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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-11-02
(54)【発明の名称】シート加工機械
(51)【国際特許分類】
   B65H 43/04 20060101AFI20231026BHJP
   B65H 31/00 20060101ALI20231026BHJP
【FI】
B65H43/04
B65H31/00 Z
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023524619
(86)(22)【出願日】2021-10-06
(85)【翻訳文提出日】2023-04-21
(86)【国際出願番号】 EP2021077540
(87)【国際公開番号】W WO2022084038
(87)【国際公開日】2022-04-28
(31)【優先権主張番号】20203077.1
(32)【優先日】2020-10-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.QRコード
(71)【出願人】
【識別番号】512159605
【氏名又は名称】ボブスト メックス ソシエテ アノニム
【氏名又は名称原語表記】Bobst Mex SA
【住所又は居所原語表記】Route de Faraz 3,CH-1031 MEX(VD),Switzerland
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100098475
【弁理士】
【氏名又は名称】倉澤 伊知郎
(74)【代理人】
【識別番号】100130937
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100144451
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 博子
(72)【発明者】
【氏名】シュタイナー マウデ
(72)【発明者】
【氏名】タピス ダニエル
【テーマコード(参考)】
3F048
3F054
【Fターム(参考)】
3F048AA00
3F048AB04
3F048AB07
3F048BA14
3F048BB10
3F048CB13
3F048DA09
3F048DB02
3F048DB07
3F048DB09
3F048DC12
3F048EB04
3F054AA01
3F054AA04
3F054AA07
3F054AC00
3F054CA13
3F054CA23
3F054CA25
3F054DA16
(57)【要約】
シート加工機械(10)の加工ステーションの検出ゾーン(53、78)に光障壁を形成する発光要素及び受光要素を備えるジャム検出デバイス(44、46)有するシート加工機械(10)。ジャム検出デバイス(44、46)は、受光要素に接続されてかつ光障壁が遮断された場合に記録するようになった制御ユニット(48)を更に備える。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ジャム検出デバイス(44、46)を有するシート加工機械であって、
前記ジャム検出デバイス(44,46)は、前記シート加工機械(10)の加工ステーションの検出ゾーン(53、78)に光障壁を形成する発光要素及び受光要素を備え、
前記ジャム検出デバイス(44,46)は、前記受光要素に接続されてかつ前記光障壁が遮断された場合に記録するように構成された制御ユニット(48)を更に備え、
前記発光要素及び前記受光要素によって前記検出ゾーン(53、78)に形成された前記光障壁は、1よりも多い光線を備える光カーテン(62)であり、前記制御ユニット(48)は、前記光線のうちの1又は2以上が遮断された場合に記録するように構成されている、
ことを特徴とするシート加工機械。
【請求項2】
前記受光要素及び前記発光要素は、それぞれ第1のレール(58)及び第2のレール(60)上に装着され、前記第1のレール(58)及び前記第2のレール(60)は、特に互いに平行である、
請求項1に記載のシート加工機械。
【請求項3】
前記検出ゾーン(53、78)は、前記シート加工機械(10)によって加工されたシート(12)又はブランク(11)を収集するためのラック(54)の下に配置される、
