IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ダイキン工業株式会社の特許一覧 ▶ ダイキン ヨーロッパ エヌ.ヴイ.の特許一覧

特表2023-546495蓄熱器を有する冷却装置のための冷媒回路および冷媒回路を制御する方法
<>
  • 特表-蓄熱器を有する冷却装置のための冷媒回路および冷媒回路を制御する方法 図1
  • 特表-蓄熱器を有する冷却装置のための冷媒回路および冷媒回路を制御する方法 図2
  • 特表-蓄熱器を有する冷却装置のための冷媒回路および冷媒回路を制御する方法 図3
  • 特表-蓄熱器を有する冷却装置のための冷媒回路および冷媒回路を制御する方法 図4
  • 特表-蓄熱器を有する冷却装置のための冷媒回路および冷媒回路を制御する方法 図5
  • 特表-蓄熱器を有する冷却装置のための冷媒回路および冷媒回路を制御する方法 図6
  • 特表-蓄熱器を有する冷却装置のための冷媒回路および冷媒回路を制御する方法 図7
  • 特表-蓄熱器を有する冷却装置のための冷媒回路および冷媒回路を制御する方法 図8
  • 特表-蓄熱器を有する冷却装置のための冷媒回路および冷媒回路を制御する方法 図9
  • 特表-蓄熱器を有する冷却装置のための冷媒回路および冷媒回路を制御する方法 図10
  • 特表-蓄熱器を有する冷却装置のための冷媒回路および冷媒回路を制御する方法 図11
  • 特表-蓄熱器を有する冷却装置のための冷媒回路および冷媒回路を制御する方法 図12
  • 特表-蓄熱器を有する冷却装置のための冷媒回路および冷媒回路を制御する方法 図13
  • 特表-蓄熱器を有する冷却装置のための冷媒回路および冷媒回路を制御する方法 図14
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-11-02
(54)【発明の名称】蓄熱器を有する冷却装置のための冷媒回路および冷媒回路を制御する方法
(51)【国際特許分類】
   F25B 1/00 20060101AFI20231026BHJP
   F25B 43/00 20060101ALI20231026BHJP
   F25B 41/26 20210101ALI20231026BHJP
   F28D 20/02 20060101ALI20231026BHJP
   F24F 5/00 20060101ALI20231026BHJP
   C09K 5/04 20060101ALI20231026BHJP
   C09K 5/06 20060101ALI20231026BHJP
【FI】
F25B1/00 321C
F25B1/00 331E
F25B43/00 L ZAB
F25B41/26 A
F25B41/26 Z
F28D20/02 E
F25B1/00 396D
F24F5/00 102Z
C09K5/04 A
C09K5/06 L
C09K5/06 Z
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023524921
(86)(22)【出願日】2021-11-04
(85)【翻訳文提出日】2023-04-24
(86)【国際出願番号】 JP2021040591
(87)【国際公開番号】W WO2022097680
(87)【国際公開日】2022-05-12
(31)【優先権主張番号】20205899.6
(32)【優先日】2020-11-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(31)【優先権主張番号】20205894.7
(32)【優先日】2020-11-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(31)【優先権主張番号】20205893.9
(32)【優先日】2020-11-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】000002853
【氏名又は名称】ダイキン工業株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】510048875
【氏名又は名称】ダイキン ヨーロッパ エヌ.ヴイ.
【氏名又は名称原語表記】DAIKIN EUROPE N.V.
【住所又は居所原語表記】Zandvoordestraat 300,Oostende 8400,Belgium
(74)【代理人】
【識別番号】110000202
【氏名又は名称】弁理士法人新樹グローバル・アイピー
(72)【発明者】
【氏名】山口 貴弘
(72)【発明者】
【氏名】ヴァンデーレ,シュテファン
(72)【発明者】
【氏名】ヴァンデヴェルデ,クリス
【テーマコード(参考)】
3L054
【Fターム(参考)】
3L054BH01
(57)【要約】
本開示は、冷却および/または加熱を目的とする冷媒回路に関する。特に、本開示は、少なくとも1つの圧縮器(10)と熱源側熱交換器(11)と膨張デバイス(12)と蓄熱器(20)とを備える、冷媒としてCOを用いる蓄熱器を有する冷却装置のための冷媒回路(1)に関する。蓄熱器(20)は、好ましくは、パラフィン、炭水化物もしくは誘導脂質といったバイオベースの有機PCM、または水からなる群から選択される、相変化材料(PCM)である蓄熱材料を有する。冷媒回路(1)は、さらに、第1流体連通パイプ(30)と第2流体連通パイプ(40)とを有する。第1流体連通パイプ(30)は、熱源側熱交換器(11)の流体側と蓄熱器(20)の一方の側との間で連通状態にある。第2流体連通パイプ(40)は、膨張デバイス(12)と蓄熱器(20)の他方の側との間で連通状態にある。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つの圧縮器(10)と、
熱源側熱交換器(11)と、
膨張デバイス(12)と、
蓄熱材料(21)を、特に、パラフィン、炭水化物もしくは誘導脂質といったバイオベースの有機PCM、または水からなる群から選択される相変化材料(PCM)を有する蓄熱器(20)と、
を備える冷媒としてCOを用いる蓄熱器を有する冷却装置(300)のための冷媒回路(1)であって、
前記冷媒回路(1)は、さらに、
前記熱源側熱交換器(11)の流体側と前記蓄熱器(20)の一方の側との間で連通状態にある第1流体連通パイプ(30)と、
前記膨張デバイス(12)と前記蓄熱器(20)の他方の側との間で連通状態にある第2流体連通パイプ(40)と、
を備えている冷媒回路。
【請求項2】
さらに、前記第1流体連通パイプ(30)に配置されるとともに、前記熱源側熱交換器(11)と前記蓄熱器(20)と第3流体連通パイプ(50)と第1気体連通パイプ(60)との間で連通状態にある第1切換機構(31)を備えており、
前記第3流体連通パイプ(50)が前記膨張デバイス(12)と連通状態にあり、前記第1気体連通パイプ(60)が前記圧縮器(10)の吸引側と連通状態にある、請求項1に記載の冷媒回路。
【請求項3】
前記第1切換機構(31)は、
三方向弁であり、前記熱源側熱交換器(11)と前記膨張デバイス(12)と前記蓄熱器(20)との間で連通状態にある第1バルブ(31A)と、
三方向弁であり、前記第1バルブ(31A)と前記蓄熱器(20)の間に配置されるとともに、前記第1バルブ(31A)と前記蓄熱器(20)と前記第1気体連通パイプ(60)との間で連通状態にある第2バルブ(31B)と、
を備えている、請求項2に記載の冷媒回路。
【請求項4】
前記第1切換機構(31)は、四方向弁であり、前記熱源側熱交換器(11)と前記蓄熱器(20)と前記第1気体連通パイプ(60)と前記膨張デバイス(12)との間で連通状態にある第1バルブ(31C)を備えており、
