(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-11-02
(54)【発明の名称】心周期における基準特徴を識別する方法およびシステム、ならびに心臓監視におけるそれらの使用
(51)【国際特許分類】
A61B 5/35 20210101AFI20231026BHJP
A61B 5/33 20210101ALI20231026BHJP
A61B 5/11 20060101ALI20231026BHJP
A61B 5/02 20060101ALI20231026BHJP
【FI】
A61B5/35
A61B5/33
A61B5/11 100
A61B5/02 310V
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023547329
(86)(22)【出願日】2021-10-13
(85)【翻訳文提出日】2023-04-24
(86)【国際出願番号】 US2021054846
(87)【国際公開番号】W WO2022081757
(87)【国際公開日】2022-04-21
(32)【優先日】2020-10-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523136237
【氏名又は名称】ソテラ ワイアレス,インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100114775
【氏名又は名称】高岡 亮一
(74)【代理人】
【識別番号】100121511
【氏名又は名称】小田 直
(74)【代理人】
【識別番号】100202751
【氏名又は名称】岩堀 明代
(74)【代理人】
【識別番号】100208580
【氏名又は名称】三好 玲奈
(74)【代理人】
【識別番号】100191086
【氏名又は名称】高橋 香元
(72)【発明者】
【氏名】ナジ,モーセン
(72)【発明者】
【氏名】マクコンビー,デヴィン
【テーマコード(参考)】
4C017
4C038
4C127
【Fターム(参考)】
4C017AA02
4C017AA08
4C017AA10
4C017AA12
4C017AA14
4C017AA16
4C017AA19
4C017AB04
4C017AC15
4C017AC20
4C017BB13
4C017BC11
4C017BD05
4C017EE15
4C017FF05
4C038VA05
4C038VA20
4C038VB32
4C038VC20
4C127AA02
4C127CC06
4C127FF02
4C127GG09
4C127GG11
4C127KK03
4C127KK05
(57)【要約】
本発明は、SCG信号およびECG信号における連続的な基準点決定のための方法および身体装着監視システムを提供する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
個人の心周期における基準特徴を監視する方法であって、
前記個人の胸部に配置された振動センサを使用して、時間依存心震図波形を生成することと、
前記個人に配置されたECGセンサを使用して、対応する時間依存ECG波形を生成することと、
前記時間依存心震図波形および前記時間依存ECG波形を処理コンポーネントで受信し、前記処理コンポーネントでコードを実行することと、
を含み、
前記コードを実行することは、前記時間依存心震図波形および前記時間依存ECG波形を処理するために、
前記時間依存心震図波形を0Hz~100Hzの周波数帯域にフィルタリングして、フィルタリングされた心震図波形を作成するステップと、
テンプレートを作成するステップであって、前記テンプレートは、
(i)前記時間依存ECG波形で識別された各QRS群nについて、前記フィルタリングされた心震図波形をウィンドウnでセグメント化することであって、各ウィンドウの長さはl
1ミリ秒である、前記セグメント化することと、
(ii)前記テンプレートに含まれる可能性のあるウィンドウnの品質メトリックを判定することと、
(iii)前記品質メトリックが許容できる場合は、前記テンプレートにウィンドウnを含めることと、
(iv)少なくとも30個のウィンドウが前記テンプレートに含まれるまで、(i)~(iii)を繰り返すことと、
によって前記品質メトリックを満たす少なくとも10個のウィンドウから計算された平均心震図波形ウィンドウである、前記作成するステップと、
大動脈弁開放を示す前記テンプレート内の基準点を識別するステップと、
前記フィルタリングされた心震図波形の後続の各QRS群mに対して、各ウィンドウmの長さがl
2ミリ秒であるウィンドウmで前記フィルタリングされた心震図波形をセグメント化することにより、前記フィルタリングされた心震図波形の前記QRS群mに対応する大動脈弁開口部mを識別し、フィットネス関数を使用してウィンドウmを前記テンプレートと比較し、前記テンプレート内の前記基準点と一致するウィンドウm内の基準点を識別するステップと、
を実行する、前記方法。
【請求項2】
前記フィルタリングされた心震図波形における後続の各QRS群mは、ステップ(i)~(iv)に従って前記テンプレートを更新するために使用される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記振動センサは、加速度計、ジャイロスコープ、レーザードップラー振動計、マイクロ波ドップラー振動計、および空中超音波表面運動カメラからなる群から選択される、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記時間依存心震図波形が背側腹部の軸で記録される、請求項1~3のうちの1項に記載の方法。
【請求項5】
前記周波数帯域は約6Hz~約60Hzの間である、請求項1~4のうちの1項に記載の方法。
【請求項6】
l
1およびl
2がそれぞれ少なくとも約256ミリ秒である、請求項1~5のうちの1項に記載の方法。
【請求項7】
前記品質メトリックは、最小から最大までの振幅(「minmax」)、120ミリ秒間隔の正規化されたエネルギー(「nE」)、セグメントについて計算された導関数の分散(「nVD」)、およびウィンドウnの閾値交差(「THC」)の数から判定される、請求項1~6のうちの1項に記載の方法。
【請求項8】
MinMax(n)=max(x[n])-min(x[n])、ここでx[n]はウィンドウnのフィルタリングされた心震図波形の振幅であり、
【数1】
と、
【数2】
ここでs<0の場合、f(s)=1、それ以外の場合はf(s)=0,Th=r*Max(x[n]),x[n]=1,2,...,Nwin,0<r<1、
である、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記テンプレートが、品質メトリックを満たす少なくとも20個のウィンドウから計算された平均心震図波形ウィンドウである、請求項1~8のうちの1項に記載の方法。
【請求項10】
前記テンプレートが、品質メトリックを満たす少なくとも30個のウィンドウから計算された平均心震図波形ウィンドウである、請求項1~8のうちの1項に記載の方法。
【請求項11】
前記テンプレートが、品質メトリックを満たす少なくとも40個のウィンドウから計算された平均心震図波形ウィンドウである、請求項1~8のうちの1項に記載の方法。
【請求項12】
前記テンプレートが、品質メトリックを満たす少なくとも60個のウィンドウから計算された平均心震図波形ウィンドウである、請求項1~8のいずれか1つに記載の方法。
【請求項13】
前記コードを実行することは、
各大動脈弁開放mおよびQRS群mについて、QRS群mの開始と大動脈弁開放mの発生との間の時間差として前駆出期(PEP)mを計算するステップと、
各PEPmを表示装置に表示するステップと、
をさらに実行する、請求項1~12のうちの1項に記載の方法。
【請求項14】
前記コードを実行することは、
各大動脈弁開放mおよびQRS群mについて、PEPmを使用してパルス通過時間(PTT)mを計算し、PTTmを使用して連続非侵襲的血圧(cNIBP)値mを計算するステップと、
