(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-11-02
(54)【発明の名称】燃料噴射弁
(51)【国際特許分類】
F02M 51/06 20060101AFI20231026BHJP
F02M 55/02 20060101ALI20231026BHJP
F02M 59/44 20060101ALI20231026BHJP
【FI】
F02M51/06 T
F02M55/02 350D
F02M59/44 B
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023524600
(86)(22)【出願日】2021-09-09
(85)【翻訳文提出日】2023-05-30
(86)【国際出願番号】 EP2021074828
(87)【国際公開番号】W WO2022083936
(87)【国際公開日】2022-04-28
(31)【優先権主張番号】102020213354.9
(32)【優先日】2020-10-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】591245473
【氏名又は名称】ロベルト・ボッシュ・ゲゼルシャフト・ミト・ベシュレンクテル・ハフツング
【氏名又は名称原語表記】ROBERT BOSCH GMBH
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【氏名又は名称】松尾 淳一
(72)【発明者】
【氏名】プフェファーレ,ダーフィト
(72)【発明者】
【氏名】シュトラートマン,エーゴン
(72)【発明者】
【氏名】ポインドル,マルクス
(72)【発明者】
【氏名】クロマー,ラルフ
【テーマコード(参考)】
3G066
【Fターム(参考)】
3G066BA36
3G066BA56
3G066BA61
3G066CC01
3G066CD10
(57)【要約】
本発明による燃料噴射弁(1)は、特に、燃料分配ライン(4)の受入開口部(12)に対する流入部(7)の改良された封止が実現されていることを特徴とする。このために、流入部(7)に支持リング(25)が設けられており、支持リング(25)は、流入側の封止リング(5)に下から係合する。燃料噴射弁(1)は、弁ハウジング(22)の少なくとも一部を形成するプラスチック射出成形体(18)をさらに有する。本発明によれば、封止リング(5)に下から係合する支持リング(25)が、封止リング(5)に面するプラスチック射出成形体(18)の上端面(28)に直接載置するように、燃料噴射弁(1)に位置決めされ、したがって、封止リング(5)の軸方向支持は、プラスチック射出成形体(18)によって間接的に行われる。燃料噴射弁は、燃料を混合気圧縮点火型内燃機関の燃焼室に直接噴射するのに特に適する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内燃機関の燃料噴射システム用の、特に内燃機関の燃焼室に燃料を直接噴射するための燃料噴射弁(1)であって、
その励起によって弁ニードルの持ち上げ運動が実現可能であり、それにより、弁座面と共に封止座部を形成する弁閉鎖体の作動が可能にされる、アクチュエータと、
燃料供給用の流入側の流入部(7)であり、それを取り囲む封止リング(5)が設けられている流入部(7)と、
弁ハウジング(22)の少なくとも一部を形成するプラスチック射出成形体(18)と、
を備える燃料噴射弁(1)において、
前記封止リング(5)が、支持リング(25)によって下から係合されており、前記支持リング(25)がさらに、前記封止リング(5)に面する前記プラスチック射出成形体(18)の上端面(28)に直接載置し、前記封止リング(5)の軸方向支持が、前記プラスチック射出成形体(18)によって間接的に行われる、
ことを特徴とする燃料噴射弁(1)。
【請求項2】
前記プラスチック射出成形体(18)の前記上端面(28)が、円錐状に斜めに延びて構成されていることを特徴とする請求項1に記載の燃料噴射弁。
【請求項3】
前記流入部(7)が金属で形成されており、円錐状に延びるショルダ(26)を有し、
前記プラスチック射出成形体(18)の前記上端面(28)と、前記流入部(7)の前記円錐状に延びるショルダ(26)とが、同じ傾斜で延び、前記弁ハウジング(22)の周方向で一様な上部傾斜終端部を形成する、
ことを特徴とする請求項2に記載の燃料噴射弁。
【請求項4】
前記支持リング(25)が、前記プラスチック射出成形体(18)の前記上端面(28)に向けられた円錐形の内側を有することを特徴とする請求項2または3に記載の燃料噴射弁。
