(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-11-02
(54)【発明の名称】ウエハ状の物品を処理するための装置
(51)【国際特許分類】
H01L 21/304 20060101AFI20231026BHJP
【FI】
H01L21/304 643A
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023524533
(86)(22)【出願日】2021-10-14
(85)【翻訳文提出日】2023-06-21
(86)【国際出願番号】 EP2021078522
(87)【国際公開番号】W WO2022084160
(87)【国際公開日】2022-04-28
(32)【優先日】2020-10-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】510141648
【氏名又は名称】ラム・リサーチ・アーゲー
【氏名又は名称原語表記】LAM RESEARCH AG
(74)【代理人】
【識別番号】110000028
【氏名又は名称】弁理士法人明成国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ホーエンヴァルター・カール-ハインツ
(72)【発明者】
【氏名】バンダラプ・バスカー
(72)【発明者】
【氏名】プッツィ・クリスティアン
【テーマコード(参考)】
5F157
【Fターム(参考)】
5F157AA03
5F157AB14
5F157AB33
5F157AB90
5F157BB32
5F157BB33
5F157BB43
5F157BB44
5F157BB52
5F157CF02
5F157DC90
(57)【要約】
【解決手段】ウエハ状の物品を処理するための装置であって、ウエハ状の物品を支持するための支持体と、支持体に支持されたウエハ状の物品の表面に処理液を分注するための液体ディスペンサとを備え、液体ディスペンサは、ノズルアセンブリであって、入口部分と、分注ノズルと、入口部分と分注ノズルとの間の静的スロットルとを備えるノズルアセンブリを備え、静的スロットルは、処理液が入口部分から分注ノズルまで流れることができる複数の流路を備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ウエハ状の物品を処理するための装置であって、
前記ウエハ状の物品を支持するための支持体と、
前記支持体に支持された前記ウエハ状の物品の表面に処理液を分注するための液体ディスペンサと、を備え、
前記液体ディスペンサは、ノズルアセンブリを備え、
前記ノズルアセンブリは、
入口部分と、
分注ノズルと、
前記入口部分と前記分注ノズルとの間の静的スロットルであって、前記処理液が前記入口部分から前記分注ノズルまで流れることができる複数の流路を備える静的スロットルと、を備える、装置。
【請求項2】
請求項1に記載の装置であって、
前記複数の流路は、複数のボアホールを備える、装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の装置であって、
前記分注ノズルの内面の少なくとも一部は親水性である、装置。
【請求項4】
請求項1~3のいずれか一項に記載の装置であって、
前記分注ノズルの内面の少なくとも一部は、90°以下、または80°以下、または45°以下の水静的接触角を有する材料を含む、装置。
【請求項5】
請求項1~4のいずれか一項に記載の装置であって、
前記分注ノズルの内面の少なくとも一部は、PCTFEまたはPFAを含む、装置。
【請求項6】
請求項1~5のいずれか一項に記載の装置であって、
前記分注ノズルの長さは、前記分注ノズルの内径の少なくとも4倍、または、前記分注ノズルの内径の少なくとも5倍、または、前記分注ノズルの内径の少なくとも6倍、または、前記分注ノズルの内径の少なくとも7倍である、装置。
【請求項7】
請求項1~6のいずれか一項に記載の装置であって、
前記入口部分の内径は、前記分注ノズルの内径よりも大きい、装置。
【請求項8】
請求項1~7のいずれか一項に記載の装置であって、
