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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-11-02
(54)【発明の名称】フラクタル式蓄熱装置
(51)【国際特許分類】
   F28D 20/00 20060101AFI20231026BHJP
【FI】
F28D20/00 Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023524640
(86)(22)【出願日】2021-10-01
(85)【翻訳文提出日】2023-06-21
(86)【国際出願番号】 EP2021077148
(87)【国際公開番号】W WO2022084007
(87)【国際公開日】2022-04-28
(31)【優先権主張番号】102020127987.6
(32)【優先日】2020-10-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】518236627
【氏名又は名称】クラフトブロック・ゲゼルシャフト・ミット・ベシュレンクテル・ハフツング
(74)【代理人】
【識別番号】100099623
【弁理士】
【氏名又は名称】奥山 尚一
(74)【代理人】
【識別番号】100125380
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 綾子
(74)【代理人】
【識別番号】100142996
【弁理士】
【氏名又は名称】森本 聡二
(74)【代理人】
【識別番号】100166268
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 祐
(74)【代理人】
【識別番号】100169018
【弁理士】
【氏名又は名称】網屋 美湖
(72)【発明者】
【氏名】シハテル,マルティン
(57)【要約】
蓄熱装置であって、蓄熱装置は蓄熱装置の基本フレームワーク(14)を含み、基本フレームワーク(14)は、複数のセルを有する3次元グリッドの形態を有し、隣接するセル間の境界面は、グリッドのグリッド線によって囲まれており、流体用流路をセル間に形成するために、隣接するセル間の境界面のうちの少なくとも1つ、好ましくは複数が、流体透過性である、蓄熱装置。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
蓄熱装置の基本フレームワーク(14)を含む蓄熱装置であって、前記基本フレームワーク(14)は、複数のセルを有する3次元グリッドの形態を有し、隣接するセル間の境界面は、前記グリッドのグリッド線によって囲まれており、流体用流路をセル間に形成するために、隣接するセル間の前記境界面のうちの少なくとも1つ、好ましくは複数が、流体透過性である、蓄熱装置。
【請求項2】
隣接するセル間の前記境界面のうちの少なくとも1つ、好ましくは複数が、流体不透過性であることを特徴とする、請求項1に記載の蓄熱装置。
【請求項3】
前記蓄熱装置は構造体要素(12)を含み、前記構造体要素(12)は、前記蓄熱装置の前記基本フレームワーク(14)における柱および/または梁を形成し、前記柱および/または梁は、前記グリッドの前記グリッド線の領域に配置されており、前記グリッドのグリッド点の領域において互いに接続されていることを特徴とする、請求項1または2に記載の蓄熱装置。
【請求項4】
前記蓄熱装置は、複数のモジュール(10)を含み、前記モジュール(10)はそれぞれ、前記グリッドの1つのセルを形成し、前記モジュール(10)は、互いに隣接しておよび/または互いに上下に配置されており、前記蓄熱装置の前記基本フレームワークおよび/または前記基本フレームワーク(14)の一部を形成するように互いに接続されていることを特徴とする、請求項1から3のいずれか1項に記載の蓄熱装置。
【請求項5】
前記蓄熱装置は、蓄熱材を有する充填材を含み、前記充填材は、流体がそれを通って流れることができるバルク材料および/またはライニングとして設計されていることを特徴とする、請求項1から4のいずれか1項に記載の蓄熱装置。
【請求項6】
流体透過性であり互いに当接する境界面は開放しており、特に、前記充填材は、前記開放された境界面によって途切れることのない連続的なバルク材料および/またはライニングを形成することを特徴とする、請求項1から5のいずれか1項に記載の蓄熱装置。