【請求項5】
前記プラスチック射出成形体(18)の前記上端面(28)が、弁の長手方向軸に対して直角に平らに延びて構成されており、
前記支持リング(25)が、その下側で、前記上端面(28)に平らに載置可能である、
ことを特徴とする請求項1に記載の燃料噴射弁。
【請求項6】
前記支持リング(25)が、前記封止リング(5)のための、前記封止リング(5)に面する断面がV字形の載置面(35)を有することを特徴とする請求項1~5のいずれか一項に記載の燃料噴射弁。
【請求項7】
前記支持リング(25)の前記V字形の載置面(35)が2つの側面を有し、流体圧力がかかるときに、前記側面に前記封止リング(5)を介して2つの力成分が作用することを特徴とする請求項6に記載の燃料噴射弁。
【請求項8】
前記支持リング(25)の前記V字形の載置面(35)が、中央で丸みを帯びていることを特徴とする請求項6または7に記載の燃料噴射弁。
【請求項9】
前記支持リング(25)の前記V字形の載置面(35)の前記径方向内側の側面が、前記支持リング(25)の前記V字形の載置面(35)の前記径方向外側の側面よりも軸方向延在域が低く構成されていることを特徴とする請求項6~8のいずれか一項に記載の燃料噴射弁。
【請求項10】
前記プラスチック射出成形体(18)の前記上端面(28)の近くでの前記流入部(7)の外周に、少なくとも1つの環状凹部(33)が設けられており、
前記少なくとも1つの環状凹部(33)に、前記プラスチック射出成形体(18)の最終射出成形時にプラスチックが入り込むことができ、それにより、前記プラスチック射出成形体(18)が、前記流入部(7)に対する軸方向変位を防止されている、
ことを特徴とする請求項1~9のいずれか一項に記載の燃料噴射弁。
【請求項11】
前記軸方向で最も上流の凹部(33)が、前記プラスチック射出成形体(18)の円錐状に延びる前記上端面(28)の高さに、したがって前記円錐面に当接する前記支持リング(25)のすぐ近くに設けられていることを特徴とする請求項10に記載の燃料噴射弁。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、独立形式請求項の分野の燃料噴射弁に基づく。
【背景技術】
【0002】
図1に、例として、従来技術から既知である燃料噴射装置が示されており、その流入部は、エラストマーで作られた既知の封止リングによって燃料分配ラインの受入カップに対して封止されている。燃料噴射装置は、混合気圧縮点火型内燃機関の燃料噴射システムでの使用に特に適する。そのような燃料噴射弁は多数既知であり、例えば独国特許出願公開第10359299号明細書が挙げられる。
【0003】
独国特許出願公開第102017207091号明細書から既に、流入側に円錐状の接続部を有する燃料噴射弁が既知である。ここで、接続部は、燃料分配ラインの受入カップに対する封止のためのリング状の封止要素が配置されている封止セクションを含む。リング状の封止要素は、長手方向軸に対して周方向で封止セクションを取り囲む。さらに、リング状の封止要素は、封止セクションの下端で支持リングによって支持されている。接続部の封止セクションは、少なくともリング状の封止要素および支持リングが接続部を取り囲む領域において、長手方向軸に沿って増大する円周を備え、すなわち円錐に形成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】独国特許出願公開第10359299号明細書
【特許文献2】独国特許出願公開第102017207091号明細書
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1の特徴部に記載の特徴を備える本発明による燃料噴射弁は、燃料分配ラインの受入開口部に対する流入部の改良された封止が実現されているという利点を有する。このために、有利には、流入部に支持リングが設けられており、支持リングは、流入側の封止リングに下から係合し、支持リングは、流入部を少なくとも部分的に取り囲むプラスチック射出成形体の、封止リングに面する上端面に直接載置し、したがって、封止リングの軸方向支持は、プラスチック射出成形体によって間接的に行われる。
【0006】
シリンダヘッドへの取付け状況が特殊であるため大きな軸方向長さを有さなければならないいわゆるロングバルブにおいて特別な利点が得られる。本発明によれば、例えば溶接シームの形での追加の接続が必要とされるであろう流入部の追加の金属製延長部が省かれ得る。この点で、有利には、燃料噴射弁の製造コストが低減され得る。