前記第1切換機構(31)は、さらに、前記第3流体連通パイプ(50)から前記第1バルブ(31C)への逆流を止める逆止弁(53)を備えている、請求項2に記載の冷媒回路。
【請求項5】
さらに、前記第2流体連通パイプ(40)に配置されるとともに、前記蓄熱器(20)と前記膨張デバイス(12)と前記第4流体連通パイプ(70)との間で連通状態にある第2切換機構(41)を備えており、
前記第4流体連通パイプ(70)が利用側熱交換器(80A)と連通状態にある、請求項2~4のいずれか1に記載の冷媒回路。
【請求項6】
前記第2切換機構(41)は、三方向弁であって、前記蓄熱器(20)と前記膨張バルブ(12)と前記利用側熱交換器(80A)との間で連通状態にある弁であり、
膨張デバイス(101)は、前記第4流体連通パイプ(70)に設けられるとともに、前記第2切換機構(41)と前記利用側熱交換器(80A)との間で配置される、請求項5に記載の冷媒回路。
【請求項7】
さらに、前記第3流体連通パイプ(50)に、前記膨張デバイス(12)と利用側熱交換器(80A)/前記利用側熱交換器(80A)との間で配置されるレシーバー(201)を備えており、
前記レシーバー(201)は、液体冷媒を気体冷媒から分離するよう構成されている、先行の請求項のいずれか1項に記載の冷媒回路。
【請求項8】
さらに、好ましくは利用側熱交換器(80A)/前記利用側熱交換器(80A)と前記膨張デバイス(12)との間に、より好ましくは前記利用側熱交換器(80A)とレシーバー(201)/前記レシーバー(201)との間に配置される過冷却熱交換器(204)を備える、先行の請求項のいずれか1項に記載の冷媒回路。
【請求項9】
さらに、前記第4流体連通パイプ(70)に配置されるとともに、前記第2切換機構(41)と前記利用側熱交換器(80A)との間で配置される膨張デバイス(101)、特に蓄積側膨張バルブ(EV)と、
動作のモードを選択するよう構成される制御器と、
を備えており、
前記モードには、
通常冷凍冷蔵および/または冷房モードと冷温蓄積実行モードと冷温蓄積使用モードとが含まれており、特に、
前記通常冷凍冷蔵および/または冷房モードにおいては、前記第1流体連通パイプ(30)と前記第3流体連通パイプ(50)とが連通状態にあり、前記膨張デバイス(101)が閉じるよう、前記第1切換機構(31)は設定され、
前記冷温蓄積実行モードにおいては、前記第1流体連通パイプ(30)と前記第3流体連通パイプ(50)とが連通状態にあり、かつ前記第1気体連通パイプ(60)と前記蓄熱器(20)とが連通状態にあるよう、前記第1切換機構(31)は設定され、前記第4流体連通パイプ(70)と前記蓄熱器(20)とが連通状態にあり、前記膨張デバイス(101)が開くよう、前記第2切換機構(41)は設定され、
前記冷温蓄積使用モードにおいては、前記第1流体連通パイプ(30)と前記蓄熱器(20)とが連通状態にあるよう、前記第1切換機構(31)は設定され、前記第2流体連通パイプ(40)と前記蓄熱器(20)とが連通状態にあり、前記膨張デバイス(101)が閉じるよう、前記第2切換機構(41)は設定される、先行の請求項のいずれか1項かつ請求項5に記載の冷媒回路。
【請求項10】
さらに、外側温度センサ(T5)、気体冷却器温度センサ(T2)、蓄熱器媒体温度センサ(T4)および前記少なくとも1つの圧縮器の高圧側に配置される吐出側圧力センサ(P1)を備える、請求項9に記載の冷媒回路。
【請求項11】
さらに、前記蓄熱器(20)を有するとともに、水回路、冷媒-相変化材料(PCM)回路、または熱交換器(102)特にプレート熱交換器と循環ポンプ(103)とを有する冷媒-水-相変化材料(PCM)回路を有する蓄熱ユニット(100)を備える、先行の請求項のいずれか1項に記載の冷媒回路。
【請求項12】
さらに、前記第1切換機構(31)および前記第2切換機構(41)を有する蓄熱ユニット(100)を備える、請求項5、6、9または10に記載の冷媒回路。
【請求項13】
前記レシーバー(201)を有し、さらに、前記レシーバー(201)および前記過冷却熱交換器(204)を有する熱交換ユニット(200)を備える、請求項8に記載の冷媒回路。
【請求項14】
蓄熱器特に先行の請求項のいずれか1項に記載の、冷媒としてCOを用いる蓄熱器(20)を有する冷媒装置のための冷媒回路を制御する方法であって、該方法は異なる動作のモードを有しており、該モードには、
通常冷凍冷蔵および/または冷房モードと、冷温蓄積実行モードと、冷温蓄積使用モードとが含まれており、
前記通常冷凍冷蔵および/または冷房モードにおいては、第1流体連通パイプ(30)と第3流体連通パイプ(50)とが連通状態にあり、膨張デバイス(101)が閉じるよう、第1切換機構(31)は設定され、
前記冷温蓄積実行モードにおいては、前記第1流体連通パイプ(30)と前記第3流体連通パイプ(50)とが連通状態にあり、かつ第1気体連通パイプ(60)と前記蓄熱器(20)とが連通状態にあるよう、前記第1切換機構(31)は設定され、第4流体連通パイプ(70)と前記蓄熱器(20)とが連通状態にあり、前記膨張デバイス(101)が開くよう、第2切換機構(41)は設定され、
前記冷温蓄積使用モードにおいては、第1流体連通パイプ(30)と前記蓄熱器(20)とが連通状態にあるよう、前記第1切換機構(31)は設定され、前記第2流体連通パイプ(40)と前記蓄熱器(20)とが連通状態にあり、前記膨張デバイス(101)が閉じるよう、前記第2切換機構(41)は設定される方法。
【請求項15】
前記第1流体連通パイプ(30)は、熱源側熱交換器(11)の流体側と前記蓄熱器(20)の一方の側との間で連通状態にあり、
前記第2流体連通パイプ(40)は、膨張デバイス(12)と前記蓄熱器(20)の他方の側との間で連通状態にあり、
前記第3流体連通パイプ(50)は前記膨張デバイス(12)と連通状態にあり、
前記第1気体連通パイプ(60)は圧縮器(10)の吸引側と連通状態にある、請求項14に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、冷却(クーリング)および/または加熱(ヒーティング)を目的とする冷媒回路に関する。詳細には、本開示は、蓄熱器を有する、特に相変化材料(PCM)を有する蓄熱器を有する冷却(リフリジレーション)装置のための冷媒回路に関する。より詳細には、本開示は、冷媒としてCOを用いる蓄熱器を有する冷却装置のための冷媒回路に関する。
【背景技術】
【0002】
欧州特許出願公開第2,402,681号明細書(EP2,402,681A1)に記載されているように、従来から、冷却サイクルを実行する冷媒回路を有する冷却装置が知られていた。例えば食品等を保存するための冷蔵庫ならびに冷凍庫、および室内を冷房/暖房するための空調機といった冷却器(クーラー)に、このタイプの冷却装置が広く用いられている。
【0003】
また、欧州特許第2,844,924号明細書(EP2,844,924B1)には、圧縮器と凝縮器と膨張デバイスと蒸発器とを有する冷却機システムと、凝縮器と熱連通状態にある相変化材料と、相変化材料に接続されるアクチュエータと、アクチュエータに相変化材料を過冷却状態から固体状態への変化を開始させるトリガ信号を出力する制御器と、を備える空気調節システムが開示されている。該空気調節システムでは、相変化材料は、相変化材料と熱連通状態にある冷却剤供給ラインを有しており、冷却剤供給ラインは冷却機システムに連結されている。相変化材料としては、冷却機システムのクーリング要求が低いまたはないときには相変化材料が液体から固体へと転移する材料が、選択される。このような転移は、周辺温度が低い夜に行われうる。日中、固体または冷凍状態にある相変化材料は凝縮器からエネルギーを吸収し、これにより、冷却機システムが動作する際の凝縮器の効率が向上し、冷却機システムの効率および容量が高まる。