【請求項7】
前記蓄熱装置を通る流体用流路を事前設定するために、前記当接する境界面の一部は流体透過性ではないことを特徴とする、請求項1から6のいずれか1項に記載の蓄熱装置。
【請求項8】
流体透過性でない前記境界面は、中間壁および/または中間床を含むことを特徴とする、請求項7に記載の蓄熱装置。
【請求項9】
前記境界面は矩形であり、特に、前記セルは直方体であることを特徴とする、請求項1から8のいずれか1項に記載の蓄熱装置。
【請求項10】
前記セルは同一の寸法を有することを特徴とする、請求項1から9のいずれか1項に記載の蓄熱装置。
【請求項11】
前記個々のモジュール(10)は、それらの縁部の領域に構造体要素(12)を含み、その構造体要素は、前記蓄熱装置の前記基本フレームワーク(14)において柱および/または梁を形成し、前記グリッドの前記グリッド線の領域に配置されていることを特徴とする、請求項1から10のいずれか1項に記載の蓄熱装置。
【請求項12】
蓄熱装置、特に、請求項1から11のいずれか1項に記載の蓄熱装置を提供する方法であって、最初に、複数のモジュール(10)および/または前記基本フレームワーク(14)の構造体要素(12)、特に、柱および/または梁が事前仕上げされ、次いで、前記蓄熱装置の設置場所に輸送され、互いに隣接しておよび/または互いに上下に配置され、そこで互いに接続され、そうすることで、前記蓄熱装置の基本フレームワーク(14)が形成される、方法。
【請求項13】
前記蓄熱装置は、前記モジュール(10)を接続した後に蓄熱媒体で充填されることを特徴とする、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
互いに互換性があるモジュール(10)、構造体要素(12)、床、天井(20)、外壁、中間壁、および/または中間床は、提供される特定の蓄熱装置の計画の前から既に定められていた寸法で事前仕上げされ、特に、提供される特定の蓄熱装置の計画の前から既に用意されており、前記蓄熱装置を提供するために、モジュール(10)、構造体要素(12)、床、天井、外壁、中間壁、および/または中間床は、事前仕上げされている、特に、提供される特定の蓄熱装置の計画の前から既に用意してあり、前記蓄熱装置を構築するために使用される、前記モジュール(10)、構造体要素(12)、床、天井、外壁、中間壁、および/または中間床から選択されることを特徴とする、請求項12または13の一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、蓄熱装置および蓄熱装置を提供する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
蓄熱装置、または対象のタイプの熱エネルギー蓄積装置、高温蓄積装置、および/もしくは低温蓄積装置が、大量の熱を蓄積するために使用されている。典型的には、蓄熱材が用いられ、その蓄熱材を通って流体が流れる。流体は、例えば、気体とすることができる。したがって、流体の温度および蓄熱材の温度に応じて、熱を流体から蓄熱材に伝達でき、または熱を蓄熱材から流体に伝達できる。したがって、このような蓄熱装置は、口語的に言えば、高温および/または低温を蓄積することができる。
【0003】
そのような蓄熱装置は、今までは、多くの場合に「全体として」設計、計画、および構築されてきた。一般的には、設計に関する個々の条件がここで考慮されることになる。これは、そのような蓄熱装置が入手可能になるまで、比較的時間およびコストのかかるプロセスにつながる。
【0004】