前記cNIBP値mを前記表示装置に表示するステップと、
をさらに実行する、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
個人の心周期における基準特徴を監視するシステムであって、
前記個人の胸部の外部に配置し、時間依存ECG波形を生成するように構成された振動センサと、
前記個人の外部に配置し、時間依存心電図波形を生成するように構成されたECGセンサと、
マイクロプロセッサと、前記マイクロプロセッサに動作可能に接続された不揮発性メモリとを備える処理コンポーネントであって、前記処理コンポーネントは、前記振動センサおよび前記ECGセンサに動作可能に接続されて、時間依存心震図波形および時間依存ECG波形を受信するように構成され、前記処理コンポーネントに格納されたコードを実行するように構成された、前記処理コンポーネントと、
を備え、
前記コードを実行することは、前記時間依存心震図波形および前記時間依存ECG波形に対して、
前記時間依存心震図波形を0Hz~100Hzの周波数帯域にフィルタリングして、フィルタリングされた心震図波形を作成するステップと、
テンプレートを作成することであって、前記テンプレートは、
(i)前記時間依存ECG波形で識別された各QRS群nについて、前記フィルタリングされた心震図波形をウィンドウnでセグメント化することであって、各ウィンドウの長さはl
1ミリ秒であり、l
1は少なくとも約256m秒である、前記セグメント化することと、
(ii)前記テンプレートに含まれる可能性のあるウィンドウnの品質メトリックを判定することと、
(iii)前記品質メトリックが許容できる場合は、前記テンプレートにウィンドウnを含めることと、
(iv)少なくとも30個のウィンドウが前記テンプレートに含まれるまで、(i)~(iii)を繰り返すことと、
によって、前記品質メトリックを満たす少なくとも10個のウィンドウから計算された平均心震図波形形ウィンドウである、前記作成するステップと、
大動脈弁開放を示す前記テンプレート内の基準点を識別するステップと、
前記フィルタリングされた心震図波形の後続の各QRS群mに対して、各ウィンドウmの長さがl
2ミリ秒であるウィンドウmで前記フィルタリングされた心震図波形をセグメント化することにより、前記フィルタリングされた心震図波形の前記QRS群mに対応する大動脈弁開口部mを識別することであって、l
2は長さが256ミリ秒であり、フィットネス関数を使用してウィンドウmをテンプレートと比較し、前記テンプレート内の前記基準点と一致するウィンドウm内の基準点を識別する、前記識別するステップと、
を実行する、前記システム。
【請求項16】
前記フィルタリングされた心震図波形における後続の各QRS群mは、ステップ(i)~(iv)に従って前記テンプレートを更新するために使用される、請求項15に記載のシステム。
【請求項17】
前記振動センサは、加速度計、ジャイロスコープ、レーザードップラー振動計、マイクロ波ドップラー振動計、および空中超音波表面運動カメラからなる群から選択される、請求項15または16に記載のシステム。
【請求項18】
前記時間依存心震図波形が背側腹部の軸で記録される、請求項15~17のうちの1項に記載のシステム。
【請求項19】
前記周波数帯域は約6Hz~約60Hzの間である、請求項15~18のうちの1項に記載のシステム。
【請求項20】
l
1およびl
2がそれぞれ少なくとも約256ミリ秒である、請求項15~19のうちの1項に記載の方法。
【請求項21】
前記品質メトリックは、最小から最大までの振幅(「minmax」)、120ミリ秒間隔の正規化されたエネルギー(「nE」)、セグメントについて計算された導関数の分散(「nVD」)、およびウィンドウnの閾値交差(「THC」)の数から判定される、請求項15~20のうちの1項に記載のシステム。
【請求項22】
MinMax(n)=max(x[n])-min(x[n])、ここでx[n]はウィンドウnのフィルタリングされた心震図波形の振幅であり、
【数3】
と、
【数4】
ここでs<0の場合、f(s)=1、それ以外の場合はf(s)=0,Th=r*Max(x[n]),x[n]=1,2,...,Nwin,0<r<1、である、
請求項21に記載のシステム。
【請求項23】
前記テンプレートが、品質メトリックを満たす少なくとも20個のウィンドウから計算された平均心震図波形ウィンドウである、請求項15~22のうちの1項に記載のシステム。
【請求項24】
前記テンプレートが、品質メトリックを満たす少なくとも30個のウィンドウから計算された平均心震図波形ウィンドウである、請求項15~22のうちの1項に記載のシステム。
【請求項25】
前記テンプレートが、品質メトリックを満たす少なくとも40個のウィンドウから計算された平均心震図波形ウィンドウである、請求項15~22のうちの1項に記載のシステム。
【請求項26】
前記テンプレートが、品質メトリックを満たす少なくとも60個のウィンドウから計算された平均心震図波形ウィンドウである、請求項15~22のうちの1項に記載のシステム。
【請求項27】
前記コードを実行することは、
各大動脈弁開放mおよびQRS群mについて、QRS群mの開始と大動脈弁開放mの発生との間の時間差として前駆出期(PEP)mを計算するステップと、
各PEPmを表示装置に表示するステップと、
をさらに実行する、請求項15~26のうちの1項に記載のシステム。
【請求項28】
前記システムは、個人の手の外部に位置し、時間依存のフォトプレチスモグラム波形を生成するように構成されたフォトプレチスモグラムセンサをさらに備え、
前記処理コンポーネントは、前記時間依存フォトプレチスモグラム波形を受け取るために、前記フォトプレチスモグラムセンサに動作可能に接続され、
前記コードを実行することは、
各大動脈弁開放mおよびQRS群mについて、PEPmを使用してパルス通過時間(PTT)mを計算し、PTTmを使用して連続非侵襲的血圧(cNIBP)値mを計算するステップと、
前記cNIBP値mを前記表示装置に表示するステップと、
をさらに実行する、請求項27に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2020年10月13日に出願された米国仮出願第63/091,228号の利益を主張するものであり、その優先権が主張されるすべての表、図、および請求項を含むその全体が参照により組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
心臓の時間間隔は、患者の監視において臨床的に重要であり、僧帽弁狭窄症、冠動脈疾患、動脈性高血圧症、心房細動、循環血液量減少および輸液反応性、慢性心筋疾患、左心室機能の評価などの状態で重要な医療データを提供できる。重要な心拍間隔の一部には、左心室脱分極の開始(通常、心電図(ECG)のQRS群の開始と大動脈弁の開放によって決定される)の間の期間として定義される、駆出前期間(PEP)が含まれ、左心室駆出時間(LVET)、大動脈弁の開閉の間の間隔として定義され、全収縮時間(TST)、Q波と大動脈弁の閉鎖の間の時間として定義され、電気機械的遅延(EMD)、Q波と僧帽弁の閉鎖の間の時間間隔として定義される。これらの心拍間隔を推定するには、大動脈弁と僧帽弁の開閉のタイミングを検出する必要があるが、これはECGからは容易に判断できない。
【0003】
ECG信号は、心房と心室の脱分極と再分極から電子的に変換された信号である。一般的に、信号は心房と心室の脱分極と心室の再分極でそれぞれ発生したP波、QRS群、およびT波で構成される。ECGは、弁の開閉の不足を識別するために、ドップラーフローイメージング、組織ドップラーイメージング(TDI)、心音図(PCG)、インピーダンスカーディオグラフィ(ICG)、心震図(SCG)などの方法で補うことができる。これらの方法の各々は、心周期における特定の事象を示す測定信号における基準特徴を識別するために信号分析を必要とする。信号分析は、ノイズ除去、基準点検出、特徴量の取得と分類の組み合わせと考えることができる。正確な基準点の検出は、正確な心臓監視の鍵である。
