(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-11-02
(54)【発明の名称】半導体製造工程のガス類供給設備に適用されるカプラー
(51)【国際特許分類】
F16L 37/23 20060101AFI20231026BHJP
H01L 21/31 20060101ALI20231026BHJP
【FI】
F16L37/23
H01L21/31 F
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023548166
(86)(22)【出願日】2021-10-16
(85)【翻訳文提出日】2023-04-13
(86)【国際出願番号】 KR2021014424
(87)【国際公開番号】W WO2022080980
(87)【国際公開日】2022-04-21
(31)【優先権主張番号】10-2020-0134430
(32)【優先日】2020-10-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523139700
【氏名又は名称】ピーアンドシー テック カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】パク、ヨン キル
【テーマコード(参考)】
3J106
5F045
【Fターム(参考)】
3J106AB01
3J106BA01
3J106BB01
3J106BC04
3J106BD01
3J106BE26
3J106BE27
3J106ED32
3J106EE14
3J106EF15
5F045BB20
5F045EE02
(57)【要約】
本発明は半導体工程のガス供給ラインのシリンダーバルブに備えられたニップルを作動流体供給ラインと連結するカプラーに関するものであり、前記カプラーは、前記作動流体供給ラインと連結される第1流入口、及び前記第1流入口と連通する第1中空を有するハウジングと、前記ニップルの連結部の周囲に形成されたリング形の噛合溝と噛み合う少なくとも一つのボールと、前記第1中空内に設けられ、前記ニップルの連結部が挿入される第2中空を規定する管部を備え、前記管部には前記少なくとも一つのボールがそれぞれ挿入される少なくとも一つのボール設置路が形成されたリテーナと、前記第1中空を規定する前記ハウジングの内周面と前記管部の外周面との間に配置され、第1位置と第2位置との間で移動可能なスイッチング部材と、前記スイッチング部材を前記第1位置に復帰させる弾性部材とを含み、前記少なくとも一つのボールは、前記スイッチング部材の位置に応じて前記ボール設置路に沿って移動し、前記噛合溝と噛み合うかまたは前記噛合溝から離脱することができる。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体工程のガス供給ラインのシリンダーバルブに備えられたニップルを作動流体供給ラインと連結するカプラーであって、
前記カプラーは、
前記作動流体供給ラインと連結される第1流入口、及び前記第1流入口と連通する第1中空を有するハウジングと、
前記ニップルの連結部の周囲に形成されたリング形の噛合溝と噛み合う少なくとも一つのボールと、
前記第1中空内に設けられ、前記ニップルの連結部が挿入される第2中空を規定する管部を備え、前記管部には前記少なくとも一つのボールがそれぞれ挿入される少なくとも一つのボール設置路が形成されたリテーナと、
前記第1中空を規定する前記ハウジングの内周面と前記管部の外周面との間に配置され、第1位置と第2位置との間で移動可能なスイッチング部材と、
前記スイッチング部材を前記第1位置に復帰させる弾性部材と、を含み、
前記少なくとも一つのボールは、前記スイッチング部材の位置に応じて前記ボール設置路に沿って移動し、前記噛合溝と噛み合うかまたは前記噛合溝から離脱することができる、カプラー。
【請求項2】
前記ハウジングは、前記スイッチング部材の移動のための制御流体を供給する制御流体供給ラインと連結される第2流入口をさらに含み、
前記スイッチング部材は、前記制御流体によって前記第1位置から前記第2位置に移動しながら前記弾性部材を変形させ、前記第2位置で前記ボールを内側方向に押して前記噛合溝と噛み合うようにする、請求項1に記載のカプラー。
【請求項3】