【0004】
欧州特許第2,844,924号明細書に記載されている空気調節システムは、相変化材料を凝縮器と周辺空気の温度と間の熱緩衝器として用いて、クーリング要求のバランスをとることができるシステムを提供することを意図している。日中に、相変化材料は、凝縮器から熱を吸収して外気へと放出する。その熱容量および潜熱放出により、相変化材料は、空気よりゆっくりと暖まり、したがってより高いエネルギー効率が得られる。夜には、相変化材料は、ファンのみを用いて、新鮮な空気の温度によって急速に冷却される。
【0005】
しかしながら、ファンによる相変化材料の能動的なクーリングは非効率的であり、したがって、前記システムは特に夜でも気温が高いままである暖かい気候の地域には適していない。また、記載のシステムでは、エネルギー効率に関しては大きい改良を実現することはできないが、相変化材料の熱応答時間によるエネルギー消費パターンの「均一化」はできよう。このことが正しいと言えるのは、凝縮器が相変化材料と熱連通状態にあり、相変化材料の使用の制御もできないときには、相変化材料の能動的なクーリングによって凝縮器も加熱されるからである。
【0006】
また、フルオロカーボンが、従来から、冷却システムの冷媒として用いられている。しかしながら、1987年のモントリオール議定書および1997年の京都議定書の後、オゾン破壊係数が低い、人工的に開発された代替クロロフルオロカーボンが、冷媒として一般的に用いられるようになった。さらに、近年では、特に天然冷媒を、例えば、二酸化炭素、アンモニア、炭化水素(イソブテン、プロパン等)、水および空気を用いて、さらに環境にやさしい代替材料を用いる技術の開発が進んでいる。これらの天然冷媒は、上述したクロロフルオロカーボンおよび代替クロロフルオロカーボンと比較して、GWP(地球温暖化係数)値が極めて低い特性を有する材料である。
【0007】
これらのなかでも、二酸化炭素は、オゾン破壊係数がゼロであり、地球温暖化係数は従来の冷媒と比較して非常に低く、無毒であり、不燃性であり、高温を発生する効率が天然冷媒のなかでも良好であることが知られている。また、環境/エネルギー面および安全面からも、二酸化炭素は、空気調節装置の冷媒として注目を集めている。
【0008】
しかしながら、二酸化炭素(CO)は、外気温が高いときには、フッ化冷媒より効率が低い。このため、年間で考えると、冷媒としてCOを用いる空気調節装置システムの性能は、特に暖かい気候では、フッ化冷媒と比較して低い。
【発明の概要】
【0009】
上記の観点から、冷媒として二酸化炭素(CO)を用い、熱エネルギーを特に例えば外気温が低いときに好ましくは夜間に冷温を蓄積でき、ピーク温度の際、日中に遷臨界(トランスクリティカル)条件が生じた場合またはピーク要求の際には熱エネルギーを用いて、特に二酸化炭素のような天然冷媒の使用によるクーリング効率の低下を十分に防止し、これにより、高いクーリング容量を確実に得るとともに、蓄熱器への冷温の蓄積に関する柔軟性を得るための、蓄熱器を有する冷却装置のための冷媒回路の提供が求められている。さらに、状況によって必要となればまたは可能であれば、提供される冷媒回路は、例えば多くの/余剰なPVパワー(COニュートラル・エネルギー生成)が利用できるときには、ピーク温度の際であっても、熱エネルギーを特に冷温を蓄積することができなくてはならない。
【0010】
この目的は、請求項1に記載の冷媒回路によって達成できる。いくつかの態様は、従属項、以下の説明および添付図面から理解されよう。
【0011】
本開示の第1の面では、少なくとも1つの圧縮器と熱源側熱交換器と膨張デバイスと蓄熱器とを備え、冷媒として二酸化炭素(CO)を用いる蓄熱器を有する冷却装置のための冷媒回路を提供する。蓄熱器は、パラフィン、炭水化物もしくは誘導脂質といったバイオベースの有機PCM、または水からなる群から選択される相変化材料(PCM)を有する。冷媒回路は、さらに、第1流体連通パイプと第2流体連通パイプとを有する。第1流体連通パイプは、熱源側熱交換器の流体側と蓄熱器の一方の側との間で連通状態にある。第2流体連通パイプは、膨張デバイスと蓄熱器の他方の側との間で連通状態にある。
【0012】
したがって、熱エネルギーを、特に例えば外気温が低いとき冷温を蓄積でき、日中にピーク温度の際に遷臨界(トランスクリティカル)条件が生じた場合またはピーク要求の際には蓄積した熱エネルギーを用いて、特に二酸化炭素のような天然冷媒の使用によるクーリング効率の低下を十分に防止し、これにより、高いクーリング容量を確実に得るとともに、蓄熱器への冷温の蓄積に関する柔軟性を得ることができる冷媒回路を提供することができる。さらに、提供する冷媒回路は、状況によって必要となればまたは例えば余剰なPV(光電)パワーまたは他のCOを出さずに生成された(COニュートラル生成)電力のようなもので実行可能であれば、ピーク温度の際に、熱エネルギーを特に冷温を蓄積することもできる。ピーク温度の際に、熱エネルギーの特に冷温の蓄積を、他の状況によってそれが必要になればまたは例えば余剰なPV(光電)パワーまたは他のCOを出さずに生成された(COニュートラル生成)電力によってそれが可能であれば、行うこともできる。こうして、提供する冷媒回路は、低い外気温によっても可能であるときだけでなく、余剰な再生可能電気を利用可能であるときにも、熱エネルギーを蓄積することができ、冷媒回路が効率的でない場合であっても全体として二酸化炭素の排出をさらに低減することができる。
【0013】
「天然冷媒」に関する語「天然」に関して、この語は、本開示において自然界で生じる冷媒をいう。
【0014】
また、本開示において、「流体連通パイプ」および「流体ポート」に関する「流体」という語は、内部を流れる流体が超臨界条件(超臨界流体)にある流体として、特にCOとして用いる。超臨界条件(超臨界流体)は、その流体が臨界点より高い温度および圧力にあり液相と気相とが別々に存在しないことを意味する。したがって、「流体連通パイプ」および「流体ポート」は、一般的な「液体連通パイプ」および「液体ポート」であり、内部を流れる流体が超臨界条件にあることを強調しているに過ぎない。
【0015】
第2の面では、冷媒回路は、さらに、第1切換機構を有する。第1切換機構は、第1流体連通パイプに設けられる/配置されるとともに、熱源側熱交換器と蓄熱器と第3流体連通パイプと第1気体連通パイプとの間で連通状態にある。第3流体連通パイプは膨張デバイスと連通状態にあり、第1気体連通パイプは圧縮器の吸引側と連通状態ある。
【0016】
第3の面では、第1切換機構は、第1バルブと好ましくは第2バルブとを有することができる。第1バルブは、三方向弁であり、熱源側熱交換器と膨張デバイスと蓄熱器との間で連通状態にある。第2バルブは、三方向弁であり、第1バルブと蓄熱器の間に配置される/設けられるとともに、第1バルブと蓄熱器と第1気体連通パイプとの間で連通状態にある。
【0017】
第4の面では、第1切換機構は、第1バルブを有することができる。第1バルブは、四方向弁であり、熱源側熱交換器と蓄熱器と第1気体連通パイプと膨張デバイスとの間で連通状態にある。第1切換機構は、好ましくはさらに、第3流体連通パイプから第1バルブへの逆流を止める逆止弁を備える。
【0018】
第5の面では、冷媒回路は、第2切換機構を有することができる。第2切換機構は、第2流体連通パイプに配置される/設けられるとともに、蓄熱器と膨張デバイスと第4流体連通パイプとの間で連通状態にある。第4流体連通パイプは利用側熱交換器と連通状態にある。