複数の個々のモジュールから組み立てられるモジュール式蓄熱装置が、特許文献1(WO2017/046275A1)から知られている。そのような蓄熱装置は、スケーラブルであり、したがって、少なくとも限られた範囲までは個々の要件に適合できる。特に、その蓄熱装置は、限度の範囲内でスケーラブルである。そのことは、流体の流入または流出のためのフィッティングが流体不透過性の面に設けられるという点で実現される。個々のモジュールは、それらのフィッティングによって互いに接続することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】WO2017/046275号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、そのような蓄熱装置にも欠点がある。個々のモジュールを組み合わせる能力、したがってスケーラビリティは、モジュールにフィッティングを位置決めすることによって、モジュールの互いに対する空間的配置のうちの、考え得る比較的限られた組み合わせに制限される。さらに、本質的に「フィッティング間」で起きる貫流が、モジュール内で生じる。個々のモジュールには、比較的流れの乏しい領域(デッドボリューム)が生じる。これは、このような蓄熱装置の実際に利用可能な容量および効率を低下させる。モジュールの相互接続がフィッティングの位置によって比較的厳密に予め定められているため、互いに当接するコンパクトな構成になるように組み合わせなければならないときは、モジュールを「相互接続」する実現性も限られる。したがって、このようなモジュールを、例えば、交互に、並列に、または直列に相互接続する実現性が限られる。さらに、各モジュールはそれ自体が間仕切り壁を含まなければならず、その間仕切り壁は、流体不透過性であり、全方向において断熱される。モジュールが互いに隣に配置されることは、周囲を向いた表面が熱損失を起こす恐れがあるためそれを可能な限り小さくするという点で有利であり、最小の空間要件に関係するが、そのような配置の場合は、断熱壁のほとんどが蓄熱装置の各領域を互いから分割しているだけである。したがって、必要とされない地点で比較的大量の断熱材が使用されている。必要とされないのは、それらの壁が最終的に外部に面した表面にはならず、したがって、熱損失に関して関連がないためである。
【0007】
したがって、本発明は、前述の欠点が起きないかまたは少なくとも起きる程度が小さく、さらに、可能な限り廉価にかつ柔軟に個々の要件に適合可能かつスケーラブルであるべきである、モジュール式蓄熱装置およびモジュール式蓄熱装置を提供する方法を開示するという目的に基づいている。
【0008】
その目的は、独立請求項の特徴を有する、蓄熱装置および蓄熱装置を提供する方法によって達成される。従属請求項の特徴は、有利な実施形態に関するものである。
【0009】
例示および記載されている蓄熱装置は、基本フレームワークを含み、その基本フレームワークは3次元グリッドの形態を有する。この文脈において、3次元グリッドの形態は、特に、幾何学的な意味のグリッドの形態として理解するべきである。幾何学的なグリッドとは、連続的であり重なりのない、1組のセルによる空間の区画である(セルはグリッドセルとも呼ばれ、本願では「セル」という用語は言葉を単純化するために使用されている)。グリッドのセルは、1組のグリッド点によって画定されており、グリッド点は、1組のグリッド線によって互いに接続されている。グリッド線は、この場合、隣接するセル間の境界面を囲む。
【0010】
言い換えれば、隣接するセル間の境界面は、基本フレームワークによって画定されており、境界面は、基本フレームワークのうちのグリッド線に対応する部分によって囲まれている。
【0011】
例示および記載されている蓄熱装置において、隣接するセル間の境界面のうちの少なくとも1つ、好ましくは複数が、流体透過性である。したがって、隣接するセル間の流体透過性の境界面は、セル間の流路を形成する。
【0012】
蓄熱装置は、複数の構造体要素を含むことができ、構造体要素は、蓄熱装置の基本フレームワークにおける柱および/または梁を形成し、その柱および/または梁は、グリッドのグリッド線の領域に配置されており、グリッドのグリッド点の領域において互いに接続されている。
【0013】
グリッドは、具体的には、構造化グリッドとすることができる。構造化グリッドとは、規則的な空間配列を有するグリッド、すなわち、セルが規則的なパターンで存在し、整数によって一意的に割り出され得るグリッドとして理解される。
【0014】
さらに、グリッドは、具体的には、矩形のグリッドとすることができる。これは、グリッドの個々のセルが直方体形状を有することを意味する。
【0015】
さらに、グリッドは、具体的には、均一のグリッドとすることができ、すなわち、軸に沿うように方向付けられたグリッドのセルの縁部が等しい長さを有する。
【0016】
グリッドの前述の特徴はグリッドの一部にのみ適用することが可能である。しかし、それらは特にグリッド全体に適用することもできる。