請求項1又は請求項2に記載のシート加工機械。
【請求項4】
前記加工ステーションは、前記検出ゾーン(53、78)に少なくとも部分的に配置されたツールを備え、
前記制御ユニット(48)は、前記ツールに関する情報を格納するためのストレージモジュール(50)を備える、
請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載のシート加工機械。
【請求項5】
前記ツールに関する前記情報は、前記光障壁が前記ツールによって遮断される場合、特に、前記光線のうちの1又は2以上が前記ツールによって遮断される場合を示す、光線遮蔽マップを備える、
請求項4に記載のシート加工機械。
【請求項6】
前記ツールに関する前記情報は、ツール識別子を含む、
請求項4又は請求項5に記載のシート加工機械。
【請求項7】
前記制御ユニット(48)は、前記ツール識別子が、関連する光線遮蔽マップと共に前記ストレージモジュール(50)に予め格納されていない場合に、前記ツールの前記光線遮蔽マップを自動的に決定するように構成されている、
請求項6に記載のシート加工機械。
【請求項8】
前記制御ユニット(48)は、前記ツールに関する前記情報を取得するために学習モードに入るように構成されている、
請求項4ないし請求項7のいずれか1項に記載のシート加工機械。
【請求項9】
前記ツールは、ブランキングツール(23)である、
請求項4ないし請求項8のいずれか1項に記載のシート加工機械。
【請求項10】
前記制御ユニット(48)に接続されたヒューマン・マシン・インタフェース(52)を備える、
請求項1ないし請求項9のいずれか1項に記載のシート加工機械。
【請求項11】
前記制御ユニット(48)は、前記光障壁が遮断された場合に前記ヒューマン・マシン・インタフェース(52)に警告メッセージを送信するように構成され、
特に、前記警告メッセージは、前記光障壁の前記遮断が前記ストレージモジュール(50)に格納された前記ツールの前記光線遮蔽マップに対応しない場合にのみ送信される、
請求項10に記載のシート加工機械。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ジャム検出デバイスを有するシート加工機械に関する。
【背景技術】
【0002】
変換機械としても公知のシート加工機械は、原材料、例えば、段ボール、紙又は箔を典型的にはシートの形態の中間製品又は最終製品に加工するのに包装業界で使用されている。変換作動は、例えば、印刷、切断、折り目付け、ブランキング、スタンピング及び/又は折り畳み-接着を含むことができる。典型的には、個々の作動は、シート加工機械の連続加工ステーションで行われ、シートは、移送機構によって1つの加工ステーションから次のものに搬送される。シートは、シート加工機械の指定された積み重ね区域に変換後に垂直スタックに収集することができる。
【0003】
最近のシート加工機械は、シートの高いスループット、すなわち、高い加工速度を可能にする。しかし、高い加工速度は、シート加工機械の加工ステーションのうちの1つでシート又は数片のシートがジャムするリスクを増大する。例えば、ブランキング作動は、ブランキングツールによってシートに切れ目を入れる段階を伴い、切れ目は、その前の加工段階で形成されており、それによってブランクを収集するための積み重ね区域の中に下向きにブランクを押し込める。シート又はブランクのいずれかがブランキングツール内で又は積み重ね区域でジャムした場合に、加工機械の更なる作動は、損傷したブランクの又は少なくとも品質が低下しただけのブランクの全体バッチの生成に至る可能性がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】米国特許出願公開第2007/012204号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、加工機械でのジャムを確実に検出するための手段を提供することである。好ましくは、手段は、単純かつ廉価でなければならない。
【0006】