【0007】
さらなる有利な態様は、燃料分配ラインの接続部に対して燃料噴射弁が最大に傾いたときでも、燃料噴射弁と燃料分配ラインとの金属接触を完全になくすことができ、それにより、燃料噴射弁の振動が別の金属製の構成部品に伝達されず、その点で、望ましくない騒音発生のリスクが最小限に抑えられる。
【0008】
引用形式請求項に記載された手段により、請求項1に記載の燃料噴射弁の有利なさらなる発展形態および改良形態が可能である。
有利には、プラスチック射出成形体の上端面は、円錐状に斜めに延びて構成されており、支持リングも、プラスチック射出成形体の上端面に向けられた円錐形の内側を有し、プラスチック射出成形体への支持リングの最適な当接、および理想的な力の導入を保証する。
【0009】
特に有利には、支持リングが、封止リングに面するV字形の載置面を有する。本発明によれば、封止リングによって付勢される支持リングは、封止リングのためのV字形の円錐載置部を備え、これは、圧力の増加時に支持リングの径方向内側および外側へのわずかな径方向への逃げを可能にし、それにより径方向の隙間が常に回避されることを保証する。
【0010】
有利には、支持リングは、V字形の載置面を有する領域において、支持リングの残りの軸方向延在域よりもいくぶん大きい径方向延在域を有する。このようにして、支持リングは、支持リングのこの上部領域におけるわずかな径方向への圧迫によって、燃料噴射弁と接続部との間の受入空間に既に挿入され得る。流体圧力により、封止リングを介して支持リングのV字形の載置面の2つの側面に2つの力成分が作用する。これらの力は、支持リングのわずかな弾性変形を生じるように作用し、すなわち、弾性変形は、径方向でいくぶん大きい上部領域にある載置面の下で、薄壁領域で径方向内側および外側に生じる。これにより、望ましくない隙間が生じ得ないので、封止リングが支持リングと受入開口部または接続部の壁との間に押し出され得ることが防止される。
【0011】
非常に有利には、プラスチック射出成形体の上端面の近くでの流入部の外周に、少なくとも1つの環状凹部が設けられており、少なくとも1つの環状凹部に、プラスチック射出成形体の最終射出成形時にプラスチックが入り込むことができ、それにより、プラスチック射出成形体が、流入部に対する軸方向変位を防止されている。力の導入を改良するために、軸方向で最も上流の凹部が、プラスチック射出成形体の円錐状に延びる上端面の高さに、したがって円錐面に当接する支持リングのすぐ近くに設けられていると特に有利である。この設計での大きな利点は、プラスチック射出成形体または支持リングがクリープしても、すなわち経時的におよび荷重下で変形しても、燃焼室の方向への支持リングの軸方向運動によって力が常に維持されることである。
【0012】
本発明の例示的実施形態を、簡略化して図面に示し、以下の説明でより詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】既知の実施形態における燃料噴射装置の部分図である。
【
図2】燃料分配ラインの受入開口部の領域での既知の液圧インターフェースを示す図である。
【
図3】本発明に従って燃料噴射弁に配置された支持リングを備えた燃料分配ラインの受入開口部の領域での第1の液圧インターフェースを示す図である。
【
図4】本発明に従って燃料噴射弁に配置された支持リングを備えた燃料分配ラインの受入開口部の領域における第2の液圧インターフェースを示す図である。
【
図5】本発明に従って燃料噴射弁に配置された支持リングを備えた燃料分配ラインの受入開口部の領域における第3の液圧インターフェースを示す図である。
【
図6】本発明に従って燃料噴射弁に配置された支持リングを備えた燃料分配ラインの受入開口部の領域での第4の液圧インターフェースを示す図である。
【
図7】変更された支持リングを備えた流入側の弁端部の本発明による第5の実施形態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明を理解できるように、以下では
図1に基づいて、燃料噴射装置の既知の実施形態がより詳細に述べられる。
図1に、例示的実施形態として、混合気圧縮点火型内燃機関の燃料噴射システム用の噴射弁1の形態での弁が側面図で示されている。燃料噴射弁1は、燃料噴射装置の一部である。下流端で、内燃機関の燃焼室16に燃料を直接噴射するための直噴噴射弁の形態で構成されている燃料噴射弁1は、シリンダヘッド9の受入穴20に取り付けられている。特にPTFEまたはフィラーを含むPTFE製の封止リング2は、シリンダヘッド9の受入穴20の壁に対する燃料噴射弁1の最適な封止を保証する。
