】