米国特許出願公開第2007/012204号明細書は、2つの光線にシートの前部を検出させることによる輪転印刷機の出力でのジャム検出システムと、潜在的なジャムを検出するためにシートの適正移動スケジュールを検査するシステムとを開示している。それは、光カーテンを使用しない。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の目的は、ジャム検出デバイスを有するシート加工機械によって解決され、ジャム検出デバイスは、シート加工機械の加工ステーションの検出ゾーンに光障壁を形成する発光要素及び受光要素を備える。ジャム検出デバイスは、受光要素に接続されて光障壁が遮断された場合に記録するように構成された制御ユニットを更に備える。
【0008】
光障壁は、いずれかのシート、ブランク又はその一部が光障壁に沿って検出ゾーンに存在するか否かを検出するための単純かつ費用効果的なオプションである。更に、受光要素から受信した信号は、信頼性の高い測定量である。
【0009】
これに加えて、受光要素の応答時間は、シート加工機械の通常作動、例えば、ブランク分離ステーション内の検出ゾーンを通して押されるブランクに起因する光障壁の遮断と、ジャムしたシート、ブランク及び/又はその数片に起因する遮断とを区別ように十分に低くすることができる。具体的に、ジャムしたシート、ブランク及び/又はその数片は、シート加工機械の通常作動中に検出ゾーンを通るシート又はブランクよりも遥かに長い持続時間にわたって光障壁を遮断すると予想される。
【0010】
発光要素及び受光要素によって検出ゾーンに形成される光障壁は、1よりも多い光線を備える光カーテンであり、制御ユニットは、光線のうちの1又は2以上が遮断された場合に記録するように構成されている。
【0011】
この場合に、発光要素は、1よりも多い発光源を備え、受光要素は、1よりも多い受光センサを備え、各受光センサは、発光源のうちの1つに関連付けられる。
【0012】
光カーテンは、制御ユニットが光カーテンのいずれの遮断も空間分解方式で記録することを可能にする。換言すると、制御ユニットは、検出ゾーン内のあらゆる物体に関する空間分解情報を取得することができる。
【0013】
光カーテンは、発光源の数及び、受光センサの数、検出ゾーンのサイズ並びに発光源と受光センサの関連するペアの間の間隔に応じて、本質的に連続した光カーテンとすることができる。
【0014】
ジャム検出デバイスの信頼性を高めるために、光カーテンは、検出ゾーンの幅の少なくとも80%にわたって、特に、検出ゾーンの幅の少なくとも90%にわたって延びることができる。好ましくは、光カーテンは、シート、ブランク及び/又はその数片が制御ユニットによって記録されることなく検出ゾーンに存在することができないことを確実にするために検出ゾーンの全幅にわたって本質的に延びる。
【0015】
発光要素及び受光要素を整合させるための単純な配置を提供するために、受光要素及び発光要素は、それぞれ第1のレール及び第2のレール上に装着することができ、特に、第1のレール及び第2のレールは、互いに平行である。
【0016】
変形例では、検出ゾーンは、シート加工機械によって加工されたシート又はブランクを収集するためのラックの下に配置される。
【0017】
ラックは、「ノンストップ」とも表記されるノンストップラックとすることができる。そのようなノンストップラックは、典型的には、互いに横方向に離間している「ソーズ(swords)」としても公知の一連の格納可能バーを備える。格納可能バー間に得られる間隔に起因して、ノンストップラック上に積み重ねられるはずのシート又はブランクが格納可能バー間にジャムするリスクが存在する。ジャム検出デバイスは、検出ゾーンがラックの下である場合に、この場合のライト障壁の遮断を記録することができる。換言すると、ジャム検出デバイスは、シート又はブランクがラック上に適正に配置されたかをモニタすることができる。
【0018】
加工ステーションは、検出ゾーンに少なくとも部分的に配置されているツールを備えることができ、制御ユニットは、ツールに関する情報を格納するためのストレージモジュールを備える。
【0019】
物体がジャムされた状態になるリスクは、ツールがシート加工機械内で加工されているシートと相互作用しているので、加工ステーションのツールでより高くなる。ツールのいずれかの不整合及び/又は誤作動は、従って、シート、ブランク又はその数片がシート加工機械内でジャムする原因である場合がある。
【0020】
好ましくは、ツールに関する情報は、光障壁がツールによって遮断される、特に、光線のうちの1又は2以上がツールによって遮断される場合を示す光線遮蔽マップを備える。