【0017】
隣接するセル間の境界面のうちの少なくとも1つ、好ましくは複数が、流体不透過性とすることができる。したがって、蓄熱装置を通る流体の流路は、特に個々の境界面がそれぞれ流体透過性または流体不透過性にされるという点で、計画的に形成することができる。
【0018】
例示および記載されている蓄熱装置は、複数のモジュールを含むことができ、モジュールはそれぞれ、グリッドの1つのセルを形成する。モジュールは、互いに隣接しておよび/または互いに上下に配置でき、蓄熱装置の基本フレームワーク、したがって、グリッドのセルを形成するように互いに接続することができる。
【0019】
セルはそれぞれ、隣接するセル間の複数の境界面によって境界が定められている。セルは、境界面で互いに当接している。境界面は、必ずしも、隣接するセルを互いから分割する構成要素によって画定されていなくてもよい。蓄熱装置の基本フレームワークによって形成されたグリッド構造によって単に画定されているだけの、単なる理論上の境界面が存在するだけとすることができる。言い換えれば、境界面は、隣接するセル間の開放面とすることができ、その開放面は、例えば、開放された面で互いに当接するモジュールによって形成される。
【0020】
このような蓄熱装置によって、規格化された複数の要素を組み合わせることによる単純な手法で蓄熱装置を計画することが可能になる。蓄熱装置は、特に、モジュール、柱および/もしくは梁などの基本フレームワークの一部としての構造体要素、床、天井、外壁、中間壁、ならびに/または中間床は、特に設置場所から離れた場所で事前仕上げできる、規格化された要素として単純な手法で形成することができる。このようにして、一方で、論じられている蓄熱装置の計画および/または設計の労力が有意に軽減され、そうすることで、迅速な提供が可能になる。さらに、コストが有意に削減される。
【0021】
境界面の一部が流体透過性であることがさらに有利であり、そのことによって、蓄熱装置における流体用流路の画定または指定を単純に実現することが可能になる。他の境界面は、流体不透過性になるように設計することができる。これは、例えば、中間壁によって実装できる。したがって、選択した境界面を流体透過性の境界面または流体不透過性の境界面として実施することによって、個々の応用事例に関する流体用流路を確立できる。流れの方向に平行に方向付けられた中間壁を省略することによって、セルを組み合わせてセルのグループを形成することもでき、したがって、単一のセルよりも大きい断面を有する流路が形成される。したがって、流路は、流体が蓄熱装置の個々のセルを次々と通ることを可能にすることができる。代替としておよび/またはそれに加えて、流体が蓄熱装置の個々のセルおよび/またはセルのグループを並行して通ることが可能である。このようにして、蓄熱装置のそれぞれの応用事例から生じる個々の要件を考慮することができる。
【0022】
蓄熱装置は、特に、蓄熱材を有する充填材を含むことができる。充填材は、流体がそれを通って流れることができるバルク材料としておよび/または流体がそれを通って流れることができるライニングとして設計することができる。
【0023】
蓄熱装置は、具体的には、いわゆる潜熱の蓄熱装置とすることができる。このような蓄熱装置では蓄熱材として相変化物質が使用される。このような媒体の融解潜熱、溶解熱、および/または吸収熱は、このような相変態作用を利用せずに蓄積できる熱よりも有意に大きい。
【0024】
代替としておよび/またはそれに加えて、蓄熱装置は、いわゆる顕熱の蓄熱装置とすることができる。このような蓄熱装置は、蓄熱および/または放熱の際に知覚できる温度を変化させる。特に、このような蓄熱装置において相変態は起きない。顕熱の蓄熱装置は、広い温度範囲および/または高温の範囲を可能にするために特に適している。このような蓄熱装置は、例えば、EP3187563A1に記載されている。
【0025】
代替としておよび/またはそれに加えて、流体そのものを蓄熱のために使用することができる。これは、特に流体そのものの熱容量が高い場合および/または流体が蓄熱装置に滞留する時間が長くなるように蓄熱装置が動作する場合に有利である。
【0026】