【発明の概要】
【0004】
本発明は、SCGおよびECG信号における連続的な基準点決定のための方法および身体装着監視システムを提供する。これらの基準点は、駆出前期間(PEP)を監視し、その中の臨床的に重要な変化(ΔPEP)を識別するための改善されたシステムおよび方法を提供する。本明細書に記載の方法およびシステムは、SCGデータの切片を分析することにより、患者固有のSCGテンプレートを継続的に導き出す。SCG切片の開始は、監視システム上で動作するECG心拍検出アルゴリズムによって決定される。監視システムは、SCGテンプレート(関心領域、ROI)内の堅牢な波を継続的に検出して、ΔPEP測定の基準を設定する。ROI抽出では、生理学的イベント(PEPのための大動脈弁開放など)の決定論的な注釈は必要としない。
【0005】
個々の心拍の場合、ΔPEP測定はユーザートリガー(キャリブレーション)で開始される。このアルゴリズムは、キャリブレーション前の最新のROIとフィットネス関数を使用してΔPEPを測定する。ΔPEP測定値は、任意のキャリブレーションによっていつでもリセットできる。ΔPEPを使用すると、cNIBP推定に脈波到達時間(PAT)を使用するシステムでの連続血圧(cNIBP)推定の精度も向上させることができる。
【0006】
第1の態様では、本発明は、個体の心周期における基準特徴を監視するための方法であって、
個人の胸部に配置された振動センサを使用して、時間依存心震図波形を生成することと、
個人に配置されたECGセンサを使用して、対応する時間依存ECG波形を生成することと、
処理コンポーネント上で時間依存心震図波形および時間依存ECG波形を受信し、処理コンポーネント上でコードを実行することと
を含み、
コードを実行することは、時間依存心震図波形および時間依存ECG波形を処理するために、
時間依存心震図波形を0Hz~100Hzの周波数帯域にフィルタリングして、フィルタリングされた心震図波形を作成するステップと、
テンプレートを作成するステップであって、テンプレートは、
(i)時間依存ECG波形で識別された各QRS群nについて、フィルタリングされた心震図波形をウィンドウnでセグメント化することであって、各ウィンドウの長さはl1ミリ秒である、セグメント化することと、
(ii)テンプレートに含まれる可能性のあるウィンドウnの品質メトリックを判定することと、
(iii)品質メトリックが許容できる場合は、テンプレートにウィンドウnを含めることと、
(iv)少なくとも30個のウィンドウがテンプレートに含まれるまで、(i)~(iii)を繰り返すことと、
によって品質メトリックを満たす少なくとも10個のウィンドウから計算された平均心震図波形ウィンドウである、作成するステップと、
大動脈弁開放を示すテンプレート内の基準点を識別するステップと、
フィルタリングされた心震図波形の後続の各QRS群mに対して、各ウィンドウmの長さがl2ミリ秒であるウィンドウでフィルタリングされた心震図波形をセグメント化することにより、フィルタリングされた心震図波形のQRS群mに対応する大動脈弁開口部mを識別し、フィットネス関数を使用してウィンドウmをテンプレートと比較し、テンプレート内の基準点と一致するウィンドウm内の基準点を識別するステップと、
を実行する、方法である。
【0007】
l1およびl2の値は、各拍動が効果的にサンプリングされるように、個人の実際の心拍数に基づいて決定され得る。たとえば、毎分180回の心拍数(毎秒3回の拍動)では、約333ミリ秒のl1とl2の値が各心拍をキャプチャする。特定の実施形態では、l1およびl2の値は、任意の妥当な心拍数がサンプリングされるように選択される。心房細動の心拍数は1分間に100から175拍の範囲である可能性があるが、心拍数の正常な範囲は1分間に60から100拍である。好ましい実施形態では、少なくとも約256ミリ秒のl1およびl2の値が選択され、各心拍が効果的にサンプリングされない可能性は低い。
【0008】
特定の実施形態では、フィルタリングされた心震図波形における後続の各QRS群mは、ステップ(i)~(iv)に従ってテンプレートを更新するために使用される。このようにして、個人の最新の心震図波形データに従って、テンプレートを継続的に更新することができる。
【0009】
本発明で使用される適切な振動センサには、加速度計、ジャイロスコープ、レーザードップラー振動計、マイクロ波ドップラー振動計、および空中超音波表面運動カメラが含まれる。このリストは限定的なものではない。
【0010】
特定の実施形態において、時間依存心震図波形は、背側腹部の軸上で記録される。これは、胴体を後ろから前に通る軸である。時間依存心震図波形の好ましい周波数帯域は、約6Hzから約60Hzの間であり、記録された周波数のより広いセットをフィルタリングすることによって得ることができる。
【0011】
様々な実施形態において、品質メトリックは、最小から最大までの振幅(「minmax」)、120ミリ秒間隔の正規化されたエネルギー(「nE」)、セグメントについて計算された導関数の分散(「nVD」)、およびウィンドウnの閾値交差(「THC」)の数から決定され得る。特定の実施形態において、これらの値は以下のように計算される。
MinMax(n)=Max(x[n])-Min(x[n])、
ここでx[n]はウィンドウnのフィルタリングされた心震図波形の振幅である。
【数1】
および
【数2】
s<0の場合、f(s)=1、それ以外の場合はf(s)=0,Th=r*Max(x[n]),x[n]=1,2,...,Nwin,0<r<1、である。
【0012】
好ましい実施形態では、テンプレートは、所望の品質メトリックを満たす少なくとも10ウィンドウ、20ウィンドウ、30ウィンドウ、40ウィンドウ、50ウィンドウ、60ウィンドウ、またはそれ以上から計算された平均心震図波形ウィンドウである。
【0013】
テンプレートが確立されると、テンプレート内の基準点と一致するウィンドウm内の各基準点を使用して、各QRS群mに対応する前駆出期を導き出すことができる。このPEPmは、連続的な非侵襲的血圧値を導き出すために、パルス通過時間測定の補正値としても使用できる。したがって、特定の実施形態において、処理コンポーネントは、以下のステップを実行するコードを実行して、
各大動脈弁開放mおよびQRS群mについて、QRS群mの開始と大動脈弁開放mの発生との間の時間差として前駆出期(PEP)mを計算し、各PEPmを表示装置に表示すること、
各大動脈弁開放mおよびQRS群mについて、PEPmを使用してパルス通過時間(PTT)mを計算し、PTTmを使用して連続非侵襲的血圧(cNIBP)値mを計し、cNIBP値mを表示装置に表示すること、
ができる。
【0014】
関連する態様では、本発明は、本明細書に記載の方法に従って、個人の心周期における基準特徴を監視するためのシステムを提供する。このようなシステムは、
個人の胸部の外部に配置し、時間依存心震図波形を生成するように構成された振動センサと、
個人の外部に配置し、時間依存の心電図波形を生成するように構成されたECGセンサと、
マイクロプロセッサと、マイクロプロセッサに動作可能に接続された不揮発性メモリとを備える処理コンポーネントであって、処理コンポーネントは、振動センサおよびECGセンサに動作可能に接続されて、時間依存心震図波形および時間依存ECG波形を受信するように構成され、処理コンポーネントに格納されたコードを実行するように構成された、処理コンポーネントと、
を備え、
コードを実行することは、前記時間依存心震図波形および前記時間依存ECG波形に対して、
時間依存心震図波形を0Hz~100Hzの周波数帯域にフィルタリングして、フィルタリングされた心震図波形を作成するステップと、
テンプレートを作成することであって、前記テンプレートは、
(i)時間依存ECG波形で識別された各QRS群nについて、前記フィルタリングされた心震図波形をウィンドウnでセグメント化することであって、各ウィンドウの長さはl1ミリ秒であり、l1は少なくとも約256m秒である、セグメント化することと、