【0015】
弁ハウジング22(図示せず)の段差部21または支持要素19(
図1)の下端面21と、例えば受入穴20の長手方向延在域に直角に延びる受入穴20のショルダ23との間に中間要素24が挿入されており、中間要素24は、例えば制振または結合解除要素として働く。そのような中間要素24により、製造公差および組立公差も補償され、燃料噴射弁1がわずかに傾斜している場合でも、横方向の力を受けない支持が保証される。
【0016】
燃料噴射弁1は、その流入側の端部3に、燃料分配ライン(燃料レール)4へのプラグ接続部を有し、プラグ接続部は、封止リング5によって、断面図で示されている燃料分配ライン4の接続部(レールカップ)6と燃料噴射弁1の流入部7との間に封止されている。燃料噴射弁1は、燃料分配ライン4の接続部6の受入開口部12に押し込まれている。ここで、接続部6は、例えば実際の燃料分配ライン4から一部片として突き出し、受入開口部12の上流に小径の流れ開口部15を有し、流れ開口部15を通して燃料噴射弁1の流れが生じる。燃料噴射弁1は、燃料噴射弁1を作動させるための電気接触用の電気コネクタ8を有する。
【0017】
電気コネクタプラグ8は、対応する電気接続を介してアクチュエータ(図示せず)に接続されており、アクチュエータの励起により、弁ニードルの持ち上げ運動が実現可能であり、それにより、弁座面と共に封止座部を形成する弁閉鎖体の作動が可能にされる。いま挙げたこれらの構成部品は明示的には示されておらず、十分に既知である任意の構造形態を有し得る。アクチュエータは、例えば電磁的、圧電的、または磁歪的に動作され得る。
【0018】
燃料噴射弁1と燃料分配ライン4とを径方向の力がほぼない状態で互いに離隔し、燃料噴射弁1をシリンダヘッド9の受入穴20内に確実に押え付けるために、燃料噴射弁1と接続部6との間に押え付け機構10が設けられている。押え付け機構10は、ブラケット形状の構成部品として、例えば打抜き曲げ部品として構成されている。押え付け機構10は、部分リング状の基部要素11を有し、基部要素11から、押え付けクリップ13が曲がって延び、この押え付けクリップ13は、組み立てられた状態で、燃料分配ライン4での接続部6の下流端面14に当接する。
【0019】
図2に、燃料分配ライン4の受入開口部12の領域での既知の液圧インターフェースが示されている。封止リング5は、受入開口部12の内壁と金属製の流入部7との間に固定されており、これは、特に大きな軸方向延在域を備えたいわゆるロングバルブの場合、実際の流入部7での追加の組付け部品である。さらに、封止リング5の下に支持リング25が設けられており、この支持リング25は、例えば、金属製の流入部7またはその組付け部品の円錐状に延びるショルダ26を支持する。したがって、
図2に示される燃料噴射弁1の金属製の流入部7の場合、円錐状に延びるセクションが設けられており、このセクションは、同様に円錐状に延びる内側開口部を備えた支持リング25によって取り囲まれており、さらに部分的に封止リング5によって取り囲まれている。流入部7の円錐状に延びる壁での径方向力の力分布により、とりわけ軸方向の力成分でも、支持リング25の軸方向力が封止リング5の変位力よりも大きいとき、封止リング5が片側で上に滑って円錐セクションから外れる危険がある。この滑りは、封止リング5の圧迫の低減を伴うことがある。したがって、燃料噴射弁1のこの実施形態では、燃料噴射弁1は、流入側の端部3での抜け落ちを防止するために、端部カラー29の領域に径方向支持ディスク30を有する。ここで、径方向支持ディスク30は、プラスチック(例えばPEEK、PPS、POM)または金属(例えばアルミニウム)からなり得る、薄いがコンパクトなディスクとして構成されている。径方向支持ディスク30は、燃料噴射弁1に軸方向で上から、例えば補助マンドレルを介して取り付けられる。代替として、径方向支持ディスク30は、スプレッダグリッパまたは同様のツールを用いて取り付けられてもよい。この点で、径方向支持ディスク30は、流れ方向で見て封止リング5の前に配置されている。
【0020】