流体透過性の境界面は開放していることが可能である。代替として、境界面の領域に配置されかつ/または境界面として使用される中間壁および/または中間床が、特に境界面全体にまたは少なくとも境界面の大部分にわたって分配される流体の流過が境界面を通して可能になるような別の手法で設計されるという点で、境界面の透過性を実現することが念頭にある。例えば、1つ、複数、または多数の開口部を中間壁および/または中間床に設けることができる。中間壁および/または中間床は、グリッドとしておよび/もしくはグリッド状に実施することもでき、またはグリッドを含むことができる。
【0027】
特に開放された境界面の場合に、充填材は、途切れることのない連続的なバルク材料および/またはライナーを形成することができる。このようにして、蓄熱装置を通るセル間の流れの最高レベルの均質性が実現される。同時に、蓄熱装置の内部は、蓄熱材を有する充填材のために最適に利用することができる。
【0028】
境界面は矩形とすることができる。これは、直方体のセルに関連して特に合理的である。蓄熱装置のセルのこのような幾何形状が、蓄熱装置の基本フレームワークの矩形に形成された構造に適合されていることによって、単純なタイプの構成および構造計算が可能になる。
【0029】
特に、互いに当接する隣接セルの境界面は、同一の寸法を有することができる。このようにして、境界面を通る流体の流過のために境界面の領域全体を使用できる。蓄熱装置のセルが、特に蓄熱装置のすべてのセルが同一の寸法を有する場合が特に有利である。このようにして、事前仕上げされた要素を規格化する高度な能力、ならびに蓄熱装置における様々な配置および/または流路の実装に関する柔軟性が可能にされる。
【0030】
蓄熱装置の個々のセルまたはグリッドは、それらの縁部の領域に、蓄熱装置の基本フレームワークにおいて柱および/または梁を形成する構造体要素を有することができる。その場合、構造体要素、具体的には柱および/または梁は、グリッドの複数のセルと関連付けることができるか、または基本フレームワークの複数のセルの一部とすることができる。例えば、基本フレームワークが構造体要素から組み立てられ、床、天井、壁、中間壁、および/または中間床が、それらの構造体要素から形成された基本フレームワークに締結されることから、このような蓄熱装置を形成することができる。
【0031】
代替としておよび/またはそれに加えて、モジュールが、具体的には事前仕上げされたモジュールがそれぞれ、それら自体によって構成されたグリッドのセルを画定することが可能である。それらのモジュールは、それらの縁部の領域に、特定のモジュールにそれぞれ属する構造体要素を有することができる。次いで、個々のモジュールは、基本フレームワークが形成される構造体要素を用いて互いに接続でき、隣接するモジュールの構造体要素は、グリッドのグリッド線を一緒に画定する。
【0032】
蓄熱装置を、特に上記で説明したタイプの蓄熱装置を提供する方法は、特に、最初に、基本フレームワークの複数のモジュールおよび/または構造体要素が、具体的には柱および/または梁が事前仕上げされることを提供する。次いで、事前仕上げされたモジュールおよび/または構造体要素は、蓄熱装置の設置場所に輸送され、そこで、互いに隣接しておよび/または互いに上下に配置され、互いに接続される。このようにして、蓄熱装置の基本フレームワークが生み出される。
【0033】
蓄熱装置の床、天井、外壁、中間壁、および/または中間床は、モジュールの事前仕上げの間に予めモジュールに接続することが可能である。代替としておよび/またはそれに加えて、最初に、事前仕上げされたモジュールによって基本フレームワークだけが形成され、設置場所において、床、天井、外壁、中間壁、および/または中間床が蓄熱装置の基本フレームワークにまず接続されることが可能である。
【0034】
蓄熱装置はまず、設置場所で設けられるときに蓄熱媒体で充填されることが可能である。そのことは、しばしば蓄熱媒体の重量が小さくないため、したがって、輸送される可能性のあるモジュールの重量が有意に軽減されるので、有利になる場合がある。蓄熱装置の静的な積載量も、設置状態で蓄熱媒体を運ぶのに十分であるだけでよい。そのときに、モジュールが充填状態で、すなわち、蓄熱材によって加えられる総荷重を受けた状態で移動可能であることも必要なくなる。
【0035】