前記スイッチング部材は、前記第2流入口を通しての前記制御流体の供給が遮断されると、前記弾性部材の復元力によって前記第1位置に復帰し、前記第1位置にあるとき、前記ボールが前記ボール設置路に沿って外側方向に移動して前記噛合溝から離脱できるように、間隔を提供する、請求項2に記載のカプラー。
【請求項4】
前記ハウジングは、
前記スイッチング部材の移動のための制御流体を供給する制御流体供給ラインと連結される第2流入口をさらに含み、
前記スイッチング部材は、前記第2流入口を通して前記制御流体が供給されない状態では、前記第1位置で前記ボールを内側方向に押して前記噛合溝と噛み合うようにし、前記第2流入口を通して前記制御流体が流入すると、前記第2位置に移動することで、前記ボールが前記ボール設置路に沿って外側方向に移動して前記噛合溝から離脱できるように、間隔を提供する、請求項1に記載のカプラー。
【請求項5】
前記ハウジングは、
前記第1流入口を通して流入した流体の一部を第2中空内に案内する第1流路と、前記第1流路から分岐され、前記流入した流体の他の一部を前記スイッチング部材に案内する第2流路と、をさらに含む、請求項1に記載のカプラー。
【請求項6】
前記スイッチング部材と連結され、一端が前記ハウジングの外側に露出される操作ロッドをさらに含む、請求項1に記載のカプラー。
【請求項7】
前記スイッチング部材は、前記第1位置で前記ボールを内側方向に押して前記噛合溝と噛み合うようにし、前記第2位置で前記ボールが前記ボール設置路に沿って外側方向に移動して前記噛合溝から離脱できるように、間隔を提供する、請求項6に記載のカプラー。
【請求項8】
前記スイッチング部材は、前記ボールと接する内側面が、第1内径を有する小径部と、前記第1内径より大きい第2内径を有する大経部と、前記小径部と前記大経部とを連結する傾斜部とを含んでなり、
前記スイッチング部材が前記第1位置と前記第2位置との間で移動しているうちに前記ボールは前記傾斜部と接する、請求項1に記載のカプラー。
【請求項9】
前記ボール設置路は、前記管部の内周面に位置する内側開口部が前記ボールの直径より小さく、前記管部の外周面に位置する外側開口部は前記内側開口部より大きい、請求項1に記載のカプラー。
【請求項10】
半導体工程のガス供給ラインのシリンダーバルブを作動流体供給ラインと連結する流路連結機構において、
前記流路連結機構は、
前記シリンダーバルブと連結されるニップルと、
前記作動流体供給ラインと連結され、前記ニップルと分離可能に結合されるカプラーと、を含み、
前記カプラーは、
前記作動流体供給ラインと連結される第1流入口、及び前記第1流入口と連通する第1中空を有するハウジングを含み、
前記ニップルは、
前記第1中空内に挿入され、周囲に沿ってリング形の噛合溝が形成された連結部を含み、
前記カプラーは、
前記リング形の噛合溝と噛み合う少なくとも一つのボールと、
前記第1中空内に設けられ、前記ニップルの連結部が挿入される第2中空を規定する管部を備え、前記管部には前記少なくとも一つのボールがそれぞれ挿入される少なくとも一つのボール設置路が形成されたリテーナと、
前記第1中空を規定する前記ハウジングの内周面と前記管部の外周面との間に配置され、第1位置と第2位置との間で移動可能なスイッチング部材と、
前記スイッチング部材を前記第1位置に復帰させる弾性部材と、をさらに含み、
前記少なくとも一つのボールは、前記スイッチング部材の位置に応じて前記設置路に沿って移動し、前記噛合溝と噛み合うかまたは前記噛合溝から離脱することができる、カプラー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は半導体製造工程のガス類供給設備に適用されるカプラーに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、半導体工程に使用されるガスを供給するための装置は、高圧のガスを収容したガスシリンダーと、前記ガスシリンダーからの工程設備へのガス供給を断続するシリンダーバルブを含んでなる。
【0003】
前記シリンダーバルブは空圧によって作動するアクチュエーターを備え、前記アクチュエーターの動作によって前記ガスシリンダーからのガスの吐出が断続される。従来では、前記アクチュエーターを動作させるための作動流体としての高圧空気(およそ5bar)が空気ホースを通して供給される。
【0004】