(ii)テンプレートに含まれる可能性のあるウィンドウnの品質メトリックを判定することと、
(iii)品質メトリックが許容できる場合は、前記テンプレートにウィンドウnを含めることと、
(iv)少なくとも30個のウィンドウがテンプレートに含まれるまで、(i)~(iii)を繰り返すことと、
によって、品質メトリックを満たす少なくとも10個のウィンドウから計算された平均心震図波形形ウィンドウである、作成するステップと、
大動脈弁開放を示すテンプレート内の基準点を識別するステップと、
フィルタリングされた心震図波形の後続の各QRS群mに対して、各ウィンドウmの長さがl2ミリ秒であるウィンドウmで前記フィルタリングされた心震図波形をセグメント化することにより、フィルタリングされた心震図波形の前記QRS群mに対応する大動脈弁開口部mを識別することであって、l2は長さが256ミリ秒であり、フィットネス関数を使用してウィンドウmをテンプレートと比較し、テンプレート内の基準点と一致するウィンドウm内の基準点を識別する、識別するステップと、
を実行する、システムである。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】SCGテンプレートの受け入れられたビートと拒否されたビートの例を示す。
【
図2】aおよび2bは、異なる心臓イベントの捕捉に対するテンプレートサイズの効果を示す。
【
図3】時間0でユーザーがトリガーする前に計算されたテンプレート関心領域(左挿入図)を使用して、ECGおよびSCGから抽出されたΔPEPの例を示している。上部中央および右挿入図は、テンプレートと適用されたフィットネス関数を使用した基準点検出の実施例を示す。
【
図4】ユーザーの2回目のキャリブレーショントリガー後にΔPEPがゼロにリセットされる例を示す。
【
図5】PEP補正による改善されたcNIBP-MAP推定(下のパネル)の例を示す。中央のパネルは、PATとPEPで修正されたPATを示す。上のパネルは、cNIBP補正に適用されたΔPEPを示す。
【
図6】SCGテンプレートの処理によって推定されたLVETの例を示す。
【
図7】テンプレートの品質、PEPの分散、およびユーザーのトリガー前のテンプレートの可用性に対するテンプレートのビート数の影響を示す。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本出願の目的のために、以下の略語が適用される:
【表1】
【0017】
例示のみを目的として、本発明は、ViSi Mobile(登録商標)バイタルサイン監視システム(Sotera Wireless,Inc.)の使用に関して説明される。ViSi Mobileシステムは、心拍数、SpO2、呼吸数、脈拍数、血圧、皮膚温度を継続的に測定する、装着型のバイタルサインモニターである。身体装着型モニタは、米国特許第8,321,004号に示されているように、上腕モジュールと胸部モジュールを含むリストデバイスとケーブルで構成される。リストデバイス、上腕モジュール、および胸部モジュールには、それぞれ3軸加速度計が含まれる。より伝統的なバイタルサインに加えて、モニタの3つの加速度計は、患者の姿勢、特定の姿勢で費やされた時間を推定し、患者が倒れたことを検出し、患者が歩いていることを判断するために使用できるデータをキャプチャする。
【0018】
心震図法
地震心電図(SCG)は、身体装着型モニタで心臓弁の動作によって引き起こされる身体の振動を測定するための理想的な非侵襲的な方法を提供する。SCGは、一般に胸骨の下部に取り付けられた加速度計を使用して記録された、心筋の動きによって引き起こされる胸部加速度をキャプチャする。SCG信号は、胸部表面で非侵襲的に測定された心臓の振動である。SCG信号には、9.20±0.48、25.84±0.77、50.71±1.83Hz(平均±SEM)に複数のスペクトルピークがある。(SCGの高周波成分(>20Hz)は、心音図(PCG)と形態学的に類似している。)早くも1957年に、SCGは前胸部心弾動図の名前で記録され、1960年代の初めに心拍変動を監視するために使用された。その後、1980年代後半に心機能を監視する技術としてSCGが導入された。クロウらが行った研究では、MC、AO、AC、およびMOとラベル付けされたSCGの基準点は、僧帽弁閉鎖、大動脈弁開放、大動脈弁閉鎖、および僧帽弁開放にそれぞれ対応することがわかり、心エコー画像に対して検証された。
【0019】
基準特徴の識別
PEPの正確な推定は、SCGでのAO波の検出に依存する。同時のSCGと超音波画像は、心周期の収縮期におけるSCGのいくつかの波のタイミングが、超音波画像のAOタイミングと有意な正の相関を持っていることを示す。以下はPEPの変化の観点から説明されているため、アプローチは、SCGビートテンプレートで最も堅牢な波(関心領域、ROI)を特定し、その選択された波のタイミングの変化をΔPEPとして計算することである。つまり、ΔPEPを計算するためにSCG波の決定論的な注釈を付ける必要はない。テンプレートウィンドウサイズに応じて、AOと大動脈閉鎖(AC)のタイミングの変化を推定できる。
【0020】
この方法では、フィルタリングされたSCGからセグメントを継続的に抽出し、注釈付きセグメントのデータセットに基づいて開発されたいくつかの特徴抽出手法によってSCGセグメントを評価する。このビート評価は、ビート品質に関する情報を継続的に生成し、SCGテンプレートにノイズの多いビートが含まれる可能性を最小限に抑える。SCGテンプレートは、受け入れ可能なNt個のSCGセグメントごとに更新される。PEP(ΔPEP)の変化を追跡するために、SCGテンプレートで最も堅牢な関心領域(波)を見つけるために特徴が抽出される。ユーザートリガー(たとえば、血圧校正)の後、すべての心拍に対して、フィットネス関数がテンプレートの関心領域に対してSCGセグメントの局所極値を評価し、ΔPEPを計算するその後のユーザートリガーでは、ROIが更新され、ΔPEPがゼロにリセットされる。
【0021】
フィルタリング
線形位相バンドパスフィルターは、SCGデータの背腹(背面から前面)軸の6~60Hz成分をフィルタリングするように設計される。フィルタリングされたSCGデータは、ECGでQRS群を検出するためのフィルタリングの遅延と処理時間を克服するためにバッファリングされる。
【0022】
ECG、リードI、II、およびIIIで心室脱分極を識別するためのPTおよび重力崖検出器
適切な重力崖検出器は、PCT/US2019/052706に記載されており、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。すべてのECGリードに対して、パン・トンプキンス(PT)アルゴリズムが各QRS群のパルスを生成する。重力崖検出器(GCD)アルゴリズムは、ECG品質に基づいてPT波形を融合する。GCDは、信号に沿って時間とともに移動する粒子の一定の負の加速度をシミュレートする。融合信号の大きさは、高さの値として解釈される。粒子が信号のピークの頂点から落下すると、信号のベースラインに向かって加速し、その速度は自由落下のように増加する。この自由落下状態にある間に、速度がしきい値を超えると、自由落下期間の開始時の信号の時間と振幅値で崖が検出される。検出された崖ごとに、QRS群は崖の高さの80%を超えて融合信号の中点として検出される。
【0023】
QRS群基準点からウィンドウへのSCG波形
ECGで検出されたQRS群基準点ごとに、フィルタリングされたSCGからNb個のサンプルのスライスが取得される(「ウィンドウ」)。このアルゴリズムは、SCG心拍セグメントを使用してSCGテンプレートを更新し、心拍ごとのPEPの変化を計算する。Nbの選択によって、ΔPEPを計算できる最大心拍数(HR)が決まる。
最大心拍数(ビート/分)=60/(Nb*Fs), (1)
ここで、Fsはサンプリングレート(Hz)である。
【0024】
一連の特徴と単純な分類器を使用してSCG信号の品質を評価する