蓄熱装置は、さらに、断熱材を含むことができる。断熱材は、蓄熱装置の設置場所で加えることができる。代替としておよび/またはそれに加えて、個々のモジュール、構造体要素、床、天井、外壁、中間壁、および/または中間床の事前仕上げの間に予め蓄熱装置に、蓄熱装置の断熱材を少なくとも部分的に加えることが可能である。
【0036】
本方法は、特に、互いに互換性があるモジュール、構造体要素、床、天井、外壁、中間壁、および/または中間床が、提供される特定の蓄熱装置の計画の前から既に定められていた寸法で事前仕上げされ、特に、提供される特定の蓄熱装置の計画の前から既に用意されており、蓄熱装置を提供するために、モジュール、構造体要素、床、天井、外壁、中間壁、および/または中間床が、事前仕上げされている、特に、提供される特定の蓄熱装置の計画の前から既に用意してあり、蓄熱装置を構築するために使用される、モジュール、構造体要素、床、天井、外壁、中間壁、および/または中間床から選択されることを提供することができる。このようにして、蓄熱装置を「規格化された構成要素」から完全にまたは少なくとも部分的に組み立てることが可能である。したがって、コストおよび提供時間をさらに削減することができる。さらに、計画または設計は、規格化された構成要素の使用によって既に単純化されている。言い換えれば、あるタイプの「モジュール式構築システム」が提供されており、そのシステムから蓄熱装置を組み立てることができる。蓄熱装置の構成要素が用意されている場合は、既に入手可能に用意されている部品を使用することさえでき、そのことから、提供時間がさらに削減される。
【0037】
本発明のさらなる実用的な実施形態および利点は、図面と合わせて本明細書で以下に記載されている。
【図面の簡単な説明】
【0038】
図1】3次元グリッドの形態にある、論じているタイプの蓄熱装置の基本フレームワークを示す。
図2】例示的な蓄熱装置の例示的なモジュールおよびさらなる例示的な部品を示す。
図3】同一の基本フレームワークを有する蓄熱装置において実装可能である、様々な流路の例示的な変形例の概略図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0039】
図1に概略的に示されている蓄熱装置は、基本フレームワーク14を含む。基本フレームワーク14は、3次元グリッドの形態を有する。グリッド線は、ここでは、隣接するセル間の境界面を囲む。基本フレームワークは構造体要素12によって形成されており、構造体要素12は、基本フレームワーク14における柱および/または梁として、グリッドのグリッド線を画定する。
【0040】
基本フレームワークおよび/またはモジュール10の構造体要素12は、蓄熱装置の中間壁、床、中間床、壁、および天井によって補うことができる。それらは、蓄熱装置のグリッド構造のセル間で境界面に配置することができる。セル間の境界面は、図示の例にある通り、構造体要素12によって作られたセルの開放された面によって画定でき、その面は、グリッドの例示的なセルの基本形状である直方体の6個の面を形成する。そのように形成された直方体のセルは、蓄熱装置の拡張可能なセル構造をこのようにして形成する。
【0041】
図2に一例として示されている間仕切り壁18および天井20は、蓄熱装置の中間床、中間壁、外壁、天井、および床を実装するために使用できる。隣接するセル間の境界面の領域において、対応する間仕切り壁18が中間壁として設けられているか、または対応する天井20が中間床として設けられている場合、それらは流体透過性ではないため、蓄熱装置を通る流体の流路の境界を形成する。このようにして、蓄熱装置を通る貫通流路は、個々の境界面に間仕切り壁18を位置決めするか、または追加するかもしくは省略することによって画定することができる。
【0042】
例示的な蓄熱装置は、複数の例示的なモジュール10を含むことができ、モジュール10はそれぞれ、グリッドの個々のセルを画定するか、またはセルから構築されている。例示的なモジュール10が図2に示されている。例示的なモジュール10は構造体要素12を含み、構造体要素12は、モジュール10の縁部に沿って配置されている。モジュール10の構造体要素12は、例えば、図1を見ると分かるように、3次元グリッドの形態の蓄熱装置の基本フレームワーク14を形成することができる。蓄熱装置のこのような基本フレームワーク14は、特に、複数のモジュール10から形成することができる。
【0043】