前記空気ホースを前記シリンダーバルブに連結する作業をマニュアルにしたがって正確に実施することができないか、または前記ガスシリンダーの交替などの理由で空気ホースの着脱が繰り返すのに伴って空気ホースの末端が摩耗または変形されることにより、前記空気ホースが分離される事故が発生し得る。この場合、ガス供給が中断されて半導体製造工程全体がシャットダウンされるなどの莫大な損失が発生し得る。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明が解決しようとする第1課題は、ガスシリンダーから半導体工程に供給されるガスを断続するシリンダーバルブを作動流体によって制御するように、前記シリンダーバルブに備えられたニップルを前記作動流体供給ラインと連結するカプラーを提供することである。
【0006】
本発明が解決しようとする第2課題は、前記ガスシリンダーの交替の際、前記作動流体供給ラインを分離する必要がないカプラーを提供することである。
【0007】
本発明が解決しようとする第3課題は、前記ニップルと前記カプラーとを確実にロックすることができる構造を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、半導体工程のガス供給ラインのシリンダーバルブに備えられたニップルを作動流体供給ラインと連結するカプラーに関するのである。
【0009】
前記カプラーは、前記カプラーは、前記作動流体供給ラインと連結される第1流入口、及び前記第1流入口と連通する第1中空を有するハウジングと、前記ニップルの連結部の周囲に形成されたリング形の噛合溝と噛み合う少なくとも一つのボールと、前記第1中空内に設けられ、前記ニップルの連結部が挿入される第2中空を規定する管部を備え、前記管部には前記少なくとも一つのボールがそれぞれ挿入される少なくとも一つのボール設置路が形成されたリテーナと、前記第1中空を規定する前記ハウジングの内周面と前記管部の外周面との間に配置され、第1位置と第2位置との間で移動可能なスイッチング部材と、前記スイッチング部材を前記第1位置に復帰させる弾性部材とを含む。
【0010】
前記少なくとも一つのボールは、前記スイッチング部材の位置に応じて前記ボール設置路に沿って移動し、前記噛合溝と噛み合うかまたは前記噛合溝から離脱することができる。
【0011】
前記ハウジングは、前記スイッチング部材の移動のための制御流体を供給する制御流体供給ラインと連結される第2流入口をさらに含むことができる。前記スイッチング部材は、前記制御流体によって前記第1位置から前記第2位置に移動しながら前記弾性部材を変形させ、前記第2位置で前記ボールを内側方向に押して前記噛合溝と噛み合うようにすることができる。
【0012】
前記スイッチング部材は、前記第2流入口を通しての前記制御流体の供給が遮断されると、前記弾性部材の復元力によって前記第1位置に復帰し、前記第1位置にあるとき、前記ボールが前記ボール設置路に沿って外側方向に移動して前記噛合溝から離脱できるように間隔を提供することができる。
【0013】
前記ハウジングは、前記スイッチング部材の移動のための制御流体を供給する制御流体供給ラインと連結される第2流入口をさらに含むことができる。前記スイッチング部材は、前記第2流入口を通して前記制御流体が供給されない状態では、前記第1位置で前記ボールを内側方向に押して前記噛合溝と噛み合うようにし、前記第2流入口を通して前記制御流体が流入すると、前記第2位置に移動することで、前記ボールが前記ボール設置路に沿って外側方向に移動して前記噛合溝から離脱できるように間隔を提供することができる。
【0014】
前記ハウジングは、前記第1流入口を通して流入した流体の一部を第2中空内に案内する第1流路と、前記第1流路から分岐され、前記流入した流体の他の一部を前記スイッチング部材に案内する第2流路とをさらに含むことができる。
【0015】
前記スイッチング部材と連結され、一端が前記ハウジングの外側に露出される操作ロッドをさらに含むことができる。
【0016】
前記スイッチング部材は、前記第1位置で前記ボールを内側方向に押して前記噛合溝と噛み合うようにし、前記第2位置で前記ボールが前記ボール設置路に沿って外側方向に移動して前記噛合溝から離脱できるように、間隔を提供することができる。
【0017】
前記スイッチング部材は、前記ボールと接する内側面が第1内径を有する小径部と、前記第1内径より大きい第2内径を有する大経部と、前記小径部と前記大経部とを連結する傾斜部とを含んでなることができる。前記スイッチング部材が前記第1位置と前記第2位置との間で移動しているうちに前記ボールは前記傾斜部と接することができる。
【0018】