すべてのSCGセグメントx[n]、n=1、2、...、Nb(n=1はQRS複合シーケンス番号で発生)に対して、特徴のセットが抽出される。
【0025】
1)最小振幅から最大振幅:
最大最小=最大(x[n])-最小(x[n]) (2)
【0026】
2)120ミリ秒間隔の正規化されたエネルギー:
【数3】
ここで、N1<Nb、N2<Nb、である。
【0027】
3)SCGセグメントの導関数の正規化された分散:
【数4】
【0028】
4)しきい値の交差の数:
【数5】
s<0の場合、f(s)=1、それ以外の場合はf(s)=0,Th=r*Max(x[n]),x[n]=1,2,...,Nwin,0<r<1、である。
【0029】
前述の機能の一連の境界とバイナリ分類子を使用して、SCGセグメントを評価する。
【0030】
X=[MinMax,nE,nVD,THC]をx[n]の特徴量として、fgood_beat(.)をバイナリ分類子として:
x[n]がテンプレートに適している場合はfgood_beat(X)=1、そうでない場合はfgood_beat(X)=0、である。
【0031】
監視の開始時にSCGテンプレートを作成する
SCGテンプレートは、Nt(10~60ビート)の許容可能なビートを平均化することによって継続的に更新される(
図1)。最適なNtを見つけるために、58472人の患者データを分析した。テンプレートの10、35、および60ビートが次の結果に及ぼす影響をテストした。1)PEP分散。PEP分散が高いほど、SCG基準点選択の不確実性が高くなる。2)テンプレートの品質メトリック:テンプレートのピークと谷の絶対値の合計は、テンプレートの最大値によって正規化される。この品質メトリックの値が低いほど、テンプレートの品質が高くなります。3)ユーザー入力前のテンプレートの可用性。テンプレートの作成に35ビートを使用すると、ユーザー入力の前にテンプレートを持つことと、テンプレートと計算されたPEPの品質との間の合理的なトレードオフが得られる。
【0032】
関心領域を抽出する
初期化:Template T[n]=0、n=1,2、...、Nb;Beat_counter=0。
新しいビートごとにx[n]:
Beat_counter<=Ntの場合
good_beat(X)=1の場合:
Beat_counter=Beat_counter+1;
T[n]=T[n]+x[n]/Nt、n=1、2、...、Nb
Beat_counter=Ntの場合
SCGテンプレートの関心領域ROIを計算する([ROILower_boundary,ROIAO,ROIUpper_boundary]=fROI(T[n]))
テンプレートのリセット:T[n]=0,n=1,2,...,Nb;Beat_counter=0。
【0033】
テンプレートサイズ(Nb)は、ΔPEP検出(
図2a)のために大動脈弁開放(AO)を含む収縮イベントをキャプチャする方法で選択できるか、大動脈弁閉鎖(AC)(
図2b)左心室駆出時間(LVET、AC-AOタイミングとして計算)を測定するために大動脈弁閉鎖(AC)(
図2b)を含む収縮イベントと拡張イベント両方をキャプチャする方法を選択することができる。後者の場合、テンプレートの1次導関数の2乗を次のようにローパスフィルタリングすることにより、テンプレートの滑らかなバージョンを導き出すことができる。
sT[n]=LPF((T[n]-T[n-Δn])
2) (6)
ここで、LPF(.)はローパスフィルター。sT[n]の計算後、LVETは、少なくともLVET_minサンプル間隔のsT[n](
図6)の主要なピーク間のタイミングとして推定できる。
【0034】
SCGテンプレートで大動脈弁開口部の基準点を特定する
テンプレート内のすべての極値ポイントは、注釈付きデータセット内の最も可能性の高いSCGイベント(AOなど)タイミング(ECGのQRS群に関連する)までの振幅、鋭さ、および距離に基づいてスコア付けされる。
【0035】
T[n]の極値時間n=iの場合、n=2,3,...,Nb-1:
Score(T[i])=fscore(T[i],|2*T[i]-T[i-1]-T[i+1]|,|i-nmost_probable_AO|)
【0036】
最高スコアの極値は、関心のあるテンプレート領域(ROI
AO)の参照と見なされる。ROIの下限(ROI
lower_boundary)と上限(ROI
upper_boundary)の境界は、基準点の前後の極値から識別される(
図3)。
【0037】
波形テンプレートとテンプレート基準点を使用して、後続の心周期の基準点を特定する
ユーザートリガー(キャリブレーションなど)の後、最新のテンプレートROIが参照として設定され、PEPの変更を追跡する。トリガー後の心周期ごとに、フィットネス関数はROIパラメーターを使用して、ROIウィンドウ内のSCGセグメント(x[n])極値のタイミングと振幅を評価し、PEPの変化を計算する(
図3)。
【0038】
x[n]の極値時間n=jの場合、ROIlower_boundary<n<ROIupper_boundary:
Fitness(x[j])=ffitness(j,x[j],min(x[n]),ROIAO)
【0039】
sample n=kinx[n]で最大Fitness(x[k])の場合:
PEP=k*1000/Fs(ミリ秒単位)
ΔPEP=(k-ROIAO)*1000/Fs(ミリ秒)
【0040】
すべてのユーザーのキャリブレーショントリガーにより、テンプレートROIが更新され、ΔPEPがゼロにリセットされる(
図4)。
【0041】
監視システム
記述された方法から決定された大動脈弁の基準点は、ECGと併用した場合のPEPの変化を計算するために使用でき、ECGおよびPPGと組み合わせた場合の連続非侵襲的血圧(CNIBP)のPEPの変化を補正するために使用できる。
【0042】
身体装着型システムは、ECG(I誘導、II誘導、およびIII誘導)、PPG(例えば、指の1つの基部で測定)、SCG(胴体、できれば胸骨に取り付けられている)で利用できる。PEPの変化(ΔPEP)の計算には、ECGとSCGの同時記録と処理、およびユーザートリガー(キャリブレーション)が必要である。>=500Hzのサンプリングレートは、PEP変更推定の時間分解能を向上させるために推奨される。
【0043】
継続的な非侵襲的血圧(cNIBP)の補正
ViSiMobile(登録商標)システム(SoteraWireless)は、脈波到達時間(PAT)に基づいて連続非観血血圧(cNIBP)を測定する。これにより、個々の血圧値(収縮期または「SYS」、拡張期または「DIA」、および平均動脈または「MAP」)が得られる。PATは、親指(または人差し指)の付け根でのフォトプレチスモグラム(PPG)の開始と、ECG波形のQRS群のピークとの間の時間差として、心拍ごとに測定できる。ViSiMobileSystemのリストモジュールは、PPG信号を記録する。
【0044】
測定された時間差は、真の血管通過時間(VTT)、つまりパルスが心臓からPPGセンサ位置まで伝播するのに必要な時間間隔と、駆出前期間(PEP)の合計である。
PAT=VTT+PEP (7)
【0045】
PATは通常、血圧に反比例する。すなわち、PATの低下は血圧の上昇を示す。収縮期、拡張期、および平均動脈圧の値は、定期的に集計されたPAT値(PATnum)ごとに、次の式を使用して決定される。
MAP=K(1/PATnum-1/PATcal)+MAPcal (8)
SYS=RSYS.MAP (9)
DIA=RDIA.MAP (10)
ここで、キャリブレーションパラメーターK、MAPcal、RSYS、およびRDIAは、ViSiMobileSystemのNIBPモジュールを使用して特定され、PATcalは、NIBPインフレーション時に測定されたPATの合計を表す。
【0046】
(7)によると、PATの変化(ΔPAT)は、ΔVTTとΔPEPが原因である可能性がある。
ΔPAT=ΔVTT+ΔPEP (11)
【0047】
ViSiMobileSystemで血圧を校正するたびに、リストモジュールから胸部モジュールにメッセージが送信され、ΔPEP測定が開始または再開される。