図3に、本発明に従って燃料噴射弁1に配置された支持リング25を備えた燃料分配ライン4の受入開口部12の領域での本発明による第1の液圧インターフェースが示されている。燃料噴射弁1は、弁ハウジング22の少なくとも一部を形成するプラスチック射出成形体18を有し、プラスチック射出成形体18は、ここではとりわけ、金属製の流入部7をその延在域の大部分にわたって取り囲む。本発明によれば、プラスチック射出成形体18は、軸方向への広がりで、燃料分配ライン4との液圧インターフェースまで延びる。本発明は、封止リング5に下から係合する支持リング25が、封止リング5に面するプラスチック射出成形体18の上端面28に直接載置することを特徴とし、したがって、封止リング5の軸方向支持は、プラスチック射出成形体18によって間接的に行われる。この場合、プラスチック射出成形体18の上端面28は、円錐状に斜めに延びて構成されている。同じことが、金属製の流入部7の円錐状に延びるショルダ26にも当てはまる。プラスチック射出成形体18の上端面28と金属製の流入部7の円錐状に延びるショルダ26とは、例えば同じ傾斜で互いに滑らかにつながり、したがって弁ハウジング22の周方向で一様な上部傾斜終端部を形成する。支持リング25は、プラスチック射出成形体18の上端面28のみに接触し、一方、封止リング5は、金属製の流入部7の円錐状に延びるショルダ26に載置し、当然、支持リング25の上側にも載置する。弁ハウジング22の傾斜終端部から軸方向距離を取って、流入部7の外周で下流方向に、例えば環状凹部33が設けられていてもよい。複数の凹部33も想定可能であり、それらは互いにわずかに軸方向に離して形成されており、プラスチック射出成形体18の最終射出成形時にプラスチックがそこに入り込むことができ、したがってプラスチック射出成形体18が流入部7に対する軸方向変位を防止されている。
【0021】
図4には、本発明に従って燃料噴射弁1に配置された支持リング25を備えた燃料分配ライン4の受入開口部12の領域における本発明による第2の液圧インターフェースが示されている。これは、
図3に示される本発明による第1の液圧インターフェースとわずかにだけ異なる。この実施形態では、流入部7は後処理によって特徴付けられ、後処理において、流入部7の外周にある凹部33の下に段差部34が作成され、そこから、流入部7の軸方向長さAにわたって、金属製の流入部7の円錐状に延びるショルダ26まで、流入部7の段差部34の下流での外径よりも小さい外径を有する。後処理は、例えば旋削加工によって行うことができる。ここで、流入部7の外径は、例えば0.05mm~0.1mm減少される。これは、流入部7に対するプラスチック射出成形体18の封止がさらに改良されるという利点を有する。
【0022】
図5には、本発明に従って燃料噴射弁1に配置された支持リング25を備えた燃料分配ライン4の受入開口部12の領域における本発明による第3の液圧インターフェースが示されている。ここで、プラスチック射出成形体18は、封止リング5に面するプラスチック射出成形体18の上端面28が、弁の長手方向軸に対して直角に平らに延びることを特徴とする。
【0023】
この場合、本発明に従って配置された環状支持リング25が設けられており、環状支持リング25は、上述した径方向支持ディスク30または別の固定機構を任意選択で取り付ける前に、燃料噴射弁1の流入部7に押し当てられる。ここで、封止リング5によって付勢される支持リング25は、封止リング5のための断面でV字形の切込み状の円錐載置部を備えており、これは、圧力の増加時に封止リング5の径方向内側および外側へのわずかな径方向への逃げが可能にされ、それにより径方向の隙間が回避されることを保証する。支持リング25は、その下側で、プラスチック射出成形体18の直角に延びる上端面28に平らに当接し、したがってそこで相応に支持される。
【0024】
支持リング25は、封止リング5のためのV字形の載置面35を特徴とする。支持リング25は、封止リング5に面する、V字形の載置面35を有するその上部領域において、支持リング25の下面までの支持リング25の残りの軸方向延在域よりもいくぶん大きい径方向延在域を有する。このようにして、支持リング25は、支持リング25のこの上部領域におけるわずかな径方向への圧迫によって、燃料噴射弁1と接続部6との間の受入空間に既に挿入され得る。流体圧力により、封止リング5を介して支持リング25のV字形の載置面35の2つの側面に2つの力成分が作用する。これらの力は、支持リング25のわずかな弾性変形を生じるように作用し、すなわち、弾性変形は、径方向でいくぶん大きい上部領域にある載置面35の下で、薄壁領域で径方向内側および外側に生じる。したがって、流体圧力が上昇したとき、径方向内側および外側に向けて支持リング25の径方向への逃げおよび押圧が生じ、径方向の隙間が常になくされる。
【0025】