図示の例にある通り、蓄熱装置は、天井、床、および/または中間床の領域に付加的な梁要素16を含むことができる。それら梁要素を例示的に示すために、床または中間床として使用される天井20の一部が図から切り取られている。例えば蓄熱装置の充填材を形成する熱伝達媒体によって加えられる荷重は、梁要素16によって吸収することができる。しかし、梁要素16によってのみ補強されているモジュール10の下側は、好ましくは、例えば、図示のように、モジュールの下側の領域で床および/または中間床を形成するために天井20が配置されない限り、蓄熱装置を通って流れる流体に対して最初は流体透過性のままである。
【0044】
図3に一例として様々な流路が示されている。それら流路は、図1に概略的に示された基本フレームワーク14によって実装でき、基本フレームワーク14は、例えば、合計18個のモジュール10を用いて実装できる。図3Aに示された事例では、それぞれ方向Zにおいて隣接するセルを通る流れがある。それらセル間の方向Zに直交する境界面には、間仕切り壁18が設けられていない。このようにして、これら境界面は流体透過性になる。セル間の他の境界面はすべて、間仕切り壁18または天井20を含む。このようにして、Z方向に方向付けられ、互いから独立している、9個の「チャネル」が生み出され、それらのチャネルを通して、方向Zに方向付けられたその面から形成された蓄熱装置を通る流れが起きることが可能である。そのために、対応する流体分配デバイスまたは流体回収デバイスを、方向Zまたはその反対方向を向く流体のために入口面または出口面に設けることができる。
【0045】
図3Bに示されている貫流パターンの場合は、セル間で方向Xに直交する境界面も流体透過性である。図3Aと比べると、「チャネル」はこのように3つだけ形成されており、チャネルは互いから分割し、それらを通る流れをそれぞれ有することができる。チャネルはそれぞれ、一例として示されている蓄熱装置の完全な1つの階層全体に延びる。
【0046】
図3Cにおいて、流路が一例として示されており、そこでは、流体は、隣接するセル間で方向Zに直交する境界面の一部を通って流れることができる。したがって、その場合、最初に、図1に概略的に示された蓄熱装置のセル構造の最も下の階層を通り、次いで、中間の階層を反対方向に通って、最後に、最も上の階層を最も下の階層と同じ流れの方向に通るように、流れがS字形状に案内されることを可能にする。
【0047】
図3Dにおいて、蓄熱装置のセルは、一例として、個々のチャネルを9個形成し、チャネルは、方向Zに、したがって垂直方向に、それらを通る流れを有することができる。その場合、グリッドの隣接するセル間で方向XまたはYに直交する境界面はすべて、流体不透過性である。隣接するセル間で方向Zに直交する境界面だけが、流体透過性である。
【0048】
図3Eに示されている概略的な貫流において、図3Dの流れのパターンと比べると、グリッドの隣接するセル間で水平方向Yに直交する境界面もさらに流体透過性である。このようなセル構造は、それを通る流れを3つのチャネルにおいて有することができる。そのチャネルを通して流れが互いに独立に起こることが可能であり、チャネルは、例えば図3Bに示されているような「ディスク」が垂直に、すなわち方向Yに方向付けられた形態を有する。
【0049】
図1に一例として示されている基本フレームワーク14を通るS字形の流れのさらなる例が、図3Fに示されている。これは、図1に示されたグリッドの事例で、グリッドの隣接するセル間で方向Xに直交する境界面の一部が流体透過性である場合に、実装することができる。そのとき、方向Xに直交する境界面の他の部分は、流れのS字形経路が予め設定されるかまたは強制されるように、例えば間仕切り壁18によって流体不透過性にすることができる。
【0050】
本明細書、図面、および特許請求の範囲に開示されている本発明の特徴は、本発明をその様々な実施形態で実装するために、個別でも、どのような組み合わせでも不可欠なものとすることができる。本発明は、記載されている実施形態に限定されるものではない。本発明は、特許請求の範囲および当業者の知識を考慮することで変更できる。
【符号の説明】
【0051】
10 モジュール
12 構造体要素
14 基本フレームワーク
16 梁要素
18 間仕切り壁
20 天井
22 セル構造
X 水平方向
Y 垂直方向
Z 水平方向
図1
図2
図3
【国際調査報告】