前記ボール設置路は、前記管部の内周面に位置する内側開口部が前記ボールの直径より小さく、前記管部の外周面に位置する外側開口部は前記内側開口部より大きくてもよい。
【0019】
本発明の他の側面によれば、半導体工程のガス供給ラインのシリンダーバルブを作動流体供給ラインと連結する流路連結機構において、前記流路連結機構は、前記シリンダーバルブと連結されるニップルと、前記作動流体供給ラインと連結され、前記ニップルと分離可能に結合されるカプラーとを含み、前記カプラーは、前記作動流体供給ラインと連結される第1流入口、及び前記第1流入口と連通する第1中空を有するハウジングを含み、前記ニップルは、前記第1中空内に挿入され、周囲に沿ってリング形の噛合溝が形成された連結部を含み、前記カプラーは、前記リング形の噛合溝と噛み合う少なくとも一つのボールと、前記第1中空内に設けられ、前記ニップルの連結部が挿入される第2中空を規定する管部を備え、前記管部には前記少なくとも一つのボールがそれぞれ挿入される少なくとも一つのボール設置路が形成されたリテーナと、前記第1中空を規定する前記ハウジングの内周面と前記管部の外周面との間に配置され、第1位置と第2位置との間で移動可能なスイッチング部材と、前記スイッチング部材を前記第1位置に復帰させる弾性部材とをさらに含み、前記少なくとも一つのボールは、前記スイッチング部材の位置に応じて前記設置路に沿って移動し、前記噛合溝と噛み合うかまたは前記噛合溝から離脱することができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明は、カプラーと作動流体供給ラインとの連結状態を維持した状態で、ガスシリンダー側に連結されたニップルをカプラーと連結するかまたは連結解除することで、前記ガスシリンダーを取り替えることができる。よって、前記ガスシリンダーの交替が繰り返されても、前記作動流体供給ラインの連結部が摩耗または変形されるおそれがないだけでなく、従来、人力によって前記作動流体供給ラインの分離及び再連結を実施していた方式で発生したヒューマンエラー及び半導体工程のシャットダウンによる損失を防止することができる効果がある。
【0021】
また、半導体製造工程に必要なガス類供給設備の連結を作動流体の供給によって自動で実行するので、無人自動化工程が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】本発明の一実施例による半導体工程のガス供給設備を模式的に示す図である。
【
図2】本発明の第1実施例によるカプラーを示す図で、(a)はカプラーの正面図であり、(b)はカプラーの平面図である。
【
図3】
図2に示すカプラーの縦断面で、(a)は空気が注入される前の状態であってカプラーがロック解除された状態を示す図であり、(b)は空気が注入されてカプラーがロックされた状態を示す図である。
【
図4】本発明の第2実施例によるカプラーの縦断面で、(a)は空気が注入される前の状態であってカプラーがロックされた状態を示す図であり、(b)は空気が注入されてカプラーがロック解除された状態を示す図である。
【
図5】本発明の第3実施例によるカプラーを示す図で、(a)はカプラーの正面図であり、(b)はカプラーの平面図である。
【
図6】
図5に示すカプラーの縦断面で、(a)は空気が注入される前の状態であってカプラーがロック解除された状態を示す図であり、(b)は空気が注入されてカプラーがロックされた状態を示す図である。
【
図7】本発明の第4実施例によるカプラーを示す図で、(a)はカプラーの正面図であり、(b)はカプラーの平面図である。
【
図8】
図7に示すカプラーの縦断面で、(a)は操作ロッドがロック位置にある状態であってカプラーがロックされた状態を示す図であり、(b)は操作ロッドがロック解除位置にある状態であってカプラーがロック解除された状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本発明の利点及び特徴、かつそれらを達成する方法は、添付図面に基づいて詳細に後述する実施例を参照すると明確になるであろう。しかし、本発明以下で開示する実施例に限定されるものではなく、相異なる多様な形態に具現できる。ただ、本実施例は本発明の開示を完全にし、本発明が属する技術分野で通常の知識を有する者に発明の範疇を完全に知らせるために提供するものであり、本発明は特許請求の範囲の範疇によって定義されるだけである。明細書全般にわたって同じ参照符号は同じ構成要素を示す。