【0019】
第6の面では、第2切換機構は、三方向弁であって、蓄熱器と膨張バルブと利用側熱交換器との間で連通状態にある弁にできる。好ましくは、膨張デバイスは、第4流体連通パイプに配置される/設けられるとともに、第2切換機構と利用側熱交換器との間で配置される。
【0020】
第7の面では、冷媒回路は、さらに、レシーバーを備える。レシーバーは、第3流体連通パイプに、膨張デバイスと利用側熱交換器との間で好ましくは配置される/設けられる。レシーバーは、液体冷媒と気体冷媒とを分離するよう構成されている。
【0021】
第8の面では、冷媒回路は、さらに、好ましくは利用側熱交換器と膨張デバイスとの間に、より好ましくは利用側熱交換器とレシーバーとの間に配置される/設けられる過冷却熱交換器を有する。
【0022】
第9の面では、冷媒回路は、さらに、膨張デバイス特に蓄積側膨張バルブと、制御器と、を有する。膨張デバイス、特に蓄積側膨張バルブは、第4流体連通パイプに配置されるとともに、第2切換機構と利用側熱交換器との間で配置される。制御器は、動作のモードを選択するよう構成される。
【0023】
モードには、通常冷凍冷蔵および/または冷房モードと、冷温蓄積実行モードと、冷温蓄積使用モードとが含まれる。特に、各モードは以下の通りである。
【0024】
通常冷凍冷蔵および/または冷房モードにおいては、第1流体連通パイプと第3流体連通パイプとが連通状態にあり、膨張デバイスが閉じるよう、第1切換機構は設定される。
【0025】
冷温蓄積実行モードにおいては、第1流体連通パイプと第3流体連通パイプとが連通状態にあり、かつ第1気体連通パイプと蓄熱器とが連通状態にあるよう、第1切換機構は、設定され、第4流体連通パイプと蓄熱器とが連通状態にあり、膨張デバイスが開くよう、第2切換機構は設定される。
【0026】
冷温蓄積使用モードにおいては、第1流体連通パイプと蓄熱器とが連通状態にあるよう、第1切換機構は設定され、第2流体連通パイプと蓄熱器とが連通状態にあり、膨張デバイスが閉じるよう、第2切換機構は設定される。
【0027】
第10の面では、冷媒回路は、さらに、外側温度センサ、気体冷却器温度センサ、蓄熱器媒体温度センサおよび少なくとも1つの圧縮器の高圧側に配置される吐出側圧力センサを有することができる。
【0028】
第11の面では、冷媒回路は、さらに、蓄熱ユニットを有することができる。蓄熱ユニットは、蓄熱器を有するとともに、水回路、冷媒-相変化材料(PCM)回路、または冷媒-水-相変化材料(PCM)回路を有する。冷媒-水-相変化材料(PCM)回路は、熱交換器、特にプレート熱交換器と循環ポンプとを有する。
【0029】
第12の面では、冷媒回路は、さらに、蓄熱ユニットを有することができる。蓄熱ユニットは、第1切換機構および第2切換機構を有する。
【0030】
第13の面では、レシーバーを有する冷媒回路は、さらに、熱交換ユニットを有することができる。熱交換ユニットは、レシーバーおよび過冷却熱交換器を有する。
【0031】
第14の面では、冷媒としてCOを用いる蓄熱器を有する冷媒装置のための冷媒回路を、特に上述した冷媒回路を制御する方法を提供する。該方法は異なる動作のモードを有する。
【0032】
該モードには、通常冷凍冷蔵および/または冷房モードと、冷温蓄積実行モードと、冷温蓄積使用モードとが含まれる。
【0033】
通常冷凍冷蔵および/または冷房モードにおいては、第1流体連通パイプと第3流体連通パイプとが連通状態にあり、膨張デバイスが閉じるよう、第1切換機構は設定される。
【0034】
冷温蓄積実行モードにおいては、第1流体連通パイプと第3流体連通パイプとが連通状態にあり、かつ第1気体連通パイプと蓄熱器とが連通状態にあるよう、第1切換機構は設定され、第4流体連通パイプと蓄熱器とが連通状態にあり、膨張デバイスが開くよう、第2切換機構は設定される。
【0035】
冷温蓄積使用モードにおいては、第1流体連通パイプと蓄熱器とが連通状態にあるよう、第1切換機構は設定され、第2流体連通パイプと蓄熱器とが連通状態にあり、膨張デバイスが閉じるよう、第2切換機構は設定される。
【0036】
第15の面では、方法において、第1流体連通パイプを、熱源側熱交換器の流体側と蓄熱器の一方の側との間で連通状態にできる。第2流体連通パイプを、膨張デバイスと蓄熱器の他方の側との間で連通状態にできる。第3流体連通パイプを膨張デバイスと連通状態にできる。かつ/または、第1気体連通パイプを少なくとも1つの圧縮器の吸引側と連通状態にできる。
【0037】
動作のモードには、さらに、冷温蓄積実行かつ冷凍冷蔵および/または冷房同時モードを含めることができる。制御器は、冷凍冷蔵および/または冷房を冷温蓄積実行よりも優先するよう構成される。
【0038】
また、冷温蓄積実行モード(コールドストレージメイキングモード)には、冷温蓄積実行のみのモード(コールドストレージメイキングモードオンリー)と冷温蓄積実行かつ冷凍冷蔵および/または冷房モード(コールドストレージメイキングアンドレフリジレーションアンド/オアクーリングモード)とを含めることができる。冷温蓄積使用モード(コールドストレージユージングモード)には、冷凍冷蔵および/または冷房かつ冷温蓄積使用モード(レフリジレーションアンド/オアクーリングアンドユージングコールドストレージモード)を含めることができる。
【0039】
冷媒回路を制御する方法を、本開示の冷媒回路を制御するために用いることができる。また、方法を上述した蓄熱ユニットを制御するために用いられることができ、または蓄熱ユニットを用いて方法を実現することもできる。したがって、冷媒回路を制御する方法の上記説明に関連して開示するさらなる特徴は、本開示の冷媒回路または蓄熱ユニットにも当てはまる。同じことが、逆に、熱交換ユニットにもいえる、すなわち熱交換ユニットのさらなる特徴を、冷媒回路を制御する方法にも適用できる。
【0040】
本開示のより完全な認識およびそれによる多くの利点は、添付図面を参照して以下の詳細な説明から容易に得られ、より十分に理解されよう。
【図面の簡単な説明】
【0041】
図1】過冷却される相変化材料(PCM)を有する従来の空気調節システムを示す。
図2】第1実施態様の冷媒回路の構成を示す冷媒回路図である。
図3】第1実施態様の蓄熱ユニットの構成を示す冷媒回路図である。
図4】第2実施態様の蓄熱ユニットの構成を示す冷媒回路図である。
図5】第3実施態様の蓄熱ユニットの構成を示す冷媒回路図である。
図6】第1実施態様の熱交換ユニットの構成を示す冷媒回路図である。
図7】通常冷凍冷蔵および冷房動作の際の第1実施態様の冷却装置の構成を示す冷媒回路図である。
図8】蓄熱器を用いる冷凍冷蔵動作の際の図7の冷却装置を示す冷媒回路図である。
図9】蓄熱器を用いるリフリジレーションおよび冷房動作の際の図7の冷却装置を示す冷媒回路図である。
図10】蓄熱器の蓄積のみの動作(オンリーチャージングオペレーション)の際の図7の冷却装置を示す冷媒回路図である。
図11】蓄熱器への蓄積と同時の冷凍冷蔵動作の際の図7の冷却装置を示す冷媒回路図である。
図12】容量増加ユニットを有する第2実施形態の冷却装置の構成を示す冷媒回路図である。
図13】容量増加ユニットを示す冷媒回路図である。
図14】容量増加ユニットと蓄熱ユニットとを有するコンビネーションユニットを示す冷媒回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0042】