前記ノズルアセンブリを通る流体流の直径は、前記静的スロットルを通るとすぐに減少する、装置。
【請求項9】
請求項1~8のいずれか一項に記載の装置であって、
前記複数の流路の少なくともいくつかについて、前記流路の出口は、前記流路の入口よりも前記ノズルアセンブリの中心軸に近い、装置。
【請求項10】
請求項1~9のいずれか一項に記載の装置であって、
前記ノズルアセンブリは、1つの材料片から加工される、装置。
【請求項11】
請求項1~10のいずれか一項に記載の装置であって、
前記分注ノズルの内面の少なくとも一部は、0.5μm以下、または0.4μm以下、または0.3μm以下、または0.2μm以下の表面粗さRaを有する、装置。
【請求項12】
請求項1~11のいずれか一項に記載の装置であって、
前記複数の流路は、各々、0.8mm≦d≦1.6mmの範囲の直径dを有する、装置。
【請求項13】
請求項1~12のいずれか一項に記載の装置であって、さらに、
前記液体ディスペンサへの処理液の供給をオンおよびオフするための制御弁であって、前記ノズルアセンブリの上流に位置する制御弁を備える、装置。
【請求項14】
ウエハ状の物品を処理するための装置において使用するためのノズルアセンブリであって、
入口部分と、
分注ノズルと、
前記入口部分と前記分注ノズルとの間の静的スロットルであって、処理液が前記入口部分から前記分注ノズルまで流れることができる複数の流路を含む静的スロットルと、
を備える、ノズルアセンブリ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ウエハ状の物品を処理するための装置に関し、かかる装置において用いるためのノズルアセンブリにも関する。
【背景技術】
【0002】
半導体ウエハは、エッチング、洗浄、研磨、および材料堆積などの様々な表面処理プロセスに曝されてよい。
【0003】
少なくともいくつかのこれらの表面処理プロセスは、ウエハの表面に液体を塗布することを含む。例えば、ウエハの表面は、フッ化水素酸などの処理液をウエハ表面の選択した場所に塗布することによってエッチングされてよい。あるいは、ウエハの表面は、イソプロピルアルコールまたは脱イオン水などの洗浄液またはリンス液をウエハ表面に塗布することによって洗浄されてよい。
【0004】
ウエハは、液体がウエハ表面に塗布されたときは、例えば、ウエハを保持する回転チャックを用いて回転されて、ウエハ表面にわたる液体の分散が促進されてよい。液体が洗浄液またはリンス液である場合は、かかるプロセスはスピン洗浄プロセスと呼ばれてよい。
【0005】
さらに、ウエハの表面は次に、ウエハの表面で液体の蒸発を生じさせるために、ウエハを加熱することで乾燥されてよい。
【0006】
半導体ウエハの液体処理に用いられうる装置の例は、US2017/0345681A1に記載されており、その内容は参照により本明細書に援用される。
【0007】
半導体ウエハの液体処理に用いられうる装置のさらなる例は、US9,799,539B2に記載されており、その内容も参照により本明細書に援用される。
【0008】
US9,799,539B2で説明されるように、ウエハの表面に液体を分注するために用いられる液体ディスペンサからの流出液滴は、ウエハに損傷をもたらす可能性がある。これは、ウエハが欠陥品になり、廃棄する必要があるだろうことを意味する。例えば、液体がウエハの表面をエッチングするために用いられる処理液である場合は、流出液滴はウエハに不正確なエッチングを生じさせるだろう。
【0009】
US9,799,539B2は、そのような流出液滴が生じるのを防ぐことを目的とする、ウエハ状の物品の液体処理用装置を開示する。
【0010】
図1(US9,799,539B2の
図1に対応する)に示されるように、US9,799,539B2は、ウエハWを保持するためのスピンチャック1を備える装置を開示する。例えば、スピンチャック1は、ウエハWを支持する一連の把持ピンを備えてよい。スピンチャック1は、チャンバ2の内部に位置し、通常、半導体ウエハの単一ウエハのウェット処理用の処理モジュール内にある。液体ディスペンサアセンブリは、チャック1の上方に位置し、制御弁6を介して処理液の供給源5に接続された液体ディスペンサアーム4を備える。液体ディスペンサアーム4は、その遠位端にノズルアセンブリ3を備える。液体ディスペンサアーム4は、スピンチャック1へのウエハWの出し入れを容易にするために、ウエハWの上にならない待機位置に対して回動可能または直線移動可能であることが好ましい。