【0021】
換言すると、光線遮蔽マップは、検出ゾーンに配置されているツールの一部の形状を表している。制御ユニットは、光線遮蔽マップに基づいてツールの形状を認識しているので、ツールの存在から単にもたらされる光障壁の遮断、特に光線のうちの1又は2以上の遮断は、制御ユニットによって容易に識別することができる。これは、ツールに由来する遮断と検出ゾーンでジャムしている物体に由来する遮断との間で確実に区別することを可能にする。
【0022】
ツールに関する情報は、制御ユニットが異なるツール間で区別することを可能にするために、ツール識別子を含むことができる。
【0023】
ツール識別子は、タグ、例えば、RFIDタグ、バーコード及び/又はQRコードを走査することによって決定することができる。
【0024】
ジャム検出デバイスは、ツールに使用されるタグのタイプを走査するように構成された検出手段を備えることができる。
【0025】
シート加工機械に使用されるツールは、典型的には、それぞれの加工ジョブに必要な変換作動に適するように異なる加工ジョブ間で変更されなければならない。使用される各ツールに対してツール識別子を提供することにより、制御ユニットは、関連のツールと共にストレージモジュールに格納された光線遮蔽マップを自動的に識別することができる。
【0026】
制御ユニットは、加工ステーションに使用される各ツールに対して関連する光線遮蔽マップが利用可能であることを確実にするために、ツール識別子が関連する光線遮蔽マップと共にストレージモジュールに予め格納されてはいない場合にツールの光線遮蔽マップを自動的に決定するように構成されることができる。
【0027】
これは、制御ユニットがシート加工機械のオペレータによるいずれの介入もなしに光線遮蔽マップを自動的に決定することができることを意味し、先行の不明なツール識別子は、決定された光線遮蔽マップに関連付けられるようになる。
【0028】
ツールに関する情報を取得するために、制御ユニットは、学習モードに入るように構成されることができる。好ましくは、光線遮蔽マップの自動決定は、学習モードで行われる。
【0029】
ツールは、特にブランキングツールである。ブランキング作動中に、対応するブランク分離ステーション内で物体がジャムした状態になるリスクは、ブランクを加工されたシートからうまく分離しなければならないので、特に高い。従って、ブランキングツールの正しい機能をモニタすることは、シート加工機械の作動における遮断を防止するのに特に適している。
【0030】
シート加工機械は、シート加工機械のオペレータにシート加工機械の現在状態に関する情報を提供するために、制御ユニットに接続されたヒューマン・マシン・インタフェース、例えば、タッチ感応ディスプレイを備えることができる。
【0031】
好ましくは、制御ユニットは、光障壁が遮断された場合にヒューマン・マシン・インタフェースに警告メッセージを送信するように構成され、特に、警告メッセージは、光障壁の遮断がストレージモジュールに格納されたツールの光線遮蔽マップに対応しない場合にのみ送信される。
【0032】
警告メッセージは、更に、検出ゾーン内でジャムした物体の識別を容易にするように検出ゾーン内の遮断された光障壁の正確な位置を含むことができる。
【0033】
ツール情報、特にツール識別子は、正しいツールが取り付けられたことをオペレータが確認することを可能にするようにヒューマン・マシン・インタフェース上に表示させることができる。ツール識別子を、オペレータによって供給することができ、制御ユニットに送信することもできる。
【0034】
更に、制御ユニットが学習モードにある時に、メッセージをヒューマン・マシン・インタフェース上に表示して、取り付けられたツールに関する追加情報を取得する必要があることをオペレータに通知することもできる。
【0035】
本発明の更に別の利点及び特徴は、以下の本発明の説明から及び本発明の非限定的な例示的実施形態を示す添付図面から明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0036】
図1】本発明によるシート加工機械の概略図である。
図2図1のシート加工機械によって加工されているシートの上面図を示す概略図である。
図3図1のシート加工機械に使用されるジャム検出デバイスの斜視図である。