本開示のいくつかの実施形態を、図面を参照して説明する。以下の本発明にかかる実施形態の説明は単なる例示であって、添付の特許請求の範囲によって定義される本開示を限定するものではないことは、本開示から、空調の分野の当業者には明らかであろう。
【0043】
図1は、過冷却される相変化材料(PCM)を有する従来の空気調節システム100を示す。冷却機システムは、圧縮器110と第1熱交換器112と膨張デバイス114と第2熱交換器116とを有する。第1熱交換器112を、凝縮器コイルとして用いることができ、調節すべき建物または空間の外側に配置することができる。第2熱交換器116を、蒸発器コイルとして用いることができる。当該技術で知られている通り、冷媒は、圧縮器110、凝縮器112、膨張デバイス114および蒸発器116を通じて蒸気圧縮サイクルを受ける。熱は蒸発器116で吸収される。また、熱は凝縮器112で放出される。
【0044】
図1のシステムを、水冷冷却機システムとすることができる。蒸発器116は、流体冷却剤を例えば水を通す熱交換器118(例えば、コイル)との熱連通状態にある。供給ポンプ120は、蒸発器116によって冷却される冷却剤を熱交換器118から供給バルブ122へと循環させる。供給バルブ22は、冷却した水を、当該技術で知られている通り空間を冷却するためにファンが空気をコイルに吸い込む特定領域ターミナルへと供給する。戻りバルブ124は、特定領域ターミナルから戻ってくる流体を受けて、その戻り流体を熱交換器118へと供給する。
【0045】
また、図1で示す凝縮器コイル112は、相変化材料126と熱連通状態にある。ファン128は、相変化材料126を冷却する(クーリングする)ために、相変化材料126を通過させる空気を吸い込む。そして、制御器(コントローラ)132は、過冷却液体から固体への相変化材料126の転移を開始する。相変化材料126が過冷却状態にあるときに、アクチュエータ130が、過冷却液体から固体への相変化材料126の転移を開始するよう用いられる。アクチュエータ130は、相変化材料126を凝固するための熱電冷却器(クーラー)を有する。コントローラ132は、相変化材料センサ134からの相変化材料温度信号と周辺温度センサ136からの周辺温度信号とを受信する。
【0046】
相変化材料126としては、冷却機システムのクーリング要求が低いまたはないときに相変化材料が液体から固体へと転移する材料が、選択される。このような転移は、周辺温度が低い夜に行われうる。日中、固体または冷凍状態にある相変化材料126は、冷却機システムが動作するときに凝縮器112からエネルギーを吸収し、これにより、冷却機システムの効率および容量が向上する。
【0047】
また、図2は、第1実施態様の冷媒回路の構成を示す冷媒回路1図である。図示の冷媒回路は、COを冷媒として用いるとともに、1つの圧縮器10と、食品等を収納するための冷蔵庫および冷凍庫(フリーザ)といったクーラーを通常有するいわゆる「コンビニパック(Conveni-Pack)」の屋外ユニットの熱源側熱交換器と、部屋の特にショールーム/ショッピングルームの内部を冷房/暖房するための空気調節装置(屋内ユニット)と、を有する。図示の冷媒回路においては、一例として1つの屋内ユニットおよび1つのクーラーのみを例示したが、冷媒回路はもちろん複数のクーラーおよび空気調節装置を有することができる。図示の冷媒回路はさらに、以下でより詳細に説明する蓄熱ユニット100および熱交換ユニット200を有する。蓄熱ユニット100は、相変化材料(PCM)である蓄熱材料21を有する/収容する蓄熱器20を有する。図示の冷媒回路はさらに、熱源側熱交換器11の流体側を蓄熱器20の一方の側に接続する第1流体連通パイプ30と、膨張デバイス12と蓄熱器20の他方の側とを接続する第2流体連通パイプ40と、を有する。
【0048】
これに関して、本開示において語「接続する」は、2つの要素を例えば「蓄熱器の一方の側」と「蓄熱器」とを、例えば「液体パイプ」または「気体パイプ」といった接続手段によって、冷媒のような流体を一方の要素から他方の要素へと液が漏れないようかつ気体が漏れないよう転送する/交換する/流すよう、互いに接続されることを定義するように用いる。言い換えれば、接続手段は流体接続を提供する。
【0049】
冷媒回路1は、さらに、第1切換機構31を有する。第1切換機構31は、第1流体連通パイプ30に配置されるとともに、熱源側熱交換器11と蓄熱器20と第3流体連通パイプ50と第1気体連通パイプ60とを互いに流体連通状態で接続する。第3流体連通パイプ50は膨張デバイス12と流体連通状態で接続しており、第1気体連通パイプ60は圧縮器10の吸引側と流体連通状態で接続している。
【0050】
図示の冷媒回路1はさらに、第2切換機構41を有する。第2切換機構41は、第2流体連通パイプ40に配置されるとともに、蓄熱器20と膨張デバイス12と第4流体連通パイプ70とを互いに流体連通状態で接続する。第4流体連通パイプ70は利用側熱交換器80Aと流体連通状態で接続している。
【0051】
また図2には、さらに、レシーバー201を備える冷媒回路1を示している。レシーバー201は、第3流体連通パイプ50に、膨張デバイス12と利用側熱交換器80Aとの間で配置される。レシーバー201は、臨界未満の状態で膨張デバイス12から入ってくる冷媒を、液体冷媒と気体冷媒とに分離するよう構成されている。
【0052】
また、冷媒回路1がさらに、レシーバー201を介して液体側が膨張デバイス12と連通状態にあり、気体側が圧縮器10と連通状態にある追加利用側熱交換器80Bを有することを、図示の冷媒回路1では示している。
【0053】
図2に示す通り、利用側熱交換器80Aを、空気調節装置の特に屋内ユニットの熱交換器とでき、追加利用側熱交換器80Bを、例えば冷蔵庫または冷凍庫といったクーラーの熱交換器とできる。
【0054】
図3は、第1実施態様の蓄熱ユニットの構成を示す冷媒回路図である。図示の蓄熱ユニット100は、上述した冷媒回路1の一部である。切換機構1は第1の態様で構成されている。図示の蓄熱ユニット100は、蓄熱器20と蓄熱ユニット気体ポート62と第1蓄熱ユニット流体ポート72と第2蓄熱ユニット流体ポート32Aと第3蓄熱ユニット流体ポート52Aとを有する。蓄熱器20は、相変化材料(PCM)である上述した蓄熱材料21を有する。蓄熱ユニット気体ポート62は、利用側熱交換器80Aと連通状態にあり、蓄熱ユニット100の外側で配置される。第1蓄熱ユニット流体ポート72は、利用側熱交換器80Aと連通状態にある。第2蓄熱ユニット流体ポート32Aは、熱源側熱交換器11と連通状態にあり、蓄熱ユニット100の外側で配置される。第3蓄熱ユニット流体ポート52Aは、膨張デバイス12と連通状態にあり、蓄熱ユニット100の外側で配置される。
【0055】
図示の蓄熱ユニット100はさらに、第1切換機構31と第2切換機構41とを有する。第1切換機構31は、第2蓄熱ユニット流体ポート32Aと第3蓄熱器流体ポート52Aと蓄熱ユニット気体ポート62と蓄熱器20の一方の側との間で連通状態にある。第2切換機構41は、第1蓄熱ユニット流体ポート72と第3蓄熱ユニット流体ポート52Aと蓄熱器20の他方の側との間で連通状態にある。
【0056】
また、図3に示す蓄熱ユニット100はさらに、蓄熱器20に特に蓄熱材料21内部に配置される冷媒熱交換パイプ22を有する。第1切換機構31は、冷媒熱交換パイプ22の一方の側と流体連通状態で接続される。第2切換機構41は、冷媒熱交換パイプ22の他端と流体連通状態で接続される。
【0057】
図示の実施形態では、第1切換機構31は、第1バルブ31Aと第2バルブ31Bとを有する。第1バルブ31Aは、三方向弁であり、第2蓄熱ユニット流体ポート32Aと第3蓄熱ユニット流体ポート52Aと蓄熱器20の間で連通状態にある。第2バルブ31Bは、三方向弁であり、第1バルブ31Aと蓄熱器20の間に配置されるとともに、第1バルブ31Aと蓄熱器20と蓄熱ユニット気体ポート62との間で連通状態にある。