【0011】
スピンチャック1は、次にモータ7によって回転駆動する下軸を介して回転する。コントローラ8は、スピンチャック1を回転させるためのモータ7の動作、および、供給源5からの処理液流を開閉するための弁6の動作を調整することを含む、スピンチャック1の全動作を制御する。
【0012】
図2(US9,799,539B2の
図2に対応する)に示されるように、US9,799,539B2のノズルアセンブリ3は、ノズルアセンブリ3の内部に位置する逆止弁9を備える。逆止弁9は、ねじバネ12によって弁座11に対する閉位置に向けて付勢された弁体10を含む。
【0013】
US9,799,539B2に開示された装置の使用では、ウエハWはスピンチャック1に設置され、コントローラ8は、選択されたrpmでウエハを回転させるようにモータ7に信号を送る。次にコントローラ8は、ディスペンサアーム4への処理液の供給源5を開くように制御弁6に信号を送る。
【0014】
処理液は、入口/上流側(
図2のノズルアセンブリの上部)からノズルアセンブリ3に入るため、処理液の供給圧は、弁体10を弁座11から離して下向きに動かすのに十分であり、その結果、処理液はノズルアセンブリ3を通ってノズルアセンブリ3の出口/下流側(
図2のノズルアセンブリの底部)から流れ続けることができる。処理液は、ノズルアセンブリ3の出口/下流側からウエハWに分注される。
【0015】
処理液によるウエハWの所望の処理の最後に、コントローラ8は制御弁6に閉じるように信号を送る。ノズルアセンブリ3内の処理液の圧力が低下するため、弁体10は、バネ12によって弁座11に対する閉位置に戻るように促される。
【0016】
そのため、ノズルアセンブリ3の逆止弁は、所望の流れが停止したほぼ直後に閉まり、所望の流れの後(例えば、所望の流れに続くディスペンサアームの動作中)に処理液が垂れることができないようにする。
【発明の概要】
【0017】
US9,799,539B2に開示の配備は、処理液の不要な液だれを防ぐ点で有効であることが示され、多くの用途に適しているが、本発明者は、US9,799,539B2に開示の配備が状況次第でいくつかの望ましくない影響をもたらしうることに気が付いた。
【0018】
例えば、いくつかの状況では、US9,799,539B2で用いられた逆止弁は、その可動部により粒子を発生させるまたは捕捉する可能性があり、望ましくない。例えば、発生した粒子は、処理液および/またはウエハの汚染を引き起こしうる。
【0019】
本発明は、この問題に対処することを目的としている。
【0020】
最も一般的には、本発明は、ウエハ状の物品を処理するための装置用液体ディスペンサに関し、液体ディスペンサのノズルは、複数の流路を含む静的スロットルを備える。
【0021】
本発明者は、かかる静的スロットルをノズルに含むことで、処理液の供給が停止したときに液だれが生じることを防ぐのに役立つことができることを発見した。さらに、静的ノズルは可動部を含まないため、US9,799,539B2の逆止弁と同様に粒子を発生させない、または捕捉しない。本発明の第1の態様により、ウエハ状の物品を処理するための装置が提供される。この装置は、ウエハ状の物品を支持するための支持体と、支持体に支持されたウエハ状の物品の表面に処理液を分注するための液体ディスペンサとを備え、液体ディスペンサはノズルアセンブリを備え、ノズルアセンブリは、入口部分と、分注ノズルと、
【0022】
入口部分と分注ノズルとの間の静的スロットルであって、処理液が入口部分から分注ノズルまで流れることができる複数の流路を含む静的スロットルとを備える。
【0023】
本発明者は、かかるノズルアセンブリを液体ディスペンサに設けることで、処理液の供給が停止したときに液だれが生じることを防ぐのに役立ちうることを発見した。さらに、静的ノズルは可動部を含まないため、US9,799,539B2の逆止弁と同様に粒子を発生させない、または捕捉しない。