図4】ツールがジャム検出デバイスの検出ゾーンに配置された図3のジャム検出デバイスの別の斜視図である。
図5図4のジャム検出デバイスの前面図である。
図6図1のシート加工機械の別のジャム検出デバイス及びラックの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0037】
図1は、一連のシート12からブランク11(図2参照)を切断することを可能にするシート加工機械10を概略的に示している。これらのブランク11は、通常は、包装箱を形成するためにその後に折り畳まれて接合されるように意図されている。しかし、シート12は、一般的に、例えば、紙、厚紙、箔、それらの複合材料又は包装業界で日常的に使用されるあらゆる他の材料で製造することができる。
【0038】
シート加工機械10は、単一アセンブリを形成するために並置されているが互いに依存し合う一連の加工ステーションを備える。加工機械10は、装填ステーション14と、次いでシート12が切断によって変形される例えばダイ又はプラテンプリンタ18を備える(通常は打ち抜きステーションとも称される)切断ステーション16と、廃棄部分の殆どが剥ぎ取られる廃棄物除去ステーション20と、ブランキングツール23によるブランク11の分離(又はブランキング作動)のための(通常は受け入れステーションとも称される)ブランク分離ステーション22と、打ち抜かれたシート12の残留廃棄シート25(図2参照)を除去する排出ステーション24と、を備える。
【0039】
加工ステーションの数及び性質は、シート12に実施される変換作動の性質及び複雑さに応じて変化するのがよい。
【0040】
シート加工機械10は、装填ステーション14の出口から排出ステーション24まで各シート12を個別に移動させることを可能にするために、図示の実施形態では、コンベヤである移送機構26を更に有する。
【0041】
コンベヤは、シート加工機械10の各側面上に横方向に1つずつ配置された2つのチェーンのループ30によって移動可能であるように装着された一連の把持器バー28を使用する。チェーン30の各ループは、把持器バー28が、切断ステーション16、廃棄物除去ステーション20、ブランク分離ステーション22及び排出ステーション24を連続して通り過ぎる軌道を辿ることを可能にするループの周りを移動する。
【0042】
各把持器バー28は、従動輪32と遊動輪34の間の実質的に水平な通過平面内の往路上で、その後に、シート加工機械10の上部分内の復路上で移動する。各把持器バー28は、従動輪32に戻された状態で、次いで、シート12の前縁で新しいシート12を把持することができる。
【0043】
図1では、各加工ステーションは、シート12の移動平面の各側に位置決めされた上部分及びその底部分をそれぞれ象徴する2つの矩形の形態に示されている。
【0044】
図1では、横断方向(又は横方向)、長手方向、垂直方向は、直交空間系(T、L、V)によって示されている。
【0045】
「上流」及び「下流」という用語は、図1で矢印Dによって示すように取り扱い方向にシート12の移動方向を基準として定められる。
【0046】
図2では、シート加工機械10によって加工されたシート12の現在状態及び形状(図1参照)が示されており、シート12の上面図は、図1のシート加工機械10のステーションの順序に従って配置されている。
【0047】
装填ステーション14では、シート12は、矩形又は四角形の面を有する平坦シートとして提供される。
【0048】
切断ステーション16では、ブランク11の輪郭は、シート12に強度が劣る縁部38を例えば一連の切れ目及び/又は穿孔によって形成することによって準備される。
【0049】
廃棄物除去ステーション20では、シート12の選択された部分は、図2の斜線部40に示すように切り抜かれてシート12から排出される。
【0050】
最後に、ブランク11は、図示の実施形態では中心開口部42を有する2つの十字形ブランク11がシート12から得られるように、ブランク分離ステーション22でシート12から分離される。
【0051】
シート12の残り、すなわち、残留廃棄シート25は、排出ステーション24で除去される。
【0052】