【0058】
第1バルブ31Aと第3蓄熱ユニット流体ポート52Aとの間には、第3蓄熱ユニット流体ポート52Aから第1バルブ31Aへの逆流を遮断する逆止弁31Aが設けられている。
【0059】
図示の第2切換機構41は、三方向弁であり、第1蓄熱ユニット流体ポート72と第3蓄熱ユニット流体ポート52Aと蓄熱器20とを互いに流体連通状態で接続するバルブである。膨張デバイス101は、第2切換機構41と第1蓄熱ユニット流体ポート72との間に配置される。
【0060】
第2蓄熱ユニット流体連通パイプ40は、第3蓄熱ユニット流体ポート52Aと逆止弁53との間で第3蓄熱ユニット流体連通パイプ50に接続される。蓄熱ユニット気体連通パイプ60は、蓄熱ユニット気体ポート62と第1切換機構31特に第2バルブ31Bとを互いに流体連通状態で接続する。
【0061】
図4は、第2実施形態にかかる蓄熱ユニット100の構成を、特に他の態様の構成を示す冷媒回路図である。第1切換機構の構成を除いて、図示の冷媒回路は図3に開示する冷媒回路に対応する。図示の他の態様の構成においては、第1バルブ31Aは、第2蓄熱ユニット流体ポート32Aと蓄熱器20と蓄熱ユニット気体ポート62と第3蓄熱ユニット流体ポート52Aとを流体連通状態で接続する四方向バルブである。
【0062】
図5は、第3実施形態にかかる特に第3の他の態様にかかる蓄熱ユニット100の構成を示す冷媒回路図である。図示の他の態様では、上述の冷媒熱交換パイプ22を用いるのではなく、代わりに熱交換器102を用いる。図示する通り、熱交換器102は、好ましくは一方の側が第1切換機構31および第2切換機構41と連通状態にあり、他方の側が蓄熱器20の一方の側および蓄熱器20の他方の側と連通状態にあるプレート熱交換器である。
【0063】
さらに、蓄熱ユニット100は、熱交換器102と蓄熱器20との間で第2蓄熱ユニット流体連通パイプ40に配置される循環ポンプ103を有する。したがって、蓄熱器は、特に冷却剤として水を用いる閉ループを有する。循環ポンプによって、蓄熱器20を通るよう冷却剤を循環し、これにより、冷却剤は蓄熱器の蓄熱材料21と熱を交換し、そして熱交換器102へと循環してそこでその冷却剤は冷媒回路1の冷媒と熱を再び交換する。こうして、循環ポンプ103は、蓄熱器20特に蓄熱材料21と、冷媒回路1の冷媒との間で交換する熱エネルギーの量を制御することができる。
【0064】
図5に関して説明した実施形態を、第1切換機構に関連する両方の他の態様と、すなわち第1の三方向弁または四方向弁31Aと、組み合わせることができる。
【0065】
図6は、第1実施態様の熱交換ユニット200の構成を示す冷媒回路図である。図示の熱交換ユニット200は、圧縮器10と、熱源側熱交換器11と、膨張デバイス12と、利用側熱交換器80Aと連通状態にあり熱交換ユニット200の外側で配置される熱交換ユニット気体ポート92と、利用側熱交換器80Aと連通状態にある第1熱交換ユニット流体ポート96と、熱源側熱交換器11と連通状態にある第2熱交換ユニット流体ポート32Bと、膨張デバイス12と連通状態にある第3熱交換ユニット流体ポート52Bと、を有する。図示の第2熱交換ユニット流体ポート32Bは、熱交換ユニット200の外側で配置される上述した蓄熱ユニット100と流体連通状態で接続される。また、第3熱交換ユニット流体ポート52Bは、蓄熱ユニット100と流体連通状態で接続される。
【0066】
図示の熱交換ユニット200はさらに、熱交換ユニット気体連通パイプ90と第1熱交換ユニット流体連通パイプ30と第2熱交換ユニット流体連通パイプ50とを有する。熱交換ユニット気体連通パイプ90は、熱交換ユニット気体ポート92と少なくとも1つの圧縮器10の間で連通状態にあり。第1熱交換ユニット流体連通パイプ30は、第2熱交換ユニット流体ポート32Bと熱源側熱交換器11との間で連通状態にある。第2熱交換ユニット流体連通パイプ50は、第3熱交換ユニット流体ポート52Bと第1熱交換ユニット流体ポート96との間で連通状態にある。
【0067】
膨張デバイス12は、第1熱交換ユニット流体ポート96と第3熱交換ユニット流体ポート52Bとの間で、第2熱交換ユニット流体連通パイプ50に配置される。
【0068】
図示の熱交換ユニット200はさらに、第1熱交換ユニット流体ポート96と膨張デバイス12との間で第2熱交換ユニット流体連通パイプ50に配置される上述したレシーバー201を有する。レシーバー201は、液体冷媒と気体冷媒とを分離するよう構成される。熱交換ユニット200は、さらに第4熱交換ユニット流体ポート203を有する。第4熱交換ユニット流体ポート203は、膨張デバイス12と、熱交換ユニット200の外側で配置される追加利用側熱交換器80Bと、を流体連通状態で接続する。
【0069】
図示の熱交換ユニット200は、さらに第3熱交換ユニット流体連通パイプ202を有する。第3熱交換ユニット流体連通パイプ202は、第4熱交換ユニット流体ポート203と膨張デバイス12とを流体連通状態で接続するとともに、第1熱交換ユニット流体ポート96とレシーバー201との間で第2熱交換ユニット流体連通パイプ50と接続される。
【0070】
図7は、通常冷凍冷蔵および冷房動作の際の第1実施態様の冷却装置300の構成を示す冷媒回路図である。図示の冷却装置300はさらに、上述した冷媒回路1、蓄熱ユニット100および熱交換ユニット200を有する。それらを例示のためにさらに詳述する。
【0071】
図示の熱交換ユニット200はさらに、第1熱交換ユニット流体ポート96とレシーバー201との間で配置される過冷却熱交換器204を有する。
【0072】
冷却装置300は、例えば食品等を保存するため冷蔵庫および冷凍庫といった3つのクーラーと、部屋の特にショールーム/ショッピングルームの内部を冷房/暖房するための3つの空調機(屋内ユニット)と、を有する。3つの屋内ユニットにはそれぞれ1つの利用側熱交換器380A~380Cが設けられ、3つの冷蔵庫にはそれぞれ1つの追加利用側熱交換器301A~301Cが設けられる。
【0073】
さらに、図示の熱交換ユニット200は、互いに並列でありかつ基本的な構成の上述した圧縮器10の上流側に設けられる第2圧縮器310Bおよび第3圧縮器310Cを有する。このように、3つの圧縮器310A~310Bは二段式圧縮器システムを構成する。第2圧縮器310Bは、追加利用側熱交換器301A~301Cと連通して、冷凍冷蔵(リフリジレーション)回路を構成している。第3圧縮器310Cは、利用側熱交換器380A~380Cと連通して、空気調節(エアコンディショニング)回路を構成している。3つの圧縮器310A~310Cを、冷媒装置に対する要求に応じて、可変容量圧縮器および/または固定容量圧縮器とできる。3つの圧縮器310A~310Cはすべて、気密(ハーメチック)スクロール圧縮器(コンプレッサ)である。
【0074】
図示の熱交換ユニット200は、さらにレシーバー201の気体側と第1圧縮器10,310Aの吸引側とを流体連通状態で接続しているインジェクションパイプ206を有する。インジェクションパイプ206は、レシーバー201によって収集される中間圧力冷媒を第1圧縮器10,310Aに注入するよう構成される。図7に示す通り、インジェクションパイプ206は、第1圧縮器10,310Aの吸引側に接続する前に、第2圧縮器310Bおよび第3圧縮器310Cの高圧側と第1圧縮器10,310Aの吸引側との間で連通状態にある2つの高圧パイプ207,208と合流している。