【0024】
本発明の第1の態様による装置は、以下の任意の特徴のいずれか1つ、または、組み合わせ可能な場合はそれらの任意の組み合わせを有してよい。
【0025】
ウエハ状の物品は、半導体ウエハであってよい。
【0026】
ウエハ状の物品の処理は、その表面の液体処理を含んでよい。例えば、処理は表面のエッチングまたはリンスを含んでよい。
【0027】
支持体はチャックであってよい。
【0028】
支持体は、ウエハ状の物品を回転させるように回転可能であってよい。例えば、支持体は、スピンチャックなどの回転可能なチャックであってよい。装置は、支持体を回転させるためのモータを備えてよい。
【0029】
液体ディスペンサは、液体を分注するための機構、またはシステム、または配備である。
【0030】
装置は、処理液を液体ディスペンサに供給するための処理液供給源を備えてよい。
【0031】
液体ディスペンサは分注アームを備えてよく、ノズルアセンブリは、分注アームの遠位端に、またはそこに隣接して設置されてよい。流通路は、処理液をノズルアセンブリに供給するための分注アーム内に設けられてよい。
【0032】
分注アームは、ウエハ状の物品の表面上方で動けるように、分注アームの近位端において回転可能に取り付けられよい、または枢着されてよい。
【0033】
より一般的には、ノズルアセンブリは、ウエハ状の物品の異なる部分に処理液を分注するために、ウエハ状の物品の表面上方において移動可能であってよい。例えば、装置は、ウエハ状の物品に対してノズルアセンブリを動かすためのX-YステージまたはX-Y-Zステージを備えてよい。
【0034】
ノズルアセンブリという用語は、ノズル、またはノズル配備、またはノズル部材、またはノズル要素、またはノズル部という用語で置き換えられてよい。
【0035】
ノズルアセンブリの入口部分は、処理液がノズルアセンブリに流入するノズルアセンブリの部品または部分である。
【0036】
例えば、ノズルアセンブリの入口部分は、処理液流に接続可能なノズルアセンブリ内の流路または室を含んでよい。
【0037】
分注ノズルは、処理液がノズルアセンブリから分注(出力)されるノズルアセンブリの部品または部分である。そのため、実際には分注ノズルは、処理液がノズルアセンブリから分注されるノズルチップを有するだろう。
【0038】
実際には処理液は、分注ノズルからウエハ状の物品の表面に直接分注されるだろう。
【0039】
一般に、静的スロットルという用語は、ノズルアセンブリを通る処理液流を調整し、可動部を有さない、部分、または部材、または要素を意味する。処理液流の調整は、処理液流の減少、または処理液流への対向、または処理液流の制限を意味してよい。
【0040】
静的スロットルは、入口部分と分注ノズルとの間に位置する。例えば、静的スロットルは、入口部分を分注ノズルに直接接続してよい、および/または、入口部分を分注ノズルから分離してよい。
【0041】
複数の流路は、それぞれの入口および出口に対して、分離した、および/または個別の、および/または別個の流路である。
【0042】
複数の流路は、静的スロットルの入口部分側に入口を有し、静的スロットルの分注ノズル側に出口を有する。
【0043】
流路という用語は、代わりに流通路、またはチャネル、またはボア、またはボアホールという用語に置き換えられてよい。
【0044】
複数の流路は、複数のボアホールを備えてよい。
【0045】
複数のボアホールは、材料ブロックで加工されてよい。あるいは、ノズルは3Dプリント(追加製造)によって製作できる。
【0046】
流路は、5以上、または9以上、または15以上であってよい。
【0047】
分注ノズルの内面の少なくとも一部は親水性であってよい。例えば、複数の流路の出口における、またはそこに隣接する分注ノズルの少なくとも内面は親水性であってよい。
【0048】
分注ノズルの内面全体は、実質的にまたは完全に親水性であってよい。
【0049】
ノズルアセンブリの内面全体は、実質的にまたは完全に親水性であってよい。
【0050】
親水性であるとは、表面が90°以下、または80°以下、または45°以下の水静的接触角を有する材料を含むことを意味してよい。
【0051】