【0048】
ΔPEPとΔPATの相関変化の場合、補正されたPAT(cPAT)は次のように計算される(
図5)。
cPAT=PAT-ΔPEP (12)
ここで、ΔPEP(
図5)は、記載されているアルゴリズム[セクションX]から心拍ごとに抽出される。記述されたSCGビート品質メトリックは、条件付きPAT補正に使用される場合がある。
【0049】
他の修正(例えば、腕の高さの変化の修正または胴体の姿勢の変化の修正)は、例えば、米国特許第8,321,004号に記載されているように、PATに適用されてもよい、米国9,364,158、米国10,342,438、米国10,213,159、米国9,901,261、米国8,602,997、米国10,004,409、これらのそれぞれは、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0050】
集計されたcPAT(cPAT
num)値(
図5中央)を使用して、cNIBP MAP推定式(
図5下部)を更新できる。
MAP=K(1/PAT
num-1/PAT
cal)+MAP
cal (13)
【0051】
PAT、PTT、および血圧
【0052】
また、本発明の目的は、従来のPAT測定よりも多くの改善を特徴とする、PATに基づく血圧などのバイタルサインの連続非侵襲的測定(cNIBP)のための方法およびシステムを提供することである。パルス通過時間(PTT)は、圧力または流れの波が2つの動脈部位間を伝播するのにかかる時間であり、広い生理学的血圧範囲にわたる血圧の急激な変化とかなりよく相関することが示されている。したがって、非侵襲性の近位動脈波形と遠位動脈波形の間の時間遅延として推定されるPTTにより、BP変化の便利な追跡が可能になる。実際、非侵襲的なPTT推定は、現在、カフレスBP監視のために広く追求されている。
【0053】
最も一般的な非侵襲的なPTT推定値は、ECGとフォトプレチスモグラフィー(PPG)波形の間の時間遅延であり、脈波到着時間(PAT)と呼ばれる。ただし、主な懸念事項は、PATにはPTTだけでなく、心臓の電気的および機械的特性によって変化する前駆出期(PEP)も含まれることである。
【0054】
本発明は、心周期中に生成された低周波振動を検出し、状態推定器アルゴリズムを使用してこれらの測定された振動における大動脈弁開放を示す信号を識別することによって、PAT測定値を補正する際に使用するための推定PEPを再帰的に決定する装着型モニタを使用する。補正されていないPATは、心周期の開始と、対応する圧力パルスがフォトプレチスモグラフィーを使用して識別される時間とから従来通りに決定される。次いで、PEPは、本明細書に記載の方法に従って、心周期の開始と大動脈弁開放の現在の推定時間との間の差に基づいて、心拍ごとに各心周期について決定される。これらの値を使用して、PEPのPATの補正後にcNIBP測定値が取得される。このような身体装着型センサシステムから得られた様々なバイタルサインは、タブレットPC、ナースステーションのワークステーション、携帯情報端末(PDA)、または携帯電話などの遠隔モニタに送信され得る。
【0055】
センサ構成
cNIBPモニタは、胴体装着型ECG/加速度計モジュール、手首トランシーバ/処理ユニット、パルスオキシメトリモジュール、およびオシロメトリック血圧測定を決定するNIBPモジュールを備えることができる。これらのデバイスコンポーネントは、4つの異なる生理学的信号を測定できます。ECG、PPG、SCG、およびオシロメトリック血圧測定(NIBP)を提供する上腕動脈圧信号である。
【0056】
例示されたシステムは、(i)筐体内に収容された対応する送受信機にECG波形を送信する(例えば、ケーブル配線を使用して、または無線接続によって)筐体内の送受信機に動作可能に接続されたECG回路を収容する筐体を含むECG/加速度計センサモジュールを備える。処理装置104;(ii)加速度計(例えば、ADXL-345またはLSM330D)もハウジング内のトランシーバに動作可能に接続され、加速度計(SCG)波形を処理装置内に収容された対応するトランシーバに送信する。ECG/加速度計センサモジュールは、胸骨の患者の皮膚に配置される。ECGセンサモジュールと加速度計モジュールは別々に提供されてもよいが、単一のハウジングが両方のセンサモジュールを囲むことは、使いやすさのために有利である。同様に、処理装置は単一の身体装着型プロセッサユニットとして本明細書に記載されているが、本明細書に記載の方法およびコードは、異なる位置に収容されてもよい複数のプロセッサによって実行されても良く、それらの各々は、プロセッサの処理能力に寄与する。したがって、これらはまとめて「処理装置」と呼ばれる。ほんの一実施例として、処理ユニットは、ベッドサイドに提供されるか、または身体装着クライアント/リモートサーバープロセッサ形式で提供され得る。
【0057】
SCG信号に対して十分な信号対雑音比を達成するために、ECG/加速度計モジュールは患者の皮膚に機械的に結合させる必要がある。ECG/加速度計モジュールのハウジングは、ハウジングと皮膚の間に直接両面接着剤を塗布するか、皮膚に接着する硬い固定具にはめ込むことにより、患者の皮膚に固定される。ハウジングは、患者の胸骨、最適として剣状突起のすぐ上の胸骨下部に取り付ける必要がある。トランシーバ/処理装置のマイクロプロセッサ構成要素は、ECG波形をSCG波形と共に集合的に処理して改善されたPAT測定値を生成するために、以下に説明するアルゴリズムを適用する。
【0058】
ECG/加速度計モジュール内のECG回路は、一連の装着電極から電気信号を収集し、これらの信号をデジタルECG波形に変換する単一の回路(ASICなど)を備える。このような回路は、デジタルのパケットベースのシリアルインターフェイス(たとえば、「コントローラエリアネットワーク」または「CAN」システムに基づくインターフェイス)を介してリスト装着型トランシーバに接続する。このようなシステムは、さまざまな時間依存波形のタイミングを同期させるために、各リモートモジュール内のプロセッサにタイミングパケットを通信するプロセッサモジュール内にマスタークロックハウスを含むことができる。好ましくは、時間依存波形は、波形間の同期において最大40マイクロ秒のタイミングエラーが存在するように同期される。
【0059】
胸部装着型ECG/加速度計モジュールは、ケーブルを介して、患者の胸部の右上、左上、左下にそれぞれ配置されている従来のECG電極に接続する。通常、適切な信号対雑音比でECG波形を生成するために必要な信号を検出するには、3つの電極(正と負の信号を検出する2つ、および接地として機能する1つ)が必要である。3M(3MCenter,St.Paul,MN55144-1000)が販売するREDDOT(商標)電極は、この目的に適している。測定中、ECG電極は、ECG/加速度計モジュール内の回路に渡されるアナログ信号を測定する。そこでは、ECG波形が生成され、デジタル化され(通常は12~24ビットの解像度と250~500Hzのサンプリングレートで)、個々のパケットに定式化されるため、手首に装着したトランシーバ/処理装置に送信して処理することができる。
【0060】
上述の個々のパケットは、好ましくは、パケットベースのシリアルプロトコルに従って送信され得る。ECG/加速度計モジュールと手首装着トランシーバ/処理装置104との間の有線または無線接続でこのプロトコルを使用すると、ECGおよび加速度計によって生成された波形が生成されるように、パケット間のすべてのタイミング関連情報が保持されるパケットが提供される。手首に装着したトランシーバ/処理装置によって(オプションでPPG波形と)同期される。このプロトコルでは、ECGと加速度計によって生成された波形に対応するデータを分離することもできるが、各パケットにはデータの送信元のセンサを指定する情報を含めることができるため、単一のトランシーバによって送信される。
【0061】