【0024】
図1は本発明の一実施例による半導体工程のガス供給設備を模式的に示す図である。
図2は本発明の第1実施例によるカプラーを示す図で、(a)はカプラーの正面図であり、(b)はカプラーの平面図である。
図3は
図2に示すカプラーの縦断面で、(a)は空気が注入される前の状態であってカプラーがロック解除された状態を示す図であり、(b)は空気が注入されてカプラーがロックされた状態を示す図である。
【0025】
図1を参照すると、本発明の一実施例によるガス供給設備は半導体工程に必要なガスを供給するものであり、ガスを収容したガスシリンダー1と、ガスシリンダー1からガスが排出されることを断続する油圧作動式シリンダーバルブ2と、流体(以下、「作動流体」という)を供給してシリンダーバルブ2の作動を制御するバルブ制御装置3とを含むことができる。以下で、前記作動流体は空気であり、シリンダーバルブ2は空圧によって開閉されるバルブ(pneumatic valve)を例として挙げるが、必ずしもこれに限定されるものではない。
【0026】
バルブ制御装置3は、圧縮空気を吐き出す流体供給器4と、流体供給器4から吐き出された空気をそれぞれ案内する作動流体供給ライン5及び制御流体供給ライン6と、作動流体供給ライン5をシリンダーバルブ2と連結する流路連結機構7と、流体供給器4を制御するコントローラー9とを含むことができる。
【0027】
コントローラー9の制御によって、流体供給器4は、作動流体供給ライン5及び制御流体供給ライン6に空気を同時にまたは選択的に吐き出すことができる。作動流体供給ライン5から供給された空気が流路連結機構7を通してシリンダーバルブ2に供給されると、空圧によってシリンダーバルブ2が開放されることで、ガスシリンダー1内のガスがガス供給ライン8に吐き出されて半導体工程の各種の設備に供給される。
【0028】
流路連結機構7は、シリンダーバルブ2に連結されるニップル10と、作動流体供給ライン5と連結され、ニップル10と分離可能に結合されるカプラー20とを含む。
【0029】
カプラー20は作動流体供給ライン5と連結できる。カプラー20がニップル10に結合された状態で作動流体供給ライン5によって供給された空気はニップル10を通してシリンダーバルブ2に供給されてシリンダーバルブ2を開放させる。
【0030】
シリンダーバルブ2に作動流体(例えば、空気)が供給されているうちには、ニップル10からカプラー20が分離されてはいけない。実施例によるカプラー20は、制御流体供給ライン6を通して流入する制御流体(例えば、空気)を用いてニップル10との連結状態をロック(lock)するかまたはロック解除(unlock)する。
【0031】
図2及び
図3を参照すると、カプラー20は、ハウジング21と、少なくとも一つのボール22と、リテーナ23と、スイッチング部材24と、弾性部材25とを含む。
【0032】
ハウジング21は、作動流体供給ライン5と連結される第1流入口26と、第1流入口26と連通する第1中空h1とを有することができる。第1流入口26及び第2流入口27は流体供給ライン5、6と直接連結されることもできるが、好ましくは、それぞれ第1流入ポート31及び第2流入ポート32を介して連結される。
【0033】
ニップル10はシリンダーバルブ2に供給される流体を案内する流路11を有する中空体であり、一端にはカプラー20と連結される連結部12が形成され、他端にはシリンダーバルブ2と連結される連結ポート13が形成される。連結部12の外周面には円周方向に延びるリング形の噛合溝121が形成できる。連結部12には、連結部12とリテーナ23の管部23aとの間を気密するOリング14が備えられることができる。
【0034】
ハウジング21の第1中空h1内にはリテーナ23が設けられることができる。リテーナ23は、ニップル10の連結部12が挿入される第2中空h2を規定する管部23aを備えることができる。管部23aには、少なくとも一つのボール22がそれぞれ挿入される少なくとも一つのボール設置路231が形成できる。円周方向に沿って複数のボール設置路231が形成できる。好ましくは、複数のボール設置路231が円周方向に沿って一定の角度に配置されることで、後述するスイッチング部材24の動作によって複数のボール22が同時にボール設置路231と噛み合うことができる。
【0035】