親水性表面は、PCTFEまたはPFAを含んでよい。
【0052】
分注ノズル全体は、実質的にまたは完全にPCTFEまたはPFAなどの親水性材料から形成されてよい。
【0053】
ノズルアセンブリ全体は、実質的にまたは完全にPCTFEまたはPFAなどの親水性材料から形成されてよい。
【0054】
かかる親水性内面を設けることで、処理液の供給が停止したときに液だれが発生することを防ぐのに役立つ。
【0055】
分注ノズルの長さは、分注ノズルの内径の少なくとも4倍、または分注ノズルの内径の少なくとも5倍、または分注ノズルの内径の少なくとも6倍、または分注ノズルの内径の少なくとも7倍であってよい。
【0056】
本発明者は、かかる長さの分注ノズルにより、複数の流路を通る個々の流れが、ノズルアセンブリを通る異なる流量であっても、融合して十分に発達した、実質的に均一な速度プロファイルを形成するのに十分な空間を有することを発見した。
【0057】
入口部分の内径または幅は、分注ノズルの内径または幅よりも大きくてよい。
【0058】
より一般的には、ノズルアセンブリを通る流体流の直径または幅は、静的スロットルを通るとすぐに減少してよい。そのため静的スロットルは、ノズルアセンブリを通る流体流のネッキングまたは狭窄をもたらす。
【0059】
複数の流路の少なくともいくつかについて、流路の出口は、その入口よりもノズルアセンブリの中心軸に近くてよい。そのため、流体流の直径または幅は、静的スロットルを通るとすぐに減少する。
【0060】
静的スロットルの入口部分側の流路の入口は、静的スロットルの分注ノズル側の流路の出口よりも広い面積にわたって広がってよい、または及んでよい、または延びてよい。
【0061】
つまり、入口部分側の流路の入口の包絡面は、分注ノズル側の流路の出口の包絡面よりも大きくてよい。
【0062】
流路は、実質的にまたは完全に線状(直線)であってよい。
【0063】
いくつかの流路は、流路の出口がその入口よりも中心軸に近くなるように、ノズルアセンブリの中心軸に対して角度がつけられてよい。
【0064】
少なくともいくつかの流路は、ノズルアセンブリの中心軸に平行であってよい。例えば、1以上の中央流路は、ノズルアセンブリの中心軸に平行に延びてよく、1以上の周囲流路は、その出口がその入口よりも中心軸に近くなるようにノズルアセンブリの中心軸に対して角度がつけられてよい。
【0065】
ノズルアセンブリは、1つの材料から加工されてよい。
【0066】
分注ノズルの内面の少なくとも一部は、0.5μm以下、または0.4μm以下、または0.3μm以下、または0.2μm以下の表面粗さRaを有する。
【0067】
分注ノズルの内面全体は、実質的にまたは完全にそのような表面粗さを有してよい。
【0068】
ノズルアセンブリの内面全体は、実質的にまたは完全にそのような表面粗さを有してよい。
【0069】
複数の流路は各々、0.8mm≦d≦1.6mmの範囲の直径dを有する。
【0070】
静的スロットルは、その入口部分側に、凹部、または円錐部、またはテーパ部、または漏斗部を備え、その部分の開口部は入口部分に面してよい。流路の入口は、この部分の底面(分注ノズルに面した表面)に位置してよい。
【0071】
この装置はさらに、液体ディスペンサへの処理液の供給をオンおよびオフするための制御弁を備え、制御弁はノズルアセンブリの上流に位置してよい。本発明の第2の態様により、ウエハ状の物品を処理するための装置で用いるためのノズルアセンブリが設けられ、ノズルアセンブリは、入口部分と、分注ノズルと、入口部分と分注ノズルとの間の静的スロットルであって、処理液が入口部分から分注ノズルまで流れることができる複数の流路を含む静的スロットルと、を備える。
【0072】
本発明の第2の態様によるノズルアセンブリは、上記の本発明の第1の態様のノズルアセンブリの特徴のいずれかを有してよい、または、組み合わせ可能な場合はそれらの任意の組み合わせを有してよい。これらの特徴は、簡潔にするために本明細書において繰り返しては説明されない。
【図面の簡単な説明】
【0073】
ここで、本発明の実施形態は、添付の図面を参照して例示のみにより説明される。
【
図3】本発明の実施形態によるノズルアセンブリの概略図。
【