【0075】
さらに、好ましくはインジェクションパイプ206が高圧パイプ207,208と接続する点の前に配置される膨張デバイス207が、インジェクションパイプ206に設けられる。
(制御モードの説明)
第1の例:通常冷凍冷蔵および冷房動作
【0076】
すでに上で説明した通り、図7は通常冷凍冷蔵(リフリジレーション)および冷房(クーリング)動作中の冷却装置300を示している。したがって、3つの圧縮器310A~310Cはすべてオンにされており、このことは、第2圧縮器310Bが3つのクーラーの追加利用側熱交換器301A~301Cから低圧冷媒を吸い込んでいることを意味しており、第3圧縮器310Cは3つの屋内ユニットのうちの1つの利用側熱交換器380Cから冷媒を吸い込んでいる。高圧パイプ207,208を介して、2つの圧縮器310B,310Cは、中間圧力冷媒を第1圧縮器310Aに供給する。第1圧縮器310Aは、冷媒をさらに圧縮して高圧冷媒を吐出し、高圧冷媒は気体クーラーとして作用機能する熱源側熱交換器11へと流れる。このような冷媒は、屋外のファンによって供給される外気に熱を放出することによって、冷える。熱源側熱交換器11から流れ出る高圧冷媒は、第1流体連通パイプ30を介して、第1切換機構31へと特に三方向弁である第1バルブ31Aへと流れる。三方向弁31Aは、第1流体連通パイプ30が第3流体連通パイプ50と連通状態にあり第2バルブ31Bへの流れが遮断されている状態にある。したがって、高圧冷媒は、蓄熱器20を通って流れることなくすなわち熱交換器102を介して蓄熱器20と熱を交換することなく、膨張バルブである膨張デバイス12へと直接流れる。膨張デバイス12を流れると、冷却された高圧冷媒の圧力は低下し、冷媒は、気液二相状態にある中間圧力冷媒(臨界値未満の冷媒)へと変わる。
【0077】
その後、中間圧力冷媒はレシーバー201へと流れ、そして、冷媒の特に液体中間圧力冷媒の一部はレシーバー201から過冷却熱交換器204の第1流路204Aへと流れる。第1流路204A内へと流れる冷媒は、第2流路204Bを通って流れる中間圧力冷媒によって冷却され、こうした冷媒の過冷却の程度が高まる。このように過冷却された液体冷媒の一部は、膨張デバイス205を特に過冷却膨張バルブを通って流れ、これにより、中間圧力冷媒の圧力がさらに低下する。中間圧力冷媒は、過冷却熱交換器204の第2流路204B内へと流れ、そして、過冷却熱交換器204の第1流路204Aを通って流れる冷媒から熱を吸収することに蒸発する。
【0078】
過冷却された中間圧力冷媒は、冷凍冷蔵回路および空気調節回路に冷媒を供給する2つの主(メイン)パイプに分岐するように流れる。空気調節回路では、冷媒は3つパイプにさらに分岐する。これにより、屋内ユニットの利用側熱交換器380A~380Cおよびクーラーの追加利用側熱交換器301A~301Cに液体冷媒が供給される。利用側熱交換器380A~380C,301A~301Cへと入る前に、冷媒は、膨張デバイスを特に空気調節膨張バルブまたはクーラー膨張バルブを通って流れ、そこで、中間圧力冷媒の圧力は低下する。こうした冷媒は、利用側熱交換器を通って流れ、屋内ユニットの空気調節ファンによって供給される典型的には部屋の空気から熱を吸収することによって蒸発する。
【0079】
屋内ユニットの利用側熱交換器380A~380Cの蒸発した冷媒は、再合流し、吸入パイプを介して第3圧縮器310Cの吸引側へと流れる。クーラーの追加利用側熱交換器301A~301Cの蒸発した冷媒は、再合流し、吸入パイプを介して第2圧縮器310Bの吸引側へと戻るよう流れる。このように、空気調節回路および冷凍冷蔵回路は閉ループである。過冷却熱交換器204の蒸発した冷媒は、第2圧縮器310Bおよび第3圧縮器310Cから吐出される中間圧力冷媒と合流し、第1圧縮器310Aの吸引側に供給される。
【0080】
さらに、レシーバー201によって超臨界冷媒の液体中間圧力冷媒から分離される気体中間圧力冷媒は、膨張デバイスを通って中を流れ、その圧力が第2圧縮器310Bおよび第3圧縮器310Cによって吐出される中間圧力冷媒の圧力と同様な圧力へと低下する。
【0081】
第2の例: 蓄熱器を用いる冷凍冷蔵動作
図8は、蓄熱器を用いる冷凍冷蔵動作の際の図7の冷却装置300を示す冷媒回路図である。この動作において、熱源側熱交換器11から流れ出た高圧冷媒が、第1流体連通パイプ30を介して第1バルブおよび第2バルブへと、そして蓄熱器へと流れ、これにより、蓄熱器20と熱を交換するよう、第1切換機構31(特に第1バルブおよび第2バルブ)と第2切換バルブとは設定される。蓄熱器20を通って流れるとき、高圧冷媒は冷却される。蓄熱器20から出た後、高圧冷媒は、第2切換機構を介し膨張デバイス12を介してレシーバー201へと戻る。膨張デバイス12を流れることによって、冷却された高圧冷媒の圧力は低下し、冷媒は、気液二相状態にある中間圧力冷媒(超臨界冷媒)へと変わる。
【0082】
上述した通り、冷媒の特に液体中間圧力冷媒の一部は、その後、レシーバー201から過冷却熱交換器204の第1流路204Aへと流れる。第1流路204A内へと流れる冷媒は、第2流路204Bを通って流れる中間圧力冷媒によって冷却され、こうした冷媒の過冷却の程度が高まる。このように過冷却された液体冷媒の一部は、膨張デバイス205を通って流れ、これにより、中間圧力冷媒の圧力がさらに低下する。中間圧力冷媒は、過冷却熱交換器204の第2流路204B内へと流れ、そして、過冷却熱交換器204の第1流路204Aを通って流れる冷媒から熱を吸収することに蒸発する。
【0083】
過冷却された中間圧力冷媒は、その後、冷媒を冷凍冷蔵回路にのみに供給し、冷媒が3つパイプにさらに分岐してクーラーの追加利用側熱交換器301A~301Cに液体冷媒が供給される空気調節回路には供給しないよう流れる。追加利用側熱交換器301A~301Cへと入る前に、冷媒は、クーラー膨張バルブを通って流れ、そこで、中間圧力冷媒の圧力は低下する。こうした冷媒は、追加利用側熱交換器を通って流れ、クーラー内の保存庫から熱を吸収することによって蒸発する。
【0084】
冷房動作がオフにされるので、第2圧縮器310Bおよび第1圧縮器310Aだけが使用状態にあり、第3圧縮器310はオフにされる。したがって、第2圧縮器310は、クーラーの追加利用側熱交換器301A~301Cから低圧冷媒を吸い込み、中間圧力冷媒を、高圧パイプ207を介して第1圧縮器310Aに供給する。第1圧縮器310Aは、冷媒をさらに圧縮して高圧冷媒を吐出し、高圧冷媒は気体クーラーとして作用機能する熱源側熱交換器11へと流れる。このような冷媒は、屋外のファンによって供給される外気に熱を放出することによって、冷える。熱源側熱交換器11から流れ出る高圧冷媒は、その後、第1流体連通パイプ30を介して第1切換機構31へと戻るよう流れ、こうして、冷媒回路を閉じている。
【0085】
第3の例:蓄熱器を用いる冷凍冷蔵および冷房動作
図9は、蓄熱器を用いる冷凍冷蔵および冷房動作の際の図7の冷却装置を示す冷媒回路図である。蓄熱器を用いる冷凍冷蔵および冷房動作は、3つの圧縮器310A~310Cがすべて使用状態にあることを除いて、蓄熱器を用いる図8を参照して説明した冷凍冷蔵(だけの)動作に関する上記のものと同様である。したがって、第2圧縮器310Bは、3つのクーラーの追加利用側熱交換器301A~301Cから低圧冷媒を吸い込み、そして、第3圧縮器310Cは、冷媒を、三つの屋内ユニットうちの1つの利用側熱交換器380Cから吸い込んで中間圧力冷媒として第1圧縮器310Aへと供給し、第1圧縮器310Aは、冷媒をさらに圧縮して高圧冷媒を吐出し、高圧冷媒は熱源側熱交換器11へと流れ込む。
【0086】