スイッチング部材24は、第1中空h1を規定するハウジング21の内周面21aと管部23aの外周面232との間(以下、設置空間という)に配置できる。スイッチング部材24は第1位置(
図3の(a)に示す位置)と第2位置(
図3の(b)に示す位置)との間で移動可能である。以下、「第1位置」は弾性部材25が変形される前の原形であるときのスイッチング部材24の位置であり、「第2位置」はスイッチング部材24が弾性部材25を変形(または、圧縮)させているときの位置であると定義する。
【0036】
弾性部材25は、スイッチング部材24を第2位置(
図3の(b)参照)から第1位置(
図3の(a)参照)に復帰させる。第2流入口27を通してかかった空圧によってスイッチング部材24が第1位置から第2位置に移動することにより、弾性部材25が変形または変位する。よって、第2流入口27を通しての空気供給が中断されて空圧が除去されると、弾性部材25の復元力によってスイッチング部材24が第2位置から第1位置に復帰する。ここで、弾性部材25は圧縮スプリングであり得る。
【0037】
リテーナ23は、管部23aの一端から半径方向外側に拡張して第1中空h1の一面を閉めるキャップ部23bをさらに含むことができる。キャップ部23bの底面には、弾性部材25またはスプリングの一端が挿入される第1固定溝233が形成できる。スイッチング部材24の一面には、弾性部材25の他端が挿入される第2固定溝241が形成できる。
【0038】
ハウジング21には、前記設置空間をハウジング21の外部と連通させる少なくとも一つの通気孔21hが形成できる。スイッチング部材24の移動に応じて空間が拡張または縮小する過程で、通気孔21hを通して空気がハウジング21の内外に流入または排出できる。
【0039】
ボール22はボール設置路231に沿って移動可能に備えられる。ボール22は少なくとも一部がボール設置路231内に位置し、スイッチング部材24の位置に応じて移動しながら噛合溝121と噛み合うかまたは噛合溝121から離脱することができる状態になる。
【0040】
ボール設置路231は、管部23aの内周面に位置する内側開口部231aから管部23aの外周面に位置する外側開口部231bまで延びる中空である。ボール22は少なくとも一部が外側開口部231bを通してボール設置路231に挿入できる。内側開口部231aは外側開口部231bより小さく、好ましくはボール22の直径より小さいことにより、ボール22が内側開口部231aを通過して第2中空h2に抜けることが防止される。一方、外側開口部231bは、ボール設置路231内にボール22挿入できるように、ボール22の直径より大きくなることができる。
【0041】
ボール22は、スイッチング部材24によってボール設置路231に沿って内側に押された状態で、少なくとも一部が内側開口部231aを通して第2中空h2内に露出され、このように露出された部分がニップル10の噛合溝121と噛み合うことにより、ニップル10とカプラー20とのロックがなされる。
【0042】
すなわち、ニップル10の連結部12を第2中空h2内の定位置に位置させた状態で、コントローラー9の制御によって制御流体供給ライン6に制御流体(空気)が供給されて第2流入口27に流入すると、流入した空気が流路215に沿って設置空間内に案内されてスイッチング部材24を第2位置に移動させることで、ニップル10とカプラー20とがロックされる。この状態ではニップル10とカプラー20とが確実に連結されるので、作動流体供給ライン5を通して供給された空気がシリンダーバルブ2に正確に伝達されるだけでなく、ニップル10とカプラー20との分離による安全事故やシャットダウンの事故を予防することができる。
【0043】
一方、スイッチング部材24は、前記第1位置にあるときはボール22が噛合溝121から離脱可能な位置に至ることができるように間隔(以下、「逃避間隔」と言う)を提供する。すなわち、スイッチング部材24からボール22にかかっていた外力が除去された状態で、逃避間隔dは、ボール22が噛合溝121から完全に離脱することができるように、ボール設置路231の外側方向にもっと移動することができる空間を提供する。
【0044】
スイッチング部材24は、ボール22と接する内側面に第1内径を有する小径部246と、前記第1内径より大きい第2内径を有する大経部247と、小径部246と大経部247とを連結する傾斜部248とを含むことができる。傾斜部248は、一端部248aが他端部248bよりも半径方向外側に位置して狭い他端部248bから広い一端部248aに拡張する円錐形曲面を有することができる。スイッチング部材24が前記第1位置と前記第2位置との間で移動しているうちにボール22は傾斜部248を通ることができる。