勿論、図2に示す順序は、本質的に例示に過ぎない。シート12及び/又はブランク11の異なる形状及びサイズは、使用されるタイプのシート12及びシート加工機械10によって設けられる加工ステーションに応じてそれぞれシート加工機械10によって使用及び構成することができる。
【0053】
図1に戻ると、シート加工機械10は、ブランク分離ステーション22に第1のジャム検出デバイス44及び第2のジャム検出デバイス46を更に備える。
【0054】
原則的に、単一ジャム検出デバイス44、46のみを使用することができる。更に、ジャム検出デバイス44は、ジャムしたのがシート12、ブランク11又はその一片かをモニタするためにどの位置が最も重要である及び/又は最も適するかに応じて、シート加工機械10の加工ステーションのいずれかに配置することができる。
【0055】
第1のジャム検出デバイス44及び第2のジャム検出デバイス46は、例えばイーサネット接続によって制御ユニット48に接続される。しかし、第1及び第2のジャム検出デバイス44及び46は、それぞれ、同じく第1及び第2のジャム検出デバイス44及び46と制御ユニット48間で十分に速い信号交換を行うあらゆる手段によって制御ユニット48に接続することができる。例えば、接続は、無線、例えば、Wi-Fiによっても確立することができる。
【0056】
原則的に、第1及び第2のジャム検出デバイス44、46の各々は、それぞれのジャム検出デバイス44、46に関連付けられたそれら固有の制御ユニット48を有することができる。
【0057】
制御ユニット48は、ブランキングツール23に関する情報を格納するためのストレージモジュール50を備える。
【0058】
第1のジャム検出デバイス44は、ブランキングツール23が第1のジャム検出デバイス44の第1の検出ゾーン53(図3参照)に部分的に配置されるようにブランキングツール23の近くに配置される。
【0059】
第2のジャム検出デバイス46は、図示の実施形態ではノンストップラックであるラック54の下に配置される。より具体的には、第2のジャム検出デバイス46は、ラック54の一連の格納可能バー55の下方に配置される(図6参照)。
【0060】
制御ユニット48は、更に、図示の実施形態ではタッチ感応ディスプレイであるヒューマン・マシン・インタフェース52に接続される。
【0061】
ヒューマン・マシン・インタフェース52により、シート加工機械10のオペレータ(図示せず)は、シート加工機械10の現在の状態を知ることができ、シート加工機械10の作動を制御することができる。
【0062】
図3では、第1のジャム検出デバイス44の斜視図が示されている。
【0063】
第1のジャム検出デバイス44は、第1のレール58及び第2のレール60を備え、第1のレール58は、一体化された(すなわち、明示せず)発光要素を備え、第2のレール60は、一体化された(すなわち、明示せず)受光要素を備える。
【0064】
発光要素は、多くの発光源、特に多くのレーザ発光スポットを有し、一方、受光要素は、多くの受光センサを有し、受光センサの各々は、発光源のうちの1つに関連付けられる。この配置は、多くの個々の光線から構成される第1のレール58と第2のレール60間の本質的に連続した光カーテン62をもたらす。
【0065】
更に、光カーテン62は、ブランク分離ステーション22の第1の検出ゾーン53に配置され、第1の検出ゾーン53の実質的に全体を通して延びる。
【0066】
第1のレール58及び第2のレール60は、それぞれ、第1のフレーム66及び第2のフレーム68上に装着される。第1のフレーム66及び第2のフレーム68は、ブランク分離ステーション22に装着される。
【0067】
従って、第1のジャム検出デバイス44は、既存のシート加工機械10に換装することができる。
【0068】
これに代えて、第1及び第2のフレーム66及び68は、それぞれ、同じく第1及び第2のレール58及び60が装着されたブランク分離ステーション22の一部とすることができる。
【0069】
図4は、第1のジャム検出デバイス44の別の斜視図を示している。
【0070】
図4では、ブランキングツール23は、ブランク分離ステーション22の第1の検出ゾーン53内に部分的に配置される。
【0071】
図4に示すブランキングツール23は、下側ブランキングツールであり、すなわち、グリッドを形成する長手バー及び横断バー70で製造される。ブランク11は、このグリッドの空間72を通って落下し、ラック54上に垂直に積み重ねられる(図1参照)。