ここでも、軸方向で互いにわずかに離隔されて導入される1つまたは複数の凹部33が、プラスチック射出成形体18の上端面28から軸方向距離を取って流入部7の外周に設けられていてもよい。それらは、プラスチック射出成形体18の最終射出成形時にプラスチックがそこに入り込むことができ、したがってプラスチック射出成形体18が流入部7に対する軸方向変位を防止されていることを保証する。
【0026】
図6には、本発明に従って燃料噴射弁1に配置された支持リング25を備えた燃料分配ライン4の受入開口部12の領域での本発明による第4の液圧インターフェースが示されている。この実施形態は、プラスチック射出成形体18の円錐状に斜めに延びる上端面28を備える
図3による実施形態と、封止リング5のための断面図でV字形の切込み状の円錐載置部を有する支持リング25を備える
図5による実施形態との組合せである。追加の重要な本発明による態様は、プラスチック射出成形体18の上端面28の非常に近くで流入部33に凹部33を設けることである。ここで、軸方向で最も上流にある凹部33は、プラスチック射出成形体18の円錐状に延びる上端面28の高さにあり、したがってまた円錐面に当接する支持リング25のすぐ近くにある。
【0027】
この配置により、有利には、プラスチック射出成形体18が、離れた凹部位置の場合よりもはるかに高い軸方向力を流入部7に伝達することができる。その動作様式は以下のようである。システム圧力は、流入部7と接続部6との間を封止する封止リング5に作用する。これにより、封止リング5が燃焼室16の方向に押される。封止リング5は、支持リング25に乗り上げ、支持リング25の円錐形の内側がプラスチック射出成形体18の同様に円錐形の上端面28に当接するまで、支持リング25を燃焼室16の方向に押す。この時点で、支持リング25の長い円筒形の外側は、接続部6に対してまだ小さい隙間を有する。高いシステム圧力により、支持リング25がさらに燃焼室16の方向に押され、支持リング25は、支持リング25のほぼ円筒形の外側が接続部6の内径に完全に当接するまで、円錐形の接触面によって拡げられる。支持リング25の燃焼室側の楔形断面は、システム圧力下で封止リング5によって導入される軸方向力が、円錐面に垂直にプラスチック射出成形体18に加えられることを保証する。円錐角に作用する力は、径方向の力と軸方向の力とに分けることができる。プラスチック射出成形体18への軸方向力成分は、支持リング25が燃焼室16の方向にそれ以上動かないことを保証する。プラスチック射出成形体18への径方向力成分は、本発明に従って流入部7に設計された凹部位置において、プラスチック射出成形体18が1つまたは複数の凹部33に押し込まれ、凹部33を介して流入部7に力を伝達することができることを保証する。この設計での大きな利点は、プラスチック射出成形体18または支持リング25がクリープしても、すなわち経時的におよび荷重下で変形しても、燃焼室16の方向への支持リング25の軸方向運動によって力が常に維持されることである。
【0028】
有利には、所望の円錐度の場合、弁の長手方向軸に対するプラスチック射出成形体18の上端面28の合計角度αは、45°~85°の間であり、理想的には合計角度αは約60°である。したがって、対応する様式で、支持リング25の円錐形の内側の傾斜が設計されている。
【0029】
有利には、支持リング25はプラスチックから製造されており、例えば、30%のガラス繊維を含む材料PA66が適する。支持リング25のV字形の載置面35は、中央で尖る必要はなく、
図5および
図6に示されるように、中央の底部でいくぶん丸みを帯びていてもよい。支持リング25のV字形の載置面35の2つの側面が成す角度は、約60°~100°である。支持リング25は、例えば、異なる高さで延びるV字形の載置面35の2つの側面を有し、径方向内側の側面は、径方向外側の側面の高さよりも軸方向で低い高さを有する。これは、封止リング5が、支持リング25に対していくぶん窪んでいる、より小さい直径を備えた流入部7での受入溝43に差し込まれている場合に有利であり得る。
【0030】
図7には、いくぶん変更された支持リング25を示す、流入側の弁端部の本発明による第5の実施形態が示されている。支持リング25は、V字形の載置面35の代わりに、封止リング5に面し、断面が槽状である封止リング5のための載置面35を有することを特徴とする。ここで、載置面35は、径方向外側の側面から、最初により急勾配で下向きに延び、その後、支持リング25の内縁部まで傾斜が緩やかになり、ほぼ平らに延びる。例えば、流入部7に当接する支持リング25の内側輪郭に環状溝36が設けられており、環状溝36は、支持リング25の実際の円筒状内面が、プラスチック射出成形体18の上端面28の傾斜面上に滑るのを防止する。
【国際調査報告】