光センサは、心拍によって誘発された圧力波によって変調された光放射を検出し、これはトランシーバ/処理装置内の第2の増幅器/フィルタ回路でさらに処理される。これにより、上述のように、それぞれが個々の心拍に対応する一連のパルスを含むPPG波形が得られる。描かれている親指装着型光センサは、(ワイヤレスまたはケーブルを介して手首装着型トランシーバ/処理装置に)動作可能に接続され、PPG波形を測定および送信し、ECG波形と組み合わせると、cNIBP測定値を生成するために使用できる。これにより、個々の血圧値(収縮期または「SYS」、拡張期または「DIA」、および平均動脈または「MAP」)が得られる。光学センサはさらに、SpO2値を決定するために処理できるPPG波形を測定する。これについては、次の特許出願、装着型ECG/加速度計モジュール、2009年14月14日に出願された米国出願番号12/559,379(BODY-WORN PULSE OXIMETER)、詳細に記載され、その内容が参照により本明細書に組み込まれる。
【0062】
ハウジング内の胸骨に配置された加速度計に加えて、システムは他に2つ構成されています。1つは手首に装着するトランシーバ/処理装置内の手首に配置され、もう1つは同じ腕の上腕に配置される。それぞれが、加速度計が取り付けられている身体部分のx、y、およびz軸に対応する3つの固有の信号を測定する。次に、これらの信号は、一連のアルゴリズムを使用して手首装着トランシーバ/処理装置104によって処理される、米国8,321,004、米国9,364,158、米国10,342,438、米国10,213,159、米国9,901,261、米国8,602,997、米国10,004,409、これらの内容は参照により本明細書に組み込まれる:動作、姿勢、腕の高さ、および活動レベルを決定する。
【0063】
最後に、システムは、オシロメトリックNIBP測定値を取得するために、手首装着トランシーバ/処理装置と通信する空気圧カフベースのモジュールをさらに備える。カフモジュールは、ポンプ、バルブ、圧力フィッティング、圧力センサ、A/Dコンバーター、マイクロコントローラー、トランシーバ、および充電式Li:ionバッテリーを含む空気圧システムを備えている。インデックス測定中、空気圧システムは使い捨てカフを膨らませ、次の2つの測定を実行する。1)SYSインデックス、DIAインデックス、およびMAPインデックスの値を決定するためのオシロメトリーのインフレーションベースの測定。と 2)PTTとMAPの関係を表す患者固有の勾配。これらの測定値は、米国特許第8,419,649号に詳細に記載されており、その内容は参照により本明細書に組み込まれている。圧力波形は、デジタルシリアルインターフェースを介して、好ましくはパケットベースのシリアルプロトコルによるパケットとして、トランシーバによって手首装着型トランシーバ/処理装置に(無線またはケーブルを介して)送信される。
【0064】
以下の実施例は、本発明の好ましい実施形態を裏付けるために含まれる。
1.個人の心周期における基準特徴を監視する方法であって、
前記個人の胸部に配置された振動センサを使用して、時間依存心震図波形を生成することと、
前記個人に配置されたECGセンサを使用して、対応する時間依存ECG波形を生成することと、
前記時間依存心震図波形および前記時間依存ECG波形を処理コンポーネントで受信し、前記処理コンポーネントでコードを実行することと、
を含み、
前記コードを実行することは、前記時間依存心震図波形および前記時間依存ECG波形を処理するために、
前記時間依存心震図波形を0Hz~100Hzの周波数帯域にフィルタリングして、フィルタリングされた心震図波形を作成するステップと、
テンプレートを作成するステップであって、前記テンプレートは、
(i)前記時間依存ECG波形で識別された各QRS群nについて、前記フィルタリングされた心震図波形をウィンドウnでセグメント化することであって、各ウィンドウの長さはl1ミリ秒である、前記セグメント化することと、
(ii)前記テンプレートに含まれる可能性のあるウィンドウnの品質メトリックを判定することと、
(iii)前記品質メトリックが許容できる場合は、前記テンプレートにウィンドウnを含めることと、
(iv)少なくとも30個のウィンドウが前記テンプレートに含まれるまで、(i)~(iii)を繰り返すことと、
によって前記品質メトリックを満たす少なくとも10個のウィンドウから計算された平均心震図波形ウィンドウである、前記作成するステップと、
大動脈弁開放を示す前記テンプレート内の基準点を識別するステップと、
前記フィルタリングされた心震図波形の後続の各QRS群mに対して、各ウィンドウmの長さがl2ミリ秒であるウィンドウmで前記フィルタリングされた心震図波形をセグメント化することにより、前記フィルタリングされた心震図波形の前記QRS群mに対応する大動脈弁開口部mを識別し、フィットネス関数を使用してウィンドウmを前記テンプレートと比較し、前記テンプレート内の前記基準点と一致するウィンドウm内の基準点を識別するステップと、
を実行する、前記方法。
【0065】
2.前記フィルタリングされた心震図波形における後続の各QRS群mは、ステップ(i)~(iv)に従って前記テンプレートを更新するために使用される、実施形態1に記載の方法。
【0066】
3.前記振動センサは、加速度計、ジャイロスコープ、レーザードップラー振動計、マイクロ波ドップラー振動計、および空中超音波表面運動カメラからなる群から選択される、実施形態1または2による方法。
【0067】
4.前記時間依存心震図波形が背側腹部の軸で記録される、実施形態1~3のうちの1つに記載の方法。
【0068】
5.前記周波数帯域は約6Hz~約60Hzの間である、実施形態1~4のうちの1つに記載の方法。
【0069】
6.l1およびl2がそれぞれ少なくとも約256ミリ秒である、実施形態1~5のうちの1つに記載の方法。
【0070】
7.前記品質メトリックは、最小から最大までの振幅(「minmax」)、120ミリ秒間隔の正規化されたエネルギー(「nE」)、セグメントについて計算された導関数の分散(「nVD」)、およびウィンドウnの閾値交差(「THC」)の数から判定される、実施形態1~6のうちの1つに記載の方法。
【0071】
8.MinMax(n)=max(x[n])-min(x[n])、ここでx[n]はウィンドウnのフィルタリングされた心震図波形の振幅であり、
【数6】
と、
【数7】
ここでs<0の場合、f(s)=1、それ以外の場合はf(s)=0,Th=r*Max(x[n]),x[n]=1,2,...,Nwin,0<r<1、
である、実施形態7に記載の方法。
【0072】
9.前記テンプレートが、品質メトリックを満たす少なくとも20のウィンドウから計算された平均心震図波形ウィンドウである、実施形態1~8のうちの1つに記載の方法。
【0073】
10.前記テンプレートが、品質メトリックを満たす少なくとも30個のウィンドウから計算された平均心震図波形ウィンドウである、実施形態1~8のうちの1つに記載の方法。
【0074】
11.前記テンプレートが、品質メトリックを満たす少なくとも40のウィンドウから計算された平均心震図波形ウィンドウである、実施形態1~8のうちの1つに記載の方法。
【0075】
12.前記テンプレートが、品質メトリックを満たす少なくとも60個のウィンドウから計算された平均心震図波形ウィンドウである、実施形態1~8のうちの1つに記載の方法。
【0076】
13.前記コードを実行することは、
各大動脈弁開放mおよびQRS群mについて、QRS群mの開始と大動脈弁開放mの発生との間の時間差として前駆出期(PEP)mを計算するステップと、
各PEPmを表示装置に表示するステップと、
をさらに実行する、実施形態1~12のうちの1つに記載の方法。
【0077】
14.前記コードを実行することは、
各大動脈弁開放mおよびQRS群mについて、PEPmを使用してパルス通過時間(PTT)mを計算し、PTTmを使用して連続非侵襲的血圧(cNIBP)値mを計算するステップと、
前記cNIBP値mを前記表示装置に表示するステップと、
をさらに実行する、実施形態13に記載の方法。