【0072】
図5は、図4の第1のジャム検出デバイス44の前面図を示している。
【0073】
図5から、ブランキングツール23は、第1の突起74及び第2の突起76によって光カーテン62と交差することが明らかである。第1の突起74及び第2の突起76の数及び配置は、図4及び図5に示すブランキングツール23に特徴的である。
【0074】
図6では、第2のジャム検出デバイス46の斜視図が示されている。
【0075】
第2のジャム検出デバイス46は、第1のジャム検出デバイス44に本質的に対応する。同一及び機能的に同一の構成要素に同一の参照番号が付されている。
【0076】
第2のジャム検出デバイス46は、第1のレール58と、第2のレール60と、を更に備え、第1のレール58は、一体成形された(すなわち、明示せず)発光要素を備え、第2のレール60は、一体化された(すなわち、明示せず)受光要素を備える。
【0077】
発光要素は、多くの発光源、特に多くのレーザ発光スポットを有し、一方、受光要素は、多くの受光センサを有し、受光センサの各々は、発光源のうちの1つに関連付けられる。この配置は、第1のレール58と第2のレール60間に本質的に連続した光カーテン62をもたらす。
【0078】
更に、光カーテン62は、ブランク分離ステーション22の第2の検出ゾーン78に配置され、第2の検出ゾーン78の殆どにわたって延びる。
【0079】
第2の検出ゾーン78は、ラック54の下に、より具体的には、ラック54の格納可能バー55の上側に形成された積み重ね区域80の下に配置される。格納可能バー55は、図6の二重矢印Pに示すように作動位置と静止位置の間で変位可能である。
【0080】
図6では、格納可能バー55の作動位置、すなわち、格納可能バー55がラック54の第1の紙揃え器84から第2の紙揃え器86に延びる位置が示されている。
【0081】
以下では、第1及び第2のジャム検出デバイス44、46の各々の作用モードに関してより詳細に説明する。
【0082】
所与の加工ジョブのシート加工機械10の設定中に、シート加工機械10のオペレータは、ブランク分離ステーション22での望ましいブランキング作動に必要なブランキングツール23を装着する。
【0083】
前述のように、第1及び第2の突起74及び76(図4及び図5参照)は、ブランキングツール23がブランク分離ステーション22で装着されたままである限り、第1のジャム検出デバイス44の発光要素と受光要素間の光線のいくつかを遮断することになる。
【0084】
これは、遮断された光線に関連付けられた受光センサのセンサ信号の変化をもたらす。一般的に、センサ信号の強度のゼロへの又は受光センサのノイズレベルへの低減がこの場合に発生する。
【0085】
制御ユニット48がこれらの遮断された光線を考慮できるようにするために、ブランキング分離ステーションに使用されるツール、すなわち、装着されたブランキングツール23に関する情報は、制御ユニット48のストレージモジュール50に格納される。
【0086】
ブランキングツール23に関する情報は、ツール識別子を含む。ツール識別子は、シート加工機械10のオペレータにより、又はブランキングツール23上のタグ、例えば、RFIDタグ(図示せず)を走査することによって制御ユニット48に供給することができる。
【0087】
更に、ブランキングツール23に関する情報は、光線遮蔽マップを備える。光線遮蔽マップは、第1のジャム検出デバイス44の光カーテン62のどの光線がブランキングツール23の第1及び第2の突起74、76によって遮断されることが予想されるかを定めることができる。
【0088】
制御ユニット48は、ブランキングツール23のツール識別子がストレージモジュール50に存在しない場合に、学習モードに入る。学習モードでは、現在設置されているブランキングツール23の光線遮蔽マップが制御ユニット48によって計算され、ツール識別子に関連付けられ、ストレージモジュール50に格納される。この処理は、制御ユニット48によって自動的に行われ、すなわち、シート加工機械10のオペレータは、光線遮蔽マップを供給する必要はない。
【0089】
制御ユニット48は、ブランキングツール23のツール識別子がストレージモジュール50に存在する場合に、光線遮蔽マップを現在の遮断された光線と比較する。エラーメッセージは、何らかの矛盾が見出された場合にシート加工機械のオペレータに通知するために、ヒューマン・マシン・インタフェース52に送信される。