図5】本発明の別の実施形態によるノズルアセンブリの概略図。
【
図7】
図5および
図6に示したノズルアセンブリの流体流計算モデルの図。
【発明を実施するための形態】
【0074】
好ましい実施形態の詳細な記述と、発明の必須ではないさらなる構成
【0075】
本発明の実施形態により、半導体ウエハの液体処理用装置は、
図1に示され上記された構成を有してよい。この説明は、簡潔にするためにここでは繰り返されない。
【0076】
当然のことながら、本発明による装置は、
図1に示された装置とは異なってよい。例えば、チャックは回転不能なチャックであってよい、ならびに/または、
図1に示されたチャックとは異なる形状および/もしくは構成を有してよい。
【0077】
本実施形態による装置は、少なくともノズルアセンブリ3の構成においてUS9,799,539B2に開示された装置とは異なる。
【0078】
本発明の実施形態によるノズルアセンブリ3は、
図3に示されている。
【0079】
図3に示されるように、ノズルアセンブリ3は、入口部分13および分注ノズル15(または、出口部分15)を備える。入口部分13は、直接または1以上の追加部品を介して(例えば、中間液体流通路を介して)、液体ディスペンサアーム4の液体流通路に接続されている。そのため液体は、液体ディスペンサアーム4の液体流通路を通り、入口部分13を介してノズルアセンブリ3に流れ込むことができる。
【0080】
当然のことながら、入口部分13は、
図3に示された入口部分とは異なる形状および/または構成を有してよい。例えば、入口部分13の長さは、
図3に示された長さよりも長くてよいもしくは短くてよい、ならびに/または、入口部分13の内幅および/もしくは外幅は、
図3に示された内幅および/もしくは外幅よりも大きいもしくは小さくてよい、ならびに/または、入口部分13の内部形状および/もしくは外部形状は、
図3に示された内部形状および/もしくは外部形状と異なってよい。
【0081】
ノズルアセンブリ3の分注ノズル15は、ノズルアセンブリ3からウエハWの表面に液体を分注するためのものである。具体的には、液体は分注ノズル15のチップ16から直接分注される。
【0082】
当然のことながら、分注ノズル15は、
図3に示された分注ノズルとは異なる形状および/または構成を有してよい。例えば、分注ノズル15の長さは、
図3に示された長さよりも長くてよいもしくは短くてよい、ならびに/または、分注ノズル15の内幅および/もしくは外幅は、
図3に示された内幅および/もしくは外幅よりも大きいもしくは小さくてよい、ならびに/または、分注ノズル15の内部形状および/もしくは外部形状は、
図3に示された内部形状および/もしくは外部形状と異なってよい。
【0083】
ノズルアセンブリ3の入口部分13の流体通路(または、流体流通路)の直径(または、幅)は、ノズルアセンブリ3の分注ノズル15の流体通路(または、流体流通路)の直径(または、幅)よりも大きい。
【0084】
静的スロットル17は、ノズルアセンブリ3の入口部分13と分注ノズル15との間に位置する。具体的には、静的スロットル17は、入口部分13を分注ノズル15に接続する。
【0085】
静的スロットル17は、入口部分13から分注ノズル15への液体流を制限する。
【0086】
一般に、静的スロットルという用語は、ノズルアセンブリ3を通る液体流を調整し、可動部を有さない、部分、または部材、または要素を意味する。
【0087】
静的スロットル17は、静的スロットル17の入口部分13側から静的スロットル17の分注ノズル15側に延びる複数のボアホール19(またはチャネル19、または流通路19)を備え、そこを通じて液体が入口部分13から分注ノズル15に流れることができる。
【0088】
静的スロットル17は、液体が静的スロットル17に形成された複数のボアホール19を通って入口部分13から分注ノズル15のみに流れうるように、ノズルアセンブリ3の分注ノズル15からノズルアセンブリ3の入口部分13を区画する。
【0089】
図4には、静的スロットル17の平面図が示されている。
図4に示されるように、この実施形態では、静的スロットル17は9のボアホール19のパターンを備える。しかし、特定数のボアホール19は本発明にとって必要不可欠ではなく、静的スロットル17は複数のボアホール19を備えるだけでよい。