【0078】
15.個人の心周期における基準特徴を監視するシステムであって、
前記個人の胸部の外部に配置し、時間依存ECG波形を生成するように構成された振動センサと、
前記個人の外部に配置し、時間依存心電図波形を生成するように構成されたECGセンサと、
マイクロプロセッサと、前記マイクロプロセッサに動作可能に接続された不揮発性メモリとを備える処理コンポーネントであって、前記処理コンポーネントは、前記振動センサおよび前記ECGセンサに動作可能に接続されて、時間依存心震図波形および時間依存ECG波形を受信するように構成され、前記処理コンポーネントに格納されたコードを実行するように構成された、前記処理コンポーネントと、
を備え、
前記コードを実行することは、前記時間依存心震図波形および前記時間依存ECG波形に対して、
前記時間依存心震図波形を0Hz~100Hzの周波数帯域にフィルタリングして、フィルタリングされた心震図波形を作成するステップと、
テンプレートを作成することであって、前記テンプレートは、
(i)前記時間依存ECG波形で識別された各QRS群nについて、前記フィルタリングされた心震図波形をウィンドウnでセグメント化することであって、各ウィンドウの長さはl1ミリ秒であり、l1は少なくとも約256m秒である、前記セグメント化することと、
(ii)前記テンプレートに含まれる可能性のあるウィンドウnの品質メトリックを判定することと、
(iii)前記品質メトリックが許容できる場合は、前記テンプレートにウィンドウnを含めることと、
(iv)少なくとも30個のウィンドウが前記テンプレートに含まれるまで、(i)~(iii)を繰り返すことと、
によって、前記品質メトリックを満たす少なくとも10個のウィンドウから計算された平均心震図波形形ウィンドウである、前記作成するステップと、
大動脈弁開放を示す前記テンプレート内の基準点を識別するステップと、
前記フィルタリングされた心震図波形の後続の各QRS群mに対して、各ウィンドウmの長さがl2ミリ秒であるウィンドウmで前記フィルタリングされた心震図波形をセグメント化することにより、前記フィルタリングされた心震図波形の前記QRS群mに対応する大動脈弁開口部mを識別することであって、l2は長さが256ミリ秒であり、フィットネス関数を使用してウィンドウmをテンプレートと比較し、前記テンプレート内の前記基準点と一致するウィンドウm内の基準点を識別する、前記識別するステップと、
を実行する、前記システム。
【0079】
16.前記フィルタリングされた心震図波形における後続の各QRS群mは、ステップ(i)~(iv)に従って前記テンプレートを更新するために使用される、実施形態15に記載のシステム。
【0080】
17.前記振動センサは、加速度計、ジャイロスコープ、レーザードップラー振動計、マイクロ波ドップラー振動計、および空中超音波表面運動カメラからなる群から選択される、実施形態15または16に記載のシステム。
【0081】
18.前記時間依存心震図波形が背側腹部の軸で記録される、実施形態15~17のうちの1つに記載のシステム。
【0082】
19.前記周波数帯域は約6Hz~約60Hzの間である、実施形態15~18のうちの1つに記載のシステム。
【0083】
20.l1およびl2がそれぞれ少なくとも約256ミリ秒である、実施形態15~19のうちの1つに記載のシステム。
【0084】
21.前記品質メトリックは、最小から最大までの振幅(「minmax」)、120ミリ秒間隔の正規化されたエネルギー(「nE」)、セグメントについて計算された導関数の分散(「nVD」)、およびウィンドウnの閾値交差(「THC」)の数から判定される、実施形態15~20のうちの1つに記載のシステム。
【0085】
22.MinMax(n)=max(x[n])-min(x[n])、ここでx[n]はウィンドウnのフィルタリングされた心震図波形の振幅であり、
【数8】
と、
【数9】
ここでs<0の場合、f(s)=1、それ以外の場合はf(s)=0,Th=r*Max(x[n]),x[n]=1,2,...,Nwin,0<r<1、である、実施形態21に記載のシステム。
【0086】
23.前記テンプレートが、品質メトリックを満たす少なくとも20個のウィンドウから計算された平均心震図波形ウィンドウである、実施形態15~22のうちの1つに記載のシステム。
【0087】
24.前記テンプレートが、品質メトリックを満たす少なくとも30個のウィンドウから計算された平均心震図波形ウィンドウである、実施形態15~22のうちの1つに記載のシステム。
【0088】
25.前記テンプレートが、品質メトリックを満たす少なくとも40個のウィンドウから計算された平均心震図波形ウィンドウである、実施形態15~22のうちの1つに記載のシステム。
【0089】
26.前記テンプレートが、品質メトリックを満たす少なくとも60個のウィンドウから計算された平均心震図波形ウィンドウである、実施形態15~22のうちの1つに記載のシステム。
【0090】
27.前記コードを実行することは、
各大動脈弁開放mおよびQRS群mについて、QRS群mの開始と大動脈弁開放mの発生との間の時間差として前駆出期(PEP)mを計算するステップと、
各PEPmを表示装置に表示するステップと、
をさらに実行する、実施形態15~26のうちの1つに記載のシステム。
【0091】
28.前記システムは、個人の手の外部に位置し、時間依存のフォトプレチスモグラム波形を生成するように構成されたフォトプレチスモグラムセンサをさらに備え、
前記処理コンポーネントは、前記時間依存フォトプレチスモグラム波形を受け取るために、前記フォトプレチスモグラムセンサに動作可能に接続され、
前記コードを実行することは、
各大動脈弁開放mおよびQRS群mについて、PEPmを使用してパルス通過時間(PTT)mを計算し、PTTmを使用して連続非侵襲的血圧(cNIBP)値mを計算するステップと、
前記cNIBP値mを前記表示装置に表示するステップと、
をさらに実行する、実施形態27に記載のシステム。
【0092】
本発明は、当業者がそれを作成および使用するのに十分詳細に説明および例示されてきたが、本発明の精神および範囲から逸脱することなく、さまざまな代替、修正、および改良が明らかであるものとする。本明細書に記載の本実施例は、例示的なものであり、本発明の範囲を限定する意図はない。その中の変更および他の使用は、当業者に思い浮かぶであろう。これらの変更は、本発明の精神に包含され、特許請求の範囲によって定義される。
【0093】
本発明の精神または範囲から逸脱することなく、本明細書で開示した本発明において様々な修正及び変形が行え得ることは当業者には明らかである。
【0094】
本明細書で言及するすべての刊行物及び特許出願は、本発明が属する分野の当業者のレベルを示す。すべての刊行物及び特許出願は、各個別の刊行物または特許出願が、参照することにより具体的かつ個別に組み込まれることが示されているのと同程度に、参照することにより本明細書に組み込まれる。
【0095】
本明細書中例示として記載される本発明は、本明細書中具体的に開示されない任意の要素(単数または複数)または制限(単数または複数)がなくとも、適切に実行可能である。したがって、例えば、本明細書の各例において、用語「含む」、「から本質的になる」および「からなる」のいずれも、他の2つの用語のいずれかに置き換えられ得る。さらに、本明細書中採用されてきた用語及び表現は、限定するためではなく説明するための用語として使用されており、そのような用語及び表現の使用には、示され説明される特長あるいはその一部分のどのような等価物も排除する意図は存在せず、そうではなく、特許請求の技術の範囲内で様々な修飾が可能であると認識される。したがって、本発明は、好ましい実施形態およびオプションの特徴によって具体的に開示されたが、本明細書に開示された概念の修正および変形は、当業者によって利用され得ること、およびそのような修正および変形は、添付の特許請求の範囲によって定義されるように、本発明の範囲内である。
【0096】
他の実施形態は、以下の特許請求の範囲内に記載される。
【国際調査報告】