【0090】
制御ユニット48は、ツール識別子がブランキングツール23によって全く提供されない場合に、現在の遮断された光線をストレージモジュール50に格納された光線遮蔽マップと比較するように構成されている。整合する光線遮蔽マップが見出された場合に、ツール識別子が正しいか否かをオペレータが検査することを可能にするように、関連のツール識別子をヒューマン・マシン・インタフェース52に送信することができる。制御ユニット48は、整合する光線遮蔽マップが見つからない場合に、ツール識別子を生成し、このツール識別子を光線遮蔽マップに関連付け、新しいツールが識別されたというメッセージをヒューマン・マシン・インタフェース52に送信する。
【0091】
従って、シート加工機械10の設定中に、制御ユニット48は、使用されるブランキングツール23、及びこのブランキングツール23によって遮断されることが予想される第1の検出ゾーン53での光カーテン62の光線を自動的に識別することができる。同時に、矛盾があれば、加工ジョブ中にエラーを回避するために、設定中にシート加工機械10のオペレータに報告することができる。
【0092】
図6から分るように、ラック54は、第2の検出ゾーン78に配置された光カーテン62のいずれの光線も遮断しない。従って、第2のジャム検出デバイス46の光線遮蔽マップを定める必要はない。しかし、制御ユニット48は、依然として第2の検出部78に配置された光カーテン62の光線がラック54によって遮断されないことを示す光線遮蔽マップを生成することができる。
【0093】
シート加工機械10の作動中に、第1及び第2のジャム検出デバイス44及び46は、それぞれ、第1及び/又は第2の検出ゾーン53及び78内にジャムしている又は詰まっている物体がないことをモニタするのに使用される。
【0094】
そのような物体は、特に、例えば、ブランキングツール23(図4参照)のグリッドに捕捉されるか又はラック54(図6参照)の格納可能バー55間をすり抜けてこの位置にジャムしたシート12、ブランク11及び/又はその数片とすることができる。
【0095】
物体がブランク分離ステーション2内でジャムした場合に、それ以上の作動があれば不十分な品質のブランク11の製造をもたらすことになるので、シート加工機械10全体を停止させる必要がある。更に、ブランク分離ステーション22の各部分は、ジャムした物体によって損傷する場合があると考えられる。
【0096】
しかし、物体が、それぞれ第1の検出ゾーン53及び/又は第2の検出ゾーン78内でジャムした場合に、物体の位置での対応する光カーテン62の光線が遮断され、遮断された光線に関連付けられた受光センサによって送信されるセンサ信号の変化がもたらされる。
【0097】
このセンサ信号の変化は、制御ユニット48によって記録され、そのために制御ユニット48は、物体が検出ゾーン53及び78のうちの少なくとも一方でジャムしたことをシート加工機械10のオペレータに通知するためにヒューマン・マシン・インタフェース52に警告メッセージを送信することができる。
【0098】
警告メッセージは、好ましくは、遮断された光線の場所を備える。従って、オペレータは、シート加工機械10の作動を停止させてジャムした物体を除去することができる。
【0099】
一般的に、制御ユニット48がいずれかの光カーテン62の遮断を記録すると直ちにシート加工機械10の作動が自動的に停止されることも可能である。
【0100】
更に、制御ユニット48のストレージモジュール50では、最小遮断時間を格納することができ、制御ユニット48は、遮断された光線が少なくとも最小遮断時間にわたって遮断されたままである場合にのみ警告メッセージをマンマシンインタフェースに送信する及び/又はシート加工機械10の作動を停止するように適応させることができる。これは、よりロバストな検出を可能にし、かつ誤った警告メッセージ及び/又はシート加工機械10の不要作動停止の量を最小にする。
【0101】
本発明によるシート加工機械10は、ブランク分離ステーション22内でジャムした物体の検出のための単純かつ確実な手段を提供する。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
【国際調査報告】