【0090】
例えば、
図5および
図6は、静的スロットル17が9のボアホール19ではなく15のボアホール19を有する、本発明の別の実施形態を示す。
【0091】
図3および
図5では、分かりやすくするためにいくつかのボアホール19しか示されていない。
【0092】
さらにボアホール19は、静的スロットル17において特定のパターンに配置される必要はない。
【0093】
ノズルアセンブリ3を通る流体流の直径または幅は、静的スロットル17を通るとすぐに減少する。そのため静的スロットル17は、ノズルアセンブリ3を通る流体流のネッキングをもたらす。
【0094】
具体的には、静的スロットル17の入口部分13側のボアホール19の入口は、静的スロットル17の分注ノズル15側のボアホール19の出口よりも広い面積にわたって広がる、または及ぶ、または延びる。
【0095】
つまり、入口部分13側のボアホール19の入口の包絡面は、静的スロットル17の分注ノズル15側のボアホール19の出口の包絡面よりも大きい。
【0096】
例えば、少なくともいくつかのボアホール19について、ボアホール19の出口は、ボアホール19の入口よりもノズルアセンブリ3の中心軸に近い。
【0097】
図3および
図5に示された実施形態では、ボアホール19は実質的に(または、完全に)線状(直線)のボアホール19であり、いくつかのボアホール19は、ボアホール19の出口がボアホール19の入口よりもノズルアセンブリ3の中心軸に近くなるように、ノズルアセンブリの中心軸に対して角度がつけられている。
【0098】
例えば加工しやすくするために、実質的に(または、完全に)線状のボアホール19が好ましい。しかし、他の実施形態では、ボアホール19は代わりに非線状(例えば、湾曲状)であってよい。
【0099】
少なくともいくつかのボアホール19は、ノズルアセンブリ3の中心軸に平行であってよい。例えば、
図3および
図4に示された実施形態では、3つの中央ボアホール19は、ノズルアセンブリ3の中心軸に平行に延び、6つの周囲ボアホール19は、それらの出口がそれらの入口よりも中心軸に近くなるようにノズルアセンブリ3の中心軸に対して角度がつけられている。
【0100】
同様に、
図5および
図6に示された実施形態では、5つの中央ボアホール19がノズルアセンブリ3の中心軸に平行に延び、10の周囲ボアホール19は、それらの出口がそれらの入口よりも中心軸に近くなるようにノズルアセンブリ3の中心軸に対して角度がつけられている。
【0101】
静的スロットル17は、静的スロットル17の入口部分13側に、凹部、または円錐部、またはテーパ部、または漏斗部を備えてよく、ボアホール19の入口はこの部分の底面に位置してよい。
【0102】
ノズルアセンブリ3は、1つの材料ブロックから加工されてよい。
【0103】
ノズルアセンブリ3の分注ノズル15の内面の少なくとも一部は、親水性であることが好ましい。例えば、実質的に(または、完全に)分注ノズル15の内面全体が親水性であってよい。親水性であるとは、表面が90°未満の水静的接触角を有する材料を含むことを意味してよい。いくつかの実施形態では、材料は、または80°未満、または45°未満の水静的接触角を有してよい。
【0104】
これは、分注ノズル15を親水性材料から形成することによって、または、分注ノズル15の内面に被膜として親水性材料を塗布することによって実現されてよい。
【0105】
ノズルアセンブリ3の内面全体は、実質的に(または、完全に)親水性であってよい。
【0106】
ノズルアセンブリ全体は、実質的に(または、完全に)親水性材料で製作されてよい。
【0107】
一実施形態では、親水性の内面または材料は、ポリクロロトリフルオロエチレン(PCTFE)またはパーフルオロアルコキシアルカン(PFA)を含んでよい。例えば、ノズルアセンブリ3の分注ノズル15またはノズルアセンブリ3全体は、PCTFEまたはPFAで形成されてよい。PCTFEは、PFAよりも親水性が高いため好ましいだろう。
【0108】
ノズルアセンブリは、1つの親水性材料ブロック(例えば、1つのPCTFEブロックまたはPFAブロック)から加工されてよい。