【0045】
より詳細には、本実施例によれば、スイッチング部材24が第1位置(
図3の(a)参照)にあるとき、大経部247はボール22に対応する位置にあり、逃避間隔dは大経部247と管部23aとの間に提供される。
【0046】
スイッチング部材24が第2位置(
図3の(b)参照)に移動する過程で、傾斜部248によってボール22がボール設置路231の内側開口部231a側に押されて移動し、最終的には大経部247と接するようになる。
【0047】
図4は本発明の第2実施例によるカプラーの縦断面で、(a)は空気が注入される前の状態であってカプラーがロックされた状態を示す図であり、(b)は空気が注入されてカプラーがロック解除された状態を示す図である。
【0048】
図4を参照すると、本発明の第2実施例によるカプラー20aは、前述した第1実施例とは反対に、スイッチング部材24’が第1位置(
図4の(a)参照)にあるときにロックされ、第2位置(
図4の(b)参照)にあるときにロック解除される。大経部247及び小径部246が第1実施例とは反対になっており、よって、傾斜部248’も反対になっている。
【0049】
具体的には、スイッチング部材24’は、第2流入口27を通して制御流体が供給されない状態では、第1位置でボール22を内側方向に押して噛合溝121と噛み合うようにし、第2流入口27を通して前記制御流体が流入すると、第2位置に移動することで、ボール22が前記ボール設置路231に沿って外側方向に移動して噛合溝121から離脱できるように間隔を提供する。
【0050】
図5は本発明の第3実施例によるカプラーを示す図で、(a)はカプラーの正面図であり、(b)はカプラーの平面図である。
図6は
図5に示すカプラーの縦断面で、(a)は空気が注入される前の状態であってカプラーがロック解除された状態を示す図であり、(b)は空気が注入されてカプラーがロックされた状態を示す図である。
【0051】
図5及び
図6を参照すると、本発明の第3実施例によるカプラー20bは、前述した実施例における第2流入口27が省略され、その代わりに第1流入口26を通して流入した流体がシリンダーバルブ2を作動させるだけでなくスイッチング部材24もロックさせるようにする。すなわち、作動流体供給ライン5を通しての流体の供給のみでシリンダーバルブ2の開放及び流路連結機構7のロックが同時になされる。
【0052】
具体的には、本実施例によれば、ハウジング21’は、第1流入口26を通して流入した流体の一部を第2中空h2内に案内する第1流路217と、第1流路217から分岐され、前記流入した流体の他の一部をスイッチング部材24に案内する第2流路218とを含むことができる。第2流路218を通して供給された流体によってスイッチング部材24が移動する。
【0053】
図7は本発明の第4実施例によるカプラーを示す図で、(a)はカプラーの正面図であり、(b)はカプラーの平面図である。
図8は
図7に示すカプラーの縦断面を示す図で、(a)は操作ロッドがロック位置にある状態であってカプラーがロックされた状態を示す図であり、(b)は操作ロッドがロック解除位置にある状態であってカプラーがロック解除された状態を示す図である。
【0054】
図7及び
図8を参照すると、本発明の第4実施例によるカプラー20cは、操作ロッド39を押すかまたは引く動作によってスイッチング部材24’が移動する。操作ロッド39は人力または別途の装置による機械力によって押されるかまたは引かれることができる。
【0055】
操作ロッド39はスイッチング部材24’と連結され、一端がハウジング21’’の外側に露出できる。操作ロッド39はスイッチング部材24’と一体に形成されることもできるが、ハウジング21’’との組立容易性のために、スイッチング部材24’とは別個の部材からなり、スイッチング部材24’と結合されることも可能である。ハウジング21’’には操作ロッド39が通過する通孔219が形成できる。
【0056】
スイッチング部材24’は、第1位置(
図8の(a)参照)でボール22を内側方向に押して噛合溝121と噛み合うようにし、第2位置(
図8の(b)参照)では、ボール22がボール設置路231に沿って外側方向に移動して噛合溝121から離脱することができるように、間隔を提供することができる。
【国際調査報告】