このような冷媒はその後、上述した通り、蓄熱器20、膨張デバイス12、レシーバー201および過冷却熱交換器204を通って流れ、そして、2つのメインパイプへと分岐し、これにより、冷凍冷蔵回路および空気調節回路に冷媒を供給し、閉じた冷媒回路を形成している。
【0087】
第4の例:蓄熱器のオンリーチャージング動作
図10は、蓄熱器の蓄積のみを行う(オンリーチャージング)動作の際の図7の冷却装置を示す冷媒回路図である。
【0088】
この動作においては、第3圧縮器310Cおよび第1圧縮器310Aだけが使用状態にあり、第2圧縮器310Bはオフにされる。第3圧縮器310Cは、蓄熱器20から直接冷媒を吸い込んで中間圧力冷媒を第1圧縮器に供給する。第1圧縮器は、冷媒をさらに圧縮して高圧冷媒を吐出し、高圧冷媒は気体クーラーとして作用機能する熱源側熱交換器11へと流れる。熱源側熱交換器11から流れ出る高圧冷媒は、その後、第1流体連通パイプ30を介して第1切換機構31へと流れる。この制御モードにおいては、高圧冷媒が図7を参照して上で説明した通り直接膨張デバイス12に流れるよう、第1バルブ31Aは設定される。膨張デバイス12から、気液二相状態にある中間圧力冷媒(超臨界冷媒)は、レシーバー201へと流れ込み、そこから、液体中間圧力冷媒が過冷却熱交換器204の第1流路204Aへと流れ込む。第1流路204A内へと流れる冷媒は、第2流路204Bを通って流れる中間圧力冷媒によって冷却され、こうした冷媒の過冷却の程度が高まる。
【0089】
過冷却された中間圧力冷媒は、その後、第2バルブ31Bを介して蓄熱器20へと戻るよう流れ、蓄熱器20を通って流れることによって、蓄熱器20を特に蓄熱材料を冷却し、その結果、蓄熱器に冷温を蓄積する。
【0090】
第5の例:蓄熱器への蓄積と同時の冷凍冷蔵動作
図11は、蓄熱器への蓄積と同時の冷凍冷蔵動作の際の図7の冷却装置を示す冷媒回路図である。
【0091】
3つの圧縮器310A~310Cがすべて使用状態にあり、第2圧縮器310Bがクーラーの追加利用側熱交換器301A~301Cを冷媒回路1に接続することを除いて、蓄熱器への蓄積と同時の冷凍冷蔵動作は、図10を参照して説明した蓄熱器のオンリーチャージング動作に関する上記のものと同様である。これにより、第2バルブ31Bを介して蓄熱器20を通るよう過冷却された中間圧力冷媒を流れさせることによって蓄熱器20に冷温を蓄積するだけでなく、追加利用側熱交換器301A~301Cに過冷却された中間圧力冷媒を供給することもできる。つまり、冷凍冷蔵動作を実行しながら同時に、蓄熱器20への蓄積を行うことができる。
【0092】
図12は、容量増加ユニット320を有する第2実施形態の冷却装置300の構成を示す冷媒回路図である。第2実施形態の冷媒装置300は、図7を参照して説明した第1実施態様の冷媒装置に大部分が対応する。なお、蓄熱ユニット100を備える代わりに、第2熱交換器ユニット流体ポート32Bおよび第3熱交換器ユニット流体ポート52Bと接続する2つの接続パイプが開口端部を有する。そのため、第2熱交換器ユニット流体ポート32Bおよび第3熱交換器ユニット流体ポート52Bを介して冷媒装置300と特に熱交換器ユニット200と接続されるユニットは、図示していない。本発明は、蓄熱ユニット100の代わりに、熱交換器特にプレート熱交換器、容量増加ユニット、または蓄熱ユニットおよび容量増加ユニットを有するコンビネーションユニットを、熱交換器ユニット200に接続することもできる。
【0093】
図13は、容量増加ユニット320を示す冷媒回路図である。容量増加ユニット320は、基本的に、冷媒装置300のリフリジレーションおよびクーリング容量を増加させるために、冷媒装置300に追加できるまたは接続できる独立冷媒回路である。図13に示す通り、容量増加ユニット320は、閉冷媒回路を構成する熱交換器、圧縮器および膨張デバイスを有する。熱交換器は、熱交換器ユニット200と熱を交換するよう構成される。したがって、熱交換器を、第2熱交換器ユニット流体ポート32Bおよび第3熱交換器ユニット流体ポート52Bと接続することができる。さらに、容量増加ユニット320には、熱源側熱交換器が設けられる。熱源側熱交換器は、内部を流れる冷媒を、屋外ファンによって供給される外気に熱を放出させることによって冷却する。
【0094】
図14は、容量増加ユニット320と蓄熱ユニットとを有するコンビネーションユニット330を示す冷媒回路図である。上述した通り、容量増加ユニット320は、閉冷媒回路を構成する熱交換器、圧縮器および膨張デバイスを有する。さらに、熱交換器を直接冷媒装置300と特に熱交換器ユニット200と接続する代わりに、蓄熱ユニットが熱交換器ユニット200と蓄熱ユニットとの間に配置される。このため、蓄熱ユニットに熱エネルギーを特に冷温を蓄積するために、コンビネーションユニット330は、容量増加ユニットによって冷却される蓄熱ユニットを通る水といった冷媒または冷却剤を循環させる循環ポンプを追加的に有する。一方、蓄熱ユニットには、冷媒装置300の冷媒回路と特に熱交換器ユニット200と熱を交換するよう用いられる熱交換器が設けられる。
【0095】
また、容量増加ユニットは、熱交換器と圧縮器とファンによって冷却される熱源側熱交換器と膨張デバイスとを有する閉冷媒回路を有することができる。熱交換器は、熱交換ユニットと熱を交換する。
【0096】
さらなる面では、コンビネーションユニットは、熱交換器と圧縮器とファンによって冷却される熱源側熱交換器と膨張デバイスとを有する閉冷媒回路を備える容量増加ユニットと、熱交換器と蓄熱材料(特に相変化材料(PCM))を有する蓄熱器と循環ポンプとを備える蓄熱ユニットと、を有することができる。熱交換器は熱交換ユニットと熱を交換する。
【符号の説明】
【0097】
1 冷媒回路
10 圧縮器(第1圧縮器)
11 熱源側熱交換器
12 膨張デバイス
20 蓄熱器
21 蓄熱材料
22 冷媒熱交換パイプ
30 第1流体連通パイプ
31 第1切換機構
40 第2流体連通パイプ
41 第2切換機構
50 第3流体連通パイプ
60 第1気体連通パイプ
70 第4流体連通パイプ70
80A 利用側熱交換器
80B 追加利用側熱交換器
90 熱交換ユニット気体連通パイプ
92 熱交換ユニット気体ポート92
96 第1熱交換ユニット流体ポート
100 蓄熱ユニット
72 第1蓄熱ユニット流体ポート
32A 第2蓄熱ユニット流体ポート
52A 第3蓄熱ユニット流体ポート
62 蓄熱ユニット気体ポート
31A 第1バルブ
31B 第2バルブ
53 逆止弁
101 膨張デバイス
102 熱交換器
103 循環ポンプ
200 熱交換器ユニット
96 第1熱交換器ユニット流体ポート
32B 第2熱交換器ユニット流体ポート
52B 第3熱交換器ユニット流体ポート
201 レシーバー
202 第3熱交換器ユニット流体連通パイプ
203 第4熱交換器ユニット流体ポート
204 過冷却熱交換器
205 膨張デバイス(過冷却膨張バルブ)
206 インジェクションパイプ
207 高圧力パイプ
208 高圧力パイプ
209 膨張デバイス
210 ファン
300 冷却装置
301A~301C 追加利用側熱交換器
310A 第1圧縮器
310B 第2圧縮器
310C 第3圧縮器
320 容量増加ユニット
330 コンビネーションユニット
380A~380C 利用側熱交換器
【先行技術文献】
【特許文献】
【0098】
【特許文献1】欧州特許出願公開第2,402,681号明細書
【特許文献2】欧州特許第2,844,924号明細書
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
【国際調査報告】