【0109】
分注ノズル15の長さは、分注ノズル15の内径(分注ノズル15を通る流通路の直径)の少なくとも4倍(例えば、分注ノズル15の内径の7倍)であることが好ましい。例えば一実施形態では、分注ノズル15の内径は6mmであってよく、分注ノズル15の長さは42.5mmであってよい。この構成により、異なるボアホール19から分注ノズル15に入る流れは、融合して、分注ノズルの先端において十分に発達した、実質的に均一な速度プロファイルを形成するのに十分な空間を有する。
【0110】
分注ノズル15の長さは、複数のボアホール19の出口から分注ノズル15のチップ16まで測定される。
【0111】
分注ノズル15の内面の少なくとも一部は、0.5μm以下(例えば、0.4μm以下、または0.3μm以下、または0.2μm以下)の表面粗さRaを有することが好ましい。一実施形態では、内面は0.2μmの表面粗さRaを有してよい。分注ノズル15の内面全体は、実質的に(または、完全に)そのような表面粗さを有してよい。
【0112】
ノズルアセンブリ3の内面全体は、実質的に(または、完全に)そのような表面粗さを有してよい。
【0113】
一実施形態では、静的スロットル17のボアホール19は、1.2mmの直径を有してよい。当然のことながら、他の実施形態ではホールの直径は異なってよい(例えば、0.8mm~1.6mm)。
【0114】
本発明の装置の使用において、ウエハWはスピンチャック1上に設置され、コントローラ8は、選択されたrpmでウエハを回転させるようにモータ7に信号を送る。コントローラ8は次に、ディスペンサアーム4への処理液の供給源5を開放するように制御弁6に信号を送る。
【0115】
処理液は、ディスペンサアーム4の流通路を通り、入口部分13を介してノズルアセンブリ3に流れる。処理液は、複数のボアホール19を介して静的スロットル17を通り、分注ノズル15に流れる。処理液は次に分注ノズル15を通ってチップ16に流れ、そこで処理液が分注ノズル15からウエハWの表面に分注される。
【0116】
図7は、
図5および
図6に示されたノズルアセンブリを通る液体流の流体流計算モデルを示す。
図7では、静的スロットル17を通るとすぐにノズルアセンブリ3の流体流通路の幅が減少(ネッキング)する、各ボアホール9を通る個々の流通路21を見ることができる。
【0117】
図5および
図6に示されたノズルアセンブリを通る流体流の流量分布の計算モデルの結果は、静的スロットル17のボアホール19を通る流路面積の減少が、静的スロットルのすぐ上流の流体速度の減少、および、ボアホール19を通る流体速度の増加をもたらすことを示した。
【0118】
さらに、計算モデルの結果は、特定の長さの分注ノズル15が、分注ノズル15のチップ16における流体流の速度プロファイルが十分に発達し、実質的に均一であることを意味することを示した。
【0119】
処理液によるウエハWの所望の処理の最後に、コントローラ8は制御弁6に閉じるように信号を送る。
【0120】
本発明者は、本発明のノズルアセンブリの特定の構成が、処理液の供給が停止されると(例えば、処理液Wでウエハの処理を実行した後に分注ノズルを動かすときに)液だれが生じるのを防ぐことを発見した。さらに、静的スロットル17に可動部がないことで、粒子の発生または捕捉が防止または制限される。
【0121】
特定の理論に縛られるわけではないが、静的スロットルの使用は、処理液の供給が停止された後に形成される静的液柱が移動することを回避するとされる。そのため、液柱の下端に形成されたメニスカスが傾斜する可能性が回避される。これは次に、停止した流体がノズルチップから流れ出ることを回避する。しかし、本発明のノズルアセンブリの特定の構成は液だれが生じるのを防ぐ、という特定の理論は、本発明の必要不可欠な部分ではない。
【0122】
別の実施形態では、チャックは回転されず、代わりに静止位置においてウエハを支持するだけであってよい。
【0123】
分注アーム4は、ウエハWの任意部分に処理液を選択的に分注するために、ウエハWの任意部分の上方にノズルアセンブリ3を制御可能に位置決めするように移動可能であってよい。
【国際調査報告】